説明

電子部品実装ラインおよび電子部品実装方法

【課題】同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することができる電子部品実装ラインおよび電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ライン方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部とこれらのスクリーン印刷部の間で基板を搬送する印刷部間基板搬送手段とを備えた構成のスクリーン印刷装置を有する電子部品実装ラインにおいて、それぞれのスクリーン印刷部に個別に搬送された基板を対象として個別に印刷作業を行わせる第1の作業モード52aと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部に順次搬送し作業内容の異なる印刷作業を同一の基板に対して順次実行する第2の作業モード52bとを作業モード記憶部52に記憶させておき、モード指令部53の指令によってこれら2つの作業モードを選択的に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装ラインおよび電子部品実装ラインによる電子部品実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装して実装基板を製造する電子部品実装ラインは、基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置の上流側に基板に部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成される。近年電子業界においても生産形態は多品種少量生産が主流となり、生産設備についても高い生産効率とともに多様な生産形態に対応可能なフレキシビリティを兼ね備えた設備構成が求められるようになっている。
【0003】
このような生産設備を実現するため、従来より電子部品実装ラインにおけるスクリーン印刷装置には、各種の特徴的な機構や構成が導入されている。例えば同時に複数枚の基板を生産するためには、基板に部品接合用のペーストを供給するスクリーン印刷装置の処理能力を基板生産枚数に合わせて増加させる必要がある。このため、電子部品実装ラインにおいてスクリーン印刷装置を複数台直列に配置して全体の処理能力を増加させる構成(特許文献1参照)や、同一のマスクプレートによって2枚の基板を同時に印刷することにより処理枚数を増やす方法(特許文献2参照)、さらには同一の装置内に独立したスクリーン印刷機構を直列に配置して処理枚数を増やす方法(特許文献3参照)など、各種の機構が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−142299号公報
【特許文献2】特開2000−37847号公報
【特許文献3】特開2000−168040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年実装形態の多様化により、スクリーン印刷における印刷作業の態様も従来と異なるものが求められるようになっており、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスが必要とされる場合がある。このような基板を対象とする場合には、従来は特許文献1や特許文献3に示す構成が用いられていた。しかしながら、これらの特許文献に示される先行技術には、以下に述べるような課題がある。すなわち、これらの先行技術においては、いずれも複数のスクリーン印刷機構を直列に配置する構成であることから、電子部品実装ラインのライン長が長くなって、面積生産性が低下することが避けがたい。
【0006】
さらにこれらの先行技術には、多様な種類の基板を対象とするフレキシブル生産における汎用性に難点がある。これらの先行技術はいずれも単一の基板搬送路によって基板が搬送される構成であることから、印刷後の基板が下流側の電子部品搭載装置に送られる基板搬送順序は固定された形となっており、下流側装置に対して必要な基板を必要なタイミングで供給することが難しい。このため上述のような同一の基板に対して複数回の印刷作業を必要としない通常の基板が作業対象となる場合には、基板の搬送においてロスタイムの発生が避けられず、スクリーン印刷作業を効率よく実行することが困難であった。このように、電子部品実装ラインにおける従来のスクリーン印刷には、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することが困難であるという課題があった。
【0007】
そこで本発明は、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することができる電子部品実装ラインおよび電子部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電子部品実装ラインは、基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成された電子部品実装ラインであって、前記スクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートと、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させるスキージ移動機構とを有し前記電子部品実装ラインのライン方向である第1方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれに設けられ前記第1方向に搬送された前記基板を前記スクリーン印刷部による印刷位置に位置決めして保持する基板位置決め部と、前記複数のスクリーン印刷部のうちの1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部へ前記基板を搬送する印刷部間基板搬送手段と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれによって実行される印刷作業の態様を示す作業モードを指令するモード指令部とを備え、前記モード指令部は、それぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を前記同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に指令する。
