説明

運転支援装置

【課題】ドライバーが入力装置を操作している場合に、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる運転支援装置を提供すること。
【解決手段】運転支援装置は、停車中に車両前方の信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化したことを検知する検知手段11と、ドライバーが入力装置40を操作中か否かを監視する監視手段13と、検知手段11及び監視手段13の結果に基づいてドライバーが信号機の発進許可の指示を認識可能な状態にあるか否かを判定する判定手段14と、を備える。運転支援装置は、判別手段12により第1所定時間Ta(例えば、Ta=1秒)内に車両が発進していないと判別され、且つ、判定手段14により認識可能な状態にないと判定された場合、信号機の指示が変化したことをドライバーに報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停車中に車両前方の信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化したことを報知する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、停車中に車両前方の信号機の指示(表示)が発進不許可(赤色)から発進許可(青色)に変化したことを報知する運転支援装置として、ドライバーの視線方向に基づいてドライバーが信号機の指示の変化を見ていたか否かを判定し、見てないと判定された場合であって、所定時間経過後も車両が停車状態であると、信号機の指示の変化を報知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この運転支援装置によれば、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−92129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の運転支援装置は、ドライバーが入力装置を操作している場合について言及がない。ドライバーが入力装置を操作している場合、ドライバーの意識が入力装置の操作に集中する。従って、ドライバーの視線方向に基づきドライバーが信号機の表示の変化を見ていたと判定された場合であっても、実際にはドライバーが信号機の指示の変化を見落とすことも考えられる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ドライバーが入力装置を操作している場合に、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる運転支援装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の運転支援装置は、
停車中に車両前方の信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化したことを検知する検知手段と、
前記検知手段の結果を用いて前記信号機の指示が発進許可に変化した時点から第1所定時間内に車両が発進したか否かを判別する判別手段と、
ドライバーが入力装置を操作中か否かを監視する監視手段と、
前記検知手段及び前記監視手段の結果に基づいて、ドライバーが前記信号機の発進許可の指示を認識可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判別手段により第1所定時間内に車両が発進していないと判別され、且つ、前記判定手段により認識可能な状態にないと判定された場合、前記信号機の指示が変化したことをドライバーに報知する報知手段とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ドライバーが入力装置を操作している場合に、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる運転支援装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の運転支援装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
【図2】表示部42bで表示される操作メニュー画像群の一例を示す図である。
【図3】表示部42bで表示される自車両周辺の地図画像の一例を示す図である。
【図4】ディスプレイ46で表示される画像の一例を示す図である。
【図5】判定手段14による判定処理の一例を説明するためのタイミング図である。
