運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラム
【課題】ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供すること。
【解決手段】運転支援装置50は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定部51aと、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、車両の減速を促す旨の案内を行う案内部51bと、回生電力特定部51aにより特定された、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内部51bが案内を行うタイミングを設定する設定部51cとを備え、案内部51bは、設定部51cにて設定されたタイミングで新たな案内を行う。
【解決手段】運転支援装置50は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定部51aと、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、車両の減速を促す旨の案内を行う案内部51bと、回生電力特定部51aにより特定された、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内部51bが案内を行うタイミングを設定する設定部51cとを備え、案内部51bは、設定部51cにて設定されたタイミングで新たな案内を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータジェネレータを備えた車両においては、モータジェネレータを走行時の動力源として用いると共に、車両の減速時にはモータジェネレータを回生ブレーキとして使用することで電力を回生させ、バッテリに蓄電することが行われている。
【0003】
回生ブレーキによる電力の回生量を増大させることで車両のエネルギー効率向上に寄与できることから、車両の減速には可能な限り回生ブレーキを使用することがエネルギー効率上は望ましい。しかし、回生ブレーキの制動力には上限があるため、ドライバの急なブレーキ操作等により回生ブレーキの上限を超える制動力が必要な場合には摩擦ブレーキによる制動も使用されることとなる。この場合、車両の運動エネルギーの一部は摩擦ブレーキにより熱エネルギーへと変換されてしまうため、回生ブレーキのみを用いて減速を行うよりも回生ブレーキで回生可能な電力量は減少してしまう。
【0004】
そこで、ドライバに対して適当なブレーキ操作を案内する車両用運転支援装置が提案されている。この車両用運転支援装置は、車両の現在位置に基づき進行方向に位置する要減速地点の地図情報を抽出し、この抽出した要減速地点の地図情報に基づいて、その要減速地点における目標車速を設定し、現在車速から目標車速まで回生ブレーキで減速する場合に必要な減速距離を算出する。そして、要減速地点から減速距離分手前に位置するブレーキ開始地点に車両が到達した場合にブレーキ操作の案内を開始する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−221889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の装置では、運転操作の傾向がドライバ毎に異なっていることや、同一ドライバであっても運転操作の傾向が変動しうることを考慮していなかったため、一律に同じブレーキ開始地点でブレーキ操作の案内を行っていた。このため、ドライバによっては例えばブレーキ操作の案内が行われるタイミングが遅いと感じて必要以上に急なブレーキ操作を行ってしまい、回生ブレーキの上限を超える制動力が必要となり、回生ブレーキによる電力の回生量が減少してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の運転支援装置は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段と、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段と、前記回生電力特定手段により特定された、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する設定手段と、を備え、前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングで新たな前記案内を行う。
【0009】
また、請求項2に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、更に、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する。
【0010】
また、請求項3に記載の運転支援装置は、請求項1又は2に記載の運転支援装置において、前記対象地物の種別を特定する種別特定手段を備え、前記設定手段は、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別毎に、前記案内を行うタイミングを設定し、前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングの内、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う。
【0011】
また、請求項4に記載の運転支援装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、前記ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを早める。
【0012】
また、請求項5に記載の運転支援装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを遅らせる。
【0013】
また、請求項6に記載の運転支援装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段にて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段を備え、前記案内手段は、前記タイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で前記案内を行う。
【0014】
また、請求項7に記載の運転支援方法は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定ステップと、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内ステップと、前記回生電力特定ステップで特定された、前記案内ステップで前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内ステップで前記案内を行うタイミングを設定する設定ステップと、を含み、前記案内ステップで、前記設定ステップで設定されたタイミングで新たな前記案内を行う。
【0015】
また、請求項8に記載の運転支援プログラムは、請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の運転支援装置、請求項7に記載の運転支援方法、及び請求項8に記載の運転支援プログラムによれば、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内を行うタイミングを設定し、当該設定されたタイミングで新たな案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0017】
また、請求項2に記載の運転支援装置によれば、更に、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、案内を行うタイミングを設定するので、ドライバの運転傾向を考慮して、適切なブレーキ操作が行われるように案内を行うことができる。
【0018】
また、請求項3に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、種別特定手段が特定した対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、案内手段は、設定手段にて設定されたタイミングの内、種別特定手段が特定した対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮し、対象地物の種別に応じた適切なタイミングで、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0019】
また、請求項4に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、案内手段が案内を行うタイミングを早めるので、回生電力が回生上限電力に達しない程度の緩やかなブレーキ操作をドライバが行うことが可能なタイミングで案内を行うことができ、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0020】
また、請求項5に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、案内手段が案内を行うタイミングを遅らせるので、案内手段による案内が行われた後にドライバが車両を加速させる必要が無い程度に対象地物に車両が接近したタイミングで案内を行うことができ、無駄な加速操作やブレーキ操作を防止することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の運転支援装置によれば、案内手段は、タイミング情報格納手段に格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮した最適なタイミングで案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1に係る運転支援装置が利用される状況を例示した概要図である。
【図2】実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。
【図3】タイミングDBに記憶されている情報を例示した表である。
【図4】運転支援処理のフローチャートである。
【図5】図4に続く運転支援処理のフローチャートである。
【図6】案内部が案内出力を開始してからの経過時間と制動パワーとの関係を例示したグラフである。
【図7】設定処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係るタイミングDBに記憶されている情報を例示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、以下の説明では、モータジェネレータ及びバッテリを備え、モータジェネレータを回生ブレーキとして利用する車両に、運転支援装置が搭載されているものとする。
【0024】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る運転支援装置について説明する。この実施の形態1は、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作と、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力とに基づき、案内を行うタイミングを設定する形態である。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る運転支援装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係る運転支援装置が利用される状況を例示した概要図である。図1に示すように、例えば交差点で車両を停止させる際、ドライバの運転傾向を考慮した適切なタイミングで運転支援装置がブレーキ操作を促す案内を行うことにより、ドライバのブレーキ操作に応じて効率よく回生ブレーキにより電力を回生することができる。なお、以下の説明では、交差点、一時停止線、踏切等、車両を停止させるべき対象となる地物、及び、カーブ、ETC料金所、高速出口等、車両を減速させるべき対象となる地物を、「対象地物」と記載する。
【0026】
図2は実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。運転支援システム1は車両に搭載されており、図2に示すように、ECU(Electronic Control Unit)10、現在位置検出処理部20、ディスプレイ30、スピーカ40、及び運転支援装置50を備えている。
【0027】
(構成−ECU)
ECU10は、車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、シフトポジションセンサ等の各種センサ(いずれも図示省略)からの出力に基づき、車両のエンジン、モータジェネレータ、バッテリ等(いずれも図示省略)を制御する。このECU10から、車速、アクセル開度、ブレーキ踏力、バッテリの電圧、電流、充電許容電力等の各種情報が運転支援装置50に入力される。
【0028】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部20は、運転支援システム1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部20は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0029】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ30は、運転支援装置50の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ30の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0030】
