説明

電子検出システム及び方法

1つ又は複数のサンプルからの電子を検出するシステム及び方法を開示する。いくつかの実施形態では、本システム及び方法は、サンプル表面からの二次電子を偏向させるための1つ又は複数の磁場源を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つ又は複数のサンプルからの電子を検出するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体製造は、順次蒸着されて集積電子回路、集積回路素子、及び/又は異なるマイクロエレクトロニックデバイスを形成するように加工される複数の材料層を含む製品(半導体製品)を準備する工程を含む。一般に、そのような製品は、様々な構造(例:導電性材料で形成された回路線、非導電性材料で充填されたウェル)を有し、(例えば、数ナノメートル以内の規模で)相互に正確に配置されている。所定の構造の位置、大きさ(長さ、幅、深さ)、組成(化学組成)、及び関連する特性(導電性、結晶方向、磁気特性)は、製品性能に重大な影響を及ぼすおそれがある。例えば、ある状況では、これらのパラメータのうちの1つ又は複数が適切な範囲外となると、製品は、所望に機能しないために不良とされてしまう。結果的に、一般的に、半導体製造時の各ステップにわたって非常に良好に制御されることが望ましく、製造工程の様々なステップにおいて半導体製品の製造をモニタリングできるような手段を有することは有効である。この手段で、半導体製造工程の様々なステージで1つ又は複数の特徴の位置、大きさ、組成、及び関連する性質を調査することができる。本明細書では、半導体製品とは、集積電子回路、集積回路素子、マイクロエレクトロニック素子又は集積電子回路の製造プロセス中に得られる製品、集積回路素子、マイクロエレクトロニック素子を指す。いくつかの実施形態では、半導体製品は、フラットパネルディスプレイ又は光電池の一部を構成する。
【0003】
半導体製品を可視化(イメージング)するシステム及び方法は既知である。そのようなシステム及び方法の多くにおいて、イオンビーム又は電子ビームが製品に当たり、二次電子のような粒子が製品から放出される。これらの二次電子が検出され、製品についての情報を提供し、サンプルの像を取得するために用いられる。
【発明の開示】
【0004】
概して、本開示は、電子を検出するための改良された方法及びシステムに関するものである。典型的には、本システム及び方法は、荷電粒子ビームをサンプルに作用させて、電子(例えば、二次電子)がサンプルから放出されるようにすることを含む。本システム及び方法は、電子検出の効率を改善することができる。改善された電子効率は、様々な利点を生ずる。
【0005】
例えば、電子効率が向上することで、所望の解像度を有するサンプル画像を取得するための所要時間を短縮することができる。複数のサンプルが(順番又は並行して)取得される場合、所望の解像度を有する画像を取得するための時間が短縮されていれば、結果的に、全工程に必要な所要時間が短縮される。
【0006】
また、電子検出効率が改善されると、比較的高解像度のサンプル画像を取得することができるようになる。いくつかの場合、特に高解像度の画像が重要な場合には、本明細書に記載のシステム及び方法を有利に用いることができるが、他方、低解像度の画像しか生成することができないシステム及び方法を用いても、所望の画像を得ることはできない。
【0007】
いくつかの場合、サンプルと、例えば、イオンビームとしての荷電粒子を生成するために用いられるガスフィールドイオン源のイオンカラムの末端との間の距離が比較的小さい。このような場合、必要な電子を検出することは非常に難しい。磁場によって電子の軌道を操作することで、必要な電子を検出する機能を高めることが可能である。
【0008】
一つの観点によれば、本願は、概して、複数の第1粒子をサンプルに作用させて、複数の二次電子をサンプルから放出させることと、これらの複数の二次電子を磁場に曝して、これらの二次電子の軌道を修正することとを含む方法を開示するものである。また、本方法は、複数の二次電子を磁場にさらした後、これら複数の二次電子を検出するステップを含む。
【0009】
他の観点によれば、本願は、ハウジングと、ハウジング内の第1粒子源と、ハウジング内の磁場源と、ハウジング内の検出器とを含むシステムを開示するものである。第1粒子源は、複数の第1粒子をサンプルに向かって放射させ、使用中複数の第1粒子がサンプルに作用する間に複数の第2粒子をサンプルから放出させる。磁場源は、使用中前記複数の第2粒子がサンプルから放出され、且つ磁場源がオンになっている場合、複数の第2粒子の軌道を修正する磁場を生成させる。検出器は、複数の第2粒子が磁場にさらされた後に使用される間に、前記複数の第2粒子の少なくとも一部を検出する。
【0010】
さらなる観点によれば、本願は、複数の第1粒子をサンプルに作用させ、複数の第2粒子をサンプルから放出させるステップと、複数の第2粒子を磁場にさらして複数の粒子の軌道を修正するステップとを含む方法を開示するものである。第1粒子の軌道は、実質的に磁場によっては変更されない。
【0011】
さらなる観点によれば、本願は、サンプルから放出される複数の二次電子に磁場を作用させるステップを含む方法を開示するものである。二次電子をサンプルから放出させる粒子の軌道は、磁場によっては実質的に変更されない。
【0012】
ある観点では、本願は、複数の第1粒子をサンプルに作用させて、複数の第2粒子をサンプルから放出させるステップと、複数の第2粒子を磁場にさらして、複数の第2粒子の軌道を修正するステップとを含む方法を開示するものである。第1粒子が第2粒子をサンプルから放出させる効率は、磁場によっては実質的に変更されない。