【0009】
本発明の電子部品実装方法は、基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成された電子部品実装ラインによる電子部品実装方法であって、前記スクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートと、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させるスキージ移動機構とを有し前記電子部品実装ラインのライン方向である第1方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれに設けられ前記第1方向に搬送された前記基板を前記スクリーン印刷部による印刷位置に位置決めして保持する基板位置決め部と、前記複数のスクリーン印刷部のうちの1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部へ前記基板を搬送する印刷部間基板搬送手段とを備え、それぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を前記同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に実行する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子部品搭載装置の上流側に連結されて電子部品実装ラインを構成するスクリーン印刷装置において、ライン方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部とこれらのスクリーン印刷部の間で基板を搬送する印刷部間基板搬送手段とを備え、それぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に実行することにより、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装ラインの構成を示す平面図
【図2】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の平面図
【図3】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の断面図
【図4】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置におけるスクリーン印刷部の断面図
【図5】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷装置の制御系の構成を説明するブロック図
【図6】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における基板搬送動作の動作説明図
【図7】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における基板搬送動作の動作説明図
【図8】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における印刷作業の説明図
【図9】本発明の一実施の形態のスクリーン印刷方法における基板搬送動作の動作説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず図1を参照して、電子部品実装ライン1の構成を説明する。電子部品実装ライン1は、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する機能を有し、基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置3(以下、単に「搭載装置3」と略記する。)の上流側(図1において左側)に、基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置2(以下、単に「印刷装置2」と略記する。)を連結した構成となっている。なお本明細書の記述において、印刷装置や搭載装置などの各装置に付した添字(1)、(2)・・は、それぞれ当該装置の電子部品実装ラインにおける上流側からの配列順序を示すものである。
【0013】
本実施の形態においては、1基の印刷装置2の下流側に直列に配置された2基の搭載装置3(1)、搭載装置3(2)を連結している。印刷装置2には、上流側および下流側にそれぞれ基板振り分け装置4(1)、基板振り分け装置4(2)が付設されており、上流側装置から搬送された基板は、基板振り分け装置4(1)を介して印刷装置2に搬入され、印刷装置2によってスクリーン印刷が行われた後の基板は、基板振り分け装置4(2)を介して搭載装置3(1)に渡される。本明細書では、印刷装置2に基板振り分け装置4(1)、基板振り分け装置4(2)を含めた構成が、本発明のスクリーン印刷装置となっている。
【0014】
印刷装置2は、実装作業の対象となる基板5に電子部品接合用のペーストを印刷する機能を有する複数のスクリーン印刷部を、共通の基台6上に電子部品実装ライン1のライン方向である第1方向(X方向)にスクリーン印刷部における基板搬送方向を合わせて並列して配置した構成となっている。ここでは第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの2つのスクリーン印刷部を、電子部品実装ライン1のライン中心線に関して平面視して対称に配置している。第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの中間には、基板5を基板搬送方向(X方向)に正逆自在に搬送する基板搬送部8が配設されている。
