説明

電力供給システム

【課題】複数の電力供給装置が電力変換装置を介して接続されることで形成される電力供給システムで、移動体の駆動装置への電力供給に際して、その供給効率の低下を可及的に回避する。
【解決手段】移動体の駆動源として機能する第一駆動装置及び第二駆動装置に電力を供給する電力供給システムであって、燃料電池と蓄電装置が電力変換装置を介して接続されるとともに、燃料電池からは電力変換装置を介することなく第一駆動装置に、且つ蓄電装置からは電力変換装置を介することなく第二駆動装置に電力を各々供給することが可能で、移動体からの出力要求が通常出力要求であるときは、各駆動装置への電力供給は、それぞれ燃料電池及び蓄電装置によって為され、移動体からの出力要求において第一駆動装置に供給すべき電力が燃料電池によって発電可能な電力を超えるときのみ、電力変換装置を介して蓄電装置から第一駆動装置への電力供給が許可される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の駆動装置に電力を供給する電力供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、運転効率および環境性に優れる電源として燃料電池が注目されている。燃料電池は燃料ガスの供給量を制御して要求に応じた電力を出力するが、ガス供給量の応答遅れに起因して、出力電力の応答性が低くなる場合がある。そこで、燃料電池とバッテリ(蓄電装置)とを並列に接続して電源を構成し、燃料電池の出力電圧をDC−DCコンバータで変換することにより、バッテリと燃料電池の併用を図っている。このとき、DC−DCコンバータを介さずに燃料電池からの供給電力で駆動される第一の駆動モータと、該DC−DCコンバータを介さずにバッテリからの供給電力で駆動される第二の駆動モータとを移動体に設け、移動体からの要求出力に応じて各駆動モータへの電力供給を制御する技術が公開されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また、移動体の駆動装置を駆動するための電力供給において、DC−DCコンバータを介して燃料電池とバッテリが接続されて形成された電源システムが公開されている(例えば、特許文献2を参照)。この電源システムにおいては、駆動モータがDC−DCコンバータを介さずに燃料電池から電力供給を受けることが可能なように該電源システムに接続されており、そして燃料電池からの電力の供給割合を所定範囲に設定することで、DC−DCコンバータによる電力損失を抑えることが可能となる。
【特許文献1】特開2006−141097号公報
【特許文献2】特開2002−118979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池から移動体の駆動装置に電力を供給する場合、燃料電池への燃料ガス(例えば、水素等)の供給応答が低い等の理由で、駆動装置への電力供給が不安定となる場合がある。そこで、電力供給をより安定化させるために該燃料電池に加えてバッテリ等の蓄電装置を利用する場合があり、このように出力特性の異なる電力供給源はDC−DCコンバータ等の電力変換装置で接続されるのが一般である。
【0005】
このように複数の電力供給装置がDC−DCコンバータ等の電力変換装置を介して接続されることで形成される電力供給システムでは、駆動装置への電力供給を安定的に行うことが可能となる。しかし、その電力供給の形態によっては、電力供給装置から駆動装置に電力が供給されるときDC−DCコンバータ等を経由することで、そこで電力損失が生じ、以て電力供給システムとして電力供給の効率が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、複数の電力供給装置がDC−DCコンバータ等の電力変換装置を介して接続されることで形成される電力供給システムで、移動体の駆動装置への電力供給に際して、その供給効率の低下を可及的に回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては、上記課題を解決するために、燃料電池と蓄電装置の二つの電力供給装置がDC−DCコンバータ等の電力変換装置を介して接続されることで形成される電力供給システムにおいて、電力変換装置を介さずに各電力供給装置からの供給電力を受けることが可能となるように、移動体に二つの駆動装置を設けるとともに、発電が可能な燃料
電池から直接、電力供給を受ける駆動装置について、電力変換装置を介して電力供給される条件を一定の条件に制限した。このようにすることで、電力変換装置での電力損失を可及的に回避することができる。
【0008】
そこで、より具体的には、本発明は、移動体に搭載され、該移動体の駆動源として機能する第一駆動装置及び第二駆動装置に電力を供給する電力供給システムであって、電力供給装置からの供給電力の出力特性の変換を行う電力変換装置と、酸素を含む酸化ガスと水素を含む燃料ガスとの電気化学反応によって発電された電力を、前記電力変換装置を介することなく前記第一駆動装置に電力を供給することが可能な、電力供給装置としての燃料電池と、前記電力変換装置を介して前記燃料電池と接続され、且つ電力の蓄電が可能であり該蓄電された電力を前記電力変換装置を介することなく前記第二駆動装置に供給することが可能な、電力供給装置としての蓄電装置と、前記移動体からの出力要求に応じて、前記燃料電池と前記蓄電装置から、前記第一駆動装置と前記第二駆動装置に供給される電力を制御する電力制御部と、を備え、前記電力制御部は、前記移動体からの出力要求が通常出力要求であるときは、前記第一駆動装置及び前記第二駆動装置への電力供給は、それぞれ前記燃料電池及び前記蓄電装置によって為されるように電力供給を制御し、前記移動体からの出力要求において前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるとき、前記電力変換装置を介して前記蓄電装置から前記第一駆動装置への電力供給を許可する。
