説明

遮蔽板およびその遮蔽板を備える車両構造

【課題】外力が加わる部位に関わらず屈曲して、衝撃を確実に吸収することができ、しかも、形状に関わらず生産効率を向上させることができる遮蔽板、および、その遮蔽板を備える車両構造を提供すること。
【解決手段】遮蔽板1に、平板状部材2と、平板状部材2の全面にわたって形成され、衝撃力Iが加わることによって屈曲する脆弱部8とを備える。これにより、衝撃力Iがどの部位に加わっても脆弱部8において、平板状部材2を屈曲させることができ、しかも、平板状部材2をどのような形状に形成しても、衝撃力Iを脆弱部8に作用させることができるので、衝撃力Iを確実に吸収することができるとともに、生産効率を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽板およびその遮蔽板を備える車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の多くには、車体の前部において、エンジンが収容されるエンジンルームが設けられている。そして、エンジンルームの後部には、フロントガラスの下方において、外気を取り込むエアボックスが配置されている。
通常、このエアボックス内に取り込んだ外気を、カウルトップカバーに開口された通気孔を通じて車室内に流入させることにより、車室内を換気するが、このとき、エンジンルームの熱気や臭気が車室内へ流入するという不具合がある。
【0003】
そこで、外気を車室内に流入させながら、エンジンルームの熱気や臭気の車室内への流入を遮断することが要望されている。
例えば、車体パネル、フェンダパネルおよびフェンダプロテクタにより形成される空間部内の空気の流通を遮断するために、車体パネルにインシュレータを取り付ける場合において、インシュレータの取り付け手段に、フェンダパネルに加わる衝撃力により破断する破断部を設ける、インシュレータの取り付け構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−90999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1に記載のインシュレータの取り付け構造では、インシュレータの取り付け手段に破断部を設けており、自動車の衝突時には、破断部において取り付け手段が破断することにより、インシュレータがフェンダパネルから脱離し、フェンダパネルが変形することにより、衝突の衝撃を吸収している。
一方、上記の構造では、破断部は、取り付け手段の特定部位に設けられているところ、衝突時の衝撃が、その特定部位に十分に加わらないと、破断部が破断しない場合がある。そのような場合には、インシュレータがフェンダパネルから脱離しないため、フェンダパネルが変形しにくくなり、衝撃を吸収しにくいという不具合がある。
【0006】
しかも、上記の構造では、車種が異なれば、インシュレータの形状も異なるため、破断部を車種毎に対応した特定部位に配置しなければならず、生産効率の向上を図りにくいという不具合がある。
そこで、本発明の目的は、外力が加わる部位に関わらず屈曲して、衝撃を確実に吸収することができ、しかも、形状に関わらず生産効率を向上させることができる遮蔽板、および、その遮蔽板を備える車両構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の遮蔽板は、平板状部材と、前記平板状部材の全面にわたって形成され、外力が加わることによって屈曲する応力集中部とを備えることを特徴としている。
この遮蔽板では、外力が加わることによって屈曲する応力集中部が、平板状部材の全面にわたって形成されている。そのため、外力がどの部位に加わっても応力集中部において、平板状部材を屈曲させることができる。しかも、応力集中部が平板状部材の全面にわたって設けられているので、平板状部材をどのような形状に形成しても、外力を応力集中部に作用させることができる。
【0008】
その結果、この遮蔽板は、衝撃を確実に吸収することができるとともに、生産効率を向上させることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材は、第1平板、第1平板と対向配置される第2平板、および、第1平板と第2平板との間に架設される複数の柱部を備え、前記応力集中部は、前記柱部の間に形成される脆弱部であることが好適である。
【0009】
この遮蔽板では、平板状部材が、第1平板、第2平板および柱部から形成されており、柱部の間に脆弱部が形成されている。
そのため、柱部において、遮蔽板の強度を保つことができるとともに、柱部の間の脆弱部において、平板状部材を確実に屈曲させることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材には、少なくとも一方向に沿って、前記脆弱部が形成されることが好適である。
【0010】
この遮蔽板では、少なくとも一方向に沿って、脆弱部が形成されている。そのため、外力が加わる部位において、平板状部材を、一方向に沿って確実に、屈曲させることができる。
その結果、この遮蔽板は、衝突時の衝撃を、より確実に吸収することができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材には、前記脆弱部が形成される方向と直交する方向に間隔を隔てて、複数の前記脆弱部が並設されることが好適である。
【0011】
この遮蔽板では、複数の脆弱部が、脆弱部が形成される方向と直交する方向に間隔を隔てて並設されている。そのため、脆弱部が形成される方向と直交する方向において、外力が加わる部位に関わらず、平板状部材を屈曲させることができる。
その結果、この遮蔽板は、衝突時の衝撃を、より確実に吸収することができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材には、3方向に沿って、それぞれ前記脆弱部が形成され、3方向とそれぞれ直交する方向に間隔を隔てて、複数の前記脆弱部が並設されることが好適である。
【0012】
この遮蔽板では、複数の脆弱部が、3方向とそれぞれ直交する方向に間隔を隔てて、並設されている。そのため、あらゆる方向において、外力が加わる部位に関わらず、平板状部材を屈曲させることができる。
その結果、この遮蔽板は、衝突時の衝撃を、より一層確実に吸収することができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが、前記脆弱部が形成される方向における垂直圧縮強さの0.02〜0.9倍であることが好適である。
【0013】
この遮蔽板では、脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが、脆弱部が形成される方向における垂直圧縮強さの0.02〜0.9倍である。すなわち、脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが、脆弱部が形成される方向における垂直圧縮強さよりも低く設定されている。そのため、脆弱部が並設される方向から外力が加わることによって、容易に、平板状部材を屈曲させることができる。
【0014】
