電子部品、電子部品の製造方法及び電子機器
【課題】更なる小型化を図ることが可能な電子部品、この電子部品を備えた電子機器及びこの電子部品の製造方法の提供。
【解決手段】水晶振動子1は、引き出し電極15a,16aを有する水晶振動片10と、バンプ電極24,25を有するパッケージベース21と、を備え、バンプ電極24,25と引き出し電極15a,16aとを介して、パッケージベース21に水晶振動片10が載置されており、バンプ電極24,25は、パッケージベース21の支持面23から水晶振動片10側に向かって突出した形状であると共に、パッケージベース21の支持面23の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起24a,25aと、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bと、を有し、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とが、直接接合されていることを特徴とする。
【解決手段】水晶振動子1は、引き出し電極15a,16aを有する水晶振動片10と、バンプ電極24,25を有するパッケージベース21と、を備え、バンプ電極24,25と引き出し電極15a,16aとを介して、パッケージベース21に水晶振動片10が載置されており、バンプ電極24,25は、パッケージベース21の支持面23から水晶振動片10側に向かって突出した形状であると共に、パッケージベース21の支持面23の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起24a,25aと、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bと、を有し、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とが、直接接合されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、電子部品の製造方法及び電子部品を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の機能を有する機能片と、機能片に形成されたバンプ電極と、バンプ電極に接続される接続電極と、バンプ電極と接続電極との導電接触状態を保持する保持部とを有し、バンプ電極が弾性を有するコア部と、コア部の表面に設けられた導電膜とを有すると共に、コア部の弾性変形により導電膜と接続電極とが導電接触する構成の電子部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、保持部(第2の樹脂突起部)が、平面視において環状のバンプ電極(第1の樹脂突起部)の内側に配置された構成の電子部品(電子部品の実装構造体)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−63154号公報
【特許文献2】特開2010−81308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の電子部品は、接続電極と導電接触するバンプ電極の近傍に配置され、接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持する保持部が、必須の構成要件となっている。
これにより、上記のような構成の電子部品は、保持部を設けるためのスペースが、更なる小型化を図る上での阻害要因となっている。
また、上記のような構成の電子部品は、保持部として接着剤が用いられることが一般的なことから、作業性に難がある接着剤の塗布工程が必要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が必要なことなどに起因して、生産性が低下する虞がある。
また、上記のような構成の電子部品は、例えば、電子機器に実装される際の加熱により、保持部としての接着剤からガスが発生し、機能片の振動特性を劣化させる虞がある。
加えて、上記のような構成の電子部品は、保持部の接着剤を硬化させることにより、バンプ電極の弾性を抑制して接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持していることから、例えば、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極によって十分に吸収、緩和されない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる電子部品は、接続電極を有する振動片と、バンプ電極を有する基板と、を備え、前記バンプ電極と前記接続電極とを介して、前記基板に前記振動片が載置されており、前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動片側に向かって突出した形状であると共に、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、電子部品は、振動片(機能片)の接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、従来のような、接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持する保持部が不要となる。
この結果、電子部品は、保持部を設けるためのスペースが不要なことから、更なる小型化を図ることが可能となる。
また、電子部品は、従来のような保持部としての接着剤の塗布工程が不要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が不要なことから、生産性を向上させることが可能となる。
また、電子部品は、保持部が不要なことから、例えば、電子機器に実装される際の加熱によっても、接続電極とバンプ電極との接合部からガスが発生する虞がなく、このガスによる機能片の振動特性の劣化を回避できる。なお、電子部品は、樹脂突起(コア部)の表面を覆う導電性被膜(導電膜)によって、上記加熱時におけるバンプ電極内の樹脂突起からのガスの漏出が回避されている。
加えて、電子部品は、バンプ電極の弾性を抑制する保持部がないことから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極とバンプ電極との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、前記樹脂突起に沿って前記導電性被膜が前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることが好ましい。
【0009】
これによれば、電子部品は、バンプ電極における厚み方向の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出している。
この結果、電子部品は、例えば、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極の特定の箇所(例えば、樹脂突起と基板表面との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることが可能となる。特に、樹脂突起が基板表面との界面付近から剥がれるのを低減できる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、電子部品は、接続電極及び導電性被膜がAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、接続電極とバンプ電極とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0012】
[適用例4]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の電子部品を備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の電子部品を備えたことから、上記適用例のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる電子部品の製造方法は、接続電極を有する振動片を用意する工程と、基板の主面から前記振動片側に突出した樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有したバンプ電極であって、前記導電性被膜が前記接続電極の金属被膜と同じ元素を含んでなる前記バンプ電極を備えた前記基板を用意する工程と、前記基板の前記バンプ電極を表面活性化処理する工程と、前記振動片の前記接続電極と前記基板の表面活性化処理された前記バンプ電極とを対向させて、前記接続電極と前記バンプ電極とを常温下で押圧し、前記接続電極と前記バンプ電極とを直接接合する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
これによれば、電子部品の製造方法は、振動片の接続電極と基板の表面活性化処理されたバンプ電極とを常温下で押圧し、接続電極とバンプ電極とを直接接合することから、上記適用例に記載の効果を奏する電子部品を提供することができる。
加えて、電子部品の製造方法は、接続電極とバンプ電極との直接接合を常温下で行うことから、直接接合に伴う加熱、冷却などの工程が不要となり、生産性を向上させることが可能となる。
なお、ここでの常温とは、日本工業規格(JIS Z 8703)に規定されている20℃±15℃(5℃〜35℃)の範囲を含む標準的な温度(特に冷やしたり、熱したりしない温度)のことをいう。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる電子部品の製造方法において、前記振動片の前記接続電極を表面活性化処理する工程を、更に備えたことが好ましい。
【0017】
これによれば、電子部品の製造方法は、振動片の接続電極を表面活性化処理する工程を更に備えたことから、接続電極とバンプ電極との直接接合をより確実に行うことができる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる電子部品は、接続電極を有する振動デバイスと、バンプ電極を有する基板と、を備え、前記バンプ電極の上に前記接続電極が位置するように前記基板に前記振動デバイスが載置されており、前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動デバイス側に向かって突出した形状であると共に、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、電子部品は、振動デバイスの接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極とバンプ電極との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
また、電子部品は、接続電極とバンプ電極との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極の弾性変形によって吸収、緩和されることから、歪みに起因する振動デバイスへの悪影響を抑制することができる。
また、電子部品は、振動デバイスの接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、例えば、はんだによる両者の接合と比較して接合に要する面積を小さくすることが可能となり、更なる小型化を図ることができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例7にかかる電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、前記導電性被膜の前記樹脂突起に沿って前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることが好ましい。
【0021】
これによれば、電子部品は、バンプ電極における厚み方向の中間部分が、曲面状に外部側にせり出して太鼓胴のような形のバンプ電極を備えている。
この結果、電子部品は、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極の特定の箇所(例えば、樹脂突起と基板表面との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることが可能となる。特に、樹脂突起が基板表面との界面付近から剥がれるのを低減できる。
また、電子部品は、接続電極とバンプ電極との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極の上記形状によって更に吸収、緩和され易くなることから、歪みに起因する振動デバイスへの悪影響をより抑制することができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例7または適用例8にかかる電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることが好ましい。
【0023】
これによれば、電子部品は、接続電極及び導電性被膜がAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、接続電極とバンプ電極とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0024】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の電子部品を備えたことを特徴とする。
【0025】
これによれば、電子機器は、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の電子部品を備えたことから、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から俯瞰した平面図、(b)は(a)の断面図。
【図2】図1(b)の要部の模式拡大図。
【図3】第1実施形態の水晶振動子の製造工程を示すフローチャート。
【図4】(a)〜(e)は、バンプ電極の製造方法の概略を説明する模式断面図。
