電気光学装置および電子機器
【課題】簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制する。
【解決手段】電気光学装置は、表示領域から引き出された複数のデータ線103と、各画素を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路を備える。スイッチング回路は、画像信号線と接続するデータ線103を選択すると、選択したデータ線103と画像信号線を接続すると共に、少なくとも選択したデータ線103と隣り合う1本または2本のデータ線103と画像信号線との接続を遮断する。表示領域から引き出された各データ線103のうち全部または一部の隣り合うデータ線103の間には、固定電位が供給される導電部120が備わる。導電部120の幅Wは、両脇のデータ線103のうち一方のデータ線103の中心線aから他方のデータ線103の中心線bまでの間隔Wabよりも小さい。
【解決手段】電気光学装置は、表示領域から引き出された複数のデータ線103と、各画素を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路を備える。スイッチング回路は、画像信号線と接続するデータ線103を選択すると、選択したデータ線103と画像信号線を接続すると共に、少なくとも選択したデータ線103と隣り合う1本または2本のデータ線103と画像信号線との接続を遮断する。表示領域から引き出された各データ線103のうち全部または一部の隣り合うデータ線103の間には、固定電位が供給される導電部120が備わる。導電部120の幅Wは、両脇のデータ線103のうち一方のデータ線103の中心線aから他方のデータ線103の中心線bまでの間隔Wabよりも小さい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーによって光学特性が変化する電気光学物質として液晶が知られている。液晶表示装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の走査線と複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とを備え、データ線を介して各画素にデータ信号を書き込む。
【0003】
特許文献1には、複数のデータ線をまとめたブロック毎にデータ信号を供給して画素への書き込みを行う場合に、ブロックとブロックの境目で輝度ムラが発生する点が指摘されている。これは、隣接するデータ線が容量結合していることに起因して、すでに書き込みを終えたブロックのデータ線、特に、書き込みの対象となるブロックに隣接するデータ線の電位が変動するためである。特許文献1には、容量結合によるデータ線の電位変化を予測し、この予測に基づいて画像データを補正することで輝度ムラを低減する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−343923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電位変化を予測するためには、隣接するデータ線に供給するデータ信号との差分を算出し、これに演算を施して補正データを生成しなければならない。このため、補正回路が必要となり、構成が複雑になるといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられており、前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、ことを特徴とする。
【0007】
なお、例えば、1〜nまで順番に並べられたn本のデータ線のうち、2番目からn−1番目までのいずれか1本のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、選択したデータ線の両隣の2本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる(例えば、2番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、1番目および3番目の2本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる)。これに対し、1番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合と、n番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、選択したデータ線の隣の1本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる(例えば、n番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、n−1番目のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる)。
また、スイッチング回路が電気光学パネル(表示パネル)とは異なる基板に設けられている場合、「前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間」には、(1)電気光学パネルにおいて表示領域から引き出された複数のデータ線が延在する部分、(2)スイッチング回路が設けられた基板と電気光学パネルとをつなぐ接続ケーブル、(3)電気光学パネルとは異なる基板においてスイッチング回路に至るまでの複数のデータ線が延在する部分、が含まれる。
【0008】
また、本発明は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、前記複数のデータ線の各々は、両端がともに前記表示領域の外に引き出され、一端が前記スイッチング回路に接続されており、前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、前記電気光学パネルにおいて、前記スイッチング回路に接続された一端とは反対側の、前記複数のデータ線が前記表示領域の外に引き出された区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられており、前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、ことを特徴とする。
【0009】
以上の構成によれば、あるデータ線に画像信号線を接続してデータ信号を供給する場合、このデータ線と隣り合う1または2のデータ線と画像信号線との接続が遮断される。つまり、データ信号が供給されるデータ線と隣り合う1または2のデータ線はフローティング状態になる。しかしながら、表示領域から引き出された各データ線のうち全部または一部の隣り合うデータ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられる。この導電部とデータ線との間には寄生容量が付随し、また、導電部とデータ線との間の距離の方がデータ線間の距離より短いので、データ線間に発生する結合容量よりも、導電部とデータ線との間の寄生容量の方が支配的になる。従って、データ信号が供給されるデータ線と隣り合うデータ線がフローティング状態にあっても、これらのデータ線間における容量結合の影響を低減し、正確な表示を行うことが可能になる。また、特許文献1の構成と比較して補正演算などを行わずに済む。よって、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することができる。
【0010】
また、導電部を設けない場合、隣のデータ線に供給されるデータ信号の電位に比例してクロストークが増大するため、データ信号の電位を低く設定する必要があったのに対し、本発明によれば、導電部を設けることでクロストークを低減できるため、データ信号の電位を高く設定することが可能である。よって、各画素への充電時間が短時間で済むため、データ信号の書き込み時間の短縮化や表示の高速化が図れる。
【0011】
さらに、固定電位が供給される導電部をデータ線間に備えると共に線順次駆動を行う電気光学装置の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を供給するので、データ信号を供給するタイミングにおいて電気光学装置の消費電流が瞬間的に大きくなり、導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動する場合がある。この場合、導電部とデータ線の間の寄生容量が変化し、これに応じてデータ線の電位が変動するため、表示品位の低下を招く。これに対し、本発明では、スイッチング回路を用いることで、少なくとも隣り合う2本のデータ線にはそれぞれ異なるタイミングでデータ信号が供給される。このため導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動することを抑えられる。従って、線順次駆動の場合に比べ、データ線の電位変動を抑え、表示品位の低下を防ぐことができる。また、線順次駆動の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を供給するための回路、例えばラッチ回路およびスイッチング回路が必要になる。これに対し、本発明ではスイッチング回路のみでよいため、回路素子数が低減できる。よって、電気光学パネルの小型化や歩留まりの向上が図れる。
【0012】
また、上述した電気光学装置において、前記導電部と、当該導電部の両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える構成としてもよい。また、この場合、前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最大電位以上の電位を供給する第1電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、カソードが前記導電部に接続され、アノードが前記データ線に接続される構成であってもよい。また、前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最小電位以下の電位を供給する第2電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、アノードが前記導電部に接続され、カソードが前記データ線に接続される構成であってもよい。
以上の構成によれば、ダイオード特性を有する複数の回路素子によって静電保護回路を構成することができるから、データ線間の結合容量の影響を低減すると共に静電気耐性を向上することができる。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上述したいずれかの電気光学装置を備えたことを特徴とする。この電子機器には、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機、情報携帯端末などが該当する。
【0014】
なお、[発明を実施するための最良の形態]の記載からは、上述した発明の他に以下の発明が把握できる。
すなわち、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素と、前記複数の画素に表示すべき階調に応じたデータ信号を前記複数のデータ線に各々供給する駆動回路と、固定電位を供給する電源線と、前記複数のデータ線のうち全部または一部のデータ線の間に設けられ、前記電源線と電気的に接続された複数の配線とを備えた構成であってもよい。
この構成によれば、複数のデータ線のうち全部または一部のデータ線同士の間には、固定電位が供給される配線が設けられる。この配線とデータ線との間には寄生容量が付随し、また、配線とデータ線との間の距離の方がデータ線間の距離より短いので、データ線間に発生する結合容量よりも、配線とデータ線との間の寄生容量の方が支配的になる。従って、データ線間における容量結合の影響を低減し、正確な階調を表示することが可能になる。また、特許文献1の構成と比較して補正演算などを行わずに済む。よって、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することができる。
【0015】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の配線の各々と前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える構成としてもよい。また、この場合、前記電源線は、前記データ線に供給される最大電位以上の固定電位が供給される第1電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、そのカソードが前記配線に電気的に接続され、そのアノードが前記データ線に電気的に接続される構成であってもよい。また、前記電源線は、前記データ線に供給される最小電位以下の固定電位が供給される第2電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、そのアノードが前記配線に電気的に接続され、そのカソードが前記データ線に電気的に接続される構成であってもよい。
これらの構成によれば、ダイオード特性を有する複数の回路素子によって、いわゆる静電保護回路を構成することができるから、データ線間の結合容量の影響を低減すると共に静電気耐性を向上することができる。
【0016】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の配線は前記電源線と一体に形成される構成であってもよいし、前記複数の配線は、前記電源線とコンタクトホールを介して電気的に接続される構成であってもよい。さらに、上述した電気光学装置において、前記複数のデータ線および前記複数の配線は基板上に形成されており、当該基板上の位置を示すマーク部が形成されており、前記複数の配線の一部または全部は、前記マーク部と重ならないように屈曲した形状をしている構成であってもよい。また、前記複数の配線の一部または全部に前記データ線の番号を示す記号が形成される構成であってもよい。
【0017】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の画素は、複数の行と複数の列に配列され、前記複数の走査線は、行方向に沿って形成され、前記複数のデータ線は、列方向に沿って形成され、前記複数の画素は、R色を表示するR画素、G色を表示するG画素、およびB色を表示するB画素が各々列方向に配置され、前記複数のデータ線は、前記R画素にデータ信号を供給するRデータ線、前記G画素にデータ信号を供給するGデータ線、前記B画素にデータ信号を供給するGデータ線をデータ線の組としたとき、複数のデータ線の組からなり、前記駆動回路は、前記データ線の組ごとに設けられ、前記Rデータ線、前記Gデータ線、および前記Bデータ線の各々にデータ信号を振り分ける選択回路を複数備え、前記複数の配線は、隣り合う前記データ線の組の間に配置される構成としてもよい。
この構成によれば、データ線間における容量結合の影響を低減することで、R,G,Bの各色間の階調-輝度特性の差を低減することができる。また、黒表示時に他の色の表示に伴う黒浮きを低減することも可能になる。
