説明

遠隔医療システムおよび人工膵臓システム

【課題】 携帯端末装置に装着された記録媒体を血糖測定装置として利用し、その携帯端末装置および携帯端末装置から受信した血糖情報を管理するサーバをネットワークに接続して両者間における双方向サービスを提供するシステムに用いられる、血糖測定可能な記録媒体を提供する。
【解決手段】 記録媒体1は、血液中の血糖値に応じた電流を発生するセンサー回路部11と、発生した電流を信号処理部12においてデジタル変換したデータを血糖値データに換算し、記憶部であるEEPROM14へ書込み、また、血糖値データをEEPROM14から読出して記録媒体1が装着される携帯端末装置へ通信制御部16を介して送信する制御部13とを含む。また、記録媒体1は、記録媒体1が装着される携帯端末装置から電源を受電して記録媒体1内の各部へ電源を供給する電源制御部18をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠隔医療システムおよび人工膵臓システムに関し、特に、血糖測定装置として用いられる携帯端末装置とその携帯端末装置から受信した血糖値データを管理するサーバとをネットワークに接続して両者間における双方向サービスを提供可能な遠隔医療システムおよびその血糖値データを利用した人工膵臓システムに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病の治療においては、血糖値をコントロールすることが基本であり、血糖値を適正にコントロールするためには、日頃血糖値の動きをモニターし、コントロールできているかをチェックすることが必要である。
【0003】
近年、従来は医療機関でしかできなかった血糖値の測定が自己において簡易に行なうことができる血糖自己測定(SMBG;Self Monitoring of Blood Glucose)装置が市販され、自宅においても手軽に血糖値をモニターすることができるようになっている。
【0004】
血糖自己測定装置は、大別すると、電極または試験紙に固定したグルコース酸化酵素に採取した血液を反応させ、その反応により生じる電流を測定する電極法と、採取した血液を試験紙に付着させ、試験紙の色の変化の度合いにより血糖値を測定する試験紙法とに区分される。
【0005】
一般に、市販されている血糖自己測定装置は、測定精度の面などから電極法のものが多い。
【0006】
電極法の血糖自己測定装置は、穿刺針を備えた穿刺器具により皮膚に穿刺して採取した血液を試験紙に付着させ、その試験紙を測定装置に装着して測定するタイプのもの、穿刺と測定が一体化したタイプのもの、歯肉溝液や近赤外線などを用いた穿刺を必要としない非侵襲タイプのものなど、種々のタイプのものが知られている。
【0007】
さらに、市販されている電極法の血糖自己測定装置の中には、測定データを出力できるデータ出力機能を備え、専用の接続装置に接続して測定データをパソコンなどへ送信し、パソコンなどでのデータ管理を可能としたものもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した血糖自己測定装置は、基本的にはスタンドアローンで用いられ、血糖自己測定装置のユーザは、血糖自己測定装置の表示部に表示された測定値に基づいて食事療法やインシュリンの投与量を決定するなどして血糖値をコントロールし、また、その血糖値の傾向を管理するにとどまっている。
【0009】
しかしながら、糖尿病の患者は、血糖値の測定結果によっては、即座に医師による診察が必要であったり、あるいは、血糖異常により体調不良に陥り、上述した血糖自己測定装置により血糖値を測定したものの、自力で最寄の病院まで行くことができないといった緊急を要する場合もある。
【0010】
このような場合、上述した血糖自己測定装置では即座に医師などの診断を仰ぐことはできず、また、上述したパソコンと接続可能な血糖自己測定装置においても、その血糖自己測定装置をパソコンと接続する専用の接続装置が必要であるため、たとえば外出中であれば対応することはできない。
【0011】
また、上述した血糖自己測定装置は、いずれも測定値を表示する表示装置と、内部装置を駆動するための電源バッテリーとを必要とするため、装置が大型化するという問題がある。
【0012】
そこで、この発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、携帯端末装置に装着してその携帯端末装置を血糖測定装置として利用し、その携帯端末装置と、携帯端末装置から受信した血糖値データを管理するサーバとをネットワークに接続して、両者間における双方向サービスを提供するシステムに用いられる、血糖測定可能な記録媒体を提供することである。
【0013】
また、この発明の別の目的は、携帯端末装置に装着してその携帯端末装置を血糖測定装置として利用し、その携帯端末装置と、携帯端末装置から受信した血糖値データを管理するサーバとをネットワークに接続して、両者間における双方向サービスを提供するシステムに用いられる記録媒体と、その記録媒体を装着する携帯端末装置とからなる血糖測定システムを提供することである。
【0014】
