説明

車載機器、情報通信システム、車載機器の制御方法およびプログラム

【課題】車両運転の安全性をできるだけ阻害することなく電子メールの内容をドライバーに通知可能な車載機器等を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の車載機器10は、電子メール機能を有する携帯機器30と通信を行う通信手段110と、携帯機器30から、当該携帯機器30が受信した電子メールを取得する電子メール取得手段120と、取得された電子メールの本文の出力長さであるメール出力長を算出するメール出力長算出手段150と、目的地を設定する目的地設定手段180と、メール出力長算出手段150により算出されたメール出力長と、目的地設定手段180により設定された目的地に対応する所定の条件と、に応じて、電子メールの本文を、表示または音声出力する本文出力手段220と、を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールの取得機能を有する車載機器、情報通信システム、車載機器の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子メールを受信する手段と、当該電子メールの着信をドライバーに通知する手段と、を有する車載機器が知られている(例えば、特許文献1)。当該特許文献1に記載の車載機器は、車両が先行車両に接近しているときに着信通知を行うと、ドライバーが着信通知に気を取られて車両運転の安全面に影響を及ぼす虞があるため、そのような場合には、ドライバーへの着信通知を制限するようになっている。
【特許文献1】特開2005−1533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、電子メールを取得可能な車載機器において、電子メールの本文を表示または音声出力する(読み上げる)機能が搭載されたものも知られている。しかしながら、電子メールが長文の場合など、電子メールの本文をそのまま出力すると、車両運転の安全面に影響を及ぼすため好ましくない。このように車載機器においては、電子メールの着信やその内容をドライバーに通知する際に、安全面への配慮が不可欠であるが、本文出力については、未だ具体的な対策が為されていない。
【0004】
本発明は、上記の問題点に鑑みたものであり、車両運転の安全性をできるだけ阻害することなく電子メールの内容をドライバーに通知可能な車載機器、情報通信システム、車載機器の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車載機器は、電子メールを取得する電子メール取得手段と、取得された電子メールの本文の出力長さであるメール出力長を算出するメール出力長算出手段と、目的地を設定する目的地設定手段と、メール出力長算出手段により算出されたメール出力長と、目的地設定手段により設定された目的地に対応する所定の条件と、に応じて、電子メールの本文を、表示または音声出力する本文出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
本発明の車載機器の制御方法は、電子メールの取得機能を有する車載機器の制御方法であって、車載機器が、電子メールを取得する電子メール取得ステップと、取得された電子メールの本文の出力長さであるメール出力長を算出するメール出力長算出ステップと、目的地を設定する目的地設定ステップと、メール出力長算出ステップにより算出されたメール出力長と、目的地設定ステップにより設定された目的地に対応する所定の条件と、に応じて、電子メールの本文を、表示または音声出力する本文出力ステップと、を実行することを特徴とする。
【0007】
これらの構成によれば、メール出力長の算出結果や目的地に対応する所定の条件(すなわち、設定された目的地に応じて定まる条件)に応じて、電子メールの本文を表示または音声出力するため、車両運転の安全面への影響を少なくすることができる。例えば、メール出力長が長い場合は、ドライバーがその内容を確認するために要する時間が極力短くなるように、電子メールの本文を表示または音声出力しても良い。また、目的地が近い場合は、目的地への到着を待って、電子メールの本文を表示または音声出力しても良い。
なお、「電子メール取得手段(電子メール取得ステップ)」は、電子メール機能を有する外部装置(携帯電話など)からの転送により電子メールを取得しても良いし、電子メールを直接受信することにより電子メールを取得しても良い。
また、「メール出力長(電子メールの本文の出力長さ)」とは、電子メールの本文を表示するために要する表示領域の大きさまたは表示時間、若しくは電子メールの本文を音声出力するために要する出力時間を指すものである。なお、これら表示領域の大きさや出力時間は、電子メールに含まれる文字数、データ量、添付ファイルの有無等をパラメータとした所定のアルゴリズムによって算出可能である。
また、「メール出力長と所定の条件に応じて、電子メールの本文を表示または音声出力する」とは、メール出力長と所定の条件に応じて、出力の有無、出力対象の制限、出力速度、出力形態を変化させることを意味する。また、出力形態としては、出力順序、出力サイズ(表示の場合)、文字装飾(表示の場合)、出力音量(音声出力の場合)、出力音声(音声出力の場合)を変化させても良い。
また、「車載機器」とは、車両に固定して設けられる機器だけでなく、車両に着脱可能に設けられる機器(ポータブル型車載機器)も含む概念である。
【0008】
上記に記載の車載機器において、現在位置から、設定された目的地までの車両走行に要する所要時間を算出する所要時間算出手段をさらに備え、所定の条件は、所要時間算出手段により算出された所要時間であることを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、メール出力長と、目的地までの所要時間と、に応じて、効率的に電子メールの本文を出力することができる。例えば、電子メールの本文を所要時間内に出力できるように出力速度を決定することで、目的地に到着したにも関わらず、電子メールの本文の出力を確認し続けなければならないといった煩わしさを解消することができる。
なお、設定された目的地までの走行ルートが複数存在する場合は、走行ルートの設定(選択)をドライバーに促し、設定された走行ルートに応じて所要時間を算出することが好ましい。この構成によれば、より正確な所要時間を算出することができる。
【0010】
上記に記載の車載機器において、設定された目的地までの経路誘導を行う経路誘導手段をさらに備え、経路誘導手段は、誘導案内情報を所定の出力タイミングで表示または音声出力する誘導案内情報出力手段を含み、所定の条件は、誘導案内情報の出力タイミングであることを特徴とする。
【0011】
上記に記載の車載機器において、本文出力手段は、電子メールの本文の出力が、誘導案内情報の出力タイミングと重複する場合、電子メールの本文の出力を、誘導案内情報の出力の前、または後に行うことを特徴とする。
【0012】