【0015】
次に搭載装置3の構成を説明する。なお搭載装置3(1)、搭載装置3(2)は同一構成であり、ここでは搭載装置3(1)においてのみ、各構成要素に符号を付して説明する。基台11の中央には、基板搬送方向(X方向)に3対の基板搬送レール12A、12B、12Cが平行に配設されている。基板搬送レール12A、12B、12Cは、基板振り分け装置4(2)を介して印刷装置2から渡された基板5を搬送する3条の基板搬送レーンL1、L2、L3を構成する。本実施の形態においては、3条の基板搬送レーンL1、L2、L3のうち、基板搬送レーンL1、L3のみに基板5を実装位置に位置決めして実装作業を行うための実装ステージが設けられており、中央に位置する基板搬送レーンL2は、基板5を下流側から上流側へ向けて搬送する戻り用搬送路として機能するようになっている。
【0016】
基板搬送レール12A、12Bの外側にはそれぞれ部品供給部13A、13Bが設けられており、部品供給部13A、13Bには複数のテープフィーダ14が並設されている。テープフィーダ14は基板5に実装される電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより、以下に説明する部品搭載機構による部品ピックアップ位置に電子部品を供給する。基台11のX方向側の端部には、Y軸移動テーブル15が配設されており、Y軸移動テーブル15に結合された2つのX軸移動テーブル16A、16Bには、それぞれ搭載ヘッド17A、17Bが装着されている。搭載ヘッド17A、17Bは複数の単位搭載ヘッドを備えており、各単位搭載ヘッドに装着された吸着ノズルによって電子部品を真空吸着により保持する。
【0017】
Y軸移動テーブル15およびX軸移動テーブル16A、16Bを駆動することにより、搭載ヘッド17A、17BはX方向、Y方向に水平移動する。これにより、搭載ヘッド17A、17Bはそれぞれ部品供給部13A、13Bのテープフィーダ14から電子部品を吸着して取り出し、基板搬送レール12A、12Bの実装ステージに位置決めされた基板5に移送搭載する。搭載ヘッド17A、17Bの移動経路には部品認識カメラ18A、18Bが設けられており、電子部品を保持した搭載ヘッド17A、17Bが部品認識カメラ18A、18Bの上方を移動することにより、部品認識カメラ18A、18Bは搭載ヘッド17A、17Bによって保持された電子部品を下方から撮像して認識する。
【0018】
次に図2、図3、図4を参照して、印刷装置2の構造を説明する。図3は図2におけるA−A矢視を示しており、図4は第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの構造を説明するための詳細断面図である。図3の断面に示すように、印刷装置2は基台6上にライン中心線について対称配置された第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bには、それぞれ基板位置決め部21が設けられている。基板位置決め部21は、X方向に搬送された基板5をそれぞれのスクリーン印刷部による印刷位置に位置決めして保持する。基板位置決め部21の上方には、パターン孔が設けられたマスクプレート32と、ペーストが供給されたマスクプレート32上で、スキージユニット33のスキージ36(図4参照)を摺動させるスキージ移動機構37が配設されている。マスクプレート32、スキージユニット33、スキージ移動機構37は、基板5に対してペーストを印刷するスクリーン印刷機構を構成する。
【0019】
図4を参照して、基板位置決め部21、スキージユニット33およびスキージ移動機構37の詳細構成を説明する。図4において、基板位置決め部21は、Y軸テーブル22、X軸テーブル23およびθ軸テーブル24を段積みし、更にその上に第1のZ軸テーブル25、第2のZ軸テーブル26を組み合わせて構成されている。第1のZ軸テーブル25の構成を説明する。θ軸テーブル24の上面に設けられた水平なベースプレート24aの上面側には、同様に水平なベースプレート25aが昇降ガイド機構(図示省略)によって昇降自在に保持されている。ベースプレート25aは、複数の送りねじ25cを基板移動Z軸モータ25bによってベルト25dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート25aには2つの垂直フレーム25eが立設されており、垂直フレーム25eの上端部には、基板搬送路を構成する1対の基板搬送コンベア28が保持されている。
【0020】
基板搬送コンベア28は基板搬送方向(X方向−−図1において紙面垂直方向)に平行に配設されており、これらの基板搬送コンベア28に設けられたコンベア機構よって印刷対象の基板5の両端部を支持して搬送する。第1のZ軸テーブル25を駆動することにより、基板搬送コンベア28によって保持された状態の基板5を、基板搬送コンベア28とともに、スクリーン印刷機構に対して昇降させることができる。
【0021】
第2のZ軸テーブル26の構成を説明する。基板搬送コンベア28とベースプレート25aの中間には、水平なベースプレート26aが昇降ガイド機構(図示省略)に沿って昇降自在に配設されている。ベースプレート26aは、複数の送りねじ26cを下受部昇降モータ26bによってベルト26dを介して回転駆動する構成のZ軸昇降機構によって昇降する。ベースプレート26aの上面には、基板下受部27が着脱自在に装着される。基板下受部27は、スクリーン印刷機構による印刷位置に搬送された基板5を下方から下受けして保持する。
【0022】
第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bによる印刷動作において、基板搬送コンベア28は上流側装置から供給される基板5を基板振り分け装置4(1)の振り分けコンベア41A,41Bを介して受け取ってスクリーン印刷機構による印刷位置に搬入し位置決めする。そしてスクリーン印刷機構によって印刷が行われた後の基板5を基板搬送コンベア28によって印刷位置から搬出し、基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42A,42Bに受け渡す。