【0009】
上記の通り、本発明に係る電力供給システムは、移動体に搭載されるものであって、その移動体の移動を行う駆動装置への電力供給を行う。尚、移動体は、自動車、鉄道、船舶等の輸送手段だけでなく、ロボット等の移動を行う物全般を含む。
【0010】
そして、この移動体の移動のための駆動装置は、第一駆動装置と第二駆動装置の二台が設けられており、それぞれの駆動装置が発生する駆動力は、該移動体の置かれている状況、例えば移動時や停止時の負荷状況等によって適宜決定される。そして、これらの駆動装置に対して、燃料電池と蓄電装置を電力供給装置として備える、本発明に係る電力供給システムから電力が供給される。
【0011】
ここで、本発明に係る電力供給システムにおいては、燃料電池と蓄電装置という出力特性の異なる電力供給装置が電力変換装置を介して互いに接続されている。これにより、各第一駆動装置および第二駆動装置に安定的に電力供給を行うことが可能となる。ここで、第一駆動装置は電力変換装置を介さずに燃料電池から直接に電力供給を受けることが可能であり、また第二駆動装置は該電力変換装置を介さずに蓄電装置から直接に電力供給を受けることが可能である。換言すると、第一駆動装置に対して蓄電装置から電力を供給しようとすると、又は第二駆動装置に対して燃料電池から電力を供給しようとすると、供給電力が電力変換装置を必ず経由することになる。この電力変換装置は、各電力供給装置からの供給電力の出力特性を変換するものであるが、その変換処理において内部で電力の消費が行われるため、少なからずとも本来、駆動装置に供給される電力の損失に帰結することになる。
【0012】
そこで、本発明に係る電力供給システムでは、各電力供給装置と各駆動装置との間の電力供給が電力制御部によって制御され、電力変換装置で生じる電力損失が可及的に回避されることになる。即ち、移動体の移動や停止等、移動体が置かれる状況に従って移動体から要求される出力に応じて、各駆動装置を駆動する必要があるとき、電力制御部は、電力変換装置を介した各電力供給装置から各駆動装置への電力供給が一定の条件下以外では行われないように電力供給を制御する。
【0013】
先ず、移動体からの出力要求が通常出力要求であるときは、第一駆動装置への電力供給
は燃料電池のみからとし、第二駆動装置への電力供給は蓄電装置のみからとする。ここで、通常出力要求とは、移動体からの出力要求に応じて決定される第一駆動装置と第二駆動装置とが発揮すべき出力を、それぞれ燃料電池および蓄電装置からの供給電力のみで賄うことが可能である程度の、移動体からの要求である。また、第一駆動装置と第二駆動装置が発揮すべき出力の決定は、各駆動装置による駆動力が、要求された移動体の移動や停止を可能とするために、移動体からの要求出力が適宜分配されることで行われる。この通常出力要求である範囲は、燃料電池や蓄電装置の出力特性に影響を与えるパラメータ、例えば各装置の温度等を考慮して変動させても良い。
【0014】
このように移動体からの出力要求が通常出力要求であるときは、第一駆動装置と第二駆動装置で発揮すべき駆動力を適宜決定することで、電力変換装置を介さずに各電力供給装置から各駆動装置へ電力を供給することが可能であるから、電力制御部はそのような電力供給が行われるべく制御を行う。これにより、移動体からの出力要求が通常出力要求である限りは、電力変換装置での電力損失を確実に回避することができる。
【0015】
一方で、移動体からの出力要求が通常出力要求ではなく、移動体からの出力要求において第一駆動装置に供給すべき電力が燃料電池によって発電可能な電力を超えるときは、燃料電池からの供給電力に加えて蓄電装置からの供給電力が第一駆動装置に与えられることが、電力制御部によって許される。第一駆動装置については、出力(供給電力)を適宜調整可能である燃料電池からの電力を、電力変換装置を介さずに受けることが可能であるため、駆動力を効率的に且つ適時に発揮することができる。従って、蓄電装置の蓄電量によってその駆動力が制限される第二駆動装置に比べて、第一駆動装置は、移動体の駆動に寄与する程度が高いと考えられるため、該第一駆動装置への電力供給は可及的に維持されるべきである。そこで、移動体からの出力要求において第一駆動装置に供給すべき電力が燃料電池によって発電可能な電力を超える場合は、例外的に電力変換装置を介して蓄電装置から第一駆動装置への電力供給が行われることとする。また、その他、非常時等の、第一駆動装置に電力を供給すべきと判断される場合にも、電力変換装置を介した電力供給が許されるようにしてもよい。
【0016】
このように、本発明に係る電力供給システムにおいては、移動体からの出力要求に応じて各駆動装置が駆動力を発揮しなければならないとき、電力変換装置を介さない電力供給経路の維持を基本としながらも、第一駆動装置について燃料電池の出力可能以上の電力が必要とされる場合には電力変換装置を介した電力供給が行われる。これにより、移動体からの出力要求に答えながらも電力変換装置で生じる電力損失の影響を限定的なものとし、以て電力供給の効率低下を可及的に回避することが可能となる。
