説明

運転支援装置および運転支援プログラム

【課題】運転者個々に対応した安全運転支援を実施することを課題とする。
【解決手段】この運転支援装置は、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出し、検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する。さらに、運転支援装置は、車両の進行方向を検出する。そして、運転支援装置は、例えば、検出された車両の進行方向から見た画像、検出された事故の発生頻度が高い地点のリアルタイム画像、音声によるメッセージのように、検出された運転者の危険認識度に適した形式で、安全運転を促す情報を運転者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全運転を促す情報を運転者に通知する運転支援装置および運転支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーション装置、センター、車車間通信、車両に搭載されたカメラなどから得られた情報に基づいて、運転者の安全運転を支援する様々な技術が開示されている。
【0003】
例えば、カーナビゲーション装置により取得した車両の現在位置、センサにより測定された車両周辺の障害物までの距離を用いて、狭路や屈曲路へ接近または進入したことを判別し、判別された狭路などにおける走行状況を識別して、車載カメラで撮影した映像を自動的に切り替える。このように、狭路などを走行しているときに、危険性が高い車体部分を含んだ範囲の映像に自動的に切り替えて表示することにより、運転者の安全運転を支援する技術が開示されている。
【0004】
また、例えば、車両1のカーナビゲーション装置は、走行軌跡に基づいて、車両1が障害物を回避したことを判定し、自車両の走行軌跡の情報を後続車両2のカーナビゲーション装置に送信する。このように、他車両の走行軌跡情報に基づいて、障害物を検知して運転者に通知することで、運転者の安全運転を支援する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−210458号公報
【特許文献2】特開2005−242552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の技術は、どうような運転者に対しても一律に危険情報表示や通知などの安全運転支援を実施するので、却って運転を阻害し、危険な運転を誘発する恐れがあるという課題があった。
【0007】
具体的には、従来の技術では、毎日その道を運転している運転者であっても、初めてその道を運転する運転者であっても、同じように危険情報表示や通知を行ったり、また、ベテラン運転手や初心者運転手、車両のスピードに関係なく、一律に危険情報表示や通知を行ったりする。そのため、運転者によっては、既に安全運転をしているにも関わらず通知されたり、通知された情報が煩わしい情報であったりするので、逆に注意散漫になり、危険な運転をしてしまったりする。
【0008】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することが可能である運転支援装置および運転支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、安全運転を促す情報を運転者に通知する運転支援装置であって、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出する危険検出手段と、前記危険検出手段により検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する認識度検出手段と、前記認識度検出手段により検出された運転者の危険認識度に適した形式で、前記安全運転を促す情報を運転者に通知する通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、事故が多発する地点が検出された場合であっても、運転者の危険認識度に応じて危険や安全運転を促すメッセージの通知手法を変更することができる結果、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る運転支援装置および運転支援プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本実施例に係る運転支援装置の概要、運転支援装置の構成および処理の流れを順に説明し、最後に本実施例に対する種々の変形例を説明する。
【実施例1】
【0012】
[運転支援装置の概要]
最初に、本願が開示する運転支援装置の概要について説明する。本実施例では、本願が開示する運転支援装置を組み込んだドライブレコーダを例にして具体的に説明する。なお、ドライブレコーダとは、車両に搭載され、車両が急停車、急加速、急減速など事故に繋がる運転が発生した場合に、その前後の映像や走行データを車両に備えられたカメラや各種センサから取得して記録する装置である。
【0013】
