説明

車両用表示装置

【課題】表示手段の向きをその操作者に応じた適正な向きに自動的に変化させることにより、車両の安全性を損なうことなく表示手段の視認性を効果的に向上させる。
【解決手段】車室内に設けられたディスプレイ装置12(表示手段)と、該ディスプレイ装置12の表示内容を操作する操作手段24と、上記ディスプレイ装置12を揺動変位させてその画面を特定の方向に向ける揺動駆動機構34と、上記操作手段24を操作した操作者がドライバであるか否かを判定するとともに、その操作者がドライバであると判定したときに、上記揺動駆動機構34を作動させて上記ディスプレイ装置12を運転席2側に向けるように制御する制御手段26とを設けて車両用表示装置を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図情報等の所定の情報を表示する表示手段が車室内に設けられた車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車両のセンターコンソール部に埋め込まれた表示手段(ディスプレイ)を有する車両用表示装置(車載用ディスプレイ装置)において、上記表示手段の向き(傾き)を可変とすることにより、ドライバもしくはその他の乗員が見易い方向に表示手段の画面を向けてその視認性を向上させることが行われている。この車両用表示装置において、表示手段の向きを変える操作は、この表示手段に突設されたハンドル部を手動で操作することによって行われる。
【特許文献1】特開平9−272381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の車両用表示装置では、手動操作で表示手段の向きを変える必要があるため、操作者の負担が大きく、特にドライバが走行中に表示手段の向きを変えようとした場合に、車両の運転に充分な注意力が払われなくなり、安全上好ましくない。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、車室内に設けられた表示手段等を有した車両用表示装置において、上記表示手段の向きをその操作者に応じた適正な向きに自動的に変化させることにより、車両の安全性を損なうことなく表示手段の視認性を効果的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、車室内に設けられた表示手段と、該表示手段の表示内容を操作する操作手段と、上記表示手段を揺動変位させてその画面を特定の方向に向ける揺動駆動機構と、上記操作手段を操作した操作者がドライバであるか否かを判定するとともに、その操作者がドライバであると判定したときに、上記揺動駆動機構を作動させて上記表示手段を運転席側に向けるように制御する制御手段とを備えることを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】
本発明によれば、操作手段の操作者がドライバであると制御手段により判定されたときに、揺動駆動機構の作動に応じて上記表示手段が自動的に運転席側を向くように制御されるため、上記特許文献1に示されるような従来の車両用表示装置と異なり、表示手段の向きを見易い方向に変化させるための特別な操作をドライバに行わせる必要がない。したがって、ドライバの注意力が低下して車両の安全性が損なわれる事態の発生を防止しつつ、表示手段の視認性を効果的に向上させることができる。
【0007】
上記操作手段が、ステアリングに設けられたステアリングスイッチを含む複数の操作スイッチを有する場合、上記制御手段は、これら複数の操作スイッチのうちのステアリングスイッチが操作されたときに、上記操作者がドライバであると判定するものであることが好ましい(請求項2)。
【0008】
このようにすれば、ステアリングスイッチが操作されたことを検知するだけの簡単な構成で、操作者がドライバであるか否かを判定することができるという利点がある。
【0009】
上記構成においては、助手席乗員の有無を検知する検知手段をさらに備え、上記制御手段は、上記検知手段により助手席乗員が検知されなかった場合にも上記表示手段を運転席側に向ける制御を実行するように構成されていることが好ましい(請求項3)。
【0010】
このように、上記表示手段を運転席側に向ける制御を、助手席乗員が検知されなかったときにも実行するようにした場合には、表示手段を操作する者がドライバしかいない状況下でこのドライバに対する表示手段の視認性を良好に確保でき、乗車人数に応じたより適正な制御内容で表示手段の視認性を向上させることができるという利点がある。
【0011】
上記制御手段は、上記表示手段にテレビ映像が表示されているときは上記表示手段を運転席側に向ける制御の実行を禁止するように構成されていることが好ましい(請求項4)。
【0012】