【図5】表面活性化処理工程を説明する模式図。
【図6】(a)〜(c)は、接合工程を説明する模式断面図。
【図7】封止工程を説明する模式断面図。
【図8】(a)〜(d)は、変形例の水晶振動子におけるバンプ電極の形状のバリエーションを示す模式斜視図。
【図9】第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図。
【図10】第3実施形態の圧力センサーモジュールの概略構成を示す模式図であり、(a)は、ダイヤフラム層側から俯瞰した平面図、(b)は(a)の断面図。
【図11】図10(a)の要部の模式拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
(第1実施形態)
ここでは、電子部品の一例として水晶振動子を例に挙げて説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、リッド(蓋体)側から俯瞰した平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。図2は、図1(b)のB部の模式拡大図である。なお、平面図では、便宜的にリッドを省略してある。
【0029】
図1、図2に示すように、水晶振動子1は、振動片としての水晶振動片10と、水晶振動片10を収容するパッケージ20と、を備えている。
水晶振動片10は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型であり、平面形状が略矩形に形成され、厚みすべり振動をする振動部11と振動部11に接続された基部12とを有している。
【0030】
水晶振動片10は、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された励振電極15,16から引き出された、接続電極としての引き出し電極15a,16aが、基部12に形成されている。
引き出し電極15aは、一方の主面13の励振電極15から、水晶振動片10の長手方向(紙面左右方向)に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って他方の主面14に回り込み、他方の主面14の励振電極16の近傍まで延在している。
引き出し電極16aは、他方の主面14の励振電極16から、水晶振動片10の長手方向に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って一方の主面13に回り込み、一方の主面13の励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及び引き出し電極15a,16aは、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0031】
パッケージ20は、平面形状が略矩形で平板状の、基板としてのパッケージベース21と、パッケージベース21を覆うキャップ状のリッド22と、を有し、略直方体形状に形成されている。
パッケージベース21には、セラミックグリーンシートを成形して焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコンなどが用いられている。
リッド22には、パッケージベース21と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0032】
パッケージベース21には、主面としての、水晶振動片10を支持する支持面23に、バンプ電極24,25が設けられている。
バンプ電極24,25は、パッケージベース21の支持面23から水晶振動片10側に向かって突出した形状であって、弾性を有する樹脂製の樹脂突起24a,25aと、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bと、を有している。
バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25aは、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aと対向する位置に半球状に突出して形成されている(水晶振動片10との接合前の形状)。
バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bは、樹脂突起24a,25aを覆うと共に支持面23まで延在し、平面形状が略矩形に形成されている。
【0033】
樹脂突起24a,25aは、ポリイミドなどの弾性樹脂材料を支持面23にコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことによって形成される。
なお、樹脂突起24a,25aの材料としては、ポリイミド樹脂以外に、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂を用いてもよい。
【0034】
樹脂突起24a,25aの表面に形成された導電性被膜24b,25bは、Au、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって形成される。
また、導電性被膜24b,25bは、Cu、Ni、Alなどで構成された下地の被膜の表面をさらにAuメッキなどで被覆し、導電性能を高めることも可能である。
なお、本実施形態では、導電性被膜24b,25bの表面がAuの被膜であるものとする。
これにより、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とは、同じ元素(ここでは、Au)を含むこととなる。
【0035】
パッケージベース21の底面(支持面23の反対側の面)26には、電子機器などに実装される際に用いられる一対の外部端子27,28が形成されている。
外部端子27,28は、Wなどのメタライズ層にNi、Auなどの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
外部端子27,28は、図示しない内部配線によってバンプ電極24,25と接続されている。例えば、外部端子27は、バンプ電極24と接続され、外部端子28は、バンプ電極25と接続されている。
【0036】
水晶振動子1は、バンプ電極24,25と引き出し電極15a,16aとを介して、パッケージベース21の支持面23に水晶振動片10が載置されている。
水晶振動子1は、水晶振動片10の基部12に形成された引き出し電極15a,16aと、アルゴンビームなどの照射によって導電性被膜24b,25bの表面が活性化処理されたバンプ電極24,25とが、位置合わせされた状態で、水晶振動片10及びパッケージベース21が互いに近づく方向に押圧されることにより、互いに直接接合される。(直接接合の原理としては、表面のAu原子の結合手同士が直接結合することにより接合されると考えられている)。
そして、水晶振動子1は、この直接接合により、引き出し電極15a,16aと、バンプ電極24,25とが、電気的及び機械的に接合されている。
【0037】
図2に示すように、バンプ電極24,25は、上記押圧により若干塑性変形して厚み方向につぶれている。
そして、バンプ電極24,25は、パッケージベース21の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。詳述すると、バンプ電極24,25は、樹脂突起24a,25aに沿って導電性被膜24b,25bがパッケージベース21の支持面23から上方(水晶振動片10側)へ向かう立ち上がりとなる外部側の起点Pが、導電性被膜24b,25bに接する接線のうちパッケージベース21の支持面23と直交する接線Sよりも、バンプ電極24,25の中心側に位置するようにパッケージベース21の支持面23の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えており、好ましくは凸状の丸みを帯びた形状はバンプ電極24,25の幅方向における全周に亘り形成されている。
換言すれば、バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25a部分における径方向の中心線Oから起点Pまでの距離L1は、中心線Oから接線Sまでの距離L2よりも短いこととなる。
つまり、バンプ電極24,25は、直接接合によって厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
なお、図2の2点鎖線は、バンプ電極24,25の接合前の断面形状(略半円形状)を示す。
【0038】
図1に戻って、水晶振動子1は、水晶振動片10がパッケージベース21の支持面23にバンプ電極24,25を介して接合(支持)された状態で、パッケージベース21がリッド22により覆われ、パッケージベース21とリッド22とが図示しないシームリング、低融点ガラス、接着剤などで接合されることにより、パッケージ20の内部が気密に封止されている。
なお、パッケージ20の内部は、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
なお、製造方法の詳細については後述する。
【0039】
水晶振動子1は、外部端子27,28、バンプ電極24,25、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して外部から印加される駆動信号によって、水晶振動片10が励振されて所定の周波数で共振する。
【0040】
ここで、水晶振動子1の製造方法の一例を説明する。
図3は、水晶振動子の製造工程を示すフローチャートであり、図4〜図7は、主要製造工程を説明する模式図である(図1も併せて参照)。
【0041】
図3に示すように、水晶振動子1の製造方法は、水晶振動片準備工程S1と、パッケージベース準備工程S2と、表面活性化処理工程S3と、接合工程S4と、封止工程S5と、を有している。
【0042】
[水晶振動片準備工程S1]
まず、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された励振電極15,16から引き出された引き出し電極15a,16aを基部12に有する水晶振動片10(図1参照)を用意する。
【0043】
[パッケージベース準備工程S2]
ついで、水晶振動片10を支持する支持面23に、バンプ電極24,25を備えたパッケージベース21(図1参照)を用意する。
ここで、バンプ電極24,25の製造方法の概略を説明する。
【0044】
まず、図4(a)に示すように、パッケージベース21の支持面23にスピンコート、印刷などにより、前述したポリイミドなどの弾性樹脂材料30を塗布(コーティング)する。
ついで、図4(b)に示すように、バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25a部分に対応する開口部41が形成されたフォトマスク40を用いて、露光及び現像処理を行う。
これにより、図4(c)に示すように、パッケージベース21の支持面23上に、断面形状が略矩形状である円柱状の樹脂突起24a’,25a’が形成される。
【0045】
ついで、図4(d)に示すように、パッケージベース21を図示しない加熱炉内などに投入して加熱し、樹脂突起24a’,25a’を融解させることにより断面形状が略半円状である半球状の樹脂突起24a,25aを形成する。
【0046】
ついで、図4(e)に示すように、樹脂突起24a,25aを覆うようにAu、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を適用することによって導電性被膜24b,25bを形成する。
なお、ここでは、導電性被膜24b,25bの表面は、Auの被膜となっている。
以上の工程を経ることにより、バンプ電極24,25が形成される。
なお、図4の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0047】
[表面活性化処理工程S3]
ついで、図5に示すように、表面活性化装置50の真空チャンバー51内のステージ52に、パッケージベース21を載置する。このとき、パッケージベース21の底面26が、ステージ52の載置面53側となるように載置する。
ついで、図示しない真空ポンプにより真空チャンバー51内を10-3torr程度に減圧する。
ついで、アルゴンなどの不活性ガスのイオンビーム(アルゴンビーム)を、イオンビーム照射装置54によってパッケージベース21の支持面23、バンプ電極24,25に向けて10秒〜30秒程度照射する。
これにより、パッケージベース21の支持面23、バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bがスパッタエッチングされ、表面の酸化膜、吸着された水分、有機物分子などが除去され、表面が活性化する(表面の原子が周囲の原子と結合しやすい状態になる)。
なお、この際、パッケージベース21の支持面23を部分的にマスキングして、バンプ電極24,25(導電性被膜24b,25b)のみにアルゴンビームを照射してもよい。
【0048】
なお、表面活性化処理工程S3において、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aにアルゴンビームを照射して、引き出し電極15a,16aの表面を活性化することが、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合をより確実に行う上で好ましい。
なお、この際、アルゴンビームが励振電極15,16へ照射されないように、励振電極15,16部分をマスキングする必要がある(アルゴンビームの照射による周波数変化を回避するため)。
【0049】
[接合工程S4]
ついで、図6(a)に示すように、接合装置60の一方の側61に水晶振動片10を装着し、一方の側61と対向する他方の側62に、バンプ電極24,25が水晶振動片10の引き出し電極15a,16aと対向するように、パッケージベース21を装着する。
この際、水晶振動片10を、例えば、図示しない吸引装置などを用いて接合装置60の一方の側61の凹部63に、矢印C方向に吸引して仮固定しておく。また、パッケージベース21も、移動しないように位置決めされているものとする。
【0050】