【図6】ECU10により実行される報知制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】ECU10により実行される報知制御処理の別の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
図1は、本発明の運転支援装置の一実施例を示す機能ブロック図である。運転支援装置は、停車中に車両前方の信号機の指示(表示色)が発進不許可(赤色)から発進許可(青色)に変化した場合に報知を行う装置である。運転支援装置は、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)10を中心に構成される。
【0011】
ECU10は、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。CPUはROM等に格納されたプログラムを実行する。CPUの実行時に発生するデータは、RAM等に格納される。
【0012】
ECU10は、ナビゲーション装置の一部であってよい。ナビゲーション装置は、GPS受信機によるGPS衛星からの受信情報と地図データベース内の地図情報とを用いて、自車両の地図上での位置を認識する機能を有する。また、ナビゲーション装置は、自車両周辺の地図画像を後述の表示部42bに表示する機能や、自車両がカーブにさしかかると警告を促す音声(例えば、「この先カーブします」という趣旨の音声)及び図形画像を出力する機能を備える。
【0013】
ECU10には、CANやLIN等の車内ネットワークを介して、情報取得手段20、入力装置40、及びスピーカ50が接続されている。
【0014】
情報取得手段20は、車両周辺情報、及び車両情報を取得する手段である。情報取得手段20は、取得した情報を所定時間毎にECU10に出力する。情報取得手段20は、例えば、周辺撮像手段22、無線通信機24、各種センサ32〜36を含む。
【0015】
周辺撮像手段22は、車両前方の画像を撮像する手段である。周辺撮像手段22は、撮像した画像を画像処理して、車両前方の信号機の表示色を識別することで、車両前方の信号機の指示を識別する。
【0016】
無線通信機24は、車車間通信又は路車間通信により、車両前方の信号機の指示情報を取得する。ここで、指示情報とは、信号機の指示に関する情報をいい、信号機の表示色に関する情報の他、赤信号から青信号に変化するまでの待機時間に関する情報を含む。例えば、無線通信機24は、車両前方の信号機に設置された無線通信機と交信して、車両前方の信号機の指示情報を取得する。また、無線通信機24は、前方車両に搭載された無線通信機と交信して、車両前方の信号機の指示情報を取得してもよい。
【0017】
各種センサ32〜36は、車両の情報を取得する手段である。踏力検出スイッチ32は、ブレーキペダル踏力を検出する。アクセルセンサ34は、アクセルペダル開度を検出する。車速センサ36は、車速を検出する。
【0018】
入力装置40は、ドライバーが入力を行うための装置である。入力装置40は、ドライバーによる入力に応じた信号をECU10に出力する。入力装置40は、例えば、タッチパネル42、及びディスプレイスイッチ44を含み構成される。
【0019】
タッチパネル42は、ドライバーから操作可能な位置、例えばインストルメントパネル上部の中央付近に設けられる。タッチパネル42は、ドライバーにより操作される操作部42aと、後述の各種画像を表示する表示部42bとを組み合わせたものである。
【0020】
操作部42aは、タッチパネル42上での入力操作に応じた操作信号をECU10に出力する。ECU10は、操作信号に応じた機能(表示部42bでの操作メニュー画像の切り替えを含む)を実現するように各種車載装置(例えば、空調機)を制御する。
【0021】
表示部42bは、操作部42aの下部に配置される。表示部42bに表示される画像は、ECU10により制御される。表示部42bには、各種操作メニュー画像の他、自車両周辺の地図画像が表示される。
【0022】
図2は、表示部42bで表示される操作メニュー画像群の一例を示す図である。操作メニュー画像は、操作部42aに対するドライバーの入力操作を支援する画像である。操作メニュー画像は、操作部42aにおけるスイッチの配置位置及びその機能を表す。操作メニュー画像は、操作部42aに対する入力操作で実現される各種機能を、ドライバーに知らせると共に、当該各種機能を実現するために操作されるべき各操作スイッチの位置を、ドライバーに知らせる役割を果たす。
【0023】
図2(A)に示す操作メニュー画像は、操作部42aにおける8つの操作スイッチを模した図形画像F1〜F8を含む。操作メニュー画像内における図形画像F1〜F8のサイズ及び位置は、操作部42aにおける対応する操作スイッチの操作領域のサイズ及び位置に対応する。この表示部42bを見るドライバーは、各図形画像F1〜F8内の文字を見ることで、各操作スイッチを操作して実現できる機能を知ることができる。