(構成−スピーカ)
スピーカ40は、運転支援装置50の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ40より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0031】
(構成−運転支援装置)
運転支援装置50は、制御部51、及びデータ記録部52を備えている。
【0032】
(構成−運転支援装置−制御部)
制御部51は、運転支援装置50を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態1に係る運転支援プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して運転支援装置50にインストールされることで、制御部51の各部を実質的に構成する。
【0033】
この制御部51は、機能概念的に、回生電力特定部51a、案内部51b、及び設定部51cを備えている。回生電力特定部51aは、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段である。案内部51bは、ディスプレイ30やスピーカ40を介して車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段である。設定部51cは、案内部51bが案内を行うタイミングを設定する設定手段である。すなわち、設定部51cは案内部51bが次回以降の案内を行うタイミングを設定し、案内部51bは、車両が対象地物を通過した後、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングであって設定部51cにより設定されたタイミングで新たな案内を行う。なお、「設定」には、案内部51bが案内を行うタイミングを各種の条件に応じて変更することが含まれる。これらの制御部51の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0034】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
データ記録部52は、運転支援装置50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0035】
このデータ記録部52は、地図情報データベース52a(以下、データベースをDBと略記する)、及びタイミングDB52bを備えている。
【0036】
地図情報DB52aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、対象地物データ(交差点、一時停止線、踏切、カーブ、ETC料金所、高速出口等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ30に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0037】
タイミングDB52bは、設定部51cにて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段である。図3は、タイミングDB52bに記憶されている情報を例示した表である。図3に示すように、タイミングDB52bには、項目「対象地物ID」及び「設定距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「対象地物ID」に対応して格納される情報は、設定部51cにより案内タイミングの設定が行われた対象地物を一意に識別する識別情報である(図3では「0101」等)。項目「設定距離」に対応して格納される情報は、設定部51cにて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報である。図3では、案内を行うタイミングとなった時の車両と対象地物との距離(以下、「案内距離」と記載する)であって設定部51cにて設定された距離(以下、「設定距離」)を示す数値が、タイミング情報として格納されている。なお図3では、対象地物ID毎に9個の設定距離が昇順に格納されている。
【0038】
(処理−運転支援処理)
次に、このように構成された運転支援システム1によって実行される運転支援処理について説明する。図4及び5は運転支援処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この運転支援処理は、例えば、運転支援システム1に電源が投入され車両が走行を開始した後に実行される。なお、車両が走行を開始したか否かについては、例えばECU10からの入力に基づき、シフトポジションがパーキングからドライブとなった際に車両が走行を開始したと判定する。
【0039】
運転支援処理が開始されると、案内部51bは、現在位置検出処理部20を介して車両の現在位置を特定し、地図上において車両の前方に存在する対象地物を地図情報DB52aの対象地物データに基づき検索する(SA1)。
【0040】
続いて案内部51bは、SA1で対象地物を検索した結果、車両の前方に対象地物があるか否かを判定する(SA2)。例えば案内部51bは、車両が現在走行している道路の進行方向における所定距離以内に、対象地物があるか否かを判定する。
【0041】
その結果、車両の前方に対象地物がある場合(SA2、Yes)、すなわち車両が対象地物をまだ通過していない場合、案内部51bは、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みか否かを判定する(SA3)。案内部51bは、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bに格納されており、且つ、その対象地物IDに関連付けて所定数(図3の例では9個)のタイミング情報がタイミングDB52bに格納されている場合に、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。
【0042】
その結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みである場合(SA3、Yes)、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に基づき、設定距離を案内距離として設定する(SA4)。この場合、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図3のタイミングDB52bによれば、例えば車両の前方にある対象地物の対象地物IDが「0101」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である135mが案内距離として設定される。
【0043】
図4にもどり、SA3の判定の結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みではない場合(SA3、No)、案内部51bは、所定の初期値を案内距離として設定する(SA5)。この初期値としては、例えば一般的な生活圏を想定し、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速60km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離150mを用いる。
【0044】
SA4又はSA5の処理の後、案内部51bは、車両の現在位置から対象地物までの距離が、SA4又はSA5で設定した案内距離以下となったか否かを判定する(SA6)。なお、案内部51bは、現在位置検出処理部20を介して特定した車両の現在位置と、地図情報DB52aから取得した対象地物の位置とに基づき、車両の現在位置から対象地物までの距離を特定する。
【0045】
その結果、車両の現在位置から対象地物までの距離が、SA4又はSA5で設定した案内距離以下となった場合(SA6、Yes)、案内部51bは設定開始フラグをONにする(SA7)。この設定開始フラグは、設定部51cによる設定開始の条件が満たされているか否かを特定するためのフラグであり、RAM(図示省略)に記憶される。
【0046】
続いて案内部51bは、スピーカ40を介して案内音声を出力済みか否かを判定し(SA8)、案内音声を出力済みではない場合(SA8、No)、スピーカ40を介して車両の減速を促す旨の案内音声を出力させる(SA9)。例えば案内部51bは、「ブレーキをゆっくり踏み込みながら一定の踏み代状態にし、対象地物に停止して下さい」との案内音声をスピーカ40から出力させる。
【0047】
スピーカ40を介して案内音声を出力済みの場合(SA8、Yes)、又はSA9の処理の後、案内部51bはディスプレイ30を介して車両の減速を促す旨の案内表示を出力させる(SA10)。例えば案内部51bは、「ブレーキをゆっくり踏み込みながら一定の踏み代状態にし、対象地物に停止して下さい」とのメッセージをディスプレイ30に表示させる。SA9でスピーカ40から出力された案内音声やSA10でディスプレイ30から出力された案内表示を受けてドライバがブレーキ操作を行うことで、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより電力が回生される。
【0048】
続いて回生電力特定部51aは、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力を特定する(SA11)。例えば回生電力特定部51aは、ECU10から入力されたバッテリの電圧値と電流値とを掛け合わせることで回生電力を特定する。
【0049】
図5に進み、設定部51cは、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっているか否かを判定する(SA12)。回生上限電力とは、回生ブレーキにより回生することができる電力の上限値であり、設定部51cは、例えばECU10から入力された充電許容電力を回生上限電力としてSA12の判定を行う。なお、充電許容電力は、例えばバッテリの温度に応じて変動する値である。
【0050】
その結果、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっている場合(SA12、Yes)、ドライバのブレーキ操作に応じて必要となった制動パワーが回生上限電力を超え、回生ブレーキに加えて摩擦ブレーキによる制動も使用されているものとし、設定部51cは、回生電力が回生上限電力となっていた時間を示す上限時間をカウントアップする(SA13)。この上限時間はRAMに記憶されており、設定部51cは、前回SA12の判定を行ってから今回SA12の判定が行われるまでの経過時間をRAMに記憶されている上限時間に加算する。
【0051】
図6は、案内部51bが案内出力を開始してからの経過時間と制動パワーとの関係を例示したグラフである。この図6では、制動パワーと回生上限電力との関係の理解を容易とするため、制動パワーの単位を「kW」で表示している。図6では回生上限電力が20kWとなっており、案内距離が43m及び64mの場合には、制動パワーが回生上限電力を超えてしまっている。この場合には回生ブレーキに加えて摩擦ブレーキによる制動も使用されるため、回生ブレーキのみを使用して車両を減速させる場合と比較して回生ブレーキによる電力の回生量が減少してしまう。この場合、制動パワーが回生上限電力を超えている時間(例えば案内距離が43mの場合について、図6で両矢印で示されている時間)が、上限時間として設定部51cによってカウントアップされる。一方、案内距離が75mの場合には、制動パワーが回生上限電力を超えておらず、回生電力が回生上限電力となっていない。従って、設定部51cによって上限時間はカウントアップされない。
【0052】
図5に戻り、SA12において、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっていない場合(SA12、No)、又はSA13の処理の後、設定部51cは、車両の加速が実施されているか否かを判定する(SA14)。具体的には、設定部51cはECU10から入力されたアクセル開度に基づき、車両の加速が実施されているか否かを判定する。あるいは、ECU10から入力された車速に基づき、車両の加速が実施されているか否かを判定してもよい。
【0053】
その結果、車両の加速が実施されている場合(SA14、Yes)、案内部51bから車両の減速を促す旨の案内が出力された後であるにも関わらず加速操作が行われたものとし、設定部51cは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでに車両の加速が実施されていた時間を示す再加速時間をカウントアップする(SA15)。この再加速時間はRAMに記憶されており、設定部51cは、前回SA14の判定を行ってから今回SA14の判定が行われるまでの経過時間をRAMに記憶されている再加速時間に加算する。
【0054】
SA14において、車両の加速が実施されていない場合(SA14、No)、又はSA15の処理の後、設定部51cは、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されているか否かを判定する(SA16)。具体的には、設定部51cはECU10から入力されたブレーキ踏力に基づき、車両の減速が実施されているか否かを判定する。あるいは、ECU10から入力された車速に基づき、車両の減速が実施されているか否かを判定してもよい。
【0055】
