電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法
【課題】自動検査工程において密集圧痕を異物の混入とみなしてしまう問題を回避し得る電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法を提供する。
【解決手段】異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段とを備える。
【解決手段】異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法に関し、特に、電極が設けられた透明基板に異方性導電膜を介して電子部品を熱圧着により実装した場合における電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を異方性導電膜を介して熱圧着により実装した場合の実装状態検査方法として、実装状態が不十分な場合に電気的な抵抗値が高くなることを用いる方法がある。この方法としては、実装部分の電気抵抗値を実測する方法のほか、電気的接合が正しく行われた場合に達成される機能を確認する方法が知られている。例えば、液晶ディスプレイのガラス基板上に液晶ディスプレイの表示制御用電子部品を実装する場合であれば、実際に液晶ディスプレイの画面表示を行うことで、実装状態の良否を判定することができる。
【0003】
また、実装部分の状態を直接観察する方法もある。例えば、人間が実装方向の裏面から微分干渉顕微鏡で観察し、電子部品を異方性導電膜を介して熱圧着により実装することで電極に形成される圧痕であると判定した部位の数により実装状態の良否を判定する。
【0004】
さらに、この方法を自動化する方法もある。例えば、特許文献1には、微分干渉顕微鏡を用いて電極部の画像を撮像し、撮像した画像中に存在する隆起部の形状をもとに圧痕であるか否かを判定する方法が記載されている。また、特許文献2には、同様に撮像した画像を二値化した際の白または黒の面積および形状をもとに圧痕であるか否かを判定する方法が記載されている。さらに、特許文献2には、電極内の検査範囲の濃淡値の標準偏差を求めることで、接合の強度を測定する方法も記載されている。
【0005】
これらの自動化された方法により電子部品の実装状態が良と判定されなかった場合、当該電子部品の実装状態は、真に不良である可能性と真に良である可能性とがある。その場合、当該電子部品は再検査工程に搬出され、人間による目視検査により実装状態の良否について最終的な判定がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−269934号公報
【特許文献2】特開2005−227217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、従来の自動検査方法により電子部品の実装状態が良と判定されなかった場合、当該電子部品の実装状態は、真に不良である可能性と真に良である可能性とがある。真に良品である場合とは、例えば電極上に多数の圧痕が密集している場合であり、真に不良である場合とは、例えばゴミなどの異物が電子部品に混入している場合である。
【0008】
しかしながら、従来は、密集圧痕と異物とを区別することができなかったため、異物が挟まれている電子部品だけでなく密集圧痕が形成されている電子部品も不良品と判定していた。このように密集圧痕が形成されている電子部品が不良品と判定されると、目視検査などの再検査工程に搬出されるため、検査効率を低下させる原因となる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、自動検査工程において密集圧痕を異物の混入とみなしてしまう問題を回避し得る電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、電子部品の実装状態検査装置において、異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段とを備える。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、電子機器の製造方法において、透明基板の電極に電子部品の電極を導電性微粒子を介して圧着して接合する電子機器生産工程と、異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像工程と、前記撮像工程において撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定工程と、前記特定工程において特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動検査工程において異物が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕を異物の混入とみなしてしまう問題を回避し得る電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法を提供することが可能となる。これにより、密集圧痕が形成されている電子部品が不良品と判定され、目視検査などの再検査工程に搬出されることがなくなるので、検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図6】従来の異物判定方法を示す図である。
