説明

配線基板及びICチップの実装方法

【課題】接続不良が発生せず導通信頼性を向上させることが可能な異方導電性接着剤を用いたICチップの接続技術を提供する。
【解決手段】本発明は、基板本体12の接続側面上に複数の接続電極13、14、15を有し、異方導電性接着剤によってICチップ1が実装される配線基板である。複数の接続電極13、14、15のうち、予め特定された領域の接続電極14の高さが、他の接続電極13、15の高さより高くされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等の配線基板上へのICチップの実装技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば液晶表示装置等の配線(ガラス)基板上にICチップを実装する手段として、異方導電性接着フィルムが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この異方導電性接着フィルムを用いてCOG(Cip On Glass)方式によってICチップの実装を行うには、ICチップの接続端子(バンプ)と配線基板の接続電極との間に異方導電性接着フィルムを介在させ、熱圧着ヘッドによってICチップを加熱するとともに押圧することによって熱圧着を行う。
【0004】
しかし、従来、ICチップに設けられたバンプのうち、特定のバンプに関して接続不良が生ずる場合がある。
例えば、図8(a)に示すように、ICチップ101のチップ本体102縁部に設けられたバンプ103、104のうち、短辺側に設けられたバンプ(楕円A、B内)に接続不良が生ずる場合がある。
【0005】
また、図8(b)に示すように、ICチップ201のチップ本体202長辺部に設けられたバンプ203〜205のうち、一方の長辺側においてバンプが千鳥状に設けられたICチップ201にあっては、外側のバンプ204(楕円C内)に接続不良が生ずる場合がある。
【特許文献1】特開平8−7658号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、接続不良が発生せず導通信頼性を向上させることが可能な異方導電性接着剤を用いたICチップの接続技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、基板本体の接続側面上に複数の接続電極を有し、異方導電性接着剤によってICチップが実装される配線基板であって、前記複数の接続電極のうち、予め特定された領域の接続電極の高さが、他の接続電極の高さより高くされたものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記基板本体の接続側面は長方形状に形成されるとともに前記複数の接続電極が当該基板本体の接続側面の縁部に設けられ、当該複数の接続電極のうち、前記接続側面の短辺側縁部に設けられた接続電極の高さが、前記接続側面の長辺側縁部に設けられた接続電極の高さより高くされたものである。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記複数の接続電極が前記接続側面の縁部に沿って複数の列状に設けられ、当該複数列の接続電極のうち、当該接続側面の縁部外側に設けられた接続電極の高さが、当該接続側面の縁部内側に設けられた接続電極の高さより高くされたものである。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の発明において、前記予め特定された領域の接続電極の高さと、前記他の接続電極の高さとの差が、使用する異方導電性接着剤の導電粒子の粒径の5%〜95%であるものである。
請求項5記載の発明は、前記配線基板が液晶表示装置用のガラス基板であるものである。
請求項6記載の発明は、突起状の接続電極が形成されたICチップと、請求項1乃至5のいずれか1項記載の配線基板との間に異方導電性接着剤を配置し、加熱及び加圧を行うことにより、前記配線基板と前記ICチップを接着するとともに対応する電極同士を電気的に接続する工程を有するICチップの実装方法である。
【0008】
本発明の場合、基板本体の接続側面上に設けられた複数の接続電極のうち、予め特定された領域(例えば、長方形状の接続側面の短辺側縁部領域や、接続側面の縁部に沿って実装端子が複数の列状に設けられた場合の縁部外側領域)の接続電極の高さが、他の接続電極の高さより高くされていることから、異方導電性接着剤を用いて熱圧着を行った場合に、従来技術ではつぶれ状態が不十分であった特定の導電粒子を十分に圧縮することができる。