これらの構成によれば、メール出力長と、誘導案内情報の出力タイミングと、に応じて、電子メールの本文を出力することで、互いの情報出力に影響を与えないようにすることができる。例えば、電子メールの本文の出力が、誘導案内情報の出力タイミングと重複する場合、電子メールの本文の出力を、誘導案内情報の出力の前、または後に行うことで、出力タイミングの重複によって両情報をドライバーが正確に確認できないといった不具合を解消することができる。また、誘導案内情報の出力タイミングは、変更できない場合が多いため、電子メールの本文の出力タイミングを調整することで、不正確な(違和感のある)誘導案内情報の出力も防止できる。
なお、「誘導案内情報」とは、「300メートル先右折です。」、「まもなく右方向です。」などのルート案内情報、「3時です。」などの時刻案内情報、および「300メートル先に渋滞が発生しています。」などの交通情報を含むものである。
また、「誘導案内情報の出力タイミング」は、車両走行中における渋滞状況や車両走行速度に応じて、随時編集されることが好ましい。この構成によれば、不正確な誘導案内情報の出力を防止できる。また、「出力タイミング」の編集に代えて、「誘導案内情報」を編集しても良い。例えば、所定のタイミング(所定時刻)に誘導案内情報「300メートル先右折です。」を出力する予定の場合であって、渋滞によって所定時刻までに右折ポイントに到達できなかった場合、誘導案内情報を「500メートル先右折です。」に編集することで対応可能である。
【0013】
上記に記載の車載機器において、本文出力手段は、目的地に到着するまでに、電子メールの本文の出力が完了しない場合、当該電子メールの出力完了部分以外の残りの部分について、目的地の到着後に、表示または音声出力することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、目的地に到着するまでに、電子メールの本文の出力が全て完了しない場合は、目的地到着後に、残りの部分の出力を継続することができる。
なお、「目的地に到着するまでに、電子メールの本文の出力が完了するか」については、目的地設定時に判別しても良いし、目的地までの所要時間や誘導案内情報の出力タイミングを考慮しつつ、所定のタイミングで(定期的に、または誘導案内情報の出力後などに)判別しても良い。
また、目的地に到着した後の「電子メールの残りの部分」の出力については、安全面への配慮が不要であるため、表示および音声出力の両方によって行うなど、ドライバーがより迅速且つ正確に確認できることを重視して出力されることが好ましい。また、ドライバーの都合に応じて、早送り出力などを指示できるようにしても良い。
【0015】
上記に記載の車載機器において、本文出力手段は、電子メールの残りの部分を出力する場合、当該残りの部分の最初の文字が属する文章の先頭、または当該残りの部分の最初の文字が属する段落の先頭から、出力を開始することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、目的地に到着して、「電子メールの残りの部分」をドライバーが確認する場合、文章の途中や段落の途中から出力されると違和感があったり正確に内容を理解できない場合があったりするため、そのような不具合を無くすことができる。
【0017】
上記に記載の車載機器において、電子メール機能を有する携帯機器と通信を行う通信手段をさらに備え、電子メール取得手段は、携帯機器から、当該携帯機器が受信した電子メールを取得することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、携帯機器との連係により、電子メール受信機能を有しない車載機器でも、本発明を適用できる。
【0019】
上記に記載の車載機器において、通信手段は、本文出力手段により出力された電子メールのメールIDを示す出力完了情報を、携帯機器に送信し、出力完了情報は、携帯電話が、当該出力完了情報の受信に伴って、メールIDに該当する電子メールを既読状態とするための情報であることを特徴とする。
【0020】
上記に記載の車載機器において、出力完了情報は、メールIDに該当する電子メールの出力完了部分を既読状態とするための情報であることを特徴とする。
【0021】
これらの構成によれば、携帯電話側において、車載機器で出力が完了した出力完了部分を既読状態とすることができるため、既読の電子メール、またその既読部分をドライバーが把握することができる。これにより、車載機器側で既読しているにも関わらず、携帯機器側で再度同じ電子メールを確認するといった煩わしさを無くすことができる。
また、携帯機器側において、本文全体を出力完了している電子メールについては、出力完了情報(電子メールID)の受信に伴って、該当する電子メール自体を既読状態とする(既読処理を行う)ため、携帯機器側で、未読メールを既読状態とするための手間を省くことができる。
【0022】
上記に記載の車載機器において、電子メールの重要度を判別する重要度判別手段をさらに備え、本文出力手段は、メール出力長と、所定の条件と、重要度判別手段により判別された重要度と、に応じて、電子メールの本文を、表示または音声出力することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、電子メールの重要度に見合った、表示または音声出力を行うことができる。
【0024】
上記に記載の車載機器において、重要度判別手段は、電子メールに付加された優先度フラグ、発信者のアドレス、開封確認の有無のうち、少なくとも1の情報に基づいて、電子メールの重要度を判別することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、電子メールに付加された優先度フラグ、発信者のアドレス、開封確認の有無等に基づいて、容易に重要度を判別することができる。
なお、「発信者のアドレス」については、アドレスに所定の文字列が含まれるものを重要度大と判別しても良いし、携帯機器または車載機器内に格納されている電話帳に保存されているか否かに応じて重要度を判別しても良い。
【0026】
上記に記載の車載機器において、算出されたメール出力長が、所定の出力長さを超えるか否かを判別するメール出力長判別手段をさらに備え、本文出力手段は、メール出力長が所定の出力長さを超える場合、電子メールの本文の先頭部分のみ、表示または音声出力することを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、先頭部分のみの出力によって出力に要する時間を短くできるため、車両運転の安全面への影響を少なくすることができる。また、先頭部分は、電子メール本文の重要な内容(要旨)が記載されていることが多いため、先頭部分のみの出力でも、電子メールの内容をドライバーに通知するといった機能を損ねることがない。
なお、「先頭部分」とは、電子メールの先頭から所定の出力長さ分であっても良いし、電子メールの本文を前半、後半に分割した時の前半部(本文全体の1/2)など、所定割合であっても良い。
【0028】