ついで、図6(b)に示すように、水晶振動片10とパッケージベース21との位置合わせ後、常温(20℃±15℃(5℃〜35℃)の範囲を含む標準的な温度)下で、接合装置60の一方の側61を矢印D方向に移動させ、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aをパッケージベース21のバンプ電極24,25に、一例として0.2N程度の押圧力で押圧する。
これにより、図6(c)に示すように、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aの表面のAu原子の結合手Au1と、バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bの表面のAu原子の結合手Au2とが直接結合する。
つまり、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とを同じ元素同士(同種金属(Au−Au)同士)により直接接合する。
【0051】
なお、本製造方法では、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aが表面活性化処理されていなくても、0.2N程度の押圧力で押圧することによって、引き出し電極15a,16aの表面の酸化膜、吸着された水分、有機物分子などが拡散され、直接接合が可能となる。
なお、接合工程S4は、減圧された真空チャンバー内で行うことが、大気の影響を回避して確実な接合を行う上で好ましい。
なお、図6の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0052】
[封止工程S5]
ついで、図7に示すように、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気中、または減圧された真空チャンバー内において、リッド22を、パッケージベース21に図示しないシームリング、低融点ガラス、接着剤などを用いて気密に接合する。
これにより、パッケージベース21とリッド22とで囲まれた内部空間が、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態で気密に封止される。
なお、図7の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0053】
上記の各工程を経ることにより、図1に示すような、水晶振動子1を得る。
なお、上記各工程の順番は、必要に応じて適宜入れ換えてもよい。例えば、水晶振動片準備工程S1は、パッケージベース準備工程S2の後でもよく、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aを表面活性化処理しないのであれば、表面活性化処理工程S3の後でもよい。
なお、周波数調整、検査などの工程の説明は省略する。
【0054】
上述したように、第1実施形態の水晶振動子1は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とが、同じ元素の金属(Au)同士により直接接合されていることから、従来のような、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との導電接触状態を保持する保持部が不要となる。
この結果、水晶振動子1は、保持部を設けるためのスペースが不要なことから、更なる小型化を図ることができる。
また、水晶振動子1は、従来のような保持部としての接着剤の塗布工程が不要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が不要なことから、生産性を向上させることができる。
【0055】
また、水晶振動子1は、保持部が不要なことから、例えば、電子機器に実装される際の加熱によっても、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合部からガスが発生する虞がなく、このガスによる水晶振動片10の振動特性の劣化を回避できる。
なお、水晶振動子1は、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bによって、上記加熱時におけるバンプ電極24,25内の樹脂突起24a,25aからのガスの漏出が回避されている。
【0056】
加えて、水晶振動子1は、バンプ電極24,25の弾性を抑制する保持部がないことから、例えば、落下などの衝撃時において、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極24,25の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることができる。
【0057】
なお、水晶振動子1は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bとに用いられる金属が、Au以外にCu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属であってもよい。
これによれば、水晶振動子1は、引き出し電極15a,16a及び導電性被膜24b,25bがAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0058】
また、水晶振動子1は、バンプ電極24,25がパッケージベース21の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。
つまり、バンプ電極24,25は、直接接合により厚み方向の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
これにより、水晶振動子1は、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極24,25の特定の箇所(例えば、樹脂突起24a,25aとパッケージベース21の支持面23との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることができる。特に、樹脂突起24a,25aがパッケージベース21の支持面23との界面付近から剥がれるのを低減できる。
【0059】
また、水晶振動子1の製造方法は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21の表面活性化処理されたバンプ電極24,25とを常温下で押圧し、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とを、同じ元素同士(同種金属(Au−Au)同士)により直接接合することから、上述した効果を奏する水晶振動子1を提供することができる。
加えて、水晶振動子1の製造方法は、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との直接接合を常温下で行うことから、直接接合に伴う加熱、冷却などの工程が不要となり、生産性を向上させることができる。
【0060】
また、水晶振動子1の製造方法は、表面活性化処理工程S3において、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aも表面活性化処理することによって、換言すれば、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aを表面活性化処理する工程を更に備えたことによって、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との直接接合をより確実に行うことができる。
【0061】
(変形例)
以下、第1実施形態の水晶振動子の変形例について説明する。
図8(a)〜図8(d)は、変形例の水晶振動子におけるバンプ電極の形状のバリエーションを示す模式斜視図である。
上記実施形態では、水晶振動子1のバンプ電極24,25の突出部分の形状を半球状としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すような形状でもよい。
【0062】
詳述すると、バンプ電極24,25の突出部分の形状は、図8(a)に示すように、四角錐形状としてもよく、図8(b)に示すように、円錐形状としてもよく、図8(c)に示すように、図8(a)の四角錐の先端側を平面で切り落とした形状としてもよく、図8(d)に示すように、図8(b)の円錐の先端側を平面で切り落とした形状としてもよい。
変形例の水晶振動子は、バンプ電極24,25が上記のいずれの形状であっても、第1実施形態に記載された効果の少なくとも一部を奏することができる。
【0063】
なお、上記実施形態及び変形例では、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bとが、同種金属同士(Au−Au)で直接接合されていたが、これに限定されるものではなく、異種金属同士(例えば、Au−Ni、Au−Cr、Au−Pdなど)での直接接合としてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、水晶振動片をATカット型としたが、これに限定されるものではなく、音叉型や弾性表面波素子片、WT型などのセンサー素子片でもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、バンプ電極24,25をパッケージベース21に設けたが、引き出し電極15a,16aに代えてバンプ電極24,25を水晶振動片10側に設け、バンプ電極24,25に代えて接続電極(引き出し電極15a,16aのような平坦な電極)をパッケージベース21側に設ける構成としてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
以下、電子機器としての携帯電話を一例に挙げて説明する。
図9は、第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
第2実施形態の携帯電話700は、第1実施形態または第1実施形態の変形例の水晶振動子を用いた携帯電話である。
図9に示す携帯電話700は、上述した水晶振動子1を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
【0065】
上述した水晶振動子1は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などのタイミングデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0066】
(第3実施形態)
以下、電子部品としての圧力センサーモジュールを一例に挙げて説明する。
図10は、第3実施形態の圧力センサーモジュールの概略構成を示す模式図である。図10(a)は、ダイヤフラム層側から俯瞰した平面図であり、図10(b)は、図10(a)のE−E線での断面図である。図11は、図10(a)のF−F線での模式拡大断面図である。なお、平面図では、便宜的にダイヤフラム層を省略してある。
【0067】
図10、図11に示すように、圧力センサーモジュール2は、振動デバイスとしての圧力センサー101と、圧力センサー101を載置する基板221と、を備えている。
圧力センサー101は、感圧素子層110と、感圧素子層110の一方の主面111側を覆うダイヤフラムとしてのダイヤフラム層120と、感圧素子層110の他方の主面112側を覆うベース層130と、を備えている。
圧力センサー101は、上記各層が、平面視において輪郭が互いに重なり合うように積層されることにより、略直方体形状に形成されている。
なお、圧力センサー101の各層は、複数個取りが可能なウエハー状の水晶基板を基材として、フォトエッチング、サンドブラストなどの加工方法により所定の形状に形成されている。
【0068】
感圧素子層110は、感圧部としての互いに略平行な角柱状の一対の振動片部(柱状ビーム)113と、振動片部113の両端に接続される一対の略矩形の基部114とを有する感圧素子としての双音叉素子115と、双音叉素子115を囲む略矩形の枠部116と、枠部116と双音叉素子115の各基部114とを接続する各一対の梁状の腕部117とを有している。
感圧素子層110は、平面視において外形形状が略矩形に形成され、各構成要素の厚みが略同一に形成されている。なお、双音叉素子115の図示しない電極は、腕部117を介して枠部116に引き出されている。
【0069】
ダイヤフラム層120は、平面視において外形形状が略矩形に形成されている。
そして、ダイヤフラム層120は、感圧素子層110の一方の主面111側を覆うように配置されている。
ダイヤフラム層120は、外部からの圧力を受けて撓む凹部121と、凹部121を囲む外周枠部122と、双音叉素子115の一対の基部114に対向する位置に、凹部121から感圧素子層110側に突出し、双音叉素子115の各基部114が接合される一対の支持部123と、を有している。
【0070】
圧力センサー101は、双音叉素子115の振動片部113と、ダイヤフラム層120の凹部121との間に空間が形成されている。
なお、ダイヤフラム層120の外周枠部122は、感圧素子層110の枠部116と図示しない接合部材を介して接合されている。
なお、接合部材には、例えば、低融点ガラスやエポキシ系接着剤などを用いることができ、それらは水晶の熱膨張率に近似する材料から構成されることが好ましい。
【0071】
ベース層130は、平面視において外形形状が略矩形に形成されている。ベース層130は、感圧素子層110側に双音叉素子115との間に空間を形成するための凹部131が形成されている。
そして、ベース層130は、感圧素子層110の他方の主面112側を覆うように配置され、凹部131を囲む外周枠部132が感圧素子層110の枠部116と図示しない接合部材を介して接合されている。
ベース層130の外部側の底面133には、接続電極134,135が設けられている。接続電極134,135は、図示しない内部配線によって双音叉素子115の各電極と接合されている。
接続電極134,135は、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0072】