【0013】
他の観点では、本願は、サンプルから放出される複数の二次電子に磁場を作用させるステップを含む方法を開示するものである。サンプルから二次電子を放出させる粒子の効率は、磁場によっては実質的に変更されない。
【0014】
この他の特徴及び効果は、以下の説明、図面、及び請求項から明らかである。
【0015】
図中、同様の構成要素については同様の参照符号を付して示す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】Heイオン顕微鏡の概略図である。
【図2】Heイオン顕微鏡の概略図である。
【図3A】Heイオン顕微鏡内の電子の軌道を示す図である。
【図3B】Heイオン顕微鏡内の電子の軌道を示す図である。
【図4】半導体製品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、Heイオン顕微鏡100の概略図である。Heイオン顕微鏡100は、ハウジング102、Heイオン源110、半導体製品120、及び検出器130(例えば、エバーハート・ソンリー検出器)を備える。使用中、イオン源110は、イオンビームを生成し、当該イオンビームは、製品120の表面122(及び、表面領域)に作用して、二次電子(エネルギーが50eV未満の、サンプルから放出された電子)のような電子を含む粒子を、製品120から放出させる。電子は、検出器130で検出されて、製品120についての情報をもたらし、製品120についての画像の生成に用いられる。典型的には検出器130は、正静電抽出電界(electrostatic positive extraction field)を生成して、電子が検出器に到達することを促進する。いくつかの実施形態では、電場は最大0.5V/mm程度(例えば、0.1V/mm〜0.5VV/mm)である。
【0018】
いくつかの場合では、検出される電子の効率は、例えば、システム100の構成要素の配置を含む実施上配慮により制約を受ける。例えば、イオン源110は典型的にはイオンカラムを含み、その最先端の構成要素は、製品120に接近して設けられ、製品120に当たるHeイオンフラックスを促進させて、画像解像度及び/又はスループットを向上させることが望ましい。よって、検出器130は、イオン源110により精製されたHeイオン及び製品120の間の軸140に対して、軸外に設けられる。このことは、Heイオンが製品120に当たることに対して負の影響を与えることなく、検出器130が製品120からの電子を効率的に検出することを促進する静電抽出電界を生成することを困難にする恐れがある。換言すれば、ある場合では、電子検出を促進するために十分な静電ポテンシャルを検出器130によって生成するまでに、イオンフラックス及び/又はHeイオンが製品120にあたる位置に影響するほど電場が高くなり、これにより、システム100を製品120を可視化するために用いることが困難となるおそれがある。
【0019】
図2は、Heイオン顕微鏡200の概略図を示す図である。Heイオン顕微鏡200は、ハウジング202、イオン源110、製品120、検出器130、及び、磁場源210を備える。概して、磁場源210は、あらゆる磁場源でありうる。いくつかの実施形態では、磁場源210は、永久磁石である。ある実施形態では、磁場源210は、電流を導通して磁場を生成するワイヤ(例えば、コイル状ワイヤ)である。任意には、磁場源210は、図2に示す顕微鏡200の平面上で、上下に配置されたテスラコイルでありうる。いくつかの実施形態では、磁場源210は製品120の下に配置された比較的小さいコイルである。
【0020】
システム200によって生じる効果は、磁場が電子の軌道に与える影響に比べてて、磁場が正荷電イオンの軌道に与える影響が無視できるということである。例えば、特定の状況下では、所与の磁場において、Heイオンが同じエネルギーの電子よりも約85回少ない回数偏向される。イオン源110によって生成されたHeイオンは、典型的には検出されるべき電子よりもエネルギーが大きいとすると、上述したような磁場の有利な効果は更に大きくなる。いくつかの実施形態では、Heイオンの軌道を、検出される電子の軌道を磁場が変更する回数よりも、少なくとも25回(例えば、少なくとも50回、少なくとも75回、少なくとも100回)少ない回数で、磁場がHeイオンの軌道を変更する。
【0021】
従って、磁場源210によって生成される磁場の方向及びサイズを適切に選択することで、製品120から放出される電子の軌道を、より多くの電子が検出器130に到達するように操作することができると共に、Heイオンと製品120との相互作用に磁場が与える影響を除去又は低減することができる。特定の理論に拘束されることなく、いくつかの実施形態では、磁場の大きさ及び/又は方向は、イオン源110のイオンカラムの末端と製品120との間の距離、製品120と検出器130との間の距離、検出器130と(サンプルから電子が放出される)製品120の位置との間の角度、検出される電子のエネルギー、(電子が製品120から放出される)製品120の位置の形状、及び/又は、検出器120に印加される電圧に基づいて定められうる。当業者の技術水準の範囲内で、適切に設計パラメータを調節して所望の特性を有するシステムを設計することが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態では、磁場は製品120の表面122に対して垂直である。ある実施形態では、磁場は製品120の表面122に対して平行である。任意には、製品120の表面122に対して垂直〜平行となる範囲内のあらゆる方向ベクトルを有するように、磁場を方向付けることも可能である。
