説明

車両用駆動装置

【課題】高速運転が可能な回転電機を有すると共に、各種エンジン及び変速機に組み合わせることが可能な回転電機を有する車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】車両用駆動装置100は、車両を駆動する回転動力を出力するエンジン1と、当該エンジン1の出力軸A1と連結可能な入力軸A2を有し、当該入力軸A2の回転速度を変速して出力部材7に伝達する変速機5と、当該変速機5の入力軸A2の軸心と異なる軸心からなる回転軸21を有する回転電機2と、当該回転電機2の回転軸21の回転速度を減速して変速機5の入力軸A2に伝達する減速機4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に好適に用いることが可能な車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省エネルギーや地球温暖化の抑制に有効な車両として、回転電機を動力源として利用するハイブリッド車両や電動車両が実用化される。ハイブリッド車両は、化石燃料を燃料とする従来のエンジンに加え、電気エネルギーにより駆動される回転電機を動力源とする車両である。すなわち、エンジンを駆動することにより回転動力を得ると共に、車両が備えるバッテリから出力される直流電圧をインバータにより交流電圧に変換し、当該変換された交流電圧により回転電機を回転させて回転動力を得るものである。また、電動車両は、エンジンを搭載せず、電気エネルギーのみを動力源とする車両である。この種の車両に関する技術として、下記に示すものがある(例えば、特許文献1及び2、非特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のハイブリッド車両の駆動装置では、エンジンと変速機との間に電動モータが組み込まれる構成となっている。また、特許文献2に記載のハイブリッド車両でも、エンジンとトランスミッションとの間に電動モータが挟み込むように形成されている。更に、非特許文献1に記載の小型トラック用パラレルハイブリッドシステムでも、エンジンとトランスミッションとの間にモータが備えられる構成となっている。これらの技術に示されるようなハイブリッドシステムは、パラレルハイブリッドシステムと称され、走行状態に応じてエンジン及びモータの双方が車輪を回転させる。例えば、エンジンに負荷がかかる発進時や加速時等ではモータが作動し、エンジンの駆動力を補助する。また、エンジンの効率が悪い低速時は、エンジンの回転を高めてモータを発電機として利用して回転させて、発電された電気エネルギーを充電することによりエネルギーの効率を高める。更に、制動時や降坂時には回生制動によるエネルギーの回収や停車時にエンジンストップを行い、エネルギー効率を高めている。
【0004】
【特許文献1】特開2006−160096号公報(段落番号0019、0021、図1等)
【特許文献2】特開2005−57832号公報(段落番号0010等)
【非特許文献1】2003年 自動車技術会春季学術講演会 小型トラック用パラレルハイブリッドシステムの開発(20035246、日野自動車株式会社)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1及び2、また非特許文献1に記載の技術では、モータはエンジンと変速機(トランスミッション)との間に配設されたハイブリッドシステムが構成されている。そして、これらの技術では、組み付けの構造上、モータの回転数はエンジンの回転数と同一となるため、モータを高速運転することができない。また、エンジンとモータとの間に減速機を設けてモータの高速運転を実現することが考えられるが、前記文献に記載の技術に係る構造では、スペースの都合上、エンジンとモータとの間に減速機を配設することは容易ではない。したがって、モータを高速運転することができない。
【0006】
また、この種のハイブリッドシステムにおいては、エンジン及び変速機に応じてモータに要求される出力が決定される。したがって、各種のエンジン及び変速機の組み合わせに対して少ない種類のモータで対応することは、構造上の点においても性能上の点においても容易ではない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高速運転が可能な回転電機を有すると共に、各種エンジン及び変速機に組み合わせることが可能な回転電機を有する車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る車両用駆動装置の特徴構成は、車両を駆動する回転動力を出力するエンジンと、前記エンジンの出力軸の軸心と異なる軸心からなる回転軸を有する回転電機と、前記エンジンの出力軸と連結可能な入力軸を有し、当該入力軸に入力される回転速度を変速して出力部材に伝達する変速機と、前記変速機の入力軸と前記回転電機の回転軸とを連結し、当該回転軸の回転速度を減速して前記入力軸に伝達する減速機と、を備える点にある。
【0009】
このような特徴構成とすれば、回転電機とエンジン及び変速機との間に、減速機を備えているため、回転電機の回転速度を変速機の入力軸が許容できる回転速度に低下させる必要が無いため、回転電機の回転速度を高速化することができる。また、エンジンからの回転動力を回転電機に伝達する場合には、エンジンの回転速度を高速度に変換して回転電機の回転軸に伝達することができる。したがって、回転電機を効率よく作動させることが可能となる。更に、エンジン及び変速機の組み合わせにより、必要とする回転電機の出力が異なる場合であっても、減速機を変更することにより種々のエンジン及び変速機に対応した出力を得ることができる。したがって、各種エンジン及び変速機に組み合わせることが可能な回転電機を有する車両用駆動装置を実現することができる。このため、各種の車両用駆動装置に対して、共通の回転電機を使用することができるため、低コストで車両用駆動装置を構成することができる。
