説明

酵素反応熱検出システム

【課題】微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化が得られる抵抗素子を用いて酵素反応の微少温度変化を的確に検出できる酵素反応熱検出システムを提供する。
【解決手段】酵素反応熱検出システムは、抵抗素子51及び酵素溶液F1を収容した第1容器52と、純水F2を収容した第2容器53と、試料溶液F3を収容しこれを第1容器52内に滴下可能な注入器54と、第2容器53内の純水F2を加熱するヒータ55と、抵抗素子51の抵抗値変化を電気信号(電圧)に変換・増幅し出力可能なブリッジ回路等の検出器56とを備え、注入器54から試料溶液F3を第1容器52内の酵素溶液F1に注入したときの酵素反応熱を抵抗素子51の抵抗値変化によって検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度によって抵抗値が変化する性質を備えた抵抗素子を用いた酵素反応熱検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の抵抗素子は、Mn,Ni,Co,Fe等の金属酸化物の粉末を含有する導体ペーストをスクリーン印刷等の手法によって基板上に塗布しこれを焼成することにより製造されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の製造方法では、ペースト塗布厚を管理することが難しく、焼成によって得られた抵抗膜の厚みを小さくするにも50μmが限界であると共に、得られた抵抗膜の抵抗値が数百MΩと高く且つ微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化を得ることができない問題点があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化が得られる抵抗素子を用いて酵素反応の微少温度変化を的確に検出できる酵素反応熱検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明に係る酵素反応熱検出システムは、遷移金属から選択された少なくとも2種の金属薄膜を基板上に順に重ねて成膜して多層薄膜を形成し該多層薄膜を酸化性雰囲気中で且つ選択金属に応じた温度にて焼成して金属複合膜を形成することにより製造された抵抗素子と、該抵抗素子と酵素溶液を収容した容器と、容器内の酵素溶液を所定温度に保持する温度保持手段と、化学物質や生体物質等を含む試料溶液を容器内に注入する注入器と、抵抗素子の抵抗値変化を電気信号に変換する検出手段とを備え、注入器から第1の容器内の酵素溶液に試料溶液を注入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出し得る、ことをその特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る酵素反応熱検出システムは、遷移金属から選択された少なくとも2種の金属薄膜を基板上に順に重ねて成膜して多層薄膜を形成し該多層薄膜を酸化性雰囲気中で且つ選択金属に応じた温度にて焼成して金属複合膜を形成することにより製造された抵抗素子と、該抵抗素子を収容した排水管付きの反応槽と、反応槽を収容し所定温度で保持される恒温槽と、酵素溶液を収容した第1の容器と、化学物質や生体物質等を含む試料溶液を収容した第2の容器と、第1の容器内の酵素溶液と第2の容器内の試料溶液を所定比率で反応槽内に導入する溶液導入手段とを備え、第1の容器及び第2の容器から反応槽内に酵素溶液及び試料溶液を導入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出し得る、ことをその特徴とする。
【0007】
前者の酵素反応熱検出システムによれば、注入器から第1の容器内の酵素溶液に試料溶液を注入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出することができ、また、後者の酵素反応熱検出システムによれば、第1の容器及び第2の容器から反応槽内に酵素溶液及び試料溶液を導入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出することができる。何れのシステムも、抵抗素子として微少な温度変化に対して応答性が良く且つ大きな抵抗値変化が得られるものを用いることにより、エンタルピー(熱含量)の非常に小さな酵素反応熱及びその微少温度変化を高精度に検出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化が得られる抵抗素子を用いて酵素反応の微少温度変化を的確に検出できる酵素反応熱検出システムを提供できる。