【0017】
尚、この電力供給の効率低下をより確実に回避するために、電力変換装置を介した前記蓄電装置から前記第一駆動装置への電力供給が、電力制御部によって、移動体からの出力要求において第一駆動装置に供給すべき電力が燃料電池によって発電可能な電力を超えるときのみに限定されるようにしてもよい。即ち、電力変換装置を介した供給電力の流れをより限定的に発生させるものである。
【0018】
上記電力供給システムにおいて、前記通常出力要求は、前記移動体からの出力要求において前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力以下となる範囲の出力要求であって、その場合、前記電力制御部は、前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力以下であるときは、前記第一駆動装置への電力供給は前記燃料電池のみによって行われ、且つ前記第二駆動装置への電力供給は前記蓄電装置のみによって行われ、前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるときは、前記第一駆動装置への電力供給は、前記燃料電池とともに前記電力変換装置を介して前記蓄電装置によっても行われるように電力供給を制御す
るようにしてもよい。
【0019】
即ち、上記電力供給システムでは、移動体からの出力要求が通常出力要求であるか否かの判断は、第一駆動装置に供給すべき電力が燃料電池によって発電可能な電力以下であるか、それを超えるかという基準に基づくものである。この基準に基づいて電力制御部が電力供給の制御を行うことで、電力供給の効率低下を可及的に回避することが可能となる。
【0020】
また、上述までの電力供給システムにおいて、前記電力制御部は、前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるとき、該第一駆動装置に供給すべき電力から該燃料電池によって最大限に発電可能な電力を差し引いた不足分電力を、前記蓄電装置から該第一駆動装置に供給するように制御してもよい。このように、電力変換装置を介して蓄電装置から電力供給を頼る場合、その供給量を可及的に少なくすることで、電力供給の効率低下を可及的に回避することが可能となる。
【0021】
ここで、上述までの電力供給システムにおいて、前記蓄電装置は、前記燃料電池によって発電された発電電力、及び前記第一駆動装置と前記第二駆動装置のうち少なくとも何れかの回生によって生じる回生電力のうち少なくとも何れかの電力を蓄電するとともに、該蓄電された電力供給し、前記電力制御部は、前記蓄電装置の蓄電状態に応じて該蓄電装置に供給する電力又は該蓄電装置から供給される電力を決定するとともに、前記第一駆動装置に供給すべき電力に該決定された電力を加味して前記燃料電池によって発電される電力の供給を制御してもよい。
【0022】
当該蓄電装置は、燃料電池によって発電された電力、特に第一駆動装置に供給すべき量を超えて発電された残余電力や、各駆動装置の減速時に生じる回生電力を蓄電し、その後の電力供給時に備えることで、移動体の駆動に必要なエネルギー量を抑制することが可能である。この場合、蓄電装置の蓄電量は、蓄電装置の電力供給能力の維持や装置劣化の防止等の観点から、所定の適切な範囲(以下、「所定蓄電範囲」という。)に属しているのが好ましい。そこで、本発明に係る電力制御部は、上述までのように第一駆動装置に供給すべき電力に加えて、蓄電装置の蓄電量を所定蓄電範囲内に維持するために必要な電力(即ち、蓄電装置に供給される電力又は蓄電装置から放電される電力)を考慮して、燃料電池が発電すべき供給電力を制御する。これにより、第一駆動装置の駆動力と蓄電装置の蓄電量を好適な状態にしつつ、電力供給の効率低下を可及的に回避することが可能となる。
【0023】
尚、上述までの電力供給システムによって電力供給が為される移動体は、車両であって、前記第一駆動装置は、前記車両における主駆動輪を駆動させ、前記第二駆動装置は、前記車両における前記主駆動輪以外の駆動輪を駆動させるようにしてもよい。主駆動輪とは、車両の移動を主として司る駆動輪であって、いわゆるFF車での前輪であり、FR車での後輪である。このように第一駆動装置が主駆動輪の駆動を司ることで、車両の移動をより好適に制御することが可能となる。また、移動体が車両以外の移動体である場合でも、第一駆動装置は、その移動体の移動を主に司る機械要素の駆動を行うのが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る電力供給システムによれば、複数の電力供給装置がDC−DCコンバータ等の電力変換装置を介して接続されることで形成される電力供給システムで、移動体の駆動装置への電力供給に際して、その供給効率の低下を可及的に回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る電力供給システムの実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態に係る電力供給システムは、本発明に係る移動体である自動車(車両)10
0の駆動装置である駆動モータに対して電力を供給する、燃料電池300およびバッテリ400で構成される燃料電池システムである。
【実施例1】
【0026】