このようにすれば、ドライバが車両の運転中にテレビ映像に視線を移してしまうことに起因して車両の運転に払われるべき注意力が低下するのを確実に防止でき、車両の安全性をより良好に維持できるという利点がある。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、車室内に設けられた表示手段等を有した車両用表示装置において、上記表示手段の向きをその操作者に応じた適正な向きに自動的に変化させるようにしたため、車両の安全性を損なうことなく表示手段の視認性を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3は、本発明の一実施形態にかかる車両用表示装置を示している。本図に示す車両用表示装置は、道路地図情報等の所定の情報を表示する表示手段としてインストルメントパネル10の上方部に設置されたディスプレイ装置12と、このディスプレイ装置12の表示部14の周囲に設けられたプッシュスイッチ16や、ステアリング20に設けられたステアリングスイッチ22等の複数の操作スイッチからなる操作手段24と、この操作手段24からの操作信号に応じて上記ディスプレイ装置12の表示部14の画面制御等を実行する制御手段26と、上記ディスプレイ装置12を揺動変位させてその画面(表示部14)を特定の方向に向ける揺動駆動機構34と、人工衛星からの電波を受信して自車両の現在位置を検出するGPS受信機や各種センサ類、道路地図情報が記録された記録媒体等から構成されたナビゲーション装置28と、放送局からのテレビ電波を受信するテレビ受信機30とを備えている。
【0015】
上記ディスプレイ装置12は、運転席2と助手席4との間に位置するインストルメントパネル10の車幅方向中心部に設置されており、上記ナビゲーション装置28もしくはテレビ受信機30から入力される画像信号を受信してそれらの画像を選択的に表示部14に表示するように構成されている。すなわち、このディスプレイ装置12は、上記ナビゲーション装置28からの画像信号に基づいて道路地図や目的地までの経路情報等を表示部14に表示する道路地図表示状態と、上記テレビ受信機30からの画像信号に基づいて任意の放送局のテレビ映像を表示部14に表示するテレビ映像表示状態との間で変位可能に構成されている。なお、図3は、道路地図表示状態にあるときのディスプレイ装置12の表示内容の一例を示しており、この図3の例では、自車両の現在位置周辺の道路地図が、関連する操作メニューととともに表示部14に表示されている。
【0016】
また、上記ディスプレイ装置12は、その表示部14の表面に感圧式のタッチパネル等が装着されたいわゆるタッチスクリーンとして構成されており、そのメニュー画面上に表示されるアイコン等からなるスイッチ枠により、指先等で触れることにより操作可能なタッチスイッチ18が構成されている。
【0017】
上記操作手段24は、上記ディスプレイ装置12に設けられたプッシュスイッチ16およびタッチスイッチ18と、上記ステアリング20に設けられたステアリングスイッチ22とから構成されており、これら各操作スイッチの操作に応じて上記ディスプレイ装置12における表示部14の表示内容を変更する等の操作を行うとともに、このような画面操作を通じて上記ナビゲーションシステム28やテレビ受信機30に所定の制御動作を実行させるように構成されている。
【0018】
図2に示すように、上記制御手段26には、助手席4に乗員が着座しているか否か(すなわち助手席乗員の有無)を検知する検知手段として助手席4の内部に組み込まれた圧力センサ32と、自車両の走行速度を検出する車速センサ50と、自車両に生じる加速度を検出する加速度センサ52とが接続されている。
【0019】
上記揺動駆動機構34は、図4および図5に示すように、車両の前後方向に延びる左右一対のサイドサポート部36とその前端部どうしを連結するように左右方向に延びるメインサポート部38とからなるベース部材40と、上記メインサポート部38の上面部に一端側が枢支され、その枢支点を支点に水平方向に回動変位するように構成されたリンク部材44と、上記メインサポート部38の内部に設けられてリンク部材44の一端側と連動連結され、上記制御手段26からの制御信号に応じて作動することにより上記リンク部材44を回動変位させるプッシュプル型ソレノイドアクチュエータ等からなる駆動源46とを備えている。そして、上記メインサポート部38の一端側に設けられた支持部47と、上記リンク部材44におけるメインサポート部38との枢支点の反対側端部に設けられた支持部48とに、ディスプレイ装置12下面の左右両端部がそれぞれ枢支されるようになっている。
【0020】
