説明

車輪用軸受装置

【課題】軽量・コンパクト化を図ると共に、ナックルの剛性・強度を向上させた従動輪側の車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】内輪回転タイプの従動輪側の車輪用軸受装置において、ナックル11が円板状の底部11aを有し、このナックル11の底部11aと車体取付フランジ10bが突き合わせ状態で外方部材10がナックル11にボルトを介して締結され、内方部材1のインナー側の端部がナックル11によって閉塞されると共に、このナックル11に複数のピン16が螺着され、これらピン16が嵌挿されるピン孔13が車体取付フランジ10bに穿設されてナックル11に対して外方部材10が径方向に位置決めされているので、外方部材10とナックル11との軸芯合せが容易にでき、各ボルト孔との位置合せが容易になって組立作業を簡便化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承する車輪用軸受装置、詳しくは、軽量・コンパクト化を図ると共に、ナックルの剛性・強度を向上させた従動輪側の車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来構造の代表的な一例として、図4に示すような従動輪側の車輪用軸受装置が知られている。この車輪用軸受装置は第3世代と称され、内方部材50と外方部材51、および両部材50、51間に保持器52を介して転動自在に収容された複列のボール53、53を備えている。内方部材50は、ハブ輪54と、このハブ輪54に固定された内輪55とからなる。ハブ輪54は、その一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ56を一体に有し、外周に内側転走面54aと、この内側転走面54aから軸方向に延びる小径段部54bが形成されている。また、車輪取付フランジ56の円周等配位置には車輪およびブレーキロータ57を固定するためのハブボルト58が植設されている。
【0003】
ハブ輪54の小径段部54bには、外周に内側転走面55aが形成された内輪55が所定のシメシロを介して圧入固定されている。そして、小径段部54bの端部に締結された固定ナット59、あるいは、図示しないが、小径段部54bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって、ハブ輪54に対して内輪55が軸方向へ抜けるのを防止している。
【0004】
外方部材51は、外周に懸架装置を構成するナックル60に取り付けられるための車体取付フランジ62を一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが形成されている。そして、この複列の外側転走面51a、51aと、これら複列の外側転走面51a、51aに対向する内側転走面54a、55aとの間には複列のボール53、53が転動自在に収容されている。
【特許文献1】特開2002−81452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような従来の車輪用軸受装置では、外方部材51のパイロット部61を嵌挿するためにナックル60の内径部が開放されているので、ナックル60の剛性・強度が不足すると共に、軸受のインナー側に配設されたシールおよびセンサ(図示せず)に雨水やダスト等の異物が直接かかり、信頼性が低下するという問題点がある。このような問題を解決するために、ナックル60の内径部を閉塞して外方部材51のパイロット部61を廃止することが望ましいが、これでは組立時に外方部材51とナックル60との軸芯合せが困難になり組立誤差が生じる恐れがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたもので、軽量・コンパクト化を図ると共に、ナックルの剛性・強度を向上させた従動輪側の車輪用軸受装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた従動輪側の車輪用軸受装置において、前記ナックルが円板状の底部を有し、このナックルの底部と前記車体取付フランジが突き合わせ状態で前記外方部材が当該ナックルにボルトを介して締結され、前記内方部材のインナー側の端部が前記ナックルによって閉塞されると共に、このナックルに複数のピンが固定され、これらピンが嵌挿されるピン孔が前記車体取付フランジに穿設されて前記ナックルに対して前記外方部材が径方向に位置決めされている。
【0008】
このように、内輪回転タイプの従動輪側の車輪用軸受装置において、ナックルが円板状の底部を有し、このナックルの底部と車体取付フランジが突き合わせ状態で外方部材がナックルにボルトを介して締結され、内方部材のインナー側の端部がナックルによって閉塞されると共に、このナックルに複数のピンが固定され、これらピンが嵌挿されるピン孔が車体取付フランジに穿設されてナックルに対して外方部材が径方向に位置決めされているので、装置の軽量・コンパクト化を図りつつ、ナックルの剛性・強度を向上させることができると共に、外方部材とナックルとの軸芯合せが容易にでき、各ボルト孔との位置合せが容易になり組立作業を簡便化することができる。
【0009】