その結果、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されている場合(SA16、Yes)、車両の加速が行われた後にブレーキ操作が行われたものとし、設定部51cは再減速フラグをONにする(SA17)。この再減速フラグは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでにブレーキ操作が行われたか否かを特定するためのフラグであり、RAM(図示省略)に記憶される。
【0056】
SA16において、RAMに記憶されている再加速時間が0である場合、若しくは車両の減速が実施されていない場合(SA16、No)、又はSA17の処理の後、制御部51はSA1に戻る。
【0057】
また、図4のSA2において車両の前方に対象地物がない場合(SA2、No)、及び、SA6において車両の現在位置から対象地物までの距離がSA4又はSA5で設定した案内距離よりも大きい場合(SA6、No)、設定部51cは設定処理を実行する(SA18)。設定処理が終了した後、制御部51はSA1に戻る。
【0058】
(処理−設定処理)
ここで、設定処理について説明する。図7は設定処理のフローチャートである。
【0059】
設定処理が開始されると、設定部51cは、RAMに記憶されている設定開始フラグがONか否かを判定する(SB1)。その結果、設定開始フラグがONではない場合(設定開始フラグがOFFの場合)(SB1、No)、設定開始の条件が満たされていないものとし、設定部51cは設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0060】
一方、設定開始フラグがONである場合(SB1、Yes)、設定部51cは、RAMに記憶されている再減速フラグがONか否かを判定する(SB2)。
【0061】
その結果、再減速フラグがONである場合(SB2、Yes)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている再加速時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB3)。仮設定距離は、設定処理において設定距離を決定するための仮の値であり、設定部51cは、例えば図7に示すように、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離から、RAMに記憶されている再加速時間と仮定車速10m/sとの積を減算した値を、仮設定距離として算出する。このように算出された仮設定距離は、再加速時間に比例して案内距離よりも短い距離となっていることから、この仮設定距離を案内距離として用いることで、車両の減速を促す旨の案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも遅らせることができる。
【0062】
一方、再減速フラグがONではない場合(再減速フラグがOFFの場合)(SB2、No)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている上限時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB4)。設定部51cは、例えば図7に示すように、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離に、RAMに記憶されている上限時間と仮定車速10m/sとの積を加算した値を、仮設定距離として算出する。このように算出された仮設定距離は、上限時間に比例して案内距離よりも長い距離となっていることから、この仮設定距離を案内距離として用いることで、車両の減速を促す旨の案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも早めることができる。
【0063】
SB3又はSB4の処理の後、設定部51cは、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上か否かを判定する(SB5)。
【0064】
その結果、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上である場合(SB5、Yes)、設定部51cは、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速70km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離200mを仮設定距離として設定する(SB6)。
【0065】
一方、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上ではない(200m未満である)場合(SB5、No)、設定部51cは、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が60m以下か否かを判定する(SB7)。
【0066】
その結果、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が60m以下である場合(SB7、Yes)、設定部51cは、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速40km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離60mを仮設定距離として設定する(SB6)。
【0067】
SB6若しくはSB8の処理の後、又は、SB7においてSB3若しくはSB4で算出した仮設定距離が60m以下ではない場合(SB7、No)、設定部51cは、最新の仮設定距離を設定距離として設定し(SB9)、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けて、タイミング情報としてタイミングDB52bに格納する。設定部51cは、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値より大きく最大値より小さい場合であって、当該複数の設定距離の内の中央の値よりも小さい場合には、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加すると共に、タイミングDB52bに格納されていた複数の設定距離の内の最大値を削除する。一方、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値より大きく最大値より小さい場合であって、当該複数の設定距離の内の中央の値よりも大きい場合には、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加すると共に、タイミングDB52bに格納されていた複数の設定距離の内の最小値を削除する。また、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値以下、又は最大値以上の場合には、SB9で設定した設定距離はイレギュラーな値であるものとし、設定部51cは当該設定距離をタイミングDB52bに追加しない。なお、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けてタイミングDB52bに格納されている設定距離の数が所定数(図3の例では9個)に満たない場合には、当該タイミングDB52bに格納されていた設定距離を削除することなく、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加する。
【0068】
ここで、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDが「0101」であり、図4のSA4において、図3のタイミングDB52bにおける対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値「135m」が案内距離として設定され、SA9及びSA10で案内部51bにより案内が出力された場合を例として考える。この場合において、図7のSB3で仮設定距離として「122m」が算出され、この「122m」がSB9で設定距離として設定された場合、この設定距離「122m」は、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より大きく最大値「148m」より小さい。また、複数の設定距離の内の中央値「135m」より小さい。そこで設定部51cは、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離に「122m」を追加すると共に、タイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離の内の最大値「148m」をタイミングDB52bから削除する。これにより、対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値は、「135m」から「124m」に変更される。すなわち、図4のSA4において案内部51bが案内距離として設定する設定距離が短くなるので、車両の減速を促す旨の新たな案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも遅らせることができる。
【0069】
また、図7のSB4で仮設定距離として「138m」が算出され、この「138m」がSB9で設定距離として設定された場合、この設定距離「138m」は、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より大きく最大値「148m」より小さい。また、複数の設定距離の内の中央値「135m」より大きい。そこで設定部51cは、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離に「138m」を追加すると共に、タイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離の内の最小値「105m」をタイミングDB52bから削除する。これにより、対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値は、「135m」から「138m」に変更される。すなわち、図4のSA4において案内部51bが案内距離として設定する設定距離が長くなるので、車両の減速を促す旨の新たな案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも早めることができる。
【0070】
また、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDが「0101」であり、SB9で設定された設定距離が98mである場合、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より小さいことから、設定部51cは当該設定距離「98m」をタイミングDB52bに追加しない。
【0071】
図7に戻り、SB9の処理の後、設定部51cはRAMに記憶されている設定開始フラグ、再減速フラグ、上限時間、及び再加速時間をクリアし(SB10)、設定処理を終了する。その後、メインルーチンに戻る。
【0072】
(効果)
このように本実施の形態1によれば、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内を行うタイミングを設定し、当該設定されたタイミングで新たな案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0073】
また、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、案内を行うタイミングを設定するので、ドライバの運転傾向を考慮して、適切なブレーキ操作が行われるように案内を行うことができる。
【0074】
また、設定部51cは、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、案内部51bが案内を行うタイミングを早めるので、回生電力が回生上限電力に達しない程度の緩やかなブレーキ操作をドライバが行うことが可能なタイミングで案内を行うことができ、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0075】
また、設定部51cは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、案内部51bが案内を行うタイミングを遅らせるので、案内部51bによる案内が行われた後にドライバが車両を加速させる必要が無い程度に対象地物に車両が接近したタイミングで案内を行うことができ、無駄な加速操作やブレーキ操作を防止することができる。
【0076】
また、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮した最適なタイミングで案内を行うことができる。
【0077】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、設定手段にて設定されたタイミングの内、対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0078】
(構成)
まず、実施の形態2に係る運転支援システム1の構成について説明する。なお、実施の形態2に係る運転支援システム1の構成は、運転支援装置50の制御部51の構成、及びタイミングDB52bの内容を除いて実施の形態1の運転支援システム1と同様であるので、図示を省略する。
【0079】
(構成−運転支援装置−制御部)
