説明

防犯機能付き携帯電話機

【課題】 携帯電話に防犯音発生機能を付加する場合、防犯音要求入力方法として押しボタンキーなどを用いると、誤操作などにより緊急事態でないのに防犯音が誤動作し周囲に迷惑を与える危険がる。
【解決手段】 防犯音発生要求があると最初は音量の小さな初期防犯音を発生させ、初期防犯音がT2タイマ14の設定時間を経過すると音量の大きな通常防犯音を発生させる2段階とし、初期防犯音の段階は取り消し操作により防犯音発生を停止させることで、誤操作による大きな音の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防犯音を発生する機能をもつ携帯電話機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】緊急時に、防犯音を発生するものとしては防犯ブザーがあるが、新たに購入しなければならないし、わざわざ常時携帯する必要がある。一方、昨今の携帯電話機の普及にともない、多くの人が携帯電話機を持つ時代になった。また携帯電話機は、常時使用するものであるから携帯することを忘れることが少ない。そこで携帯電話機装置に防犯音発生機能を組み込んだものが、例えば特開平11−164057号に示されている。これは緊急時に、携帯電話機の押しボタンキーからの入力やストラップを引き抜くことで、大きな音を発生る方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平11−164057号に記載の方法は、間違って防犯音を発生させたときの対策がない。押しボタンキーなどは間違って押し、防犯音が動作する確率が高い。ストラップの引き抜きは誤操作の危険は少なくなるが、誤判断でストラップを引き抜くこともあり、誤動作に対し万全ではない。またストラップを引き抜くことで動作する新しいスイッチを携帯電話機に装備せねばならない。
【0004】本発明の目的は、特殊なキーを用いることなく、従来の携帯電話機に設けられている押しボタンキーなどにより防犯音の発生要求を行っても、誤動作により生じる大きな防犯音の発生を防ぐ経済的な防犯機能付きの携帯電話機を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、防犯音を発生する機能を備えた携帯電話機であって、防犯音要求入力手段と、防犯音要求検出手段と、初期防犯音発生手段と、初期防犯音リセット手段と、通常防犯音発生手段と、タイマとを具備し、前記防犯音要求入力手段から防犯音要求が入力され、前記防犯音要求検出手段で防犯音要求を検出すると前記初期防犯音発生手段により初期防犯音を発生し、初期防犯音の発生開始から前記タイマに設定された時間以内に前記初期防犯音リセット手段によりリセットが行われると、初期防犯音の発生を停止し、前記タイマに設定された時間以内に前記初期防犯音リセット手段によりリセットが行われないと、前記通常防犯音発生手段により通常防犯音を発生させることを特徴とする防犯機能付き携帯電話機を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の携帯電話機の防犯音発生に関する部分の構成例を示すブロック図で、押しボタンキーなどで構成されるマンマシンインタフェース10とCPU11、音声コーデック17、スピーカ19からなる。これらはいずれも携帯電話機の発着信通話を行う際に使用されるブロックの一部である。CPU11は、キー割り込み検出部12、T1タイマ13、T2タイマ14を持つ。また音声コーデック15はトーンジェネレータ16を持っている。
【0007】以下本発明について詳細に説明する。図2に制御フローを示す。CPU11は常時、マンマシンインタフェース10からのキー割り込み信号があるかをキー割り込み検出部12で見ている。マンマシンインタフェース10からの防犯音要求を入力するキー操作としては、誤操作を防ぐために、一つのキーだけでなく、複数のキーを同時に押すことで行うのが望ましい。例えば携帯電話機のダイヤル操作のための数字キーに対応させるとすると、数字キー「1」と「2」を同時に押すとか、数字キー「1」と「2」と「3」を同時に押すなどが考えられる。もちろん数字キーだけでなくファンクションキーなどと一緒に押してもよい。また特殊なキーを防犯音要求用に設けてもよい。本例では通常の携帯電話機に装備されている押しボタンキーを使用するものとして説明する。キーが押されたことをキー割り込み検出部12が検出すると、防犯音要求のキー割り込みかを見る(STEP101)。防犯音要求のキー割り込みでなければ(STEP101でNO)、CPU11は他の処理を行い、防犯音要求割り込みを待つ(STEP101でNOのループ)。もし防犯音要求の割り込みであると(STEP101でYES)、T1タイマ13を起動し、T1時間防犯音要求のキーが押されているかを見る(STEP102)。T1時間防犯音要求のキーが押されなければ、すなわち防犯音要求のキー操作として、数字キー「1」と「2」の同時押下が対応していたとすると、数字キー「1」と数字きー「2」の双方のキーがT1時間押し続けられていなければ(STEP102でNO)、防犯音要求とはみなさず、最初にもどり、割り込みを待つ。T1は長くとれば誤動作にたいする効果が大きくなるが、緊急時の押し易さも考慮すると数秒程度が望ましい。
