説明

電子制御バルブおよびそれを含むシステム

【課題】全体の幾何学的形状を縮小するとともに、優れた能力・機能を継続する、信頼性の高い制御バルブを提供する。
【解決手段】バルブ胴体202、スリーブ212、スプール214、およびバルブアクチュエータ206を含む。バルブ胴体は、空洞224および第1のチャンバ208を含む。スリーブは、空洞と第1のチャンバとの間に位置する。スリーブは、スリーブの第1の端部から第2の端部へと延伸する内孔240と、第2の端部に延在する少なくとも1つの開口部242を備え、内孔の一部分は第2のチャンバ210を形成する。スプールは、内孔内に移動可能に配置される。バルブアクチュエータは、スプールに接続される。第1のチャンバは、少なくとも1つの開口部を介して第2のチャンバと流体的に接続する。スプールは、そこを通る流体流動を調節するために、少なくとも1つの開口部の少なくとも一部分の上で移動可能であるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関し、より具体的には、電子制御バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
電子制御バルブは、空気、油、水等の流体を制御する際に多く使用される。しかしながら、これらのバルブおよびバルブを使用するシステムは、もっと改良されてもよい。制御バルブを利用するシステムの多くは技術的に複雑になってきているため、制御バルブの機能も増大している。さらに、これらのシステムおよび/またはバルブの多くは、ますます小さな空間に閉じ込められようとしている。全体の幾何学的形状を縮小するとともに、優れた能力・機能を継続して提供し、信頼性の高い製品構成を維持することは、制御バルブに関して種々の課題をもたらす。
【0003】
したがって、改良された電子制御を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一側面によると、次のような制御バルブが開示される。この制御バルブは、バルブ胴体、スリーブ、スプール、およびバルブアクチュエータアセンブリを有する。前記バルブ胴体は、空洞および第1のチャンバを含む。前記スリーブは、前記空洞と前記第1のチャンバとの間に位置する。前記スリーブは、該スリーブの第1の端部から該スリーブの第2の端部へと延伸する内孔と、前記第2の端部に延在する少なくとも1つの開口部を備える。前記内孔において前記第2の端部に最も近い部分は第2のチャンバを形成する。前記スプールは、前記スリーブの前記内孔内に移動可能に配される。前記バルブアクチュエータアセンブリは、前記スプールに接続される。前記第1のチャンバは、前記少なくとも1つの開口部を介して前記第2のチャンバと流体的に接続する。前記スプールは、前記少なくとも1つの開口部の少なくとも一部分を通る流体の流れを調節するために、該部分上を移動可能であるように構成される。
本発明の別の側面によると、次のようなバルブが開示される。このバルブは、上端部、下端部および前記下端部に近接する開口部を備えるバルブ胴体と;前記バルブ胴体の内部に設けられる固定バルブ要素であって、前記固定バルブ要素は、前記固定バルブ要素の第1の端部から前記固定バルブ要素の第2の端部へと延伸する内孔と、および前記第2の端部に延在する少なくとも1つの穴を備える、前記固定バルブ要素と;第1の方向に移動可能に構成される可動バルブ要素であって、前記可動バルブ要素は、前記少なくとも1つの穴の少なくとも一部分を通る流体の流れを調節するために、該部分上を移動可能であるように構成される、前記可動バルブ要素と;前記可動バルブ要素に接続されるバルブアクチュエータアセンブリと;第1の流体導管の開口端を受けるように構成される第1の導管受容領域と;第2の流体導管の開口端を受けるように構成される第2の導管受容領域であって、前記第2の導管受容領域は前記第1の導管受容領域と実質的に同心状に配置される、前記第2の導管受容領域と;備え、前記開口部を通して前記第1および第2の流体導管を受容し、前記第1の方向に実質的に平行である前記下端部に近接する方向に流体が流れるように構成される
【0005】
本発明の別の側面によると、サーボバルブが開示される。前記サーボバルブは、バルブ胴体、バルブアクチュエータアセンブリ、スリーブ、およびスプールを含む。前記バルブ胴体は、第1の端部、第2の端部、および前記第2の端部に設けられる第1の接触部を含む。前記第1の接触部は、第1の導管を受けるように構成される。前記バルブアクチュエータアセンブリは、前記バルブ胴体の内部において、前記第1の端部の近くに配される。前記スリーブは、前記バルブ胴体の内部に固定される。前記スリーブは、内孔および少なくとも1つの開口部を含む。前記内孔の一部分は第2の接触部を含む。前記第2の接触部は、前記第1の接触部を通って延伸する第2の導管を受けるように構成される。前記少なくとも1つの開口部は、前記第1の導管と前記第2の導管との間で流体が流れることを可能にするように構成される。前記スリーブは、前記バルブアクチュエータと前記第1の接触部との間に位置する。前記スプールは、前記スリーブの前記内孔に摺動可能に接続される。前記スプールは、前記バルブアクチュエータアセンブリに取り付けられる。
【0006】
本発明のさらに別の側面によると、制御バルブを製造する方法が開示される。まず、空洞および第1のチャンバを有するバルブ胴体を準備する。スリーブを、前記空洞と前記第1のチャンバとの間に設ける。前記スリーブは、該スリーブの第1の端部から該スリーブの第2の端部へと延伸する内孔と、前記第2の端部に延在する少なくとも1つの開口部とを備える。前記第2の端部に近接する前記内孔の一部分は第2のチャンバを形成する。スプールは、前記スリーブの前記内孔内に移動可能に接続される。バルブアクチュエータアセンブリは、前記スプールに接続される。前記第1のチャンバは、前記少なくとも1つの開口部を介して前記第2のチャンバと流体的に接続する。前記スプールは、前記少なくとも1つの開口部の少なくとも一部分を通る流体の流れを調節するために、該部分上を移動可能であるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の前述の側面および他の特徴について、添付の図面と併用して、以下の発明を実施するための形態において説明する。
【0008】
【図1】本発明の特徴を備える自転車の前部の側面図である。
【0009】
【図2】図1に示す自転車に使用するサスペンションシステムの側面図である。
【0010】
【図3】図2に示すサスペンションシステムに使用する例示的バルブの断面図である。
【0011】
【図4】図3に示す例示的バルブの別の断面図である。
【0012】
【図5】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの斜視図である。
【0013】
【図6】図5に示す例示的バルブの断面図である。
【0014】
【図7】図5に示す例示的バルブの別の断面図である。
【0015】
【図8】図5に示す例示的バルブの別の断面図である。
【0016】
【図9】図5に示す例示的バルブの別の断面図である。
【0017】
【図10】図5に示す例示的バルブの別の断面図である。
【0018】
【図11】図5に示す例示的バルブの4分の3の切断図である。
【0019】
【図12】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの断面図である。
【0020】
【図13】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの部分断面図である。
【0021】
【図14】図13に示す例示的バルブの断面図である。
【0022】
【図15】図13に示す例示的バルブに使用する例示的制御システムのブロック図である。
【0023】
【図16】図13に示す例示的バルブに使用する例示的スリーブの斜視図である。
【0024】
【図17】図16に示す例示的スリーブの上面図である。
【0025】
【図18】図16に示す例示的スリーブの側面図である。
【0026】
【図19】図16に示す例示的スリーブの底面図である。
【0027】
【図20】図17に示す線20-20に沿った例示的スリーブの断面図である。
【0028】
【図21】図13に示す例示的バルブの一部分の拡大断面図である。開口部は実質的に被覆(または閉鎖)されている。
【0029】
【図22】図13に示す例示的バルブの一部分の拡大断面図であり、開口部は実質的に除覆(または開放)されている。
【0030】
【図23】図13に示す例示的バルブの一部分の拡大断面図であり、開口部は約半分除覆(または半分開放)されている。
【0031】
【図24】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの部分断面図である。
【0032】
【図25】線25〜25に沿った図24に示す例示的バルブの横断面図である。
【0033】
【図26】図25に示す例示的バルブの拡大図である。
【0034】
【図27】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの部分断面図である。
【0035】
