説明

電子装置およびその製造方法

【課題】一面に可動部を有するセンサチップと回路チップとをバンプを介して電気的に接続するとともに、可動部を接着フィルムの中空部で保護してなる角速度センサ装置において、接着フィルムの貼り付け後において中空部の形状を適切に保持する。
【解決手段】一面に可動部10を有するセンサチップ100を、その一面を回路チップ200に対向させた状態でバンプ80を介して回路チップ200に重ねて電気的に接続するとともに、バンプ80によって両チップ100、200を離間させ、センサチップ100の一面に、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルム400を貼り付け、この接着フィルム400のうち可動部10に対応する部位を、可動部10とは空隙を有して離れた中空部410として構成し、中空部410の内部の圧力を、中空部410の外部の圧力よりも高いものとている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一面に検出部を有する電子部品と基材とをバンプを介して電気的に接続するとともに、電子部品の検出部をフィルムで保護してなる電子装置に関し、たとえば、角速度や加速度などの力学量を検出するようなセンサ装置に適用できる。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の電子装置としては、たとえば、電子部品としてその一面に可動部を有するセンサチップを用い、基材として回路チップを用いたセンサ装置が知られている。具体的には、加速度、角速度あるいは圧力などの力学量により変位する検出部としての可動部を、半導体基板の一面側に形成してなるセンサチップを用いた加速度センサ、角速度センサ、圧力センサなどが提案されている。
【0003】
ここで、本出願人は先に特願2005−277696において、このようなセンサ装置として、電子部品としてのセンサチップの可動部側を、基材としての回路チップに対向させた状態で、これら両チップを重ね合わせるとともに、離間する両チップ間にバンプを介在させ、このバンプを介して両チップを電気的に接続したものを提案している。
【0004】
そして、このようなバンプによる電気的接続部を構成することにより、従来一般に行われていたワイヤによる電気的接続よりも、衝撃等による変形の範囲が狭くなり、衝撃等による両チップの電気的接続部の寄生容量の変化を極力抑制している。
【0005】
さらに、上記先願においては、センサチップのうち回路チップに対向する面に、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルムを貼り付けるとともに、この接着フィルムのうち可動部に対応する部位を、可動部とは空隙を有して離れさせることで中空部を構成したものとしている。
【0006】
このような中空部は、たとえばフィルムに凹部を形成して可動部と離間させたものであり、それによって、可動部の動作を確保しつつ適切に可動部の保護を行えるようにしている。
【0007】
そして、上記先願においては、このような中空部を備える接着フィルムを、センサチップの一面に貼り付けた後、センサチップと回路チップとをバンプを介して対向させ、当該バンプを熱圧着や超音波接合などにより接合する。これにより、センサ装置を完成させるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者の検討によれば、上記した先願では、センサチップに接着フィルムを貼り付けた後、製造工程において、たとえば上記のバンプ接合を行うときの加熱などによる接着フィルムの低粘度化や、超音波接合による振動などにより、中空部の形状がくずれてしまうという問題が生じることがわかった。
【0009】
中空部の形状が崩れてしまうと、接着フィルムが可動部に接触する可能性が高くなり、その結果、可動部の動作特性に悪影響を及ぼすことになる。
【0010】
そして、上記した問題は、上記先願におけるセンサ装置に限らず、一面に検出部を有する電子部品を、当該一面が基材に対向した状態でバンプを介して基材に重ね、これら両者をバンプによって離間させた状態で電気的に接続した電子装置であっても、同様に発生すると考えられる。
【0011】
つまり、このような電子装置においても、電子部品の一面に上記接着フィルムを貼り付けるとともに、接着フィルムのうち検出部に対応する部位に、当該検出部とは空隙を有して離れた中空部を構成した場合には、上記した電子部品への接着フィルムの貼り付けた後において、バンプ接合時の熱や振動などによる中空部の形状くずれ、という問題が生じる可能性がある。
【0012】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、一面に検出部を有する電子部品と基材とをバンプを介して電気的に接続するとともに、電子部品の検出部を接着フィルムの中空部で保護してなる電子装置において、接着フィルムの貼り付け後において中空部の形状を適切に保持できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、一面に検出部(10)を有する電子部品(100)を、その一面を基材(200)に対向させた状態でバンプ(80)を介して基材(200)に重ねて電気的に接続するとともに、バンプ(80)によって電子部品(100)と基材(200)とを離間させ、電子部品(100)の一面に、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルム(400)を貼り付け、この接着フィルム(400)のうち検出部(10)に対応する部位を、検出部(10)とは空隙を有して離れた中空部(410)として構成し、中空部(410)の内部の圧力を、中空部(410)の外部の圧力よりも高いものとしたことを、第1の特徴とする。
【0014】
それによれば、接着フィルム(400)の中空部(410)は、その外圧よりも内圧を高くすることによって形状を維持するため、接着フィルム(400)の貼り付け後において中空部(410)の形状を適切に保持することができる。
【0015】
ここで、具体的には、中空部(410)の内部の圧力は大気圧より高いものにできる。。また、中空部(410)は検出部(10)から離れる方向に膨らんだドーム形状であるものにできる。