上記に記載の車載機器において、電子メールの本文の先頭部分以外の残りの部分について、出力を指示する出力指示手段をさらに備え、本文出力手段は、出力指示手段による指示があった場合、残りの部分を、表示または音声出力することを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、電子メールの内容によっては、先頭部分だけでなく全体を確認したい場合もあるため、そのような場合に便利である。
【0030】
本発明の情報通信システムは、上記に記載の車載機器と、携帯機器と、から成ることを特徴とする。
【0031】
本発明のプログラムは、コンピュータに、上記に記載の車載機器の制御方法における各ステップを実行させるためのものであることを特徴とする。
【0032】
これらの構成によれば、車両運転の安全性をできるだけ阻害することなく電子メールの内容をドライバーに通知可能な情報通信システムおよびプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の一実施形態に係る車載機器、情報通信システム、車載機器の通信制御方法およびプログラムについて説明する。本実施形態では、車載機器として、携帯機器(例えば、携帯電話)との通信機能(特に、電子メール取得機能)およびカーナビゲーション機能を有する情報機器を例示する。
【0034】
図1は、車載機器10の制御ブロック図である。同図に示すように、車載機器10は、GPS(Global Positioning System)受信機11、アンテナ12、自立航法センサ13、ディスプレイ14、タッチパネル15、スピーカー16、マイク18、通信部19、制御部20、地図データベース25、登録データベース26および接続バス27を備えている。
【0035】
GPS(Global Positioning System)受信機11は、アンテナ12を介してGPS情報(位置情報および時刻情報を含む)を受信する。自立航法センサ13は、角度センサおよび距離センサから成り(いずれも、図示省略)、GPS受信機11との組み合わせにより、車両の現在位置を特定するために利用される。ディスプレイ14は、必要に応じて各種操作画面(図3参照)を表示すると共に、経路誘導時には誘導案内情報を表示する。また、電子メールの内容(タイトル、受信日時、送信元に関する情報、並びに電子メールの本文)を表示するためにも用いられる。タッチパネル15は、ディスプレイ14に重畳配置されたマトリクススイッチにより構成され、指等の接触を検出する。本実施形態では、主に上記の各種操作画面に対する操作を行うために用いられる。スピーカー16は、電子メールを着信した旨、並びにその本文を、ユーザ(ドライバー)に対して音声により通知する。また、必要に応じて各種音声確認(ユーザに対して選択や確認を促すための音声案内)を行うと共に、経路誘導時には音声による誘導案内情報を出力する。
【0036】
マイク18は、ハンズフリーで各種操作を行うものであり、タッチパネル15と同様、選択操作等に用いられる。また、マイク18は、携帯機器30が携帯電話の場合、ハンズフリー通話を行うためにも用いられる。通信部19は、携帯機器30と近距離無線通信や赤外線通信を行う。本実施形態では、主に電子メールを取得するために用いられる。なお、通信部19は、これら非接触通信ではなく、バス接続などの有線通信を採用しても良い。
【0037】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23および音声処理部24から成る。CPU21は、中央処理装置であり、各種演算処理を行う。なお、特に図示しないが、CPU21は、現在時刻を計時するタイマを有している。ROM22は、CPU21が各種演算処理を行うための制御プログラムを記憶し、RAM23は、CPU21が各種演算処理を行う際のワークエリアとして用いられる。
【0038】
音声処理部24は、電子メールの本文を読み上げるための音声情報の生成処理、当該音声情報と誘導案内情報との合成処理等を行う。また、音声処理部24は、話速変換ユニット24aを有しており、電子メールの本文の出力長さ(以下、「メール出力長」と称する)等に応じて、電子メールの読み上げ速度(出力速度)を決定する。音声処理部24による具体的な処理については、後述する。なお、以下の説明では、通常の読み上げ速度で読み上げるモードを「通常読み上げモード」、通常の読み上げ速度よりも速い読み上げ速度で読み上げるモードを「高速読み上げモード」と称する。音声処理部24(話速変換ユニット24a)は、CPU21によるこれら読み上げモードの設定に応じて、読み上げ速度を決定する(変換する)ものとする。
【0039】
地図データベース25は、経路案内を行うための地図データを不揮発に記憶する。登録データベース26は、地点登録された地点登録情報や、各種設定・登録情報を記憶する。本実施形態の車載機器10は、CPU21が上記の読み上げモードを設定するための基準値や、電子メールの本文の読み上げに関しどのようなアルゴリズムを採用するか等について設定可能であるが(詳細については後述する)、そのような各種メール設定の設定値についても、当該登録データベース26に登録される。
【0040】
次に、図2を参照し、車載機器10および携帯機器30から成る情報通信システムSYの機能構成について説明する。携帯機器30は、主な機能構成として、電子メール手段310および通信手段320を有している。
【0041】
電子メール手段310は、携帯機器30が電子メール機能を実現するための手段であり、電子メール受信手段、電子メール生成手段および電子メール送信手段を含む。また、電子メール手段310は、受信した電子メールに対して、各電子メールを識別するためのメールIDを付与するメールID付与手段も含む。通信手段320は、車載機器10との情報の入出力(送受信)を行うためのものであり、本実施形態では、主に電子メールの転送や出力完了情報(出力した電子メールのメールIDと、その出力完了部分と、を示す情報)の受信に用いられる。携帯機器30は、車載機器10から出力完了情報を受信すると、電子メール手段310により既読処理を行う。具体的には、メールIDにより特定される電子メールの出力完了部分を既読状態とする(既読部分と未読部分とを識別可能に表示する)。また、電子メール全体の出力が完了している場合は、その電子メール自体を既読状態とする(未読メールとしての取り扱いを中止する)。
【0042】
一方、車載機器10は、主な機能構成として、通信手段110、電子メール取得手段120、メール設定手段130、出力指示手段140、メール出力長算出手段150、メール出力長判別手段160および本文出力手段170を有している。
【0043】
通信手段110は、携帯機器30との情報の入出力を行うためのものである。また、電子メール取得手段120は、通信手段110を介して、携帯機器30から、当該携帯機器30が受信した電子メールを取得するものである。なお、これら通信手段110および電子メール取得手段120は、通信部19を主要構成要素とする。
【0044】
