説明

電子部品の圧縮成形方法

【課題】電子部品の圧縮成形用金型1(上下両型2・3)に設けた下型キャビティ5内に顆粒状樹脂材料(顆粒樹脂)6を効率良く供給する。
【解決手段】まず、所要量の顆粒樹脂6を樹脂収容用プレート21(樹脂収容部22)に供給してプレート開口部23側に所要の大きさを有する離型フィルム11を被覆すると共に、離型フィルム被覆プレート21内を所要の真空度に設定して離型フィルム11をプレート21に被覆固定することにより、樹脂配布済プレート25を形成して反転させる。次に、この反転した樹脂配布済プレート25をインローダ9で金型キャビティ5の位置に移送してこの反転プレート25内の真空状態を解除して離型フィルム11をキャビティ5内面に被覆させると共に、離型フィルム11を被覆した金型キャビティ5にプレート21内から顆粒樹脂6を落下させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC等の電子部品を圧縮成形する電子部品の圧縮成形方法に係り、特に、電子部品の圧縮成形用金型に樹脂材料を供給するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、図6に示すように、電子部品の圧縮成形用金型81を用いて、基板82に装着した所要数の電子部品83を顆粒状の樹脂材料(顆粒樹脂)84にて圧縮成形(樹脂封止成形)することが行われているが、次のようにして行われている。
【0003】
即ち、まず、電子部品の圧縮成形用金型81(上型85と下型86)に設けた下型キャビティ87内に離型フィルム88を被覆すると共に、この離型フィルム88を被覆した下型キャビティ87内に顆粒樹脂84を供給して加熱溶融化し、次に、前記した金型81(85・86)を型締めして下型キャビティ87内の溶融樹脂に基板82に装着した所要数の電子部品83を浸漬することにより、下型キャビティ87の形状に対応した樹脂成形体内に所要数の電子部品83を圧縮成形(一括片面モールド)している。
【0004】
ところで、前記した下型キャビティ87内に顆粒樹脂を供給するには樹脂材料供給機構(下部シャッタ90と供給部91)が用いられている。
即ち、前記した樹脂材料供給機構89(供給部91)に所要量の顆粒樹脂84を投入してこの樹脂材料供給機構89を前記した上下両型85・86間に進入させ、次に、樹脂材料供給機構89の下部シャッタ90を引いて開けることにより、供給部91から下型キャビティ87内に顆粒樹脂84を落下させて供給している。
【0005】
【特許文献1】特開2004−216558号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、金型キャビティ87内への樹脂84の供給時において、樹脂材料供給機構89のシャッタ90を開けて下型キャビティ87内に顆粒樹脂84を落下供給させた場合、樹脂の一部92が樹脂材料供給機構89(供給部91)側に残存することがある。
従って、金型キャビティ87内への樹脂84の供給時において、金型キャビティ87内に樹脂84を効率良く供給することができないと云う弊害がある。
また、金型キャビティ87内への樹脂84の供給時に、樹脂の一部(残存する顆粒樹脂)92が樹脂材料供給機構89(供給部91)側に残存するため、金型キャビティ87内に供給される樹脂量に不足が発生し易い。
従って、金型キャビティ87内への樹脂84の供給時において、金型キャビティ87内に供給される樹脂量の信頼性を効率良く向上させることができないと云う弊害がある。
【0007】
即ち、本発明は、金型キャビティ内への樹脂の供給時に、金型キャビティ内に樹脂を効率良く供給することを目的とする。
また、本発明は、金型キャビティ内への樹脂の供給時において、金型キャビティ内に供給される樹脂量の信頼性を効率良く向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、電子部品の圧縮成形用金型を用いて、離型フィルムが被覆された金型キャビティ内に所要量の樹脂材料を供給すると共に、前記したキャビティ内の樹脂に電子部品を浸漬することにより、前記したキャビティ内で当該キャビティの形状に対応した樹脂成形体内に前記した電子部品を樹脂封止成形する電子部品の圧縮成形方法であって、前記した樹脂材料の金型キャビティへの供給前に、樹脂収容用のキャビティと同等の窪みを有するプレートに所要量の