説明

過給式大型内燃機関

【課題】 給気、および/または、再循環されたガスに加湿を行う新規な手段を有する過給型2行程式大型内燃機関を提供する。
【解決手段】 ターボチャージャーと、排気ガス再循環回路と、給気を加湿する加湿ユニット(12')と、再循環ガスを加湿する加湿ユニット(29')とを有する過給式大型2行程内燃機関であって;前記ターボチャージャーは、排気ガスによって駆動されるタービン(6)と、前記タービンによって駆動されて、エンジンの各シリンダに該シリンダの掃気ポート経由で給気を供給するコンプレッサー(9)とを備え;前記再循環ガスを加湿するための前記加湿ユニットが、少なくとも部分的に水で満たされる領域(42、42')を有する水容器(40、41)であって、前記水が熱交換器(34)から供給される水であり、加湿すべきガスが前記領域内に満たされた水の中を通過するように構成される水容器(40、41)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスによって駆動されるタービンと当該タービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーを有するターボチャージャーを備えた船舶の主エンジンのような、過給型大型内燃機関に関するものである。この種のエンジンは、さらに水噴射による給気の冷却ユニットを有する。
【背景技術】
【0002】
例えば、国際公開公報WO9429579には、エンジンのシリンダに給気と掃気を供給するコンプレッサーと、コンプレッサーからの給気を冷却する冷却器を備えた過給型過給型2行程式大型内燃機関が開示されている。冷却器は、大気中の水分の加圧噴霧によって作動する。冷却器は複数の連続噴霧セクションを有しており、場合によっては、少なくとも2つの噴霧セクションの間には気体から水滴を分離するための水滴回収セクションが設けられる。給気の温度を可能な限り低下させるために、外気温度の水分が気流に噴射される。この文献においては、空気に水を加圧噴霧する目的は、効率がよく信頼性が高く、メンテナンスが余り必要でない冷却能力の大きな、大型の2行程式内燃機関の給気システムのための冷却器を提供することである。
【0003】
国際公開公報WO9429587は、排気をターボチャージャーの高圧側からエンジンの給気システムに再利用する過給型2行程式大型内燃機関を開示したものである。当該エンジンは、燃料として、排気ガスと接触するエンジンの部品に対して非常に浸食作用が強い燃焼生成物を発生させる重油を使用することを前提としている。侵食性の強い排気は、エンジンの部品を損傷させるために簡単に再利用することはできない。したがって、再利用される排気の少なくとも一部は、相対湿度が100%という高湿度になるまで加湿される。このことによって侵食性の燃焼性生物が低減され、燃焼によって生じるNOxの量が低減する。この文献に開示された技術において空気に対して加湿器を使用する目的は、スーパーチャージャーを有する大型ディーゼルエンジンの排気循環において、エンジンの効率を高く維持し、エンジンの部品の寿命を延長することである。
【0004】
これらの例に見られるエンジンは、典型的な例によれば、約37°Cに冷却され、1kg当り4から12gの絶対湿度を有する給気で運転される。
【0005】
従来技術においては、ターボチャージャーを有するエンジンは、燃焼効率を高めてエンジンの熱負荷を低減することから給気温度を低くすることが好ましいと考えられていた。
【0006】
従来技術において加湿ユニットが使用されてきた目的は、一般に、ガスから不純物を排除するためである。
【特許文献1】WO9429587
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上述のような大型の内燃機関であって、総合燃費を改善したエンジンを提供することである。
【0008】
上記の目的は、排気ガスによって駆動されるタービンと当該タービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーと、シリンダからタービンに排気ガスを導く排気管と、水を噴射して給気を冷却する冷却ユニットとを有するターボチャージャーを備えた過給型内燃機関によって達成される。冷却ユニットは、絶対湿度が高く比較的温度が高い給気を実現するために使用され、排気管から分岐された排気ガスによって補助タービンを駆動する。
【0009】
エンジンは、通常のエンジンに比較して温度と絶対湿度が高い給気によって運転することができる。給気が有する総エネルギー含量は、したがって通常のエンジンの給気よりも高い。給気の温度と絶対湿度は、コンプレッサーから供給される気体が冷却されないことに起因する、つまり、従来のような給気の温度低下が無く、給気からエネルギーが奪われることが無いためである。本発明では、反対に、給気が有するエネルギーは維持されるか、あるいは、場合によっては、給気に温度制御された水を噴射することなどによって総エネルギーは増加される。噴射される水の温度は大気温度よりも高いことが望ましい。
【0010】
