説明

車載機器及び狭域無線通信システム

【課題】 送信されてくる情報の取捨選択を容易なものとするとともに、必要な情報を確実に搭乗者に対して通知可能とする。
【解決手段】 通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、送信情報内容を搭乗者に通知する。これにより、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報とそれ以外の情報とが取捨選択されて搭乗者に通知されることとなる。また、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報が搭乗者に通知されるので、必要な情報を確実に搭乗者に対して通知することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器及び狭域無線通信システム
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の発明の車両制御システムでは、ドライバーの運転技量や運転嗜好等のドライバー情報を運転免許証兼用のICカードに記録させ、この記憶されているドライバー情報に基づいてドライバーの運転技量や運転嗜好に適合した車両制御を行っている。
【特許文献1】特開2003−118425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、狭域無線通信システム等の専用狭域通信(Dedicated Short Range Communication)においては、路側機や他の車両から多種多様な情報が配信され、それを車載機器にて受信しドライバー(乗員)に通知している。
【0004】
しかし、同報通信による多種多様な情報を全てドライバーに通知してしまうと、ドライバーは、自分にとって不必要な情報を含む多くの情報の中から、自分が必要とする情報を自ら抽出しなくてはならないばかりか、自分に必要な情報も聞き逃す(取得できない)可能性がある。
【0005】
ここで、同報通信情報を受信側で取捨選択する方法として、例えば携帯電話等においては、利用者が取得したい情報の分類を予め設定しておく手段が採用されているが、この手段は、携帯電話にて予め用意されている情報の分類の中から利用者が特定の分類を選択設定するものであるので、充分な精度で取捨選択することが難しく、不必要な情報が通知されるおそれが高い。
【0006】
また、上記手段では、利用者が取得したい情報の分類を予め設定するので、情報を配信する者が、例えば道路情報等の交通安全に関わる情報を利用者に対して配信を試みても、利用者がそのような情報を取得したい情報として設定していない場合には、そのような情報をドライバー等の利用者に通知することができないおそれが非常に高い。
【0007】
本発明は、上記点に鑑み、送信されてくる情報の取捨選択を容易なものとするとともに、必要な情報を確実に利用者に対して通知可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、無線送信される送信情報を車両搭乗者に通知する車載機器であって、送信情報を受信する受信手段と、送信情報に含まれる情報のうち送信情報の内容を通知すべき対象を特定するための通知対象情報と、車両搭乗者を特定するための搭乗者情報とを照合する照合手段と、照合手段により通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、送信情報の内容を通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
これにより、請求項1に記載の発明では、通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、送信情報の内容が利用者に通知されるので、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報とそれ以外の情報とが取捨選択されて利用者に通知されることとなる。
【0010】
また、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報が利用者に通知されるので、必要な情報を確実に利用者に対して通知することが可能となる。
したがって、請求項1に記載の発明では、送信されてくる情報の取捨選択を容易なものとするとともに、必要な情報を確実に利用者に対して通知可能とすることができる。
【0011】
また、請求項1に記載の発明では、搭乗者情報が車両側で保持され、車両(車載機器)にて搭乗者に適合した情報とそれ以外の情報とが取捨選択されるので、搭乗者情報、つまり搭乗者を特定するための個人情報の保護を有効的に実行することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、車両からの電力供給が開始されたときに搭乗者が携帯している情報記録媒体から搭乗者情報を取得して記憶する搭乗者情報記憶手段と、車両からの電力供給が停止したときに搭乗者情報記憶手段に記憶されている搭乗者情報を消去する消去手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、請求項2に記載の発明では、車載機器に電力が供給されている間のみ搭乗者情報が車載機器に保持され、車載機器への電力供給が停止すると、搭乗者情報が車載機器から削除されるので、車両に搭乗者が乗車していると想定される間のみ搭乗者情報が車載機器に保持されることとなる。
