説明

開閉検出センサ及び開閉検出方法

【課題】開閉状態の検出を、より高度の安全性と低消費電力性とを併せ持って行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】検出光L1,L2の受光の有無に基づいてドアの開閉状態を判別する検出光検知回路部32と、正規の符号を含む通信光S1,S2を受信できたか否かを判別することによってドアの開閉状態を判別する通信光制御回路部34,応答通信光制御回路部46とを備えている。検出光検知回路部32は、比較的短インターバル期間毎(例えば1秒毎)に開閉状態を判別する動作を行う。通信光制御回路部34,応答通信光制御回路部46は、比較的長インターバル期間毎(例えば、30秒毎)に開閉状態を判別する動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、窓や扉等の開閉を検出するための開閉検出センサに関する。
【背景技術】
【0002】
防犯のため、窓ガラスや扉等に開閉検出センサが取付けられる。
【0003】
従来の開閉検出センサとしては、マグネットとその磁力によりオンオフするリードスイッチとを用いた非接触タイプや、窓や扉等に直接的に接触して開閉する機械的なスイッチを用いたタイプ等がある。
【0004】
しかしながら、これらの開閉検出センサでは、代りのマグネットを用いたり、機械的なスイッチ自体に加工を施す等で、容易に開閉検出不能な状態に細工されてしまう恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、より高度な安全性を得ることができる開閉検出センサとして、通信光等を利用し、電子回路を用いた所定の演算処理によって開閉判断を行うようにしたものが考えられる。
【0006】
しかしながら、上記電子回路を用いたセンサでは、定常的に所定の演算処理を行って開閉判断を行うため、消費電力が大きくなる傾向にある。例えば、電池等を電源として使用することは難しく、外部電源から交流100V等の電力供給を受けることが不可欠となる。
【0007】
そこで、本発明は、開閉状態の検出を、より高度の安全性と低消費電力性とを併せ持って行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る開閉検出センサは、開閉体及びその周辺部に取付けられ、前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出センサであって、検出光の受光の有無に基づいて前記開閉状態を判別する第1の開閉状態検出手段と、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別することによって前記開閉状態を判別する第2の開閉状態検出手段と、を備え、前記第1の開閉状態検出手段は、所定の第1インターバル期間毎に前記開閉状態を判別する動作を行い、前記第2の開閉状態検出手段は、前記第1インターバル期間よりも長い所定の第2インターバル期間毎に前記開閉状態を判別する動作を行うものである。
【0009】
また、この発明に係る他の開閉検出センサは、開閉体及びその周辺部に取付けられ、前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出センサであって、前記開閉体及びその周辺部のうちの一方に取付けられ、検出光を発する発光部と、この検出光に応じた戻り検出光を受光する受光部と、通信光を発する第1の光送信部と、この通信光に応じた応答通信光を受ける第1の光受信部とを備えた第1センサ装置と、前記開閉体及びその周辺部のうちの他方に取付けられ、前記検出光に応じて戻り検出光を返す検出光戻し手段と、前記通信光に応じて応答通信光を発信する通信光応答手段とを有する第2センサ装置と、を備え、前記第1センサ装置は、所定の第1インターバル期間毎に前記発光部を通じて検出光を発すると共に、前記第1インターバル期間よりも長時間である所定の第2インターバル期間毎に起動信号を出力する計時回路部と、前記受光部からの出力信号に基づいて、前記検出光に応じた前記戻り検出光が受光されたか否かを検出し、前記戻り検出光を受光できない場合に開状態検知信号を出力する戻り検出光検知回路部と、前記起動信号に応じて起動することにより、前記第1の光発信部を通じて所定の符号を含む通信光を発すると共に、前記第1の光受信部を通じて正規の応答符号を含む応答通信光を受信できたか否かを判別し、受信できないと判別された場合に開状態報知信号を出力する通信光制御回路部とをさらに備えたものである。
【0010】
この場合に、前記第2センサ装置の通信光応答手段は、前記第1の光発信部からの通信光を受信する第2の光受信部と、前記第1の光受信部に向けて応答通信光を発する第2の光送信部と、第2の光受信部を介して通信光が受信されると起動し、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別し、正規の符号を含む通信光を受信できたと判別された場合に、前記第2の光送信部を通じて所定の応答符号を含む応答通信光を送信する応答通信光制御回路部と、を備えたものであってもよい。
【0011】