【図28】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの一部分の図である。
【0036】
【図29】図28に示す例示的バルブの一部分の別の図である。
【0037】
【図30】図28に示す例示的バルブの一部分の別の図である。
【0038】
【図31】図2に示すサスペンションシステムに使用する別の例示的バルブの一部分の図である。
【0039】
【図32】図28に示す例示的バルブの一部分の別の図である。
【0040】
【図33】図28に示す例示的バルブの一部分の別の図である。
【0041】
【図34】図13に示す例示的バルブに使用する別の例示的スリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1を参照すると、本発明の特徴を組み込む自転車10の前部の側面図が示されている。図面に示す例示的実施形態を参照しつつ本発明について説明するが、多くの代替形式の実施形態において本発明を具現化可能であることを理解されたい。部品や材料には、任意の適切なサイズ、形状、種類のものを使用することが可能である。
【0043】
自転車10は、フレーム12、ハンドル棒14、フォークアセンブリ16、および車輪18を含む。フレームは、トップチューブ20、ダウンチューブ22、およびヘッドチューブ24を含む。ハンドル棒14は、ヘッドチューブ24に接続される。ハンドル棒14は、例えば、ステムおよびステアリングチューブを備えてもよい。フォークアセンブリ16は、ハンドル棒14に対向するヘッドチューブ24に接続されてもよい。フォークアセンブリ14は、フォークヘッド26、サスペンションシステム28、およびフォークチューブ30を含む。車輪18は、フォークチューブ30に接続される。
【0044】
サスペンションシステム28は、コンピュータ制御による電気/油圧式アクティブサスペンションダンピングシステム(Active Suspension Damping System; ASDS)であってもよい。サスペンションシステム28は、乗輪制御モジュール32、電子流体制御システム(electronic fluid control system; EFCS)100、バネ34、ダンパーチューブ36、ダンパー軸38、およびダンパーピストン40を備えることができる。乗輪制御モジュール32は、ハンドル棒14に取り付けられてもよいが、適切であればいかなる位置に取り付けてもよい。EFCS100は、ASDS制御コンピュータ42に隣接していてもよく、EFCS100およびASDS制御コンピュータ42の両方は、フォークヘッド26に近接していてもよい。また、EFCS100およびASDS制御コンピュータ42は、フォークヘッド26の内部に搭載されてもよい。
【0045】
次に、図2を参照すると、サスペンションシステム28がさらに詳細に示されている。ASDSコンピュータ42は、デジタルネットワーク44を有する内蔵型高速中央コンピュータであることを特徴としうる。デジタルネットワーク44は、EFCS変換器46や乗輪制御モジュール(ride control module; RCM)32、高帯域幅センサアレイのセンサに分散して搭載される、全ての処理コンピュータを接続する。高帯域幅センサアレイ(high bandwidth sensor array)は、例えば、EFCSアパーチャセンサ48、フォーク移動センサ50、および振動/衝撃センサ52を備えてもよい。ある実施形態では、乗り手は、例えば、小型ジョイスティックおよびグラフィックLCDを備えてもよいRCM32によって、自身の乗輪の好みを設定することができる。ASDSコンピュータ42は、RCM32における情報と、フォーク移動センサ50,振動/衝撃センサ52,およびEFCSアパーチャセンサ48からのフィードバックとを、例えば約100ミリ秒毎に比較し得る。フォーク移動センサ50は、例えば、上部流体チャンバ54と下部流体チャンバ56との間の移動を検知し得る。乗輪を最適化するために、サスペンションシステム(または衝撃吸収器)の硬さや追従性を変更するEFCS変換器46を調整するべく、乗り手による設定変更やセンサの変化が計算されてもよい。EFCS変換器46は、上部ダンパーチャンバ54と下部ダンパーチャンバ56との間で油圧ダンパー液(hydraulic damping fluid)が流動可能な速度を制御することができる。流動速度(flow rate)を変化させることによって、バネ衝撃が圧縮されたり跳ね返されたりする速度が変化する。固定設定または手動調整の従来の油圧ダンパーとは違って、コンピュータは、衝撃吸収の仕方を「形作る」ために、圧縮または反発中に流動速度を動的に変更している。システムの超高速コンポーネントおよび「リアルタイム」分散コンピューティング構成は、振動または衝撃のエネルギー波がフォークへ移動してダンパーに到達する前に、調整を開始し得る。ある実施形態では、これは、約17ミリ秒(0.017秒)で行われることができる。
【0046】
次に、図3および図4を参照すると、EFCS100が描かれている。EFCS100は、例えば、電気的/機械的油圧サーボバルブ等の電子制御バルブであってもよい。制御バルブ100は、バルブ胴体102、電子回路104、バルブアクチュエータ106、固定柱108、外側スリーブ要素110、上部チャンバ112、および下部チャンバ114を備える。
【0047】
(例えばプロセッサやマイクロコンピュータなど他の電子部品を備えることができる)電子回路104は、バルブ胴体102の上端部116に設けられてもよい。電子回路104は、バルブアクチュエータ106およびバルブ胴体102内の他の電子部品に接続されてもよい。
【0048】
バルブアクチュエータ106は、上端部116の近くに位置する、バルブ胴体102の空洞118内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ106は、コイルヘッダアセンブリ120および磁化要素(magnetized element)122を備えることができる。コイルヘッダアセンブリ106は、基部124およびボイスコイル部(voice coil portion)126を含む。電磁電機子を備えてもよいボイスコイル部126は、基部124の延長上に設けられる。ボイスコイル126は、磁化要素122に対して可動である。また磁化要素122を囲んでいる。ボイスコイル126にエネルギーが与えられると、電磁電機子と、磁化要素122が生成する磁束との間の相互作用により、コイルヘッダアセンブリ120が、空洞118内の所望の位置に移動する。
【0049】
固定柱(stationary post )108は、バルブ胴体基部128に取り付けられ固定される。固定柱108は内孔130を備え、また、互いに円周方向に間を空けて設けられる(すなわち環状に配列される)複数の開口部132を備える。開口部132は、固定柱の内面から固定柱の外面へと伸びており、上部チャンバ112および内孔130と連通する。内孔130の開放端部134は、導管(またはチューブ)受容領域136を形成する。チューブ138は、受容領域136に接続される。チューブ138は、本体102の下端部142における開口部140を通って延伸し、下部流体チャンバ(または下部ダンパーチャンバ)56(図2に示す)に接続される。
【0050】
バルブ胴体基部128は、上部チャンバ112と下部チャンバ114との間に位置し、そこを貫通する複数の穴144を備える。穴は、上部チャンバ112と下部チャンバ114との間の流体的な接続を提供する。
【0051】
バルブ胴体102の下端部142は、別の導管(またはチューブ)受容部146を備える。チューブ148は受容部146に接続される。チューブ148は、バルブ胴体102から延出し、上部流体チャンバ(または上部ダンパーチャンバ)54(図2に示す)に接続される。チューブ(または外側チューブ)148は、チューブ(または内側チューブ)138を囲む。言い換えると、内側チューブ138は、外側チューブ148の内部に位置し、その間に間隙を有する。外側チューブ148の直径が内側チューブ138よりも大きいために、チューブ間に間隙が形成される。この間隙によって、矢印150が示すように、内側チューブの外面と、外側チューブの内面との間の流体流動が可能になる。さらに、下部チャンバ114は、外側チューブ148と流体的に接続する。
【0052】
ここで提供される図面および説明は、底部ダンパーチャンバ56に接続される内側チューブ138と、上部ダンパーチャンバ54に接続される外側チューブ148とを有しているが、任意の適切な構成をとってもよいことには留意されたい。例えば、代替実施形態では、内側チューブが上部ダンパーチャンバに接続されてもよく、外側チューブが下部ダンパーチャンバに接続されてもよい。
【0053】