【図7】従来の異物判定方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る微分干渉方向の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る実装状態検査工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xの構成を示す図である。この実装状態検査装置Xは、図1に示すように、XYステージ5と、微分干渉顕微鏡6と、CCDカメラ7と、表示部8と、クリーニング装置9と、制御部10とを備えている。表示部8には、検査内容や検査結果が表示される。XYステージ5には、透明基板1に異方性導電膜2を介して電子部品3が実装された検査対象物4が載置される。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る検査対象物4の構成を示す図である。図2に示すように、透明基板1の一面に電極11が設けられ、この電極11が設けられた側に電子部品3が異方性導電膜2を介して実装されている。電子部品3の実装は熱圧着により行われている。異方性導電膜2は、絶縁性を有する接着性樹脂2aの中に導電性粒子2bを分散させた膜である。電子部品3を実装すると、電子部品3のバンプ3aと電極11との間に導電性粒子2bが挟まれて潰されることにより、バンプ3aと電極11とが通電可能な状態となる。また、バンプ3aと電極11との間に挟まれた導電性粒子2bが押圧されることにより、電極11には、導電性粒子2bにより押された痕跡である圧痕11aが形成される。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態に係る微分干渉顕微鏡6の構成を示す図である。この微分干渉顕微鏡6は、図3に示すように、干渉装置である1組の楔形状のプリズム12a、12bを通常の光学顕微鏡に組み込んだものであり、試料の屈折率や厚みの変化を濃淡差に換えて観察可能な公知の顕微鏡である。微分干渉顕微鏡6を用いることにより、通常の光学顕微鏡では観察できない電極11の微小な凸状部(例えば圧痕11a)を濃淡差として観察することができる。微分干渉顕微鏡6は、電子部品3が実装された透明基板1を電子部品3が実装された面の裏面側から映す向きに配置されている。
【0018】
微分干渉顕微鏡6には、一方の固定側のプリズム12aに対して可動側のプリズム12bの位置を調節する調節機構(図示せず)が設けられている。この調節機構によりプリズム12bを移動させることで、観察できる濃淡差を調節することができる。従って、微分干渉顕微鏡6の製造時にプリズム12bの位置を調節することにより、各微分干渉顕微鏡6が同一の検査対象物4を映す場合に同じ濃淡差を得ることができるようになる。
【0019】
微分干渉顕微鏡6の照明の明るさは、撮像した画像の濃淡値の平均や照度計を利用して一定になるように調節することが可能である。この照度調節を行うことにより、各微分干渉顕微鏡6が同一の検査対象物4を映す場合に同じ濃淡差を得ることができるようになる。
【0020】
CCDカメラ7は、本発明に係る撮像手段の一例である。CCDカメラ7は、微分干渉顕微鏡6と一体となって設けられており、微分干渉顕微鏡6により映される画像を撮像する。
【0021】
クリーニング装置9は、微分干渉顕微鏡6により映される側の透明基板1の面をクリーニングする。微分干渉顕微鏡6により映される側の透明基板1の面にゴミが付着すると、その影響で電極11の画像を撮像するのに支障をきたし、圧痕11aを検出できなかったり、異物が電極11とバンプ3aとの間に挟まれていると判定してしまう場合がある。このような不具合を防止するために、事前に透明基板1をクリーニングするのが好ましい。ゴミの付着の発生頻度が低い場合は、圧痕11aを検出できなかったときや、異物が電極11とバンプ3aとの間に挟まれているとして不良判定したときのみ、その部分をクリーニングするようにしてもよい。クリーニングする方法としては、気体を吹きかけてごみを排除する方法や、逆にごみを吸引する方法、ブラシによりごみを払いのける方法などが考えられる。ブラシによるクリーニングの場合、ブラシの回転と平行移動とを組み合わせて行うことが効果的である。すなわち、回転のみだと、回転中心が速度ゼロになるので、この部分にある異物を除去できない。一方、平行移動のみだと、隣接する検査範囲にごみを移動させる可能性がある。
【0022】
制御部10は、本発明に係る特定手段及び判定手段の一例であり、ROMとRAMとCPUと記憶部とを備えている。ROMは、各種のプログラムや各種の固定データを格納する。RAMは、微分干渉顕微鏡6やCCDカメラ7から入力されるデータを一時的に格納する。CPUは、ROMに格納されたプログラムや固定データと、RAMに格納されたデータとを用いて各種の演算処理を行う。記憶部は、入力されたデータの一部やCPUによる演算結果を検査対象物4と関連付けて記憶する。また、制御部10には、後述するように、異物21と密集圧痕11bとを区別可能な濃度情報の閾値が記憶されている。
【0023】
図4及び図5は、本発明の実施の形態に係る検査対象物4の構成を示す図である。
【0024】
具体的には、図4は、バンプ3aと電極11との間に異物21が挟まれている様子を示している。一方、図5は、バンプ3aと電極11との間に導電性粒子2bが密集して挟まれており、電極11上に密集圧痕11bが形成されている様子を示している。既に説明した通り、従来の自動検査方法では、密集圧痕11bと異物21とを区別することができなかった。以下、この点について更に詳しく説明する。
【0025】
図6及び図7は、従来の異物判定方法を示す図である。
【0026】
具体的には、図6は、異物21が挟まれている電極部(図4参照)について異物判定している様子を示している。一方、図7は、密集圧痕11bが形成されている電極部(図5参照)について異物判定している様子を示している。これらの図に示すように、従来は、微分干渉顕微鏡を用いて撮像した画像に対してフィルタ処理と二値化処理とを施し、二値化した画像に含まれる白又は黒の面積によって異物21であるか圧痕11aであるかを判定していた。
【0027】
