説明

車載装置および同装置を有する車載システム

【課題】携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置および同装置を有する車載システムにおいて、車載装置側の操作性を向上させることを目的とする。
【解決手段】表示部を備えた車載装置に、携帯端末装置から画面の遷移経路を含む遷移情報を取得する遷移情報取得部と、遷移情報取得部により取得された遷移情報に基づき、所定の目的画面を表示させるまでの画面の遷移経路の順に、携帯端末装置に画面を遷移させるためのコマンドを配列してコマンド列を生成するコマンド列生成部と、コマンド列に対応付けた操作部が操作された場合に、操作部に対応付けられたコマンド列を携帯端末装置へ送信する送信部とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置および同装置を有する車載システムに関するものであり、特に、携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置および同装置を有する車載システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
GPS(Global Positioning System)を利用したカーナビゲーションシステムの普及に伴い、車両には、ナビゲーション機能を有する車載装置が搭載される場合が多くなってきた。また、車載装置の多機能化を求めるユーザニーズに応えるために、車載装置の多機能化も顕著となってきている。
【0003】
たとえば、車載装置には、ナビゲーション機能に加えて、テレビ受信機能、CD(Compact Disc)再生機能、DVD(Digital Versatile Disk)再生機能などの多くの機能が盛り込まれることも多い。しかし、車載装置の多機能化は車載装置の高価格化を招くため、ユーザにとって好ましいものではない。
【0004】
一方、携帯電話などの携帯端末装置は、低価格でありながら、ナビゲーション機能や音楽再生機能を有するものも普及してきている。また、ブルートゥース(登録商標)などの近距離無線通信機能を搭載する携帯端末装置も普及してきたことから、かかる近距離無線通信機能で携帯端末装置と車載装置とを連携させ、携帯端末装置側の機能を車載装置側で利用する取り組みもなされている。これにより、車載装置の低価格化を図ることが可能となる。
【0005】
たとえば、特許文献1には、携帯端末装置の画面に表示される表示画面を車載装置へ送信し、携帯端末装置の画面よりもサイズの大きい車載装置のディスプレイに対して携帯端末装置で生成された表示画面を表示する技術が開示されている。
【0006】
この技術によれば、ユーザは、携帯端末装置の画面に表示される表示画面と同じ画面を携帯端末装置の画面よりもサイズの大きい車載装置のディスプレイで見ることができるので、走行中に車体の揺れが発生した場合であっても、携帯端末装置の画面に表示される情報を車載装置のディスプレイによって容易に視認することができる。
【0007】
また、この特許文献1には、車載装置のディスプレイ上に携帯端末装置の英数字キーなどのタッチスイッチを表示し、車載装置側から携帯端末装置を操作可能とする技術が開示されている。
【0008】
この技術によれば、車載装置のディスプレイに表示したタッチスイッチを操作することによって、携帯端末装置の英数字キーなどを操作することなく携帯端末装置の機能を車載装置側で利用することができる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−244343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、携帯端末の機能を車載装置で利用する際に、車載装置のディスプレイにおいて携帯端末装置の英数字キーの操作と同様の操作をする必要があったため、その操作が煩雑であった。
【0011】
すなわち、携帯電話機などの携帯端末装置は、小型化を図るために操作スイッチの数が必要最小限に抑えられており、一つの操作スイッチの操作に対して複数の機能が割当てられている。そのため、携帯端末装置は、一つの操作スイッチを複数回操作することや、複数の操作スイッチの操作の組み合わせによって、一つの機能が利用できるように構成されていることが少なくない。
【0012】
たとえば、携帯端末装置のナビゲーション(以下、「ナビ」という。)機能により、所望する目的地までの道のりの案内を受けようとする場合、ユーザは、ナビ機能を起動させた後、ナビ機能のメニュー画面から目的地の種類を選択させる画面を表示させる操作、表示された目的地の候補から所望の目的地を選択する操作、選択した目的地までの案内を開始させる操作という一連の操作を行う必要がある。特に、目的地名を手入力する場合には、テンキーの操作を組み合わせて入力しなければならない。
【0013】
このように、携帯端末装置の操作スイッチを操作して所望の機能を利用する場合には煩雑な操作が必要なため、この操作を車載装置のディスプレイを用いて行う場合にも同様に煩雑な操作が必要となる。特に、助手席の同乗者が走行中にディスプレイ等を操作する場合には、車体の揺れなどに起因して誤操作をするおそれがあるため、携帯端末装置に表示される画面を車載装置のディスプレイに表示させる車載システムにおいては、車載装置側の操作性を向上させる必要があった。
【0014】
そこで、本発明では、携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置および同装置を有する車載システムにおいて、車載装置側の操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る車載装置は、携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置であって、所定の開始画面から目的画面を表示するまでに階層的に画面遷移を行う前記携帯端末装置から、当該携帯端末装置が目的画面を表示するまでの画面の遷移経路を含む遷移情報を取得する遷移情報取得部と、前記遷移情報取得部により取得された遷移情報に基づき、所定の目的画面を表示させるまでの画面の遷移経路の順に、前記携帯端末装置に画面を遷移させるためのコマンドを配列してコマンド列を生成するコマンド列生成部と、前記コマンド列生成部により生成された前記コマンド列に対応付けられた操作部と、前記操作部が操作された場合に、前記操作部に対応付けられた前記コマンド列を前記携帯端末装置へ送信する送信部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、煩雑な操作をすることなく、コマンド列に対応付けられた操作部を操作するだけで、結果的に車載装置の表示部に所定の目的画面を表示させることができるので、携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置および同装置を有する車載システムにおいて、車載装置側の操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して具体的に説明する。本実施形態では、自動車に搭載されるDA(Display Audio)と呼ばれる車載装置と、所定のセンタからアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という。)や画像データ、音声データなどの各種データを受信する携帯端末装置としての携帯電話機とが、近距離無線通信機能で連携する車載システムに対して、本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。