【0018】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の画素は、表示領域に設けられており、前記複数のデータ線は、前記表示領域をはみ出して形成されており、前記複数の配線は、前記複数のデータ線が前記表示領域からはみ出して形成されている周辺領域に形成されている構成であってもよい。また、本発明に係る電子機器は、上述したいずれかの電気光学装置を備えたことを特徴とする。この電子機器には、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機、情報携帯端末などが該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<1.第1実施形態>
本発明の実施形態に係る電気光学装置は、電気光学材料として液晶を用いる。電気光学装置1は、主要部として液晶パネル(電気光学パネルの一例)を備える。液晶パネルは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)を形成した素子基板と対向基板とを互いに電極形成面を対向させ、かつ一定の間隙を保って貼付し、この間隙に液晶を挟持している。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように電気光学装置1は、複数の画素回路400が面状に配列された表示領域Aと、走査線駆動回路100と、データ線駆動回路200と、制御回路600と、電界遮蔽用の配線が設けられる周辺領域B1とを有する。表示領域Aには、X方向に延在するn本の走査線101と、Y方向に延在する3m本のデータ線103とが設けられる(mおよびnは自然数)。各画素回路400は、走査線101とデータ線103との交差に対応する位置に配置される。従って、これらの画素回路400は縦n行×横3m列のマトリクス状に配列する。各画素回路400は、間隔をあけて対向する画素電極および対向電極と両者間の液晶とで構成される液晶素子を含む。各液晶素子の透過率(図示しないバックライトから液晶素子に照射される光のうち観察側に透過する光量の割合)は、液晶素子に印加される電圧に応じて変化する。本実施形態では、液晶素子に印加される電圧が大きいほど液晶素子の透過率が大きくなるノーマリーブラックモードである。
【0021】
走査線駆動回路100は、複数の画素回路400を水平走査期間(1H)ごとに行単位で選択するための回路である。走査線駆動回路100は、順次アクティブになる走査信号G1〜Gnをn本の走査線101の各々に出力する。第i行(1≦i≦n)の走査線101に出力される走査信号Giのアクティブレベルへの遷移は、第i行の選択を意味する。
【0022】
本実施形態においては、計3m本のデータ線103が、相隣接する3本(103[1],103[2],103[3])を単位としてm個のブロックBk(Bk1,Bk2,・・・Bkm)に区分される。図1に示すように、各ブロックBkに含まれる3本のデータ線103のうち、左から数えて第1列目のデータ線103[1]に対応する各画素回路400の表示色は「R(赤色)」である。また、左から数えて第2列目のデータ線103[2]に対応する各画素回路400の表示色は「G(緑色)」である。さらに、左から数えて第3列目のデータ線103[3]に対応する各画素回路400の表示色は「B(青色)」である。
【0023】
図1に示す制御回路600は、電気光学装置1の全体の動作を制御するための回路である。制御回路600は、走査線駆動回路100やデータ線駆動回路200に対してクロック信号などの制御信号を出力するほか、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bを生成して各々を選択線21〜23に出力する。
【0024】
データ線駆動回路200は、信号出力回路210および選択回路220を備える。さらに選択回路220は、各ブロックBkに対応するm個の選択部20Uを備える。信号出力回路210は、各ブロックBkに対応するm本の画像信号線25を介して画像信号X1〜Xmをm個の選択部20Uに各々出力する。各選択部20Uは、画像信号線25とデータ線103との間に配置される3つのスイッチング素子を備える。各ブロックBkのデータ線103[1]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線21に並列的に接続され、データ線103[2]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線22に並列的に接続され、データ線103[3]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線23に並列的に接続される。例えば、選択信号SEL-Rがアクティブレベルに遷移すると、各ブロックBkのデータ線103[1]に対応するm個のスイッチ素子が一斉にオン状態になり、各ブロックBkのデータ線103[1]と当該ブロックBkに対応する画像信号線25とが導通する。
【0025】
信号出力回路210は、各ブロックBkに対応するm系統の画像信号X1〜Xmを生成して各画像信号線25に出力する。各画像信号線25に供給される画像信号Xは、当該画像信号線25に対応するブロックBkの3列分のデータ線103と、選択された走査線101との各交差に位置する3つの画素回路400の階調を時分割で指定する電圧信号である。
【0026】
次に、周辺領域B1について説明する。液晶パネルAA上において各データ線103は、表示領域Aからはみ出でるように形成されている。この表示領域Aからはみ出る部分、例えば、表示領域Aの下側の部分(表示領域Aとデータ線駆動回路200との間)が周辺領域B1となる。
【0027】
図2に周辺領域B1の構造を示す。図2(A)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110が設けられている。この電源線110には固定電位が供給される。そして、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120が設けられている。各遮蔽配線120は電源線110と一体に同じ層で形成されている。このため、各遮蔽配線120は、電源線110と電気的に接続されており、その電位は電源線110と同じ固定電位となる。
【0028】
図3(A)に遮蔽配線120とデータ線103の等価回路を示す。隣接するデータ線103との間に遮蔽配線120が形成されているので、遮蔽配線120とデータ線103との間には、寄生容量Caが付随する。隣接するデータ線103の間の距離より、遮蔽配線120とデータ線103との間の距離の方が短いので、隣接するデータ線103の間に発生する結合容量よりも寄生容量Caの方が支配的になる。仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、同図(B)に示すように、隣接するデータ線103の間に発生する結合容量Cbによって、あるデータ線103の電位が変動すると、このデータ線103に隣接するデータ線103の電位に影響を与える。
【0029】
この点を、図4を参照して具体的に説明する。図4において、符号Cuは、表示領域Aの上部領域Xuにおける隣接するデータ線103の間の寄生容量であり、符号Cdは、表示領域Aの下部領域Xdにおける隣接するデータ線103の間の寄生容量である。また、データ信号の書き込み動作において、表示領域Aでは、書き込みの対象となる行の画素がオン状態となり、その他の複数の画素はオフ状態となる。オン状態にある画素をON画素と称し、オフ状態にある画素を保持画素と称する。図4において、符号C1aは、複数の保持画素における画素電極とデータ線103との間の寄生容量を表しており、符号C2aは、複数の保持画素における保持容量を表している。また、符号C1bは、1個のオン画素における画素電極とデータ線103との間の寄生容量を表しており、符号C2bは、1個のオン画素における保持容量を表している。さらに、符号C3は、表示領域Aにおける隣接するデータ線の間の寄生容量C3を表している。また、符号C4は、主として走査線101とデータ線103とが交差することによって発生するデータ線103の寄生容量を表している。
【0030】
この例では、G色に対応するデータ線103[2]にデータ信号X2gを出力する。ここで、プレチャージ電位が中間階調に対応する電位であり、データ信号X2gが最低階調である黒に対応した電位であるとすれば、データ信号X2gをデータ線103[2]に供給することによって、その電位が低下する(ノーマリブラックの場合)。すると、寄生容量CuおよびCdによってデータ線103[2]と容量結合しているデータ線103[1]の電位が変化するのである。特に、表示領域Aの上部や下部に静電保護回路や検査回路を設ける場合、データ線103を長く引き回す必要があるため、寄生容量CuおよびCdにより隣接するデータ線103の間のクロストークが問題となる。
【0031】
ここで、クロストークの大きさは、データ線103の電位変化が大きいほど大きくなる。データ信号の書き込み時には、プレチャージ電位から表示すべき階調に応じた電位に変化する。表示すべき階調が黒の場合には、(1)プレチャージ電位が最大階調である白である場合、(2)プレチャージ電位が中間階調であるグレイの場合、(3)プレチャージ電位が最小階調である黒の場合によって、図5(A)〜(C)に示すように階調-輝度特性が相違してしまう。
【0032】
なお、図5(C)に示すように、プレチャージ電位が黒の場合は、R色、G色およびB色の階調-輝度特性が揃っている。しかしながら、R色の階調を最低階調(黒)とした場合、B色の表示階調に応じてR色の輝度が図6に示すように変動してしまう。すなわち、R色の階調を最低階調(黒)、B色の表示階調を最大階調(白)にすると、黒浮きが生じてしまい、表示品位が低下する。
【0033】
しかしながら、本実施形態では、上述した遮蔽配線120を設けることによって、隣接するデータ線103の間における容量結合の影響や、隣接するデータ線103の間における電界の影響を低減させ、クロストークを抑圧することができる。これにより、各色間の階調-輝度特性の差を低減することができ、さらに、黒表示時に他の色の表示に伴う黒浮きを低減することが可能となる。
【0034】
また、遮蔽配線120の態様としては、図2(A)に示すものの他に、図2(B)に示すように電源線110と遮蔽配線130とを別の層に形成し、これらをコンタクトホールHを介して電気的に接続してもよい。さらに、図2(A)に示す電源線110と遮蔽配線120とを一体に形成し、その上に図2(B)に示す遮蔽配線130を形成してもよい。この場合には、遮蔽配線120および130を2つの層に形成できるので、隣接するデータ線103の間における容量結合の影響や、隣接するデータ線103の間における電界の影響をより一層、低減させることができる。
【0035】
また、データ線103の近傍には、図2(C)に示すように素子基板上の位置を示すマーク部Mが形成される場合がある。この場合には、遮蔽配線130をマーク部Mと重ならないように屈曲した形状とすることが好ましい。さらに、データ線103の近傍には、図2(D)に示すようにデータ線103の番号を示す記号を形成することがある。この場合は、遮蔽配線130を中抜きしてナンバリングしてもよい。このように、遮蔽配線は、隣接するデータ線103の間に設けるのであれば、その形状は直線でなくてもよい。
【0036】
次に、データ信号の書き込みについて説明する。図7は、データ信号を書き込む場合の電気光学装置1の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。同図に示すように走査線駆動回路100から出力される走査信号Giは、水平走査期間(1H)ごとに順番にハイレベル(アクティブレベル)になる。すなわち、走査信号Giは、垂直走査期間のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともに、それ以外の期間ではローレベル(非アクティブレベル)を維持する。
【0037】
ひとつの水平走査期間Hは、当該水平走査期間Hの開始時点から所定期間が経過するまでのプレチャージ期間Tpと、プレチャージ期間Tpの経過後の第1期間T1と、第1期間T1の経過後の第2期間T2と、第2期間T2の経過後の第3期間T3とを有する。図7においては第1行目の走査線101が選択される最初の水平走査期間Hのみを例示しているが、他の水平走査期間Hについても同様である。また、図7において、「k」は1≦k≦mを満たす自然数である。
【0038】
プレチャージ期間Tpは、3m本のデータ線103に対して共通のプレチャージ電位Vpを一斉に供給(プレチャージ)する期間である。プレチャージ期間Tpにおいて、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bは一斉にハイレベル(アクティブレベル)に遷移する。これにより、各ブロックBkに属する3つのスイッチング素子は一斉にオン状態になる。プレチャージ期間Tpにおいて、信号出力回路210から各画像信号線25へ出力される画像信号Xはプレチャージ電位Vpに設定され、総てのデータ線103に対してプレチャージ電位Vpが一斉に供給される。本実施形態においてプレチャージ電位Vpは、各画素回路400に供給された場合に中間階調(灰色)を表示させる電位に設定される。プレチャージ期間Tpが終了すると、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bは一斉にローレベルに遷移し、各ブロックBkに属する3つのスイッチング素子は一斉にオフ状態になる。
【0039】
第1期間T1〜第3期間T3において3系統の選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bが順番にアクティブレベルに遷移する。図7に示すように、第1期間T1においては、選択信号SEL-Rがハイレベルに遷移する一方、選択信号SEL-GおよびSEL-Bはローレベルを維持する。従って、各ブロックBkのデータ線103[1]に対応するスイッチング素子がオン状態に遷移して、各ブロックBkのデータ線103[1]と当該ブロックBkに対応する画像信号線25とが導通する。第1期間T1において、信号出力回路210から各画像信号線25に供給される画像信号Xkは、当該画像信号線25に対応するブロックBkにおけるデータ線103[1]と、選択された走査線101との交差に位置する画素回路400の階調に応じた電位VRに設定され、この電位VRがデータ信号Xkrとしてデータ線103[1]に供給される。
【0040】
同様に、第2期間T2においては、選択信号SEL-Gがハイレベルとなるので、各選択部20Uの第2段目のスイッチング素子がオン状態に遷移する。従って、各ブロックBkのデータ線103[2]に電位VGの画像信号Xkが供給される。また、第3期間T3においては、選択信号SEL-Bがハイレベルとなるので、各選択部20Uの第3段目のスイッチング素子51がオン状態に遷移する。従って、各ブロックBkのデータ線103[3]に電位VBの画像信号Xkが供給される。
なお、この例において、電位VRは中間階調(グレイ)、電位VGおよびVBは最小階調(黒)を示すものとする。
