説明

防災監視システムとその防災設備及び監視センタ

【課題】防災設備自体の設置状態の異常を確実かつ迅速に検出できるようにし、これにより監視設備の信頼性向上と監視員の負担軽減を図る。
【解決手段】電源装置及びカメラサーバCSVが収容される第1の構造物1aの上面部四隅に4個のマーカM1〜M4を設置し、これらのマーカM1〜M4を第2の構造物2a上に設置された監視カメラCMによりそれぞれ撮像してその撮像画像データをカメラサーバCSVから監視センタのサーバ装置SVへ送る。そしてサーバ装置SVにおいて、上記送られた撮像画像データ中におけるマーカ画像の基準位置に対する位置ずれを算出して、この算出された位置ずれが許容範囲内であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて第1及び第2の構造物1a,2aの相対的構造異常の発生の有無を判定するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば降雨や放流等による河川の増水や、山の斜面の土砂崩れ等、防災上監視が必要な監視対象物の状態を遠隔的に監視する防災監視システムと、このシステムで使用されるダムの放水監視装置や洪水警報装置、土砂崩れ監視装置、土石流監視装置等の防災設備と、これらの防災設備を遠隔的に制御する監視センタに関する。
【背景技術】
【0002】
我が国では、急流河川や土砂災害危険地域が多く、大小の地震や台風等により大規模な気象災害が発生しやすい。そこで、このような大規模気象災害による道路や建物等のインフラ設備の被害規模を把握したり、災害発生時の住民の迅速な避難誘導を可能にするために、各種防災情報の遠隔監視(テレメトリ又はテレモニタリングと呼ばれる)が行われている。一般にテレメトリは、任意に選択した観測対象場所にテレメトリ観測装置を設置し、このテレメトリ観測装置において各種センサから観測データを取得してこの観測データを通信ネットワークを介して監視センタへ転送することにより実現される(例えば、非特許文献1を参照。)。
【0003】
例えば、河川流域には降雨や放流等による増水や氾濫を監視するために洪水警報装置や放流警報装置が設置される。また、山地においては斜面の土砂崩れや土石流等の発生を監視して警報を発生するために土石流警報装置等が設置される。これらの防災設備には、例えば監視カメラ及び各種センサが設置され、監視カメラにより撮像された監視対象物の監視画像データとセンサの測定データが、通信ネットワークを介して監視センタに伝送される。監視センタでは、上記防災設備から伝送された監視画像データ及びセンサの測定データをもとに監視対象物の状態変化が判定され、その判定結果が表示される。このような防災監視システムは、監視対象物における災害発生の兆候をいち早く検知して警報を発することができ、被災を回避する上できわめて重要な役割を担っている
【0004】
【非特許文献1】水位・雨量遠隔監視システムhttp://www.ikeda-keiki.co.jp/seihin/uryou/WEBsuii-uryoukei-u.html
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の防災監視システムで使用される防災設備はいずれも河川や山の斜面等、監視対象物の状態を監視するものであり、防災設備自体の設置状態については監視員が定期的に見回りを行って異常がないかどうかをチェックしているのが一般的である。そのため、例えば地震の発生等により防災設備に位置変化や傾き、損壊等が発生しても、見回りが行われるまで発見されずに放置され、その間防災設備が正常に機能しない状態が続くことになり非常に好ましくなかった。また、放流警報装置や土石流警報装置等の防災設備は、一般に山中等の監視員が近寄り難い場所に設置されることが多い。このため、監視員にとっては見回りに危険が伴い、また作業上の負担が大きかった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、防災設備自体の設置状態の異常を確実かつ迅速に検出できるようにし、これにより監視設備の信頼性向上と監視員の負担軽減を図った防災監視システムとその防災設備及び監視センタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明は、監視対象物を監視可能な場所に設置される防災設備と、この防災設備に対し通信ネットワークを介して接続される監視センタとを具備する防災監視システムにあって、上記防災設備の第1の構造物にマーカを固定的に設置すると共に、上記第1の構造物とは異なる第2の構造物に監視カメラを設置する。そして、監視カメラにより上記監視対象物及び上記マーカをそれぞれ撮像して、監視対象物の画像を含む第1の画像データと上記マーカの画像を含む第2の画像データを得、これらの画像データを通信ネットワークを介して上記監視センタへ送信する。これに対し監視センタでは、上記防災設備から送られた第1及び第2の画像データを受信し、この受信された第1の画像データをもとに上記監視対象物の状態の変化を検出する第1の監視処理を行う。またそれと共に、上記受信された第2の画像データに含まれるマーカ画像の状態を予め記憶されている上記マーカの初期設置状態を表す基準情報と比較して、その比較結果をもとに上記第1の構造物に対する第2の構造物の変位の有無を判定し、その判定結果を出力する。
【0008】
したがってこの発明によれば、監視カメラにより撮像された画像データに含まれるマーカ画像の状態をもとに第1及び第2の構造物の相対的変位の有無が判定される。このため、例えば地震や台風の影響により防災設備の構造物に位置ずれや傾き、損壊等の状態変化が発生した場合に、この構造の変位を監視センタにおいていち早くかつ確実に判定することが可能となる。そして、この判定を受けて復旧工事の準備を開始するなど、適切な対応策を迅速に講じることが可能となる。また、監視員による防災設備の見回りが不要となる。このため、監視員を危険かつ時間を要する見回り作業から開放することができ、これにより監視員の負担を大幅に軽減することができる。
【0009】
しかも、監視対象物の監視に使用している既存の監視カメラを利用してマーカの撮像を行い、かつ撮像画像データを監視センタに伝送する通信手段についても既存の手段を利用して行っている。すなわち、1台の監視カメラ及び通信手段を監視対象物の監視用と防災設備自身の構造監視用とに兼用している。このため、マーカの撮像及び伝送用に別途カメラと通信手段を設ける必要がなく、これにより比較的少ない設備追加で安価に実現できる利点がある。
【0010】
また、この発明は以下のような各種構成を備えることも特徴とする。
第1の構成は、監視センタの第2の監視処理手段において、マーカ画像の位置ずれの許容範囲を表す第1のトレランス情報を予め記憶しておき、監視カメラにより撮像された第2の画像データに含まれるマーカ画像の位置と基準情報により示されるマーカ画像の基準位置との間の位置ずれ量が、上記第1のトレランス情報の範囲を超えているか否かを第1の判定手段により判定する。そして、マーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲を超えていると判定された場合に、第2の構造物に変位が発生したと判断する。
このように構成することで、風による構造物の揺れや車両の通過に伴う振動などによる影響を低減して、第2の構造物の異常を正確に判定することが可能となる。
【0011】
第2の構成は、監視センタの第2の監視処理手段において、さらに、マーカ画像の大きさの許容範囲を表す第2のトレランス情報を記憶しておき、上記第1の判定手段によりマーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲内と判定された場合に、監視カメラにより撮像された第2の画像データに含まれるマーカ画像の大きさが上記第2のトレランス情報の範囲を超えているか否かを第2の判定手段により判定する。そして、マーカ画像の大きさが第2のトレランス情報の範囲を超えていると判定された場合には、上記第2の構造物に変位が発生したと判断する。