【0018】
ここで、DAとは、表示機能や音楽データ再生機能、携帯電話機との通信機能といった基礎的な機能のみを実装し、携帯電話機と連携することで多機能化する車載装置のことを指す。
【0019】
図1は、本実施形態に係る車載システムSの概要を示す説明図である。図1に示すように、本実施形態に係る車載システムSは、車載装置1と携帯電話機2とを備えている。なお、図1中の符号3は、携帯電話機2に対して、各種のデータを提供するセンタである。
【0020】
本実施形態における携帯電話機2は、後述の制御部210(図6参照)内に複数種類のアプリを格納しており、制御部210が各アプリを実行することによって起動するGPS(Global Positioning System)によるナビゲーション(以下、「ナビ」という。)機能、音楽データ再生機能等の多様な機能を備えている。そして、この携帯電話機2は、実行中のアプリに対応した画像が表示部201に表示されるように構成されている。
【0021】
たとえば、この携帯電話機2でナビアプリ212(図6参照)が実行されている場合、図1に示すように、表示部201には、現在位置を示す地図画面M1が表示され、目的地までのルートが案内される。
【0022】
また、この携帯電話機2は、後述の連携アプリ211(図6参照)を起動することによって、携帯電話機2の表示部201に表示する画面に対応する画像データや、携帯電話機2で再生する音楽データをBluetooth(登録商標)を用いた無線通信により車載装置1へ送信して、車載装置1側で携帯電話機2の表示部201に表示される画面の表示や、携帯電話機2で再生する音楽の再生ができるように構成している。
【0023】
車載装置1は、携帯電話機2の表示部201よりも表示画面のサイズが大きな表示部101を備えている。そして、この車載装置1は、携帯電話機2と同様に連携アプリ123(図6参照)を備えており、この連携アプリ123が起動されることによって、携帯電話機2から音楽データを受信して再生することができる他、携帯電話機2から、携帯電話機2の表示部201に表示される画面(以下、「携帯画面」という。)に対応する画像データを受信して表示部101に表示できるように構成している。
【0024】
たとえば、この車載システムSにおいて、車載装置1および携帯電話機2の両方で連携アプリ123、211が実行され、携帯電話機2の表示部201にナビ機能によって現在位置を示す地図画面M1が表示されているとき、車載装置1の表示部101には、携帯画面と同じ地図画面M1が携帯電話機2よりも大きな画面サイズで表示される。
【0025】
また、この車載装置1の表示部101は、タッチパネル機能を備えており、ユーザが表示画面上の所定位置に触れることによって、車載装置1に各種動作を行わせることができるように構成している。
【0026】
特に、本実施形態の車載装置1は、連携アプリ123の実行中において、単純に携帯画面を表示するのではなく、当該車載装置1の表示部101に表示している携帯画面上に、携帯電話機2の表示部201に表示されていない操作用画像としてのショートカットSCを表示させ、ユーザがこのショートカットSCの表示位置に触れるだけで、携帯電話機2のボタン操作を複数種類組み合わせた操作を行った場合と同様に携帯電話機2を動作させることができるように構成している。
【0027】
かかる構成により、この車載システムSのユーザは、走行中の車内において携帯電話機2の小さなボタンを何度も操作するという煩雑な作業を行う必要がなくなり、携帯電話機2に比べて画面サイズの大きな車載装置1の表示部101に表示されるショートカットSCを操作するだけで、携帯電話機2に所望の動作を行わせ、その動作に応じた携帯画面を車載装置1側の表示部101に表示させることができるので、車載装置の操作性が向上する。
【0028】
ここで、携帯電話機2を操作して、携帯電話機2の表示部201に自宅までのルート案内を表示させる場合と、本実施形態の車載システムSにより、車載装置1の表示部101を操作して、車載装置1の表示部101に自宅までのルート案内を表示させる場合との操作性の違いについて、図2〜図4を参照して説明する。
【0029】
図2は、携帯電話機2に予め規定されている階層的な画面遷移に関する情報を示す説明図であり、図3は、携帯電話機2を操作して、携帯電話機2の表示部201に自宅までのルート案内を表示させるまでの画面遷移を示す説明図であり、図4は、車載装置1の表示部101を操作して、車載装置1の表示部101に自宅までのルート案内を表示させるまでの画面遷移を示す説明図である。
【0030】
携帯電話機2は、所定の開始画面からユーザが所望する各目的画面を表示するまでに、階層的に携帯画面を画面遷移するように予め規定されており、たとえば、ナビアプリ212の実行中には、図2に示す階層的な画面遷移に関する情報(以下、「遷移情報」という。)に基づいて、順次携帯画面の画面遷移を行うように規定されている。図2に示す遷移情報は、ナビアプリ212の一部として携帯電話機2の制御部210に記憶されている。
【0031】
そして、携帯電話機2は、ナビアプリ212の実行中にユーザによる所定の操作を受付けると、この遷移情報に基づいて順次携帯画面の画面遷移を行う。なお、遷移情報は、携帯電話機2で実行される各アプリ毎にそれぞれ記憶されている。
【0032】
図2に示すように、遷移情報には、携帯電話機2がナビアプリ212の起動中に表示する携帯画面の遷移経路を示す情報と、表示中の各携帯画面を次の携帯画面へ画面遷移させるための各コマンドを示す情報とが含まれている。
【0033】