その結果、この遮蔽板は、脆弱部が並設される方向からの衝撃を、より確実に吸収することができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材に部分的に形成される補強部をさらに備えることが好適である。
この遮蔽板では、補強部によって、所望の部位を補強することができる。そのため、所望の部位の強度を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材に部分的に形成され、外力が加わることによって屈曲し、前記応力集中部とは異なる屈曲部をさらに備えることが好適である。
この遮蔽板では、平板状部材の所望の部位を屈曲させることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記屈曲部は、一方向に沿うように形成されており、構造部材への実装時、および/または、前記構造部材の空間に液体および/または固体の流れが生じた時、前記一方向に沿って屈曲可能であることが好適である。
【0016】
この遮蔽板では、構造部材が複雑な形状で形成されている場合に、平板状部材を屈曲させて、確実に構造部材に配置することができる。
あるいは、平板状部材を屈曲させることにより、構造部材の空間における液体および/または固体を通過させることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記屈曲部は、前記平板状部材の厚み方向における熱プレスにより形成され、前記屈曲部の一方面および他方面には、前記一方向に対して傾斜状に沿う筋目が形成されており、前記屈曲部の一方面の前記筋目と、前記屈曲部の他方面の前記筋目とは、厚み方向に投影したときに交差していることが好適である。
【0017】
この遮蔽板では、筋目によって、屈曲部の可動性を高めることができるとともに、屈曲部の一方面および他方面の筋目が、厚み方向に投影したときに交差しているので、屈曲部の耐久性を高めることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材の周縁部の少なくとも一部に弾性部材が設けられていることが好適である。
【0018】
この遮蔽板では、弾性部材が平板状部材に周縁部に配置されている。そのため、遮蔽板を構造部材の空間に取り付けた場合に、弾性部材が、構造部材の空間の形状に応じて変形し、構造部材に密着する。
その結果、この遮蔽板を、簡易な構成で、構造部材に密着させて、遮蔽効果を高めることができる。
【0019】
また、本発明の遮蔽板では、前記弾性部材は、前記周縁部を挟むように、前記周縁部と嵌合する嵌合部と、前記嵌合部に対して前記平板状部材の反対側に配置される弾性部とを備えることが好適である。
この遮蔽板では、弾性部材が、周縁部を挟むように周縁部と嵌合する嵌合部と、嵌合部に対して平板状部材の反対側に配置される弾性部とを備えている。
【0020】
そのため、嵌合部で平板状部材の周縁部を挟むことにより、弾性部材を、確実に平板状部材に固定することができるとともに、遮蔽板を構造部材の空間に取り付ける場合には、弾性部を、確実に構造部材に密着させることができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記弾性部材は、弾性層および前記弾性層の表面に形成される粘着剤層を備え、前記弾性部材は、前記周縁部の外側に配置され、前記弾性層が前記粘着剤層を介して互いに接着されることにより重なる重なり部分と、前記重なり部分から連続し、前記周縁部の一方面および他方面に接着されることにより前記周縁部に貼着される貼着部分とを備えていることが好適である。
【0021】
この遮蔽板では、貼着部分によって、重なり部分を平板状部材に固定することができるとともに、重なり部分が、遮蔽板が取り付けられる構造部材に対して、確実に密着することができる。
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材の少なくとも一方面に積層され、前記平板状部の周縁部から外方に延出する延出部を備える可撓性シートをさらに備えていることが好適である。
【0022】
この遮蔽板では、可撓性の延出部を、遮蔽板が取り付けられる構造部材に対して確実に装着することができる。
一方、可撓性の延出部を屈曲させることにより、遮蔽板を、複雑な形状の構造部材に確実に配置することができながら、あるいは、可撓性の延出部を屈曲させることにより、構造部材の空間における液体および/または固体を通過させることができながら、構造部材の空間を確実に遮蔽することができる。
【0023】
また、本発明の遮蔽板では、前記平板状部材に装着され、構造部材の空間に固定可能な固定部材をさらに備えることが好適である。
この遮蔽板は、構造部材の空間に固定可能な固定部材が、平板状部材に備えられている。そのため、別途、固定部材を形成しなくても、遮蔽板を構造部材の空間に設置することができる。
【0024】
その結果、この遮蔽板は、容易に、構造部材の空間に設置することができる。
また、本発明の車両構造は、上記した遮蔽板を備えることを特徴としている。
そのため、この車両構造は、衝突時に、衝撃を確実に吸収することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の遮蔽板によれば、衝撃を確実に吸収することができるとともに、生産効率を向上させることができる。
また、本発明の車両構造によれば、衝突時に、衝撃を確実に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の遮蔽板の第1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図3】図1に示される遮蔽板を備えた車両構造の一例としての車両を示す左上方から見た要部斜視図である。
【図4】図3に示される車両の要部左側面図である。
【図5】図3に示される車両に外力が加わった場合を示す左上方から見た要部斜視図である。
【図6】図5に示される左側の遮蔽板の拡大図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す左上方から見た斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態を示す左側面図である。
【図9】図9は、本発明の第4実施形態における弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図であって、(a)は、嵌合部の先端を厚み方向両側に向けて開く工程、(b)は、嵌合部の先端を周縁部に貼着する工程を示す。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態における弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図であって、(a)は、弾性部材の内面の粘着剤層を、平板状部材の周縁部に当接させる工程、(b)は、弾性部材の幅方向端部を、平板状部材の左側面および右側面に接着する工程を示す。