実施の形態2に係る運転支援装置50の制御部51は、実施の形態1の制御部51と同様の構成に加えて、種別特定部を備えている。種別特定部は、対象地物の種別を特定する種別特定手段である。この種別特定部を含む制御部51の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0080】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
実施の形態2に係るタイミングDB52bは、実施の形態1において図3を参照して説明したように、対象地物ID毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する他、対象地物の種別毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する。図8は、実施の形態2に係るタイミングDB52bに記憶されている情報を例示した表である。図8に示すように、実施の形態2に係るタイミングDB52bには、図3に示した表と同様の、対象地物ID毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する地物テーブルの他、対象地物の種別毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する地物種別テーブルが格納されている。この地物種別テーブルには、項目「対象地物種別」及び「設定距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「対象地物種別」に対応して格納される情報は、設定部51cにより案内タイミングの設定が行われた対象地物の種別を特定する種別情報である(図8では「一時停止」等)。
【0081】
(処理−運転支援処理)
次に、実施の形態2の運転支援システム1によって実行される運転支援処理について説明する。なお、本実施の形態2に係る運転支援処理は、図4のSA3及びSA4の処理の内容を除いて実施の形態1の運転支援処理と同様であるので、フローチャートの図示を省略する。
【0082】
図4のSA2において、車両の前方に対象地物がある場合(SA2、Yes)、案内部51bは、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みか否かを判定する(SA3)。この時、種別特定部は、地図情報DB52aに格納されている地物データに基づき、車両の前方にある対象地物の種別を特定する。
【0083】
ここで案内部51bは、実施の形態1と同様に、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されている場合に、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。さらに、車両の前方にある対象地物の対象地物IDが地物テーブルに格納されていない場合であっても、当該対象地物の種別に対応する種別情報が地物種別テーブルに格納されている場合には、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。
【0084】
SA3の判定の結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みである場合(SA3、Yes)、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に基づき、設定距離を案内距離として設定する(SA4)。車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されており、且つ、その対象地物IDに関連付けて所定数(図8の例では9個)のタイミング情報が地物テーブルに格納されている場合には、実施の形態1と同様に、案内部51bは、対象地物IDに関連付けて地物テーブルに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図8のタイミングDB52bの地物テーブルによれば、例えば車両の前方にある対象地物の対象地物IDが「0101」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である135mが案内距離として設定される。
【0085】
さらに、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されていない場合であっても、当該対象地物の種別に対応する種別情報が地物種別テーブルに格納されており、且つ、その種別情報に関連付けて所定数(図8の例では9個)のタイミング情報が地物種別テーブルに格納されている場合には、案内部51bは、対象地物の種別に関連付けて地物種別テーブルに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図8のタイミングDB52bの地物種別テーブルによれば、例えば車両の前方にある対象地物の種別が「一時停止」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である137mが案内距離として設定される。
【0086】
(処理−設定処理)
次に、実施の形態2の設定処理について説明する。なお、本実施の形態2に係る設定処理は、図7のSB9の処理の内容を除いて実施の形態1の設定処理と同様であるので、フローチャートの図示を省略する。
【0087】
図7のSB9において、設定部51cは、最新の仮設定距離を設定距離として設定し(SB9)、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けて、設定した設定距離をタイミング情報としてタイミングDB52bの地物テーブルに格納すると共に、車両が最後に通過した対象地物の種別に関連付けて、設定した設定距離をタイミング情報としてタイミングDB52bの地物種別テーブルに格納する。
【0088】
(効果)
このように実施の形態2によれば、設定部51cは、種別特定部が特定した対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、案内部51bは、設定部51cにて設定されたタイミングの内、種別特定部が特定した対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮し、対象地物の種別に応じた適切なタイミングで、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0089】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0090】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0091】
(タイミングDBについて)
上述の実施の形態2では、タイミングDB52bの地物種別テーブルが、対象地物の種別として、「一時停止」「右左折交差点」「踏切」等の種別毎にタイミング情報を格納する場合を例として説明したが、例えば、車両が走行している道路の制限車速の範囲、レーン数、曲率、勾配等を対象地物の種別とし、これらの種別に関連付けてタイミング情報を格納するようにしてもよい。さらに、対象地物の複数の種別の組み合わせ毎に、タイミング情報を格納するようにしてもよい。
【0092】
(運転支援処理について)
上述の各実施の形態では、図4に示した運転支援処理のSA3で、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みではないと判定した場合(SA3、No)、案内部51bは、所定の初期値を案内距離として設定する(SA5)と説明したが、実施の形態2で説明したように種別特定部によって対象地物の種別を特定した場合には、当該特定した種別に応じて初期値を変更するようにしてもよい。
【0093】
また、上述の各実施の形態では、図5に示した運転支援処理のSA14で車両の加速が実施されていると判定した場合(SA14、Yes)、設定部51cは再加速時間をカウントアップする(SA15)と説明したが、例えば車載レーダ等によって車両の周辺における障害物(例えば前方で停止中の車両や工事現場等)を発見した場合には、この障害物が外乱となって車両の加速が行われたものとし、再加速時間のカウントアップを行わないようにしてもよい。また、SA16で、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されていると判定した場合(SA16、Yes)、設定部51cは再減速フラグをONにする(SA17)と説明したが、車載レーダ等によって車両の周辺における障害物を発見した場合には、この障害物が外乱となって車両のブレーキ操作が行われたものとし、再減速フラグをONにしないようにしてもよい。
【0094】
(設定処理について)
上述の各実施の形態では、図7に示した設定処理のSB2において再減速フラグがONではないと判定した場合(SB2、No)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている上限時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB4)と説明したが、再減速フラグがONではないと判定した場合(SB2、No)、RAMに格納されている上限時間が0より大きい値にカウントアップされているか否かを判定し、上限時間が0より大きい値にカウントアップされている場合に、SA4又はSA5で設定した案内距離と上限時間とに基づき仮設定距離を算出するようにしてもよい。この場合、再減速フラグがONか否かの判定を行うSB2の処理と、上限時間が0より大きい値にカウントアップされているか否かの判定を行う処理との実行順序を入れ替えてもよい。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、図7に示した設定処理のSB9で設定した設定距離を、タイミング情報としてタイミングDB52bに格納すると説明したが、車両が通過した対象地物の対象地物IDに対応するタイミング情報がタイミングDB52bに格納されていない場合(すなわち、当該対象地物を初めて通過した場合)、SB9で設定した設定距離を所定数(図3の例では9個)タイミングDB52bに格納するようにしてもよい。
【0096】
また、上述の各実施の形態では、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作と、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力とに基づき、案内を行うタイミングを設定する場合を例として説明したが、回生ブレーキにより回生された電力のみに基づいて案内を行うタイミングを設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 運転支援システム
10 ECU
20 現在位置検出処理部
30 ディスプレイ
40 スピーカ
50 運転支援装置
51 制御部
51a 回生電力特定部
51b 案内部
51c 設定部
52 データ記録部
52a 地図情報DB
52b タイミングDB
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータジェネレータを備えた車両においては、モータジェネレータを走行時の動力源として用いると共に、車両の減速時にはモータジェネレータを回生ブレーキとして使用することで電力を回生させ、バッテリに蓄電することが行われている。
【0003】
回生ブレーキによる電力の回生量を増大させることで車両のエネルギー効率向上に寄与できることから、車両の減速には可能な限り回生ブレーキを使用することがエネルギー効率上は望ましい。しかし、回生ブレーキの制動力には上限があるため、ドライバの急なブレーキ操作等により回生ブレーキの上限を超える制動力が必要な場合には摩擦ブレーキによる制動も使用されることとなる。この場合、車両の運動エネルギーの一部は摩擦ブレーキにより熱エネルギーへと変換されてしまうため、回生ブレーキのみを用いて減速を行うよりも回生ブレーキで回生可能な電力量は減少してしまう。
【0004】
そこで、ドライバに対して適当なブレーキ操作を案内する車両用運転支援装置が提案されている。この車両用運転支援装置は、車両の現在位置に基づき進行方向に位置する要減速地点の地図情報を抽出し、この抽出した要減速地点の地図情報に基づいて、その要減速地点における目標車速を設定し、現在車速から目標車速まで回生ブレーキで減速する場合に必要な減速距離を算出する。そして、要減速地点から減速距離分手前に位置するブレーキ開始地点に車両が到達した場合にブレーキ操作の案内を開始する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−221889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の装置では、運転操作の傾向がドライバ毎に異なっていることや、同一ドライバであっても運転操作の傾向が変動しうることを考慮していなかったため、一律に同じブレーキ開始地点でブレーキ操作の案内を行っていた。このため、ドライバによっては例えばブレーキ操作の案内が行われるタイミングが遅いと感じて必要以上に急なブレーキ操作を行ってしまい、回生ブレーキの上限を超える制動力が必要となり、回生ブレーキによる電力の回生量が減少してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる、運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の運転支援装置は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段と、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段と、前記回生電力特定手段により特定された、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する設定手段と、を備え、前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングで新たな前記案内を行う。