すなわち、本願が開示する運転支援装置が組み込まれたドライブレコーダは、カーナビなどに表示される道路の画像をセンタから取得して保持したり、カメラで撮像した画像を所定の期間内(例えば、1ヶ月や1年など)保持したりするとともに、リアルタイムで車両の周辺を撮像して保持することにより、ドライブレコーダとしての機能と本実施例で説明する運転支援装置としての機能を実現する。
【0014】
もっとも、本願が開示する運転支援装置は、本実施例のようにドライブレコーダに組み込まれていてもよく、また、ドライブレコーダに接続される独立した装置であってもよい。さらに、カーナビなどの他の車載装置に組み込まれていてもよく、車両に搭載される装置であれば、どのような形態であってもよい。
【0015】
このように本願が開示する運転支援装置を組み込んだドライブレコーダは、車両に搭載され、車両が急停車、急加速、急減速など事故に繋がる運転が発生した場合に、その前後の映像や走行データを取得して記録するとともに、安全運転を促す情報を運転者に通知することを概要とするものであり、特に、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することができる。
【0016】
具体的には、実施例1に係るドライブレコーダは、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出する。例を挙げると、ドライブレコーダは、カーナビやGPS(Global Positioning System)から得られた現在位置および走行ルートなどを示す走行情報と、センターなどから配信される事故情報やニュースなどから得られる事故情報とに基づいて、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点(例えば、交差点など)を検出する。
【0017】
続いて、実施例1に係るドライブレコーダは、検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する。例を挙げると、ドライブレコーダは、検出された事故の発生頻度が高い地点を運転者が頻繁に走行しているか否かや、走行している環境(例えば、雨、夜間など)、運転者は連続してどのくらい運転しているのかなどから、運転者の危険認識度を検出する。
【0018】
例えば、ドライブレコーダは、カーナビなどの走行履歴に基づいて、検出された事故の発生頻度が高い地点を運転者が頻繁に走行している場合(例えば、1週間に4回以上運転している)には、運転者の危険認識度を「高い」と判定し、検出された事故の発生頻度が高い地点を運転者が頻繁に走行していない場合(例えば、はじめてや月1〜2回など)には、運転者の危険認識度を「低い」と判定する。また、ドライブレコーダは、走行している環境が「雨」や「夜間」、「霧」など視界状況が悪い場合には、運転者の危険認識度を「低い」と判定し、座席センサやカーナビなどから運転者の連続運転時間や連続走行距離などを取得し、運転者は長時間連続して運転している場合には、運転者の危険認識度を「低い」と判定する。
【0019】
ここで、危険認識度が「高い」とは、ドライバーが周囲環境の危険に注意を払っている状態が高いことを示し、危険認識度が「低い」とは、ドライバーが周囲環境の危険に注意を払っている状態が低い、つまり、ドライバーが周囲環境の危険に注意を払っていないことを示している。
【0020】
そして、実施例1に係るドライブレコーダは、検出された運転者の危険認識度に適した形式で、安全運転を促す情報を運転者に通知する。例を挙げると、ドライブレコーダは、検出された運転者の危険認識度が「低い」場合には、カーナビの画面に割り込みを行って、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージ画像や「走行方向からリアルタイムに撮像した画像」を表示するとともに、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージを音声出力する。また、例えば、ドライブレコーダは、検出された運転者の危険認識度が「高い」場合には、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージを音声出力のみで実行する。
【0021】
また、実施例1に係るドライブレコーダは、検出された運転者の危険認識を「高、中、低」の三段階で判定することもでき、「低」の場合には、画像表示と音声出力を行い、「中」の場合には、音声出力だけを行い、「高」の場合には、何も行わないなどの制御を行うことができる。なお、この危険認識度の分け方や危険認識度に応じた通知手法は、利用者により任意に設定することができる。
【0022】
このように、実施例1に係るドライブレコーダは、事故が多発する地点が検出された場合であっても、運転者の危険認識度に応じて危険や安全運転を促すメッセージの通知手法を変更することができる結果、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することができる。
【0023】
[ドライブレコーダの構成]