【0014】
したがって、搭乗者情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できるので、搭乗者情報、つまり搭乗者の個人情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できる。
請求項3に記載の発明では、受信手段が送信情報を受信したときに搭乗者が携帯している情報記録媒体から搭乗者情報を取得するとともに、照合手段による判定が終了したときにその取得した搭乗者情報を消去する取得・消去手段を備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、請求項3に記載の発明では、照合手段による判定が実行されるときに搭乗者情報が取得され、照合手段による判定が終了すると、搭乗者情報が車両から削除されるので、搭乗者情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止でき、搭乗者情報、つまり搭乗者の個人情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できる。
【0016】
なお、請求項4に記載の発明では、情報記録媒体は、電子化された運転免許証であることを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明では、照合手段により通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、送信情報に含まれる情報のうち送信情報の内容を特定するためのユニークコードを記憶するコード記憶手段を備えることを特徴とする。
【0017】
これにより、請求項5に記載の発明では、通知済みの送信情報と、未だ通知されていない情報とを容易に判別することができる。
また、情報の送信者は、利用者の車載機器にユニークコードが記憶されているか否かに基づいて、送信者が配信した情報が利用者に通知されたか否かを容易に知ることができるので、送信者は、この通知の有無を利用して、例えば、「ユニークコードの有無に基づいて通知された情報に付帯するサービス(例えば、優待割引)を利用者に提供する」といったビジネスを行うことも可能である。
【0018】
請求項6に記載の発明では、送信情報に含まれる情報のうちユニークコードに対応する期限情報を取得するとともに、取得した時点において、その取得された期限情報によりコード記憶手段に記憶されているユニークコードの期限が超過しているか否かを判定する期限判定手段と、期限判定手段により期限が超過していると判定されたときに、コード記憶手段に記憶されているユニークコードを削除するコード削除手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
これにより、請求項6に記載の発明では、無用なユニークコードが自動的に削除される。
このため、例えば、上記のようなビジネスにおいては、通知された情報に付帯するサービスの有効期限を上記のユニークコードの期限とすれば、付帯サービスの有効期限が超過したユニークコードが自動的に削除される。したがって、利用者及び送信者は、付帯サービスの有効期限が終了したことを積極的に管理する必要がないので、利便性を向上させることができる。
【0020】
なお、請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車載機器と、送信情報を管理する管理装置とを備えることを特徴とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本実施形態は、本発明に係る車載機器を狭域無線通信システムに適用したものであり、以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(第1実施形態)
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る狭域無線通信システムの概念図であり、図2は路側機200等から送信される送信情報(通信データ)のデータ構造を示す概念図であり、図3は狭域無線通信システムの作動の概略を示す概念図であり、図4は通知対象確認処理を示すフローチャートであり、図5は本実施形態に係る狭域無線通信システムを用いた商取引制御の一例を示す概念図であり、図6はユニークコードの消去制御を示すフローチャートであり、図7は送信情報(通信データ)の一例を示す図である。
【0022】
2.狭域無線通信システムの構成(図1参照)