外側スリーブ要素またはバルブ制御要素110は、コイルヘッダアセンブリ120の基部124に取り付けられる。外側スリーブ要素の内面は、固定柱108の外面に対して摺動可能である。コイルヘッダアセンブリ120が移動すると、外側スリーブ要素110の端部分152は、開口部132上を摺動する。開口部または穴132の上のスリーブ要素110の移動は、内側チューブ138と外側チューブ148との間の流体流動を調節する。バルブ胴体102の下端部142側へのコイルヘッダアセンブリ120の移動によって、穴132が被覆され、内側チューブ138と上部チャンバ112との間の流体流動が減少するか阻止される。また、スリーブ要素110は、バルブ胴体基部128(またはその上昇部分)に接触することにより、穴の被覆時に圧力密着シールを形成しうる。バルブ胴体102の上端部116側へのコイルヘッダアセンブリ120の移動によって、穴132が除覆され、内側チューブ138と上部チャンバ112との間の流体流動が可能となる(又は流動量が増大する)。下部チャンバ114、上部チャンバ112、開口部132、および内側チューブ138の間の例示的流体流動が、矢印150によって示されている。
【0054】
外側スリーブ要素110は、磁気要素154をさらに備える。磁気要素154は、バルブ胴体102に搭載される位置センサ156に近接している。位置センサ156は、磁気要素154の位置、ひいては開口部132に対する外側スリーブ110の位置を検知するように構成される。
【0055】
動作中、ASDSコンピュータ42は、必要な流動速度を計算し、それを、デジタルネットワークインターフェース44(図2参照)を介して、EFCSの高速マイクロコンピュータに送信する。流動速度の設定およびアパーチャセンサフィードバックは、先進アルゴリズムで処理される。このアルゴリズムは、リニアモータ(またはバルブアクチュエータ)106を駆動させるために、高効率パワーアンプを動作させる。高エネルギー土類磁石(典型的なフェライト磁石よりも18倍から60倍強力である)であり得る磁気要素122は、例えば、浮遊電磁電機子(またはボイスコイル)126を動作させる自己遮蔽磁束ガイドに保持される。電機子は、100分の1ミリメートルの精度で流体アパーチャ(または開口部)132を比例的に制御する、精密バルブ機構を動作させる。移動部分には、特殊な表面処理が施され、約300マイクロインチ(約0.008ミリメートル)の精度に適合する。例えば、好適な実施形態では、移動部分には特殊な表面処理が施され、約50から約100マイクロインチの精度に形成される。高帯域幅センサでありうる位置センサ156は、移動部分に触れずに、油圧流体によってアパーチャの変化(または開口部132に対するスリーブ要素110の位置)を測定する。
【0056】
圧縮中、油圧流体の流れは、下部ダンパーチャンバ56から流動制御アパーチャ(または開口部)132を通って、ダンパーステムの内側経路138を上昇し(矢印128参照)、ダンパーステムの外側経路148から上部チャンバ54に下降する(矢印160参照)。反発時には、流れが反対方向に進む。激しい衝撃または急速な反発の下では、大きな圧力が、ダンパーおよびEFCS本体マガジン(またはバルブ胴体)102の内部で増大する。(追従性や衝撃吸収性を上げるべく、)アパーチャ132が、スリーブ要素110が完全に(または殆ど)開口部132を除覆するように幅広く開放されると、流体は、EFCS100を通って、ダンパーチャンバ54や56の間を非常に急速に流れる。内面における流体の速度は、運動エネルギー(動き)を熱に変換する。この熱は、EFCS100およびダンパー外側本体の熱ウィッキング構成によって消散されてもよい。このようなエネルギー変換によって、乗り手は、過度な振動や衝撃を感じなくなる。対照的に、乗り手が、「触覚性の地形反響」(道の感触)を強く感じたい場合、その乗り手は、より硬さの好みを高く設定することができる。このような設定によれば、流体流動が少なくなり(この場合、スリーブ要素110は、開口部132の大部分またはかなりの部分を被覆する)、したがって、熱に変換される運動エネルギーが少なくなり、フォークの移動が制限され、振動および衝撃のエネルギー波の一部は、ハンドル棒14にまで達する。しかしながら、標準/従来のサスペンションとは違って、乗り手が選択しなければ、システムは、非常に大きな衝撃が発生していることを検知し、通常条件下で硬い触覚性の乗輪設定を乗り手が選択していたとしても、乗り手の安全性および制御を改善するためにその最大衝撃吸収を必要とすることを判断する。
【0057】
本発明の実施形態において、バルブ100が、次のような特徴を提供するための、様々な要素やコンポーネントを備えてもよいことに留意されたい。かかる特徴は、例えば、2007年10月5日に出願された米国特許出願第11/973,276号に開示される不感帯域低減技術や、2007年10月5日に出願された米国特許出願第11/973,277号に開示される周波数・振幅可変ディザー技術、2007年9月21日に出願された米国特許出願第11/903,431号に開示される均圧化技術、2007年9月19日に出願された米国特許出願第11/903,132号に開示される保持要素、2007年10月24日に出願された米国特許出願第11/977,657号に開示される圧力調節器の制御技術およびカスケード制御ループ技術、2007年10月25日に出願された米国特許出願第11/977,519号に開示される回路モジュールおよび/または一体型電子機器、2007年10月25日に出願された米国特許出願第11/977,471号に開示されるパルス幅変調駆動要素を使用するボイスコイルの閉ループ電流制御などである。これらの出願の全ては、参照としてそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0058】
次に、図5〜図11を参照すると、本発明の別の実施形態に従う制御バルブ(またはEFCS)200が図示されている。制御バルブ200は前述の制御バルブ100に似ている。
【0059】
制御バルブ200は、バルブ胴体202、電子回路204、バルブアクチュエータ206、上部チャンバ208、および下部チャンバ210を含む。制御バルブ200と制御バルブ100との違いの1つは、制御バルブ200が、固定柱および可動スリーブの代わりに固定スリーブ212および可動スプール214を備えることである。
【0060】
バルブ胴体202は、上部バルブケース216および下部バルブケース218を備える2つの部品からなる部材であってもよい。しかしながら、他の任意の適切なバルブ構成であってもよい。
【0061】
電子回路204は、制御バルブ100と同様に、バルブ胴体の上端部220に設けられてもよい。電子回路204は、(電線222によって、)バルブアクチュエータ206およびバルブ胴体内の他の電子部品に接続されてもよい。
【0062】
バルブアクチュエータ206は、上端部220に近接するバルブ胴体202の空洞224内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ206は、コイルヘッダアセンブリ226および磁化要素(magnetized element )228を備えることができる。磁化要素228は、モータハウジング230に取り付けられてもよい。モータハウジング230は、アセンブリピン232によってバルブ胴体202に取り付けられてもよい。しかしながら、他の任意の適切な構成を採用してもよい。コイルヘッダアセンブリ226は、基部234およびボイスコイル部226を含む。ボイスコイル部236は、基部234の延長であるかのように搭載される。ボイスコイル部236は電磁電機子を備えてもよい。バルブアクチュエータ206は、制御バルブ100のバルブアクチュエータ106について上述したのと同様に動作する。
【0063】
スリーブ212は、バルブ胴体基部238に取り付けられて固定される。固定スリーブ212は内孔240を備え、また、円周方向に互いに離間する(すなわち環状配列の)複数の開口部242を備える。開口部242は、固定スリーブ212の内面から固定スリーブ212の外面へと開いており、上部チャンバ208と内孔240とを連通させる。バルブ胴体基部238の一部分は、導管(またはチューブ)受容部244を形成する。チューブ246は受容部244に接続される。内孔の開放端部248は、バルブ胴体基部238において、チューブ246に接続される。チューブ246は、バルブ胴体202の下端部252における開口部250を通って延伸し、下部流体チャンバ(または下部ダンパーチャンバ)56に接続される。
【0064】
制御バルブ100と同様に、バルブ胴体基部238は、上部チャンバ208と下部チャンバ210との間に位置し、そこを貫通する複数の穴254を備える。穴254は、上部チャンバ208と下部チャンバ210との間の流体的な接続を提供する。
【0065】
制御バルブ100と同様に、バルブ胴体202の下端部252は、別の導管(またはチューブ)受容部256を備える。チューブ258は受容部256に接続される。チューブ258は、バルブ胴体202から延伸し、上部流体チャンバ(または上部ダンパーチャンバ)54に接続される。チューブ(または外側チューブ)258は、チューブ(または内側チューブ)246を囲む。
【0066】