図1は、本発明の第一実施例としての車両100の構成を概略的に示す説明図である。この車両100は、水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池300と、充放電可能な蓄電装置としてのバッテリ400と、電力変換装置としてのDC−DCコンバータ200とを備えている。燃料電池300とバッテリ400とは、DC−DCコンバータ200を介して互いに接続されている。DC−DCコンバータ200は、燃料電池300またはバッテリ400から入力された電圧を、目標電圧に変換して出力する双方向DC−DCコンバータである。燃料電池300としては、例えば固体高分子型燃料電池が用いられ、バッテリ400としては、例えば鉛蓄電池やニッケル−水素蓄電池が用いられる。
【0027】
燃料電池300とDC−DCコンバータ200との間の電源配線には、インバータ310を介して、車両100の駆動装置としての第一モータ320が接続されている。同様に、バッテリ400とDC−DCコンバータ200との間の電源配線には、インバータ410を介して、車両100の駆動装置としての第二モータ420が接続されている。第一モータ320および第二モータ420は、共に、回生機能を有する三相同期モータである。第一モータ320は、その出力軸が差動ギア330を介して後輪駆動軸340と接続されており、第一モータ320の出力軸の回転によって後輪駆動軸340、およびそれに接続された後輪370が駆動される。一方、第二モータ420は、その出力軸が差動ギア430を介して前輪駆動軸440と接続されており、第二モータ420の出力軸の回転によって前輪駆動軸440、およびそれに接続された前輪470が駆動される。インバータ310、410は、燃料電池300やバッテリ400から出力される直流電力を三相交流電力へと変換して、第一モータ320および第二モータ420へと供給する。
【0028】
燃料電池300とDC−DCコンバータ200との間の電源配線には、さらに、例えば改質器やエアコンプレッサを含む燃料電池補機類350が接続されている。燃料電池補機類350は、燃料電池300での発電に要する水素を含む燃料ガスと酸素を含む空気とを、燃料電池300に供給するための装置等であり、その稼動電力を接続されている電源配線から取得する。また、バッテリ400とDC−DCコンバータ200との間の電源配線には、さらに、例えば照明機器やオーディオ機器を含む車両補機類450が接続されており、その接続配線から各機器の稼動電力が取得される。
【0029】
車両100は、さらに、ECU500を備えている。ECU500は、CPU510と、ROM520と、RAM530と、入出力ポート540とを有している。ECU500には、車両100の各部に配されたセンサが電気的に接続され、そこで検出された各検出信号が入出力ポート540を介して入力される。ECU500は、これらの検出信号を基に、燃料電池300とバッテリ400から各モータへの電力供給を制御する。
【0030】
なお、車両100の各部に配されECU500に電気的に接続されているセンサとしては、例えば、アクセルペダル610の踏み込みによるアクセルの開度を検出するアクセル開度センサ612、ステアリング630の操舵角を検出する操舵角センサ632、後輪駆動軸340および前輪駆動軸440の回転数を検出する駆動軸センサ640、車速を検出するスピードセンサ650、車両の回転モーメントを検出するモーメントセンサ660、燃料電池300の運転状態を検出する図示しない温度センサおよび電圧計、バッテリ400の蓄電状態を検出する図示しない充電容量センサおよび電圧計がある。また、ECU500による燃料電池300とバッテリ400から各モータへの電力供給の制御は、例えば、CPU510が、ROM520に格納された動作制御プログラムをRAM530上に読
み出して実行することにより行われる。
【0031】
このように構成される車両100においては、駆動装置である第一モータ320と第二モータ420への電力供給は、燃料電池300とバッテリ400によって行われる。燃料電池300とバッテリ400はDC−DCコンバータ200を介して接続されているため、燃料電池300とバッテリ400のそれぞれから各モータ320、420に対して電力を供給することは可能である。しかし、燃料電池300から第二モータ420に又はバッテリ400から第一モータ320に電力を供給しようとすると、DC−DCコンバータ200介して電力供給が行われるため、DC−DCコンバータ200において電力損失が生じ、電力の供給効率が低下する。そこで、図2に基づいて、図1に示す車両100における第一モータ320と第二モータ420へ電力供給を行う際、その供給効率の低下を可及的に回避することが可能な電力供給制御について説明する。
【0032】
先ず、S101では、アクセル開度センサ612からの検出信号により、車両100の移動状態(停止状態を含む)におけるアクセルの開度が検出される。このアクセル開度は、車両100を運転するユーザが、該車両100に要求する走行性能(速度等)に関連するパラメータである。S101の処理が終了すると、S102へ進む。S102では、現時点における第一モータ320と第二モータ420の回転数(回転速度)が検出される。この各モータの回転数は、各モータに備えられているロータリエンコーダからの出力や、駆動軸センサ640及びスピードセンサ650からの検出信号に基づいて検出又は算出される。
【0033】