メール設定手段130は、メール出力長判別手段160により判別を行う際の基準値、並びに本文出力手段170によりどのようなアルゴリズムで電子メールの本文を読み上げるか、について設定するものであり、制御部20、ディスプレイ14、タッチパネル15、スピーカー16およびマイク18を主要構成要素とする。つまり、メール設定手段130は、基準値やアルゴリズムの設定をユーザに促す画面をディスプレイ14上に表示しても良いし、当該設定を促す音声案内をスピーカー16から出力しても良い。一方、ユーザは、タッチパネル15またはマイク18を用いて設定操作を行うことができる。なお、メール設定手段130による設定値は、登録データベース26に登録される。
【0045】
ここで、メール設定手段130による設定内容について具体的に説明する。「メール出力長判別手段160により判別を行う際の基準値」とは、高速読み上げ(図5(a)参照)や部分読み上げ(図5(b)参照)が採用される電子メール本文の最低出力長さ(所定の出力長さ)を指すものであり、メール出力長が当該所定の出力長さ以下の場合は、通常速度且つ本文全体の読み上げが行われる。なお、「メール出力長(電子メールの本文の出力長さ)」とは、電子メールの本文を表示する際に要する表示領域の大きさまたは表示時間、若しくは電子メールの本文を音声出力する際に要する出力時間を指す。また、これら表示領域の大きさや出力時間は、電子メールに含まれる文字数(絵文字や記号などのキャラクタ、並びに添付ファイルに含まれる文字を含んでも良い)、データ量、添付ファイルの有無等をパラメータとした所定のアルゴリズムによって算出可能である。
【0046】
一方、「アルゴリズム」とは、メール出力長が所定の出力長さを超える場合、通常の出力速度よりも速い出力速度で出力する第1アルゴリズム、メール出力長が所定の出力長さを超える場合、当該本文の先頭部分のみを出力する第2アルゴリズム等を指す。本実施形態(第1実施形態)では、これら2つのアルゴリズムのうち、いずれかを選択可能となっている(第1読み上げ処理:図5(a)参照,第2読み上げ処理:図5(b)参照)。なお、第2実施形態以降において、他の読み上げアルゴリズム(読み上げ処理)を例示するが、メール設定手段130において、それらを含む3つ以上のアルゴリズムの中から、いずれか1のアルゴリズムを設定可能としても良い。
【0047】
出力指示手段140は、メール設定手段130により第2アルゴリズムが設定された場合であって、電子メールの本文の先頭部分のみ出力された場合、電子メールの本文の残りの部分についての出力を指示するものであり、ディスプレイ14およびタッチパネル15を主要構成要素とする。図3は、その指示画面の一例を示す図である。ユーザは、ディスプレイ14に表示された2つのアイコン51,52のうちいずれかにタッチすることにより、電子メールの本文の残りの部分を出力するか(読み上げるか)否かを選択する。なお、出力指示手段140は、先頭部分の読み上げ後ではなく、環境設定等において、予め設定しておくことも可能である。この場合、「残りの部分を出力する」と設定されている場合は、メール出力長に関わらず、電子メールの本文全体が出力対象となる。
【0048】
なお、出力指示手段140による出力の指示は音声によるガイダンス、及びユーザの声による指示による構成としても良い。すなわち、この場合は電子メールの残りの部分を読み上げるか否かを音声でガイダンスし、ユーザの「はい」、「いいえ」の声による指示で残りの部分を読み上げるかどうかの判断を行う。この場合、出力指示手段140は、スピーカー16とマイク18を主要構成要素とする。
【0049】
メール出力長算出手段150は、電子メール取得手段120により取得されたメール出力長を算出するものであり、メール出力長判別手段160は、メール出力長算出手段150により算出されたメール出力長(例えば音声出力の場合、「60秒」など)が、メール設定手段130により設定された所定の出力長さ以上であるか否かを判別するものである。これら、メール出力長算出手段150およびメール出力長判別手段160は、いずれも制御部20を主要構成要素とする。また、本文出力手段170は、メール出力長判別手段160の判別結果に応じて、電子メールの本文を、表示または音声出力するものであり、制御部20、ディスプレイ14およびスピーカー16を主要構成要素とする。
【0050】
また、本文出力手段170は、メール設定手段130により設定されたアルゴリズムにしたがって、電子メールの本文を出力する(第1読み上げ処理または第2読み上げ処理を実行する)。さらに、メール設定手段130により第2アルゴリズムに設定された場合であって、出力指示手段140による指示があった場合は、電子メールの先頭部分以外の残りの部分について、表示または音声出力する。なお、本文出力手段170は、電子メールの本文を、ディスプレイ14および/またはスピーカー16を用いて出力可能であるが、以下の説明においては、スピーカー16による出力(音声出力)を中心に説明する。また、「音声出力する」ことを、適宜「読み上げる」と言い換える。
【0051】
次に、図4のシーケンス図を参照し、車載機器10および携帯機器30間における電子メール読み上げ処理の概要について説明する。同図に示すように、車載機器10は、携帯機器30から、電子メールが着信した旨を示す着信通知を取得すると(S01)、情報取得要求を携帯機器30に返信する(S02)。これに対し携帯機器30は、着信通知した電子メールのメールIDを通知し(S03)、その後電子メール(電子メールの本文を含む各種情報)を転送する(S04)。
【0052】
車載機器10は、電子メールを取得すると、読み上げ処理を実行し(S05)、当該読み上げ処理を終了したとき(若しくは、何らかの原因で読み上げ処理を中断したとき)、出力完了情報を携帯機器30に送信する(S06)。このとき、当該出力完了情報には、その電子メールのメールIDが付加されている。携帯機器30は、車載機器10から出力完了情報を取得すると、これに基づいて該当する電子メールの既読処理を行う(S07)。なお、何らかの原因で読み上げ処理を中断したときは、出力完了情報としては、その中断時点までの出力完了部分を既読状態とする内容となる。
【0053】
次に、図5のフローチャートを参照し、読み上げ処理について説明する。図5(a)は、第1アルゴリズムに基づく第1読み上げ処理を示し、同図(b)は、第2アルゴリズムに基づく第2読み上げ処理を示している。なお、本フローチャートでは、読み上げ処理(音声による出力)を前提としているため、高速読み上げや先頭部分の読み上げを行うための基準値(電子メール本文の所定の出力長さ)を、「基準時間」と称する。
【0054】
図5(a)に示すように、第1読み上げ処理では、まず、携帯機器30から転送された電子メールの本文を全て読み上げるために必要な読み上げ時間(x)を算出する(S11)。続いて、メモリ(登録データベース26)から基準時間(u)を取り出し(S12)、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超えるか否かについて判別する(S13)。ここで、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超える場合は(S13:Yes)、高速読み上げモードに設定して(S14)、電子メールの本文を読み上げる(S15)。一方、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超えない場合は(S13:No)、高速読み上げモードに設定することなく(通常読み上げモードで)、電子メールの本文を読み上げる(S15)。