樹脂材料を供給する工程と、前記したプレートの開口部側に所要の大きさを有する離型フィルムを載置する工程と、前記した離型フィルム載置プレート内を所要の真空度に設定して前記した離型フィルムを前記したプレートに被覆固定する工程と、前記した離型フィルム被覆プレートを反転させる工程と、前記した反転プレートを前記した金型キャビティの位置に移送する工程と、前記した反転プレート内の真空状態を解除する工程と、前記した反転プレート内の真空状態の解除時に、前記した離型フィルムを前記したキャビティ面に被覆固定させる工程と、前記したプレート内の真空状態の解除時に、前記した離型フィルムを被覆した金型キャビティ内に前記したプレート内から樹脂材料を供給する工程とを含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、前記したプレート内に樹脂材料を供給しながら、又は、プレート内に樹脂材料を供給する前に、前記した樹脂材料を計量する工程とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、前記したプレートに所要量の樹脂材料を供給した後、前記したプレート内の樹脂材料の厚さを均一にする工程を行うことを特徴とする。
【0011】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、前記した樹脂材料が、所要の粒径分布を有するパウダー状の樹脂材料であることを特徴とする。
【0012】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、前記した樹脂材料が、顆粒状の樹脂材料であることを特徴とする。
【0013】
また、前記した技術的課題を解決するための本発明に係る電子部品の圧縮成形方法は、前記した樹脂材料が、粉末状の樹脂材料であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
即ち、本発明によれば、金型キャビティ内への樹脂の供給時に、金型キャビティ内に樹脂を効率良く供給することができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明によれば、金型キャビティ内への樹脂の供給時において、金型キャビティ内に供給される樹脂量の信頼性を効率良く向上させることができると云う優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施例図に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図1、図2(1)〜(2)は、本発明に用いられる樹脂収容用のプレートである。
図3、図4、図5は、本発明に用いられる電子部品の圧縮成形用金型である。
【0016】
(電子部品の圧縮成形用金型の構成について)
まず、本発明に用いられる電子部品の圧縮成形用金型の構成について説明する。
即ち、図3、図4、図5に示す電子部品の圧縮成形用金型1には、固定上型2と、上型2に対向配置した可動下型3と、上型2の型面に設けた基板セット部4と、下型3に設けた圧縮成形用キャビティ5と、前記した金型1に顆粒状の樹脂材料(顆粒樹脂)6と所要数の電子部品7を装着した基板8(成形前基板)とを同時に(或いは、個別に)供給するインローダ9と、前記した金型1で圧縮成形(樹脂封止成形)された成形済基板を取り出すアウトローダ(図示なし)と、前記した金型1を所要の温度にまで加熱する加熱手段(図示なし)と、前記した金型1を所要の型締圧力にて型締めする型締手段(図示なし)とが設けられて構成されている。
なお、前記した上型基板セット部4には電子部品7を下方向(下型方向)に向けた状態で供給セットすることができるように構成されると共に、前記した下型キャビティ5にはそのキャビティ開口部10が上方向(上型方向)に開口した状態で設けられて構成されている。
また、前記した下型3の型面を含むキャビティ面には、後述する(所要の大きさの)離型フィルム11を吸着固定する適宜な吸着固定手段(例えば、所要数の吸引孔と真空経路と真空引き機構とから構成)が設けられて構成されている。
また、前記したインローダ9には、インローダの下部側に設けられた後述する樹脂収容用プレートを係着するプレート係着部9aと、インローダの上部側に設けられ且つ電子部品7を下方向に向けた状態で電子部品7を装着した基板8(成形前基板)を載置する基板載置部9bとが設けられて構成されている。