なお、感圧素子層110の腕部117は、ダイヤフラム層120、ベース層130のいずれにも接合されておらず、フリーな状態になっている。
【0073】
上記の構成により、圧力センサー101は、ダイヤフラム層120と双音叉素子115の振動片部113との間、及び双音叉素子115とベース層130との間に空間が形成された状態で、双音叉素子115の各基部114が、ダイヤフラム層120の各支持部123に接合されている。
これにより、圧力センサー101は、双音叉素子115が各支持部123間に架け渡された状態となっている。
【0074】
以上のように構成された圧力センサー101は、内部が気密に封止され、真空状態(真空度の高い状態)に保持されており、絶対圧を検出する圧力センサーとなっている。
【0075】
基板221には、主面としての、圧力センサー101を支持する支持面223に、バンプ電極224,225が設けられている。
バンプ電極224,225は、基板221の支持面223から圧力センサー101側に向かって突出した形状であって、図11に示すように、弾性を有する樹脂製の樹脂突起224a,225aと、樹脂突起224a,225aの表面を覆う導電性被膜224b,225bと、を有している。
バンプ電極224,225の樹脂突起224a,225aは、圧力センサー101の接続電極134,135と対向する位置に半球状に突出して形成されている(圧力センサー101との接合前の形状)。
バンプ電極224,225の導電性被膜224b,225bは、樹脂突起224a,225aを覆うと共に支持面223まで延在し、平面形状が略矩形に形成されている。
【0076】
樹脂突起224a,225aは、ポリイミドなどの弾性樹脂材料を支持面223にコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことによって形成される。
なお、樹脂突起224a,225aの材料としては、ポリイミド樹脂以外に、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂を用いてもよい。
【0077】
樹脂突起224a,225aの表面に形成された導電性被膜224b,225bは、Au、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって形成される。
また、導電性被膜224b,225bは、Cu、Ni、Alなどで構成された下地の被膜の表面をさらにAuメッキなどで被覆し、導電性能を高めることも可能である。
なお、本実施形態では、導電性被膜224b,225bの表面がAuの被膜であるものとする。
これにより、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とは、同じ元素(ここでは、Au)を含むこととなる。
【0078】
圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の上に接続電極134,135が位置するように、基板221の支持面223に圧力センサー101が載置されている。
圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と、アルゴンビームなどの照射によって導電性被膜224b,225bの表面が活性化処理されたバンプ電極224,225とが、位置合わせされた状態で、圧力センサー101及び基板221が互いに近づく方向に常温下で押圧されることにより直接接合される。(直接接合の原理としては、表面のAu原子の結合手同士が直接結合することにより接合されると考えられている)。
そして、圧力センサーモジュール2は、この直接接合により、接続電極134,135と、バンプ電極224,225とが、電気的及び機械的に接合されている。
【0079】
図11に示すように、バンプ電極224,225は、上記押圧により若干塑性変形して厚み方向につぶれている。
そして、バンプ電極224,225は、基板221の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。詳述すると、バンプ電極224,225は、樹脂突起224a,225aに沿って導電性被膜224b,225bが基板221の支持面223から上方(圧力センサー101側)へ向かう立ち上がりとなる外部側の起点P1が、導電性被膜224b,225bに接する接線のうち基板221の支持面223と直交する接線S1よりもバンプ電極224,225の中心側に位置するように、基板221の支持面223の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えている。
換言すれば、バンプ電極224,225の樹脂突起224a,225a部分における径方向の中心線O1から起点P1までの距離L11は、中心線O1から接線S1までの距離L12よりも短いこととなる。
つまり、バンプ電極224,225は、直接接合により厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
なお、図11の2点鎖線は、バンプ電極224,225の接合前の断面形状(略半円形状)を示す。
【0080】
ここで、圧力センサーモジュール2の基本動作について、概略を説明する。
圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101のベース層130側が基板221の支持面223側に載置され、基板221における支持面223の反対側(裏側)の面226が、図示しない外部機器の搭載面に載置されるように構成されている。
圧力センサーモジュール2は、外部からの圧力を圧力センサー101の双音叉素子115の振動片部113の共振周波数の変化によって検出する機能を備えている。
【0081】
詳述すると、図10(b)に示すように、圧力センサー101は、外部からの圧力を受けるとダイヤフラム層120の凹部121が、圧力の程度に応じて矢印G方向に撓む。
圧力センサー101は、この矢印G方向の撓みに伴って、ダイヤフラム層120の各支持部123が、矢印H方向に変位する(各支持部123間の間隔が変化する)。
これにより、各支持部123間に架け渡された状態で接合されている双音叉素子115は、矢印H方向に引張力または圧縮力が加わり伸縮する。
この際、双音叉素子115は、矢印H方向に引張力が加われば、例えば、巻き上げられた弦楽器の弦のように、振動片部113の共振周波数が高くなる方に変化し、矢印H方向に圧縮力が加われば、例えば、巻き戻された弦楽器の弦のように、振動片部113の共振周波数が低くなる方に変化する。
【0082】
圧力センサーモジュール2は、この圧力センサー101の共振周波数の変化を検出している。外部からの圧力は、この検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
圧力センサーモジュール2には、圧力センサー101を駆動する(共振させる)駆動用回路と、外部からの圧力を検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換する演算用回路とを備えていることが好ましい。
【0083】
上述したように、第3実施形態の圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とが、直接接合されていることから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極134,135とバンプ電極224,225との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極224,225の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
【0084】
また、圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の、厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることから、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極224,225の特定の箇所(例えば、樹脂突起224a,225aと基板221の支持面223との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)。特に、樹脂突起224a,225aが基板221の支持面223との界面付近から剥がれるのを低減できる。
この結果、圧力センサーモジュール2は、耐衝撃性能を更に向上させることができる。
【0085】
また、圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極224,225の弾性変形によって吸収、緩和されることから、歪みに起因する圧力センサー101への悪影響を抑制することができる。
この際、圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の、厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることから、上記歪みが、更に吸収、緩和され易くなり、歪みに起因する圧力センサー101への悪影響を、より抑制することができる。
【0086】
また、圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とが、直接接合されていることから、例えば、はんだによる両者の接合と比較して、接合に要する面積を小さくすることが可能となり、更なる小型化を図ることができる。
【0087】
なお、上記各実施形態及び変形例では、振動片(双音叉素子を含む)の材料を水晶としたが、振動片の材料としては、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどの半導体であってもよい。
【0088】
上述した圧力センサーモジュール2は、河川用水位計、圧力ゲージ、自動車用タイヤ圧検出システム、高度計を備えた機器などのセンサーデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…電子部品としての水晶振動子、2…電子部品としての圧力センサーモジュール、10…振動片としての水晶振動片、11…振動部、12…基部、13…一方の主面、14…他方の主面、15…励振電極、15a…接続電極としての引き出し電極、16…励振電極、16a…接続電極としての引き出し電極、20…パッケージ、21…基板としてのパッケージベース、22…リッド、23…主面としての支持面、24…バンプ電極、24a,24a’…樹脂突起、24b…導電性被膜、25…バンプ電極、25a,25a’…樹脂突起、25b…導電性被膜、26…底面、27,28…外部端子、30…弾性樹脂材料、40…フォトマスク、41…開口部、50…表面活性化装置、51…真空チャンバー、52…ステージ、53…載置面、54…イオンビーム照射装置、60…接合装置、61…一方の側、62…他方の側、63…凹部、101…振動デバイスとしての圧力センサー、110…感圧素子層、111…一方の主面、112…他方の主面、113…振動片部、114…基部、115…双音叉素子、116…枠部、117…腕部、120…ダイヤフラム層、121…凹部、122…外周枠部、130…ベース層、131…凹部、132…外周枠部、134,135…接続電極、221…基板、223…主面としての支持面、224…バンプ電極、224a…樹脂突起、224b…導電性被膜、225…バンプ電極、225a…樹脂突起、225b…導電性被膜、226…反対側の面、700…電子機器としての携帯電話、701…液晶表示装置、702…操作ボタン、703…受話口、704…送話口、O,O1…中心線、P,P1…起点、S,S1…接線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品、電子部品の製造方法及び電子部品を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の機能を有する機能片と、機能片に形成されたバンプ電極と、バンプ電極に接続される接続電極と、バンプ電極と接続電極との導電接触状態を保持する保持部とを有し、バンプ電極が弾性を有するコア部と、コア部の表面に設けられた導電膜とを有すると共に、コア部の弾性変形により導電膜と接続電極とが導電接触する構成の電子部品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、保持部(第2の樹脂突起部)が、平面視において環状のバンプ電極(第1の樹脂突起部)の内側に配置された構成の電子部品(電子部品の実装構造体)が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−63154号公報
【特許文献2】特開2010−81308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の電子部品は、接続電極と導電接触するバンプ電極の近傍に配置され、接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持する保持部が、必須の構成要件となっている。
これにより、上記のような構成の電子部品は、保持部を設けるためのスペースが、更なる小型化を図る上での阻害要因となっている。
また、上記のような構成の電子部品は、保持部として接着剤が用いられることが一般的なことから、作業性に難がある接着剤の塗布工程が必要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が必要なことなどに起因して、生産性が低下する虞がある。
また、上記のような構成の電子部品は、例えば、電子機器に実装される際の加熱により、保持部としての接着剤からガスが発生し、機能片の振動特性を劣化させる虞がある。