【図11】本発明の第6実施形態を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11の第1凹部および第2凹部の断面図であって、図11に示されるB−B線に沿う断面図である。
【図13】図13は、図11の充填部の断面図であって、図11に示されるC−C線に沿う断面図である。
【図14】図14は、図11の屈曲部の断面図であって、図11に示されるD−D線に沿う断面図である。
【図15】図15は、図11の屈曲部における屈曲を説明する斜視図を示す。
【図16】図16は、本発明の第7実施形態の屈曲部を示す斜視図である。
【図17】図17は、本発明の第8実施形態の屈曲部を示す斜視図である。
【図18】図18は、本発明の第9実施形態の屈曲部を示す斜視図である。
【図19】図19は、本発明の第10実施形態の屈曲部を示す断面図である。
【図20】図20は、本発明の第11実施形態を示す斜視図である。
【図21】図21は、図20の撓み部を示す拡大斜視図である。
【図22】図22は、図20の弾性部材の拡大断面図であって、図20に示されるE−E線に沿う断面図である。
【図23】図23は、弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図であって、(a)は、弾性粘着シートを用意する工程、(b)は、幅方向中央の離型フィルムを引き剥がす工程(c)は、幅方向中央を互いに接着する工程、(d)は、貼着部分を、平板状部材の周縁部に対向させる工程、(e)は、貼着部分を、平板状部材の周縁部に貼着する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の遮蔽板の第1実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1に示されるA−A線に沿う部分断面図である。なお、遮蔽板1に関し、方向について言及する場合には、鉛直方向に固定したときの方向を基準とし、具体的には、各図に示した方向矢印を基準とする。
遮蔽板1は、図1に示すように、平板状部材2、平板状部材2の周縁部に全周にわたって設けられている弾性部材3、および、平板状部材2に装着され、構造部材の空間に固定可能な固定部材としてのクリップ4を備えている。
【0028】
平板状部材2は、図2に示すように、断面梯子形状(断面ハーモニカ形状)をなし、第1平板としての左側板5、左側板5と左右方向(水平方向)において間隔を隔てて対向配置される第2平板としての右側板6、および、左側板5と右側板6との間に架設される複数の柱部7を一体的に備えている。
平板状部材2は、図1に示すように、後述する構造部材の空間の断面形状に対応するような所定形状に形成され、例えば、その後側が、上下方向に沿って延びる側面視略矩形状に形成され、その前側が、その後側の上端部から上下方向中央部にわたって、前方に突出する側面視略五角形状に形成されている。
【0029】
左側板5および右側板6は、平板状部材2の外形形状に対応する平板状に形成されている。
柱部7は、平板状部材2の全面にわたって、前後方向(平板状部材2の厚み方向と直交する方向)に間隔を隔てて複数並列配置されている。各柱部7は、上方に向かうに従って後方に傾斜するように、一直線状に形成されている。また、柱部7は、図2に示すように、左右方向に沿って延びる平板状に形成されている。
【0030】
そして、平板状部材2において、各柱部7の間が、柱部7が形成されている部分に比べて脆弱な脆弱部8(応力集中部)として区画されている。
すなわち、脆弱部8は、一直線状に形成される各柱部7の間において、一方向(図1において、脆弱部形成方向Fとして示す。)に沿って形成されており、各脆弱部8は、脆弱部形成方向Fと直交する方向に間隔を隔てて、平板状部材2の全面にわたって形成されている。
【0031】
平板状部材2は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、アクリルなどの合成樹脂を一体押出成形により、まず、上記した断面形状を有するシート状に形成し、次いで、それを上記した形状に打ち抜くことにより、形成することができる。好ましくは、ポリプロピレン、ポリカーボネートから形成されている。
【0032】
また、平板状部材2は、例えば、市販のプラスチックダンボールシート(ダンプラシート)を上記した形状に打ち抜いて、形成することができる。
平板状部材2の目付けは、例えば、200〜2000g/m、好ましくは、300〜1500g/mである。平板状部材2の目付けが上記範囲より少ないと、平板状部材2の強度が低くなりすぎるという不具合がある。また、平板状部材2の目付けが上記範囲より多いと、平板状部材2が屈曲しにくくなるという不具合がある。
【0033】
平板状部材2の脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さは、例えば、脆弱部形成方向Fにおける垂直圧縮強さの0.02〜0.9倍、好ましくは0.05〜0.5倍である。平板状部材2の脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが上記範囲より低いと、平板状部材2の形状を保持することが困難となる場合がある。また、平板状部材2の脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが上記範囲より高いと、意図する方向に沿って平板状部材2を屈曲することが困難となる場合がある。
【0034】
なお、垂直圧縮強さ(エンドクラッシュ)は、上記した方向において、JIS Z 0403−2に準じて求められる。
左側板5と右側板6とは、例えば、0.8〜10mm、好ましくは、2〜5mmの間隔を隔てて対向配置され、それらの厚みは、例えば、0.1〜1mm、好ましくは、0.2〜0.6mmである。
【0035】
柱部7は、例えば、0.8〜10mm、好ましくは、2〜5mmの間隔を隔てて並列配置され、その厚みは、例えば、0.1〜1mm、好ましくは、0.2〜0.6mmである。柱部7が上記間隔より広い間隔を隔てて配置されると、平板状部材2の強度が低くなりすぎるという不具合がある。また、柱部7が上記間隔より狭い間隔を隔てて配置されると、平板状部材2が屈曲しにくくなるという不具合がある。
【0036】
弾性部材3は、図2に示すように、平板状部材2の周縁部を挟むように周縁部と嵌合する嵌合部9と、嵌合部9に対して平板状部材2の反対側に配置される弾性部10とを備えている。
嵌合部9は、平板状部材2の周端部に対応するように、平板状部材2に向かって開く断面略コ字状に形成されている。
【0037】
嵌合部9としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン、エポキシなどの合成樹脂から形成される粘着シート、粘着フィルムおよび硬質の成形品や、エチレン・プロピレンゴム発泡体、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体などの合成ゴム発泡体から形成される粘着シートなどが挙げられる。好ましくは、合成ゴム発泡体から形成される粘着シートが挙げられる。さらに好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体から形成される粘着シートが挙げられる。