従って、前記した下型3の型面を含む下型キャビティ5内面に後述する(所要の大きさの)離型フィルム11を被覆させることができるように構成されると共に、前記したインローダ9を用いることにより、前記した離型フィルム11を被覆した下型キャビティ5内に顆粒樹脂6を供給し且つ前記した基板セット部4に電子部品7を装着した基板8を供給セットすることができるように構成されている。
【0017】
また、前記金型1に所要の型締圧力にて型締めすることにより、前記キャビティ5内で加熱溶融化された樹脂材料(6)に前記した電子部品7を浸漬し得て、前記キャビティ5内の樹脂(6)に所要の樹脂圧を加えることができるように構成されている。
また、前記したキャビティ5内で当該キャビティ5の形状に対応した樹脂成形体12内に電子部品7を圧縮成形(樹脂封止成形)することができるように構成されている。
なお、前記した金型1に顆粒樹脂6を供給する樹脂材料の供給手段として、後述する樹脂収容用のプレート21用いられて構成されている。
【0018】
(樹脂収容用プレートの構成について)
即ち、図1、図2(1)、図2(2)に示すように、前記した樹脂収容用プレート21(トレイ)には、所要量の顆粒樹脂6が収容(供給)される樹脂収容部(凹部)22と、樹脂収容部22に設けられたプレート開口部23(樹脂収容部22の開口部)と、プレート開口部23の周囲に設けられたプレート周縁部24とが設けられて構成されている。
また、樹脂収容用プレート21は、キャビティ5と同等の窪み(樹脂収容部22)を有するプレートである。
即ち、樹脂収容部22に配布(供給)された所要量の顆粒樹脂6の形状(例えば、シート形状)は、そのままの状態で、キャビティ5内に供給セットすることができるように構成されている。
従って、樹脂収容部22における所要量の顆粒樹脂6の形状は、キャビティ5の形状に適合することになる。
更に、前記したプレート21において、前記した樹脂収容部22に所要量の顆粒樹脂6を収容すると共に、前記したプレート周縁部24を含むプレート開口部23に所要の大きさ(広さ)の離型フィルム11を被覆することにより、前記した顆粒樹脂6を収容した樹脂収容部22(プレート開口部23側)を前記した被覆離型フィルム11にて閉鎖(封鎖)することができるように構成されている。
【0019】
(プレート内の真空引きの構成について)
また、図示はしていないが、樹脂収容用プレート21には、前記した離型フィルム11にて被覆閉鎖された樹脂収容部22の内部から空気を強制的に吸引排出する真空引き手段として、例えば、真空ポンプ等の真空引き機構が設けられて構成されると共に、プレート21の本体(樹脂収容部22)側に設けた開閉弁と真空引き機構とが真空チューブ等の真空経路(真空チューブ)にて連通接続して構成され、更に、この開閉弁に対して真空チューブが着脱自在に設けられて構成されている。
即ち、まず、前記した開閉弁を開状態とし、次に、前記した真空引き機構にて前記した真空経路(開閉弁)を通して前記した樹脂収容部22から空気を強制的に吸引排出して開閉弁を閉状態とすることにより、前記した樹脂収容部22内を所要の真空度に設定して離型フィルム11をプレート21に被覆固定することができるように構成されている。
なお、次に、プレート21(開閉弁)側のから真空チューブを取り外しても良い。
即ち、前記したプレート21の開口部23側を離型フィルム11にて被覆して樹脂収容部22内を真空引きすることにより、前記した顆粒樹脂6を供給した樹脂収容部22内を所要の真空度に設定して前記した離型フィルム11にて封鎖することができるように構成されている。
従って、前記した離型フィルム11で被覆固定され且つ前記した顆粒樹脂6を供給された樹脂収容部22(プレート21)内を真空引きすることにより、樹脂配布済プレート25を形成することができる。
なお、本発明は、後述するように、この樹脂配布済プレート25を反転させた状態で前記した上下両型2・3間にこの樹脂配布済プレート25を進入させることになる。
【0020】
また、前記したプレート周縁部24に所要数の吸引孔を設けて構成すると共に、前記した吸引孔から前記した真空引き機構(前記した真空経路及び開閉弁を含む)にて空気を強制的に吸引排出して前記したプレート周縁部24に前記した離型フィルム11を吸着することにより、前記したプレート21の開口部23側を離型フィルム11で被覆固定する構成を採用しても良い。