このように構成された揺動駆動機構34は、上記インストルメントパネル10の上面部に設置されて上記ディスプレイ装置12を揺動自在に支持しており、上記リンク部材44が回動変位してその支持部48が前後方向に移動するのに応じて、上記ディスプレイ装置12が揺動変位してその表示部14の向きが所定の角度範囲内で変化するようになっている。そして、このように揺動駆動機構34により駆動されるディスプレイ装置12は、上記揺動駆動機構34の作動に応じて、その表示部14を真っ直ぐ後方側に向けた図6の状態から、運転席2側(運転席2側の斜め後方)に表示部14を向けた図7の状態や、助手席4側(助手席4側の斜め後方)に表示部14を向けた図8の状態に移行するように構成されている。
【0021】
上記制御手段26は、CPU、ROM、RAM、各種インターフェース等からなり、上記操作手段24からの操作信号の入力を受けると、あらかじめROM(またはRAM)に記憶された対応するプログラムをCPUにおいて実行することにより、上記ディスプレイ装置12における表示部14の表示内容を変更する等の画面制御を実行するとともに、上記操作手段24の操作内容に応じた所定の動作を上記ナビゲーション装置28もしくはテレビ受信機30に実行させるように構成されている。
【0022】
また、上記制御手段26は、上記操作手段24のうちのステアリングスイッチ22が操作されたこと等の所定の条件が成立したときに、上記揺動駆動機構34を作動させて上記ディスプレイ装置12を揺動変位させ、その表示部14を状況に応じた特定の方向(運転席2側や助手席4側)に向ける制御を実行するように構成されている。なお、その制御動作の具体的内容については、以下に説明するフローチャートの中で述べることとする。
【0023】
次に、上記制御手段26によるディスプレイ装置12の駆動制御の内容を、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御フローがスタートすると、制御手段26は、加速度センサ52により検出された車両の加速度(または減速度)の絶対値|α|が、あらかじめ定められた閾値α1以上であるか否かを判定する(ステップS1)。そして、このステップS1においてYESと判定されて車両の加減速度の絶対値がある程度大きいことが確認された場合、すなわち、車両が急加速状態または急減速状態にあることが確認された場合には、そのままリターンし、上記ディスプレイ装置12の向きを現状のまま維持する。このように、車両が急加速状態または急減速状態にあるときにディスプレイ装置12の向きを変えることなく現状のまま維持するのは、急加速時(または急減速時)のようなより注意深い運転操作が必要な状況下でディスプレイ装置12の向きを変えてしまうと、ドライバの視線がディスプレイ装置12の動きに奪われてドライバの集中力が低下するおそれがあり、安全上好ましくないからである。
【0024】
一方、上記ステップS1でNOと判定されて車両が急加速状態にも急減速状態にもないことが確認された場合には、次のステップS3に移行し、車速が一定値以上であってかつディスプレイ装置12にテレビ映像が表示されているか否かを判定する。具体的には、車速センサ50により検出された車速Vがあらかじめ定められた閾値V1(例えば5km/h)以上であること、および、ディスプレイ装置12への入力画像信号がテレビ受信機30からの信号であることの両条件が成立しているか否かを判定する。
【0025】
そして、上記ステップS3でYESと判定されて車速がある程度速くかつディスプレイ装置12にテレビ映像が表示されていることが確認された場合には、さらに、助手席4に設けられた圧力センサ32の検出値に基づいて助手席乗員が存在するか否かを判定し(ステップS5)、ここでYESと判定されて助手席乗員が存在することが確認された場合に、上記揺動駆動機構34を作動させて図8に示すように、ディスプレイ装置12を助手席4側に向ける制御を実行する(ステップS7)。一方、上記ステップS5でNOと判定されて助手席乗員が存在しないことが確認された場合には、図6に示すようにディスプレイ装置12を真っ直ぐ後方側に向ける制御を実行する。このように、ディスプレイ装置12の向きは、車速がある程度速くかつディスプレイ装置12がテレビ映像を表示している状況下で、助手席乗員の有無に応じて助手席4側かまたは車両の真っ直ぐ後方側を向くようになっており、運転席2側には向かないようになっている。これにより、テレビ映像表示状態にあるディスプレイ装置12が、車両の運転中に運転席2側に向くことが禁止され、ドライバの注意力がテレビ映像によって阻害されることが防止されるようなっている。
【0026】
