電力変換装置
【課題】直流電源の電圧を昇降圧するコンバータと、コンバータで得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータを駆動するインバータとを備える電力変換装置において、多数のスイッチング素子モジュールをコンパクトに纏めて効果的に冷却し得るようにし、磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに及ぶことを極力避ける。
【解決手段】全てのスイッチング素子モジュール27C,27Fが水冷型の第1のヒートシンク40の上下両面に装着されて成るスイッチング素子組立ユニット67の上方に、水冷型の第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、複数の磁気部品24,26が配置される。
【解決手段】全てのスイッチング素子モジュール27C,27Fが水冷型の第1のヒートシンク40の上下両面に装着されて成るスイッチング素子組立ユニット67の上方に、水冷型の第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、複数の磁気部品24,26が配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチング素子モジュールおよび複数の磁気部品を少なくとも一部の構成部品としつつ直流電源の電圧を昇降圧するコンバータと、前記スイッチング素子モジュールとは別の複数のスイッチング素子モジュールを一部の構成部品としつつ前記コンバータで得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータを駆動するインバータとを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスイッチング素子モジュールを冷却装置における一対の冷媒チューブ間に挟むようにして主回路部を構成し、磁気部品を含むパワー配線部と、スイッチング素子モジュールを制御する制御回路を有する制御回路基板部との間に前記主回路部を介在させて、インバータを構成するようにしたものが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−73374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示された電力変換装置はインバータであるが、コンバータおよびインバータを含む電力変換装置では、コンバータおよびインバータがそれぞれ複数ずつのスイッチング素子モジュールを備えており、多数のスイッチング素子モジュールを冷却する必要があるが、多数のスイッチング素子モジュールを冷却する構造が大型化することは避けたい。またコンバータが備える磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに作用することも極力避ける必要がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、多数のスイッチング素子モジュールをコンパクトに纏めて効果的に冷却することを可能とし、しかも磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに及ぶことを極力避け得るようにした電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のスイッチング素子モジュールおよび複数の磁気部品を少なくとも一部の構成部品としつつ直流電源の電圧を昇降圧するコンバータと、前記スイッチング素子モジュールとは別の複数のスイッチング素子モジュールを一部の構成部品としつつ前記コンバータで得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータを駆動するインバータとを備える電力変換装置において、水冷型の第1ヒートシンクと、前記コンバータおよび前記インバータの一部をそれぞれ構成しつつ第1のヒートシンクの上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュールとで構成されるスイッチング素子組立ユニットの上方に、水冷型の第2のヒートシンクを前記スイッチング素子組立ユニットとの間に介在させるようにして、複数の前記磁気部品が配置されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、第1のヒートシンクに、ねじ軸部を両端部に有する複数のスタッドボルトが、前記ねじ軸部を第1のヒートシンクの上下両面から突出させるようにして植設され、前記各スイッチング素子モジュールが、前記各スタッドボルトのうち選択されたスタッドボルトの前記ねじ軸部に締結されるようにして第1のヒートシンクの上下両面に装着されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、第1および第2のヒートシンクに冷却水を分配して供給すべく、冷却水供給源が第1および第2のヒートシンクに並列に接続されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、偶数個の前記スイッチング素子モジュールが、第1のヒートシンクの上下両面に略対称配置で装着されることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記コンバータの一部を構成して第1のヒートシンクの上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュールと、前記磁気部品のうち前記コンバータの一部を構成する前記スイッチング素子モジュールに直接連なる磁気部品とが、バスバーで接続されることを第5の特徴とする。
【0011】
なお実施の形態の燃料電池15および蓄電池16が本発明の直流電源に対応し、実施の形態の第1インダクタ24、第2インダクタ25、三相トランス26および二相トランス33が本発明の磁気部品に対応し、実施の形態の冷却水ポンプ80が本発明の冷却水供給源に対応する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、コンバータおよびインバータの一部をそれぞれ構成する複数のスイッチング素子モジュールが、水冷型の第1のヒートシンクの上下両面に装着されることでスイッチング素子組立ユニットが構成され、そのスイッチング素子組立ユニットの上方に、水冷型の第2のヒートシンクをスイッチング素子組立ユニットとの間に介在させて複数の磁気部品が配置されるので、コンパクト化を可能としつつ複数のスイッチング素子モジュールおよび磁気部品を効率よく冷却することが可能であり、しかも磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに及ぶことを第2のヒートシンクで抑制することができる。
【0013】
また本発明の第2の特徴によれば、第1のヒートシンクに植設されたスタッドボルトの両端部のねじ軸部が第1のヒートシンクの上下両面から突出され、複数のスイッチング素子モジュールが、選択されたスタッドボルトのねじ軸部に締結されるので、第1のヒートシンクの上下両面に、各スイッチング素子モジュールを少ない部品で容易に装着することができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、冷却水供給源が第1および第2のヒートシンクに並列に接続され、冷却水供給源からの冷却水が第1および第2のヒートシンクに分配して供給されるので、スイッチング素子モジュールおよび磁気部品の冷却にあたって最適な冷却性能が得られるようにすることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、偶数個の前記スイッチング素子モジュールが、第1のヒートシンクの上下両面に略対称に配置されるので、各スイッチング素子モジュールの冷却性能を最適化することができる。
【0016】
さらに本発明の第5の特徴によれば、コンバータにおけるスイッチング素子モジュールが第1のヒートシンクに装着されてスイッチング素子組立ユニットが構成され、コンバータにおける複数の磁気部品が第2のヒートシンクをスイッチング素子組立ユニットとの間に介在させてスイッチング素子組立ユニットの上方に配置され、相互に直接連なるスイッチング素子モジュールおよび磁気部品がバスバーで接続されるので、バスバーの最短化を図ることができるとともに、組立を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電力変換装置の概略全体回路図である。
【図2】スイッチング素子組立ユニットの側面図である。
【図3】制御回路を省略した状態での図2の3矢視図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】スイッチング素子組立ユニットの要部切欠き斜視図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】第1のヒートシンクでの冷却水流通方向での熱伝達率の変化をスイッチング素子組立ユニットの縦断面と対比させて示す図である。
【図8】電力変換装置の斜視図である。
【図9】図8の9矢視平面図である。
【図10】図9の10矢視図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図10の12−12線に沿う第2のヒートシンクの断面図である。
【図13】冷却水の循環回路を示す図である。
【図14】図9の14−14線断面図である。
【図15】コンデンサユニットの分解斜視図である。
【図16】スイッチング素子組立ユニット、直流リンクコンデンサユニットおよび外部バスバーユニットの分解斜視図である。
【図17】外部バスバーユニットの分解斜視図である。
【図18】外部バスバーユニットがない状態(a)ならびに外部バスバーユニットがある状態(b)でのコンバータおよびインバータ間での電流経路を対比しつつ簡略化して示す図である。
【図19】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路の一例を示す簡略図である。
【図20】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路の他の例を示す簡略図である。
【図21】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路のさらに他の例を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図21を参照しながら説明すると、先ず図1において、この電力変換装置は、第1の直流電源である燃料電池15で得られる直流電力と、第2の直流電源である蓄電池16で得られる直流電力とを、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータ17に供給される三相交流電力に変換するようにして車両に搭載されるものであり、燃料電池15で得られる直流電圧を昇降圧する第1コンバータ18と、蓄電池16で得られる直流電圧を昇降圧する第2コンバータ19と、第1および第2コンバータ18,19からの直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ17を駆動するインバータ20と、前記両コンバータ18,19および前記インバータ20間に設けられる直流リンクコンデンサユニット21とを備える。
【0019】
第1コンバータ18は、第1入力コンデンサ22と、第1インダクタ24と、一次巻線26A、二次巻線26Bおよび三次巻線26Cを有する三相トランス26と、第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cとを備える。
【0020】
燃料電池15のマイナス側端子には、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20に共通であるグランドライン28が接続されており、第1入力コンデンサ22は、燃料電池15のプラス側端子に接続される第1入力側プラスライン29および前記グランドライン28間に設けられ、第1インダクタ24の一端は第1入力側プラスライン29に接続される。また三相トランス26における一次巻線26A、二次巻線26Bおよび三次巻線26Cの一端は第1インダクタ24の他端に並列接続される。
【0021】
第1スイッチング素子モジュール27Aは、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20に共通である共通プラスライン30および三相トランス26の一次巻線26A間に配設される第1プラス側スイッチング素子31Aと、前記一次巻線26Aおよび前記グランドライン28間に配設される第1マイナス側スイッチング素子32Aとを備え、第2スイッチング素子モジュール27Bは、前記共通プラスライン30および三相トランス26の二次巻線26B間に配設される第2プラス側スイッチング素子31Bと、前記二次巻線26Bおよび前記グランドライン28間に配設される第2マイナス側スイッチング素子32Bとを備え、第3スイッチング素子モジュール27Cは、前記共通プラスライン30および三相トランス26の三次巻線26C間に配設される第3プラス側スイッチング素子31Cと、前記三次巻線26Cおよび前記グランドライン28間に配設される第3マイナス側スイッチング素子32Cとを備える。
【0022】
第2コンバータ19は、第2入力コンデンサ23と、第2インダクタ25と、一次巻線33Aおよび二次巻線33Bを有する二相トランス33と、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eとを備える。
【0023】
第2入力コンデンサ23は、蓄電池16のプラス側端子に接続される第2入力側プラスライン34と、蓄電池16のマイナス側端子に接続されるグランドライン28との間に設けられ、第2インダクタ25の一端は第2入力側プラスライン34に接続される。また二相トランス33における一次巻線33Aおよび二次巻線33Bの一端は第2インダクタ25の他端に並列接続される。
【0024】
第4スイッチング素子モジュール27Dは、前記共通プラスライン30および二相トランス33の一次巻線33A間に配設される第4プラス側スイッチング素子31Dと、前記共通プラスライン30および前記グランドライン28間に配設される第4マイナス側スイッチング素子32Dとを備え、第5スイッチング素子モジュール27Eは、前記共通プラスライン30および二相トランス33の二次巻線33B間に配設される第5プラス側スイッチング素子31Eと、前記共通プラスライン30および前記グランドライン28間に配設される第5マイナス側スイッチング素子32Eとを備える。
【0025】
インバータ20は、第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hを備える。
【0026】
第6スイッチング素子モジュール27Fは、前記共通プラスライン30ならびに三相の交流モータである電動モータ17に連なるU相の電源ライン35U間に配設される第6プラス側スイッチング素子31Fと、U相の電源ライン35Uおよび前記グランドライン28間に配設される第6マイナス側スイッチング素子32Fとを備え、第7スイッチング素子モジュール27Gは、前記共通プラスライン30ならびに電動モータ17に連なるV相の電源ライン35V間に配設される第7プラス側スイッチング素子31Gと、V相の電源ライン35Vおよび前記グランドライン28間に配設される第7マイナス側スイッチング素子32Gとを備え、第8スイッチング素子モジュール27Hは、前記共通プラスライン30ならびに電動モータ17に連なるW相の電源ライン35W間に配設される第8プラス側スイッチング素子31Hと、W相の電源ライン35Wおよび前記グランドライン28間に配設される第8マイナス側スイッチング素子32Hとを備える。
