説明

電力変換装置

【課題】電力変換を行う複数の半導体素子の温度を正確に検知することができ、これを安価で小型な回路で実現すること。
【解決手段】各スイッチング素子35a,35bに対応付けられた複数のダイオード122a,122bの発生電圧を選択する切替スイッチ103と、その選択された電圧をPWM変調により所定デューティ比のデューティ信号に変換するデューティ変換部106と、そのデューティ信号と周期が異なる固有のヘッダ信号を生成するヘッダ生成部108と、このヘッダ信号とデューティ信号とを選択する切替スイッチ104とを備える。制御部110で、切替スイッチ103で各ダイオード122a,122bの発生電圧が交互に選択され、切替スイッチ104で、ヘッダ信号の後に上記の交互に選択されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号及びデューティ信号の配列順が繰り返される選択が行われるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電力変換用の半導体素子を用いて交流モータやモータジェネレータを駆動する電力変換装置に関し、特に半導体素子の温度を温度検出素子で検出する機能を有する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の電力変換装置のように、スイッチング素子などの半導体素子の検出温度をアナログ信号で出力し、これをデジタル信号へ変換した後、マイコン(マイクロコンピュータ)で検出して温度を認識する回路が備わっている。
【0003】
アナログ信号をデジタル信号に変調して出力する手法として、PWM変調(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)と呼ばれる方式が広く知られている。この変調方式は、例えば特許文献2に記載のように三角波もしくは鋸波などの基準波形とアナログ入力信号とのレベルをコンパレータなどで比較してデジタル信号を生成する。又は、A/D(アナログ/デジタル)コンバータによって取得したデジタル値に従ってデューティ信号を生成するデューティ変換手段を用いるなどの方式が一般的である。
【0004】
このようなアナログ/デジタル変換を行う前述の特許文献1の電力変換装置では、インバータの3相電力を出力する半導体素子としてのIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)には、温度検出素子としてのダイオードが内蔵されている。このダイオードの電圧をデジタル信号に変換してマイコンへ送出することで、マイコンがIGBTの温度を認識することができ、これによって最適な制御を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−51775号公報
【特許文献2】特開平10−337036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1の電力変換装置では、複数のIGBTを並列に接続して使用することがある。この場合、電力変換装置を安全に制御するために、特に高温側のIGBTの温度をマイコンが検知する必要がある。このため、特許文献1では、高温度側のIGBTの温度のみを選択してマイコンへ送出するようになっている。しかし、実際にはダイオード等の温度検出素子の検出特性にばらつきがあるため、単純に温度検出素子の電圧を検出しただけでは、どちらのIGBTの温度が高いのかを正確に判別することができないという問題がある。
【0007】
高温側のIGBTの温度を適正に検知するためには、予め検知誤差が許容範囲内の温度検出素子を選別するか、又は、温度検出素子のばらつきそのものを改善する等の対策が必要であり、これらの対策を実施する場合、コスト高となってしまう問題がある。
【0008】
また、複数のIGBTの温度を正確に認識するために、図1に示すように、2つのアナログ温度信号1,2を各々、個別のデューティ変換手段3,4に入力して各デューティ信号5,6に変換し、これを個別のフォトカプラ7,8を介してマイコン9に入力する構成も考えられる。しかし、このような2系統の信号伝達経路を設けた場合、フォトカプラ7,8が2つになることや、マイコン9への配線領域が増加するため、コストが高くなったり、全体のサイズが大きくなったりする問題がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、電力変換を行う複数の半導体素子の温度を正確に検知することができ、これを安価で小型な回路で実現することができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、直流電圧を昇圧する複数の半導体素子を有するコンバータと、このコンバータでの昇圧電圧を交流電圧に変換する複数の半導体素子を有するインバータとの双方又は何れか一方を有し、前記複数の半導体素子に個別に対応付けられて半導体素子個々の温度に応じた電圧を発生する複数の温度検出素子とを有する電力変換装置において、前記複数の温度検出素子の発生電圧を選択する第1の選択手段と、前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調により所定のデューティ比のデューティ信号に変換するデューティ変換手段と、前記パルス幅変調によるデューティ信号と周期が異なる固有のデューティ信号であるヘッダ信号を生成するヘッダ生成手段と、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号と、前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号とを選択する第2の選択手段と、
前記第1の選択手段で前記複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、前記第2の選択手段で、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号の後に当該第1の選択手段で交互に選択されて前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号を先頭とするデューティ信号の配列順が繰り返されるように、当該ヘッダ信号及び当該デューティ信号が選択されるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、複数の温度検出素子で個別に検出される複数の半導体素子の温度が、第1の選択手段、デューティ変換手段及び第2の選択手段による1系統の信号伝送経路で伝送される。従って、従来のような複数の温度情報分の系統数の信号伝送経路が不要となるので、信号伝送経路毎の後段に必要であったフォトカプラ等の信号伝達素子や各経路の配線領域を削減することが出来る。これによって半導体素子の温度検出部分の回路を、安価で小型に実現することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記第2の選択手段の出力側に、この第2の選択手段で選択された前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号を伝達する信号伝達素子を介して接続された演算制御手段を備え、この演算制御手段は、前記温度検出素子の特性バラツキを記憶し、前記第2の選択手段から前記信号伝達素子を介して入力されるデューティ信号より検知される温度情報を、当該記憶された特性バラツキで補正することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、各半導体素子の温度を正確に検知することが出来る。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記複数の温度検出素子と前記第1の選択手段との間に、当該複数の温度検出素子の発生電圧を保持して出力する保持手段を接続し、前記制御手段は、当該保持手段に当該複数の温度検出素子の発生電圧が保持されて当該第1の選択手段へ出力されるように保持制御を行い、この保持制御時に、当該第1の選択手段で当該複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、この交互に選択された発生電圧が前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が、前記ヘッダ信号の後ろに配列され、この配列順の組が同一に複数回繰り返されるように当該第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択を制御し、前記演算制御手段は、当該第2の選択手段で選択された同一の複数組同士のデューティ信号を比較し、互いの差異が予め定めた基準値以内の場合にのみデューティ信号を前記温度情報の検知に採用することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、温度検出素子の発生電圧にノイズによる影響が生じても、そのノイズが影響したデューティ信号は演算制御手段で温度情報として採用されなくなるので、演算制御手段が温度情報の誤認識を行うことが無くなる。言い換えれば、演算制御手段では適正な温度情報しか採用されないので、温度情報を正確に認識することが出来る。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記複数の温度検出素子と前記第1の選択手段との間に、当該複数の温度検出素子の発生電圧を保持して出力する保持手段を接続し、前記制御手段は、当該保持手段に当該複数の温度検出素子の発生電圧が保持されて当該第1の選択手段へ出力されるように保持制御を行い、この保持制御時に、当該第1の選択手段で当該複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、この交互に選択された発生電圧が前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が、前記ヘッダ信号の後ろに配列され、この配列順の組が同一に複数回繰り返されるように当該第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択を制御し、前記演算制御手段は、当該第2の選択手段で選択された同一の複数組内のデューティ信号の中から、予め定めた基準値を超えるデューティ信号を排除し、排除されないデューティ信号を前記温度情報の検知に採用することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、温度検出素子の発生電圧にノイズによる影響が生じても、そのノイズが影響したデューティ信号は演算制御手段で温度情報として採用されなくなるので、演算制御手段が温度情報の誤認識を行うことが無くなる。