また、この発明の別の目的は、携帯性に非常に優れた血糖測定可能な記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明によれば、遠隔医療システムは、双方向通信可能なネットワークと、無線基地局を介してネットワークに接続される第1の携帯端末装置と、第1の携帯端末装置に装着されて動作する記録媒体と、ネットワークに接続されるサーバとを備える。記録媒体は、第1の携帯端末装置とデータをやり取りする第1の通信制御部と、採取された血液中の血糖値に応じた電流を発生するセンサー回路部と、発生した電流をデジタル変換して出力する信号処理部と、信号処理部から出力されたデータに基づいて変換された血糖値データを記憶する電気的に消去および書換えが可能な不揮発性の記憶部と、信号処理部から出力されたデータを血糖値データに変換して記憶部に書込み、記憶部から血糖値データを読出して第1の通信制御部を介して第1の携帯端末装置へ送信する第1の制御部と、第1の携帯端末装置から電源を受電し、センサー回路部と信号処理部と記憶部と第1の通信制御部と第1の制御部とに電源を供給する電源制御部とを含む。第1の携帯端末装置は、無線基地局およびネットワークを介して血糖値データをサーバへ送信する。サーバは、第1の携帯端末装置から送信された血糖値データを顧客情報と関連付けて管理するとともに、血糖値データに関する情報をネットワークおよび無線基地局を介して第1の携帯端末装置へ送信する。
【0016】
好ましくは、第1の携帯端末装置は、記録媒体とデータをやり取りする第2の通信制御部と、記録媒体に電源を供給する電源部と、無線基地局とデータをやり取りする第3の通信制御部と、第2および第3の通信制御部を制御する第1の制御部とを含む。
【0017】
好ましくは、第1の携帯端末装置は、記録媒体によって血糖値が測定されると、その測定された血糖値に対応する血糖値データを記録媒体から取得して無線基地局およびネットワークを介してサーバへ自動的に送信する。
【0018】
好ましくは、遠隔医療システムは、予め契約された医師または医療機関によって所有され、かつ、ネットワークに接続される第2の携帯端末装置と、病院によって所有され、かつ、ネットワークに接続される第3の携帯端末装置とをさらに備える。第2および第3の携帯端末装置は、第1の携帯端末装置からサーバへ送信された血糖値データに基づいて、ネットワークを介してサーバおよび第1の携帯端末装置とデータ通信を行なう。
【0019】
好ましくは、遠隔医療システムは、医薬品もしくは医療機器に関する情報提供または医薬品もしくは医療機器を製造販売する企業の広告提供のサービスを行なう広告主によって所有され、かつ、ネットワークに接続される第4の携帯端末装置をさらに備える。第4の携帯端末装置は、ネットワークを介してサーバおよび第1の携帯端末装置とデータ通信を行なう。
【0020】
好ましくは、センサー回路部は、酵素電極を含み、採取された血液中のグルコースと酵素電極に固定された酵素との酵素反応に基づいて、血糖値に応じた電流を発生する。
【0021】
好ましくは、記録媒体は、採取された血液を付着した試験紙を装着可能なように構成された装着口をさらに含む。
【0022】
好ましくは、第1の携帯端末装置は、測定された血糖値データを表示する。
また、この発明によれば、人工膵臓システムは、血糖測定システムと、血糖測定システムによって測定された血糖値に基づいて患者に薬液を投与可能な薬液投与装置とを備える。血糖測定システムは、携帯端末装置と、携帯端末装置および薬液投与装置のいずれにも装着可能なように構成された記録媒体とを含む。記録媒体は、当該記録媒体が装着される装置とデータをやり取りする通信制御部と、当該記録媒体が携帯端末装置に装着されているとき、採取された血液中の血糖値に応じた電流を発生するセンサー回路部と、発生した電流をデジタル変換して出力する信号処理部と、信号処理部から出力されたデータに基づいて変換された血糖値データを記憶する電気的に消去および書換えが可能な不揮発性の記憶部と、信号処理部から出力されたデータを血糖値データに変換して記憶部に書込み、当該記録媒体が装着される携帯端末装置または薬液投与装置へ記憶部から血糖値データを読出して通信制御部を介して送信する制御部と、当該記録媒体が装着される装置から電源を受電し、センサー回路部と信号処理部と記憶部と通信制御部と制御部とに電源を供給する電源制御部とから成る。薬液投与装置は、記録媒体を装着可能なように構成され、当該薬液投与装置に装着された記録媒体が携帯端末装置に装着されているときに測定された血糖値データに基づいて薬液を投与する。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、ネットワークに接続可能な携帯端末装置を血糖測定装置として血糖値の測定が行なえるので、測定した血糖値を携帯端末装置を用いてネットワーク上に送信することができ、医療機関などに設置されたサーバにおける血糖値データの管理や、サーバに蓄積したデータを利用した遠隔医療などを行なうことができる。
【0024】
また、この発明によれば、市販の携帯端末装置を血糖測定装置として血糖値の測定が行なえるので、専用の血糖測定装置を必要とせず、専用の血糖測定装置の故障による測定不能トラブルなどを防止でき、また、専用の血糖測定装置の不要による利用コストの低減も図ることができる。
【0025】
また、この発明によれば、測定した血糖値データをそのまま記録媒体に記憶するので、薬液(インシュリン)投与装置や次世代ペンデバイスなどの各種糖尿病関連装置にこの記録媒体を装着することにより、各装置間で血糖値データの共有が自動的に可能となり、血糖値測定と適切な薬液投与とを一体化した人工膵臓といったような利便性に優れた糖尿病治療を行なうことができる。
【0026】
また、この発明によれば、記録媒体自体は表示装置および装置を駆動するバッテリーを含まず、装着される携帯端末装置の表示装置および電源バッテリーを利用するようにしたので、記録媒体自体を非常にコンパクトにすることができ、携帯性に非常に優れた血糖測定装置が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0029】