【0055】
次に、第2読み上げ処理について説明する。第2読み上げ処理では、第1読み上げ処理と同様に、電子メールの読み上げ時間(x)を算出し(S21)、メモリ(登録データベース26)から基準時間(u)を取り出して(S22)、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超えるか否かについて判別する(S23)。ここで、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超えない場合は(S23:No)、通常読み上げモードで(通常速度で)、電子メールの本文を読み上げる(S24)。一方、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超える場合は(S23:Yes)、電子メールの先頭部分の規定文字数のみ通常速度で読み上げ(S25)、残りの部分を読み上げるか否かについて確認を促すための表示を行う(S26,図3参照)。ここで、残りの部分を読み上げるように指示が行われた場合は(S27:Yes)、残りの部分を通常速度で読み上げ(S28)、残りの部分を読み上げるように指示が行われなかった場合は(S27:No)、残りの部分を読み上げることなく、そのまま読み上げ処理を終了する。
【0056】
なお、図5(a)では、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超えるか否かに応じて、読み上げ速度を2段階で設定したが、複数の基準時間を設け、読み上げ速度をさらに多くの段階に分けて設定可能としても良い。
【0057】
また、図5(b)では、読み上げ時間(x)が基準時間(u)を超える場合、先頭部分の規定文字数のみ読み上げるものとしたが(S25参照)、メール設定手段130により、この規定文字数についても設定可能としても良い。また、規定文字数のみ読み上げるのではなく、電子メールの本文を前半、後半に分割した時の前半部(本文全体の1/2)など、所定割合だけ読み上げるようにしても良い。また、先頭部分のみ読み上げたときの違和感をなくすため、規定文字数内における文章の終わりまで(句点まで)しか読み上げないようにしても良いし、規定文字数の最後の文字が含まれる文章の終わりまで読み上げるようにしても良い。
【0058】
以上説明したとおり、第1実施形態によれば、ユーザの好みやニーズに応じて、電子メールの読み上げアルゴリズムを設定することができる。また、第1アルゴリズムを設定した場合は、メール出力長が所定の出力長さを超える場合、話速変換ユニット24aによる読み上げ速度の変換のみで、容易に出力に要する時間を短くすることができる。また、第2アルゴリズムを設定した場合は、メール出力長が長い場合でも、電子メール本文の重要な内容(要旨)が記載されていることが多い先頭部分を出力するため、短時間で且つ効率的に電子メールの内容をドライバーに通知することができる。また、先頭部分以外の残りの部分についても、ユーザの判断によって出力を指示できるため、使い勝手も良い。
【0059】
なお、メール出力長判別手段160の判別結果に加え、電子メールの重要度に応じて、電子メールの本文を読み上げるようにしても良い。この場合、図2に示した車載機器10の機能構成に、電子メールの重要度を判別する重要度判別手段(図示省略)を追加し、本文出力手段170は、メール出力長判別手段160の判別結果と、重要度判別手段により判別された電子メールの重要度と、に応じて、電子メールの本文を読み上げる。例えば、電子メールの重要度が高い場合は、第1読み上げ処理の場合、メール出力長が長い場合でも、通常の読み上げ速度で読み上げても良いし、第2読み上げ処理の場合、先頭部分の読み上げの際に、その旨(重要メールである旨)を通知するようにしても良い。この構成によれば、電子メールの重要度に見合った、表示または音声出力を行うことができる。
【0060】
なお、電子メールの重要度は、電子メールに付加された優先度フラグ、発信者のアドレス、開封確認の有無等の少なくとも1つの情報に基づいて判別可能である。例えば、「発信者のアドレス」については、アドレスに所定の文字列が含まれるものを重要度大と判別しても良いし、携帯機器30または車載機器10内に格納されている電話帳(アドレス帳)に、発信者のアドレスが保存されているか否かに応じて重要度を判別可能である。また、重要度の判別は、車載機器10側で、携帯機器30から送信された電子メールと共に、または電子メールの受信前後に取得したこれらの情報に基づいて判別しても良いし、携帯機器30側でこれらの情報に基づいて判別した判別結果を、車載機器10が取得しても良い。後者の場合、重要度判別手段は、携帯機器30から取得した判別結果に応じて、重要度を判別することとなる。
【0061】
また、本文出力手段170は、メール出力長判別手段160の判別結果ではなく、メール出力長算出手段150により算出されたメール出力長と、重要度判別手段により判別された当該電子メールの重要度と、に応じて、電子メールの本文を読み上げるようしても良い。つまり、メール出力長が所定の出力長さを超えるか否かではなく、メール出力長に比例した出力速度で電子メール本文を読み上げるなどの出力方法を採用しても良い。
【0062】
次に、図6および図7を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の第1実施形態では、メール出力長が所定の出力長さを超えるか否かの判別結果に応じて、電子メールの本文の読みあげを行ったが、本実施形態では、現在位置から目的地までの走行に要する所要時間に応じて、電子メールの本文の読み上げを行う点で異なる。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0063】
図6は、第2実施形態に係る情報通信システムSYの機能ブロック図である。携帯機器30の構成については、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。また、車載機器10についても、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、同一の参照番号を付して説明を省略する。
【0064】
第2実施形態の車載機器10は、主な機能構成として、通信手段110、電子メール取得手段120、メール出力長算出手段150、目的地設定手段180、経路誘導手段190、位置情報取得手段200、所要時間算出手段210および本文出力手段220を有している。
【0065】