また、前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうち少なくとも一方は、自己が前記開閉体或はその周辺部から取外されたことを検出する取外し検出手段を備えたものであってもよい。
【0012】
さらに、前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうちの少なくとも一方が、前記検出光検知回路部で戻り検出光を受光できないと判別された履歴情報、前記通信光制御回路部で正規の符号を含む応答通信光を受信できないと判別された履歴情報、前記第1センサ装置又は前記第2センサ装置が前記開閉体及びその周辺部から取外されたことを検出された履歴情報のうち少なくとも一つを記憶する記憶手段をさらに備える構成であってもよい。
【0013】
また、この発明の開閉検出方法は、前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出方法であって、前記開閉体の開閉状態に応じて受光状況が変動するように検出光が投光されると共に、前記開閉体の開閉状態に応じて受信状況が変動するように通信光が発信され、(a)前記検出光の受光状態に基づいて前記開閉状態を判別する工程と、(b)正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別する工程と、を備え、前記工程(a)は所定の第1インターバル期間毎に繰返し行われ、前記工程(b)は前記第1インターバル期間よりも長時間である所定の第2インターバル期間毎に繰返し行われるものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の開閉検出センサによると、第1の開閉状態検出手段は、比較的短い第1インターバル期間毎に、検出光の受光の有無に基づいた比較的簡易な方式で開閉状態の判別を行う。また、第2の開閉状態検出手段は、比較的長い第2インターバル期間毎に、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別することによって比較的確実な方式で開閉状態の判別を行う。
【0015】
このため、第1の開閉状態検出手段により高頻度で開閉状態の検出を行いつつ、第2の開閉状態検出手段により、不正な細工等に対処してより確実な開閉状態の検出を行うことができ、高度の安全性を確保できる。
【0016】
また、通常、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かの判別動作の消費電力は大きくなる傾向にあるところ、第2の開閉状態検出手段は、比較的長い第2インターバル期間毎に前記開閉状態を判別しているので、低消費電力化をも図ることもできる。
【0017】
また、この発明の他の開閉検出センサによると、比較的短い第1インターバル期間毎に、検出光を発すると共に、この検出光に応じた戻り検出光が受光されたか否かを検出することによって、開閉状態を判定できる。また、比較的長い第2のインターバル期間毎に、第1の光受信部を通じて正規の応答符号を含む応答通信光を受信できたか否かを判別することによって、開閉状態を判別することができる。
【0018】
このため、比較的高頻度で検出光を用いた開閉状態の検出を行いつつ、通信光を用いてより確実な開閉状態の検出を行うことができ、高度の安全性を確保できる。
【0019】
また、通常、正規の応答符号を含む応答通信光を受信できたか否かを判別する通信光制御回路部の消費電力は大きくなる傾向にあるところ、通信光制御回路部は、比較的長い第2インターバル期間毎に起動して前記開閉状態を判別するので低消費電力化をも図ることもできる。
【0020】
さらに、第2センサ装置の通信光応答手段は、前記第1の光発信部からの通信光を受信する第2の光受信部と、前記第1の光受信部に向けて応答通信光を発する第2の光送信部と、第2の光受信部を介して通信光が受信されると起動し、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別し、正規の符号を含む通信光を受信できたと判別された場合に、前記第2の光送信部を通じて所定の応答符号を含む応答通信光を送信する応答通信光制御回路部とを備えたものであると、応答通信光制御回路部についても、動作時間をなるべく少なくして低消費電力化を図ることができる。
【0021】
また、前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうち少なくとも一方は、前記開閉体或はその周辺部から取外されたことを検出する取外し検出手段を備えていると、各センサ装置の取外し事実をも検出して、不正な細工対策を図ることができる。
【0022】
また、前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうちの少なくとも一方が、前記検出光検知回路部で戻り検出光を受光できないと判別された履歴情報、前記通信光制御回路部で正規の符号を含む応答通信光を受信できないと判別された履歴情報、前記第1センサ装置又は前記第2センサ装置が前記開閉体及びその周辺部から取外されたことを検出された履歴情報のうち少なくとも一つを記憶する記憶手段をさらに備えるため、開閉状態や各センサ装置の取外し状態等を管理できる。