言い換えれば、演算制御手段では適正な温度情報しか採用されないので、温度情報を正確に認識することが出来る。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記デューティ変換手段は、一定周期で立上り立下りを繰り返す基準波を生成すると共に当該基準波の立下りエッジでパルス状のピーク信号を生成する基準波生成手段と、この基準波生成手段で生成された基準波と、前記第1の選択手段で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号に変換する演算増幅手段とを備え、前記制御手段は、前記第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択タイミングと、前記ヘッダ生成手段のヘッダ信号の生成タイミングとを、前記基準波生成手段で生成されるピーク信号に同期させる制御を行うことを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、第1及び第2の選択手段の選択動作と、ヘッダ生成手段のヘッダ信号の生成動作とを、一定に生成されるピーク信号で同期させるので、第2の選択手段からヘッダ信号及び所定配列のデューティ信号を同期させて出力することができる。これによって演算制御手段で適正にデューティ信号を取得することが出来る。また、一定に生成されるピーク信号のみを用いて複数回路手段の動作を同期させるので、回路全体の小型化を図ることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記演算制御手段は、前記第2の選択手段から前記信号伝達素子を介して入力される前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号の立上りエッジ又は立下りエッジでリセット後にカウント動作を開始するカウンタと、当該立上りエッジ又は当該立下りエッジで当該リセット前にカウンタのカウント値をレジスタ値として保持するレジスタとを備え、前記レジスタに保持されたレジスタ値を用いて前記デューティ信号のデューティを求める演算を含む演算処理を行い、この演算処理を行う演算制御手段のメインループの周期よりも当該デューティ信号の周期が長く設定されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、デューティ信号の周期を、演算制御手段のメインループの周期よりも長くしたので、演算制御手段がレジスタ値を読み込んでデューティ信号のデューティを演算する処理を、メインループの中で割り込み無しで行うことが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記ヘッダ信号は、当該ヘッダ信号の1周期中に、前記デューティ信号の周期よりも長い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号であることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、ヘッダ信号を確実に識別することができるので、確実な信号伝達を行うことができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、前記ヘッダ信号は、当該ヘッダ信号の1周期中に、前記デューティ信号の周期よりも短い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号であることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、ヘッダ信号を確実に識別することができるので、確実な信号伝達を行うことができる。また、ヘッダ信号の周期がデューティ信号の周期よりも短くなるので、ヘッダ信号を含むデータ信号の伝送を高速化することが出来る。
【0026】
請求項9に記載の発明は、前記デューティ変換手段は、前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号に変換する際に、当該デューティ信号のデューティ比を所定値以内に制限して変換を行い、前記ヘッダ信号は、その制限されたデューティ比を超えるデューティ比に設定されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、ヘッダ信号のデューティ比がデューティ信号のデューティ比と異なるので、ヘッダ信号を確実に識別することができ、これによって確実な信号伝達を行うことができる。
【0028】
請求項10に記載の発明は、前記デューティ変換手段は、前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号に変換する際に、当該デューティ信号のデューティ比が100%未満となるように制限することを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、デューティ信号のデューティ比を100%未満とすれば、必ずデューティ信号の立上りエッジ又は立下りエッジが存在するので、演算制御手段でデューティ信号を必ず識別することが可能となる。
【0030】
請求項11に記載の発明は、前記デューティ変換手段は、一定の傾斜で立上り立下りを交互に繰り返す基準波としての三角波を生成すると共に当該三角波の立上りポイントで立上り、立下りポイントで立ち下がる第2のピーク信号を生成する第2の基準波生成手段と、この第2の基準波生成手段で生成された三角波と、前記第1の選択手段で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号に変換する第2の演算増幅手段とを備え、前記制御手段は、前記第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択タイミングと、前記ヘッダ生成手段のヘッダ信号の生成タイミングとを、前記第2のピーク信号に同期させる制御を行うと共に、前記ヘッダ信号の後に同一のデューティ信号が少なくとも2つ以上連続配列される選択が前記第2の選択手段で行われる制御を行うことを特徴とする。
【0031】
この構成によれば、基準波を三角波とし、更に複数種類のデューティ信号の各々を複数サイクルづつ出力するようにした。三角波では、上ピークからの瞬間的な電圧低下でなく、上ピークから下がる際の電圧変化が少ないため、異なるデューティ信号への切替時のデューティ信号電圧を横切ることが無くなる。従って、デューティ信号切替時に、切替時のデューティ信号電圧を横切って生じる波形割れが発生することが無くなる。また、同一デューティ信号が少なくとも2つ以上連続するようにした。これによって、デューティ信号の切替時に、同一「L」又は「H」レベルが連続し、この連続区間で何れのデューティ信号か認識できず、正確なデューティが演算制御手段で求められなくなるといったことを無くすことが出来る。即ち、2つの同一デューティ信号が連続していれば、例えばそれら「H」と「H」との間の「L」区間を検知することができるので、これによって正確にデューティを求めることが出来る。
【0032】
請求項12に記載の発明は、直流電圧を昇圧する複数の半導体素子を有するコンバータと、このコンバータでの昇圧電圧を交流電圧に変換する複数の半導体素子を有するインバータとの双方又は何れか一方を有し、前記複数の半導体素子に個別に対応付けられて半導体素子個々の温度に応じた電圧を発生する複数の温度検出素子とを有する電力変換装置において、前記複数の温度検出素子の電圧発生側に各々接続され、その発生電圧をパルス幅変調により所定のデューティ比のデューティ信号に変換する複数のデューティ変換手段と、前記パルス幅変調によるデューティ信号と周期が異なる固有のデューティ信号であるヘッダ信号を生成するヘッダ生成手段と、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号と、前記複数のデューティ変換手段で変換された各デューティ信号とを選択する選択手段と、前記選択手段で、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号の後に前記複数のデューティ変換手段で変換されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号を先頭とするデューティ信号の配列順が繰り返されるように、当該ヘッダ信号及び当該デューティ信号が選択されるように制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、複数の温度検出素子の電圧発生側に各々デューティ変換手段が接続されているので、各デューティ変換手段の前段で、スイッチ切替等によるノイズが各温度検出素子の発生電圧に乗るといったことが無くなる。このため、各デューティ変換手段において、発生電圧を適正な電圧レベルでデューティ信号に変換することができる。
【0034】
請求項13に記載の発明は、前記選択手段の出力側に、この選択手段で選択された前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号を伝達する信号伝達素子を介して接続された演算制御手段を備え、この演算制御手段は、前記温度検出素子の特性バラツキを記憶し、前記選択手段から前記信号伝達素子を介して入力されるデューティ信号より検知される温度情報を、当該記憶された特性バラツキで補正することを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、各半導体素子の温度を正確に検知することが出来る。
【0036】
請求項14に記載の発明は、前記複数のデューティ変換手段は、一定周期の基準波を生成する1つの基準波生成手段から生成される基準波を用いて前記複数の温度検出素子の発生電圧をデューティ信号に変換することを特徴とする。
【0037】
この構成によれば、各デューティ変換手段が1つの基準波をもとにデューティ変換を行うので、この変換動作が同期する。従って、各デューティ変換手段の後段の選択手段で各デューティ信号を例えば交互に選択する際に、同一タイミングで交互に各デューティ信号を先頭から所定周期選択することが出来る。従って、各デューティ信号の同期が取れていない場合に各々のデューティ信号の選択位置が異なり、選択手段からの出力波形が乱れるといった事が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】従来の電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の電力変換装置の構成を示す回路図である。