【0024】
操作メニュー画像は、各種用意されてよく、操作部42aにおける操作状況等に応じて、適宜切り替えられてよい。この場合、当該操作メニュー画像の切り替えに応じて、操作部42aにおける操作スイッチの配置位置及びその機能が変更される。
【0025】
図2(B)に示す操作メニュー画像は、図2(A)の“各種設定”の文字を含む図形画像F7に対応する位置にある操作スイッチ(以下、「各種設定スイッチ」という)を操作した場合に表示される。図2(B)に示す操作メニュー画像は、ナビゲーション装置の各種機能の設定状況を表示すると共に、ドライバーによる設定変更を支援する画像である。
【0026】
図2(C)に示す操作メニュー画像は、図2(B)の“次”の文字を含む図形画像F9に対応する位置にある操作スイッチ(以下、「スクロールスイッチ」という)を複数回操作した場合に表示される。ドライバーは、ナビゲーション装置のカーブ案内機能をオンからオフに設定変更したいと思った場合、カーブ警告の欄の“しない”の文字を含む図形画像F10に対応する位置にある操作スイッチ(以下、「解除スイッチ」という)を押せばよいことを理解することができる。また、ドライバーが、設定変更を確定したいと思った場合、“完了”の文字を含む図形画像F11に対応する位置にある操作スイッチ(以下、「完了スイッチ」という)を押せばよいことを理解することができる。
【0027】
図2に示す例では、ドライバーは、複数のスイッチ(各種設定スイッチ、スクロールスイッチ、解除スイッチ、及び完了スイッチ)を全て押すことで、カーブ案内機能の設定を所望の設定に変更することができる。
【0028】
図3は、表示部42bで表示される自車両周辺の地図画像の一例を示す図である。自車両周辺の地図画像には、地図画像の縮尺を変更するための操作スイッチを模した図形画像F12、F13が重畳表示される。ドライバーは、地図画像の縮尺を切り換えたいと思った場合、“詳細”又は“広域”の文字を含む図形画像F12又はF13に対応する位置にある操作スイッチ(以下、それぞれ「拡大スイッチ」、「縮小スイッチ」という)を押せばよいことを理解することができる。地図画像の縮尺は、多段階(例えば、13段階)で切り換えられる。また、ECU10は、地図画像上の操作位置が中心となるように地図画像を動かすことができる。
【0029】
図3に示す例では、ドライバーは、拡大スイッチ(縮小スイッチ)を一回押すこと、又は複数回繰り返し押すことで、地図画像の縮尺を所望の設定に変更することができる。
【0030】
ディスプレイスイッチ44は、メータ内に配置されるディスプレイ46の表示を切り換えるためのスイッチである。ディスプレイスイッチ44は、ドライバーから操作可能な位置、例えばステアリングハンドルの上面に設置される。ディスプレイスイッチ44は、通常はオフ状態にあり、押し下げられるとオン信号をECU10に出力する。
【0031】
ディスプレイ46に表示される画像は、ECU10による制御下で、ディスプレイスイッチ44からオン信号が出力される度に切り換えられる。
【0032】
図4は、ディスプレイ46で表示される画像の一例を示す図である。図4に示すように、ディスプレイ46に表示される画像は、ECU10による制御下で、ディスプレイスイッチ44が押し下げ操作される度に、継続走行可能距離を示す画像(図4(A))、瞬間燃費を示す画像(図4(B))、平均燃費を示す画像(図4(C))に切り替わる。
【0033】
図4に示す例では、ドライバーは、ディスプレイスイッチ44を一回押すこと、又は複数回繰り返し押すことで、ディスプレイ46での表示画像を所望の画像に変更することができる。
【0034】
ECU10は、図1に示すように、検知手段11、判別手段12、監視手段13、判定手段14、及び報知手段15を備える。ECU10は、各手段11〜15に対応する制御プログラムをROM等に格納し、各制御プログラムをCPUに実行処理させることにより、各手段11〜15が有する機能を実現する。
【0035】
検知手段11は、停車中に車両前方の信号機の指示(表示色)が発進不許可(赤色)から発進許可(青色)に変化したことを検知する手段である。車両が停車中であることは、例えば車速センサ36が出力する車速情報に基づいて検出される。また、信号機の指示が変化したことは、周辺撮像手段22や無線通信機24が出力する情報に基づいて検出される。
【0036】
判別手段12は、検知手段11の結果を用いて信号機の指示が発進許可に変化した時点から第1所定時間Ta(例えば、Ta=1秒)内に車両が発進したか否かを判別する手段である。車両が発進したか否かは、踏力検出スイッチ32、アクセルセンサ34、車速センサ36が出力する情報に基づいて判別される。例えば、ブレーキペダルの操作が解除された場合や、アクセルペダルの操作が行われた場合に、車両が発進したと判別される。