【0023】
また、この発明の開閉状態の検出方法によると、(a)前記検出光の受光状態に基づいて前記開閉状態を判別する工程と、(b)正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別する工程とを備え、前記工程(a)は所定の第1インターバル期間毎に繰返し行われ、前記工程(b)は前記第1インターバル期間よりも長時間である所定の第2インターバル期間毎に繰返し行われるため、高度の安全性を確保できる。工程(b)は、比較的長い第2インターバル期間毎に前記開閉状態を判別しているので、低消費電力化を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施形態に係る開閉検出センサ及び開閉検出方法について説明する。
【0025】
まず、開閉検出センサの使用形態について説明しておく。図1は開閉検出センサの使用例を示す図である。
【0026】
図1では、建築物の壁面10に、開き戸式のドア14が開閉自在に取付けられると共に、そのドア14の周縁部にドア枠11が配設されている。
【0027】
本開閉検出センサ20は、第1センサ装置22と第2センサ装置40との組合わせにより構成されている。第1センサ装置22は、ドア枠11に取付けられており、第2センサ装置40はドア14に取付けられている。そして、ドア14が閉められた状態では、第1センサ装置22と第2センサ装置40との間で後述する検出光L1,L2及び通信光S1,S2の送受がなされる。一方、ドア14が開けられた状態では、それら検出光L1,L2及び通信光S1,S2の送受がなされない状態となる。
【0028】
なお、本実施形態では、開閉体がドア14である例で説明するが、勿論、その他の開閉体、例えば、引戸式の開閉体にも適用できる。また、第1センサ装置22と第2センサ装置40の取付位置は逆であっても構わない。
【0029】
図2は、第1センサ装置と第2センサ装置との間で送受される検出光及び通信光の経路を示す説明図である。
【0030】
すなわち、第1センサ装置22は、発光部23,受光部24、第1の光送信部25及び第1の光受信部26とを備えており、これらは例えば第1センサ装置22のケース22a内に収納された基板22bに所定位置及び姿勢で実装固定されている。
【0031】
発光部23は、発光ダイオード等の発光素子により構成されており、後述する計時回路部30からの出力信号に応じて第2センサ装置40に向けて検出光L1を発する。受光部24は、フォトトランジスタ等の受光素子により構成されており、第2センサ装置40からの戻り検出光L2を受光してこの検出信号を出力する。
【0032】
第1の光送信部25は、発光ダイオード等の発光素子により構成されており、後述する通信光制御回路部34から送られる電気信号を光信号に変換して、第2センサ装置40に向けて通信光S1を発信する。第1の光受信部26は、フォトトランジスタ等の受光素子により構成されており、第2センサ装置40からの応答通信光S2を受信して電気信号に変換して出力する。
【0033】
また、第2センサ装置40は、上記検出光L1に応じて戻り検出光L2を返す検出光戻し手段としてのプリズム42と、第2の光受信部43と、第2の光送信部44とを備えている。これらは、例えば所定のケース40a内に収納された基板40bに所定位置及び姿勢で実装固定されている。
【0034】
プリズム42は、角柱状部材の両端部を斜めに切り落した形状に形成されている。そして、検出光L1がプリズム42内に進入すると、各斜面で内部反射される。これにより、検出光L1の入射方向に対して反対方向に向けて、戻り検出光L2が外部に出射される。これにより、検出光L1に応じて戻り検出光L2が投光されることになる。
【0035】
なお、検出光L1に応じて戻り検出光L2を返す検出光戻し手段は、上記プリズム42の他、一般的な反射鏡や導波路、光ファイバ等を用いた手段で構成されていてもよい。
【0036】
第2の光受信部43は、フォトトランジスタ等の受光素子により構成されており、上記第1の光送信部25からの通信光S1を受信してこれを電気信号に変換して出力する。第2の光送信部44は、発光ダイオード等の発光素子により構成されており、後述する応答通信光制御回路部46からの電気信号を光信号に変換し、第1の光受信部26に向けて応答通信光S2を送信する。
【0037】
これらの第2の光受信部43、第2の光送信部44及び応答通信光制御回路部46が、通信光S1に応じて応答通信光S2を送信する通信光応答手段として機能する。
【0038】
そして、ドア14が閉じられた状態では、検出光L1及び戻り検出光L2、通信光S1及び応答通信光S2について、それぞれ次の経路が確立した状態となっている。
【0039】
すなわち、第1センサ装置22の発光部23から投光される検出光L1は、第2センサ装置40のプリズム42内に入射しここで内部反射して、戻り検出光L2として出射される。そして、この戻り検出光L2が第1センサ装置22の受光部24で受光される。
【0040】