【0009】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は抵抗素子の一製造方法を示すもので、以下、同図を参照してその製造方法を説明する。
【0011】
まず、図1(a)〜(c)に示すように、真空蒸着装置中でアルミナ基板1上にZn薄膜2とMn薄膜3とFe薄膜4とを順に重ねて成膜して多層薄膜を形成する。各薄膜2,3,4の大きさは同一であり、厚みは薄膜相互の金属成分比及び焼成段階での蒸発等を考慮して決定する。
【0012】
次に、図1(d)に示すように、アルミナ基板1上に形成された多層薄膜を空気等の酸化性雰囲気中で焼成する。図2に示すように、この焼成工程は昇温,温度保持,降温の3ステップで実施し、温度保持ステップは1000℃で3時間とし、降温勾配は昇温勾配よりも小さくした。ちなみに、焼成温度として1000℃を選択した理由は、Zn,Mn,Feのうち沸点が最も小さなZn(沸点907℃)の蒸発を防ぎながら多層薄膜をゆっくりと焼成するためである。
【0013】
Zn薄膜2とMn薄膜3とFe薄膜4とから成る多層薄膜は温度保持ステップにおける長時間高温保持により酸化されて、隣接する薄膜相互で金属が個溶し、この結果、図1(e)に示すような半導体化された金属複合膜(抵抗膜)5が形成される。この抵抗膜5の厚みは1〜2μmで、その金属成分の重量比はZn:Mn:Fe=50〜65:30〜45:5〜10で好ましくは59:35:6である。
【0014】
次に、図1(f)に示すように、上記同様の真空蒸着装置中でアルミナ基板1上に電極用の一対のAg薄膜6を抵抗膜5の端部と重なるように形成する。以上で図1(g)に示すような抵抗素子、即ち、電極6付きの抵抗膜5がアルミナ基板1上に形成された抵抗素子を得ることができる。
【0015】
図3には上記抵抗膜5の抵抗値・温度特性を、湿度条件別(湿度50%R.H.と湿度70%R.H.)に示してある。同図から分かるように、湿度70%R.H.のときの抵抗値は湿度50%R.H.のときに比べて全体的に低くなる傾向があるが、何れの場合もほぼ一定の負の温度係数を有しており、微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化を得ることができる。図示を省略したが、Zn含有の上記抵抗膜5は安定した抵抗率(Ω・cm)を有している。
【0016】
上述の製造方法によれば、Zn薄膜2とMn薄膜3とFe薄膜4とから成る多層薄膜を酸化性雰囲気中で高温焼成することにより、これを酸化し半導体化させて所期の抵抗膜5を得ているので、金属粉末を含有する導体ペーストを基板上に塗布しこれを焼成して抵抗膜を得る従来法に比べて、抵抗膜5の厚みを格段薄くできると共に、導体ペーストを調製したりペースト塗布厚を管理する面倒を排除して製造手順を簡略化できる。
【0017】
また、金属薄膜の1つとしてZn薄膜2を用いることにより、焼成後の抵抗膜5の温度依存性をより顕著なものとし、常温付近での抵抗値が数10MΩと比較的低く且つ微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化が得られる抵抗素子を得ることができる。
【0018】
図4は抵抗素子の他の製造方法を示すもので、以下、同図を参照してその製造方法を説明する。
【0019】
まず、図4(a)〜(c)に示すように、真空蒸着装置中でアルミナ基板11上にNi薄膜12とMn薄膜13とFe薄膜14とを順に重ねて成膜して多層薄膜を形成する。各薄膜12,13,14の大きさは同一であり、厚みは薄膜相互の金属成分比及び焼成段階での蒸発等を考慮して決定する。
【0020】
次に、図4(d)に示すように、アルミナ基板11上に形成された多層薄膜を空気等の酸化性雰囲気中で焼成する。この焼成工程は図2に示したものと同様に昇温,温度保持,降温の3ステップで実施し、温度保持ステップは1000℃で30〜300分とし、降温勾配は昇温勾配よりも小さくした。図5及び図6に示すように、温度保持時間を30分とすると抵抗率が最も小さな抵抗膜を得ることができる。
【0021】
Ni薄膜12とMn薄膜13とFe薄膜14とから成る多層薄膜は温度保持ステップにおける長時間高温保持により酸化されて、隣接する薄膜相互で金属が個溶し、この結果、図4(e)に示すような半導体化された金属複合膜(抵抗膜)15が形成される。この抵抗膜15の厚みは0.6〜1.5μmで、その金属成分の重量比は全体と6とし、各成分が1〜4の値をとるとした場合においてNi:Mn:Fe=2以上:4以下:2以下である。