コイルヘッダアセンブリ226の基部234には、可動スプールまたはバルブ制御要素214が取り付けられる。可動スプール214の外面は、固定スリーブ212の内面(または内孔)240に対して摺動可能である。コイルヘッダアセンブリ226が移動すると、スプール214の端部分260は開口部242上を摺動する。開口部または穴242の上のスプール214の移動は、内側チューブ246と外側チューブ258との間の流体流動を調節する。バルブ胴体202の下端部252側へのコイルヘッダアセンブリ226の移動によって、穴242が被覆され、内側チューブ246と上部チャンバ208との間の流体流動が減少するか阻止される。また、スプール214は、バルブ胴体基部238(またはその上昇部分)に接触することにより、穴の被覆時に圧力密着シールを形成しうる。バルブ胴体202の上端部220側へのコイルヘッダアセンブリ226の移動によって、穴254が除覆され、内側チューブ246と上部チャンバ208との間の流体流動が可能となる(または増大する)。下部チャンバ210、上部チャンバ207、開口部242、および内側チューブ246の間の例示的流体流動(図8に最もよく図示される)が、矢印262によって示されている。
【0067】
スプール214は、磁気要素(またはセンサ磁石)264をさらに備える。磁気要素264は、スリーブ212の外面上に搭載される位置センサ266に近接する。位置センサ266は、プリント基板(A/S PCB)268によって、電子回路に接続されてもよい。また、任意の適切な接続法によってもよい。位置センサ266は、磁気要素264の位置、ひいては開口部242に対するスプール214の位置を検知するように構成される。
【0068】
ASDSの動作中、開口部242上のスプール214の移動によって、流体流動を比例的に制御する、精密なバルブ機構が提供される。制御バルブは、制御バルブ100について説明したのと同じように、ASDS内で動作する。
【0069】
次に、図12を参照すると、本発明の別の実施形態に従う制御バルブ(またはEFCS)300が示されている。制御バルブ300は制御バルブ200に類似している。
【0070】
制御バルブ300は、バルブ胴体302、電子回路304、バルブアクチュエータ306、固定スリーブ312、可動スプール214、上部チャンバ308、および下部チャンバ310を含む。制御バルブ300と制御バルブ200との違いの1つは、制御バルブ300が、単一の胴体ケース302を備えることである。
【0071】
電子回路304は、制御バルブ200と同様に、バルブ胴体302の上端部320に設けられてもよい。電子回路304は、バルブアクチュエータ306およびバルブ胴体302内の他の電子部品に接続されてもよい。さらに、制御バルブ300は、バルブ胴体302の上端部320に近い部分に、ロックリング398および分割位置決めリング396を備えてもよい。
【0072】
バルブアクチュエータ306は、バルブ胴体302の上端部320の近くの空洞324内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ306は、コイルヘッダアセンブリ326、コイル/巻型394、および磁化要素328を備えることができる。コイルヘッダアセンブリ326は、基部334およびボイスコイル部336を含む。電磁電機子を備えうるボイスコイル部336は、基部334から延長するように搭載される。また、バルブ胴体302は、コイルヘッダアセンブリ326の一部に並ぶようにガイドピン392を備えてもよく、これは回転防止機能を提供する。バルブアクチュエータ306は、制御バルブ200のバルブアクチュエータ206について上述したのと同じように動作する。
【0073】
固定スリーブ312、可動スプール314、上部チャンバ308、および下部チャンバ310は、制御バルブ200のものと同様に構成される。
【0074】
ASDSの動作中、開口部342におけるスプール314の移動によって、流体流動を比例的に制御する、精密なバルブ機構が提供される。制御バルブ300は、制御バルブ100、200について既に説明したのと同じように、ASDS内で動作する。
【0075】
次に、図13および図14も参照すると、本発明の別の実施形態に従う制御バルブ(またはEFCS)400が示されている。制御バルブ400は、制御バルブ200、300に類似している。
【0076】
制御バルブ400は、バルブ胴体402、電子回路404、バルブアクチュエータ406、固定スリーブ412、および可動スプール414を含む。
【0077】
バルブ胴体(または本体マガジン)402は、単一の胴体ケースから構成されてもよく、または上部バルブケースおよび下部バルブケースを備える2つの部品から構成されてもよい。また、他の任意の適切なバルブ胴体構成を採用してもよい。バルブ胴体402は、例えば、航空機用アルミニウム合金から作製されてもよい。また、任意の適切な材料からなるものであってもよい。ある実施形態によれば、バルブ胴体402の構成は、750psi(50バール)の流体内圧および1,000重量ポンド(4,450N)の引張荷重に耐え得る。バルブ胴体402は、その中に各コンポーネントを収容するための空洞424を備える。
【0078】
電子回路404は、制御バルブ200、300と同様に、バルブ胴体402の上端部420に搭載されてもよい。電子回路404は、バルブアクチュエータ406およびバルブ胴体402内の他の電子部品に接続されてもよい。ある実施形態では、電子回路404は、デジタルネットワークインターフェースを有する高速マイクロコンピュータを備えてもよく、また制御アルゴリズム、高効率パワーアンプ、および/または自己診断手段を備えてもよい。また、他の任意の適切な構成を採用してもよい。
【0079】
電子回路または集積電子回路404は、更なる電力調節手段、(アナログまたはデジタルの)コントローラ、(好ましくはパルス幅変調(Pulse-Width-Modulation; PWM)の)アクチュエータアンプ、および検知回路をさらに備えてもよい。検知回路には、スプール位置検知手段や更なる電流検知手段,アクチュエータ速度検知手段,加速検知手段,上流圧力および/または下流圧力センサ、差圧センサ、および/または流動センサが組み込まれていてもよい。図15には、上述の例示的システム500の基本ブロック図が示されている。
【0080】
電子機器アセンブリ404は、ヘッダ/レセプタクルアセンブリ(header/receptacle assembly)を介して接続してもよい。ヘッダ/レセプタクルアセンブリは、例えば、可塑性プリント回路に搭載されてもよい。適切な箇所にレセプタクルやFPC(フレキシブルプリント回路)が設けられてもよい。
【0081】
電子機器アセンブリ404は、次のような機能を含む様々な機能を実行し得る。これらの機能には次のようなものが含まれる。
一次高圧電力(典型的には14.4V)および5Vのロジック電源電力を受信すること;
バルブの位置要求のためのデジタル情報、診断情報、(I2C、若しくは他のアナログ又はデジタルプロトコルを用いた)デジタル通信ネットワーク上の状態情報を受信し、それをマスター通信機器に渡すこと;
バルブ機能的および電気的要素からのセンサ入力を監視すること;
パワーアンプコマンド信号(パルス幅変調(Pulse-Width-Modulation; PWM)および方向(Direction; DIR))を決定するために数学的アルゴリズムを実行すること。これらの信号は、パワーアンプへと通信されてもよい。
【0082】
パワーアンプは、例えば、AllegroA3959またはその同等物であってもよく、マイクロプロセッサからPWMおよびDIRコマンドを受け付け、ボイスコイル(voice coil)を駆動する。駆動アンプは、内部保護回路を備えてもよい。コイルに印加される電力は、コイルを通る電流を生成する。その電流は、静磁場と相互作用し、電流に比例する力を生成する。電流は、コイルと直列の専用回路によって監視され、監視・分析・診断/保護機能のためにμC(マイクロプロセッサ)に供給される。コイル電流や、バルブ位置センサ信号/電力は、バルブの上部において、ピンヘッダコネクタを介して流れる。
【0083】
例えば、リニアモータであり得るバルブアクチュエータ406は、上端部420に近接するバルブ胴体402の空洞424内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ406は、コイルヘッダアセンブリ426および磁化要素428を備えることができる。磁化要素428は、例えば、典型的にはNdFeB等の高エネルギー稀土類磁石であってもよい。また、任意の適切な磁化要素を利用してもよい。コイルヘッダアセンブリ426は、基部434およびボイスコイル部436を含む。電磁電機子(electromagnetic armature)を備えうるボイスコイル部436は、基部334から延長するように設けられる。さらにバルブアクチュエータは、自己遮蔽磁束ガイド(self-shielding magnetic flux guide)490を備えてもよい。
【0084】
バルブアクチュエータまたはバルブアクチュエータアセンブリ406が、例えば、ボイスコイル、ソレノイド、または回転モータ等の任意の適切な構成を有してもよいことに留意されたい。さらに、バルブアクチュエータアセンブリ406が、例えば、パイロットまたは磁力による引きつけ/反発を行うような、間接的に動作する構成であり得ることに留意されたい。また、任意の適切な種類の構成を採用してもよい。さらに、バルブ胴体402(および空洞424)は、例えば油圧流体等の流体で充填されていてもよく、バルブアクチュエータ(またはバルブアクチュエータアセンブリ)406は、アクチュエータアセンブリであってもよい。
【0085】
