電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器
【課題】電気光学装置用基板において、製造コストを低減すると共に、アライメント精度を高める。
【解決手段】電気光学装置用基板は、基板上に設けられた第1の絶縁膜(310)と、複数の画素(20)と、複数の画素にわたって第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、第2の凹部に設けられた有機半導体層(241)と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜(245)と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタ(24)と、ゲート絶縁膜の上層であって、複数の画素にわたって第1の凹部に設けられた走査線(40)と、薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線(50)と、を備える。
【解決手段】電気光学装置用基板は、基板上に設けられた第1の絶縁膜(310)と、複数の画素(20)と、複数の画素にわたって第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、第2の凹部に設けられた有機半導体層(241)と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜(245)と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタ(24)と、ゲート絶縁膜の上層であって、複数の画素にわたって第1の凹部に設けられた走査線(40)と、薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線(50)と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置用基板として、例えばプラスチック基板等の支持基板上に有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT(Thin Film Transistor)」と適宜称する)を備えてなるものがある。このような電気光学装置用基板の製造方法として、有機TFTを構成する有機半導体層やゲート電極等の薄膜層を、例えば液滴吐出法等の印刷法によって形成する技術が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、形成すべき導電層の下地層即ち光触媒含有層に対してフォトマスクを介して紫外線を照射することにより、導電層材料液に対して親液性を有する領域と、導電層材料液に対して撥液性を有する領域とを下地層に形成する技術が開示されている。また、フォトマスクを介した露光の代わりに、親液性にしたい領域にのみレーザー光を照射する技術も開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ゲート絶縁膜上の層間絶縁膜を、液滴吐出法を用いてゲート電極を形成するための隔壁として利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−87976号公報
【特許文献2】特開2006−237477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機TFTを構成する有機半導体層やゲート電極等の薄膜層を特許文献1に開示された技術を用いて積層する場合、各薄膜層を形成する毎に、親液領域と撥液領域を形成するための下地層形成工程と露光工程とを行なわなければならない。これらの工程を繰り返すことによって、既に形成されている薄膜層にダメージを与えたり、デバイスの特性に悪影響を与える恐れがある。更に、支持基板としてプラスチック基板が用いられる場合には、露光工程の回数が多いほど、熱によって支持基板が収縮し、支持基板上に形成される各薄膜層のアライメント精度が低下してしまうおそれがある。フォトマスクを用いた露光の代わりにレーザー光を照射する場合、処理時間が非常に長くなる。また、微細なパターンを形成することは困難である。
【0007】
また、特許文献2には、ゲート電極をインクジェット法を用いて形成する方法が開示されているが、ゲート電極だけでなく有機半導体層などの複数の薄膜層をインクジェット法を用いて積層する方法は開示されていない。
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気光学装置用基板は上記課題を解決するために、基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、前記複数の画素にわたって前記第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、前記第2の凹部に設けられた有機半導体層と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、前記複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、前記ゲート絶縁膜の上層であって、前記複数の画素にわたって前記第1の凹部に設けられた走査線と、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線とを備える。
【0010】
本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置によれば、その動作時には、走査線を介して走査信号が薄膜トランジスタに順次供給され、データ線から薄膜トランジスタを介して画像信号が画素電極に書き込まれる。これにより、複数の画素における、アクティブマトリクス駆動が可能となる。尚、画像信号は、データ線及び画素電極間に電気的に接続された薄膜トランジスタが走査信号に応じてオンオフされることによって、データ線から薄膜トランジスタを介して画素電極に供給される。画素電極は、データ線及び走査線の交差に対応して、基板上において表示領域となるべき領域にマトリクス状に複数設けられている。
【0011】
薄膜トランジスタは、画素電極が設けられた画素毎に1つずつ設けられている。薄膜トランジスタは、有機半導体材料からなる有機半導体層と、ゲート電極とを含んでなる。有機半導体層は、走査線よりも下層側に配置されている。ゲート電極は、走査線の一部からなり、ゲート絶縁膜を介して有機半導体層のチャネル領域に重なっている(言い換えれば、走査線のうち有機半導体層のチャネル領域にゲート絶縁膜を介して重なる部分がゲート電極として機能する)。即ち、薄膜トランジスタは、トップゲート型の有機TFTとして形成されている。
【0012】
本発明では特に、複数の画素にわたって第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部とを備える。言い換えれば、基板上に設けられている複数の有機半導体層を互いに隔てる第1隔壁部と、互いに隣り合う2本の走査線を互いに隔てる第2隔壁部とを有する第1の絶縁膜を備える。第1の絶縁膜は、典型的には、有機半導体層よりも下層側に配置される(言い換えれば、製造プロセスにおいて有機半導体層よりも先に基板上に形成される)。第1隔壁部は、基板上に設けられている複数の有機半導体層を互いに隔てるように壁状(或いはバンク状)に形成されている。言い換えれば、基板上の表示領域に複数の画素が配列され、各画素毎に1つずつ設けられた有機半導体層は、第2の凹部に設けられている。すなわち、有機半導体層各々は第1の絶縁膜のうち第1隔壁部によって取り囲まれている。走査線は、複数の画素にわたって第1の凹部に設けられている。すなわち、第2隔壁部は、第1隔壁部より上層側に位置し、互いに隣り合う2本の走査線を互いに隔てるように、例えば走査線に沿って延びる壁状(或いはバンク状)に形成されている。言い換えれば、互いに隣り合う2つの第2隔壁部間に走査線が設けられている。
【0013】
よって、当該電気光学装置用基板の製造プロセスにおいて、有機半導体層及び走査線を例えば液滴吐出法(或いはインクジェット法)等の印刷法によって形成する際、第1の絶縁膜を用いて有機半導体層及び走査線をパターニングすることができる。即ち、製造プロセスにおいて、先ず、第2の凹部に、有機半導体層材料(即ち、有機半導体層を形成するための有機半導体材料)を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、有機半導体層を所定のパターンで形成することができる。次に、第1の凹部に、走査線材料(即ち、走査線を形成するための導電性材料)を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線を所定のパターンで形成することができる。よって、印刷法によって有機半導体層を形成する工程と印刷法によって走査線を形成する工程との間に、親液・撥液パターンを形成したり、新たな隔壁を形成する必要が無く、第1の絶縁膜を用いて有機半導体層及び走査線の各々を所定の形状で形成することができる。これにより、最初に形成した半導体層がダメージを受けたり、電子デバイスの特性が劣化しない電気光学装置用基板が提供される。加えて、第1の絶縁膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることで、例えば仮に上述した親液・撥液処理を用いて有機半導体層及び走査線をパターニングする場合と比較して、有機半導体層及び走査線をより微細に形成することが可能である。
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、製造プロセスによって被るダメージが小さく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度が高く、かつ低コストな電気光学装置用基板を提供できる。
【0015】
本発明の電気光学装置用基板の一態様では、前記第1の凹部を埋めるように、前記走査線の上に設けられた第2の絶縁膜を更に備える。
【0016】
この態様によれば、基板上の積層構造における最上層側に設けられる画素電極に対して、走査線が電気的に悪影響を及ぼしてしまうことを、第2の絶縁膜によって殆ど或いは完全に無くすことができる。尚、画素電極の全部又は一部は、第2の絶縁膜上に形成されてもよい。
【0017】
本発明の電気光学装置用基板の他の態様では、前記第1の絶縁膜は、前記第2の凹部を備えた第2の絶縁層と、該第2の絶縁層の上に設けられた第1の絶縁層とからなる。
【0018】
この態様によれば、第1の絶縁膜は、二層構造を有するので、例えば単層構造を有する(即ち、単一膜からなる)場合と比較して、設計の自由度を高めることができ、実践上有利である。
【0019】
本発明の電気光学装置用基板の他の態様では、前記第2の凹部の底面は、前記有機半導体層の形成材料に対して親液性を有し、前記第1の凹部のうち前記第2の凹部が設けられていない領域は、前記形成材料に対して撥液性を有してもよい。
【0020】
この態様によれば、有機半導体層を第2の凹部内に形成することが容易になる。
【0021】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、該複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、を備える電気光学装置用基板の製造方法であって、前記複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程と、印刷法によって前記第2の凹部に有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第1の凹部内の前記ゲート絶縁膜の上に、前記複数の画素にわたるように走査線を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の上層に、前記一の画素に対応づけられた画素電極を形成する工程と、を備える。
【0022】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法によれば、上述した本発明の電気光学装置用基板を製造することができる。ここで特に、本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法によれば、基板上に、複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程を含む。よって、有機半導体層及び走査線を形成するために露光工程を行う回数を少なくすることができ、製造コストの低減を図ることが可能である。更に、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0023】
尚、上述した本発明の電気光学装置用基板に係る各種態様と同様の態様を、本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法にも適宜適用可能である。
【0024】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法の一態様では、前記第1の絶縁膜を形成する工程において、前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成するのと同時に、前記画素電極と前記有機半導体層とを互いに電気的に接続するためのコンタクトホールを前記第1の絶縁膜に形成する。
【0025】
この態様によれば、第1及び第2隔壁部と、コンタクトホールとを同時に形成することができる。よって、製造プロセスの複雑化を招くことなく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0026】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法の他の態様では、前記第1の絶縁膜を形成する工程において、ハーフトーンマスクを用いて前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成する。