【0037】
また、判別手段12は、信号機の指示が発進許可に変化した時点から第1所定時間Taより長い第2所定時間Tb(例えば、Tb=4秒)内に車両が発進したか否かを判別してもよい。
【0038】
監視手段13は、ドライバーが入力装置40を操作中か否かを監視する手段である。本実施例において、監視手段13は、入力装置40を介してドライバーにより入力された情報に基づいて監視を行う。尚、監視手段13は、車内カメラにより撮像されたドライバーの画像を画像処理して、ドライバーの視線方向や顔の向きを検出することで、監視を行ってもよい。本実施例では、ドライバーにより入力された情報を用いて監視を行うので、車内カメラ等の専用の装置が不要となる。
【0039】
例えば、監視手段13は、登録済みの一の情報が入力された時から、一の情報に対して関連付けて登録された他の全ての情報が入力された時までを操作中とする。即ち、監視手段13は、ROM等に登録済みの一のスイッチが押された時から、一のスイッチに関連付けてROM等に登録された他の全てのスイッチが押された時までを操作中とする。
【0040】
図2に示す例では、上述の如く、複数のスイッチを全て押すことで、カーブ案内機能の設定を所望の設定に変更することができる。そこで、監視手段13は、各種設定スイッチが押された場合、ドライバーが操作部42aを操作中とし、各種設定スイッチに対して関連付けて登録されたスクロールスイッチ、解除スイッチ、及び完了スイッチが押されたか否かを監視する。そして、監視手段13は、関連付けて登録された全てのスイッチが押されたとき、ドライバーによる操作部42aの操作が完了したとする。尚、監視手段13は、各種設定スイッチが押された場合、完了スイッチが最後に押されるはずなので、完了スイッチが押されたか否かのみを監視してもよい。これにより、監視対象となるスイッチの数が減るので、処理の負荷を軽減することができる。
【0041】
また、監視手段13は、登録済みの一の情報が入力された時から、第3所定時間Tc(例えば、Tc=1秒)以上一の情報が再入力されなかった時までを操作中とする。即ち、監視手段13は、ROM等に登録済みの一のスイッチが押された時から、第3所定時間Tc以上一のスイッチが再度押されなかった時までを操作中とする。
【0042】
図3に示す例では、上述の如く、拡大スイッチ(縮小スイッチ)を一回押すこと、又は複数回繰り返し押すことで、地図画像の縮尺を所望の設定に変更することができる。従って、監視手段13は、拡大スイッチ(縮小スイッチ)が押された場合、ドライバーが操作部42aを操作中とし、タイマを用いて拡大スイッチ(縮小スイッチ)が押されてからの経過時間を計測する。そして、監視手段13は、第3所定時間Tc以上、拡大スイッチ(縮小スイッチ)が再度押されなかったとき、ドライバーによる操作部42aの操作が完了したとする。
【0043】
図4に示す例では、上述の如く、ディスプレイスイッチ44を一回押すこと、又は複数回繰り返し押すことで、ディスプレイ46での表示画像を所望の画像に変更することができる。従って、監視手段13は、ディスプレイスイッチ44が押された場合、ドライバーがディスプレイスイッチ44を操作中とし、タイマを用いてディスプレイスイッチ44が押されてからの経過時間を計測する。そして、監視手段13は、第3所定時間Tc以上、ディスプレイスイッチ44が再度押されなかったとき、ドライバーによるディスプレイスイッチ44の操作が完了したとする。
【0044】
判定手段14は、検知手段11及び監視手段13の結果に基づいて、信号機の発進許可の指示(青信号)をドライバーが認識可能な状態にあるか否かを判定する手段である。
【0045】
例えば、判定手段14は、入力装置40の操作中に信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した場合であって、且つ、信号機の指示が発進許可に変化してから第4所定時間Td(例えば、Td=1秒)内に操作が完了しなかった場合に、認識可能な状態にないと判定する。
【0046】
図5は、判定手段14による判定処理の一例を説明するためのタイミング図である。図5において、横軸は時間軸である。図5に示す例では、信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した時点(時刻T0)で、ドライバーによる入力操作が実行中である。また、時刻T0から第4所定時間Tdが経過した時点(時刻T1)で、ドライバーによる入力操作が完了していない。この場合、ドライバーの意識が入力操作に集中しているので、ドライバーが信号機の発進許可の指示(青信号)を認識可能な状態にないと判定する。