【0041】
一方、選択信号SEL-Rは、プレチャージ期間Tpおよび期間T1以外の期間T2およびT3においてローレベルを維持するから、期間T2およびT3においてデータ線103[1]は電気的にフローティング状態である。同様に、期間T1およびT3においてデータ線103[2]は電気的にフローティング状態であり、期間T1およびT2においてデータ線103[3]は電気的にフローティング状態である。
【0042】
データ線103[1]〜103[3]は、フローティング状態にある場合、容量結合した他のデータ線の電位が変化すると、これに応じて電位が変動してしまう。しかしながら、本実施形態では、図2を参照して説明したように隣接するデータ線103の間には遮蔽配線120が設けられているので、他のデータ線の電位が変化してもフローティング状態のデータ線の電位は殆ど変化しない。この結果、図7に示すように、時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化しても、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[3]の電位は変化しない。また、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化しても、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[2]の電位は変化しない。そして、時刻t3において1水平走査期間1Hが終了すると、その時点におけるデータ線103[1]、101[2]、および101[3]の電位が、1行目の走査線101に対応する画素回路400に書き込むべき電位として確定する。
【0043】
仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、隣接するデータ線103の間の結合容量によって、図8に示すように時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、既に書き込みが終了してフローティング状態にあるデータ線103[1]の電位が低下する。さらに、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位にすると、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[2]の電位が低下してしまう。この結果、時刻t3において1水平走査期間1Hが終了した時点で、データ線103[1]および101[2]の電位が、本来の電位より低下してしまい、正確な階調を表示することができなくなる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、遮蔽配線120を設けることによって、データ線103の間における容量結合の影響や、データ線103の間における電界の影響を低減することができる。従って、あるデータ線の電位が変化してもフローティング状態にある他のデータ線の電位が殆ど変化しない。よって、補正演算などを行わなくても簡易な構成で正確な階調を表示することが可能となる。
【0045】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の詳細な構成を除き、第1実施形態に係る電気光学装置1と同様に構成されている。第2実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに、静電保護回路を組み込んだ周辺領域B2を採用する。
【0046】
図9に周辺領域B2における回路構成を示す。同図に示すように周辺領域B2には、高電位VHを供給する第1電源線110Aと、低電位VLを供給する第2電源線110Bが形成される。高電位VHは、データ線103の最大電位よりも高い固定電位であり、低電位VLはデータ線103の最低電位よりも低い固定電位である。
【0047】
この例では、データ線103と、第1電源線110Aに接続された遮蔽配線120Aとの間にダイオード素子Dが設けられている。このダイオード素子Dは、カソードが遮蔽配線120Aに電気的に接続され、アノードがデータ線103に電気的に接続される。また、データ線103と、第2電源線110Bに接続された遮蔽配線120Bとの間にもダイオード素子Dが設けられている。このダイオード素子Dは、カソードがデータ線103に電気的に接続され、アノードが遮蔽配線120Bに電気的に接続される。
【0048】
ダイオード素子Dの構成例としては、例えば、図10に示すようにMOS-TFTをダイオード接続した態様や、PINダイオードでダイオード素子Dを構成する態様がある。要は、ダイオード特性が得られる回路素子であれば、どのようなものを用いてもよい。また、この例では、静電保護回路を表示領域Aとデータ線駆動回路200との間に設けたが、静電保護回路を表示領域Aの上側に設けてもよい。
【0049】
第2実施形態では、第1実施形態と同様にデータ線103の間の結合容量の影響を低減すると共に、静電気耐性を向上することができる。静電保護回路は、遮蔽配線120が配置される周辺領域B2に形成されるので、新たに静電保護回路を設けるスペースを確保する必要がない。よって、液晶パネルのサイズを小型化することができる。
【0050】
<3.第3実施形態>
上述した第1実施形態および第2実施形態では、3m本のデータ線103の全てについて、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120を設けたが、第3実施形態の電気光学装置では、3m本のデータ線103のうち一部のデータ線103の間に遮蔽配線120を設ける。この場合には、遮蔽配線120を設けた一部のデータ線103の間について、データ線103の間における容量結合の影響や、データ線103の間における電界の影響を低減させることができる。
【0051】
第3実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに周辺領域B3を採用する。図11に周辺領域B3の構造を示す。同図に示すように、遮蔽配線120は、B色のデータ信号を供給するデータ線103[3]と、R色のデータ信号を供給するデータ線103[1]との間に設けられている。従って、データ線103[3]の電位が変化することによって、既に書き込みを終えた隣接するブロックBkのデータ線103[1]の電位に与える影響を低減することができる。但し、本実施形態に係る電気光学装置においては、上述した第1実施形態および第2実施形態の場合のように、データ線103[2]の電位が変化することによってデータ線103[1]の電位に与える影響や、データ線103[3]の電位が変化することによってデータ線103[2]の電位に与える影響を低減することはできない。
【0052】
ここで、第1実施形態と同様に、電位VRは中間階調(グレイ)、電位VGおよびVBは最小階調(黒)を示すものとすれば、本実施形態では、図12に示すように、時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、フローティング状態にあるデータ線103[1]の電位が低下してしまう。また、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、フローティング状態にあるデータ線103[2]の電位が低下してしまう。しかしながら、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化したとき、フローティング状態にあるデータ線103[1]の電位は変化しない。つまり、R色に対応するデータ線103[1]の電位がB色のデータ線103[3]から受ける影響を低減することができる。
【0053】
仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、図13(B)に示すように最後の書き込まれるB色の階調-輝度特性を基準とすると、最初に書き込まれるR色の階調-輝度特性が最もズレが大きく、その次に書き込まれるG色の階調-輝度特性のズレがR色と比較して小さくなる。これに対し、本実施形態によれば、図13(A)に示すようにR色の階調-輝度特性について、G色の階調-輝度特性やB色の階調-輝度特性との差を小さくすることができる。従って、遮蔽配線120を設けない場合と比較して、R色の階調-輝度特性を改善することができる。すなわち、遮蔽配線120を一部のデータ線103の間に設ける構成であっても、遮蔽配線120を全く設けない場合と比較して、階調-輝度特性を改善することができる。
【0054】
<4.第4実施形態>
上述した第1乃至第3実施形態では、選択回路220を用いて、R色、B色、G色の順にデータ線103[1],101[2],101[3]を順次選択してデータ信号を書き込んだ。これに対し、第4実施形態では点順次走査を行う。
【0055】
図14は、第4実施形態に係る電気光学装置2の構成を示すブロック図である。電気光学装置2は、データ線駆動回路200として、選択回路220の替わりに3m個のスッチング素子を備えたサンプリング回路230と、信号出力回路210の替わりにサンプリングパルスS1〜S3mを生成するシフトレジスタ240を備える点で、図1に示した第1実施形態の電気光学装置1と相違する。
また、本実施形態に係る電気光学装置2においては、制御回路600から画像信号線24を介して画像信号VIDが供給される。サンプリング回路230を構成する3m個のスッチング素子は、サンプリングパルスS1〜S3mに従って画像信号VIDをサンプリングしてデータ信号を生成し、各データ線103に出力する。なお、電気光学装置2においても周辺領域B1において、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120が設けられている。
【0056】
図15に、データ信号を書き込む場合の電気光学装置2の各部の信号波形を示すタイミングチャートを示す。同図に示すように、ひとつの水平走査期間Hは、当該水平走査期間Hの開始時点から所定期間が経過するまでのプレチャージ期間Tpと、これに続く書込期間Twとからなる。
サンプリングパルスS1〜S3mは、プレチャージ期間Tpにおいて同時にハイレベルとなる。このため、サンプリング回路230を構成する全てのスイッチング素子が同時にオン状態となる。このとき、画像信号VIDはプレチャージ電位Vpとなっている。よって、プレチャージ期間Tpにおいて3m本のデータ線103に対し、共通のプレチャージ電位Vpが一斉に供給(プレチャージ)される。また、書込期間Twにおいては、サンプリングパルスS1〜S3mが順次ハイレベルとなる。これによって、3m個のスイッチング素子が順次オン状態となり、画像信号VIDが3m本のデータ線103に供給される。
【0057】
ここで、j番目のデータ線103に画像信号VIDを書き込む場合を想定する。この時、j番目のデータ線103に隣接するj−1番目およびj+1番目のデータ線103はフローティング状態となっている。しかしながら、j番目のデータ線103とj−1番目のデータ線103の間、およびj番目のデータ線103とj+1番目のデータ線103の間には、遮蔽配線120が設けられている。従って、j番目のデータ線103の電位が変化しても、j−1番目およびj+1番目のデータ線103の電位に殆ど影響を与えない。
【0058】
例えば、3m番目のデータ線103からデータ信号を受け取る画素回路400におけるB色の階調-輝度特性をZ2、3(m−1)番目のデータ線103からデータ信号を受け取る画素回路400におけるB色の階調-輝度特性をZ1としたとき、遮蔽配線120がある場合には、図16(A)に示すように階調-輝度特性Z1およびZ2がほぼ一致し、遮蔽配線120がない場合には、図16(B)に示すように階調-輝度特性Z1およびZ2が相違する。これは、3m番目のデータ線103は、最後にデータ信号が書き込まれるので、他のデータ線103の電位変化の影響を受けないが、3(m−1)番目のデータ線103の電位は、遮蔽配線120がないと3m番目のデータ線103の電位変化の影響を受けるからである。
このように点順次走査においても遮蔽配線120を用いることにより、データ線103の間のクロストークを低減して、正確な階調を表示することが可能となる。
【0059】
<5.第5実施形態>
第5実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の構成を除き、第1実施形態に係る電気光学装置1と同様に構成されている。第5実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに周辺領域B4を備える。
【0060】
図17および図18に周辺領域B4の構造を示す。図17(A)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110が設けられている。この電源線110には固定電位が供給される。そして、隣り合うデータ線103の間に導電部120が設けられている。導電部120は電源線110と一体に同じ層で形成されている。このため、導電部120は、電源線110と電気的に接続されており、その電位は電源線110と同じ固定電位となる。また、同図(A)に示すように、導電部120の幅(両脇のデータ線103に対して直交する方向の幅)Wは、両脇のデータ線103のうち一方のデータ線の中心線aから他方のデータ線103の中心線bまでの間隔Wabよりも小さい(W<Wab)。
【0061】
つまり、図17(B)に示すように、導電部120は両端がデータ線103と重なっていてもよい。この場合、導電部120の一部がデータ線103と重なっているため、データ線103と導電部120の間の寄生容量が増えるが、データ線103間における容量結合の影響は、図17(A)に示した構成に比べ低減できる。また、図17(C)に示すように、データ線103と直交する方向に2本の電源線110を設け、この2本の電源線110の間に、2本の電源線110と一体に同じ層で、Wabよりも小さな幅Wを有する導電部120を設けてもよい。
【0062】
なお、図17(D)に示すように、導電部120の幅Wを両脇のデータ線103の間の距離Wcdよりも小さくし(W<Wcd)、導電部120が両脇のデータ線103と重ならないようにしてもよい。また、図18(A)に示すように、導電部120は電源線110と交差して図中下側にも延在する構成であってもよい。さらに図18(B)に示すように、電源線110と導電部130を別の層に形成し、これらをコンタクトホールHを介して電気的に接続してもよい。
【0063】
以上説明した第5実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、データ線103間における容量結合の影響や、データ線103間における電界の影響を低減することができる。なお、第2実施形態にて説明した静電保護回路を本実施形態に係る周辺領域B4に組み込んでもよい。但し、静電保護回路を組み込む場合は、ダイオード特性を有する回路素子を導電部120とデータ線103の間に設ける必要があるため、その分だけ導電部120の幅Wを狭くする必要がある。また、第3実施形態にて説明したように一部のデータ線103間に導電部120を設ける構成としてもよい。また、本実施形態に係る周辺領域B4を第4実施形態にて説明した点順次駆動を行う電気光学装置2に組み込んでもよい。