【図4】第1実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図5】第1実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の第1変形例の構成を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図7】第1実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の第2変形例の構成を示すブロック図である。
【図8】第2変形例の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【図10】第2実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の動作を説明するための信号波形図である。
【図11】第2実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図12】第2実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路のマイコンの演算処理を説明するための信号波形図である。
【図13】第2実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【図15】第3実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の動作を説明するための信号波形図である。
【図16】第3実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図17】第2実施形態の電力変換装置の温度検出回路の欠点を説明するための信号波形図である。
【図18】第3実施形態の電力変換装置の温度検出回路のマイコンに入力されるデータ信号の配列パターンを示す図である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【図20】第4実施形態の電力変換装置の温度検出回路のデューティ変換部の構成を示すブロック図である。
【図21】第4実施形態の電力変換装置の温度検出回路のデューティ変換部の詳細回路構成を示すブロック図である。
【図22】本実施形態の電力変換装置の温度検出回路のデューティ変換部の他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
【0040】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【0041】
図2に示す温度検出回路100は、モータジェネレータMGに接続されたスイッチング回路102と、切替スイッチ103,104と、デューティ変換部106と、ヘッダ生成部108と、制御部110と、フォトカプラ112と、マイコン114と、バッファ116とを備えて構成されている。
【0042】
スイッチング回路102は、図3に示す電力変換装置10に備えられており、電力変換装置10は、コンバータ20と、モータジェネレータMGを駆動制御するインバータ30とを備え、マイコン114により制御されるように構成されている。
【0043】
コンバータ20には、バッテリ40が接続され、バッテリ40はコンバータ20に直流電力を供給すると共に、コンバータ20から回生される直流電力を蓄電する。また、コンバータ20は、バッテリ40から供給された直流電力を昇圧してインバータ30へ出力し、インバータ30から出力された直流電力を降圧してバッテリ40へ出力する。更に、コンバータ20は、コンデンサ23と、リアクトル24と、高圧側の半導体素子である上アーム用のスイッチング素子(電力変換用スイッチング素子)21と、高圧GND(グランド)側の半導体素子である下アーム用のスイッチング素子(電力変換用スイッチング素子)22と、ダイオードD1,D2を含んで構成されている。
【0044】
これら構成要素は、バッテリ40の正極側にコンデンサ23及びリアクトル24の一端が接続され、負極側にコンデンサ23の他端とスイッチング素子22のエミッタ端子が接続されている。スイッチング素子21とスイッチング素子22とは直列に接続されており、リアクトル24の他端は、その間、つまりスイッチング素子21のエミッタ端子及びスイッチング素子22のコレクタ端子に接続されている。
【0045】
上アーム用のスイッチング素子21のコレクタ端子は、インバータ30の一端側に接続されている。下アーム用のスイッチング素子22のエミッタ端子は、インバータ30の他端側に接続されている。スイッチング素子21のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD1が接続され、同様にスイッチング素子22のコレクタ−エミッタ間にもダイオードD2が接続されている。
【0046】
モータジェネレータMGは、インバータ30に接続されており、バッテリ40から供給される電力により駆動する。発電機として働く場合は、交流電力をインバータ30に出力する。
【0047】
インバータ30は、U相、V相及びW相からなり、U相、V相及びW相はコンバータ20に並列に接続され、このコンバータ20によって昇圧された直流電力を三相交流に変換して、モータジェネレータMGに出力する。また、モータジェネレータMGが発電機として働く場合は、モータジェネレータMGから出力される交流電力を直流に変換してコンバータ20に出力する。更に、インバータ30は、コンバータ20との接続側に、蓄電の役割も有するサージ電圧吸収用のコンデンサ31を備えている。
【0048】
インバータ30のU相は、高圧側の半導体素子の上アーム用のスイッチング素子34と高圧GND側の半導体素子の下アーム用のスイッチング素子35とが直列に接続されてなる。同様に、V相は上アーム用のスイッチング素子36と下アーム用のスイッチング素子37、W相は上アーム用のスイッチング素子38と下アーム用のスイッチング素子39が直列に接続されてなる。
【0049】
各スイッチング素子34〜39のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。UVW各相の中間点は、モータジェネレータMGの各相コイル(図示略)の各相端に接続されている。ここで、コンバータ20及びインバータ30にそれぞれ含まれるスイッチング素子は、IGBT等のパワーデバイスが用いられているとする。
【0050】
更に、コンバータ20の各スイッチング素子21,22及びインバータ30の各スイッチング素子34〜39は、上アーム用のスイッチング素子がオンの場合は下アーム用のスイッチング素子がオフ、上アーム用のスイッチング素子がオフの場合は下アーム用のスイッチング素子がオンとなるように、マイコン114でスイッチング制御(オン/オフ制御)される。
【0051】
この電力変換装置10によれば、制御部11によるコンバータ20の各スイッチング素子21,22及びインバータ30の各スイッチング素子34〜39のスイッチング制御によって、バッテリ40の直流電力がコンバータ20で昇圧されてインバータ30で三相交流に変換され、この三相交流でモータジェネレータMGが駆動される。一方、モータジェネレータMGが発電機として働く場合は、モータジェネレータMGから出力される交流電力がインバータ30で直流電力に変換され、更にコンバータ20で降圧されてバッテリ40に回生される。
【0052】
ところで、電力変換装置10のコンバータ20のスイッチング素子21,22及びインバータ30の各スイッチング素子34〜39は、詳細には、スイッチング素子35に代表して破線枠102で囲むように、図2に示す構成のスイッチング回路102となっている。
【0053】
スイッチング回路102は、モータジェネレータMGとアース(グランド)間に並列接続された2つのスイッチング素子35a,35bと、これらスイッチング素子35a,35bに個別に対応付けられて一点鎖線枠120a,120bで示すように1パッケージ化された温度検出素子としての2つのダイオード122a,122bと、各ダイオード122a,122bのアノード側に個別に接続された2つの定電流回路124a,124bと、これら定電流回路124a,124bに電流を供給する電源126と、各スイッチング素子35a,35bの各々のベース端とバッファ116との間に接続された2つの抵抗器Ra,Rbとを備えて構成されている。但し、電源126は、コンバータ20を介したバッテリ40である。
【0054】
ここで、一方のダイオード122aをAch(Aチャンネル)側、他方のダイオード122bをBch(Bチャンネル)側と定義する。Ach側のダイオード122aには、一定電流が定電流回路124aから流れ、Bch側のダイオード122bには、一定電流が定電流回路124bから流れるようになっている。各ダイオード122a,122bのアノード端は、切替スイッチ103に配線接続されている。
【0055】
切替スイッチ103は、制御部110の制御に応じて、Ach側のダイオード122aのアノード端と、Bch側のダイオード122bのアノード端との何れか一方をデューティ変換部106に接続するスイッチング動作を行う。このスイッチング動作によって、Ach側のダイオード122aからの温度検出時の電圧であるAchのアナログ信号、又はBch側のダイオード122bからの温度検出時の電圧であるBchのアナログ信号がデューティ変換部106へ出力される。
【0056】
デューティ変換部106は、Ach又はBchのアナログ信号をPWM変調してデジタル信号である例えば図4(a)に示すAch又はBchのデューティ信号に変換し、これを切替スイッチ104の一方の入力端へ出力する。但し、デューティ信号は、所定のデューティ比を有する。切替スイッチ104の他方の入力端には、ヘッダ生成部108からの図4(a)に示すヘッダ信号が入力されるようになっている。つまり、ヘッダ生成部108は、ヘッダ信号を生成するが、このヘッダ信号は、デューティ変換部106によるPWM変調後のデューティ信号とは明らかに周期が異なる固有のデューティ信号となっている。
【0057】