バルブアクチュエータ406は、制御バルブ200、300のバルブアクチュエータ206、306について上述したのと同じように動作する。電流は、コイルを通過し、磁束導管(magnetic flux conduit)、磁石(magnet)、および極(pole)により確立される静磁場と相互作用する。流束導管および極は、高磁場飽和(例えば鋼または鉄)と磁気的に透過性であってもよい。生成された力は、以下の式によって表現されてもよい。
【0086】
FCoil = KmI
【0087】
固定スリーブ412(図16〜図20にさらに示す)は、バルブ胴体402に取り付けられ固定される。単一部品からなる部材であり得るスリーブ412は、例えば、圧入によってバルブ胴体402に取り付けられてもよい。さらに、Oリング488または他の密封型部材を、スリーブ412とバルブ胴体402との間に設けてもよい。スリーブ412は、空洞424と外側バルブチャンバ470との間のバルブ胴体402内に配置される。
【0088】
固定スリーブ412は、フランジ部材472、内孔440、および円周方向に互いに離間する(すなわち環状配列の)複数の開口部442を備える。フランジ部材472は実質的に円形であり、空洞424と外側バルブチャンバ470との間に境界を形成する。内孔440は、スリーブの上端部472からスリーブの下端部474へと延在する。開口部442は、図示するように、スロットまたはスロット状の穴であってもよい。開口部442が、例えば、円形、スロット状、四角形、長方形、または三角形等の他の形状を有してもよいことに留意されたい。また、任意の適切な開口部形状を有してもよい。開口部442は、固定スリーブの内面(または内孔440)から固定スリーブ412の外面へと延びており、外側バルブチャンバ470と内孔440とを連通させる。開口部442は内孔440に実質的に垂直である。スリーブの下端部474に近接する内孔440の一部分476は、導管(またはチューブ)受容部を形成する。チューブ446は、受容部476に接続される。チューブ446は、バルブ胴体402の下端部452における開口部450を通って延伸し、下部流体チャンバ(または下部ダンパーチャンバ)56に接続される。さらに、下端部474および開口部442に近接する内孔440の一部分は、内側バルブチャンバ478を形成する。内側バルブチャンバ478は、外側バルブチャンバ470によって囲まれ、スリーブ412の下端部474はそれらの間に位置する。この構成により、開口部442を通って流体的に接続する内側チャンバ478および外側チャンバ470が提供される。
【0089】
図34には、別の実施形態に従う固定スリーブ413が示されている。スリーブ413はスリーブ412に似ている。しかしスリーブ413は、可動スプール414の端部との接触を可能にするように構成される隆起面445を内孔441内にさらに備える。隆起面445とスプール414とのこの接触により、穴の被覆時に圧力密着シール構造が提供される。隆起面の直径は内孔441の直径よりも小さい。隆起面または座部レッジ445は、スリーブと一体型であってもよく、または内孔441に取り付けられる別の部材(例えばエラストマー材料を備えることができる)であってもよい。
【0090】
制御バルブ200、300と同様に、バルブ胴体402の下端部452は、別の導管(またはチューブ)受容部456を備える。チューブ458は、チューブ458が外側チャンバ470と流体的に接続するように、受容部456に接続される。チューブ458は、バルブ胴体402から延伸し、上部流体チャンバ(または上部ダンパーチャンバ)54に接続される。チューブ(または外側チューブ)458は、チューブ(または内側チューブ)446を囲む。チューブ446、458は、ダンパーステムの少なくとも一部分を形成する。
【0091】
可動スプールまたはバルブ制御要素414は、コイルヘッダアセンブリ426の基部434に取り付けられる。可動スプール414の外面は、固定スリーブ412の内面(または内孔)440に摺動可能に係合(または接続)される。コイルヘッダアセンブリ426が移動すると、スプール414の端部分460が、開口部442上を摺動する。端部分460は、径が徐々に細くなるような形状480を有していてもよい。例えば、その外形が次第に細くなる形状480は、例えば、面取り(chamfer)またはブレンド(blend)を備えてもよい。また、他の任意の適切な構成や形状としてもよい。開口部または穴442上のスプール414の移動(図21〜図23参照)によって、内側チューブ446と外側チューブ458との間(および内側チャンバ478と外側チャンバ470との間)の流体流動が調節される。バルブ胴体402の下端部452側へのコイルヘッダアセンブリ426の移動によって、穴442が被覆され、内側チューブ446と外側チャンバ470との間の流体流動が減少するか阻止される(閉鎖位置または実質的な閉鎖位置を示す図21を参照)。バルブ胴体402の上端部420側へのコイルヘッダアセンブリ426の移動によって、穴442が除覆され、内側チューブ446と外側チャンバ470との間の流体流動が可能となる(または増大する)(開放位置または実質的な開放位置を示す図22を参照)。外側チューブ、外側チャンバ、内側チャンバ、開口部、および内側チューブの間の例示的流体流動が、矢印462によって示されている。さらに、図2を参照すると、矢印160は、(上部ダンパーチャンバ54を出入りする)外側流路を示す。例えば、矢印158は、(下部ダンパーチャンバ56を出入りする)内側流路を示す。
【0092】
開口部または穴442上のスプール414の移動によって、精密なバルブ機構が形成される。開口部442は、400マイクロインチ(0.0004インチ、ミリメートルの100分の1)以下の精度を有しうる比例流体制御アパーチャとして作用する。さらに、移動部分(例えば可動スプール)には、200マイクロインチの精度を有するように特殊な表面処理が施される。図面には、円周方向に向いている4つのスロット状開口部が示されているが、任意の数または構成の開口部としてもよい。
【0093】
単一部品からなる部材であり得るスプール414は、例えば、磁気要素(またはセンサ磁石)464をさらに備える。磁気要素464は、任意の適切な方式でスプール414に取り付けられてもよい。磁気要素464は、上端部472に近接するスリーブ412に搭載される位置センサ466に近接する。位置センサ466は、センサ配線482によって電子回路404に接続されてもよい。また、任意の適切な接続法によってもよい。位置センサ466は、磁気要素264の位置、ひいては開口部442に対するスプール414の位置を検知するように構成される。位置センサ466は、油圧流体によってセンシングする非接触型構成を有する高帯域幅センサであってもよい。
【0094】
位置センサ466は、スリーブ412の外部(または外面)に搭載されてもよく、移動要素スプール414に固定的に取り付けられてもよいセンサマグネット464の位置を検知する。コイルは、磁気ハウジング内で自由に移動し、スプールに直接カップリングされる。適切なセンサおよび磁石、ならびに幾何学的形状を選択すれば、センサの出力は、スプール位置に対してほぼ線形となり、スプール位置を正確に表すために使用することができる。
【0095】
センサ466は、接触型または非接触型の検知手法によって、スリーブに対するスプールの位置を検知するように構成されてもよい。例えば、センサは、接触型電位差計を備えてもよい。別の例では、センサは、ホール効果/磁石センサ、光学センサ、または容量式センサを備えてもよい。さらに、センサマグネットまたは(例えばホール、光ピックアップ、または電位差計でありうる)検知要素464が、バルブにおける固定部分(例えばスリーブ等)か、またはバルブにおける可動部分(例えばスプール等)のいずれかに搭載されてもよい。
【0096】
ASDSの動作中、開口部442におけるスプール414の移動によって、流体流動を比例的に制御する精密なバルブ機構が提供される。制御バルブ400は、制御バルブ100、200、300について既に説明したのと同じように、ASDS内で動作する。
【0097】
スプール414が移動すると、スプール414は、流体流動に利用可能な面積を増やすために、穴またはスロット442の環状リングを被覆(延伸状態)または除覆(引き込み状態)する。流体は、内側流動チューブ446からバルブまで上方に流れ、内側バルブ流体チャンバ478に集まり、穴またはスロット442を通って外側バルブチャンバ470へと流れ、内側流動チューブ446の外部以外の外側流動チューブ458を通って下降する。
【0098】
中央演算装置は、デジタルネットワークリンク上でバルブ位置コマンドを受け入れ、(電子セクションにおける)パワーアンプおよびコイル(例えばボイスコイル)に命令して、延伸または引き込み状態にスプールを移動させるために、適切な大きさ及び極性の力を印加し、スプールおよび(センサに対して固定的に取り付けられる)センサマグネットの位置を変え、これによって流動開口部を制御する。実施形態によっては、固定的に取り付けられるセンサ磁石が、(面取り部を有し、スロットによって流体流動を制御する)外側スプールの中に配される第2の(内側)部分として形成されることに留意されたい。例えば、図21を参照されたい。さらに、バルブが状況によって完全開放または完全閉鎖にならないように、バルブ内の磁気部材の極性を選択してもよいことに留意されたい。