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記ナックルの底部に雌ねじが形成されると共に、前記ピンが、前記ピン孔に嵌挿される先端部と、前記雌ねじに螺着されるねじ部とを備えていれば、ナックルにピンを確実、かつ容易に固定することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、前記ピンの先端部が前記ねじ部よりも小径に形成され、当該ピンが段付き形状に形成されていれば、運転中に振動等によりピンが抜け落ちるのを防止することができ、信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明のように、前記ピンの先端部とねじ部との間に鍔部が一体に形成されていれば、ピンが抜け落ちるのを防止すると共に、ナックルに対するピン自体の位置決めを確実に行うことができ、外方部材の車体取付フランジをナックルに密着させて接合部の密封性を向上させることができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明のように、前記ナックルの底部にピン孔が形成される共に、このピン孔に所定のシメシロを介して当該ピンが圧入されていれば、ピンの構造および組立性を簡略化することができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明のように、前記内方部材が、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなると共に、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって所定の軸受予圧が付与された状態で前記内輪が軸方向に固定されていれば、装置の強度・剛性を高めると共に、軽量・コンパクト化を一層図ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る車輪用軸受装置は、外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた従動輪側の車輪用軸受装置において、前記ナックルが円板状の底部を有し、このナックルの底部と前記車体取付フランジが突き合わせ状態で前記外方部材が当該ナックルにボルトを介して締結され、前記内方部材のインナー側の端部が前記ナックルによって閉塞されると共に、このナックルに複数のピンが固定され、これらピンが嵌挿されるピン孔が前記車体取付フランジに穿設されて前記ナックルに対して前記外方部材が径方向に位置決めされているので、装置の軽量・コンパクト化を図りつつ、ナックルの剛性・強度を向上させることができると共に、外方部材とナックルとの軸芯合せが容易にでき、各ボルト孔との位置合せが容易になり組立作業を簡便化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備え、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部により前記内輪が軸方向に固定された車輪用軸受装置において、前記ナックルが円板状の底部を有し、このナックルの底部と前記車体取付フランジが突き合わせ状態で前記外方部材が当該ナックルにボルトを介して締結され、前記内方部材のインナー側の端部が前記ナックルによって閉塞されると共に、このナックルに複数のピンが螺着され、これらピンが嵌挿されるピン孔が前記車体取付フランジに穿設されて前記ナックルに対して前記外方部材が径方向に位置決めされている。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の外方部材単体を示す正面図、図3は、位置決め用のピンの変形例を示す要部拡大図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
【0017】
この車輪用軸受装置は従動輪側の第3世代と称され、内方部材1と外方部材10、および両部材1、10間に転動自在に収容された複列の転動体(ボール)6、6を備えている。内方部材1は、ハブ輪2と、このハブ輪2に所定のシメシロを介して圧入された内輪3とからなる。
【0018】
ハブ輪2は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ4を一体に有し、この車輪取付フランジ4の円周等配位置に車輪を固定するためのハブボルト5が植設されている。また、ハブ輪2の外周にはアウター側(一方)の内側転走面2aと、この内側転走面2aから軸方向に延びる小径段部2bが形成されている。そして、外周にインナー側(他方)の内側転走面3aが形成された内輪3がこの小径段部2bに圧入され、さらに、小径段部2bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部2cにより、所定の軸受予圧が付与された状態で、ハブ輪2に対して内輪3が軸方向に固定されている。これにより、装置の強度・剛性が高まると共に、軽量・コンパクト化を図ることができる。
【0019】
ハブ輪2は、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼(JIS規格のSC系機械構造用炭素鋼)で形成され、アウター側の内側転走面2aをはじめ、シール8が摺接するシールランド部、および小径段部2bに亙り高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、加締部2cは、鍛造後の素材表面硬さ25HRC以下の未焼入れ部としている。こうした高周波焼入れパターンによりハブ輪2の強度が向上すると共に、内輪3の嵌合面におけるフレッティング摩耗が抑制されて耐久性が向上する。また、加締部2cの加工性を向上させ、塑性変形によるクラック等の発生を防止することができる。一方、内輪3および転動体6はSUJ2等からなる高炭素クロム鋼からなり、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0020】