【0016】
また、接着フィルム(400)としては、電子部品(100)への貼り付き部分を構成する第1のフィルム(401)と中空部(410)を構成する第2のフィルム(402)とを貼り合わせてなるものにできる。
【0017】
さらに、接着フィルム(400)をこのように別体のものとした場合には、第2のフィルム(402)は、第1のフィルム(401)における基材(200)側の面に貼り付けられたものにできる。
【0018】
また、接着フィルム(400)としては、中空部(410)と電子部品(100)への貼り付き部分とが単一のフィルムにて構成された一体のものでもよい。
【0019】
また、本発明は、次のような電子装置の製造方法であってもよい。すなわち、本発明は、中空部(410)の内部の圧力P1を中空部(410)の外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、電子部品(100)と基材(200)との重ね合わせおよびバンプ(80)による接続を行うことを、第2の特徴とする。
【0020】
それによれば、接着フィルム(400)の貼り付け後の重ね合わせおよびバンプ接続の工程においては、接着フィルム(400)の中空部(410)は、その外圧よりも高い内圧によって形状を維持するため、接着フィルム(400)の貼り付け後において中空部(410)の形状を適切に保持することができる。
【0021】
ここで、中空部(410)の内部の圧力P1を中空部(410)の外部の圧力P2よりも高く設定することは、中空部(410)の内部の圧力P1を大気圧よりも高くし、中空部(410)の外部の圧力P2を大気圧以下にするものにできる。
【0022】
さらに、この場合、両圧力P1、P2の設定は、接着フィルム(400)の貼り付けを、大気圧よりも高い圧力雰囲気にて行い、電子部品(100)と基材(200)との重ね合わせおよびバンプ(80)による接続を、大気圧以下の圧力雰囲気で行うことにより実現できる。
【0023】
また、中空部(410)の内部の圧力P1を中空部(410)の外部の圧力P2よりも高く設定することは、中空部(410)の内部の圧力P1を大気圧とし、中空部(410)の外部の圧力P2を、大気圧よりも低い圧力とするものにしてもよい。
【0024】
そして、この場合、両圧力P1、P2の設定は、接着フィルム(400)の貼り付けを、大気圧にて行い、電子部品(100)と基材(200)との重ね合わせおよびバンプ(80)による接続を、大気圧よりも低い圧力雰囲気で行うことにより実現できる。
【0025】
さらに、中空部(410)の外部の圧力P2を大気圧よりも低い圧力にすることは、電子部品(100)と基材(200)との重ね合わせにおいて、基材(200)のうち中空部(410)に対向する部位に穴(220)を設け、この穴(220)を介して中空部(410)の周囲空間を吸引することにより実現してもよい。
【0026】
また、上記製造方法においては、中空部(410)の内部の圧力P1を中空部(410)の外部の圧力P2よりも高い状態に設定するときには、これら両圧力P1、P2が等しい場合に比べて中空部(410)が検出部(10)から離れる方向に膨らむように、両圧力P1、P2に差を設けてもよい。
【0027】
また、上記製造方法においては、接着フィルム(400)の貼り付けを行う前に、中空部(410)が検出部(10)から離れる方向に膨らむように接着フィルム(400)を予め成形しておいてもよい。
【0028】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置としての角速度センサ装置S1の全体概略断面構成を示す図である。また、図2は、図1に示される角速度センサ装置S1における回路チップ200のバンプ80側の面構成をセンサチップ100を透過した状態で示す概略平面図である。
【0031】
[構成等]
本実施形態の角速度センサ装置S1は、大きくは、図1に示されるように、電子部品としての角速度センサチップ100と、基材としての回路チップ200とこれらを収納するパッケージ300とを備えて構成されている。
【0032】
センサチップ100は、ここでは角速度検出素子として構成されるものである。一般的な半導体角速度センサにおけるものと同様に、半導体基板などの基板に対して周知のマイクロマシン加工を施すことにより、センサチップ100の一面には、検出部としての可動部10が形成されている。
【0033】
センサチップ100の具体的構成について、簡単に述べておく。たとえば、センサチップ100を構成する基板としては、第1の半導体層としての第1シリコン層上に絶縁層としての酸化膜を介して第2の半導体層としての第2シリコン層を貼り合わせてなるSOI(シリコン−オン−インシュレータ)基板を採用することができる。
【0034】
そして、この基板の表層、たとえばSOI基板における第2シリコン層に対して、トレンチエッチングおよびリリースエッチングなどを施すことにより、検出部としての可動部10を形成している。この可動部10は、バネ性を有する梁などによりセンサチップ100に連結されたものである。
【0035】
そして、センサチップ100においては、可動部10は一方向に駆動振動するようになっており、この駆動振動のもと、角速度が印加されたときに、コリオリ力によって駆動振動の方向とは直交する方向へ、可動部10は検出振動するようになっている。そして、この検出振動による可動部10の変位状態を容量変化などとして検出することで、上記角速度の検出が可能となっている。
【0036】
ここで、センサチップ100においては、可動部10が形成されている上記一面の適所に、上記可動部10や各種の図示しない電極などに電圧を印加したり、信号を取り出したりするためのパッド70が設けられている。
【0037】
図1、図2に示される例では、可動部10はセンサチップ100の一面の中央部に形成されており、パッド70はセンサチップ100の一面の周辺部に設けられている。このようなパッド70は、たとえばアルミなどからなる。そして、このパッド70には、図1に示されるように、Au(金)バンプやはんだバンプなどからなるバンプ80が接続されるようになっている。
【0038】