次に、図1を用いて、本願が開示する運転支援装置が組み込まれたドライブレコーダの構成を説明する。図1は、実施例1に係るドライブレコーダの構成を示すブロック図である。なお、ここでは、実施例1に係るドライブレコーダにおける運転支援を実施するための機能についてのみ説明し、ドライブレコーダとしての機能については、一般的なドライブレコーダの構成と同様であるのでここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
図1に示すように、このドライブレコーダ20は、電源SW1と、バッテリ2と、ACCスイッチ3と、表示部4と、カメラ5と、カメラ6と、加速度センサ7と、カーナビ8と、車速センサ9と、スピーカー10とのそれぞれと接続され、電源制御回路21と、B/Uバッテリ22と、表示灯23と、GPS受信機24と、無線通信部25と、I/F26と、ビデオSW27と、画像DB28と、画像処理回路29と、不揮発性ROM31と、認識度DB32と、制御部35とを有する。
【0025】
電源SW1は、当該ドライブレコーダ20の電源をONまたはOFFするスイッチであり、具体的には、利用者からの操作により電源をONまたはOFFされた場合に、当該制御信号を後述する電源制御回路21に出力する。バッテリ2は、電気を蓄積する蓄電池であり、ACCスイッチ3は、利用者のキー操作により、車両のキーがACCになったときに、当該ACCがONなったことを電源制御回路21に出力するスイッチである。
【0026】
表示部4は、各種の情報を出力する出力手段であり、モニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル)を備えて構成され、例えば、制御部35から出力された画像などを表示出力する。なお、この表示部4は、カーナビ8と同じ筐体であってもよく、別の筐体(例えば、ヘッドアップディスプレイなど)であってよい。
【0027】
カメラ5とカメラ6は、車両の前方および後方に設置され、所定の間隔(例えば、毎秒、1分ごとなど)で車両の前方の画像や後方の画像を撮像してビデオSW27に出力する。なお、ここでは、カメラ2台が設定されている例を挙げているが、これに限定されるものではなく、例えば、車両の左前方・右前方・左後方・右後方など4台のカメラが接続されていてもよい。
【0028】
加速度センサ7は、車両のアクセスなどに接続され、車両の加速度を検出して制御部35に出力し、カーナビ8は、高精度の地図情報を有し、車両が走行している道路情報や利用者により設定された走行ルート情報などを制御部35に出力する。車速センサ9は、車両のシャフトなどに接続されて、車両の速度(回転速度)を検出して制御部35に出力し、スピーカー10は、制御部35から出力された音声信号を出力する。
【0029】
電源制御回路21は、電源SW1やACCスイッチ3、制御部35に接続され、電源SW1から電源がONになったことを示す制御信号やACCスイッチ3から車両のACCがONになったことを示す制御信号を受信した場合に、制御部35に制御開始(制御起動)を指示する。B/Uバッテリ22は、ACCスイッチ3に接続され、ACCがONになったことが通知されると、蓄電しておいた電気を制御部35に出力する。表示灯23は、制御部35と接続され、制御部35からの指示操作により、警告などのランプを点灯する。
【0030】
GPS受信機24は、制御部35と接続され、GPS衛星と通信を行って車両の現在位置を取得して制御部35に出力する装置である。無線通信部25は、センターなどの外部サーバと無線通信で接続して各種情報をやり取りするインタフェースであり、具体的には、制御部35から出力された車両の走行情報や位置情報をセンターに送信したり、送信した車両の走行情報や位置情報に対応する画像や事故情報などをセンターから受信して制御部35に出力したりする。
【0031】
I/F26は、各種記憶媒体などを受け付けるインタフェースであり、具体的には、ビデオレコーダとしての画像解析プログラムなどを保持するメモリースティックなどを受け付けて、当該プログラムを読み出して実行したり、読み出したプログラムを制御部35に出力したりする。ビデオSW27は、カメラ5、カメラ6、制御部35に接続され、カメラ5とカメラ6の入力を所定のタイミング(例えば、交互や1分間隔など)で切り替え、各カメラにより撮像された画像を画像処理回路29や制御部35に出力する。
【0032】
画像DB28は、画像処理回路29に接続され、カメラ5やカメラ6が所定の間隔で撮像し、画像処理回路29により各種処理が実行された画像を記憶する。また、画像DB28は、無線通信部25によりセンターから受信された車両の走行情報や位置情報に対応する画像や事故情報なども記憶する。
【0033】
画像処理回路29は、ビデオSW27、画像DB28、表示部4などと接続され、カメラ5やカメラ6による撮像された画像に対して、各種補正処理を実施して、撮像された画像をより鮮明で綺麗な画像にして画像DB28に格納する。具体的には、画像処理回路29は、ビデオSW27を介して入力されたカメラ5やカメラ6による撮像された画像に対して、画像の明暗をはっきりさせるためのコントラスト補正、画像にメリハリをつけるために画像の輪郭部分を強調する輪郭補正、画像のコントラストやRGB各チャンネルの輝度値を調整する階調補正などを実施して、画像DB28に格納する。また、画像処理回路29は、制御部35から出力された画像に対しても、上記補正を実施し、表示部4の階調にあわせて画像を生成して、表示部4に表示出力する。なお、ここで例示した補正処理は、あくまで例示でありこれに限定されるものではない。