本実施形態に係る狭域無線通信システムは、図1に示すように、車両1に搭載された車載機器100、道路等の車両1に搭載された車載機器100と無線通信可能な位置に設置された複数の路側機200、及びこれら路側機200と通信回線を介して接続された管理コンピュータ300等から構成されている。
【0023】
なお、本実施形態では、狭域無線通信システムを用いて商取引が可能であるので、商取引の決済を行うためのクレジットカード会社(信販会社)のコンピュータ400、及び商取引が実行される店舗に設置された決済処理端末機(コンピュータ)500も通信回線を介して管理用のコンピュータ300等に接続されている。
【0024】
2.1.車載機器
車載機器100は、図1に示すように、車両に搭載されて路側機200及び搭乗者が携帯している電子運転免許証Lと無線通信することにより、各種の処理を行う電子機器である。
【0025】
ここで、電子運転免許証Lとは、通常の運転免許証に記載されている情報(例えば、免許証の保持者の氏名、本籍、住所、生年月日及び顔写真、並びに免許証の交付日、有効期限、種類及び番号)が電子情報としてICチップ等の情報記録媒体に記憶されたものであり、本実施形態に係る電子運転免許証Lでは、記憶されている情報を無線通信にて読み込むことができる。
【0026】
また、車載機器100の第1無線部101は、路側機200と無線通信を行うため送受信手段であり、この第1無線部101は第1通信制御部102により制御される。一方、第2無線部103は、電子運転免許証Lと無線通信を行うため送受信手段であり、この第2無線部103は第2通信制御部104により制御される。
【0027】
ヒューマン・マシン・インタフェース(以下、インタフェースと略す。)105は、車載機器100を利用するユーザ(搭乗者)により操作される操作部とユーザに情報を通知(報知)するための表示部とからなるものであり、本実施形態に係るインタフェース105は、表示機能と操作機能とが一体となった、いわゆるタッチパネルにて構成されている。
【0028】
メモリ106は、路側機200から送信された情報やユーザがインタフェース105を介して設定・入力した情報を記憶するための記憶手段であり、このメモリ106は、フラッシュメモリや磁気記憶装置(HDD)等の電源供給が停止した場合であっても記憶された情報を保持することができる不揮発性記憶装置にて構成されている。
【0029】
セキュリティモジュール107は、秘密とすべき情報を暗号化するとともに、暗号化されている秘密情報を解読する手段であり、処理部108は、インタフェース105や第1通信制御部102等を統合制御処理するための制御手段であり、電源部109は、車両1に搭載されたバッテリ(図示せず。)から供給される電力を変圧して処理部108等に供給する手段である。
【0030】
なお、処理部108は、CPU、RAM及びROM等からなる周知のコンピュータにて構成されたものであり、図3〜図4に示す制御を実行するためのプログラムは、処理部108のROMに記憶されている。
【0031】
2.2.路側機(送信機)等
路側機200は、車載機器100 の第1無線部101と無線通信を行う無線通信部201、及びこの無線通信部201を制御するとともに、管理コンピュータ300との間で情報の送受信を行う制御部202等から構成されている。
【0032】
なお、本実施形態では、路側機200と管理コンピュータ300とは、光ファイバーや銅線等を介した有線通信にて情報の送受信を行っているが、無線通信にて情報の送受信を行ってもよいことはいうまでもない。
【0033】
2.2.1.送信情報(通信データ)のデータ構造(図2参照)
路側機200から車載機器100に送信される送信情報(通信データ)は、図2に示すように、先頭側から、送信情報の内容を特定するためのユニークコード、送信情報の内容を通知すべき対象を特定するための通知対象情報、送信情報の内容(コンテンツ)を示す送信情報内容の順に並んでいる。
【0034】
なお、図2において、送受信時のプロトコルを示す情報は省略されている。また、「先頭側から」とは、送信情報を解析する際の読込(解析)される順番の最初側を意味する。
また、通知対象情報は、ユニークコードに対応する期限情報、つまりユニークコードにより特定される送信情報内容を通知すべき期間を示す通知期間、送信情報内容を通知すべき対象を特定するための具体的な条件(以下、通知対象情報という。)の個数を示す通知対象情報数、1又は複数の通知対象情報のうち最初の通知対象情報(通知対象情報1)、及び複数の通知対象情報のうち2番目の通知対象情報(通知対象情報2)と通知対象情報1との関係(AND条件又はOR条件)を示す情報等から構成されている。
【0035】
そして、上記の情報は、送信情報の先頭側から、通知期間、通知対象情報数、通知対象情報1、通知対象情報の関係、通知対象情報2、・・・・・通知対象情報の関係、通知対象情報nの順に並んでいる。つまり、通知対象情報数がn(自然数)のときには、n個の通知対象情報が並ぶとともに、通知対象情報(n−1)と通知対象情報nとの間に、通知対象情報(n−1)と通知対象情報nとの関係を示す情報が配置される。