目的地設定手段180は、車両走行の目的地を設定するものであり、制御部20および地図データベース25を主要構成要素とする。また、経路誘導手段190は、目的地設定手段180により設定された目的地までのルート探索および経路誘導(経路誘導表示および音声案内を含む)を行うものであり、自立航法センサ13、制御部20および地図データベース25を主要構成要素とする。また、位置情報取得手段200は、車両の現在位置を示す位置情報を取得するものであり、GPS受信機11を主要構成要素とする。経路誘導手段190は、位置情報取得手段200により取得した位置情報に基づいて、経路誘導を行う。
【0066】
所要時間算出手段210は、位置情報取得手段200により取得した位置情報に基づく現在位置から、目的地設定手段180により設定された目的地までの車両走行に要する所要時間を、経路誘導手段190によるルート探索結果に基づいて算出するものであり、制御部20を主要構成要素とする。なお、所要時間の算出アルゴリズムについては、既存の技術を適用可能である。また、設定された目的地までの走行ルートが複数存在する場合は、ユーザによる走行ルートの選択操作後に、所要時間を算出する。
【0067】
本文出力手段220は、メール出力長算出手段150により算出されたメール出力長(読み上げ時間)と、所要時間算出手段210により算出された所要時間と、に応じて、電子メールの本文を読み上げる。具体的には、電子メールの本文を、所要時間内に読み上げ終了できるように読み上げ速度を決定する。但し、走行速度や渋滞状況に応じて所要時間が変化したり、走行開始持の読み上げ速度では目的地到着までに読み上げを完了できなかったりする場合もあるため、定期的に読み上げ終了までの時間と目的地までの所要時間とを比較し、その比較結果に応じて、読み上げ速度を随時変更する。
【0068】
ここで、図7のフローチャートを参照し、第2実施形態に係る読み上げ処理の一例(第3読み上げ処理)を説明する。第3読み上げ処理では、電子メールの読み上げ時間(x)を算出し(S31)、さらに目的地までの所要時間(y)を算出する(S32)。ここで、読み上げ時間(x)が所要時間(y)を超えるか否かについて判別し(S33)、読み上げ時間(x)が所要時間(y)を超える場合は(S33:Yes)、高速読み上げモードに設定して(S34)、読み上げを開始する(S35)。一方、読み上げ時間(x)が所要時間(y)を超えない場合は(S33:No)、通常読み上げ速度で、読み上げを開始する(S35)。
【0069】
その後、一定期間ウェイトし(読み上げを継続し,S36)、目的地に到着したか否かを判別する(S37)。なお、ウェイトする期間は、CPU21内のタイマ(図示省略)によりカウントされる。目的地に到着した場合は(S37:Yes)、電子メールの本文の読み上げ完了部分以外の残りの部分について、読み上げを行うと共にディスプレイ14上に表示する(S38)。このように、目的地に到着した後は、安全面への配慮が不要であるため、表示および音声出力の両方で電子メールの出力を行うことで、ドライバーはより迅速且つ正確に電子メールの内容を確認することができる。なお、目的地に到着して、「電子メールの残りの部分」を出力する場合、当該残りの部分の最初の文字が属する文章の先頭、または当該残りの部分の最初の文字が属する段落の先頭から、出力を開始することが好ましい。この構成によれば、文章の途中から出力されることによる違和感や誤認識を無くすことができる。
【0070】
一方、目的地に到着していない場合は(S37:No)、読み上げ終了までの時間(x)を再算出する(S39)と共に、目的地までの所要時間(y)を再算出し(S40)、読み上げ終了までの時間(x)が所要時間(y)を超えるか否かについて判別する(S41)。ここで、読み上げ終了までの時間(x)が所要時間(y)を超える場合は(S41:Yes)、読み上げ速度を加速し(S42)、S36〜S41を繰り返す。また、読み上げ終了までの時間(x)が所要時間(y)を超えない場合は(S41:No)、読み上げが終了したか否かを判別し(S43)、読み上げが終了した場合は(S43:Yes)、読み上げ処理を終了する。一方、読み上げが終了していない場合は(S43:No)、S36〜S41を繰り返す。
【0071】
以上説明したとおり、第2実施形態によれば、算出されたメール出力長と、目的地までの所要時間と、に応じて、適切な読み上げ速度で電子メールの本文を読み上げることができる。これにより、目的地に到着したにも関わらず、電子メールの本文の出力を確認し続けなければならないといった煩わしさを解消することができる。
【0072】
次に、図8および図9を参照し、本発明の第3実施形態について説明する。上記の第2実施形態では、目的地までの走行に要する所要時間に応じて、電子メールの本文の読み上げを行ったが、本実施形態では、誘導案内情報の出力タイミング(ルート案内のタイミング)に応じて、電子メールの本文の読み上げを行う点で異なる。また、本実施形態では、読み上げ速度を変更しない点でも第2実施形態と異なる。以下、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0073】
図8は、第3実施形態に係る情報通信システムSYの機能ブロック図である。第3実施形態の車載機器10は、主な機能構成として、通信手段110、電子メール取得手段120、メール出力長算出手段150、目的地設定手段180、経路誘導手段240および本文出力手段250を有している。
【0074】
経路誘導手段240は、目的地設定手段180により設定された目的地までの経路誘導を行う点では第2実施形態と同様であるが、本実施形態の経路誘導手段240は、誘導案内情報を所定の出力タイミングで表示または音声出力する誘導案内情報出力手段241を含む。ここで、「誘導案内情報」とは、「300メートル先右折です。」、「まもなく右方向です。」などのルート案内情報、「3時です。」などの時刻案内情報、および「300メートル先に渋滞が発生しています。」などの交通情報を含むものである。以下、誘導案内情報の出力を、単に「ルート案内」と称する。なお、「ルート案内のタイミング」は、タイムテーブル化して記憶されている。このタイムテーブル(ルート案内のタイミング)は、車両走行中における渋滞状況や車両走行速度に応じて、随時編集されるようになっている。これにより、不正確なルート案内を防止できる。
【0075】
また、本文出力手段250は、メール出力長算出手段150により算出されたメール出力長と、誘導案内情報の出力タイミングと、に応じて、電子メールの本文を読み上げる。具体的には、電子メールの本文の出力が、誘導案内情報の出力タイミングと重複する場合、電子メールの本文の出力を、誘導案内情報の出力後に行う。
【0076】
ここで、図9のフローチャートを参照し、第3実施形態に係る読み上げ処理の一例(第4読み上げ処理)を説明する。第4読み上げ処理では、電子メールの読み上げ時間(x)を算出し(S51)、さらに次のルート案内までの時間(z)を算出する(S52)。ここで、読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超えるか否かについて判別し(S53)、読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超えない場合は(S53:No)、読み上げを行う(S54)。また、読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超える場合は(S53:Yes)、ルート案内終了までウェイトし(S54)、次のルート案内までの時間(z)を再算出する(S55)。