【0034】
不揮発性ROM31は、制御部35と接続され、ドライブレコーダ20を実行したり、ドライブレコーダとしての各種機能を実行したりするために制御部35に読み出されて実行される制御プログラム31a、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、電源を供給しなくても記憶を保持する半導体メモリである。
【0035】
認識度DB32は、制御部35と接続され、制御部35により検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を判定するための情報を記憶する。具体的には、認識度DB32は、図2に示すように、運転者の危険認識度を判定するための情報を示す「判定情報」に対応付けて、運転者の危険認識度に適した通知形式を示す「表示レベル(危険認識度)」を記憶する。図2は、認識度DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0036】
例えば、認識度DB32は、「判定情報、表示レベル(危険認識度)」として「運転時間帯、事故多発時間帯、C」、「気候、雨・雪、C」、「気候、晴れ、A」、「運転時間、1時間未満、A」、「頻度、たまに通る道、B」などを記憶する。なお、ここで記憶される表示レベル(危険認識度)は、「A」が最も高く、続いて「B」、「C」が一番低い。また、上記したレベル分けは、利用者により任意に設定変更することができる。
【0037】
制御部35は、車両に搭載され、車両が急停車、急加速、急減速など事故に繋がる運転が発生した場合に、その前後の映像や走行データを取得して記録するとともに、安全運転を促す情報を運転者に通知する処理部であり、特に、経路予測部35aと、方向検出部35bと、危険検出部35cと、認識度検出部35dと、通知部35eとを有する。
【0038】
経路予測部35aは、車両の進行経路を予測する。具体的には、経路予測部35aは、利用者がカーナビ8に設定した目的地と、GPS受信機24により受信された車両の現在位置とから車両の進行経路を予測する。また、経路予測部35aは、カーナビ8がナビゲーションする進行経路を用いてもよい。
【0039】
方向検出部35bは、車両の進行方向を検出する。具体的には、方向検出部35bは、カメラ5やカメラ6により撮像された画像やGPS受信機24により受信された車両の現在位置、無線通信部25によりセンターから受信された車両の走行情報や位置情報などから、車両の進行方向を検出する。
【0040】
危険検出部35cは、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出する。具体的には、危険検出部35cは、センターから受信した事故情報に基づいて、経路予測部35aにより予測された車両の進行経路上における事故の発生頻度が高い地点を検出する。例えば、危険検出部35cは、経路予測部35aにより予測された車両の進行経路上における過去の事故履歴などをセンターから受信し、1km先に右直事故の多い交差点があると検出する。なお、事故情報は、センターから受信するようにしてもよく、予めセンター(例えば、警察の事故管理サーバや民間が管理する事故管理サーバなど)から定期的に受信して保持する情報を用いてもよく、カーナビ8などから取得することもできる。
【0041】
認識度検出部35dは、危険検出部35cにより検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する。具体的には、認識度検出部35dは、危険検出部35cにより検出された事故の発生頻度が高い地点について、認識度DB32を参照しつつ、運転者の危険認識度を検出する。例えば、認識度検出部35dは、危険検出部35cにより検出された事故の発生頻度が高い地点「現在位置から1km先の交差点」について、「運転頻度=毎日通る道」であった場合には、「運転頻度=毎日通る道」に対応する「表示レベル=A」を認識度DB32から取得し、取得した「表示レベル=A」を「運転者の危険認識度」とする。
【0042】
また、例えば、認識度検出部35dは、危険検出部35cにより検出された事故の発生頻度が高い地点「現在位置から1km先の交差点」について、「運転頻度=毎日通る道」かつ「運転時間帯=事故多発時間帯」であった場合には、「運転頻度=毎日通る道」に対応する「表示レベル=A」と、「運転時間帯=事故多発時間帯」に対応する「表示レベル=C」とを認識度DB32から取得し、取得した「表示レベル=AとC」に基づいて「運転者の危険認識度=C」とする。
【0043】