このように構成することで、マーカが1個しか使えない場合で、しかも監視カメラの位置がマーカの撮像方向に沿って変位した場合でも、監視カメラCMの移動を検出することが可能となる。
【0012】
第3の構成は、防災設備に、マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化を生じさせる要因となる周辺の環境条件の変化を測定するセンサをさらに設け、このセンサにより測定された環境条件の変化を表す情報を通信ネットワークを介して監視センタへ送信する。これに対し監視センタでは、第2の監視処理手段において、上記防災設備から送信された上記環境条件の変化を表す情報を受信し、この受信された環境条件の変化を表す情報により示される値に応じて、上記第1のトレランス情報又は第2のトレランス情報を補正する。
このように構成すると、防災設備周辺の環境条件の変化に応じて適応的に第1のトレランス情報又は第2のトレランス情報が補正される。したがって、防災設備周辺の環境条件が如何に変化しようとも、常に適切なトレランス情報を用いて構造物の異常発生の有無を判定することが可能となる。
【0013】
第4の構成は、防災設備に、マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化を生じさせる要因となる周辺の環境条件の変化を測定するセンサをさらに設け、このセンサにより測定された環境条件の変化を表す情報を通信ネットワークを介して監視センタへ送信する。これに対し監視センタでは、第2の監視処理手段において、上記防災設備から送信された上記環境条件の変化を表す情報を受信し、この受信された環境条件の変化を表す情報により示される値が予め定められたしきい値以下であるか否かを判定する。そして、上記環境条件の変化を表す情報により示される値が上記しきい値以下の期間に上記第1又は第2の判定手段による判定処理を行わせ、それ以外の期間には上記第1及び第2の判定手段による判定処理を停止させる。
このように構成すると、例えば地震が発生しているときや風が強く構造物の揺れが大きいとき、また通行車両による振動が大きいときには、このときの監視カメラの撮像画像データを用いた構造物の変位の判定が停止される。このため、風による構造物の揺れや通行車両の通過に伴う振動などによる影響を排除して、構造物の異常を正確に判定することが可能となる。
【0014】
第5の構成は、防災設備の監視カメラに、監視場所から見通せる位置に存在する位置不変な基準物を撮像してこの位置不変な基準物の画像を含む第3の画像データを出力する手段をさらに設け、この第3の画像データを通信ネットワークを介して監視センタへ送信する。これに対し監視センタでは、第2の監視処理手段において、マーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲内と判定された場合に、上記防災設備から送られる第3の画像データを、予め記憶されている上記基準物の位置に対応する基準画像データと比較する。そして、その比較結果をもとに地面に対する上記第1及び第2の構造物の変位の有無を判定する。
このように構成すると、例えば地震による地殻変動や地滑りによって第1及び第2の構造物がその相対的位置関係を保ったまま位置ずれを起こしたとしても、位置不変な基準物の撮像画像をもとに上記位置ずれの発生を確実に検出することができる。位置不変な基準物としては、例えば月や星、星座等の天体を利用することが好ましい。また、遠方の山並みの輪郭等、特徴的な風景を利用することも可能である。
【0015】
第6の構成は、監視センタに、基準画像データの登録要求を受け付ける手段をさらに設け、この登録要求の入力に応じて、通信ネットワークを介して監視カメラの撮像方向を遠隔的に調整し、当該撮像方向が調整された状態で防災設備から受信された第2の画像データを上記基準画像データとして記憶する。
このように構成すると、システムの運用を開始する場合や、運用中に第2の構造物に対する監視カメラの位置が変位した場合に、例えば監視員が基準画像データの登録要求を入力するだけで、基準画像データが自動的に初期設定或いは更新される。したがって、システムの運用をできる限り早く開始又は再開することが可能となる。また、基準画像データの設定作業による監視員の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0016】
要するにこの発明によれば、防災設備自体の設置状態の異常を確実かつ迅速に検出することができ、これにより監視設備の信頼性向上と監視員の負担軽減を図った防災監視システムとその防災設備及び監視センタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照してこの発明に係わる防災監視システムの実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1は、この発明に係わる防災監視システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。このシステムは、複数の防災設備BS1〜BSnと、監視センタCSとを備え、これらの間を通信ネットワークNWを介して接続したものである。防災設備BS1〜BSnはそれぞれ、例えば河川の流域や山地等において監視対象物である河川や山の斜面を見通すことが可能な位置に設置される。監視センタCSは、例えば国や自治体の庁舎内に設けられ、サーバ装置SVを備えている。
なお、通信ネットワークNWは、例えばインターネットに代表されるIP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするための複数のアクセス網とから構成される。アクセス網としては、例えばDSL(Digital Subscriber Line)や光伝送路を使用する有線加入者網、LAN、無線LAN(Local Area Network)、移動通信網、専用線網が用いられる。
【0018】
ところで、防災設備BS1〜BSnは次のように構成される。図2はその構成を示す図である。すなわち、防災設備BS1〜BSnは、箱形に構成される第1の構造物1aと、塔状に構成される第2の構造物2aとを備え、第2の構造物2aの上部には警報装置RSと監視カメラCMが設置されている。警報装置RSは、スピーカを備えた拡声装置と防災無線受信機とを有し、監視センタCS等から送信される警報信号を防災無線受信機で受信して、拡声装置から警報音などを発生する。
【0019】
第1の構造物1aには、その上面部四隅に4個のマーカM1〜M4が設置されている。図3はその取り付け構造の一例を示すもので、マーカM1〜M4は取り付け具を介して第1の構造物1aに取着される。マーカM1〜M4は、第1の構造物1a又は第2の構造物2aの構造異常、特に第2の構造物2aの位置ずれや傾斜、倒壊等の構造異常を検出するために使用されるもので、上方に向け発光するLED(Light Emitting Diode)を備える。
【0020】
また、第1の構造物1a内には、電源装置及び後述するカメラサーバCSVが収容される。電源装置は、商用電源又はバッテリの出力をもとに電源電圧を生成するもので、上記警報装置RS及び監視カメラCMに対し上記電源電圧を供給すると共に、上記マーカM1〜M4に駆動電流を供給して発光させる。
【0021】
上記監視カメラCM及びカメラサーバCSVは次のように構成される。図4はその構成を示すブロック図である。すなわち、監視カメラCMは、カメラ本体11とカメラ駆動部12とから構成される。カメラ駆動部12は、モータを動力源とする回動機構を備え、上記カメラ本体11の撮像方向(アングル)をカメラサーバCSVから与えられる駆動信号に従い可変する。カメラ本体11は、上記カメラ駆動部12により設定された撮像方向を撮像し、その撮像画像信号を信号線VLを介してカメラサーバCSVへ出力する。