この遷移情報からわかるように、携帯電話機2は、所定の開始画面から各目的画面を表示するまでに、階層的に画面遷移を行うように予めプログラミングされている。そして、携帯電話機2は、ユーザによる上記住所ボタンやカーソルボタン、決定ボタンなどの操作(以下、「携帯操作」という。)を検知する度に、その携帯操作に対応したコマンドに従って、遷移経路における上層側の携帯画面から、下層側の携帯画面へ順次段階的に画面遷移を行い、最終的に目的画面を表示させる。
【0034】
本実施形態では、ナビアプリ212の実行中において、現在地を示す地図画面M1などのナビ画面(地図・メニュー)が開始画面として規定されている。
【0035】
そして、この携帯電話機2は、開始画面であるナビ画面の表示中に検知した携帯操作がコマンドA1に対応していた場合、ナビ画面から中間画面である目的地種別選択画面M2に画面遷移を行うように規定されている。
【0036】
また、携帯電話機2は、目的地種別選択画面M2の表示中に検知した携帯操作がコマンドB1に対応していた場合は、目的地を手入力する目的地入力画面への画面遷移を行い、携帯操作がコマンドB2に対応していた場合は、周辺施設を選択するための周辺施設選択画面への画面遷移を行い、携帯操作がコマンドB3に対応していた場合は、目的地を自宅に設定するための自宅選択画面M3への画面遷移を行うように規定されている。
【0037】
また、携帯電話機2は、周辺施設選択画面の表示中に検知した携帯操作がコマンドC1に対応していた場合、周辺施設のジャンルを選択させるジャンル選択画面への画面遷移を行うように規定されている。
【0038】
そして、この携帯電話機2は、その後の携帯操作についても同様に、携帯画面の表示中に検知した各コマンド(コマンドD1〜D6、E1〜E7、F1〜F9)に従って、表示中の携帯画面を画面遷移の遷移経路における一階層下の携帯画面へ画面遷移させるように規定されている。
【0039】
このように階層的に画面遷移を行うように規定された携帯電話機2を操作して、携帯電話機2の表示部201に自宅までのルート案内の開始画面を表示させる場合、ユーザは、まず、図3(a)に示すように、携帯電話機2に設けられた住所ボタンを操作して、所定の開始画面である現在地の地図画面M1から、図3(b)に示すように、第1の中間画面である目的地種別選択画面M2に携帯画面を画面遷移させる。
【0040】
このとき、携帯電話機2では、制御部210が上記遷移情報を参照して、ユーザによる住所ボタンの操作に対応したコマンドA1に基づいて動作することにより、携帯画面を地図画面M1から目的地種別選択画面M2に画面遷移させる。
【0041】
目的地種別選択画面M2では、目的地を手入力により入力して選択する「目的地入力」と、目的地を現在地の周辺施設から選択する「周辺施設」と、予め設定された自宅を目的地として選択する「自宅」という3種類の選択肢が表示される。目的地種別選択画面M2では、デフォルトとして「目的地入力」が選択された状態となっている。
【0042】
次に、ユーザは、「自宅」を選択するために、携帯電話機2のカーソルボタン(下向き)を2回操作することによって、図3(c)に示すように、携帯画面を目的地種別選択画面M2から自宅選択画面M3に画面遷移させる。
【0043】
このとき、携帯電話機2では、制御部210がユーザによるカーソルボタンの操作に対応したコマンドB3に基づいて動作することにより、携帯画面を目的地種別選択画面M2から自宅選択画面M3に画面遷移させる。
【0044】
次に、ユーザは、携帯電話機2の決定ボタンを操作することによって、図3(d)に示すように、携帯画面を自宅選択画面M3から所望の目的画面である自宅案内画面M4に画面遷移させる。
【0045】
このとき、携帯電話機2では、制御部210がユーザによる決定ボタンの操作に対応したコマンドF9に基づいて動作することにより、携帯画面を自宅選択画面M3から自宅案内画面M4に画面遷移させる。
【0046】
このように、携帯電話機2は、所定の開始画面からユーザが所望する目的画面を表示するまでに、階層的に画面遷移を行うように予め規定されているため、携帯電話機2を操作して、自宅案内画面M4を表示させるためには、携帯電話機2を複数回操作して、段階的(階層的)に携帯画面を画面遷移させなければならない。
【0047】
これに対して、本実施形態の車載システムSでは、図4(a)に示すように、車載装置1の表示部101に、携帯電話機2と同一の地図画面M1を表示しているとき、その画面上に自宅案内画面M4を表示させるためのショートカットSCを表示させる。
【0048】
そして、この車載装置1は、ユーザがこのショートカットSCの表示位置に触れるだけで、図4(b)に示すように、表示部101に自宅案内画面M4を表示させることができるように構成している。
【0049】
すなわち、この車載装置1は、携帯電話機2から、予め上記遷移情報を取得し、その遷移情報から携帯電話機2に画面遷移を行わせるためのコマンド群を選択して、所定の目的画面を表示させるまでの携帯画面の遷移経路の順に各コマンドを配列したコマンド列を生成するように構成している。
【0050】
そして、車載装置1は、生成したコマンド列とショートカットSCとを対応付けたコマンド列テーブルを記憶すると共に、コマンド列と対応付けたショートカットSCを表示部101に表示させ、ユーザによりショートカットSCが操作された場合に、ショートカットSCに対応付けられているコマンド列を携帯電話機2へ送信するように構成している。
【0051】
図5は、コマンド列テーブルの一例を示す説明図である。図5に示すように、このコマンド列テーブルには、自宅案内画面M4を表示させるためのショートカットSC「自宅」に対応付けてA1/B3/F9というコマンド列が記憶されている。
【0052】
また、このコマンド列テーブルには、最寄のガソリンスタンド(GS)一覧を表示させるショートカットSC「GS一覧」に対応付けて、A1/B2/C1/D1/E2というコマンド列、最寄の和食店の一覧を表示させるためのショートカットSC「和食一覧」に対応付けて、A1/B2/C1/D6/E6というコマンド列なども記憶されている。
【0053】
なお、このコマンド列テーブルは、ユーザが任意に設定変更することができるように構成している。また、コマンド列テーブルに設定した複数のショートカットSCのうち、表示部101に表示させるショートカットSCをユーザが任意に選択できるように構成している。
【0054】
そして、この車載装置1は、表示部101に表示しているショートカットSCが操作された場合に、そのショートカットSCと対応付けられているコマンド列を携帯電話機2へ送信する。
【0055】
たとえば、車載装置1は、ユーザが「自宅」と表示されたショートカットSCの表示位置に触れたことを検知すると、A1/B3/F9というコマンド列を一度に携帯電話機2に送信する。
【0056】