排気ガスの体積流量は給気の絶対湿度の影響を強く受け、したがって排気ガス流が有するエネルギー含量は従来の運転状態の場合に比較して高くなる。このエネルギーの増加分は、主タービンを駆動する以外の目的に使用することができる。そこで、主タービンに十分なエネルギーを供給しながら排気ガスの一部を分岐させて補助タービンを駆動することができる。このようにして、同じ燃料を消費しながらエンジンの総出力を増大させることができる。これは、エンジンの無駄に浪費されていた低いエクセルギーエネルギーの一部が給気に噴射される水を加熱するエネルギーとして使用され、結果的に、この無駄に浪費されていたエネルギーが排気ガス流から分岐される高エクセルギーのエネルギーに転換されるために可能になるのである。
【0011】
噴射される水を加熱するためのエネルギーは低品質の熱源、つまり比較的エクセルギーの低いエネルギー源から得ることができる。エクセルギーの低いエネルギー源はエンジンの周囲の排気ガス、ジャケット他の冷却液等から得ることができる。
【0012】
噴射する水を加熱するためのエネルギーは、給気温度の上昇と湿度の上昇という形でガス流に追加され、高いエクセルギーを有するエネルギーとして再利用することができる。そのエネルギーはタービンの上流で排気ガス流を分岐させることによって、高エクセルギーを有するエネルギーの形で再利用することができる。排気ガス流の総エネルギー含量が増大しているので、タービンが利用することができる通常のエネルギーが低下することはない。
【0013】
したがって、給気に加湿を行い、余剰エネルギーを給気に与えて冷却させず、排気ガス流に含まれるエネルギー含量の増分を分岐させれば、エンジンの総エネルギー効率を向上させることができる。排気ガス流からエネルギーを分岐させることによって、従来無駄と考えられていた低いエクセルギーを有するエネルギーを、高エクセルギーを有するエネルギーとして再利用することが可能になる。したがって、エンジンの総エネルギー効率が改善される。
【0014】
したがって、本発明において加湿器を使用する主な目的は、従来技術のように給気からエネルギーを奪うための冷却器としてではなく、従来の技術とは逆に、給気にエネルギーを追加するためである。冷却器は、給気の温度を比較的高く維持して水分を多く含んで高エネルギー含量を有する給気を得るために使用される。
【0015】
本発明は、したがって、低温の給気はエンジンの燃焼効率を若干改善する利点があるので、ターボチャージャーを有するエンジンは給気の温度を低くしてエンジンの熱負荷を低減するのがよいという従来の一般的な考えとは逆の立場に立脚するものである。さらに、給気の水分を高くすることで、NOxが低減されて排気ガスの品質が向上する利益も有る。
【0016】
排気ガス流から得られるエネルギーの増加分はエネルギー利用機関に送られる。エネルギー利用機関とは、例えば、−発電機、−エンジンの流体システムを駆動する流体ポンプ、あるいは、−排気ガス循環ブロアーの何れかと連結されたタービンである。
【0017】
分岐させられてエネルギー利用機関に送られる排気ガスの量は、エンジンの運転状態に基づいて、可変流量レギュレータなどによって調整することが可能である。
【0018】
加湿ユニットは複数段のアトマイザーを有するスクラバー(scrubber)であるのが好ましい。スクラバーは、空気中に加圧噴霧を行うことによって空気中に大量の水分を噴霧して空気を飽和水蒸気状態にすることができる。スクラバーは非常に短いガスの流路に大量の水分を噴霧することができるが、このことは相対湿度100%に至る所望の加湿を行うためには重要である。飽和水蒸気状態の空気に含まれる水分の量は、温度によって指数関数的に増大する。つまり、空気の絶対湿度は給気の温度に主として依存し、絶対湿度を最大にするためには、給気が加湿ユニットを通過する間、給気からエネルギーを奪わないことが必要である。そのために、加湿ユニットを出る給気の温度を測定し、それに従って噴霧する水の温度と量を調節することができる。このような方法で、加湿ユニットを出る段階で高温で絶対湿度の高い給気が得られる。加湿ユニットを出る段階における給気の温度と絶対湿度は上記のような手段で制御することができる。
【0019】
加湿の上流側には比較的清浄度の低い水、例えば海水を供給し、下流側には比較的清浄度の高い水を供給する。
【0020】
加湿ユニットの出口での給気の絶対湿度は、10から120g/kg(空気)の範囲に調整することができる。加湿ユニットの出口位置での給気の温度は、37°Cから85°Cの範囲にすることができる。
【0021】
エンジンは4行程式エンジンでも、2行程式エンジンでも良い。
【0022】
給気の加湿には非常に大量の水を使用する。水の消費量は、エンジンの燃料としてのオイル消費量の4倍にもなりえる。出力25,000kWの中型ディーゼルエンジンの場合、1時間当り12〜17トンの水を消費することになる。船舶に搭載されたエンジンや海岸または河岸に設けられた発電施設の場合には必要な量の水を供給することに関して問題はない。
【0023】
エンジンには、好ましくは第2の加湿ユニットを有する排気ガス再循環管路を備えることができる。当該第2の加湿ユニットは、排気ガスがその中を気泡となって通過する水槽であっても良い。排気ガスの再循環によってエンジンの効率をさらに向上させることができる。再利用された排気ガスは別に設けた加湿ユニットによって加湿されても良い。
【0024】
本発明の別の目的は、過給型大型内燃機関の運転状態を制御する方法を提供することである。この目的は、排気ガスによって駆動されるタービンとタービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーを有する過給型大型内燃機関の運転状態を、空気に水分を供給するための加湿ユニットを通じて制御する方法であって、