【0023】
ある実施形態では、磁場源210によって生成された磁場は、少なくとも0.005テスラ(例えば、少なくとも0.01テスラ、少なくとも0.025テスラ)、及び/又は最大0.05テスラ(例えば、最大0.04テスラ、最大0.03テスラ)である。いくつかの実施形態では、磁場源210によって生成される磁場は、0.005テスラ〜0.05テスラである。
【0024】
図3A及び3Bは、磁場を用いた電子検出の向上を説明するための概略図である。図3Aは、磁場源を用いなければ、電子の軌道310が、イオン源110のイオンカラム114の端部112によって遮られ、検出器130に電子が到達しないように遮られる様子を示す。しかし、図3Bでは、磁場源210によって生成される磁場に方向性(表面122に平行であり、図示の平面に対して奥行き方向)があり、大きさは、電子が軌道310’(特に、電子320が検出器130に近づくと、検出器130によって生成された正静電場が作用する)を通り、検出器130によって検出される。
【0025】
図3A及び3Bに示すように、イオンカラム114の端部112は、イオンが当たる製品120の表面122から距離Xだけ離れている。いくつかの実施形態では、距離Xは最大10ミリメータ程度(例えば、最大9ミリメータ、最大8ミリメータ、最大7ミリメータ、最大6ミリメータ、最大5ミリメータ、最大4ミリメータ)である。ある実施形態では、Xは4〜10ミリメータである。
【0026】
図3A及び3Bに示すように、検出器130は、製品120から電子が放出される表面122上の位置から距離Yだけ離れている。一般的に、距離Yは所望に選択することができる。例えば、ある場合、距離Yは比較的小さい(例えば、10mm未満)。例えば、エネルギー及び/又は軌道フィルタリングを利用する場合など、他の例では、距離Yは、比較的大きい。いくつかの実施形態では、距離Yは少なくとも5ミリメータ(例えば、少なくとも10ミリメータ、少なくとも20ミリメータ、少なくとも30ミリメータ、少なくとも50ミリメータ)及び/又は最大200ミリメータ(例えば、最大150ミリメータ、最大100ミリメータ)である。ある実施形態では、Yは5ミリメータ〜200ミリメータ(例えば、5ミリメータ〜100ミリメータ、5ミリメータ〜50ミリメータ)である。
【0027】
いくつかの実施形態では、距離Yの距離Xに対する比率は、少なくとも2:1(例えば、少なくとも3:1、少なくとも4:1、少なくとも5:1)である。ある実施形態では、距離Yの距離Xに対する比率は、2:1から10:1(例えば、2:1から5:1)である。
【0028】
図4は、凹部(cross section)410を有する半導体製品400の断面図である。凹部410は、側壁412及び414と、底部416を有する。一般的に、サンプルにこのような凹部を形成するにあたって、凹部を形成する前に、製品400の内側に位置する1つ又は複数の構造を可視化することが望ましい。凹部を切り出した後、対象領域は、製品400の一部(例えば、側壁412、側壁414、底部416)であって、凹部に現れる部分に、又はその付近に位置しうる。
【0029】
磁場源を使用しないシステムを用いた場合、凹部410内で生成された電子を検出することは非常に難しい。これは、上述したようなシステム100の限界に加えて、凹部410から出て(例えば、側壁412及び414に平行な軸に略沿って移動して)、そして、検出器130に到達できるように軸外に移動することが可能な軌道に沿って電子を移動させるためには更なる課題があるからである。しかし、磁場源を有するシステムを使用し、磁場の方向及び大きさを適切に選択することで、電子の軌道を操作して、凹部410から放出されて検出器130により検出されるようにすることが可能となる。従って、磁場源の使用により、側壁412並びに414及び/、又は底部414の画像を比較的短時間で取得できるようになる。いくつかの場合に、磁場源を使用しなければ、側壁412並びに414及び/又は底部416の画像を、十分な解像度で取得することは不可能である。
【0030】
(他の実施形態)
いくつかの実施形態について説明してきたが、他の実施形態も可能である。例えば、上述の実施形態では、イオン源をHeイオン源として示したが、他の種類のガスフィールドイオン源を用いることもできる。例えば、Neイオン源、Arイオン源、Krイオン源、及びXeイオン源がありうる。
【0031】
また、上述の実施形態では、ガスフィールドイオン源を使用するものとして説明してきたが、他の種類のイオン源も使用可能である。いくつかの実施形態では、液体金属イオン源を使用することができる。液体金属イオン源の例としては、Gaイオン源(例えば、Ga集束イオンビームカラム)がある。
【0032】
さらには、上述の実施形態では、イオン源は、サンプルに衝突して電子をサンプルから放出させるイオンを生成するものとして説明してきたが、さらに一般的には、あらゆる荷電粒子源を使用することが可能である。例えば、操作電子顕微鏡のような電子源が用いられうる。そのような実施形態では、サンプルに衝突する電子の大部分に対するチャージは、検出される電子の大部分に対するチャージと同様であり、電子源にて生成される電子は、概して検出される電子よりも実質的に高いエネルギーを有する。従って、電子源にて生成される電子については、検出される電子よりも少ない電子が磁場によって偏向される。
【0033】