なお、このバンプ80は、一般的なスタッドバンプの形成方法やはんだバンプの形成方法、または、Auなどの導体ペーストを用いたスクリーン印刷、あるいは、Auなどのナノペーストを用いたインクジェット法による印刷など、各種の方法を採用することにより、形成することができる。
【0039】
それにより、図1に示されるように、電子部品としてのセンサチップ100は、その一面すなわち検出部としての可動部10側の面を、基材としての回路チップ200に対向させた状態で、バンプ80を介して回路チップ200に重ねられた状態となっている。そして、これらセンサチップ100と回路チップ200とは、バンプ80によって電気的に接続されている。
【0040】
ここでは、図1に示されるように、センサチップ100のパッド70と回路チップ200のパッド210とがバンプ80を介して接続されている。また、本角速度センサ装置S1では、バンプ80によってセンサチップ100の一面と回路チップ200との間の間隔(すなわち両チップ間の高さ)が確保されているため、可動部10と回路チップ200とは離間している。
【0041】
この回路チップ200は、たとえばシリコン基板等に対してMOSトランジスタやバイポーラトランジスタ等が、周知の半導体プロセスを用いて形成されているものである。そして、回路チップ200は、バンプ80を介して、センサチップ100に対して可動部10を駆動させるための電圧などを送ったり、センサチップ100から送られてくる電気信号を、変換や増幅などの処理に供して外部へ出力する等の機能を有する。
【0042】
図1に示されるように、この回路チップ200は、パッケージ300に対してバンプ80を介して電気的および機械的に接続されている。ここで、図1に示されるように、本実施形態のパッケージ300は、内部もしくは表面などに導体材料からなる配線310を有するものであり、この配線310は外部と電気的に接続されている。
【0043】
このパッケージ300は、セラミックや樹脂などからなるものにできるが、ここではアルミナなどのセラミック層が複数積層されたセラミック積層配線基板として構成されている。このような積層配線基板は、各層の間に上記配線310が形成され、スルーホールなどにより各配線310が導通されているものである。
【0044】
そして、図1に示されるように、回路チップ200のパッド210とパッケージ300の表面に位置する上記配線310とが、上記両チップ100、200を接続するバンプ80と同様のバンプ80により電気的・機械的に接続されている。
【0045】
ここで、図1に示される例では、パッケージ300の内部に設けられた段差部に配線310が露出しており、センサチップ100よりも一回り大きい回路チップ200の周辺部が、当該段差部に支持された形となっている。そして、本例では、この段差部にて回路チップ200のパッド210とパッケージ300の配線310とがバンプ80を介して接続されている。
【0046】
このようにして、センサチップ100および回路チップ200と外部とは、上記バンプ80やパッケージ300の配線310を介して電気的に接続されている。そして、たとえば、回路チップ200からの出力信号はバンプ80を介してパッケージ300の配線310から外部へ送られるようになっている。
【0047】
また、図1に示されるように、パッケージ300の開口部には蓋部(リッド)320が取り付けられ固定されており、この蓋部320によってパッケージ300の内部が封止されている。この蓋部320は、セラミック、樹脂、金属など材質を限定するものではなく、また、蓋部320とパッケージ300との接合は、接着や溶接など各種の接合方法が採用可能である。
【0048】
さらに、図1、図2に示されるように、センサチップ100と回路チップ200との間においては、センサチップ100の一面に、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルム400が貼り付けられている。
【0049】
この接着フィルム400のうち可動部(検出部)10に対向する部位すなわち可動部10を被覆する部位は、可動部10とは空隙を有して離れることで中空部410を構成している。ここで、中空部410の周囲の接着フィルム400の部分がセンサチップ100の一面に貼り付いていることにより、当該中空部410内の空間は封止されたものとなっている。
【0050】
ここでは、図1、図2に示されるように、接着フィルム400のうち可動部10に対向する部位に、可動部10から離れる方向へ凹んだ平面矩形状の凹部410が形成されている。そして、接着フィルム400のうち当該凹部410以外の部位がセンサチップ100に貼り付けられることで、凹部410が封止され、この封止された凹部410が中空部410として構成されている。
【0051】
また、図1、図2に示されるように、センサチップ100と回路チップ200との間にて、接着フィルム400はバンプ80の周囲に設けられ、この接着フィルム400によってバンプ80が封止されている。
【0052】
また、接着フィルム400において、可動部10に対向する部位に中空部410を形成し、接着フィルム400と可動部10とを離間させ、非接触状態とすることで、可動部10の適切な動作が確保されている。また、中空部410内部が上記のように封止されていることにより、可動部10が外部から保護されている。
【0053】
そして、本実施形態の角速度センサ装置S1においては、封止されている中空部410の内部の圧力は、中空部410の外部の圧力よりも高いものとなっている。このことは、中空部410の内面にかかる圧力が、中空部410の外面にかかる圧力よりも高い、具体的には上記蓋部320で封止されたパッケージ300内の圧力よりも高い、ということである。
【0054】
なお、当該パッケージ300内の圧力が大気圧よりも低い場合には、中空部410の内部の圧力は、パッケージ300内の圧力より高ければ大気圧より低くてもよい。しかし、実用的には、パッケージ300内の圧力を大気圧とし、中空部410の内部の圧力は大気圧より高いものであることが好ましい。具体的には中空部410の内部の圧力は、大気圧の1.0001倍〜10倍程度にすることができる。
【0055】
