説明

金属板の再生方法、再生装置及び再生ブレード

【課題】 金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードからゴム状弾性体を、金属板の損傷と変形を軽微に剥離し金属板の再生方法、金属板の再生装置及び再生した金属板を使用する再生ブレードを提供することである。
【解決手段】 金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離する金属板の再生方法であって、該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を金属板の両表面から選択的に高周波誘導加熱することで該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を剥離することを特徴とする金属板の再生方法、金属板の再生装置及び再生した金属板を再利用する再生ブレード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離する金属板の再生方法、再生装置及び再生した金属板を再利用する再生ブレードに関し、詳しくは電子写真装置の画像形成部に使用するクリーニングブレードや現像ブレード等のブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離する、金属板の再生方法、金属板の再生装置及び再生した金属板を再利用する再生ブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、廃棄物の削減の要求が高まっており、金属とゴム又は樹脂等からなる複合体においても、個別部品に剥離又は分解し、耐久性のある部品は廃棄せず再利用する試みがなされている。
【0003】
プリンターや複写機等に使用される電子写真画像形成装置においては、感光ドラムに残留するトナーを除去するクリーニングブレード、現像ローラ外周に摩擦によりトナーに電荷を与え均一の厚みで付着させる現像ブレード等、金属板とゴム状弾性体からなるブレードが使用されている。クリーニングブレードのゴム状弾性体は感光ドラムに、現像ブレードのゴム状弾性体は現像ローラに、各々当接した状態でローラが回転する。このためブレードのゴム状弾性体は摺擦摩耗を生じ、摩耗が甚だしい場合、電子写真装置の画像形成がうまくいかず画像不良が発生し各ブレードの耐久寿命となる。
【0004】
一般に、感光ドラム、トナー、各種ローラ及びこれらブレード等からなる電子写真装置の画像形成プロセス用部品を一体的にカートリッジ化した製品は、搭載するトナーの消費量、感光ドラム、各種ローラ及び前述のブレードの耐久寿命から、印字枚数は数千〜数万枚であるが、印字枚数使用後のブレードの金属板には損傷は発生せず、再生・再利用の要望が強まっていた。
【0005】
従来の金属と樹脂の分離装置には、高周波誘導加熱装置を使用して、磁性体である芯金を加熱し、芯金と樹脂を固定している接着剤を溶融し樹脂が芯金から剥れ易い状態にした上で、剥離刃で樹脂を芯金から分離回収する装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
以下、従来の芯金と樹脂の分離装置について説明する。芯金付樹脂は、搬入用ピンチローラで高周波誘導装置に搬入加熱され、芯金と樹脂を固定している接着剤を溶解させ、搬出用ピンチローラで搬出され、その後金属と樹脂の境界を剥離刃でかき取る様に樹脂を金属から剥がし、金属はピンチローラで排出され、またかき取られた樹脂は排出ローラで排出されるようになっている。
【特許文献1】特開平2−202406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上述べた従来の金属と樹脂の分離装置では、芯金付樹脂全体が高周波誘導コイル内を通過するため芯金全体が加熱され、例えば、芯金が表面処理鋼板の場合、芯金と樹脂の接着部はもちろん接着部以外の表面処理膜が破損するおそれがあった。
【0008】
また、芯金が板形状の場合、誘導コイルが板形状の表裏から各々等距離に無いため、金属板の表裏の加熱が均一にならず、板厚方向に曲がりや反りが発生する課題があり、特に高精度の真直性が要求される電子写真装置の画像形成部に使用されるブレードの金属板の再生には適応できるものではなかった。
【0009】
本発明の目的は、このような従来の方法及び装置が有していた課題を解決することであり、金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードからゴム状弾性体を、金属板の損傷と変形を軽微に剥離し金属板を回収又は再利用する再生方法、金属板を回収又は再利用する再生装置及び再生した金属板を使用する再生ブレードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本出願に係る