また、第1センサ装置22の第1の光送信部25から送信された通信光S1は第2センサ装置40の第2の光受信部43で受信されると共に、第2センサ装置40の第2の光送信部44から送信された応答通信光S2が第1センサ装置22の第1の光受信部26で受信される。
【0041】
一方、ドア14が開かれると、第1センサ装置22と第2センサ装置40との間で、検出光L1及び戻り検出光L2、通信光S1及び応答通信光S2の各経路が絶たれる。従って、受光部24で戻り検出光L2が受光されず、第2の光受信部43で通信光S1が受信されず、第1の光受信部26で応答通信光S2が受信されない状態となる。
【0042】
図3は開閉検出センサの電気的構成を示すブロック図である。
【0043】
第1センサ装置22は、計時回路部30と、検出光検知回路部32と、通信光制御回路部34と、報知部36と、取外し検出部28とをさらに備えている。
【0044】
計時回路部30は、例えば、リアルタイムクロック(RTC)回路により構成されており、第1インターバル期間毎に検出光発信信号を出力して発光部23を通じて検出光を出射させると共に、第2インターバル期間毎に起動信号を出力する。第1インターバル期間及び第2インターバル期間は、予め設定される期間であり、第2インターバル期間は第2インターバル期間よりも長時間に設定されている。特に、第2インターバル期間は、後述するように通信光制御回路部34が起動して演算処理を行うインターバル期間であるので、通信光制御回路部34の演算処理による総消費電力量が第1センサ装置22に内蔵される電源(例えば電池)の寿命に与える影響を可及的に小さくできるような期間に設定されていることが好ましい。好ましい例は、第1インターバル期間は1秒であり、第2インターバル期間は30秒である。
【0045】
計時回路部30からの検出光発信信号は、検出光検知回路部32を介して上記発光部23に出力される。発光部23は該信号を光に変換して検出光L1として外部に出射する。また、計時回路部30からの起動信号は、通信光制御回路部34に与えられる。
【0046】
このような計時回路部30は、リアルタイムクロック回路のように、計時機能及び所定のタイミングで所定の信号を出力する機能のみを持つ回路で実現されるため、比較的低消費電力、特に、通信光制御回路部34よりも低消費電力である電気要素による実現される。
【0047】
検出光検知回路部32は、上記検出光発信信号と受光部24から出力される信号とに基づいて、検出光L1に応じた戻り検出光L2が受光されたか否かを検出し、検出光L1に応じた戻り検出光L2が受光されない場合に開状態検知信号を出力する。
【0048】
より具体的には、検出光検知回路部32は、例えば、ゲート素子を組合わせた論理回路により構成されている。そして、検出光発信信号の出力状態と受光部24からの出力状態とを論理演算し、検出光発信信号の出力がハイレベルでかつ受光部24からの出力がローレベルである場合、及び、検出光発信信号の出力がローレベルでかつ受光部24からの出力がハイレベルである場合に、開状態検知信号を出力する。ここで、検出光発信信号の出力がハイレベルでかつ受光部24からの出力がローレベルである状態は、通常、検出光L1が出射されているが、戻り検出光L2が受光部24で受光できない状態を意味する。また、検出光発信信号の出力がローレベルでかつ受光部24からの出力がハイレベルである状態は、通常、検出光L1が出射されない状態であるにも拘らず、何らかの光が受光部24で受光されている状態、即ち、検出光L1が出射される前後のタイミングで何らかの光が受光部24で受光された状態を意味する。検出光検知回路部32は、これらの各状態を検出して開状態検知信号を出力する。
【0049】
この検出光検知回路部32は、検出光L1,L2の受光の有無に基づいて開閉状態を判別する第1の開閉状態検出手段として機能する。
【0050】
なお、この検出光検知回路部32が通信光制御回路部34に開状態検知信号を出力すると、通信光制御回路部34は、後述する処理とは別に、検出光検知回路部32における検出条件を反転させるよう制御処理を行った後、動作を終了する。これにより、一旦、ドア14が開いた状態を検出して開状態検知信号を出力した後、ドア14が開放されたままの状態でも開状態検知信号の出力を止めて通信光制御回路部34の起動を抑制するようにしている。なお、再度ドア14を閉じると、上記とは逆に、ドア14の閉状態が検出されて、通信光制御回路部34が一旦起動し、検出条件を元に戻すように制御して動作を終了する。
【0051】
通信光制御回路部34は、CPU、ROM及びRAM34a等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成されており、予め格納されたソフトウェアプログラムによって後述する処理を実行する。
【0052】
そして、計時回路部30からの起動信号や検出光検知回路部32からの開状態検知信号、第1の光受信部26、後述する取外し検出部28からの出力信号が、通信光制御回路部34に与えられる。これらの信号に基づいて、通信光制御回路部34は、後に詳述するように、第1の光送信部25や報知部36の動作制御、RAM34aへの書込み制御等を行う。この通信光制御回路部34及び応答通信光制御回路部46は、正規の符号を含む通信光S1,S2を受信できたか否かを判別することによって前記開閉状態を判別する第2の開閉状態検出手段として機能する。