【0022】
次に、図4(f)に示すように、上記同様の真空蒸着装置中でアルミナ基板11上に電極用の一対のAg薄膜16を抵抗膜15の端部と重なるように形成する。以上で図1(g)に示すような抵抗素子、即ち、電極16付きの抵抗膜15がアルミナ基板11上に形成された抵抗素子を得ることができる。
【0023】
図5には金属成分の重量比をNi:Mn:Fe=3:1:2とした上記抵抗膜15の湿度50%R.H.における抵抗値・温度特性を、焼成温度保持時間別(30分と120分と300分)に示してある。また、図6には金属成分の重量比をNi:Mn:Fe=3:2:1とした上記抵抗膜15の湿度50%R.H.における抵抗値・温度特性を、焼成温度保持時間別(30分と120分と300分)に示してある。同図から分かるように、焼成温度保持時間が短くなるに従って抵抗値が全体的に低くなる傾向があるが、何れの場合もほぼ一定の負の温度係数を有しており、微少な温度変化に対して大きな抵抗値変化を得ることができる。図示を省略したが、Ni含有の上記抵抗膜15は安定した抵抗率(Ω・cm)を有しており、該抵抗率の値はZn含有の抵抗膜に比べて1桁以上低い。
【0024】
上述の製造方法によれば、Ni薄膜12とMn薄膜13とFe薄膜14とから成る多層薄膜を酸化性雰囲気中で高温焼成することにより、これを酸化し半導体化させて所期の抵抗膜15を得ているので、金属粉末を含有する導体ペーストを基板上に塗布しこれを焼成して抵抗膜を得る従来法に比べて、抵抗膜15の厚みを格段薄くできると共に、導体ペーストを調製したりペースト塗布厚を管理する面倒を排除して製造手順を簡略化できる。
【0025】
また、金属薄膜の1つとしてNi薄膜12を用いることにより、焼成後の抵抗膜15の温度依存性をより顕著なものとし、常温付近での抵抗値が数十MΩと比較的低く且つ微少な温度変化に対して応答性が良く且つ大きな抵抗値変化が得られる抵抗素子を得ることができる。
【0026】
尚、図1及び図4に示した製造方法では、何れも多層薄膜を焼成した後に電極を形成するようにしたものを例示したが、図7に示すような手順にて電極を形成するようにしてもよい。つまり、同図(a)に示すように、アルミナ基板21上に金属薄膜22,23,24から成る多層薄膜を形成した後に、同図(b)に示すように、Ag粉末を含有した導体ペースト25を多層薄膜の端部と重なるように塗布しこれを130℃で10分間乾燥させてから、同図(c)に示すように、アルミナ基板21上の多層薄膜及び導体ペーストを空気等の酸化性雰囲気中で先の製造方法と同様に焼成するようにしてもよい。導体ペースト25は温度保持ステップにおける長時間高温保持により焼結して電極27となる。また、各金属薄膜22とMn薄膜23とFe薄膜24とから成る多層薄膜は温度保持ステップにおける長時間高温保持により酸化されて、隣接する薄膜相互で金属が個溶し、この結果、半導体化された金属複合膜(抵抗膜)26が形成される。
【0027】
また、図1及び図4に示した製造方法では、多層膜の焼成温度を1000℃としたが、1000℃以上の温度で焼成しても所期の抵抗膜を得ることは可能である。勿論、先に述べたように、抵抗率を低く抑えるためには1000℃付近で温度保持し焼成することが好ましい。
【0028】
さらに、図1,図4及び図7に示した製造方法では、3層構造の多層薄膜を形成したものを例示したが、2層または4層以上の多層薄膜を形成してこれを焼成するようにしてもよく、薄膜として形成する金属の種類は遷移金属から任意に選択できる。
【0029】
図8は上述の抵抗素子を用いた酵素反応熱検出システムの一構成例を示すものである。
【0030】
同図において、51は図1(g)や図4(g)や図7(d)に示した抵抗素子で、防水のためにその表面をエポキシ系等の樹脂でコーティングしてある。52は抵抗素子51及び酵素溶液F1を収容した第1容器、53は純水F2を収容した第2容器、54は試料溶液F3を収容しこれを第1容器52内に滴下可能な注入器、55は第2容器53内の純水F2を加熱するヒータ、56は抵抗素子51の抵抗値変化を電気信号(電圧)に変換・増幅し出力可能なブリッジ回路等の検出器である。ちなみに、検出器56からの検出信号は記録計等に出力され、経時的な温度変化が記録される。
【0031】