しかしながら、この判定方法によると、異物21が挟まれている電極部について画像処理を施した結果(図6(b)参照)と、密集圧痕11bが形成されている電極部について画像処理を施した結果(図7(b)参照)とを区別することができない。すなわち、いずれの場合も、二値化した画像に含まれる白の面積は一定値以上の面積となってしまう。そのため、従来は、異物21が挟まれている電子部品だけでなく密集圧痕11bが形成されている電子部品も不良品と判定していた。
【0028】
このような問題を解決するため、本発明者らは、異物21と密集圧痕11bとの高さの違いに着目した。すなわち、異物21と密集圧痕11bとでは、バンプ3aと電極11との間を占めるサイズが大きく異なり、両者の高さには明確な違いが存在する。例えば、図4に示すように、異物21の高さh1は数百nm程度である。一方、図5に示すように、密集圧痕11bの高さh2は数十nm程度である。
【0029】
微分干渉顕微鏡6によれば、凹凸の変化が顕著に現れるので凹凸の数をカウントすることには適しているが、凸状部の高さ(盛り上がりの程度を示す絶対値)までは分からない。ところが、正しく実装状態を検査するためには、凹凸の変化だけでなく凸状部の高さをも特定することが重要である。そこで、本発明では、以下に説明する方法で凸状部の高さを特定し、その高さに基づいて異物21が混入しているか否かを判定するようにしている。
【0030】
図8及び図9は、本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【0031】
ここでは、CCDカメラ7により撮像された画像データの濃度情報に対して微分干渉方向に積分処理を施した様子を示している。「微分干渉方向」とは、微分干渉顕微鏡6において微分干渉させている方向(焦点がずれている方向)のことのであるが、詳細については後述する。「積分処理を施す」とは、例えばピクセルごとの濃度情報を累積計算していく操作をいう。
【0032】
図8は、1つの圧痕11aと一塊の密集圧痕11bとが含まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した様子を示している。一方、図9は、1つの圧痕11aと1つの異物21とが含まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した様子を示している。図8も図9も、(a)が積分処理を施す前の様子を示し、(b)が積分処理を施した後の様子を示している。縦軸は画像データの明度(濃度情報)を示し、横軸は微分干渉方向における位置情報を示している。
【0033】
ここで、密集圧痕11bは、圧痕11aが集まった状態である。そのため、一つ一つの圧痕11aについて濃度値の変化が表れるが、図8(a)に示すように、粒子が小さいため短い区間で変化する。一方、異物21の場合は、図9(a)に示すように、微分干渉方向の長い区間に渡ってゆるやかに濃度値が変化する。したがって、密集圧痕11bが形成されている実装状態の画像データに対して積分処理を施した結果(図8(b)参照)と、異物21が挟まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した結果(図9(b)参照)とでは、積分画像データの明度のピーク値において大きな違いが観測される。この違いは、バンプ3aと電極11との間に挟まれた物質の物理的な高さの違いによって生じるものである。言い換えると、CCDカメラ7により撮像された画像データの濃度情報に対して微分干渉方向に積分処理を施すことにより、この画像データに含まれる凸状部の高さを特定することができる。ここでいう「高さ」は、高さの指標であればよく、その単位は特に限定されるものではない。
【0034】
そこで、制御部10には、異物21と密集圧痕11bとを区別可能な濃度情報の閾値が予め記憶されている。そして、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かを判定し、所定の閾値を超える場合は異物21が混入していると判定する。このようにすれば、自動検査工程において異物21が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕11bを異物21の混入とみなしてしまう問題を回避することが可能となる。
【0035】
図10は、本発明の実施の形態に係る微分干渉方向の説明図である。
【0036】
既に説明した通り、「微分干渉方向」とは、微分干渉顕微鏡6において微分干渉させている方向(焦点がずれている方向)のことである。図10を用いて説明すると、CCDカメラ7により撮像された画像データにおける明暗の方向(矢印方向)が微分干渉方向に相当する。ここでは、電極11に対して2つの光が斜め方向に照射されている場合を想定しているので、図面上は、左上から右下に向かう方向が明暗の方向となっている。
【0037】
次に、本発明の実施の形態に係る実装状態検査装置Xの動作を図11に示す制御部10の処理フローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、微分干渉顕微鏡6により映される検査位置まで検査対象物4が搬送されると(S1:YES)、微分干渉顕微鏡6により映された画像がCCDカメラ7により撮像される(S2)。CCDカメラ7による撮像が終了すると、予め登録されている電極11の形状パターンに基づいて、撮像された画像の中から電極11の位置が検出される(S3)。
【0039】