・ 前記加湿ユニットによって給気に水分を加え、
・ 当該加湿ユニットを出る給気の絶対湿度を制御する方法を提供する、
ことである。
【0025】
前記エンジンは4行程式エンジンでも2行程式エンジンでも良い。
【0026】
エンジンの運転状態はさらに、タービンの上流で排気ガス流の一部を分岐させて、分岐された排気ガスのエネルギーを補助タービンのようなエネルギー利用装置によって使用することによって制御することができる。
【0027】
上記の方法によってエンジンの運転状態を広範囲にわたって制御することが可能になる。運転状態は、大気の温度と湿度、エンジンの負荷、要求される排気ガス品質等によって設定することができる。給気の温度と湿度は、従来技術の場合のような低温かつ低湿度状態から、最高温度かつ高い絶対湿度状態、あるいはこれらの中間的な状態の間で変化させることができる。低温かつ低湿度によってエンジンの熱負荷を低減することができる。冷却のために失われるエネルギーが小さく、エクセルギーの低い「余剰」エネルギー源を高エクセルギーのエネルギー源として再利用することができるので、高温かつ高絶対湿度の給気によって総合効率を向上させることができる。
【0028】
加湿ユニットから出る空気の絶対湿度は、給気に加えられる水の温度、および/または、コンプレッサーの上流における空気の温度を調節することで制御可能である。
【0029】
分岐された排気ガスのエネルギー含量は排気ガス流全体が有する総エネルギー含量の15%程度以下である。
【0030】
本発明のさらに別の目的は、給気、および/または、再循環されたガスに加湿を行う新規な手段を有する過給型2行程式大型内燃機関を提供することである。
当該目的は、排気ガスによって駆動されるタービンと当該タービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーとを有するターボチャージャーを有する過給型過給型2行程式大型内燃機関であって、排気ガス再循環回路と、水により給気に加湿を行う加湿ユニット、および/または、再循環ガスに加湿を行う加湿ユニットを有し、当該加湿ユニットは加湿すべきガスが内部を通過する少なくとも1つの水容器を有する内燃機関によって達成される。
加湿すべきガスを水容器内を通過させることによって、ガスに加湿が行われ水容器は遮音障壁としても有効に作用する。この種のエンジンから発生する騒音の大部分はコンプレッサーから発生するものである。給気ダクトに水容器状の遮音障壁を設けることによって、給気によって搬送される騒音がエンジンの他の部分に伝播されることが阻止される。
【0031】
加湿すべきガスは下向きのダクトによって少なくとも部分的に水で満たされた領域内に導入される。
【0032】
部分的に水で満たされた領域の下側及び望ましくは上側は、グリッドや穴明き板のような流通するガスに圧力低下を発生させる流路規制手段によって区切られている。
【0033】
流路規制手段は、加湿すべきガスが、部分的に水で満たされた領域内の水を通って流れるときに大量の泡となるように多くの開口を有するものであるのが好ましい。
【0034】
水容器は前記部分的に水で満たされた領域に水を供給すると同時に当該領域から水を排出するために水の注入口と排出口を有していてもよい。
【0035】
気水分離手段は部分的に水で満たされた領域の下流側に設けることができる。
【0036】
加湿すべきガスに水分を噴射する手段は、前記部分的に水で満たされた領域の上流側に設けることができる。
【0037】
複数の水容器を直列に複数設けても良い。
【0038】
上流側の1つまたは複数の水容器には海水のような比較的清浄でない水を供給し、下流側の1つまたは複数の水容器には比較的清浄な水を供給しても良い。
【0039】
エンジンおよびエンジンの運転状態の制御手段の上記以外の目的、特徴、利点及び性質は発明の実施形態の説明を通じて明らかにする。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の発明の実施形態の説明では、例として添付した図面を参照して説明を行う。以下に、実施形態の説明を通じて本発明について説明することにする。図1に、ターボチャージャーを有する2行程式大型内燃機関を符号1で示す。エンジン1は、給気レシーバ2と排気レシーバ3とを備え、燃焼室に設けられた排気バルブが符号4で示されている。図示したエンジンは、例えば、船舶の主エンジンや発電設備において発電機を駆動するために使用される据え置き型エンジンである。エンジンの総出力は、例えば、5,000kWから70,000kWであり、本発明は、例えば、出力1,000kWの4行程式エンジンに使用することも可能である。
【0041】
給気は給気レシーバ2から各シリンダの掃気口に流れる。排気バルブ4が開いたときは、排気ガスが排気管を通って排気レシーバ3に流れ、さらに通常の排気管5を通ってターボチャージャーのタービン6に向かう。タービンを通過した後、排気ガスは排気管7を通って排出される。タービン6はシャフト8によって給気口10に設けられたコンプレッサー9を駆動する。給気口を通った空気は、好ましくは冷却流体のような余剰熱源を利用した給気ヒーター33によって加熱される。コンプレッサー9は加圧された給気を給気レシーバ2に繋がる給気管11に供給する。
【0042】