加えて、上記のような構成の電子部品は、保持部の接着剤を硬化させることにより、バンプ電極の弾性を抑制して接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持していることから、例えば、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極によって十分に吸収、緩和されない虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例にかかる電子部品は、接続電極を有する振動片と、バンプ電極を有する基板と、を備え、前記バンプ電極と前記接続電極とを介して、前記基板に前記振動片が載置されており、前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動片側に向かって突出した形状であると共に、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、電子部品は、振動片(機能片)の接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、従来のような、接続電極とバンプ電極との導電接触状態を保持する保持部が不要となる。
この結果、電子部品は、保持部を設けるためのスペースが不要なことから、更なる小型化を図ることが可能となる。
また、電子部品は、従来のような保持部としての接着剤の塗布工程が不要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が不要なことから、生産性を向上させることが可能となる。
また、電子部品は、保持部が不要なことから、例えば、電子機器に実装される際の加熱によっても、接続電極とバンプ電極との接合部からガスが発生する虞がなく、このガスによる機能片の振動特性の劣化を回避できる。なお、電子部品は、樹脂突起(コア部)の表面を覆う導電性被膜(導電膜)によって、上記加熱時におけるバンプ電極内の樹脂突起からのガスの漏出が回避されている。
加えて、電子部品は、バンプ電極の弾性を抑制する保持部がないことから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極とバンプ電極との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
【0008】
[適用例2]上記適用例にかかる電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、前記樹脂突起に沿って前記導電性被膜が前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることが好ましい。
【0009】
これによれば、電子部品は、バンプ電極における厚み方向の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出している。
この結果、電子部品は、例えば、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極の特定の箇所(例えば、樹脂突起と基板表面との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることが可能となる。特に、樹脂突起が基板表面との界面付近から剥がれるのを低減できる。
【0010】
[適用例3]上記適用例にかかる電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、電子部品は、接続電極及び導電性被膜がAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、接続電極とバンプ電極とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0012】
[適用例4]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の電子部品を備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、電子機器は、上記適用例のいずれかに記載の電子部品を備えたことから、上記適用例のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0014】
[適用例5]本適用例にかかる電子部品の製造方法は、接続電極を有する振動片を用意する工程と、基板の主面から前記振動片側に突出した樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有したバンプ電極であって、前記導電性被膜が前記接続電極の金属被膜と同じ元素を含んでなる前記バンプ電極を備えた前記基板を用意する工程と、前記基板の前記バンプ電極を表面活性化処理する工程と、前記振動片の前記接続電極と前記基板の表面活性化処理された前記バンプ電極とを対向させて、前記接続電極と前記バンプ電極とを常温下で押圧し、前記接続電極と前記バンプ電極とを直接接合する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
これによれば、電子部品の製造方法は、振動片の接続電極と基板の表面活性化処理されたバンプ電極とを常温下で押圧し、接続電極とバンプ電極とを直接接合することから、上記適用例に記載の効果を奏する電子部品を提供することができる。
加えて、電子部品の製造方法は、接続電極とバンプ電極との直接接合を常温下で行うことから、直接接合に伴う加熱、冷却などの工程が不要となり、生産性を向上させることが可能となる。
なお、ここでの常温とは、日本工業規格(JIS Z 8703)に規定されている20℃±15℃(5℃〜35℃)の範囲を含む標準的な温度(特に冷やしたり、熱したりしない温度)のことをいう。
【0016】
[適用例6]上記適用例にかかる電子部品の製造方法において、前記振動片の前記接続電極を表面活性化処理する工程を、更に備えたことが好ましい。
【0017】
これによれば、電子部品の製造方法は、振動片の接続電極を表面活性化処理する工程を更に備えたことから、接続電極とバンプ電極との直接接合をより確実に行うことができる。
【0018】
[適用例7]本適用例にかかる電子部品は、接続電極を有する振動デバイスと、バンプ電極を有する基板と、を備え、前記バンプ電極の上に前記接続電極が位置するように前記基板に前記振動デバイスが載置されており、前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動デバイス側に向かって突出した形状であると共に、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、電子部品は、振動デバイスの接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極とバンプ電極との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
また、電子部品は、接続電極とバンプ電極との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極の弾性変形によって吸収、緩和されることから、歪みに起因する振動デバイスへの悪影響を抑制することができる。
また、電子部品は、振動デバイスの接続電極と基板のバンプ電極とが、直接接合されていることから、例えば、はんだによる両者の接合と比較して接合に要する面積を小さくすることが可能となり、更なる小型化を図ることができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例7にかかる電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、前記導電性被膜の前記樹脂突起に沿って前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることが好ましい。
【0021】
これによれば、電子部品は、バンプ電極における厚み方向の中間部分が、曲面状に外部側にせり出して太鼓胴のような形のバンプ電極を備えている。
この結果、電子部品は、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極の特定の箇所(例えば、樹脂突起と基板表面との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることが可能となる。特に、樹脂突起が基板表面との界面付近から剥がれるのを低減できる。
また、電子部品は、接続電極とバンプ電極との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極の上記形状によって更に吸収、緩和され易くなることから、歪みに起因する振動デバイスへの悪影響をより抑制することができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例7または適用例8にかかる電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることが好ましい。
【0023】
これによれば、電子部品は、接続電極及び導電性被膜がAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、接続電極とバンプ電極とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0024】
[適用例10]本適用例にかかる電子機器は、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の電子部品を備えたことを特徴とする。
【0025】
これによれば、電子機器は、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の電子部品を備えたことから、上記適用例7ないし適用例9のいずれかに記載の効果を奏する電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図であり、(a)はリッド側から俯瞰した平面図、(b)は(a)の断面図。
【図2】図1(b)の要部の模式拡大図。
【図3】第1実施形態の水晶振動子の製造工程を示すフローチャート。
【図4】(a)〜(e)は、バンプ電極の製造方法の概略を説明する模式断面図。
【図5】表面活性化処理工程を説明する模式図。
【図6】(a)〜(c)は、接合工程を説明する模式断面図。
【図7】封止工程を説明する模式断面図。
【図8】(a)〜(d)は、変形例の水晶振動子におけるバンプ電極の形状のバリエーションを示す模式斜視図。
【図9】第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図。
【図10】第3実施形態の圧力センサーモジュールの概略構成を示す模式図であり、(a)は、ダイヤフラム層側から俯瞰した平面図、(b)は(a)の断面図。
【図11】図10(a)の要部の模式拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
(第1実施形態)
ここでは、電子部品の一例として水晶振動子を例に挙げて説明する。
図1は、第1実施形態の水晶振動子の概略構成を示す模式図である。図1(a)は、リッド(蓋体)側から俯瞰した平面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。図2は、図1(b)のB部の模式拡大図である。なお、平面図では、便宜的にリッドを省略してある。
【0029】
図1、図2に示すように、水晶振動子1は、振動片としての水晶振動片10と、水晶振動片10を収容するパッケージ20と、を備えている。
水晶振動片10は、水晶の原石などから所定の角度で切り出されたATカット型であり、平面形状が略矩形に形成され、厚みすべり振動をする振動部11と振動部11に接続された基部12とを有している。
【0030】
水晶振動片10は、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された励振電極15,16から引き出された、接続電極としての引き出し電極15a,16aが、基部12に形成されている。
引き出し電極15aは、一方の主面13の励振電極15から、水晶振動片10の長手方向(紙面左右方向)に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って他方の主面14に回り込み、他方の主面14の励振電極16の近傍まで延在している。
引き出し電極16aは、他方の主面14の励振電極16から、水晶振動片10の長手方向に沿って基部12に引き出され、基部12の側面に沿って一方の主面13に回り込み、一方の主面13の励振電極15の近傍まで延在している。
励振電極15,16及び引き出し電極15a,16aは、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0031】
パッケージ20は、平面形状が略矩形で平板状の、基板としてのパッケージベース21と、パッケージベース21を覆うキャップ状のリッド22と、を有し、略直方体形状に形成されている。
パッケージベース21には、セラミックグリーンシートを成形して焼成した酸化アルミニウム質焼結体、水晶、ガラス、シリコンなどが用いられている。
リッド22には、パッケージベース21と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼などの金属が用いられている。
【0032】
パッケージベース21には、主面としての、水晶振動片10を支持する支持面23に、バンプ電極24,25が設けられている。
バンプ電極24,25は、パッケージベース21の支持面23から水晶振動片10側に向かって突出した形状であって、弾性を有する樹脂製の樹脂突起24a,25aと、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bと、を有している。
バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25aは、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aと対向する位置に半球状に突出して形成されている(水晶振動片10との接合前の形状)。
バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bは、樹脂突起24a,25aを覆うと共に支持面23まで延在し、平面形状が略矩形に形成されている。
【0033】
