説明

重力補償装置

重力補償装置は、基本質量(10)によって回転軸線(13)から第1の距離を置いたところで平衡装置(12)に及ぼされた力を、回転軸線から第2の距離を置いたところで平衡装置に反力を及ぼす力発生装置、例えばばね(14)によって、部分的に又は全体的に補償する。第1の距離、第2の距離又はこれら両方は、所望の重力補償具合を提供するよう選択可能である。角度可変半径を有する1つ又は2つ以上の滑車を使用するのがよい。重力補償装置は、基本質量にそれほど質量を追加することはなく、設計が単純である。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本発明は、重力補償装置に関する。
【0002】
種々の装置において、質量を共通の重力場で運動させる場合、質量に作用する重力を補償するのが有利である。この重力を打ち消す方向に働く力により重力を少なくとも部分的に補償することにより、質量を運動させる比較的小さな力を利用することが可能になり、しかも重力の補償が存在しない状況と比較した場合、エネルギーの節約が得られる場合がある。さらに、質量の運動の安全性を重力補償により高めることができ、即ち、少なくとも部分的に重力補償された質量に作用する外力が無くなることによっては、質量の望ましくないほど高い加速度が生じることはなく、かといって加速度が全くゼロになるというわけではない。
【0003】
先行技術において、重力補償の第1のタイプとしては、質量釣合いシステムがある。本質的には、かかるシステムでは、重力が補償される基本質量は、釣合いシステムの釣合い質量に連結される。釣合いシステムは、例えば、ワイヤ、ケーブル、チェーン、ベルト等を備えた滑車(場合によっては多数の滑車)、又は回動可能な若しくは動くことができるアーム、或いは複数個の相互に連結されたアーム要素等を有する場合がある。質量釣合いシステムの一例は、従来型のエレベータに見ることができ、この場合、エレベータの箱は、エレベータ箱の基本(平均)質量を補償するためにケーブルによって滑車機構体を介して釣合い質量に連結されている。
【0004】
質量釣合いシステムの第1の欠点は、移動されるべき質量が増大することにあり、即ち、基本質量を運動させる場合、重力が補償されるべき基本質量だけでなく、釣合いシステムの釣合い質量及び追加の質量を加速したり減速しなければならず、これにはエネルギー量の増大が必要である。
【0005】
質量釣合いシステムの第2の欠点は、システムの機械的複雑さが増し、その結果、とりわけ、システムの動的な機械的挙動の低下が生じることにある。一例として、大きな質量を高性能アクチュエータ、例えばサーボ機構を用いて高い精度で短時間で動かそうとする場合、アクチュエータ用の制御システムは、寄生振動数及び劣悪な整定挙動に直面する場合があり、従って、必要な動的性能を発揮することができないようになる。
【0006】
先行技術において、重力補償の第2のタイプとしては、ばね釣合いシステムがある。基本的に、基本質量に作用する重力は、釣合いシステムのばね力により反作用を受ける。釣合いシステムは、例えば、ワイヤ、ケーブル、チェーン、ベルト等を備えた滑車(場合によっては多数の滑車)、又は回動可能な若しくは動くことができるアーム、或いは複数個の相互に連結されたアーム要素等を有する場合がある。
【0007】
ばね釣合いシステムの第1の欠点は、重力の補償が基本質量の或る1つの位置(平衡位置)でしか完全ではないということにある。というのは、生じたばね力は、ばねの有効長さ及び(又は)捩れに従って変化するからであり、この場合、ばねの有効長さ又は捩れとばねにより生じた力の関係は、線形又は非線形の場合がある。かくして、基本質量を移動させるアクチュエータは、平衡位置以外の位置であればどのような位置であっても追加の負又は正の力を生じさせなければならないであろう。一般に、ばね釣合いシステムは、質量を移動させ、質量を或る特定の位置に保つには一方向における追加の力が常に必要であるように付勢されることになる。追加の力を発生させるには、一般に、たとえ基本質量が静止状態にあっても、アクチュエータの電力消費量が増大することになる。
【0008】
ばね釣合いシステムの第2の欠点は、アクチュエータの故障の場合に深刻な危害が発生することであり、この場合、基本質量がばねによって飛び出す場合がある。
【0009】
本発明の目的は、設計が簡単であり、しかも、重力補償機能が極めて効果的であり、この場合重力補償システム全体にそれほど質量を追加しない重力補償装置を提供することにある。
【0010】
本発明によれば、少なくともこの目的は、基本質量に作用する重力の少なくとも一部を補償する重力補償装置であって、釣合いシステムを有し、釣合いシステムは、回転軸線と、回転軸線回りに回転可能であり、回転軸線から第1の所定の距離を置いたところで基本質量に連結され、回転軸線に対して第1の回転方向に第1のモーメントを発生させるよう構成された釣合い装置と、回転軸線から第2の所定の距離を置いたところで釣合い装置に連結され、回転軸線に対し第1の方向とは逆の第2の回転方向に第2のモーメントを発生させるよう構成された第1の末端部を備える力発生装置とを有し、力発生装置は、基準位置に連結されるよう構成された第2の末端部を備え、釣合い装置の種々の角度位置に関し、第1の所定の距離及び第2の所定の距離は、第1のモーメント及び第2のモーメントが所定の関係を有するよう選択されていることを特徴とする重力補償装置によって達成される。
【0011】