【0023】
第2のZ軸テーブル26を駆動することにより、基板下受部27は基板搬送コンベア28に保持された状態の基板5に対して昇降する。そして基板下受部27の下受面が基板5の下面に当接することにより、基板下受部27は基板5を下面側から支持する。基板搬送コンベア28の上面にはクランプ機構29が配設されている。クランプ機構29は、左右対向して配置された2つのクランプ部材29aを備えており、一方側のクランプ部材29aを駆動機構29bによって進退させることにより、基板5を両側からクランプして固定する。
【0024】
次に基板位置決め部21の上方に配設され、印刷位置に搬送された基板に対してペーストを印刷するスクリーン印刷機構の構造について説明する。図2,図4において、マスクホルダ(図示省略)によって保持されたマスク枠31にはマスクプレート32が展張されており、マスクプレート32には基板5における印刷部位に対応してパターン孔32aが設けられている。マスクプレート32上には、スキージユニット33がスキージ移動機構37によって移動自在に配設されている。
【0025】
スキージユニット33は、対向配置された1対のスキージ36をそれぞれ昇降させる2つのスキージ昇降機構35を、水平な移動プレート34に配設した構成となっている。スキージユニット33は、移動プレート34の下面に固着されたナット部材37cに、スキージ移動モータ37により回転駆動される送りねじ37bを螺合させた構成のスキージ移動機構37によって、Y方向の正逆各方向に水平移動する。なお図2では、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのうち、第1スクリーン印刷部7Aのマスクプレート32や移動プレート34、スキージ移動機構37などの図示を省略している。
【0026】
図2に示すように、基板位置決め部21の上方にはヘッドY軸テーブル40YによってY方向に移動するヘッドX軸テーブル40Xが配設されており、ヘッドX軸テーブル40Xには、カメラヘッドユニット38およびマスククリーニングユニット39が装着されている。カメラヘッドユニット38は、基板5を上方から撮像するための基板認識カメラ38aと、マスクプレート32を下面側から撮像するためのマスク認識カメラ38bとを備えており、マスククリーニングユニット39はマスクプレート32の下面をクリーニングするためのクリーニングヘッドを備えている。
【0027】
ヘッドX軸テーブル40X、ヘッドY軸テーブル40Yを駆動してカメラヘッドユニット38、マスククリーニングユニット39を水平移動させることにより、基板5の認識とマスクプレート32の認識とを同時に行うことができるとともに、必要に応じてマスクプレート32の下面の清掃を行うことができる。これらの作業を行わないときは、カメラヘッドユニット38、マスククリーニングユニット39は基板位置決め部21の上方から側方に退避した位置にある。
【0028】
次に第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bによる印刷動作について説明する。まず基板搬送コンベア28によって、印刷対象の基板5が印刷位置に搬入され、基板下受部27に対して位置合わせされる。次いで第2のZ軸テーブル26を駆動して基板下受部27を上昇させ、基板5の下面を下受けする。次いで基板位置決め部21を駆動して、基板5をマスクプレート32に対して位置合わせした後、第1のZ軸テーブル25を駆動して基板5を基板搬送コンベア28とともに上昇させて、パターン孔32aが設けられたマスクプレート32の下面に当接させる。
【0029】
この後、基板5をクランプ機構29によってクランプすることにより、基板5の水平位置が固定される。そしてこの状態で、2つのスキージ36のうち1つを下降させてマスクプレート32に当接させる。次いでクリーム半田などのペーストが供給されたマスクプレート32上で、スキージ36をスキージング方向(Y方向)に摺動させることにより、パターン孔32aを介して基板5にはペーストが印刷される。
【0030】
図2、図3に示すように、基台6の上面において、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの中間には、ライン中心線CLに沿って基板搬送部8がX方向に配設されている。基板搬送部8は基台6上に立設されたフレーム8aの上端部に、基板搬送用のコンベア機構を備えた基板搬送レール8bを保持させた構成となっており、基板搬送レール8bによって基板5を正逆両方向に搬送することができる。
【0031】
すなわち、基板搬送レール8bのコンベア機構を下流側方向へ駆動することにより、上流側装置から供給された基板5を第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bをバイパスして下流側装置へ渡すことができ、この場合には、基板搬送部8は、下流側装置へ送られる基板5を通過させるためのバイパス用搬送路として機能する。また基板搬送レール8bのコンベア機構を上流側方向へ駆動することにより、下流側装置から戻された基板5を当該印刷装置2の上流側に戻すことができ、この場合には、基板搬送部8は、電子部品実装ライン1の下流側から当該スクリーン印刷装置2の上流側へ戻る基板を搬送する戻り用搬送路として機能する。
【0032】
印刷装置2の上流側、下流側にそれぞれ付設された基板振り分け装置4(1)は、それぞれ基板搬送用のコンベア機構を備えた振り分けコンベア41A,41B,41Cを備えており、基板振り分け装置4(2)は、振り分けコンベア42A,42B,42Cを備えている。これらの振り分けコンベア41A,41B,41C、振り分けコンベア42A,42B,42Cは、それぞれ搬送レール移動機構(図示省略)によってY方向に個別に移動自在となっている(矢印a1,a2,a3,b1,b2,b3参照)。
【0033】