【0009】
また、請求項2に記載の運転支援装置は、請求項1に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、更に、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する。
【0010】
また、請求項3に記載の運転支援装置は、請求項1又は2に記載の運転支援装置において、前記対象地物の種別を特定する種別特定手段を備え、前記設定手段は、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別毎に、前記案内を行うタイミングを設定し、前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングの内、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う。
【0011】
また、請求項4に記載の運転支援装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、前記ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを早める。
【0012】
また、請求項5に記載の運転支援装置は、請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段は、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを遅らせる。
【0013】
また、請求項6に記載の運転支援装置は、請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置において、前記設定手段にて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段を備え、前記案内手段は、前記タイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で前記案内を行う。
【0014】
また、請求項7に記載の運転支援方法は、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定ステップと、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内ステップと、前記回生電力特定ステップで特定された、前記案内ステップで前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内ステップで前記案内を行うタイミングを設定する設定ステップと、を含み、前記案内ステップで、前記設定ステップで設定されたタイミングで新たな前記案内を行う。
【0015】
また、請求項8に記載の運転支援プログラムは、請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の運転支援装置、請求項7に記載の運転支援方法、及び請求項8に記載の運転支援プログラムによれば、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内を行うタイミングを設定し、当該設定されたタイミングで新たな案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0017】
また、請求項2に記載の運転支援装置によれば、更に、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、案内を行うタイミングを設定するので、ドライバの運転傾向を考慮して、適切なブレーキ操作が行われるように案内を行うことができる。
【0018】
また、請求項3に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、種別特定手段が特定した対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、案内手段は、設定手段にて設定されたタイミングの内、種別特定手段が特定した対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮し、対象地物の種別に応じた適切なタイミングで、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0019】
また、請求項4に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、案内手段が案内を行うタイミングを早めるので、回生電力が回生上限電力に達しない程度の緩やかなブレーキ操作をドライバが行うことが可能なタイミングで案内を行うことができ、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0020】
また、請求項5に記載の運転支援装置によれば、設定手段は、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、案内手段が案内を行うタイミングを遅らせるので、案内手段による案内が行われた後にドライバが車両を加速させる必要が無い程度に対象地物に車両が接近したタイミングで案内を行うことができ、無駄な加速操作やブレーキ操作を防止することができる。
【0021】
また、請求項6に記載の運転支援装置によれば、案内手段は、タイミング情報格納手段に格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮した最適なタイミングで案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態1に係る運転支援装置が利用される状況を例示した概要図である。
【図2】実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。
【図3】タイミングDBに記憶されている情報を例示した表である。
【図4】運転支援処理のフローチャートである。
【図5】図4に続く運転支援処理のフローチャートである。
【図6】案内部が案内出力を開始してからの経過時間と制動パワーとの関係を例示したグラフである。
【図7】設定処理のフローチャートである。
【図8】実施の形態2に係るタイミングDBに記憶されている情報を例示した表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る運転支援装置、運転支援方法、及び運転支援プログラムの各実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、これらの各実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、以下の説明では、モータジェネレータ及びバッテリを備え、モータジェネレータを回生ブレーキとして利用する車両に、運転支援装置が搭載されているものとする。
【0024】
〔実施の形態1〕
まず、実施の形態1に係る運転支援装置について説明する。この実施の形態1は、案内手段が案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作と、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力とに基づき、案内を行うタイミングを設定する形態である。
【0025】
(構成)
最初に、実施の形態1に係る運転支援装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態1に係る運転支援装置が利用される状況を例示した概要図である。図1に示すように、例えば交差点で車両を停止させる際、ドライバの運転傾向を考慮した適切なタイミングで運転支援装置がブレーキ操作を促す案内を行うことにより、ドライバのブレーキ操作に応じて効率よく回生ブレーキにより電力を回生することができる。なお、以下の説明では、交差点、一時停止線、踏切等、車両を停止させるべき対象となる地物、及び、カーブ、ETC料金所、高速出口等、車両を減速させるべき対象となる地物を、「対象地物」と記載する。
【0026】
図2は実施の形態1に係る運転支援システムを例示するブロック図である。運転支援システム1は車両に搭載されており、図2に示すように、ECU(Electronic Control Unit)10、現在位置検出処理部20、ディスプレイ30、スピーカ40、及び運転支援装置50を備えている。
【0027】
(構成−ECU)
ECU10は、車速センサ、アクセルセンサ、ブレーキセンサ、シフトポジションセンサ等の各種センサ(いずれも図示省略)からの出力に基づき、車両のエンジン、モータジェネレータ、バッテリ等(いずれも図示省略)を制御する。このECU10から、車速、アクセル開度、ブレーキ踏力、バッテリの電圧、電流、充電許容電力等の各種情報が運転支援装置50に入力される。
【0028】
(構成−現在位置検出処理部)
現在位置検出処理部20は、運転支援システム1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出手段である。具体的には、現在位置検出処理部20は、GPS、地磁気センサ、距離センサ、又はジャイロセンサ(いずれも図示省略)の少なくとも一つを有し、現在の車両の位置(座標)及び方位等を公知の方法にて検出する。
【0029】
(構成−ディスプレイ)
ディスプレイ30は、運転支援装置50の制御に基づいて各種情報の表示出力を行う出力手段である。なお、このディスプレイ30の具体的な構成は任意であり、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイを使用することができる。
【0030】
(構成−スピーカ)
スピーカ40は、運転支援装置50の制御に基づいて各種の音声を出力する出力手段である。スピーカ40より出力される音声の具体的な態様は任意であり、必要に応じて生成された合成音声や、予め録音された音声を出力することができる。
【0031】
(構成−運転支援装置)
運転支援装置50は、制御部51、及びデータ記録部52を備えている。
【0032】
(構成−運転支援装置−制御部)
制御部51は、運転支援装置50を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態1に係る運転支援プログラムは、任意の記録媒体又はネットワークを介して運転支援装置50にインストールされることで、制御部51の各部を実質的に構成する。
【0033】
この制御部51は、機能概念的に、回生電力特定部51a、案内部51b、及び設定部51cを備えている。回生電力特定部51aは、回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段である。案内部51bは、ディスプレイ30やスピーカ40を介して車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段である。設定部51cは、案内部51bが案内を行うタイミングを設定する設定手段である。すなわち、設定部51cは案内部51bが次回以降の案内を行うタイミングを設定し、案内部51bは、車両が対象地物を通過した後、車両から対象地物までの距離に基づくタイミングであって設定部51cにより設定されたタイミングで新たな案内を行う。なお、「設定」には、案内部51bが案内を行うタイミングを各種の条件に応じて変更することが含まれる。これらの制御部51の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0034】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
データ記録部52は、運転支援装置50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0035】
このデータ記録部52は、地図情報データベース52a(以下、データベースをDBと略記する)、及びタイミングDB52bを備えている。
【0036】
地図情報DB52aは、地図情報を格納する地図情報格納手段である。「地図情報」は、例えばリンクデータ(リンク番号、接続ノード番号、道路座標、道路種別、車線数、走行規制等)、ノードデータ(ノード番号、座標)、地物データ(信号機、道路標識、ガードレール、建物等)、対象地物データ(交差点、一時停止線、踏切、カーブ、ETC料金所、高速出口等)、施設データ(各施設の位置、各施設の種別等)、地形データ、地図をディスプレイ30に表示するための地図表示データ等を含んで構成されている。
【0037】
タイミングDB52bは、設定部51cにて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段である。図3は、タイミングDB52bに記憶されている情報を例示した表である。図3に示すように、タイミングDB52bには、項目「対象地物ID」及び「設定距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「対象地物ID」に対応して格納される情報は、設定部51cにより案内タイミングの設定が行われた対象地物を一意に識別する識別情報である(図3では「0101」等)。項目「設定距離」に対応して格納される情報は、設定部51cにて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報である。図3では、案内を行うタイミングとなった時の車両と対象地物との距離(以下、「案内距離」と記載する)であって設定部51cにて設定された距離(以下、「設定距離」)を示す数値が、タイミング情報として格納されている。なお図3では、対象地物ID毎に9個の設定距離が昇順に格納されている。