【0022】
カメラサーバCSVは、通信インタフェース(通信I/F)13及び制御部14を備える。通信I/F13は、通信線WLを介して通信ネットワークNWに接続され、通信ネットワークNWにより規定される通信プロトコルに従い、監視センタCSのサーバ装置SVとの間でデータ通信を行う。制御部14は、監視センタCSのサーバ装置SVから送られる撮像指示情報に従い上記カメラ駆動部12を駆動して、カメラ本体11の撮像方向を制御する。また制御部14は、上記カメラ本体11から出力された撮像画像信号を符号化すると共にパケット化し、このパケット化された画像データを通信I/F13から監視センタCSのサーバ装置SVへ送信させる。
【0023】
一方、サーバ装置SVは次のように構成される。図5はその機能構成を示すブロック図である。すなわち、サーバ装置SVは、中央処理ユニット(CPU;Central Processing Unit)21を備える。CPU21には、バス22を介してプログラムメモリ23と、データメモリ27と、通信インタフェース(通信I/F)28と、入出力インタフェース(入出力I/F)29がそれぞれ接続される。
【0024】
データメモリ27には、監視カメラCMの撮像画像データを保存する領域に加え、基準位置情報記憶部271と、トレランス情報記憶部272が設けられている。基準位置情報記憶部271には、撮像画像データ中におけるマーカ画像の位置ずれ及び大きさの変化をそれぞれ検出するためのマーカ判定基準位置及び大きさの基準範囲を表す情報が記憶される。トレランス情報記憶部272には、上記マーカ画像の位置ずれ量及び大きさの変化量がそれぞれ許容範囲内であるか否かを判定するために使用する第1の及び第2のトレランス情報T1,T2が記憶される。なお、上記データメモリ27の記憶媒体としては、RAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリや、ハードディスク等の磁気ディスクが使用される。
【0025】
通信I/F28は、上記CPU21の制御の下、通信ネットワークNWを介して上記各防災設備BS1〜BSnのカメラサーバCSVとの間で、各種指示情報の送信と画像パケットデータの受信を行う。なお、通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0026】
入出力I/F29には、入力デバイス30及び表示デバイス31が接続される。入力デバイス30は、例えばキーボードや、マウス等のポインティングデバイスからなる。表示デバイス31は、例えば液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Devise)からなる。入出力I/F29は、上記入力デバイス30において管理者が入力した操作情報を取り込む。またそれと共に、CPU21の制御の下で、上記入力デバイス30により入力された操作情報、各防災設備BS1〜BSnから送られた監視画像データ、CPU21により判定された防災設備BS1〜BSnの構造異常の判定結果等を表示デバイス31に表示する。なお、プリンタが接続されている場合には、上記判定結果等を当該プリンタに出力することも可能である。
【0027】
プログラムメモリ23には、河川や山の斜面等の監視対象物の様子を監視する第1の監視処理プログラム24に加え、この発明を実施するために必要な新たなアプリケーション・プログラムとして、第2の監視処理プログラム25と、判定結果出力制御プログラム26が格納されている。なお、上記第1の監視処理プログラム24は、各防災設備BS1〜BSnの監視カメラCMにより河川や山の斜面等の監視対象物を撮像させ、その撮像画像データを通信I/F28により受信して表示デバイス31に表示させる処理を、上記CPU21に実行させる。
【0028】
第2の監視処理プログラム25は、カメラ撮像制御プログラム251と、マーカ位置ずれ判定プログラム252と、マーカ大きさ判定プログラム253と、異常判定プログラム254を備える。
カメラ撮像制御プログラム251は以下の処理をCPU21に実行させる。すなわち、防災設備BS1〜BSnの構造異常を判定する際に、判定対象の防災設備に撮像指示情報を送って監視カメラCMの撮像方向を可変設定し、これにより各マーカM1〜M4をそれぞれ撮像させる。そして、当該監視カメラCMにより撮像された各マーカM1〜M4の画像を含む画像データを通信I/F28を介して受信して、データメモリ27の撮像画像データ記憶エリアに記憶させる。
【0029】
マーカ位置ずれ判定プログラム252は、以下の処理をCPU21に実行させる。すなわち、上記記憶された撮像画像データに含まれるマーカ画像について、監視カメラCMの基準位置を基点とした上記マーカ画像の位置を算出する。次に、この算出されたマーカ画像の位置と、データメモリ27の基準位置記憶部271に記憶されている基準位置との間の位置ずれ量を算出する。そして、この算出された位置ずれ量が、データメモリ27のトレランス情報記憶部272に記憶されている第1のトレランス情報T1で示される許容範囲内であるか否かを判定する。
【0030】
マーカ大きさ判定プログラム253は以下の処理をCPU21に実行させる。すなわち、上記マーカ位置ずれ判定プログラム252により位置ずれ量が許容範囲内と判定された場合に、上記記憶された撮像画像データに含まれるマーカ画像の大きさを検出する。次に、この検出されたマーカ画像の大きさを、データメモリ27の基準位置記憶部271に記憶されている大きさの基準範囲と比較してその差を算出する。そして、この算出された大きさの差が、データメモリ27のトレランス情報記憶部272に記憶されている第2のトレランス情報T2で示される許容範囲内であるか否かを判定する。
【0031】
異常判定プログラム254は、上記マーカ位置ずれ判定プログラム252の判定結果、及び上記マーカ大きさ判定プログラム253の判定結果に基づいて、第1の構造物1aと第2の構造物2aとの間に構造上の変位が発生したか否かを判定する処理を、上記CPU21に実行させる。
判定結果出力制御プログラム26は、上記異常判定プログラム254による判定結果を表すメッセージを、入出力I/F29を介して表示デバイス31に表示させる処理を、上記CPU21に実行させる。
【0032】
次に、以上のように構成された防災監視システムによる防災設備BS1〜BSnの監視動作を説明する。図6及び図7は、防災設備BS1〜BSnの監視カメラCM及びカメラサーバCSVと、監視センタCSのサーバ装置SVによる制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0033】
河川や山の斜面等の監視対象物に対する通常の監視制御動作を行いながら、サーバ装置SVはステップS61において防災設備BS1〜BSnに対する監視タイミングの到来を監視している。この状態で、例えば防災設備BS1に対する監視タイミングになると、サーバ装置SVはステップS62によりマーカの撮像指示情報を生成し、この生成された撮像指示情報を通信I/F28から上記防災設備BS1に向け送信する。
【0034】
これに対し防災設備BS1では、カメラサーバCSVがステップS63により上記マーカの撮像指示情報を受信する。上記撮像指示情報を受け取るとカメラサーバCSVは、先ずステップS64により監視カメラCMの撮像方向を例えば図9(a)に示すように基準位置に設定し、続いてステップS65により監視カメラCMの撮像方向をパン又はチルト動作により予め決められた量だけ変化させて、図9(b)に示すようにマーカM1を撮像する方向に向ける。そして、ステップS66により監視カメラCMが上記マーカM1を撮像すると、カメラサーバCSVは監視カメラCMから出力された撮像画像信号をステップS67により符号化しさらにパケット化したのち、通信I/F13からサーバ装置SVに向け送信する。
【0035】