【0027】
ところで第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、この実施の形態では、IGBT(Insulatead Gate Bipolar Transistor)と、エミッタからコレクタに向かう側を順方向として各IGBTに並列接続されるダイオードとから成るものである。
【0028】
直流リンクコンデンサユニット21は、共通プラスライン30およびグランドライン28間に設けられる平滑コンデンサ36…を有する。なお図1では簡略化のために1個の平滑コンデンサ36しか図示されていないが、直流リンクコンデンサユニット21は、三相の交流モータである電動モータ17のU相、V相およびW相の各相にそれぞれ対応して共通プラスライン30およびグランドライン28間に設けられる平滑コンデンサ36…を有するものである。
【0029】
また共通プラスライン30およびグランドライン28間には、一対の放電抵抗37,37から成る直列回路が接続される。
【0030】
図2および図3を併せて参照して、第1コンバータ18が備える第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cと、第2コンバータ19が備える第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eと、インバータ20が備える第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hとは、水冷型の第1のヒートシンク40の上下両面に配設される。
【0031】
さらに図4〜図6を併せて参照して、第1のヒートシンク40は、一方向に長く形成されるヒートシンク本体41と、該ヒートシンク本体41との間に第1の冷却水通路43を形成するようにしてヒートシンク本体41に上方から結合される蓋体42とから成る。而して第1の冷却水通路43は、第1のヒートシンク40の一端から他端側に向かって該ヒートシンク40の長手方向に延びる往路部43aと、第1のヒートシンク40の他端から一端側に向かって前記往路部43aと平行に延びる復路部43bとが、第1のヒートシンク40の他端側で相互に連通するように形成されるものであり、第1のヒートシンク40の一端には、第1の冷却水通路43における往路部43aに通じる冷却水入口管44と、第1の冷却水通路43における復路部43bに通じる冷却水出口管45とが設けられ、冷却水入口管44から第1の冷却水通路43内に導入された冷却水は、図6の矢印46で示す流通方向に沿って往路部43a内を第1のヒートシンク40の他端側に流れ、さらに第1のヒートシンク40の他端側で復路部43b側に反転して第1のヒートシンク40の一端側の冷却水出口管45から導出されることになる。
【0032】
ところで、第1コンバータ18が3個の第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cを備え、第2コンバータ19が2個の第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eを備え、インバータ20が3個の第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hを備えるので、第1のヒートシンク40の両表面に配設されるのは偶数個、この実施の形態では8個のスイッチング素子モジュール27A〜27Hであり、それらのスイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着される。
【0033】
しかも第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの発熱量がたとえば700Wであるときに、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの発熱量はたとえば500W、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの発熱量はたとえば1100Wであるので、より冷却し易い第1のヒートシンク40の下面側の方に発熱量が高いスイッチング素子モジュールが配置されるようにしつつ、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着されるものであり、この実施の形態では、第1のヒートシンク40の上面に第2および第3スイッチング素子モジュール27B,27Cと、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eとが配設され、第1のヒートシンク40の下面に第1スイッチング素子モジュール27Aと、第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hとが配設される。
【0034】
図4に注目して、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hを第1のヒートシンク40の幅方向一側、この実施の形態では第1の冷却水通路43の往路部43a側に配置するとともに、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを第1のヒートシンク40の幅方向他側、この実施の形態では第1の冷却水通路43の復路部43b側に配置するようにして、第1のヒーシンク40の上下両面に配設される。
【0035】
第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hをそれぞれ構成する複数のチップ、この実施の形態では6個のチップ47,48,49,50,51,52は、図3で示すように、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように配置されるものであり、図4で示すように、銅電極53上にハンダ層54を介して配設され、絶縁基板55を前記銅電極53との間に挟む銅電極56がハンダ層57を介して銅ベースプレート58上に固着される。
【0036】
前記銅ベースプレート58上には、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27H毎に配置する開口部59…をそれぞれ有して矩形の枠状に形成される合成樹脂製のケース60,60…が配置されるものであり、銅ベースプレート58…およびケース60…が第1のヒートシンク40に固定される。
【0037】
第1のヒートシンク40には、図5で明示するように、ねじ軸部63a,63aを両端部にそれぞれ有する複数のスタッドボルト63…が、前記各ケース60…の4つの隅角部にそれぞれ対応した位置で前記ねじ軸部63a…を第1のヒートシンク40の上下両面から突出させるようにして植設される。而して第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのケース60…および銅ベースプレート58…が、前記各スタッドボルト63…のうち選択されたスタッドボルト63…の前記ねじ軸部63a…に螺合するナット64…を締め付けて締結することで、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に装着される。
【0038】
しかも前記ケース60…内には、前記各チップ47〜52、銅電極53、ハンダ層54、絶縁基板55、銅電極56およびハンダ層57を埋没させるようにして、合成樹脂から成る被覆層65…が形成されるものであり、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hの第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、前記被覆層65…内に封入されることになる。またケース60…には、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hの導通・遮断をそれぞれ切換制御する制御回路66…が、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを覆うようにして取付けられる。
【0039】
第1のヒートシンク40と、第1のヒートシンク40の上下両面に装着される第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hとは、その制御回路66…を含んでスイッチング素子組立ユニット67を構成する。
【0040】
ところで第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、三相トランス26、二相トランス33および電動モータ17に接続されるべき端子を第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置するようにして第1のヒートシンク40に装着されるものであり、第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの三相トランス26に接続されるべき端子に連なる端子部材68A,68B,68Cと、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの二相トランス33に接続されるべき端子に連なる端子部材68D,68Eと、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの電動モータ17に接続されるべき端子に連なる端子部材68F,68G,68Hとが、第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置されるようにして、前記ケース60…に取付けられる。
【0041】
また前記各スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおいて、共通プラスライン30に接続されるべきプラス側接続端子69,69…と、グランドライン28に接続されるべきマイナス側接続端子70,70…とは、第1のヒートシンク40の幅方向他側で各スイッチング素子モジュール27A〜27H毎に並列配置されるようにして、前記ケース60…に取付けられる。
【0042】
第1のヒートシンク40が有する第1の冷却水通路43内には、流通方向46に直交する断面をV字状としてアルミニウム合金等の軽金属で形成された複数の板材が並設されて成る複数の冷却フィン71,71…が、第1の冷却水通路43内を幅方向に複数に分割しつつ流通方向46に延びるようにして配設される。
【0043】
一方、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hをそれぞれ構成する複数のチップ47〜52は、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように、すなわちチップ47,48と、チップ49,50と、チップ51,52とが前記流通方向46に並ぶように配置される。それに対して前記冷却フィン71,71…は、図7(a)で示すように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離して配置されるとともに、図6で明示するように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に前記流通方向46と直交する方向にオフセットして配置される。
【0044】
ところで前記各冷却フィン71,71…に沿って冷却水が流通する際に、各冷却フィン71,71…の入口付近には流速分布の変化に伴う温度の助走区間があり、その区間では下流側に向かって熱伝達率が減少し、温度の助走区間を経過した後に流速分布が一定となる発達した領域での一定の熱伝達率に漸近することが知られており、助走区間では比較的高い熱伝達率が得られるものの、発達した領域では冷却フィン71の表面との間の境界層が厚くなって熱伝達効率が低下してしまう。このため第1の冷却水通路43内に流通方向46に沿って長く連なるフィンを配設した場合には、第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが難しい。しかるに上述のように、冷却フィン71,71…が、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離しつつ、各チップ47,49,51;48,50,52毎に流通方向46と直交する方向にオフセットして配置されるので、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離した冷却フィン71,71…の入口毎に、図7(b)で示すような温度助走区間を形成することができ、それによって第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが可能となる。
【0045】
図8〜図11を併せて参照して、前記スイッチング素子組立ユニット67の一側方には、第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置されるようにしてケース60…に取付けられる端子部材68A〜68Hを貫通せしめるようにして、電流センサ等を配設するための基板72が配置されており、該基板72は第1のヒートシンク40に固定される。また前記スイッチング素子組立ユニット67の上方には、第2のヒートシンク73が配置され、第1コンバータ18における第1インダクタ24および三相トランス26と、第2コンバータ19における第2インダクタ25および二相トランス33と、第1コンバータ18の第1入力コンデンサ22および第2コンバータ19の第2入力コンデンサ23が一体化されて成るコンデンサユニット38とが、第2のヒートシンク73を前記スイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、第2のヒートシンク73の上方に配置される。
【0046】
第2のヒートシンク73は、第1のヒートシンク40の長手方向と同方向に長く形成されるヒートシンク本体74と、該ヒートシンク本体74との間に第2の冷却水通路76を形成するようにしてヒートシンク本体74に下方から結合される蓋体75とから成り、第1のヒートシンク40よりも薄く形成される。
【0047】
図12において、第2の冷却水通路76は、第2のヒートシンク73の一端から他端側に向かって該ヒートシンク73の長手方向に延びる往路部76aと、第2のヒートシンク73の他端から一端側に向かって前記往路部76aと平行に延びる復路部76bが、第2のヒートシンク73の他端側で相互に連通するようにして前記ヒートシンク本体74および蓋体75間に形成されるものであり、第2のヒートシンク73の一端には、前記往路部76aに通じる冷却水入口管78と、前記復路部76bに通じる冷却水出口管79とが設けられ、冷却水入口管78から第2の冷却水通路76内に導入された冷却水は、矢印77で示す流通方向に沿って第2の冷却水通路76の往路部76a内を第2のヒートシンク73の他端側に流れ、さらに第2のヒートシンク73の他端側で復路部76bb側に反転して第2のヒートシンク73の一端側の冷却水出口管79から導出されることになる。また第2のヒートシンク73におけるヒートシンク本体74には、第2の冷却水通路76の往路部76aに配置される整流壁部74aが前記流通方向77に沿って延びるようにして一体に設けられる。