【0064】
<6.変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形例を組み合わせることもできる。
(1)上述した各実施形態では、電気光学素子の一例として液晶素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気エネルギーによって光学特性が変化する電気光学素子であればどのようなものを用いてもよい。例えば、電気光学素子として、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードを用いることができる。
【0065】
(2)上述した各実施形態では、周辺領域を表示領域Aとデータ線駆動回路200との間に設けたが、これをデータ線駆動回路200とは反対側、すなわち表示領域Aの上側に設けてもよい。要は、複数のデータ線103が表示領域Aからはみ出して形成されている領域に遮蔽配線や導電部を形成することが好ましい。
【0066】
(3)上述した各実施形態において、電源線は、遮蔽配線や導電部に固定電位を供給できればよく、必ずしもデータ線103と交差している必要はない。
【0067】
(4)上述した各実施形態において、データ線駆動回路200は、液晶パネルAAとは異なる別の基板上(例えば制御基板)に設けられていてもよい。この場合、表示領域Aから引き出された3m本のデータ線103は、[1]液晶パネルAA上において表示領域Aの外側部分、[2]液晶パネルAAと制御基板とをつなぐ接続ケーブル、[3]制御基板上においてデータ線駆動回路200に至るまでの部分、を経てデータ線駆動回路200に接続される。そして、遮蔽配線や導電部は、上述した[1]〜[3]のいずれか1以上の区間に設けることができる。また、静電保護回路は[1]の他に[3]に設けることができる。
【0068】
また、このように液晶パネルAAとは異なる別の基板上にデータ線駆動回路200を設ける場合、液晶パネルAA上において各データ線103の両端を表示領域Aの外側に引き出し、各データ線103の一端を接続ケーブルを介して別基板上のデータ線駆動回路200に接続し、この一端とは反対側の、液晶パネルAA上において各データ線103が表示領域Aの外側に引き出されている部分に、遮蔽配線や導電部、静電保護回路を設けてもよい。つまり、液晶パネルAAにおいて、例えば、表示領域Aの上下に各データ線103を引き出すと共に、下側に引き出した各データ線103をデータ線駆動回路200に接続した場合は、表示領域Aの上側に引き出した各データ線103に対して、遮蔽配線や導電部、静電保護回路を設ける構成としてもよい。
【0069】
<7.効果>
本発明によれば、隣り合うデータ線103間の寄生容量に起因するクロストークを低減し、表示品位の低下を防ぐことができる。遮蔽配線や導電部を設けない場合、隣のデータ線103に書き込むデータ信号の電位に比例してクロストークが増大するため、これを低減するにはデータ信号の電位を低く設定する必要があった。これに対し、本発明によれば、遮蔽配線や導電部を設けることでクロストークを低減できるため、データ信号の電位を高く設定することが可能である。その結果、各画素への充電時間が短時間で済むため、書き込み時間の短縮化や表示の高速化が図れる。
【0070】
図19(A)は本発明の概略構造を示す平面図であり、図19(B)および図19(C)はその断面図である。なお、図19(B)はデータ線103と導電部120が別の層に形成された場合の断面図であり、図19(C)はデータ線103と導電部120が同層に形成された場合の断面図である。また、図20(A)は従来の構造を示す平面図であり、図20(B)はその断面図である。
図19(A)〜図19(C)に示すように、本発明によれば、隣り合うデータ線103間に固定電位が供給される導電部120を設けることで、一方のデータ線103から他方のデータ線103に達する電気力線が減少する。従って、導電部120を設けない構成に比べ、クロストークの原因となるデータ線103間の寄生容量Cを小さくすることができる。一方、図20(A)および図20(B)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110を設け、電源線110によって各データ線103の一部分を覆う従来の構造の場合、データ線103間の距離(例えば10〜13um程度)より、データ線103と電源線110との間の膜厚(例えば200〜300nm程度)の方が小さいため、データ線103間の電気力線の密度が少なくなる。従って、電源線110で各データ線103を覆わない構成に比べ、クロストークの原因となるデータ線103間の寄生容量Cを小さくすることができる。
【0071】
このようにどちらの場合もデータ線103間の寄生容量Cを小さくし、クロストークを低減することができるが、従来の構造の場合は、データ線103と電源線110の間の寄生容量C2が大きくなりすぎてしまい、信号波形の遅延が生じて表示品位が低下してしまう。これに対し、本発明によれば、データ線103と導電部120の間の寄生容量C1,C1’は、従来の構造に比べてはるかに少ないため(C1,C1’≪C2)、信号波形の遅延による表示品位の低下が起き難い。よって、表示品位の低下を招くことなく、隣り合うデータ線103間の寄生容量Cに起因するクロストークを低減できる。
【0072】
次に、固定電位が供給される遮蔽用の導電部をデータ線間に備えると共に線順次駆動を行う電気光学装置と比較した場合の本発明の効果について説明する。なお、線順次駆動の場合は各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むのに対し、本発明では少なくとも隣り合う2本のデータ線にそれぞれ異なるタイミングでデータ信号を書き込む点で、構成が相違する。
【0073】
まず、線順次駆動の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むので、データ信号を書き込むタイミングにおいて電気光学装置の消費電流が瞬間的に大きくなる。このため電源線の電位(遮蔽用の導電部に供給される固定電位)が瞬間的に大きく変動する場合がある。このように遮蔽用の導電部に供給される固定電位が変動すると、導電部とデータ線の間の寄生容量を介してデータ線の電位が変動し、表示品位の低下を招く。また、線順次駆動の場合、このような電源線の瞬間的な電位変動を抑えるためには、電源線の線幅を太くして抵抗を抑えるなど、電源からの固定電位の供給能力を高めなければならない。これに対し、本発明では、スイッチング回路を用いることで、少なくとも隣り合う2本のデータ線にはそれぞれ異なるタイミングでデータ信号が書き込まれる。このため遮蔽用の導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動することを抑えられる。その結果、線順次駆動の場合に比べ、データ線の電位変動を抑え、表示品位の低下を防ぐことができる。また、線順次駆動の場合のように電源線の線幅を太くするなどせずとも、電源線の瞬間的な電位変動を抑えられる。
【0074】
また、線順次駆動の場合は、各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むための回路、例えばラッチ回路+スイッチング回路が必要になる。これに対し、本発明ではスイッチング回路のみでよいため、回路素子数が低減できる。その結果、液晶パネルの小型化や歩留まりの向上が図れる。また、スイッチング回路をデマルチプレクサで構成すると、データ信号を供給するために実装する部品、例えばドライバICの点数を減らすことができる。その結果、接点数の低減に伴う信頼性の向上、実装面積や端子数の低減に伴う液晶パネルの小型化、部品数の低減に伴うコストダウンなどの効果が得られる。
【0075】
<8.電子機器>
次に、上述した実施形態および変形例に係る電気光学装置1,2を適用した電子機器について説明する。図21に、電気光学装置1,2を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1,2と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001とキーボード2002が設けられている。
図22に、電気光学装置1,2を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、表示ユニットとしての電気光学装置1,2と、複数の操作ボタン3001と、スクロールボタン3002を備える。スクロールボタン3002を操作することで、電気光学装置1,2に表示される画面がスクロールされる。
図23に、電気光学装置1,2を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、表示ユニットとしての電気光学装置1と、複数の操作ボタン4001と、電源スイッチ4002を備える。操作ボタン4001を操作することで、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1,2に表示される。
なお、電気光学装置1,2が適用される電子機器としては、図21〜図23に示すものの他、液晶テレビ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子ペーパー、電子手帳、電卓、テレビ電話、POS端末、プリンタ、複写機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】周辺領域の構造を示す平面図である。
【図3】遮蔽配線とデータ線の等価回路を示す図(図3(A))と、遮蔽配線がない場合の等価回路を示す図(図3(B))である。
【図4】表示領域とその周辺部の等価回路を示す図である。
【図5】遮蔽配線がない場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフである。
【図6】黒浮きについて説明するためのグラフである。
【図7】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図8】遮蔽配線がない場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図9】第2実施形態に係る周辺領域の回路構成を示す図である。
【図10】周辺領域の回路構成の変形例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図である。
【図12】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図13】遮蔽配線がある場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図13(A))と、遮蔽配線がない場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図13(B))である。
【図14】第4実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図15】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図16】遮蔽配線がある場合のB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図16(A))と、遮蔽配線がない場合のB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図16(B))である。
【図17】第5実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図(その1)である。
【図18】第5実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図(その2)である。
【図19】本発明の概略構造を示す平面図と断面図である。
【図20】従来の構造を示す平面図と断面図である。
【図21】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1,2……電気光学装置、100……走査線駆動回路、200……データ線駆動回路、210……信号出力回路、220……選択回路、20U……選択部、230……サンプリング回路、240……シフトレジスタ、400……画素回路、600……制御回路、X1〜Xm,VID……画像信号、24,25……画像信号線、SEL-R、SEL-G、SEL-B……選択信号、S1〜S3m……サンプリングパルス、X1r〜Xmr,X1g〜Xmg,X1b〜Xmb……データ信号、103,103[1],103[2],103[3]……データ線、AA……液晶パネル、A……表示領域、B1〜B4……周辺領域、110,110A,110B……電源線、120,120A,120B,130……遮蔽配線,導電部、H……コンタクトホール、M……マーク部、D……ダイオード素子、Ca……寄生容量、Tp……プレチャージ期間、プレチャージ電位Vp。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーによって光学特性が変化する電気光学物質として液晶が知られている。液晶表示装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、複数の走査線と複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とを備え、データ線を介して各画素にデータ信号を書き込む。
【0003】
特許文献1には、複数のデータ線をまとめたブロック毎にデータ信号を供給して画素への書き込みを行う場合に、ブロックとブロックの境目で輝度ムラが発生する点が指摘されている。これは、隣接するデータ線が容量結合していることに起因して、すでに書き込みを終えたブロックのデータ線、特に、書き込みの対象となるブロックに隣接するデータ線の電位が変動するためである。特許文献1には、容量結合によるデータ線の電位変化を予測し、この予測に基づいて画像データを補正することで輝度ムラを低減する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−343923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電位変化を予測するためには、隣接するデータ線に供給するデータ信号との差分を算出し、これに演算を施して補正データを生成しなければならない。このため、補正回路が必要となり、構成が複雑になるといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、本発明は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられており、前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、ことを特徴とする。
【0007】