【0027】
この態様によれば、第1及び第2隔壁部と、コンタクトホールとを一回のエッチング処理によって形成することが可能となる。よって、製造プロセスの複雑化を招くことなく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0028】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置用基板(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0029】
本発明に係る電気光学装置によれば、上述した本発明の電気光学装置用基板を備えるので、低コスト且つ信頼性の高い電気光学装置を提供することができる。
【0030】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明に係る電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0031】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0032】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス基板の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示領域における構成を示す部分断面図である。
【図3】マイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図4】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成を示す平面図である。
【図5】図4のV−V’線での断面図である。
【図6】図4のVI−VI’線での断面図である。
【図7】第1実施形態に係る第1隔壁部の構成を示す平面図である。
【図8】第1実施形態に係る第2隔壁部の構成を示す平面図である。
【図9】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図(その1)である。
【図10】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図(その2)である。
【図11】第2実施形態における、図6と同趣旨の断面図である。
【図12】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図13】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置を例にとる。
【0035】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0036】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1から図3を参照して説明する。
【0037】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス基板の全体構成を示すブロック図である。
【0038】
図1において、本発明に係る「電気光学装置用基板」の一例であるアクティブマトリクス基板100は、支持基板10と、この支持基板10上に、互いに交差するように設けられた複数のデータ線50及び複数の走査線40と、これらデータ線50及び走査線40の交差に対応する画素20毎に設けられた画素電極21及びTFT24とを備えている。更に、アクティブマトリクス基板100は、支持基板10上に、外部接続端子900と、接続端子41と、走査線引出線42とを備えている。
【0039】
支持基板10は、可撓性基板(即ち、撓る或いは湾曲することが可能な基板)である。可撓性基板としては、ガラス基板や、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板、また、例えばステンレスやアルミニウム等の金属基板、或いはガリウム砒素基板等であってもよい。また、支持基板10は必ずしも可撓性を有さなくてもよい。
【0040】
データ線50は、支持基板10上における一の方向に沿って延びるように形成されている。データ線50は、外部接続端子900を介して外部の駆動回路(図示省略)に電気的に接続される。データ線50には、駆動回路から画像信号が所定のタイミングで供給される。データ線50を構成する導電性材料としては、公知の導電性金属材料を用いることができる。データ線50は、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等から形成されてよい。
【0041】
走査線40は、支持基板10上におけるデータ線50が延びる一の方向に交わる他の方向に沿って延びるように形成されている。走査線40は、接続端子41、走査線引出線42及び外部接続端子900を介して外部の駆動回路(図示省略)に電気的に接続される。より具体的には、走査線40の一端は、複数の画素20がマトリクス状に配列された表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に設けられた接続端子41を介して走査線引出線42に電気的に接続されている。走査線引出線42は、周辺領域において、接続端子41とこの接続端子41に対応する外部接続端子900とを繋ぐように引き回されている。走査線40には、駆動回路から走査信号が所定のタイミングでパルス的に供給される。走査線40を構成する導電性材料としては、公知の導電性金属材料を用いることができる。走査線40は、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等から形成されてよい。また、走査線40は、導電性高分子ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)やカーボンペースト、カーボンナノチューブ等の導電性有機材料から形成されてもよい。
【0042】
支持基板10上の表示領域10aには、データ線50及び走査線40の交差に対応して、複数の画素20がマトリクス状に配列されている。
【0043】
マトリクス状に配列された複数の画素20には、それぞれ、画素電極21と、この画素電極21をスイッチング制御するためのTFT24とが設けられている。
【0044】
TFT24は、有機半導体層を有する有機TFTであり、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50が電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。TFT24は、駆動回路からデータ線50を介して供給される画像信号を、駆動回路から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21に書き込む。
【0045】
尚、アクティブマトリクス基板100の具体的な構成については、図4から図8を参照して後に詳細に説明する。
【0046】
図2は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示領域における構成を示す部分断面図である。尚、図2においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0047】
図2において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、図1を参照して上述したアクティブマトリクス基板100と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0048】
アクティブマトリクス基板100では、支持基板10上に、上述したデータ線50、走査線40、TFT24、画素電極21等が積層構造をなして形成されている。尚、図2では、データ線50、走査線40、TFT24等の図示を省略している。画素電極21は、支持基板10上の積層構造における最上層側に設けられている。
【0049】
対向基板29は、例えばプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29におけるアクティブマトリクス基板100との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0050】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によってアクティブマトリクス基板100及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、アクティブマトリクス基板100側に接着層31によって接着されている。
【0051】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0052】
図3は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図3では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0053】
図3において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、電気泳動粒子である複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0054】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0055】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0056】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0057】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0058】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0059】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0060】
図2及び図3において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、電気泳動表示装置1の表示面にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、電気泳動表示装置1の表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0061】
更に、画素電極21及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
【0062】
次に、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成について、図4から図8を参照して説明する。
【0063】
図4は、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成を示す平面図である。図5は、図4のV−V’線での断面図である。図6は、図4のVI−VI’線での断面図である。尚、図4では、説明の便宜上、図5及び図6に示すゲート絶縁膜245、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320の図示を省略してある。
【0064】
図4から図6において、アクティブマトリクス基板100では、支持基板10上に、図1を参照して上述したデータ線50、走査線40、TFT24、画素電極21等が積層構造をなして形成されている。
【0065】
支持基板10は、上述したように、例えばプラスチック基板等の可撓性基板である。
【0066】
図4に示すように、支持基板10上には、複数のデータ線50及び複数の走査線40が互いに交差するように設けられている。更に、支持基板10上には、これらデータ線50及び走査線40の交差に対応する画素毎に、画素電極21及びTFT24が設けられている。TFT24は、半導体層241、ソース電極242及びドレイン電極243を含んでなる。
【0067】
以下、支持基板10上の各構成要素について、支持基板10上の積層構造における下層側から順に説明する。
【0068】
図4から図6において、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、支持基板10上の積層構造において互いに同一層に設けられている。
【0069】
データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、製造工程における同一機会に成膜された金属膜がパターニングされることにより形成されており、互いに同一種類の金属膜からなる。データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243を構成する金属膜としては、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等を用いることができる。尚、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、ITO、ZuO2等から形成されてもよい。また、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、導電性高分子ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)やカーボンペースト、カーボンナノチューブ等の導電性有機材料から形成されてもよく、例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等の印刷法により形成されてもよい。