その結果、本発明によれば、ICチップの各実装端子上における導電粒子の圧縮状態を均一にすることができるので、種々のタイプのICチップにおいて、導通信頼性を向上させることができる。
特に、本発明によれば、径の大きな導電粒子を用いることなく導通信頼性を向上させることができるので、ファインピッチのバンプを有するICチップに有用となるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接続不良が発生せず導通信頼性を向上させることができる異方導電性接着剤を用いたICチップの接続技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実装方法の好ましい形態について図面を用いて説明する。
なお、後述するように、本発明に用いる異方導電性接着剤7は、絶縁性接着剤樹脂8中に導電粒子9が分散されているものであるが、その態様としては、ペースト状又はフィルム状のいずれにも適用することができる。
【0011】
図1(a)(b)は、本発明に用いるICチップ及び配線基板の例を示す概略図で、図1(a)は平面図、図1(b)は同配線基板の正面図である。また、図2(a)(b)及び図3(a)(b)は、本発明の原理を示す説明図である。
【0012】
図1(a)(b)に示すように、本発明に用いるICチップ1は、例えば長方体形状のチップ本体2を有し、その接続側面2aが長方形形状に形成されている。
【0013】
ICチップ1の接続側面2aの縁部(長辺及び短辺)には、接続電極として、バンプを用いた実装端子3、4、5が、所定のピッチをおいて複数個設けられている。
【0014】
本例の場合、実装端子3、4、5は、例えば図3(a)(b)に示すように、それぞれパターン状のAl(アルミニウム)からなる電極部20上に、Au(金)からなるバンプ40、50を形成することにより構成されている。なお、図3(a)(b)中、符号21は、パッシベーション膜である。
【0015】
ここで、Al電極部上にAuバンプを形成するには、例えば以下に説明する公知のめっき法(例えば特許2936680号公報参照)を用いることができる。
すなわち、めっき法では、Al配線(電極部)と絶縁膜が形成されたSi基板を用意し、この絶縁膜にAl配線を外部に接続するための開孔を形成し、その全面にTi(チタン)をスパッタしてTi膜を形成し、Pd(パラジウム)をスパッタしてPd膜を形成する。次いで、その上にレジストを被着しこれをパターニングすることによって、Auバンプ形成用の開孔を有するレジストマスクを形成する。
さらに、前述の開孔からPd膜の上にAuめっきを施してAuめっき層を形成し、その後、前述のレジストマスクを除去し、さらに金めっき層をマスクにしてPd膜とTi膜をエッチングする。これによりAl電極部上に形成されたAuバンプを得る。
【0016】
一方、本例の配線基板11は、例えばガラスからなる基板本体12を有し、その接続側面、即ち接続領域12aには、ICチップの実装端子3、4、5に対応する接続電極13、14、15が、所定のピッチをおいて複数個設けられている。
ここで、基板本体12の接続領域12aは長方形形状に形成され、その長辺側縁部に、接続電極13、15がそれぞれ設けられている。また、基板本体12の短辺側縁部には、接続電極14が設けられている。
【0017】
ここで、配線基板11が液晶表示装置用のガラス基板である場合には、接続領域12aの一方の長辺側縁部の接続電極13及び短辺側縁部の接続電極14は、例えば、Alを用いたスパッタリング法及びフォトリソグラフィ法によるエッチングによって形成することができる。
また、他方の長辺側縁部の接続電極15は、ITOを用いたスパッタリング法及びフォトリソグラフィ法によるエッチングによって形成することができる。
【0018】
本発明では、複数の接続電極のうち、予め特定された領域の接続電極の高さが、他の接続電極の高さより高くされている。
【0019】
本実施の形態においては、図1(a)(b)に示すように、配線基板11の接続領域12aの短辺側縁部(楕円C,Dで示す領域)に設けられた接続電極14の高さが、接続領域12aの長辺側縁部に設けられた接続電極13、15の高さより高くなるように構成されている。
【0020】
本発明の場合、配線基板11の短辺側縁部の接続電極14の高さを長辺側縁部の接続電極13、15の高さより高くする方法は、特に限定されることはないが、製造工程の簡易さの観点からは、例えば図3(b)に示すように、接続電極14上に金属によるかさ上げ部14aを設けて電極部分を多層化することが好ましい。