【0036】
また、通知対象情報は、通知対象情報の具体的な項目(種類)を識別するための対象情報項目、対象情報項目の具体的な内容を示す対象情報、及び対象情報を用いた通知対象の特定方法を示す比較情報等から構成されており、これらの情報は、先頭側から対象情報項目、対象情報、比較情報の順に並んでいる。
【0037】
2.3.狭域無線通信システムの概略作動
2.3.1.狭域無線通信システムの作動の概略(図3参照)
本実施形態に係る狭域無線通信システムでは、図3に示すように、各路側機200から送信情報が常に発信されており、車載機器100が路側機200から発信された送信情報を受信すると(S3)、送信情報に含まれる情報のうち通知対象情報と、電子運転免許証Lから取得した車両搭乗者を特定するための搭乗者情報とを照合する通知対象条件確認処理(S5)が実行され、通知対象条件確認処理(S5)において、通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、インタフェース105を介して受信した送信情報の内容が搭乗者に通知される(図4のS19)。
【0038】
また、搭乗者情報は、車両からの電力供給が開始されたとき、つまり図示しない車両のアクセサリスイッチ(ACCスイッチ)がONとなったときに取得されて処理部108のRAM又はメモリ106に記憶される(S1)。
【0039】
そして、車両からの電力供給が停止したとき、つまりACCスイッチがOFFとなったときに、処理部108のRAM又はメモリ106に記憶されている搭乗者情報が消去される(S7)。
【0040】
また、後述するように、送信情報が搭乗者に通知されると、その送信情報についてのユニークコード及び通知期間がメモリ106に記憶されるが、通知期間により特定されるユニークコードの期限、つまりユニークコードにより特定される送信情報内容の通知期限が超過している場合には、メモリ106に記憶されているユニークコード及び通知期間が消去される。
【0041】
すなわち、図6はユニークコード及び通知期間を消去するための制御を示している。
なお、この制御は、車載機器100が起動したとき、つまりACCスイッチがONとなったとき以降、所定時間毎に起動され、ACCスイッチがOFFとなったときに終了し、図4及び図5に示す車載機器100の制御とは、独立に作動している。
【0042】
そして、ACCスイッチがONとなり、図6に示す制御が起動されると、先ず、メモリ106に保存(記憶)されている1件分のユニークコード及び通知期間が読み込まれ(S41)、ユニークコードにより特定される送信情報内容の通知期限が超過している否かが判定される(S43)。
【0043】
このとき、通知期限が超過していないと判定された場合には(S43:YES)、メモリ106に保存されている全てのユニークコード及び通知期間が読み込まれたか否かが判定され(S47)、全てのユニークコード等が読み込まれていないと判定された場合には(S47:NO)、S41が再び実行され、一方、全てのユニークコード等が読み込まれたと判定された場合には(S47:YES)、本制御が終了する。
【0044】
また、S43にて通知期限が超過していると判定された場合には(S43:NO)、その読み込まれたユニークコード及び通知期間がメモリ106から消去された後、S47が実行される。
【0045】
2.3.2.狭域無線通信システムの具体的な作動例
図4及び図5は、ハンバーガー店におけるドライブスルー時の商取引(ハンバーガーの販売等)を例に本実施形態に係る狭域無線通信システムの具体的な作動(応用例)の一例を示すものである。
【0046】
また、図7は、図4及び図5に示す応用例における送信情報(通信データ)を示しており、この例では、ユニークコードが「1234567890」であり、通知期間が「2007年12月1日〜2007年12月31日」であり、通知対象情報数が「2」であり、通知対象情報1の対象情報項目が「生年月日」であり、通知対象情報1の対象情報が「2007年12月1日」であり、通知対象情報1の比較情報が「以上」であり、通知対象情報の関係が「AND」であり、通知対象情報2の対象情報項目が「生年月日」であり、通知対象情報2の対象情報が「2007年12月31日」であり、通知対象情報2の比較情報が「以下」であり、送信情報内容は「今月誕生日の人は、○○店でハンバーガーが半額です」である。
【0047】
したがって、図7に示す送信情報では、「生年月日」が2007年12月1日〜2007年12月31日までの期間に属している者が通知対象者となり、その通知期限は2007年12月1〜2007年12月31日となる。
【0048】
2.3.2.1.車載機器の作動
そして、車載機器100により送信情報が受信されると、前述したように、図4に示す通知対象条件確認処理が起動され、この処理では、先ず、受信した送信情報の期限情報に基づいて、今、受信した送信情報が通知期限内にあるか否かが判定される(S11)。
【0049】