図1は、この発明による記録媒体を携帯端末装置に装着して測定した血糖値データを、その端末装置からネットワークを介してサーバへ送信するネットワーク対応型の血糖測定システムの概念を示す図である。
【0030】
図1を参照して、血糖測定システム100は、記録媒体1と、携帯電話機2と、無線基地局3と、サーバ4と、無線基地局3およびサーバ4が接続されるネットワーク5とを備える。
【0031】
記録媒体1は、内部に血液の血糖値を測定する血糖センサーを備える記録媒体であって、携帯電話機やその他情報携帯端末装置などに装着して利用可能な市販の小型メモリカードの規格に準拠する。記録媒体1は、前述の小型メモリカードに対応した携帯電話機2に装着され、携帯電話機2から電源の供給を受けて動作する。記録媒体1は、携帯電話機2に装着された状態で、試験紙6に付着した血液に含まれる血糖値に応じて発生した電流を検出して血糖値を測定し、その血糖値データを記憶保持する。なお、記録媒体1は、その血糖値データを不揮発性の記憶部に記憶するため、血糖値の測定後に記録媒体1を携帯電話機2から脱着しても血糖値データは失われない。記録媒体1は、携帯電話機2に装着されているとき、血糖値を測定して血糖値データを携帯電話機2へ送信する。また、記録媒体1は、携帯電話機2のユーザからの要求に応じて、記憶保持している過去に測定した血糖値データを携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、記録媒体1を装着可能であり、かつ、ネットワークに接続可能な市販の携帯電話機であって、記録媒体1が装着された状態で記録媒体1に対して記録媒体1が動作するための電源を供給し、記録媒体1が測定した血糖値データを表示部に表示する。また、携帯電話機2は、記録媒体1から受信した血糖値の測定データを無線基地局3およびネットワーク5を介してサーバ4へ送信する。無線基地局3は、携帯電話機2をネットワーク5に接続する中継局である。サーバ4は、記録媒体1において測定された血糖値データを携帯電話機2から無線基地局3およびネットワーク5を介して受信し、その受信した血糖値データを蓄積して管理する。ネットワーク5は、インターネットなどの双方向の通信可能なネットワークである。
【0032】
このようにして、個人で測定した血糖値データは、ネットワーク5を介してサーバ4に送信される。また、血糖測定システム100は、サーバ4が受信した血糖値データに基づいて種々のサービスを提供することもできる。
【0033】
血糖測定システム100に用いられる記録媒体1は、採取された血液を付着させた試験紙6を記録媒体1に装着して、試験紙6に付着した血液から血糖値を測定する。
【0034】
図2は、試験紙6を記録媒体1に装着した様子を示す。記録媒体1の利用者は、試験紙6の先端の所定個所に採取した微量の血液を付着させて記録媒体1の装着口に試験紙6を装着し、試験紙6が装着された記録媒体1を携帯電話機2に装着して血糖値を測定する。試験紙6には、一度の測定で使用を終える使い捨てのものが用いられる。試験紙6への血液の付着は、先端に穿刺針を有する専用の穿刺器具を用いて指先などに穿刺針を刺し、微量の血液を採取してなされる。
【0035】
図3を参照して、記録媒体1は、センサー回路部11と、信号処理部12と、制御部13と、不揮発性の記憶部であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)14と、揮発性の記憶部であるRAM(Random Access Memory)15と、通信制御部16と、バス17と、電源制御部18とを含む。また、記録媒体1は、装着口191と、データ入出力端子192と、電源端子193とをさらに含む。
【0036】
装着口191は、採取された血液を付着した試験紙6を記録媒体1に装着するための試験紙6の挿入口である。
【0037】
データ入出力端子192は、携帯電話機2のデータ入出力端子と接合し、記録媒体1と携帯電話機2との間でデータを授受する。
【0038】
電源端子193は、携帯電話機2の電源出力端子と接合し、携帯電話機2の電源部から電源制御部18へ電力が供給される。
【0039】
センサー回路部11は、たとえば、電極にレドックスメディエータを介在してグルコースデヒドロゲナーゼを固定した酵素電極を使用し、血液中のグルコースとグルコースデヒドロゲナーゼとの酵素反応に基づいて電流を発生するもので、本発明の記録媒体1は、きわめて少量の血液から血糖を検出することができる。
【0040】
信号処理部12は、センサー回路部11から発生した電流をデジタル変換して出力する。
【0041】
制御部13は、MPU(Micro Processing Unit)などであって、信号処理部12からデジタル変換されて出力されたデータの血糖値データへの変換、血糖値データを記憶するEEPROM14への血糖値データの書込みおよびEEPROM14からの血糖値データの読出し、記録媒体1が装着される携帯電話機2への血糖値データの送信などを行なう。
【0042】
EEPROM14は、電気的に消去および書換可能な不揮発性のフラッシュメモリで、測定された血糖値を複数回分記憶する。
【0043】
RAM15は、制御部13のワークメモリである。
通信制御部16は、データ入出力端子192を介して記録媒体1と携帯電話機2との間のデータのやり取りを行なう。
【0044】
バス17は、センサー回路部11、信号処理部12、制御部13、EEPROM14、RAM15および通信制御部16との間のデータ通信路である。
【0045】
電源制御部18は、端末装置1自体は電源を有しないため、電源端子193を介して携帯電話機2から電源を受電し、センサー回路部11、信号処理部12、制御部13、EEPROM14、RAM15および通信制御部16が動作するための所定の電源を供給する。