本発明の装置では、第1の所定の距離及び第2の所定の距離は原理的には、基本質量及び力発生装置によりそれぞれ及ぼされる力の作用線(場合によっては、想像上の作用線)と回転軸線との間の最短距離である。第1の所定の距離及び第2の所定の距離は、釣合い装置の角度位置の関数として、基本質量が動作範囲又は動作距離にわたり力発生装置により完全平衡状態に保たれ、重力以外の力が存在しない場合には運動せず、力発生装置により生じた力が働くように選択されるのがよい。当然のことながら、基本質量に作用する重力を完全には補償しないようにすることも可能であり、その結果、基本質量は、重力及び力発生装置により生じる力以外の力が存在していない場合、制御された仕方で所定の位置まで運動するようになる。
【0012】
基本質量を鉛直線に沿って又は任意他の非水平方向に、即ち、鉛直線に対して0°〜90°の角度をなして運動させることができる。基本質量を非鉛直線に沿って運動させる場合、少なくとも1つのガイド、例えば案内レールを用いるのがよい。
【0013】
力発生装置は、種々の仕方で具体化できる。力発生装置は、受動式であってもよく、能動式であってもよい。一般に、質量が小さく力が大きい装置が好ましい。力発生装置は、その作動中に変化する距離及び(又は)向き及び(又は)その第1の末端部と第2の末端部との間の回転角度を有するのがよい。力発生装置は、その作動中、一定の力又は漸変力をもたらすことができる。
【0014】
好ましい実施形態では、力発生装置は、ばねであり、特に、線形特性ばね又は渦巻ばね、例えば、可撓性且つ弾性材料で例えば巻き形態で作られたばねである。渦巻ばねの場合、渦巻ばねにより生じる第2のモーメントは、第2の距離のところで及ぼされた力により生じるものと考えることができる。ばねは又、ガススプリング、例えば、ガス、例えば不活性ガス、空気等の密閉容積を有するピストン−シリンダユニットであってもよい。力発生装置は又、アクチュエータ、例えば、電気アクチュエータ、圧電アクチュエータ、磁気アクチュエータ、磁気抵抗アクチュエータ、電磁アクチュエータ、電気機械アクチュエータ、空気圧アクチュエータ又は油圧アクチュエータ、或いは、かかる原理の任意の組合せを利用し、場合によっては、釣合い装置の角度位置、基本質量の位置及び(又は)力発生装置の第1の末端部の位置に基づいて生じる制御信号によって制御されるアクチュエータであってもよい。
【0015】
力発生装置の第2の末端部に連結される基準位置は、例えば、釣合い装置の回転軸線も又位置するフレームに固定されるのがよい。しかしながら、基準位置は又、受動的か能動的かのいずれかにより且つ(或いは)制御された仕方で、例えば、力発生装置に対して直角に動くことができてもよい。
【0016】
本発明の重力補償装置の一特徴では、第1の所定の距離は、釣合い装置の種々の角度位置に関し一定に保たれ、第2の所定の距離は、力発生装置により生じる力が釣合い装置の回転により増大すると、減少し、これに対し、第2の所定の距離は、力発生装置により生じる力が釣合い装置の逆回転により減少すると、増加する。この実施形態の利点は、第1の回転方向における釣合い装置の回転軸線に対する第1のモーメントを一定に保つことができ、基本質量の経路をこれが基本質量をガイドに沿って案内しないで鉛直線に沿って延びるように作ることができるということにある。
【0017】
本発明の重力補償装置の別の特徴では、第2の所定の距離は、釣合い装置の種々の角度位置に関し一定に保たれ、第1の所定の距離は、力発生装置により生じる力が釣合い装置の回転により増大すると、増加し、これに対し、第1の所定の距離は、力発生装置により生じる力が釣合い装置の逆回転により減少すると、減少する。この実施形態の利点は、力発生装置の第1の末端部及び第2の末端部を力発生装置の動作範囲全体にわたって同一線上に位置させることができるということにある。
【0018】
本発明の重力補償装置の好ましい実施形態では、釣合い装置は、少なくとも部分的に角度可変半径を備えた滑車を有する。この形態の幾つかの利点としては、設計が単純であること、特に滑車が低密度材料、例えば合成材料で作られている場合、そのコストが安く且つその質量が小さいことが挙げられる。力発生装置の性状及び設計に応じて、滑車の半径は、滑車のあらゆる向きに関し、基本質量の所定の重力補償、例えば完全重力補償が得られるように設定されるのがよい。より詳細に説明すると、釣合い装置は好ましくは、本質的に円形の第1の滑車と、少なくとも部分的に角度可変半径を備えた第2の滑車とを有する。第1の滑車は、標準サイズのホイールであるのがよく、この滑車は、第2の滑車に固定され、両方の滑車は、同一の回転軸線を有する。
【0019】
本発明の重力補償装置の好ましい実施形態では、基本質量と釣合い装置の連結と力発生装置の第1の末端部と釣合い装置の連結のいずれも、フレキシブルワイヤによって行われる。かかる実施形態の利点は、ワイヤのコストが安いこと及びワイヤの質量が小さいことであり、この場合、重力補償装置には事実上余分の質量が追加されず、しかも、簡単で信頼性の高い連結手段が得られる。「ワイヤ」という用語は、ロープ、ケーブル、スネア、紐、ベルト、チェーン等のような類似した連結手段を含むことは明らかであろう。
【0020】
上述のことを念頭に置いて、本発明の重力補償装置の好ましい実施形態では、釣合い装置は、角度可変半径を備えた滑車を有し、基本質量と釣合い装置の連結及び力発生装置の第1の末端部と釣合い装置の連結は、フレキシブルワイヤによって行われ、ワイヤは、滑車の外周部に沿って案内される。本発明の重力補償装置の別の好ましい実施形態では、釣合い装置は、本質的に円形の第1の滑車と、角度可変半径を備えた第2の滑車とを有し、基本質量と釣合い装置の連結は、第1のフレキシブルワイヤにより行われ、力発生装置の第1の末端部と釣合い装置の連結は、第2のフレキシブルワイヤによって行われ、第1のワイヤ及び第2のワイヤのうち一方は、第1の滑車及び第2の滑車のうちの一方の外周部に沿って案内され、第1のワイヤ及び第2のワイヤのうちの他方は、第1の滑車及び第2の滑車のうちの他方の外周部に沿って案内される。