一方、上記ステップS3でNOと判定されて車速が充分に遅いかまたはディスプレイ装置12にテレビ映像が表示されていないことが確認された場合には、さらに助手席乗員が存在するか否かを判定し(ステップS11)、ここでNOと判定されて助手席乗員が存在しないことが確認された場合に、上記揺動駆動機構34を作動させて図7に示すように、ディスプレイ装置12を運転席2側に向ける制御を実行する(ステップS15)。すなわち、助手席乗員が存在しない状況下では、ディスプレイ装置12を操作する操作者としてはドライバ以外にないため、このドライバに対するディスプレイ装置12の視認性を良好に確保すべく、ディスプレイ装置12を運転席2側に向ける制御を実行する。一方、上記ステップS11でYESと判定されて助手席乗員が存在することが確認された場合には、次のステップS13に移行し、ステアリングスイッチ22が操作されたか否かを判定する。すなわち、ディスプレイ装置12を操作するためのプッシュスイッチ16、タッチスイッチ18、ステアリングスイッチ22からなる操作手段24のうち、ドライバ専用の操作スイッチであるステアリングスイッチ22が操作されたか否かを判定することにより(より具体的にはステアリングスイッチ22からの操作信号の有無を検出することにより)、ディスプレイ装置12を操作した操作者がドライバであるか否かを判定する。
【0027】
そして、上記ステップS13でYESと判定されて操作者がドライバであることが確認された場合には、上記揺動駆動機構34を作動させて図7に示すように、ディスプレイ装置12を運転席2側に向ける制御を実行する(ステップS15)。これにより、操作者であるドライバに対してディスプレイ装置12の視認性が良好に確保されることになる。
【0028】
一方、上記ステップS13でNOと判定された場合、すなわち、上記操作手段24のうちステアリングスイッチ22以外の操作スイッチが操作されたかもしくは操作手段24の操作がなかった場合には、そのままリターンし、ディスプレイ装置12の向きを現状のまま維持する。なお、ステアリングスイッチ22以外の操作スイッチ(つまりディスプレイ装置12側に設けられたプッシュスイッチ16およびタッチスイッチ18)が操作されたときにおいてもディスプレイ装置12の向きを現状のまま維持するのは、上記プッシュスイッチ16およびタッチスイッチ18についてはドライバおよび助手席乗員の両乗員が操作可能であり、いずれの乗員が操作者であるのかを特定できないためである。
【0029】
以上のように車室内に設けられたディスプレイ装置12(表示手段)と、該ディスプレイ装置12の表示内容を操作する操作手段24とを備えた車両用表示装置において、上記ディスプレイ装置12を揺動変位させてその画面(表示部14)を特定の方向に向ける揺動駆動機構34と、上記操作手段24を操作した操作者がドライバであるか否かを判定するとともに、その操作者がドライバであると判定したときに、上記揺動駆動機構34を作動させて上記ディスプレイ装置12を運転席2側に向けるように制御する制御手段26とを設けたため、ディスプレイ装置12の向きをその操作者に応じた適正な向きに自動的に変化させることができ、車両の安全性を損なうことなくディスプレイ装置12の視認性を効果的に向上させることができるという利点がある。
【0030】
すなわち、上記構成によれば、操作手段24の操作者がドライバであると制御手段26により判定されたときに、揺動駆動機構34の作動に応じて上記ディスプレイ装置12が自動的に運転席2側を向くように制御されるため、従来の車両用表示装置と異なり、ディスプレイ装置12の向きを見易い方向に変化させるための特別な操作をドライバに行わせる必要がない。したがって、ドライバの注意力が低下して車両の安全性が損なわれる事態の発生を防止しつつ、ディスプレイ装置12の視認性を効果的に向上させることができる。
【0031】
また、上記のようにディスプレイ装置12を運手席2側に向けることにより、ドライバは、上記ディスプレイ装置12に設けられたプッシュスイッチ16やタッチスイッチ18を容易に操作することが可能になる。さらには、ドライバ以外の乗員(例えば助手席乗員)にとって上記プッシュスイッチ16やタッチスイッチ18の操作が行いにくくなるため、ドライバの意図する操作が他の乗員により阻害されるのを効果的に防止できるという利点もある。
【0032】
また、上記実施形態のように、ディスプレイ装置12に設けられたプッシュスイッチ16およびタッチスイッチ18と、ステアリング20に設けられたステアリングスイッチ22との複数の操作スイッチからなる操作手段24のうち、ドライバ専用の操作スイッチであるステアリングスイッチ22が操作されたときに、上記操作手段24の操作者がドライバであると判定するようにした場合には、より簡単な構成で上記操作者がドライバであるか否かを判定できるという利点がある。
【0033】
すなわち、操作手段24の操作者を特定するための手段として、例えば乗員の行動を監視するためのカメラ等を車室内に設けるようにしてもよいが、このようにした場合には、カメラ等を設置するための費用が余計にかかるため、車両の製造コストの増大が避けられないという問題がある。これに対し、上記実施形態のように、ステアリングスイッチ22の操作の有無によって操作者がドライバであるか否かを判定するようにした場合には、上記のようなコストアップを招くことのない簡単な構成で上記操作者を特定することができる。
【0034】