これらの振り分けコンベアのY方向への移動により、基板振り分け装置4(1)において、通常状態においては第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28と連結された状態にある振り分けコンベア41Aを、必要に応じて基板搬送部8の搬送レール8bまたは第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させることができる。このとき、振り分けコンベア41B,41Cは、それぞれ通常の連結位置から退避する。
【0034】
同様に通常状態においては第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結された状態にある振り分けコンベア41Bを、必要に応じて基板搬送部8の基板搬送レール8bまたは第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28と連結させることができる。このとき、振り分けコンベア41A,41Cは、それぞれ通常の連結位置から退避する。また通常状態においては基板搬送部8と連結された状態にある振り分けコンベア41Cを、必要に応じて第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28または第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させることができる。このとき、振り分けコンベア41A,41Bは通常の連結位置から退避する。このように、振り分けコンベア41A,41B,41CをY方向に移動させて連結の対象を切り換えることにより、上流側から供給された基板5を第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのいずれかに振り分けて受け渡すことができるとともに、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bおよび基板搬送部8の間で、これらの振り分けコンベアを介して基板5の受け渡しを行うことが可能となっている。
【0035】
さらに基板振り分け装置4(2)においても同様に、通常状態においては第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28と連結された状態にある振り分けコンベア42Aを、必要に応じて基板搬送部8の搬送レール8bまたは第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させることができる。同様に通常状態においては第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結された状態にある振り分けコンベア42Bを、必要に応じて基板搬送部8の搬送レール8bまたは第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28と連結させることができる。また通常状態においては基板搬送部8と連結された状態にある振り分けコンベア42Cを、必要に応じて第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28または第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させることができる。このように、振り分けコンベア42A,42B,42CをY方向へ移動させて連結の対象を切り換えることにより、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bおよび基板搬送部8の間で、これらの振り分けコンベアを介して基板5の受け渡しを行うことができる。
【0036】
さらに基板振り分け装置4(2)において、通常状態にはそれぞれ第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結された状態にある振り分けコンベア42A,42Bを、必要に応じて搭載装置3(1)の基板搬送レール12A,12Bと連結させて、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの基板位置決め部21から、印刷作業後の基板5を下流側装置である搭載装置3(1)に受け渡すことが可能となっている。
【0037】
すなわち上記構成において基板振り分け装置4(2)は、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bの2つのスクリーン印刷部および基板搬送部8の下流側に設けられて、これら2つのスクリーン印刷部および基板搬送部8の間で基板5の振り分けを行う機能を有している。そしてこのような基板振り分け装置4(2)の機能と基板搬送部8の機能を組み合わせることにより、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのいずれかから、他のスクリーン印刷部へ基板5を搬送することができる。すなわち第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのいずれかから基板5を受け渡された振り分けコンベア42A,42Bを基板搬送部8と連結させることにより、この基板5を基板搬送部8によって上流側へ搬送することができる。そしてこの基板5を基板振り分け装置4(1)の機能によって第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのいずれかに振り分けることにより、1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部への基板5の搬送が行われる。
【0038】