【0010】
また、前記減速機が、前記変速機の入力軸を中心軸として回転し、当該変速機の入力軸の周方向に沿って嵌合部が形成された第1のギヤと、前記変速機の入力軸の周方向に配置され、前記第1のギヤの嵌合部と嵌合すると共に、前記回転電機の回転軸を中心軸として回転し、当該回転電機の回転軸の周方向に沿って嵌合部が形成された第2のギヤと、からなると好適である。
【0011】
このような構成とすれば、回転電機の回転動力を変速機に伝達する場合には、適切に回転電機の回転速度を減速して変速機に伝達することができる。また、エンジンの回転動力を回転電機に伝達する場合には、エンジンの回転速度を増速して回転電機に伝達することができる。
【0012】
また、前記回転電機が複数備えられ、当該複数の回転電機が、前記変速機の入力軸の同心円上に配設されてあると好適である。
【0013】
このような構成とすれば、複数の回転電機で変速機の入力軸を回転させることができる。したがって、1つの回転電機に要求された出力を複数の回転電機に分散させることができる。このため、回転電機のサイズが小さくなる。また、回転電機に要求される出力に合わせて、回転電機の数を決定すれば良いため、各種の車両用駆動装置に合わせて回転電機を共通化することができる。したがって、低コストの車両用駆動装置が実現できる。
【0014】
また、直流電圧を交流電圧に変換する周波数変換部が備えられ、一つの前記周波数変換部で前記複数の回転電機を制御すると好適である。
【0015】
このような構成とすれば、周波数変換部を複数備える必要がないため、コストダウンが可能となる。また、複数の周波数変換部を備える場合に生じる可能性がある周波数変換部の特性ばらつきによる回転電機の制御ばらつきを無くすことができる。したがって、適切に回転電機を制御することが可能となる。
【0016】
また、前記複数の回転電機が、3相結線された3つの単相回転電機からなり、1つの3相回転電機として3相駆動されると好適である。
【0017】
このような構成とすれば、単相回転電機のステータに巻き回されるコイルは、その有効開角を3相分布巻きでの有効開角と同程度としながら1つの磁極に集中して構成することができる。また、特に永久磁石トルクとリラクタンストルクとを併用する埋め込み磁石型同期モータを採用する場合には、3相回転電機での1磁極集中巻きコイルよりもリラクタンストルクの割合が大きい回転電機を形成することができる。したがって、回転電機のサイズを小さくすることができる。
【0018】
また、前記複数の回転電機が、複数の3相回転電機からなり、各相が並列接続又は直列接続されてあると好適である。
【0019】
このような構成とすれば、トルクリップルが少ないため、運転初期状態や定常状態であっても、スムーズに動作させることが可能となる。
【0020】
また、前記複数の回転電機が、前記変速機の入力軸の周方向に沿って均等間隔に配設されてあると好適である。
【0021】
このような構成とすれば、複数の回転電機からの加重(トルク伝達時のギヤ噛み合いにより発生する径方向力)が、変速機の入力軸に対して均等に分散されるため、変速機の入力軸が有するベアリング等の劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る車両用駆動装置100を備えた車両について説明する。本車両用駆動装置100は、化石燃料を動力エネルギーとするエンジン1と電気エネルギーを動力エネルギーとする回転電機2とを備えたハイブリッド車両に備えられる。まず、図1に基づいて車両用駆動装置100の概略構成について説明する。図1は、車両用駆動装置100の概略構成の模式図である。
【0023】
図1に示されるように、車両用駆動装置100は、車両駆動用の駆動力源としてエンジン1と回転電機2とを備え、エンジン1が伝達クラッチ3を介して減速機4と連結される。また、回転電機2は、当該回転電機2の回転動力が減速機4に伝達可能に構成される。これにより、エンジン1と回転電機2とが伝達クラッチ3を介して直列に連結されて、パラレル方式のハイブリッド車両に好適な車両用駆動装置100が構成される。
【0024】
エンジン1は、上述のように化石燃料を動力エネルギーとする。化石燃料とは、エンジン1がガソリンエンジンの場合にはガソリンが相当し、エンジン1がディーゼルエンジンの場合には軽油が相当する。また、エンジン1がLPガスエンジンの場合にはLPガスが相当する。そして、エンジン1は、これらの化石燃料を燃焼させてハイブリッド車両を駆動する回転動力を出力する。この回転動力は、エンジン1のクランク軸(図示しない)に連結される出力軸A1を介して出力される。
【0025】
回転電機2は、バッテリB1やキャパシタ(図示せず)等の蓄電装置(以下、バッテリB1とする)と電気的に接続される。そして、電力の供給を受けると動力を発生するモータ(電動機)として機能し、動力の供給を受けると電力を発生するジェネレータ(発電機)として機能するように構成されている。
【0026】