切替スイッチ104は、Ach又はBchのデューティ信号並びにヘッダ信号を、制御部110の制御に応じて図4(b)に示す信号配列となるように選択してフォトカプラ112へ出力する。図4(b)は、ヘッダ信号(ヘッダ)、Achのデューティ信号(Ach)、Bchのデューティ信号(Bch)の順の信号配列を示す。
【0058】
切替スイッチ104から図4(b)の配列で各データ信号がフォトカプラ112へ入力され、フォトカプラ112からマイコン114へ出力されることにより、マイコン114は、信号配列の中から先頭をヘッダ信号で検知でき、その後のAchのデューティ信号、Bchのデューティ信号も順次検知でき、以降もヘッダ信号を先頭とする同じ順で検知可能となる。但し、図4(b)の信号配列に代え、図4(c)に示すヘッダ信号(ヘッダ)、Bchのデューティ信号(Bch)、Achのデューティ信号(Ach)の順の信号配列であっても良い。
【0059】
マイコン114は、Achのデューティ信号又はBchのデューティ信号から温度を検知し、これに応じてバッファ116を介してスイッチング素子35a又は35bが所定の温度以下となるように制御する。ここで、温度検出素子であるダイオード122a,122bには、製造時の特性バラツキがあり、このため、検出温度情報であるデューティ信号も誤差を含むことになる。そこで、マイコン114に予めダイオード122a,122bの特性バラツキ、例えばダイオード122aは出力特性に3%のバラツキ、ダイオード122bは5%のバラツキがあることを記憶しておき、Achのデューティ信号から検知される温度情報に対して3%の補正を行い、Bchのデューティ信号から検知される温度情報に対して5%の補正を行う。
【0060】
このような第1実施形態の電力変換装置10は、複数のスイッチング素子35a,35bの温度検出回路100として、各スイッチング素子35a,35bに対応付けられた複数のダイオード122a,122bの発生電圧を選択する第1の選択手段としての切替スイッチ103と、この切替スイッチ103で選択された電圧をPWM変調により所定のデューティ比のデューティ信号に変換するデューティ変換手段としてのデューティ変換部106と、PWM変調によるデューティ信号と周期が異なる固有のデューティ信号であるヘッダ信号を生成するヘッダ生成手段としてのヘッダ生成部108と、この生成されたヘッダ信号と、PWM変調されたデューティ信号とを選択する第2の選択手段としての切替スイッチ104とを備えた。
【0061】
更に、切替スイッチ103で複数のダイオード122a,122bの発生電圧が交互に選択され、切替スイッチ104で、ヘッダ信号の後に切替スイッチ103で交互に選択されてPWM変調されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号及びデューティ信号の配列順が繰り返されるようにヘッダ信号及びデューティ信号が選択されるように制御する制御手段としての制御部110を備えた。
【0062】
これによって、複数のダイオード122a,122bで個別に検出される複数のスイッチング素子35a,35bの温度が、第1の切替スイッチ103、デューティ変換部106及び第2の切替スイッチ104による1系統の信号伝送経路で伝送される。従って、従来のような複数の温度情報に対応した系統数の信号伝送経路が不要となるので、信号伝送経路毎の後段に必要であったフォトカプラ等の信号伝達素子や各経路の配線領域を削減することが出来る。これによって電力変換装置10おけるスイッチング素子の温度検出回路100を、安価で小型に実現することができる。
【0063】
また、第2の切替スイッチ104の出力側に、フォトカプラ112を介して接続された演算制御手段としてのマイコン114は、各ダイオード122a,122bの特性バラツキを記憶し、第2の切替スイッチ104からフォトカプラ112を介して入力されるデューティ信号より検知される温度情報を、その記憶された特性バラツキで補正する。これによって、各ダイオード122a,122bの温度を正確に検知することが出来る。
【0064】
また、図5に示す温度検出回路100−1のように、各ダイオード122a,122bと切替スイッチ103との間に、ダイオード122a,122b毎の発生電圧を保持する保持手段としてのホールド部130a,130bを接続してもよい。各ホールド部130a,130bは、制御部110の保持制御によって各ダイオード122a,122bからの発生電圧を保持し、この保持された電圧を切替スイッチ103へ出力し、また、解除制御によってその保持を解除する。
【0065】
各ホールド部130a,130bがAchの電圧とBchの電圧を保持して出力している間は、Ach又はBchの各々の同一電圧がデューティ変換部106によりデューティ信号に変換されて切替スイッチ104へ出力されることになる。そこで、制御部110は、図6(a)に示すように、ヘッダ信号200、Achのデューティ信号201及びBchのデューティ信号202の組が同一順序で2組、フォトカプラ112を介してマイコン114へ出力されるように切替スイッチ103,104を制御する。
【0066】
この後、制御部110は、各ホールド部130a,130bの保持を一旦解除し、再度保持制御によって各ダイオード122a,122bからの新たな発生電圧を保持させる。そして、図6(a)に示すように、ヘッダ信号210、Achのデューティ信号211及びBchのデューティ信号212の組が同一順序で複数組、フォトカプラ112を介してマイコン114へ出力されるように切替スイッチ103,104を制御する。なお、この制御は、図6(b)に示すようにAchとBchとが逆になるように行ってもよい。
【0067】
このように制御すれば次のような効果が得られる。インバータ30などの大電力を扱う装置においては、ノイズによる影響で正確にデータ信号を読み込めない場合がある。特にここで扱うデューティ信号はノイズによって波形が崩れると温度情報が変化してしまう。その他、マイコン114がヘッダ信号をヘッダと認識せず温度情報として誤認識する可能性もある。
【0068】
そこで、上述の図6(a)又は(b)に示したように、同一データ信号を少なくとも2回送信し、マイコン114でその2回のデータ信号の読み取り値(温度値)を比較して、双方の差異が予め定めた基準値以内の場合のみ読み取り値(温度値)を採用するようにする。又は、同一データ信号が3回以上送信された場合は、それら読み取り値の内、多数を占める読み取り値のみを有効にする。更には、同一データ信号が3回以上送信された場合に、それら読み取り値の内、予め定めた基準値を超える読み取り値を排除し、残りの読み取り値を有効にする。
【0069】
これらのようにすれば、ダイオード122a,122bの発生電圧にノイズによる影響が生じても、そのノイズが影響したデータ信号としてのデューティ信号はマイコン114で温度情報として採用されないので、誤認識が生じることは無くなる。また、マイコン114では適正な温度情報しか採用されないので、温度情報を正確に認識することが出来る。
【0070】
また、上記では、温度検出素子としてのダイオード122a,122bが2つの構成を示したが、図7に示すように、ダイオード122cが1つ追加された3つの構成の場合でも上述同様に効果を得ることが出来る。即ち、3つの構成の場合、バッファ116の出力側に抵抗器Rcを介して接続されたスイッチング素子35cに、一点鎖線枠120cで示すようにCch側のダイオード122cが対応付けられて1パッケージ化されており、そのCch側のダイオード122bのアノード端が、3入力タイプの切替スイッチ103−1に配線接続されている。
【0071】
このような構成の温度検出回路100−2では、図8(a)〜(c)に示すように、ヘッダ信号(ヘッダ)の後ろに、Achのデューティ信号(Ach)、Bchのデューティ信号(Bch)、Cchのデューティ信号(Cch)が、Ach、Bch及びCch、又は、Ach、Cch及びBch、又は、Cch、Bch及びAchの順で配列されて、フォトカプラ112を介してマイコン114へ出力される。
【0072】
(第2実施形態)
図9は、本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【0073】
図9に示す温度検出回路100−3は、デューティ変換部106−1を、オペアンプによるコンパレータ(演算増幅手段)106aと、基準波としての図10(b)に示す鋸波J1を生成する基準波生成部106bとを用いてPWM変調するように構成したものである。コンパレータ106aは、非反転入力端「+」が第1の切替スイッチ103の出力端に接続され、反転入力端「−」が基準波生成部106bの鋸波J1の生成端に接続され、出力端が第2の切替スイッチ104の一方の入力端に接続されている。
【0074】
基準波生成部106bは、鋸波J1を生成する他に、鋸波J1の立下りエッジで図10(c)に示す細長く立上るパルス状のピーク信号P1を生成し、これを制御部110へ出力するようになっている。
【0075】
制御部110は、ピーク信号P1を基準に、図10(d)に示す切替制御信号K1を切替スイッチ103へ出力し、(e)に示す切替制御信号K2を切替スイッチ104及びヘッダ生成部108へ出力する。つまり、時刻t1のピーク信号P1によって切替制御信号K1を立ち下げ、これに応じて切替スイッチ103がAch側のダイオード122aの発生電圧を選択する側に切り替わり、同時に切替制御信号K2を立上げ、これに応じてヘッダ生成部108がヘッダ信号Hdを生成すると共に、切替スイッチ104がヘッダ信号Hdを選択する側に切り替わる。これによって切替スイッチ104からは図10(a)に示すように、ヘッダ信号Hdが出力される。このヘッダ信号Hdは、2つのピーク信号P1間で「H」レベル、3つのピーク信号P1間で「L」レベルとなるデータ信号である。
【0076】
その後、ピーク信号P1が時刻t2,t3と発生され、時刻t4において時刻t1から3つ目のピーク信号P1が発生すると、制御部110は、切替制御信号K2を立ち下げ、これに応じて切替スイッチ104がコンパレータ106aから出力されるAch又はBchのデューティ信号AD,BDを選択する側に切り替わる。これによって切替スイッチ104からは図10(a)に示すように、Achのデューティ信号ADが出力される。
【0077】
この時刻t4において、基準波生成部106bから発生する鋸波J1が徐々に右肩上がりで立上ってコンパレータ106aの反転入力端「−」に供給される。この徐々に立上る鋸波J1のレベルが、コンパレータ106aの非反転入力端「+」に供給されているAch側の発生電圧のレベルを時刻t5において超えると、コンパレータ106aから出力されているAchのデューティ信号ADは、「H」から「L」に立ち下がる。更に、鋸波J1のレベルが徐々に高くなって時刻t6で予め定められた頂点から立ち下がり、Ach側の発生電圧のレベル以下となると、Achのデューティ信号ADは「L」から「H」へ立上る。