【0021】
ワイヤは1つ又は複数個の滑車の外周部に対して摺動自在であるのがよいが(1つ又は複数個の滑車を基本質量の位置に応じて場合によっては制御された仕方で回転させる場合)、ワイヤは、釣合い装置にその周囲の近くの箇所で固定されることを特徴とする本発明の重力補償装置の実施形態が好ましい。後者の場合、ワイヤは本質的に、1つ又は複数個の滑車の回転中、かかる滑車の外周部に対して摺動しない。
【0022】
本発明の重力補償装置は、上述したように1つ又は複数個の滑車を有するのがよいが、釣合い装置に働く第1のモーメント及び第2のモーメントを発生させることができる1つ又は2つ以上の釣合いアーム又は他の手段を更に有してもよい。種々の手段、例えば、滑車に固定された釣合いアームを互いに組み合わせて用いてもよい。好ましい実施形態では、釣合い装置は、第1の連結箇所のところで基本質量に連結された第1のアーム及び第1のアームに固定され且つ第2の連結箇所のところで力発生装置の第1の末端部に連結された第2のアームを有し、第1の連結箇所及び第2の連結箇所は、第1のアーム及び第2のアームに沿ってそれぞれ選択可能である。特に、少なくとも1つの連結箇所は、その関連のアームに沿って動くことができ、より具体的には摺動できるのがよい。
【0023】
本発明の重力補償装置を種々の用途に用いることができ、かかる用途としては、電子部品用のピックアップ又は取扱い、或いは移送又は配置装置、結合装置、ウェーハテーブル取扱い装置及び種々の他の用途が挙げられる。
【0024】
本発明の保護範囲及び利点は、添付の図面と関連して例示の非限定的な実施形態についての以下の詳細な説明を参照してよく理解されるようになるにつれ、一層よく理解されよう。
【0025】
別々の図において、同一の参照符号は、同一又は類似のコンポーネント又は同一又は類似の機能を備えたコンポーネントを示している。
【0026】
図1a及び図1bは、質量10を示し、矢印11で示された方向に重力がこの質量に作用している。釣合い装置12は、軸線13回りに回転可能である。線形特性ばね14は、基準位置16、例えば質量10を相対運動させるべきフレームに連結された末端部15を有している。軸線13の位置は、基準位置16に対して固定されているのがよい。ばね14の反対側の末端部17は、ワイヤ18又は他のフレキシブル又は可撓性連結要素、例えばロープ、ケーブル、スネア、紐、ベルト、チェーン等により釣合い装置12に連結されているが、恣意的な形状の不撓性物体である任意の不撓性連結要素によってこの連結を行ってもよい。簡潔にするために、本明細書における「ワイヤ」という用語は、適宜フレキシブル又は可撓性であるのがよく(引張力のみを伝達する)又は適宜不撓性であってもよく(引張力と押圧力のいずれも伝達する)あらゆる種類の連結要素を意味するために用いられている。質量10を釣合い装置12に連結するのに類似のワイヤ19が用いられている。
【0027】
釣合い装置12は、平らな滑車(プーリ)状の要素であるのがよい。この釣合い装置の周囲は、周囲に沿って変化する半径(軸線13に対して見た場合)を有する。破線で画定されたIで示されている領域内では、半径は、一定の所定の値を有する。破線で画定されたIIで示されている領域内では、半径は、反時計回りの方向で見て、所定の割合で減少している。釣合い装置12は、その周囲に沿って設けられていて、ワイヤ18,19を受け入れる溝を備えている。ワイヤ18は、ワイヤ19と同一であってもよく、かくして、釣合い装置12の溝を介してばね14の末端部17と質量10を互いに連結する一体形のワイヤが形成されている。釣合い装置12の溝内で釣合い装置12に接触するワイヤ18,19の部分が溝に対して動かないようにするための措置が施されている。一例として、ワイヤ18,19は、溝に沿って設けられた対応の凹部18a,19aに嵌まる厚くなった端停止部を備えるのがよい。別の例として、ワイヤ18,19をクランプ又はねじ止めにより釣合い装置12に固定してもよい。別の例として、ワイヤと溝の組合せは、溝に対するワイヤ18,19又は一体形ワイヤの摺動を回避するのに十分な摩擦が生じるように設計されたものであってもよい。
【0028】
好ましくは、釣合い装置12及びワイヤ18,19の質量は、できるだけ小さいのがよい。この目的で、ワイヤを低密度高強度材料、例えばアラミド材料で作るのがよい。また、ワイヤは、金属ケーブルであってもよい。釣合い装置12を金属又は合成材料で作るのがよい。一段と軽量化するために、釣合い装置12は、釣合い装置12の外周部分と釣合い装置12の軸線13の近くに位置する内側ハブ部分を互いに連結するスポーク(図示せず)を備える(場合によってはこれと一体である)のがよい。
【0029】
図1bでは、質量10は、詳細には図示していないアクチュエータにより図1aに示す位置から図1bに示す位置に動かされている。したがって、釣合い装置12は、90°の角度反時計回りに回転しており、ばね14の末端部15,17相互間の距離は減少している。釣合い装置12の回転の際、ばね14によりワイヤ18を介して釣合い装置12に及ぼされた力の作用点と軸線13との間の距離は、釣合い装置12の半径が領域Iでは一定なので同一のままであった。しかしながら、ばね14により釣合い装置12に及ぼされる力は、釣合い装置12の回転中、減少した。
【0030】
釣合い装置12の反時計回りの回転の際、質量10によりワイヤ19を介して釣合い装置12に及ぼされた重力の作用点と軸線13との間の距離は、釣合い装置12の半径が領域IIでは減少しているので減少した。しかしながら、質量10により釣合い装置12に及ぼされる力は、釣合い装置12の回転中、一定のままであった。