【0070】
データ線50は、支持基板10上における一の方向に沿って延びるように形成されている。
【0071】
ソース電極242は、画素毎に、支持基板10上におけるデータ線50が延びる一の方向に交わる他の方向に沿って延びるように形成されている。ソース電極242は、各データ線50から対応する画素毎に分岐するように形成されている。
【0072】
ドレイン電極243は、画素毎に、島状に形成されている。
【0073】
図6において、ソース電極242及びドレイン電極243よりも上層側には、第1層間絶縁膜310が設けられている。
【0074】
第1層間絶縁膜310は、絶縁体材料からなり、互いに隣り合う半導体層241間を隔てる第1隔壁部311と、互いに隣り合う走査線40間を隔てる第2隔壁部312とを有している。第2隔壁部312は、第1隔壁部311よりも上層側に設けられている。第1層間絶縁膜310を構成する絶縁体材料としては、絶縁性ポリマーが好適である。絶縁性ポリマーとしては、主骨格としてポリビニルフェノール又は、フェノール樹脂(別名ノボラック樹脂)を使用するとよい。その他にもポリビニルフェノール、ポリメチルメタアクリレートを始めとするアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポレオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、フッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、ベンゾシクロブテン等を使用することができる。更に、エポキシ架橋剤や光ラジカル重合開始剤を用いることで感光性の機能を付加させることができ、レジスト等用いずに直接パターニングが可能となる。
【0075】
図7は、第1隔壁部311の構成を示す平面図である。
【0076】
図5から図7に示すように、第1隔壁部311は、互いに隣り合う複数の半導体層241を互いに隔てる壁或いはバンクである。具体的には、第1隔壁部311は、支持基板10上における半導体層241が形成される領域各々を取り囲むように形成されている。更に言い換えれば、第1隔壁部311は、支持基板10上において、画素毎に内部に半導体層241が形成される凹部をなすように形成されている。
【0077】
図5及び図6において、第1隔壁部311は、半導体層241の膜厚と概ね同程度の膜厚を有している。半導体層241は、例えば2nm〜1um程度(好ましくは、500nm程度)の膜厚を有している。第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に半導体層241を確実に形成するためには、有機半導体材料に対して、隔壁部の表面は撥液性を有し、凹部の底面は親液性を有していることが好ましい。
【0078】
図8は、第2隔壁部312の構成を示す平面図である。
【0079】
図6及び図8に示すように、第2隔壁部312は、互いに隣り合う2本の走査線40を互いに隔てる壁或いはバンクである。言い換えれば、第2隔壁部312は、走査線40が延びる方向に延びる壁或いはバンクであり、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に1本の走査線40が設けられている。
【0080】
言い換えれば、複数の画素に渡って第1層間絶縁膜310に設けられた第1の凹部に、走査線40が設けられている。そして、第1の凹部の底面に画素毎に設けられた第2の凹部に、半導体層241が設けられている。
【0081】
図4から図7において、TFT24を構成する半導体層241は、支持基板10上における第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に、有機半導体材料が例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成された有機半導体層である。有機半導体材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体のような低分子の有機半導体材料や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ビチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体またはこれらの誘導体のような高分子の有機半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
半導体層241は、チャネル領域241c(図6参照)と、チャネル領域241cに隣接すると共にソース電極242に電気的に接続されるソース領域と、チャネル領域241cに隣接すると共にドレイン電極243に電気的に接続されるドレイン領域とを有している。
【0083】
半導体層241の上層側には、ゲート絶縁膜245を介して走査線40が形成されている。
【0084】
図4から図6において、ゲート絶縁膜245は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に設けられており、支持基板10上で平面的に見て、対応する複数の半導体層241に重なっている。ゲート絶縁膜245は、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、絶縁性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成される。図5および図6からわかるように、ゲート絶縁膜245は、半導体層241と第1隔壁部311の上に設けられている。ゲート絶縁膜245を構成する絶縁性材料としては、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、或いはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー、或いはこれらの共重合体等の有機材料を用いることができる。
【0085】
図4から図6及び図8において、走査線40は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、ゲート絶縁膜245に重なるように設けられており、ゲート絶縁膜245と同一の平面形状を有している。すなわち、走査線40は支持基板10上で平面的に見て、対応する複数の半導体層241に重なっている。走査線40のうち半導体層241のチャネル領域241cに重なる部分がTFT24のゲート電極として機能する。即ち、TFT24は、トップゲート型の有機TFTとして形成されている。走査線40は、導電性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に吐出或いは塗布されることにより形成される。導電性液体材料としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液を用いることができる。また、PEDOTの他に、金属コロイドを用いることができる。また、これらの分散液は、水を主成分とするが、アルコールを添加した液体を用いてもよい。走査線40は、例えば100nm〜2μmの膜厚を有している。
【0086】
図5及び図6において、走査線40の上層側には、第2層間絶縁膜320が設けられている。第2層間絶縁膜320は、ゲート絶縁膜245及び走査線40と同一の平面形状を有している。第2層間絶縁膜320は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めるように形成されている。第2層間絶縁膜320は、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312間における走査線40の上層側に、絶縁性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成される。尚、第2層間絶縁膜320を構成する絶縁体材料としては、上述した第1層間絶縁膜310と同様に、絶縁性ポリマーが好適である。
【0087】
図4から図6において、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320上に、画素電極21が画素毎に設けられている。画素電極21は、第1層間絶縁膜310に開孔されたコンタクトホール(或いはビアホール)810を介してドレイン電極243に電気的に接続されている。尚、画素電極21を構成する材料は、公知の電極材料であれば、その種類は特に限定されない。具体的には、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等の金属単体やこれら金属を用いた合金等、公知のあらゆる金属材料、及びその合金或いはその金属酸化物等を採用することができる。また、金属微粒子を分散させた溶液、或いは、導電性粒子を含むポリマー混合物、或いは、導電性有機材料を電極材料として採用してもよい。
【0088】
本実施形態では特に、図6から図8を参照して上述したように、アクティブマトリクス基板100は、第1隔壁部311及び第2隔壁部312を有する第1層間絶縁膜310を備えている。よって、アクティブマトリクス基板100の製造プロセスにおいて、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40を例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクト印刷法等の印刷法によって形成する際、第1層間絶縁膜310を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をパターニングすることができる。即ち、製造プロセスにおいて、先ず、第1層間絶縁膜310のうち第1隔壁部311によって取り囲まれる領域に、有機半導体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、半導体層241を所定のパターンで形成することができる。次に、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、ゲート絶縁膜245を所定のパターンで形成することができる。続いて、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、導電性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線40を所定のパターンで形成することができる。第1層間絶縁膜310として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングする際に、例えばハーフトーンマスクを用いて露光すれば、1回の露光工程によって本発明に係る第1層間絶縁膜310を形成することができる。よって、その後に露光工程を行うことなく、第1層間絶縁膜310を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40の各々を所定のパターンで形成することができる。従って、露光工程を行う回数を少なくすることができるので、露光工程が行われる際の熱によって例えばプラスチック基板等からなる支持基板10が収縮することを抑制或いは防止できる。これにより、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。更に、露光工程を行う回数を少なくすることができるので、製造コストの低減を図ることも可能となる。加えて、第1層間絶縁膜310をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることで、例えば仮に上述した親液・撥液処理を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をパターニングする場合と比較して、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をより微細に形成することが可能である。
【0089】
更に本実施形態では特に、図5及び図6を参照して上述したように、アクティブマトリクス基板100は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312間を埋めるように、走査線40よりも上層側に設けられた第2層間絶縁膜320を備えている。よって、支持基板10上の積層構造における最上層側に設けられる画素電極21に対して、走査線40が電気的に悪影響を及ぼしてしまうことを、第2層間絶縁膜320によって殆ど或いは完全に無くすことができる。
【0090】
尚、本実施形態の変形例として、アクティブマトリクス基板100は、第1層間絶縁膜310が、第1隔壁部311をなす第1絶縁層と、第2隔壁部312をなす第2絶縁層とからなる二層構造を有していてもよい。つまり、第1隔壁部311と第2隔壁部312とが互いに異なる膜として形成されてもよい。この場合には、第1層間絶縁膜310は、二層構造を有するので、単層構造を有する(即ち、単一膜からなる)場合と比較して、設計の自由度を高めることができ、実践上有利である。例えば、既に述べたように、第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に半導体層241を確実に形成するためには、有機半導体材料に対して、隔壁部の表面は撥液性を有し、凹部の底面は親液性を有していることが好ましい。また、半導体層241の上にゲート絶縁膜245を形成するときには、絶縁性液体材料に対して、第1隔壁部311の表面は親液性を有し、第2隔壁部312の表面は撥液性を有していることが望ましい。第1層間絶縁膜310が第1隔壁部311をなす第1絶縁層と第2隔壁部312をなす第2絶縁層との積層構造であれば、第1隔壁部311の表面の性質と第2隔壁部312の表面の性質とをそれぞれ、有機半導体材料と絶縁性液体材料に応じて互いに異ならせることが容易であるため、半導体層241やゲート絶縁膜245の形成が容易になる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態係るアクティブマトリクス基板100によれば、低コストで製造可能であると共に、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。