【0038】
(処理−運転支援処理)
次に、このように構成された運転支援システム1によって実行される運転支援処理について説明する。図4及び5は運転支援処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この運転支援処理は、例えば、運転支援システム1に電源が投入され車両が走行を開始した後に実行される。なお、車両が走行を開始したか否かについては、例えばECU10からの入力に基づき、シフトポジションがパーキングからドライブとなった際に車両が走行を開始したと判定する。
【0039】
運転支援処理が開始されると、案内部51bは、現在位置検出処理部20を介して車両の現在位置を特定し、地図上において車両の前方に存在する対象地物を地図情報DB52aの対象地物データに基づき検索する(SA1)。
【0040】
続いて案内部51bは、SA1で対象地物を検索した結果、車両の前方に対象地物があるか否かを判定する(SA2)。例えば案内部51bは、車両が現在走行している道路の進行方向における所定距離以内に、対象地物があるか否かを判定する。
【0041】
その結果、車両の前方に対象地物がある場合(SA2、Yes)、すなわち車両が対象地物をまだ通過していない場合、案内部51bは、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みか否かを判定する(SA3)。案内部51bは、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bに格納されており、且つ、その対象地物IDに関連付けて所定数(図3の例では9個)のタイミング情報がタイミングDB52bに格納されている場合に、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。
【0042】
その結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みである場合(SA3、Yes)、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に基づき、設定距離を案内距離として設定する(SA4)。この場合、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図3のタイミングDB52bによれば、例えば車両の前方にある対象地物の対象地物IDが「0101」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である135mが案内距離として設定される。
【0043】
図4にもどり、SA3の判定の結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みではない場合(SA3、No)、案内部51bは、所定の初期値を案内距離として設定する(SA5)。この初期値としては、例えば一般的な生活圏を想定し、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速60km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離150mを用いる。
【0044】
SA4又はSA5の処理の後、案内部51bは、車両の現在位置から対象地物までの距離が、SA4又はSA5で設定した案内距離以下となったか否かを判定する(SA6)。なお、案内部51bは、現在位置検出処理部20を介して特定した車両の現在位置と、地図情報DB52aから取得した対象地物の位置とに基づき、車両の現在位置から対象地物までの距離を特定する。
【0045】
その結果、車両の現在位置から対象地物までの距離が、SA4又はSA5で設定した案内距離以下となった場合(SA6、Yes)、案内部51bは設定開始フラグをONにする(SA7)。この設定開始フラグは、設定部51cによる設定開始の条件が満たされているか否かを特定するためのフラグであり、RAM(図示省略)に記憶される。
【0046】
続いて案内部51bは、スピーカ40を介して案内音声を出力済みか否かを判定し(SA8)、案内音声を出力済みではない場合(SA8、No)、スピーカ40を介して車両の減速を促す旨の案内音声を出力させる(SA9)。例えば案内部51bは、「ブレーキをゆっくり踏み込みながら一定の踏み代状態にし、対象地物に停止して下さい」との案内音声をスピーカ40から出力させる。
【0047】
スピーカ40を介して案内音声を出力済みの場合(SA8、Yes)、又はSA9の処理の後、案内部51bはディスプレイ30を介して車両の減速を促す旨の案内表示を出力させる(SA10)。例えば案内部51bは、「ブレーキをゆっくり踏み込みながら一定の踏み代状態にし、対象地物に停止して下さい」とのメッセージをディスプレイ30に表示させる。SA9でスピーカ40から出力された案内音声やSA10でディスプレイ30から出力された案内表示を受けてドライバがブレーキ操作を行うことで、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより電力が回生される。
【0048】
続いて回生電力特定部51aは、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力を特定する(SA11)。例えば回生電力特定部51aは、ECU10から入力されたバッテリの電圧値と電流値とを掛け合わせることで回生電力を特定する。
【0049】
図5に進み、設定部51cは、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっているか否かを判定する(SA12)。回生上限電力とは、回生ブレーキにより回生することができる電力の上限値であり、設定部51cは、例えばECU10から入力された充電許容電力を回生上限電力としてSA12の判定を行う。なお、充電許容電力は、例えばバッテリの温度に応じて変動する値である。
【0050】
その結果、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっている場合(SA12、Yes)、ドライバのブレーキ操作に応じて必要となった制動パワーが回生上限電力を超え、回生ブレーキに加えて摩擦ブレーキによる制動も使用されているものとし、設定部51cは、回生電力が回生上限電力となっていた時間を示す上限時間をカウントアップする(SA13)。この上限時間はRAMに記憶されており、設定部51cは、前回SA12の判定を行ってから今回SA12の判定が行われるまでの経過時間をRAMに記憶されている上限時間に加算する。
【0051】
図6は、案内部51bが案内出力を開始してからの経過時間と制動パワーとの関係を例示したグラフである。この図6では、制動パワーと回生上限電力との関係の理解を容易とするため、制動パワーの単位を「kW」で表示している。図6では回生上限電力が20kWとなっており、案内距離が43m及び64mの場合には、制動パワーが回生上限電力を超えてしまっている。この場合には回生ブレーキに加えて摩擦ブレーキによる制動も使用されるため、回生ブレーキのみを使用して車両を減速させる場合と比較して回生ブレーキによる電力の回生量が減少してしまう。この場合、制動パワーが回生上限電力を超えている時間(例えば案内距離が43mの場合について、図6で両矢印で示されている時間)が、上限時間として設定部51cによってカウントアップされる。一方、案内距離が75mの場合には、制動パワーが回生上限電力を超えておらず、回生電力が回生上限電力となっていない。従って、設定部51cによって上限時間はカウントアップされない。
【0052】
図5に戻り、SA12において、回生電力特定部51aが特定した回生電力が回生上限電力となっていない場合(SA12、No)、又はSA13の処理の後、設定部51cは、車両の加速が実施されているか否かを判定する(SA14)。具体的には、設定部51cはECU10から入力されたアクセル開度に基づき、車両の加速が実施されているか否かを判定する。あるいは、ECU10から入力された車速に基づき、車両の加速が実施されているか否かを判定してもよい。
【0053】
その結果、車両の加速が実施されている場合(SA14、Yes)、案内部51bから車両の減速を促す旨の案内が出力された後であるにも関わらず加速操作が行われたものとし、設定部51cは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでに車両の加速が実施されていた時間を示す再加速時間をカウントアップする(SA15)。この再加速時間はRAMに記憶されており、設定部51cは、前回SA14の判定を行ってから今回SA14の判定が行われるまでの経過時間をRAMに記憶されている再加速時間に加算する。
【0054】
SA14において、車両の加速が実施されていない場合(SA14、No)、又はSA15の処理の後、設定部51cは、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されているか否かを判定する(SA16)。具体的には、設定部51cはECU10から入力されたブレーキ踏力に基づき、車両の減速が実施されているか否かを判定する。あるいは、ECU10から入力された車速に基づき、車両の減速が実施されているか否かを判定してもよい。
【0055】
その結果、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されている場合(SA16、Yes)、車両の加速が行われた後にブレーキ操作が行われたものとし、設定部51cは再減速フラグをONにする(SA17)。この再減速フラグは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでにブレーキ操作が行われたか否かを特定するためのフラグであり、RAM(図示省略)に記憶される。
【0056】
SA16において、RAMに記憶されている再加速時間が0である場合、若しくは車両の減速が実施されていない場合(SA16、No)、又はSA17の処理の後、制御部51はSA1に戻る。
【0057】
また、図4のSA2において車両の前方に対象地物がない場合(SA2、No)、及び、SA6において車両の現在位置から対象地物までの距離がSA4又はSA5で設定した案内距離よりも大きい場合(SA6、No)、設定部51cは設定処理を実行する(SA18)。設定処理が終了した後、制御部51はSA1に戻る。
【0058】
(処理−設定処理)
ここで、設定処理について説明する。図7は設定処理のフローチャートである。
【0059】
設定処理が開始されると、設定部51cは、RAMに記憶されている設定開始フラグがONか否かを判定する(SB1)。その結果、設定開始フラグがONではない場合(設定開始フラグがOFFの場合)(SB1、No)、設定開始の条件が満たされていないものとし、設定部51cは設定処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0060】
一方、設定開始フラグがONである場合(SB1、Yes)、設定部51cは、RAMに記憶されている再減速フラグがONか否かを判定する(SB2)。
【0061】
その結果、再減速フラグがONである場合(SB2、Yes)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている再加速時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB3)。仮設定距離は、設定処理において設定距離を決定するための仮の値であり、設定部51cは、例えば図7に示すように、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離から、RAMに記憶されている再加速時間と仮定車速10m/sとの積を減算した値を、仮設定距離として算出する。このように算出された仮設定距離は、再加速時間に比例して案内距離よりも短い距離となっていることから、この仮設定距離を案内距離として用いることで、車両の減速を促す旨の案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも遅らせることができる。
【0062】
一方、再減速フラグがONではない場合(再減速フラグがOFFの場合)(SB2、No)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている上限時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB4)。設定部51cは、例えば図7に示すように、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離に、RAMに記憶されている上限時間と仮定車速10m/sとの積を加算した値を、仮設定距離として算出する。このように算出された仮設定距離は、上限時間に比例して案内距離よりも長い距離となっていることから、この仮設定距離を案内距離として用いることで、車両の減速を促す旨の案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも早めることができる。
【0063】
SB3又はSB4の処理の後、設定部51cは、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上か否かを判定する(SB5)。
【0064】