バッテリB1は、出力電圧が数V程度のバッテリセルを複数個、直並列接続することにより、所定の電圧(例えば、270V以上)が出力可能なように構成される。バッテリB1は、回転電機2を駆動する駆動源として用いられる。また、このバッテリB1の出力は、ハイブリッド車両が備えるエアコン等の比較的消費電力の大きい電装品(図示しない)の電源としても用いられる。
【0027】
また、エンジン1と回転電機2との間には、エンジン1からの動力を車輪6側に断接可能な伝達クラッチ3が設けられる。ここで、本車両用駆動装置100は、車両の発進時や低速走行時には、伝達クラッチ3が解放されると共に、エンジン1が停止状態とされ、回転電機2の回転駆動力のみが車輪6に伝達されて走行する。この際、回転電機2は、バッテリB1からの電力の供給を受けて駆動力を発生する。そして、回転電機2の回転速度(すなわち車両の走行速度)が一定以上となった状態で、伝達クラッチ3が係合状態とされることにより、エンジン1がクランキングされて始動される。エンジン1の始動後は、エンジン1及び回転電機2の双方の回転駆動力が車輪6に伝達されて走行する。この際、回転電機2は、バッテリB1の充電状態により、エンジン1の回転駆動力により発電する状態と、バッテリB1から供給される電力により駆動力を発生する状態のいずれともなり得る。また、車両の減速時には、伝達クラッチ3が解放されると共に、エンジン1が停止状態とされ、回転電機2は、車輪6から伝達される回転駆動力により発電する状態となる。回転電機2で発電された交流電力は、周波数変換部11で直流電力に変換されバッテリB1に蓄えられる。車両の停止時には、エンジン1及び回転電機2はいずれも停止され、伝達クラッチ3は解放される。
【0028】
伝達クラッチ3の下流側には、変速機5が設けられる。変速機5は、エンジン1の出力軸A1と連結可能な入力軸A2を有し、当該入力軸A2の回転速度を変速して出力部材7に伝達する。ここで、上述のように、出力軸A1と入力軸A2とは、伝達クラッチ3を係合することにより連結可能である。伝達クラッチ3が係合状態であれば、エンジン1の回転動力が入力軸A2を介して変速機5に伝達される。一方、伝達クラッチ3が解放状態であれば、回転電機2の回転動力を減速機4が所定の減速比で減速して入力軸A2に伝達される(詳細は後述する)。このような変速機5は、所謂オートマチックトランスミッションで構成すると好適である。係る場合には、変速機5は、トルクコンバータと変速機構とから構成される。トルクコンバータは、内部に充填された作動油を介して、駆動側(入力軸A2側)のポンプインペラと従動側のタービンランナ(変速機構側)との間で駆動力の伝達を行う。
【0029】
トルクコンバータの下流側には変速機構が連結され、当該変速機構により、トルクコンバータを介して伝達される駆動力源からの動力の回転を、所定の変速比で変速して車輪6側へ伝達される。変速機構は、有段の自動変速機で構成されており、各変速段の変速比を生成する歯車機構の回転要素の係合又は解放を行うクラッチやブレーキ等の摩擦係合要素を備えて構成されている。これらの変速機構の摩擦係合要素は、作動油の油圧に基づいて制御される。なお、変速機構は、無段の自動変速機で構成しても良い。また、変速機構にクラッチを備える場合、動力伝達経路を切り離すことにより、回転電機2でエンジン1の始動も行うことが可能となる。
【0030】
変速機5の下流側には、出力部材7が連結され、当該出力部材7にディファレンシャル装置8を介して車輪6が接続されている。これにより、駆動力源から伝達された回転駆動力が変速機5により変速されて出力部材7に伝達され、この出力部材7に伝達された回転駆動力がディファレンシャル装置8を介して車輪6に伝達されるように構成されている。
【0031】
回転電機2のトルクを大きくするには、回転電機2に通電される電流を大きくすると好適である。一方、回転電機2が有するステータSに備えられるコイルCのインピーダンスは一定である。したがって、回転電機2のトルクを大きくするには、回転電機2に供給される電圧を高くすると良い(即ち、コイルCに通電される電流が大きくなるため、電磁力を大きくすることができる)。このため、本車両用駆動装置100を搭載する車両は、バッテリB1の出力電圧は高い値に設定される(例えば、270V以上)。この出力電圧は、周波数変換部11を介して回転電機2に供給される。詳細は、後述するが周波数変換部11は、バッテリB1から出力される直流電圧を所定の周波数を有する交流電圧に変換する。
【0032】
この周波数変換部11は、制御部10により制御される。この制御部10は、周波数変換部11が有するトランジスタ(後述する)の動作を制御するマイクロコンピュータにより構成される。したがって、バッテリB1の出力である高電圧を制御部10に直接入力すると、マイクロコンピュータの絶対最大定格を越えて絶縁破壊されてしまうため、降圧部12により所定の電圧に降圧された電圧が供給される。降圧部12は、バッテリB1の出力電圧(例えば270V)を低電圧(例えば2.5Vや3.3V)に降圧する機能を有する。このため、降圧部12は、例えばレギュレータ素子で形成することが可能であるし、降圧用DC/DCコンバータで構成することも可能である。
【0033】
ここで、回転電機2の出力は、回転動力として出力される。しかしながら、回転電機2から出力される回転動力の回転速度は、エンジン1の回転速度に比べて非常に高速であるため、この回転速度をそのまま変速機5に伝達することはできない。また、エンジン1の回転動力に応じてジェネレータとして機能する回転電機2を回転させる場合には、所定の回転速度以上で回転させる方が、発電効率が良い。したがって、変速機5の入力軸A2と回転電機2の回転軸21との間には、回転電機2の回転軸21の回転速度を減速して変速機5の入力軸A2に伝達する減速機4が配設される。