第2容器53内の純水F2の温度はヒータ55のオンオフ制御によって35℃に保たれ、これにより第1容器52内の酵素溶液F1の温度も同温度(酵素の活性温度)に保たれている。また、試料溶液F3は生体物質や化学物質等を水等の溶媒に混入したもので、ここでは酵素溶液F1と試料溶液(例えば尿素溶液)F3の濃度をそれぞれ10mg/ml,50mg/mlとした。
【0032】
注入器54から試料溶液F3を第1容器52内の酵素溶液F1に注入すると、酵素反応により温度変化が生じ、この温度変化は抵抗素子51の抵抗値の変化となって現れる。この抵抗素子51の抵抗値変化は検出器56から電気信号(電圧)として出力されるので、この出力電圧を利用すればエンタルピー(熱含量)の非常に小さな酵素反応熱を高精度で検出することができる。
【0033】
図9は酵素溶液F1に試料溶液F3(尿素溶液)を注入したときの出力電圧と時間との関係を示してある。ちなみに、試料溶液F3の注入量は0.01mlで注入ポイントは170秒である。同図から分かるように、酵素溶液F1に試料溶液F3を注入したとき出力電圧に著しい変化が現れるので、この出力電圧を利用すればエンタルピー(熱含量)の非常に小さな酵素反応熱を高精度で検出することができる。
【0034】
図10は上述の抵抗素子を用いた酵素反応熱検出システムの他の構成例を示すものである。
【0035】
同図において、61は図1(g)や図4(g)や図7(d)に示した抵抗素子で、防水のためにその表面をエポキシ系等の樹脂でコーティングしてある。62は抵抗素子61を収容した反応槽、63は反応槽62に一端を接続された熱交換器、64は酵素溶液F11を収容し反応槽62と熱交換器63との間に接続された第1容器、65は試料溶液F12を収容し熱交換器63の他端に接続された第2容器、66は反応槽62に接続された排水管、67は前記反応槽62及び熱交換器63を収容した恒温槽、68は抵抗素子61の抵抗値変化を電気信号(電圧)に変換・増幅し出力可能なブリッジ回路等の検出器である。ちなみに、検出器68からの検出信号は記録計等に出力され、経時的な温度変化が記録される。
【0036】
恒温槽67内の温度は例えばPID制御等によって一定の35℃に保たれ、これにより反応槽62及び熱交換器63の温度も同温度(酵素の活性温度)に保たれている。また、試料溶液F12は生体物質や化学物質等を水等の溶媒に混入したもので、ここでは酵素溶液F11と試料溶液F12の濃度をそれぞれ10mg/ml,50mg/mlとした。
【0037】
第1容器64下側のバルブと第2容器65下側のバルブを開けると、第1容器64内の酵素溶液F11と第2容器65内の試料溶液F12とが下方に流れ、反応槽62の手前で合流した後に該反応槽62内に導入される。第1容器64と第2容器65の配管が恒温槽67内にあり、しかも第2容器65と反応槽62との間には温度安定化を図るための熱交換器63を介装してあるので、反応槽62内には安定した温度の酵素溶液F11と試料溶液F12を導くことができる。また、酵素溶液F11と試料溶液F12の流量及び混合比率はバルブ開度の他、配管の管径によっても適宜調整することができる。
【0038】
合流後の酵素溶液F11と試料溶液F12が反応槽62内に導入されると、該反応槽62内では酵素反応により温度変化が生じ、この温度変化は抵抗素子61の抵抗値の変化となって現れる。反応後の酵素溶液F11と試料溶液F12は排水管66から排出される。
【0039】
この抵抗素子61の抵抗値変化は検出器68から電気信号(電圧)として出力されるので、この出力電圧を利用すればエンタルピー(熱含量)の非常に小さな酵素反応熱を高精度で検出することができる。また、恒温槽67内に反応槽62を設けて、該反応槽62内に酵素溶液F11と試料溶液F12を導くようにしているので、反応槽62の温度設定や温度保持がコントロールし易い。さらに、反応槽62内に導入される酵素溶液F11と試料溶液F12の定量化を図れるので、安定した条件下で所期の熱検出を行うことができる。
【0040】
尚、図10に示した酵素反応熱検出システムでは、バルブ開度や配管径によって各溶液の流量を調整するのを例示したが、図10に破線で示すように排水管66にマイクロポンプ等の排水手段69を設ければ、該排水手段69により各溶液の流量をより安定させて熱検出精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】抵抗素子の一製造方法を示す図である。
【図2】焼成工程における温度と時間との関係を示す図である。
【図3】図1に示した抵抗素子の抵抗値・温度特性を示す図である。
【図4】抵抗素子の他の製造方法を示す図である。