【0078】
また、時刻t6での鋸波J1の立下りによって時刻t1から4つ目のピーク信号P1が発生すると、制御部110は、切替制御信号K1を立上げ、これに応じて切替スイッチ103がBch側の発生電圧を選択する側に切り替わる。これによって、コンパレータ106aからはBchのデューティ信号BDが出力されるので、切替スイッチ104はそのBchのデューティ信号BDを選択して図10(a)に示すように出力する。
【0079】
この時刻t6において、鋸波J1が徐々に立上ってそのレベルが、コンパレータ106aの非反転入力端「+」に供給されているBch側の発生電圧のレベルを時刻t7において超えると、コンパレータ106aから出力されているBchのデューティ信号BDは、「H」から「L」に立ち下がる。更に、鋸波J1のレベルが徐々に高くなって時刻t8で予め定められた頂点から立ち下がり、Bch側の発生電圧のレベル以下となると、Bchのデューティ信号BDは「L」から「H」へ立上る。
【0080】
また、時刻t8での鋸波J1の立下りによって時刻t1から5つ目のピーク信号P1が発生すると、制御部110は、切替制御信号K1を立ち下げると共に切替制御信号K2を立上げ、これに応じて切替スイッチ103がAch側の発生電圧を選択する側に切り替わると共にヘッダ生成部108がヘッダ信号Hdを生成し、切替スイッチ104がヘッダ信号Hdを選択する側に切り替わる。これによって切替スイッチ104からは図10(a)に示すように、ヘッダ信号Hdが出力される。以降、時刻t1〜t8と同様な動作が繰り返される。
【0081】
但し、図10(a)に示したデータ信号DSにおいて、ヘッダ信号Hdの「L」区間は、Ach又はBchのデューティ信号AD,BDの周期よりも長く設定されている。ここでは、デューティ信号AD,BDの周期は、2つのピーク信号P1間の長さであるが、ヘッダ信号Hdの「L」区間は3つのピーク信号P1間の長さとされている。
【0082】
このように、ヘッダ信号Hdは、Ach又はBchのデューティ信号AD,BDと明らかに相違のある信号であるが、デューティ信号AD,BDは「H」と「L」が占める割合は変化するものの、基本的な周波数は一定となっている。従って、切替スイッチ104から出力されるデータ信号は、図11(a)に示す図10(a)と同じデータ信号DSに代え、図11(b)〜(d)に示すデータ信号DS1〜DS3であってもよい。
【0083】
データ信号DS1は、データ信号DSのものと逆レベルのヘッダ信号Hd1と、Ach及びBchのデューティ信号AD1,BD1とから構成されている。データ信号DS2は、ヘッダ信号Hd2がデータ信号DS1のものと同レベルで「L」と「H」の位置が入れ替わって長区間の「H」、短区間の「L」となっており、このヘッダ信号Hd2と、データ信号DSと同じヘッダ信号Hdとが交互にAch及びBchのデューティ信号AD,BDの先頭に配置された構成となっている。データ信号DS3は、ヘッダ信号Hd2と逆レベルのヘッダ信号Hd3の後ろに、データ信号DS1と同じAch及びBchのデューティ信号AD1,BD1が配置され、この後ろにデータ信号DS1と同じヘッダ信号Hd1が配置され、更にデューティ信号AD1,BD1が配置され、以降、ヘッダ信号Hd1とデューティ信号AD1,BD1との配置が繰り返される構成となっている。
【0084】
次に、図10(a)に示すデータ信号DSがフォトカプラ112を介してマイコン114に入力された場合の演算処理について説明する。そのデータ信号DSを図12(a)にも示す。
【0085】
マイコン114は、図示せぬタイマカウンタと、第1及び第2のレジスタとを内蔵している。図12(b)にタイマカウンタのカウント値TC、(c)に第1のレジスタの第1レジスタ値RT1、(d)に第2のレジスタの第2レジスタ値RT2を示す。
【0086】
タイマカウンタは、データ信号DSの立上りエッジ又は立下りエッジでカウント値TCをリセットし、データ信号DSの「L」又は「H」の区間をゼロからカウントする。第1のレジスタは、データ信号DSの立下りエッジでカウント値TCを取得し、これを第1レジスタ値RT1として保持する。第2のレジスタは、データ信号DSの立上りエッジでカウント値TCを取得し、これを第2レジスタ値RT2として保持する。
【0087】
例えば、図12の時刻t1においてヘッダ信号Hdが立ち下がると、この立下りエッジでタイマカウンタのヘッダ信号Hdの「H」区間のカウント値TCである「H1」が第1レジスタ値RT1として保持され、この保持後にカウント値TCがリセットされる。そして、タイマカウンタはヘッダ信号Hdの「L」区間をカウントする。時刻t2においてAchのデューティ信号ADが立上ると、この立上りエッジでヘッダ信号Hdの「L」区間のカウント値TCの「H2」が第2レジスタ値RT2として保持され、この保持後にカウント値TCがリセットされる。そして、タイマカウンタはAchのデューティ信号ADの「H」区間をカウントする。
【0088】
次に、時刻t3においてAchのデューティ信号ADが立ち下がると、この立下りエッジでAchのデューティ信号ADの「H」区間のカウント値「A1」が第1レジスタ値RT1として保持され、この保持後にタイマカウンタのカウント値「A1」がリセットされる。そして、タイマカウンタはAchのデューティ信号ADの「L」区間をカウントする。時刻t4においてBchのデューティ信号BDが立上ると、この立上りエッジでAchのデューティ信号ADの「L」区間のカウント値TCの「A2」が第2レジスタ値RT2として保持され、この保持後にタイマカウンタのカウント値TCがリセットされる。そして、タイマカウンタはBchのデューティ信号BDの「H」区間をカウントする。
【0089】
次に、時刻t5においてBchのデューティ信号BDが立ち下がると、この立下りエッジでBchのデューティ信号BDの「H」区間のカウント値「B1」が第1レジスタ値RT1として保持され、この保持後にタイマカウンタのカウント値「B1」がリセットされる。そして、タイマカウンタはBchのデューティ信号BDの「L」区間をカウントする。時刻t6においてヘッダ信号Hdが立上ると、この立上りエッジでBchのデューティ信号BDの「L」区間のカウント値TCの「B2」が第2レジスタ値RT2として保持され、この保持後にタイマカウンタのカウント値TCがリセットされる。そして、タイマカウンタはヘッダ信号Hdの「H」区間をカウントする。以降、この時刻t1〜t7の動作が繰り返される。
【0090】
また、マイコン114は、上記のように第1及び第2のレジスタに保持した第1及び第2レジスタ値RT1,RT2を用いて、Achのデューティ信号AD及びBchのデューティ信号BDの各デューティを演算する。Achのデューティ信号ADのデューティADDは、A1/(A1+A2)によって演算される。Bchのデューティ信号BDのデューティBDDは、B1/(B1+B2)によって演算される。
【0091】
このようにマイコン114が第1及び第2レジスタ値RT1,RT2を読み込み、デューティを演算するタイミングは、Ach及びBchのデューティ信号AD,BDの立下りエッジ又は立上りエッジで割り込みをかけて演算処理する方法も考えられる。この方法であれば、確実に全部のカウント値TCを取得することができるが、割り込み処理が入るとマイコン114の本来の処理が遅延してしまうことがある。
【0092】
そこで、第1及び第2レジスタ値RT1,RT2の更新が必ずデューティ信号AD,BDの基本周期Dcy(図12参照)よりも長い時間になることに着目し、その基本周期Dcyをマイコン114のメインループの時間よりも長く設定した。このように設定することで、マイコン114が第1及び第2レジスタ値RT1,RT2を読み込んで、Ach及びBchのデューティ信号AD,BDのデューティを演算する処理を、メインループの中で割り込み無しで行うことが可能となる。
【0093】
このように第2実施形態の電力変換装置は、温度検出回路100−3において、デューティ変換部106−1を、一定周期で立上り立下りを繰り返す基準波としての鋸波J1を生成すると共に当該鋸波J1の立下りエッジでパルス状のピーク信号P1を生成する基準波生成部106bと、その生成された鋸波J1と、切替スイッチ103で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号AD,BDに変換するコンパレータ106aとを備えて構成した。更に、制御部110を、切替スイッチ103及び切替スイッチ104の選択タイミングと、ヘッダ生成部108のヘッダ信号Hdの生成タイミングとを、基準波生成部106bで生成されるピーク信号P1に同期させる制御を行うようにした。
【0094】
これによって、切替スイッチ103,104の選択動作と、ヘッダ生成部108のヘッダ信号Hdの生成動作とを、一定に生成されるピーク信号P1で同期させるので、切替スイッチ104からヘッダ信号Hd及び所定配列のデューティ信号AD,BDを同期させて出力することができる。これによってマイコン114で適正にデューティ信号AD,BDを取得することが出来る。また、一定に生成されるピーク信号P1のみを用いて複数回路手段である切替スイッチ103,104及びヘッダ生成部108の動作を同期させるので、回路全体の小型化を図ることができる。
【0095】
また、マイコン114は、切替スイッチ104から信号伝達素子を介して入力されるヘッダ信号Hd及びデューティ信号AD,BDの立上りエッジ又は立下りエッジでリセット後にカウント動作を開始するタイマカウンタと、当該立上りエッジ又は立下りエッジで当該リセット前にタイマカウンタのカウント値TCを第1及び第2レジスタ値RT1,RT2として保持するレジスタとを備え、レジスタに保持された第1及び第2レジスタ値RT1,RT2を用いてデューティ信号AD,BDのデューティを求める演算を含む演算処理を行う。本実施形態では、その演算処理を行うマイコン114のメインループの周期よりも、当該デューティ信号AD,BDの周期を長く設定した。
【0096】
従って、デューティ信号AD,BDの周期を、マイコン114のメインループの周期よりも長くしたので、マイコン114がレジスタ値を読み込んでデューティ信号AD,BDのデューティを演算する処理を、メインループの中で割り込み無しで行うことが可能となる。
【0097】