【0077】
ここで、再度読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超えるか否かについて判別し(S56)、読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超えない場合は(S56:No)、読み上げを行う(S54)。また、読み上げ時間(x)が次のルート案内までの時間(z)を超える場合は(S56:Yes)、さらに次のルート案内が目的地到着を示すルート案内であるか否かを判別し(S57)、目的地到着を示すルート案内でない場合は(S57:No)、S54〜S56を繰り返す。一方、次のルート案内が目的地到着を示すルート案内の場合は(S57:Yes)、目的地到着までウェイトし(S58)、目的地到着後、電子メールの本文の読み上げを行うと共にディスプレイ14上に表示する(S59)。このように、目的地到着後は、ドライバーに対し迅速且つ正確に電子メールの内容を通知するため、表示および音声出力の両方で電子メールの出力を行う。
【0078】
なお、上記のフローチャートでは、読み上げ終了までに要する読み上げ時間(x)と、次のルート案内までの時間(z)とを比較し、x>zの場合は、電子メールの本文の読み上げを行わないものとしたが、次のルート案内までの時間(z)までに、読み上げられる分だけ読み上げるようにしても良い。この場合、高速読み上げモードに設定し、通常速度よりも早い速度で読み上げても良い。また、これらの場合、文章単位または段落単位で読み上げることが好ましい。
【0079】
また、このように次のルート案内までの時間(z)までに、読み上げられる分だけ読み上げる場合、目的地到着後、電子メールの本文の読み上げおよび表示を行う際は(S59参照)、第2実施形態と同様に、ドライバーの違和感や誤認識を無くすため、残りの部分の最初の文字が属する文章の先頭、または当該残りの部分の最初の文字が属する段落の先頭から、読み上げを開始することが好ましい。
【0080】
以上説明したとおり、第3実施形態によれば、メール出力長と、ルート案内のタイミングと、に応じて、電子メールの本文を出力することで、互いの情報出力に影響を与えないようにすることができる。また、ルート案内のタイミングは、変更できない場合が多いため、電子メールの本文の出力タイミングを調整することで、不正確な(違和感のある)ルート案内を防止できる。
【0081】
なお、上記の実施形態では、電子メールの本文の読み上げがルート案内のタイミングと重複する場合(x>zの場合)、ルート案内の後に、電子メールの本文の読み上げを行うものとしたが、ルート案内の前に電子メールの本文の読み上げを行うようにしても良い。すなわち、電子メールの本文(全文)を読み上げた後、ルート案内を行うようにしても良い。また、この場合も、高速読み上げモードに設定し、通常速度よりも早い速度で読み上げても良い。但し、ルート案内のタイミングがずれてしまうと、不正確な情報となる場合があるため、このような場合は、ルート案内の内容を編集することが好ましい。例えば、所定のタイミング(所定時刻)にルート案内「300メートル先右折です。」を出力する予定の場合であって、電子メールの本文の読み上げ待ちで時間を取られてしまった場合は、ルート案内を「100メートル先右折です。」に編集することで対応可能である。
【0082】
以上、3つの実施形態を示したが、各実施形態は必ずしも独立して実現される必要はなく、各実施形態を組み合わせた構成としても良い。例えば、第2実施形態や第3実施形態においても、電子メールの重要度を判別する重要度判別手段(図示省略)を備え、メール出力長と、目的地に対応した所定の条件(目的地までの所要時間および/またはルート案内のタイミング)と、重要度と、に応じて、電子メールの本文を出力するようにしても良い。例えば、電子メールの重要度が高い場合は、重要度が低いものよりも、音量を上げて読み上げる、読み上げ速度を早くする、などの出力方法を採用しても良い。また、電子メールの重要度が高い場合は、読み上げ開始時にその旨(重要メールである旨)を通知する、ルート案内のタイミングを避けることなく読み上げる、ルート案内よりも電子メールの読み上げを優先する、などの出力方法を採用しても良い。さらに、第2実施形態や第3実施形態においても、第1実施形態にて言及したメール出力長判別手段160(図2参照)を備え、メール出力長が所定の出力長さを超える場合は、電子メールの本文の先頭部分のみを出力しても良い。この場合、所定の出力長さは、目的地までの所要時間および/またはルート案内のタイミングに応じて変化させても良い。
【0083】
また、上記の3つの実施形態において、車載機器10は、電子メール機能を有する携帯機器30からの転送により電子メールを取得するものとしたが、電子メールを直接受信することにより電子メールを取得しても良い。この場合、車載機器10は、通信手段110に代えて「電子メール受信手段(図示省略)」を備え、電子メール取得手段120は、「電子メール受信手段」により受信した電子メールを取得することとなる。
【0084】
また、上記の実施形態では、メール出力長の算出結果、電子メールの重要度、目的地までの所要時間、ルート案内のタイミング(誘導案内情報の出力タイミング)等に応じて、読み上げ速度や読み上げのタイミングを変化させるものとしたが、これら以外に、出力順序、出力音量、出力音声等を変化させても良い。
【0085】
また、上記の実施形態において、本文出力手段170,220,250は、音声出力(読み上げ)により、電子メールの本文を出力するものとしたが、これに代えて、若しくはこれと併用して、ディスプレイ14上に電子メールの本文を表示するようにしても良い。この場合、電子メールの本文を、テロップ表示(動画表示)しても良いし、静止画表示しても良い。また、後者の場合、手動によって画面切り替え可能としても良いし、スライドショー表示しても良い。また、これらの表示手法の中から、ユーザが好みの表示手法を設定可能としても良い。さらに表示によって出力を行う場合、メール出力長の算出結果等に応じて、出力の有無、出力対象の制限、出力速度、および出力形態(出力順序、出力サイズ、文字装飾)のうち、少なくとも1の要素を変化させることが好ましい。
【0086】
また、上記の実施形態に示した車載機器10や携帯機器30における各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを記録媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピュータを、車載機器10や携帯機器30の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれるものである。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載機器の制御ブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る情報通信システムの機能ブロック図である。