また、前記した離型フィルム11のプレート21への被覆について、前記した樹脂収容部22内の真空引きの構成と、前記したプレート周縁部24における吸引孔からの真空引きの構成を併用しても良い。
また、前記したプレート21における樹脂収容部22内(プレート周縁部24の吸引孔)からの真空引きは、後述する反転した樹脂配布済プレート25の上下両型2・3間への進入時に継続して行っても良い。
なお、前記した樹脂収容用プレート21に所要量の顆粒樹脂6を計量して配布(投入)するには、例えば、後述する樹脂材料の配布手段が用いられている。
【0021】
(樹脂材料の配布手段の構成について)
また、図1に示す樹脂材料の配布手段(樹脂材料の計量投入手段)31にて、プレート21(樹脂収容部22)に所要量の顆粒樹脂6を計量して投入することにより、プレート21の樹脂収容部22に顆粒樹脂6を均一な厚さ(単位面積当たり一定量の樹脂量)で配布することができるように構成されている。
なお、樹脂材料の配布手段31には、樹脂材料の投入側配布手段31aと樹脂材料の受給側配布手段31bとに分かれて構成されている。
【0022】
また、樹脂材料の投入側配布手段31aには、プレート21(樹脂収容部22)に所要量の顆粒樹脂6を投入する樹脂材料の投入手段32と、プレート21に投入される所要量の顆粒樹脂6を計量する樹脂材料のフィーダ側計量手段(ロードセル)33とから構成されている。
また、図1に示すように、樹脂材料の投入手段32には、顆粒樹脂のホッパ34と、プレート21に顆粒樹脂を適宜な振動手段(図示なし)にて振動させながら移動させて投入するリニア振動フィーダ35とが設けられて構成されている。
従って、樹脂材料の投入側配布手段31aにおいて、ホッパ34からの顆粒樹脂6をリニア振動フィーダ35にて振動させながら移動させてプレート21(樹脂収容部22)に所要量の顆粒樹脂6を投入することができるように構成されると共に、プレート21に投入される顆粒樹脂6を、顆粒樹脂6を投入しながら(樹脂材料の投入時に)、フィーダ側計量手段(ロードセル)33にて計量することができるように構成されている。
【0023】
また、樹脂材料の受給側配布手段31bには、プレート21(樹脂収容部22)を載置(移動)するプレート載置手段(図示なし)と、リニア振動フィーダ35から樹脂収容部22内に投入された顆粒樹脂6(プレート21)を振動させながら当該顆粒樹脂6をX方向或いはY方向に移動させて樹脂収容部22内で顆粒樹脂6の厚さを均一化する(単位面積当たり一定量の樹脂量に形成する)樹脂材料の振動均一化手段(図示なし)と、プレート21に投入される所要量の顆粒樹脂6を計量する樹脂材料のプレート側計量手段(ロードセル)36とが設けられて構成されている
従って、樹脂材料の受給側配布手段31bにおいて、プレート載置手段に載置されたプレート21に投入された所要量の顆粒樹脂6を、プレート21を振動均一化手段にて振動させながら当該顆粒樹脂6をX方向或いはY方向に移動させて樹脂収容部22内で顆粒樹脂6の厚さを均一化する(単位面積当たり一定量の樹脂量に形成する)ことができるように構成されると共に、プレート21に投入される顆粒樹脂6を、顆粒樹脂6を投入しながら(樹脂材料の投入時に)、プレート側計量手段(ロードセル)36にて計量することができるように構成されている。
【0024】
従って、図1に示すように、樹脂材料の配布手段31にて、まず、リニア振動フィーダ35からプレート21の樹脂収容部22に顆粒樹脂6を少量ずつ適宜に振動させながら投入(供給)し、次に、樹脂材料の振動均一化手段にて投入された当該顆粒樹脂6(プレート21)を連続的に振動させることによりX方向或いはY方向に移動させて樹脂収容部22内で顆粒樹脂6の厚さを均一化することができる(単位面積当たり一定量の樹脂量に形成することができる)。
また、前述したように、樹脂収容部22内で顆粒樹脂6の厚さを効率良く均一化し得て(単位面積当たり一定量の樹脂量に効率良く形成し得て)樹脂収容部22内で顆粒樹脂6(の表面)を効率良く平坦化することができる。
なお、顆粒樹脂6の計量について、樹脂材料の投入側配布手段31aのフィーダ側計量手段33による計量工程と、樹脂材料の受給側配布手段31bのプレート側計量手段36による計量工程とを併用することができる。
