説明

電動パワーステアリング装置

【課題】インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合でも、昇圧回路を構成するスイッチング素子を保護することができる電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1(I0)以上になった場合(ステップ、S101:YES)が、所定時間T1以上経過(ステップ、S102:YES)し、かつ、出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2(V1)以下になった場合(ステップ、S103:YES)には、第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限する(ステップ、S104)。昇圧回路の第1、および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限するので、昇圧回路内に流れる電流の急激な増加を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源電圧を昇圧して出力する昇圧回路を備えた電動パワーステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)が広く採用されるようになっている。こうしたEPSでは、アシスト力の強化、および、その立ち上がり特性の改善を図るべく、昇圧回路により電源電圧が昇圧される。そして、昇圧された昇圧電圧はインバータ装置に供給され、昇圧電圧を供給されたインバータ装置は、モータを駆動する。
【0003】
例えば、特許文献1に記載のEPSは、車載電源と駆動回路との間に設けられた昇圧回路を備え、該昇圧回路は、一端に電源電圧が印加される昇圧コイルと、その他端を接地、または、開放可能な第1のスイッチング素子と、昇圧コイルおよび第1のスイッチング素子の接続点と、出力端子とを接続、または、開放可能な第2のスイッチング素子とを有している。そして、その第1および第2のスイッチング素子を交互にオン/オフ駆動することにより、電源電圧を昇圧している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-319700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、上記インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合、スイッチング素子に流れる過電流により、上記昇圧回路の第2のスイッチング素子の出力電圧が低下する。すると、低下した出力電圧を上昇させるため、上記昇圧回路の第1のスイッチング素子のオン/オフ比(duty比)が100%近くになり、第1のスイッチング素子が短絡故障する虞があり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合でも、昇圧回路を構成するスイッチング素子を保護することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータ(12)を駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置(10)と、前記モータ(12)を駆動するインバータ装置(31)と、前記インバータ装置(31)に流れる電流を検出する電流検出手段(18u、18v、18w)と、前記インバータ装置(31)に供給する電源電圧を昇圧して出力する昇圧回路(25)と、該昇圧回路(25)の出力電圧を検出する出力電圧検出手段(30)と、前記昇圧回路(25)の出力電圧を制御する制御手段(16)を備えた電動パワーステアリング装置(1)において、前記昇圧回路(25)は、一端に電源電圧(20)が印加される昇圧コイル(27)と、該昇圧コイル(27)の他端を接地、または、開放可能な第1のスイッチング素子(26a)と、前記昇圧コイル(27)および前記第1のスイッチング素子(26a)の接続点と、出力端子とを接続、または、開放可能な第2のスイッチング素子(26b)とを備え、前記制御手段(16)は、前記第1(26a)および第2のスイッチング素子(26b)をオン/オフ駆動することにより、前記出力電圧を制御し、前記電流検出手段(18u、18v、18w)から検出した少なくとも1相以上の電流値が所定値1(I0)以上になった場合が、所定時間(T1)以上経過し、かつ、前記出力電圧検出手段(30)から検出した出力電圧が所定値2(V1)以下になった場合には、前記第1(26a)および第2のスイッチング素子(26b)のオン/オフ比を50%に制限すること、を要旨とする。
【0008】
請求項1の電動パワーステアリング装置によれば、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過し、かつ、前記出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、前記第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限する。
すなわち、昇圧回路の第1、および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限するので、昇圧回路内に流れる電流の急激な増加を抑えることができる。
これにより、請求項1の電動パワーステアリング装置は、インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合でも、昇圧回路を構成するスイッチング素子を保護することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合でも、昇圧回路を構成するスイッチング素子を保護することのできる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。