【0046】
記録媒体1においては、採取した血液を付着させた試験紙6が装着口191に装着されると、センサー回路部11は、試験紙6に付着した血液の血糖値に応じて発生した電流を検出して信号処理部12へ出力する。信号処理部12は、センサー回路部11が発生した電流をデジタル変換して制御部13へ出力する。制御部13は、信号処理部12から受信したデータを一旦RAM15へ書込み、RAM15からデータを読出して血糖値データに変換してEEPROM14へ書込む。また、制御部13は、血糖値の測定結果を携帯電話機2の表示部に表示させるため、またはネットワーク5を介して携帯電話機2からサーバ4へ血糖値データを送信するため、血糖値データを通信制御部16を介して携帯電話機2へ送信する。また、制御部13は、携帯電話機2から血糖値の推移を表示するのに必要な過去の血糖値データの送信要求を受信すると、過去の血糖値データをEEPROM14から順に読出して一旦RAM15に書込み、それらのデータをRAM15から読出して通信制御部16を介して携帯電話機2へ送信する。
【0047】
図4は、記録媒体1と携帯電話機2とからなる血糖測定システムの構成を示す図である。携帯電話機2は、通信制御部21,22と、制御部23と、表示部24と、バス25と、電源部26とを含む。また、携帯電話機2は、データ入出力端子271と、電源端子272と、アンテナ273とをさらに含む。
【0048】
データ入出力端子271は、記録媒体1のデータ入出力端子192と接合し、記録媒体1と携帯電話機2との間でデータを授受する。
【0049】
電源端子272は、記録媒体1の電源端子193と接合し、携帯電話機2の電源部26から記録媒体1の電源制御部18へ電力を供給する。
【0050】
アンテナ273は、記録媒体1において測定された血糖値データを無線基地局3へ送信する。そして、無線基地局3およびネットワーク5を介してサーバ4へ血糖値データが送信される。
【0051】
通信制御部21は、データ入出力端子271を介して携帯電話機2と記録媒体1との間のデータのやり取りを行う。
【0052】
通信制御部22は、アンテナ273を介して携帯電話機2と、ネットワーク5に接続される無線基地局3との間のデータのやり取りを行う。
【0053】
制御部23は、MPUなどであって、装着された記録媒体1とのデータの送受信、無線基地局3およびネットワーク5を介してサーバ4とのデータの送受信、および後述する表示部24への血糖値データの表示などを行うために、通信制御部21,22および表示部24を制御する。
【0054】
表示部24は、記録媒体1において測定された血糖値データを表示する。
バス25は、通信制御部21,22、制御部23および表示部24との間のデータ通信路である。
【0055】
電源部26は、通信制御部21,22、制御部23および表示部24が動作するための電源を供給する。また、電源部26は、記録媒体1が動作するための電源を電源端子272および記録媒体1の電源端子193を介して記録媒体1の電源制御部18にさらに供給する。
【0056】
記録媒体1において、採取した血液を付着させた試験紙6が装着口191に装着されると、センサー回路部11は、試験紙6に付着した血液の血糖値に応じて発生した電流を検出して信号処理部12へ出力する。信号処理部12は、センサー回路部11が出力した電流をデジタル変換して制御部13へ出力する。制御部13は、信号処理部12から受信したデータを一旦RAM15へ書込み、RAM15からデータを読出して血糖値データに変換してEEPROM14へ書込む。また、制御部13は、測定された血糖値データを携帯電話機2の表示部24に表示させるため、または携帯電話機2からアンテナ273、無線基地局3およびネットワーク5を介してサーバ4へ血糖値データを送信するため、血糖値データを通信制御部16を介して携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2の制御部23は、記録媒体1から通信制御部21を介して血糖値データを受信すると、血糖値データを表示部24へ出力し、表示部24は、その血糖値データを表示する。また、制御部23は、受信した血糖値データを通信制御部22へ送信し、サーバ4へ送信するように指示する。そして、通信制御部22は、アンテナ273を介して血糖値データを無線基地局3へ送信し、無線基地局3およびネットワーク5を介してサーバ4へ血糖値データが送信される。また、記録媒体1の制御部13は、血糖値の推移を表示するのに必要な過去の血糖値データの送信要求を携帯電話機2から通信制御部16を介して受信すると、過去の血糖値データをEEPROM14から順に読出して一旦RAM15に書込み、それらのデータをRAM15から読出して通信制御部16を介して携帯電話機2へ送信する。そして、携帯電話機2の制御部23は、記録媒体1から通信制御部21を介して過去の血糖値データを受信すると、その血糖値データを表示部24へ順に出力し、表示部24は、過去の血糖値の推移を表示する。
【0057】
次に、この発明による記録媒体1を利用する実施例として、携帯型医療端末装置による遠隔医療システムについて説明する。
【0058】
図5は、遠隔医療システム200を説明するための概略図である。図5を参照して、遠隔医療システム200は、記録媒体1を装着する携帯電話機2と、顧客情報をデータベースに蓄積するサーバ4とを備える。携帯電話機2とサーバ4は、図1において説明したネットワーク5および無線基地局3により接続される。遠隔医療システム200においては、さらに、契約医師・医療機関7、病院8および広告主9が、各自所有する携帯電話機やパソコンなどを用いてネットワーク5を介してサーバ4または携帯電話機2と接続される。