また、上記S101、S102以外の処理として、操舵角センサ632を介したステアリング630の操舵角の検出、モーメントセンサ660を介した車両100の回転モーメントの検出が行われる。これらは、現時点における車両100の移動状態を把握するために行われるものである。これらの処理が終了すると、S103及びS104の処理が行われる。
【0034】
上述したS101、S102およびそれ以外の処理によって検出された車両100の移動状態に基づいて、ユーザから車両100に対して要求された走行性能を実現するために、現時点において第一モータ320及び第二モータ420が発揮すべき出力、即ち第一モータ320に対して要求される出力Pm1がS103において算出され、第二モータ420に対して要求される出力Pm2がS104において算出される。尚、本実施例に係る車両100は、前輪が第二モータ420によって駆動され、後輪が第一モータ320によって駆動されることで、最大で四輪駆動が可能な車両である。尚、第一モータ320と第二モータ420の最大瞬間出力は同程度であるが、定格連続出力については第一モータ320の方が高く、高出力駆動を長時間行うことが可能である。従って、車両100においては、後輪が主駆動輪であって、その主駆動輪を駆動する第一モータ320に対してDC−DCコンバータ200を介さずに電力を供給できるように配置されているのは、燃料電池300である。
【0035】
ここで、第一モータ320及び第二モータ420の要求出力Pm1、Pm2の算出は、検出されたアクセル開度および各モータの回転数に加えて、ステアリング630の操舵角や車両100の回転モーメント等の車両100の移動状態を示すパラメータを考慮して、ユーザが要求する走行性能や、車両100の走行安定性等を踏まえて行われる。例えば、ユーザから車速を上げる要求があった場合は、各モータの出力を上昇することで車両100のスピードアップを図る。また、ステアリング630の操舵角が所定角より大きい場合には、車両100の走行安定性が低くなる可能性があるため、車両100の後輪と前輪の駆動力がアンバランスとならないように各モータの要求出力が決定される。尚、各モータの要求出力の算出においては、上述したように第一モータ320が主駆動輪を駆動するモ
ータであることが考慮される。S104の処理が終了すると、S105へ進む。
【0036】
S105では、現時点における燃料電池300が出力可能な最大出力Pfcが算出される。この最大可能出力Pfcは、燃料電池300に対して最大量の水素が供給されたと仮定して、現時点における出力に影響するパラメータ、例えば燃料電池300のセル温度等を考慮した上で決定される。S105の処理が終了すると、S106へ進む。
【0037】
S106では、S105で算出された燃料電池300の最大可能出力Pfcが、第一モータ320の要求出力Pm1と燃料電池補機類350の駆動に要する出力であるFC補機損αfcとの和以上であるか否かが判定される。当該出力和は、図1からも明らかなように、DC−DCコンバータ200を基準として、電気的に燃料電池300側に配置されている装置等(換言すると、電気的にバッテリ400側に配置されていない装置等)の駆動に要する出力和である。従って、S106における判定は、第一モータ320および燃料電池補機類350に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給することができるか否かを判定するものと言うことができる。S106での判定において肯定判定されるとS107へ進み、否定判定されるとS108へ進む。
【0038】
S106で肯定判定されることは、第一モータ320および燃料電池補機類350(以下、単に「第一モータ等」という。)に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給することができることを意味するため、S107では、燃料電池300の最大可能出力Pfcの一部が第一モータ320等に供給される。このとき、この供給電力はDC−DCコンバータ200を介さずに第一モータ320等に供給されるため、DC−DCコンバータ200における電力損失は発生しない。また、この肯定判定される場合は、S107の処理により、バッテリ400から第一モータ320等への電力供給は、結果的に禁止されている。これにより、DC−DCコンバータ200を介した電力供給は行われないことになる。
【0039】
次に、S106で否定判定されることは、第一モータ320および燃料電池補機類350に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給することができないことを意味するため、S108以降(S108〜S111)の処理ではバッテリ400から第一モータ320等への電力供給が考慮される。S108では、現時点におけるバッテリ400の最大可能出力Pbt1が算出される。この最大可能出力Pbt1は、バッテリ400が現時点で有している蓄電量を全て放電したと仮定して、現時点における出力に影響するパラメータ、例えばバッテリ400の温度等を考慮した上で算出される。S108の処理が終了すると、S109へ進む。
【0040】
S109では、上記最大可能出力Pfcと、S108で算出されたバッテリ400の最大可能出力Pbt1が、上述した要求出力Pm1とFC補機損αfcとの和以上であるか否かが判定される。換言すると、S109における判定は、第一モータ320等に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給しつつ、DC−DCコンバータ200を介してバッテリ400から電力を供給することで、第一モータ320等の出力要求に応えることが可能か否かを判定するものである。S109での判定において肯定判定されるとS110へ進み、否定判定されるとS111へ進む。