【0047】
尚、判定手段14は、入力装置40の操作中に信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した場合に、認識可能な状態にないと判定してもよい。
【0048】
報知手段15は、判別手段12により第1所定時間Ta(例えば、Ta=1秒)内に車両が発進していないと判別され、且つ、判定手段14により認識可能な状態にないと判定された場合、信号機の指示が変化したこと(青信号であること)をドライバーに報知する手段である。報知手段15は、例えばスピーカ50を制御して報知を行う。スピーカ50からは、報知手段15による制御下で、発進を促す音声(例えば、「青信号です」「前方を確認下さい」という趣旨の音声)が出力される。
【0049】
また、報知手段15は、信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した際に登録済みの所定の操作が行われていた場合、当該操作の状況に応じて、第1所定時間Taの経過を待たずに、報知を行ってもよい。例えば、信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した際に登録済みの所定の操作が行われており且つ当該操作の段階が初期の段階であった場合、操作の完了まで時間がかかるのは明らかであるので、第1所定時間Taの経過を待たずに報知を行う。これによって、ドライバーに煩雑感を与えることなく、迅速に信号機の指示の変化を報知することができる。
【0050】
ここで、信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した際に登録済みの所定の操作が行われていたか否かの判定は、検知手段11及び監視手段13の結果を用いて行われる。また、操作の段階が初期の段階か否かの判定は、該登録済みの所定の操作が複数の情報を入力することで完了する操作である場合、監視手段13により監視される互いに関連付けて登録された複数の情報のうちの、残りの入力すべき情報の種類や数等に基づいて行われる。
【0051】
尚、複数の情報を入力することで完了する操作は、図2に示すナビゲーション装置のカーブ案内機能の設定操作の他、ナビゲーション装置の経路探索機能の設定操作であってもよく、特に限定されない。経路探索機能を用いて目的地までの走行経路を探索する場合、ドライバーは目的地(例えば、特定の施設)を設定するため、先ず施設のジャンルを選択し、次いで施設のある都道府県名を選択し、続いて複数の候補から特定の施設を選択する必要があるので、ドライバーは複数の情報を入力する必要がある。
【0052】
また、報知手段15は、判別手段12により第2所定時間Tb(例えば、Tb=4秒)内に車両が発進していないと判別された場合、信号機の指示が変化したこと(青信号であること)をドライバーに報知してもよい。
【0053】
図6は、ECU10により実行される報知制御処理の一例を示すフローチャートである。ECU10は、例えばエンジンのイグニションスイッチがオンに操作されてから、オフに操作されるまでの間、所定時間毎にS100以降の処理を繰り返し実行する。
【0054】
S100では、検知手段11は、停車中か否かをチェックする。停車中でない場合(S100、NO)、ドライバーに報知する必要がないので、S100に戻り、S100以降の処理を続行する。一方、停車中である場合(S100、YES)、S102に進む。
【0055】
S102では、監視手段13は、ドライバーが入力装置40を操作中か否かを監視する。
【0056】
S104では、検知手段11は、信号機が赤信号から青信号に変わったか否かをチェックする。赤信号の場合(S104、NO)、ドライバーに報知する必要がないので、S100に戻り、S100以降の処理を続行する。一方、青信号の場合(S104、YES)、S106に進む。
【0057】
S106では、判別手段12は、信号機が赤信号から青信号に変わってから第1所定時間Ta(例えば、Ta=1秒)の間、車両が停車中だったか否かをチェックする。車両が発進していた場合(S106、NO)、ドライバーが青信号を認識しているので、S100に戻り、S100以降の処理を続行する。一方、車両が停車中の場合(S106、YES)、ドライバーが青信号を認識していない可能性があるので、S108に進む。
【0058】
S108では、判定手段14は、ドライバーによる入力装置40の操作中に信号機が赤信号から青信号に変わったか否かをチェックする。操作中でなかった場合(S108、NO)、ドライバーが青信号を認識している可能性があるので、後述のS120に進む。一方、操作中であった場合(S108、YES)、信号機が青信号に変わった際にドライバーの意識が入力装置40の操作に集中していたので、S110に進む。