第1の課題解決手段は、金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離する金属板の再生方法であって、該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を金属板の両表面から選択的に高周波誘導加熱することで該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を剥離することを特徴とする金属板の再生方法である。
【0011】
上述方法により、金属板とゴム状弾性体との接合部位(以下「接合部位」と略称する。)を高周波誘導加熱により選択的に加熱可能なため、金属板の接合部位を剥離に必要な温度に昇温し、また金属板の接合部位以外の部分は直接高周波誘導加熱されず接合部位からの熱伝導による昇温ですむため剥離に必要な温度以下に抑えることが可能で、金属板の接合部位以外の昇温を金属板の全体を加熱する場合と比較し低温に抑えることが可能となる。
【0012】
また、金属板の厚み方向の両表面から高周波誘導加熱時に金属板の厚み方向の両表面に作用する高周波磁束密度による渦電流に差が生じず、その結果、該渦電流により発熱する金属板の両表面に温度差が生じない。このため、金属板の両表面に生ずる熱膨張の差による反りが生じない。
【0013】
第2の課題解決手段は、ブレードの金属板とゴム状弾性体との接合部位近傍の金属板の非加熱部をブレード固定手段で厚み方向に押圧挟持する金属板の再生方法である。
【0014】
上述方法は、高周波誘導加熱により接合部位に発生した熱を金属板の接合部位近傍の接合部位以外をブレード固定手段で挟持することでブレード固定手段が吸熱する。このため金属板の非加熱部への伝導熱量を低減でき、また接合部位の過昇温の防止と昇温後短時間に金属板を冷却することも可能である。
【0015】
更に、ブレード固定手段が、金属板の加熱部近傍を厚み方向に押圧挟持するため、金属板の厚み方向の反り又は曲がりを防止することが可能である。
【0016】
第3の課題解決手段は、少なくとも、高周波加熱手段の誘導コイルをブレードの金属板とゴム状弾性体との接合部位に沿って金属板の両表面から各々一定間隔に対向配置し、該金属板を加熱する高周波誘導加熱手段と、該ブレードの金属板と該ゴム状弾性体との接合部位近傍の金属板の非加熱部を厚み方向に押圧挟持することで該金属板表面と該誘導コイルとの距離を位置決めするブレード固定手段と、を具備し、該高周波加熱手段が金属板の加熱部の温度を制御する温度制御手段を有し、かつ該ブレード固定手段が金属板を挟持する挟持部材の温度を設定温度に保持する温度制御手段を有することを特徴とする金属板の再生装置である。
【0017】
上記構成は、上記第1及び第2の課題解決手段による作用を奏する製造装置であり、高周波加熱手段の高周波出力を誘導コイルに給電し、接合部位を高周波加熱する。この際、該誘導コイルは、ブレード固定手段で位置決めされた金属板の接合部位に沿って金属板の両表面から一定間隔に配置される。金属板の加熱部の温度制御手段は、接合部位の温度を金属板とゴム状弾性体の剥離に最適な昇温カーブで最適な温度まで昇温させる。
【0018】
ブレード固定手段の挟持部材は、金属板の接合部位近傍の非加熱部を押圧挟持するため、接合部位で発生した熱を吸収し非加熱部の過昇温を防止する。また、挟持部材は設定温度を保持する温度制御手段を有するため、金属板の挟持部はもちろん接合部位の温度制御性が向上し、また長時間の安定稼動が可能となった。
【0019】
第4の課題解決手段は、上記第1〜第3の課題解決手段を用いて、再生した金属板の再利用に関し、再生した金属板の所定の位置にゴム状弾性体を再度形成したことを特徴とする再生ブレードである。
【0020】
上記構成は、損傷及び反りの軽微な再生金属板を使用する再生ブレードが可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡便な方法でブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離し金属板を再利用可能に再生できる。再生される金属板は、表面の損傷の少ない金属板が再生され、特に接合部位以外の部分の損傷が極めて軽微に再生でき、金属板が表面にメッキ又は塗装等で被覆した表面処理鋼板の表面の損傷を軽微な状態で再生できる。
【0022】
また、高周波加熱時、金属板の両表面からの均質加熱と反り防止手段が相乗し、反りの軽微な金属板が再生でき、かつ、簡便で安価な装置で金属板の再生ができる。更に、ブレードの金属板を廃棄することなく、新しい金属板を使用するブレードと遜色のない再生ブレードとして再利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。