なお、上流側の基板振り分け装置4(1)については以下の理由により必須ではなく、基板振り分け装置4(2)のみを設けるようにしてもよい。すなわち基板振り分け装置4(1)は電子部品実装ライン1の先頭に位置することから、基板供給作業を行う作業者が常在する場合が多く、このような場合には1つのスクリーン印刷から下流に搬出され基板搬送部8によって上流側に搬送された基板5を、人手によって他のスクリーン印刷部に振り分けるようにしてもよい。すなわち2つのスクリーン印刷部および基板搬送部8の少なくとも下流側に設けられて2つのスクリーン印刷部および基板搬送部8の間で基板5の振り分けを行う基板振り分け装置4(1)、4(2)および基板搬送部8は、複数のスクリーン印刷部のうちの1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部へ基板5を搬送する印刷部間基板搬送手段を構成する。
【0039】
次に図5を参照して、制御系の構成を説明する。図5において、制御部50は演算処理装置であり、記憶部51に記憶された各種の処理プログラムを実行することにより、印刷装置2の各部の動作や処理を制御する。制御部50による制御に際しては、記憶部51に記憶された各種のデータが参照される。これらの各種のプログラム、データには、記憶部51に設けられた作業モード記憶部52に記憶される作業モードが含まれる。これらの作業モードは、複数のスクリーン印刷部(ここでは第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7B)のそれぞれによって実行される印刷作業の態様を示すものであり、モード指令部53が作業モード記憶部52に記憶された作業モードについてのプログラムおよびデータを読み取って制御部50に指令することにより、予め定められた作業モードに基づいた印刷作業および基板搬送動作がそれぞれのスクリーン印刷部や、基板振り分け装置4(1)、(2)、基板搬送部8にて実行される。
【0040】
作業モード記憶部52には、第1の作業モード52a、第2の作業モード52bの2つの作業モードが記憶されている。第1の作業モード52aは、それぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部21に個別に搬送された基板5を対象として、それぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせるための作業モードである。また第2の作業モード52bは、同一の基板5をそれぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部21に順次搬送し、それぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を同一の基板5に対して順次実行するための作業モードである。モード指令部53は、これらの2つの作業モードを選択的に指令する。
【0041】
操作・入力部54は、キーボードやマウスなどの入力手段であり、操作コマンドやデータの入力を行う。表示部55は液晶パネルなどの表示装置であり、操作・入力部54による入力時の案内画面や各種の報知画面を表示する。通信部56はLAN回線57を介して電子部品実装ライン1を構成する他装置や電子部品実装ライン1を統括して制御する管理コンピュータ58との間でデータの授受を行う。モード指令部53によるモード指示は、管理コンピュータ58から通信部56を介して自動的に入力されるモード指令信号や、作業者が操作・入力部54を操作することにより行われる手動のモード入力信号に基づいて行われる。機構駆動部59は、制御部50によって制御されることにより、基板位置決め部21、スクリーン印刷機構43、基板搬送部8、基板振り分け装置4(1)、基板振り分け装置4(2)を駆動する。このとき、制御部50はモード指令部53から指令された作業モードに基づいて、各部による基板搬送動作や印刷動作を制御する。
【0042】
次に、第1の作業モード52a、第2の作業モード52bに基づいて実行される基板搬送動作について、図6、図7を参照して説明する。図6は第1の作業モード52aに基づく印刷作業における基板搬送動作を示すものである。ここでは、作業対象の基板5は、基板振り分け装置4(1)の振り分けコンベア41A,41Bにそれぞれ個別に供給される。このとき第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bによって印刷作業の対象となる基板5は同一品種のものであっても、また品種が異なるものであってもよい。そして供給された基板5は、振り分けコンベア41A,42Bから第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのそれぞれの基板搬送コンベア28に乗り移り(矢印c1,c2)、個別に搬送されて基板位置決め部21によって印刷位置にそれぞれ位置決めされる。そしてこの基板5に対して、第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7B毎に個別に所定の印刷作業が実行される。
【0043】
印刷作業が完了した後の基板5は第1スクリーン印刷部7A、第2スクリーン印刷部7Bのそれぞれの基板位置決め部21から下流に搬出され(矢印d1,d2)、それぞれ基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42A,42Bに乗り移る。次いで基板振り分け装置4(2)において振り分けコンベア42A,42BをそれぞれY方向に移動させて(矢印e1,e2)、搭載装置3(1)の基板搬送レール12A,12Bと連結させることにより、印刷後の基板5は基板搬送レール12A,12Bに搬出される(矢印f1,f2)。
【0044】
図7は、第2の作業モード52bに基づく印刷作業における基板搬送動作を示している。ここでは、作業対象の基板5は、基板振り分け装置4(1)の一方の振り分けコンベア(ここでは振り分けコンベア41A)にのみ供給される。供給された基板5は、振り分けコンベア41Aから第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28に乗り移り(矢印g)、下流へ搬送されて基板位置決め部21によって印刷位置に位置決めされる。そしてこの基板5に対して、第1スクリーン印刷部7Aによる印刷作業が実行される。
【0045】