【0038】
弾性部10は、断面視略矩形状に形成されている。弾性部10は、例えば、ポリウレタン系ゴム発泡体、エチレン・プロピレンゴム発泡体、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体などの合成ゴム発泡体、好ましくは、エチレン・プロピレン・ジエンゴム発泡体から形成される。
そして、弾性部材3は、嵌合部9に弾性部10を接着剤などにより接着することにより形成される。
【0039】
クリップ4は、例えば、硬質の合成樹脂成形品などから形成され、図1に示すように、平板状部材2および弾性部材3を左右方向から挟む挟持部11と、構造部材の空間に固定するための固定部12とを一体的に備えており、平板状部材2の前側および後側の下方に1つずつ配置されている。
挟持部11は、平面視略矩形状の底部13と、底部の左右方向両端縁から上方に向かって延びる2枚の挟持片14とを一体的に備えている。底部13の左右方向長さは、例えば、2〜18mm、好ましくは、4〜12mmである。また、底部13の厚みは、例えば、0.5〜5mm、好ましくは、1〜3mmであり、挟持片14の厚みは、例えば、0.5〜3mm、好ましくは、1〜2mmである。
【0040】
固定部12は、底部13の下端面から下方に向かって突出するように、略円柱形状に形成されている。また、固定部12の径方向長さは、底部13の前後方向長さおよび左右方向長さよりも短く形成されている。
そして、遮蔽板1を製造するには、まず、所定形状に形成された平板状部材2の周縁部を挟むように、弾性部材3の嵌合部9を折り曲げて貼着し、次いで、クリップ4の挟持片14で平板状部材2および弾性部材3を、底部13に弾性部材3が当接するまで挟み込む。これによって、遮蔽板1を得る。
【0041】
このようにして得られる遮蔽板1は、構造部材の空間の仕切りなどに使用される。構造部材としては、例えば、車両のカウル部材などが挙げられる。
以下、図1に示される遮蔽板1の使用方法について、車両構造の一例としての車両21のカウル部24に適用する例を挙げて説明する。
図3は、図1に示される遮蔽板を備えた車両構造の一例としての車両のカウル部を左上方から見た要部斜視図である。図4は、図3に示される車両の要部左側面図である。なお、図3では、便宜的に、カウル部24の内部を直接表示しており、また、遮蔽板1の弾性部材3を省略している。
【0042】
車両21は、図3に示すように、フロントガラス22、エンジンフード23、および、フロントガラス22とエンジンフード23との間に設けられるカウル部24を備えている。
カウル部24は、車両21の左右方向に沿って配置されており、下方に向かって凹む構造のカウルフレーム25を備えている。カウルフレーム25は、前側に形成されるエンジンルーム側溝部25a、および、エンジンルーム側溝部25aの後側に連通し、より深く形成される車室側溝部25bを一体的に備えており、エンジンルーム側溝部25aと車室側溝部25bとにより、構造部材の空間の一例としてのカウル空間26が区画されている。また、車室側溝部25bの後壁には、外気を車室内に導入するための外気導入口27が形成されている。また、エンジンルーム側溝部25aおよび車室側溝部25bの底壁には、図4に示すように、遮蔽板1の前側および後側に配置されているクリップ4にそれぞれ対応する位置において、固定部挿通穴28が形成されている。
【0043】
そして、遮蔽板1は、図3に示すように、外気導入口27の左右方向両外側に配置されるように、カウル空間26に配置されている。
遮蔽板1をカウル空間26に配置するには、図4に示すように、前側のクリップ4の固定部12を、エンジンルーム側溝部25aの固定部挿通穴28に、後側のクリップ4の固定部12を、エンジンルーム側溝部25bの固定部挿通穴28に、底部13の下端面がカウルフレーム25の底面に当接するまで上方から挿通し、弾性部材3がカウルフレーム25の内周面に密着するように、固定する。
【0044】
これにより、カウル空間26において、外気導入口27が形成されている部分を遮蔽し、エンジンルームからの熱気や臭気が、外気導入口27を介して、車室内に流入することを防止することができる。
以下、車両21に外力としての衝撃力Iが加わった場合における遮蔽板1の作用について、図5および図6を参照しながら説明する。なお、衝撃力Iが加わる方向(図1において矢印で示す方向)は、例えば、車両21が正面衝突し、衝突した対象物が、車両21のエンジンフード23およびカウル部24の上に載りかかってきた場合などを想定している。
【0045】
図5は、図3に示される車両に外力が加わった場合を示す左上方から見た要部斜視図である。図6は、図5に示される左側の遮蔽板の拡大図である。
遮蔽板1は、図5に示すように、車両21に衝撃力Iが加わることにより、屈曲する。
詳しくは、まず、脆弱部形成方向Fとほぼ直交する方向、すなわち、前方斜め上方から、衝撃力Iが加わる(図1参照。)。
【0046】
すると、衝撃力Iに応じて、平板状部材2に応力が発生し、発生した応力は、衝撃力Iの加わり方(衝撃力の大きさ、方向、加わる部位など)に対応して、平板状部材2のいずれかの部位に集中する。
平板状部材2には、全面にわたって脆弱部8が形成されているので、図6に示すように、特に応力が集中する脆弱部8において、左側板5および右側板6のいずれかが左右方向に屈曲することにより、平板状部材2が屈曲する。
【0047】
詳しくは、平板状部材2は、その前側の脆弱部8において、柱部7の間の右側板6が左方に向かって突出するように、脆弱部形成方向Fに沿って屈曲し、また、その後側の脆弱部8において、柱部7の間の左側板5が右方に向かって突出するように、脆弱部形成方向Fに沿って屈曲することにより、2箇所の脆弱部8において、屈曲している。
これにより、衝撃力Iが加わることにより、衝撃力Iに応じた脆弱部8において平板状部材2が屈曲し、衝撃力Iを吸収することができる。
【0048】
そして、この遮蔽板1によれば、衝撃力Iが加わることによって屈曲する脆弱部8が、平板状部材2の全面にわたって形成されているので、衝撃力Iがどの部位に加わっても脆弱部8において、平板状部材2を屈曲させることができる。しかも、脆弱部8が平板状部材2の全面にわたって設けられているので、平板状部材2をどのような形状に形成しても、衝撃力Iを脆弱部8に作用させることができる。
【0049】
その結果、この遮蔽板1は、衝撃力Iを確実に吸収することができるとともに、生産効率を向上させることができる。
また、この遮蔽板1によれば、平板状部材2が、左側板5、右側板6および柱部7から形成されており、柱部7の間に脆弱部8が形成されているので、柱部7において、遮蔽板1の強度を保つことができるとともに、柱部7の間の脆弱部8において、平板状部材2を確実に屈曲させることができる。
【0050】
また、この遮蔽板1では、脆弱部形成方向Fに沿って、脆弱部8が形成されている。そのため、衝撃力Iが加わる部位において、平板状部材2を、脆弱部形成方向Fに沿って確実に、屈曲させることができる。
その結果、この遮蔽板1は、衝撃力Iを、より確実に吸収することができる。