なお、例えば、1〜nまで順番に並べられたn本のデータ線のうち、2番目からn−1番目までのいずれか1本のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、選択したデータ線の両隣の2本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる(例えば、2番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、1番目および3番目の2本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる)。これに対し、1番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合と、n番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、選択したデータ線の隣の1本のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる(例えば、n番目のデータ線を選択してデータ信号を供給する場合には、n−1番目のデータ線が少なくとも画像信号線との接続を遮断されるデータ線になる)。
また、スイッチング回路が電気光学パネル(表示パネル)とは異なる基板に設けられている場合、「前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間」には、(1)電気光学パネルにおいて表示領域から引き出された複数のデータ線が延在する部分、(2)スイッチング回路が設けられた基板と電気光学パネルとをつなぐ接続ケーブル、(3)電気光学パネルとは異なる基板においてスイッチング回路に至るまでの複数のデータ線が延在する部分、が含まれる。
【0008】
また、本発明は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、前記複数のデータ線の各々は、両端がともに前記表示領域の外に引き出され、一端が前記スイッチング回路に接続されており、前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、前記電気光学パネルにおいて、前記スイッチング回路に接続された一端とは反対側の、前記複数のデータ線が前記表示領域の外に引き出された区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられており、前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、ことを特徴とする。
【0009】
以上の構成によれば、あるデータ線に画像信号線を接続してデータ信号を供給する場合、このデータ線と隣り合う1または2のデータ線と画像信号線との接続が遮断される。つまり、データ信号が供給されるデータ線と隣り合う1または2のデータ線はフローティング状態になる。しかしながら、表示領域から引き出された各データ線のうち全部または一部の隣り合うデータ線の間には、固定電位が供給される導電部が設けられる。この導電部とデータ線との間には寄生容量が付随し、また、導電部とデータ線との間の距離の方がデータ線間の距離より短いので、データ線間に発生する結合容量よりも、導電部とデータ線との間の寄生容量の方が支配的になる。従って、データ信号が供給されるデータ線と隣り合うデータ線がフローティング状態にあっても、これらのデータ線間における容量結合の影響を低減し、正確な表示を行うことが可能になる。また、特許文献1の構成と比較して補正演算などを行わずに済む。よって、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することができる。
【0010】
また、導電部を設けない場合、隣のデータ線に供給されるデータ信号の電位に比例してクロストークが増大するため、データ信号の電位を低く設定する必要があったのに対し、本発明によれば、導電部を設けることでクロストークを低減できるため、データ信号の電位を高く設定することが可能である。よって、各画素への充電時間が短時間で済むため、データ信号の書き込み時間の短縮化や表示の高速化が図れる。
【0011】
さらに、固定電位が供給される導電部をデータ線間に備えると共に線順次駆動を行う電気光学装置の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を供給するので、データ信号を供給するタイミングにおいて電気光学装置の消費電流が瞬間的に大きくなり、導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動する場合がある。この場合、導電部とデータ線の間の寄生容量が変化し、これに応じてデータ線の電位が変動するため、表示品位の低下を招く。これに対し、本発明では、スイッチング回路を用いることで、少なくとも隣り合う2本のデータ線にはそれぞれ異なるタイミングでデータ信号が供給される。このため導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動することを抑えられる。従って、線順次駆動の場合に比べ、データ線の電位変動を抑え、表示品位の低下を防ぐことができる。また、線順次駆動の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を供給するための回路、例えばラッチ回路およびスイッチング回路が必要になる。これに対し、本発明ではスイッチング回路のみでよいため、回路素子数が低減できる。よって、電気光学パネルの小型化や歩留まりの向上が図れる。
【0012】
また、上述した電気光学装置において、前記導電部と、当該導電部の両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える構成としてもよい。また、この場合、前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最大電位以上の電位を供給する第1電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、カソードが前記導電部に接続され、アノードが前記データ線に接続される構成であってもよい。また、前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最小電位以下の電位を供給する第2電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、アノードが前記導電部に接続され、カソードが前記データ線に接続される構成であってもよい。
以上の構成によれば、ダイオード特性を有する複数の回路素子によって静電保護回路を構成することができるから、データ線間の結合容量の影響を低減すると共に静電気耐性を向上することができる。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上述したいずれかの電気光学装置を備えたことを特徴とする。この電子機器には、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機、情報携帯端末などが該当する。
【0014】
なお、[発明を実施するための最良の形態]の記載からは、上述した発明の他に以下の発明が把握できる。
すなわち、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素と、前記複数の画素に表示すべき階調に応じたデータ信号を前記複数のデータ線に各々供給する駆動回路と、固定電位を供給する電源線と、前記複数のデータ線のうち全部または一部のデータ線の間に設けられ、前記電源線と電気的に接続された複数の配線とを備えた構成であってもよい。
この構成によれば、複数のデータ線のうち全部または一部のデータ線同士の間には、固定電位が供給される配線が設けられる。この配線とデータ線との間には寄生容量が付随し、また、配線とデータ線との間の距離の方がデータ線間の距離より短いので、データ線間に発生する結合容量よりも、配線とデータ線との間の寄生容量の方が支配的になる。従って、データ線間における容量結合の影響を低減し、正確な階調を表示することが可能になる。また、特許文献1の構成と比較して補正演算などを行わずに済む。よって、簡易な構成で隣り合うデータ線間の結合容量の大きさを低減させ、既に書き込みが終了したデータ線への影響を抑制することができる。
【0015】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の配線の各々と前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える構成としてもよい。また、この場合、前記電源線は、前記データ線に供給される最大電位以上の固定電位が供給される第1電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、そのカソードが前記配線に電気的に接続され、そのアノードが前記データ線に電気的に接続される構成であってもよい。また、前記電源線は、前記データ線に供給される最小電位以下の固定電位が供給される第2電源線を含み、前記複数の回路素子の一部または全部は、そのアノードが前記配線に電気的に接続され、そのカソードが前記データ線に電気的に接続される構成であってもよい。
これらの構成によれば、ダイオード特性を有する複数の回路素子によって、いわゆる静電保護回路を構成することができるから、データ線間の結合容量の影響を低減すると共に静電気耐性を向上することができる。
【0016】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の配線は前記電源線と一体に形成される構成であってもよいし、前記複数の配線は、前記電源線とコンタクトホールを介して電気的に接続される構成であってもよい。さらに、上述した電気光学装置において、前記複数のデータ線および前記複数の配線は基板上に形成されており、当該基板上の位置を示すマーク部が形成されており、前記複数の配線の一部または全部は、前記マーク部と重ならないように屈曲した形状をしている構成であってもよい。また、前記複数の配線の一部または全部に前記データ線の番号を示す記号が形成される構成であってもよい。
【0017】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の画素は、複数の行と複数の列に配列され、前記複数の走査線は、行方向に沿って形成され、前記複数のデータ線は、列方向に沿って形成され、前記複数の画素は、R色を表示するR画素、G色を表示するG画素、およびB色を表示するB画素が各々列方向に配置され、前記複数のデータ線は、前記R画素にデータ信号を供給するRデータ線、前記G画素にデータ信号を供給するGデータ線、前記B画素にデータ信号を供給するGデータ線をデータ線の組としたとき、複数のデータ線の組からなり、前記駆動回路は、前記データ線の組ごとに設けられ、前記Rデータ線、前記Gデータ線、および前記Bデータ線の各々にデータ信号を振り分ける選択回路を複数備え、前記複数の配線は、隣り合う前記データ線の組の間に配置される構成としてもよい。
この構成によれば、データ線間における容量結合の影響を低減することで、R,G,Bの各色間の階調-輝度特性の差を低減することができる。また、黒表示時に他の色の表示に伴う黒浮きを低減することも可能になる。
【0018】
また、上述した電気光学装置において、前記複数の画素は、表示領域に設けられており、前記複数のデータ線は、前記表示領域をはみ出して形成されており、前記複数の配線は、前記複数のデータ線が前記表示領域からはみ出して形成されている周辺領域に形成されている構成であってもよい。また、本発明に係る電子機器は、上述したいずれかの電気光学装置を備えたことを特徴とする。この電子機器には、例えば、パーソナルコンピュータや携帯電話機、情報携帯端末などが該当する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<1.第1実施形態>
本発明の実施形態に係る電気光学装置は、電気光学材料として液晶を用いる。電気光学装置1は、主要部として液晶パネル(電気光学パネルの一例)を備える。液晶パネルは、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)を形成した素子基板と対向基板とを互いに電極形成面を対向させ、かつ一定の間隙を保って貼付し、この間隙に液晶を挟持している。
【0020】
図1は、第1実施形態に係る電気光学装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように電気光学装置1は、複数の画素回路400が面状に配列された表示領域Aと、走査線駆動回路100と、データ線駆動回路200と、制御回路600と、電界遮蔽用の配線が設けられる周辺領域B1とを有する。表示領域Aには、X方向に延在するn本の走査線101と、Y方向に延在する3m本のデータ線103とが設けられる(mおよびnは自然数)。各画素回路400は、走査線101とデータ線103との交差に対応する位置に配置される。従って、これらの画素回路400は縦n行×横3m列のマトリクス状に配列する。各画素回路400は、間隔をあけて対向する画素電極および対向電極と両者間の液晶とで構成される液晶素子を含む。各液晶素子の透過率(図示しないバックライトから液晶素子に照射される光のうち観察側に透過する光量の割合)は、液晶素子に印加される電圧に応じて変化する。本実施形態では、液晶素子に印加される電圧が大きいほど液晶素子の透過率が大きくなるノーマリーブラックモードである。
【0021】
走査線駆動回路100は、複数の画素回路400を水平走査期間(1H)ごとに行単位で選択するための回路である。走査線駆動回路100は、順次アクティブになる走査信号G1〜Gnをn本の走査線101の各々に出力する。第i行(1≦i≦n)の走査線101に出力される走査信号Giのアクティブレベルへの遷移は、第i行の選択を意味する。
【0022】
本実施形態においては、計3m本のデータ線103が、相隣接する3本(103[1],103[2],103[3])を単位としてm個のブロックBk(Bk1,Bk2,・・・Bkm)に区分される。図1に示すように、各ブロックBkに含まれる3本のデータ線103のうち、左から数えて第1列目のデータ線103[1]に対応する各画素回路400の表示色は「R(赤色)」である。また、左から数えて第2列目のデータ線103[2]に対応する各画素回路400の表示色は「G(緑色)」である。さらに、左から数えて第3列目のデータ線103[3]に対応する各画素回路400の表示色は「B(青色)」である。
【0023】
図1に示す制御回路600は、電気光学装置1の全体の動作を制御するための回路である。制御回路600は、走査線駆動回路100やデータ線駆動回路200に対してクロック信号などの制御信号を出力するほか、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bを生成して各々を選択線21〜23に出力する。
【0024】