さらには、上述の実施形態ではサンプルは半導体製品であるとして説明してきたが、いくつかの実施形態では、他の種類のサンプルを用いることもできる。例えば、生物学的なサンプル(例えば、組織、核酸、タンパク質、炭水化物、脂質、及び細胞膜)、薬学的なサンプル(例えば、低分子薬)、凍った水(例えば、氷)、磁気記憶装置の読み込み/書き込みヘッド、及び、金属並びに合金サンプルである。サンプルの例は、例えば、米国特許出願公開第2007/0158558号明細書に開示されている。
【0034】
さらには、上述の実施形態では二次電子を検出するものとして記載してきたが、さらに一般的には、この明細書に開示した内容はサンプルから放出されるあらゆる種類の電子の検出に関連する。いくつかの実施形態では、検出された電子はオージェ電子を含みうる。ある実施形態では、検出された電子は、50eVを超えるエネルギーを有する電子である。
【0035】
さらには、上述の実施形態では、エバーハート・ソーンリー検出器を用いるものとして説明しえてきたが、さらに一般的には、あらゆる種類の適切な電子検出器を用いることができる。電子検出器は、例えば、マイクロチャネルプレート検出器、チャネルトロン検出器、半導体検出器(solid state detector)である。
【0036】
さらには、上述の実施形態では単一の電子検出器を用いるものとして説明してきたが、任意には、複数の電子検出器(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)を使用することができる。
【0037】
さらには、上述の実施形態では、サンプルに対して、検出器を荷電粒子源と同じ側に配置するものとして説明してきたが、ある実施形態では、サンプルに対して、荷電粒子源とは反対側に配置することもできる。このような実施形態では、サンプルを透過したHeイオンによって生成される電子を検出することが対象となる。このような電子は、典型的にはサンプルの後ろ側表面で生成される。任意には、システムは、サンプルに対して荷電粒子源と同じ側に配置された1つ又は複数の検出器を含み、荷電粒子源に対してサンプルの反対側に配置された1つ又は複数の検出器を含む。
【0038】
さらには、いくつかの実施形態では、検出される電子は、荷電粒子ビームをサンプル上に集束させるために用いられるカラムの少なくとも一部分を通過する(例えば、最後のレンズを通過する)。ガスフィールドイオン顕微鏡の場合、これは、一般的に、イオンカラムと称される。このようなカラムは、典型的には一つ又は複数のレンズを含むので、このような検出構成は、スルーレンズ(through lens)検出器と称される。このような実施形態では、カラム内で用いられる電場と、磁場源によって生成される磁場との組み合わせが用いられて、対象となる電子の軌道を制御して検出精度を向上させる。任意には、複数の磁場が用いられうる。例えば、第1磁場は、電子の軌道を制御するために用いられ、これらの電子は、イオンカラムへと導かれる。そして、電子がカラム内にある場合、第2磁場は、電子を検出器の方へ向けるために用いられる。いくつかの実施形態では、(例えば、イオンカラム内のレンズのような素子によって生成された)静電場を、単独又は第2磁場源と組み合わせて用いて、カラム内の電子を検出器へと向かわせる。
【0039】
いくつかの実施形態では(スルーレンズ構成であるか否かに関わらず)、サンプル120から放出されるように促される電子のごく一部(小集団)だけを収集することが望ましい。例えば、特定のエネルギー又は特定の範囲のエネルギーを有する電子のみが検出対象となる。他の例では、サンプル120から放出される際に、特定の軌道又は特定の範囲の軌道を有する電子のみが検出対象となる。このような実施形態では、電場と磁場とが組み合わせて用いられ目的を達成する。例えば、内部で電場及び/又は磁場を用いて入射電子を当該電子のエネルギーに応じて偏向させる一つ又は複数のプリズム検出器が、異なるエネルギーを有する電子を空間的に分離するために用いられる。これにより、適当なエネルギーを有する電子のみが検出器130により検出される。更には、一つ又は複数の開口(例えば、表面122に隣接して配置される)が、軌道に基づいて検出された電子を選択するために用いられうる。
【0040】
さらには、上述の実施形態では磁場源がサンプルに対して荷電粒子源と同じ側に配置されるものとして説明してきたが、いくつかの実施形態では、磁場源は荷電粒子源に対してサンプルの反対側に配置されても良い。
【0041】
さらには、上述の実施形態では、一つの磁場源が用いられるものとして説明してきたが、いくつかの実施形態では、複数の磁場源(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ等)が使用されても良い。任意には、システムは、サンプルに対して荷電粒子源と同じ側に配置された一つ又は複数の磁場源や、荷電粒子源に対してサンプルの反対側に配置された一つ又は複数の磁場源を有しても良い。
【0042】
さらには、上述の実施形態では、一つ又は複数の磁場を用いて電子を特定の軌道に沿って方向付けたが、いくつかの実施形態では、一つ又は複数の静電場源を一つ又は複数の磁場源と組み合わせて使用しても良い。
【0043】
本命最初に開示した特徴を、様々に組に合わせて使用することができることは理解されたい。
【0044】
他の実施形態も、特許請求の範囲の記載の範囲に含まれうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1粒子をサンプルに作用させて、複数の第2粒子を前記サンプルから放出させるステップと、
前記複数の第2粒子の軌道を修正するために、前記複数の第2粒子を磁場にさらすステップと、