樹脂突起24a,25aは、ポリイミドなどの弾性樹脂材料を支持面23にコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことによって形成される。
なお、樹脂突起24a,25aの材料としては、ポリイミド樹脂以外に、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂を用いてもよい。
【0034】
樹脂突起24a,25aの表面に形成された導電性被膜24b,25bは、Au、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって形成される。
また、導電性被膜24b,25bは、Cu、Ni、Alなどで構成された下地の被膜の表面をさらにAuメッキなどで被覆し、導電性能を高めることも可能である。
なお、本実施形態では、導電性被膜24b,25bの表面がAuの被膜であるものとする。
これにより、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とは、同じ元素(ここでは、Au)を含むこととなる。
【0035】
パッケージベース21の底面(支持面23の反対側の面)26には、電子機器などに実装される際に用いられる一対の外部端子27,28が形成されている。
外部端子27,28は、Wなどのメタライズ層にNi、Auなどの各被膜をメッキなどにより積層した金属被膜からなる。
外部端子27,28は、図示しない内部配線によってバンプ電極24,25と接続されている。例えば、外部端子27は、バンプ電極24と接続され、外部端子28は、バンプ電極25と接続されている。
【0036】
水晶振動子1は、バンプ電極24,25と引き出し電極15a,16aとを介して、パッケージベース21の支持面23に水晶振動片10が載置されている。
水晶振動子1は、水晶振動片10の基部12に形成された引き出し電極15a,16aと、アルゴンビームなどの照射によって導電性被膜24b,25bの表面が活性化処理されたバンプ電極24,25とが、位置合わせされた状態で、水晶振動片10及びパッケージベース21が互いに近づく方向に押圧されることにより、互いに直接接合される。(直接接合の原理としては、表面のAu原子の結合手同士が直接結合することにより接合されると考えられている)。
そして、水晶振動子1は、この直接接合により、引き出し電極15a,16aと、バンプ電極24,25とが、電気的及び機械的に接合されている。
【0037】
図2に示すように、バンプ電極24,25は、上記押圧により若干塑性変形して厚み方向につぶれている。
そして、バンプ電極24,25は、パッケージベース21の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。詳述すると、バンプ電極24,25は、樹脂突起24a,25aに沿って導電性被膜24b,25bがパッケージベース21の支持面23から上方(水晶振動片10側)へ向かう立ち上がりとなる外部側の起点Pが、導電性被膜24b,25bに接する接線のうちパッケージベース21の支持面23と直交する接線Sよりも、バンプ電極24,25の中心側に位置するようにパッケージベース21の支持面23の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えており、好ましくは凸状の丸みを帯びた形状はバンプ電極24,25の幅方向における全周に亘り形成されている。
換言すれば、バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25a部分における径方向の中心線Oから起点Pまでの距離L1は、中心線Oから接線Sまでの距離L2よりも短いこととなる。
つまり、バンプ電極24,25は、直接接合によって厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
なお、図2の2点鎖線は、バンプ電極24,25の接合前の断面形状(略半円形状)を示す。
【0038】
図1に戻って、水晶振動子1は、水晶振動片10がパッケージベース21の支持面23にバンプ電極24,25を介して接合(支持)された状態で、パッケージベース21がリッド22により覆われ、パッケージベース21とリッド22とが図示しないシームリング、低融点ガラス、接着剤などで接合されることにより、パッケージ20の内部が気密に封止されている。
なお、パッケージ20の内部は、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態となっている。
なお、製造方法の詳細については後述する。
【0039】
水晶振動子1は、外部端子27,28、バンプ電極24,25、引き出し電極15a,16a、励振電極15,16を経由して外部から印加される駆動信号によって、水晶振動片10が励振されて所定の周波数で共振する。
【0040】
ここで、水晶振動子1の製造方法の一例を説明する。
図3は、水晶振動子の製造工程を示すフローチャートであり、図4〜図7は、主要製造工程を説明する模式図である(図1も併せて参照)。
【0041】
図3に示すように、水晶振動子1の製造方法は、水晶振動片準備工程S1と、パッケージベース準備工程S2と、表面活性化処理工程S3と、接合工程S4と、封止工程S5と、を有している。
【0042】
[水晶振動片準備工程S1]
まず、振動部11の一方の主面13及び他方の主面14に形成された励振電極15,16から引き出された引き出し電極15a,16aを基部12に有する水晶振動片10(図1参照)を用意する。
【0043】
[パッケージベース準備工程S2]
ついで、水晶振動片10を支持する支持面23に、バンプ電極24,25を備えたパッケージベース21(図1参照)を用意する。
ここで、バンプ電極24,25の製造方法の概略を説明する。
【0044】
まず、図4(a)に示すように、パッケージベース21の支持面23にスピンコート、印刷などにより、前述したポリイミドなどの弾性樹脂材料30を塗布(コーティング)する。
ついで、図4(b)に示すように、バンプ電極24,25の樹脂突起24a,25a部分に対応する開口部41が形成されたフォトマスク40を用いて、露光及び現像処理を行う。
これにより、図4(c)に示すように、パッケージベース21の支持面23上に、断面形状が略矩形状である円柱状の樹脂突起24a’,25a’が形成される。
【0045】
ついで、図4(d)に示すように、パッケージベース21を図示しない加熱炉内などに投入して加熱し、樹脂突起24a’,25a’を融解させることにより断面形状が略半円状である半球状の樹脂突起24a,25aを形成する。
【0046】
ついで、図4(e)に示すように、樹脂突起24a,25aを覆うようにAu、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を適用することによって導電性被膜24b,25bを形成する。
なお、ここでは、導電性被膜24b,25bの表面は、Auの被膜となっている。
以上の工程を経ることにより、バンプ電極24,25が形成される。
なお、図4の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0047】
[表面活性化処理工程S3]
ついで、図5に示すように、表面活性化装置50の真空チャンバー51内のステージ52に、パッケージベース21を載置する。このとき、パッケージベース21の底面26が、ステージ52の載置面53側となるように載置する。
ついで、図示しない真空ポンプにより真空チャンバー51内を10-3torr程度に減圧する。
ついで、アルゴンなどの不活性ガスのイオンビーム(アルゴンビーム)を、イオンビーム照射装置54によってパッケージベース21の支持面23、バンプ電極24,25に向けて10秒〜30秒程度照射する。
これにより、パッケージベース21の支持面23、バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bがスパッタエッチングされ、表面の酸化膜、吸着された水分、有機物分子などが除去され、表面が活性化する(表面の原子が周囲の原子と結合しやすい状態になる)。
なお、この際、パッケージベース21の支持面23を部分的にマスキングして、バンプ電極24,25(導電性被膜24b,25b)のみにアルゴンビームを照射してもよい。
【0048】
なお、表面活性化処理工程S3において、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aにアルゴンビームを照射して、引き出し電極15a,16aの表面を活性化することが、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合をより確実に行う上で好ましい。
なお、この際、アルゴンビームが励振電極15,16へ照射されないように、励振電極15,16部分をマスキングする必要がある(アルゴンビームの照射による周波数変化を回避するため)。
【0049】
[接合工程S4]
ついで、図6(a)に示すように、接合装置60の一方の側61に水晶振動片10を装着し、一方の側61と対向する他方の側62に、バンプ電極24,25が水晶振動片10の引き出し電極15a,16aと対向するように、パッケージベース21を装着する。
この際、水晶振動片10を、例えば、図示しない吸引装置などを用いて接合装置60の一方の側61の凹部63に、矢印C方向に吸引して仮固定しておく。また、パッケージベース21も、移動しないように位置決めされているものとする。
【0050】
ついで、図6(b)に示すように、水晶振動片10とパッケージベース21との位置合わせ後、常温(20℃±15℃(5℃〜35℃)の範囲を含む標準的な温度)下で、接合装置60の一方の側61を矢印D方向に移動させ、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aをパッケージベース21のバンプ電極24,25に、一例として0.2N程度の押圧力で押圧する。
これにより、図6(c)に示すように、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aの表面のAu原子の結合手Au1と、バンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bの表面のAu原子の結合手Au2とが直接結合する。
つまり、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とを同じ元素同士(同種金属(Au−Au)同士)により直接接合する。
【0051】
なお、本製造方法では、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aが表面活性化処理されていなくても、0.2N程度の押圧力で押圧することによって、引き出し電極15a,16aの表面の酸化膜、吸着された水分、有機物分子などが拡散され、直接接合が可能となる。
なお、接合工程S4は、減圧された真空チャンバー内で行うことが、大気の影響を回避して確実な接合を行う上で好ましい。
なお、図6の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0052】
[封止工程S5]
ついで、図7に示すように、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスの雰囲気中、または減圧された真空チャンバー内において、リッド22を、パッケージベース21に図示しないシームリング、低融点ガラス、接着剤などを用いて気密に接合する。
これにより、パッケージベース21とリッド22とで囲まれた内部空間が、真空状態(真空度の高い状態)または窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが充填された状態で気密に封止される。
なお、図7の断面位置は、図1(b)の断面位置に準じている。
【0053】
上記の各工程を経ることにより、図1に示すような、水晶振動子1を得る。
なお、上記各工程の順番は、必要に応じて適宜入れ換えてもよい。例えば、水晶振動片準備工程S1は、パッケージベース準備工程S2の後でもよく、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aを表面活性化処理しないのであれば、表面活性化処理工程S3の後でもよい。
なお、周波数調整、検査などの工程の説明は省略する。
【0054】
上述したように、第1実施形態の水晶振動子1は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25とが、同じ元素の金属(Au)同士により直接接合されていることから、従来のような、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との導電接触状態を保持する保持部が不要となる。
この結果、水晶振動子1は、保持部を設けるためのスペースが不要なことから、更なる小型化を図ることができる。
また、水晶振動子1は、従来のような保持部としての接着剤の塗布工程が不要なことや、接着剤を硬化させるための加熱、冷却工程が不要なことから、生産性を向上させることができる。
【0055】
また、水晶振動子1は、保持部が不要なことから、例えば、電子機器に実装される際の加熱によっても、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合部からガスが発生する虞がなく、このガスによる水晶振動片10の振動特性の劣化を回避できる。
なお、水晶振動子1は、樹脂突起24a,25aの表面を覆う導電性被膜24b,25bによって、上記加熱時におけるバンプ電極24,25内の樹脂突起24a,25aからのガスの漏出が回避されている。
【0056】
加えて、水晶振動子1は、バンプ電極24,25の弾性を抑制する保持部がないことから、例えば、落下などの衝撃時において、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極24,25の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることができる。
【0057】
なお、水晶振動子1は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bとに用いられる金属が、Au以外にCu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属であってもよい。