データ線駆動回路200は、信号出力回路210および選択回路220を備える。さらに選択回路220は、各ブロックBkに対応するm個の選択部20Uを備える。信号出力回路210は、各ブロックBkに対応するm本の画像信号線25を介して画像信号X1〜Xmをm個の選択部20Uに各々出力する。各選択部20Uは、画像信号線25とデータ線103との間に配置される3つのスイッチング素子を備える。各ブロックBkのデータ線103[1]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線21に並列的に接続され、データ線103[2]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線22に並列的に接続され、データ線103[3]に対応する各スイッチング素子のゲートは選択線23に並列的に接続される。例えば、選択信号SEL-Rがアクティブレベルに遷移すると、各ブロックBkのデータ線103[1]に対応するm個のスイッチ素子が一斉にオン状態になり、各ブロックBkのデータ線103[1]と当該ブロックBkに対応する画像信号線25とが導通する。
【0025】
信号出力回路210は、各ブロックBkに対応するm系統の画像信号X1〜Xmを生成して各画像信号線25に出力する。各画像信号線25に供給される画像信号Xは、当該画像信号線25に対応するブロックBkの3列分のデータ線103と、選択された走査線101との各交差に位置する3つの画素回路400の階調を時分割で指定する電圧信号である。
【0026】
次に、周辺領域B1について説明する。液晶パネルAA上において各データ線103は、表示領域Aからはみ出でるように形成されている。この表示領域Aからはみ出る部分、例えば、表示領域Aの下側の部分(表示領域Aとデータ線駆動回路200との間)が周辺領域B1となる。
【0027】
図2に周辺領域B1の構造を示す。図2(A)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110が設けられている。この電源線110には固定電位が供給される。そして、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120が設けられている。各遮蔽配線120は電源線110と一体に同じ層で形成されている。このため、各遮蔽配線120は、電源線110と電気的に接続されており、その電位は電源線110と同じ固定電位となる。
【0028】
図3(A)に遮蔽配線120とデータ線103の等価回路を示す。隣接するデータ線103との間に遮蔽配線120が形成されているので、遮蔽配線120とデータ線103との間には、寄生容量Caが付随する。隣接するデータ線103の間の距離より、遮蔽配線120とデータ線103との間の距離の方が短いので、隣接するデータ線103の間に発生する結合容量よりも寄生容量Caの方が支配的になる。仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、同図(B)に示すように、隣接するデータ線103の間に発生する結合容量Cbによって、あるデータ線103の電位が変動すると、このデータ線103に隣接するデータ線103の電位に影響を与える。
【0029】
この点を、図4を参照して具体的に説明する。図4において、符号Cuは、表示領域Aの上部領域Xuにおける隣接するデータ線103の間の寄生容量であり、符号Cdは、表示領域Aの下部領域Xdにおける隣接するデータ線103の間の寄生容量である。また、データ信号の書き込み動作において、表示領域Aでは、書き込みの対象となる行の画素がオン状態となり、その他の複数の画素はオフ状態となる。オン状態にある画素をON画素と称し、オフ状態にある画素を保持画素と称する。図4において、符号C1aは、複数の保持画素における画素電極とデータ線103との間の寄生容量を表しており、符号C2aは、複数の保持画素における保持容量を表している。また、符号C1bは、1個のオン画素における画素電極とデータ線103との間の寄生容量を表しており、符号C2bは、1個のオン画素における保持容量を表している。さらに、符号C3は、表示領域Aにおける隣接するデータ線の間の寄生容量C3を表している。また、符号C4は、主として走査線101とデータ線103とが交差することによって発生するデータ線103の寄生容量を表している。
【0030】
この例では、G色に対応するデータ線103[2]にデータ信号X2gを出力する。ここで、プレチャージ電位が中間階調に対応する電位であり、データ信号X2gが最低階調である黒に対応した電位であるとすれば、データ信号X2gをデータ線103[2]に供給することによって、その電位が低下する(ノーマリブラックの場合)。すると、寄生容量CuおよびCdによってデータ線103[2]と容量結合しているデータ線103[1]の電位が変化するのである。特に、表示領域Aの上部や下部に静電保護回路や検査回路を設ける場合、データ線103を長く引き回す必要があるため、寄生容量CuおよびCdにより隣接するデータ線103の間のクロストークが問題となる。
【0031】
ここで、クロストークの大きさは、データ線103の電位変化が大きいほど大きくなる。データ信号の書き込み時には、プレチャージ電位から表示すべき階調に応じた電位に変化する。表示すべき階調が黒の場合には、(1)プレチャージ電位が最大階調である白である場合、(2)プレチャージ電位が中間階調であるグレイの場合、(3)プレチャージ電位が最小階調である黒の場合によって、図5(A)〜(C)に示すように階調-輝度特性が相違してしまう。
【0032】
なお、図5(C)に示すように、プレチャージ電位が黒の場合は、R色、G色およびB色の階調-輝度特性が揃っている。しかしながら、R色の階調を最低階調(黒)とした場合、B色の表示階調に応じてR色の輝度が図6に示すように変動してしまう。すなわち、R色の階調を最低階調(黒)、B色の表示階調を最大階調(白)にすると、黒浮きが生じてしまい、表示品位が低下する。
【0033】
しかしながら、本実施形態では、上述した遮蔽配線120を設けることによって、隣接するデータ線103の間における容量結合の影響や、隣接するデータ線103の間における電界の影響を低減させ、クロストークを抑圧することができる。これにより、各色間の階調-輝度特性の差を低減することができ、さらに、黒表示時に他の色の表示に伴う黒浮きを低減することが可能となる。
【0034】
また、遮蔽配線120の態様としては、図2(A)に示すものの他に、図2(B)に示すように電源線110と遮蔽配線130とを別の層に形成し、これらをコンタクトホールHを介して電気的に接続してもよい。さらに、図2(A)に示す電源線110と遮蔽配線120とを一体に形成し、その上に図2(B)に示す遮蔽配線130を形成してもよい。この場合には、遮蔽配線120および130を2つの層に形成できるので、隣接するデータ線103の間における容量結合の影響や、隣接するデータ線103の間における電界の影響をより一層、低減させることができる。
【0035】
また、データ線103の近傍には、図2(C)に示すように素子基板上の位置を示すマーク部Mが形成される場合がある。この場合には、遮蔽配線130をマーク部Mと重ならないように屈曲した形状とすることが好ましい。さらに、データ線103の近傍には、図2(D)に示すようにデータ線103の番号を示す記号を形成することがある。この場合は、遮蔽配線130を中抜きしてナンバリングしてもよい。このように、遮蔽配線は、隣接するデータ線103の間に設けるのであれば、その形状は直線でなくてもよい。
【0036】
次に、データ信号の書き込みについて説明する。図7は、データ信号を書き込む場合の電気光学装置1の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。同図に示すように走査線駆動回路100から出力される走査信号Giは、水平走査期間(1H)ごとに順番にハイレベル(アクティブレベル)になる。すなわち、走査信号Giは、垂直走査期間のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともに、それ以外の期間ではローレベル(非アクティブレベル)を維持する。
【0037】
ひとつの水平走査期間Hは、当該水平走査期間Hの開始時点から所定期間が経過するまでのプレチャージ期間Tpと、プレチャージ期間Tpの経過後の第1期間T1と、第1期間T1の経過後の第2期間T2と、第2期間T2の経過後の第3期間T3とを有する。図7においては第1行目の走査線101が選択される最初の水平走査期間Hのみを例示しているが、他の水平走査期間Hについても同様である。また、図7において、「k」は1≦k≦mを満たす自然数である。
【0038】
プレチャージ期間Tpは、3m本のデータ線103に対して共通のプレチャージ電位Vpを一斉に供給(プレチャージ)する期間である。プレチャージ期間Tpにおいて、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bは一斉にハイレベル(アクティブレベル)に遷移する。これにより、各ブロックBkに属する3つのスイッチング素子は一斉にオン状態になる。プレチャージ期間Tpにおいて、信号出力回路210から各画像信号線25へ出力される画像信号Xはプレチャージ電位Vpに設定され、総てのデータ線103に対してプレチャージ電位Vpが一斉に供給される。本実施形態においてプレチャージ電位Vpは、各画素回路400に供給された場合に中間階調(灰色)を表示させる電位に設定される。プレチャージ期間Tpが終了すると、選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bは一斉にローレベルに遷移し、各ブロックBkに属する3つのスイッチング素子は一斉にオフ状態になる。
【0039】
第1期間T1〜第3期間T3において3系統の選択信号SEL-R、SEL-G、SEL-Bが順番にアクティブレベルに遷移する。図7に示すように、第1期間T1においては、選択信号SEL-Rがハイレベルに遷移する一方、選択信号SEL-GおよびSEL-Bはローレベルを維持する。従って、各ブロックBkのデータ線103[1]に対応するスイッチング素子がオン状態に遷移して、各ブロックBkのデータ線103[1]と当該ブロックBkに対応する画像信号線25とが導通する。第1期間T1において、信号出力回路210から各画像信号線25に供給される画像信号Xkは、当該画像信号線25に対応するブロックBkにおけるデータ線103[1]と、選択された走査線101との交差に位置する画素回路400の階調に応じた電位VRに設定され、この電位VRがデータ信号Xkrとしてデータ線103[1]に供給される。
【0040】
同様に、第2期間T2においては、選択信号SEL-Gがハイレベルとなるので、各選択部20Uの第2段目のスイッチング素子がオン状態に遷移する。従って、各ブロックBkのデータ線103[2]に電位VGの画像信号Xkが供給される。また、第3期間T3においては、選択信号SEL-Bがハイレベルとなるので、各選択部20Uの第3段目のスイッチング素子51がオン状態に遷移する。従って、各ブロックBkのデータ線103[3]に電位VBの画像信号Xkが供給される。
なお、この例において、電位VRは中間階調(グレイ)、電位VGおよびVBは最小階調(黒)を示すものとする。
【0041】
一方、選択信号SEL-Rは、プレチャージ期間Tpおよび期間T1以外の期間T2およびT3においてローレベルを維持するから、期間T2およびT3においてデータ線103[1]は電気的にフローティング状態である。同様に、期間T1およびT3においてデータ線103[2]は電気的にフローティング状態であり、期間T1およびT2においてデータ線103[3]は電気的にフローティング状態である。
【0042】
データ線103[1]〜103[3]は、フローティング状態にある場合、容量結合した他のデータ線の電位が変化すると、これに応じて電位が変動してしまう。しかしながら、本実施形態では、図2を参照して説明したように隣接するデータ線103の間には遮蔽配線120が設けられているので、他のデータ線の電位が変化してもフローティング状態のデータ線の電位は殆ど変化しない。この結果、図7に示すように、時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化しても、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[3]の電位は変化しない。また、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化しても、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[2]の電位は変化しない。そして、時刻t3において1水平走査期間1Hが終了すると、その時点におけるデータ線103[1]、101[2]、および101[3]の電位が、1行目の走査線101に対応する画素回路400に書き込むべき電位として確定する。
【0043】
仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、隣接するデータ線103の間の結合容量によって、図8に示すように時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、既に書き込みが終了してフローティング状態にあるデータ線103[1]の電位が低下する。さらに、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位にすると、フローティング状態にあるデータ線103[1]および[2]の電位が低下してしまう。この結果、時刻t3において1水平走査期間1Hが終了した時点で、データ線103[1]および101[2]の電位が、本来の電位より低下してしまい、正確な階調を表示することができなくなる。
【0044】
以上説明したように本実施形態によれば、遮蔽配線120を設けることによって、データ線103の間における容量結合の影響や、データ線103の間における電界の影響を低減することができる。従って、あるデータ線の電位が変化してもフローティング状態にある他のデータ線の電位が殆ど変化しない。よって、補正演算などを行わなくても簡易な構成で正確な階調を表示することが可能となる。
【0045】
<2.第2実施形態>
第2実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の詳細な構成を除き、第1実施形態に係る電気光学装置1と同様に構成されている。第2実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに、静電保護回路を組み込んだ周辺領域B2を採用する。
【0046】
図9に周辺領域B2における回路構成を示す。同図に示すように周辺領域B2には、高電位VHを供給する第1電源線110Aと、低電位VLを供給する第2電源線110Bが形成される。高電位VHは、データ線103の最大電位よりも高い固定電位であり、低電位VLはデータ線103の最低電位よりも低い固定電位である。
【0047】
この例では、データ線103と、第1電源線110Aに接続された遮蔽配線120Aとの間にダイオード素子Dが設けられている。このダイオード素子Dは、カソードが遮蔽配線120Aに電気的に接続され、アノードがデータ線103に電気的に接続される。また、データ線103と、第2電源線110Bに接続された遮蔽配線120Bとの間にもダイオード素子Dが設けられている。このダイオード素子Dは、カソードがデータ線103に電気的に接続され、アノードが遮蔽配線120Bに電気的に接続される。