【0031】
その結果、図1aに示す状況と図1bに示す状況を比較した場合、図1aから図1bに向かって、ばね14により反時計回りの方向に釣合い装置12に及ぼされるモーメントは、減少する。それと同時に、質量10により時計回りの方向に釣合い装置12に及ぼされるモーメントも又減少する。領域IIにおける釣合い装置12の外周部の形状の適当な設計により、図1aの位置から図1bの位置までの範囲における質量10の任意の位置において、質量10は、部分的に又は全体的に重力補償可能である。
【0032】
図1cは、図1aに示す構成において質量10の位置とばね14の位置を交換できることを示している。釣合い装置12を図1cに示す位置から90°反時計回りの方向に回転させると、質量10により反時計回りの方向に釣合い装置12に及ぼされるモーメントは、同一のままであり、ばね14により時計回りの方向に釣合い装置12に及ぼされるモーメントも又、同一のままである。というのは、ばね力が増大し、釣合い装置12の半径がそれに応じて減少するようになっているからである。図1aの形態と図1cの形態の選択を、例えば、質量10がワイヤ19から自由に吊り下げられている場合に質量10の所望の運動経路を考慮しながら行うことができ、即ち、図1a及び図1bによれば、この運動経路は、鉛直線に沿って延び、図1cによれば、この運動経路は、鉛直線を辿ることになる。しかしながら、質量10は、この運動経路が図1a、図1b、図1cのうちのいずれにおいても、垂直成分を有する限り、任意の真っ直ぐな経路又は湾曲した経路に沿って運動するようになっていることは明らかであろう。
【0033】
質量10を或る1つの位置から別のこれよりも低い又は高い位置に移動させるアクチュエータ(詳細には示されていない)は、任意構造のものであってよく、図1a〜図1cの実施形態では、質量10、釣合い装置12、軸線13、ばね14、ワイヤ18又はワイヤ19に係合するのがよい。アクチュエータは、任意形式のアクチュエータであってよく、例えば、電磁式、圧電式、油圧式、空気圧式又は機械式のアクチュエータであってよい。
【0034】
さらに、図1a、図1b及び図1cを参照すると、注目されることとして、ワイヤ18,19が全く同一のワイヤの一部である場合、たった1つの停止部が1つの凹部18a,19aに嵌まることが必要なだけであり、停止部は、ワイヤに固定される。また、停止部を全く省き、ワイヤを釣合い装置12の周囲に沿って摺動可能にすることが可能である。この場合、釣合い装置12の角度位置を、例えば質量10の位置又はばね14の末端部17の位置によって制御されるアクチュエータによって設定するのがよい。その目的は、ワイヤの運動と釣合い装置12の運動を同期させることにある。
【0035】
図2a及び図2bは、図1a及び図1bと類似した形態を示しており、この差は、図1a及び図1bの釣合い装置12に代えて互いに隣接して位置していて、互いに連結され、共通の軸線13を備えた別々の釣合い装置部分12a,12bを用いていることにある。釣合い装置部分12aは、円形であり、凹部18aを備えた周方向溝を有している。釣合い装置部分12bは、本質的に半月形であり、その湾曲部分に沿って設けられた周方向溝を有している。ワイヤ18,19は、それぞれの釣合い装置部分12a,12bのそれぞれの凹部18a,19aに受け入れられる厚くなった端部を有している。
【0036】
釣合い装置部分12a,12bが互いに連結されているので、図2a及び図2bに示す重力補償装置の実施形態は、図1a及び図1bの重力補償装置と実質的に同一に機能する。図1cの場合と同様、図2cは、質量10の位置とばね14の位置が図2aと比較した場合に交換されているオプションとしての形態を示している。
【0037】
図3は、螺旋の形をしたばね30(一点鎖線で示されている)の一方の末端部31が釣合い装置32に連結され、別の末端部33が基準位置34に連結されている重力補償装置を示している。釣合い装置32は、軸線35回りに回転可能である。ワイヤ38が、質量10を釣合い装置32に連結している。釣合い装置32は、周囲を有し、この周囲は、周囲に沿って変化する(軸線35に対して見て)半径を備えている。破線で画定されると共にIで示された領域では、半径は、時計回りの方向に見て、所定の割合で減少している。釣合い装置32は、その周囲に沿って設けられていて、ワイヤ36を受け入れる溝を備えている。ワイヤ36は、溝に沿って設けられた対応の凹部37に嵌まる厚くなった端部を備えている。
【0038】
質量10を図3に示す位置から下降させると、質量10が釣合い装置32に及ぼすモーメントは、ワイヤ36が釣合い装置32に係合する箇所のところでは半径が増大しているので、増大する。それと同時に、ばね30により逆方向に釣合い装置32に及ぼされるモーメントは、増大することになる。釣合い装置32の曲率について適当な設計が施された状態では、ばね力は増大するが、質量10に作用する重力はかくして、ばね力により部分的に又は全体的に補償された状態のままであり得ることは明らかであろう。
【0039】
質量10を図3に示す位置から上昇させると、質量10が釣合い装置32に及ぼすモーメントは、ワイヤ36が釣合い装置32に係合する箇所のところでは半径が減少しているので、減少する。それと同時に、ばね30により逆方向に釣合い装置32に及ぼされるモーメントは、減少することになる。かくして、かかる運動の場合においても、質量10の重力補償を保持できる。
【0040】