給気管11内の給気は、図示されているように3つのアトマイザー段13−15を有する加湿器12を通過する。第1段13では、例えば海水のような適宜得ることのできる品質の加熱された水が、ガスを加湿して不純物を取り除くために必要な量だけ、アトマイザーノズルに向けてパイプ17を流れる。ガス中に、水中に含まれる塩分やその他の不純物粒子が析出しないように適宜余剰な水が供給される。第2段14では、パイプ18によって供給された水が給気に噴霧される。同様に、第3段15では、パイプ19によって供給された新鮮な水が給気に噴霧される。それぞれの段で供給される水の温度は、給気に要求される温度と湿度とに応じて制御される。各アトマイザー段13、14、15の終端部には、ガス中に浮遊する、給気中の好ましくない汚染物質を含んだ液体粒子を気体から分離する流体収集装置が設けられている。冷却器の段数を少なくすることも可能である。段の数は、他の設備同様、エンジンの出力に応じて設定することができる。
【0043】
アトマイザーノズルに供給される海水と清浄水は、「余剰」熱源を利用した熱交換器34によって冷却または過熱される。「余剰」熱源は例えばエンジンの冷却水35である。さらに、加湿ユニット12の水は図2に示したように排気ガスを利用した熱交換器38によって予熱されている。熱交換器の特性は排気ガス中の上記を結露させて再利用することができるように選択することができる。
【0044】
加湿器を出る給気の絶対湿度と温度の調整は、加湿器12のそれぞれの段13、14、15で供給する水の温度を制御する、および/または、給気ヒーター33によって給気の温度を制御することによって行われる。
【0045】
スクラバー12の出口において、セル39で給気の温度を測定し信号を制御ユニット(図示していない)に送る。制御ユニットは測定された温度を予め設定された所望の温度と比較する。スクラバー12を出る給気の温度が予め設定された温度と同じでなければ、制御ユニットはその差を無くすようにスクラバー12の格段に供給される水の温度を調整する。
【0046】
ノズルに供給される水の温度は、加湿ユニットを出るときの給気の絶対湿度と温度が所望の値になるように調整される。所望の値は、エンジンの所望の運転状態が達成されるように諸々の条件にたがって、例えば、給気中の絶対湿度を最大値まで上げる、エンジンの熱負荷を最小限にする、あるいはこれらの間の何らかの値となるように選択される。
【0047】
加湿された給気は、部分的な負荷状態において給気流を加圧する電気モーター20によって駆動される補助ブロアー16とエンジンのシリンダを通って排気ガス管5に至り、そこでターボチャージャー8のタービン6に導かれる。排気管24はタービン6の上流で排気管5から分岐する。排気管24は発電機27を駆動する補助タービン26に接続されている。排気ガス流中の余剰エネルギーはこのようにして電力、つまり、高エクセルギーを有するエネルギーに返還される。補助タービン26の方に分岐される排気ガスの量は、排気管24に設けられた可変流量レギュレーター25によって分岐される。
【0048】
別の構成によれば、補助タービン26は図示しない流体ポンプに接続される。同様に図示しない他の変形例では、補助タービン26は排気ガス再循環管28のブロワー30を駆動する。
【0049】
補助タービンは駆動機関または駆動機関ではない装置あるいはエンジンのようなガスで駆動されるエネルギー利用機関で置き換えても良い。
【0050】
図3に示す別の好ましい実施例に拠れば、エンジンは排気ガスの再循環を利用する。排気管5から再利用管路28が分岐して給気管11と接続され、再利用配管は排気管路28から排気管11に繋がる接続部分の下流側で給気システムと共に再利用管路を形成する。
【0051】
スクラバー29は排気ガスに対して水で加湿と浄化を行うために再循環管路28に挿入されたものである。スクラバー29には、熱交換器34から温められた水が供給される。スクラバー29からの排気ガスはエンジン31によって駆動されるブロアー30に導かれる。タービン6の高圧側で排気ガスが分岐させられるが、ブロアー30は管路11の給気圧力にまで排気ガスを昇圧する必要がある。ブロアー30によって、エンジンの給気側と排気側の圧力比に関わらず排気ガスの再利用が可能になり、そのことによってエンジンの負荷に関わらず排気ガスの再利用が可能になる。再利用された排気ガスは、図示されているように加湿器12の上流側で、または加湿ユニット12の下流側で(図示しない)、管路11に流入する。
【0052】
再利用した排気ガスを加湿器12の上流側で流入させる場合は、インジェクターのベンチュリー効果を利用して、再利用される排気ガスを少なくとも部分的にコンプレッサーからの給気の高速流に吸い込むことができる。この場合、排気ガスの再循環には小型のブロアー30が有っても良いし、なくても良い。
【0053】
噴霧による加湿器12、29に代えて、加湿すべきガスを気泡状にして通すための、図5に示した水容器40、41を少なくとも1つ有する加湿器を使用してもよい。この装置の場合は、容器内の水が遮音障壁としても機能する利点がある。この種の水容器40、41には、比較的低温から高温の範囲の水が熱交換器34から供給される。加湿器12、29は排気ガスの浄化と加湿の程度によって単一の段を有するものでも複数の段を有するものでもよく、噴霧型の加湿器と組み合わせて用いてもよい。
【0054】
[実施例1]