ここで、このような接着フィルム400としては、電気絶縁性を有する樹脂よりなるフィルムを採用できる。より具体的には、接着フィルム400としては、たとえばポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などからなるNCF(Non Contactive Film)、ACF(異方性導電性フィルム)などの樹脂フィルムを採用することができる。なお、この接着フィルム400は、後述するように複数層が積層されたものでもよいし、単一層のものであってもよい。
【0056】
[製造方法等]
次に、本第1実施形態の角速度センサ装置S1の製造方法について、図3を参照して説明する。図3はその製造方法を示す工程図であり、ここでは、中空部410の内部の圧力を大気圧よりも高くすることで、大気圧である中空部410の外部の圧力よりも大きくした場合の製造方法を示す。
【0057】
この製造方法によって製造される角速度センサ装置S1では、図3に示されるように、接着フィルム400は、センサチップ100への貼り付き部分を構成する第1のフィルム401と中空部410を構成する第2のフィルム402とを貼り合わせてなるものとしている。
【0058】
具体的には、図3(c)、(d)に示されるように、第2のフィルム402は、第1のフィルム401における回路チップ200側の面に貼り付けられたものである。ここで、これら第1、第2のフィルム401、402は、上述した接着フィルム400の材質の範囲内で互いに異なる材質であってもよいし、同一の材質であってもよい。
【0059】
まず、この製造方法では、図3(a)に示されるように、センサチップ100の一面に上述した方法によりバンプ80を形成するとともに、接着フィルム400としての第1のフィルム401を、圧着などにより、センサチップ100の一面のうち可動部10の周囲に貼り付ける。
【0060】
ここで、第1のフィルム401は、バンプ80を囲むように設けられている。このような状態で第1のフィルム401の貼り付けを行うには、上記した先願にも記載されているように、予め形成されたバンプ80に対して第1のフィルム401を押しつけてバンプ80を食い込ませたり、第1のフィルム401に穴を開けておき、その穴にバンプ80を挿入するようにすればよい。
【0061】
こうして、センサチップ100の一面に、バンプ80および第1のフィルム401を配設した後、図3(b)に示されるように、第1のフィルム401の上に第2のフィルム402を搭載し、圧着などにより貼り付ける。この第2のフィルム402は、バンプ80および可動部10を被覆するものであり、第1のフィルム401の厚さにより、第2のフィルム402は可動部10とは離間する。
【0062】
ここで、第2のフィルム402の貼り付けは、大気圧よりも高い圧力雰囲気にて行う。具体的には、第1のフィルム401が貼り付けられたワークを、図示しない気密容器内に設置し、コンプレッサなどを用いて当該気密容器内に空気を送り込んで加圧雰囲気とし、この加圧雰囲気において上記第2のフィルム402の貼り付けを実施する。
【0063】
この貼り付けの圧力は、最終的な中空部410の内部の圧力に相当するものであり、上記したように、大気圧の1.0001倍〜10倍程度とすることができる。そして、第2のフィルム402の貼り付けにより、接着フィルム400の貼り付けが完了するとともに、第2のフィルム402のうち可動部10に対向する部位にて、第1のフィルム401の厚さ分だけ実質的に凹んだ凹部としての中空部410が形成される。
【0064】
そして、この凹部としての中空部410は、第1のフィルム401のセンサチップ100への貼り付けによって封止されており、当該中空部410の内部の圧力は、大気圧よりも高いものとなっている。また、図3(b)に示される状態では、中空部410の内部の圧力と外部の圧力とが共に大気圧よりも高く互いに等しいため、中空部410は略平坦な状態となっている。
【0065】
その後、上記の大気圧よりも高い圧力雰囲気からワークを取り出し、大気圧下に置く。それにより、中空部410の外部の圧力P2は大気圧となり、大気圧よりも高い中空部410の内部の圧力P1と外部の圧力P2との圧力差(P1−P2)が生じる。この状態が、図3(c)に示されており、中空部410は、上記圧力差(P1−P2)によって両圧力P1、P2が等しい場合に比べて可動部10から離れる方向に膨らむ。
【0066】
このようにして、センサチップ100の一面に、2層よりなる接着フィルム400が貼り付けられるとともに、接着フィルム400のうち可動部10に対応する部位に、可動部10とは空隙を有して離れた中空部410が形成される。
【0067】
次に、本製造方法では、図3(d)に示されるように、センサチップ100の一面を回路チップ200に対向させる。そして、この状態で、これら両チップ100、200を、バンプ80および接着フィルム400を介して重ね合わせ、バンプ80によって両チップ100、200を電気的に接続する。
【0068】
図3(d)では、両チップ100、200を対向させた状態を示しているが、この状態から、両チップ100、200を互いに近づけて行くことにより、上記の重ね合わせおよびバンプ接続を行う。なお、回路チップ200側へのバンプ80の形成方法については上述の通りである。
【0069】
ここでは、この両チップ100、200の重ね合わせ、および、バンプ80による接続は、大気圧雰囲気で行う。ここで、中空部410の内部の圧力P1は大気圧よりも高い状態にあるため、中空部410の内部の圧力P1が外部の圧力P2よりも高く設定された状態にて、当該重ね合わせおよびバンプ接続が行われることになる。
【0070】
また、両チップ100、200の重ね合わせ、および、バンプ80による接続は、ヒータなどによって接着フィルム400を加熱して軟化させた状態で行うことが好ましい。それにより、上記の先願と同様に、両チップ100、200の対向し合うバンプ80同士が、接着フィルム400を突き破って互いに接触する。そして、接触したバンプ80同士は、熱圧着や超音波接合などにより接続する。
【0071】
こうして、センサチップ100と回路チップ200とがバンプ80を介して電気的に接続される。また、それとともに、接着フィルム400の接着機能やバンプ接合時の加熱などによる接着フィルム400の軟化を利用して、両チップ100、200が接着フィルム400を介して機械的に接合される。