また、上記実施形態のように、助手席乗員の有無を検知する圧力センサ32(検知手段)を助手席4に設けておき、上記ディスプレイ装置12を運転席2側に向ける制御を、上記圧力センサ32により助手席乗員が検知されなかったときにも実行するようにした場合には、ディスプレイ装置12を操作する者がドライバしかいない状況下でこのドライバに対するディスプレイ装置12の視認性を良好に確保でき、乗車人数に応じたより適正な制御内容でディスプレイ装置12の視認性を向上させることができるという利点がある。
【0035】
また、上記実施形態のように、ディスプレイ装置12にテレビ映像が表示されているとき(上記実施形態ではさらに車速が一定値以上のとき)は上記ディスプレイ装置12を運転席2側に向ける制御の実行を禁止するようにした場合には、ドライバが車両の運転中にテレビ映像に視線を移してしまうことに起因して車両の運転に払われるべき注意力が低下するのを確実に防止でき、車両の安全性をより良好に維持できるという利点がある。
【0036】
なお、上記実施形態では、ディスプレイ装置12を揺動変位させる揺動駆動機構34を図4および図5に示されるような構成としたが、この揺動駆動機構34の具体的構造については、上記のような構造に限らず適宜変更可能である。例えば、上記図4および図5において、リンク部材44を省略した上でディスプレイ装置12をメインサポート部38に直接固定するとともに、左右一対のサイドサポート部36,36のうちのいずれか一方を前後方向に進退可能に構成すれば、この一方のサイドサポート部36の進退動作に応じて上記ディスプレイ装置12を揺動変位させる(表示部14の向きを変える)ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車両用表示装置が搭載された車室内の状況を示す図である。
【図2】上記車両用表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】ディスプレイ装置(表示手段)の拡大図である。
【図4】揺動駆動機構の構造を説明するための分解斜視図である。
【図5】揺動駆動機構の動作を説明するための平面図である。
【図6】ディスプレイ装置(表示手段)が真っ直ぐ後方側を向いている状態を示す図である。
【図7】ディスプレイ装置(表示手段)が運転席側を向いている状態を示す図である。
【図8】ディスプレイ装置(表示手段)が助手席側を向いている状態を示す図である。
【図9】制御手段によるディスプレイ装置(表示手段)の駆動制御の内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
2 運転席
4 助手席
12 ディスプレイ装置(表示手段)
22 ステアリングスイッチ
24 操作手段
26 制御手段
32 圧力センサ(検知手段)
34 揺動駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設けられた表示手段と、
該表示手段の表示内容を操作する操作手段と、
上記表示手段を揺動変位させてその画面を特定の方向に向ける揺動駆動機構と、
上記操作手段を操作した操作者がドライバであるか否かを判定するとともに、その操作者がドライバであると判定したときに、上記揺動駆動機構を作動させて上記表示手段を運転席側に向けるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用表示装置において、
上記操作手段は、ステアリングに設けられたステアリングスイッチを含む複数の操作スイッチを有し、
上記制御手段は、これら複数の操作スイッチのうちのステアリングスイッチが操作されたときに、上記操作者がドライバであると判定することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両用表示装置において、
助手席乗員の有無を検知する検知手段をさらに備え、
上記制御手段は、上記検知手段により助手席乗員が検知されなかった場合にも上記表示手段を運転席側に向ける制御を実行するように構成されていることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用情報表示装置において、
上記制御手段は、上記表示手段にテレビ映像が表示されているときは上記表示手段を運転席側に向ける制御の実行を禁止するように構成されていることを特徴とする車両用表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−44516(P2008−44516A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−221456(P2006−221456)
【出願日】平成18年8月15日(2006.8.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】