【0092】
次に、上述した本実施形態に係るアクティブマトリクス基板100の製造方法について、図9及び図10を参照して説明する。
【0093】
図9及び図10は、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図である。尚、図9及び図10は、図6に示した断面図に対応して示してある。
【0094】
先ず、図9(A)に示す工程において、支持基板10上にデータ線50(図4及び図5参照)、ソース電極242及びドレイン電極243をそれぞれ所定のパターンで形成する。具体的には、支持基板10上の全面に蒸着又はスパッタリングにより金属膜を成膜した後、この金属膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることにより、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243を形成する。
【0095】
次に、図9(B)に示す工程において、支持基板10上の全面に、例えば印刷法、スピンコート法、バーコート法等により感光性樹脂を塗布することにより絶縁膜310aを形成する。この際、絶縁膜310aを例えば3um〜5umの膜厚を有するように形成する。
【0096】
次に、図9(C)に示す工程において、ハーフトーンマスクを用いて1回の露光工程によって絶縁膜310aをパターニングすることにより、第1層間絶縁膜310を形成する。この工程によって、第1層間絶縁膜310を、図5から図8を参照して説明した第1隔壁部311及び第2隔壁部312を有するように形成することができる。また、第1隔壁部311を、後に形成する半導体層241の膜厚と概ね同じ膜厚を有するように形成する(但し、第1隔壁部311は、半導体層241の膜厚以下であることが好ましい)。更に、この工程においてコンタクトホール810を第1層間絶縁膜310に同時に形成する。これにより、第1隔壁部311及び第2隔壁部312と、コンタクトホール810とを一回のエッチング処理によって形成することが可能となる。よって、製造プロセスにおける工程数の増加を抑制することができる。
【0097】
次に、図10(A)に示す工程において、例えば酸素(O2)ガス等を用いたプラズマ処理を行うことにより、ソース電極242、ドレイン電極243及び支持基板10の表面改質処理を行う。この際、ソース電極242、ドレイン電極243及び支持基板10は、それぞれの表面が、後に半導体層241を形成するための液体である有機半導体材料に対して親液性を有するように改質される。続いて、支持基板10上における第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に、有機半導体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、半導体層241を形成する(図7も参照)。続いて、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間(図8も参照)に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することによりゲート絶縁膜245を形成する。次に、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、導電性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線40をゲート絶縁膜245の上に形成する(図8も参照)。
【0098】
次に、図10(B)に示す工程において、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上層側に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより第2層間絶縁膜320を形成する。この際、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めるように、第2層間絶縁膜320を形成する。
【0099】
次に、図10(C)に示す工程において、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320上に、画素電極21を画素毎に形成する。この際、画素電極21を、第1層間絶縁膜310に開孔されたコンタクトホール810を介してドレイン電極243に電気的に接続されるように形成する。尚、画素電極21は、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により形成してもよいし、或いはリフトオフ法、マスク蒸着法により形成してもよい。或いは、画素電極21は、例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリント法等の印刷法を用いて形成してもよい。
【0100】
このようにして本実施形態に係るアクティブマトリクス基板100を製造することができる。ここで本実施形態では特に、支持基板10上に、互いに隣り合う複数の半導体層241を隔てるための第1隔壁部311と、互いに隣り合う2本の走査線40を隔てるための第2隔壁部312とを有するように、第1層間絶縁膜310を形成する工程を含んでいる(図9(B)及び図9(C)参照)。よって、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40を形成するために露光工程を行う回数を少なくすることができ、製造コストの低減を図ることが可能である。更に、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。
【0101】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るアクティブマトリクス基板について、図11を参照して説明する。
【0102】
図11は、第2実施形態における、図6と同趣旨の断面図である。尚、図11において、図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0103】
図11において、第2実施形態に係るアクティブマトリクス基板100bは、上述した第1実施形態における第2層間絶縁膜320に代えて第2層間絶縁膜320bを備える点で、上述した第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板100と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板100と概ね同様に構成されている。
【0104】
図11において、第2層間絶縁膜320bは、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めると共に、第1層間絶縁膜310の上にも設けられている。画素電極21は、第2層間絶縁膜320b上に画素毎に設けられている。画素電極21は、第2層間絶縁膜320b及び第1層間絶縁膜310を貫通するコンタクトホール(或いはビアホール)820を介してドレイン電極243に電気的に接続されている。
【0105】
この場合には、第2層間絶縁膜320を例えば液滴吐出法により形成すれば、平坦性の高い第2層間絶縁膜320を形成することができるため、この点において、第1実施形態で示したアクティブマトリクス基板よりも有利である。
【0106】
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図12及び図13を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0107】
図12は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0108】
図12に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0109】
図13は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0110】
図13に示すように、電子ノート1500は、図12で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0111】
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、信頼性が高く、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0112】
尚、本発明に係る電気光学装置は、上述した電子ペーパー及び電子ノート以外にも、各種のフレキシブルデバイスに適用可能である。
【0113】
また本発明は、上述の実施形態で説明した電気泳動表示装置以外にも、有機EL(Electro-Luminescence)装置、液晶装置等にも適用可能である。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
10…支持基板、21…画素電極、24…トランジスタ、40…走査線、50…データ線、100、100b…アクティブマトリクス基板、241…半導体層、310…第1層間絶縁膜、311…第1隔壁部、312…第2隔壁部、320、320b…第2層間絶縁膜、810、820…コンタクトホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置用基板として、例えばプラスチック基板等の支持基板上に有機薄膜トランジスタ(以下「有機TFT(Thin Film Transistor)」と適宜称する)を備えてなるものがある。このような電気光学装置用基板の製造方法として、有機TFTを構成する有機半導体層やゲート電極等の薄膜層を、例えば液滴吐出法等の印刷法によって形成する技術が知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、形成すべき導電層の下地層即ち光触媒含有層に対してフォトマスクを介して紫外線を照射することにより、導電層材料液に対して親液性を有する領域と、導電層材料液に対して撥液性を有する領域とを下地層に形成する技術が開示されている。また、フォトマスクを介した露光の代わりに、親液性にしたい領域にのみレーザー光を照射する技術も開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ゲート絶縁膜上の層間絶縁膜を、液滴吐出法を用いてゲート電極を形成するための隔壁として利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−87976号公報
【特許文献2】特開2006−237477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、有機TFTを構成する有機半導体層やゲート電極等の薄膜層を特許文献1に開示された技術を用いて積層する場合、各薄膜層を形成する毎に、親液領域と撥液領域を形成するための下地層形成工程と露光工程とを行なわなければならない。これらの工程を繰り返すことによって、既に形成されている薄膜層にダメージを与えたり、デバイスの特性に悪影響を与える恐れがある。更に、支持基板としてプラスチック基板が用いられる場合には、露光工程の回数が多いほど、熱によって支持基板が収縮し、支持基板上に形成される各薄膜層のアライメント精度が低下してしまうおそれがある。フォトマスクを用いた露光の代わりにレーザー光を照射する場合、処理時間が非常に長くなる。また、微細なパターンを形成することは困難である。
【0007】
また、特許文献2には、ゲート電極をインクジェット法を用いて形成する方法が開示されているが、ゲート電極だけでなく有機半導体層などの複数の薄膜層をインクジェット法を用いて積層する方法は開示されていない。
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電気光学装置用基板は上記課題を解決するために、基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、前記複数の画素にわたって前記第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、前記第2の凹部に設けられた有機半導体層と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、前記複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、前記ゲート絶縁膜の上層であって、前記複数の画素にわたって前記第1の凹部に設けられた走査線と、前記薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線とを備える。
【0010】
本発明の電気光学装置用基板を用いた電気光学装置によれば、その動作時には、走査線を介して走査信号が薄膜トランジスタに順次供給され、データ線から薄膜トランジスタを介して画像信号が画素電極に書き込まれる。これにより、複数の画素における、アクティブマトリクス駆動が可能となる。尚、画像信号は、データ線及び画素電極間に電気的に接続された薄膜トランジスタが走査信号に応じてオンオフされることによって、データ線から薄膜トランジスタを介して画素電極に供給される。画素電極は、データ線及び走査線の交差に対応して、基板上において表示領域となるべき領域にマトリクス状に複数設けられている。
【0011】