【0072】
このように両チップ100、200が接合された状態においては、図3に示される中空部410の膨らみ部分は回路チップ200に押されて凹み、上記図1に示されるような略平坦な状態となるが、接着フィルム400は、上記した第1および第2のフィルム401、402という別体のフィルムを貼り付けた構成となっている。
【0073】
なお、両チップ100、200の重ね合わせにおいては、接着フィルム400は、中空部410の膨らみ部分の頂部から回路チップ200に接触していくため、接着フィルム400と回路チップ200との界面におけるボイドの発生が極力防止される。
【0074】
こうして、両チップ100、200を接合した後、回路チップ200におけるセンサチップ100の外側の周辺部に位置するバンプ80を介して、これら接合された両チップ100、200をパッケージ300に接合する。その後は、パッケージ300に対して蓋部320を取り付けパッケージ300の内部を封止する。こうして、上記図1に示される角速度センサ装置S1ができあがる。
【0075】
[効果等]
ところで、本実施形態の角速度センサ装置S1によれば、接着フィルム400の中空部410は、その外圧よりも内圧を高いものとすることによって形状を維持している。そのため、接着フィルム400の貼り付け後において、両チップ100、200の重ね合わせやバンプ80の接続の際の熱や振動などが加わっても、中空部410の形状が適切に保持される。
【0076】
また、本実施形態の製造方法によれば、中空部410の内部の圧力P1を中空部410の外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続を行うことにより、上記した外圧よりも内圧が高い中空部410を適切に形成できるとともに、接着フィルム400の貼り付け後の工程において中空部410の形状を適切に保持できる。
【0077】
また、上記製造方法では、接着フィルム400の貼り付けを大気圧よりも高い圧力雰囲気にて行い、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続を大気圧で行うことにより、中空部410の内部の圧力P1を大気圧よりも高くし、中空部410の外部の圧力P2を大気圧に設定している。この場合、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続を大気圧下で行えるという利点がある。
【0078】
(第2実施形態)
図4(a)〜(c)は、本発明の第2実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。本実施形態の製造方法では、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続時における両圧力P1、P2の設定を、上記第1実施形態に対して変更したものである。
【0079】
すなわち、本製造方法では、上記チップの重ね合わせおよびバンプ接続時における中空部410の内部の圧力P1を大気圧とし、外部の圧力P2を大気圧よりも低い圧力とするものである。上記第1実施形態の製造方法との相違点を中心に述べる。
【0080】
まず、図4(a)に示される工程では、上記図3(a)に示される工程と同様に、センサチップ100の一面に、バンプ80を形成するとともに、接着フィルム400としての第1のフィルム401を、センサチップ100の一面のうち可動部10の周囲に貼り付ける。
【0081】
次に、図4(b)に示されるように、第1のフィルム401の上に第2のフィルム402を搭載し、圧着などにより貼り付ける。ここで、本製造方法では、第2のフィルム402の貼り付けは大気圧雰囲気にて行う。
【0082】
それにより、接着フィルム400の貼り付けが完了するとともに、第2のフィルム402のうち可動部10に対向する部位にて中空部410が形成される。そして、この中空部410の内部の圧力は、大気圧となっている。この段階では、図4(b)に示されるように、中空部410の内外の圧力は大気圧であり、中空部410は略平坦な状態となっている。
【0083】
このようにして、本実施形態の製造方法においても、センサチップ100の一面に、2層401、402よりなり且つ中空部410を有する接着フィルム400が貼り付けられる。次に、本製造方法では、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80の接続を行う。
【0084】
すなわち、図4(c)に示されるように、センサチップ100の一面を回路チップ200に対向させるが、本製造方法においては、この状態では、ワークが大気圧よりも低い圧力P2の雰囲気に置かれるようにする。
【0085】
具体的には、接着フィルム400が貼り付けられたセンサチップ100および回路チップ200を、バンプ接続に必要な装置とともに図示しない気密容器内に設置し、真空ポンプなどを用いて当該気密容器内を吸引し、減圧雰囲気とする。
【0086】
この減圧雰囲気では、中空部410の内部の圧力P1は大気圧のままであるが、中空部410の外部の圧力P2は大気圧よりも低い圧力となる。そのため、図3(c)に示されるように、中空部410は、圧力差(P1−P2)によって両圧力P1、P2が等しい場合に比べて可動部10から離れる方向に膨らむことになる。
【0087】
ここで、この減圧雰囲気の程度すなわち中空部410の外部の圧力P2の大きさとしては、限定するものではないが、大気圧の0.9999倍よりも小さいものにできる。減圧レベルの下限としては、一般的な真空ポンプによって到達可能なレベルの真空までとすることができる。
【0088】
そして、この減圧雰囲気において、上記のように両チップ100および200を対向させ、続いて、上記第1実施形態と同様に、両チップ100、200の重ね合わせ、バンプ80による接続を実施する。つまり、本製造方法においても、中空部410の内部の圧力P1を外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、当該重ね合わせおよびバンプ接続を行うことになる。
【0089】