このとき、今、受信した送信情報が通知期限内にないと判定された場合には(S11:NO)、本制御が終了し、一方、今、受信した送信情報が通知期限内にあると判定された場合には(S11:YES)、取得された搭乗者情報と通知対象情報とが照合され、搭乗者情報により特定される者(搭乗者)の「生年月日」が2007年12月1日〜2007年12月31日までの期間に属しているが否かが判定される(S13)。
【0050】
そして、搭乗者の「生年月日」が2007年12月1日〜2007年12月31日までの期間に属していないと判定された場合には(S13:NO)、本制御が終了し、一方、搭乗者の「生年月日」が2007年12月1日〜2007年12月31日までの期間に属していると判定された場合には(S13:YES)、送信情報内容が既に通知されたか否かが判定される(S15)。
【0051】
因みに、本実施形態では、その送信情報内容を特定するユニークコード及び通知期間がメモリ106に保存されている場合に通知済みと判定し、ユニークコード及び通知期間がメモリ106に保存されていない場合には通知済みでないと判定する。
【0052】
そして、送信情報内容が通知済みでないと判定された場合には(S15:NO)、ユニークコード及び通知期間がメモリ106に保存されるとともに(S17)、送信情報内容がインタフェース105を介して搭乗者に通知され(S19)、本制御が終了する。
【0053】
一方、送信情報内容が通知済みであると判定された場合には(S15:YES)、送信情報内容を再度、通知するか否かが判定される(S20)。
そして、再通知すると判定された場合には(S20:YES)、送信情報内容がインタフェース105を介して搭乗者に通知され(S19)、再通知しないと判定された場合には(S21:NO)、通知されることなく、本制御が終了する。
【0054】
なお、本実施形態では、再通知するか否かの判定は、搭乗者(ユーザ)が予めインタフェース105を介して車載機器100に設定された再通知回数に基づいて判定している。つまり、ユーザが、再通知回数を「0」として設定した場合には、再通知がされず、再通知回数を、例えば「3」として設定した場合には、最大3回まで再通知される。
【0055】
2.3.2.2.ハンバーガー店での作動
車載機器100を搭載した車両が、路側機200が設置されているハンバーガー店のドライブスルー(乗車したままハンバーガー等を購入する商取引)箇所に進入すると、図5に示すように、路側機200と車載機器100との間で通信が行われる。
【0056】
具体的には、先ず、路側機200側から車載機器100に特定のユニークコードが車載機器100に保存されているか否かが問い合わせられ(S31)、車載機器100では、この問い合わせ(S31)に応じて、そのユニークコードが保存されているかが判定される(S21)。
【0057】
そして、ユニークコードが保存されていない場合には(S21:NO)、その旨(ハンバーガーの割引購入不可)の情報が路側機200に送信され(S23)、一方、ユニークコードが保存されている場合には(S21:YES)、その保存されているとしたユニークコード及びユニークコードに付随して保存されている使用回数情報が路側機200に送信される(S25)。
【0058】
一方、路側機200では、保存されているとしたユニークコード及びユニークコードに付随して保存されている使用回数情報が受信されると、使用回数に応じてハンバーガーの割引購入が可能である旨が車載機器100に送信され(S33)、これを受信した車載機器100では、その旨が搭乗者に通知される(S27)。
【0059】
そして、実際にハンバーガーが購入されると、使用回数に応じたハンバーガーの割引額にて代金の決済処理が、路側機200、クレジットカード会社のコンピュータ400及びハンバーガー店に設置された決済処理端末機500にて実行された後(S35)、その決済情報、及び車載機器100で保存されている使用回数を1だけ増加変更すべき旨の指令が車載機器100に送信される(S37)。
【0060】
一方、車載機器100で決済情報等が受信されると、車載機器100ではメモリ106に保存されている使用回数が1だけ増加変更された後(S29)、決済情報がインタフェース105を介して搭乗者に通知され(S30)、本制御が終了する。
【0061】
3.本実施形態に係る車載機器及び狭域無線通信システムの特徴
本実施形態では、通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、送信情報内容が利用者に通知されるので、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報とそれ以外の情報とが取捨選択されて搭乗者に通知されることとなる。
【0062】
また、搭乗者情報により特定される搭乗者に適合した情報が搭乗者に通知されるので、必要な情報を確実に搭乗者に対して通知することが可能となる。
したがって、本実施形態では、送信されてくる情報の取捨選択を容易なものとするとともに、必要な情報を確実に搭乗者に対して通知可能とすることができる。