【0024】
図1は本発明の特徴を最もよく表す図であり、1はブレード、2は誘導コイルの部分断面図で、ブレード1の金属板1aとゴム状弾性体1bとの接合部位1cに沿って金属板の厚み方向の両表面から各々一定間隔に配置される。ここで、誘導コイル2は、通常金属板1bの輻射熱及び高周波電流による自身の発熱による熱変形を防止するため水冷又は空冷の流路を有し、冷却手段及び温度制御手段により一定温度に保たれる。また、誘導コイル2は、パイプ形状を図示したが、いわゆるパイプ材を巻回したコイル形状でも可能である。
【0025】
3はブレード固定手段であり、ブレード1の接合部近傍の非加熱部分をブレード固定手段の挟持部材をエアーシリンダーとスライドガイド等の押圧手段(不図示)等で押圧把持し、厚み方向に配置された対の誘導コイルの中心に金属板を配置し、かつ、接合部位1cの接合幅に誘導コイル2の幅が合致するよう金属板を位置決めする。ここで、ブレード固定手段3の挟持部材は水冷又は空冷の流路を有し、冷却手段及び温度制御手段により一定温度に保たれる。
【0026】
図2は再生対象品のブレードで、金属板1aの端部にゴム状弾性体1bが接合部位1cを介して形成され、接合部位1cは金属板1aとゴム状弾性体1bを接合する接着剤(不図示)からなる。そして、再生されたブレードの金属板を図3に示した。
【0027】
また、再生対象品のブレードとしては、金属板1aとして、鋼板に亜鉛メッキ・亜鉛ニッケルメッキ等のメッキ処理、リン酸系皮膜、クロメート皮膜及び各種塗装等の方法で各種表面処理を施したもの、ステンレス、銅合金及びアルミニウム合金等の高周波誘導加熱可能な金属でよい。ゴム状弾性体としては、ポリウレタン、ブチル、フッ素、エピクロルヒドリン、シリコーンその他の各種熱硬化性ゴム、ウレタン、スチレン、オレフィン系等の熱可塑性エラストマー又はこれらの組合せでもよい。また接着剤は、ウレタンやシランカップリング剤等のプライマー類、ホットメルト系接着剤、熱硬化性接着剤、気乾性接着剤、嫌気性接着剤及び吸湿性接着剤等から選択されるが上記に限定されるものではない。
【0028】
以下、上記構成の作用を説明する。再生対象品のブレード1は、ゴム状弾性体1bが下向きに配置されブレード固定手段3で位置決め固定される。誘導コイル2に高周波電流を通電すると、高周波磁束が発生し、これにより金属板1aの表面に渦電流が発生し、これにより金属板1aの表面が発熱するが、この加熱による昇温は、誘導コイル2と金属板1aとの距離に反比例する。したがって、金属板1aの誘導コイル2との距離が近いの部分が最も発熱する、そこで接合部位1cを誘導コイルに最短距離に配置するため接合部位1cが選択的に加熱され、接合部位1cの金属板表面で接着剤又は接着材が無い場合ゴム状弾性体の接合部位が熱破壊され、ゴム状弾性体は金属板から剥離し、下方に自然落下又は剥離手段(不図示)にて剥がし落とされる。
【0029】
このため、金属板1a全体に高周波加熱を施す場合と比較して、本発明は接合部位1cのみ剥離温度迄昇温すれば足り、金属板の接合部以外は昇温が抑えられ、金属板表面は熱による損傷は軽微に抑えられる。またブレード固定3は、低温に保持されるため、接合部位1cも短時間で冷却されるため、金属板の接合部位1cの表面も熱による損傷が軽微に抑えられる。
【0030】
また、加熱時、誘導コイル2は金属板1の厚み方向に等距離に配置されるため誘導コイルに通電することで発生する渦電流は、金属板の厚み方向の表裏で差は無く均一に加熱され反りを低減できる。また誘導コイル2は、図1において金属板に平行に一対示したが、接合部位の幅に応じて複数対配置してもよい。
【0031】
金属板の加熱速度は、金属板の厚み、金属板の材質、誘導コイルに加える電力量等により影響を受けるが、一般に高周波加熱手段の周波数を上げる程より金属板表面で発熱が生じることは周知の通りであるが、金属板の厚みによるが周波数を上げ過ぎると加熱が表皮のみに集中しかえって昇温時間が遅くなる傾向がある。50〜1,000(kHz)程度が好適である。
【0032】
また、接合部位の金属表面の温度制御は、予め設定した経時による温度上昇カーブ(以下「昇温カーブ」という。)に従う制御構成とし、具体的には放射温度計等の温度検出手段で接合部位近傍の金属板の表面の温度を検出し、昇温カーブと検出温度の温度差に応じて誘導コイルに供給する電力を制御し、検出温度と昇温カーブの乖離を最少にするフィードバック制御又は金属板の材質、板厚等の外乱が少ない場合、誘導コイル2に供給する高周波電力を昇温カーブに倣う様に予め決定しておくプログラム制御も可能である。
【0033】