こうして、本実施形態によっても、センサチップ100と回路チップ200とのバンプ80を介した電気的接続、接着フィルム400を介した機械的接合がなされる。その後は、上記同様に、両チップ100、200のパッケージ300への接合、パッケージ300の封止などを行い、本実施形態の角速度センサ装置ができあがる。
【0090】
本実施形態の製造方法によってできあがった角速度センサ装置は、上記第1実施形態における上記図1に示されるものと形状的には同じであるが、中空部410の内部の圧力は大気圧であり、必ずしも、中空部410の外部の圧力よりも高いものではなく、同じ場合もある。
【0091】
このように、本実施形態の製造方法では、接着フィルム400の貼り付けを大気圧にて行い、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続を、大気圧よりも低い圧力雰囲気で行うことにより、両圧力P1、P2の設定を行っている。
【0092】
それによって、重ね合わせおよびバンプ接続時における中空部410の内部の圧力P1を大気圧とし、外部の圧力P2を大気圧よりも低い圧力としているため、本実施形態によっても、接着フィルム400の貼り付け後の工程において中空部410の形状を適切に保持できる。
【0093】
また、本実施形態の製造方法では、接着フィルム400の貼り付けを大気圧にて行うようにしているため、接着フィルム400の貼り付けについては、大気圧下で行うことができるという利点がある。
【0094】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。本実施形態の製造方法は、上記第2実施形態の製造方法を一部変形したものである。具体的には、チップの重ね合わせおよびバンプ接続時の減圧雰囲気の形成方法を変更したものである。
【0095】
上記第2実施形態の製造方法では、上記図4(c)を参照して述べたように、気密容器を用いて、チップの重ね合わせおよびバンプ接続時においてワークが置かれる環境全体を大気圧よりも低い減圧雰囲気とした。
【0096】
ここで、中空部410の内部の圧力P1を大気圧とし、外部の圧力P2を大気圧よりも低いものとすることは、上記した中空部410の形状保持のためであり、ワーク全体ではなく部分的に中空部410の外面にかかる圧力P2のみを減圧としてもよい。本実施形態は、このように外部の圧力P2を部分的に減圧とする方法を提供するものである。
【0097】
本製造方法では、センサチップ100への接着フィルム400の貼り付けまでは、上記第2実施形態と同様に行う。そして、図5に示されるように、電子部品としてのセンサチップ100と基材としての回路チップ200との重ね合わせにおいて、回路チップ200として中空部410に対向する部位に穴220を設けたものを用いる。
【0098】
この回路チップ200の穴220は、プレスなど通常の穴あけ加工により容易に形成可能である。そして、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続時においては、回路チップ200の外側に図示しない吸引ポンプなどを設け、この穴220を介して中空部410の周囲空間を吸引する。
【0099】
それによって、たとえば図5中の矢印に示されるように、中空部410の周囲空間の空気が穴220を介して回路チップ200の外側に流れることにより、中空部410の外面近傍において上記外部の圧力P2が大気圧よりも低い圧力となる。
【0100】
このようにして、本実施形態の製造方法においても、中空部410の内部の圧力P1を外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、当該重ね合わせおよびバンプ接続を行うことになる。そのため、本実施形態によっても、接着フィルム400の貼り付け後の工程において中空部410の形状を適切に保持できる。
【0101】
(第4実施形態)
図6(a)〜(c)は、本発明の第4実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。本実施形態の製造方法は、上記各実施形態の製造方法において、接着フィルム400の貼り付けを行う前に、中空部410が可動部10から離れる方向に膨らむように接着フィルム400を予め成形しておくものである。
【0102】
図6(a)に示されるように、予め、第1のフィルム401と第2のフィルム402とを、圧着などにより貼り付けるとともに、第2のフィルム402の中空部410を、プレスなどにより第1のフィルム401とは反対側に膨らませておく。
【0103】
その後、図6(b)に示されるように、この接着フィルム400を、第1のフィルム401にてセンサチップ100の一面に、圧着などにより貼り付ける。そして、図6(c)に示されるように、両チップ100および200を対向させ、続いて、上記同様に、チップの重ね合わせ、バンプ80による接続を実施する。
【0104】
ここで、本実施形態では、接着フィルム400の貼り付け以降の工程については、上記第1〜第3実施形態に示した製造方法のうちどの方法を採用してもよい。いずれにせよ、本製造方法においても、中空部410の内部の圧力P1を外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、当該重ね合わせおよびバンプ接続を行う。
【0105】
本実施形態の製造方法によれば、接着フィルム400を予め成形することによって、上記各実施形態に比べて中空部410を可動部10から離しているため、重ね合わせ以降の工程における上記圧力差(P1−P2)による効果と相まって、より確実な中空部410の形状保持が期待できる。そして、このような本実施形態は、上記各実施形態の製造方法に適用可能なものである。
【0106】
(第5実施形態)
図7は、本発明の第5実施形態に係る電子装置としての角速度センサ装置S2の全体概略断面構成を示す図である。
【0107】
上記各実施形態では、上記図1に示されるように、両チップ100、200が接合された状態においては、製造工程中に形成された中空部410の膨らみ部分(上記図3など参照)は、回路チップ200に押されて凹み、略平坦な状態となっていた。
【0108】
それに対して、図7に示されるように、この中空部410膨らみ部分を残すように、両チップ100、200の間隔を開けて両チップ100、200の接続を行ってもよい。この場合、できあがった角速度センサ装置S2においては、中空部410は、可動部(検出部)10から離れる方向に膨らんだドーム形状をなすものとなる。