図4は、釣合いアーム41と、釣合いアーム41に連結された釣合い装置部分42とを有する釣合い装置40を示しており、釣合いアーム41と釣合い装置部分42の両方は、回転軸線43に対して回動できる。釣合い装置部分42の周囲は、軸線43に対して見て、破線で画定されると共にIで示された領域内では所定の割合で時計回りの方向に減少する半径を有している。釣合い装置は、その周囲に沿って設けられていて、ばね45を釣合い装置部分42に連結するワイヤ44を受け入れる溝を備えている。ワイヤ44は、溝に沿って設けられた対応の凹部に嵌まる厚くなった端部46を備えている。質量10が、ワイヤ47によって釣合いアーム41に連結されている。
【0041】
質量10を図4に示す位置から下降させると、質量10が釣合い装置40に及ぼすモーメントは、回転軸線43に対する質量10により釣合いアーム41に及ぼされる力の作用線の距離が減少するので、減少する。それと同時に、ばね45によりワイヤ44を介して逆方向に釣合い装置40に及ぼされる力は、増大することになる。
【0042】
質量10を図4に示す位置から上昇させると、質量10が釣合い装置40に及ぼすモーメントは、回転軸線43に対する質量10により釣合いアーム41に及ぼされる力の作用線の距離が減少するので、この場合も又減少する。それと同時に、ばね45によりワイヤ44を介して逆方向に釣合い装置40に及ぼされる力は、増大することになる。
【0043】
釣合い装置42の曲率について適当な設計が施された状態では、質量10に作用する重力はかくして、ばね45により生じる力によって部分的に又は全体的に補償された状態のままであり得ることは明らかであろう。
【0044】
図5は、第1の釣合いアーム51と、第1の釣合いアーム51に連結された第2の釣合いアーム52とを有する釣合い装置50を示しており、第1の釣合いアームと第2の釣合いアームは両方とも、回転軸線53に対して回動できる。第1の釣合いアーム51は、ワイヤ55を介してばね54に連結されている。質量10が、ワイヤ57を介して連結箇所56のところで第2の釣合いアーム52に連結されている。連結箇所56は、両方向を指し示す矢印により指示された互いに逆の方向のいずれにも第2の釣合いアーム52に沿って摺動できる。連結箇所56は、第2の釣合いアーム52が反時計回りの方向に回動すると、連結箇所56が回転軸線53から遠ざかり、かくして、質量10により反時計回りの方向に釣合い装置50に及ぼされるモーメントを増大させるようにガイド58,59相互間で案内される。それと同時に、第1の釣合いアーム51も又、反時計回りの方向に回動し、ばね54により第1の釣合いアーム51に及ぼされる力を増大させ、かくしてばね54により時計回りの方向に釣合い装置50に及ぼされるモーメントを増大させる。
【0045】
他方、第2の釣合いアーム52が時計回りの方向に回動すると、連結箇所56は、回転軸線53に近づき、かくして、質量10により反時計回りの方向に釣合い装置50に及ぼされるモーメントを減少させる。それと同時に、第1の釣合いアーム51も又、時計回りの方向に回動し、ばね54により第1の釣合いアーム51に及ぼされる力を減少させ、かくしてばね54により時計回りの方向に釣合い装置50に及ぼされるモーメントを減少させる。
【0046】
ガイド58,59(の曲率)について適当な設計が施された状態では、質量10に作用する重力はかくして、ばね45により生じる力によって部分的に又は全体的に補償された状態のままであり得ることは明らかであろう。
【0047】
図6は、回転可能な移送組立体82に取り付けられた4つの移送ヘッド90a,90b,90c,90dを有するチップ移送装置80を示している。回転可能な移送組立体82は、第1のモータ(図6には示さず)によって駆動されて軸線10a回りに回転するようになっている。隣り合う移送ヘッド90a〜90d相互間の角度は、90°である。ウェーハ94の一部であるチップ92の表面を、ウェーハ94(より正確に言えば、チップ92が非永続的にくっつけられているそのキャリヤフィルム)を以下に説明するように、両方向を指し示す矢印96,98の方向のうちいずれか一方に移動させることによりチップピックアップ位置で移送ヘッド90a〜90dと対向して位置決めするのがよい。リードフレームストリング又は他のリードフレーム組立体102の一部であるリードフレーム100のボンド面を、リードフレーム組立体102をそれ自体公知であり、詳細には示されていない位置決め手段によって両方向を指し示す矢印104の方向のうちいずれか一方に移動させることにより、チップボンディング位置で移送ヘッド90a〜90dと対向して位置決めするのがよい。
【0048】
回転組立体82は、軸線10a回りに90°の割出しステップで、時計回り(例えば、移送ヘッド90aが、移送ヘッド90bが図6に示されている位置まで動く方向)か、反時計回り(例えば、移送ヘッド90dが、移送ヘッド90cが図6に示されている位置まで動く方向)かのいずれかに割出されるようになっている。時計回りの割出し方向では、移送ヘッド90aによって図6に示すその位置においてウェーハ94からピックアップされたチップ92を、移送ヘッド90aが図6に移送ヘッド90bについて示された位置にあるとき、1回の割出しステップ後にリードフレーム100にボンディングする。反時計回りの割出し方向では、移送ヘッド90aによって図6に示すその位置においてウェーハ94からピックアップされたチップ92を、移送ヘッド90aが図6に移送ヘッド90bについて示された位置にあるとき、3回の割出しステップ後にリードフレーム100にボンディングする。割出し方向のいずれが選択されても、連続する全ての割出しステップが、チップ92をウェーハ94からリードフレーム組立体102に移送する際に有用である場合がある。時計回りの割出し方向と反時計回りの割出し方向の差は、反時計回りの割出し方向では、移送ヘッド90c,90dの位置にある移送ヘッドがチップ92を支持し、これに対し、時計回りの割出し方向では、かかる移送ヘッドが、支持しないということにある。かくして、反時計回りの割出し方向では、例えば、移送ヘッドに対するチップ92の位置の点検又は先にキャリヤフィルムに向いているチップ92の面の構造の点検、或いはチップ92の任意他の処理ステップを、図6の移送ヘッド90c,90dについて示した位置のうちのいずれでも実施することができる。