【0034】
次に、回転電機2と減速機4と変速機5の入力軸A2との配置構成について図2及び図3を用いて説明する。ここで、本車両用駆動装置1は、回転電機2が複数備えられる。このような構成であれば、1つの回転電機で構成する場合に比べて、必要とされるトルクを複数の小型の回転電機に分散させることができるため、配設するスペースをフレキシブルに決定することができる。したがって、車両用駆動装置100のサイズを小さくすることができる。以下の説明では、回転電機2が3つ備えられている場合の例として説明する。
【0035】
図2は入力軸A2の軸方向展開断面を示した図(図3におけるII−O−II線矢
印方向の断面を示した図)であり、図3は図2のIII−III線矢印方向の断面を示し
た図である。なお、図2において、入力軸A2やギヤ4や回転軸21A、21B等については断面を図示していない。図2及び図3に示されるように、3つの回転電機2A〜2Cは、変速機5の入力軸A2の同心円上に配設される。ここで、図3に示されるように、3つの回転電機2A〜2Cは、変速機5の入力軸A2の周方向に沿って均等間隔で配設されると好適である。即ち、複数の回転電機2が3つからなる場合には、回転電機2Aと回転電機2Bと回転電機2Cとの夫々の間隔が均等となるように、変速機5の入力軸A2を基準として、120度ずつずらして配設すると好適である。このように配設すると、各回転電機2A〜2Cからの変速機5の入力軸A2に対する応力が均等になるため、当該応力により入力軸A2が有するベアリングBRG1の機械的損傷を抑制することができる。
【0036】
そして、夫々の回転電機2A〜2Cは、変速機5の入力軸A2の軸心と異なる軸心からなる回転軸21A〜21Cを有する。変速機5の入力軸A2の軸心と異なる軸心からなる回転軸21A〜21Cとは、変速機5の入力軸A2の軸心と回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cの軸心とが異なるということである。即ち、回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cが、変速機5の入力軸A2と共通化されていないということである。
【0037】
ここで、各回転電機2A〜2Cは、ロータRとステータSとを有して構成され、ロータRに永久磁石PM(図示せず)を備え、ステータSにコイルCが備えられる。そして、回転電機2A〜2Cは、周波数変換部11により変換された所定の周波数を有する交流電圧に基づく交流電流がコイルCに供給され、永久磁石PMとコイルCとの間で働く引力及び斥力に基づき回転駆動される。このように回転駆動される回転電機2A〜2Cは、出力軸A1と夫々の回転軸21A〜21Cとの相互位置関係がずれないように、回転電機2A〜2Cを覆うケースM1と、出力軸A1が軸受けBRG1により回転可能に支持する保持部材M2とにより支持される。なお、各回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cは、ケースM1に対して軸受けBRG2により回転可能に支持される。
【0038】
変速機5の入力軸A2と回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cとは、減速機4により相互に回転動力を伝達可能に配設される。そして、上述のように減速機4は、回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cの回転速度を減速して変速機5の入力軸A2に伝達することができるように構成される。
【0039】
減速機4は、変速機5の入力軸A2に設けられた第1のギヤ4Aと回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cに設けられた第2のギヤ4B〜4Dを歯合して形成され、第1のギヤ4Aの歯数が、第2のギヤ4B〜4Dの歯数よりも多く形成される。
【0040】
変速機5の入力軸A2に設けられた第1のギヤ4Aには、周方向側面部に嵌合部41Aが形成される。一方、回転電機2Aの回転軸21Aに設けられた第2のギヤ4Bには、周方向側面部に嵌合部41Bが形成される。同様に、回転電機2Bの回転軸21Bに設けられた第2のギヤ4Cには、周方向側面部に嵌合部41Cが形成され、回転電機2Cの回転軸21Cに設けられた第2のギヤ4Dには、周方向側面部に嵌合部41Dが形成される。ここで、回転電機2A〜2Cを同じ速度で回転制御する場合には、嵌合部41Bと嵌合部41Cと嵌合部41Dとの歯数は、同じ歯数となるように形成される。そして、嵌合部41Aと嵌合部41B〜41Dとは、互いに歯合される。このため、回転電機2A〜2Cが、モータとして機能する場合には、回転電機2A〜2Cが協同で変速機5の入力軸A2を回転させることが可能となる。また、回転電機2A〜2Cが、ジェネレータとして機能する場合には、変速機5の入力軸A2が、複数の回転電機2A〜2Cを回転させることが可能となる。
【0041】
なお、各回転電機2A〜2Cは、制御部10により夫々の回転速度が等しくなるように制御される。このため、図3に示されるように、各回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cが時計方向に回転された場合には、当該回転軸21A〜21Cの夫々と共通の軸心を有して形成される第2のギヤ4B〜4Dも時計方向に回転する。したがって、第2のギヤ4B〜4Dの嵌合部41B〜41Dと嵌合する嵌合部41Aを有する第1のギヤ4Aが反時計方向に回転される。このようにして得られた回転動力は、変速機5の入力軸A2に伝達される。