薄膜トランジスタは、画素電極が設けられた画素毎に1つずつ設けられている。薄膜トランジスタは、有機半導体材料からなる有機半導体層と、ゲート電極とを含んでなる。有機半導体層は、走査線よりも下層側に配置されている。ゲート電極は、走査線の一部からなり、ゲート絶縁膜を介して有機半導体層のチャネル領域に重なっている(言い換えれば、走査線のうち有機半導体層のチャネル領域にゲート絶縁膜を介して重なる部分がゲート電極として機能する)。即ち、薄膜トランジスタは、トップゲート型の有機TFTとして形成されている。
【0012】
本発明では特に、複数の画素にわたって第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部とを備える。言い換えれば、基板上に設けられている複数の有機半導体層を互いに隔てる第1隔壁部と、互いに隣り合う2本の走査線を互いに隔てる第2隔壁部とを有する第1の絶縁膜を備える。第1の絶縁膜は、典型的には、有機半導体層よりも下層側に配置される(言い換えれば、製造プロセスにおいて有機半導体層よりも先に基板上に形成される)。第1隔壁部は、基板上に設けられている複数の有機半導体層を互いに隔てるように壁状(或いはバンク状)に形成されている。言い換えれば、基板上の表示領域に複数の画素が配列され、各画素毎に1つずつ設けられた有機半導体層は、第2の凹部に設けられている。すなわち、有機半導体層各々は第1の絶縁膜のうち第1隔壁部によって取り囲まれている。走査線は、複数の画素にわたって第1の凹部に設けられている。すなわち、第2隔壁部は、第1隔壁部より上層側に位置し、互いに隣り合う2本の走査線を互いに隔てるように、例えば走査線に沿って延びる壁状(或いはバンク状)に形成されている。言い換えれば、互いに隣り合う2つの第2隔壁部間に走査線が設けられている。
【0013】
よって、当該電気光学装置用基板の製造プロセスにおいて、有機半導体層及び走査線を例えば液滴吐出法(或いはインクジェット法)等の印刷法によって形成する際、第1の絶縁膜を用いて有機半導体層及び走査線をパターニングすることができる。即ち、製造プロセスにおいて、先ず、第2の凹部に、有機半導体層材料(即ち、有機半導体層を形成するための有機半導体材料)を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、有機半導体層を所定のパターンで形成することができる。次に、第1の凹部に、走査線材料(即ち、走査線を形成するための導電性材料)を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線を所定のパターンで形成することができる。よって、印刷法によって有機半導体層を形成する工程と印刷法によって走査線を形成する工程との間に、親液・撥液パターンを形成したり、新たな隔壁を形成する必要が無く、第1の絶縁膜を用いて有機半導体層及び走査線の各々を所定の形状で形成することができる。これにより、最初に形成した半導体層がダメージを受けたり、電子デバイスの特性が劣化しない電気光学装置用基板が提供される。加えて、第1の絶縁膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることで、例えば仮に上述した親液・撥液処理を用いて有機半導体層及び走査線をパターニングする場合と比較して、有機半導体層及び走査線をより微細に形成することが可能である。
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、製造プロセスによって被るダメージが小さく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度が高く、かつ低コストな電気光学装置用基板を提供できる。
【0015】
本発明の電気光学装置用基板の一態様では、前記第1の凹部を埋めるように、前記走査線の上に設けられた第2の絶縁膜を更に備える。
【0016】
この態様によれば、基板上の積層構造における最上層側に設けられる画素電極に対して、走査線が電気的に悪影響を及ぼしてしまうことを、第2の絶縁膜によって殆ど或いは完全に無くすことができる。尚、画素電極の全部又は一部は、第2の絶縁膜上に形成されてもよい。
【0017】
本発明の電気光学装置用基板の他の態様では、前記第1の絶縁膜は、前記第2の凹部を備えた第2の絶縁層と、該第2の絶縁層の上に設けられた第1の絶縁層とからなる。
【0018】
この態様によれば、第1の絶縁膜は、二層構造を有するので、例えば単層構造を有する(即ち、単一膜からなる)場合と比較して、設計の自由度を高めることができ、実践上有利である。
【0019】
本発明の電気光学装置用基板の他の態様では、前記第2の凹部の底面は、前記有機半導体層の形成材料に対して親液性を有し、前記第1の凹部のうち前記第2の凹部が設けられていない領域は、前記形成材料に対して撥液性を有してもよい。
【0020】
この態様によれば、有機半導体層を第2の凹部内に形成することが容易になる。
【0021】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法は上記課題を解決するために、基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、該複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、を備える電気光学装置用基板の製造方法であって、前記複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程と、印刷法によって前記第2の凹部に有機半導体層を形成する工程と、前記有機半導体層の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、前記第1の凹部内の前記ゲート絶縁膜の上に、前記複数の画素にわたるように走査線を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の上層に、前記一の画素に対応づけられた画素電極を形成する工程と、を備える。
【0022】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法によれば、上述した本発明の電気光学装置用基板を製造することができる。ここで特に、本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法によれば、基板上に、複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程を含む。よって、有機半導体層及び走査線を形成するために露光工程を行う回数を少なくすることができ、製造コストの低減を図ることが可能である。更に、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0023】
尚、上述した本発明の電気光学装置用基板に係る各種態様と同様の態様を、本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法にも適宜適用可能である。
【0024】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法の一態様では、前記第1の絶縁膜を形成する工程において、前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成するのと同時に、前記画素電極と前記有機半導体層とを互いに電気的に接続するためのコンタクトホールを前記第1の絶縁膜に形成する。
【0025】
この態様によれば、第1及び第2隔壁部と、コンタクトホールとを同時に形成することができる。よって、製造プロセスの複雑化を招くことなく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0026】
本発明に係る電気光学装置用基板の製造方法の他の態様では、前記第1の絶縁膜を形成する工程において、ハーフトーンマスクを用いて前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成する。
【0027】
この態様によれば、第1及び第2隔壁部と、コンタクトホールとを一回のエッチング処理によって形成することが可能となる。よって、製造プロセスの複雑化を招くことなく、基板上における有機半導体層及び走査線のアライメント精度を高めることができる。
【0028】
本発明に係る電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置用基板(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0029】
本発明に係る電気光学装置によれば、上述した本発明の電気光学装置用基板を備えるので、低コスト且つ信頼性の高い電気光学装置を提供することができる。
【0030】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明に係る電気光学装置(但し、その各種態様を含む)を備える。
【0031】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を備えるので、高品位な表示を行うことが可能な、例えば、腕時計、電子ペーパー、電子ノート、携帯電話、携帯用オーディオ機器などの各種電子機器を実現できる。
【0032】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態に係る電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス基板の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る電気泳動表示装置の表示領域における構成を示す部分断面図である。
【図3】マイクロカプセルの構成を示す模式図である。
【図4】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成を示す平面図である。
【図5】図4のV−V’線での断面図である。
【図6】図4のVI−VI’線での断面図である。
【図7】第1実施形態に係る第1隔壁部の構成を示す平面図である。
【図8】第1実施形態に係る第2隔壁部の構成を示す平面図である。
【図9】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図(その1)である。
【図10】第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図(その2)である。
【図11】第2実施形態における、図6と同趣旨の断面図である。
【図12】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ペーパーの構成を示す斜視図である。
【図13】電気泳動表示装置を適用した電子機器の一例たる電子ノートの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例であるアクティブマトリクス駆動方式の電気泳動表示装置を例にとる。
【0035】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る電気泳動表示装置について、図1から図8を参照して説明する。
【0036】
先ず、本実施形態に係る電気泳動表示装置の全体構成について、図1から図3を参照して説明する。
【0037】
図1は、本実施形態に係る電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス基板の全体構成を示すブロック図である。
【0038】
図1において、本発明に係る「電気光学装置用基板」の一例であるアクティブマトリクス基板100は、支持基板10と、この支持基板10上に、互いに交差するように設けられた複数のデータ線50及び複数の走査線40と、これらデータ線50及び走査線40の交差に対応する画素20毎に設けられた画素電極21及びTFT24とを備えている。更に、アクティブマトリクス基板100は、支持基板10上に、外部接続端子900と、接続端子41と、走査線引出線42とを備えている。
【0039】
支持基板10は、可撓性基板(即ち、撓る或いは湾曲することが可能な基板)である。可撓性基板としては、ガラス基板や、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリイミド(PI)等で構成されるプラスチック基板、また、例えばステンレスやアルミニウム等の金属基板、或いはガリウム砒素基板等であってもよい。また、支持基板10は必ずしも可撓性を有さなくてもよい。
【0040】
データ線50は、支持基板10上における一の方向に沿って延びるように形成されている。データ線50は、外部接続端子900を介して外部の駆動回路(図示省略)に電気的に接続される。データ線50には、駆動回路から画像信号が所定のタイミングで供給される。データ線50を構成する導電性材料としては、公知の導電性金属材料を用いることができる。データ線50は、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等から形成されてよい。
【0041】
走査線40は、支持基板10上におけるデータ線50が延びる一の方向に交わる他の方向に沿って延びるように形成されている。走査線40は、接続端子41、走査線引出線42及び外部接続端子900を介して外部の駆動回路(図示省略)に電気的に接続される。より具体的には、走査線40の一端は、複数の画素20がマトリクス状に配列された表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に設けられた接続端子41を介して走査線引出線42に電気的に接続されている。走査線引出線42は、周辺領域において、接続端子41とこの接続端子41に対応する外部接続端子900とを繋ぐように引き回されている。走査線40には、駆動回路から走査信号が所定のタイミングでパルス的に供給される。走査線40を構成する導電性材料としては、公知の導電性金属材料を用いることができる。走査線40は、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等やそれらの金属を用いた合金、公知のあらゆる金属材料、及びその合金、及びその金属酸化物等から形成されてよい。また、走査線40は、導電性高分子ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)やカーボンペースト、カーボンナノチューブ等の導電性有機材料から形成されてもよい。