昇温カーブは、金属板の損傷を最少にするため、高温の剥離温度での剥離時間を最短にするため剥離温度より低温で加熱する予熱工程と実際に剥離を行う剥離工程の温度制御パターンを設定する。更に、剥離工程の後に冷却工程を設けゴム状弾性体が剥離した直後に金属板をエアージェット等の冷却手段で接合部位を冷却してもよい。
【0034】
更に、温度調節手段を有するブレード固定手段3は、金属板1aの加熱時からゴム状弾性体の剥離及び金属板の冷却まで金属板1aの加熱部位1c近傍の非加熱部を押圧挟持し伝導熱を吸収できるため、金属板1aの非加熱部への熱伝導を低減することで該非加熱部の表面の損傷を低減でき、また金属板1aの加熱部位1cで発生した温度も短時間に冷却できるため金属板の加熱部位1cの表面の損傷をも低減できる。同時にまたブレード固定手段3は、温度調節されるため長時間の安定稼動ができる。
【0035】
また、前述の再生金属板を用いて所定の位置にゴム状弾性体を成形した再生ブレードは、新品の金属板を使用したブレードと精度及び機能上の差異は認められなかった。
【0036】
以下に実施例を挙げて、本発明の実施例を詳述するが本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0037】
図1は、本発明の一実施例であるクリーニングブレードにおける金属板の再生方法を示す図で、クリーニングブレード1の金属板1aにゴム状弾性体1bの接合部位1cに沿って誘導コイル2が金属板1aの両表面から一定間隔の対向配置され、またブレード固定手段3で、接合部位1cの近傍の金属板1bの非加熱部を厚み方向に押圧挟持する構成とした。ここで、誘導コイルは銅製パイプをU字形状とし誘導コイル内部に水を循環させ熱変形を防止する。またブレード固定手段3は、水循環の孔を有し冷却水を循環させる構成とした。
【0038】
加熱温度制御は、金属板の温度を検出し昇温パターンとの乖離を最少になるよう誘導コイルに供給する電力を調整するフィードバック制御方式とし、具体的には、接合部位1c近傍の金属板表面に黒体塗料を塗布し測温部とし、非接触赤外放射温度IT2−02((株)キーエンス製:商品名)で測温部の温度を検出し、予めコントローラに設定した昇温パターンと比較し検出温度と設定温度との温度偏差を直流電圧に変換する。また3相交流電力を整流回路により全波整流し、前記温度偏差の直流電圧をゲート電圧とし、サイリスタ等でPWM制御(パルス幅変調)し、更にインバータにより高周波電力に変換し、誘導コイルに供給し、ゲート電圧に比例する高周波電力を誘導コイルに出力する構成とした。高周波電源T5300((株)高周波ネッスル製:商品名)は、周波数:300kHz、高周波最大出力:5Kwを使用した。
【0039】
昇温パターンとして、第1ステップは室温から230℃迄2秒間で昇温し金属板を予熱し、第2ステップは230℃で0.5秒間保持し接合部位の温度ムラを低減し、第3ステップは310℃迄2秒で昇温し剥離工程とした。
【0040】
クリーニングブレード1の金属板1aは鋼板に亜鉛メッキし、更に特殊皮膜を施したジンコート21(新日鐵製(株)製:商品名)を使用し、ゴム状弾性体1bはポリウレタンエラストマーでウレタン系プライマーを介して一体的に金属板1aと結合している。
【0041】
クリーニングブレードを上記装置にセットし、加熱を開始すると、昇温パターンに沿って昇温し第3ステップ開始後0.5秒から剥離が開始し第3ステップ終了直後間にゴム状弾性体が金属板から剥離し自重で落下し、その後急速に金属板の温度は降下した。
【0042】
再生された金属板は、図2の接合部位1c近傍の剥離前後でのソリの変化は、金属板の長さ220mmの範囲において最大12μmであった。金属板のソリの要求精度100μmから十分の精度を確保できた。また再生金属板に再度接着剤を塗布し、成形型でゴム状弾性体を成形した結果、金属板の反り起因によるゴム状弾性体の変形は無く。また、金属板の接合部位にのみ軽微なプライマーの変色は見られたが亜鉛メッキ及び特殊皮膜とも損傷は無く、金属板とゴム状弾性体の接着強度も再生の有無で差異は無かった。再生ブレードを電子写真式プリンタLBP1310(キヤノン(株)製:商品名)のトナーカートリッジEP−32(キヤノン(株)製:商品名)に組込み、図4のごとく、感光ドラムに残留するトナー(不図示)を、クリーニングブレード1のゴム状弾性体1bの稜線1dをE方向に回動する感光ドラム4に押圧させ、画出しテストを行った結果良好な印字が可能であった。
【0043】
また先の加熱制御は、赤外放射温度計によるフィードバック制御を使用したが、該フィードバック制御での電力出力パターンをコントローラで再現した場合もフィードバック制御と同等板金の反りであった。
【0044】