また、これらの両計量工程をいずれか一方のみ実施する構成を採用してもよい。
【0025】
即ち、樹脂材料の投入手段32(リニア振動フィーダ35)においては、顆粒樹脂6を振動させることにより、単位時間当たり一定量の樹脂量にてプレート21に投入することができるように構成されると共に、この単位時間当たりの樹脂投入量と、樹脂材料の振動均一化手段によるプレート21(顆粒樹脂6)に対する振動作用とを適宜に調整することにより、樹脂収容部22内に投入される顆粒樹脂6を単位面積当たり一定量の樹脂量に形成することができるように構成されている。
また、プレート21の樹脂収容部22における中央部に顆粒樹脂6を落下さて投入する構成を採用することができる。
この場合、樹脂収容部22内で振動を加えられる顆粒樹脂6は外周囲方向に均等に移動して平坦化することになる。
また、プレート21の樹脂収容部22にリニア振動フィーダ35から顆粒樹脂6を投入する場合に、プレート21をプレート載置手段にて適宜に移動させても良い。
なお、プレート21の樹脂収容部22内における投入された顆粒樹脂6に凹凸部が残存した場合、プレート21に振動作用を加えることにより、或いは、へらにて、当該凹凸部を平坦面にし得て顆粒樹脂6の厚さを均一化することができる。
【0026】
(電子部品の圧縮成形方法)
次に、図例を用いて、本発明に係る電子部品の圧縮成形方法を説明する。
即ち、まず、図1に示すように、前記した樹脂材料の配布手段31にて、リニア振動フィーダからプレート21の樹脂収容部22内に顆粒樹脂6を少量ずつ振動させながら落下投入(供給)し、次に、樹脂収容部22内の顆粒樹脂6を連続的に振動させながらX方向に或いはY方向に移動させることにより、顆粒樹脂6を単位面積当たり一定量の樹脂量に形成することができ、顆粒樹脂の厚さを均一化することができる。
このとき、プレート21に投入される顆粒樹脂6を、顆粒樹脂6を投入しながら(樹脂材料の投入時に)、フィーダ側計量手段33による計量とプレート側計量手段36による計量とを併用することができる。
また、このとき、フィーダ側計量手段33による計量とプレート側計量手段36による計量とのいずれか一方の計量のみを実施しても良い。
従って、前記した樹脂材料の配布手段31を用いて、プレート21に投入される所要量の顆粒樹脂6を効率良く計量し得て、樹脂収容部22内(プレート21)の顆粒樹脂6を効率良く平坦化することができる。
なお、樹脂収容部22内の顆粒樹脂6に凹凸部が残存した場合、プレート21に振動を加えることにより、或いは、へらを用いることにより、脂収容部22内の顆粒樹脂6を平坦化することができる。
【0027】
次に、図2(1)に示すように、顆粒樹脂6を供給したプレート21の開口部23に所要の大きさの離型フィルム11を載置すると共に、前記した真空引き機構にて前記した顆粒樹脂6を供給したプレート21の樹脂収容部22から空気を強制的に吸引排出して前記した樹脂収容部22内を所要の真空度に設定する。
このとき、前記プレート開口部23側(プレート周縁部24)に離型フィルム11を被覆固定することができるので、離型フィルム11が被覆され且つ樹脂材料6が投入されたプレート21(樹脂収容部22)、即ち、樹脂配布済プレート25を形成することができる。
また、次に、図2(2)に示すように、前記した樹脂配布済プレート25を反転させてインローダ9に係着する(なお、例えば、このとき、プレート21の開閉弁側から真空チューブを取り外しても良い)。
このとき、前記したインローダ9の下部側に設けたプレート係着部9aに反転した状態の樹脂配布済プレート25を係着し、且つ、前記したインローダ9の上部側に設けた基板載置部9bに所要数の電子部品7を装着した基板8を、電子部品7を下方向に向けた状態で載置することができる。
【0028】
また、次に、図3に示すように、前記した金型1(上下両型2・3)を型開きして前記した上下両型2・3間にインローダ9を進入させる。
このとき、前記したキャビティ5の直上位置にインローダ9を配置すると共に、まず、前記した上型2の基板セット部4に、基板8に装着した電子部品7を下方向に向けた状態で供給セットし、次に、前記したキャビティ5の開口部10を含む下型3の型面に樹脂配布済プレート25を当接する。
このとき、前記したキャビティ5の開口部10を含む下型3の型面に前記したプレート21に被覆固定された離型フィルム11が当接することになると共に、下型3の型面に離型フィルム11の外周囲部が吸着固定され、更に、前記した下型3の型面とプレート周縁部24にて離型フィルム11の外周囲部側が挟持されることになる。