電極11の位置が検出されると、検出された電極11の画像に対して積分処理が施され(S4)、この積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かが判定される(S5)。ここで、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超える場合(S5:YES)、異物21が混入していると判定され(S6)、異物判定動作が終了する。一方、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えない場合(S5:NO)、異物21が混入していないと判定され(S7)、異物判定動作が終了する。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xによれば、自動検査工程において異物21が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕11bを異物21の混入とみなしてしまう問題を回避することが可能となる。これにより、密集圧痕11bが形成されている電子部品が不良品と判定され、目視検査などの再検査工程に搬出されることがなくなるので、検査効率を向上させることができる。
【0041】
また、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xでは、微分干渉顕微鏡6により映された画像データを用いて異物21が混入しているか否かを判定する方法を採用している。既に説明した通り、正しく実装状態を検査するためには、凹凸の変化を知るために微分干渉顕微鏡6を用いる必要がある。そこで、微分干渉顕微鏡6を用いることが必要な既存の検査装置に本発明を適用した場合は、ハードウェア構成を変更する必要がないという効果がある。
【0042】
なお、図11では、本発明の実施の形態に係る実装状態検査工程のうち異物判定工程を中心に説明したが、異物判定工程以外の実装状態検査工程の内容については特に限定されるものではない。例えば、異物21が混入していると判定された場合(S6)は、実装状態が不良であると判定されるようにしてもよい。一方、異物21が混入していないと判定された場合(S7)は、圧痕判定動作に移行するようにしてもよい。
圧痕判定とは、良品の実装状態の仕様として必要な圧痕数に達しているか否かを判定することである。例えば、必要な圧痕数に達している場合は、実装状態が良と判定される。一方、必要な圧痕数に達していない場合は、実装状態が不良と判定される。
【0043】
圧痕判定の方法は一般的な方法でよい。例えば、微分干渉顕微鏡6により撮像した画像を二値化し、その二値化した際の白または黒の面積および形状をもとに圧痕11aであるか否かを判定する方法を採用することができる。
【0044】
また、ここでは、(A)異物判定をした後に圧痕判定をする手順について説明したが、これとは逆に、(B)圧痕判定をした後に異物判定をする手順を採用してもよい。(A)異物判定をした後に圧痕判定をする手順を採用すれば、異物21が混入している場合は圧痕判定をすることなく即座に実装状態が不良であると判定することができるというメリットがある。一方、(B)圧痕判定をした後に異物判定をする手順を採用すれば、圧痕判定において二値化した画像に含まれる例えば白の面積が一定の値を超えた場合のみ、異物判定をすればよいというメリットがある。
【0045】
また、ここでは、凸状部の高さを特定するために画像データの濃度情報に対して積分処理を施すこととしているが、別の方法で凸状部の高さを特定してもよい。この場合も適切な閾値が予め制御部10に記憶されていれば、この閾値を超えるか否かを判定することにより、異物21が混入しているか否かを判定することが可能である。
【0046】
また、ここでは、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かを判定することとしているが(図11、S5)、積分処理を施した結果のピーク値は、必ずしも求める必要はない。すなわち、積分処理を施した結果、所定の閾値を超える値(明度)が存在すれば、その値がピーク値であるか否かにかかわらず、異物21が混入していると判定することが可能である。
【0047】
なお、異物21の内容については特に限定されるものではない。すなわち、本来含まれるべきでないゴミなど、電子部品3の実装状態に悪影響を及ぼすものは全て異物21と考えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…透明基板、2…異方性導電膜、3…電子部品、4…検査対象物、5…XYステージ、6…微分干渉顕微鏡、7…CCDカメラ、8…表示部、9…クリーニング装置、10…制御部、11…電極、11a…圧痕、11b…密集圧痕、21…異物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法に関し、特に、電極が設けられた透明基板に異方性導電膜を介して電子部品を熱圧着により実装した場合における電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を異方性導電膜を介して熱圧着により実装した場合の実装状態検査方法として、実装状態が不十分な場合に電気的な抵抗値が高くなることを用いる方法がある。この方法としては、実装部分の電気抵抗値を実測する方法のほか、電気的接合が正しく行われた場合に達成される機能を確認する方法が知られている。例えば、液晶ディスプレイのガラス基板上に液晶ディスプレイの表示制御用電子部品を実装する場合であれば、実際に液晶ディスプレイの画面表示を行うことで、実装状態の良否を判定することができる。
【0003】
また、実装部分の状態を直接観察する方法もある。例えば、人間が実装方向の裏面から微分干渉顕微鏡で観察し、電子部品を異方性導電膜を介して熱圧着により実装することで電極に形成される圧痕であると判定した部位の数により実装状態の良否を判定する。
【0004】