【0021】
この場合、かさ上げ部14aの形成方法としては、例えば、アルミニウムを用いたスパッタリング法及びフォトリソグラフィ法によるエッチングを採用することができる。
【0022】
そして、これにより、配線基板11の短辺側縁部の接続電極14の高さが、かさ上げ部14aの分だけ長辺側縁部の接続電極13、15の高さより高い配線基板11を得ることができる。
【0023】
以下、本発明の原理を図2(a)(b)及び図3(a)(b)を用いて説明する。ここでは、上記配線基板11上に上記ICチップ1を実装する場合を考える。また、長辺側縁部の接続電極13、15のうち、一方の接続電極15を例にとって説明する。
【0024】
配線基板11の実装時には、図2(a)に示すように、配線基板11とICチップ1との間に、異方導電性接着剤7を配置して熱圧着を行うが、その際、ICチップ1側から加熱及び加圧を行う。
【0025】
この場合、ICチップ1の到達温度は200〜250℃程度となるが、配線基板11側の到達温度は100〜150℃程度とICチップ1に比べて低いため、加熱時にはICチップ1の方が延びた状態となっている。このため、実装後、冷却の際にICチップ1のチップ本体2の収縮が大きく、例えば、図2(b)に示すように、配線基板11よりICチップ1の反りが大きくなり、結果として、実装部分全体に反りが発生する。
【0026】
この状態では、ICチップ1の接続側面2aの縁部のうち短辺側縁部2bに応力が加わりやすいので、図3(a)に示すように、異方導電性接着剤7の導電粒子9bに対する押圧力が他の領域(本例では長辺側縁部)の導電粒子9に比べて小さく導電粒子9bの変形(圧縮)率が不足する傾向にある。
【0027】
そこで、図3(b)に示すように、配線基板11の接続領域12aの短辺側縁部12bにおいて、接続電極14上にかさ上げ部14aを設けることにより、接続電極14の高さを、接続領域12aの長辺側縁部の接続電極15の高さより高くする。
【0028】
これにより、ICチップ1及び配線基板11間において接続領域12aの短辺部側縁部の実装端子4及び接続電極14間の間隔を、長辺部側縁部の接続電極15及び実装端子5間の間隔と同等にすることができるので、ICチップ1の接続側面2aの縁部の各実装端子部分において導電粒子9に対して均一の力で押圧して圧縮率を均一にすることができる。
【0029】
本発明の場合、配線基板11における、長辺部側縁部の接続電極13及び15と、短辺部側縁部の接続電極14の高さの差は、特に限定されることはないが、導電粒子9の圧縮状態を均一にして導通信頼性を向上させる観点からは、導電粒子9の粒径の5%〜95%とすることが好ましく、より好ましくは、30%〜60%である。
【0030】
具体的には、例えば、導電粒子9の粒径が3μm〜5μmである場合において、接続電極13及び15と、接続電極14の高さの差を、0.5μm〜3μmとすることができる。
【0031】
この場合、導電粒子9の弾性率が、100kgf/mm2〜1000kgf/mm2の範囲にある場合により効果的である。
【0032】
図4(a)(b)、図5(a)(b)及び図6(a)(b)は、本発明の他の実施の形態を示すものであり、以下、上記実施の形態と同一の部分については同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0033】
図4(a)(b)に示すように、本実施の形態に用いるICチップ1Aは、チップ本体2の接続側面2aの長辺側縁部に、接続電極としての実装端子3、4A、5が設けられている。
【0034】
そして、ICチップ1Aの接続側面2aの長辺側縁部の一方において、この長辺側縁部に沿って2列の実装端子3、4Aが千鳥状に配列されている。
【0035】
一方、本実施の形態の配線基板11Aは、チップ本体12の接続領域12aの長辺側縁部に、上述したICチップ1Aの実装端子3、4A、5にそれぞれ対応する接続電極13、14A、15が設けられている。
【0036】
ここでは、配線基板11Aの接続領域12aの長辺側縁部の一方において、この長辺側縁部に沿って2列の接続電極13、14Aが千鳥状に配列されている。
【0037】
そして、これら接続電極13、14A、15のうち、接続領域12aの一方の長辺側縁部外側に設けられた接続電極14A(図4(a)の楕円Eで示す領域)の高さが、この長辺側縁部内側に設けられた接続電極13、15の高さより高くなるように構成されている。