再利用されたガスが加湿器29によって浄化、加湿され、全ての給気が2段を有する加湿器12によって加湿されるエンジンプラントにおけるスクラバーの動作モードを以下の実施例で示す。エンジンの運転状態は、排気ガス流から最大のエネルギーが分岐されるように選択した。説明を簡単にするために、エンジンは最大負荷状態で25,000kW、定格給気圧力360kPaと仮定した。
【0055】
エンジンは100%負荷の状態で運転され、大気温度は25°C、相対湿度は30%、つまり、給気は空気1kgあたり6gの水分を含んでいる。エンジンの空気消費量は、約55kg/秒である。コンプレッサー9を通過した後では、空気の温度T1=190°Cで相対湿度は0.25%である。
【0056】
第1の加湿段13では、アトマイザーのノズルに70°Cの塩水が13l/秒の速度で供給される。供給される塩水の温度は、好ましくは、エンジン冷却流体、エンジン排気ガスまたはその他の「余剰」エネルギーのような「余剰」エネルギー(低エクセルギーのエネルギー)を使用することで実現される。給気は相対湿度90%以上、乾燥温度85°に加湿され、結果的に空気1kg当り110gの水分を含む。第1のスクラバー段から排気されるときには、空気は大部分浄化され、塩分は含まない。
【0057】
第2の加湿およびスクラバー段14では、好ましくは「余剰」なエネルギーを利用して得られた100°Cから150°Cの範囲の温度を有する浄化された水が50l/秒噴霧される。空気の温度は約85°Cのままであり、したがって、100%の飽和蒸気を有する空気の絶対湿度は120g/空気1kgである。
【0058】
管路28の中の再利用された排気ガスを純化するために別のスクラバー29を使用する場合は、浄化と同時に相対湿度100%で温度が約110°Cになるように加湿を行うことが望ましい。
【0059】
スクラバーから出てくる段階で、空気の温度は約85°Cで絶対湿度は120g/kgである。従来型の装置における給気が37°Cで絶対湿度が6g/kgであるのに比較すると、排気ガス流に含まれるエネルギーは30%増加しており、例えば、選択されたエンジンの場合には、16,500kWの出力増加に相当する。16,500kWの出力増加があれば、排気ガス管5から16%の排気ガスを分岐させて補助タービン26を駆動することができる。その他の条件が同一であれば、消費する燃料の量は従来のエンジンと実質的に同じである。したがって、入力エネルギーを若干増大させるだけで補助タービンによって1,675kWの付加的エネルギーが得られ、燃料消費率(SFOC)を4%改善することができる。
【0060】
[実施例2]
この実施例は、エンジンの熱負荷が低い状態でも本発明を使用できることを示すためのものである。上述と同じ大気条件とエンジン負荷条件において、第1のスクラバー段12のアトマイザーノズルには30°Cの海水が、少なくとも20l/秒の割合で供給され、給気の温度は蒸発によって約T1=75°Cに上昇し、相対湿度は90%に上昇し、結果的に絶対湿度は約65g/kg(空気)になる。
【0061】
第2緒スクラバー段13では、30°Cの水が、60l/秒の割合で供給される。その結果、給気は約37°Cに冷却され、100%飽和状態の絶対湿度は、11g/kg(空気)に低下する。
【0062】
上記のように、エンジンの熱負荷が過大になった場合に使用することができる、エンジンの熱負荷が低い状態が実現できる。
【0063】
[実施例3]
当該実施例は、エンジンの熱負荷が中程度の運転状態を選択することが可能であることを示すものである。上述と同じ大気条件、エンジン負荷のもとで、第1のスクラバー段12のアトマイザーノズルに、50°Cの海水を、約13l/秒の割合で供給する。その結果、給気温度は約75°Cに上昇し、相対湿度80%になる。その結果得られる絶対湿度は、約59g/kg(空気)程度である。
【0064】
第2のスクラバー段13では、温度約76°Cの水が50l/秒供給される。その結果給気の温度は75°Cに、100%飽和水蒸気を含む給気の絶対湿度は76g/kg(空気)である。
【0065】
したがって、NOxの排出を低減し、第1の実施例に比較すれば排気ガス流から分岐させることのできる出力が少ない、中程度の熱負荷状態が実現される。
【0066】
[実施例4]
図4と5は本発明の他の実施例を図示したものである。エンジン1には給気レシーバ2と排気レシーバ3とが設けられており、燃焼室に設けられた排気バルブが符号4で示されている。給気は、給気レシーバ2からそれぞれのシリンダの掃気口に導かれる。排気バルブ4が開くと、排気ガスは排気管を通って排気レシーバ3へ、次いで通常の排気管5を通ってターボチャージャーのタービン6に至り、そこから排気ガスは排気管7を通って排出される。タービン6はシャフト8によって給気口10に設けられたコンプレッサー9を駆動する。給気は、好ましくは、例えば冷却流体のような余剰エネルギーを利用した給気ヒーター33によって加熱される。コンプレッサー9は加圧された給気を、給気レシーバ2に繋がる給気管11に供給する。給気管11の中の給気は、2つの水容器段40、41を有する加湿器12'を通過する。
【0067】
エンジンは、排気ガス再循環回路を有していてもよい。その場合、再利用管路28が排気管5から分岐して給気管11に接続され、再利用管路は管路28と給気管11との接続部の下流側の給気システムと共に再利用管路を形成する。管路28内にモーター31で駆動される排気ガスブロアー30を設けて再利用ガスが給気管11に流れるのを助けても良い。再循環ガスは2つの水容器段40、41を有する加湿器29'を通過する。