【0041】
S109で肯定判定されることは、第一モータ320等の出力要求に答えることが可能であることを意味するため、S110では、燃料電池300の現時点における最大可能出力Pfc分の全出力を第一モータ320等に供給するとともに、それでは足りない不足分の出力については、バッテリ400の蓄電電力から賄われる。従って、DC−DCコンバータ200を介して供給される電力を可及的に少なくできるため、DC−DCコンバータ200における電力損失を可及的に回避することができる。
【0042】
一方で、S109で否定判定されることは、第一モータ320等の出力要求に答えることが可能であることを意味するため、S111では、燃料電池300とバッテリ400による各最大可能出力が全て第一モータ320等に供給されることになる。このとき、燃料電池300での発電を最大限発揮するために、燃料電池300等からの電力は優先的に燃料電池補機類350に供給され、残余電力が第一モータ320に供給されるのが好ましい。この場合、第一モータ320が発揮できる出力が不十分となる可能性が生じる。
【0043】
S107、S110、S111の何れかの処理が終了すると、S112へ進む。S112では、現時点におけるバッテリ400の使用可能出力Pbt2が算出される。この使用可能出力Pbt2は、S107、S110、S111の処理を経た結果バッテリ400が有している蓄電量を全て放電したと仮定して、その時点における出力に影響するパラメータ、例えばバッテリ400の温度等を考慮した上で算出される。例えば、S107の処理後におけるS112では、S107においてはバッテリ400からの放電は行われていないため、本制御が開始された時点でバッテリ400に蓄電された電力がこの使用可能出力Pbt2の算出対象となる。また、S110又はS111の処理後におけるS112では、S110においてはバッテリ400からの放電が行われたため、その放電後にバッテリ400に蓄電されていた電力がこの使用可能出力Pbt2の算出対象となり、又はS111においてはバッテリ400から全ての電力が放電されたため、使用可能出力Pbt2は零となる。S112の処理が終了すると、S113へ進む。
【0044】
S113では、S112で算出されたバッテリ400の使用可能出力Pbt2が、第二モータ420の要求出力Pm2と車両補機類450の駆動に要する出力である車両補機損αbtとの和以上であるか否かが判定される。当該出力和は、図1からも明らかなように、DC−DCコンバータ200を基準として、電気的にバッテリ400側に配置されている装置等(換言すると、電気的に燃料電池300側に配置されていない装置等)の駆動に要する出力和である。従って、S113における判定は、第二モータ420および車両補機類450に対して、DC−DCコンバータ200を介さずにバッテリ400から電力を供給することができるか否かを判定するものと言うことができる。S113での判定において肯定判定されるとS114へ進み、否定判定されるとS115へ進む。
【0045】
S113で肯定判定されることは、第二モータ420および車両補機類450(以下に、単に「第二モータ等」という。)に対して、DC−DCコンバータ200を介さずにバッテリ400から電力を供給することができることを意味するため、S114では、バッテリ400の使用可能出力Pbt2の一部が第二モータ420等に供給される。このとき、この供給電力はDC−DCコンバータ200を介さずに第二モータ420等に供給されるため、DC−DCコンバータ200における電力損失は発生しない。また、この肯定判定される場合は、S114の処理により、燃料電池300から第二モータ420等への電力供給は、結果的に禁止されている。これにより、DC−DCコンバータ200を介した電力供給は行われないことになる。
【0046】
次に、S113で否定判定されることは、第二モータ420および車両補機類450に対して、DC−DCコンバータ200を介さずにバッテリ400から十分な電力を供給することができないことを意味する。この場合は、S115において、バッテリ400が有する使用可能出力Pbt2の全てが第二モータ420等に供給されることになる。このとき、第二モータ420の出力を最大限発揮させるために、バッテリ400からの電力は優先的に第二モータ200に供給され、残余電力が車両補機類450に供給されるのが好ましい。この場合、車両補機類450が十分に駆動されない可能性が生じる。S114又はS115の処理後、本制御を終了する。
【0047】
本制御によると、第一モータ320等と第二モータ420等がそれぞれ燃料電池300とバッテリ400からの供給電力によって十分に駆動されるときは、DC−DCコンバータ200を介した電力の供給は禁止される。一方で、車両10の主駆動輪である後輪を駆動する第一モータ320について、その第一モータ320を駆動するのに必要な出力を燃料電池300で賄うことができない場合に限って、DC−DCコンバータ200を介してバッテリ400から第一モータ320への電力供給が許可されることになる。このようにDC−DCコンバータ200を介した電力供給の実行を所定の条件下に限定することで、DC−DCコンバータ200における電力損失を回避し、以て各モータ等への電力の供給効率の低下を可及的に回避することができる。
【実施例2】
【0048】