【0053】
報知部36は、圧電ブザーやスピーカ等の発音体により構成されている。報知部36としては、その他、LED等の発光体等を用いてもよい。そして、上記通信光制御回路部34による制御に応じて、後述するタイミングで音等を用いた報知動作を行う。
【0054】
また、取外し検出部28は、第1センサ装置22がドア枠11から取外されたことを検出する取外し検出手段として機能する。ここでは、取外し検出部28は、マイクロスイッチにより構成されており、マイクロスイッチの一方側接点が通信光制御回路部34の信号入力端子に接続されると共にプルアップ抵抗を介して所定電位に接続され、他方側接点がアース接続されている。そして、第1センサ装置22をドア枠11に取付或は取外すことで、マイクロスイッチの接点が開閉するように構成されている。これにより、ドア枠11に対する第1センサ装置22の取付、取外し状態に応じた出力が、通信光制御回路部34の所定の信号入力端子に与えられるように構成されている。
【0055】
図4は第1センサ装置における通信光制御回路部の動作内容を示すフローチャートである。
【0056】
まず、この通信光制御回路部34は通常状態では、非起動状態(後述するステップS1〜ステップS10の各処理を実行する起動状態よりも消費電力が少ない状態をいう)にある。
【0057】
そして、検出光検知回路部32からの開状態検知信号、計時回路部30からの起動信号、取外し検出部28からの検知信号のうちのいずれかが、通信光制御回路部34に入力されると、ステップS1に示すように、通信光制御回路部34が起動して所定の起動処理を実行する。
【0058】
この後、ステップS2に進み、入力された信号が、開状態検知信号、計時回路部30からの起動信号、取外しの検出信号のうちのどれであるかが判定される。
【0059】
ステップS2で、入力された信号が開状態検知信号であると判断された場合、ステップS3に進んで、報知部36を通じて報知を行う。この後、ステップS4に進んで、その開状態検出の時間を計時回路部30から読込んでRAM34aに記憶させる。
【0060】
この後、ステップS9に進んで、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0061】
一方、ステップS2において、入力信号が計時回路部30からの起動信号であると判断された場合、ステップS5に進む。ステップS5では、予め設定された所定の識別符号を含む通信光S1を、第1の光送信部25を通じて第2センサ装置40に向けて送信する。この識別符号は暗号化されていることが好ましい。
【0062】
次に、ステップS6に進み、光信号の応答が正常か否かが判断される。例えば、第2センサ装置40から応答されるべき光信号が第1の光受信部26を通じて受信され、かつ、その信号に含まれる応答識別符号が予め設定された所定の応答識別符号と一致している場合に、応答は正常であると判断される。その他の場合、例えば、光信号の受信がなされない場合や、応答識別符号が不一致である場合には、応答異常であると判断される。
【0063】
ステップS6で応答異常であると判断された場合、ステップS7に進み、開状態報知信号を出力して報知部36を通じて報知を行う。この後、ステップS8に進んで、応答異常を検出した時間を、RAM34aに記憶させる。
【0064】
この後、ステップS9に進んで、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0065】
ステップS6において、応答が正常であると判断された場合には、ステップS9に進み、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0066】
また、ステップS2において、入力信号が取外しの検出信号であると判定された場合、ステップS10に進む。ステップS10では、取外しを検出した履歴をRAM34aに記憶させる。この後、ステップS9に進んで、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0067】
つまり、この通信光制御回路部34は、第2インターバル期間毎に起動信号に応じて起動する。そして、通信光制御回路部34は、第1の光送信部25を通じて所定の符号を含む通信光S1を発すると共に、第1の光受信部26を通じて正規の応答符号を含む応答通信光S2を受信できたか否かを判別し、受信できないと判別された場合に、開状態報知信号を出力する機能を有している。
【0068】
なお、本実施形態では、通信光制御回路部34は、上記タイミングの他、第1インターバル期間で検出光L1が射出される各タイミングのうち開状態を検知されるタイミング、第1センサ装置22の取外しを検出されたタイミングにも起動しており、これらの起動時間を除く期間で、通信光制御回路部34は非起動状態となっている。
【0069】
なお、RAM34aに記憶された取外し検出時間等は、適宜インターフェースを通じて外部のコンピュータ装置により適宜読取り可能とされている。
【0070】
図3に戻って、第2センサ装置40は、応答通信光制御回路部46と、取外し検出部48とをさらに備えている。
【0071】