【0038】
この場合、配線基板11Aの接続領域12aの長辺側縁部外側の接続電極14Aの高さを長辺側縁部内側の接続電極13の高さより高くする方法は、上記実施の形態と同様の方法を採用することができる。
すなわち、本発明の場合、特に限定されるものではないが、製造工程の簡易さの観点からは、図4(b)及び6(b)に示すように、接続電極14A上に金属によるかさ上げ部14aを設けて電極部分を多層化することが好ましい。
【0039】
なお、本実施の形態の場合、配線基板11Aの接続領域12aの短辺側縁部には、接続電極は設けられていない。
【0040】
このような2列の接続電極13、14Aが長辺側縁部に沿って千鳥状に配列されている配線基板11Aにおいて、実装時にICチップ1A側から加熱及び加圧を行うと、図5(a)(b)に示すように、チップ本体2の中央部分が長辺側縁部と比較して沈み込む傾向がある。
【0041】
このため、ICチップ1Aの実装後において、チップ本体2の中央部分と長辺側縁部との高さに差が生ずる。この差は、2列の実装端子3、4Aが設けられた側の長辺側縁部2cにおいて、特に大きくなる(数μm程度)。
【0042】
ここで、図6(a)に示すように、配線基板11Aの接続電極13、14Aの高さが等しい場合には、この長辺側縁部外側の接続電極14Aの導電粒子9cに対する押圧力が、他の領域の導電粒子9に比べて小さくなり、この導電粒子9cの変形(圧縮)率が不足する。
【0043】
そこで、本実施の形態では、図6(b)に示すように、配線基板11Aの接続領域12aの長辺側縁部12c外側における接続電極14Aの高さを、その上にかさ上げ部14aを設けることによって長辺側縁部2c内側の接続電極13の高さより高くする。
【0044】
これにより上記実施の形態と同様に、ICチップ1A及び配線基板11A間において、実装端子4A及び接続電極14A間の間隔を、実装端子5及び接続電極15間の間隔と同等にすることができるので、配線基板11Aの縁部の各実装端子部分において導電粒子9に対して均一の力で押圧して圧縮率を均一にすることができる。
【0045】
本発明の場合、配線基板11Aにおける、接続電極14Aと、接続電極13及び15との高さの差は、特に限定されることはないが、導電粒子9の圧縮状態を均一にして導通信頼性を向上させる観点からは、接続電極14Aと、接続電極13及び15との高さの差を、導電粒子9の粒径の5%〜95%とすることが好ましい。
【0046】
具体的には、例えば、導電粒子9の粒径が3μm〜5μmである場合において、接続電極14Aと、13及び15との差を、0.5μm〜3μmとすることができる。
【0047】
この場合、導電粒子9の弾性率が、100kgf/mm2〜1000kgf/mm2の範囲にある場合により効果的である。
【0048】
なお、本発明は上述の実施の形態に限られることなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、複数の接続電極のうち高さを高くする接続電極については、上述の実施の形態のように接続側面の縁部(短辺部又は長辺部)に配列されたものの全部には限られず、一部の接続電極であってもよい。
【0049】
例えば、図7に示すように、接続領域2aの長辺側縁部に複数の接続電極3、5が形成されたICチップ1Bと、接続領域12aの長辺側縁部に複数の接続電極13が形成された配線基板11Bを用いた場合において、配線基板11Bにおける任意の(例えば、ICチップ1Bの高さの低い実装端子3B、5Bに対応する)接続電極13B、15Bの高さを、それぞれ他の接続電極13、15の高さより高くすることもできる。
【0050】
また、チップ本体の接続側面の隅部分の接続電極の高さを他の領域の接続電極より高くするなどICチップに応じて種々の変更を行うことができる。
【0051】
さらに、特定の領域の接続電極の高さを高くする方法については、上述した接続電極上にかさ上げ部を設けて多層化する方法のほか、例えば、当初接続電極を厚く形成しておき、高さを高くする当該領域以外の領域の接続電極の表層部分をエッチング等によって除去してその領域の電極高さを低くするようにしてもよい。
【0052】
さらに、本発明は、液晶表示装置用のガラス配線基板のみならず、種々のタイプの配線基板に適用することができるものである。
【実施例】
【0053】
以下、本発明の実施例を比較例とともに詳細に説明する。
【0054】
[異方導電性接着フィルムの作成]