【0048】
図13において、第1のヒートシンク40における第1の冷却水通路43と、第2のヒートシンク73における第2の冷却水通路76とには、冷却水供給源である冷却水ポンプ80の吐出口が並列に接続されており、第1および第2の冷却水通路43,76から導出された冷却水は電動モータ17を冷却した後、ラジエータ81で冷却されて冷却水ポンプ80の吸入口に戻る。
【0049】
第1コンバータ18の三相トランス26は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側すなわち基板72が配置される側であって第1および第2のヒートシンク40,73の一端側すなわち冷却水入口管44,78および冷却水出口管45,79が設けられる側に配置されるようにして第2のヒートシンク73上に固定されており、この三相トランス26を覆う第1カバー84が第2のヒートシンク73に固定される。
【0050】
また第2コンバータ19の二相トランス33は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側で前記三相トランス26と並ぶ位置に配置され、第2コンバータ19の第2インダクタ25は、前記二相トランス33を前記三相トランス26との間に挟むようにして第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側に配置され、第2のヒートシンク73上に固定される前記二相トランス33および第2インダクタ25は、第2のヒートシンク73に固定される第2カバー85で共通に覆われる。しかも第1カバー84には前記基板72の上方に位置する第1端子台86が固定され、第2カバー85には前記基板72の上方に位置する第2端子台87が固定される。
【0051】
第1端子台86には、三相トランス26の各巻線26A,26B,26Cを第1インダクタ24に接続するための共通端子88と、各巻線26A,26B,26Cを第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cに個別に接続するための個別端子89,90,91とが設けられており、各個別端子89〜91には、第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの三相トランス26に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68A,68B,68Cが、基板72の外方に位置するバスバー92,93,94を介して接続される。
【0052】
第2端子台87には、二相トランス26の各巻線33A,33Bを第2インダクタ25に接続するための共通端子95と、各巻線33A,33Bを第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eに接続するための個別端子96,97とが、共通端子95の下方に個別端子96が配置されるとともに共通端子95の上方に個別端子97が配置されるようにして設けられるとともに、第2インダクタ25の両端に連なる端子98,99とが設けられる。前記個別端子96,97には、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの二相トランス33に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68D,68Eが、基板72の外方に位置するバスバー100,101を介して接続される。また共通端子95および前記端子98はバスバー102を介して接続される。
【0053】
第1コンバータ18の第1インダクタ24は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向他側すなわち基板72が配置される側と反対側であって第1および第2のヒートシンク40,73の一端側すなわち冷却水入口管44,78および冷却水出口管45,79が設けられる側に、三相トランス26と並ぶようにして配置されて第2のヒートシンク73上に固定されており、この第1インダクタ24を覆う第3カバー105が第2のヒートシンク73に固定される。しかも第3カバー105には、第1および第2のヒートシンク40,73の一端側に配置されるようにして第3端子台106が固定される。
【0054】
また第3端子台106には、第1インダクタ24の両端に連なる端子107,108が設けられており、一方の端子107には、スイッチング素子組立ユニット67および第2のヒートシンク73間を、第2のヒートシンク73の長手方向他端側に延びるバスバー109が接続され、他方の端子108には、第1端子台86に設けられた前記共通端子88がバスバー110を介して接続される。
【0055】
コンデンサユニット38は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向他側すなわち基板72が配置される側と反対側に、第1インダクタ24と並ぶように配置されて第2のヒートシンク73に固定されるものであり、このコンデンサユニット38は、第2のヒートシンク73に固定される第4カバー111で覆われる。
【0056】
図14および図15において、コンデンサユニット38の一部を構成する第1入力コンデンサ22は、並列配置される複数個の第1コンデンサ素子112,112…が接続されて成り、コンデンサユニット38の残部を構成する第2入力コンデンサ23は、第1コンデンサ素子112,112…の配列方向に平行に並ぶ複数個の第2コンデンサ素子113,113…が接続されて成るものである。同一個数に設定される第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…は、そのマイナス側を相互に対向させるようにして配列されており、第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…のマイナス側にハンダで接続される複数のマイナス側接続片114a,114a…を有する共通バスバー114が第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…を上方から覆うように配置され、第1コンデンサ素子112,112…のプラス側にハンダで接合される複数のプラス側接続片115a,115a…を有する第1個別バスバー115と、第2コンデンサ素子113,113…のプラス側にハンダで接続される複数のプラス側接続片116a,116a…を有する第2個別バスバー116とが、前記共通バスバー114との間に絶縁紙117を挟むようにして共通バスバー114上に配置される。而して共通バスバー114と第1および第2バスバー115,116とで第1および第2コンデンサ素子112,112…,113,113…が接続されて成るコンデンサユニット38は、合成樹脂から成る被覆層118に埋封されるようにしてケース119内に収容され、そのケース119が第4カバー111で覆われる。
【0057】
しかも前記共通バスバー114には、第1および第2入力コンデンサ22,23に共通のアース端子120が前記被覆層118から突出するようにして一体に突設され、第1および第2個別バスバー115,116には、第1および第2入力コンデンサ22,23に個別に対応したプラス端子121,122が前記アース端子120を両側から挟むようにして一体に突設され、両プラス端子121,122も前記被覆層118から突出する。
【0058】
前記コンデンサユニット38を第1インダクタ24との間に挟む位置で第2のヒートシンク73の他端部上には第4端子台123が固定されており、この第4端子台123には、燃料電池15を接続するための燃料電池用プラス側およびマイナス側端子124,125と、蓄電池16を接続するための蓄電池用プラス側およびマイナス側端子126,127が設けられる。
【0059】
而して前記コンデンサユニット38のプラス端子121と、第1インダクタ24に連なって第3端子台106に設けられた端子107に接続されたバスバー109とが、燃料電池用プラス側端子124に連なるように第4端子台123に接続され、前記コンデンサユニット38のプラス端子122と、第2インダクタ25に連なるようにして第2端子台87に設けられた端子99に連なるバスバー128とが、蓄電池用プラス側端子126に連なるように第4端子台123に接続される。
【0060】
また第1のヒートシンク40の他端には、電動モータ17に連なるU相、V相およびW相の電源ライン35U,36V,35Wを接続するための第5端子台130が固定されており、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの電動モータ17に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68F〜68Hに一端がそれぞれ接続されるバスバー131,132,133が第5端子台130まで延設される。
【0061】
ところで前記基板72と反対側には、直流リンクコンデンサユニット21が配置されており、この直流リンクコンデンサユニット21は、ステイ135,135によって第1のヒートシンク40に支持され、第1のヒートシンク40および直流リンクコンデンサユニット21間には、外部バスバーユニット136が配置される。
【0062】
図16において、前記直流リンクコンデンサユニット21において第1のヒートシンク40側の側面には、第1のヒートシンク40の上下両面に装着された第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hがそれぞれ備えるプラス側接続端子69…およびマイナス側接続端子70…に接続されるべきプラス側接続端子139…およびマイナス側接続端子140…が突出される。
【0063】
図17において、前記外部バスバーユニット136は、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…および直流リンクコンデンサユニット21のプラス側接続端子139…に接続される複数のプラス側接続片141a,141a…を両側から突出せしめるプラス側外部バスバー141と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…および直流リンクコンデンサユニット21のマイナス側接続端子140…に接続される複数のマイナス側接続片142a,142a…を両側から突出せしめるマイナス側外部バスバー142とを備え、プラス側およびマイナス側外部バスバー141,142と、プラス側およびマイナス側外部バスバー141,142間に挟まれる平板状の絶縁部材143と、該絶縁部材143との間にプラス側およびマイナス側外部バスバー141,142を挟む平板状の絶縁部材144,145とが積層されることで、直流リンクコンデンサユニット21の外方に配置される外部バスバーユニット136が構成される。
【0064】
また外部バスバーユニット136におけるマイナス側外部バスバー142の一端には、プラス側外部バスバー141の一端よりも突出する取付け板部142bが一体に設けられており、この取付け板部142bが、ボルト146で第1のヒートシンク40に固定され、外部バスバーユニット136は、第1のヒートシンク40に直接当接される。
【0065】
而して直流リンクコンデンサユニット21のプラス側接続端子139…と、外部バスバーユニット136のプラス側接続片141a…と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…とは、図11で示すように、プラス側接続端子139…,69…間にプラス側接続片141a…を挟むようにしてボルト147…で接続される。また直流リンクコンデンサユニット21のマイナス側接続端子140…と、外部バスバーユニット136のマイナス側接続片142a…と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…とは、マイナス側接続端子140…,70…間に、マイナス側接続片142a…を挟むようにしてボルト148…で接続される。
【0066】
ところで第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19で得られた直流電力は、インバータ20で交流電力に変換されて電動モータ17に供給されるのであるが、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19からの電力は、直流リンクコンデンサユニット21の平滑コンデンサ36…に一旦蓄えられ、その蓄えられた電力をインバータ20が取り出すことになる。このような電力の流れは電流の流れに置き換えることができ、外部バスバーユニット136が設けられていないときには、図18(a)の細線矢印で示すように、平滑コンデンサ36から供給される電流i1と、平滑コンデンサ36を通らずに第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19から供給される電流i2とが、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を通ってインバータ20に流れることになる。このように直流リンクコンデンサユニット21の内部配線が全ての電流を負担するような構成とすると、内部配線は発熱や肥大化を生じることになり、配線の発熱は平滑コンデンサ36に熱的悪影響を及ぼす。
【0067】
それに対し、第1コンバータ18および第2コンバータ19と、直流リンクコンデンサユニット21との間に外部バスバーユニット136を介在せしめると、図18(b)の細線矢印で示すように、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19から供給される電流i2の一部i2′が、外部バスバーユニット136におけるプラス側外部バスバー141を通ってインバータ20側に直接流れるので、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流を少なく抑え、平滑コンデンサ36に与える熱影響を小さく抑えることができる。
【0068】
またインバータ20の第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hにおける第6〜第8プラス側スイッチング素子31F〜31Hおよび第6〜第8マイナス側スイッチング素子32F〜32Hの導通・遮断を切換えることによって直流リンクコンデンサユニット21内には転流電流が流れるものであり、簡略化のために、インバータ20のW相に対応する部分を省略して、第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gならびに第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gの導通・遮断を切換えたときの直流リンクコンデンサユニット21内および外部バスバーユニット136を流れる転流電流の経路を図19〜図21を参照しながら説明する。
【0069】
先ず第6プラス側スイッチング素子31Fおよび第7マイナス側スイッチング素子32Gを導通し、第6マイナス側スイッチング素子32Fおよび第7プラス側スイッチング素子31Gを遮断したときには、図19の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i3,i4に対応した電流i3′,i4′が外部バスバーユニット136のプラス側およびマイナス側バスバー141,142を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0070】