つまり、認識度検出部35dは、複数の条件が重なった場合には、それらの表示レベルに基づいて、運転者の危険認識度を決定する。例えば、認識度検出部35dは、表示レベルが「B」と「C」が認識度DB32から取得された場合には、「運転者の危険認識度=C」と決定し、表示レベルが「C」と「A」が認識度DB32から取得された場合には、「運転者の危険認識度=C」と決定し、表示レベルが「A」と「B」が認識度DB32から取得された場合には、「運転者の危険認識度=B」と決定し、表示レベルが「A」、「A」、「A」の3つが認識度DB32から取得された場合には、平均をとって「運転者の危険認識度=A」と決定してもよいし、複合的に判断して、「運転者の危険認識度=C」と決定してもよい。この表示レベルの決定基準は、利用者により任意に設定することができる。
【0044】
なお、認識度検出部35dは、認識度DB32に記憶される「運転時間帯」については、カーナビ8から現地点での時間を取得することで認識でき、「気候」についてはセンターから配信される天気情報、車両に搭載される雨滴センサ、カーナビ8から取得できる天気情報などから認識することができ、「運転時間」についてはカーナビ8から取得することができ、「ドライバー」については座席センサや座席位置設定ボタンなどからドライバーが変わったか否かにより認識することができ、「頻度」についてはカーナビ8から取得できる走行履歴から認識することができ、「経験」や「事故経験」については利用者により予め設定させることで認識することができる。
【0045】
通知部35eは、認識度検出部35dにより検出された運転者の危険認識度に適した形式で、安全運転を促す情報を運転者に通知する。具体的には、通知部35eは、検出された運転者の危険認識度(表示レベル)が「C(低い)」の場合には、カーナビ8の画面に割り込みを行って、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージ画像や「走行方向からリアルタイムに撮像した画像」を表示するとともに、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージを音声出力する。また、例えば、通知部35eは、検出された運転者の危険認識度(表示レベル)が「B」の場合には、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージを音声出力のみで実行する。
【0046】
例えば、通知部35eは、危険検出部35cにより事故の発生頻度が高い地点が図3−1に示すような交差点であり、認識度検出部35dにより「危険認識度=C(低い)」と検出されたとする。この場合、Aの方向から交差点に進入する車両の通知部35eは、図3−2に示すように、カメラ5やカメラ6でリアルタイムに撮像した「A方向から見た画像」をカーナビ8の右画面に割り込ませて表示するとともに、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージをスピーカー10から出力する。
【0047】
また、Bの方向から交差点に進入する車両の通知部35eは、カメラ5やカメラ6でリアルタイムに撮像した「B方向から見た画像」をカーナビ8の右画面に割り込ませて表示し、Cの方向から交差点に進入する車両の通知部35eは、カメラ5やカメラ6でリアルタイムに撮像した「C方向から見た画像」をカーナビ8の右画面に割り込ませて表示する。もちろん、A、B、Cそれぞれの方向から交差点に進入する車両の運転者は異なることから、それぞれの車両における危険認識度が異なることとなり、それぞれの車両において通知手法も異なる。なお、図3−1は、事故多発地点の例を示す図であり、図3−2は、安全運転を促す情報の通知例を示す図である。
【0048】
また、例えば、通知部35eは、車両の速度に応じて、運転者に出力した画像を解除させることもできる。具体的には、通知部35eは、図4に示すように、安全な速度(法定速度以下)で運転している場合には、カーナビに割り込ませた画像に「了解ボタン」を表示させ、「了解」が押下されると表示(割り込み画像)を開示する。また、安全な速度(法定速度以下)で運転していない場合には、「了解ボタン」は表示させない。なお、図4は、運転者による割り込み解除例を示す図である。
【0049】
[ドライブレコーダによる処理]
次に、図5を用いて、実施例1に係るドライブレコーダによる処理を説明する。図5は、実施例1に係るドライブレコーダにおける運転支援処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、実施例1に係るドライブレコーダにおける運転支援処理の流れについてのみ説明し、ドライブレコーダとしての処理の流れについては、一般的な処理の流れと同様であるのでここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、ドライブレコーダ20は、車両が走行を開始したことを車速センサ9や加速度センサ7などから検出すると(ステップS101肯定)、利用者がカーナビ8に設定した目的地と、GPS受信機24により受信された車両の現在位置とから車両の進行経路を予測する(ステップS102)。
【0051】