前記複数の第2粒子を前記磁場にさらすステップの後に、前記複数の第2粒子を検出するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1粒子はイオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の第1粒子は、ビームを形成する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の第1粒子の前記ビームは、ガスフィールドイオン源によって生成される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスフィールドイオン源は、イオンカラムを含み、前記イオンカラムの端部は前記サンプルの表面から最大10ミリメートル離れて配置される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガスフィールドイオン源は、イオンカラムを含み、前記複数の第2粒子の少なくとも一部が、検出される前に前記イオンカラムの少なくとも一部を通過するように構成された、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記電子は、第2磁場にさらされて、前記イオンカラムに導かれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2粒子は電子である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2粒子は二次電子である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の第2粒子を前記磁場にさらすステップは、前記磁場を使用しない場合の前記複数の第2粒子の検出効率よりも、前記複数の第2粒子の検出効率を改善する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記磁場は、前記サンプルの表面の平面に対して略垂直な平面に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記磁場は、前記サンプルの表面の平面に対して略垂直な平面に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の第2粒子の少なくとも一部は、前記サンプルの形状が穴状である位置から放出される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記検出器は、前記複数の第2粒子の検出に用いられ、前記第2粒子がサンプルから放出されるサンプル上の位置から少なくとも5ミリメートル離れて配置されている、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルの軸に対して、前記検出器が軸外に配置されている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1粒子は、イオンカラムを有するガスフィールドイオン源によって生成されるイオンであり、前記イオンカラムの端部は前記サンプルの表面から最大10ミリメートル離れて配置される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1粒子は、イオンカラムを有するガスフィールドイオン源によって生成されるイオンであり、
前記イオンカラムの端部は、前記サンプルの表面から第1の距離で配置され、
前記複数の第2粒子を検出するため用いられる検出器は、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置から第2の距離で配置され、そして、
前記第1距離に対する前記第2距離の比率は少なくとも2:1である、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記磁場の大きさを、前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルとの間の距離、前記サンプルと前記第2粒子の検出に用いる検出器との間の距離、前記第2粒子の検出に用いる前記検出器と前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置との間の距離、前記第2粒子のエネルギー、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置の形状、及び、前記検出器に印加される電圧を含むグループから選択された少なくとも一つのパラメータに基づいて選択するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記磁場の方向を、前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルとの間の距離、前記サンプルと前記第2粒子の検出に用いる検出器との間の距離、前記第2粒子の検出に用いる前記検出器と前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置との間の距離、前記第2粒子のエネルギー、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置の形状、及び、前記検出器に印加される電圧を含むグループから選択された少なくとも一つのパラメータに基づいて選択するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記検出器は静電場を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記静電場は、最大0.5V/mmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記磁場は少なくとも0.005テスラである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記磁場は少なくとも0.005テスラである、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