続いてカメラサーバCSVは、すべてのマーカM1〜M4の撮像が終了したか否かをステップS68において判定する。そして、撮像していないマーカが残っている場合には、ステップS65に戻って監視カメラCMの撮像方向を例えば図9(c)に示すように次のマーカM2に向け、その撮像画像データをサーバ装置SVへ送信する。以下同様に、撮像していないマーカが残っている限り、上記ステップS65からステップS68による撮像制御処理を繰り返し実行する。そして、すべてのマーカM1〜M4の撮像とその撮像画像データの送信が終了すると、待ち受け状態に戻る。
【0036】
サーバ装置SVは、上記防災設備BS1から各マーカM1〜M4の撮像画像データが送られるごとに、これらの撮像画像データをステップS69で受信して、データメモリ27の画像データ記憶エリアに保存する。そして、すべての撮像画像データが保存されると、先ずステップS70において、上記保存された各撮像画像データの各々からマーカ画像を検出し、監視カメラCMの基準位置を基点とした上記マーカ画像の位置を算出する。次に、ステップS71によりこの算出されたマーカ画像の位置と、データメモリ27の基準位置記憶部271に記憶されている基準位置との間の位置ずれ量を算出する。そして、この算出された位置ずれ量が、データメモリ27のトレランス情報記憶部272に記憶されている第1のトレランス情報T1で示される許容範囲内であるか否かをステップS72により判定する。
【0037】
以上のステップS70からステップS72による位置ずれ判定処理を、図9乃至図11を用いて具体的に説明する。
いま仮に基準位置に対するマーカM1の画像の位置ずれが微少で、当該マーカM1の画像位置が図9(b)に示すようにトレランス情報T1で示される許容範囲内であれば、位置ずれは許容範囲内と判定される。同様に、マーカM2の画像についても、位置ずれが微少で、その位置ずれ量が図9(c)に示すようにトレランス情報T1で示される許容範囲内であれば、マーカM2の位置ずれは許容範囲内と判定される。
【0038】
一方、地震や台風などの影響により第2の構造物2aに傾斜や損壊が発生し、これにより監視カメラCMの位置が例えば図10に示すように基準位置から変位したとする。この状態で監視カメラCMによりマーカM1を撮像すると、画像データ中のマーカM1の画像位置は本来あるべき位置から移動し、その移動量は図10に示すようにトレランス情報T1で示される許容範囲を超える。このため、マーカ画像M1の位置ずれは許容範囲外と判定される。
【0039】
また、監視カメラCMの位置が変位しても、その変位の方向によってはこの変位がマーカ画像の位置ずれとして検出されない場合がある。例えば、図11(a)に示すように監視カメラCMがマーカM1の撮像方向へ変位した場合には、マーカM1の画像の位置ずれは検出されない。しかしながら、上記監視カメラCMによりマーカM2を撮像すると、画像データ中のマーカM2の画像位置は本来あるべき位置から移動し、その移動量は図11に示すようにトレランス情報T1で示される許容範囲を超える。このため、マーカM2の画像の位置ずれは許容範囲外と判定される。
【0040】
このように、互いに直交するように配置された4個のマーカM1〜M4をそれぞれ撮像してその画像データからマーカM1〜M4の画像の位置ずれを検出することで、監視カメラCMが如何なる方向へ変位したとしても、この監視カメラCMの変位をマーカM1〜M4の位置ずれとして確実に検出することができる。
【0041】
さらに、例えば草木などの障害物の影響により複数のマーカM1〜M4のうちの一つしか撮像できない場合も考えられる。この場合に備え、サーバ装置SVではマーカの画像の大きさに基づく判定処理が以下のように実行される。
すなわち、サーバ装置SVはステップS73において、画像認識処理により撮像画像データ中に含まれるマーカ画像を検出してその画素数から大きさを算出する。そして、ステップS74において、上記算出されたマーカ画像の大きさを、データメモリ27の基準位置記憶部271に記憶されている大きさの基準範囲と比較してその差を算出する。そして、この算出された大きさの差が、データメモリ27のトレランス情報記憶部272に記憶されている第2のトレランス情報T2で示される許容範囲内であるか否かを判定する。
【0042】
なお、上記算出されたマーカ画像の大きさと、記憶された大きさの基準範囲との差を算出する処理を省略し、上記算出されたマーカ画像の大きさを第2のトレランス情報T2で示される許容範囲と直接比較して、マーカ画像の大きさが許容範囲内かどうかを判定するようにしてもよい。
【0043】
以上のステップS73からステップS74によるマーカ画像の大きさの判定処理を、図12を用いて具体的に説明する。
いま仮に監視カメラCMの位置が基準位置から変位していなければ、図12(a)に示すようにマーカM1の画像の位置ずれは検出されず、かつマーカM1の画像の大きさは第2のトレランス情報T2により示される最小値判定基準T2min と最大値判定基準T2max との間に収まる。したがって、この場合マーカM1の画像の大きさは許容範囲内と判定される。
【0044】
これに対し監視カメラCMの位置が、その光軸に沿って例えば図12(b)に示すようにマーカM1から遠ざかる方向に変位したとする。この場合にもマーカM1の画像の位置ずれは検出されない。しかし、画像データ中のマーカM1の画像の大きさは本来あるべき大きさよりも小さくなり、その変化量は図12(b)に示すようにトレランス情報T2で示される最小値判定基準T2minより小さくなる。このため、マーカM1の画像の大きさは許容範囲外と判定される。
【0045】
また、監視カメラCMの位置が、その光軸に沿って例えば図12(c)に示すようにマーカM1に近付く方向に変位したとする。この場合には画像データ中のマーカM1の画像の大きさは本来あるべき大きさよりも大きくなり、その変化量は図12(c)に示すようにトレランス情報T2で示される最大値判定基準T2maxより大きくなる。このため、マーカM1の画像の大きさは許容範囲外と判定される。
【0046】
なお、以上のステップS73,S74によるマーカ画像の大きさ判定処理は、前記ステップS70〜ステップS72により許容範囲を超えるマーカ画像の位置ずれが検出されなかった場合に実行される。このようにすることで、不必要な判定処理が行われないようにすることができる。
【0047】
上記マーカ画像の位置ずれ判定処理及びマーカ画像の大きさの判定処理が終了すると、サーバ装置SVはステップS75に移行して、上記判定結果をもとに第1の構造物1a又は第2の構造物2aの構造異常の有無を判定する。この判定処理では、マーカM1〜M4の画像のいずれかに許容範囲を超える位置ずれが検出されるか、或いはマーカM1の画像の大きさが許容範囲を超えると判定された場合に、構造異常有りと判定される。これに対し、すべてのマーカM1〜M4の画像において許容範囲を超える位置ずれが検出されず、かつマーカM1の画像の大きさが許容範囲内と判定された場合には、構造異常無しと判定される。
【0048】
サーバSVは、上記判定処理により構造異常有りと判定された場合にはステップS76に移行する。そして、第1の構造物1aと第2の構造物2aの少なくとも一方に構造異常が発生したと判断し、その旨の報知メッセージを表示デバイス31に表示する。これに対し、上記判定処理により構造異常なしと判定された場合にはステップS77に移行する。そして、第1の構造物1a及び第2の構造物2aのいずれにも構造異常はないと判断し、その旨の報知メッセージを生成して表示デバイス31に表示する。なお、構造異常が発生した旨の報知メッセージを表示する際には、点滅表示したり、表示色を変えたり、同時に鳴音を発生させるようにしてもよい。
【0049】
なお、マーカ画像の位置ずれ検出するためのマーカ判定基準位置及びマーカ画像の大きさの変化を検出するためのマーカの大きさの基準範囲は、以下のように初期設定又は更新される。図8はその制御手順と制御内容を示すフローチャートである。ここでは、監視カメラCMの基準点を固定したまま、マーカ判定基準位置とマーカの大きさの基準範囲を更新する場合を例にとって説明する。