【0109】
(第6実施形態)
図8は、本発明の第6実施形態に係る角速度センサ装置およびその製造方法に用いる接着フィルム400の構成を示す概略断面図である。
【0110】
上記各実施形態では、上記の各図に示したように、接着フィルム400は、センサチップ100への貼り付き部分と中空部410とが別体のフィルム401、402であり、この両フィルム401、402を貼り合わせてなるものであった。
【0111】
それに対して、本実施形態で用いられる接着フィルム400は、中空部410とセンサチップ100への貼り付き部分とが単一のフィルムにて構成されたものである。具体的には、本実施形態の接着フィルム400は、図8に示されるように、1枚のフィルムに対してプレスやエッチングなどによって中空部410を形成したものである。
【0112】
なお、図8では、接着フィルム400のうちセンサチップ100への貼り付き部分には、上記センサチップ100に設けられたバンプ80を入り込ませるための穴400aが形成されている。しかし、上述したように、バンプ80は接着フィルム400に食い込ませることが可能であり、この穴400aは無いものであってもよい。
【0113】
そして、本実施形態の接着フィルム400を用いた製造方法としては、接着フィルム400の貼り付け以降の工程については、上記各実施形態に示した製造方法のうちどの方法を採用してもよい。また、上記第5実施形態のような加工を行ってもよい。いずれにせよ、本実施形態の接着フィルム400を用いた場合でも、上記各実施形態と同様の作用効果を期待できる。
【0114】
(他の実施形態)
なお、上記した各実施形態の製造方法においては、中空部410の内部の圧力P1を外部の圧力P2よりも高い状態に設定する際に、これら両圧力P1、P2が等しい場合に比べて中空部410が可動部10から離れる方向に膨らむように(たとえば上記図3参照)、両圧力P1、P2の圧力差を設けている。
【0115】
ここにおいて、当該圧力差は、上記した中空部410の形状維持の効果が発揮される程度のものであればよく、このような中空部410の膨らみ変形を起こさない程度のものであってもかまわない。
【0116】
また、上記第1実施形態の製造方法において、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続を、大気圧よりも低い圧力雰囲気にて行ってもよい。このことは、上記第2実施形態に示したような減圧雰囲気を用いた製造方法と組合せることにより、容易に行える。
【0117】
それにより、中空部410の内部の圧力P1を大気圧よりも高くし、外部の圧力P2を大気圧よりも低い状態に設定できる。この場合も、中空部410の内部の圧力P1の方が外部の圧力P2よりも高くなり、上記した中空部410の形状保持の効果を適切に発揮することが可能となる。
【0118】
また、上記各実施形態において、両チップ100、200の重ね合わせおよびバンプ80による接続時における両圧力P1、P2の設定は、接着フィルム400の貼り付け時の圧力雰囲気や、上記重ね合わせおよびバンプ接続時の圧力雰囲気により行ったが、これらの例に限定されるものではない。
【0119】
また、電子部品としてのセンサチップとしては、上記した角速度センサチップ以外にも、加速度センサチップであってもよい。加速度センサチップの場合は、検出部としての可動部は、加速度の印加時に一方向に変位し、その変位の度合を容量変化として検出することで、当該加速度を求めるものである。
【0120】
また、その検出部としての可動部については、角速度センサや加速度センサにおける梁構造体などの可動部以外にも、圧力センサにおけるダイアフラムなどであってもよい。また、電子部品としては、上記したセンサチップ以外にも、一面に検出部を有するものであればよく、たとえばBGA(ボールグリッドアレイ)や、フリップチップなどであってもよい。
【0121】
さらに、電子部品の検出部としては、角速度、加速度、圧力などの力学量により変位する可動部以外にも、湿度センサなどにおける湿度検出部、あるいは、なんらかの回路が形成されている回路部であってもよい。要するに、検出部は、電子部品の一面のうち接着フィルムが接触してはいけない部位である。
【0122】
また、基材としては、上記した回路チップ以外にも、たとえば各種の回路基板、各種の配線基板、リードフレームなどを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置としての角速度センサ装置の全体概略断面図である。
【図2】図1に示される角速度センサ装置における回路チップのバンプ側の面構成を示す概略平面図である。
【図3】第1実施形態の角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る角速度センサ装置の製造方法を示す工程図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る電子装置としての角速度センサ装置の全体概略断面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る接着フィルムを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0124】
10…検出部としての可動部、80…バンプ、
100…電子部品としてのセンサチップ、200…基材としての回路チップ、
220…回路チップの穴、400…接着フィルム、401…第1のフィルム、
402…第2のフィルム、410…中空部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に検出部(10)を有する電子部品(100)と基材(200)とが重ねられ、これら電子部品(100)と基材(200)とが電気的に接続されてなる電子装置において、
前記電子部品(100)は、前記一面を前記基材(200)に対向させた状態でバンプ(80)を介して前記基材(200)に重ねられており、
前記電子部品(100)と前記基材(200)とは前記バンプ(80)によって電気的に接続されるとともに、前記バンプ(80)によって前記電子部品(100)と前記基材(200)とは離間しており、