続いて、ドライブレコーダ20は、センターから受信した事故情報などに基づいて、予測された車両の進行経路上における事故の発生頻度が高い地点を検出する(ステップS103)。
【0052】
その後、ドライブレコーダ20は、カーナビ8やGPS受信機24などから得られる現在地情報などの情報に基づいて、検出した事故の発生頻度が高い地点に当該車両が近付いたと判定した場合(ステップS104肯定)、カメラ5やカメラ6により撮像された画像やGPS受信機24により受信された車両の現在位置、無線通信部25によりセンターから受信された車両の走行情報や位置情報などから、車両の進行方向を検出する(ステップS105)。
【0053】
続いて、ドライブレコーダ20は、車両が近付いた事故の発生頻度が高い地点について、認識度DB32を参照しつつ、運転者の危険認識度、言い換えれば、表示レベルを検出する(ステップS106)。
【0054】
そして、ドライブレコーダ20は、運転者の危険認識度(表示レベル)が「C(危険認識度が低い)」の場合には(ステップS107肯定)、カーナビ8の画面に割り込みを行って、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージ画像や「走行方向からリアルタイムに撮像した画像」を表示するとともに、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージを音声出力する(ステップS108)。
【0055】
また、ドライブレコーダ20は、運転者の危険認識度(表示レベル)が「B」の場合には(ステップS107否定、ステップS109肯定)、「事故多発地点です気をつけてください」のメッセージをスピーカー10から出力する(ステップS110)。また、ドライブレコーダ20は、運転者の危険認識度(表示レベル)が「A(危険認識度が高い)」の場合には(ステップS109否定)、通知処理を実施しない(ステップS111)。
【0056】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出し、検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出し、検出された運転者の危険認識度に適した形式で、安全運転を促す情報を運転者に通知することができる。その結果、事故が多発する地点が検出された場合であっても、運転者の危険認識度に応じて危険や安全運転を促すメッセージの通知手法を変更することができる結果、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することができる。
【0057】
また、実施例1によれば、予測された車両の進行経路上において、事故の発生頻度が高い地点を検出することができる。その結果、事故の多い地点を前もって運転者に通知することができ、運転者は予め注意を払うことができる。
【0058】
また、実施例1によれば、検出された車両の進行方向から見た画像を、安全運転を促す情報として運転者に通知することができる。その結果、運転者は事故が多い地点をより的確に把握することができるとともに、運転者に注意喚起を促すことができるので、交通事故防止に繋がる。
【0059】
また、実施例1によれば、検出された運転者の危険認識度に基づいて、検出された事故の発生頻度が高い地点のリアルタイム画像または音声によるメッセージの少なくとも一方を用いて、安全運転を促す情報を運転者に通知することができる。その結果、運転者の状態に適した形式で注意喚起を促すことができるので、交通事故防止に繋がる。
【実施例2】
【0060】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)画像の準備、(2)ドライブレコーダ以外への適応、(3)システム構成等、(4)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0061】
(1)画像の準備
例えば、本願が開示する運転支援装置は、車両が走行する度に、走行したルートの画像を撮像して保持しておき、保持する画像を用いて、安全運転を促す情報を運転者に通知するようにしてもよい。例えば、昼に画像を撮像しておき、車両が夜に事故多発地点に近付いた場合であっても、予め撮像した昼の画像を使って運転者に安全運転を促す情報を通知することができる。このようにすることで、リアルタイムに撮像した画像が見えにくい画像であっても、予め撮像した画像を用いることができるので、的確に運転者に危険を通知することができる。
【0062】
(2)ドライブレコーダ以外への適応
本願が開示する運転支援装置は、本実施例のようにドライブレコーダに組み込まれていてもよく、また、ドライブレコーダに接続される独立した装置であってもよい。さらに、カーナビなどの他の車載装置に組み込まれていてもよく、車両に搭載される装置であれば、どのような形態であってもよい。
【0063】
(3)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図2など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0064】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、経路予測部と方向検出部とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0065】