すなわち、監視センタCSにおいて管理者が基準情報の設定要求を入力すると、サーバ装置SVは、ステップS82によりデータメモリ27に記憶されているカメラ基準位置を表す情報を読み出し、この基準位置情報を含む設定指示を更新対象の防災設備BS1に向け送信する。
【0050】
これに対しカメラサーバCSVは、ステップS83により上記設定指示を受信すると、先ずステップS84において監視カメラCMの姿勢を上記設定指示により指定された基準位置に設定する。次に、ステップS85において、監視カメラCMを移動(パン及びチルト)させることにより撮像方向をマーカの一つ(例えばM1)に向け、ステップS86により当該マーカを撮像させて、その撮像画像データをステップS87によりサーバ装置SVへ送信する。このマーカの撮像及び撮像画像データの送信処理は各マーカM1〜M4について順次行われ、すべてのマーカM1〜M4の撮像及び送信の終了がステップS88で検出されると、待ち受け状態に復帰する。
【0051】
サーバ装置SVは、ステップS89で上記各マーカM1〜M4の撮像画像データを受信しデータメモリ27に保存すると、先ずステップS90により当該各画像データに対し画像処理を行ってそれぞれマーカ画像を検出する。また、それと共にステップS91において、上記各マーカM1〜M4の撮像画像データを得るために移動させた監視カメラCMの移動量をカメラサーバCSVから取得する。次に、サーバ装置SVはステップS92において監視カメラCMの基準点を基点としたマーカの位置を算出し、ステップS93において上記算出されたマーカの位置を表す情報を新たなマーカ判定基準位置の情報としてデータメモリ27の基準情報記憶部271に記憶させる。
【0052】
次に、サーバ装置SVはステップS94において、上記各撮像画像データに含まれるマーカM1〜M4の大きさをその画素数等をもとに算出し、ステップS95において上記算出されたマーカ画像の大きさをもとに大きさの基準範囲を算出して、これをステップS96によりマーカ画像の大きさの新たな基準範囲としてデータメモリ27の基準情報記憶部271に記憶させる。
【0053】
なお、ここでは基準点を固定し、マーカ位置を修正、更新する場合を例にとって説明したが、監視カメラCMの移動量によって基準点を再設定するほうが迅速に処理できる場合には、例えば全マーカの基準点からの移動量から、全マーカの中心位置を算出し、当該中心位置を新たな基準点として設定するようにしてもよい。
【0054】
以上述べたように第1の実施形態では、電源装置及びカメラサーバCSVが収容される第1の構造物1aの上面部四隅に4個のマーカM1〜M4を設置し、これらのマーカM1〜M4を第2の構造物2a上に設置された監視カメラCMによりそれぞれ撮像してその撮像画像データをカメラサーバCSVから監視センタのサーバ装置SVへ送る。そしてサーバ装置SVにおいて、上記送られた撮像画像データ中におけるマーカ画像の基準位置に対する位置ずれを算出して、この算出された位置ずれが許容範囲内であるか否かを判定し、その判定結果に基づいて第1及び第2の構造物1a,2aの相対的構造異常の発生の有無を判定するようにしている。
【0055】
したがって、例えば地震や台風の影響により防災設備BS1〜BSnの構造物に位置ずれや傾き、損壊等の状態変化が発生した場合に、この構造の変位を監視センタCSにおいていち早くかつ確実に判定することが可能となる。そして、この判定を受けて復旧工事の準備を開始するなど、適切な対応策を迅速に講じることが可能となる。また、監視員による防災設備BS1〜BSnの見回りが不要となる。このため、監視員を危険かつ時間を要する見回り作業から開放することができ、これにより監視員の負担を大幅に軽減することができる。
【0056】
しかも、監視対象物の監視に使用している既存の監視カメラCMを利用してマーカM1〜M4の撮像を行い、かつ撮像画像データを監視センタCSに伝送する通信手段についても既存のカメラサーバCSVなどを利用して行っている。このため、マーカM1〜M4の撮像及び伝送用に別途カメラとカメラサーバを設ける必要がなく、これにより比較的少ない設備追加で安価に実現できる利点がある。
【0057】
また第1の実施形態では、上記位置ずれの判定処理において許容範囲を超える位置ずれが検出されなかった場合に、撮像画像データ中に含まれるマーカ画像の大きさの変位を算出し、この算出されたマーカ画像の大きさが許容範囲内であるか否かを選択的に判定することにより、構造異常の発生の有無を判定するようにしている。このため、マーカが1個しか使えない場合で、しかも監視カメラCMの位置がマーカの撮像方向に沿って変位した場合でも、監視カメラCMの移動を検出することが可能となる。
【0058】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態は、防災設備BS1〜BSnに、マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化を生じさせる要因となる周辺の環境条件の変化を測定するセンサ群を設け、監視センタにおいて、上記防災設備のセンサ群により測定された環境条件の変化を表す情報をもとに、マーカ画像の位置ずれ量及び大きさが許容範囲内であるか否かを判定するために使用する第1のトレランス情報T1及び第2のトレランス情報T2の値を補正するようにしたものである。
【0059】
図13はこの発明の第2の実施形態における防災設備BS1〜BSnの構成を示す図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付してある。
箱形をなす第1の構造物1b内には、前記第1の実施形態と同様に電源装置及びカメラサーバCSVが収容されている。また上記第1の構造物1bの上面部四隅には、4個のマーカM1〜M4が設置されている。
【0060】
一方、櫓状に構成される第2の構造物2bの上部には、警報装置RS、監視カメラCM及びセンサユニットSUが設置されている。センサユニットSUは、第2の構造物2bに振動を与える原因となる風力(又は風速)を検出する風力(又は風速)センサと、同様に第2の構造物2bに振動を与える原因となる周辺の通行車両の交通量を測定する交通量センサとを備える。なお、上記風力(又は風速)センサ及び交通利用センサに代えて、第2の構造物2bで発生する振動を直接検出する振動センサや加速度センサ等を設けてもよい。
【0061】
図14は、上記防災設備BS1〜BSnに設けられる監視カメラCM及びセンサユニットSUと、第1の構造物1b内のカメラサーバCSVの構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図4と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
カメラサーバCSVの制御部140は、カメラ本体11の撮像方向を制御する機能と、カメラ本体11から出力された撮像画像信号を符号化して監視センタCSのサーバ装置SVへ送信する機能と、センサユニットSUにより測定されたデータを符号化して監視センタCSのサーバ装置SVへ送信する機能とを備える。
【0062】
一方、サーバ装置SVは次のように構成される。図15はその機能構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図5と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。すなわち、データメモリ27には、トレランス情報選択テーブル273が設けられている。このトレランス情報選択テーブル273には、例えば図16に示すように、想定される風力測定値a1,a2,…,amと交通量の測定値b1,b2,…,bmに対応付けて、第1のトレランス情報の最適値T11,T12,…,T1m及び第2のトレランス情報の最適値T21,T22,…,T2mが記憶されている。