【0068】
加湿ユニット12'の構造は、基本的に加湿ユニット29'の構造と同じである。加湿ユニット12'、29'の構造の詳細を共に図5に示す。2つの段を有する加湿ユニットを図示した。2つの段は管路50によって相互に接続されている。加湿ユニットはさらに多くの段を有してもよいし、1段であっても良い。さらに、水容器型の加湿ユニットと噴霧型の加湿ユニットを組み合わせても良い。各段には、少なくとも部分的に水によって満たされた領域42、42'を有するハウジング44、44'が設けられている。管路43、43'が加湿すべきガスをハウジング44、44'の前記領域42、42'よりも下に導く。当該領域42、42'はハウジングの中に形成されており、少なくとも部分的に水によって満たされている。水は注入口47、47'から供給され、排出口48、48'から排出される。好ましくは、水は連続的に供給され、それよりも少ない量が連続的に排出される。好ましくは、当該領域42、42'に供給される水の温度は制御されている。当該領域42、42'はハウジングと、上部隔壁46、46'と、下部隔壁45、45'によって区画されている。隔壁45、45'、46、46'は圧力低下を生じる流路規制を構成する。隔壁45、45'、46、46'には複数の開口が設けられて、加湿すべきガスがその開口を通って前記領域42、42'に流入し、また流出する。ガスが下部隔壁45、45'を通って流入すると、多量の泡が形成され、ガスと水との適切な接触が行われる。隔壁45、45'、46、46'は、グリッドまたは穴明き板であっても良い。
【0069】
加湿能力をさらに向上させるために、ダクト42に噴霧インジェクター49を設けても良い。加湿ユニットの各段の後には、ミストキャッチャーのような図示しない気水分離装置が設けられている。
【0070】
加湿ユニット12'の水容器40、41はガスを相対湿度100%にまで加湿する。ガスに含まれる不純物は大部分除去され、ガスによって伝播される騒音がシステム内をそれ以上伝播することが防止される。
【0071】
本発明を説明するために種々説明したが、説明に用いた発明の詳細は、発明の理解を助けるために記載したものであって、当業者であれば本発明の技術思想の範囲内において多くの変形例を想起することができる。
【0072】
装置及び方法の実施形態は開発環境に即して述べたものであるが、それらは本発明の原理を説明するためのものに過ぎない。本発明の技術思想にしたがって、クレームに記載した権利範囲内において、上記のものとは異なる実施形態を実現することが可能なことは当然である。
【0073】
本願ファミリの最初の出願である特願2003−143588の特許請求の範囲には、本発明の次のような実施形態が記載されていた。
(1) 排気ガスによって駆動されるタービンと、当該タービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーと、シリンダからタービンに排気ガスを導く排気管と、水を噴射して給気を冷却する冷却ユニットとを有するターボチャージャーを具備した、過給式大型内燃機関であって、
・ 前記冷却ユニットによって絶対湿度が高く温度が比較的高い給気を作ることと、
・ 前記排気管から分岐された排気ガスによって駆動されるエネルギー利用手段を備えることを特徴とする内燃機関。
(2) 前記エネルギー利用機関は補助タービンであることを特徴とする(1)に記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(3) 前記冷却ユニットに供給される水は大気温度よりも高温であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(4) 前記冷却ユニットに供給される水はエンジンの余剰エネルギーを利用して大気温度以上に昇温されたものであることを特徴とする(2)または(3)に記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(5) 給気の絶対湿度が高く温度が比較的高いことによって給気と排気のエネルギー量が増加しており、エネルギーの当該増加分が補助タービンを駆動するために使用されることを特徴とする(1)ないし(4)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(6) 前記補助タービンは発電機、流体ポンプ、排気ガス再循環ブロアーまたはこれらの内の複数と接続されていることを特徴とする(1)ないし(5)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(7) さらに、排気ガスの一部をエンジンのシリンダに導く再利用管路を有することを特徴とする(1)ないし(6)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(8) 前記再利用管路は、好ましくはその中を加湿すべきガスが気泡となって通過する水容器形式の加湿ユニットを備えることを特徴とする(1)ないし(7)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(9) 前記再利用管路はタービンの上流で排気管から分岐する流路を有し、コンプレッサーの下流で給気管に接続されており、第2の加湿ユニットとブロアーとに接続されているか、さらにあるいはそれに代えて、再利用された排気ガスの昇圧のためにコンプレッサー出口のエジェクターに接続されていることを特徴とする(1)ないし(8)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(10) 