【0099】
次に、図24〜図26を参照すると、本発明の別の実施形態に従う制御バルブ(またはEFCS)600が示される。
【0100】
制御バルブ600は、バルブ胴体602、電子回路604、バルブアクチュエータ606、固定スリーブ612、可動スプール614、バルブ部材685、およびダイヤフラム687を含む。
【0101】
制御バルブ100、200、300、400と同様に、電子回路604は、バルブ胴体の上端部に搭載されてもよい。
【0102】
バルブアクチュエータ606は、バルブ胴体の上端部に近い空洞624内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ606は、コイルヘッダアセンブリ626を備えることができる。コイルヘッダアセンブリ626は、基部634およびボイスコイル部636を含む。電磁電機子を備えうるボイスコイル部636は、基部634から延長するように設けられる。バルブアクチュエータは、制御バルブ100、200、300、400のバルブアクチュエータ206について上述したのと同じように動作する。
【0103】
固定スリーブ612および可動スプール614は、制御バルブ100、200、300、400と同様に構成される。しかしながら、バルブ600は、スプール614の端部に取り付けられるバルブ部材685と、スリーブ612とスプール614との間に配されるダイヤフラム687とをさらに備える。
【0104】
バルブ600内の開口部642を被覆または除覆するために、バルブ部材685が設けられてもよい。
【0105】
例えばローリング型ダイヤフラムでありうるダイヤフラム687は、一方の端部689においてスリーブ612に取り付けられ、別の端部691においてスプール614に取り付けられてもよい。さらに、ダイヤフラム687は、スプール614とバルブ部材685との間(端部691において)取り付けられてもよい。ダイヤフラム687は、アクチュエータアセンブリ606を隔離する可動膜を構成する。ダイヤフラム687は、例えば、システム内において、酸素または水素からバルブアクチュエータアセンブリを隔離し得る。また、ダイヤフラムは、システム内の油圧流体からバルブアクチュエータアセンブリを隔離し得る。本例では、アクチュエータアセンブリは、分離型アクチュエータアセンブリ(isolated actuator assembly)と呼ばれ得る。
【0106】
次に、図27を参照すると、本発明の別の実施形態に従う制御バルブ(またはEFCS)700が示されている。
【0107】
制御バルブ700はバルブ400に似ており、バルブ胴体702、電子回路(図示せず)、バルブアクチュエータ706、固定スリーブ712、および可動スプール714を含む。しかしながら、バルブ700は、ダイヤフラム787をさらに含む。
【0108】
バルブアクチュエータ706は、上端部に近接するバルブ胴体702の空洞724内に配置されてもよい。バルブアクチュエータ706は、コイルヘッダアセンブリ726を備えることができる。コイルヘッダアセンブリ726は、基部734およびボイスコイル部736を含む。電磁電機子を備えてもよいボイスコイル部736は、基部734から延長するように配される。バルブアクチュエータアセンブリ706は、制御バルブ400のバルブアクチュエータ206について上述したのと同じように動作する。
【0109】
固定スリーブ712、可動スプール714、外側チャンバ770、および下部チャンバ778は、制御バルブ400と同様に構成される。さらに、バルブ400と同様に、内側チャンバ778は内側チューブ746に接続され、外側チューブ758は外側チャンバ770に接続され、内側チューブ758および外側チューブ746は、開口部742を通じて相互に連通する。
【0110】
ダイヤフラム787は、例えば、ローリング型ダイヤフラムであってもよい。ダイヤフラム787は、ダイヤフラム787の一方の端部789においてスリーブ712および/またはバルブ胴体702に取り付けられる。ダイヤフラム787は、ダイヤフラム787の別の端部791においてスプール714に取り付けられてもよい。さらに、ダイヤフラム787は、端部791において、スプール714とコイルヘッダアセンブリ726との間に取り付けられてもよい。ダイヤフラムが、任意の適切な形でバルブ700のコンポーネントに取り付けられてもよいことに留意されたい。ダイヤフラム787は、アクチュエータアセンブリ706を隔離する可動膜構成を提供する。ダイヤフラム787は、システム内において、例えば、酸素または水素からバルブアクチュエータアセンブリ706を隔離し得る。また、ダイヤフラム787は、バルブシステム内の油圧流体からバルブアクチュエータアセンブリ706を隔離し得る。本例では、アクチュエータアセンブリ706を、分離型アクチュエータアセンブリと呼んでもよい。ダイヤフラムは、どのような流体からも、バルブアクチュエータアセンブリを適切に隔離するように構成されてもよい。例えば、ダイヤフラムは、空洞724が隔離されるように、内側チューブ746および外側チューブ758を流れる流体を隔離してもよい。また、他の任意の適切な構成を採用してもよい。
【0111】
本発明の種々の実施形態によると、バルブに接続され、かつ従来の構成より優れた有意な利点を有するボイスコイルが提供されるだろう。具体的には、実施形態によっては、例えば約6ms(ミリ秒)未満などのような、高速な応答性を有する制御バルブ(または油制御バルブ)が提供されうる。また、例えば直径が約32mm未満などのような、外側幾何学的形状(または寸法エンベロープ)がかなり小さなバルブが提供されうる。
【0112】
油制御バルブは、Golden Spectro社のダンパーオイル等の制御流体を備えることができる。また、任意の適切な制御流体を用いてもよい。また、バルブは、比例流動制御、約34平方ミリメートル(mm2)の最大流動面積、および双方向流動性等の種々の特徴も備えることができる。また、任意の適切な特徴を実装してもよい。
【0113】
バルブの電力は約15Vであってもよい。(例えば電池式のアプリケーションなどにおいて、)バルブは、電力消費が最小になるように構成されてもよい。さらに、バルブは、I2C(効果的なIC(集積回路)間の制御のための単純な双方向2線バスであって、このバスは、IC間またはI2Cと呼ばれる)の通信のために構成されてもよい。さらに、開示されるバルブ構成によって、完全閉鎖位置における漏出が最小になり得る。
【0114】
種々の実施形態では、バルブは、自転車等のための衝撃またはサスペンションシステムにおいて実装されてもよい。しかしながら、代替実施形態は、任意の適切な種類のシステムにおけるバルブを含んでもよい。例えば、バルブは、自動車等の任意の車両のための、任意の他の適切な種類のサスペンションシステムに提供されてもよい。別の例では、バルブは、構造のためのアクティブダンパーシステムに使用されてもよい。
【0115】
本発明の種々の実施形態によると、制御バルブは、急速な流体ダンパー過渡現象(rapid fluid damper transient)中に閉じてしまうという傾向を緩和するという特徴を有する構造を備えるという、さらなる利点も提供し得る。流体過渡現象中のバルブ「ロック」を阻止または最小化することは、バルブ「ロック」がサスペンションシステムにおいて望ましくない場合に有利である。
【0116】
さらに、バルブが、流体のバルク温度の補償を提供し得ることに留意されたい。例えば、制御アルゴリズムは、検知された油の温度の特定の粘度を仮定することができる。これによって、油温度または粘度の所定の変化に対してほぼ一定の性能を提供することができる。
【0117】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内における過剰質量を最小化する構成を提供する。移動要素は、例えば、スプール要素、ヘッダ要素、およびコイル要素を備えることができる。スプール要素は、閉鎖位置における漏れを最小限にするべく、(例えば100マイクロインチという精度で)ぴったりと合わせられるだろう。これは、典型的には、強化SS(ステンレス鋼)によって達成される。より軽い材料(たとえばアルミニウム)は、概して天然状態において軟らか過ぎるため、摩耗に対して十分な抵抗力を有さない。他の軽材料(たとえばチタン)は、概して摩耗に弱く、かつ高価である。動的で高性能の機械的システムでは、概して、全ての移動要素の質量を低減することが望ましい。この質量を加速および制御するためにアクチュエータシステムの能力を強化する目的で、質量を低減することが、いかなる移動質量システムにおいても有利である。以下の簡易式を提供する。
【0118】

【0119】
この式から、コイルの力が強いほど、大きな質量要素を加速する必要がありうることが明らかであろう。概して、生成されるコイル力が大きいほど、多くの電力を消費するか、またはモータの設計が複雑になる(より効率的にするために)。一般に、可能な限り質量を最小化するとともに、コストを著しく増加させないことが、優れた設計である。一般的に、アルミニウムの部品を極薄の構造要素と組み合わせることによって、可動アセンブリに使用しうる軽くて安価な部品を提供することができる。例示的実施形態において、スプール要素およびスリーブ要素はアルミニウムから機械加工される。その後、均一な精密誤差を達成すべく、硬質陽極酸化処理で仕上げがされると共に、その後に研削/整合処理が行われる。質量を減少させることは、トレードオフの関係にある他の設計事項よりも重要であるため、コイルの質量をさらに減少させる余地は既に殆どなくなっている。典型的には銅コイル線が選択される。