また第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gを導通し、第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gを遮断したときには、図20の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i5に対応した電流i5′が外部バスバーユニット136のマイナス側バスバー142を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0071】
さらに第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gを導通し、第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gを遮断したときには、図21の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i6に対応した電流i6′が外部バスバーユニット136のプラス側バスバー141を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0072】
すなわち第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…を外部バスバーユニット136によって直流リンクコンデンサユニット21の外方で共通に接続し、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…を外部バスバーユニット136によって直流リンクコンデンサユニット21の外方で共通に接続することによって、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19からインバータ20に供給される電流の一部が直流リンクコンデンサユニット21の外方を通り、インバータ20での第6〜第8プラス側スイッチング素子31F〜31Hおよび第6〜第8マイナス側スイッチング素子32F〜32Hの導通・遮断切換えによって生じる転流電流の一部が直流リンクコンデンサユニット21の外方を通るようにすることができる。
【0073】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、水冷型の第1ヒートシンク40の上下両面に、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20の一部をそれぞれ構成しつつ第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが装着されることでスイッチング素子組立ユニット67が構成され、そのスイッチング素子組立ユニット67の上方に、水冷型の第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、第1コンバータ18における第1インダクタ24および三相トランス26と、第2コンバータ19における第2インダクタ25および二相トランス33とが配置されるので、コンパクト化を可能としつつ、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hと、第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33とを効率よく冷却することが可能であり、しかも第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33によるノイズの影響が第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hに及ぶことを第2のヒートシンク73で抑制することができる。
【0074】
また第1コンバータ18が備える第1入力コンデンサ22と、第2コンバータ19が備える第2入力コンデンサ23とが一体化されて成るコンデンサユニット38が、第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、スイッチング素子組立ユニット67の上方に配置されるので、第1および第2入力コンデンサ22,23のコンパクトな配置によって電力変換装置のコンパクト化が可能となるとともに、第1および第2入力コンデンサ22,23への第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hからの熱伝達を第2のヒートシンク73で抑制することができる。
【0075】
しかもコンデンサユニット38は、第1および第2入力コンデンサ22,23に共通である単一のアース端子120を有するものであるので、コンデンサユニット38をより一層コンパクト化することが可能となるだけでなく、配線インダクタンスの低減が可能となる。
【0076】
また偶数個である第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着されるので、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hの冷却性能を最適化することができる。
【0077】
しかも第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは接続端子の向きを同一として第1のヒートシンク40に装着されており、第1および第2コンバータ18,19の一部を構成して第1のヒートシンク40に装着される第1〜第5スイッチング素子モジュール27A〜27Eと、第1および第2コンバータ18,19の一部を構成して第2のヒートシンク73上に配設されるとともに第1〜第5スイッチング素子モジュール27A〜27Eに直接連なる三相トランス26および二相トランス33とが、バスバー92,93,94,100,101で接続されるので、バスバー92〜94,100,101の最短化を図ることができるとともに、組立を容易とすることができる。
【0078】
ところで第1のヒートシンク40には、ねじ軸部63a,63aを両端部に有する複数のスタッドボルト63…が第1のヒートシンク40の上下両面から突出させるようにして植設されており、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのケース60…および銅ベースプレート58…が、前記各スタッドボルト63…のうち選択されたスタッドボルト63…の前記ねじ軸部63a…に螺合するナット64…を締め付けて締結することで、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に装着されるので、第1のヒートシンク40の上下両面に、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを少ない部品で容易に装着することができる。
【0079】
また第1のヒートシンク40における第1の冷却水通路43および第2ヒートシンク73における第2の冷却水通路76に冷却水を供給する冷却水ポンプ80は、第1および第2の冷却水通路43,76に並列接続されており、冷却水ポンプ80からの冷却水が第1および第2のヒートシンク40,73に分配して供給されるので、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hならびに第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33の冷却にあたって最適な冷却性能が得られるようにすることができる。
【0080】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、複数のチップ47,48,49,50,51,52を有しており、それらのチップ47,48,49,50,51,52は、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように第1のヒートシンク40に配設されており、第1のヒートシンク40が有する第1の冷却水通路43内には、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離して配置されるとともに、図6で明示するように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に前記流通方向46と直交する方向にオフセットして配置される複数の冷却フィン71,71…が配設されている。
【0081】
これにより流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離した冷却フィン71,71…の入口毎に、図7(b)で示すような温度助走区間を形成して、第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが可能となる。
【0082】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hと、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hとは、第1の冷却水通路43の流通方向46に沿って離隔した位置に配置されるものであり、この実施の形態では、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hが第1の冷却水通路43の往路部43aに対応する位置に配置されるのに対して、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは第1の冷却水通路43の復路部433bに対応する位置に配置されており、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hならびに第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32H毎に温度の助走区間が生じるようにして、より冷却効率を高めることができる。
【0083】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、それを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hならびに第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを合成樹脂から成る被覆層65…内に封入した状態で第1のヒートシンク40に装着されるものであり、被覆層65…からの放熱ならびに第1のヒートシンク40からの冷却によって、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hをより効果的に冷却することができる。
【0084】
ところで第1および第2コンバータ18,19と、インバータ20との間には、平滑コンデンサ36…を有する直流リンクコンデンサユニット21が設けられており、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20が備える第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…およびマイナス側接続端子70…は、前記直流リンクコンデンサユニット21が備えるプラス側接続端子139…およびマイナス側接続端子140…に接続されるのであるが、前記プラス側接続端子69…、139サ…にはプラス側外部バスバー141が共通に接続され、前記マイナス側接続端子70…、140…にはマイナス側外部バスバー142が共通に接続されており、直流リンクコンデンサユニット21の外方に配置されるプラス側およびマイナス側外部バスバー141,142が相互間に絶縁部材143を介在させて積層されることで外部バスバーユニット136として一体化されるので、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を通る電流を減少し、平滑コンデンサ36…に熱的悪影響を及ぼすような発熱が直流リンクコンデンサユニット21の内部配線で生じることを防止することができる。
【0085】
さらに外部バスバーユニット136が、第1のヒートシンク40に直接当接されるので、外部バスバーユニット136で生じた熱を第1のヒートシンク40側に直接伝達するようにして、直流リンクコンデンサユニット21の近傍の温度上昇を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0087】
15・・・直流電源である燃料電池
16・・・直流電源である蓄電池
17・・・電動モータ
18,19・・・コンバータ
20・・・インバータ
24・・・磁気部品である第1インダクタ
25・・・磁気部品である第2インダクタ
26・・・磁気部品である三相トランス
27A,27B,27C;27D,27E,27F,27G,27H・・・スイッチング素子モジュール
33・・・磁気部品である二相トランス
40・・・第1のヒートシンク
63・・・スタッドボルト
63a・・・ねじ軸部
67・・・スイッチング素子組立ユニット
73・・・第2のヒートシンク
80・・・冷却水供給源である冷却水ポンプ
92,93,94,100,101・・・バスバー
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスイッチング素子モジュールおよび複数の磁気部品を少なくとも一部の構成部品としつつ直流電源の電圧を昇降圧するコンバータと、前記スイッチング素子モジュールとは別の複数のスイッチング素子モジュールを一部の構成部品としつつ前記コンバータで得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータを駆動するインバータとを備える電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスイッチング素子モジュールを冷却装置における一対の冷媒チューブ間に挟むようにして主回路部を構成し、磁気部品を含むパワー配線部と、スイッチング素子モジュールを制御する制御回路を有する制御回路基板部との間に前記主回路部を介在させて、インバータを構成するようにしたものが、特許文献1で既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−73374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示された電力変換装置はインバータであるが、コンバータおよびインバータを含む電力変換装置では、コンバータおよびインバータがそれぞれ複数ずつのスイッチング素子モジュールを備えており、多数のスイッチング素子モジュールを冷却する必要があるが、多数のスイッチング素子モジュールを冷却する構造が大型化することは避けたい。またコンバータが備える磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに作用することも極力避ける必要がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、多数のスイッチング素子モジュールをコンパクトに纏めて効果的に冷却することを可能とし、しかも磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに及ぶことを極力避け得るようにした電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、複数のスイッチング素子モジュールおよび複数の磁気部品を少なくとも一部の構成部品としつつ直流電源の電圧を昇降圧するコンバータと、前記スイッチング素子モジュールとは別の複数のスイッチング素子モジュールを一部の構成部品としつつ前記コンバータで得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータを駆動するインバータとを備える電力変換装置において、水冷型の第1ヒートシンクと、前記コンバータおよび前記インバータの一部をそれぞれ構成しつつ第1のヒートシンクの上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュールとで構成されるスイッチング素子組立ユニットの上方に、水冷型の第2のヒートシンクを前記スイッチング素子組立ユニットとの間に介在させるようにして、複数の前記磁気部品が配置されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、第1のヒートシンクに、ねじ軸部を両端部に有する複数のスタッドボルトが、前記ねじ軸部を第1のヒートシンクの上下両面から突出させるようにして植設され、前記各スイッチング素子モジュールが、前記各スタッドボルトのうち選択されたスタッドボルトの前記ねじ軸部に締結されるようにして第1のヒートシンクの上下両面に装着されることを第2の特徴とする。