これによれば、水晶振動子1は、引き出し電極15a,16a及び導電性被膜24b,25bがAu、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とが、同種金属同士により直接接合されていることから、汎用的な同種金属の使用により両者を安定的に確実に直接接合することができる。
【0058】
また、水晶振動子1は、バンプ電極24,25がパッケージベース21の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。
つまり、バンプ電極24,25は、直接接合により厚み方向の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
これにより、水晶振動子1は、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極24,25の特定の箇所(例えば、樹脂突起24a,25aとパッケージベース21の支持面23との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)ことから、耐衝撃性能を更に向上させることができる。特に、樹脂突起24a,25aがパッケージベース21の支持面23との界面付近から剥がれるのを低減できる。
【0059】
また、水晶振動子1の製造方法は、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21の表面活性化処理されたバンプ電極24,25とを常温下で押圧し、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25とを、同じ元素同士(同種金属(Au−Au)同士)により直接接合することから、上述した効果を奏する水晶振動子1を提供することができる。
加えて、水晶振動子1の製造方法は、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との直接接合を常温下で行うことから、直接接合に伴う加熱、冷却などの工程が不要となり、生産性を向上させることができる。
【0060】
また、水晶振動子1の製造方法は、表面活性化処理工程S3において、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aも表面活性化処理することによって、換言すれば、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aを表面活性化処理する工程を更に備えたことによって、引き出し電極15a,16aとバンプ電極24,25との直接接合をより確実に行うことができる。
【0061】
(変形例)
以下、第1実施形態の水晶振動子の変形例について説明する。
図8(a)〜図8(d)は、変形例の水晶振動子におけるバンプ電極の形状のバリエーションを示す模式斜視図である。
上記実施形態では、水晶振動子1のバンプ電極24,25の突出部分の形状を半球状としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図8に示すような形状でもよい。
【0062】
詳述すると、バンプ電極24,25の突出部分の形状は、図8(a)に示すように、四角錐形状としてもよく、図8(b)に示すように、円錐形状としてもよく、図8(c)に示すように、図8(a)の四角錐の先端側を平面で切り落とした形状としてもよく、図8(d)に示すように、図8(b)の円錐の先端側を平面で切り落とした形状としてもよい。
変形例の水晶振動子は、バンプ電極24,25が上記のいずれの形状であっても、第1実施形態に記載された効果の少なくとも一部を奏することができる。
【0063】
なお、上記実施形態及び変形例では、水晶振動片10の引き出し電極15a,16aとパッケージベース21のバンプ電極24,25の導電性被膜24b,25bとが、同種金属同士(Au−Au)で直接接合されていたが、これに限定されるものではなく、異種金属同士(例えば、Au−Ni、Au−Cr、Au−Pdなど)での直接接合としてもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、水晶振動片をATカット型としたが、これに限定されるものではなく、音叉型や弾性表面波素子片、WT型などのセンサー素子片でもよい。
また、上記実施形態及び変形例では、バンプ電極24,25をパッケージベース21に設けたが、引き出し電極15a,16aに代えてバンプ電極24,25を水晶振動片10側に設け、バンプ電極24,25に代えて接続電極(引き出し電極15a,16aのような平坦な電極)をパッケージベース21側に設ける構成としてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
以下、電子機器としての携帯電話を一例に挙げて説明する。
図9は、第2実施形態の携帯電話を示す模式斜視図である。
第2実施形態の携帯電話700は、第1実施形態または第1実施形態の変形例の水晶振動子を用いた携帯電話である。
図9に示す携帯電話700は、上述した水晶振動子1を、例えば、基準クロック発振源などのタイミングデバイスとして用い、更に液晶表示装置701、複数の操作ボタン702、受話口703、及び送話口704を備えて構成されている。
【0065】
上述した水晶振動子1は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピューター、テレビ、デジタルスチールカメラ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などのタイミングデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【0066】
(第3実施形態)
以下、電子部品としての圧力センサーモジュールを一例に挙げて説明する。
図10は、第3実施形態の圧力センサーモジュールの概略構成を示す模式図である。図10(a)は、ダイヤフラム層側から俯瞰した平面図であり、図10(b)は、図10(a)のE−E線での断面図である。図11は、図10(a)のF−F線での模式拡大断面図である。なお、平面図では、便宜的にダイヤフラム層を省略してある。
【0067】
図10、図11に示すように、圧力センサーモジュール2は、振動デバイスとしての圧力センサー101と、圧力センサー101を載置する基板221と、を備えている。
圧力センサー101は、感圧素子層110と、感圧素子層110の一方の主面111側を覆うダイヤフラムとしてのダイヤフラム層120と、感圧素子層110の他方の主面112側を覆うベース層130と、を備えている。
圧力センサー101は、上記各層が、平面視において輪郭が互いに重なり合うように積層されることにより、略直方体形状に形成されている。
なお、圧力センサー101の各層は、複数個取りが可能なウエハー状の水晶基板を基材として、フォトエッチング、サンドブラストなどの加工方法により所定の形状に形成されている。
【0068】
感圧素子層110は、感圧部としての互いに略平行な角柱状の一対の振動片部(柱状ビーム)113と、振動片部113の両端に接続される一対の略矩形の基部114とを有する感圧素子としての双音叉素子115と、双音叉素子115を囲む略矩形の枠部116と、枠部116と双音叉素子115の各基部114とを接続する各一対の梁状の腕部117とを有している。
感圧素子層110は、平面視において外形形状が略矩形に形成され、各構成要素の厚みが略同一に形成されている。なお、双音叉素子115の図示しない電極は、腕部117を介して枠部116に引き出されている。
【0069】
ダイヤフラム層120は、平面視において外形形状が略矩形に形成されている。
そして、ダイヤフラム層120は、感圧素子層110の一方の主面111側を覆うように配置されている。
ダイヤフラム層120は、外部からの圧力を受けて撓む凹部121と、凹部121を囲む外周枠部122と、双音叉素子115の一対の基部114に対向する位置に、凹部121から感圧素子層110側に突出し、双音叉素子115の各基部114が接合される一対の支持部123と、を有している。
【0070】
圧力センサー101は、双音叉素子115の振動片部113と、ダイヤフラム層120の凹部121との間に空間が形成されている。
なお、ダイヤフラム層120の外周枠部122は、感圧素子層110の枠部116と図示しない接合部材を介して接合されている。
なお、接合部材には、例えば、低融点ガラスやエポキシ系接着剤などを用いることができ、それらは水晶の熱膨張率に近似する材料から構成されることが好ましい。
【0071】
ベース層130は、平面視において外形形状が略矩形に形成されている。ベース層130は、感圧素子層110側に双音叉素子115との間に空間を形成するための凹部131が形成されている。
そして、ベース層130は、感圧素子層110の他方の主面112側を覆うように配置され、凹部131を囲む外周枠部132が感圧素子層110の枠部116と図示しない接合部材を介して接合されている。
ベース層130の外部側の底面133には、接続電極134,135が設けられている。接続電極134,135は、図示しない内部配線によって双音叉素子115の各電極と接合されている。
接続電極134,135は、Crを下地層とし、その上にAuが積層された構成の金属被膜となっている。
【0072】
なお、感圧素子層110の腕部117は、ダイヤフラム層120、ベース層130のいずれにも接合されておらず、フリーな状態になっている。
【0073】
上記の構成により、圧力センサー101は、ダイヤフラム層120と双音叉素子115の振動片部113との間、及び双音叉素子115とベース層130との間に空間が形成された状態で、双音叉素子115の各基部114が、ダイヤフラム層120の各支持部123に接合されている。
これにより、圧力センサー101は、双音叉素子115が各支持部123間に架け渡された状態となっている。
【0074】
以上のように構成された圧力センサー101は、内部が気密に封止され、真空状態(真空度の高い状態)に保持されており、絶対圧を検出する圧力センサーとなっている。
【0075】
基板221には、主面としての、圧力センサー101を支持する支持面223に、バンプ電極224,225が設けられている。
バンプ電極224,225は、基板221の支持面223から圧力センサー101側に向かって突出した形状であって、図11に示すように、弾性を有する樹脂製の樹脂突起224a,225aと、樹脂突起224a,225aの表面を覆う導電性被膜224b,225bと、を有している。
バンプ電極224,225の樹脂突起224a,225aは、圧力センサー101の接続電極134,135と対向する位置に半球状に突出して形成されている(圧力センサー101との接合前の形状)。
バンプ電極224,225の導電性被膜224b,225bは、樹脂突起224a,225aを覆うと共に支持面223まで延在し、平面形状が略矩形に形成されている。
【0076】
樹脂突起224a,225aは、ポリイミドなどの弾性樹脂材料を支持面223にコーティングし、フォトリソグラフィーなどのパターニング処理を行うことによって形成される。
なお、樹脂突起224a,225aの材料としては、ポリイミド樹脂以外に、シリコーン変性ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、変性ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン、ポリベンゾオキサゾールなどの樹脂を用いてもよい。
【0077】
樹脂突起224a,225aの表面に形成された導電性被膜224b,225bは、Au、TiW、Cu、Ni、Pd、Al、Cr、Ti、W、NiV、鉛フリーはんだなどの導電性金属を、蒸着、スパッタリングなどによって成膜し、適宜のパターニング処理を適用することによって形成される。
また、導電性被膜224b,225bは、Cu、Ni、Alなどで構成された下地の被膜の表面をさらにAuメッキなどで被覆し、導電性能を高めることも可能である。
なお、本実施形態では、導電性被膜224b,225bの表面がAuの被膜であるものとする。
これにより、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とは、同じ元素(ここでは、Au)を含むこととなる。
【0078】
圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の上に接続電極134,135が位置するように、基板221の支持面223に圧力センサー101が載置されている。
圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と、アルゴンビームなどの照射によって導電性被膜224b,225bの表面が活性化処理されたバンプ電極224,225とが、位置合わせされた状態で、圧力センサー101及び基板221が互いに近づく方向に常温下で押圧されることにより直接接合される。(直接接合の原理としては、表面のAu原子の結合手同士が直接結合することにより接合されると考えられている)。
そして、圧力センサーモジュール2は、この直接接合により、接続電極134,135と、バンプ電極224,225とが、電気的及び機械的に接合されている。
【0079】
図11に示すように、バンプ電極224,225は、上記押圧により若干塑性変形して厚み方向につぶれている。
そして、バンプ電極224,225は、基板221の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備えている。詳述すると、バンプ電極224,225は、樹脂突起224a,225aに沿って導電性被膜224b,225bが基板221の支持面223から上方(圧力センサー101側)へ向かう立ち上がりとなる外部側の起点P1が、導電性被膜224b,225bに接する接線のうち基板221の支持面223と直交する接線S1よりもバンプ電極224,225の中心側に位置するように、基板221の支持面223の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えている。