【0063】
また、本実施形態では、搭乗者情報が車両側で保持され、車両(車載機器100)にて搭乗者に適合した情報とそれ以外の情報とが取捨選択されるので、搭乗者情報、つまり搭乗者を特定するための個人情報の保護を有効的に実行することができる。
【0064】
また、本実施形態では、ACCスイッチがONである間、つまり車載機器100に電力が供給されている間のみ搭乗者情報が車両に保持され、車載機器100への電力供給が停止すると、搭乗者情報が車両から削除されるので、車両に搭乗者が乗車していると想定される間のみ搭乗者情報が車両に保持されることとなる。
【0065】
したがって、搭乗者情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できるので、搭乗者情報、つまり搭乗者の個人情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できる。
また、本実施形態では、通知対象情報と搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、ユニークコードを記憶するので、通知済みの送信情報と、未だ通知されていない情報とを容易に判別することができる。
【0066】
また、情報の送信者は、搭乗者の車載機器100にユニークコードが記憶されているか否かに基づいて、送信者が配信した情報が搭乗者に通知されたか否かを容易に知ることができるので、送信者は、この通知の有無を利用して、例えば、「ユニークコードの有無に基づいて通知された情報に付帯するサービス(例えば、前述したような優待割引)を搭乗者に提供する」といったビジネスを行うことも可能である。
【0067】
また、本実施形態では、ユニークコードに対応する期限情報を取得するとともに、取得した時点において、その取得された期限情報によりコード記憶手段に記憶されているユニークコードの期限が超過しているか否かを判定し、期限が超過していると判定されたときに、コード記憶手段に記憶されているユニークコードを削除するので、無用なユニークコードが自動的に削除される。
【0068】
このため、例えば、上記のようなビジネスにおいては、通知された情報に付帯するサービスの有効期限を上記のユニークコードの期限とすれば、付帯サービスの有効期限が超過したユニークコードが自動的に削除される。したがって、搭乗者及び送信者は、付帯サービスの有効期限が終了したことを積極的に管理する必要がないので、利便性を向上させることができる。
【0069】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、第1無線部101が特許請求の範囲に記載された受信手段に相当し、S13が特許請求の範囲に記載された照合手段に相当し、S19が特許請求の範囲に記載された通知手段に相当し、S1及びメモリ106が特許請求の範囲に記載された搭乗者情報記憶手段に相当し、S7が特許請求の範囲に記載された消去手段に相当し、S17が特許請求の範囲に記載されたコード記憶手段に相当し、S41〜S47が特許請求の範囲に記載されたコード削除手段に相当する。
【0070】
(第2実施形態)
第1実施形態では、ACCスイッチがONである間、つまり車載機器100に電力が供給されている間のみ搭乗者情報が車両に保持されたが、本実施形態は、図8に示すように、車載機器100が送信情報を受信したときに(S3)、搭乗者情報を取得するとともに(S1)、通知対象確認条件確認処理(S5)が終了したときにその取得した搭乗者情報を消去する(S9)ものである。
【0071】
これにより、本実施形態では、通知対象確認条件確認処理(S5)が実行されるときに搭乗者情報が取得され、通知対象確認条件確認処理(S5)が終了すると、搭乗者情報が車両から削除されるので、搭乗者情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止でき、搭乗者情報、つまり搭乗者の個人情報が第三者に漏れ出てしまうことが防止できる。
【0072】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、路側機200から送信情報を送信したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
また、上述の実施形態では、電子運転免許証Lに記憶されている情報に基づいて搭乗者情報が取得されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ユーザ(搭乗者)が予め車載機器100に搭乗者情報に相当する情報を入力する、又は電子運転免許証L以外の情報記録媒体(ICタグ等)等から取得する等の方式を採用してもよい。
【0074】
また、上述の実施形態では、取得された搭乗者情報が自動的に消去されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばユーザから明示的に消去の指示があったときに消去する構成としてもよい。