【0008】
本発明は、第1または第2の特徴の構成に加えて、第1および第2のヒートシンクに冷却水を分配して供給すべく、冷却水供給源が第1および第2のヒートシンクに並列に接続されることを第3の特徴とする。
【0009】
本発明は、第1〜第3の特徴の構成のいずれかに加えて、偶数個の前記スイッチング素子モジュールが、第1のヒートシンクの上下両面に略対称配置で装着されることを第4の特徴とする。
【0010】
さらに本発明は、第1〜第4の特徴の構成のいずれかに加えて、前記コンバータの一部を構成して第1のヒートシンクの上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュールと、前記磁気部品のうち前記コンバータの一部を構成する前記スイッチング素子モジュールに直接連なる磁気部品とが、バスバーで接続されることを第5の特徴とする。
【0011】
なお実施の形態の燃料電池15および蓄電池16が本発明の直流電源に対応し、実施の形態の第1インダクタ24、第2インダクタ25、三相トランス26および二相トランス33が本発明の磁気部品に対応し、実施の形態の冷却水ポンプ80が本発明の冷却水供給源に対応する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば、コンバータおよびインバータの一部をそれぞれ構成する複数のスイッチング素子モジュールが、水冷型の第1のヒートシンクの上下両面に装着されることでスイッチング素子組立ユニットが構成され、そのスイッチング素子組立ユニットの上方に、水冷型の第2のヒートシンクをスイッチング素子組立ユニットとの間に介在させて複数の磁気部品が配置されるので、コンパクト化を可能としつつ複数のスイッチング素子モジュールおよび磁気部品を効率よく冷却することが可能であり、しかも磁気部品によるノイズの影響がスイッチング素子モジュールに及ぶことを第2のヒートシンクで抑制することができる。
【0013】
また本発明の第2の特徴によれば、第1のヒートシンクに植設されたスタッドボルトの両端部のねじ軸部が第1のヒートシンクの上下両面から突出され、複数のスイッチング素子モジュールが、選択されたスタッドボルトのねじ軸部に締結されるので、第1のヒートシンクの上下両面に、各スイッチング素子モジュールを少ない部品で容易に装着することができる。
【0014】
本発明の第3の特徴によれば、冷却水供給源が第1および第2のヒートシンクに並列に接続され、冷却水供給源からの冷却水が第1および第2のヒートシンクに分配して供給されるので、スイッチング素子モジュールおよび磁気部品の冷却にあたって最適な冷却性能が得られるようにすることができる。
【0015】
本発明の第4の特徴によれば、偶数個の前記スイッチング素子モジュールが、第1のヒートシンクの上下両面に略対称に配置されるので、各スイッチング素子モジュールの冷却性能を最適化することができる。
【0016】
さらに本発明の第5の特徴によれば、コンバータにおけるスイッチング素子モジュールが第1のヒートシンクに装着されてスイッチング素子組立ユニットが構成され、コンバータにおける複数の磁気部品が第2のヒートシンクをスイッチング素子組立ユニットとの間に介在させてスイッチング素子組立ユニットの上方に配置され、相互に直接連なるスイッチング素子モジュールおよび磁気部品がバスバーで接続されるので、バスバーの最短化を図ることができるとともに、組立を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】電力変換装置の概略全体回路図である。
【図2】スイッチング素子組立ユニットの側面図である。
【図3】制御回路を省略した状態での図2の3矢視図である。
【図4】図3の4−4線断面図である。
【図5】スイッチング素子組立ユニットの要部切欠き斜視図である。
【図6】図2の6−6線断面図である。
【図7】第1のヒートシンクでの冷却水流通方向での熱伝達率の変化をスイッチング素子組立ユニットの縦断面と対比させて示す図である。
【図8】電力変換装置の斜視図である。
【図9】図8の9矢視平面図である。
【図10】図9の10矢視図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】図10の12−12線に沿う第2のヒートシンクの断面図である。
【図13】冷却水の循環回路を示す図である。
【図14】図9の14−14線断面図である。
【図15】コンデンサユニットの分解斜視図である。
【図16】スイッチング素子組立ユニット、直流リンクコンデンサユニットおよび外部バスバーユニットの分解斜視図である。
【図17】外部バスバーユニットの分解斜視図である。
【図18】外部バスバーユニットがない状態(a)ならびに外部バスバーユニットがある状態(b)でのコンバータおよびインバータ間での電流経路を対比しつつ簡略化して示す図である。
【図19】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路の一例を示す簡略図である。
【図20】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路の他の例を示す簡略図である。
【図21】外部バスバーユニットがある状態での直流リンクコンデンサユニット内での転流電流の経路のさらに他の例を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図21を参照しながら説明すると、先ず図1において、この電力変換装置は、第1の直流電源である燃料電池15で得られる直流電力と、第2の直流電源である蓄電池16で得られる直流電力とを、駆動輪を駆動する動力を発揮する電動モータ17に供給される三相交流電力に変換するようにして車両に搭載されるものであり、燃料電池15で得られる直流電圧を昇降圧する第1コンバータ18と、蓄電池16で得られる直流電圧を昇降圧する第2コンバータ19と、第1および第2コンバータ18,19からの直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ17を駆動するインバータ20と、前記両コンバータ18,19および前記インバータ20間に設けられる直流リンクコンデンサユニット21とを備える。
【0019】
第1コンバータ18は、第1入力コンデンサ22と、第1インダクタ24と、一次巻線26A、二次巻線26Bおよび三次巻線26Cを有する三相トランス26と、第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cとを備える。
【0020】
燃料電池15のマイナス側端子には、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20に共通であるグランドライン28が接続されており、第1入力コンデンサ22は、燃料電池15のプラス側端子に接続される第1入力側プラスライン29および前記グランドライン28間に設けられ、第1インダクタ24の一端は第1入力側プラスライン29に接続される。また三相トランス26における一次巻線26A、二次巻線26Bおよび三次巻線26Cの一端は第1インダクタ24の他端に並列接続される。
【0021】
第1スイッチング素子モジュール27Aは、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20に共通である共通プラスライン30および三相トランス26の一次巻線26A間に配設される第1プラス側スイッチング素子31Aと、前記一次巻線26Aおよび前記グランドライン28間に配設される第1マイナス側スイッチング素子32Aとを備え、第2スイッチング素子モジュール27Bは、前記共通プラスライン30および三相トランス26の二次巻線26B間に配設される第2プラス側スイッチング素子31Bと、前記二次巻線26Bおよび前記グランドライン28間に配設される第2マイナス側スイッチング素子32Bとを備え、第3スイッチング素子モジュール27Cは、前記共通プラスライン30および三相トランス26の三次巻線26C間に配設される第3プラス側スイッチング素子31Cと、前記三次巻線26Cおよび前記グランドライン28間に配設される第3マイナス側スイッチング素子32Cとを備える。
【0022】
第2コンバータ19は、第2入力コンデンサ23と、第2インダクタ25と、一次巻線33Aおよび二次巻線33Bを有する二相トランス33と、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eとを備える。
【0023】
第2入力コンデンサ23は、蓄電池16のプラス側端子に接続される第2入力側プラスライン34と、蓄電池16のマイナス側端子に接続されるグランドライン28との間に設けられ、第2インダクタ25の一端は第2入力側プラスライン34に接続される。また二相トランス33における一次巻線33Aおよび二次巻線33Bの一端は第2インダクタ25の他端に並列接続される。
【0024】
第4スイッチング素子モジュール27Dは、前記共通プラスライン30および二相トランス33の一次巻線33A間に配設される第4プラス側スイッチング素子31Dと、前記共通プラスライン30および前記グランドライン28間に配設される第4マイナス側スイッチング素子32Dとを備え、第5スイッチング素子モジュール27Eは、前記共通プラスライン30および二相トランス33の二次巻線33B間に配設される第5プラス側スイッチング素子31Eと、前記共通プラスライン30および前記グランドライン28間に配設される第5マイナス側スイッチング素子32Eとを備える。
【0025】
インバータ20は、第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hを備える。
【0026】
第6スイッチング素子モジュール27Fは、前記共通プラスライン30ならびに三相の交流モータである電動モータ17に連なるU相の電源ライン35U間に配設される第6プラス側スイッチング素子31Fと、U相の電源ライン35Uおよび前記グランドライン28間に配設される第6マイナス側スイッチング素子32Fとを備え、第7スイッチング素子モジュール27Gは、前記共通プラスライン30ならびに電動モータ17に連なるV相の電源ライン35V間に配設される第7プラス側スイッチング素子31Gと、V相の電源ライン35Vおよび前記グランドライン28間に配設される第7マイナス側スイッチング素子32Gとを備え、第8スイッチング素子モジュール27Hは、前記共通プラスライン30ならびに電動モータ17に連なるW相の電源ライン35W間に配設される第8プラス側スイッチング素子31Hと、W相の電源ライン35Wおよび前記グランドライン28間に配設される第8マイナス側スイッチング素子32Hとを備える。
【0027】
ところで第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、この実施の形態では、IGBT(Insulatead Gate Bipolar Transistor)と、エミッタからコレクタに向かう側を順方向として各IGBTに並列接続されるダイオードとから成るものである。
【0028】
直流リンクコンデンサユニット21は、共通プラスライン30およびグランドライン28間に設けられる平滑コンデンサ36…を有する。なお図1では簡略化のために1個の平滑コンデンサ36しか図示されていないが、直流リンクコンデンサユニット21は、三相の交流モータである電動モータ17のU相、V相およびW相の各相にそれぞれ対応して共通プラスライン30およびグランドライン28間に設けられる平滑コンデンサ36…を有するものである。
【0029】
また共通プラスライン30およびグランドライン28間には、一対の放電抵抗37,37から成る直列回路が接続される。
【0030】
図2および図3を併せて参照して、第1コンバータ18が備える第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cと、第2コンバータ19が備える第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eと、インバータ20が備える第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hとは、水冷型の第1のヒートシンク40の上下両面に配設される。
【0031】
さらに図4〜図6を併せて参照して、第1のヒートシンク40は、一方向に長く形成されるヒートシンク本体41と、該ヒートシンク本体41との間に第1の冷却水通路43を形成するようにしてヒートシンク本体41に上方から結合される蓋体42とから成る。而して第1の冷却水通路43は、第1のヒートシンク40の一端から他端側に向かって該ヒートシンク40の長手方向に延びる往路部43aと、第1のヒートシンク40の他端から一端側に向かって前記往路部43aと平行に延びる復路部43bとが、第1のヒートシンク40の他端側で相互に連通するように形成されるものであり、第1のヒートシンク40の一端には、第1の冷却水通路43における往路部43aに通じる冷却水入口管44と、第1の冷却水通路43における復路部43bに通じる冷却水出口管45とが設けられ、冷却水入口管44から第1の冷却水通路43内に導入された冷却水は、図6の矢印46で示す流通方向に沿って往路部43a内を第1のヒートシンク40の他端側に流れ、さらに第1のヒートシンク40の他端側で復路部43b側に反転して第1のヒートシンク40の一端側の冷却水出口管45から導出されることになる。
【0032】
ところで、第1コンバータ18が3個の第1、第2および第3スイッチング素子モジュール27A,27B,27Cを備え、第2コンバータ19が2個の第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eを備え、インバータ20が3個の第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hを備えるので、第1のヒートシンク40の両表面に配設されるのは偶数個、この実施の形態では8個のスイッチング素子モジュール27A〜27Hであり、それらのスイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着される。
【0033】