さらに、この方法を自動化する方法もある。例えば、特許文献1には、微分干渉顕微鏡を用いて電極部の画像を撮像し、撮像した画像中に存在する隆起部の形状をもとに圧痕であるか否かを判定する方法が記載されている。また、特許文献2には、同様に撮像した画像を二値化した際の白または黒の面積および形状をもとに圧痕であるか否かを判定する方法が記載されている。さらに、特許文献2には、電極内の検査範囲の濃淡値の標準偏差を求めることで、接合の強度を測定する方法も記載されている。
【0005】
これらの自動化された方法により電子部品の実装状態が良と判定されなかった場合、当該電子部品の実装状態は、真に不良である可能性と真に良である可能性とがある。その場合、当該電子部品は再検査工程に搬出され、人間による目視検査により実装状態の良否について最終的な判定がなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−269934号公報
【特許文献2】特開2005−227217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、従来の自動検査方法により電子部品の実装状態が良と判定されなかった場合、当該電子部品の実装状態は、真に不良である可能性と真に良である可能性とがある。真に良品である場合とは、例えば電極上に多数の圧痕が密集している場合であり、真に不良である場合とは、例えばゴミなどの異物が電子部品に混入している場合である。
【0008】
しかしながら、従来は、密集圧痕と異物とを区別することができなかったため、異物が挟まれている電子部品だけでなく密集圧痕が形成されている電子部品も不良品と判定していた。このように密集圧痕が形成されている電子部品が不良品と判定されると、目視検査などの再検査工程に搬出されるため、検査効率を低下させる原因となる。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、自動検査工程において密集圧痕を異物の混入とみなしてしまう問題を回避し得る電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、電子部品の実装状態検査装置において、異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段とを備える。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、電子機器の製造方法において、透明基板の電極に電子部品の電極を導電性微粒子を介して圧着して接合する電子機器生産工程と、異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像工程と、前記撮像工程において撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定工程と、前記特定工程において特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定工程とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、自動検査工程において異物が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕を異物の混入とみなしてしまう問題を回避し得る電子部品の実装状態検査装置及び電子機器の製造方法を提供することが可能となる。これにより、密集圧痕が形成されている電子部品が不良品と判定され、目視検査などの再検査工程に搬出されることがなくなるので、検査効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る微分干渉顕微鏡の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る検査対象物の構成を示す図である。
【図6】従来の異物判定方法を示す図である。
【図7】従来の異物判定方法を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る微分干渉方向の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る実装状態検査工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xの構成を示す図である。この実装状態検査装置Xは、図1に示すように、XYステージ5と、微分干渉顕微鏡6と、CCDカメラ7と、表示部8と、クリーニング装置9と、制御部10とを備えている。表示部8には、検査内容や検査結果が表示される。XYステージ5には、透明基板1に異方性導電膜2を介して電子部品3が実装された検査対象物4が載置される。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態に係る検査対象物4の構成を示す図である。図2に示すように、透明基板1の一面に電極11が設けられ、この電極11が設けられた側に電子部品3が異方性導電膜2を介して実装されている。電子部品3の実装は熱圧着により行われている。異方性導電膜2は、絶縁性を有する接着性樹脂2aの中に導電性粒子2bを分散させた膜である。電子部品3を実装すると、電子部品3のバンプ3aと電極11との間に導電性粒子2bが挟まれて潰されることにより、バンプ3aと電極11とが通電可能な状態となる。また、バンプ3aと電極11との間に挟まれた導電性粒子2bが押圧されることにより、電極11には、導電性粒子2bにより押された痕跡である圧痕11aが形成される。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態に係る微分干渉顕微鏡6の構成を示す図である。この微分干渉顕微鏡6は、図3に示すように、干渉装置である1組の楔形状のプリズム12a、12bを通常の光学顕微鏡に組み込んだものであり、試料の屈折率や厚みの変化を濃淡差に換えて観察可能な公知の顕微鏡である。微分干渉顕微鏡6を用いることにより、通常の光学顕微鏡では観察できない電極11の微小な凸状部(例えば圧痕11a)を濃淡差として観察することができる。微分干渉顕微鏡6は、電子部品3が実装された透明基板1を電子部品3が実装された面の裏面側から映す向きに配置されている。