【0048】
ダイオード素子Dの構成例としては、例えば、図10に示すようにMOS-TFTをダイオード接続した態様や、PINダイオードでダイオード素子Dを構成する態様がある。要は、ダイオード特性が得られる回路素子であれば、どのようなものを用いてもよい。また、この例では、静電保護回路を表示領域Aとデータ線駆動回路200との間に設けたが、静電保護回路を表示領域Aの上側に設けてもよい。
【0049】
第2実施形態では、第1実施形態と同様にデータ線103の間の結合容量の影響を低減すると共に、静電気耐性を向上することができる。静電保護回路は、遮蔽配線120が配置される周辺領域B2に形成されるので、新たに静電保護回路を設けるスペースを確保する必要がない。よって、液晶パネルのサイズを小型化することができる。
【0050】
<3.第3実施形態>
上述した第1実施形態および第2実施形態では、3m本のデータ線103の全てについて、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120を設けたが、第3実施形態の電気光学装置では、3m本のデータ線103のうち一部のデータ線103の間に遮蔽配線120を設ける。この場合には、遮蔽配線120を設けた一部のデータ線103の間について、データ線103の間における容量結合の影響や、データ線103の間における電界の影響を低減させることができる。
【0051】
第3実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに周辺領域B3を採用する。図11に周辺領域B3の構造を示す。同図に示すように、遮蔽配線120は、B色のデータ信号を供給するデータ線103[3]と、R色のデータ信号を供給するデータ線103[1]との間に設けられている。従って、データ線103[3]の電位が変化することによって、既に書き込みを終えた隣接するブロックBkのデータ線103[1]の電位に与える影響を低減することができる。但し、本実施形態に係る電気光学装置においては、上述した第1実施形態および第2実施形態の場合のように、データ線103[2]の電位が変化することによってデータ線103[1]の電位に与える影響や、データ線103[3]の電位が変化することによってデータ線103[2]の電位に与える影響を低減することはできない。
【0052】
ここで、第1実施形態と同様に、電位VRは中間階調(グレイ)、電位VGおよびVBは最小階調(黒)を示すものとすれば、本実施形態では、図12に示すように、時刻t1においてデータ線103[2]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、フローティング状態にあるデータ線103[1]の電位が低下してしまう。また、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化すると、フローティング状態にあるデータ線103[2]の電位が低下してしまう。しかしながら、時刻t2においてデータ線103[3]の電位がプレチャージ電位Vpから最小階調の電位に変化したとき、フローティング状態にあるデータ線103[1]の電位は変化しない。つまり、R色に対応するデータ線103[1]の電位がB色のデータ線103[3]から受ける影響を低減することができる。
【0053】
仮に、遮蔽配線120を設けない構成とした場合、図13(B)に示すように最後の書き込まれるB色の階調-輝度特性を基準とすると、最初に書き込まれるR色の階調-輝度特性が最もズレが大きく、その次に書き込まれるG色の階調-輝度特性のズレがR色と比較して小さくなる。これに対し、本実施形態によれば、図13(A)に示すようにR色の階調-輝度特性について、G色の階調-輝度特性やB色の階調-輝度特性との差を小さくすることができる。従って、遮蔽配線120を設けない場合と比較して、R色の階調-輝度特性を改善することができる。すなわち、遮蔽配線120を一部のデータ線103の間に設ける構成であっても、遮蔽配線120を全く設けない場合と比較して、階調-輝度特性を改善することができる。
【0054】
<4.第4実施形態>
上述した第1乃至第3実施形態では、選択回路220を用いて、R色、B色、G色の順にデータ線103[1],101[2],101[3]を順次選択してデータ信号を書き込んだ。これに対し、第4実施形態では点順次走査を行う。
【0055】
図14は、第4実施形態に係る電気光学装置2の構成を示すブロック図である。電気光学装置2は、データ線駆動回路200として、選択回路220の替わりに3m個のスッチング素子を備えたサンプリング回路230と、信号出力回路210の替わりにサンプリングパルスS1〜S3mを生成するシフトレジスタ240を備える点で、図1に示した第1実施形態の電気光学装置1と相違する。
また、本実施形態に係る電気光学装置2においては、制御回路600から画像信号線24を介して画像信号VIDが供給される。サンプリング回路230を構成する3m個のスッチング素子は、サンプリングパルスS1〜S3mに従って画像信号VIDをサンプリングしてデータ信号を生成し、各データ線103に出力する。なお、電気光学装置2においても周辺領域B1において、隣接するデータ線103の間に遮蔽配線120が設けられている。
【0056】
図15に、データ信号を書き込む場合の電気光学装置2の各部の信号波形を示すタイミングチャートを示す。同図に示すように、ひとつの水平走査期間Hは、当該水平走査期間Hの開始時点から所定期間が経過するまでのプレチャージ期間Tpと、これに続く書込期間Twとからなる。
サンプリングパルスS1〜S3mは、プレチャージ期間Tpにおいて同時にハイレベルとなる。このため、サンプリング回路230を構成する全てのスイッチング素子が同時にオン状態となる。このとき、画像信号VIDはプレチャージ電位Vpとなっている。よって、プレチャージ期間Tpにおいて3m本のデータ線103に対し、共通のプレチャージ電位Vpが一斉に供給(プレチャージ)される。また、書込期間Twにおいては、サンプリングパルスS1〜S3mが順次ハイレベルとなる。これによって、3m個のスイッチング素子が順次オン状態となり、画像信号VIDが3m本のデータ線103に供給される。
【0057】
ここで、j番目のデータ線103に画像信号VIDを書き込む場合を想定する。この時、j番目のデータ線103に隣接するj−1番目およびj+1番目のデータ線103はフローティング状態となっている。しかしながら、j番目のデータ線103とj−1番目のデータ線103の間、およびj番目のデータ線103とj+1番目のデータ線103の間には、遮蔽配線120が設けられている。従って、j番目のデータ線103の電位が変化しても、j−1番目およびj+1番目のデータ線103の電位に殆ど影響を与えない。
【0058】
例えば、3m番目のデータ線103からデータ信号を受け取る画素回路400におけるB色の階調-輝度特性をZ2、3(m−1)番目のデータ線103からデータ信号を受け取る画素回路400におけるB色の階調-輝度特性をZ1としたとき、遮蔽配線120がある場合には、図16(A)に示すように階調-輝度特性Z1およびZ2がほぼ一致し、遮蔽配線120がない場合には、図16(B)に示すように階調-輝度特性Z1およびZ2が相違する。これは、3m番目のデータ線103は、最後にデータ信号が書き込まれるので、他のデータ線103の電位変化の影響を受けないが、3(m−1)番目のデータ線103の電位は、遮蔽配線120がないと3m番目のデータ線103の電位変化の影響を受けるからである。
このように点順次走査においても遮蔽配線120を用いることにより、データ線103の間のクロストークを低減して、正確な階調を表示することが可能となる。
【0059】
<5.第5実施形態>
第5実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の構成を除き、第1実施形態に係る電気光学装置1と同様に構成されている。第5実施形態に係る電気光学装置は、周辺領域B1の替わりに周辺領域B4を備える。
【0060】
図17および図18に周辺領域B4の構造を示す。図17(A)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110が設けられている。この電源線110には固定電位が供給される。そして、隣り合うデータ線103の間に導電部120が設けられている。導電部120は電源線110と一体に同じ層で形成されている。このため、導電部120は、電源線110と電気的に接続されており、その電位は電源線110と同じ固定電位となる。また、同図(A)に示すように、導電部120の幅(両脇のデータ線103に対して直交する方向の幅)Wは、両脇のデータ線103のうち一方のデータ線の中心線aから他方のデータ線103の中心線bまでの間隔Wabよりも小さい(W<Wab)。
【0061】
つまり、図17(B)に示すように、導電部120は両端がデータ線103と重なっていてもよい。この場合、導電部120の一部がデータ線103と重なっているため、データ線103と導電部120の間の寄生容量が増えるが、データ線103間における容量結合の影響は、図17(A)に示した構成に比べ低減できる。また、図17(C)に示すように、データ線103と直交する方向に2本の電源線110を設け、この2本の電源線110の間に、2本の電源線110と一体に同じ層で、Wabよりも小さな幅Wを有する導電部120を設けてもよい。
【0062】
なお、図17(D)に示すように、導電部120の幅Wを両脇のデータ線103の間の距離Wcdよりも小さくし(W<Wcd)、導電部120が両脇のデータ線103と重ならないようにしてもよい。また、図18(A)に示すように、導電部120は電源線110と交差して図中下側にも延在する構成であってもよい。さらに図18(B)に示すように、電源線110と導電部130を別の層に形成し、これらをコンタクトホールHを介して電気的に接続してもよい。
【0063】
以上説明した第5実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、データ線103間における容量結合の影響や、データ線103間における電界の影響を低減することができる。なお、第2実施形態にて説明した静電保護回路を本実施形態に係る周辺領域B4に組み込んでもよい。但し、静電保護回路を組み込む場合は、ダイオード特性を有する回路素子を導電部120とデータ線103の間に設ける必要があるため、その分だけ導電部120の幅Wを狭くする必要がある。また、第3実施形態にて説明したように一部のデータ線103間に導電部120を設ける構成としてもよい。また、本実施形態に係る周辺領域B4を第4実施形態にて説明した点順次駆動を行う電気光学装置2に組み込んでもよい。
【0064】
<6.変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の変形が可能である。また、以下に示す2以上の変形例を組み合わせることもできる。
(1)上述した各実施形態では、電気光学素子の一例として液晶素子を用いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気エネルギーによって光学特性が変化する電気光学素子であればどのようなものを用いてもよい。例えば、電気光学素子として、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードを用いることができる。
【0065】
(2)上述した各実施形態では、周辺領域を表示領域Aとデータ線駆動回路200との間に設けたが、これをデータ線駆動回路200とは反対側、すなわち表示領域Aの上側に設けてもよい。要は、複数のデータ線103が表示領域Aからはみ出して形成されている領域に遮蔽配線や導電部を形成することが好ましい。
【0066】
(3)上述した各実施形態において、電源線は、遮蔽配線や導電部に固定電位を供給できればよく、必ずしもデータ線103と交差している必要はない。
【0067】
(4)上述した各実施形態において、データ線駆動回路200は、液晶パネルAAとは異なる別の基板上(例えば制御基板)に設けられていてもよい。この場合、表示領域Aから引き出された3m本のデータ線103は、[1]液晶パネルAA上において表示領域Aの外側部分、[2]液晶パネルAAと制御基板とをつなぐ接続ケーブル、[3]制御基板上においてデータ線駆動回路200に至るまでの部分、を経てデータ線駆動回路200に接続される。そして、遮蔽配線や導電部は、上述した[1]〜[3]のいずれか1以上の区間に設けることができる。また、静電保護回路は[1]の他に[3]に設けることができる。
【0068】
また、このように液晶パネルAAとは異なる別の基板上にデータ線駆動回路200を設ける場合、液晶パネルAA上において各データ線103の両端を表示領域Aの外側に引き出し、各データ線103の一端を接続ケーブルを介して別基板上のデータ線駆動回路200に接続し、この一端とは反対側の、液晶パネルAA上において各データ線103が表示領域Aの外側に引き出されている部分に、遮蔽配線や導電部、静電保護回路を設けてもよい。つまり、液晶パネルAAにおいて、例えば、表示領域Aの上下に各データ線103を引き出すと共に、下側に引き出した各データ線103をデータ線駆動回路200に接続した場合は、表示領域Aの上側に引き出した各データ線103に対して、遮蔽配線や導電部、静電保護回路を設ける構成としてもよい。
【0069】
<7.効果>
本発明によれば、隣り合うデータ線103間の寄生容量に起因するクロストークを低減し、表示品位の低下を防ぐことができる。遮蔽配線や導電部を設けない場合、隣のデータ線103に書き込むデータ信号の電位に比例してクロストークが増大するため、これを低減するにはデータ信号の電位を低く設定する必要があった。これに対し、本発明によれば、遮蔽配線や導電部を設けることでクロストークを低減できるため、データ信号の電位を高く設定することが可能である。その結果、各画素への充電時間が短時間で済むため、書き込み時間の短縮化や表示の高速化が図れる。
【0070】
図19(A)は本発明の概略構造を示す平面図であり、図19(B)および図19(C)はその断面図である。なお、図19(B)はデータ線103と導電部120が別の層に形成された場合の断面図であり、図19(C)はデータ線103と導電部120が同層に形成された場合の断面図である。また、図20(A)は従来の構造を示す平面図であり、図20(B)はその断面図である。
図19(A)〜図19(C)に示すように、本発明によれば、隣り合うデータ線103間に固定電位が供給される導電部120を設けることで、一方のデータ線103から他方のデータ線103に達する電気力線が減少する。従って、導電部120を設けない構成に比べ、クロストークの原因となるデータ線103間の寄生容量Cを小さくすることができる。一方、図20(A)および図20(B)に示すように、データ線103と直交する方向に電源線110を設け、電源線110によって各データ線103の一部分を覆う従来の構造の場合、データ線103間の距離(例えば10〜13um程度)より、データ線103と電源線110との間の膜厚(例えば200〜300nm程度)の方が小さいため、データ線103間の電気力線の密度が少なくなる。従って、電源線110で各データ線103を覆わない構成に比べ、クロストークの原因となるデータ線103間の寄生容量Cを小さくすることができる。