絶縁性接着剤樹脂としてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製 EP828)30重量部、フェノキシ樹脂(InChem社製 PKHH)40重量部、エポキシ硬化剤(旭化成社製 HX3941HP)30重量部、導電粒子(積水化学社製 平均粒径3μm)25重量部を、溶剤としてトルエン/酢酸エチルを用いてミキサーで溶解混合させペーストとした。
【0055】
そして、剥離処理を施したPETフィルム上に、上述したペーストを塗布し、70℃に設定した電気オーブンで8分間加熱し、乾燥膜厚が20μmの異方導電性接着フィルムを作成した。
【0056】
<実施例1>
図4(a)(b)に示す千鳥足配列の実装端子を有するICチップ(1A)と、これに対応するように厚さ0.5mmの透明ガラス板上に千鳥足配列のAl接続電極を形成した長方形形状の配線基板(11A)を用いた。
【0057】
ここでは、配線基板(11A)の一方の長辺側縁部外側のAl接続電極(14A)の高さを配線膜の多層化により1μmとし、また当該長辺側縁部内側のAl接続電極(13)の高さを0.2μmとした。
一方、配線基板の他方の長辺側縁部側のITO接続電極(15)の高さ(厚さ)は、0.2μmとした。
【0058】
なお、長辺側縁部外側及び内側の接続電極(14A)、(13)の幅は20μmとし、接続電極間ピッチは25μmとした。
一方、ICチップの実装端子については、すべて高さ15μmに形成した。
【0059】
<比較例1>
配線基板の長辺側縁部外側の接続電極(14A)の高さを0.2μmとして接続電極の高さを全て同一にし、それ以外は、実施例1と同一の構成の配線基板を用いた。
【0060】
<実施例2>
図1(a)(b)に示すストレート配列の実装端子を有するICチップ(1)と、これに対応するように厚さ0.5mmの透明ガラス板上にストレート配列のAl接続電極を形成した配線基板(11)を用いた。
ここでは、配線基板(11)の短辺側縁部のAl接続電極(14)の高さを配線膜の多層化により1μmとした。
一方、配線基板の長辺側縁部側のAl接続電極(13)、ITO接続電極(15)の高さは、それぞれ0.2μmとした。
【0061】
本実施例の場合、短辺側縁部の接続電極(14)及び長辺側縁部の接続電極(13、15)の幅は30μmとし、接続電極間ピッチは50μmとした。
【0062】
<比較例2>
長辺側縁部及び短辺側縁部側の接続電極(13、14、15)の高さを0.2μmとして接続電極の高さを全て同一にし、それ以外は、実施例2と同一の構成の配線基板を用いた。
<実施例3>
図7に示すストレート配列の実装端子を有するICチップ(1B)と、これに対応するするように厚さ0.5mmの透明ガラス板上にストレート配列のAl接続電極を形成した配線基板(11B)を用いた。
ここでは、ICチップ(1B)の特定の実装端子(3B、5B)の高さを14μmとし、他の実装端子(3、5)の高さより1μm低く形成した。
一方、配線基板(11B)については、ICチップ(1B)の高さを低く形成した実装端子(3B、5B)に対応する両長辺側縁部のAl接続電極(13B、15B)の高さを、配線膜の多層化により1μmとした。
一方、配線基板の長辺側縁部側の他のAl接続電極(13)、また、ITO接続電極(15)の高さは、それぞれ0.2μmとした。
【0063】
本実施例の場合、配線基板の接続電極(13、15)の幅は30μmとし、接続電極間ピッチは50μmとした。
【0064】
<比較例3>
両長辺側縁部の接続電極(13、15)の高さを0.2μmとして接続電極の高さを全て同一にし、それ以外は、実施例2と同一の構成の配線基板を用いた。
【0065】
[評価]
異方導電性接着フィルムとして上述したものを用い、上述した各配線基板上に各ICチップを熱圧着した。
【0066】
この場合、圧着条件は、温度200℃、圧力30MPa、時間10秒とし、さらに、温度85℃、相対湿度85%の条件下で500時間のエージングを行い、各実装端子間の導通試験を行った。その結果を表1、2、3に示す。
【0067】
一方、熱圧着後のICチップ内における導電粒子のつぶれ状態を顕微鏡を用いて目視観察した。
【0068】
この場合、導電粒子が均一につぶれているものを「○」、実装端子間において導電粒子のつぶれ状態が不均一で、つぶれ状態が十分でない導電粒子が存在するものを「×」とした。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
[評価結果]