【0042】
ここで、回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cの回転速度は、回転電機2A〜2Cが高速回転をするため非常に速いものである。したがって、この回転速度を変速機5の入力軸A2に伝達する場合には、所定の回転速度に減速して伝達される。このため、減速機4は、第1のギヤ4Aの歯数が、第2のギヤ4B〜4Dの歯数よりも多く形成される。したがって、減速機4は、回転電機2A〜2Cの回転軸21A〜21Cの回転速度を適切に減速させることが可能となる。
【0043】
本実施形態では、回転電機2A〜2Cは、3相結線された3つの単相回転電機から構成される。本実施形態で用いられる単相回転電機2の概略構造を図4に示す。図4に示されるように、単相回転電機2は、ロータRに永久磁石PMを備え、ステータSにコイルCが備えられる。なお、図4では、コイルCがステータSの径以上に突出して2点鎖線で示されているが、これはコイルCの巻き回し状態を理解し易くするために記載したものであり、実際には、ステータSの径を突出することなくステータSに巻き回される。そして、制御部10により、コイルCに通電され発生する電磁力と永久磁石PMとの間で発生する引力又は斥力に基づいてロータRが回転軸21を中心に回転する。ここで、図4のステータSには、ステータSに発生する制御磁束を流れ易くして、トルクリップルを滑らかにするために、コイルCが巻き回されていない領域に補極Eが形成される。
【0044】
次に、このような3つの単相回転電機2A〜2Cを1つの3相回転電機として3相駆動する場合の結線について図5を用いて説明する。単相回転電機2は、夫々3相を構成するU相、V相、及びW相を構成する。ここでは、U相を構成する単相回転電機を2Aとし、V相を構成する単相回転電機を2Bとし、W相を構成する単相回転電機を2Cとする。したがって、3相回転電機としての接続端子50は、U相端子が単相回転電機2Aの一方の端子に接続され、V相端子が単相回転電機2Bの一方の端子に接続され、W相端子が単相回転電機2Cの一方の端子に接続される。そして、夫々の単相回転電機2A〜2Cの他方の端子は、直列に接続される。このように結線された3つの単相回転電機2A〜2Cは、図6に示されるようなY結線となる。なお、上述の単相回転電機2A〜2Cの他方の端子を直列に接続した結線は、電気的に中性な中性点で共通に接続され、中性点処理結線51として機能する。
【0045】
図7は、特に、制御部10、周波数制御部11、及び単相回転電機2A〜2Cの構成を示した図である。上述のように単相回転電機2A〜2Cは1つの3相回転電機となるようにY結線で接続され、3相を構成する各相端子は接続端子50でまとめられる。そして、当該接続端子50は、周波数変換部11に接続される。
【0046】
周波数変換部11は、バッテリB1から出力される直流電圧を交流電圧に変換する。図7に示されるように、バッテリB1の正電極側にコレクタ端子が接続されたハイサイドのトランジスタQ1、Q3、Q5と、バッテリB1の負電極側にエミッタ端子が接続されたローサイドのトランジスタQ2、Q4、Q6と、の合計6つのトランジスタQ1〜Q6で構成される。例えば、トランジスタQ1及びトランジスタQ4のみを同時にオンさせると、バッテリB1から第1電源ライン31、トランジスタQ1、単相回転電機2A、単相回転電機2B、トランジスタQ4を介して第2電源ライン32に電流が流れる。一方、トランジスタQ3及びトランジスタQ2のみを同時にオンさせると、バッテリB1から第1電源ライン31、トランジスタQ3、単相回転電機2B、単相回転電機2A、トランジスタQ2を介して第2電源ライン32に電流が流れる。
【0047】
このようにトランジスタQ1及びトランジスタQ4のみをオンさせた場合と、トランジスタQ3及びトランジスタQ2のみをオンさせた場合とでは、単相回転電機2A及び単相回転電機2Bに流れる電流の方向が異なる。そのため、各コイルCには電流の流れる方向に応じた電磁力が働き、当該電磁力とロータRが備える永久磁石PMとの間で引力及び斥力が発生することとなる。したがって、トランジスタQ1〜Q6の中から選択されたハイサイドのトランジスタとローサイドのトランジスタとで形成される上下対トランジスタを順次オンさせることにより、ロータRが回転力を得ることができる、即ち単相回転電機2A〜2Cを回転駆動させることができる。
【0048】
また、トランジスタQ1〜Q6には、コレクタ端子にカソード端子が、またエミッタ端子にアノード端子が接続されるように夫々ダイオードD1〜D6が配設されている。ここで、各コイルCには、通電中にエネルギーが蓄えられるが、これらのダイオードD1〜D6は各コイルCの通電を停止した際に該エネルギーに起因して発生する逆起電力によって周辺部品に悪影響を及ぼさないようにするために配設されるものである。このように、本車両用駆動装置1は、一つの周波数変換部11で、複数の単相回転電機2A〜2Cを、あたかも1つの3相回転電機として3相駆動する。
【0049】