図1に示す車両100における第一モータ320と第二モータ420へ電力供給を行う際、その供給効率の低下を可及的に回避することが可能な電力供給制御の他の実施例について、図3及び図4に基づいて説明する。図3は、図2と同様に電力供給制御のフローを示す図であり、図4は、バッテリ400における、蓄電状態(SOC)と該バッテリ400に対して行うべき充放電の程度を数値化した充放電負荷Pbt3との相関を示す図である。
【0049】
図3に示す電力供給制御において図2に示す電力供給制御と同一の処理については、同一の参照番号を付すことで、当該処理の詳細な説明は省略する。本実施例に係る電力供給制御においては、S105の処理後S201の処理が行われる。S201では、バッテリ400の蓄電状態がSOCで検出される。バッテリ400において、完全充電状態の出力電圧をSOC100%とし、蓄電量が零のときの出力電圧をSOC0%としたとき、現時点でのバッテリ400による出力を、このSOCで算出する。S201の処理が終了すると、S202へ進む。
【0050】
S202では、S201で算出されたバッテリ400のSOCに基づいて、バッテリ400のための充放電負荷Pbt3が算出される。具体的には、図4に示すSOCと充放電負荷Pbt3との相関を表すマップがECU500内に格納されており、該マップにアクセスすることでS202の処理が行われる。SOCと充放電負荷Pbt3との相関は、図4に示すように、SOCが45%〜55%の範囲(以下、「適正SOC範囲」という。)では充放電負荷Pbt3が零となる。このことは、バッテリ400においては、バッテリ400の出力特性の維持やバッテリ400の劣化防止等の観点から、SOCがこの範囲にあるときがバッテリ400の充電状態が最も好ましい状態であるので、バッテリ400に対して充電又はバッテリ400から放電を行う必要がないことを意味する。一方で、SOCが45%以下であるときは、バッテリ400の蓄電量が少ないことを意味し、充放電負荷Pbt3が正の値となりバッテリ400に対して充電を行う必要があり、そして充放電負荷Pbt3の値が大きくなるに従い必要な充電量は増える。また、SOCが55%以上であるときは、バッテリ400の蓄電量が多いことを意味し、充放電負荷Pbt3が負の値となりバッテリ400から放電を行う必要があり、そして充放電負荷Pbt3の値が小さくなるに従い必要な放電量は増える。S202の処理が終了すると、S203へ進む。
【0051】
S203では、S105で算出された燃料電池300の最大可能出力Pfcが、第一モータ320の要求出力Pm1と、燃料電池補機類350の駆動に要する出力であるFC補機損αfcと、S202で算出された充放電負荷Pbt3との和以上であるか否かが判定される。当該出力和は、実施例1で述べたように、DC−DCコンバータ200を基準として、電気的に燃料電池300側に配置されている装置等の駆動に要する出力と、バッテリ400のSOCを適正SOC範囲に維持するのに必要な出力との和である。従って、S203における判定は、第一モータ320および燃料電池補機類350に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給するとともに、燃料電池
300の発電によりバッテリ400を適正な充電状態に維持することができるか否かを判定するものと言うことができる。S203での判定において肯定判定されるとS204へ進み、否定判定されるとS205へ進む。
【0052】
S203で肯定判定されることは、第一モータ320および燃料電池補機類350に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給することができるとともに、燃料電池400の充電状態を適正な状態にすることができることを意味する。そこで、S204では、燃料電池300で発電された電力を、第一モータ320等に供給するとともに、バッテリ400に対して充放電を行う。即ち、充放電負荷Pbt3が正の値であれば燃料電池300からバッテリ400に対して電力が供給され、逆に充放電負荷Pbt3が負の値であればバッテリ400から電力が放電されて、その放電された電力は第一モータ320等に供給されることになる。この結果、第一モータ320等への電力供給はDC−DCコンバータ200を介さずに行われるとともに、バッテリ400の充電状態は適正な状態に維持される。
【0053】
また、S203で否定判定されることは、第一モータ320および燃料電池補機類350に対して、DC−DCコンバータ200を介さずに燃料電池300から電力を供給することと、燃料電池400の充電状態を適正な状態にすることを同時に達成することができないことを意味する。そこで、S205では、燃料電池300によって発電された電力を優先的に第一モータ320等に供給し、充放電負荷Pbt3が正の値であればその残余電力をバッテリ400に供給する。尚、充放電負荷Pbt3が負の値であれば、バッテリ400から放出された電力を第一モータ320等に供給すればよい。
【0054】
S204又はS205の処理が終了すると、S112へ進む。S112では、上述したように、バッテリ400の使用可能出力Pbt2が算出されるが、S204の処理後に行われるS112では、バッテリ400のSOCは必ず適正SOC範囲に属しているため、バッテリ400による電力供給が安定的に行うことが可能である。
【0055】