【0075】
また、上述の実施形態では、受信した送信情報が通知期限内にないと判定された場合には(S11:NO)、通知対象条件確認処理が終了したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、受信した送信情報が通知期限より未来であるときには、送信情報を受信して記憶し、通知期限となったときに、改めてユーザに通知する構成としてもよい。
【0076】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施形態に係る狭域無線通信システムの概念図である。
【図2】路側機200等から送信される送信情報(通信データ)のデータ構造を示す概念図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る狭域無線通信システムの作動の概略を示す概念図である。
【図4】通知対象確認処理を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る狭域無線通信システムを用いた商取引制御の一例を示す概念図である。
【図6】ユニークコードの消去制御を示すフローチャートである。
【図7】送信情報(通信データ)の一例を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る狭域無線通信システムの作動の概略を示す概念図である。
【符号の説明】
【0078】
1…車両、100…車載機器、101…第1無線部、102…第1通信制御部、
103…第2無線部、104…第2通信制御部、105…インタフェース、
106…メモリ、107…セキュリティモジュール、108…処理部、
109…電源部、200…路側機、201…無線通信部、
300…管理コンピュータ、400…コンピュータ、500…決済処理端末機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送信される送信情報を車両搭乗者に通知する車載機器であって、
前記送信情報を受信する受信手段と、
前記送信情報に含まれる情報のうち前記送信情報の内容を通知すべき対象を特定するための通知対象情報と、車両搭乗者を特定するための搭乗者情報とを照合する照合手段と、
前記照合手段により前記通知対象情報と前記搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、前記送信情報の内容を通知する通知手段と
を備えることを特徴とする車載機器。
【請求項2】
車両からの電力供給が開始されたときに搭乗者が携帯している情報記録媒体から前記搭乗者情報を取得して記憶する搭乗者情報記憶手段と、
車両からの電力供給が停止したときに前記搭乗者情報記憶手段に記憶されている前記搭乗者情報を消去する消去手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項3】
前記受信手段が前記送信情報を受信したときに搭乗者が携帯している情報記録媒体から前記搭乗者情報を取得するとともに、前記照合手段による判定が終了したときにその取得した搭乗者情報を消去する取得・消去手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車載機器。
【請求項4】
前記情報記録媒体は、電子化された運転免許証であることを特徴とする請求項2又は3に記載の車載機器。
【請求項5】
前記照合手段により前記通知対象情報と前記搭乗者情報とが合致すると判定されたときに、前記送信情報に含まれる情報のうち前記送信情報の内容を特定するためのユニークコードを記憶するコード記憶手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車載機器。
【請求項6】
前記送信情報に含まれる情報のうち前記ユニークコードに対応する期限情報を取得するとともに、取得した時点において、その取得された期限情報により前記コード記憶手段に記憶されているユニークコードの期限が超過しているか否かを判定する期限判定手段と、
前記期限判定手段により期限が超過していると判定されたときに、前記コード記憶手段に記憶されているユニークコードを削除するコード削除手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の車載機器。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の車載機器と、
前記送信情報を管理する管理装置と
を備えることを特徴とする狭域無線通信システム。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−187191(P2009−187191A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25205(P2008−25205)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】