【0042】
支持基板10上の表示領域10aには、データ線50及び走査線40の交差に対応して、複数の画素20がマトリクス状に配列されている。
【0043】
マトリクス状に配列された複数の画素20には、それぞれ、画素電極21と、この画素電極21をスイッチング制御するためのTFT24とが設けられている。
【0044】
TFT24は、有機半導体層を有する有機TFTであり、そのゲートが走査線40に電気的に接続されており、そのソースがデータ線50が電気的に接続されており、そのドレインが画素電極21に電気的に接続されている。TFT24は、駆動回路からデータ線50を介して供給される画像信号を、駆動回路から走査線40を介してパルス的に供給される走査信号に応じたタイミングで、画素電極21に書き込む。
【0045】
尚、アクティブマトリクス基板100の具体的な構成については、図4から図8を参照して後に詳細に説明する。
【0046】
図2は、本実施形態に係る電気泳動表示装置の表示領域における構成を示す部分断面図である。尚、図2においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0047】
図2において、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、図1を参照して上述したアクティブマトリクス基板100と対向基板29との間に電気泳動素子23が挟持される構成となっている。尚、本実施形態では、対向基板29側に画像を表示することを前提として説明する。
【0048】
アクティブマトリクス基板100では、支持基板10上に、上述したデータ線50、走査線40、TFT24、画素電極21等が積層構造をなして形成されている。尚、図2では、データ線50、走査線40、TFT24等の図示を省略している。画素電極21は、支持基板10上の積層構造における最上層側に設けられている。
【0049】
対向基板29は、例えばプラスチック等からなる透明な基板である。対向基板29におけるアクティブマトリクス基板100との対向面上には、共通電極22が複数の画素電極21と対向してベタ状に形成されている。共通電極22は、例えばマグネシウム銀(MgAg)、インジウム・スズ酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛酸化物(IZO)等の透明導電材料から形成されている。
【0050】
電気泳動素子23は、電気泳動粒子をそれぞれ含んでなる複数のマイクロカプセル80から構成されており、例えば樹脂等からなるバインダー30及び接着層31によってアクティブマトリクス基板100及び対向基板29間で固定されている。尚、本実施形態に係る電気泳動表示装置1は、製造プロセスにおいて、電気泳動素子23が予め対向基板29側にバインダー30によって固定されてなる電気泳動シートが、別途製造された、アクティブマトリクス基板100側に接着層31によって接着されている。
【0051】
マイクロカプセル80は、画素電極21及び共通電極22間に挟持され、1つの画素20内に(言い換えれば、1つの画素電極21に対して)1つ又は複数配置されている。
【0052】
図3は、マイクロカプセルの構成を示す模式図である。尚、図3では、マイクロカプセルの断面を模式的に示している。
【0053】
図3において、マイクロカプセル80は、被膜85の内部に分散媒81と、電気泳動粒子である複数の白色粒子82と、複数の黒色粒子83とが封入されてなる。マイクロカプセル80は、例えば、50um程度の粒径を有する球状に形成されている。
【0054】
被膜85は、マイクロカプセル80の外殻として機能し、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等のアクリル樹脂、ユリア樹脂、アラビアガム等の透光性を有する高分子樹脂から形成されている。
【0055】
分散媒81は、白色粒子82及び黒色粒子83をマイクロカプセル80内(言い換えれば、被膜85内)に分散させる媒質である。分散媒81としては、水や、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール、メチルセルソルブ等のアルコール系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等の各種エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエンや、キシレン、ヘキシルベンゼン、へブチルベンゼン、オクチルベンゼン、ノニルベンゼン、デシルベンゼン、ウンデシルベンゼン、ドデシルベンゼン、トリデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン等の長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1、2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、カルボン酸塩やその他の油類を単独で又は混合して用いることができる。また、分散媒81には、界面活性剤が配合されてもよい。
【0056】
白色粒子82は、例えば、二酸化チタン、亜鉛華(酸化亜鉛)、三酸化アンチモン等の白色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば負に帯電されている。
【0057】
黒色粒子83は、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料からなる粒子(高分子或いはコロイド)であり、例えば正に帯電されている。
【0058】
このため、白色粒子82及び黒色粒子83は、画素電極21と共通電極22との間の電位差によって発生する電場によって、分散媒81中を移動することができる。
【0059】
これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、金属石鹸、樹脂、ゴム、油、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0060】
図2及び図3において、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に共通電極22の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によってマイクロカプセル80内で画素電極21側に引き寄せられると共に、負に帯電された白色粒子82はクーロン力によってマイクロカプセル80内で共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80内の表示面側(即ち、共通電極22側)に白色粒子82が集まることで、電気泳動表示装置1の表示面にこの白色粒子82の色(即ち、白色)を表示することができる。逆に、画素電極21と共通電極22との間に、相対的に画素電極21の電位が高くなるように電圧が印加された場合には、負に帯電された白色粒子82がクーロン力によって画素電極21側に引き寄せられると共に、正に帯電された黒色粒子83はクーロン力によって共通電極22側に引き寄せられる。この結果、マイクロカプセル80の表示面側に黒色粒子83が集まることで、電気泳動表示装置1の表示面にこの黒色粒子83の色(即ち、黒色)を表示することができる。
【0061】
更に、画素電極21及び共通電極22間における白色粒子82及び黒色粒子83の分布状態によって、白色と黒色との中間階調である、ライトグレー、グレー、ダークグレー等の灰色を表示することも可能である。また、白色粒子82、黒色粒子83に用いる顔料を、例えば赤色、緑色、青色等の顔料に代えることによって、赤色、緑色、青色等のカラー表示も可能となる。
【0062】
次に、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成について、図4から図8を参照して説明する。
【0063】
図4は、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の具体的な構成を示す平面図である。図5は、図4のV−V’線での断面図である。図6は、図4のVI−VI’線での断面図である。尚、図4では、説明の便宜上、図5及び図6に示すゲート絶縁膜245、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320の図示を省略してある。
【0064】
図4から図6において、アクティブマトリクス基板100では、支持基板10上に、図1を参照して上述したデータ線50、走査線40、TFT24、画素電極21等が積層構造をなして形成されている。
【0065】
支持基板10は、上述したように、例えばプラスチック基板等の可撓性基板である。
【0066】
図4に示すように、支持基板10上には、複数のデータ線50及び複数の走査線40が互いに交差するように設けられている。更に、支持基板10上には、これらデータ線50及び走査線40の交差に対応する画素毎に、画素電極21及びTFT24が設けられている。TFT24は、半導体層241、ソース電極242及びドレイン電極243を含んでなる。
【0067】
以下、支持基板10上の各構成要素について、支持基板10上の積層構造における下層側から順に説明する。
【0068】
図4から図6において、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、支持基板10上の積層構造において互いに同一層に設けられている。
【0069】
データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、製造工程における同一機会に成膜された金属膜がパターニングされることにより形成されており、互いに同一種類の金属膜からなる。データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243を構成する金属膜としては、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等を用いることができる。尚、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、ITO、ZuO2等から形成されてもよい。また、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243は、導電性高分子ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)やカーボンペースト、カーボンナノチューブ等の導電性有機材料から形成されてもよく、例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法等の印刷法により形成されてもよい。
【0070】
データ線50は、支持基板10上における一の方向に沿って延びるように形成されている。
【0071】
ソース電極242は、画素毎に、支持基板10上におけるデータ線50が延びる一の方向に交わる他の方向に沿って延びるように形成されている。ソース電極242は、各データ線50から対応する画素毎に分岐するように形成されている。
【0072】
ドレイン電極243は、画素毎に、島状に形成されている。
【0073】
図6において、ソース電極242及びドレイン電極243よりも上層側には、第1層間絶縁膜310が設けられている。
【0074】
第1層間絶縁膜310は、絶縁体材料からなり、互いに隣り合う半導体層241間を隔てる第1隔壁部311と、互いに隣り合う走査線40間を隔てる第2隔壁部312とを有している。第2隔壁部312は、第1隔壁部311よりも上層側に設けられている。第1層間絶縁膜310を構成する絶縁体材料としては、絶縁性ポリマーが好適である。絶縁性ポリマーとしては、主骨格としてポリビニルフェノール又は、フェノール樹脂(別名ノボラック樹脂)を使用するとよい。その他にもポリビニルフェノール、ポリメチルメタアクリレートを始めとするアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポレオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、フッ素系樹脂、ポリパラキシリレン、ベンゾシクロブテン等を使用することができる。更に、エポキシ架橋剤や光ラジカル重合開始剤を用いることで感光性の機能を付加させることができ、レジスト等用いずに直接パターニングが可能となる。
【0075】
図7は、第1隔壁部311の構成を示す平面図である。
【0076】
図5から図7に示すように、第1隔壁部311は、互いに隣り合う複数の半導体層241を互いに隔てる壁或いはバンクである。具体的には、第1隔壁部311は、支持基板10上における半導体層241が形成される領域各々を取り囲むように形成されている。更に言い換えれば、第1隔壁部311は、支持基板10上において、画素毎に内部に半導体層241が形成される凹部をなすように形成されている。
【0077】
図5及び図6において、第1隔壁部311は、半導体層241の膜厚と概ね同程度の膜厚を有している。半導体層241は、例えば2nm〜1um程度(好ましくは、500nm程度)の膜厚を有している。第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に半導体層241を確実に形成するためには、有機半導体材料に対して、隔壁部の表面は撥液性を有し、凹部の底面は親液性を有していることが好ましい。
【0078】
図8は、第2隔壁部312の構成を示す平面図である。