【図5】図4に示した抵抗素子の抵抗値・温度特性を示す図である。
【図6】図4に示した抵抗素子の抵抗値・温度特性を示す図である。
【図7】抵抗素子の製造方法の変形例を示す図である。
【図8】熱検出システムの一構成例を示す図である。
【図9】図8に示した熱検出システムの出力電圧と温度との関係を示す図である。
【図10】熱検出システムの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…基板、2…Zn薄膜、3…Mn薄膜、4…Fe薄膜、5…抵抗膜、6…電極、11…基板、12…Ni薄膜、13…Mn薄膜、14…Fe薄膜、15…抵抗膜、16…電極、21…基板、22,23,24…金属薄膜、25…導体ペースト、26…抵抗膜、27…電極、51…抵抗素子、52…第1容器、53…第2容器、54…注入器、55…ヒータ、56…検出器、F1…酵素溶液、F3…試料溶液、61…抵抗素子、62…反応槽、63…熱交換器、64…第1容器、65…第2容器、66…排水管、67…恒温槽、68…検出器、69…マイクロポンプ、F11…酵素溶液、F12…試料溶液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遷移金属から選択された少なくとも2種の金属薄膜を基板上に順に重ねて成膜して多層薄膜を形成し該多層薄膜を酸化性雰囲気中で且つ選択金属に応じた温度にて焼成して金属複合膜を形成することにより製造された抵抗素子と、
該抵抗素子と酵素溶液を収容した容器と、
容器内の酵素溶液を所定温度に保持する温度保持手段と、
化学物質や生体物質等を含む試料溶液を容器内に注入する注入器と、
抵抗素子の抵抗値変化を電気信号に変換する検出手段とを備え、
注入器から第1の容器内の酵素溶液に試料溶液を注入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出し得る、
ことを特徴とする抵抗素子を用いた酵素反応熱検出システム。
【請求項2】
遷移金属から選択された少なくとも2種の金属薄膜を基板上に順に重ねて成膜して多層薄膜を形成し該多層薄膜を酸化性雰囲気中で且つ選択金属に応じた温度にて焼成して金属複合膜を形成することにより製造された抵抗素子と、
該抵抗素子を収容した排水管付きの反応槽と、
反応槽を収容し所定温度で保持される恒温槽と、
酵素溶液を収容した第1の容器と、
化学物質や生体物質等を含む試料溶液を収容した第2の容器と、
第1の容器内の酵素溶液と第2の容器内の試料溶液を所定比率で反応槽内に導入する溶液導入手段とを備え、
第1の容器及び第2の容器から反応槽内に酵素溶液及び試料溶液を導入したときの酵素反応熱を抵抗素子の抵抗値変化によって検出し得る、
ことを特徴とする抵抗素子を用いた酵素反応熱検出システム。
【請求項3】
抵抗素子を製造する際の選択金属に応じた温度は、選択金属のうち最も低い沸点に近い温度である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の酵素反応熱検出システム。
【請求項4】
抵抗素子を製造する際の金属薄膜の少なくとも1つがZn薄膜である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の酵素反応熱検出システム。
【請求項5】
抵抗素子を製造する際の多層薄膜がZn薄膜とMn薄膜とFe薄膜とから成る、
ことを特徴とする請求項4に記載の酵素反応熱検出システム。
【請求項6】
抵抗素子を製造する際の金属薄膜の少なくとも1つがNi薄膜である、
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の酵素反応熱検出システム。
【請求項7】
抵抗素子を製造する際の多層薄膜がNi薄膜とMn薄膜とFe薄膜とから成る、
ことを特徴とする請求項6記載の酵素反応熱検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−292774(P2007−292774A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128078(P2007−128078)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【分割の表示】特願平9−156585の分割
【原出願日】平成9年6月13日(1997.6.13)
【出願人】(591086201)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】