【0049】
各移送ヘッド90a〜90dは、本質的に回転組立体82から見て回転軸線10aに垂直に半径方向に延びるアーム60a〜60dをそれぞれ有している。アーム60a〜60dは、これらの重量を減少させるために穴を備えている。アーム60a〜60dの各々の自由端部の近くには、1対の平行な板ばね62の端部が、固定的に取り付けられており、1対の板ばね62の反対側の端部は、それぞれブロック64a〜64dを支持している。各ブロック64a〜64d内には、ピックアップ開口部67a〜67dをそれぞれ備えたコレット66a〜66dが、それぞれ固定的に設けられている。各コレット66a〜66dは、本質的に軸線10aに対し直角をなした半径方向で短い距離にわたり前後に動くことができる。各移送ヘッド90a〜90dは、本質的に回転組立体82から見て軸線10aに対し直角に半径方向に延びるアーム68a〜68dをそれぞれ更に有している。押しばね70a〜70dが、アーム68a〜68dの端部とそれぞれのブロック64a〜64dとの間に設けられている。
【0050】
ブロック64aは、ワイヤ72によりブロック64cに連結され、ブロック64bは、ワイヤ74によりブロック64dに連結されている。ワイヤ72は、その中央部分が、レバー76に固定的に連結され、例えばクランプされており、このレバーは、軸受によって支持された結合部品に固定的に連結されている。結合部品は、モータ79により駆動される回転可能なシャフトに固定的に連結されている。ワイヤ74は、その中央部分が、軸受により支持された結合部品に固定的に連結されたレバーに固定的に連結され、例えばクランプされている。結合部品は、第1のモータの内部の中空スペース内に収容された第2のモータにより駆動される回転可能なシャフトに固定的に連結されている。第1のモータ及び第2のモータにそれぞれ連結されたレバー76及び他のレバーを、互いに別個独立に且つ第1のモータとは独立して軸線10a回りに駆動するのがよい。ワイヤ72,74は、それぞれ、ばね70a,70c及びばね70b,70dによってあらかじめ張力が加えられている。この予備張力は、少なくとも、図6の移送ヘッド90bの位置にある移送ヘッドのコレットによってリードフレーム100上のチップ92に加えられるべきボンディング力よりも高い値に維持されるべきである。
【0051】
モータ31による回転組立体82の回転中、レバー76及び他のレバーは、これらのそれぞれのモータによって同一の回転速度で駆動されてブロック64a〜64dを軸線10に対して所定の半径方向位置に保つ。速度及び角度位置の制御のため、それぞれのモータは、それ自体周知であり、図面には示されていない適当なインクリメンタル(歩進型)測定システムを備える。2つの互いに反対側に位置するブロック64a,64c及びブロック64b,64dがワイヤ72,74によってそれぞれ互いに連結されているので、回転組立体82の回転中における遠心力が補償され、かかる遠心力をモータによって生じさせる必要はない。ブロック64a〜64dを第1のモータのシャフトと他のモータのシャフトのうちの任意のものとの間の角度位置に差を生じさせることにより、半径方向内方又は半径方向外方に変位させるのがよい。ばね70a〜70dのばね定数を低いものに選択することによって、ブロック64a〜64dのうちの任意のものの変位中、予備張力を比較的一定に保つことができ、この予備張力は、モータによって生じさせられることになっている。ブロック64a〜64dを移動させる駆動装置を回転組立体82それ自体に取り付ける必要はなく、その結果、移送装置80の静止環境から回転組立体82への動力供給は不要であり、それにより構造体が簡単且つ軽量に維持される。
【0052】
ウェーハ94は、ウェーハ固定装置110に固定され、このウェーハ固定装置は、テーブル111に対して両方向を指し示す矢印96の方向でこのテーブル上に設置された案内レール112に沿って動くよう構成されているのがよい。テーブル111は、フレーム113に対して両方向を指し示す矢印98の方向にこのフレーム上に設置された案内レール114に沿って動くように構成されたものであるのがよい。両方向を指し示す矢印96の方向におけるウェーハ固定装置110の運動は、テーブル111に連結されたステータ115及びウェーハ固定装置110に連結されたロータ116を有する線形モータによって制御される。両方向を指し示す矢印98の方向におけるテーブル111の運動は、類似の構成(詳細には示さず)によって制御される。
【0053】
釣合い装置117が、フレーム113に取り付けられており、この釣合い装置は、回転軸線118を有している。釣合い装置117は、角度を変化させる半径を備えた滑車の形態をしている釣合い装置部分117aと、釣合い装置部分117aの後に配置されている一定半径を備えた滑車の形態をした釣合い装置部分117b(図示せず)とから成る。釣合い装置部分117aは、ワイヤ19によりテーブル111とフレーム113との間の位置(図示せず)でテーブル111に連結されている。釣合い装置部分117bは、ワイヤ18によりばね14の第1の末端部に連結されている。ばね14の第2の末端部は、テーブル111の後の位置(図示せず)でフレーム113に連結されている。釣合い装置117及びばね14により行われる重力補償については、図2a及び図2bを参照して上述しており、基準位置16(図2a及び図2b)は、フレーム113(図6)上に位置し、質量10(図2a及び図2b)は、テーブル111と、ウェーハ固定装置110と、ウェーハ94(図6)から成っている。