しかも第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの発熱量がたとえば700Wであるときに、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの発熱量はたとえば500W、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの発熱量はたとえば1100Wであるので、より冷却し易い第1のヒートシンク40の下面側の方に発熱量が高いスイッチング素子モジュールが配置されるようにしつつ、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着されるものであり、この実施の形態では、第1のヒートシンク40の上面に第2および第3スイッチング素子モジュール27B,27Cと、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eとが配設され、第1のヒートシンク40の下面に第1スイッチング素子モジュール27Aと、第6、第7および第8スイッチング素子モジュール27F,27G,27Hとが配設される。
【0034】
図4に注目して、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hを第1のヒートシンク40の幅方向一側、この実施の形態では第1の冷却水通路43の往路部43a側に配置するとともに、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを第1のヒートシンク40の幅方向他側、この実施の形態では第1の冷却水通路43の復路部43b側に配置するようにして、第1のヒーシンク40の上下両面に配設される。
【0035】
第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hをそれぞれ構成する複数のチップ、この実施の形態では6個のチップ47,48,49,50,51,52は、図3で示すように、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように配置されるものであり、図4で示すように、銅電極53上にハンダ層54を介して配設され、絶縁基板55を前記銅電極53との間に挟む銅電極56がハンダ層57を介して銅ベースプレート58上に固着される。
【0036】
前記銅ベースプレート58上には、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27H毎に配置する開口部59…をそれぞれ有して矩形の枠状に形成される合成樹脂製のケース60,60…が配置されるものであり、銅ベースプレート58…およびケース60…が第1のヒートシンク40に固定される。
【0037】
第1のヒートシンク40には、図5で明示するように、ねじ軸部63a,63aを両端部にそれぞれ有する複数のスタッドボルト63…が、前記各ケース60…の4つの隅角部にそれぞれ対応した位置で前記ねじ軸部63a…を第1のヒートシンク40の上下両面から突出させるようにして植設される。而して第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのケース60…および銅ベースプレート58…が、前記各スタッドボルト63…のうち選択されたスタッドボルト63…の前記ねじ軸部63a…に螺合するナット64…を締め付けて締結することで、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に装着される。
【0038】
しかも前記ケース60…内には、前記各チップ47〜52、銅電極53、ハンダ層54、絶縁基板55、銅電極56およびハンダ層57を埋没させるようにして、合成樹脂から成る被覆層65…が形成されるものであり、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hの第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、前記被覆層65…内に封入されることになる。またケース60…には、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hの導通・遮断をそれぞれ切換制御する制御回路66…が、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを覆うようにして取付けられる。
【0039】
第1のヒートシンク40と、第1のヒートシンク40の上下両面に装着される第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hとは、その制御回路66…を含んでスイッチング素子組立ユニット67を構成する。
【0040】
ところで第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、三相トランス26、二相トランス33および電動モータ17に接続されるべき端子を第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置するようにして第1のヒートシンク40に装着されるものであり、第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの三相トランス26に接続されるべき端子に連なる端子部材68A,68B,68Cと、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの二相トランス33に接続されるべき端子に連なる端子部材68D,68Eと、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの電動モータ17に接続されるべき端子に連なる端子部材68F,68G,68Hとが、第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置されるようにして、前記ケース60…に取付けられる。
【0041】
また前記各スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおいて、共通プラスライン30に接続されるべきプラス側接続端子69,69…と、グランドライン28に接続されるべきマイナス側接続端子70,70…とは、第1のヒートシンク40の幅方向他側で各スイッチング素子モジュール27A〜27H毎に並列配置されるようにして、前記ケース60…に取付けられる。
【0042】
第1のヒートシンク40が有する第1の冷却水通路43内には、流通方向46に直交する断面をV字状としてアルミニウム合金等の軽金属で形成された複数の板材が並設されて成る複数の冷却フィン71,71…が、第1の冷却水通路43内を幅方向に複数に分割しつつ流通方向46に延びるようにして配設される。
【0043】
一方、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hにおける第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hをそれぞれ構成する複数のチップ47〜52は、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように、すなわちチップ47,48と、チップ49,50と、チップ51,52とが前記流通方向46に並ぶように配置される。それに対して前記冷却フィン71,71…は、図7(a)で示すように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離して配置されるとともに、図6で明示するように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に前記流通方向46と直交する方向にオフセットして配置される。
【0044】
ところで前記各冷却フィン71,71…に沿って冷却水が流通する際に、各冷却フィン71,71…の入口付近には流速分布の変化に伴う温度の助走区間があり、その区間では下流側に向かって熱伝達率が減少し、温度の助走区間を経過した後に流速分布が一定となる発達した領域での一定の熱伝達率に漸近することが知られており、助走区間では比較的高い熱伝達率が得られるものの、発達した領域では冷却フィン71の表面との間の境界層が厚くなって熱伝達効率が低下してしまう。このため第1の冷却水通路43内に流通方向46に沿って長く連なるフィンを配設した場合には、第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが難しい。しかるに上述のように、冷却フィン71,71…が、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離しつつ、各チップ47,49,51;48,50,52毎に流通方向46と直交する方向にオフセットして配置されるので、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離した冷却フィン71,71…の入口毎に、図7(b)で示すような温度助走区間を形成することができ、それによって第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが可能となる。
【0045】
図8〜図11を併せて参照して、前記スイッチング素子組立ユニット67の一側方には、第1のヒートシンク40の幅方向一側に配置されるようにしてケース60…に取付けられる端子部材68A〜68Hを貫通せしめるようにして、電流センサ等を配設するための基板72が配置されており、該基板72は第1のヒートシンク40に固定される。また前記スイッチング素子組立ユニット67の上方には、第2のヒートシンク73が配置され、第1コンバータ18における第1インダクタ24および三相トランス26と、第2コンバータ19における第2インダクタ25および二相トランス33と、第1コンバータ18の第1入力コンデンサ22および第2コンバータ19の第2入力コンデンサ23が一体化されて成るコンデンサユニット38とが、第2のヒートシンク73を前記スイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、第2のヒートシンク73の上方に配置される。
【0046】
第2のヒートシンク73は、第1のヒートシンク40の長手方向と同方向に長く形成されるヒートシンク本体74と、該ヒートシンク本体74との間に第2の冷却水通路76を形成するようにしてヒートシンク本体74に下方から結合される蓋体75とから成り、第1のヒートシンク40よりも薄く形成される。
【0047】
図12において、第2の冷却水通路76は、第2のヒートシンク73の一端から他端側に向かって該ヒートシンク73の長手方向に延びる往路部76aと、第2のヒートシンク73の他端から一端側に向かって前記往路部76aと平行に延びる復路部76bが、第2のヒートシンク73の他端側で相互に連通するようにして前記ヒートシンク本体74および蓋体75間に形成されるものであり、第2のヒートシンク73の一端には、前記往路部76aに通じる冷却水入口管78と、前記復路部76bに通じる冷却水出口管79とが設けられ、冷却水入口管78から第2の冷却水通路76内に導入された冷却水は、矢印77で示す流通方向に沿って第2の冷却水通路76の往路部76a内を第2のヒートシンク73の他端側に流れ、さらに第2のヒートシンク73の他端側で復路部76bb側に反転して第2のヒートシンク73の一端側の冷却水出口管79から導出されることになる。また第2のヒートシンク73におけるヒートシンク本体74には、第2の冷却水通路76の往路部76aに配置される整流壁部74aが前記流通方向77に沿って延びるようにして一体に設けられる。
【0048】
図13において、第1のヒートシンク40における第1の冷却水通路43と、第2のヒートシンク73における第2の冷却水通路76とには、冷却水供給源である冷却水ポンプ80の吐出口が並列に接続されており、第1および第2の冷却水通路43,76から導出された冷却水は電動モータ17を冷却した後、ラジエータ81で冷却されて冷却水ポンプ80の吸入口に戻る。
【0049】
第1コンバータ18の三相トランス26は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側すなわち基板72が配置される側であって第1および第2のヒートシンク40,73の一端側すなわち冷却水入口管44,78および冷却水出口管45,79が設けられる側に配置されるようにして第2のヒートシンク73上に固定されており、この三相トランス26を覆う第1カバー84が第2のヒートシンク73に固定される。
【0050】
また第2コンバータ19の二相トランス33は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側で前記三相トランス26と並ぶ位置に配置され、第2コンバータ19の第2インダクタ25は、前記二相トランス33を前記三相トランス26との間に挟むようにして第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向一側に配置され、第2のヒートシンク73上に固定される前記二相トランス33および第2インダクタ25は、第2のヒートシンク73に固定される第2カバー85で共通に覆われる。しかも第1カバー84には前記基板72の上方に位置する第1端子台86が固定され、第2カバー85には前記基板72の上方に位置する第2端子台87が固定される。
【0051】
第1端子台86には、三相トランス26の各巻線26A,26B,26Cを第1インダクタ24に接続するための共通端子88と、各巻線26A,26B,26Cを第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cに個別に接続するための個別端子89,90,91とが設けられており、各個別端子89〜91には、第1〜第3スイッチング素子モジュール27A〜27Cの三相トランス26に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68A,68B,68Cが、基板72の外方に位置するバスバー92,93,94を介して接続される。
【0052】
第2端子台87には、二相トランス26の各巻線33A,33Bを第2インダクタ25に接続するための共通端子95と、各巻線33A,33Bを第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eに接続するための個別端子96,97とが、共通端子95の下方に個別端子96が配置されるとともに共通端子95の上方に個別端子97が配置されるようにして設けられるとともに、第2インダクタ25の両端に連なる端子98,99とが設けられる。前記個別端子96,97には、第4および第5スイッチング素子モジュール27D,27Eの二相トランス33に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68D,68Eが、基板72の外方に位置するバスバー100,101を介して接続される。また共通端子95および前記端子98はバスバー102を介して接続される。
【0053】
第1コンバータ18の第1インダクタ24は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向他側すなわち基板72が配置される側と反対側であって第1および第2のヒートシンク40,73の一端側すなわち冷却水入口管44,78および冷却水出口管45,79が設けられる側に、三相トランス26と並ぶようにして配置されて第2のヒートシンク73上に固定されており、この第1インダクタ24を覆う第3カバー105が第2のヒートシンク73に固定される。しかも第3カバー105には、第1および第2のヒートシンク40,73の一端側に配置されるようにして第3端子台106が固定される。