そして、このコマンド列を受信した携帯電話機2は、A1/B3/F9というコマンド列の各コマンドに基づいて、瞬時に携帯画面の画面遷移を行い、その携帯画面に対応した画像データを車載装置1へ送信する。
【0057】
ユーザが携帯電話機2を操作して、携帯電話機2にA1/B3/F9というコマンド列に対応した画面遷移を行わせるためには、A1、B3、F9という各コマンドに対応した操作を順次行う必要があるが、本実施形態の車載装置1によれば、ユーザが「自宅」と表示されたショートカットSCを一度操作するだけで、携帯電話機2にA1/B3/F9というコマンド列に対応した画面遷移を行わせることができる。
【0058】
次に、本実施形態に係る車載装置1および携帯電話機2の構成について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る車載装置1および携帯電話機2の構成を示す機能ブロック図である。
【0059】
ここでは、まず、携帯電話機2の構成を説明する。図6に示すように、本実施形態に係る携帯電話機2は、表示部201と、操作部202と、記憶部203と、マイク204と、スピーカ205と、制御部210とを備えている。
【0060】
表示部201は、小型の液晶表示装置により構成しており、制御部210による表示制御にしたがって、制御部210により実行されるアプリに対応した各種情報を表示する。
【0061】
操作部202は、テンキースイッチやカーソルスイッチ等のスイッチ類により構成されており、ユーザの操作に対応した操作信号を制御部210へ出力することにより、制御部210を動作させる。また、マイク204は、当該携帯電話機2により通話を行う際にユーザの声音を集音する集音部として機能するものであり、スピーカ205は、通話相手の声音を出音する出音部として機能するものである。また、記憶部203は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置により構成しており、センタ3から受信した各種データを記憶する。
【0062】
制御部210は、携帯電話機2全体の動作を統括制御する機能を備えておりCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備えた情報処理装置により構成している。
【0063】
この制御部210のROMには、携帯電話機2のナビ機能や音楽データ再生機能等を車載装置1で利用可能とするための連携アプリ211、GPSによる現在位置表示や目的地までのルート案内を可能とするためのナビアプリ212、センタ3から受信した音楽データを再生するための音楽アプリ213等のプログラムが記憶されている。
【0064】
そして、この制御部210は、CPUがROMに記憶している各種アプリを読み出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、車載装置1との連携機能、ナビ機能、音楽再生機能等の各種機能を実現する。
【0065】
たとえば、制御部210は、ナビアプリ212を実行することによって、センタ3のデータベース300から現在位置を示す地図データを受信して表示部201に現在位置を示す地図画面M1等を表示させる。
【0066】
また、この制御部210は、音楽アプリ213を実行することによって、センタ3から音楽データを受信して記憶部203に記憶させ、ユーザの操作に基づいて、その音楽データの再生を行う。
【0067】
また、この制御部210は、連携アプリ211を実行することによって、車載装置1の再生情報受信部111へ車載装置1側の連携アプリ123の実行要求を送信して、車載装置1の制御部100に連携アプリ123の実行を開始させる。
【0068】
このとき、携帯電話機2で音楽アプリ213を実行している場合、携帯電話機2の制御部210は、再生中の音楽データと、その曲名等を示すデータを車載装置1へ送信する。また、携帯電話機2でナビアプリ212を実行している場合、携帯電話機2の制御部210は、現在地を示す地図画面M1に対応した画像データを車載装置1へ送信する。
【0069】
次に、車載装置1の構成について説明する。車載装置1は、表示部101とスピーカ102と、制御部100とを備えている。表示部101は、携帯電話機2の表示部201よりも画面サイズが大きな液晶表示装置により構成している。
【0070】
そして、この表示部101は、車載装置1及び携帯電話機2の双方で各連携アプリ123、211が実行されているときに、制御部100の制御に基づいて、車載装置1に表示される携帯画面を表示する。
【0071】
また、この表示部101は、タッチパネル機能を備えており、制御部100の制御により画面中にショートカットSC等の操作用画像131を表示した場合には、その操作用画像131の表示領域が操作部150として機能する。
【0072】
そして、表示部101は、操作部150が操作された場合に、制御部100に対して、その操作に対応した所定の操作信号を出力する。そして、制御部100は、この操作部150から入力された操作信号に応じて、各種処理を実行する。
【0073】
また、スピーカ102は、車載装置1及び携帯電話機2の双方で各連携アプリ123、211が実行されているときに、携帯電話機2で音楽データが再生されている場合、携帯電話機2から受信した音楽データを音声として出力する。
【0074】
制御部100は、車載装置1全体の動作を統括制御する機能を備えており、再生情報受信部111、送信部112、コマンド列生成部113、遷移情報取得部114、設定部115、判定部116、記憶部120、表示制御部130、車両情報取得部140を備えている。
【0075】
再生情報受信部111は、携帯電話機2から送信される連携アプリ123の実行要求、各種画像データ、各種音楽データ等を受信する処理部である。本実施形態では、この再生情報受信部111が連携アプリ123の実行要求を受信すると、制御部100内で記憶部120に記憶されている連携アプリ123が実行され、送信部112、コマンド列生成部113、遷移情報取得部114、設定部115、判定部116、表示制御部130、車両情報取得部140がそれぞれ動作を開始する。
【0076】
また、この再生情報受信部111は、携帯電話機2から受信した画像データを表示部101へ出力して携帯画面の表示を行わせる処理や、携帯電話機2から受信したデジタルの音楽データをアナログの音楽信号に変換してスピーカ102へ出力することにより、携帯電話機2で再生中の音楽をスピーカ102から出力させる処理を行う。
【0077】
送信部112は、表示部101から入力された操作信号、コマンド列テーブル122から選択された所定のコマンド列等、車載装置1から携帯電話機2へ各種信号及びデータを送信する処理部である。
【0078】