前記冷却ユニット、および/または、第2の加湿ユニットが、複数の水アトマイザー段を有するか、および/または、ガスが気泡となって通過する水容器を有することを特徴とする(1)ないし(9)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(11) さらに、冷却ユニットから排出される給気の絶対湿度を制御する手段を有することを特徴とする(1)ないし(10)の何れかに記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(12) 前記給気中の絶対湿度を制御する手段が、冷却ユニットによって給気中に導入される水の温度を制御する手段を有することを特徴とする(11)に記載の過給式2行程式大型内燃機関。
(13) 排気ガスによって駆動されるタービンと、当該タービンによって駆動されエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーと、水を噴射して給気を冷却する冷却ユニットとを有するターボチャージャーを具備した、過給式大型内燃機関の運転状態を制御する方法であって、
・ 前記加湿ユニットで給気に水を加えるステップと、
・ 加湿ユニットの下流側で給気の温度を測定して当該測定温度に基づいて加えるべき水の温度を調整するステップとを含む方法。
(14) さらに、前記タービンの上流で排気ガス流の一部を分岐させるステップと、分岐させた排気ガスに含まれるエネルギーを、発電機を駆動する補助タービンのようなエネルギー利用手段に利用させるステップとを含む(13)に記載の方法。
(15) 給気の絶対湿度を、状況に応じて、最低温度かつ最低絶対湿度である状態と最高温度かつ最高絶対湿度である状態との中間状態になるように制御することを特徴とする(13)または(14)に記載の方法。
(16) さらに、加湿ユニットの下流の給気の絶対湿度を、空気1kg当り11から120gの範囲に調節するステップを含むことを特徴とする(13)ないし(15)の何れかに記載の方法。
(17) さらに、加湿ユニットの直下の給気温度を37°Cから85°Cの範囲に調節するステップを含むことを特徴とする(13)ないし(16)の何れかに記載の方法。
(18) 前記分岐された排気ガスのエネルギー量が、排気ガスの総エネルギー量の0から16%の範囲となるように調節することを特徴とする(13)ないし(17)の何れかに記載の方法。
(19) 前記タービンの下流の排気ガス流は排気ガス冷却装置によって、排気ガスに含まれる水分を結露させて再利用できるように、好ましくは、結露温度以下に冷却することを特徴とする(13)ないし(18)の何れかに記載の方法。
(20) エネルギー利用手段のために分岐される排気ガスの量は、可変流量レギュレーターによって調節されることを特徴とする(13)ないし(19)の何れかに記載の方法。
(21) 排気ガスによって駆動されるタービンと、当該タービンによって駆動されてエンジンのシリンダに給気を供給するコンプレッサーとを有するターボチャージャーを具備した過給式大型内燃機関であって、好ましくは排気ガス再循環回路と、給気を加湿する加湿ユニット、および/または、再循環ガスを加湿する加湿ユニットとを有し、前記加湿ユニットのうちの少なくとも1つが加湿すべきガスが中を通過する水容器を有することを特徴とする内燃機関。
(22) 前記水容器が少なくとも部分的に水で満たされる領域を規定するハウジングと、加湿すべきガスを前記ハウジングの前記領域の下の部分に導くために下向きに設けられたダクトとを有することを特徴とする(21)に記載の内燃機関。
(23) 前記領域は下側が下方隔壁によって規定され、好ましくは上側が上方隔壁によって規定され、これらの隔壁はその部分を通るガスに圧力低下を生じさせる流路規制を構成するものであることを特徴とする(22)に記載の内燃機関。
(24) 前記下方隔壁は加湿すべきガスがその中を通って多くの泡となって前記領域内の水を通るような開口を複数有することを特徴とする(23)に記載の内燃機関。
(25) 前記水容器は、前記領域に水を供給し、あるいは前記領域から水を排出するために、注入口と排出口を有することを特徴とする(21)ないし(24)の何れかに記載の内燃機関。
(26) さらに、前記領域の下流側に、加湿すべきガスから水分を分離させるための手段を有することを特徴とする(21)ないし(25)の何れかに記載の内燃機関。
(27) 前記領域の上流側に、加湿すべきガスに水を噴射する手段を有することを特徴とする(21)ないし(26)の何れかに記載の内燃機関。
(28) 直列に接続された複数の水容器を有することを特徴とする(21)ないし(27)の何れかに記載の内燃機関。
(29) 上流側の1つまたは複数の水容器には海水のような比較的清浄でない水を供給し、下流側の1つまたは複数の水容器には比較的清浄な水を供給することを特徴とする(28)に記載の内燃機関。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に基づく内燃機関の給排気システムの第1の実施形態を示す。
【図2】本発明に基づく内燃機関の給排気システムの第2の実施形態を示す。
【図3】本発明に基づく内燃機関の給排気システムの第3の実施形態を示す。