【0059】
S110では、判定手段14は、青信号に変わってから第3所定時間Tc(例えば、Tc=Ta=1秒)の間、操作中だったか否かをチェックする。操作が完了していた場合(S110、NO)、ドライバーが青信号を認識している可能性があるので、後述のS120に進む。一方、操作中だった場合(S110、YES)、ドライバーの意識が入力装置40の操作に依然集中しているので、ドライバーが青信号を認識可能な状態にないと判定し、S112に進む。
【0060】
S112では、報知手段15は、信号機が青信号に変わったことをドライバーに報知し、今回の処理を終了する。
【0061】
S120では、判別手段12は、信号機が赤信号から青信号に変わってから第2所定時間Tb(例えば、Tb=4秒)の間、車両が停車中だったか否かをチェックする。車両が発進していた場合(S120、NO)、ドライバーが青信号を認識しているので、今回の処理を終了する。一方、車両が停車中の場合(S120、YES)、S112に進み、信号機が青信号に変わったことをドライバーに報知し、今回の処理を終了する。
【0062】
尚、上述した図6のS108において、ドライバーによる入力装置40の操作中に信号機が赤信号から青信号に変わったと判定された場合(S108、YES)、S110に進むとしたが本発明はこれに限定されない。この場合(S108、YES)、信号機が青信号に変わった際にドライバーの意識が入力装置40の操作に集中していたので、ドライバーが青信号を認識可能な状態にないと判定し、S110に進む代わりに、S112に進み、信号機が青信号に変わったことをドライバーに報知してもよい。
【0063】
図7は、ECU10により実行される報知制御処理の別の例を示すフローチャートである。以下、図7の処理について説明するが、図6の処理と同一の処理については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0064】
図7に示す例では、上記S104で信号機が赤信号から青信号に変わった場合(S104、YES)、S200に進む。
【0065】
S200では、判定手段14は、ドライバーによる入力装置40の操作中に信号機が赤信号から青信号に変わったか否かをチェックする。操作中でなかった場合(S200、NO)、上記S120に進む。一方、操作中であった場合(S200、YES)、信号機が青信号に変わった際にドライバーの意識が入力装置40の操作に集中していたので、S202に進む。
【0066】
S202では、報知手段15は、信号機が赤信号から青信号に変わった際に行われていた操作が登録済みの所定の操作であって且つ操作初期であったか否かをチェックする。S202において条件が満たされる場合(S202、YES)、操作が完了するまで時間がかかるので、上記S112に進み、信号機が青信号に変わったことをドライバーに報知し、今回の処理を終了する。一方、S202において条件が満たされない場合(S202、NO)、S204に進む。
【0067】
S204では、判別手段12は、信号機が赤信号から青信号に変わってから第1所定時間Ta(例えば、Ta=1秒)の間、車両が停車中だったか否かをチェックする。車両が発進していた場合(S204、NO)、ドライバーが青信号を認識しているので、今回の処理を終了する。一方、車両が停車中の場合(S204、YES)、ドライバーが青信号を認識していない可能性があるので、上記S110に進む。
【0068】
以上、説明したように、本実施例の運転支援装置によれば、ドライバーが入力装置40を操作中か否かを監視し、ドライバーが青信号を認識可能な状態にあるか否かを判定するので、ドライバーが入力装置40を操作している場合に、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる。
【0069】
また、本実施例の運転支援装置によれば、信号機が青信号に変わってから長時間Tb経過しても車両が発進していない場合に、報知を行うので、ドライバーに煩雑感を与えることなく、信号機の指示の変化を報知することができる。
【0070】
また、本実施例の運転支援装置によれば、入力装置40を介してドライバーにより入力された情報に基づいてドライバーの状態を判定するので、判定を行うための専用の装置(例えば、車内カメラ)が不要となる。
【0071】
また、本実施例の運転支援装置によれば、信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した際に登録済みの所定の操作が行われていた場合、当該操作の状況に応じて、第1所定時間Taの経過を待たずに報知を行うので、ドライバーに煩雑感を与えることなく、迅速に信号機の指示の変化を報知することができる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