その結果、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上である場合(SB5、Yes)、設定部51cは、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速70km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離200mを仮設定距離として設定する(SB6)。
【0065】
一方、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が200m以上ではない(200m未満である)場合(SB5、No)、設定部51cは、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が60m以下か否かを判定する(SB7)。
【0066】
その結果、SB3又はSB4で算出した仮設定距離が60m以下である場合(SB7、Yes)、設定部51cは、勾配が5%の降坂路において減速度0.1Gで車速40km/hから停止するまでに車両が走行する概算距離60mを仮設定距離として設定する(SB6)。
【0067】
SB6若しくはSB8の処理の後、又は、SB7においてSB3若しくはSB4で算出した仮設定距離が60m以下ではない場合(SB7、No)、設定部51cは、最新の仮設定距離を設定距離として設定し(SB9)、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けて、タイミング情報としてタイミングDB52bに格納する。設定部51cは、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値より大きく最大値より小さい場合であって、当該複数の設定距離の内の中央の値よりも小さい場合には、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加すると共に、タイミングDB52bに格納されていた複数の設定距離の内の最大値を削除する。一方、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値より大きく最大値より小さい場合であって、当該複数の設定距離の内の中央の値よりも大きい場合には、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加すると共に、タイミングDB52bに格納されていた複数の設定距離の内の最小値を削除する。また、SB9で設定した設定距離が、タイミングDB52bの項目「設定距離」に対応して格納されている複数の設定距離の内の最小値以下、又は最大値以上の場合には、SB9で設定した設定距離はイレギュラーな値であるものとし、設定部51cは当該設定距離をタイミングDB52bに追加しない。なお、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けてタイミングDB52bに格納されている設定距離の数が所定数(図3の例では9個)に満たない場合には、当該タイミングDB52bに格納されていた設定距離を削除することなく、SB9で設定した設定距離をタイミングDB52bに追加する。
【0068】
ここで、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDが「0101」であり、図4のSA4において、図3のタイミングDB52bにおける対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値「135m」が案内距離として設定され、SA9及びSA10で案内部51bにより案内が出力された場合を例として考える。この場合において、図7のSB3で仮設定距離として「122m」が算出され、この「122m」がSB9で設定距離として設定された場合、この設定距離「122m」は、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より大きく最大値「148m」より小さい。また、複数の設定距離の内の中央値「135m」より小さい。そこで設定部51cは、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離に「122m」を追加すると共に、タイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離の内の最大値「148m」をタイミングDB52bから削除する。これにより、対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値は、「135m」から「124m」に変更される。すなわち、図4のSA4において案内部51bが案内距離として設定する設定距離が短くなるので、車両の減速を促す旨の新たな案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも遅らせることができる。
【0069】
また、図7のSB4で仮設定距離として「138m」が算出され、この「138m」がSB9で設定距離として設定された場合、この設定距離「138m」は、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より大きく最大値「148m」より小さい。また、複数の設定距離の内の中央値「135m」より大きい。そこで設定部51cは、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離に「138m」を追加すると共に、タイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている設定距離の内の最小値「105m」をタイミングDB52bから削除する。これにより、対象地物ID「0101」に対応する9個の設定距離の内の中央の値は、「135m」から「138m」に変更される。すなわち、図4のSA4において案内部51bが案内距離として設定する設定距離が長くなるので、車両の減速を促す旨の新たな案内を案内部51bが行うタイミングを前回の案内タイミングよりも早めることができる。
【0070】
また、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDが「0101」であり、SB9で設定された設定距離が98mである場合、図3のタイミングDB52bの対象地物ID「0101」に関連付けて格納されている複数の設定距離の内の最小値「105m」より小さいことから、設定部51cは当該設定距離「98m」をタイミングDB52bに追加しない。
【0071】
図7に戻り、SB9の処理の後、設定部51cはRAMに記憶されている設定開始フラグ、再減速フラグ、上限時間、及び再加速時間をクリアし(SB10)、設定処理を終了する。その後、メインルーチンに戻る。
【0072】
(効果)
このように本実施の形態1によれば、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、案内を行うタイミングを設定し、当該設定されたタイミングで新たな案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮して、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0073】
また、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、案内を行うタイミングを設定するので、ドライバの運転傾向を考慮して、適切なブレーキ操作が行われるように案内を行うことができる。
【0074】
また、設定部51cは、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、案内部51bが案内を行うタイミングを早めるので、回生電力が回生上限電力に達しない程度の緩やかなブレーキ操作をドライバが行うことが可能なタイミングで案内を行うことができ、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0075】
また、設定部51cは、案内部51bが案内を行ってから車両が対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、案内部51bが案内を行うタイミングを遅らせるので、案内部51bによる案内が行われた後にドライバが車両を加速させる必要が無い程度に対象地物に車両が接近したタイミングで案内を行うことができ、無駄な加速操作やブレーキ操作を防止することができる。
【0076】
また、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮した最適なタイミングで案内を行うことができる。
【0077】
〔実施の形態2〕
次に、実施の形態2について説明する。この実施の形態2は、対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、設定手段にて設定されたタイミングの内、対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う形態である。なお、実施の形態2の構成は、特記する場合を除いて、実施の形態1の構成と略同一であり、実施の形態1の構成と略同一の構成についてはこの実施の形態1で用いたものと同一の符号及び/又は名称を必要に応じて付して、その説明を省略する。
【0078】
(構成)
まず、実施の形態2に係る運転支援システム1の構成について説明する。なお、実施の形態2に係る運転支援システム1の構成は、運転支援装置50の制御部51の構成、及びタイミングDB52bの内容を除いて実施の形態1の運転支援システム1と同様であるので、図示を省略する。
【0079】
(構成−運転支援装置−制御部)
実施の形態2に係る運転支援装置50の制御部51は、実施の形態1の制御部51と同様の構成に加えて、種別特定部を備えている。種別特定部は、対象地物の種別を特定する種別特定手段である。この種別特定部を含む制御部51の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0080】
(構成−運転支援装置−データ記録部)
実施の形態2に係るタイミングDB52bは、実施の形態1において図3を参照して説明したように、対象地物ID毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する他、対象地物の種別毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する。図8は、実施の形態2に係るタイミングDB52bに記憶されている情報を例示した表である。図8に示すように、実施の形態2に係るタイミングDB52bには、図3に示した表と同様の、対象地物ID毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する地物テーブルの他、対象地物の種別毎に複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納する地物種別テーブルが格納されている。この地物種別テーブルには、項目「対象地物種別」及び「設定距離」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「対象地物種別」に対応して格納される情報は、設定部51cにより案内タイミングの設定が行われた対象地物の種別を特定する種別情報である(図8では「一時停止」等)。
【0081】
(処理−運転支援処理)
次に、実施の形態2の運転支援システム1によって実行される運転支援処理について説明する。なお、本実施の形態2に係る運転支援処理は、図4のSA3及びSA4の処理の内容を除いて実施の形態1の運転支援処理と同様であるので、フローチャートの図示を省略する。
【0082】
図4のSA2において、車両の前方に対象地物がある場合(SA2、Yes)、案内部51bは、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みか否かを判定する(SA3)。この時、種別特定部は、地図情報DB52aに格納されている地物データに基づき、車両の前方にある対象地物の種別を特定する。
【0083】
ここで案内部51bは、実施の形態1と同様に、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されている場合に、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。さらに、車両の前方にある対象地物の対象地物IDが地物テーブルに格納されていない場合であっても、当該対象地物の種別に対応する種別情報が地物種別テーブルに格納されている場合には、その対象地物までに車両を停止又は減速させるためのブレーキ操作を促す案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みと判定する。
【0084】
SA3の判定の結果、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みである場合(SA3、Yes)、案内部51bは、タイミングDB52bに格納されているタイミング情報に基づき、設定距離を案内距離として設定する(SA4)。車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されており、且つ、その対象地物IDに関連付けて所定数(図8の例では9個)のタイミング情報が地物テーブルに格納されている場合には、実施の形態1と同様に、案内部51bは、対象地物IDに関連付けて地物テーブルに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図8のタイミングDB52bの地物テーブルによれば、例えば車両の前方にある対象地物の対象地物IDが「0101」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である135mが案内距離として設定される。