【0059】
サーバ4は、遠隔医療システム200を利用する顧客のデータを保有する顧客データベース41を備え、顧客から予め顧客に関するプロフィールデータを携帯電話機2から受信して顧客データベース41に記憶する。また、サーバ4は、携帯電話機2から送信された血糖値データに対する分析および診断を行ない、診断結果および種々のアドバイス情報を携帯電話機2へ送信する。さらに、サーバ4は、携帯電話機2から受信した血糖値データが異常であると判断すると、その血糖値データを後述する契約医師・医療機関7へ送信する。さらに、また、サーバ4は、携帯電話機2から受信した血糖値データが異常であり、緊急を要するとの緊急情報を契約医師・医療機関7から受信すると、緊急情報に含まれる契約医師・医療機関7からの指示に応じて、顧客の最寄の病院8に対する顧客の診察予約や顧客データベース41に記憶される顧客データを送信する。
【0060】
契約医師・医療機関7は、遠隔医療システム200を運営する管理会社と契約している契約医師または医療機関であり、サーバ4から受信した血糖値データの分析および診断を行ない、診断結果および種々のアドバイスをサーバ4へ返信する。また、契約医師・医療機関7は、血糖値データの診断の結果、緊急を要すると判断すると、必要に応じて顧客への最寄の病院8での診察指示や顧客データの病院8への転送指示などを含む緊急情報をサーバ4へ送信する。
【0061】
病院8は、緊急の診察が必要な顧客の診察予約や顧客データをサーバ4から受信し、その顧客に対する診察予約を受付けるとともにその顧客に対して早急に診察を受けるように連絡する。
【0062】
携帯電話機2のユーザである遠隔医療システム200の顧客は、採取した血液を試験紙6に付着させて記録媒体1に装着し、その記録媒体1を携帯電話機2に装着して血糖値を測定する。そして、顧客は、携帯電話機2をサーバ4に接続して測定された血糖値データをサーバ4へ送信する。あるいは、携帯電話機2は、測定された血糖値データの送信忘れを防止するため、血糖値が測定されると自動的にサーバ4に接続して血糖値データを送信するようにしてもよい。サーバ4は、携帯電話機2から受信した血糖値データをその顧客のプロフィールデータに対応付けて顧客データベース41に記憶する。顧客のプロフィールデータには、顧客の氏名、年齢、性別など顧客を特定する情報のほか、顧客の病歴、診断歴、緊急連絡先、緊急時の家族の連絡先などが含まれる。サーバ4は、携帯電話機2から受信した顧客の血糖値データに対して診断を行ない、診断結果と、診断結果に応じた種々のアドバイス情報とを携帯電話機2へ送信する。また、サーバ4は、顧客の血糖値データが異常であると判断すると、契約医師・医療機関7に異常の血糖値データを送信し、血糖値データの診断を依頼する。契約医師・医療機関7は、異常の血糖値データを分析および診断して、診断結果およびそれに対するアドバイス情報をサーバ4へ送信する。サーバ4は、契約医師・医療機関7から異常の血糖値データに対する診断結果およびアドバイス情報を受信すると、それらを携帯電話機2へ送信する。また、契約医師・医療機関7は、異常の血糖値データを診断した結果、緊急を要すると判断したときは、サーバ4に診断結果およびアドバイス情報に加えて、顧客への最寄の病院8における診察指示などを含む緊急情報をサーバ4へ送信する。サーバ4は、契約医師・医療機関7から緊急情報を受信すると、その緊急情報に基づいた緊急連絡を携帯電話機2へ送信するほか、顧客データベースに記憶された顧客の家族の連絡先にも連絡を行なう。さらに、サーバ4は、契約医師・医療機関7により指示された最寄の病院8に対して、顧客の診察予約、顧客のプロフィールデータ、今回測定された異常の血糖値データ、契約医師・医療機関7が下した診断結果などの情報を送信する。なお、最寄の病院8に対する連絡は、契約医師・医療機関7から病院8に対して直接行ない、情報提供するようにしてもよい。病院8は、緊急の診察を要する顧客の情報をサーバ4から受信すると、契約医師・医療機関7からの指示にしたがって診察予約を受付けるとともに、顧客に連絡を取るか、あるいは、顧客が自力で病院8に来ることができない場合などは顧客に対して救急車を配車する。そして、顧客は、病院8において診察を受ける。
【0063】
次に、図6から図8を参照して、上述した遠隔医療システム200における処理フローについて詳細に説明する。
【0064】
図6を参照して、遠隔医療システム200のサービスの提供を受ける顧客は、予め顧客に関するプロフィールデータを携帯電話機2からサーバ4へ送信し(ステップS1)、サーバ4は携帯電話機2から受信した顧客のプロフィールデータを顧客データサーバ41に登録しておく(ステップS2)。顧客は、採取した血液を試験紙6に付着させて記録媒体1に装着し、その記録媒体1を携帯電話機2に装着して血糖値を測定する(ステップS3)。顧客は、血糖値の測定が終了すると、携帯電話機2からサーバ4にアクセスして、測定した血糖値データをサーバ4へ送信する(ステップS4)。サーバ4は、携帯電話機2から血糖値データを受信すると(ステップS5)、その血糖値データを分析し、「正常」、「やや不良」、「不良」、「異常」に区分して診断する(ステップS6)。サーバ4は、受信した血糖値データが「正常」であると診断したときは(ステップS7)、診断結果および分析・診断に基づいた種々のアドバイス情報を携帯電話機2へ送信する(ステップS8)。そして、携帯電話機2から血糖値データを送信した顧客は、送信した血糖値データに対する診断結果とアドバイス情報をサーバ4から受信する(ステップS9)。