例えば、上述した実施例において、入力装置40は、各種スイッチであるとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、入力装置40は、音声入力を受け付ける装置であってもよい。
【0074】
また、上述した実施例において、報知手段15は、スピーカ50を制御して、音声案内を出力することでドライバーに報知するとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、報知手段15は、表示部42bを制御して、警告画像を出力することでドライバーに報知してもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 ECU
11 検知手段
12 判別手段
13 監視手段
14 判定手段
15 報知手段
40 入力装置
42 タッチパネル
42a 操作部
42b 表示部
44 ディスプレイスイッチ
46 ディスプレイ
50 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停車中に車両前方の信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化したことを検知する検知手段と、
前記検知手段の結果を用いて前記信号機の指示が発進許可に変化した時点から第1所定時間内に車両が発進したか否かを判別する判別手段と、
ドライバーが入力装置を操作中か否かを監視する監視手段と、
前記検知手段及び前記監視手段の結果に基づいて、ドライバーが前記信号機の発進許可の指示を認識可能な状態にあるか否かを判定する判定手段と、
前記判別手段により第1所定時間内に車両が発進していないと判別され、且つ、前記判定手段により認識可能な状態にないと判定された場合、前記信号機の指示が変化したことをドライバーに報知する報知手段とを備える運転支援装置。
【請求項2】
前記判別手段は、前記信号機の指示が発進許可に変化した時点から前記第1所定時間より長い第2所定時間内に車両が発進したか否かを更に判別し、
前記報知手段は、前記判別手段により第2所定時間内に車両が発進していないと判別された場合、前記信号機の指示が変化したことをドライバーに報知する請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記監視手段は、前記入力装置を介してドライバーにより入力された情報に基づいて監視を行う請求項1又は2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記監視手段は、登録済みの一の情報が入力された時から、前記一の情報に対して関連付けて登録された他の全ての情報が入力された時までを操作中とする請求項3記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記監視手段は、登録済みの一の情報が入力された時から、第3所定時間以上前記一の情報が再入力されなかった時までを操作中とする請求項3記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記入力装置の操作中に前記信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した場合であって、且つ、前記信号機の指示が発進許可に変化してから第4所定時間内に操作が完了しなかった場合に、認識可能な状態にないと判定する請求項1〜5いずれか一項記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記入力装置の操作中に前記信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した場合に、認識可能な状態にないと判定する請求項1〜5いずれか一項記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記報知手段は、前記信号機の指示が発進不許可から発進許可に変化した際に登録済みの所定の操作が行われていた場合、当該操作の状況に応じて、前記第1所定時間の経過を待たずに、報知を行う請求項1〜7いずれか一項記載の運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−205219(P2010−205219A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53004(P2009−53004)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】