【0054】
また第3端子台106には、第1インダクタ24の両端に連なる端子107,108が設けられており、一方の端子107には、スイッチング素子組立ユニット67および第2のヒートシンク73間を、第2のヒートシンク73の長手方向他端側に延びるバスバー109が接続され、他方の端子108には、第1端子台86に設けられた前記共通端子88がバスバー110を介して接続される。
【0055】
コンデンサユニット38は、第1および第2のヒートシンク40,73の幅方向他側すなわち基板72が配置される側と反対側に、第1インダクタ24と並ぶように配置されて第2のヒートシンク73に固定されるものであり、このコンデンサユニット38は、第2のヒートシンク73に固定される第4カバー111で覆われる。
【0056】
図14および図15において、コンデンサユニット38の一部を構成する第1入力コンデンサ22は、並列配置される複数個の第1コンデンサ素子112,112…が接続されて成り、コンデンサユニット38の残部を構成する第2入力コンデンサ23は、第1コンデンサ素子112,112…の配列方向に平行に並ぶ複数個の第2コンデンサ素子113,113…が接続されて成るものである。同一個数に設定される第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…は、そのマイナス側を相互に対向させるようにして配列されており、第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…のマイナス側にハンダで接続される複数のマイナス側接続片114a,114a…を有する共通バスバー114が第1および第2コンデンサ素子112,112…;113,113…を上方から覆うように配置され、第1コンデンサ素子112,112…のプラス側にハンダで接合される複数のプラス側接続片115a,115a…を有する第1個別バスバー115と、第2コンデンサ素子113,113…のプラス側にハンダで接続される複数のプラス側接続片116a,116a…を有する第2個別バスバー116とが、前記共通バスバー114との間に絶縁紙117を挟むようにして共通バスバー114上に配置される。而して共通バスバー114と第1および第2バスバー115,116とで第1および第2コンデンサ素子112,112…,113,113…が接続されて成るコンデンサユニット38は、合成樹脂から成る被覆層118に埋封されるようにしてケース119内に収容され、そのケース119が第4カバー111で覆われる。
【0057】
しかも前記共通バスバー114には、第1および第2入力コンデンサ22,23に共通のアース端子120が前記被覆層118から突出するようにして一体に突設され、第1および第2個別バスバー115,116には、第1および第2入力コンデンサ22,23に個別に対応したプラス端子121,122が前記アース端子120を両側から挟むようにして一体に突設され、両プラス端子121,122も前記被覆層118から突出する。
【0058】
前記コンデンサユニット38を第1インダクタ24との間に挟む位置で第2のヒートシンク73の他端部上には第4端子台123が固定されており、この第4端子台123には、燃料電池15を接続するための燃料電池用プラス側およびマイナス側端子124,125と、蓄電池16を接続するための蓄電池用プラス側およびマイナス側端子126,127が設けられる。
【0059】
而して前記コンデンサユニット38のプラス端子121と、第1インダクタ24に連なって第3端子台106に設けられた端子107に接続されたバスバー109とが、燃料電池用プラス側端子124に連なるように第4端子台123に接続され、前記コンデンサユニット38のプラス端子122と、第2インダクタ25に連なるようにして第2端子台87に設けられた端子99に連なるバスバー128とが、蓄電池用プラス側端子126に連なるように第4端子台123に接続される。
【0060】
また第1のヒートシンク40の他端には、電動モータ17に連なるU相、V相およびW相の電源ライン35U,36V,35Wを接続するための第5端子台130が固定されており、第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hの電動モータ17に接続されるべき端子に連なって前記基板72を貫通する端子部材68F〜68Hに一端がそれぞれ接続されるバスバー131,132,133が第5端子台130まで延設される。
【0061】
ところで前記基板72と反対側には、直流リンクコンデンサユニット21が配置されており、この直流リンクコンデンサユニット21は、ステイ135,135によって第1のヒートシンク40に支持され、第1のヒートシンク40および直流リンクコンデンサユニット21間には、外部バスバーユニット136が配置される。
【0062】
図16において、前記直流リンクコンデンサユニット21において第1のヒートシンク40側の側面には、第1のヒートシンク40の上下両面に装着された第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hがそれぞれ備えるプラス側接続端子69…およびマイナス側接続端子70…に接続されるべきプラス側接続端子139…およびマイナス側接続端子140…が突出される。
【0063】
図17において、前記外部バスバーユニット136は、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…および直流リンクコンデンサユニット21のプラス側接続端子139…に接続される複数のプラス側接続片141a,141a…を両側から突出せしめるプラス側外部バスバー141と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…および直流リンクコンデンサユニット21のマイナス側接続端子140…に接続される複数のマイナス側接続片142a,142a…を両側から突出せしめるマイナス側外部バスバー142とを備え、プラス側およびマイナス側外部バスバー141,142と、プラス側およびマイナス側外部バスバー141,142間に挟まれる平板状の絶縁部材143と、該絶縁部材143との間にプラス側およびマイナス側外部バスバー141,142を挟む平板状の絶縁部材144,145とが積層されることで、直流リンクコンデンサユニット21の外方に配置される外部バスバーユニット136が構成される。
【0064】
また外部バスバーユニット136におけるマイナス側外部バスバー142の一端には、プラス側外部バスバー141の一端よりも突出する取付け板部142bが一体に設けられており、この取付け板部142bが、ボルト146で第1のヒートシンク40に固定され、外部バスバーユニット136は、第1のヒートシンク40に直接当接される。
【0065】
而して直流リンクコンデンサユニット21のプラス側接続端子139…と、外部バスバーユニット136のプラス側接続片141a…と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…とは、図11で示すように、プラス側接続端子139…,69…間にプラス側接続片141a…を挟むようにしてボルト147…で接続される。また直流リンクコンデンサユニット21のマイナス側接続端子140…と、外部バスバーユニット136のマイナス側接続片142a…と、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…とは、マイナス側接続端子140…,70…間に、マイナス側接続片142a…を挟むようにしてボルト148…で接続される。
【0066】
ところで第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19で得られた直流電力は、インバータ20で交流電力に変換されて電動モータ17に供給されるのであるが、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19からの電力は、直流リンクコンデンサユニット21の平滑コンデンサ36…に一旦蓄えられ、その蓄えられた電力をインバータ20が取り出すことになる。このような電力の流れは電流の流れに置き換えることができ、外部バスバーユニット136が設けられていないときには、図18(a)の細線矢印で示すように、平滑コンデンサ36から供給される電流i1と、平滑コンデンサ36を通らずに第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19から供給される電流i2とが、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を通ってインバータ20に流れることになる。このように直流リンクコンデンサユニット21の内部配線が全ての電流を負担するような構成とすると、内部配線は発熱や肥大化を生じることになり、配線の発熱は平滑コンデンサ36に熱的悪影響を及ぼす。
【0067】
それに対し、第1コンバータ18および第2コンバータ19と、直流リンクコンデンサユニット21との間に外部バスバーユニット136を介在せしめると、図18(b)の細線矢印で示すように、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19から供給される電流i2の一部i2′が、外部バスバーユニット136におけるプラス側外部バスバー141を通ってインバータ20側に直接流れるので、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流を少なく抑え、平滑コンデンサ36に与える熱影響を小さく抑えることができる。
【0068】
またインバータ20の第6〜第8スイッチング素子モジュール27F〜27Hにおける第6〜第8プラス側スイッチング素子31F〜31Hおよび第6〜第8マイナス側スイッチング素子32F〜32Hの導通・遮断を切換えることによって直流リンクコンデンサユニット21内には転流電流が流れるものであり、簡略化のために、インバータ20のW相に対応する部分を省略して、第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gならびに第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gの導通・遮断を切換えたときの直流リンクコンデンサユニット21内および外部バスバーユニット136を流れる転流電流の経路を図19〜図21を参照しながら説明する。
【0069】
先ず第6プラス側スイッチング素子31Fおよび第7マイナス側スイッチング素子32Gを導通し、第6マイナス側スイッチング素子32Fおよび第7プラス側スイッチング素子31Gを遮断したときには、図19の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i3,i4に対応した電流i3′,i4′が外部バスバーユニット136のプラス側およびマイナス側バスバー141,142を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0070】
また第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gを導通し、第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gを遮断したときには、図20の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i5に対応した電流i5′が外部バスバーユニット136のマイナス側バスバー142を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0071】
さらに第6および第7プラス側スイッチング素子31F,31Gを導通し、第6および第7マイナス側スイッチング素子32F,32Gを遮断したときには、図21の細線矢印で示すように、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を流れる電流i6に対応した電流i6′が外部バスバーユニット136のプラス側バスバー141を流れることになり、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線に流れる電流を小さく抑えることができる。
【0072】
すなわち第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…を外部バスバーユニット136によって直流リンクコンデンサユニット21の外方で共通に接続し、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのマイナス側接続端子70…を外部バスバーユニット136によって直流リンクコンデンサユニット21の外方で共通に接続することによって、第1コンバータ18もしくは第2コンバータ19からインバータ20に供給される電流の一部が直流リンクコンデンサユニット21の外方を通り、インバータ20での第6〜第8プラス側スイッチング素子31F〜31Hおよび第6〜第8マイナス側スイッチング素子32F〜32Hの導通・遮断切換えによって生じる転流電流の一部が直流リンクコンデンサユニット21の外方を通るようにすることができる。
【0073】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、水冷型の第1ヒートシンク40の上下両面に、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20の一部をそれぞれ構成しつつ第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが装着されることでスイッチング素子組立ユニット67が構成され、そのスイッチング素子組立ユニット67の上方に、水冷型の第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、第1コンバータ18における第1インダクタ24および三相トランス26と、第2コンバータ19における第2インダクタ25および二相トランス33とが配置されるので、コンパクト化を可能としつつ、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hと、第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33とを効率よく冷却することが可能であり、しかも第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33によるノイズの影響が第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hに及ぶことを第2のヒートシンク73で抑制することができる。
【0074】
また第1コンバータ18が備える第1入力コンデンサ22と、第2コンバータ19が備える第2入力コンデンサ23とが一体化されて成るコンデンサユニット38が、第2のヒートシンク73をスイッチング素子組立ユニット67との間に介在させるようにして、スイッチング素子組立ユニット67の上方に配置されるので、第1および第2入力コンデンサ22,23のコンパクトな配置によって電力変換装置のコンパクト化が可能となるとともに、第1および第2入力コンデンサ22,23への第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hからの熱伝達を第2のヒートシンク73で抑制することができる。