ハウジングと、
前記ハウジング内の粒子源であって、該粒子源は複数の第1粒子をサンプルに向かって放射し、使用中、前記複数の第1粒子がサンプルに作用する場合に、複数の第2粒子をサンプルから放出させるように構成された粒子源と、
前記ハウジング内の磁場源であって、使用中、前記複数の第2粒子がサンプルから放出され、且つ磁場源がオンになっている場合に、前記複数の第2粒子の軌道を修正するための磁場を生成させるように構成された磁場源と、及び
前記ハウジング内の検出器であって、前記複数の第2粒子が前記磁場にさらされた後、使用中に、前記複数の第2粒子の少なくとも一部を検出するように構成された検出器と、
を備える、システム。
【請求項25】
前記第1粒子はイオンである、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の第1粒子は、ビームを形成する、請求項23に記載のシステム。
【請求項27】
前記粒子源は、ガスフィールドイオン源である、請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記ガスフィールドイオン源は、イオンカラムを含み、前記イオンカラムの端部は前記サンプルの表面から最大10ミリメートル離れて配置される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記ガスフィールドイオン源は、イオンカラムを含み、前記検出器は、前記イオンカラム内に配置される、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記イオンカラム内の電子を前記検出器に向けて方向付けるように構成された第2磁場源をさらに備える、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記第2粒子は電子である、請求項24に記載のシステム。
【請求項32】
前記第2粒子は二次電子である、請求項24に記載のシステム。
【請求項33】
前記複数の第2粒子を前記磁場にさらすことで、前記磁場を使用しない場合の前記複数の第2粒子の検出効率よりも、前記複数の第2粒子の検出効率を改善する、請求項24に記載のシステム。
【請求項34】
前記磁場源は、使用中に電流が流れて磁場が生成されるように構成されたワイヤによって形成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項35】
前記ワイヤはコイル状である、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記磁場源は、少なくとも一つの永久磁石を備える、請求項24に記載のシステム。
【請求項37】
前記磁場源は、使用中に、前記サンプルの表面の平面に対して略平行な平面に存在するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項38】
前記磁場は、使用中に、前記磁場が前記サンプルの表面の平面に対して略垂直な平面に存在するように構成される、請求項24に記載のシステム。
【請求項39】
前記複数の第2粒子の少なくとも一部は、前記サンプルの形状が穴状である位置から放出される、請求項37に記載のシステム。
【請求項40】
前記検出器は、前記複数の第2粒子の検出に用いられ、前記第2粒子が前記サンプルから放出される前記サンプル上の位置から少なくとも5ミリメートル離れて配置されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項41】
前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルの軸に対して、前記検出器が軸外に配置されている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記粒子源は、イオンカラムを有するガスフィールドイオン源であり、前記イオンカラムの端部は前記サンプルの表面から最大10ミリメートル離れて配置される、請求項40に記載のシステム。
【請求項43】
前記第1粒子の前記粒子源は、イオンカラムを有するガスフィールドイオン源であり、
前記イオンカラムの端部は、前記サンプルの表面から第1の距離に配置され、
前記複数の第2粒子を検出するため用いられる検出器は、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置から第2の距離に配置され、そして、
前記第1距離に対する前記第2距離の比率は少なくとも2:1である、
請求項24に記載のシステム。
【請求項44】
前記磁場の大きさは、前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルとの間の距離、前記サンプルと前記第2粒子の検出に用いる検出器との間の距離、前記第2粒子の検出に用いる前記検出器と前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置との間の距離、前記第2粒子のエネルギー、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置の形状、及び、前記検出器に印加される電圧を含むグループから選択された少なくとも一つのパラメータに基づく、請求項24に記載のシステム。