また、図11(a)〜(d)に示したように、ヘッダ信号Hd,Hd1〜Hd3を、当該ヘッダ信号の1周期中に、デューティ信号AD,BD又はAD1,BD1の周期よりも長い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号とした。従って、ヘッダ信号Hd,Hd1〜Hd3を確実にマイコン114で識別することができるので、確実な信号伝達を行うことができる。
【0098】
この他、図13(a)及び(b)に示すように、ヘッダ信号Hd4,Hd5を、当該ヘッダ信号の1周期中に、デューティ信号AD,BD又はAD1,BD1の周期よりも短い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号としてもよい。
【0099】
このようにすれば、上記同様に、ヘッダ信号Hd4,Hd5を確実に識別でき、確実な信号伝達を行うことができる。また、ヘッダ信号Hd4,Hd5の周期がデューティ信号AD,BD又はAD1,BD1の周期よりも短くなるので、ヘッダ信号Hdを含むデータ信号の伝送を高速化することが出来る。
【0100】
また、デューティ変換部106−1は、切替スイッチ103で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号AD,BDに変換する際に、当該デューティ信号AD,BDのデューティ比を所定値以内に制限して変換を行う。ヘッダ信号Hdを、その制限されたデューティ比を超えるデューティ比に設定する。
【0101】
このようにすれば、ヘッダ信号Hdのデューティ比がデューティ信号AD,BDのデューティ比と異なるので、ヘッダ信号Hdを確実に識別することができ、これによって確実な信号伝達を行うことができる。
【0102】
また、デューティ変換部106−1は、切替スイッチ103で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号AD,BDに変換する際に、当該デューティ信号AD,BDのデューティ比が100%未満となるように制限する。
【0103】
このようにすれば、デューティ信号AD,BDの立上りエッジ又は立下りエッジが必ず存在するので、マイコン114でデューティ信号AD,BDを必ず識別することが可能となる。
【0104】
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【0105】
図14に示す温度検出回路100−4は、デューティ変換部106−2を、オペアンプによるコンパレータ(演算増幅手段)106aと、基準波としての図15(b)に示す三角波J2を生成する基準波生成部106cとを用いてPWM変調するように構成し、また、図15(a)に示すように、デューティ変換部106−2から出力されるAch又はBchのデューティ信号AD,BDを、第2の切替スイッチ104が2つずつ選択してフォトカプラ112へ出力するように構成したものである。
【0106】
基準波生成部106bは、三角波J2を生成する他に、図15(c)に示すように、三角波J2の立下りポイントで立下り、立上りポイントで立上る矩形状のピーク信号P2を生成し、これを制御部110へ出力するようになっている。
【0107】
制御部110は、ピーク信号P2を基準に、図15(d)に示す切替制御信号K3を切替スイッチ103へ出力し、(e)に示す切替制御信号K4を切替スイッチ104及びヘッダ生成部108へ出力する。つまり、時刻t1のピーク信号P2の立上りエッジによって切替制御信号K3及びK4が立上り、これに応じて切替スイッチ103がAch側のダイオード122aの発生電圧を選択する側に切り替わると共に、ヘッダ生成部108がヘッダ信号Hdを生成し、更に切替スイッチ104がヘッダ信号Hdを選択する側に切り替わる。これによって切替スイッチ104からは図15(a)に示すように、ヘッダ信号Hdが出力される。このヘッダ信号Hdは、「H」及び「L」の1周期が、ピーク信号P2の3周期分であり、その1周期中の先頭の「H」区間がピーク信号P2の1つの「H」に対応している。
【0108】
その後、ピーク信号P2が「L」及び「H」を時刻t2,t3…で示す一定周期を繰り返し、切替制御信号K3,K4の立上り契機となった立上りエッジから3周期が終了し、時刻t7で示す4周期目の立上りエッジで切替制御信号K4が立下ると、制御部110は、切替スイッチ104をデューティ変換部106−2から出力されるデューティ信号を選択する側に切り替える。これによって切替スイッチ104ではAchのデューティ信号ADが選択されて出力される。
【0109】
即ち、時刻t7〜t11間に示すように、ピーク信号P2が2周期繰り返され、2周期分のAchのデューティ信号ADが切替スイッチ104からフォトカプラ112へ出力される。また、この時刻t7〜t11間では、時刻t7において基準波生成部106cから発生する三角波J2が徐々に右肩上がりで立上ってコンパレータ106aの反転入力端「−」に供給される。この三角波J2のレベルが、コンパレータ106aの非反転入力端「+」に供給されているAch側の発生電圧のレベルを時刻t7aにおいて超えると、コンパレータ106aから出力されているAchのデューティ信号ADは、「L」から「H」に立上る。
【0110】
更に、三角波J2が時刻t8で上ピークから立ち下がり、時刻t8aにおいてAch側の発生電圧のレベル以下となると、Achのデューティ信号ADは「H」から「L」へ立ち下がる。次に同様に、三角波J2のレベルがAch側の発生電圧のレベルを時刻t9aにおいて超えると、Achのデューティ信号ADが「L」から「H」に立上り、更に、三角波J2が時刻t10で上ピークから立ち下がり、時刻t10aにおいてAch側の発生電圧のレベル以下となると、Achのデューティ信号ADが「H」から「L」へ立ち下がる。
【0111】
次に、時刻t11においてピーク信号P2が立上ると、この立上りエッジで切替制御信号K3が立下る。この立下りエッジで切替スイッチ103がBchの発生電圧を選択する側に切り替わり、これによってデューティ変換部106−2からBchのデューティ信号BDが出力され、切替スイッチ104で選択される。
【0112】
即ち、時刻t11〜t15間に示すように、ピーク信号P2が2周期繰り返され、2周期分のBchのデューティ信号BDが切替スイッチ104からフォトカプラ112へ出力される。また、この時刻t11〜t15間では、時刻t11において三角波J2が徐々に立上ってコンパレータ106Bの反転入力端「−」に供給される。この三角波J2のレベルが、コンパレータ106Bの非反転入力端「+」に供給されているBch側の発生電圧のレベルを時刻t11aにおいて超えると、Bchのデューティ信号BDが「L」から「H」に立上る。
【0113】
更に、三角波J2が時刻t12で上ピークから立ち下がり、時刻t12aにおいてBch側の発生電圧のレベル以下となると、Bchのデューティ信号BDが「H」から「L」へ立ち下がる。次に同様に、三角波J2のレベルがBch側の発生電圧のレベルを時刻t13aにおいて超えると、Bchのデューティ信号BDが「L」から「H」に立上り、更に、三角波J2が時刻t14で上ピークから立ち下がり、時刻t14aにおいてBch側の発生電圧のレベル以下となると、Bchのデューティ信号BDが「H」から「L」へ立ち下がる。
【0114】
また、時刻t15のピーク信号P2の立上りエッジによって切替制御信号K3及びK4が立上り、これに応じて切替スイッチ103がAch側のダイオード122aの発生電圧を選択する側に切り替わると共に、ヘッダ生成部108がヘッダ信号Hdを生成し、更に切替スイッチ104がヘッダ信号Hdを選択する側に切り替わる。これによって切替スイッチ104からは図15(a)に示すように、ヘッダ信号Hdが出力される。以降、時刻t1〜t15と同様な動作が繰り返される。
【0115】
このようにヘッダ信号Hdの後ろに同じチャンネルのデューティ信号AD又はBDが2つ連続するようにしたのは次の理由による。T1で示す時刻t7のタイミングでヘッダ信号HdからAchのデューティ信号ADに同じ「L」レベルで切り替わり、T2で示す時刻t11のタイミングでAchのデューティ信号ADからBchのデューティ信号BDに同じ「L」レベルで切り替わるが、この際、同レベルであるため、マイコン114でその切替タイミングT1,T2が判別できない。そこで、連続する2つのAchのデューティ信号ADの「H」と「H」との間の「L」区間を検知し、これをデューティ演算に用いれば正確にデューティを求めることが出来る。Bch側も同様である。
【0116】
ところで、図15(a)に示したデータ信号DS6において、ヘッダ信号Hdの「L」区間は、Ach又はBchのデューティ信号AD,BDの周期よりも長く設定されている。このように、ヘッダ信号Hdは、Ach又はBchのデューティ信号AD,BDと明らかに相違のある信号であるが、デューティ信号AD,BDは「H」と「L」が占める割合は変化するものの、基本的な周波数は一定となっている。従って、切替スイッチ104から出力されるデータ信号は、図16(a)に示す図15(a)と同じデータ信号DS6に代え、図16(b)〜(d)に示すデータ信号DS7〜DS9であってもよい。
【0117】
データ信号DS7は、ヘッダ信号Hd1がデータ信号DS6のものと逆レベルとなっている。データ信号DS8は、ヘッダ信号Hd2がデータ信号DS7のものと同レベルで「L」と「H」の位置が入れ替わって長区間の「H」、短区間の「L」となっている。データ信号DS9は、ヘッダ信号Hd2と逆レベルのヘッダ信号Hd3と、データ信号DS7のヘッダ信号Hd1とが交互に、Achのデューティ信号ADの先頭に配置された構成となっている。
【0118】
このように第3実施形態の電力変換装置は、温度検出回路100−4において、デューティ変換部106−2を、一定周期で三角状に立上る基準波としての三角波J2を生成すると共に当該三角波J2の上方及び下方のピークで立上りと立下りとを交互に繰り返す方形波状のピーク信号P2を生成する基準波生成部106cと、その生成された三角波J2と、切替スイッチ103で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号AD,BDに変換するコンパレータ106aとを備えて構成した。
【0119】
更に、制御部110を、切替スイッチ103及び切替スイッチ104の選択タイミングと、ヘッダ生成部108のヘッダ信号の生成タイミングとを、基準波生成部106cで生成されるピーク信号P2に同期させる制御を行うと共に、切替スイッチ104で、ヘッダ信号Hdの後に同一チャンネルのデューティ信号AD又はBDが複数連続配列される選択が行われる制御を行うように構成した。