【図4】本発明に基づく内燃機関の給排気システムの第4の実施形態を示す。
【図5】再循環される排気ガスのための加湿手段の好ましい実施形態を示す。
【符号の説明】
【0075】
1 内燃機関
2 給気レシーバ
3 排気レシーバ
4 排気バルブ
5 排気管
6 ターボチャージャーのタービン
7 排気管
8 シャフト
9 コンプレッサー
11 給気管
12 加湿器
13−15 アトマイザー
35 冷却水
38 熱交換器38

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボチャージャーと、排気ガス再循環回路と、給気を加湿する加湿ユニット(12')と、再循環ガスを加湿する加湿ユニット(29')とを有する過給式大型2行程内燃機関であって、
前記ターボチャージャーは、排気ガスによって駆動されるタービン(6)と、前記タービンによって駆動されて、エンジンの各シリンダに該シリンダの掃気ポート経由で給気を供給するコンプレッサー(9)とを備え、
前記再循環ガスを加湿するための前記加湿ユニットが、少なくとも部分的に水で満たされる領域(42、42')を有する水容器(40、41)であって、前記水が熱交換器(34)から供給される水であり、加湿すべきガスが前記領域内に満たされた水の中を通過するように構成される水容器(40、41)を有することを特徴とする、内燃機関。
【請求項2】
前記水容器(40、41)が、少なくとも部分的に水で満たされる領域(42、42')を規定するハウジング(44、44')と、加湿すべきガスを前記ハウジング(44、44')の前記領域(42、42')の下の部分に導くために下向きに設けられたダクト(43、43')とを有することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記領域(42、42')は、下側が下方隔壁(45、45')によって規定され、上側が上方隔壁(46、46')によって規定され、前記下方隔壁(45、45')には、前記ガスを前記領域内(42、42')へ導入するための多数の孔が設けられており、前記上方隔壁(46、46')には前記ガスが前記領域内(42、42')から脱出しうる多数の孔が設けられている、請求項2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記水容器(40、41)は、前記領域(42、42')に水を供給し、あるいは前記領域から水を排出するために、注入口(47、47')と排出口(48、48')を有することを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の内燃機関。
【請求項5】
さらに、前記領域(42、42')の下流側に、加湿すべきガスから水分を分離する手段を有することを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の内燃機関。
【請求項6】
前記領域(42)の上流側に、加湿すべきガスに水を噴射する手段(49)を有することを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の内燃機関。
【請求項7】
前記加湿すべきガスの流路に前記水溶器(40、41)を複数個直列に設けることを特徴とする請求項1ないし6の何れかに記載の内燃機関。
【請求項8】
上流側の1つまたは複数の水容器(40)には海水のような比較的清浄でない水を供給し、下流側の1つまたは複数の水容器には比較的清浄な水を供給することを特徴とする請求項7に記載の内燃機関。
【請求項9】
ターボチャージャーと、排気ガス再循環回路と、給気を加湿する加湿ユニット(12')と、再循環ガスを加湿する加湿ユニット(29')とを有する過給式大型2行程内燃機関であって、
前記ターボチャージャーは、排気ガスによって駆動されるタービン(6)と、前記タービンによって駆動されて、エンジンの各シリンダに該シリンダの掃気ポート経由で給気を供給するコンプレッサー(9)とを備え、
前記給気を加湿するための前記加湿ユニットが、少なくとも部分的に水で満たされる領域(42、42')を有する水容器(40、41)であって、前記水が熱交換器(34)から供給される水であり、加湿すべきガスが前記領域内に満たされた水の中を通過するように構成される水容器(40、41)を有することを特徴とする、内燃機関。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−13089(P2012−13089A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188109(P2011−188109)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【分割の表示】特願2009−215261(P2009−215261)の分割
【原出願日】平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願人】(597061332)エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・フィリアル・アフ・エムエーエヌ・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー・ティスクランド (98)
【Fターム(参考)】