【0018】
微分干渉顕微鏡6には、一方の固定側のプリズム12aに対して可動側のプリズム12bの位置を調節する調節機構(図示せず)が設けられている。この調節機構によりプリズム12bを移動させることで、観察できる濃淡差を調節することができる。従って、微分干渉顕微鏡6の製造時にプリズム12bの位置を調節することにより、各微分干渉顕微鏡6が同一の検査対象物4を映す場合に同じ濃淡差を得ることができるようになる。
【0019】
微分干渉顕微鏡6の照明の明るさは、撮像した画像の濃淡値の平均や照度計を利用して一定になるように調節することが可能である。この照度調節を行うことにより、各微分干渉顕微鏡6が同一の検査対象物4を映す場合に同じ濃淡差を得ることができるようになる。
【0020】
CCDカメラ7は、本発明に係る撮像手段の一例である。CCDカメラ7は、微分干渉顕微鏡6と一体となって設けられており、微分干渉顕微鏡6により映される画像を撮像する。
【0021】
クリーニング装置9は、微分干渉顕微鏡6により映される側の透明基板1の面をクリーニングする。微分干渉顕微鏡6により映される側の透明基板1の面にゴミが付着すると、その影響で電極11の画像を撮像するのに支障をきたし、圧痕11aを検出できなかったり、異物が電極11とバンプ3aとの間に挟まれていると判定してしまう場合がある。このような不具合を防止するために、事前に透明基板1をクリーニングするのが好ましい。ゴミの付着の発生頻度が低い場合は、圧痕11aを検出できなかったときや、異物が電極11とバンプ3aとの間に挟まれているとして不良判定したときのみ、その部分をクリーニングするようにしてもよい。クリーニングする方法としては、気体を吹きかけてごみを排除する方法や、逆にごみを吸引する方法、ブラシによりごみを払いのける方法などが考えられる。ブラシによるクリーニングの場合、ブラシの回転と平行移動とを組み合わせて行うことが効果的である。すなわち、回転のみだと、回転中心が速度ゼロになるので、この部分にある異物を除去できない。一方、平行移動のみだと、隣接する検査範囲にごみを移動させる可能性がある。
【0022】
制御部10は、本発明に係る特定手段及び判定手段の一例であり、ROMとRAMとCPUと記憶部とを備えている。ROMは、各種のプログラムや各種の固定データを格納する。RAMは、微分干渉顕微鏡6やCCDカメラ7から入力されるデータを一時的に格納する。CPUは、ROMに格納されたプログラムや固定データと、RAMに格納されたデータとを用いて各種の演算処理を行う。記憶部は、入力されたデータの一部やCPUによる演算結果を検査対象物4と関連付けて記憶する。また、制御部10には、後述するように、異物21と密集圧痕11bとを区別可能な濃度情報の閾値が記憶されている。
【0023】
図4及び図5は、本発明の実施の形態に係る検査対象物4の構成を示す図である。
【0024】
具体的には、図4は、バンプ3aと電極11との間に異物21が挟まれている様子を示している。一方、図5は、バンプ3aと電極11との間に導電性粒子2bが密集して挟まれており、電極11上に密集圧痕11bが形成されている様子を示している。既に説明した通り、従来の自動検査方法では、密集圧痕11bと異物21とを区別することができなかった。以下、この点について更に詳しく説明する。
【0025】
図6及び図7は、従来の異物判定方法を示す図である。
【0026】
具体的には、図6は、異物21が挟まれている電極部(図4参照)について異物判定している様子を示している。一方、図7は、密集圧痕11bが形成されている電極部(図5参照)について異物判定している様子を示している。これらの図に示すように、従来は、微分干渉顕微鏡を用いて撮像した画像に対してフィルタ処理と二値化処理とを施し、二値化した画像に含まれる白又は黒の面積によって異物21であるか圧痕11aであるかを判定していた。
【0027】
しかしながら、この判定方法によると、異物21が挟まれている電極部について画像処理を施した結果(図6(b)参照)と、密集圧痕11bが形成されている電極部について画像処理を施した結果(図7(b)参照)とを区別することができない。すなわち、いずれの場合も、二値化した画像に含まれる白の面積は一定値以上の面積となってしまう。そのため、従来は、異物21が挟まれている電子部品だけでなく密集圧痕11bが形成されている電子部品も不良品と判定していた。
【0028】
このような問題を解決するため、本発明者らは、異物21と密集圧痕11bとの高さの違いに着目した。すなわち、異物21と密集圧痕11bとでは、バンプ3aと電極11との間を占めるサイズが大きく異なり、両者の高さには明確な違いが存在する。例えば、図4に示すように、異物21の高さh1は数百nm程度である。一方、図5に示すように、密集圧痕11bの高さh2は数十nm程度である。
【0029】
微分干渉顕微鏡6によれば、凹凸の変化が顕著に現れるので凹凸の数をカウントすることには適しているが、凸状部の高さ(盛り上がりの程度を示す絶対値)までは分からない。ところが、正しく実装状態を検査するためには、凹凸の変化だけでなく凸状部の高さをも特定することが重要である。そこで、本発明では、以下に説明する方法で凸状部の高さを特定し、その高さに基づいて異物21が混入しているか否かを判定するようにしている。
【0030】
図8及び図9は、本発明の実施の形態に係る異物判定方法を示す図である。
【0031】