【図2】EPSの電気的構成を示すブロック図。
【図3】昇圧装置の概略構成を示すブロック図。
【図4】過電流検出後における昇圧力制御の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をコラム型の電動パワーステアリング装置に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。
【0012】
尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
【0013】
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
【0014】
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。尚、本実施形態では、モータ12には、ブラシレスDCモータが採用されている。そして、EPSアクチュエータ10は、モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
【0015】
一方、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15およびモータ回転角センサ24が接続されている。そして、ECU11は、これら各センサの出力信号に基づいて、操舵トルクτ、車速V、及びモータ回転角θmを検出する。
【0016】
詳述すると、本実施形態では、コラムシャフト3aの途中、詳しくは、上記EPSアクチュエータ10を構成する減速機構13よりもステアリング2側にトーションバー17が設けられている。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、このトーションバー17の捩れに基づいて、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出可能なセンサ信号Sa,Sbを出力するセンサ素子14a、14bを備えて構成されている。
【0017】
尚、このようなトルクセンサは、例えば、トーションバー17の捩れに基づき磁束変化が生ずるセンサコア(図示略)の外周に、二つの磁気検出素子(本実施形態ではホールIC)を上記各センサ素子14a、14bとして配置することにより形成することが可能である。
【0018】
即ち、回転軸であるステアリングシャフト3に対するトルク入力によりトーションバー17が捩れることで、その各センサ素子14a、14bを通過する磁束が変化する。
そして、本実施形態のトルクセンサ14は、その磁束変化に伴い変動する各センサ素子14a、14bの出力電圧を、それぞれセンサ信号Sa,SbとしてECU11に出力する構成となっている。
【0019】
そして、ECU11は、これら検出される各状態量に基づいて目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち、操舵系に付与するアシスト力を制御する構成となっている。
【0020】
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン16と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路31とを備えている。
【0021】
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される各相電流値Iu、Iv、Iwを検出するための電流センサ18u、18v、18w、およびモータ12のモータ回転角θmを検出するためのモータ回転角センサ24が接続されている。そして、マイコン16は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ18u、18v、18w、およびモータ回転角センサ24の出力信号に基づき、検出されたモータ12の各相電流値Iu、Iv、Iw、およびモータ回転角θmに基づいて、駆動回路31に出力するモータ制御信号を生成する。
【0022】
尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン16が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン16は、所定のサンプリング周期で、上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
【0023】
具体的には、本実施形態では、マイコン16は、各相電流値Iu、Iv、Iwをd/q変換し、d/q座標系における電流制御、詳しくは、q軸電流値がアシストトルクの目標値となる、q軸電流指令値に追従するように制御する。そして、マイコン16は、このd/q座標系における電流制御に基づき決定されたモータ制御信号を駆動回路31に出力する。
【0024】
一方、駆動回路31は、モータ12の相数に対応する複数(2×3個)のパワーMOSFET(以下、単にFET)により構成されており、具体的には、FET21a、21dの直列回路、FET21b、21eの直列回路、FET21c、21fの直列回路を並列接続することにより、構成されている。そして、FET21a、21dの接続点22uは、モータ12のU相コイルに接続され、FET21b、21eの接続点22vは、モータ12のV相コイルに接続され、FET21c、21fの接続点22wは、モータ12のW相コイルに接続されている。
【0025】
マイコン16から出力されるモータ制御信号は、各FET21a〜FET21fのゲート端子に印加される。そして、このモータ制御信号に応答して、各FET21a〜FET21fがオン/オフすることにより、直流電源20から供給される直流電圧が三相(U、V、W)の駆動電力に変換され、モータ12に供給されるようになっている。