【0079】
図6及び図8に示すように、第2隔壁部312は、互いに隣り合う2本の走査線40を互いに隔てる壁或いはバンクである。言い換えれば、第2隔壁部312は、走査線40が延びる方向に延びる壁或いはバンクであり、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に1本の走査線40が設けられている。
【0080】
言い換えれば、複数の画素に渡って第1層間絶縁膜310に設けられた第1の凹部に、走査線40が設けられている。そして、第1の凹部の底面に画素毎に設けられた第2の凹部に、半導体層241が設けられている。
【0081】
図4から図7において、TFT24を構成する半導体層241は、支持基板10上における第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に、有機半導体材料が例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成された有機半導体層である。有機半導体材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体のような低分子の有機半導体材料や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ビチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体またはこれらの誘導体のような高分子の有機半導体材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0082】
半導体層241は、チャネル領域241c(図6参照)と、チャネル領域241cに隣接すると共にソース電極242に電気的に接続されるソース領域と、チャネル領域241cに隣接すると共にドレイン電極243に電気的に接続されるドレイン領域とを有している。
【0083】
半導体層241の上層側には、ゲート絶縁膜245を介して走査線40が形成されている。
【0084】
図4から図6において、ゲート絶縁膜245は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に設けられており、支持基板10上で平面的に見て、対応する複数の半導体層241に重なっている。ゲート絶縁膜245は、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、絶縁性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成される。図5および図6からわかるように、ゲート絶縁膜245は、半導体層241と第1隔壁部311の上に設けられている。ゲート絶縁膜245を構成する絶縁性材料としては、ポリビニルフェノール、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、或いはポリイソブチレンに代表されるポリオレフィン系ポリマー、或いはこれらの共重合体等の有機材料を用いることができる。
【0085】
図4から図6及び図8において、走査線40は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、ゲート絶縁膜245に重なるように設けられており、ゲート絶縁膜245と同一の平面形状を有している。すなわち、走査線40は支持基板10上で平面的に見て、対応する複数の半導体層241に重なっている。走査線40のうち半導体層241のチャネル領域241cに重なる部分がTFT24のゲート電極として機能する。即ち、TFT24は、トップゲート型の有機TFTとして形成されている。走査線40は、導電性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に吐出或いは塗布されることにより形成される。導電性液体材料としては、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液を用いることができる。また、PEDOTの他に、金属コロイドを用いることができる。また、これらの分散液は、水を主成分とするが、アルコールを添加した液体を用いてもよい。走査線40は、例えば100nm〜2μmの膜厚を有している。
【0086】
図5及び図6において、走査線40の上層側には、第2層間絶縁膜320が設けられている。第2層間絶縁膜320は、ゲート絶縁膜245及び走査線40と同一の平面形状を有している。第2層間絶縁膜320は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めるように形成されている。第2層間絶縁膜320は、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312間における走査線40の上層側に、絶縁性液体材料が例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布されることにより形成される。尚、第2層間絶縁膜320を構成する絶縁体材料としては、上述した第1層間絶縁膜310と同様に、絶縁性ポリマーが好適である。
【0087】
図4から図6において、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320上に、画素電極21が画素毎に設けられている。画素電極21は、第1層間絶縁膜310に開孔されたコンタクトホール(或いはビアホール)810を介してドレイン電極243に電気的に接続されている。尚、画素電極21を構成する材料は、公知の電極材料であれば、その種類は特に限定されない。具体的には、例えばCr、Al、Ta、Mo、Nd、Cu、Ag、Au、Pd、In、Ni、Nd、Co等の金属単体やこれら金属を用いた合金等、公知のあらゆる金属材料、及びその合金或いはその金属酸化物等を採用することができる。また、金属微粒子を分散させた溶液、或いは、導電性粒子を含むポリマー混合物、或いは、導電性有機材料を電極材料として採用してもよい。
【0088】
本実施形態では特に、図6から図8を参照して上述したように、アクティブマトリクス基板100は、第1隔壁部311及び第2隔壁部312を有する第1層間絶縁膜310を備えている。よって、アクティブマトリクス基板100の製造プロセスにおいて、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40を例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクト印刷法等の印刷法によって形成する際、第1層間絶縁膜310を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をパターニングすることができる。即ち、製造プロセスにおいて、先ず、第1層間絶縁膜310のうち第1隔壁部311によって取り囲まれる領域に、有機半導体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、半導体層241を所定のパターンで形成することができる。次に、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、ゲート絶縁膜245を所定のパターンで形成することができる。続いて、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、導電性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線40を所定のパターンで形成することができる。第1層間絶縁膜310として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングする際に、例えばハーフトーンマスクを用いて露光すれば、1回の露光工程によって本発明に係る第1層間絶縁膜310を形成することができる。よって、その後に露光工程を行うことなく、第1層間絶縁膜310を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40の各々を所定のパターンで形成することができる。従って、露光工程を行う回数を少なくすることができるので、露光工程が行われる際の熱によって例えばプラスチック基板等からなる支持基板10が収縮することを抑制或いは防止できる。これにより、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。更に、露光工程を行う回数を少なくすることができるので、製造コストの低減を図ることも可能となる。加えて、第1層間絶縁膜310をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることで、例えば仮に上述した親液・撥液処理を用いて半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をパターニングする場合と比較して、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40をより微細に形成することが可能である。
【0089】
更に本実施形態では特に、図5及び図6を参照して上述したように、アクティブマトリクス基板100は、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312間を埋めるように、走査線40よりも上層側に設けられた第2層間絶縁膜320を備えている。よって、支持基板10上の積層構造における最上層側に設けられる画素電極21に対して、走査線40が電気的に悪影響を及ぼしてしまうことを、第2層間絶縁膜320によって殆ど或いは完全に無くすことができる。
【0090】
尚、本実施形態の変形例として、アクティブマトリクス基板100は、第1層間絶縁膜310が、第1隔壁部311をなす第1絶縁層と、第2隔壁部312をなす第2絶縁層とからなる二層構造を有していてもよい。つまり、第1隔壁部311と第2隔壁部312とが互いに異なる膜として形成されてもよい。この場合には、第1層間絶縁膜310は、二層構造を有するので、単層構造を有する(即ち、単一膜からなる)場合と比較して、設計の自由度を高めることができ、実践上有利である。例えば、既に述べたように、第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に半導体層241を確実に形成するためには、有機半導体材料に対して、隔壁部の表面は撥液性を有し、凹部の底面は親液性を有していることが好ましい。また、半導体層241の上にゲート絶縁膜245を形成するときには、絶縁性液体材料に対して、第1隔壁部311の表面は親液性を有し、第2隔壁部312の表面は撥液性を有していることが望ましい。第1層間絶縁膜310が第1隔壁部311をなす第1絶縁層と第2隔壁部312をなす第2絶縁層との積層構造であれば、第1隔壁部311の表面の性質と第2隔壁部312の表面の性質とをそれぞれ、有機半導体材料と絶縁性液体材料に応じて互いに異ならせることが容易であるため、半導体層241やゲート絶縁膜245の形成が容易になる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態係るアクティブマトリクス基板100によれば、低コストで製造可能であると共に、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。
【0092】
次に、上述した本実施形態に係るアクティブマトリクス基板100の製造方法について、図9及び図10を参照して説明する。
【0093】
図9及び図10は、本実施形態に係るアクティブマトリクス基板の製造方法の主要な工程を順に示す工程断面図である。尚、図9及び図10は、図6に示した断面図に対応して示してある。
【0094】
先ず、図9(A)に示す工程において、支持基板10上にデータ線50(図4及び図5参照)、ソース電極242及びドレイン電極243をそれぞれ所定のパターンで形成する。具体的には、支持基板10上の全面に蒸着又はスパッタリングにより金属膜を成膜した後、この金属膜をフォトリソグラフィ法及びエッチング法によりパターニングすることにより、データ線50、ソース電極242及びドレイン電極243を形成する。
【0095】
次に、図9(B)に示す工程において、支持基板10上の全面に、例えば印刷法、スピンコート法、バーコート法等により感光性樹脂を塗布することにより絶縁膜310aを形成する。この際、絶縁膜310aを例えば3um〜5umの膜厚を有するように形成する。
【0096】
次に、図9(C)に示す工程において、ハーフトーンマスクを用いて1回の露光工程によって絶縁膜310aをパターニングすることにより、第1層間絶縁膜310を形成する。この工程によって、第1層間絶縁膜310を、図5から図8を参照して説明した第1隔壁部311及び第2隔壁部312を有するように形成することができる。また、第1隔壁部311を、後に形成する半導体層241の膜厚と概ね同じ膜厚を有するように形成する(但し、第1隔壁部311は、半導体層241の膜厚以下であることが好ましい)。更に、この工程においてコンタクトホール810を第1層間絶縁膜310に同時に形成する。これにより、第1隔壁部311及び第2隔壁部312と、コンタクトホール810とを一回のエッチング処理によって形成することが可能となる。よって、製造プロセスにおける工程数の増加を抑制することができる。
【0097】