一方、サーバ4は、血糖値データが「正常」でないと診断したときは(ステップS7)、さらに血糖値の追加測定と、同封して送信する問診アンケートに対する回答とを携帯電話機2へ要求する(ステップS10)。顧客は、携帯電話機2において、追加測定の要求および同封された問診アンケートをサーバ4から受信すると(ステップS11)、再び血液を採取して血液を試験紙6に付着させて記録媒体1に装着し、その記録媒体1を携帯電話機2に装着して血糖値を測定する(ステップS12)。そして、顧客は、携帯電話機2からサーバ4にアクセスして、再測定された血糖値データとサーバ4から受信した問診アンケートに対する回答とをサーバ4へ送信する(ステップS13)。サーバ4は、再測定された血糖値データおよび問診アンケートを携帯電話機2から受信すると(ステップS14)、受信した血糖値データを再分析し、「正常」、「やや不良」、「不良」、「異常」に区分して再診断する(ステップS15)。
【0065】
図7を参照して、サーバ4は、再測定された血糖値データが「異常」でないと診断したときは(ステップS16)、診断結果および分析・診断に基づいた種々のアドバイス情報を携帯電話機2へ送信する(ステップS17)。そして、携帯電話機2から再度血糖値データを送信した顧客は、再送信した血糖値データに対する診断結果とアドバイス情報をサーバ4から受信する(ステップS18)。一方、サーバ4は、再診断においても血糖値データが「異常」であると診断したときは(ステップS16)、医師による診断が必要であると判断して、異常の血糖値データの診断を行なうことを契約している契約医師・医療機関7へ異常と診断した血糖値データを送信する(ステップS19)。契約医師・医療機関7は、異常と診断された測定データをサーバ4から受信すると(ステップS20)、契約医師または契約医療機関の担当医師により血糖値データの分析および診断を行なう(ステップS21)。診断の結果、とりあえずは緊急を要しないと契約医師または担当医師が判断したときは(ステップS22)、契約医師または担当医師は、診断結果とアドバイス情報をサーバ4へ返信する(ステップS23)。サーバ4は、異常の血糖値データに対する診断結果およびアドバイス情報を契約医師・医療機関7から受信すると(ステップS24)、その診断結果およびアドバイス情報をサーバ4の顧客データベースに顧客プロフィールデータに対応付けて蓄積記憶するとともに、携帯電話機2へ送信する(ステップS25)。そして、携帯電話機2から血糖値データを再送信した顧客は、携帯電話機2において医師による診断結果およびアドバイス情報をサーバ4から受信する(ステップS26)。一方、契約医師・医療機関7は、サーバ4から受信した血糖値データの診断の結果、緊急を要すると判断したときは(ステップS22)、診断結果およびアドバイス情報に加えて、顧客の最寄の病院8での診察指示などを含む具体的な緊急情報をサーバ4へ送信する(ステップS27)。サーバ4は、契約医師・医療機関7から緊急情報を受信すると(ステップS28)、緊急に病院8での診察が必要であることを通知する緊急通知を携帯電話機2へ送信する(ステップS29)。そして、血糖値データを再送信した顧客は、携帯電話機2においてサーバ4からその緊急通知を受信する(ステップS30)。なお、このときサーバ4は、顧客データベース41から顧客プロフィールデータに含まれる顧客の家族の連絡先を読出して、緊急通知を顧客の家族に対しても通知するようにしてもよい。
【0066】
図8を参照して、携帯電話機2へ緊急通知を送信したサーバ4は、契約医師・医療機関7から受信した緊急情報に基づいて、顧客の診察予約、顧客データベース41に記憶される顧客データ、今回測定された異常の血糖値データ、契約医師・医療機関7が下した診断結果などを、契約医師・医療機関7により指示された顧客の最寄の病院8へ送信する(ステップS31)。病院8は、顧客の診察予約、顧客データなどを受信すると(ステップS32)、顧客に対する診察を予約して顧客に早急に診察を受けるように携帯電話機2へ連絡する(ステップS33)。顧客は、病院8から受診を要求する連絡を受けると(ステップS34)、病院8に出向いて診察を受ける(ステップS35)。なお、病院8は、サーバ4から受信した顧客データなどから判断して顧客が自力で病院8に出向くことができないと判断した場合は、顧客データに基づいて顧客の所在地へ救急車を配車してもよい。そして、病院8は、その顧客に対して行なった診察結果を、初期診断を行なった契約医師・医療機関7へ送信し(ステップS36)、契約医師・医療機関7は、病院8での診察を指示した顧客に対する診察結果を病院8から受信する(ステップS37)。
【0067】
このようにして、この発明による記録媒体1と、記録媒体1を装着して血糖測定装置として機能し、かつ、ネットワークに接続される携帯電話機2を用いて遠隔医療システムが実現できる。
【0068】
遠隔医療システム200は、さらに、顧客への医薬品や医療機器などの情報提供や、それら医薬品や医療機器などを製造・販売する企業の広告提供などのサービスを行なう。
【0069】
再び図8を参照して、広告主9は、ネットワーク5に接続されるパソコンなどを用いて、サーバ4に対して顧客データを要求する(ステップS41)。サーバ4は、広告主9から顧客データの要求を受信すると(ステップS42)、顧客データベース41から顧客データを読出して広告主9へ送信する(ステップS43)。広告主9は、サーバ4から顧客データを受信すると(ステップS44)、顧客の血糖値データや病歴、診断歴などに基づいて、顧客に適切な医薬品や医療機器などの情報と広告主9の企業広告とをサーバ4へ送信する(ステップS45)。サーバ4は、広告主9から顧客に対する医薬品や医療機器などの情報と広告主の企業広告とを受信すると(ステップS46)、受信した情報と企業広告とをその顧客の携帯電話機2へ送信する(ステップS47)。そして、顧客は、自己に適した医薬品や医療機器などの情報とその情報を提供した企業の広告を携帯電話機2において受信する(ステップS48)。