この遮蔽板1では、複数の脆弱部8が、脆弱部形成方向Fと直交する方向に間隔を隔てて並設されている。そのため、脆弱部形成方向Fと直交する方向において、衝撃力Iが加わる部位に関わらず、平板状部材2を屈曲させることができる。
【0051】
その結果、この遮蔽板1は、衝撃力Iを、より確実に吸収することができる。
この遮蔽板1では、脆弱部8が並設される方向における垂直圧縮強さが、脆弱部形成方向Fにおける垂直圧縮強さの0.02〜0.9倍である。すなわち、脆弱部8が並設される方向における垂直圧縮強さが、脆弱部形成方向Fにおける垂直圧縮強さよりも低く設定されている。そのため、例えば、車両21が正面衝突し、衝突した対象物が、車両21のエンジンフード23およびカウル部24の上に載りかかってきた場合などに、脆弱部8が並設される方向から衝撃力Iが加わることによって、容易に、平板状部材2を屈曲させることができる。
【0052】
その結果、この遮蔽板1は、脆弱部8が並設される方向からの衝撃力Iを、より確実に吸収することができる。
この遮蔽板1では、弾性部材3が平板状部材2の周縁部に全周にわたって配置されている。そのため、遮蔽板1をカウル空間26に取り付けた場合、弾性部材3が、カウル空間26の形状に応じて変形し、カウルフレーム25に密着する。
【0053】
その結果、この遮蔽板1を、簡易な構成で、カウルフレーム25に密着させて、遮蔽効果を向上させることができる。
この遮蔽板1では、弾性部材3が、平板状部材2の周縁部を挟むように周縁部と嵌合する嵌合部9と、嵌合部9に対して平板状部材2の反対側に配置される弾性部10とを備えている。
【0054】
そのため、嵌合部9で平板状部材2の周縁部を挟むことにより、弾性部材3を、確実に平板状部材2に固定することができるとともに、遮蔽板1をカウル空間26に取り付ける場合には、弾性部10を、確実にカウルフレーム25に密着させることができる。
また、この遮蔽板1は、カウル空間26に固定可能なクリップ4が、平板状部材2に備えられている。そのため、別途、クリップ4を形成しなくても、遮蔽板1をカウル空間26に設置することができる。
【0055】
その結果、この遮蔽板1は、容易に、カウル空間26に設置することができる。
そして、この車両21は、遮蔽板1を備えているので、衝突時に、衝撃力Iを確実に吸収することができる。
(変形例)
図7は、本発明の第2実施形態を示す左上方から見た斜視図である。なお、図7において、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
上記した第1実施形態では、遮蔽板1は、カウル空間26に固定可能なクリップ4を備えていたが、例えば、図7に示すように、カウルフレーム25が、その前壁と後壁との間に架設される架橋板32などの部材を備えており、架橋板32に、円柱状の第1突出部34が形成されている場合には、クリップ4を備えなくてもよい。
その場合、具体的には、架橋板32には、第1突出部34が前後方向に間隔を隔てて2つ形成されている。
【0057】
遮蔽板31は、平板状部材2および弾性部材3を備えている。また、遮蔽板31には、平板状部材2の略中央に、第1突出部34に対応する配置において、2つの貫通穴33が形成されている。
そして、遮蔽板31は、例えば、貫通穴33に、第1突出部34を、左側に向かって挿通し、右側の架橋板32に対して固定することにより、取り付けられる。
【0058】
この遮蔽板31は、第1実施形態の遮蔽板1と同様の作用効果を有している。しかも、遮蔽板31では、クリップ4を必要としないので、より一層生産効率を向上させることができる。
図8は、本発明の第3実施形態を示す左側面図である。なお、図8において、第1実施形態と同様の部材には、第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0059】
上記した第1実施形態では、遮蔽板1は、間隔を隔てて並列配置される一直線状の柱部7を備えていたが、例えば、図8に示すように、千鳥状に配列される側面視略円形状の柱部42を備えていてもよい。
そして、各柱部42の間は、柱部42が形成されている部分に比べて脆弱な脆弱部43として区画されている。
【0060】
すなわち、脆弱部43は、千鳥状に配置される各柱部42の間において、前後方向、上方に向かうに従って後方に傾斜する方向、および、上方に向かうに従って前方に傾斜する方向の3つの脆弱部形成方向Fに沿って形成されている。また、各脆弱部形成方向Fは、それぞれ60°の角度で交差している。
この遮蔽板41は、第1実施形態の遮蔽板1と同様の作用効果を有している。しかも、この遮蔽板41では、脆弱部43が、3つの脆弱部形成方向Fに沿って形成され、各脆弱部形成方向Fとそれぞれ直交する方向に間隔を隔てて、並設されている。そのため、あらゆる方向において、衝撃力Iが加わる部位に関わらず、平板状部材2を屈曲させることができる。
【0061】
その結果、この遮蔽板41は、衝撃力Iを、より一層確実に吸収することができる。
図9は、本発明の第4実施形態における弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図である。なお、以降の各図において、上記した各実施形態と同様の部材には、上記と同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記した図2の説明では、弾性部材3を、嵌合部9と弾性部10との別々の部材から形成しているが、例えば、図9(b)に示すように、弾性層44の1つの部材から形成することができる。
【0062】
つまり、弾性層44は、上記した弾性部10を形成する発泡体から形成されており、基部となる断面略矩形状の弾性部10と、遊部となり断面略コ字形状の嵌合部9とから一体的に形成されている。
また、嵌合部9の内面には、公知の粘着剤からなる粘着剤層45が積層されている。
そして、この弾性部材3を平板状部材2の周縁部に貼着するには、まず、図9(a)の破線矢印で示すように、嵌合部9の先端を平板状部材2の厚み方向両側に向けて開く。続いて、図9(a)の矢印および図9(b)に示すように、嵌合部9を平板状部材2に差し込んだ後、嵌合部9の内面を、粘着剤層45を介して、平板状部材2の周縁部に貼着する。
【0063】
この方法では、弾性部材3を1つの弾性層44から一体的に形成しているので、弾性部材3の構成を簡易にすることができる。
図10は、本発明の第5実施形態における弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図である。
上記した説明では、弾性部10と嵌合部9とを、それぞれ、断面略矩形状と断面略コ字形状とに形成しているが、例えば、図10(a)に示すように、弾性部材3を、断面台形状に形成することもできる。
【0064】
弾性部材3は、外側(周縁部の外側)に向かうに従って次第に幅(平板状部材2の厚み方向長さ)が狭くなる断面視略台形状に形成されている。
弾性部材3を平板状部材2の周縁部に貼着するには、まず、図10(a)の矢印で示すように、弾性部材3の内面(周縁部に対向する対向面)の粘着剤層45を、平板状部材2の周縁部に接触させる。これにより、弾性部材3の内面の幅方向中央が平板状部材2の周縁部の端面に、粘着剤層45を介して接着する。