【0120】
これによって、デューティ信号AD,BDのチャンネルを切り替える際に発生する波形割れ(図17(c)の丸内M1に示す)を、次のように防止することができる。図17(a)は、第2実施形態の温度検出回路100−3において、切替スイッチ104からマイコン114へ出力されるデータ信号DSである。このデータ信号DSを得るためのデューティ変換部106−1において、図17(b)に示すように、Ach及びBchの発生電圧のレベルが鋸波J1のピーク近くの高い場合を想定する。
【0121】
この場合、時刻t6前後付近を拡大した図17(d)に示すように、時刻t6への到達付近で鋸波J1がAch側の発生電圧を超えた際に、図17(c)に示すようにAchのデューティ信号ADのエッジe1が立上る。この際、Ach側の発生電圧は鋸波J1のピーク付近にあるので、鋸波J1はその発生電圧を超えた後、直ぐに時刻t6でピークに到達した後、立ち下がる。この鋸波J1の立下りは、鋸波J1を生成するための図示せぬコンデンサに電荷を充放電する内の放電により行っているので、放電に必要以上に時間がかかることがある。このため時刻t6から必要以上に時間経過tdした時刻t6cまでかかる場合がある。
【0122】
このように放電に時間がかかると、鋸波J1の立下りエッジの傾斜が滑らかになる。この滑らかな立下りエッジの場合、時刻t6のピーク直後の時刻t6aにおいてAch側の発生電圧からBch側の発生電圧への切替が行われた際に、この切替途中の電圧を鋸波J1の立下りエッジが下方に横切る。これによりAchのデューティ信号ADのエッジe2が立ち下がる。ここで、鋸波J1の立下りエッジが滑らかでなく、即時放電による急峻な場合は上記の切替途中の前で立ち下がるので、切替途中の電圧を横切ることは無い。
【0123】
上記のように滑らかな立下りエッジが切替途中の電圧を横切った時刻t6aの直後の時刻t6bにおいて、Bch側の発生電圧に切り替わり、これを鋸波J1の立下りエッジが下方に横切ると、Bchのデューティ信号BDのエッジe3が立上る。このような動作によって、AchからBchへの切替時に時刻t6aと時刻t6b間に示すような波形割れが生じる。この波形割れが発生するとマイコン114が誤った値として認識する虞が有る。
【0124】
そこで第3実施形態の温度検出回路100−4では、基準波を三角波J2とし、更にAch及びBchのデューティ信号AD,BDを複数サイクルづつマイコン114へ出力するようにした。三角波J2では、鋸波J1のような上ピークからの瞬間的な電圧低下でなく、上ピークからの電圧変化が少ないため、デューティ信号AD,BDのチャンネル切替時の電圧を横切ることが無くなる。従って、チャンネル切替時に波形割れが生じることが無くなる。
【0125】
また、デューティ信号AD又はBDの同一チャンネルが少なくとも2つ以上連続するようにした。これによって、デューティ信号AD,BDのチャンネル切替時に、同一「L」又は「H」レベルが連続し、この連続区間で何れのデータ信号か認識できず、正確なデューティがマイコン114で求められなくなるといったことを無くすことが出来る。即ち、2つの同一チャンネル(例えばAch)のデューティ信号ADが連続していれば、その「H」と「H」との間の「L」区間を検知することができるので、これによって正確にデューティを求めることが出来る。
【0126】
また、図16(a)〜(d)には、デューティ信号AD,BDの周期よりも長い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号であるヘッダ信号Hd,Hd1〜Hd3を示したが、この他、図18(a)及び(b)に示すデータ信号DS10,DS11におけるヘッダ信号Hd4,Hd5であってもよい。
【0127】
(第4実施形態)
図19は、本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の温度検出回路の構成を示すブロック図である。
【0128】
図19に示す第4実施形態の温度検出回路100−5が、図2に示した第1実施形態の温度検出回路100と異なる点は、Ach側のダイオード122aとBch側のダイオード122bとの各々のアノード側に同一のデューティ変換部106を接続し、これらデューティ変換部106の出力端を3入力タイプの切替スイッチ104−1の入力側に接続した。更に、切替スイッチ104−1が、各デューティ変換部106で変換されるAch又はBchのデューティ信号並びにヘッダ生成部108からのヘッダ信号を、制御部110の制御に応じて図4(a)〜(c)に示した信号配列となるように選択してフォトカプラ112へ出力するようにしたことにある。
【0129】
このような構成の第4実施形態の電力変換装置の温度検出回路100−5によれば、第1実施形態の温度検出回路100に比べ次のような効果が得られる。第1実施形態の温度検出回路100では、Ach側及びBch側のダイオード122a,122bの各発生電圧を1つの切替スイッチ103で交互に選択して1つのデューティ変換部106へ出力していた。このため、切替スイッチ103での切替時にノイズが発生した際に、このノイズをデューティ変換部106が各発生電圧と共にデューティ信号に変換してしまう。このため、デューティ信号の電圧レベルがノイズによる影響で変動することがある。このようにデューティ信号の電圧レベルが変動した場合、マイコン114でデューティ信号が正確に読み取れなくなることが生じる。
【0130】
そこで、第4実施形態の温度検出回路100−5のようにAch側及びBch側のダイオード122a,122bの各々のアノード側に同一のデューティ変換部106を接続すれば、各デューティ変換部106の前段で発生電圧にノイズが乗るといったことが無くなるので、各デューティ変換部106で適正に発生電圧をデューティ信号に変換することが出来る。従って、マイコン114で適正に各デューティ信号を読み取ることが出来る。
【0131】
但し、上記の温度検出回路100−6において、2つのデューティ変換部106は同期が取れていないと、異なるタイミングで各発生電圧をデューティ信号に変換する。この場合、切替スイッチ104−1での切替タイミングによってはデューティ信号の波形が乱れる可能性がある。そこで、図20に示すように、2つのデューティ変換部106に対応する2つのコンパレータ106aの各反転入力端「−」に、1つの基準波生成部106bから基準波としての鋸波J1を入力して同期を取るようにしても良い。
【0132】
基準波生成部106bの詳細回路は、図21に示すように、電源126と、定電流回路131a,131bと、コンパレータ134と、スイッチ135,136と、コンデンサC1と、抵抗器Rc,Rd,Reとを備えて構成されている。この構成において、コンパレータ134が非反転入力端「+」を介してコンデンサC1の電圧を検出しており、その電圧が低ければ定電流回路131aがコンデンサC1に電流を供給する。これにより電圧が徐々に高くなり、この電圧が所定値となるとコンパレータ134がオンとなってピーク信号P1が生成され、このピーク信号P1でスイッチ135,136をオンする。
【0133】
これによって、定電流回路131aに直列接続され、当該定電流回路131aよりも引き込み電流が2倍大きな定電流回路131bでコンデンサC1の電荷が放電され、コンデンサC1の電圧値が急激に下がる。この電圧が所定値以下となるとピーク信号P1が無くなってスイッチ135,136がオフとなり、コンデンサC1へのチャージが再度開始される。以降同様に繰り返され、鋸波J1が連続して生成される。
【0134】
このように、2つのデューティ変換手段であるコンパレータ106aが1つの鋸波J1をもとにデューティ変換を行うので、この変換動作が同期する。従って、各コンパレータ106aの後段の切替スイッチ104−1で各デューティ信号AD,BDを交互に選択する際に、同一タイミングで交互に各デューティ信号AD,BDを先頭から所定周期選択することが出来る。従って、各デューティ信号AD,BDの同期が取れていない場合に各々のデューティ信号AD,BDの選択位置が異なり、切替スイッチ104−1からの出力波形が乱れるといった事が無くなる。なお、温度検出回路100−6には鋸波J1を発生する基準波生成部106bを用いたが、三角波J2を発生する基準波生成部106cを用いても良い。
【0135】
この他、上述の実施形態における温度検出回路100〜100−6において、デューティ変換部106を、図22に示すように、Ach側及びBchの発生電圧をA/D(アナログ/デジタル)コンバータ141でデジタル信号に変換し、このデジタル信号の幅をタイマ142によるカウンタ値で読むことによりデューティ信号を得る構成としてもよい。デジタル信号の幅をタイマ142によるカウンタ値で読むとは、例えばデューティ信号の1周期が「100」であるとすると、デジタル信号の「H」の幅を「10」、「L」の幅を「90」として読み、デューティ「10」のデューティ信号を得るようにする。
【符号の説明】
【0136】
10 電力変換装置
20 コンバータ
21,22 スイッチング素子
23 コンデンサ
24 リアクトル
30 インバータ
34〜39 スイッチング素子
D1〜D8 ダイオード
MG モータジェネレータ
100,100−1〜100−6 温度検出回路
102 スイッチング回路
103,103−1,104,104−1 切替スイッチ
106 デューティ変換部
108 ヘッダ生成部
110 制御部
112 フォトカプラ
114 マイコン
116 バッファ
35a,35b スイッチング素子
120a,120b パッケージ
122a,122b ダイオード
124a,124b,131a,131b 定電流回路
126 電源
Ra,Rb,Rc,Rd,Re 抵抗器
130a,130b ホールド部
106a,134 コンパレータ
106b,106c 基準波生成部
P1,P2 ピーク信号
J1 鋸波
J2 三角波
K1,K2,K3,K4 切替制御信号
Hd ヘッダ信号
AD,BD デューティ信号
DS〜DS11 データ信号
135,136 スイッチ
141 A/Dコンバータ
142 タイマ
C1 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を昇圧する複数の半導体素子を有するコンバータと、このコンバータでの昇圧電圧を交流電圧に変換する複数の半導体素子を有するインバータとの双方又は何れか一方を有し、前記複数の半導体素子に個別に対応付けられて半導体素子個々の温度に応じた電圧を発生する複数の温度検出素子とを有する電力変換装置において、