ここでは、CCDカメラ7により撮像された画像データの濃度情報に対して微分干渉方向に積分処理を施した様子を示している。「微分干渉方向」とは、微分干渉顕微鏡6において微分干渉させている方向(焦点がずれている方向)のことのであるが、詳細については後述する。「積分処理を施す」とは、例えばピクセルごとの濃度情報を累積計算していく操作をいう。
【0032】
図8は、1つの圧痕11aと一塊の密集圧痕11bとが含まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した様子を示している。一方、図9は、1つの圧痕11aと1つの異物21とが含まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した様子を示している。図8も図9も、(a)が積分処理を施す前の様子を示し、(b)が積分処理を施した後の様子を示している。縦軸は画像データの明度(濃度情報)を示し、横軸は微分干渉方向における位置情報を示している。
【0033】
ここで、密集圧痕11bは、圧痕11aが集まった状態である。そのため、一つ一つの圧痕11aについて濃度値の変化が表れるが、図8(a)に示すように、粒子が小さいため短い区間で変化する。一方、異物21の場合は、図9(a)に示すように、微分干渉方向の長い区間に渡ってゆるやかに濃度値が変化する。したがって、密集圧痕11bが形成されている実装状態の画像データに対して積分処理を施した結果(図8(b)参照)と、異物21が挟まれている実装状態の画像データに対して積分処理を施した結果(図9(b)参照)とでは、積分画像データの明度のピーク値において大きな違いが観測される。この違いは、バンプ3aと電極11との間に挟まれた物質の物理的な高さの違いによって生じるものである。言い換えると、CCDカメラ7により撮像された画像データの濃度情報に対して微分干渉方向に積分処理を施すことにより、この画像データに含まれる凸状部の高さを特定することができる。ここでいう「高さ」は、高さの指標であればよく、その単位は特に限定されるものではない。
【0034】
そこで、制御部10には、異物21と密集圧痕11bとを区別可能な濃度情報の閾値が予め記憶されている。そして、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かを判定し、所定の閾値を超える場合は異物21が混入していると判定する。このようにすれば、自動検査工程において異物21が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕11bを異物21の混入とみなしてしまう問題を回避することが可能となる。
【0035】
図10は、本発明の実施の形態に係る微分干渉方向の説明図である。
【0036】
既に説明した通り、「微分干渉方向」とは、微分干渉顕微鏡6において微分干渉させている方向(焦点がずれている方向)のことである。図10を用いて説明すると、CCDカメラ7により撮像された画像データにおける明暗の方向(矢印方向)が微分干渉方向に相当する。ここでは、電極11に対して2つの光が斜め方向に照射されている場合を想定しているので、図面上は、左上から右下に向かう方向が明暗の方向となっている。
【0037】
次に、本発明の実施の形態に係る実装状態検査装置Xの動作を図11に示す制御部10の処理フローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、微分干渉顕微鏡6により映される検査位置まで検査対象物4が搬送されると(S1:YES)、微分干渉顕微鏡6により映された画像がCCDカメラ7により撮像される(S2)。CCDカメラ7による撮像が終了すると、予め登録されている電極11の形状パターンに基づいて、撮像された画像の中から電極11の位置が検出される(S3)。
【0039】
電極11の位置が検出されると、検出された電極11の画像に対して積分処理が施され(S4)、この積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かが判定される(S5)。ここで、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超える場合(S5:YES)、異物21が混入していると判定され(S6)、異物判定動作が終了する。一方、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えない場合(S5:NO)、異物21が混入していないと判定され(S7)、異物判定動作が終了する。
【0040】
以上のように、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xによれば、自動検査工程において異物21が混入しているか否かを正しく判定することができるので、自動検査工程において密集圧痕11bを異物21の混入とみなしてしまう問題を回避することが可能となる。これにより、密集圧痕11bが形成されている電子部品が不良品と判定され、目視検査などの再検査工程に搬出されることがなくなるので、検査効率を向上させることができる。
【0041】
また、本発明の実施の形態に係る電子部品の実装状態検査装置Xでは、微分干渉顕微鏡6により映された画像データを用いて異物21が混入しているか否かを判定する方法を採用している。既に説明した通り、正しく実装状態を検査するためには、凹凸の変化を知るために微分干渉顕微鏡6を用いる必要がある。そこで、微分干渉顕微鏡6を用いることが必要な既存の検査装置に本発明を適用した場合は、ハードウェア構成を変更する必要がないという効果がある。
【0042】
なお、図11では、本発明の実施の形態に係る実装状態検査工程のうち異物判定工程を中心に説明したが、異物判定工程以外の実装状態検査工程の内容については特に限定されるものではない。例えば、異物21が混入していると判定された場合(S6)は、実装状態が不良であると判定されるようにしてもよい。一方、異物21が混入していないと判定された場合(S7)は、圧痕判定動作に移行するようにしてもよい。