前記電子部品(100)の前記一面には、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルム(400)が貼り付けられており、
この接着フィルム(400)のうち前記検出部(10)に対応する部位は、前記検出部(10)とは空隙を有して離れた中空部(410)を構成しており、
前記中空部(410)の内部の圧力は、前記中空部(410)の外部の圧力よりも高いことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記中空部(410)の内部の圧力は大気圧より高いことを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記中空部(410)は前記検出部(10)から離れる方向に膨らんだドーム形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記接着フィルム(400)は、前記電子部品(100)への貼り付き部分を構成する第1のフィルム(401)と前記中空部(410)を構成する第2のフィルム(402)とを貼り合わせてなるものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項5】
前記第2のフィルム(402)は、前記第1のフィルム(401)における前記基材(200)側の面に貼り付けられたものであることを特徴とする請求項4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記接着フィルム(400)は、前記中空部(410)と前記電子部品(100)への貼り付き部分とが単一のフィルムにて構成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子装置。
【請求項7】
一面に検出部(10)を有する電子部品(100)と基材(200)とを用意し、
前記電子部品(100)の前記一面に、電気絶縁性を有するフィルム状の接着フィルム(400)を貼り付けるとともに、前記接着フィルム(400)のうち前記検出部(10)に対応する部位に、前記検出部(10)とは空隙を有して離れた中空部(410)を形成し、
続いて、前記電子部品(100)の一面を前記基材(200)に対向させた状態で、前記電子部品(100)と前記基材(200)とを、バンプ(80)および前記接着フィルム(400)を介して重ね合わせ、前記電子部品(100)と前記基材(200)とを前記バンプ(80)によって電気的に接続する電子装置の製造方法であって、
前記中空部(410)の内部の圧力P1を前記中空部(410)の外部の圧力P2よりも高く設定した状態にて、前記電子部品(100)と前記基材(200)との重ね合わせおよび前記バンプ(80)による接続を行うことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項8】
前記圧力P1を前記圧力P2よりも高く設定することは、前記中空部(410)の内部の圧力P1を大気圧よりも高くし、前記中空部(410)の外部の圧力P2を大気圧以下にすることであることを特徴とする請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項9】
前記接着フィルム(400)の貼り付けを、大気圧よりも高い圧力雰囲気にて行い、前記電子部品(100)と前記基材(200)との重ね合わせおよび前記バンプ(80)による接続を、大気圧以下の圧力雰囲気で行うことにより、前記両圧力P1、P2の設定を行うことを特徴とする請求項8に記載の電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記圧力P1を前記圧力P2よりも高く設定することは、前記中空部(410)の内部の圧力P1を大気圧とし、前記中空部(410)の外部の圧力P2を、大気圧よりも低い圧力とすることであることを特徴とする請求項7に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記接着フィルム(400)の貼り付けを、大気圧にて行い、前記電子部品(100)と前記基材(200)との重ね合わせおよび前記バンプ(80)による接続を、大気圧よりも低い圧力雰囲気で行うことにより、前記両圧力P1、P2の設定を行うことを特徴とする請求項10に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記電子部品(100)と前記基材(200)との重ね合わせにおいて、前記基材(200)のうち前記中空部(410)に対向する部位に穴(220)を設け、この穴(220)を介して前記中空部(410)の周囲空間を吸引することにより、前記圧力P2が大気圧よりも低い圧力となるようにすることを特徴とする請求項11に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
前記中空部(410)の内部の圧力P1を前記中空部(410)の外部の圧力P2よりも高い状態に設定するときには、これら両圧力P1、P2が等しい場合に比べて前記中空部(410)が前記検出部(10)から離れる方向に膨らむように、前記両圧力P1、P2の差を設定することを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記接着フィルム(400)の貼り付けを行う前に、前記中空部(410)が前記検出部(10)から離れる方向に膨らむように接着フィルム(400)を予め成形しておくことを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1つに記載の電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−89411(P2008−89411A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−270716(P2006−270716)
【出願日】平成18年10月2日(2006.10.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】