本制御によると、実施例1と同様に、DC−DCコンバータ200を介した電力供給の実行を所定の条件下に限定することで、DC−DCコンバータ200における電力損失を回避し、以て各モータ等への電力の供給効率の低下を可及的に回避することができる。更には、バッテリ400の充電状態を可及的に適正な状態に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る電力供給システム(燃料電池システム)を搭載した車両の概略構成を表す図である。
【図2】図1に示す電力供給システムにおいて、車両の駆動装置に対して電力供給を行う制御に関する第一のフローチャートである。
【図3】図1に示す電力供給システムにおいて、車両の駆動装置に対して電力供給を行う制御に関する第二のフローチャートである。
【図4】本発明に係る電力供給システムに設けられたバッテリにおける、蓄電状態(SOC)と該バッテリに対して行うべき充放電の程度を数値化した充放電負荷Pbt3との相関を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
100・・・・車両
200・・・・DC−DCコンバータ
300・・・・燃料電池
320・・・・第一モータ
350・・・・燃料電池補機類
370・・・・後輪
400・・・・バッテリ
420・・・・第二モータ
450・・・・車両補機類
470・・・・前輪
500・・・・ECU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載され、該移動体の駆動源として機能する第一駆動装置及び第二駆動装置に電力を供給する電力供給システムであって、
電力供給装置からの供給電力の出力特性の変換を行う電力変換装置と、
酸素を含む酸化ガスと水素を含む燃料ガスとの電気化学反応によって発電された電力を、前記電力変換装置を介することなく前記第一駆動装置に電力を供給することが可能な、電力供給装置としての燃料電池と、
前記電力変換装置を介して前記燃料電池と接続され、且つ電力の蓄電が可能であり該蓄電された電力を前記電力変換装置を介することなく前記第二駆動装置に供給することが可能な、電力供給装置としての蓄電装置と、
前記移動体からの出力要求に応じて、前記燃料電池と前記蓄電装置から、前記第一駆動装置と前記第二駆動装置に供給される電力を制御する電力制御部と、を備え、
前記電力制御部は、
前記移動体からの出力要求が通常出力要求であるときは、前記第一駆動装置及び前記第二駆動装置への電力供給は、それぞれ前記燃料電池及び前記蓄電装置によって為されるように電力供給を制御し、
前記移動体からの出力要求において前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるとき、前記電力変換装置を介して前記蓄電装置から前記第一駆動装置への電力供給を許可する、
電力供給システム。
【請求項2】
前記通常出力要求は、前記移動体からの出力要求において前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力以下となる範囲の出力要求であって、
前記電力制御部は、
前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力以下であるときは、前記第一駆動装置への電力供給は前記燃料電池のみによって行われ、且つ前記第二駆動装置への電力供給は前記蓄電装置のみによって行われ、
前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるときは、前記第一駆動装置への電力供給は、前記燃料電池とともに前記電力変換装置を介して前記蓄電装置によっても行われるように電力供給を制御する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記電力制御部は、前記第一駆動装置に供給すべき電力が前記燃料電池によって発電可能な電力を超えるとき、該第一駆動装置に供給すべき電力から該燃料電池によって最大限に発電可能な電力を差し引いた不足分電力を、前記蓄電装置から該第一駆動装置に供給するように制御する、
請求項1又は請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記蓄電装置は、前記燃料電池によって発電された発電電力、及び前記第一駆動装置と前記第二駆動装置のうち少なくとも何れかの回生によって生じる回生電力のうち少なくとも何れかの電力を蓄電するとともに、該蓄電された電力供給し、
前記電力制御部は、前記蓄電装置の蓄電状態に応じて該蓄電装置に供給する電力又は該蓄電装置から供給される電力を決定するとともに、前記第一駆動装置に供給すべき電力に該決定された電力を加味して前記燃料電池によって発電される電力の供給を制御する、
請求項1から請求項3の何れかに記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記移動体は、車両であって、
前記第一駆動装置は、前記車両における主駆動輪を駆動させ、
前記第二駆動装置は、前記車両における前記主駆動輪以外の駆動輪を駆動させる、
請求項1から請求項4の何れかに記載の電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−199802(P2008−199802A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33034(P2007−33034)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】