上述のトランジスタQ1〜Q6に対する一連の制御は、制御部10により行われる。制御部10は、ECU10aとドライバ10bとから構成される。ECU10aは、トランジスタQ1〜Q6をPWM(Pulse Width Modulation)制御により動作させる。PWM制御に関しては、公知であるため説明は省略する。単相回転電機2Aの近傍には、ロータRの回転角を検出する回転角検出部13が備えられる。ここで、各単相回転電機2A〜2Cは、組み付け時に各相の位相が120度毎になるように配設される。このため、回転角検出部13は全ての単相回転電機2A〜2Cに配設する必要がない。したがって、本実施形態では、単相回転電機2Aの近傍にのみ配設される。回転角検出部13から出力される検出信号は、ECU10aに伝達される。
【0050】
ECU10aは、回転角検出部13から出力される検出信号と、周波数変換部11及び各コイルCの間の電流とをモニタしている。ここで、ECU10aの駆動方式によっては、電流をモニタするのではなく、電圧をモニタする構成であっても良い。
【0051】
ECU10aは、例えば、2.5Vや3.3V等の低電圧で動作するマイクロコンピュータによって構成される。そのため、トランジスタQ1〜Q6に流れる電流やトランジスタQ1〜Q6の電気的特性によっては、トランジスタQ1〜Q6をオンさせるためのドライブ能力が不足する虞がある。したがって、ECU10aと周波数変換部11との間には、ECU10aから出力されるPWM信号のドライブ能力を上げるドライバ10bが配設されている。このドライバ10bは、ドライバICで構成しても良いし、トランジスタで構成されたプッシュプル回路で構成しても良い。
【0052】
また、上述のようにバッテリB1は、例えば270V以上の電圧を出力する。一方、ECU10aは、2.5Vや3.3V等の低電圧で動作するマイクロコンピュータによって構成される。したがって、バッテリB1からの出力電圧を直接ECU10aに印加すると絶縁破壊されるため、降圧部12で所定の電圧(例えば1.5Vや3.3V)に降圧した後にECU10aに印加される。また、周波数変換部11の前段にはコンデンサ20が配設される。このコンデンサ20は、バッテリB1の出力に重畳するリップル成分の除去を行う。
【0053】
ここで、単相回転電機2A〜2Cは、バッテリB1から供給される電力に基づき回転する場合には、モータとして機能する。一方、エンジン1からの出力に基づき回転する場合には、ジェネレータとして機能する。ダイオードD1〜D6は、単相回転電機2A〜2Cがジェネレータとして機能する場合には、コンデンサ20と共に、ブリッジ整流回路を構成する。単相回転電機2A〜2Cがジェネレータとして機能する際に、例えば、単相回転電機2AのコイルCから単相回転電機2BのコイルCに流れていた電流により蓄えられたエネルギーを取り出す場合には、単相回転電機2AのコイルC、ダイオードD1、コンデンサ20、ダイオードD4、単相回転電機2BのコイルCを介して、電流が流れることで、コンデンサ20に当該電流に応じた電気エネルギーが蓄えられる。そして、単相回転電機2A〜2Cの回転に応じて、他のコイルCからもコンデンサ20に電気エネルギーが蓄えられる。この電気エネルギーは、バッテリB1を充電することで回生される。
【0054】
このように車両用駆動装置100を構成することにより、高速運転している回転電機2の回転動力を変速機5の入力軸A2に伝達することが可能となる。また、車両用駆動装置100として要求される出力を複数の回転電機2に分散して配設されるため、1つあたりの回転電機2のサイズを小さくすることができる。このため、各種のエンジン1及び変速機5に組み合わせに拘らず、回転電機2を配設するスペースに制約がある場合であっても、容易に配設することができる。したがって、回転電機2をエンジン1及び変速機5に拘らず共通化することができるため、低コストで車両用駆動装置100を実現できる。
【0055】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、単相回転電機2のステータSには、当該ステータSに発生する制御磁束を流れ易くして、トルクリップルを滑らかにするために、コイルCが巻き回されていない領域に補極Eが形成されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。図8に示される単相回転電機のように、補極Eを備えない構成とすることも当然に可能である。このような構成とすれば、ステータSを構成する材料を少なくすることができることから、コストダウンが可能である。また、特異な形状をしていないことから、ステータSを容易に作製することができる。
【0056】
上記実施形態では、回転電機2が複数備えられ、当該複数の回転電機2が、3相結線された3つの単相回転電機2A〜2Cからなるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、複数の回転電機2を、複数の3相回転電機2A〜2Cから構成することも可能である。このような3相回転電機2の概略構造を図9に示す。3相回転電機2は、ステータSにU相コイルCU、V相コイルCV、W相コイルCWが巻き回される。そして、制御部10により、各相コイルCU、CV、CWに通電され発生する電磁力と永久磁石PMとの間で発生する引力又は斥力に基づいてロータRが回転軸を中心に回転可能とされる。
【0057】
そして、例えば、このような複数の3相回転電機2A〜2Cの接続端子を、同相毎に並列接続して形成すると好適である。このような並列接続の形態を図10に示す。図10に示されるように、夫々の3相回転電機2A〜2CのU相の端子は並列に接続され、接続端子50のU相端子にまとめられる。また、夫々の3相回転電機2A〜2CのV相の端子は並列に接続され、接続端子50のV相端子にまとめられる。そして、夫々の3相回転電機2A〜2CのW相の端子は並列に接続され、接続端子50のW相端子にまとめられる。このように結線された3つの3相回転電機2A〜2Cは、図11に示されるように結線されることとなる。このように接続することにより、各3相回転電機2A〜2Cに設けられる接続端子を夫々1組のみとすることが可能となる。したがって、部材費のコストダウンが可能なる。