【0065】
次いで、図10(b)に示すように、弾性部材3の幅方向両端部を、平板状部材2の周縁部の左側面および右側面の両面に、粘着剤層45を介して接着する。具体的には、図10(b)の矢印で示すように、弾性部材3の幅方向両端部を、平板状部材2の内方に向けて引っ張りながら、それを、粘着剤層45を介して、周縁部の両面に接着する。
そして、弾性部材3は、上記した幅方向両端部の引っ張りによって、断面略円形状(外側に膨出する湾曲状)に形成されて、周縁部の外方に配置される弾性部10と、周縁部の両側に配置される嵌合部9とがそれぞれ形成される。
【0066】
この弾性部材3は、周縁部への貼着後に、断面略円形状(断面湾曲状)に形成されるので、カウル部24への配置時に、図9の略矩形状の弾性部材3に比べて、カウル部24との接触に起因する剥離を有効に防止できる。そのため、弾性部材3と平板状部材2の周縁部との密着性を高めることができる。その結果、弾性部材3が用いられた遮蔽板1の遮蔽効果をより一層向上させることができる。
【0067】
図11は、本発明の第6実施形態を示す斜視図、図12は、図11に示す凹部の断面図であって、図11に示されるB−B線に沿う断面図、図13は、図11の充填部の断面図であって、図11に示されるC−C線に沿う断面図、図14は、図11の屈曲部の断面図であって、図11に示されるD−D線に沿う断面図、図15は、図11の屈曲部における屈曲を説明する斜視図を示す。なお、図11に示す遮蔽板1は、車両構造のカウルの形状に対応して、適宜の姿勢で適用され、図11以降の各図において、便宜的に、図11に示した方向矢印を基準として説明する。
【0068】
図11において、遮蔽板1は、断面(前後方向に直交する方向の断面)梯子形状をなし、前後方向に延びる略矩形平帯状で、前端部の下端部および後端部の下端部が下側にそれぞれ突出する第2突出部53を有する平板状部材2を備えている。
平板状部材2は、補強部としての第1凹部16、第2凹部19および充填部17と、屈曲部18とを備えている。
【0069】
第1凹部16は、平板状部材2に部分的に形成されており、具体的には、平板状部材2の前端面に設けられ、前端縁左側が傾斜状に圧縮されるように形成されている。具体的には、第1凹部16は、図11および図12に示すように、左側面が前方に向かうに従って右側面に近接する傾斜状(断面三角形状)に形成されている。
また、第1凹部16は、平板状部材2の前端面を、例えば、上側から熱プレスすることによって、形成することができる。
【0070】
第2凹部19は、平板状部材2に部分的に形成されており、具体的には、平板状部材2の前端部に設けられ、第1凹部16の後方に間隔を隔てて配置され、上下方向(脆弱部形成方向Fに直交する方向)に沿って延びるように形成されている。また、第2凹部19は、平板状部材2の左側部が右側(厚み方向途中)に向かって圧縮されるように形成されている。具体的には、第2凹部19は、断面視略矩形状に凹むように形成されている。
【0071】
第2凹部19は、平板状部材2の左側を、例えば、左側から熱プレスすることによって、形成することができる。
充填部17は、図11および図13に示すように、平板状部材2に部分的に形成されており、具体的には、平板状部材2の上部に配置され、平板状部材2において前後方向にわたって形成されている。充填部17は、互いに対向する1対の柱部7、それらを架設する左側板5および右側板6によって区画される空間(充填空間)に充填材が充填されることによって、形成されている。充填部17を形成する充填材としては、例えば、平板状部材2を形成する上記した合成樹脂、および/または、上記した合成ゴム発泡体と同様のものが挙げられる。
【0072】
充填部17は、上記した合成樹脂を、上記した充填空間に、それの前端および/または後端から注入することにより、形成することができる。
屈曲部18は、図11および図14(a)に示すように、平板状部材2に部分的に形成されており、具体的には、平板状部材2の後端部に設けられ、脆弱部形成方向Fに対して傾斜状に延びて形成されている。すなわち、屈曲部18は、後端面から下端面にわたって、側面視直線状に形成され、前方に向かうに従って下側に傾斜状に形成されている。また、屈曲部18は、平板状部材2の左側部(図14の破線で示す左側板5および柱部7)が右方(厚み方向途中)に向かって圧縮されるように形成されている。具体的には、屈曲部18は、断面視略三角形状に凹むように形成されている。
【0073】
これにより、屈曲部18は、図14(b)の矢印が参照されるように、上記した傾斜方向(屈曲部18が延びる方向)に沿って、屈曲可能に形成されている。
また、屈曲部18は、平板状部材2の左側を、例えば、左側からプレスすることによって、形成することができる。
なお、この屈曲部18は、上記した衝撃力Iが加わることによって屈曲する脆弱部8とは異なり、後述する作業者による外力(応力)が加わることにより屈曲する部分として形成されている。
【0074】
そして、この遮蔽板1では、衝撃力Iが、平板状部材2の前端部に、脆弱部形成方向Fに沿って加わると、平板状部材2が屈曲しようとするところ、第1凹部16および第2凹部19によって、それらとそれらの近傍とを補強することができる。
そのため、かかる部位の強度を高めることができる。
その結果、平板状部材2を、所定形状を保持しつつ、屈曲させて衝撃力Iを吸収することができる。
【0075】
また、脆弱部形成方向Fに沿う応力Sが、平板状部材2の上側に加わっても、充填部17によって、それに隣接する左側板5、右側板6および柱部7を補強することができる。
そのため、かかる部位の強度を高めることができる。
その結果、平板状部材2を、所定形状を保持しつつ、屈曲させて衝撃力Iを吸収することができる。
【0076】
また、カウル部24(図3参照)が複雑な形状に形成されている場合に、図14に示すように、作業者などが屈曲部18を屈曲させることにより、遮蔽板1を確実にカウル部24に配置することができる。
詳しくは、遮蔽板1を配置する箇所の手前に狭小空間がある場合、屈曲部18を屈曲させることにより、平板状部材2を折り畳んだ状態で、その狭小空間を通過させた後、再度屈曲部18を伸展させることにより、平板状部材2を開いた状態で配置する。
【0077】
なお、上記した説明では、屈曲部18を、脆弱部形成方向Fに対して傾斜状に形成しているが、例えば、図11の仮想線で示すように、脆弱部形成方向Fに対して直交状に形成することもできる。
好ましくは、図11の実線で示すように、屈曲部18を、脆弱部形成方向Fに対して傾斜状に形成する。
【0078】
屈曲部18を、脆弱部形成方向Fに対して直交状に形成すると、図14(a)が参照されるように、左側板5において柱部7に連続する架設される架設部20のうち、屈曲部18に臨む端部29は、脆弱部形成方向Fにおいて互いに対向配置されている。そのため、屈曲部18の屈曲時に、端部29同士が互いに接触するため、屈曲部18の屈曲の可動範囲を制限する場合があり、また、上記した接触によって、屈曲部18の右側板6が引っ張られてしまい、右側板6が損傷する場合がある。
【0079】