【請求項45】
前記磁場の方向は、前記複数の第1粒子の粒子源と前記サンプルとの間の距離、前記サンプルと前記第2粒子の検出に用いる検出器との間の距離、前記第2粒子の検出に用いる前記検出器と前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置との間の距離、前記第2粒子のエネルギー、前記サンプルから前記第2粒子が放出される前記サンプル上の位置の形状、及び、前記検出器に印加される電圧を含むグループから選択された少なくとも一つのパラメータに基づく、請求項24に記載のシステム。
【請求項46】
前記検出器は使用時に静電場を生成する、請求項24に記載のシステム。
【請求項47】
前記静電場は、少なくとも0.5V/mmである、請求項46に記載のシステム。
【請求項48】
前記磁場は少なくとも0.005テスラである、請求項46に記載のシステム。
【請求項49】
前記検出器は、エバーハート・ソーンリー検出器である、請求項24に記載のシステム。
【請求項50】
前記磁場は少なくとも0.005テスラである、請求項24に記載のシステム。
【請求項51】
複数の第1粒子をサンプルに作用させて、複数の第2粒子を前記サンプルから放出させるステップと、
前記複数の第2粒子の軌道を修正するために、前記複数の第2粒子を磁場にさらすステップと、を含み、
前記第1粒子の軌道は、前記磁場によって実質的に変更されない、方法。
【請求項52】
前記第1粒子はイオンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の第1粒子は、ビームを形成する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の第1粒子の前記ビームは、ガスフィールドイオン源によって生成される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記第2粒子は電子である、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記第2粒子は二次電子である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の第1粒子は、ガスフィールドイオン源によって生成されるイオンビームを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記複数の第2粒子の前記修正された軌道は、少なくとも部分的には前記ガスフィールドイオン源のイオンカラムを通過する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
サンプルから放出される複数の二次電子に磁場を作用させるステップを含み、
前記二次電子をサンプルから放出させる粒子の軌道は、前記磁場によっては実質的に変更されない、方法。
【請求項60】
複数の第1粒子をサンプルに作用させて、複数の第2粒子を前記サンプルから放出させるステップと、
前記複数の第2粒子の軌道を修正するために、前記複数の第2粒子を磁場にさらすステップと、を含み、
前記第1粒子が前記第2粒子を前記サンプルから放出させる効率は、前記磁場によって実質的に変更されない、方法。
【請求項61】
前記第1粒子はイオンである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記複数の第1粒子は、ビームを形成する、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記複数の第1粒子の前記ビームは、ガスフィールドイオン源によって生成される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記第2粒子は電子である、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記第2粒子は二次電子である、請求項60に記載の方法。
【請求項66】
前記複数の第1粒子は、ガスフィールドイオン源によって生成されるイオンビームを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記複数の第1粒子は、ガスフィールドイオン源によって生成されるイオンビームを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項68】
磁場をサンプルから放出される二次電子に作用させるステップを含み、
前記サンプルから前記二次電子を放出させる粒子の効率は、前記磁場によっては実質的に変更されない、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−525237(P2011−525237A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512528(P2011−512528)
【出願日】平成21年5月26日(2009.5.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/045145
【国際公開番号】WO2009/148881
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510237435)カール ツァイス エヌティーエス エルエルシー (14)
【Fターム(参考)】