圧痕判定とは、良品の実装状態の仕様として必要な圧痕数に達しているか否かを判定することである。例えば、必要な圧痕数に達している場合は、実装状態が良と判定される。一方、必要な圧痕数に達していない場合は、実装状態が不良と判定される。
【0043】
圧痕判定の方法は一般的な方法でよい。例えば、微分干渉顕微鏡6により撮像した画像を二値化し、その二値化した際の白または黒の面積および形状をもとに圧痕11aであるか否かを判定する方法を採用することができる。
【0044】
また、ここでは、(A)異物判定をした後に圧痕判定をする手順について説明したが、これとは逆に、(B)圧痕判定をした後に異物判定をする手順を採用してもよい。(A)異物判定をした後に圧痕判定をする手順を採用すれば、異物21が混入している場合は圧痕判定をすることなく即座に実装状態が不良であると判定することができるというメリットがある。一方、(B)圧痕判定をした後に異物判定をする手順を採用すれば、圧痕判定において二値化した画像に含まれる例えば白の面積が一定の値を超えた場合のみ、異物判定をすればよいというメリットがある。
【0045】
また、ここでは、凸状部の高さを特定するために画像データの濃度情報に対して積分処理を施すこととしているが、別の方法で凸状部の高さを特定してもよい。この場合も適切な閾値が予め制御部10に記憶されていれば、この閾値を超えるか否かを判定することにより、異物21が混入しているか否かを判定することが可能である。
【0046】
また、ここでは、積分処理を施した結果のピーク値が所定の閾値を超えるか否かを判定することとしているが(図11、S5)、積分処理を施した結果のピーク値は、必ずしも求める必要はない。すなわち、積分処理を施した結果、所定の閾値を超える値(明度)が存在すれば、その値がピーク値であるか否かにかかわらず、異物21が混入していると判定することが可能である。
【0047】
なお、異物21の内容については特に限定されるものではない。すなわち、本来含まれるべきでないゴミなど、電子部品3の実装状態に悪影響を及ぼすものは全て異物21と考えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1…透明基板、2…異方性導電膜、3…電子部品、4…検査対象物、5…XYステージ、6…微分干渉顕微鏡、7…CCDカメラ、8…表示部、9…クリーニング装置、10…制御部、11…電極、11a…圧痕、11b…密集圧痕、21…異物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段と
を備えることを特徴とする電子部品の実装状態検査装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記画像の濃度情報に対して、前記微分干渉顕微鏡において微分干渉させている方向に積分処理を施すことにより前記凸状部の高さを特定し、
前記判定手段は、前記所定の閾値として、異物と密集圧痕とを区別可能な濃度情報の閾値を用いることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装状態検査装置。
【請求項3】
透明基板の電極に電子部品の電極を導電性微粒子を介して圧着して接合する電子機器生産工程と、
異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定工程と、
前記特定工程において特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定工程と
を備えることを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項1】
異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定手段と、
前記特定手段により特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定手段と
を備えることを特徴とする電子部品の実装状態検査装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記画像の濃度情報に対して、前記微分干渉顕微鏡において微分干渉させている方向に積分処理を施すことにより前記凸状部の高さを特定し、
前記判定手段は、前記所定の閾値として、異物と密集圧痕とを区別可能な濃度情報の閾値を用いることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装状態検査装置。
【請求項3】
透明基板の電極に電子部品の電極を導電性微粒子を介して圧着して接合する電子機器生産工程と、
異方性導電膜を介して電子部品が圧着実装された透明基板を前記電子部品が圧着実装された面の裏面側から微分干渉顕微鏡により映して撮像する撮像工程と、
前記撮像工程において撮像された画像に含まれる凸状部の高さを特定する特定工程と、
前記特定工程において特定された前記凸状部の高さが所定の閾値を超えるか否かを判定し、前記凸状部の高さが所定の閾値を超える場合は異物が混入していると判定する判定工程と
を備えることを特徴とする電子機器の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−204041(P2010−204041A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52487(P2009−52487)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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