一方、脆弱部形成方向Fに対して傾斜状に形成すると、図15に示すように、架設部20の屈曲部18に望む端部29は、屈曲部18に沿う方向に直交する方向Gにおいて、互いに対向配置されず、互いに齟齬状に配置される。そのため、屈曲部18の屈曲時に、架設部20の端部29同士が互いに接触することを防止しながら、屈曲部18の両側の端部29が齟齬状に近接し(図14(b)参照)、屈曲部18が柔軟に屈曲することができ、また、上記した屈曲部18の右側板6の損傷(具体的には、割れなど)を防止することができる。
【0080】
図16は、本発明の第7実施形態の屈曲部を示す斜視図、図17は、本発明の第8実施形態の屈曲部を示す斜視図、図18は、本発明の第9実施形態の屈曲部を示す斜視図、図19は、本発明の第10実施形態の屈曲部を示す断面図である。
上記した説明では、屈曲部18を、断面視三角形状に切り欠かれるように形成しているが、その形状は特に限定されず、例えば、図16〜図19に示すように、断面視略矩形状(図16、図18および図19)、断面視略W字形状(図17)に、凹むように形成することもできる。
【0081】
図16において、屈曲部18は、脆弱部形成方向Fに対して直交状に延びる直線状に形成されている。また、屈曲部18の幅(前後方向長さ)は、屈曲時に上記した架設部20の端部29同士の接触が生じない程度の長さ、つまり、上記した左側板5と右側板6との間隔より長く設定されている。
屈曲部18は、上下方向に沿って形成され、上下方向に沿って屈曲可能に形成されている。
【0082】
また、屈曲部18は、平板状部材2の左側部を、例えば、左側から熱プレスすることによって、形成することができる。
これにより、屈曲部18の柔軟な屈曲を達成することができる。
そのため、カウル部24のカウル空間26(図3参照)に液体(具体的には、雨水および/または洗浄液など)および/またはそれとともに流れる固体状の異物の流れが生じたときに、それに起因する押圧力によって、平板状部材2を屈曲させることができ、車両21のカウル部24内におけるカウル空間26(図3参照)に流れる液体および/または異物を通過させることができる。
【0083】
図17において、屈曲部18は、2つの略三角形状の圧縮部分50によって、区画されている。
この屈曲部18は、2つの圧縮部分50によって、より一層柔軟な屈曲を達成することができる。そのため、上記した車両21のカウル部24内におけるカウル空間26(図3参照)に流れる液体および/または異物をより一層確実に通過させることができる。
【0084】
図18において、屈曲部18の左側面および右側面には、上下方向に対して傾斜状に沿う筋目30が形成されている。すなわち、筋目30のうち、屈曲部18の左側面に形成される左筋目51および屈曲部18の右側面に形成される右筋目52は、それぞれ、左側および右側に突出しており、上下方向に間隔を隔てて複数配置されている。
また、左筋目51および右筋目52は、左右方向(厚み方向)に投影したときに、互いに直交しており、より具体的には、左筋目51が、上方に向かうに従って後方に傾斜する一方、右筋目52が、上方に向かうに従って前方に傾斜している。
【0085】
筋目30は、左右方向における熱プレス、具体的には、左筋目51および右筋目52に対応する2つの金型を有する熱プレス機によって、左右方向から熱および圧力を同時にかけることにより形成される。
そして、この遮蔽板1では、筋目30によって、屈曲部18の屈曲性を高めることができる。そのため、上記した車両21のカウル部24内におけるカウル空間26(図3参照)に流れる液体および/または異物を確実に通過させることができる。
【0086】
これとともに、屈曲部18の左筋目51および右筋目52が、左右方向に投影したときに、直交しているので、屈曲部18の機械的な耐久性を高めることができる。
なお、図18の説明では、屈曲部18は、平板状部材2の上下方向全体にわたって形成されているが、例えば、上下方向端部または方向途中に形成することもできる。
図19において、平板状部材2には、それを2つに分断するスリット35が形成されており、スリット35の両側の平板状部材2の左側面に架設される第1可撓性シート36によって、屈曲部18が形成されている。
【0087】
第1可撓性シート36は、例えば、上記した合成樹脂、例えば、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴムなどの合成ゴム、例えば、発泡体などから形成され、紙、不織布、織布などの繊維などから形成されている。
この屈曲部18では、第1可撓性シート36によって、屈曲部18の柔軟な屈曲を達成することができ、車両21のカウル部24内におけるカウル空間26(図3参照)に流れる液体および/または異物を通過させることができる。
【0088】
図20は、本発明の第11実施形態を示す斜視図、図21は、図20の撓み部を示す拡大斜視図、図22は、図20の弾性部材の拡大断面図であって、図20に示されるE−E線に沿う断面図、図23は、弾性部材の周縁部への貼着方法を示す説明図である。
図20において、この遮蔽板1は、可撓性シートとしての第2可撓性シート37をさらに備えている。
【0089】
第2可撓性シート37は、平板状部材2の右側面に積層されており、具体的には、側面視において、平板状部材2の第2突出部53を含むように、配置されている。
すなわち、第2可撓性シート37は、平板状部材2の第2突出部53の周縁部から外方(前方、後方および下方)に延出する延出部38を備えている。
第2可撓性シート37は、例えば、上記した第1可撓性シート36を形成する材料と同様の材料から形成され、好ましくは、上記した合成ゴムから形成されている。
【0090】
また、第2可撓性シート37は、撓み部39と蛇腹部40とを備えている。
撓み部39は、図21の矢印で示すように、延出部38の延出方向途中を左側に向けて撓ませながら、延出部38の先端部を、平板状部材2の周縁部の左側面に、図示しない接着剤を介して接着することにより形成される。
また、蛇腹部40は、図20に示すように、前端部から前方に延出しており、断面蛇腹状に形成されている。また、蛇腹部40には、前後方向に沿って延びる折り目54が、上下方向に間隔を隔てて形成されている。
【0091】
また、弾性部材3は、図22に示すように、上記した弾性層44および接着剤層45を備え、また、重なり部分46と貼着部分47とを一体的に備えている。
重なり部分46は、平板状部材2の周縁部の外側(上側)に配置され、弾性層44が粘着剤層45を介して互いに接着されることにより互いに重なる部分として区画されている。
【0092】
貼着部分47は、重なり部分46の下端部から連続し、平板状部材2の周縁部の左側面および右側面に、粘着剤層45を介して接着されることにより、平板状部材2の周縁部の両側面に貼り付けられる部分として区画されている。
そして、この弾性部材3を平板状部材2の周縁部に貼着するには、まず、図23(a)に示すように、弾性層44、その表面に形成される粘着剤層45およびその表面に形成される離型フィルム57を備える弾性粘着シート55を用意する。
【0093】
離型フィルム57には、幅方向中央と、幅方向両端部との間に、切り目58が予め形成されている。