【図3】電子メールの本文の残りの部分について出力を指示するための指示画面の一例を示す図である。
【図4】車載機器および携帯機器間における電子メール読み上げ処理の概要を示すシーケンス図である。
【図5】第1実施形態に係る車載機器の読み上げ処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態に係る情報通信システムの機能ブロック図である。
【図7】第2実施形態に係る車載機器の読み上げ処理を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態に係る情報通信システムの機能ブロック図である。
【図9】第3実施形態に係る車載機器の読み上げ処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
10…車載機器 11…GPS受信機 12…アンテナ 13…自立航法センサ 14…ディスプレイ 15…タッチパネル 16…スピーカー 18…マイク 19…通信部 20…制御部 21…CPU 22…ROM 23…RAM 24…音声処理部 24a…話速変換ユニット 25…地図データベース 26…登録データベース 27…接続バス 30…携帯機器 SY…情報通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子メールを取得する電子メール取得手段と、
取得された前記電子メールの本文の出力長さであるメール出力長を算出するメール出力長算出手段と、
目的地を設定する目的地設定手段と、
前記メール出力長算出手段により算出された前記メール出力長と、前記目的地設定手段により設定された目的地に対応する所定の条件と、に応じて、前記電子メールの本文を、表示または音声出力する本文出力手段と、を備えたことを特徴とする車載機器。
【請求項2】
現在位置から、設定された前記目的地までの車両走行に要する所要時間を算出する所要時間算出手段をさらに備え、
前記所定の条件は、前記所要時間算出手段により算出された前記所要時間であることを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
設定された前記目的地までの経路誘導を行う経路誘導手段をさらに備え、
前記経路誘導手段は、誘導案内情報を所定の出力タイミングで表示または音声出力する誘導案内情報出力手段を含み、
前記所定の条件は、前記誘導案内情報の出力タイミングであることを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項4】
前記本文出力手段は、前記電子メールの本文の出力が、前記誘導案内情報の出力タイミングと重複する場合、前記電子メールの本文の出力を、前記誘導案内情報の出力の前、または後に行うことを特徴とする請求項3に記載の車載機器。
【請求項5】
前記本文出力手段は、前記目的地に到着するまでに、前記電子メールの本文の出力が完了しない場合、当該電子メールの出力完了部分以外の残りの部分について、前記目的地の到着後に、表示または音声出力することを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項6】
前記本文出力手段は、前記電子メールの残りの部分を出力する場合、当該残りの部分の最初の文字が属する文章の先頭、または当該残りの部分の最初の文字が属する段落の先頭から、出力を開始することを特徴とする請求項5に記載の車載機器。
【請求項7】
電子メール機能を有する携帯機器と通信を行う通信手段をさらに備え、
前記電子メール取得手段は、前記携帯機器から、当該携帯機器が受信した電子メールを取得することを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項8】
前記通信手段は、前記本文出力手段により出力された前記電子メールのメールIDを示す出力完了情報を、前記携帯機器に送信し、
前記出力完了情報は、前記携帯電話が、当該出力完了情報の受信に伴って、前記メールIDに該当する前記電子メールを既読状態とするための情報であることを特徴とする請求項7に記載の車載機器。
【請求項9】
前記出力完了情報は、前記メールIDに該当する前記電子メールの出力完了部分を既読状態とするための情報であることを特徴とする請求項8に記載の車載機器。
【請求項10】
前記電子メールの重要度を判別する重要度判別手段をさらに備え、
前記本文出力手段は、前記メール出力長と、前記所定の条件と、前記重要度判別手段により判別された前記重要度と、に応じて、前記電子メールの本文を、表示または音声出力することを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項11】
前記重要度判別手段は、前記電子メールに付加された優先度フラグ、前記発信者のアドレス、開封確認の有無のうち、少なくとも1の情報に基づいて、前記電子メールの重要度を判別することを特徴とする請求項10に記載の車載機器。
【請求項12】
算出された前記メール出力長が、所定の出力長さを超えるか否かを判別するメール出力長判別手段をさらに備え、
前記本文出力手段は、前記メール出力長が前記所定の出力長さを超える場合、前記電子メールの本文の先頭部分のみ、表示または音声出力することを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項13】
前記電子メールの本文の前記先頭部分以外の残りの部分について、出力を指示する出力指示手段をさらに備え、
前記本文出力手段は、前記出力指示手段による指示があった場合、前記残りの部分を、表示または音声出力することを特徴とする請求項12に記載の車載機器。
【請求項14】
請求項7に記載の車載機器と、前記携帯機器と、から成ることを特徴とする情報通信システム。
【請求項15】
電子メールの取得機能を有する車載機器の制御方法であって、
前記車載機器が、
前記電子メールを取得する電子メール取得ステップと、
取得された前記電子メールの本文の出力長さであるメール出力長を算出するメール出力長算出ステップと、
目的地を設定する目的地設定ステップと、
前記メール出力長算出ステップにより算出された前記メール出力長と、前記目的地設定ステップにより設定された目的地に対応する所定の条件と、に応じて、前記電子メールの本文を、表示または音声出力する本文出力ステップと、を実行することを特徴とする車載機器の制御方法。
【請求項16】
コンピュータに、請求項15に記載の車載機器の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−71656(P2010−71656A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−235989(P2008−235989)
【出願日】平成20年9月16日(2008.9.16)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】