金属板の種類を、亜鉛メッキにクロメート処理を施したジンコート鋼板(新日鐵製(株)製:商品名)に変更した場合も前記ジンコート21と同様に金属板の損傷は無く、電子写真式プリンタLBP1310を使用しての画出しテストも良好であった。
【実施例2】
【0045】
図5において、5は電子写真の現像ブレードで、金属板5aにゴム状弾性体5bが接着剤を介して接着されている。金属板はジンコート21、ゴム状弾性体はポリウレタンシートを短冊状に切断した物、接着剤はポリウレタン−ポリエステルの2層ホットメルト接着剤である。
【0046】
実施例1と同様に図1に示される再生装置にセットし、昇温パターンとして、第1ステップは室温から150℃迄2秒間で昇温し金属板を予熱し、第2ステップは150℃で0.5秒間保持し接合部位の温度ムラを低減し、第3ステップは250℃迄2秒で昇温し剥離工程とした。第3ステップ開始後0.5秒から剥離が開始し第3ステップ終了直後間にゴム状弾性体が金属板から剥離し自重で落下したが、接着剤がホットメルトのため溶融したホットメルトが金属板に残留したため、金属板が冷める前に綿杉綾テープ(綿織物)で拭き取った。
【0047】
再生された金属板は、実施例1と比較して低温処理のためか、接合部位近傍の剥離前後での反りの変化は、金属板の長さ220mmの範囲において最大8μmであった。金属板の反りの許容精度120μmから十分の精度を確保できた。また再生金属板にゴム状弾性体をホットメルト接着剤で接着し、現像ブレードを再生した結果、金属板の反り起因によるゴム状弾性体の変形は無く。また、金属板の変色、亜鉛メッキ及び特殊皮膜とも損傷は無く、金属板とゴム状弾性体の接着強度も再生の有無で差異は無かった。再生ブレードを電子写真式プリンタLBP450(キヤノン(株)製:商品名)のトナーカートリッジEP−E(キヤノン(株)製:商品名)に組込み、図5のごとく、感光ドラム上にトナー(不図示)を、現像ブレード5のゴム状弾性体5bの腹部5cをF方向に回動するスリーブ6に押圧させスリーブ6上のトナーを均一厚に形成するもので、画出しテストを行った結果良好な印字が可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態を示す部分断面図である。
【図2】加工対象物であるブレード図である。
【図3】再生されたブレードの金属板の図である。
【図4】クリーニングブレードの使用形態図である。
【図5】現像ブレードの使用形態図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ブレード(クリーニングブレード)
1a 金属板
1b ゴム状弾性体
1c 接合部位
2 誘導コイル
3 ブレード固定手段
4 感光ドラム
5 現像ブレード
5a 金属板
5b ゴム状弾性体
5c 当接部
6 現像スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板の端部にゴム状弾性体を形成してなるブレードの金属板からゴム状弾性体を剥離する金属板の再生方法であって、該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を金属板の両表面から選択的に高周波誘導加熱することで該金属板と該ゴム状弾性体との接合部位を剥離することを特徴とする金属板の再生方法。
【請求項2】
前記ブレードの金属板と前記ゴム状弾性体との接合部位近傍の金属板の非加熱部をブレード固定手段で厚み方向に押圧挟持する請求項1に記載の金属板の再生方法。
【請求項3】
少なくとも、高周波加熱手段の誘導コイルをブレードの金属板とゴム状弾性体との接合部位に沿って金属板の両表面から各々一定間隔に対向配置し、該金属板を加熱する高周波誘導加熱手段と、
該ブレードの金属板と該ゴム状弾性体との接合部位近傍の金属板の非加熱部を厚み方向に押圧挟持することで該金属板表面と該誘導コイルとの距離を位置決めするブレード固定手段と、を具備し、
該高周波加熱手段が金属板の加熱部の温度を制御する温度制御手段を有し、かつ該ブレード固定手段が金属板を挟持する挟持部材の温度を設定温度に保持する温度制御手段を有することを特徴とする金属板の再生装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の金属板の再生方法及び請求項3の金属板の再生装置により、再生した金属板の所定の位置にゴム状弾性体を再度形成したことを特徴とする再生ブレード。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−208943(P2006−208943A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−23311(P2005−23311)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】