【0120】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内における可動部品の面に関する差圧を最小化する構成を提供する。この概念は「軸力」(axial force)を含む。軸力は、流体圧力の一時的な変化により、流体中を音速で移動する圧力遷移(pressure transient)が生じ、それが移動方向に垂直な面に作用する瞬時的な圧力差を生成する際に発達しうる。これを図28に示す。この図面は、例示的バルブ800のバルブ内部の簡易図を示す。バルブ800は、移動要素802およびアクティブフローチャンバ804、806を含む。移動要素の滞留状態(stagnant condition)を808において示す。移動要素の露出状態(exposed condition)を810において示す。矢印812は、アクティブフローチャンバ内の流動を示す。実施形態によっては、差圧を緩和するために、移動方向に垂直な面の面積を小さくしてもよい
【0121】
流体を移動する圧力波による圧力差によって、有意な持続時間または大きさの差分力が生じることは考えにくい(流体における圧力は、定常状態において均一であり、また、流体が圧縮され、この圧縮が流体を通って音速で伝達される点における圧力変動(pressure excursion)中にのみ不均一である)。空気中の音速は、約390m/sであり、高密度流体ではさらに速くなり、圧力遷移中に機器の全内面において流体圧力が均一化するのにかかるのは、せいぜいマイクロ秒であるはずである。それにもかかわらず、本発明の種々の実施形態では、全ての可動要素の前面(frontal area)の面積は、可動要素が粘性媒質を通る際の流体抗力係数を最小化するために、小さくされる。これは優れた技術的手法である。
【0122】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内部において予想外の領域に流動渦(flow vortex)が発生することを最小限にとどめる構成を提供する。流動渦は、バルブの「デッドレッグ領域」(dead leg areas)に発生し得る。ここでは、流動する流体に含まれるエネルギーの一部が、流体慣性(fluid inertia)のために、いくつかの面に不均衡圧力を及ぼしている。(流体慣性とは、流体が運動エネルギーを部分に伝達する際の分子衝撃である。)また、中心部の流れと周辺部の流れが互いに逆向きになっており、正味の流動量がゼロであるような場合にも、流動渦が発生しうる。それは、周辺部において、流体と部品表面との間に効力を生じ、(パイプにおけるヘッドロスに似た)望ましくない力を生成するという作用を生ずる。図29に、バルブにおける例示的な流れ812を示す。ゼロネット(zero net)のヘッドロス流動渦を814に示す。
【0123】
計算流体力学(Computational Fluid Dynamics; CFD)ソフトウェアを使用して、バルブの運動を引き起こす可能性のある流体渦領域のポテンシャルを分析し得る。本発明の種々の実施形態では、移動要素付近の流動渦の可能性を、実用的に可能な限り最小化する構成を提供する。
【0124】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内における可動バルブ要素に作用する流体慣性(fluid inertia)の効果を最小化する構成を提供する。加速しなければならない任意の物体は、加速を受けなければならない(例えば力が及ぼさなければならない)。流体流動経路は、少なくとも1回の180度回転を必要とするため、流体は、加速を受けなければならない。流体流動が大きいと、これらの加速は大きくなる。最終的に、これらの加速力は、バルブの内部にもたらされる。これらの内部バルブ要素のいずれかが可動である場合、力が不均衡になる可能性が生ずる。これは、CFD(計算流体力学)を検討し、可動表面に垂直な流速を調べることによって調査されてもよい。
【0125】
図30には衝撃面(impact surface)が816で示されている。これらの衝撃面に流動流体が及ぼす力は、バルブを開く傾向にあるだろう。この効果の最小化に役立てるために、本発明の種々の実施形態では、面取り(chamfer )918を設けることによってスプールの前面面積を減少させている(図31のバルブ900を参照)。
【0126】
これらの衝撃力は、以下の動的圧力式(dynamic pressure equation)に従う。
【0127】

【0128】
流体流動が大きい場合、与えられた流体に対して、動的圧力は、流体速度の2乗から求めることができる。また、例えば流体流動に正比例する。
【0129】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内のバルブ要素面に平行な流体流動の効果を最小化する構成を提供する。航空機の翼と同様に、対向する面における流体流動の速度が異なる場合、流体が面を横断するように流れるため、差分力が生成されうる(飛行機における揚力と同様である)。この効果は、流体密度、流体速度、および移動流体に露出する面積に比例する。図32は、例示的バルブの種々の面における速度の例を示す。820は面を亘る高速の流れを示す。対応する面におけるゼロ速度を822で示す。両表面に作用する流体は同一であり、特定のバルブ設計では、所定のバルブ開口部に必要な流れが指定される(つまり流体速度が規定される)。そこで、横断する流れ(cross flow)に晒される面積は小さくしてもよい。本発明の実施形態のあるものは、流穴の数を減らすことによって、または流動領域付近のスプール壁を薄くすることによって、前面の面積を小さくする。なお、流穴の数を減らすことは、開放時にバルブが最大流動を提供しなければならないため、望ましくない場合がある。
【0130】
この種類の効果が存在する場合、いずれの方向に流れる流体も、バルブを閉鎖する方向に作用するだろう(すなわち、可動要素を図面の下方に移動させるだろう)。また、流体密度が低いと、力の大きさは小さくなり得る(すなわち、圧縮空気は、さらに小さいスケールで同じような力を呈するはずである)。表面積が大きく、かつ流動が大きいと(例えば結果として生じる速度が高いと)、平坦表面に及ぼされる力が大きくなることが分かっている。
【0131】
ベルヌーイの法則および全圧力式(total pressure equation)を使用して、この影響を説明することができる。
【0132】

【0133】
式中、P1およびP2は、バルク流体圧力により規定され、ほとんどの条件で同等である。流体速度および流体密度は、対向面に作用する差分力に影響を及ぼし得る。
【0134】
<速度> 流体流動(fluid flow)が増加すると、速度は、与えられた流動面積に比例して増大する。バルブ面積が小さくなると、速度は、同一の流体流動を維持するために増加しなければならず、圧力に与える効果は、速度の変化率の2乗に比例する。例えば、バルブの100パーセント開放時に1gpm(ガロン/分)の流れが生じる場合、対応する流体速度が存在する。前の流動面積の10%までバルブを閉鎖する場合、流体速度は、同じの流体流動を維持するためには10倍に増加しなければならない。これは、ベルヌーイ(Bernoulli pressure effect)の圧効果によって、100倍の衝撃をもたらす。
【0135】
<密度> 非圧縮性流体の密度は、2つ以上のパラメータ(温度および組成)に依存する。流体組成が均質であると仮定する場合、対向面に作用する流体における温度勾配は、可動バルブ要素に作用する差分力をもたらし得る。高圧領域から低圧領域への流動規制部を流体が流れる際に、当該規制部においてエネルギーが熱に変換されることはよく知られている。バルブ面接触部にいて局所的に高い温度部分があると、それによってバルブ要素の先端における流体密度が局所的に降下し、これによって、可動要素に作用する差分力がもたらされうることが予想されるであろう(熱の交換は流動に比例するため、高い流動は高い圧力差をもたらしうる)。局所的流動規制部を通過すると、比較的高い温度に加熱された少量の流体は、大きな嵩の流体と混ざりあいし、温度上昇の測定は少量過ぎて困難である。さらに、バルブを断続的に流れる非常に小さい気泡が懸濁液中に存在する場合、流体密度が急速に減少し、これによって、圧力の急速な低下がもたらされ、可動要素において差分力が生成されることがある。
【0136】
さらに、航空機翼の揚力に似た式がある。
【0137】

【0138】
式中、追加されている項CLiftおよびAは、「揚力係数」および「揚力面積」をそれぞれ示す。揚力係数は、経験的に判断されなければならず、幾何学的形状が同じであれば一定でありうる。流動状態の流体に暴露される面積は、生成される揚力の大きさに対して直接的な関係を有する。
【0139】