実施例1、実施例2及び実施例3については、エージング後において、8Ω以下の抵抗上昇に制御されており、長辺側縁部外側(実施例1)、短辺側(実施例2)及び低バンプを形成した実施例3の実装端子間における導通が長期間安定していることがわかる。
【0073】
また、導電粒子のつぶれ状態についても、各実装端子及び接続電極間において均一につぶれていることが確認された。
【0074】
一方、比較例1については、エージング後において34Ωの抵抗上昇が見られ、また、長辺側縁部外側の実装端子上において、導電粒子のつぶれ具合が十分でない部分が存在した。
【0075】
さらに、比較例2については、エージング後において39Ωの抵抗上昇が見られ、また、短辺側縁部の実装端子上において、導電粒子のつぶれ具合が十分でない部分が存在した。
さらにまた、比較例3については、エージング後において42Ωの抵抗上昇が見られ、また、高さを低くした実装端子上において、導電粒子のつぶれ具合が十分でない部分が存在した。
以上より、本発明の効果を実証することができた。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】(a):本発明に用いるICチップ及び配線基板の例を示す概略平面図である。(b):同配線基板の正面図である。
【図2】(a)(b):本発明の原理を示す説明図である。
【図3】(a)(b):本発明の原理を示す説明図である。
【図4】(a):本発明に用いるICチップ及び配線基板の他の例を示す概略平面図である。(b):同配線基板の側面図である。
【図5】(a)(b):本発明の原理を示す説明図である。
【図6】(a)(b):本発明の原理を示す説明図である。
【図7】本発明に用いるICチップ及び配線基板の他の例を示す概略平面図である。
【図8】(a):従来例に係るICチップの外観構成を示す概略平面図である。(b):他の従来例に係るICチップの外観構成を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0077】
1 ICチップ
2 チップ本体
2a 接続側面
2b 短辺側縁部
3,4 実装端子
7 異方導電性接着剤
9 導電粒子
11 配線基板
12 基板本体
12a 接続領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体の接続側面上に複数の接続電極を有し、異方導電性接着剤によってICチップが実装される配線基板であって、
前記複数の接続電極のうち、予め特定された領域の接続電極の高さが、他の接続電極の高さより高くされた配線基板。
【請求項2】
前記基板本体の接続側面は長方形状に形成されるとともに前記複数の接続電極が当該基板本体の接続側面の縁部に設けられ、当該複数の接続電極のうち、前記接続側面の短辺側縁部に設けられた接続電極の高さが、前記接続側面の長辺側縁部に設けられた接続電極の高さより高くされた請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記複数の接続電極が前記接続側面の縁部に沿って複数の列状に設けられ、当該複数列の接続電極のうち、当該接続側面の縁部外側に設けられた接続電極の高さが、当該接続側面の縁部内側に設けられた接続電極の高さより高くされた請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記予め特定された領域の接続電極の高さと、前記他の接続電極の高さとの差が、使用する異方導電性接着剤の導電粒子の粒径の5%〜95%である請求項1乃至3のいずれか1項記載の配線基板。
【請求項5】
前記配線基板が液晶表示装置用のガラス基板である請求項1乃至4のいずれか1項記載の配線基板。
【請求項6】
突起状の接続電極が形成されたICチップと、請求項1乃至5のいずれか1項記載の配線基板との間に異方導電性接着剤を配置し、
加熱及び加圧を行うことにより、前記配線基板と前記ICチップを接着するとともに対応する電極同士を電気的に接続する工程を有するICチップの実装方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−99830(P2009−99830A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−271026(P2007−271026)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(000108410)ソニーケミカル&インフォメーションデバイス株式会社 (595)
【Fターム(参考)】