【0085】
さらに、車両の前方にある対象地物の対象地物IDがタイミングDB52bの地物テーブルに格納されていない場合であっても、当該対象地物の種別に対応する種別情報が地物種別テーブルに格納されており、且つ、その種別情報に関連付けて所定数(図8の例では9個)のタイミング情報が地物種別テーブルに格納されている場合には、案内部51bは、対象地物の種別に関連付けて地物種別テーブルに格納されているタイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で案内を行うように案内距離を設定する。すなわち図8のタイミングDB52bの地物種別テーブルによれば、例えば車両の前方にある対象地物の種別が「一時停止」である場合、対応する9個の設定距離の内の中央の値である137mが案内距離として設定される。
【0086】
(処理−設定処理)
次に、実施の形態2の設定処理について説明する。なお、本実施の形態2に係る設定処理は、図7のSB9の処理の内容を除いて実施の形態1の設定処理と同様であるので、フローチャートの図示を省略する。
【0087】
図7のSB9において、設定部51cは、最新の仮設定距離を設定距離として設定し(SB9)、車両が最後に通過した対象地物の対象地物IDに関連付けて、設定した設定距離をタイミング情報としてタイミングDB52bの地物テーブルに格納すると共に、車両が最後に通過した対象地物の種別に関連付けて、設定した設定距離をタイミング情報としてタイミングDB52bの地物種別テーブルに格納する。
【0088】
(効果)
このように実施の形態2によれば、設定部51cは、種別特定部が特定した対象地物の種別毎に、案内を行うタイミングを設定し、案内部51bは、設定部51cにて設定されたタイミングの内、種別特定部が特定した対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行うので、ドライバの運転傾向を考慮し、対象地物の種別に応じた適切なタイミングで、効率よく回生ブレーキによる電力の回生が行われるように案内を行うことができる。
【0089】
〔各実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る各実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0090】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0091】
(タイミングDBについて)
上述の実施の形態2では、タイミングDB52bの地物種別テーブルが、対象地物の種別として、「一時停止」「右左折交差点」「踏切」等の種別毎にタイミング情報を格納する場合を例として説明したが、例えば、車両が走行している道路の制限車速の範囲、レーン数、曲率、勾配等を対象地物の種別とし、これらの種別に関連付けてタイミング情報を格納するようにしてもよい。さらに、対象地物の複数の種別の組み合わせ毎に、タイミング情報を格納するようにしてもよい。
【0092】
(運転支援処理について)
上述の各実施の形態では、図4に示した運転支援処理のSA3で、案内を行うタイミングが設定部51cによって設定済みではないと判定した場合(SA3、No)、案内部51bは、所定の初期値を案内距離として設定する(SA5)と説明したが、実施の形態2で説明したように種別特定部によって対象地物の種別を特定した場合には、当該特定した種別に応じて初期値を変更するようにしてもよい。
【0093】
また、上述の各実施の形態では、図5に示した運転支援処理のSA14で車両の加速が実施されていると判定した場合(SA14、Yes)、設定部51cは再加速時間をカウントアップする(SA15)と説明したが、例えば車載レーダ等によって車両の周辺における障害物(例えば前方で停止中の車両や工事現場等)を発見した場合には、この障害物が外乱となって車両の加速が行われたものとし、再加速時間のカウントアップを行わないようにしてもよい。また、SA16で、RAMに記憶されている再加速時間が0よりも大きい値にカウントアップされており、且つ車両の減速が実施されていると判定した場合(SA16、Yes)、設定部51cは再減速フラグをONにする(SA17)と説明したが、車載レーダ等によって車両の周辺における障害物を発見した場合には、この障害物が外乱となって車両のブレーキ操作が行われたものとし、再減速フラグをONにしないようにしてもよい。
【0094】
(設定処理について)
上述の各実施の形態では、図7に示した設定処理のSB2において再減速フラグがONではないと判定した場合(SB2、No)、設定部51cは、図4のSA4又はSA5で設定した案内距離とRAMに記憶されている上限時間とに基づき、仮設定距離を算出する(SB4)と説明したが、再減速フラグがONではないと判定した場合(SB2、No)、RAMに格納されている上限時間が0より大きい値にカウントアップされているか否かを判定し、上限時間が0より大きい値にカウントアップされている場合に、SA4又はSA5で設定した案内距離と上限時間とに基づき仮設定距離を算出するようにしてもよい。この場合、再減速フラグがONか否かの判定を行うSB2の処理と、上限時間が0より大きい値にカウントアップされているか否かの判定を行う処理との実行順序を入れ替えてもよい。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、図7に示した設定処理のSB9で設定した設定距離を、タイミング情報としてタイミングDB52bに格納すると説明したが、車両が通過した対象地物の対象地物IDに対応するタイミング情報がタイミングDB52bに格納されていない場合(すなわち、当該対象地物を初めて通過した場合)、SB9で設定した設定距離を所定数(図3の例では9個)タイミングDB52bに格納するようにしてもよい。
【0096】
また、上述の各実施の形態では、案内部51bが案内を行ってから対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作と、ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力とに基づき、案内を行うタイミングを設定する場合を例として説明したが、回生ブレーキにより回生された電力のみに基づいて案内を行うタイミングを設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1 運転支援システム
10 ECU
20 現在位置検出処理部
30 ディスプレイ
40 スピーカ
50 運転支援装置
51 制御部
51a 回生電力特定部
51b 案内部
51c 設定部
52 データ記録部
52a 地図情報DB
52b タイミングDB
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段と、
車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段と、
前記回生電力特定手段により特定された、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する設定手段と、を備え、
前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングで新たな前記案内を行う、
運転支援装置。
【請求項2】
前記設定手段は、更に、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記対象地物の種別を特定する種別特定手段を備え、
前記設定手段は、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別毎に、前記案内を行うタイミングを設定し、
前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングの内、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う、
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを早める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを遅らせる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記設定手段にて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段を備え、
前記案内手段は、前記タイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で前記案内を行う、
請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定ステップと、
車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内ステップと、
前記回生電力特定ステップで特定された、前記案内ステップで前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内ステップで前記案内を行うタイミングを設定する設定ステップと、を含み、
前記案内ステップで、前記設定ステップで設定されたタイミングで新たな前記案内を行う、
運転支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。
【請求項1】
回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定手段と、
車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内手段と、
前記回生電力特定手段により特定された、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する設定手段と、を備え、
前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングで新たな前記案内を行う、
運転支援装置。
【請求項2】
前記設定手段は、更に、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に基づき、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを設定する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記対象地物の種別を特定する種別特定手段を備え、
前記設定手段は、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別毎に、前記案内を行うタイミングを設定し、
前記案内手段は、前記設定手段にて設定されたタイミングの内、前記種別特定手段が特定した前記対象地物の種別に対応するタイミングで案内を行う、
請求項1又は2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記ブレーキ操作に応じた回生ブレーキにより回生された電力が回生上限電力となった場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを早める、
請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記設定手段は、前記案内手段が前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでの間に、加速操作が行われた後にブレーキ操作が行われた場合、前記案内手段が前記案内を行うタイミングを遅らせる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記設定手段にて設定された複数のタイミングを特定するタイミング情報を格納するタイミング情報格納手段を備え、
前記案内手段は、前記タイミング情報に対応する複数のタイミングの内、中央値で前記案内を行う、
請求項1から5のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
回生ブレーキにより回生された電力を特定する回生電力特定ステップと、
車両から対象地物までの距離に基づくタイミングで、当該車両の減速を促す旨の案内を行う案内ステップと、
前記回生電力特定ステップで特定された、前記案内ステップで前記案内を行ってから前記対象地物を通過するまでに行われたブレーキ操作に応じて回生ブレーキにより回生された電力に基づき、前記案内ステップで前記案内を行うタイミングを設定する設定ステップと、を含み、
前記案内ステップで、前記設定ステップで設定されたタイミングで新たな前記案内を行う、
運転支援方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法をコンピュータに実行させる運転支援プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2012−34501(P2012−34501A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172412(P2010−172412)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
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