【0054】
一例を挙げて説明すると、本発明の重力補償装置における滑車の漸変半径を求める計算方法について図7に示すモデルを参照して説明する。
【0055】
図7では、ばね定数kのばね120が回転軸線123回りに回転可能な一定半径R2を備えた第1の滑車122に連結されているものとする。漸変半径r(υ)を備えた第2の滑車124が、質量mを支持している。第2の滑車124は、第1の滑車122に固定されている。初期平衡状況では、ばね120は、長さu0まで引き伸ばされている。この状況では、第2の滑車124は、半径r(υ0)を有している。以下の条件式(1)が満たされる。
【0056】
〔数1〕
R2・k・u0=m・g・r(υ0) (1)
上式において、gは、重力定数を表している。
【0057】
第1の滑車122及び第2の滑車124の任意他の角度位置に関し、以下の方程式(2)が有効である。
【0058】
〔数2〕
m・g・r(υ)=R2・k・(u0+dx) (2)
上式において、dxは、微小変位を表している。
【0059】
その理由は、次の通りである。
〔数3〕
dx=R2・dυ (3)
及び
〔数4〕
r(υ)=r(υ0)+∂r/∂υ・dυ=r(υ0)+r’(υ)・dυ (4)
方程式(1)〜(4)から次式が導かれる。
〔数5〕
r’(υ)=(k・R2)/(m・g)
上式により、第2の滑車124の線形に変化する半径r(υ)が次のように求められる。 〔数6〕
r(υ)=r(υ0)+υ・(k・R2)/(m・g) (5)
【0060】
当然のことながら、非線形ばね定数kを有するばねを用いる場合、半径r(υ)も又、非線形である。一般に、関係式r(υ)は、問題の力発生装置の特性で決まる。
【0061】
本発明の上述の例示の実施形態では、力発生装置は、ばねの形態で示されている。他の種類の受動式又は能動式力発生装置、例えば、エアスプリング又は任意形式のアクチュエータも又、使用できる。
【0062】
上述したように、本発明は、簡単であり、費用が安く、質量が小さく、信頼性の高い重力補償装置を提供する。
【0063】
本発明をその好ましい実施形態について図示すると共に説明したが、本発明の範囲に属するかかる実施形態の変形例を想到でき、本発明は、本明細書において開示した細部には限定されないことは理解されるべきである。さらに、上述の説明及び添付の特許請求の範囲に関する原文又は翻訳文記載において、“comprising”(翻訳文では、「〜を有する」としている場合がある)は、他の要素又はステップを排除しないものと理解されるべきであり、“a ”又は“an”は、複数を排除しないものと理解されるべきである。さらに、請求項に記載された参照符号は、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1a】本発明の重力補償装置の実施形態を概略的に示す図である。
【図1b】図1aの装置を別の動作位置で示す図である。
【図1c】図1aの装置の変形実施形態を示す図である。
【図2a】本発明の重力補償装置の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図2b】図2aの装置を別の動作位置で示す図である。
【図2c】図2aの装置の変形実施形態を示す図である。
【図3】本発明の重力補償装置の更に別の実施形態を概略的に示す図である。
【図4】本発明の重力補償装置の更に別の実施形態を概略的に示す図である。
【図5】本発明の重力補償装置の別の実施形態を概略的に示す図である。
【図6】チップ移送装置と関連して用いられる重力補償装置の斜視図である。
【図7】本発明の重力補償装置における滑車の漸変半径の計算方法を説明するために用いられる略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本質量(10)に作用する重力の少なくとも一部を補償する重力補償装置であって、釣合いシステムを有し、前記釣合いシステムは、
−回転軸線(13)と、
−前記回転軸線(13)回りに回転可能であり、前記回転軸線から第1の所定の距離を置いたところで前記基本質量(10)に連結され、前記回転軸線に対して第1の回転方向に第1のモーメントを発生させるよう構成された釣合い装置と、
−前記回転軸線から第2の所定の距離を置いたところで前記釣合い装置に連結され、前記回転軸線に対し前記第1の方向とは逆の第2の回転方向に第2のモーメントを発生させるよう構成された第1の末端部(17)を備える力発生装置(14)とを有し、前記力発生装置は、基準位置(16)に連結されるよう構成された第2の末端部(15)を備え、
前記釣合い装置の種々の角度位置に関し、前記第1の所定の距離及び前記第2の所定の距離は、前記第1のモーメント及び前記第2のモーメントが所定の関係を有するよう選択されている、重力補償装置。
【請求項2】
前記第1の所定の距離は、前記釣合い装置(12)の種々の角度位置に関し一定に保たれ、前記第2の所定の距離は、前記力発生装置(14)により生じる力が前記釣合い装置の回転により増大すると、減少し、これに対し、前記第2の所定の距離は、前記力発生装置により生じる前記力が前記釣合い装置の逆回転により減少すると、増加する、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項3】