【0063】
プログラムメモリ23には、第2の監視処理プログラム25の一つとしてトレランス情報補正プログラム254が新たに格納されている。このトレランス情報補正プログラム255は、マーカ画像の位置ずれ量及び大きさが許容範囲内か否かを判定する際に、防災設備BS1〜BSnから取得した風力センサ及び通行利用センサの測定データをもとに、現時点の環境条件において最適なトレランス情報を上記トレランス情報選択テーブル273から読み出す処理を、CPU21に実行させる。
【0064】
次に、以上のように構成された防災監視システムによる防災設備BS1〜BSnの監視動作を説明する。図17及び図18は、防災設備BS1〜BSnの監視カメラCM及びカメラサーバCSVと、監視センタCSのサーバ装置SVによる制御手順と制御内容を示すフローチャートであり、前記図6及び図7と同一部分には同一符号を付してある。
【0065】
カメラサーバCSVは、ステップS67により1個のマーカの撮像画像データの送信処理が終了すると、ステップS81に移行してセンサユニットSUからこの時点での風力測定データ及び通行量測定データをそれぞれ取得し、これらの測定データをステップS82により通信I/F13からサーバ装置SVへ送信させる。
【0066】
これに対しサーバ装置SVでは、ステップS69で撮像画像データを受信すると、続いてステップS83において上記測定データを受信する。そして、ステップS84において、上記受信された測定データをもとにトレランス情報選択テーブル273から上記測定データに対応する第1のトレランス情報T11,…を読み出す。続いて、ステップS72により、ステップS71により算出されたマーカ画像の位置ずれ量を、上記読み出された第1のトレランス情報T11,…により示される許容範囲と比較して、上記位置ずれ量が許容範囲内か否かを判定する。すなわち、マーカ画像の位置ずれの判定処理において、その時々の環境条件、つまり風力と通行量による振動を考慮して、位置ずれ量が許容範囲内か否かが判定される。
【0067】
また、マーカ画像の大きさの変化が許容範囲内か否かを判定する際に、ステップS85により、上記受信された測定データをもとにトレランス情報選択テーブル273から上記測定データに対応する第2のトレランス情報T21,…を読み出す。続いて、ステップS74において、ステップS73により算出されたマーカ画像の大きさを、上記トレランス情報選択テーブル273から読み出された第2のトレランス情報T21,…により示される許容範囲と比較して、上記マーカ画像の大きさが許容範囲内であるか否かを判定する。すなわち、マーカ画像の大きさの判定処理においても、前記マーカ画像の位置ずれ判定処理の場合と同様に、その時々の環境条件、つまり風力と通行量による振動を考慮して、マーク画像の大きさが許容範囲内か否かが判定される。
【0068】
そして、上記マーカ画像の位置ずれ判定処理及びマーカ画像の大きさの判定処理が終了すると、サーバ装置SVはステップS75に移行して、上記判定結果をもとに第1の構造物1b又は第2の構造物2bの構造異常の有無を判定し、その判定結果をステップS76及びステップS77により表示デバイス31に表示する。
【0069】
以上述べたように第2の実施形態では、各防災設備BS1〜BSnに環境条件を測定するセンサユニットSUを設けると共に、サーバ装置SUに環境条件に対応付けて最適なトレランス情報を記憶したトレランス情報選択テーブル273を設けている。そして、マーカ画像の位置ずれ量及び大きさが許容範囲内かどうかを判定する際に、上記センサユニットSUから取得した測定データに対し最適なトレランス情報を上記トレランス情報選択テーブル273から読み出して上記判定に供するようにしている。
【0070】
したがって、マーカ画像の位置ずれの判定処理及び大きさの判定処理において、その時々の環境条件、つまり風力と通行量による振動を考慮して位置ずれ量及び大きさが許容範囲内か否かを判定することができる。この結果、防災設備周辺の環境条件が如何に変化しようとも、常に適切なトレランス情報を用いて構造物の異常発生の有無を判定することが可能となる。
【0071】
(その他の実施形態)
前記第1の実施形態では、サーバ装置SVが、4個のマーカM1〜M4の撮像画像データをすべて取得したのち、そのそれぞれについて位置ずれ又は大きさの判定処理を実行するようにした。しかし、それに限るものではなく、1個のマーカの撮像画像データを取得するごとに位置ずれ又は大きさの判定処理を実行するようにしてもよい。このようにすれば、例えば1個目のマーカの撮像画像データにおいて位置ずれが検出されれば、以後他のマーカの撮像動作等を不要にすることができ、これにより防災設備の構造異常の判定処理に要する時間を短縮すると共に、サーバ装置SVの処理負担を軽減することができる。
【0072】
前記第2の実施形態では、防災設備のセンサユニットSUから取得した測定データをもとに、その時々の環境条件が反映された第1及び第2のトレランス情報T1,T2を選択して判定に使用するようにした。しかし、それに限らず、センサユニットSUから取得した測定データを予め設定したしきい値と比較して、これにより現在の環境条件が判定に適した条件であるかどうかを判定する。そして、現在の環境条件が判定に適した条件にあると判定された場合に、図17及び図18に示すステップS70以降の判定処理を実行し、適さないと判定された場合には当該判定処理を行わないようにしてもよい。
このようにすると、例えば地震が発生しているときや風が強く構造物の揺れが大きいとき、また通行車両が多くその振動が大きいときには、監視カメラCMの撮像画像データを用いた構造物の変位の判定が停止される。このため、風による構造物の揺れや通行車両の通過に伴う振動などによる影響を排除して、構造物の異常を正確に判定することが可能となる。
【0073】
前記第2の実施形態では、マーカ画像の撮像及び伝送処理後にセンサユニットSUの測定データを取得するようにした。しかしそれに限らず、マーカ画像の撮像及び伝送処理に先立ちセンサユニットSUの測定データをサーバ装置SVが取得して、この取得した測定データを予め設定したしきい値と比較することにより現在の環境条件が判定に適した条件であるかどうかを判定する。そして、現在の環境条件が判定に適した条件にあると判定された場合に、図17及び図18に示すステップS62以降の処理を実行し、適さないと判定された場合には当該処理を行わないようにしてもよい。
このようにすると、環境条件が悪化している状況下では、マーカ画像の判定処理だけでなくマーカ画像の撮像及び伝送処理も停止することができ、これによりカメラサーバCSV及びサーバ装置SVの処理負担を軽減することができる。
【0074】
前記第1及び第2の実施形態では、サーバ装置SVにおいて監視タイミングを周期的に設定し、監視タイミングが到来するごとに防災設備BS1〜BSnに対し監視指示を送信してマーカの撮像処理及びその撮像画像データを使用した位置ずれ等の判定処理を実行するようにした。しかし、それに限らず、防災設備BS1〜BSnに、第2の実施形態のように風力センサや通行量センサ、或いはこれらに代わる振動センサを設け、これらのセンサ群の測定データが環境条件の悪化を示す第1のしきい値を超えた場合に、これをトリガとしてマーカの撮像処理及びその撮像画像データを使用した位置ずれ等の判定処理を開始するようにしてもよい。
【0075】
このようにすると、防災設備BS1〜BSnにおいて構造物に異常が発生するおそれがある環境条件になった場合にのみ、防災設備BS1〜BSnの構造異常判定処理が実行されることになる。したがって、無駄な判定処理が実行されることを防止して、河川や山の斜面等の監視対象物に対する本来の監視動作をできる限り阻害しないようにすることができる。
【0076】