遷移情報取得部114は、携帯電話機2から携帯画面の画面遷移に関する遷移情報121(図2参照)を取得して、その遷移情報121を記憶部120に記憶させる処理部である。
【0079】
本実施形態では、表示部101がユーザによる遷移情報設定のための操作を検知すると、その操作に対応した操作信号を送信部112を介して、携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、この操作信号を受信すると、車載装置1へ向けて遷移情報121を送信する。そして、この携帯電話機2から送信された遷移情報121を遷移情報取得部114が取得して、記憶部120に記憶させる。
【0080】
コマンド列生成部113は、記憶部120に遷移情報121が記憶されると、その遷移情報121から携帯電話機2に画面遷移させるためのコマンド群を選択して抽出する。そして、このコマンド列生成部113は、抽出した各コマンドを、携帯電話機2に所定の目的画面を表示させるまでの携帯画面の遷移経路の順となるように配列することにより、複数のコマンド列を生成する。
【0081】
そして、このコマンド列生成部113は、生成したコマンド列を記憶部120に記憶させることによって、コマンド列テーブル(図5参照)を作成する。
【0082】
表示制御部130は、表示部101の表示画面中に操作部150として機能する操作用画像131を表示する処理部であり、具体的には、表示部101に表示中の携帯画面上に、ショートカットSCを表示させる。この表示制御部130は、予め複数種類の操作用画像131を記憶している。
【0083】
設定部115は、操作部150に対応付けるコマンド列を設定する処理部であり、具体的には、コマンド列テーブル122に記憶されているコマンド列と、表示制御部130に記憶されている操作用画像131とを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させる。
【0084】
この設定部115は、ユーザによる操作部150の操作がショートカット設定に対応するものであった場合、現時点でコマンド列テーブル122に記憶されているコマンド列の末尾のコマンドにより表示される携帯画面(目的画面)に対応する操作用画像131を、表示制御部130によってショートカット一覧として表示部101に表示させる。
【0085】
たとえば、コマンド列テーブル122に、図5に示すような3つのコマンド列(A1/B3/F9)、(A1/B2/C1/D1/E2)、(A1/B2/C1/D6/E6)が記憶されていた場合、「自宅」、「GS一覧」、「和食一覧」という3つのショートカットSCを一覧表示する。なお、この時点では、コマンド列テーブル122に操作用画像131としてのショートカットSCは記憶されていない。
【0086】
その後、設定部115は、ユーザによりショートカット一覧から特定のショートカットSCが選択されると、選択されたショートカットSC(操作部150として機能する操作用画像131)を、そのショートカットSCに対応する携帯画面(目的画面)を表示させるコマンドが末尾となっているコマンド列に対応付けて、コマンド列テーブル122に記憶させる。
【0087】
たとえば、「自宅」、「GS一覧」、「和食一覧」という3つのショートカットSCがそれぞれユーザよって選択された場合に、図5に示すようなコマンド列テーブル122が完成することとなる。
【0088】
そして、本実施形態の車載装置1では、連携アプリ123の実行中に、携帯電話機2でナビアプリ212が実行されている場合、表示制御部130がコマンド列テーブル122に記憶されている操作用画像131を操作部150として機能するショートカットSCとして表示部101に表示させる。
【0089】
このショートカットSCがユーザにより操作されると、車載装置1では、送信部112がコマンド列テーブル122を参照して、操作されたショートカットSCに対応付けられているコマンド列を携帯電話機2へ送信することにより、携帯電話機2に送信したコマンド列に応じた携帯画面の画面遷移を行わせ、その携帯画面を再生情報受信部111で受信して、表示部101に表示させる。
【0090】
車両情報取得部140は、当該車載装置1が搭載されている車両に関する情報を取得する処理部であり、燃料残量検知部141と継続運転検知部142とを備えている。
【0091】
燃料残量検知部141は、車両の燃料の残量を検知して、その検知情報を判定部116へ出力する処理部である。また、継続運転検知部142は、車両の運転時間および運転距離を計測して、その計測結果情報を判定部116へ出力する処理部である。この継続運転検知部142は、運転席に設けた着座センサ(図示略)が運転者の着座を検知している期間における車両の走行時間および走行距離を計測することによって、運転時間および運転距離を計測する。
【0092】
判定部116は、車両情報取得部140により取得された車両情報に基づいて、車両の状態を判定する処理部である。この判定部116は、燃料残量検知部141から入力される検知情報に基づき、車両の燃料の残量が所定の値を下回った(燃料がニアエンプティ状態になった)と判定した場合に、その旨を示す判定結果を表示制御部130へ出力する。
【0093】
また、この判定部116は、継続運転検知部142から入力される測定結果情報に基づき、継続運転時間または継続運転距離を示す値が所定の値に達したと判定した場合に、その旨を示す判定結果を表示制御部130へ出力する。
【0094】
そして、表示制御部130は、判定部116による判定結果に応じた所定の目的画面を表示部101に表示させるまでの携帯画面の遷移経路の順に配列されたコマンド列に対応する操作用画像131を表示部101に表示させる。
【0095】
たとえば、表示制御部130は、判定部116から車両の燃料がニアエンプティ状態になったことを示す判定結果が入力されると、「GS一覧」というショートカットSCを表示部101に表示させ、継続運転時間または継続運転距離を示す値が所定値に達したことを示す判定結果が入力されると、「休憩所一覧」というショートカットSCを表示部101に表示させる。
【0096】
そして、このショートカットSCがユーザにより操作された場合、送信部112は、操作されたショートカットSCに対応するコマンド列を携帯電話機2へ送信する。たとえば、「GS一覧」というショートカットSCが操作された場合、送信部112は、A1/B2/C1/D1/E2というコマンド列を携帯電話機2へ送信する。
【0097】
記憶部120は、携帯電話機2から取得した遷移情報121(図2参照)、コマンド列テーブル122、連携アプリ123等のデータを記憶している。
【0098】