【0058】
或いは、例えば、このような複数の3相回転電機2A〜2Cの接続端子を、同相毎に直列接続して形成することも可能である。このような直列接続の形態を図12に示す。図12に示されるように、夫々の3相回転電機2A〜2CのU相の端子は直列に接続され、接続端子50のU相端子にまとめられる。また、夫々の3相回転電機2A〜2CのV相の端子は直列に接続され、接続端子50のV相端子にまとめられる。そして、夫々の3相回転電機2A〜2CのW相の端子は直列に接続され、接続端子50のW相端子にまとめられる。また、接続端子50が接続されていない側の3相回転電機2に電気的に中性な中性点で共通に接続され、中性点処理結線51として機能する。このように結線された3つの3相回転電機2A〜2Cは、図13に示されるように結線されることとなる。このように接続することにより、各3相回転電機2A〜2Cの各相コイルCに通電される電流は等しくなるため、各3相回転電機2A〜2Cの個体差によりコイルCのインピーダンスにばらつきがある場合であっても、各3相回転電機2A〜2Cを適切に回転制御することが可能となる。
【0059】
上記実施形態では、複数の回転電機2として、3つの回転電機2A〜2Cが備えられる場合の例として説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、図14に示されるように6つの回転電機2A〜2Fで構成することも可能である。係る場合には、回転電機2A〜2Cで一対のU相、V相、W相とし、2D〜2Fでもう一対のU相、V相、W相とすると好適である。そして、各回転電機は、図14に示されるように、60度毎に均等に配設すると好適である。
【0060】
上記実施形態では、減速機4の構成として、第1のギヤ4Aと第2のギヤ4Bとが一列に整列している場合の例として図示した(図2参照)。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。図15に示されるように、第1のギヤ4Aを内歯車として構成することも可能である。このような構成であっても、適切に回転電機2の回転速度を減速して変速機4の入力軸A2の伝達することが可能である。
【0061】
上記実施形態では、周波数変換部11はトランジスタQ1〜Q6により構成されるとして説明した。このトランジスタQ1〜Q6は、バイポーラトランジスタとすることも可能であるし、MOS−FETやIGBTとすることも当然に可能である。
【0062】
上記実施形態では、回転電機2として単相回転電機或いは3相回転電機が用いられるとして説明した。これらの回転電機2は、同期式回転電機であっても誘導式回転電機であっても、車両用駆動装置100を実現することは当然に可能である。特に、単相誘導式回転電機を用いる場合には、ステータS側にコイルCに発生する磁界の発生を遅らせるために例えば隈取りコイルを設けると好適である。
【0063】
また、複数の回転電機2を同期式回転電機と誘導式回転電機とを任意に組み合わせることも可能である。このように、同期式回転電機と誘導式回転電機とを組み合わせる場合には、各回転電機2を直列接続して使用すると好適である。また、係る場合には、ロータRの回転角を検出する回転角検出部13は、同期式回転電機のみ検出するだけでよく、誘導式回転電機の回転角の検出は特に要しない。誘導式回転電機の能力をあげて使用する場合には、回転角の検出を行うことも可能である。
【0064】
また、複数の回転電機2は、性能の異なる回転電機2を任意に組み合わせて使用することも可能である。このような場合には、回転電機2毎に専用の周波数変換部11を備える構成とすると好適である。このような構成とすれば、性能の異なる回転電機2を備えているため、互いの性能を補完して使用することができる。したがって、車両用駆動装置100としての性能を向上させることが可能となる。
【0065】
上記実施形態では、回転電機2は、バッテリB1から供給される電力に基づき回転制御されるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、バッテリB1の出力電圧を高くするためにバッテリB1と周波数変換部11との間に、電圧変換部を備えるように構成しても良い。このような電圧変換部として、コイルとトランジスタとダイオードとコンデンサとから昇圧機能を有するDC/DCコンバータ(昇圧チョッパー回路)を構成すると好適である。また、上述の電圧変換部に、回転電機2により発電された電力をバッテリB1の充電に適した電圧に降圧する機能を備えるように構成することも可能である。このような場合には、コイルとトランジスタとダイオードとコンデンサとから降圧機能を有するDC/DCコンバータ(降圧チョッパー回路)を構成すると好適である。もちろん、上述の昇圧チョッパー回路及び降圧チョッパー回路は、トランスを用いて構成することも当然に可能である。
【0066】
上記実施形態では、減速機4が、変速機5の入力軸A2に設けられた第1のギヤ4Aと回転電機2の回転軸21に設けられた第2のギヤ4B〜4Dとを歯合して形成され、第1のギヤ4Aの歯数が、第2のギヤ4B〜4Dの歯数よりも多く形成されてあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、減速機4を第1のギヤ4Aと第2のギヤ4B〜4Dとの間に他のギヤを設けるような、合計3つ以上のギヤから構成することも可能である。係る場合には、他のギヤの構成により、第1のギヤ4Aの歯数を、第2のギヤ4B〜4Dの歯数よりも少なく形成することも可能である。