なお、上記トリガを発生する処理は、防災設備BS1〜BSnで行ってもよく、またサーバ装置SVにおいて行ってもよい。さらに、上記トリガは、センサ群の測定データが環境条件の悪化を示す第1のしきい値を超え、その後測定データが環境条件が平静状態に落ち着いたことを示す第2のしきい値未満に低下したことが検出された時点で発生するように設定するとよい。このようにすると、環境条件が悪化した状態から平静状態に落ち着いたのちに構造物の異常判定処理が実行されることになるので、環境条件の影響を受けることなく、また環境条件の影響を軽減するための種々対策を講じることなく正確な判定を行うことが可能となる。
【0077】
前記第1及び第2の実施形態では、マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化をもとに第1の構造物と第2の構造物との間の相対的な変位を検出し、この変位を防災設備BS1〜BSnの構造異常として判定するようにした。しかし、例えば地滑りが発生し、これにより防災設備BS1〜BSnがその第1の構造物と第2の構造物との相対的位置関係を保ったまま移動したような場合には、上記マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化だけでは異常を検知できない。
【0078】
そこで、このような場合にも異常を検知できるようにするため、次のような手段を講じることが好ましい。
すなわち、サーバ装置SVにおいてオペレータによる周辺画像の撮像指示要求を受け付け、この撮像指示要求を調査対象の防災設備に向け送信する。これに対し防災設備では、カメラサーバCSVが上記撮像指示要求に応じて監視カメラCMの姿勢を変化させ、これにより予め定められた不変物、例えば星や星座などの天体や遠方の山並みなどの景色を撮像させる。そして、これにより得られた不変物の撮像画像データを通信I/F13からサーバ装置SVへ送信する。
【0079】
サーバ装置SVは、上記防災設備から送られた不変物の撮像画像データを受信し、この撮像画像データ中から不変物の画像を検出する。そして、予め記憶されている基準位置に対する上記不変物の画像位置の位置ずれを算出し、その位置ずれ量が許容範囲内であるか否かを判定する。そして、この判定の結果、位置ずれ量が許容範囲内であれば防災設備の移動はないものと判定し、一方位置ずれ量が許容範囲を超えている場合には防災設備が移動していると判定する。
このように構成することで、地滑りなどにより、防災設備BS1〜BSnが第1の構造物と第2の構造物との相対的位置関係を保ったまま移動したような場合でも、その異常を確実に検知することができる。
【0080】
前記第1及び第2の実施形態では、パン、チルト駆動により撮像方向を可変するタイプの監視カメラCMを使用した場合を例にとって説明したが、全方位カメラを使用することも可能である。全方位カメラは全方位のパノラマ画像を画像処理により作成する。このため、作成されたパノラマ画像と予め記憶しておいた基準画像とを撮像方向を同期させて画像のパターンマッチング処理により比較し、一致するパターンの位置ずれを検出することにより、監視対象物の位置ずれを判定することが可能である。
【0081】
前記第1及び第2の実施形態では、監視センタCSにおいて1台のサーバSVによりすべての処理を実行する場合を例にとって説明したが、複数台のサーバ装置を併用するように構成してもよい。例えば、撮像画像データから位置ずれなどを検出するための画像処理と、防災設備との間の通信処理と、その他の制御演算処理とを別々のサーバ装置により分散処理するとよい。
【0082】
その他、防災設備の設置目的やその構造、監視かカメラ及びマーカの設置位置、監視カメラ及びマーカの種類とその数、サーバ装置の構成、通信ネットワークの種類とその構成、マーカ画像の位置ずれ判定処理及び大きさの判定処理の手順とその内容などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0083】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】この発明に係わる防災監視システムの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示したシステムの防災設備の構成を示す図である。
【図3】図2に示した防災設備におけるマーカの取り付け構造の一例を示すものである。
【図4】図2に示した防災設備に設置される監視カメラ及びカメラサーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示したシステムにおけるサーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図6】図4に示した監視カメラ及びカメラサーバと、図5に示したサーバ装置による制御手順と制御内容の前半部分を示すフローチャートである。
【図7】図4に示した監視カメラ及びカメラサーバと、図5に示したサーバ装置による制御手順と制御内容の後半部分を示すフローチャートである。
【図8】マーカ判定基準位置及びマーカの大きさの基準範囲の設定制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【図9】マーカ画像の位置ずれ判定処理の説明に使用するための図である。
【図10】マーカ画像の位置ずれ判定処理の説明に使用するための図である。
【図11】マーカ画像の位置ずれ判定処理の説明に使用するための図である。
【図12】マーカ画像の大きさ判定処理の説明に使用するための図である。
【図13】この発明の第2の実施形態に係わる防災監視システムで使用される防災設備の構成を示す図である。
【図14】図13に示した防災設備に設置される監視カメラ、カメラサーバ及びセンサユニットの構成を示すブロック図である。
【図15】この発明の第2の実施形態に係わる防災監視システムで使用されるサーバ装置の機能構成を示すブロック図である。
【図16】図15に示したサーバ装置に設けられるトレランス情報選択テーブル構成の一例を示す図である。
【図17】図14に示した監視カメラ及びカメラサーバと、図15に示したサーバ装置による制御手順と制御内容の前半部分を示すフローチャートである。
【図18】図14に示した監視カメラ及びカメラサーバと、図15に示したサーバ装置による制御手順と制御内容の後半部分を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0085】
BS1〜BSn…防災設備、CS…監視センタ、SV…サーバ装置、NW…通信ネットワーク、CM…監視カメラ、RS…警報装置、CSV…カメラサーバ、SU…センサユニット、M1〜M4…マーカ、1a,1b…第1の構造物、2a,2b…第2の構造物、11…カメラ本体、12…カメラ駆動部、13…カメラサーバの通信I/F、14…カメラサーバの制御部、21…CPU、22…バス、23…プログラムメモリ、24…第1の監視処理プログラム、25…第2の監視処理プログラム、26…判定結果出力制御プログラム、27…データメモリ、28…サーバ装置の通信I/F、29…入出力I/F、30…入力デバイス、31…表示デバイス、251…カメラ撮像制御プログラム、252…マーカ位置ずれ判定プログラム、253…マーカ大きさ判定プログラム、254…異常判定プログラム、255…トレランス情報補正プログラム、271…基準情報記憶部、272…トレランス情報記憶部、273…トレランス情報選択テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物を監視可能な場所に設置される防災設備と、この防災設備に対し通信ネットワークを介して接続される監視センタとを具備する防災監視システムであって、
前記防災設備は、
第1の構造物に固定的に設置されたマーカと、
前記第1の構造物とは異なる第2の構造物に設置され、前記監視対象物及び前記マーカをそれぞれ撮像して、前記監視対象物の画像を含む第1の画像データと、前記マーカの画像を含む第2の画像データを出力する監視カメラと、