第1スクリーン印刷部7Aにおいては、図8(a)に示すように、マスクプレート32Aを用いた第1の印刷作業が実行される。マスクプレート32Aには、印刷対象の基板5に設定されたファイン電極区画5aに対応した範囲にマスク本体厚みtよりも小さい厚みt1の凹部32cが設けられており、凹部32c内にはファイン電極区画5a内のファイン電極にクリーム半田44を印刷するためのパターン孔32aが形成されている。このマスクプレート32Aを基板5に当接させてスキージ36にスキージング動作を行わせることにより、図8(b)に示すように、基板5のファイン電極区画5aには、ファイン電極に対応した半田印刷部44aが形成される。
【0046】
第1の印刷作業が完了した後の基板5は、第1スクリーン印刷部7Aの基板位置決め部21から下流に搬出され(矢印h)、基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42Aに乗り移る。次いで基板振り分け装置4(2)において振り分けコンベア42AをY方向に移動させて(矢印i)、基板搬送部8の基板搬送レール8bと連結させる。このとき、振り分けコンベア42Cは振り分けコンベア42Aと干渉しない位置に退避する。これにより、第1の印刷作業完了後の基板5は振り分けコンベア42Aとともに基板搬送部8と連結する位置へ移動し(矢印j)、次いで基板5は基板搬送部8に乗り移って上流側へ搬送され(矢印k)、基板振り分け装置4(1)の振り分けコンベア41Cに乗り移る。
【0047】
この後基板振り分け装置4(1)において振り分けコンベア41CをY方向に移動させて(矢印l)、第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させる。これにより、第1の印刷作業完了後の基板5は振り分けコンベア41Cとともに基板搬送コンベア28と連結する位置へ移動する(矢印m)。このとき、振り分けコンベア41Bは振り分けコンベア41Cと干渉しない位置に退避する。次いで基板5は第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28に乗り移って下流側へ搬送され、基板位置決め部21によって印刷位置に位置決めされる。そしてこの基板5に対して、第2スクリーン印刷部7Bによる印刷作業が実行される。
【0048】
第2スクリーン印刷部7Bにおいては、図8(c)に示すように、マスクプレート32Bを用いた第2の印刷作業が実行される。マスクプレート32Bには、印刷対象の基板5のファイン電極区画5a以外の範囲に通常サイズのパターン孔32bが形成されており、さらにマスクプレート32Bの下面にはファイン電極区画5aに対応して半田印刷部44aの高さ分に相当する厚み分だけ下面を切除したぬすみ部32dが形成されている。これによりマスクプレート32Bを基板5に当接させた状態において、既に印刷された半田印刷部44aとマスクプレート32Bが干渉しないようになっている。
【0049】
このマスクプレート32Bを基板5に当接させてスキージ36にスキージング動作を行わせることにより、図8(d)に示すように、基板5にはファイン電極区画5aに形成された半田印刷部44aに加えて、通常サイズの電極に対応した半田印刷部44bが形成される。そして第2の印刷作業完了後の基板5は、基板位置決め部21から下流に搬出され(矢印o)、基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42Bに乗り移る。これ以降は、図6に示す基板の搬出動作と同様である。
【0050】
すなわち第2の作業モード52bに基づく印刷作業では、同一の基板5を第1のスクリーン印刷部7A、第2のスクリーン印刷部7Bのそれぞれの基板位置決め部21に順次搬送し、第1のスクリーン印刷部7A、第2のスクリーン印刷部7Bにおいてそれぞれ作業内容の異なる第1の印刷作業および第2のを、同一の基板5に対して順次実行する形態となっている。
【0051】
なお上述の第2の作業モードによる印刷作業において、基板振り分け装置4(1)を有しない印刷装置2によって同様の印刷作業を実行する場合には、図7において矢印m、矢印nで示す基板5の移動を、人手によって行う。すなわち基板搬送部8によって上流側へ搬送された基板5を作業者が取り出し、第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28に投入する。
【0052】
さらに、基板振り分け装置4(1)、基板搬送部8のいずれをも有しておらず、基板振り分け装置4(2)のみを備えた印刷装置2によって同様の印刷作業を実行する場合には、図9に示すような作業形態が可能である。すなわちこの場合には、基板5は第1スクリーン印刷部7Aの基板搬送コンベア28に直接人手によって投入され(矢印p)、下流へ搬送されて基板位置決め部21によって印刷位置に位置決めされる。そしてこの基板5に対して、第1スクリーン印刷部7Aによる印刷作業が実行される。第1スクリーン印刷部7Aにおける第1の印刷作業が完了した後の基板5は第1スクリーン印刷部7Aの基板位置決め部21から下流に搬出され(矢印q)、基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42Aに乗り移る。次いで基板振り分け装置4(2)において振り分けコンベア42AをY方向に移動させて(矢印r)、第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結させる。このとき、振り分けコンベア42Bは振り分けコンベア42Aと干渉しない位置に退避する。
【0053】
これにより、第1の印刷作業完了後の基板5は振り分けコンベア42Aとともに第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28と連結する位置へ移動し(矢印s)、次いで第2スクリーン印刷部7Bの基板搬送コンベア28に乗り移って上流側へ搬送され(矢印t)、基板位置決め部21によって印刷位置に位置決めされる。そしてこの基板5に対して、第2スクリーン印刷部7Bによる印刷作業が実行される。そして第2の印刷作業完了後の基板5は、基板位置決め部21から下流に搬出され(矢印u)、基板搬送コンベア28との連結位置に移動した基板振り分け装置4(2)の振り分けコンベア42Bに乗り移る。これ以降は、図6に示す基板の搬出動作と同様である。