【0075】
しかもコンデンサユニット38は、第1および第2入力コンデンサ22,23に共通である単一のアース端子120を有するものであるので、コンデンサユニット38をより一層コンパクト化することが可能となるだけでなく、配線インダクタンスの低減が可能となる。
【0076】
また偶数個である第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、第1のヒートシンク40の上下両面に略対称配置で装着されるので、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hの冷却性能を最適化することができる。
【0077】
しかも第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは接続端子の向きを同一として第1のヒートシンク40に装着されており、第1および第2コンバータ18,19の一部を構成して第1のヒートシンク40に装着される第1〜第5スイッチング素子モジュール27A〜27Eと、第1および第2コンバータ18,19の一部を構成して第2のヒートシンク73上に配設されるとともに第1〜第5スイッチング素子モジュール27A〜27Eに直接連なる三相トランス26および二相トランス33とが、バスバー92,93,94,100,101で接続されるので、バスバー92〜94,100,101の最短化を図ることができるとともに、組立を容易とすることができる。
【0078】
ところで第1のヒートシンク40には、ねじ軸部63a,63aを両端部に有する複数のスタッドボルト63…が第1のヒートシンク40の上下両面から突出させるようにして植設されており、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのケース60…および銅ベースプレート58…が、前記各スタッドボルト63…のうち選択されたスタッドボルト63…の前記ねじ軸部63a…に螺合するナット64…を締め付けて締結することで、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hが第1のヒートシンク40の上下両面に装着されるので、第1のヒートシンク40の上下両面に、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを少ない部品で容易に装着することができる。
【0079】
また第1のヒートシンク40における第1の冷却水通路43および第2ヒートシンク73における第2の冷却水通路76に冷却水を供給する冷却水ポンプ80は、第1および第2の冷却水通路43,76に並列接続されており、冷却水ポンプ80からの冷却水が第1および第2のヒートシンク40,73に分配して供給されるので、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hならびに第1インダクタ24、三相トランス26、第2インダクタ25および二相トランス33の冷却にあたって最適な冷却性能が得られるようにすることができる。
【0080】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hおよび第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは、複数のチップ47,48,49,50,51,52を有しており、それらのチップ47,48,49,50,51,52は、第1の冷却水通路43における冷却水の流通方向46に沿う方向に2個ずつ並ぶように第1のヒートシンク40に配設されており、第1のヒートシンク40が有する第1の冷却水通路43内には、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離して配置されるとともに、図6で明示するように、流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に前記流通方向46と直交する方向にオフセットして配置される複数の冷却フィン71,71…が配設されている。
【0081】
これにより流通方向46に沿って並ぶ各チップ47,49,51;48,50,52毎に分離した冷却フィン71,71…の入口毎に、図7(b)で示すような温度助走区間を形成して、第1の冷却水通路43全体で高い冷却効率を得ることが可能となる。
【0082】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hと、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hとは、第1の冷却水通路43の流通方向46に沿って離隔した位置に配置されるものであり、この実施の形態では、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hが第1の冷却水通路43の往路部43aに対応する位置に配置されるのに対して、第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hは第1の冷却水通路43の復路部433bに対応する位置に配置されており、第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hならびに第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32H毎に温度の助走区間が生じるようにして、より冷却効率を高めることができる。
【0083】
また第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hは、それを構成する第1〜第8プラス側スイッチング素子31A〜31Hならびに第1〜第8マイナス側スイッチング素子32A〜32Hを合成樹脂から成る被覆層65…内に封入した状態で第1のヒートシンク40に装着されるものであり、被覆層65…からの放熱ならびに第1のヒートシンク40からの冷却によって、第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hをより効果的に冷却することができる。
【0084】
ところで第1および第2コンバータ18,19と、インバータ20との間には、平滑コンデンサ36…を有する直流リンクコンデンサユニット21が設けられており、第1コンバータ18、第2コンバータ19およびインバータ20が備える第1〜第8スイッチング素子モジュール27A〜27Hのプラス側接続端子69…およびマイナス側接続端子70…は、前記直流リンクコンデンサユニット21が備えるプラス側接続端子139…およびマイナス側接続端子140…に接続されるのであるが、前記プラス側接続端子69…、139サ…にはプラス側外部バスバー141が共通に接続され、前記マイナス側接続端子70…、140…にはマイナス側外部バスバー142が共通に接続されており、直流リンクコンデンサユニット21の外方に配置されるプラス側およびマイナス側外部バスバー141,142が相互間に絶縁部材143を介在させて積層されることで外部バスバーユニット136として一体化されるので、直流リンクコンデンサユニット21の内部配線を通る電流を減少し、平滑コンデンサ36…に熱的悪影響を及ぼすような発熱が直流リンクコンデンサユニット21の内部配線で生じることを防止することができる。
【0085】
さらに外部バスバーユニット136が、第1のヒートシンク40に直接当接されるので、外部バスバーユニット136で生じた熱を第1のヒートシンク40側に直接伝達するようにして、直流リンクコンデンサユニット21の近傍の温度上昇を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0087】
15・・・直流電源である燃料電池
16・・・直流電源である蓄電池
17・・・電動モータ
18,19・・・コンバータ
20・・・インバータ
24・・・磁気部品である第1インダクタ
25・・・磁気部品である第2インダクタ
26・・・磁気部品である三相トランス
27A,27B,27C;27D,27E,27F,27G,27H・・・スイッチング素子モジュール
33・・・磁気部品である二相トランス
40・・・第1のヒートシンク
63・・・スタッドボルト
63a・・・ねじ軸部
67・・・スイッチング素子組立ユニット
73・・・第2のヒートシンク
80・・・冷却水供給源である冷却水ポンプ
92,93,94,100,101・・・バスバー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチング素子モジュール(27A,27B,27C;27D,27E)および複数の磁気部品(24,26;25,33)を有するとともに直流電源(15,16)の電圧を昇降圧するコンバータ(18,19)と、前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)とは別の複数のスイッチング素子モジュール(27F,27G,27H)を有するとともに前記コンバータ(18,19)で得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ(17)を駆動するインバータ(20)とを備える電力変換装置において、全ての前記スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が水冷型の第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着されて成るスイッチング素子組立ユニット(67)の上方に、水冷型の第2のヒートシンク(73)を前記スイッチング素子組立ユニット(67)との間に介在させるようにして、複数の前記磁気部品(24,26;25,33)が配置されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
第1のヒートシンク(40)に、ねじ軸部(63a)を両端部に有する複数のスタッドボルト(63)が、前記ねじ軸部(63a)を第1のヒートシンク(40)の上下両面から突出させるようにして植設され、前記各スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が、前記各スタッドボルト(63)のうち選択されたスタッドボルト(63)の前記ねじ軸部(63a)に締結されるようにして第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着されることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
第1および第2のヒートシンク(40,73)に冷却水を分配して供給すべく、冷却水供給源(80)が第1および第2のヒートシンク(40,73)に並列に接続されることを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
【請求項4】
偶数個の前記スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が、第1のヒートシンク(40)の上下両面に略対称配置で装着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンバータ(18,19)の一部を構成して第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)と、前記磁気部品(24,26;25,33)のうち前記コンバータ(18,19)の一部を構成する前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)に直接連なる磁気部品(26,33)とが、バスバー(92,93,94,100,101)で接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項1】
複数のスイッチング素子モジュール(27A,27B,27C;27D,27E)および複数の磁気部品(24,26;25,33)を有するとともに直流電源(15,16)の電圧を昇降圧するコンバータ(18,19)と、前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)とは別の複数のスイッチング素子モジュール(27F,27G,27H)を有するとともに前記コンバータ(18,19)で得られた直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ(17)を駆動するインバータ(20)とを備える電力変換装置において、全ての前記スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が水冷型の第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着されて成るスイッチング素子組立ユニット(67)の上方に、水冷型の第2のヒートシンク(73)を前記スイッチング素子組立ユニット(67)との間に介在させるようにして、複数の前記磁気部品(24,26;25,33)が配置されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
第1のヒートシンク(40)に、ねじ軸部(63a)を両端部に有する複数のスタッドボルト(63)が、前記ねじ軸部(63a)を第1のヒートシンク(40)の上下両面から突出させるようにして植設され、前記各スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が、前記各スタッドボルト(63)のうち選択されたスタッドボルト(63)の前記ねじ軸部(63a)に締結されるようにして第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着されることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
第1および第2のヒートシンク(40,73)に冷却水を分配して供給すべく、冷却水供給源(80)が第1および第2のヒートシンク(40,73)に並列に接続されることを特徴とする請求項1または2記載の電力変換装置。
【請求項4】
偶数個の前記スイッチング素子モジュール(27A〜27H)が、第1のヒートシンク(40)の上下両面に略対称配置で装着されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンバータ(18,19)の一部を構成して第1のヒートシンク(40)の上下両面に装着される複数の前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)と、前記磁気部品(24,26;25,33)のうち前記コンバータ(18,19)の一部を構成する前記スイッチング素子モジュール(27A〜27E)に直接連なる磁気部品(26,33)とが、バスバー(92,93,94,100,101)で接続されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2011−4520(P2011−4520A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145642(P2009−145642)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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