【0008】もし、防犯音要求のキーの押下がT1時間続けば(STEP102でYES)、CPU11は防犯音要求と判断し、音声コーデック15に初期防犯音発生を指示し、音声コーデック15のトーンジェネレータ16は初期防犯音を発生しスピーカ17を駆動する(STEP103)。初期防犯音とは、通常防犯音よりはるかに小さな音で、防犯音を要求したユーザには聞こえるが、周りの人に緊急事態を知らせるような大きな音ではないものとする。CPU11は初期防犯音を発生させると(STEP103)、T2タイマ14を起動し、T2時間内に初期防犯音取り消し操作が行われるかを見る(STEP104)。初期防犯音取り消し操作は、携帯電話機の数字キーなどのキーのどれかを押すことでもよいし、携帯電話機の電源スイッチをオフすることでもよい。図1では、音声コーデック15へ電源スイッチオフの信号をリセット信号として入力することで、初期防犯音取り消し操作としている。T2時間内に取り消し操作が行われると(STEP104でYES)、CPU11は初期防犯音の発生を停止し(STEP105)、最初にもどる。
【0009】もしT2時間、初期防犯音取り消し操作がなければ(STEP104でNO)、以後の初期防犯音の取り消し操作の機能を停止し(STEP106)、音声コーデック15のトーンジェネレータ16から通常防犯音を発生させ、スピーカ17を駆動する(STEP107)。通常防犯音は周囲に緊急事態発生を知らせるために極めて大きな音である。そしてひとたび通常防犯音の発生になると、取り消し操作の機能は停止しているので携帯電話機の電源スイッチを切っても通常防犯音は停止しない。これを停止させるには、携帯電話機の電池パックを取り外すなどのハード的な操作を行わなければならない。T2の時間としては、初期防犯音が聞こえてから、間違ったと判断し取り消し操作ができる時間が必要である。長くすれば誤動作の取り消しに十分な時間がとれるが、緊急時であるので早急な通常防犯音の発生も必要で、10秒ないし20秒程度が望ましいであろう。
【0010】以上詳細に説明したように、本発明は発生する防犯音を音量の小さい初期防犯音と音量のきわめて大きい通常防犯音の2段階とし、初期防犯音は取り消し操作を行えるので、誤って動作させてしまっても対処可能である。
【0011】
【発明の効果】本発明により以下の効果がある。
(1)携帯電話機という多くの人が携帯する機器に防犯音発生機能が具備されているので、防犯ブザーを別に携帯するなどの必要がない。
(2)防犯音として初期防犯音と通常防犯音の2段階で、初期防犯音は取り消し可能なので、誤動作に強い。
(3)防犯音発生の手段は、従来の携帯電話機にある押しボタン、プロセッサ、スピーカなどを流用できるので経済的に防犯音発生機能が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯電話機の防犯音発生部分のブロック図である。
【図2】本発明の動作フローである。
【符号の説明】
10 マンマシンインタフェース部
11 CPU
12 キー割り込み部
13 T1タイマ
14 T2タイマ
15 音声コーデック
16 トーンジェネレータ
17 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 防犯音を発生する機能を備えた携帯電話機であって、防犯音要求入力手段と、防犯音要求検出手段と、初期防犯音発生手段と、初期防犯音リセット手段と、通常防犯音発生手段と、タイマとを具備し、前記防犯音要求入力手段から防犯音要求が入力され、前記防犯音要求検出手段で防犯音要求を検出すると前記初期防犯音発生手段により初期防犯音を発生し、初期防犯音の発生開始から前記タイマに設定された時間以内に前記初期防犯音リセット手段によりリセットが行われると、初期防犯音の発生を停止し、前記タイマに設定された時間以内に前記初期防犯音リセット手段によりリセットが行われないと、前記通常防犯音発生手段により通常防犯音を発生させることを特徴とする防犯機能付き携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−268172(P2001−268172A)
【公開日】平成13年9月28日(2001.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−76261(P2000−76261)
【出願日】平成12年3月17日(2000.3.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】