なお、本実施形態では、コマンド列テーブルにデフォルトとして、車両の燃料がニアエンプティ状態になった場合に表示する「GS一覧」というショートカットSCと、最寄りのGSを一覧表示させるためのコマンド列(A1/B2/C1/D1/E2)とが対応付けられて記憶されている。
【0099】
また、継続運転時間または継続運転距離を示す値が所定値に達したときに表示するショートカットSC(休憩所一覧)と対応付けるコマンド列は、ユーザが任意に設定する。
【0100】
次に、本実施形態に係る車載装置1の制御部100が実行する処理について、図7〜図9を参照して説明する。図7〜図9は、本実施形態に係る車載装置1の制御部100が実行する処理を示すフローチャートである。
【0101】
車載装置1に電源が投入されると、制御部100は、図7に示すように、まず、連携アプリ123が実行中であるか否かの判定を行う(ステップS101)。車載装置1の連携アプリ123は、携帯電話機2の連携アプリ211が実行されると、それに連動して実行される。
【0102】
このステップS101において、制御部100は、連携アプリ123が実行中であると判定した場合(ステップS101:Yes)、処理をステップS102へ移し、連携アプリ123が実行中でないと判定した場合(ステップS101:No)、処理を終了する。
【0103】
ステップS102において、制御部100は、ユーザによる設定操作があったか否かの判定を行い、設定操作があったと判定した場合(ステップS102:Yes)、車載装置の各種設定を行う設定処理を実行し(ステップS103)、その後、処理を終了する。この設定処理については、後に図8を参照して具体的に説明する。
【0104】
一方、制御部100は、設定操作がないと判定した場合(ステップS102:No)、処理をステップ104へ移し、携帯電話機2でナビアプリ212が実行中であるか否かの判定を行う。
【0105】
そして、制御部100は、ナビアプリ212が実行中であると判定した場合(ステップS104:Yes)、携帯電話機2に表示されるナビ画面を車載装置1の表示部101に表示させる連携ナビ表示処理を実行し(ステップS105)、その後、処理を終了する。この連携ナビ表示処理については、後に、図9を参照して具体的に説明する。
【0106】
一方、制御部100は、ナビアプリ212が実行中でないと判定した場合(ステップS104:No)、処理をステップS106へ移して、携帯電話機2で実行中の他のアプリと連携した他のアプリとの連携処理を実行し、その後、処理を終了する。
【0107】
他のアプリとの連携処理において、制御部100は、たとえば、携帯電話機2で音楽アプリ213が実行中である場合、携帯電話機2で再生中の楽曲をスピーカ102から出音させると共に、その楽曲のタイトル等を表示部101に表示させる処理を行う。なお、制御部100は、携帯電話機2で他のアプリが実行されていない場合には、ステップS106の処理を行うことなく、処理を終了する。
【0108】
次に、図8を参照して、制御部100がステップS103で実行する設定処理について説明する。設定処理が開始されると、制御部100は、図8に示すように、ユーザによる設定操作が遷移情報設定を行うための操作であったか否かを判定する(ステップS201)。
【0109】
そして、制御部100は、遷移情報設定を行うための操作であったと判定した場合(ステップS201:Yes)、携帯電話機2から遷移情報121を取得する処理を行い(ステップS202)、取得した遷移情報121を記憶部120に記憶させる。
【0110】
その後、制御部100は、記憶部120に記憶した遷移情報121から、携帯電話機2に携帯画面の画面遷移を行わせるための各コマンドを抽出し、それらの各コマンドを画面遷移の各遷移経路の順に配列することによって、複数のコマンド列を生成する(ステップS203)。
【0111】
続いて、制御部100は、ステップS203で生成した各コマンド列を記憶部120に記憶させることによってコマンド列テーブルを作成し(ステップS204)、その後、処理をステップS205へ移す。
【0112】
一方、ステップS201において、制御部100は、ユーザによる設定操作が遷移情報設定を行うための操作でなかったと判定した場合(ステップS201:No)、ユーザによる設定操作がショートカット設定を行うための操作であったか否かの判定を行う(ステップS206)。
【0113】
そして、制御部100は、ユーザによる設定操作がショートカット設定を行うための操作であったと判定した場合(ステップS206:Yes)、表示部101に現時点で設定可能なショートカットSCの一覧を表示させ(ステップS207)、その後、処理をステップS208へ移す。
【0114】
このとき、制御部100は、表示制御部130に予め記憶している複数種類の操作用画像131のうち、現時点でコマンド列テーブル122に記憶されている各コマンド列の末尾のコマンドによって表示される携帯画像に対応した操作用画像131の一覧をショートカットSCの一覧として表示させる。
【0115】
一方、ステップS206において、制御部100は、ユーザによる設定操作がショートカット設定を行うための操作でなかったと判定した場合(ステップS206:No)、処理をステップS210へ移して、その他の設定処理を実行する。
【0116】
このステップS210において、制御部100は、ユーザによる各設定操作に基づき、たとえば、スピーカ102等のオーディオ機器に関する設定処理を実行し、その後、処理をステップS205へ移す。
【0117】
また、ステップS208において、制御部100は、ステップS207で表示したショートカット一覧からショートカットSCが選択されたか否かの判定を行い、ショートカットSCが選択されていないと判定した場合(ステップS208:No)、ショートカットSCが選択されるまでステップS208の判定処理を行う。
【0118】
一方、制御部100は、ショートカットSCが選択されたと判定した場合(ステップS208:Yes)、そのショートカットSCと当該ショートカットに対応する携帯画像を表示させるためのコマンド列とを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させることによって、コマンド列テーブル122を更新し(ステップS209)、その後、処理をステップS205へ移す。
【0119】
そして、ステップS205において、制御部100は、ユーザにより設定終了操作が行われたか否かの判定を行い、設定終了操作が行われたと判定した場合(ステップS205:Yes)、処理を終了する一方、設定終了操作が行われていないと判定した場合(ステップS205:No)、処理をステップS201へ移す。
【0120】