【0071】
このようにどちらの場合もデータ線103間の寄生容量Cを小さくし、クロストークを低減することができるが、従来の構造の場合は、データ線103と電源線110の間の寄生容量C2が大きくなりすぎてしまい、信号波形の遅延が生じて表示品位が低下してしまう。これに対し、本発明によれば、データ線103と導電部120の間の寄生容量C1,C1’は、従来の構造に比べてはるかに少ないため(C1,C1’≪C2)、信号波形の遅延による表示品位の低下が起き難い。よって、表示品位の低下を招くことなく、隣り合うデータ線103間の寄生容量Cに起因するクロストークを低減できる。
【0072】
次に、固定電位が供給される遮蔽用の導電部をデータ線間に備えると共に線順次駆動を行う電気光学装置と比較した場合の本発明の効果について説明する。なお、線順次駆動の場合は各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むのに対し、本発明では少なくとも隣り合う2本のデータ線にそれぞれ異なるタイミングでデータ信号を書き込む点で、構成が相違する。
【0073】
まず、線順次駆動の場合、各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むので、データ信号を書き込むタイミングにおいて電気光学装置の消費電流が瞬間的に大きくなる。このため電源線の電位(遮蔽用の導電部に供給される固定電位)が瞬間的に大きく変動する場合がある。このように遮蔽用の導電部に供給される固定電位が変動すると、導電部とデータ線の間の寄生容量を介してデータ線の電位が変動し、表示品位の低下を招く。また、線順次駆動の場合、このような電源線の瞬間的な電位変動を抑えるためには、電源線の線幅を太くして抵抗を抑えるなど、電源からの固定電位の供給能力を高めなければならない。これに対し、本発明では、スイッチング回路を用いることで、少なくとも隣り合う2本のデータ線にはそれぞれ異なるタイミングでデータ信号が書き込まれる。このため遮蔽用の導電部に供給される固定電位が瞬間的に大きく変動することを抑えられる。その結果、線順次駆動の場合に比べ、データ線の電位変動を抑え、表示品位の低下を防ぐことができる。また、線順次駆動の場合のように電源線の線幅を太くするなどせずとも、電源線の瞬間的な電位変動を抑えられる。
【0074】
また、線順次駆動の場合は、各データ線に対して同時にデータ信号を書き込むための回路、例えばラッチ回路+スイッチング回路が必要になる。これに対し、本発明ではスイッチング回路のみでよいため、回路素子数が低減できる。その結果、液晶パネルの小型化や歩留まりの向上が図れる。また、スイッチング回路をデマルチプレクサで構成すると、データ信号を供給するために実装する部品、例えばドライバICの点数を減らすことができる。その結果、接点数の低減に伴う信頼性の向上、実装面積や端子数の低減に伴う液晶パネルの小型化、部品数の低減に伴うコストダウンなどの効果が得られる。
【0075】
<8.電子機器>
次に、上述した実施形態および変形例に係る電気光学装置1,2を適用した電子機器について説明する。図21に、電気光学装置1,2を適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての電気光学装置1,2と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001とキーボード2002が設けられている。
図22に、電気光学装置1,2を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、表示ユニットとしての電気光学装置1,2と、複数の操作ボタン3001と、スクロールボタン3002を備える。スクロールボタン3002を操作することで、電気光学装置1,2に表示される画面がスクロールされる。
図23に、電気光学装置1,2を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、表示ユニットとしての電気光学装置1と、複数の操作ボタン4001と、電源スイッチ4002を備える。操作ボタン4001を操作することで、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置1,2に表示される。
なお、電気光学装置1,2が適用される電子機器としては、図21〜図23に示すものの他、液晶テレビ、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子ペーパー、電子手帳、電卓、テレビ電話、POS端末、プリンタ、複写機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】第1実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図2】周辺領域の構造を示す平面図である。
【図3】遮蔽配線とデータ線の等価回路を示す図(図3(A))と、遮蔽配線がない場合の等価回路を示す図(図3(B))である。
【図4】表示領域とその周辺部の等価回路を示す図である。
【図5】遮蔽配線がない場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフである。
【図6】黒浮きについて説明するためのグラフである。
【図7】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図8】遮蔽配線がない場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図9】第2実施形態に係る周辺領域の回路構成を示す図である。
【図10】周辺領域の回路構成の変形例を示す図である。
【図11】第3実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図である。
【図12】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図13】遮蔽配線がある場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図13(A))と、遮蔽配線がない場合のR色、G色およびB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図13(B))である。
【図14】第4実施形態に係る電気光学装置の構成を示すブロック図である。
【図15】データ信号を書き込む場合の電気光学装置の各部の信号波形を示すタイミングチャートである。
【図16】遮蔽配線がある場合のB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図16(A))と、遮蔽配線がない場合のB色の階調-輝度特性を示すグラフ(図16(B))である。
【図17】第5実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図(その1)である。
【図18】第5実施形態に係る周辺領域の構造を示す平面図(その2)である。
【図19】本発明の概略構造を示す平面図と断面図である。
【図20】従来の構造を示す平面図と断面図である。
【図21】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る電子機器の具体例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0077】
1,2……電気光学装置、100……走査線駆動回路、200……データ線駆動回路、210……信号出力回路、220……選択回路、20U……選択部、230……サンプリング回路、240……シフトレジスタ、400……画素回路、600……制御回路、X1〜Xm,VID……画像信号、24,25……画像信号線、SEL-R、SEL-G、SEL-B……選択信号、S1〜S3m……サンプリングパルス、X1r〜Xmr,X1g〜Xmg,X1b〜Xmb……データ信号、103,103[1],103[2],103[3]……データ線、AA……液晶パネル、A……表示領域、B1〜B4……周辺領域、110,110A,110B……電源線、120,120A,120B,130……遮蔽配線,導電部、H……コンタクトホール、M……マーク部、D……ダイオード素子、Ca……寄生容量、Tp……プレチャージ期間、プレチャージ電位Vp。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、
前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、
前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、
前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、
前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、
固定電位が供給される導電部が設けられており、
前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、
前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、
前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、
前記複数のデータ線の各々は、両端がともに前記表示領域の外に引き出され、一端が前記スイッチング回路に接続されており、
前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、
前記電気光学パネルにおいて、前記スイッチング回路に接続された一端とは反対側の、前記複数のデータ線が前記表示領域の外に引き出された区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、
固定電位が供給される導電部が設けられており、
前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
前記導電部と、当該導電部の両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、
前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最大電位以上の電位を供給する第1電源線を含み、
前記複数の回路素子の一部または全部は、カソードが前記導電部に接続され、アノードが前記データ線に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、
前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最小電位以下の電位を供給する第2電源線を含み、
前記複数の回路素子の一部または全部は、アノードが前記導電部に接続され、カソードが前記データ線に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、
前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、
前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、
前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、
前記複数のデータ線が前記表示領域から引き出されて前記スイッチング回路に至るまでの区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、
固定電位が供給される導電部が設けられており、
前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差の各々に対応して設けられた複数の画素とが形成された表示領域を有する電気光学パネルと、
前記電気光学パネルまたは前記電気光学パネルとは異なる基板に設けられ、前記表示領域から引き出された前記複数のデータ線と、前記複数の画素の各々を駆動するためのデータ信号が供給される画像信号線との接続を切り替えるスイッチング回路とを備え、
前記スイッチング回路を介して前記複数のデータ線の各々に前記データ信号を供給する電気光学装置において、
前記複数のデータ線の各々は、両端がともに前記表示領域の外に引き出され、一端が前記スイッチング回路に接続されており、
前記スイッチング回路は、前記画像信号線と接続する前記データ線を選択すると、当該選択した前記データ線と前記画像信号線を接続すると共に、少なくとも前記選択した前記データ線と隣り合う1または2の前記データ線と前記画像信号線との接続を遮断し、
前記電気光学パネルにおいて、前記スイッチング回路に接続された一端とは反対側の、前記複数のデータ線が前記表示領域の外に引き出された区間において、全部または一部の隣り合う前記データ線の間には、
固定電位が供給される導電部が設けられており、
前記導電部は、当該導電部の両脇の前記データ線と直交する方向の幅が、前記両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線の中心線から他方の前記データ線の中心線までの間隔より短い、
ことを特徴とする電気光学装置。
【請求項3】
前記導電部と、当該導電部の両脇の前記データ線のうち一方の前記データ線との間に設けられ、ダイオード特性を有する複数の回路素子を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、
前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最大電位以上の電位を供給する第1電源線を含み、
前記複数の回路素子の一部または全部は、カソードが前記導電部に接続され、アノードが前記データ線に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記導電部の各々に接続され、前記固定電位を供給する電源線を備え、
前記電源線は、前記固定電位として前記データ線に供給される最小電位以下の電位を供給する第2電源線を含み、
前記複数の回路素子の一部または全部は、アノードが前記導電部に接続され、カソードが前記データ線に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の電気光学装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−55041(P2010−55041A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257080(P2008−257080)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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