前記複数の温度検出素子の発生電圧を選択する第1の選択手段と、
前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調により所定のデューティ比のデューティ信号に変換するデューティ変換手段と、
前記パルス幅変調によるデューティ信号と周期が異なる固有のデューティ信号であるヘッダ信号を生成するヘッダ生成手段と、
前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号と、前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号とを選択する第2の選択手段と、
前記第1の選択手段で前記複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、前記第2の選択手段で、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号の後に当該第1の選択手段で交互に選択されて前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号を先頭とするデューティ信号の配列順が繰り返されるように、当該ヘッダ信号及び当該デューティ信号が選択されるように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記第2の選択手段の出力側に、この第2の選択手段で選択された前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号を伝達する信号伝達素子を介して接続された演算制御手段を備え、この演算制御手段は、前記温度検出素子の特性バラツキを記憶し、前記第2の選択手段から前記信号伝達素子を介して入力されるデューティ信号より検知される温度情報を、当該記憶された特性バラツキで補正することを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記複数の温度検出素子と前記第1の選択手段との間に、当該複数の温度検出素子の発生電圧を保持して出力する保持手段を接続し、
前記制御手段は、当該保持手段に当該複数の温度検出素子の発生電圧が保持されて当該第1の選択手段へ出力されるように保持制御を行い、この保持制御時に、当該第1の選択手段で当該複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、この交互に選択された発生電圧が前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が、前記ヘッダ信号の後ろに配列され、この配列順の組が同一に複数回繰り返されるように当該第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択を制御し、
前記演算制御手段は、当該第2の選択手段で選択された同一の複数組同士のデューティ信号を比較し、互いの差異が予め定めた基準値以内の場合にのみデューティ信号を前記温度情報の検知に採用することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記複数の温度検出素子と前記第1の選択手段との間に、当該複数の温度検出素子の発生電圧を保持して出力する保持手段を接続し、
前記制御手段は、当該保持手段に当該複数の温度検出素子の発生電圧が保持されて当該第1の選択手段へ出力されるように保持制御を行い、この保持制御時に、当該第1の選択手段で当該複数の温度検出素子の発生電圧が交互に選択され、この交互に選択された発生電圧が前記デューティ変換手段で変換されたデューティ信号が、前記ヘッダ信号の後ろに配列され、この配列順の組が同一に複数回繰り返されるように当該第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択を制御し、
前記演算制御手段は、当該第2の選択手段で選択された同一の複数組内のデューティ信号の中から、予め定めた基準値を超えるデューティ信号を排除し、排除されないデューティ信号を前記温度情報の検知に採用することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記デューティ変換手段は、一定周期で立上り立下りを繰り返す基準波を生成すると共に当該基準波の立下りエッジでパルス状のピーク信号を生成する基準波生成手段と、この基準波生成手段で生成された基準波と、前記第1の選択手段で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号に変換する演算増幅手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択タイミングと、前記ヘッダ生成手段のヘッダ信号の生成タイミングとを、前記基準波生成手段で生成されるピーク信号に同期させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記演算制御手段は、前記第2の選択手段から前記信号伝達素子を介して入力される前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号の立上りエッジ又は立下りエッジでリセット後にカウント動作を開始するカウンタと、当該立上りエッジ又は当該立下りエッジで当該リセット前にカウンタのカウント値をレジスタ値として保持するレジスタとを備え、前記レジスタに保持されたレジスタ値を用いて前記デューティ信号のデューティを求める演算を含む演算処理を行い、この演算処理を行う演算制御手段のメインループの周期よりも当該デューティ信号の周期が長く設定されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記ヘッダ信号は、当該ヘッダ信号の1周期中に、前記デューティ信号の周期よりも長い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記ヘッダ信号は、当該ヘッダ信号の1周期中に、前記デューティ信号の周期よりも短い「L」レベル又は「H」レベルの区間を含む固有の信号であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記デューティ変換手段は、前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号に変換する際に、当該デューティ信号のデューティ比を所定値以内に制限して変換を行い、
前記ヘッダ信号は、その制限されたデューティ比を超えるデューティ比に設定されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記デューティ変換手段は、前記第1の選択手段で選択された電圧をパルス幅変調によりデューティ信号に変換する際に、当該デューティ信号のデューティ比が100%未満となるように制限することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記デューティ変換手段は、一定の傾斜で立上り立下りを交互に繰り返す基準波としての三角波を生成すると共に当該三角波の立上りポイントで立上り、立下りポイントで立ち下がる第2のピーク信号を生成する第2の基準波生成手段と、この第2の基準波生成手段で生成された三角波と、前記第1の選択手段で選択された電圧とを比較して当該電圧を所定のデューティ比のデューティ信号に変換する第2の演算増幅手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1の選択手段及び前記第2の選択手段の選択タイミングと、前記ヘッダ生成手段のヘッダ信号の生成タイミングとを、前記第2のピーク信号に同期させる制御を行うと共に、前記ヘッダ信号の後に同一のデューティ信号が少なくとも2つ以上連続配列される選択が前記第2の選択手段で行われる制御を行うことを特徴とする請求項1〜4及び6〜10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
直流電圧を昇圧する複数の半導体素子を有するコンバータと、このコンバータでの昇圧電圧を交流電圧に変換する複数の半導体素子を有するインバータとの双方又は何れか一方を有し、前記複数の半導体素子に個別に対応付けられて半導体素子個々の温度に応じた電圧を発生する複数の温度検出素子とを有する電力変換装置において、
前記複数の温度検出素子の電圧発生側に各々接続され、その発生電圧をパルス幅変調により所定のデューティ比のデューティ信号に変換する複数のデューティ変換手段と、
前記パルス幅変調によるデューティ信号と周期が異なる固有のデューティ信号であるヘッダ信号を生成するヘッダ生成手段と、
前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号と、前記複数のデューティ変換手段で変換された各デューティ信号とを選択する選択手段と、
前記選択手段で、前記ヘッダ生成手段で生成されたヘッダ信号の後に前記複数のデューティ変換手段で変換されたデューティ信号が順次配列され、このヘッダ信号を先頭とするデューティ信号の配列順が繰り返されるように、当該ヘッダ信号及び当該デューティ信号が選択されるように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
前記選択手段の出力側に、この選択手段で選択された前記ヘッダ信号及び前記デューティ信号を伝達する信号伝達素子を介して接続された演算制御手段を備え、この演算制御手段は、前記温度検出素子の特性バラツキを記憶し、前記選択手段から前記信号伝達素子を介して入力されるデューティ信号より検知される温度情報を、当該記憶された特性バラツキで補正することを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記複数のデューティ変換手段は、一定周期の基準波を生成する1つの基準波生成手段から生成される基準波を用いて前記複数の温度検出素子の発生電圧をデューティ信号に変換することを特徴とする請求項12又は13に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−167039(P2011−167039A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30209(P2010−30209)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】