なお、このとき、前記したキャビティ5の開口部10と前記したプレート21の開口部23とは合致した状態に構成されている。
次に、図4に示すように、樹脂配布済プレート25の樹脂収容部22内の真空状態を(例えば、開閉弁を開状態にして)解除する。
このとき、前記したキャビティ5内面と下型3の型面とから(即ち、吸引孔から)空気を強制的に吸引排出されているので、下型3の型面を含むキャビティ5内面に離型フィルム11を吸着固定して被覆することになる。
また、このとき、離型フィルム11におけるキャビティ5の開口部10に対応する部分は下型キャビティ5内へ移動することになるので、離型フィルム11にてキャビティ5内面を被覆することができる。
即ち、顆粒樹脂6を離型フィルム11に載置して状態で、且つ、この離型フィルム11の移動にしたがって、上方位置の樹脂収容部22側から下方位置のキャビティ5内側に顆粒樹脂6が落下することになるので、顆粒樹脂6を離型フィルム11で被覆されたキャビティ5内に供給することができる。
【0029】
なお、このとき、前記したプレート21の樹脂収容部22をキャビティ5の直上位置に設けて構成し、且つ、離型フィルム11の移動にしたがって顆粒樹脂6がそのままの均一の厚さとなるシート状を保持した状態で樹脂収容部22から下型キャビティ5内に所要量の顆粒樹脂6の全てを効率良く供給することができる〔図4を参照〕。
【0030】
次に、前記した金型1からインローダ9を退出させると共に、図5に示すように、前記した金型1を所要の型締圧力にて型締めすることにより、前記したキャビティ5内の樹脂に所要の樹脂圧を加えることになる。
このとき、基板8に装着された電子部品7を下型キャビティ5内で加熱溶融化された樹脂内に浸漬することにより、前記した電子部品7を当該キャビティ5内の形状に対応した樹脂成形体12内に圧縮成形(樹脂封止成形)することができる。
【0031】
従って、本発明によれば、金型キャビティ内への樹脂の供給時に、金型キャビティ内に樹脂を効率良く供給することができると云う優れた効果を奏する。
また、本発明は、金型キャビティ内への樹脂の供給時において、金型キャビティ内に供給される樹脂量の信頼性を効率良く向上させることができると云う優れた効果を奏する。
【0032】
本発明は、前述した実施例のものに限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意且つ適宜に変更・選択して採用できるものである。
【0033】
また、前記した実施例において、熱硬化性の樹脂材料を用いて説明したが、熱可塑性の樹脂材料を用いても良い。
【0034】
また、前記した実施例において、顆粒状の樹脂材料を用いて説明したが、所要の粒径分布を有するパウダー状の樹脂材料(パウダー樹脂)、粉末状の樹脂材料(粉末樹脂)などの種々の形状の樹脂材料を採用することができる。
【0035】
また、前記した実施例において、例えば、シリコン系の樹脂材料、エポキシ系の樹脂材料を用いることができる。
また、前記実施例において、透明性を有する樹脂材料、半透明性を有する樹脂材料、燐光物資、蛍光物質を含む樹脂材料など種々の樹脂材料を用いることができる。
【0036】
また、前記した実施例において、プレート21内に樹脂材料を供給しながら(樹脂材料の供給時に)、又は、プレート21内に樹脂材料を供給する前に、前記した樹脂材料を計量する工程を行う構成を採用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明に係る電子部品の圧縮成形方法を説明する樹脂収容用のプレートと樹脂材料の配布機構とを概略的に示す概略斜視図であって、図1は前記したプレートに樹脂材料を配布する状態を示している。
【図2】図2(1)、図2(2)は、本発明に係る電子部品の圧縮成形方法を説明する樹脂収容用のプレートを概略的に示す概略縦断面図であって、図2(1)は前記した樹脂材料を投入したプレートに離型フィルムを被覆した状態を示し、図2(2)は図2(1)に示す離型フィルム被覆プレートを反転させた状態を示している。
【図3】図3は、本発明に係る電子部品の圧縮成形方法を説明する電子部品の圧縮成形用金型を概略的に示す概略縦断面図であって、前記した金型に図2(2)に示す反転離型フィルム被覆プレートを供給した状態を示している。