次に、図9を参照して、制御部100がステップS105で実行する連携ナビ表示処理について説明する。連携ナビ表示処理が開始されると、制御部100は、図9に示すように、携帯電話機2からナビ画面に対応する画像データを受信し(ステップS301)、受信した画像データに基づいたナビ画面を表示部101に表示させると共に、そのナビ画面上にショートカットSCを表示させる(ステップS302)。
【0121】
その後、制御部100は、ユーザによりショートカットSCが操作されたか否かの判定を行い(ステップS303)、ショートカットSCが操作されたと判定した場合(ステップS303:Yes)、操作されたショートカットSCに対応するコマンド列を携帯電話機2へ送信し(ステップS304)、その後、処理をステップS305へ移す。
【0122】
一方、制御部100は、ショートカットSCが操作されていないと判定した場合(ステップS303:No)、処理をステップS306へ移し、車両の燃料がニアエンプティ状態であるか否かの判定を行う。
【0123】
そして、制御部100は、燃料がニアエンプティ状態であると判定した場合(ステップS306:Yes)、表示部101に最寄りのGSの一覧を表示させるための「GS一覧」ショートカットSCを表示させ(ステップS307)、その後、処理をステップS305に移す。
【0124】
また、制御部100は、燃料がニアエンプティ状態でないと判定した場合(ステップS306:No)、処理をステップS308へ移して、運転時間又は運転距離が所定値に達したか否かの判定を行う。ここでの運転時間とは、単なる運転時間の値を示すものではなく、運転者が単独で継続的に運転した車両の運転時間を示すものである。また、ここでの運転距離とは、単なる運転距離を示すものではなく、運転者が単独で継続的に運転した車両の運転距離を示すものである。
【0125】
そして、制御部100は、運転時間又は運転距離のいずれか一方が所定値に達していないと判定した場合(ステップS308:No)、処理をステップS305へ移す。一方、制御部100は、運転時間又は運転距離のいずれか一方が所定値に達したと判定した場合(ステップS308:Yes)、表示部101に最寄りの休憩所を表示させるための「休憩所一覧」ショートカットSCを表示させ(ステップS309)、その後、処理をステップS305へ移す。
【0126】
そして、ステップS305において、制御部100は、携帯電話機2においてナビアプリ212が終了したか否かの判定を行い、ナビアプリ212が終了したと判定した場合(ステップS305:Yes)、処理を終了し、ナビアプリ212が終了していないと判定した場合(ステップS305:No)、処理をステップS301へ移す。
【0127】
このように、本実施形態の車載装置1は、携帯電話機2から取得した遷移情報121から携帯電話機2に画面遷移させるためのコマンド群を抽出して選択し、それらの各コマンドを携帯電話機2に予め規定された所定の画面遷移の遷移経路の順に配列してコマンド列を生成する。
【0128】
そして、この車載装置1は、生成した複数のコマンド列のうち、ユーザにより選択されたコマンド列と所定のショートカットSCとを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させ、コマンド列テーブル122に記憶しているショートカットSCを表示部101に表示させる。
【0129】
そのため、ユーザは、例えばナビアプリ212を用いた自宅までのルート案内等といった頻繁に表示させる携帯画面についてのみ、ショートカットSCを設定して車載装置1の表示部101に表示させておくことができる。
【0130】
また、この車載装置1は、ユーザが表示部101に表示されているショートカットSCを単一操作するだけで、そのショートカットSCに対応付けてコマンド列テーブル122に記憶しているコマンド列を携帯電話機2へ送信するため、ユーザによる車載装置1の操作は一回であるにも関わらず、携帯電話機2に、コマンド列の各コマンドに対応する複数の携帯操作が行われた場合と同様の画面遷移を行わせることができる。これによって、車載システムSにおける車載装置1の操作性が向上する。
【0131】
また、この車載装置1は、判定部116により車両の状態が特定の状態になったと判定された場合、たとえば、燃料がニアエンプティ状態になったと判定された場合に、「GS一覧」のショートカットSCを表示させ、継続運転時間または継続運転距離を示す値が所定値に達したと判定された場合に、「休憩所一覧」のショートカットSCを表示させるため、燃料の残量が残り少なくなった場合に、容易に最寄りのGSを検索することができ、長時間の運転が継続された場合に、容易に最寄りの休憩所を検索することができる。
【0132】
また、本実施形態では、車載装置1において連携アプリ123が実行され、携帯電話機2でナビアプリ212が実行されている場合に、所定の目的画面に画面遷移させるためのショートカットSCを表示する場合について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、ナビアプリ212とは無関係な携帯画面に画面遷移させるためのショートカットSCを表示させるように車載装置1を構成してもよい。
【0133】
たとえば、車載装置1において連携アプリ123が実行され、携帯電話機2で任意のアプリが実行されているときに、携帯電話機2の通話設定をハンズフリーモード(携帯電話機2を持たずに通話を可能とするモード)に設定する携帯画面や、音楽アプリ213が実行されていないときに音楽アプリ213を実行させる携帯画面等に画面遷移させるショートカットSCを表示するように構成してもよい。
【0134】
かかる構成とする場合、「ハンズフリー」というショートカットSCと、携帯電話機2に通話設定をハンズフリーモードに設定させるためのコマンド列とを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させておく。さらに、「音楽アプリ」というショートカットSCと携帯電話機2に音楽アプリ213を実行させるためのコマンド列をコマンド列テーブル122に記憶させておく。
【0135】
これにより、ユーザが「ハンズフリー」というショートカットSCを単一操作するだけで、携帯電話機2の通話設定をハンズフリーモードに設定することができ、「音楽アプリ」というショートカットSCを単一操作するだけで、携帯電話機2に音楽アプリ213を実行させることができるので、車載システムSにおける車載装置1の操作性をより一層向上させることができる。
【0136】
また、車載装置1の表示部101に所定の文字情報を入力する画面が表示された場合、その画面上にカナ、英字、数字等からなるキーボード画像をショートカットSCとして表示させるように車載装置1を構成してもよい。
【0137】