(4)プログラム
なお、本実施例で説明した運転支援方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上のように、本発明に係る運転支援装置および運転支援プログラムは、安全運転を促す情報を運転者に通知することに有用であり、特に、運転者個々に対応した安全運転支援を実施することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施例1に係るドライブレコーダの構成を示すブロック図である。
【図2】認識度DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図3−1】事故多発地点の例を示す図である。
【図3−2】安全運転を促す情報の通知例を示す図である。
【図4】運転者による割り込み解除例を示す図である。
【図5】実施例1に係るドライブレコーダにおける運転支援処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1 電源SW
2 バッテリ
3 ACCスイッチ
4 表示部
5 カメラ
6 カメラ
7 加速度センサ
8 カーナビ
9 車速センサ
10 スピーカー
20 ドライブレコーダ
21 電源制御回路
22 B/Uバッテリ
23 表示灯
24 GPS受信機
25 無線通信部
26 I/F
27 ビデオSW
28 画像DB
29 画像処理回路
31 不揮発性ROM
31a 制御プログラム
32 認識度DB
35 制御部
35a 経路予測部
35b 方向検出部
35c 危険検出部
35d 認識度検出部
35e 通知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全運転を促す情報を運転者に通知する運転支援装置であって、
車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出する危険検出手段と、
前記危険検出手段により検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する認識度検出手段と、
前記認識度検出手段により検出された運転者の危険認識度に適した形式で、前記安全運転を促す情報を運転者に通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
車両の進行経路を予測する経路予測手段をさらに備え、
前記危険検出手段は、前記経路予測手段により予測された車両の進行経路上において、前記事故の発生頻度が高い地点を検出することを特徴とする請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
車両の進行方向を検出する方向検出手段をさらに備え、
前記通知手段は、前記方向検出手段により検出された車両の進行方向から見た画像を、前記安全運転を促す情報として運転者に通知することを特徴とする請求項1または2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記認識度検出手段により検出された運転者の危険認識度に基づいて、前記危険検出手段により検出された事故の発生頻度が高い地点のリアルタイム画像または音声によるメッセージの少なくとも一方を用いて、前記安全運転を促す情報を運転者に通知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記車両が走行する度に、走行したルートの画像を撮像して保持する保持手段をさらに備え、
前記通知手段は、前記保持手段が保持する画像を用いて、前記安全運転を促す情報を運転者に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の運転支援装置。
【請求項6】
安全運転を促す情報を運転者に通知することをコンピュータに実行させる運転支援プログラムであって、
車両が走行している道路上で事故の発生頻度が高い地点を検出する危険検出手順と、
前記危険検出手順により検出された事故の発生頻度が高い地点について、運転者の危険認識度を検出する認識度検出手順と、
前記認識度検出手順により検出された運転者の危険認識度に適した形式で、前記安全運転を促す情報を運転者に通知する通知手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする運転支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−117315(P2010−117315A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292384(P2008−292384)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】