応答通信光制御回路部46は、CPU、ROM及びRAM46a等を備える一般的なマイクロコンピュータにより構成されており、予め格納されたソフトウェアプログラムによって後述する処理を実行する。
【0072】
そして、第2の光受信部43や取外し検出部48からの出力信号が応答通信光制御回路部46に与えられる。これらの信号に基づいて、応答通信光制御回路部46は、後に詳述するように、第2の光送信部44の動作制御や、RAM46aへの書込み制御等を行う。
【0073】
取外し検出部48は、第2センサ装置40がドア14からから取外されたことを検出する取外し検出手段として機能する。ここでは、取外し検出部48は、上記取外し検出部28と同様に、マイクロスイッチを含む手段により構成されている。そして、ドア枠11に対する第2センサ装置40の取付、取外し状態に応じた出力が、応答通信光制御回路部46の所定の信号入力端子に与えられる。
【0074】
図5は第2センサ装置における通信光制御回路部の動作内容を示すフローチャートである。
【0075】
まず、この応答通信光制御回路部46は、通常状態では、非起動状態(後述するステップS21〜ステップS26の各処理を実行する起動状態よりも消費電力が少ない状態をいう)にある。
【0076】
そして、第2の光受信部43からの出力信号及び取外し検出部48からの検知信号のうちのいずれかが、応答通信光制御回路部46に入力されると、ステップS21に示すように、応答通信光制御回路部46が起動して所定の起動処理を実行する。
【0077】
この後、ステップS22に進み、入力された信号が、第2の光受信部43からの出力信号及び取外し検出部48からの検知信号のうちのいずれであるかが判定される。
【0078】
ステップS22で、入力された信号が第2の光受信部43からの出力信号であると判断された場合、つまり、光信号を受信したと判断された場合、ステップS23に進む。
【0079】
ステップS23では、光信号が正常か否かが判断される。例えば、第1センサ装置22から送信されるべき通信光S2が第2の光受信部43を通じて受信され、かつ、その信号に含まれる識別符号が予め設定される所定の識別符号と一致している場合に、光信号は正常であると判断される。その他の場合、例えば、識別符号が不一致である場合には、光信号は異常であると判断される。
【0080】
ステップS23で光信号が正常であると判断された場合、ステップS24に進む。ステップS24では、予め設定された所定の応答識別符号を含む通信光S2を第2の光送信部44を通じて第1センサ装置22に向けて送信する。この応答識別符号も暗号化されていることが好ましい。
【0081】
次に、ステップS25に進み、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0082】
上記ステップS23において、光信号が異常であると判断された場合、ステップS25に進み、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0083】
また、上記ステップS22において、入力された信号が取外し検出信号であると判断された場合、ステップS26に進む。
【0084】
ステップS26では、取外しを検出した履歴をRAM46aに記憶させる。この後、ステップS25に進んで、所定の終了処理を実行して非起動状態に移行する。
【0085】
つまり、この応答通信光制御回路部46は、第2の光送信部44を通じて通信光S1が受信されると起動し、正規の符号を含む通信光S1を受信できたか否かを判別し、正規の符号を含む通信光S1を受信できたと判別された場合に、第2の光送信部44を通じて応答通信光S2を送信する手段として機能する。
【0086】
なお、RAM46aに記憶された取外し検出履歴等は、適宜インターフェースを通じて外部のコンピュータ装置により適宜読取り可能とされている。
【0087】
このように構成された開閉検出センサの全体的な検出動作について説明する。
【0088】
まず、ドア14が閉じられた状態では、第1インターバル期間(例えば1秒)毎に検出光L1に応じた戻り検出光L2の受光の有無による開状態の検出が行われる。また、第2インターバル期間毎に通信光S1に応じて応答通信光S2が受信されたか否かを判別することで開状態の検出が行われる。
【0089】
この状態からドア14が開いた状態になると、第1センサ装置22と第2センサ装置40との相対的な位置関係がずれ、検出光L1又は戻り検出光L2の経路が途絶えた状態となる。これにより、検出光検知回路部32から開状態検知信号が出力され、通信光制御回路部34及び報知部36を通じて報知がなされる。
【0090】
ここでの開状態の検出は、戻り検出光L2の受光の有無に依存してなされている。このため、第1センサ装置22に、上記プリズム42以外の反射手段を取付ける等の細工が施されると、上記開状態の検出はなされない可能性がある。
【0091】
このような場合であっても、第2インターバル期間(例えば30秒)毎に、識別符号を含む通信光S1及び応答識別符号を含む応答通信光S2を用いた開状態の検出が行われる。これらの通信光S1及び応答通信光S2は、識別符号及び応答識別符号を含んでいるため、上記のような細工による偽装は難しく、より確実に開状態の検出がなされる。