次いで、図23(b)に示すように、幅方向中央の離型フィルム57を、切り目58に沿って、粘着剤層45から引き剥がす。
次いで、図23(c)に示すように、幅方向中央の弾性層44を、それらが互いに重なるように、粘着剤層45を介して接着する。これにより、重なり部分46と、それから連続し、2方向に延びる貼着部分47とが形成される。
【0094】
次いで、図23(d)に示すように、貼着部分47の離型フィルム57を、粘着剤層45から引き剥がし、貼着部分47の弾性層44を、平板状部材2の周縁部の端面に対向させる。続いて、図23(e)に示すように、貼着部分47の弾性層44を、周縁部の左側面および右側面に、粘着剤層45を介して貼着する。
この遮蔽板1では、可撓性の延出部38を、遮蔽板1が取り付けられるカウル部24(図3参照)に対して確実に装着することができる。
【0095】
一方、可撓性の延出部38を屈曲させることにより、遮蔽板1を、複雑な形状のカウル部24に確実に配置することができながら、あるいは、可撓性の延出部38を左右方向に屈曲させることにより、カウル部24のカウル空間26(図3参照)における上記した液体および/または異物を通過させることができる。
また、この遮蔽板1では、貼着部分47によって、重なり部分46を平板状部材2に固定することができるとともに、重なり部分46が、カウル部24に対して、確実に密着することができる。
【0096】
また、重なり部分46の重なり幅W(図22参照)は、一定の値に設定されることができるので、重なり部分46による遮蔽効果をより一層高めることができる。
さらに、弾性部材3の平板状部材2の周縁部の端面に対する配置(図23(d)参照)では、重なり部分46と貼着部分47との連続部を、周縁部の端面の中心に対向配置させることにより、貼着部分47を、周縁部の右側面および左側面にバランスよく、かつ、簡単に配置して、貼着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
遮蔽板は、例えば、車両のカウル部材などの空間仕切りに用いられる。
【符号の説明】
【0098】
1 遮蔽板
2 平板状部材
3 弾性部材
4 クリップ
5 左側板
6 右側板
7 柱部
8 脆弱部
9 嵌合部
10 弾性部
16 第1凹部
17 充填部
18 屈曲部
19 第2凹部
21 車両
24 カウル部
25 カウル本体
26 カウル空間
30 筋目
31 遮蔽板
37 第2可撓性シート
38 延出部
41 遮蔽板
42 柱部
43 脆弱部
44 弾性層
45 粘着剤層
46 重なり部分
47 貼着部分
51 左筋目
52 右筋目
I 衝撃力
F 脆弱部形成方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状部材と、
前記平板状部材の全面にわたって形成され、外力が加わることによって屈曲する応力集中部とを備えることを特徴とする、遮蔽板。
【請求項2】
前記平板状部材は、第1平板、第1平板と対向配置される第2平板、および、第1平板と第2平板との間に架設される複数の柱部を備え、
前記応力集中部は、前記柱部の間に形成される脆弱部であることを特徴とする、請求項1に記載の遮蔽板。
【請求項3】
前記平板状部材には、少なくとも一方向に沿って、前記脆弱部が形成されることを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽板。
【請求項4】
前記平板状部材には、前記脆弱部が形成される方向と直交する方向に間隔を隔てて、複数の前記脆弱部が並設されることを特徴とする、請求項3に記載の遮蔽板。
【請求項5】
前記平板状部材には、
3方向に沿って、それぞれ前記脆弱部が形成され、
3方向とそれぞれ直交する方向に間隔を隔てて、複数の前記脆弱部が並設されることを特徴とする、請求項2に記載の遮蔽板。
【請求項6】
前記脆弱部が並設される方向における垂直圧縮強さが、
前記脆弱部が形成される方向における垂直圧縮強さの0.02〜0.9倍であることを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項7】
前記平板状部材に部分的に形成される補強部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項8】
前記平板状部材に部分的に形成され、外力が加わることによって屈曲し、前記応力集中部とは異なる屈曲部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項9】
前記屈曲部は、一方向に沿うように形成されており、構造部材への実装時、および/または、前記構造部材の空間に液体および/または固体の流れが生じた時、前記一方向に沿って屈曲可能であることを特徴とする、請求項8に記載の遮蔽板。
【請求項10】
前記屈曲部は、前記平板状部材の厚み方向における熱プレスにより形成され、
前記屈曲部の一方面および他方面には、前記一方向に対して傾斜状に沿う筋目が形成されており、
前記屈曲部の一方面の前記筋目と、前記屈曲部の他方面の前記筋目とは、厚み方向に投影したときに交差していることを特徴とする、請求項9に記載の遮蔽板。
【請求項11】
前記平板状部材の周縁部の少なくとも一部に弾性部材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項12】
前記弾性部材は、
前記周縁部を挟むように、前記周縁部と嵌合する嵌合部と、
前記嵌合部に対して前記平板状部材の反対側に配置される弾性部とを備えることを特徴とする、請求項11に記載の遮蔽板。
【請求項13】
前記弾性部材は、弾性層および前記弾性層の表面に形成される粘着剤層を備え、
前記弾性部材は、
前記周縁部の外側に配置され、前記弾性層が前記粘着剤層を介して互いに接着されることにより重なる重なり部分と、
前記重なり部分から連続し、前記周縁部の一方面および他方面に接着されることにより前記周縁部に貼り付けられる貼着部分と
を備えていることを特徴とする、請求項11または12に記載の遮蔽板。
【請求項14】
前記平板状部材の少なくとも一方面に積層され、前記平板状部の周縁部から外方に延出する延出部を備える可撓性シートをさらに備えていることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項15】
前記平板状部材に装着され、構造部材の空間に固定可能な固定部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の遮蔽板。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載の遮蔽板を備えることを特徴とする、車両構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−168036(P2010−168036A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290142(P2009−290142)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】