【0067】
上記実施形態では、回転電機2が複数備えられ、当該複数の回転電機2が、変速機5の入力軸A2の同心円上に配設されてあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、回転電機2は1つであっても良い。また、複数の回転電機2を備える場合には入力軸A2の同心円上に配設せずに構成することも当然に可能である。
【0068】
上記実施形態では、直流電圧を交流電圧に変換する周波数変換部11が備えられ、一つの周波数変換部11で複数の回転電機2を制御するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。例えば、周波数変換部11を複数備えるような構成とすることも可能である。
【0069】
上記実施形態では、複数の回転電機2が、変速機4の入力軸A2の周方向に沿って均等間隔で配設されてあるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。即ち、均等間隔で配設しない構成とすることも当然に可能である。
【0070】
上記実施形態では、エンジン1と回転電機2との間に伝達クラッチ3を備えた構成として説明した。しかしながら、本発明の適用範囲は、これに限定されるものではない。当該伝達クラッチ3を備えない構成とすることも可能であるし、当該伝達クラッチ3とエンジン1との間にダンパを設けた構成とすることも当然に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】車両用駆動装置の概略構成を示す模式図
【図2】入力軸の軸方向展開断面を示す図
【図3】図2におけるIII−III断面を示す図
【図4】単相回転電機の概略構造を示す図
【図5】3つの単相回転電機を1つの3相回転電機として3相駆動する場合の結線について示す図
【図6】3つの単相回転電機によるY結線を示す図
【図7】制御部、周波数制御部、及び単相回転電機の接続を示す図
【図8】補極を備えない単相回転電機の概略構成を示す図
【図9】3相回転電機の概略構造を示す図
【図10】3つの3相回転電機の各相を並列接続した場合の接続形態を示す図
【図11】3つの3相回転電機の各相を並列接続した場合の接続形態を模式的に示す図
【図12】3つの3相回転電機の各相を直列接続した場合の接続形態を示す図
【図13】3つの3相回転電機の各相を直列接続した場合の接続形態を模式的に示す図
【図14】6つの回転電機を用いた場合の例について示す図
【図15】他の実施形態に係る減速機の構成を示す図
【符号の説明】
【0072】
1:エンジン
2:回転電機
3:伝達クラッチ
4:減速機
5:変速機
6:車輪
7:出力部材
8:ディファレンシャル装置
10:制御部
11:周波数変換部
12:降圧部
21:回転軸
A1:出力軸
A2:入力部材
B1:バッテリ
100:車両用駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を駆動する回転動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの出力軸と連結可能な入力軸を有し、当該入力軸の回転速度を変速して出力部材に伝達する変速機と、
前記変速機の入力軸の軸心と異なる軸心からなる回転軸を有する回転電機と、
前記回転電機の回転軸の回転速度を減速して前記変速機の入力軸に伝達する減速機と、
を備える車両用駆動装置。
【請求項2】
前記減速機が、前記変速機の入力軸に設けられた第1のギヤと前記回転電機の回転軸に設けられた第2のギヤとを歯合して形成され、
前記第1のギヤの歯数が、前記第2のギヤの歯数よりも多く形成されてある請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記回転電機が複数備えられ、
当該複数の回転電機が、前記変速機の入力軸の同心円上に配設されてある請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
直流電圧を交流電圧に変換する周波数変換部が備えられ、
一つの前記周波数変換部で前記複数の回転電機を制御する請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記複数の回転電機が、3相結線された3つの単相回転電機からなる請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記複数の回転電機が3相回転電機からなり、前記複数の回転電機の接続端子が、同相毎に並列接続又は直列接続されてある請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
前記複数の回転電機が、前記変速機の入力軸の周方向に沿って均等間隔で配設されてある請求項3から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−70050(P2010−70050A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239693(P2008−239693)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】