次に、図10(A)に示す工程において、例えば酸素(O2)ガス等を用いたプラズマ処理を行うことにより、ソース電極242、ドレイン電極243及び支持基板10の表面改質処理を行う。この際、ソース電極242、ドレイン電極243及び支持基板10は、それぞれの表面が、後に半導体層241を形成するための液体である有機半導体材料に対して親液性を有するように改質される。続いて、支持基板10上における第1隔壁部311によって取り囲まれる凹部に、有機半導体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、半導体層241を形成する(図7も参照)。続いて、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間(図8も参照)に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することによりゲート絶縁膜245を形成する。次に、支持基板10上における第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間に、導電性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより、走査線40をゲート絶縁膜245の上に形成する(図8も参照)。
【0098】
次に、図10(B)に示す工程において、第1層間絶縁膜310のうち互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上層側に、絶縁性液体材料を例えば液滴吐出法等の印刷法によって吐出或いは塗布することにより第2層間絶縁膜320を形成する。この際、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めるように、第2層間絶縁膜320を形成する。
【0099】
次に、図10(C)に示す工程において、第1層間絶縁膜310及び第2層間絶縁膜320上に、画素電極21を画素毎に形成する。この際、画素電極21を、第1層間絶縁膜310に開孔されたコンタクトホール810を介してドレイン電極243に電気的に接続されるように形成する。尚、画素電極21は、フォトリソグラフィ法及びエッチング法により形成してもよいし、或いはリフトオフ法、マスク蒸着法により形成してもよい。或いは、画素電極21は、例えば液滴吐出法、スクリーン印刷法、マイクロコンタクトプリント法等の印刷法を用いて形成してもよい。
【0100】
このようにして本実施形態に係るアクティブマトリクス基板100を製造することができる。ここで本実施形態では特に、支持基板10上に、互いに隣り合う複数の半導体層241を隔てるための第1隔壁部311と、互いに隣り合う2本の走査線40を隔てるための第2隔壁部312とを有するように、第1層間絶縁膜310を形成する工程を含んでいる(図9(B)及び図9(C)参照)。よって、半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40を形成するために露光工程を行う回数を少なくすることができ、製造コストの低減を図ることが可能である。更に、支持基板10上における半導体層241、ゲート絶縁膜245及び走査線40のアライメント精度を高めることができる。
【0101】
<第2実施形態>
第2実施形態に係るアクティブマトリクス基板について、図11を参照して説明する。
【0102】
図11は、第2実施形態における、図6と同趣旨の断面図である。尚、図11において、図6に示した第1実施形態に係る構成要素と同様の構成要素に同一の参照符合を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0103】
図11において、第2実施形態に係るアクティブマトリクス基板100bは、上述した第1実施形態における第2層間絶縁膜320に代えて第2層間絶縁膜320bを備える点で、上述した第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板100と異なり、その他の点については、上述した第1実施形態に係るアクティブマトリクス基板100と概ね同様に構成されている。
【0104】
図11において、第2層間絶縁膜320bは、互いに隣り合う2本の第2隔壁部312の間における走査線40の上の空間を埋めると共に、第1層間絶縁膜310の上にも設けられている。画素電極21は、第2層間絶縁膜320b上に画素毎に設けられている。画素電極21は、第2層間絶縁膜320b及び第1層間絶縁膜310を貫通するコンタクトホール(或いはビアホール)820を介してドレイン電極243に電気的に接続されている。
【0105】
この場合には、第2層間絶縁膜320を例えば液滴吐出法により形成すれば、平坦性の高い第2層間絶縁膜320を形成することができるため、この点において、第1実施形態で示したアクティブマトリクス基板よりも有利である。
【0106】
<電子機器>
次に、上述した電気泳動表示装置を適用した電子機器について、図12及び図13を参照して説明する。以下では、上述した電気泳動表示装置を電子ペーパー及び電子ノートに適用した場合を例にとる。
【0107】
図12は、電子ペーパー1400の構成を示す斜視図である。
【0108】
図12に示すように、電子ペーパー1400は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を表示部1401として備えている。電子ペーパー1400は可撓性を有し、従来の紙と同様の質感及び柔軟性を有する書き換え可能なシートからなる本体1402を備えて構成されている。
【0109】
図13は、電子ノート1500の構成を示す斜視図である。
【0110】
図13に示すように、電子ノート1500は、図12で示した電子ペーパー1400が複数枚束ねられ、カバー1501に挟まれているものである。カバー1501は、例えば外部の装置から送られる表示データを入力するための表示データ入力手段(図示せず)を備える。これにより、その表示データに応じて、電子ペーパーが束ねられた状態のまま、表示内容の変更や更新を行うことができる。
【0111】
上述した電子ペーパー1400及び電子ノート1500は、上述した実施形態に係る電気泳動表示装置を備えるので、信頼性が高く、高品質な画像表示を行うことが可能である。
【0112】
尚、本発明に係る電気光学装置は、上述した電子ペーパー及び電子ノート以外にも、各種のフレキシブルデバイスに適用可能である。
【0113】
また本発明は、上述の実施形態で説明した電気泳動表示装置以外にも、有機EL(Electro-Luminescence)装置、液晶装置等にも適用可能である。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置用基板及びその製造方法、電気光学装置並びに電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0115】
10…支持基板、21…画素電極、24…トランジスタ、40…走査線、50…データ線、100、100b…アクティブマトリクス基板、241…半導体層、310…第1層間絶縁膜、311…第1隔壁部、312…第2隔壁部、320、320b…第2層間絶縁膜、810、820…コンタクトホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた第1の絶縁膜と、
複数の画素と、
前記複数の画素にわたって前記第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、
前記第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、
前記第2の凹部に設けられた有機半導体層と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、前記複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、
前記ゲート絶縁膜の上層であって、前記複数の画素にわたって前記第1の凹部に設けられた走査線と、
前記薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線と、
を備えることを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
前記第1の凹部を埋めるように、前記走査線の上に設けられた第2の絶縁膜を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜は、前記第2の凹部を備えた第2の絶縁層と、該第2の絶縁層の上に設けられた第1の絶縁層とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
前記第2の凹部の底面は、前記有機半導体層の形成材料に対して親液性を有し、前記第1の凹部のうち前記第2の凹部が設けられていない領域は、前記形成材料に対して撥液性を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項5】
基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、該複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、を備える電気光学装置用基板の製造方法であって、
前記複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程と、
印刷法によって前記第2の凹部に有機半導体層を形成する工程と、
前記有機半導体層の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の凹部内の前記ゲート絶縁膜の上に、前記複数の画素にわたるように走査線を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の上層に、前記一の画素に対応づけられた画素電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成するのと同時に、前記画素電極と前記有機半導体層とを互いに電気的に接続するためのコンタクトホールを前記第1の絶縁膜に形成することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、ハーフトーンマスクを用いて前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
基板上に設けられた第1の絶縁膜と、
複数の画素と、
前記複数の画素にわたって前記第1の絶縁膜に設けられた第1の凹部と、
前記第1の凹部の底面に設けられた第2の凹部と、
前記第2の凹部に設けられた有機半導体層と、該有機半導体層の上に設けられたゲート絶縁膜と、該ゲート絶縁膜の上に設けられたゲート電極と、を含み、前記複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、
前記ゲート絶縁膜の上層であって、前記複数の画素にわたって前記第1の凹部に設けられた走査線と、
前記薄膜トランジスタと電気的に接続されたデータ線と、
を備えることを特徴とする電気光学装置用基板。
【請求項2】
前記第1の凹部を埋めるように、前記走査線の上に設けられた第2の絶縁膜を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置用基板。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜は、前記第2の凹部を備えた第2の絶縁層と、該第2の絶縁層の上に設けられた第1の絶縁層とからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置用基板。
【請求項4】
前記第2の凹部の底面は、前記有機半導体層の形成材料に対して親液性を有し、前記第1の凹部のうち前記第2の凹部が設けられていない領域は、前記形成材料に対して撥液性を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板。
【請求項5】
基板上に設けられた第1の絶縁膜と、複数の画素と、該複数の画素のうち一の画素に対応づけられた薄膜トランジスタと、を備える電気光学装置用基板の製造方法であって、
前記複数の画素にわたり、かつその底面に前記一の画素に対応づけられた第2の凹部を有する第1の凹部を備えるように、前記第1の絶縁膜を形成する工程と、
印刷法によって前記第2の凹部に有機半導体層を形成する工程と、
前記有機半導体層の上にゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の凹部内の前記ゲート絶縁膜の上に、前記複数の画素にわたるように走査線を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の上層に、前記一の画素に対応づけられた画素電極を形成する工程と、
を備えることを特徴とする電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項6】
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成するのと同時に、前記画素電極と前記有機半導体層とを互いに電気的に接続するためのコンタクトホールを前記第1の絶縁膜に形成することを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項7】
前記第1の絶縁膜を形成する工程において、ハーフトーンマスクを用いて前記第1の絶縁膜に前記第1の凹部および前記第2の凹部を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の電気光学装置用基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電気光学装置用基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−141446(P2011−141446A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2266(P2010−2266)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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