【0026】
また、EPS1は、電源電圧Vinを昇圧して駆動回路31に出力する昇圧装置23を備えている。本実施形態では、昇圧装置23は、昇圧回路25と、制御手段としてのマイコン16とにより構成されており、昇圧回路25は、直流電源20と駆動回路31との間の電力供給経路に設けられている。そして、昇圧回路25は、マイコン16に制御されることにより、直流電源20の電源電圧Vinを昇圧して駆動回路31に出力する。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の昇圧回路25は、第1FET26a、第2FET26b、昇圧コイル27、および平滑コンデンサ28により構成されている。昇圧コイル27は、一端が直流電源20に接続されるとともに、他端が第1FET26aの一端に接続されており、第1FET26aの他端は接地されている。また、昇圧コイル27と第1FET26aとの間の接続点aは、第2FET26bの一端に接続されており、第2FET26bの他端は、駆動回路31に接続されている。そして、第2FET26bと駆動回路31との間の接続点bは、平滑コンデンサ28を介して接地
されている。
【0028】
即ち、本実施形態では、第1FET26aが昇圧コイル27を接地、または開放可能な第1のスイッチング素子を構成し、接続点bが昇圧回路25の出力端子を構成する。そして、第2FET26bが、昇圧コイル27、および第1のスイッチング素子の接続点と、出力端子とを接続、または開放可能な第2のスイッチング素子を構成する。
【0029】
第1FET26a、および第2FET26bのゲート端子は、マイコン16と接続されており、マイコン16は、第1FET26a、および第2FET26bのゲート端子に制御信号(Sga、Sgb)を印加することにより、第1FET26a、および第2FET26bを交互にオン/オフ制御する。これにより、接続点aにおける電圧は、
第1FET26aのオフ時に、昇圧コイル27に発生する逆起電力が電源電圧Vinに重畳された電圧となり、第1FET26aがオン時に接地電位となる。そして、この電圧が第2FET26bのオン時に、接続点bに伝達され、その脈動的に変化する電圧・電流が平滑コンデンサ28にて、平滑化されることにより、直流電源20の電源電圧Vinを昇圧した出力電圧Voutが、出力されるようになっている。
【0030】
本実施形態では、マイコン16は、第1FET26a、および第2FET26bに対し、制御信号として所定のduty比を有するパルス信号を出力する。即ち、PWM制御することにより、昇圧回路25の出力電圧Voutを制御する。
【0031】
具体的には、マイコン16は、電源電圧Vinを検出するための第1の電圧センサ29とともに、昇圧回路25の出力電圧Voutを検出するための第2の電圧センサ30が接続されている。そして、マイコン16は、この第2の電圧センサ30により検出された出力電圧Voutと、その制御目標である目標電圧との偏差に基づいて、出力電圧Voutのフィードバック制御演算を行う。そして、マイコン16は、このフィードバック制御演算により決定されたduty比を有する制御信号を、第1FET26a、および第2FET26bに出力し、同制御信号によって、第1FET26a、および第2FET26bのオン/オフ時間が変化することにより、昇圧回路25の出力電圧Voutが制御されるようになっている。
【0032】
尚、昇圧回路25の出力電圧Voutは、制御信号のduty比(第1FET26aに対して出力する制御信号のオンduty比)が大きい場合に高くなり、そのduty比が小さい場合には低くなる。そして、本実施形態では、マイコン16は、予め設定された所定電圧V1を目標電圧として昇圧回路25の出力電圧Voutを制御する。
【0033】
次に、過電流検出後における昇圧制御の態様について詳述する。
図3に示すように、マイコン16には、電流センサ18u、18v、18wで検出された各相電流値Iu、Iv、Iwが入力されている。そして、マイコン16は、検出された各相電流値Iu、Iv、Iwの少なくとも1つの値が、所定値以上になった状態が所定時間以上継続した場合には、過電流を検出したとして、次に、昇圧回路の出力電圧Voutが所定値電圧V1以下かを判定する。
【0034】
そして、マイコン16は、出力電圧Voutが所定電圧V1以下の場合には、第1FET26aおよび第2FET26bのduty比を50%として交互にオン/オフすることにより、昇圧回路内に流れる電流の急激な増加を抑制させる。
【0035】
次に、本実施形態のマイコン16による過電流検出後における昇圧力制御の処理手順について説明する。
本実施形態では、マイコン16は、定時割り込みにより、過電流検出、および昇圧制御を実施する。即ち、図4のフローチャートに示すように、マイコン16は、少なくとも1相の電流値が所定値I0以上か否かを判定する(ステップS101)。そして、少なくとも1相の電流値が所定値I0以上である場合(ステップS101:YES)には、所定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS102)。尚、少なくとも1相の電流値が所定値I0以上でない場合(ステップS101:NO)には、処理を終える。
【0036】
一方、上記ステップS102において、所定時間T1が経過したと判定した場合(ステップS102:YES)、マイコン16は、続いて、出力電圧Voutが所定出力電圧V1以下であるか否かを判定する(ステップS103)。そして、出力電圧Voutが所定出力電圧V1以下の場合(Vout≦V1、ステップS103:YES)には、第1FET26aおよび第2FET26bのduty比を50%として交互にオン/オフする(ステップS104)。そして、出力電圧Voutが所定出力電圧V1より大きい場合(Vout>V1、ステップS103:NO)には、処理を終える。