外方部材10は、外周にナックル11に取り付けるための車体取付フランジ10bを一体に有し、内周に複列の外側転走面10a、10aが形成されている。この外方部材10は、ハブ輪2と同様、S53C等の炭素0.40〜0.80重量%を含む中高炭素鋼で形成され、複列の外側転走面10a、10aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。そして、それぞれの転走面10a、2aと10a、3a間に複列の転動体6、6が収容され、保持器7、7によりこれら複列の転動体6、6が転動自在に保持されている。また、外方部材10と内方部材1との間に形成される環状空間の開口部にはシール8、9が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から雨水やダスト等が軸受内部に侵入するのを防止している。
【0021】
また、内輪3の外径にはパルサーリング23が装着されている。このパルサーリング23は、内輪3の外径に嵌合される円筒部24a、およびこの円筒部24aから径方向外方に延びる立板部24bからなるスリンガ24と、このスリンガ24における立板部24bの側面に加硫接着等により一体に接合された磁気エンコーダ25とからなる。
【0022】
スリンガ24は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)あるいは防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からなり、プレス加工によって断面略L字状に、全体として円環状に形成されている。
【0023】
また、磁気エンコーダ25は、ゴム等からなるエラストマにフェライト等からなる強磁性体粉を混入させ、周方向に交互に磁極N、Sが等ピッチとなるように着磁され、車輪回転速度の検出用のロータリエンコーダを構成している。また、この磁気エンコーダ25に所定のエアギャップを介して対峙する速度検出センサ(図示せず)がナックル11に固定されている。そして、車輪の回転に伴って内輪3と共に磁気エンコーダ25が回転すると、この磁気エンコーダ25に対峙する回転速度センサの出力が変化する。この回転速度センサの出力が変化する周波数は車輪の回転速度に比例するため、回転速度センサの出力信号を図示しない制御器に入力すれば、ABSを適切に制御することができる。
【0024】
ここでは、ハブ輪2の外周に直接内側転走面2aが形成された第3世代と呼称される車輪用軸受装置を例示したが、本発明に係る車輪用軸受装置はこうした構造に限定されず、例えば、図示はしないが、ハブ輪の小径段部に一対の内輪が圧入固定された、所謂第2世代構造であっても良い。なお、転動体6、6をボールとした複列アンギュラ玉軸受を例示したが、これに限らず、転動体6に円すいころを使用した複列円すいころ軸受であっても良い。
【0025】
ここで、本実施形態では、ナックル11に円板状の底部11aが一体に形成され、内方部材1のインナー側が閉塞されている。すなわち、外方部材10の外周にナックル11と嵌合するためのパイロット部が形成されておらず、外方部材10の車体取付フランジ10bとナックル11とが突き合わせ状態で外方部材10がボルト(図示せず)を介して締結されている。これにより、装置の軽量・コンパクト化が図れると共に、ナックル11の剛性・強度を向上させることができる。また、パルサーリング23の検出部に外部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止し、検出精度を長期間に亙って維持することができる。
【0026】
また、図2に示すように、外方部材10の車体取付フランジ10bには締結用のボルト孔12が複数(ここでは4個)穿設されているが、これらボルト孔12間にピン孔13が複数(ここでは2個)穿設されている。一方、図1に示すように、ナックル11にはこれらボルト孔12とピン孔13に対応する位置にボルト孔14と雌ねじ15が形成され、雌ねじ15に位置決め用のピン16が螺着されている。このピン16は、ピン孔13に嵌挿される先端部17と、ナックル11の雌ねじ15に螺着されるねじ部18とで構成されている。これにより、ピン16をナックル11に確実、かつ容易に固定することができる。そして、外方部材10のピン孔13にピン16が嵌挿され、外方部材10がナックル11に対して径方向に位置決めされた状態で固定されている。これにより、外方部材10とナックル11との軸芯合せが容易にできると共に、各ボルト孔12、14との位置合せが容易になり組立作業を簡便化することができる。なお、ピン16の構造や組立性を簡略化するために、ねじ部18で締結せずにピン16を所定のシメシロを介してナックル11に圧入しても良い。
【0027】
図3は位置決め用のピンの変形例を示しているが、(a)に示すように、ピン19が、車体取付フランジ10bのピン孔13に嵌挿される先端部17と、この先端部17より大径に形成され、ナックル11の雌ねじ15に螺着されるねじ部20からなる段付き形状に形成されている。ピン19をこのような段付き形状にすることにより、運転中に振動等によりピン19が抜け落ちるのを防止することができ、信頼性を向上させることができる。また、(b)に示すように、ピン21が、車体取付フランジ10bのピン孔13に嵌挿される先端部17と、ナックル11の雌ねじ15に螺着されるねじ部18、およびこれら先端部17とねじ部18との間に形成された鍔部22で構成されている。このようにピン21に鍔部22を形成することにより、ピン21が抜け落ちるのを防止すると共に、ナックル11に対するピン21自体の位置決めを確実に行うことができ、外方部材10の車体取付フランジ10bをナックル11に密着させて接合部の密封性を向上させることができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る車輪用軸受装置は従動輪側で、内輪回転タイプの第2世代または第3世代構造の車輪用軸受装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の外方部材単体を示す正面図である。