【0092】
また、これらの各状態において、第1センサ装置22及び第2センサ装置40が取外されると、各取外しの履歴情報がRAM33a、46aに書込まれる。このため、第1センサ装置22及び第2センサ装置40自体を取外して何らかの細工を施して元の状態に戻したような場合にも、その事実を監視することができる。
【0093】
以上のように構成された開閉検出センサによると、比較的短い第1インターバル期間毎に、検出光L1を発すると共に、この検出光L1に応じた戻り検出光L2が受光されたか否かを検出することによって、ドア14の開状態を検出できる。また、比較的長い第2のインターバル期間毎に、所定の識別符号を含む通信光S1を発すると共に、これに応じて所定の応答識別符号を含む応答通信光S2を受信できたか否かを判別することによって、ドア14の開状態を検出できる。
【0094】
このため、比較的高頻度で検出光L1,L2を用いて開状態の検出を行いつつ、比較的低頻度で、偽装等が困難な通信光S1,S2を用いてより確実な開状態の検出を行うことができ、高度の安全性を確保できる。
【0095】
また、通常、正規の符号を含む応答通信光S2を受信できたか否かを判別する通信光制御回路部34の消費電力は大きくなる傾向にあるところ、通信光制御回路部34は、開状態を検出する動作に関しては、比較的長い第2インターバル期間毎に起動して前記開閉状態を判別する。従って、常時起動しているのは、極低消費電力である計時回路部30だけにすることができ、装置全体として低消費電力化をも図ることもできる。例えば、一般的な小型のリチウム電池などでも10年以上の寿命を期待でき、結果、外部からの電源供給を受けるための配線等を省略することができる。
【0096】
さらに、第2センサ装置40についても、第2の光受信部43を介して通信光S1が受信されると応答通信光制御回路部46が起動し、正規の符号を含む通信光S1を受信できたか否かを判別し、正規のものであると判別された場合に、第2の光送信部44を通じて応答通信光S2を送信するようにしているため、応答通信光制御回路部46についても、動作時間をなるべく少なくして低消費電力化を図ることができる。
【0097】
また、第1センサ装置22及び第2センサ装置40は、ドア14やその周辺部のドア枠11から取外されたことを検出する取外し検出部28,48を備えているため、センサ装置22,40の取外し事実をも検出することができる。これにより、センサ装置22,40の取外しを伴う不正な細工等にも対応が容易となる。
【0098】
さらに、上述した各開状態の検出時間や取外しの検出時間等の履歴情報をRAM33a,48a等に記憶しているため、開閉状態や各センサ装置の取外し状態等を管理できる。
【0099】
{変形例}
なお、上記取外し検出部28,48は、センサ装置22,40のいずれか一方側にのみ設けられていてもよい。また、取外し検出時に、報知手段等を通じて報知を行わせるようにしてもよい。
【0100】
さらに、上記開状態の検出時に、その場所で報知する構成に加えて又は代りに、通信経路を介して接続された他の場所の機器(例えば警備システムの集中監視センター等)で報知する構成としてもよい。
【0101】
また、RAM33a,46aで記憶される内容は、上記各開状態の検出時間及び各取外し検出時間のうち少なくとも一つであってもよい。
【0102】
このような開閉検出センサ20の使用形態としては、例えば、オフィスビルや病院などにおいて、限られた時間帯では開閉されてはならない扉に設置して、開閉の履歴を残すような例も考えられる。
【0103】
また、一般住宅での防犯用に適用する場合等に、電源配線工事等が不要となるため、容易に取付けることができる。また、一人暮しの老人宅等に取付け、本開閉検出センサ20の検出状態を、所定の通信回線を通じて管理することで、健康かどうかの判断や防犯等に役立てることができる。
【0104】
さらに、開閉検出センサ20は、上記のような建築物に対する扉の他、金庫の扉や、キャビネットの引出しや扉等にも取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は開閉検出センサの使用例を示す図である。
【図2】第1センサ装置と第2センサ装置との間で送受される検出光及び通信光の経路を示す説明図である。
【図3】開閉検出センサの電気的構成を示すブロック図である。
【図4】第1センサ装置における通信光制御回路部の動作内容を示すフローチャートである。
【図5】第2センサ装置における通信光制御回路部の動作内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0106】
11 ドア枠
14 ドア
20 開閉検出センサ
22 第1センサ装置
23 発光部
24 受光部
25 第1の光送信部
26 第1の光受信部
28,48 取外し検出部
30 計時回路部
32 検出光検知回路部
34 通信光制御回路部
34a RAM
36 報知部
40 第2センサ装置
42 プリズム
43 第2の光受信部
44 第2の光送信部
46 応答通信光制御回路部
46a RAM
L1,L2 検出光