【図4】図4は、図3に対応する電子部品の圧縮成形用金型を概略的に示す概略縦断面図であって、前記した金型に設けた離型フィルム被覆の下型キャビティ内に反転プレートから樹脂材料を落下供給した状態を示している。
【図5】図5は、図3に対応する電子部品の圧縮成形用金型を概略的に示す概略縦断面図であって、前記した金型の型締状態を示している。
【図6】図6は、従来の電子部品の圧縮成形方法を説明する電子部品の圧縮成形用金型を概略的に示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 電子部品の圧縮成形用金型
2 固定上型
3 可動下型
4 基板セット部
5 下型キャビティ
6 顆粒状の樹脂材料(顆粒樹脂)
7 電子部品
8 基板
9 インローダ
9a プレート係着部
9b 基板載置部
10 キャビティ開口部
11 離型フィルム
12 樹脂成形体
21 樹脂収容用プレート
22 樹脂収容部
23 プレート開口部
24 プレート周縁部
25 樹脂配布済プレート
31 樹脂材料の配布手段
31a 投入側配布手段
31b 受給側配布手段
32 樹脂材料の投入手段
33 フィーダ側の計量手段
34 ホッパ
35 リニア振動フィーダ
36 プレート側の計量手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の圧縮成形用金型を用いて、離型フィルムが被覆された金型キャビティ内に所要量の樹脂材料を供給すると共に、前記したキャビティ内の樹脂に電子部品を浸漬することにより、前記したキャビティ内で当該キャビティの形状に対応した樹脂成形体内に前記した電子部品を樹脂封止成形する電子部品の圧縮成形方法であって、
前記した樹脂材料の金型キャビティへの供給前に、樹脂収容用のキャビティと同等の窪みを有するプレートに所要量の樹脂材料を供給する工程と、
前記したプレートの開口部側に所要の大きさを有する離型フィルムを載置する工程と、
前記した離型フィルム載置プレート内を所要の真空度に設定して前記した離型フィルムを前記したプレートに被覆固定する工程と、
前記した離型フィルム被覆プレートを反転させる工程と、
前記した反転プレートを前記した金型キャビティの位置に移送する工程と、
前記した反転プレート内の真空状態を解除する工程と、
前記した反転プレート内の真空状態の解除時に、前記した離型フィルムを前記したキャビティ面に被覆固定させる工程と、
前記したプレート内の真空状態の解除時に、前記した離型フィルムを被覆した金型キャビティ内に前記したプレート内から樹脂材料を供給する工程とを含むことを特徴とする電子部品の圧縮成形方法。
【請求項2】
プレート内に樹脂材料を供給しながら、又は、プレート内に樹脂材料を供給する前に、前記した樹脂材料を計量する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の圧縮成形方法。
【請求項3】
プレートに所要量の樹脂材料を供給した後、前記したプレート内の樹脂材料の厚さを均一にする工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子部品の圧縮成形方法。
【請求項4】
樹脂材料が、所要の粒径分布を有するパウダー状の樹脂材料であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の圧縮成形方法。
【請求項5】
樹脂材料が、顆粒状の樹脂材料であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の圧縮成形方法。
【請求項6】
樹脂材料が、粉末状の樹脂材料であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の圧縮成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−221622(P2008−221622A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63336(P2007−63336)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(390002473)TOWA株式会社 (192)
【Fターム(参考)】