【0037】
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
マイコン16は、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過し、かつ、前記出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、前記第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限する。
【0038】
上記構成によれば、昇圧回路の第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限するので、昇圧回路内を流れる電流の急激な増加を抑えることができる。
その結果、インバータ装置を構成しているスイッチング素子に過電流が流れた場合でも、昇圧回路を構成するスイッチング素子を保護することができる。
【0039】
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
上記実施形態では、マイコン16は、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過し、かつ、出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限することとした。しかし、これに限らず、マイコン16は、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過した場合には、第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限することとしてもよい。
【0040】
・上記実施形態では、マイコン16は、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過し、かつ、出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限することとした。しかし、これに限らず、マイコン16は、インバータ装置に流れる少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上、かつ出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限することとしてもよい。
【0041】
・上記実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。また、EPSに限ったことではなく、工作機械の数値制御装置やロボットの制御装置等に適用しても勿論よい。
【符号の説明】
【0042】
1:電動パワーステアリング装置(EPS)、2:ステアリング、
3:ステアリングシャフト、3a:コラムシャフト、
3b:インターミディエイトシャフト、3c:ピニオンシャフト、
4:ラックアンドピニオン機構、5:ラック軸、6:タイロッド、7:転舵輪、
10:EPSアクチュエータ(操舵力補助装置)、11:ECU、12:モータ、
13:減速機構、14:トルクセンサ、14a、14b:センサ素子、
15:車速センサ、16:マイコン、17:トーションバー、
18u、18v、18w:電流センサ(電流検出手段)、20:直流電源、
21a、21b、21c、21d、21e、21f:FET(パワーMOSFET)、
22u、22v、22w:接続点、23:昇圧装置、
24:モータ回転角センサ、25:昇圧回路、
26a:第1FET(第1のスイッチング素子)、
26b:第2FET(第2のスイッチング素子)、
27:昇圧コイル、28:平滑コンデンサ、29:第1の電圧センサ、
30:第2の電圧センサ、31:駆動回路(インバータ装置)、
τ:操舵トルク、Sa,Sb:センサ信号、V:車速、θm:モータ回転角、
Iu,Iv,Iw:各相電流値、I0:1相の電流値の所定値、
Vin:電源電圧、Vout*:目標電圧、Vout:出力電圧、V1:所定電圧、
Sga、Sgb:制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、
前記モータを駆動するインバータ装置と、
前記インバータ装置に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記インバータ装置に供給する電源電圧を昇圧して出力する昇圧回路と、
該昇圧回路の出力電圧を検出する出力電圧検出手段と、
前記昇圧回路の出力電圧を制御する制御手段を備えた電動パワーステアリング装置において、
前記昇圧回路は、一端に電源電圧が印加される昇圧コイルと、
該昇圧コイルの他端を接地、または、開放可能な第1のスイッチング素子と、
前記昇圧コイルおよび前記第1のスイッチング素子の接続点と、出力端子とを接続、または、開放可能な第2のスイッチング素子とを備え、
前記制御手段は、前記第1および第2のスイッチング素子をオン/オフ駆動することにより、前記出力電圧を制御し、
前記電流検出手段から検出した少なくとも1相以上の電流値が所定値1以上になった場合が、所定時間T1以上経過し、かつ、前記出力電圧検出手段から検出した出力電圧が所定値2以下になった場合には、前記第1および第2のスイッチング素子のオン/オフ比を50%に制限することを特徴とする電動パワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−34311(P2013−34311A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169222(P2011−169222)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】