S1,S2 通信光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体及びその周辺部に取付けられ、前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出センサであって、
検出光の受光の有無に基づいて前記開閉状態を判別する第1の開閉状態検出手段と、
正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別することによって前記開閉状態を判別する第2の開閉状態検出手段と、
を備え、
前記第1の開閉状態検出手段は、所定の第1インターバル期間毎に前記開閉状態を判別する動作を行い、前記第2の開閉状態検出手段は、前記第1インターバル期間よりも長い所定の第2インターバル期間毎に前記開閉状態を判別する動作を行う、開閉検出センサ。
【請求項2】
開閉体及びその周辺部に取付けられ、前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出センサであって、
前記開閉体及びその周辺部のうちの一方に取付けられ、検出光を発する発光部と、この検出光に応じた戻り検出光を受光する受光部と、通信光を発する第1の光送信部と、この通信光に応じた応答通信光を受ける第1の光受信部とを備えた第1センサ装置と、
前記開閉体及びその周辺部のうちの他方に取付けられ、前記検出光に応じて戻り検出光を返す検出光戻し手段と、前記通信光に応じて応答通信光を発信する通信光応答手段とを有する第2センサ装置と、
を備え、
前記第1センサ装置は、
所定の第1インターバル期間毎に前記発光部を通じて検出光を発すると共に、前記第1インターバル期間よりも長時間である所定の第2インターバル期間毎に起動信号を出力する計時回路部と、
前記受光部からの出力信号に基づいて、前記検出光に応じた前記戻り検出光が受光されたか否かを検出し、前記戻り検出光を受光できない場合に開状態検知信号を出力する戻り検出光検知回路部と、
前記起動信号に応じて起動することにより、前記第1の光発信部を通じて所定の符号を含む通信光を発すると共に、前記第1の光受信部を通じて正規の応答符号を含む応答通信光を受信できたか否かを判別し、受信できないと判別された場合に開状態報知信号を出力する通信光制御回路部と、
をさらに備えた開閉検出センサ。
【請求項3】
請求項2記載の開閉検出センサであって、
前記第2センサ装置の通信光応答手段は、前記第1の光発信部からの通信光を受信する第2の光受信部と、前記第1の光受信部に向けて応答通信光を発する第2の光送信部と、第2の光受信部を介して通信光が受信されると起動し、正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別し、正規の符号を含む通信光を受信できたと判別された場合に、前記第2の光送信部を通じて所定の応答符号を含む応答通信光を送信する応答通信光制御回路部と、を備えたものである、開閉検出センサ。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の開閉検出センサであって、
前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうち少なくとも一方は、自己が前記開閉体或はその周辺部から取外されたことを検出する取外し検出手段を備えた、開閉検出センサ。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれかに記載の開閉検出センサであって、
前記第1センサ装置及び前記第2センサ装置のうちの少なくとも一方が、前記検出光検知回路部で戻り検出光を受光できないと判別された履歴情報、前記通信光制御回路部で正規の符号を含む応答通信光を受信できないと判別された履歴情報、前記第1センサ装置又は前記第2センサ装置が前記開閉体及びその周辺部から取外されたことを検出された履歴情報のうち少なくとも一つを記憶する記憶手段をさらに備える、開閉検出センサ。
【請求項6】
前記開閉体の開閉状態を検出する開閉検出方法であって、
前記開閉体の開閉状態に応じて受光状況が変動するように検出光が投光されると共に、前記開閉体の開閉状態に応じて受信状況が変動するように通信光が発信され、
(a)前記検出光の受光状態に基づいて前記開閉状態を判別する工程と、
(b)正規の符号を含む通信光を受信できたか否かを判別する工程と、
を備え、
前記工程(a)は所定の第1インターバル期間毎に繰返し行われ、前記工程(b)は前記第1インターバル期間よりも長時間である所定の第2インターバル期間毎に繰返し行われる、開閉検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−242696(P2006−242696A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57399(P2005−57399)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(595043170)アドバンテック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】