【0070】
なお、図示しないが、遠隔医療システム200を利用して、記録媒体1を薬液(インシュリン)投与装置や次世代ペンデバイスなどの各種糖尿病関連装置に装着して、血糖値の測定と薬液投与を一体化して行なうようにしてもよい。すなわち、サーバ4は、携帯電話機2から送信された血糖値データと顧客データベース41に記憶された顧客データに基づいて、顧客に投与すべき薬液の量を算出する。そして、サーバ4は、算出した投与量に関する投与量データを携帯電話機2へ送信する。携帯電話機2は、測定された血糖値データに応じた薬液の投与量データをサーバ4から受信すると、受信した投与量データを記録媒体1へ送信し、記録媒体1は受信した投与量データを記録保持する。そして、サーバ4から記録媒体1に薬液の投与量データを受取った顧客は、記録媒体1を装着可能な薬液投与装置に記録媒体1を装着する。そして、記録媒体1に記録された薬液の投与量データに基づいた薬液が顧客に投与される。
【0071】
なお、上述した実施の形態において説明した携帯電話機2は、記録媒体1を装着でき、ネットワークに接続可能であれば、情報携帯端末装置(PDA:Personal Digital Assistance)、携帯型パソコン、デジタルカメラ、携帯型テレビ、その他の通信端末であってもよい。
【0072】
この発明の実施の形態によれば、ネットワークに接続可能な携帯電話機2に記録媒体1を装着して血糖測定装置として用いるようにしたので、血糖値の測定が必要な糖尿病患者は、測定した血糖値データをそのまま携帯電話機2からネットワーク5を介して医療機関などに設置されたサーバ4へ送信し、ネットワーク5を介してサーバ4から各種の医療サービスの提供を受けることができる。
【0073】
また、この発明の実施の形態によれば、市販の携帯電話機2に装着された記録媒体1を血糖測定装置として血糖値の測定が行なえるので、専用の血糖測定装置を必要とせず、専用の血糖測定装置の故障による測定不能トラブルなどを防止でき、また、専用の血糖測定装置の不用による利用コストの低減も図ることができる。
【0074】
さらに、この発明の実施の形態によれば、測定した血糖値データをそのまま記録媒体1に記憶するので、薬液(インシュリン)投与装置や次世代ペンデバイスなどの各種糖尿病関連装置にこの記録媒体1を装着することにより、各装置間で血糖値データの共有が自動的に可能となり、血糖値測定と薬液投与とを一体化した人工膵臓といったような利便性に優れた糖尿病治療を行なうことができる。
【0075】
また、さらに、この発明の実施の形態によれば、記録媒体1は、記録媒体1が装着された携帯電話機2の表示部を、測定された血糖値を表示する表示部として、また、記録媒体1が装着された携帯電話機2の電源バッテリーを記録媒体1の動作電源として使用するようにしたので、記録媒体1自体は表示部および電源バッテリーを必要とせず、記録媒体1自体を非常にコンパクトにすることができ、携帯性に非常に優れた血糖測定装置が実現できる。
【0076】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】この発明による記録媒体を用いた血糖測定システムを概念的に説明する概略図である。
【図2】図1に示す血糖測定システムに用いられる記録媒体の外形を示す斜視図である。
【図3】図1に示す血糖測定システムに用いられる記録媒体の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す血糖測定システムに用いられる携帯電話機および記録媒体からなる測定システムの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示す血糖測定システムを用いた遠隔医療システムを概念的に説明する概略図である。
【図6】図5に示す遠隔医療システムにおける処理を説明するための第1のフローチャートである。
【図7】図5に示す遠隔医療システムにおける処理を説明するための第2のフローチャートである。
【図8】図5に示す遠隔医療システムにおける処理を説明するための第3のフローチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 記録媒体、2 携帯電話機、3 無線基地局、4 サーバ、5 ネットワーク、6 試験紙、7 契約医師・医療機関、8 病院、9 広告主、11 センサー回路部、12 信号処理部、13,23 制御部、14 EEPROM、15 RAM、16,21,22 通信制御部、17,25 バス、18 電源制御部、24 表示部、26 電源部、41 顧客データベース、100 血糖測定システム、191 装着口、192,271 データ入出力端子、193,272 電源端子、200 遠隔医療システム、273 アンテナ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向通信可能なネットワークと、
無線基地局を介して前記ネットワークに接続される第1の携帯端末装置と、
前記第1の携帯端末装置に装着されて動作する記録媒体と、
前記ネットワークに接続されるサーバとを備え、
前記記録媒体は、
前記第1の携帯端末装置とデータをやり取りする第1の通信制御部と、
採取された血液中の血糖値に応じた電流を発生するセンサー回路部と、
前記発生した電流をデジタル変換して出力する信号処理部と、
前記信号処理部から出力されたデータに基づいて変換された血糖値データを記憶する電気的に消去および書換えが可能な不揮発性の記憶部と、