バルブ設計の目標は、所要の流体流動および結果として生じる流体速度を決定することであろう。また、流体の選択も流体密度を決定しうる。本発明の種々の実施形態において、局所的な加熱による密度効果は補償するのが難しいが、その効果は小さいものである。
【0140】
揚力が作用する流動流体に暴露される面積ならびに流動領域における揚力係数は、設計によって、これらの効果を最小化するように操作可能である。等しい力および対向する力が、全てのバルブ位置および流動条件において存在するように、バルブ要素の設計を修正することが望ましい。
【0141】
本発明の実施形態のあるものは、揚力効果および相互作用面積を最小化するために、スプール縁の薄化および面取り部の延長等のさらなる利点を含む。
【0142】
また、種々の実施形態は、流体を通過させたりその通過量を絞ったりするための、円周方向の穴を多数設けるのではなく、小数の長いスロットを設けるという、改良型構成を有し得る。(露出面積が減少するにつれて可動要素のストロークは増加する。例えば、直径がXの12個の穴が存在する場合、穴の数を4つに減らし、その長さを穴の直径の3倍に拡大することによって、露出面積が3分の1、バルブストロークが3倍になり、完全開放時の全流動面積が等しくなる)。
【0143】
さらに、種々の実施形態は、スプール上の面取りを逆にすることによる改良を含む。流動する流体は、角度を成して衝撃を及ぼす傾向にあり、閉鎖しようとする現在の傾向に反して、スプール要素を開放させようとする場合がある。幾何学的形状を慎重に選択することによって、低流動面積、高流動条件下でバルブの閉鎖傾向を大幅に小さくすることができる(反対方向の揚力を引き起こすために迎え角を効果的に使用する)。
【0144】
また、種々の実施形態では、スリーブおよび/またはスプールの幾何学的形状を修正して、結果として生じる力を取り消すように流れを指向することによって、利点を達成する。
【0145】
さらに、実際の反作用力を推定するために、流体流動または流体流動のある類似の形式が代用として使用される制御システムを提供する。例えば、流体流動が非線形的にスプールに下向きの力を及ぼす場合(25パーセントのバルブ開放時に攪乱力最大、そして0パーセントおよび100パーセントに向かって曲線的)、この力を特徴付け、その特徴付けに基づいて、適切なコイル電流を、流動の力に等しく且つ対向するように印加するようにプログラミングされてもよい(コイル電流を増加させることによって、印加する力を増加させる。上記の効果を効果的に補償するのに必要とされるのは、コイル電流の極性および大きさのみである)。ダンパーサスペンションシステムでは、これは、ピストン速度(使用可能な形で既に入手可能である)をバルブコントローラに伝達することによって、極めて簡単に実行される。ピストンの直径は、ダンパーの移動中に一定であることから、速度は、流体流動に正比例する。加速度も得ることができるなら、流体流動の変化率も入手可能である(これにより、さらなる追加の利点が提供されうる)。
【0146】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内に差圧が生じている間におけるバルブ要素の変形を最小化する構成を提供する。任意の流動制御機器は、圧力降下と流体流動との関係を常に明示する(典型的には、所与の機器および流動において、バルブ開口部が小さいと差圧が大きくなる)。ある面積に作用する圧力が力をもたらすため、内側フローチャンバと外側フローチャンバの高い差圧により、機械的要素に対する力が生じ、次いで、標準的な応力分析の通りに機械的要素が屈曲する。バルブ要素が、極めて高い精度(〜100マイクロインチ)を有することから、一時的な変形により、移動機械的要素の湾曲が生じ得る。この効果は、バルブが「ロック」する傾向を説明し得る。しかしながら、バルブが流動過渡現象中の初めに閉鎖する傾向を説明しない。本発明の実施形態のあるものは、全ての動作条件に適切な材料や厚さを選択することによって、バルブ要素の変形の最小化を実現する。
【0147】
本発明の実施形態のあるものは、バルブ内における望ましくない/予測不可能な位置における気泡または空気溜まりを最小化する構成を提供する。機器に流体が完全に充填されるべきであっても、製造上の不備(例えば調整ネジの開け締めや、不適切な組み立て手順によって、機器に空気が流入しうる)、漏れ、または封入気泡が、組み立ておよび排出後にも存在する可能性がある。図33に示す図において、封入された空気が蓄積し得る可能性のある面積は、824で示すバルブ機構の上部である。
【0148】
流体圧力は、内側フローチャンバにおいて減少するため、流れのない領域の上の流体面積における圧力は、同一の圧力を受ける。結果として、気泡の体積は、流体圧力の低下により膨張する。反対に、内側フローチャンバにおける圧力の増加は、反対の効果を有する。結果として、流体は、封入気泡(異なる位置において種々のサイズの多くの泡が位置し、本例では、この効果は、「集まった」気泡として扱われる)の膨張および収縮に反応して、上部領域を出入りして流れる。この予測不可能な流動要素は、上述の手段のいずれかにより、非分析面に及ぼされる誘導力をもたらしうる。
【0149】
本発明の実施形態のあるものは、環境接触部に対する密封流体と、慎重な組み立て・処理制御とを有し、これにより、バルブ内部における不要な封入空気の可能性を最小化または排除する。
【0150】
前述の説明が、単に本発明の例証であることを理解されたい。当業者は、本発明から逸脱することなく種々の代替および変形を考案することが可能である。したがって、本発明は、全てのこのような代替、修正、および変形を包含するように意図され、これらの代替、修正、および変形は、添付の請求項の範囲内に入る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部、下端部および前記下端部に近接する開口部を備えるバルブ胴体と;
前記バルブ胴体の内部に設けられる固定バルブ要素であって、前記固定バルブ要素は、前記固定バルブ要素の第1の端部から前記固定バルブ要素の第2の端部へと延伸する内孔と、および前記第2の端部に延在する少なくとも1つの穴を備える、前記固定バルブ要素と;
第1の方向に移動可能に構成される可動バルブ要素であって、前記可動バルブ要素は、前記少なくとも1つの穴の少なくとも一部分を通る流体の流れを調節するために、該部分上を移動可能であるように構成される、前記可動バルブ要素と;
前記可動バルブ要素に接続されるバルブアクチュエータアセンブリと;
第1の流体導管の開口端を受けるように構成される第1の導管受容領域と;
第2の流体導管の開口端を受けるように構成される第2の導管受容領域であって、前記第2の導管受容領域は前記第1の導管受容領域と実質的に同心状に配置される、前記第2の導管受容領域と;
を備え、前記開口部を通して前記第1および第2の流体導管を受容し、前記第1の方向に実質的に平行である前記下端部に近接する方向に流体が流れるように構成される、バルブ。
【請求項2】
少なくとも前記第1の流体導管の一部が前記第2の流体導管の内部にあるように、前記開口部を通して前記第1および第2の流体導管を受容するように構成される、請求項1に記載のバルブ。
【請求項3】
前記第1の流体導管の外面と前記第2の流体導管の内面との間で流体が流れるように構成される、請求項1記載のバルブ。
【請求項4】
前記第1の導管受容領域は、前記固定バルブ要素と前記第2の導管受容領域との間にある、請求項1に記載のバルブ。
【請求項5】
前記第2の導管受容領域は、前記第1の導管受容領域と前記開口部との間にある、請求項1に記載のバルブ。
【請求項6】
前記可動バルブ要素は、前記バルブのコイルヘッダアセンブリに接続されている、請求項1に記載のバルブ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの穴は環状に配された穴からなる、請求項1に記載のバルブ。
【請求項8】
前記バルブアクチュエータアセンブリは、前記バルブの上端部と前記第1の導管受容領域との間にある、請求項1に記載のバルブ。
【請求項9】
前記バルブアクチュエータアセンブリは電磁バルブアクチュエータアセンブリである、請求項1に記載のバルブ。
【請求項10】
前記バルブは電子的に制御される、請求項1に記載のバルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−233589(P2012−233589A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−165549(P2012−165549)
【出願日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【分割の表示】特願2010−508456(P2010−508456)の分割
【原出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(509316338)エンフィールド テクノロジーズ エルエルシー (2)
【氏名又は名称原語表記】ENFIELD TECHNOLOGIES, LLC
【住所又は居所原語表記】41 Monroe Turnpike Trumbull, CT 06611 (US)
【Fターム(参考)】