【0054】
上記説明したように、本発明の電子部品実装ラインを構成するスクリーン印刷装置は、ライン方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部とこれらのスクリーン印刷部の間で基板を搬送する印刷部間基板搬送手段とを備え、それぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に実行するようにしたものである。
【0055】
これにより、第2の作業モードと同様の印刷プロセスを実現する場合に従来採用された、複数のスクリーン印刷機構を直列に配置する構成と比較してライン長を短くすることが可能となり、面積生産性を向上させることができる。さらに複数回の印刷を必要としない通常の基板を対象とする場合には、並列に配置された複数のスクリーン印刷機構によって同時並行的に印刷作業を実行することが可能となり、高い生産効率を得ることができる。したがって、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の電子部品実装ラインおよび電子部品実装方法は、同一の基板に対して複数回の印刷作業を反復して実行する印刷プロセスを含む多様な印刷作業を効率よく実行することができるという効果を有し、基板に電子部品を実装して実装基板を製造する電子部品実装分野において有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 電子部品実装ライン
2 印刷装置(スクリーン印刷装置)
3 搭載装置(電子部品搭載装置)
4 基板振り分け装置
5 基板
7A 第1スクリーン印刷部
7B 第2スクリーン印刷部
8 基板搬送部
21 基板位置決め部
32 マスクプレート
33 スキージユニット
36 スキージ
37 スキージ移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成された電子部品実装ラインであって、
前記スクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートと、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させるスキージ移動機構とを有し前記電子部品実装ラインのライン方向である第1方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれに設けられ前記第1方向に搬送された前記基板を前記スクリーン印刷部による印刷位置に位置決めして保持する基板位置決め部と、前記複数のスクリーン印刷部のうちの1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部へ前記基板を搬送する印刷部間基板搬送手段と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれによって実行される印刷作業の態様を示す作業モードを指令するモード指令部とを備え、
前記モード指令部は、それぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を前記同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に指令することを特徴とする電子部品実装ライン。
【請求項2】
さらに、前記電子部品実装ラインのライン中心線に関して平面視して対称に配置された2つの前記スクリーン印刷部と、前記2つのスクリーン印刷部と連結されて前記2つのスクリーン印刷部の間で基板の振り分けを行う基板振り分け装置とを備え、前記基板振り分け装置が前記印刷部間基板搬送手段を構成することを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装ライン。
【請求項3】
基板に電子部品を搭載する電子部品搭載装置の上流側に前記基板に電子部品接合用のペーストを印刷するスクリーン印刷装置を連結して構成された電子部品実装ラインによる電子部品実装方法であって、
前記スクリーン印刷装置は、パターン孔が設けられたマスクプレートと、ペーストが供給された前記マスクプレート上でスキージを摺動させるスキージ移動機構とを有し前記電子部品実装ラインのライン方向である第1方向に基板搬送方向を合わせて並列して配置された複数のスクリーン印刷部と、前記複数のスクリーン印刷部のそれぞれに設けられ前記第1方向に搬送された前記基板を前記スクリーン印刷部による印刷位置に位置決めして保持する基板位置決め部と、前記複数のスクリーン印刷部のうちの1つのスクリーン印刷部から他のスクリーン印刷部へ前記基板を搬送する印刷部間基板搬送手段とを備え、
それぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に個別に搬送された基板を対象としてそれぞれのスクリーン印刷部毎に個別に印刷作業を行わせる第1の作業モードと、同一の基板をそれぞれのスクリーン印刷部の前記基板位置決め部に順次搬送しそれぞれのスクリーン印刷部において作業内容の異なる印刷作業を前記同一の基板に対して順次実行する第2の作業モードとを選択的に実行することを特徴とする電子部品実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−147023(P2012−147023A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−95315(P2012−95315)
【出願日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【分割の表示】特願2008−323681(P2008−323681)の分割
【原出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】