前記信号処理部から出力されたデータを前記血糖値データに変換して前記記憶部に書込み、前記記憶部から前記血糖値データを読出して前記第1の通信制御部を介して前記第1の携帯端末装置へ送信する第1の制御部と、
前記第1の携帯端末装置から電源を受電し、前記センサー回路部と、前記信号処理部と、前記記憶部と、前記第1の通信制御部と、前記第1の制御部とに電源を供給する電源制御部とを含み、
前記第1の携帯端末装置は、前記無線基地局および前記ネットワークを介して前記血糖値データを前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記第1の携帯端末装置から送信された前記血糖値データを顧客情報と関連付けて管理するとともに、前記血糖値データに関する情報を前記ネットワークおよび前記無線基地局を介して前記第1の携帯端末装置へ送信する、遠隔医療システム。
【請求項2】
前記第1の携帯端末装置は、
前記記録媒体とデータをやり取りする第2の通信制御部と、
前記記録媒体に電源を供給する電源部と、
前記無線基地局とデータをやり取りする第3の通信制御部と、
前記第2および第3の通信制御部を制御する第1の制御部とを含む、請求項1に記載の遠隔医療システム。
【請求項3】
前記第1の携帯端末装置は、前記記録媒体によって前記血糖値が測定されると、その測定された血糖値に対応する血糖値データを前記記録媒体から取得して前記無線基地局および前記ネットワークを介して前記サーバへ自動的に送信する、請求項1または請求項2に記載の遠隔医療システム。
【請求項4】
予め契約された医師または医療機関によって所有され、前記ネットワークに接続される第2の携帯端末装置と、
病院によって所有され、前記ネットワークに接続される第3の携帯端末装置とをさらに備え、
前記第2および第3の携帯端末装置は、前記第1の携帯端末装置から前記サーバへ送信された前記血糖値データに基づいて、前記ネットワークを介して前記サーバおよび前記第1の携帯端末装置とデータ通信を行なう、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の遠隔医療システム。
【請求項5】
医薬品もしくは医療機器に関する情報提供または医薬品もしくは医療機器を製造販売する企業の広告提供のサービスを行なう広告主によって所有され、前記ネットワークに接続される第4の携帯端末装置をさらに備え、
前記第4の携帯端末装置は、前記ネットワークを介して前記サーバおよび前記第1の携帯端末装置とデータ通信を行なう、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の遠隔医療システム。
【請求項6】
前記センサー回路部は、酵素電極を含み、前記採取された血液中のグルコースと前記酵素電極に固定された酵素との酵素反応に基づいて、前記血糖値に応じた電流を発生する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の遠隔医療システム。
【請求項7】
前記記録媒体は、前記採取された血液を付着した試験紙を装着可能なように構成された装着口をさらに含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の遠隔医療システム。
【請求項8】
前記第1の携帯端末装置は、前記測定された血糖値データを表示する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の遠隔医療システム。
【請求項9】
血糖測定システムと、
前記血糖測定システムによって測定された血糖値に基づいて患者に薬液を投与可能な薬液投与装置とを備え、
前記血糖測定システムは、
携帯端末装置と、
前記携帯端末装置および前記薬液投与装置のいずれにも装着可能なように構成された記録媒体とを含み、
前記記録媒体は、
当該記録媒体が装着される装置とデータをやり取りする通信制御部と、
当該記録媒体が前記携帯端末装置に装着されているとき、採取された血液中の血糖値に応じた電流を発生するセンサー回路部と、
前記発生した電流をデジタル変換して出力する信号処理部と、
前記信号処理部から出力されたデータに基づいて変換された血糖値データを記憶する電気的に消去および書換えが可能な不揮発性の記憶部と、
前記信号処理部から出力されたデータを前記血糖値データに変換して前記記憶部に書込み、当該記録媒体が装着される前記携帯端末装置または前記薬液投与装置へ前記記憶部から前記血糖値データを読出して前記通信制御部を介して送信する制御部と、
当該記録媒体が装着される装置から電源を受電し、前記センサー回路部と、前記信号処理部と、前記記憶部と、前記通信制御部と、前記制御部とに電源を供給する電源制御部とから成り、
前記薬液投与装置は、前記記録媒体を装着可能なように構成され、当該薬液投与装置に装着された記録媒体が前記携帯端末装置に装着されているときに測定された血糖値データに基づいて前記薬液を投与する、人工膵臓システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−21031(P2006−21031A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165829(P2005−165829)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【分割の表示】特願2001−243363(P2001−243363)の分割
【原出願日】平成13年8月10日(2001.8.10)
【出願人】(000135036)ニプロ株式会社 (583)
【Fターム(参考)】