【図3】(a)は、図1のピンの変形例を示す要部拡大図である。 (b)は、同上他の変形例を示す要部拡大図である。
【図4】従来の車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0031】
1・・・・・・・・・・内方部材
2・・・・・・・・・・ハブ輪
2a、3a・・・・・・内側転走面
2b・・・・・・・・・小径段部
2c・・・・・・・・・加締部
3・・・・・・・・・・内輪
4・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
5・・・・・・・・・・ハブボルト
6・・・・・・・・・・転動体
7・・・・・・・・・・保持器
8、9・・・・・・・・シール
10・・・・・・・・・外方部材
10a・・・・・・・・外側転走面
10b・・・・・・・・車体取付フランジ
11・・・・・・・・・ナックル
12、14・・・・・・ボルト孔
13・・・・・・・・・ピン孔
15・・・・・・・・・雌ねじ
16、19、21・・・ピン
17・・・・・・・・・先端部
18、20・・・・・・ねじ部
22・・・・・・・・・鍔部
23・・・・・・・・・パルサーリング
24・・・・・・・・・スリンガ
24a・・・・・・・・円筒部
24b・・・・・・・・立板部
25・・・・・・・・・磁気エンコーダ
50・・・・・・・・・内方部材
51・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・外側転走面
52・・・・・・・・・保持器
53・・・・・・・・・ボール
54・・・・・・・・・ハブ輪
54a、55a・・・・内側転走面
54b・・・・・・・・小径段部
55・・・・・・・・・内輪
56・・・・・・・・・車輪取付フランジ
57・・・・・・・・・ブレーキロータ
58・・・・・・・・・ハブボルト
59・・・・・・・・・固定ナット
60・・・・・・・・・ナックル
61・・・・・・・・・パイロット部
62・・・・・・・・・車体取付フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に懸架装置を構成するナックルに取り付けられる車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が形成された外方部材と、
一端部に車輪取付フランジを一体に有し、外周に小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に保持器を介して転動自在に収容された複列の転動体とを備えた従動輪側の車輪用軸受装置において、
前記ナックルが円板状の底部を有し、このナックルの底部と前記車体取付フランジが突き合わせ状態で前記外方部材が当該ナックルにボルトを介して締結され、前記内方部材のインナー側の端部が前記ナックルによって閉塞されると共に、このナックルに複数のピンが固定され、これらピンが嵌挿されるピン孔が前記車体取付フランジに穿設されて前記ナックルに対して前記外方部材が径方向に位置決めされていることを特徴とする車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記ナックルの底部に雌ねじが形成されると共に、前記ピンが、前記ピン孔に嵌挿される先端部と、前記雌ねじに螺着されるねじ部とを備えている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記ピンの先端部が前記ねじ部よりも小径に形成され、当該ピンが段付き形状に形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記ピンの先端部とねじ部との間に鍔部が一体に形成されている請求項1または2に記載の車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記ナックルの底部にピン孔が形成される共に、このピン孔に所定のシメシロを介して当該ピンが圧入されている請求項1に記載の車輪用軸受装置。
【請求項6】
前記内方部材が、外周に前記複列の外側転走面に対向する一方の内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に所定のシメシロを介して圧入され、外周に前記複列の外側転走面に対向する他方の内側転走面が形成された内輪からなると共に、前記小径段部の端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部によって所定の軸受予圧が付与された状態で前記内輪が軸方向に固定されている請求項1乃至5いずれかに記載の車輪用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−265361(P2008−265361A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−106967(P2007−106967)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】