かかる構成とする場合、キーボード内の各文字や数字と、携帯電話機2のテンキーを用いて各文字や数字を入力する際の画面遷移の遷移経路の順に配列したコマンド列とを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させておく。
【0138】
たとえば、ひらがなの「お」というショートカットSCと、携帯電話機2のテンキーの「1」を5回操作したときの画面遷移の遷移経路の順に配列したコマンド列とを対応付けてコマンド列テーブル122に記憶させておく。
【0139】
これにより、携帯電話機2を操作して、ひらがなの「お」を入力する場合に、5回の携帯操作が必要であるが、車載装置1では、「お」というショートカットSCを一回操作するだけで入力ができ、これによっても車載装置1の操作性が向上する。
【0140】
また、本実施形態では、車載装置1の表示部101として、タッチパネル機能を備えた表示装置を用い、この表示部101に表示させたショートカットSCを操作部150として機能させたが、これ以外にも、車載装置1に各ショートカットSCとして機能する複数スイッチを設け、各スイッチが操作された場合に、各スイッチに対応するコマンド列を携帯電話機2へ送信するように車載装置1を構成してもよい。
【0141】
かかる構成とすれば、ショートカットSCの表示が車載装置1の表示部101による携帯画面の表示を妨げることがないので、表示部101の表示領域を有効に利用することができる。
【0142】
また、本実施形態の図6に示す車載装置1において、制御部100部分を車載装置1から着脱自在な制御ユニットにより構成してもよい。かかる構成とすれば、表示部101とスピーカ102を備えた比較的低機能のDAに、本実施形態の車載装置1における制御部100と同様の機能を持つ制御ユニットを装着するだけで、DAの高機能化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本実施形態に係る車載システムの概要を示す説明図である。
【図2】携帯電話機に予め規定されている階層的な画面遷移に関する情報を示す説明図である。
【図3】携帯電話機を操作して、携帯電話機の表示部に自宅までのルート案内を表示させるまでの画面遷移を示す説明図である。
【図4】車載装置の表示部を操作して、車載装置の表示部に自宅までのルート案内を表示させるまでの画面遷移を示す説明図である。
【図5】コマンド列テーブルの一例を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係る車載装置および携帯電話機の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本実施形態に係る車載装置の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態に係る車載装置の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る車載装置の制御部が実行する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0144】
1 車載装置
100 制御部
101 表示部
113 コマンド列生成部
114 遷移情報取得部
115 設定部
116 判定部
121 遷移情報
122 コマンド列テーブル
123 連携アプリ
130 表示制御部
131 操作用画像
140 車両情報取得部
141 燃料残量検知部
142 継続運転検知部
2 携帯電話機
201 表示部
210 制御部
211 連携アプリ
212 ナビアプリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置であって、
所定の開始画面から目的画面を表示するまでに階層的に画面遷移を行う前記携帯端末装置から、当該携帯端末装置が目的画面を表示するまでの画面の遷移経路を含む遷移情報を取得する遷移情報取得部と、
前記遷移情報取得部により取得された遷移情報に基づき、所定の目的画面を表示させるまでの画面の遷移経路の順に、前記携帯端末装置に画面を遷移させるためのコマンドを配列してコマンド列を生成するコマンド列生成部と、
前記コマンド列生成部により生成された前記コマンド列に対応付けられた操作部と、
前記操作部が操作された場合に、前記操作部に対応付けられた前記コマンド列を前記携帯端末装置へ送信する送信部と
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記操作部に対応付ける前記コマンド列を設定する設定部を有することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記表示部の表示画面中に前記操作部として機能する操作用画像を表示する表示制御部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
該車載装置が搭載されている車両に関する車両情報を取得する車両情報取得部と、
前記車両情報取得部により取得された前記車両情報に基づいて、前記車両の状態を判定する判定部と
を備え、
前記表示制御部は、前記判定部による判定結果に応じた所定の目的画面を表示させるまでの画面の遷移経路の順に配列された前記コマンド列に対応する前記操作用画像を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
携帯端末装置と、前記携帯端末装置に表示される画面を表示する表示部を備えた車載装置とを有する車載システムであって、
前記車載装置は、
所定の開始画面から目的画面を表示するまでに階層的に画面遷移を行う前記携帯端末装置から、当該携帯端末装置が目的画面を表示するまでの画面の遷移経路を含む遷移情報を取得する遷移情報取得部と、
前記遷移情報取得部により取得された遷移情報に基づき、所定の目的画面を表示させるまでの画面の遷移経路の順に、前記携帯端末装置に画面を遷移させるためのコマンドを配列してコマンド列を生成するコマンド列生成部と、
前記コマンド列生成部により生成された前記コマンド列に対応付けられた操作部と、
前記操作部が操作された場合に、前記操作部に対応付けられた前記コマンド列を前記携帯端末装置へ送信する送信部と
を有することを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−127781(P2010−127781A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303166(P2008−303166)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】