前記監視カメラから出力された第1及び第2の画像データを前記通信ネットワークを介して前記監視センタへ送信する送信手段と
を備え、
前記監視センタは、
前記防災設備から前記通信ネットワークを介して送信された第1及び第2の画像データを受信する受信手段と、
前記受信された第1の画像データをもとに前記監視対象物の状態の変化を検出する第1の監視処理手段と、
前記受信された第2の画像データに含まれるマーカ画像の状態を、予め記憶されている前記マーカの初期設置状態を表す基準情報と比較し、その比較結果をもとに前記第1の構造物に対する第2の構造物の変位の有無を判定する第2の監視処理手段と、
前記第2の構造物の変位の有無の判定結果を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする防災監視システム。
【請求項2】
前記監視センタの第2の監視処理手段は、
マーカ画像の位置ずれの許容範囲を表す第1のトレランス情報を記憶する記憶手段と、
前記受信された第2の画像データ中におけるマーカ画像の位置と、前記基準情報により示されるマーカ画像の基準位置との間の位置ずれ量が、前記第1のトレランス情報の範囲を超えているか否かを判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段によりマーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲を超えていると判定された場合に、前記第2の構造物に変位が発生したと判断する手段と
を備えることを特徴とする請求項1記載の防災監視システム。
【請求項3】
前記監視センタの第2の監視処理手段は、
マーカ画像の大きさの許容範囲を表す第2のトレランス情報を記憶する手段と、
前記第1の判定手段によりマーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲内と判定された場合に、前記受信された第2の画像データに含まれるマーカ画像の大きさが前記第2のトレランス情報の範囲を超えているか否かを判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段によりマーカ画像の大きさが第2のトレランス情報の範囲を超えていると判定された場合に、前記第2の構造物に変位が発生したと判断する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項2記載の防災監視システム。
【請求項4】
前記防災設備は、
前記マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化を生じさせる要因となる周辺の環境条件の変化を測定するセンサと、
前記センサにより測定された環境条件の変化を表す情報を前記通信ネットワークを介して前記監視センタへ送信する手段と
を、さらに備え、
前記監視センタの第2の監視処理手段は、
前記防災設備から送信された前記環境条件の変化を表す情報を受信する手段と、
前記受信された環境条件の変化を表す情報により示される値に応じて、前記第1のトレランス情報又は第2のトレランス情報を補正する手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項2又は3記載の防災監視システム。
【請求項5】
前記防災設備は、
前記マーカ画像の位置ずれ又は大きさの変化を生じさせる要因となる周辺の環境条件の変化を測定するセンサと、
前記センサにより測定された環境条件の変化を表す情報を前記通信ネットワークを介して前記監視センタへ送信する手段と
を、さらに備え、
前記監視センタの第2の監視処理手段は、
前記防災設備から送信された前記環境条件の変化を表す情報を受信する手段と、
前記受信された環境条件の変化を表す情報により示される値が、予め定められたしきい値以下であるか否かを判定する手段と、
前記環境条件の変化を表す情報により示される値が前記しきい値以下の期間に前記第1又は第2の判定手段による判定処理を行わせ、それ以外の期間には前記第1及び第2の判定手段による判定処理を停止させる手段と
を、さらに備えることを特徴とする請求項2又は3記載の防災監視システム。
【請求項6】
前記防災設備の監視カメラは、監視場所から見通せる位置に存在する位置不変な基準物を撮像して、前記位置不変な基準物の画像を含む第3の画像データを出力する手段をさらに備え、
前記防災設備の送信手段は、前記監視カメラから出力された第3の画像データを前記通信ネットワークを介して前記監視センタへ送信する手段を備え、
前記監視センタの受信手段は、前記防災設備から前記通信ネットワークを介して送信された第3の画像データを受信する手段をさらに備え、
前記監視センタの第2の監視処理手段は、
前記第1の判定手段によりマーカ画像の位置ずれ量が第1のトレランス情報の範囲内と判定された場合に、前記受信された第3の画像データを予め記憶されている前記基準物の位置に対応する基準画像データと比較し、その比較結果をもとに地面に対する前記第1及び第2の構造物の変位の有無を判定する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1記載の防災監視システム。
【請求項7】
前記監視センタは、
前記基準画像データの登録要求を受け付ける手段と、
前記登録要求に応じ、前記通信ネットワークを介して前記監視カメラの撮像方向を遠隔的に調整する手段と、
前記撮像方向が調整された状態で、防災設備から受信された第2の画像データを前記基準画像データとして記憶する手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の防災監視システム。
【請求項8】
監視対象物を監視可能な場所に設置されかつ監視センタに対し通信ネットワークを介して接続される防災設備であって、
第1の構造物に固定的に設置されたマーカと、
前記第1の構造物とは異なる第2の構造物に設置され、前記監視対象物及び前記マーカをそれぞれ撮像して、前記監視対象物の画像を含む第1の画像データと、前記マーカの画像を含む第2の画像データを出力する監視カメラと、
前記監視カメラから出力された第1及び第2の画像データを前記通信ネットワークを介して前記監視センタへ送信する送信手段と
を具備することを特徴とする防災設備。
【請求項9】
監視対象物を監視可能な場所に設置され、第1の構造物にマーカを固定的に設置すると共に、前記第1の構造物とは異なる第2の構造物に監視カメラを設置し、この監視カメラにより前記監視対象物及び前記マーカをそれぞれ撮像して、前記監視対象物の画像を含む第1の画像データ及び前記マーカの画像を含む第2の画像データを送信する機能を有する防災設備に対し、通信ネットワークを介して接続される監視センタであって、
前記防災設備から前記通信ネットワークを介して送信された第1及び第2の画像データを受信する受信手段と、
前記受信された第1の画像データをもとに前記監視対象物の状態の変化を検出する第1の監視処理手段と、
前記受信された第2の画像データに含まれるマーカ画像の状態を、予め記憶されている前記マーカの初期設置状態を表す基準情報と比較し、その比較結果をもとに前記第1の構造物に対する第2の構造物の変位の有無を判定する第2の監視処理手段と、
前記第2の構造物の変位の有無の判定結果を出力する出力手段と
を具備することを特徴とする監視センタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−272558(P2007−272558A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97348(P2006−97348)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(503368214)社団法人東北建設協会 (7)
【Fターム(参考)】