換言すれば、バンプ電極224,225の樹脂突起224a,225a部分における径方向の中心線O1から起点P1までの距離L11は、中心線O1から接線S1までの距離L12よりも短いこととなる。
つまり、バンプ電極224,225は、直接接合により厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることとなる。
なお、図11の2点鎖線は、バンプ電極224,225の接合前の断面形状(略半円形状)を示す。
【0080】
ここで、圧力センサーモジュール2の基本動作について、概略を説明する。
圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101のベース層130側が基板221の支持面223側に載置され、基板221における支持面223の反対側(裏側)の面226が、図示しない外部機器の搭載面に載置されるように構成されている。
圧力センサーモジュール2は、外部からの圧力を圧力センサー101の双音叉素子115の振動片部113の共振周波数の変化によって検出する機能を備えている。
【0081】
詳述すると、図10(b)に示すように、圧力センサー101は、外部からの圧力を受けるとダイヤフラム層120の凹部121が、圧力の程度に応じて矢印G方向に撓む。
圧力センサー101は、この矢印G方向の撓みに伴って、ダイヤフラム層120の各支持部123が、矢印H方向に変位する(各支持部123間の間隔が変化する)。
これにより、各支持部123間に架け渡された状態で接合されている双音叉素子115は、矢印H方向に引張力または圧縮力が加わり伸縮する。
この際、双音叉素子115は、矢印H方向に引張力が加われば、例えば、巻き上げられた弦楽器の弦のように、振動片部113の共振周波数が高くなる方に変化し、矢印H方向に圧縮力が加われば、例えば、巻き戻された弦楽器の弦のように、振動片部113の共振周波数が低くなる方に変化する。
【0082】
圧力センサーモジュール2は、この圧力センサー101の共振周波数の変化を検出している。外部からの圧力は、この検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換することで導出される。
圧力センサーモジュール2には、圧力センサー101を駆動する(共振させる)駆動用回路と、外部からの圧力を検出された共振周波数の変化の割合に応じて、ルックアップテーブルなどによって定められた数値に変換する演算用回路とを備えていることが好ましい。
【0083】
上述したように、第3実施形態の圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とが、直接接合されていることから、例えば、落下などの衝撃時において、接続電極134,135とバンプ電極224,225との接合部に加わる衝撃力が、バンプ電極224,225の弾性によって確実に吸収、緩和され、耐衝撃性能を向上させることが可能となる。
【0084】
また、圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の、厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることから、落下などの衝撃時に加わる衝撃力が、バンプ電極224,225の特定の箇所(例えば、樹脂突起224a,225aと基板221の支持面223との界面)に集中することなく、概ね均一に分散される(応力集中が緩和される)。特に、樹脂突起224a,225aが基板221の支持面223との界面付近から剥がれるのを低減できる。
この結果、圧力センサーモジュール2は、耐衝撃性能を更に向上させることができる。
【0085】
また、圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225との接合部分に発生する歪み(例えば、熱応力など)が、バンプ電極224,225の弾性変形によって吸収、緩和されることから、歪みに起因する圧力センサー101への悪影響を抑制することができる。
この際、圧力センサーモジュール2は、バンプ電極224,225の、厚み方向(紙面上下方向)の中間部分が、太鼓胴形の曲面状に外部側にせり出していることから、上記歪みが、更に吸収、緩和され易くなり、歪みに起因する圧力センサー101への悪影響を、より抑制することができる。
【0086】
また、圧力センサーモジュール2は、圧力センサー101の接続電極134,135と基板221のバンプ電極224,225とが、直接接合されていることから、例えば、はんだによる両者の接合と比較して、接合に要する面積を小さくすることが可能となり、更なる小型化を図ることができる。
【0087】
なお、上記各実施形態及び変形例では、振動片(双音叉素子を含む)の材料を水晶としたが、振動片の材料としては、水晶に限定するものではなく、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、四ホウ酸リチウム(Li2B4O7)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体、または酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)などの圧電体を被膜として備えたシリコンなどの半導体であってもよい。
【0088】
上述した圧力センサーモジュール2は、河川用水位計、圧力ゲージ、自動車用タイヤ圧検出システム、高度計を備えた機器などのセンサーデバイスとして好適に用いることができ、いずれの場合にも上記実施形態および変形例で説明した効果を奏する電子機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…電子部品としての水晶振動子、2…電子部品としての圧力センサーモジュール、10…振動片としての水晶振動片、11…振動部、12…基部、13…一方の主面、14…他方の主面、15…励振電極、15a…接続電極としての引き出し電極、16…励振電極、16a…接続電極としての引き出し電極、20…パッケージ、21…基板としてのパッケージベース、22…リッド、23…主面としての支持面、24…バンプ電極、24a,24a’…樹脂突起、24b…導電性被膜、25…バンプ電極、25a,25a’…樹脂突起、25b…導電性被膜、26…底面、27,28…外部端子、30…弾性樹脂材料、40…フォトマスク、41…開口部、50…表面活性化装置、51…真空チャンバー、52…ステージ、53…載置面、54…イオンビーム照射装置、60…接合装置、61…一方の側、62…他方の側、63…凹部、101…振動デバイスとしての圧力センサー、110…感圧素子層、111…一方の主面、112…他方の主面、113…振動片部、114…基部、115…双音叉素子、116…枠部、117…腕部、120…ダイヤフラム層、121…凹部、122…外周枠部、130…ベース層、131…凹部、132…外周枠部、134,135…接続電極、221…基板、223…主面としての支持面、224…バンプ電極、224a…樹脂突起、224b…導電性被膜、225…バンプ電極、225a…樹脂突起、225b…導電性被膜、226…反対側の面、700…電子機器としての携帯電話、701…液晶表示装置、702…操作ボタン、703…受話口、704…送話口、O,O1…中心線、P,P1…起点、S,S1…接線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続電極を有する振動片と、バンプ電極を有する基板と、を備え、
前記バンプ電極と前記接続電極とを介して、前記基板に前記振動片が載置されており、
前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動片側に向かって突出した形状であると共に、
前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、
前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、
前記樹脂突起に沿って前記導電性被膜が前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
接続電極を有する振動片を用意する工程と、
基板の主面から前記振動片側に突出した樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有したバンプ電極であって、前記導電性被膜が前記接続電極の金属被膜と同じ元素を含んでなる前記バンプ電極を備えた前記基板を用意する工程と、
前記基板の前記バンプ電極を表面活性化処理する工程と、
前記振動片の前記接続電極と前記基板の表面活性化処理された前記バンプ電極とを対向させて、前記接続電極と前記バンプ電極とを常温下で押圧し、前記接続電極と前記バンプ電極とを直接接合する工程と、
を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電子部品の製造方法において、前記振動片の前記接続電極を表面活性化処理する工程を、更に備えたことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項7】
接続電極を有する振動デバイスと、バンプ電極を有する基板と、を備え、
前記バンプ電極の上に前記接続電極が位置するように前記基板に前記振動デバイスが載置されており、
前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動デバイス側に向かって突出した形状であると共に、
前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、
前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項8】
請求項7に記載の電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、
前記導電性被膜の前記樹脂突起に沿って前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の電子部品を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
接続電極を有する振動片と、バンプ電極を有する基板と、を備え、
前記バンプ電極と前記接続電極とを介して、前記基板に前記振動片が載置されており、
前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動片側に向かって突出した形状であると共に、
前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、
前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、
前記樹脂突起に沿って前記導電性被膜が前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電子部品を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
接続電極を有する振動片を用意する工程と、
基板の主面から前記振動片側に突出した樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有したバンプ電極であって、前記導電性被膜が前記接続電極の金属被膜と同じ元素を含んでなる前記バンプ電極を備えた前記基板を用意する工程と、
前記基板の前記バンプ電極を表面活性化処理する工程と、
前記振動片の前記接続電極と前記基板の表面活性化処理された前記バンプ電極とを対向させて、前記接続電極と前記バンプ電極とを常温下で押圧し、前記接続電極と前記バンプ電極とを直接接合する工程と、
を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電子部品の製造方法において、前記振動片の前記接続電極を表面活性化処理する工程を、更に備えたことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項7】
接続電極を有する振動デバイスと、バンプ電極を有する基板と、を備え、
前記バンプ電極の上に前記接続電極が位置するように前記基板に前記振動デバイスが載置されており、
前記バンプ電極は、前記基板の主面から前記振動デバイス側に向かって突出した形状であると共に、
前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えた樹脂製の樹脂突起と、前記樹脂突起の表面を覆う導電性被膜と、を有し、
前記接続電極と前記バンプ電極とが、直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項8】
請求項7に記載の電子部品において、前記バンプ電極は、前記基板の厚み方向に太鼓胴形の曲面を備え、
前記導電性被膜の前記樹脂突起に沿って前記基板の上方へ向かう立ち上がりとなる起点が、前記導電性被膜に接する接線のうち前記基板の前記主面と直交する接線よりも前記バンプ電極の中心側に位置するように、前記基板の前記主面の広がり方向に向かって凸状に丸みを帯びた形状を備えていることを特徴とする電子部品。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載の電子部品において、前記接続電極及び前記導電性被膜が、Au、Cu、Al、ステンレス鋼のいずれか1つの同種金属を含んでなり、前記接続電極と前記バンプ電極とが、前記同種金属同士により直接接合されていることを特徴とする電子部品。
【請求項10】
請求項7ないし請求項9のいずれか一項に記載の電子部品を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−80383(P2012−80383A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224597(P2010−224597)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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