前記第2の所定の距離は、前記釣合い装置(12)の種々の角度位置に関し一定に保たれ、前記第1の所定の距離は、前記力発生装置(14)により生じる力が前記釣合い装置の回転により増大すると、増加し、これに対し、前記第1の所定の距離は、前記力発生装置により生じる前記力が前記釣合い装置の逆回転により減少すると、減少する、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項4】
前記釣合い装置は、少なくとも部分的に角度可変半径を備えた滑車(12;12b;32;42)を有する、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項5】
前記釣合い装置は、本質的に円形の第1の滑車(12a)と、少なくとも部分的に角度可変半径を備えた第2の滑車(12b)とを有する、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項6】
前記基本質量(10)と前記釣合い装置(12)の連結は、フレキシブルワイヤ(19)により行われる、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項7】
前記力発生装置(14)の前記第1の末端部(17)と前記釣合い装置(12)の連結は、フレキシブルワイヤ(18)によって行われる、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項8】
前記釣合い装置(12)は、角度可変半径を備えた滑車を有し、前記基本質量(10)と前記釣合い装置の連結及び前記力発生装置(14)の前記第1の末端部(17)と前記釣合い装置の連結は、フレキシブルワイヤ(18,19)によって行われ、前記ワイヤは、前記滑車の外周部に沿って案内される、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項9】
前記釣合い装置は、本質的に円形の第1の滑車(12a)と、角度可変半径を備えた第2の滑車(12b)とを有し、前記基本質量(10)と前記釣合い装置の連結は、第1のフレキシブルワイヤ(19)により行われ、前記力発生装置(14)の前記第1の末端部(17)と前記釣合い装置の連結は、第2のフレキシブルワイヤ(18)によって行われ、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤのうち一方は、前記第1の滑車及び前記第2の滑車のうちの一方の外周部に沿って案内され、前記第1のワイヤ及び前記第2のワイヤのうちの他方は、前記第1の滑車及び前記第2の滑車のうちの他方の外周部に沿って案内される、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項10】
前記ワイヤは、前記釣合い装置に、前記釣合い装置の周囲の近くの箇所(18a,19a)で固定されている、請求項8又は9記載の重力補償装置。
【請求項11】
前記釣合い装置は、第1の連結箇所(56)のところで前記基本質量(10)に連結された第1のアーム(52)を有し、前記第1の連結箇所は、前記第1のアームに沿って選択可能である、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項12】
前記釣合い装置は、第2の連結箇所のところで前記力発生装置(54)の前記第1の末端部に連結された第2のアーム(51)を有し、前記第2の連結箇所は、前記第2のアームに沿って選択可能である、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項13】
前記釣合い装置は、第1の連結箇所(56)のところで前記基本質量(10)に連結された第1のアーム(52)及び前記第1のアームに固定され且つ第2の連結箇所のところで前記力発生装置(54)の前記第1の末端部に連結された第2のアーム(51)を有し、前記第1の連結箇所及び前記第2の連結箇所は、前記第1のアーム及び前記第2のアームに沿ってそれぞれ選択可能である、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項14】
前記力発生装置は、線形特性ばね(14)である、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項15】
前記力発生装置は、渦巻ばね(30)である、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項16】
前記力発生装置は、ガススプリングである、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項17】
前記力発生装置は、アクチュエータである、請求項1記載の重力補償装置。
【請求項18】
請求項1〜17のうちいずれか一に記載の前記重力補償装置を有する、チップ移送装置。
【請求項19】
素子をウェーハからキャリヤに移送するステップを有する電子デバイスの製造方法であって、請求項18記載の前記チップ移送装置を用いる、方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−501595(P2008−501595A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514258(P2007−514258)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051666
【国際公開番号】WO2005/116487
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】