説明

電気回路基板及びインクジェットプリンタヘッドの製造方法

【課題】良好な電気接続が得られる接続端子を備えたインクジェットプリンタヘッドに好適な電気回路基板を提供する。
【解決手段】先ずチップ基板21上に駆動回路27、抵抗発熱部28、共通電極29、個別配線電極31、接続端子32等を形成し、続いてシール隔壁33−1、インク加圧室34を作る区画隔壁33−2及び33−3を形成し、同時に区画隔壁33−2に連設してこれと同一材料で支持部材35を形成する。更にインク供給溝36とインク給送孔37を形成する。この後これらの上にオリフィス板22を積層し、接続端子32に対応する位置にボンディング用孔25をエッチングした後、右端部で隣接のチップ基板と切り離す。オリフィス板22は支持部材35に支持されるため垂れて接続端子32に接触することがなく、熱伝導等でエッチングレートを低下させることがなく、エッチング残渣が発生せず、接続端子32は良好な電気接続性を維持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、良好な電気接続が得られる接続端子を備えた特にインクジェットプリンタヘッドに好適な電気回路基板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気回路基板の接続端子部の上方に天板が設けられていると、その天板が接続端子部に垂れ下がり易く、これが接続不良の原因となることがある。特に1枚のシリコンウエハから多数のインクジェットプリンタヘッドを採取するモノリシック型インクジェットプリンタヘッドの製造工程では、通常、1枚のシリコンウエハに対応してその最上層に1枚の天板が設置される。
【0003】この天板は、一般に、オリフィスとも称される「インクを吐出するノズル」が形成される板という意味で、オリフィス板と称される。このオリフィス板に、従来は、インクを吐出する多数のノズルと共に多数のボンディング用孔を一括して穿設する方法が取られている。
【0004】図6(a) は、そのようなインクジェットプリンタヘッド製造用のシリコンウエハを模式的に示す図であり、同図(b) 〜(d) は、従来のインクジェットプリンタヘッドの製造工程を示す図である。同図(a) に示すシリコンウエハ1は、その直径が例えば6×25.4mmである。また、同図(a) に示す例では、シリコンウエハ1上には、100個のチップ基板2が形成されている。これらのチップ基板2は、それぞれ例えば8×15mm程度の大きさであり、製造工程の最終段階でスクライブライン3の部分で個別に切り離される。
【0005】同図(b) 〜(d) は、同図(a) に示すチップ基板2のA−A′断面を拡大して示しており、スクライブライン3より左方に、隣接のチップ基板2を部分的に示している。これらのチップ基板2の上で同図(d) に示すインクジェットプリンタヘッド4が製造される。これらのインクジェットプリンタヘッド4は、2つの隣接するヘッドチップが、チップ基板2上でスクライブライン3に対して対称に形成される。
【0006】このインクジェットプリンタヘッド4の製造工程を簡単に説明する。先ず、同図(b) に示すように、チップ基板2の表面(同図(b) 〜(d) では上面)の上層部に、LSI形成技術により駆動回路5とその端子が形成され、それらの上に、薄膜形成技術によりTa−Si−Oなどの微細な抵抗発熱部6と、Niなどから成る共通電極7、個別配線電極8、接続端子9が形成される。
【0007】上記の接続端子9については、製造工程の最終段階でスクライブライン3の部分で個別に切り離されるまでの間、静電気対策等の必要に応じて一括して接地できるように、隣接するチップ基板2の接続端子9同士がスクライブライン3の部分で連結する形で形成される。
【0008】次に、フォトリソグラフィー技術により、一方の基板端部にはシール隔壁11−1が積層され、駆動回路5の上には区画隔壁11−2が積層される。区画隔壁11−2は、同図(b) では断面図であるため一部しか見えないが、抵抗発熱部6を三方からコの字形に取り囲むように形成される。これらの抵抗発熱部6は、図の紙面垂直方向に延在して例えば64個、128個、あるいは256個というように多数形成されている。
【0009】そして、同図(c) に示すように、上記シール隔壁11−1と共通電極7との間に、抵抗発熱部6の延在方向に平行に、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などによりインク供給溝12が延設され、このインク供給溝12に連通し、チップ基板2の裏面に貫通するインク供給孔13が形成される。
【0010】更に、同図(d) に示すように、隔壁11(シール隔壁11−1、区画隔壁11−2)の上に、天板14が載置される。これにより、インク供給溝12と抵抗発熱部6との間に、隔壁11の高さに対応する高さおよそ10μmのインク流路15が形成される。
【0011】この後、特には図示しないが、上記天板14の抵抗発熱部6の上に位置する部分に吐出ノズルが穿設され、接続端子9の接続部の上に位置する部分に端子接続用孔が穿設されて、インクジェットプリンタヘッド4が出来上がる。この後スクライブライン3の部分で個別に切り離され、実装基板にダイボンディングされ、接続端子をワイアボンデングされて、実用単位のインクジェットプリンタヘッドが完成する。
【0012】また、カラー用のインクジェットプリンタヘッドを作成する場合は、上記のインクジェットプリンタヘッドを4列に並べて大きめのチップ基板上に形成する。これにより、64個、128個、あるいは256個から成る吐出ノズル列を4列備えたカラー用インクジェットプリンタヘッドが出来上がる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6(d) に示すように、隣接するチップ基板2の区画隔壁11−2間の距離が広く開いているために、天板14が垂れ下がる状態がスクライブライン3の部分を中心にして接続端子部分近傍に発生し易い。
【0014】同図(b) 〜(d) は模式的に示しているので隣接するチップ基板2の区画隔壁11−2間の距離はさほど広いようには見えないが、実際には同図の数倍は広い間隔を有している。また、上述したように隣接するチップ基板2の接続端子9は接地接続するために接地接続線を介して共通連結する構成とすることが多いから、その場合、共通連結部分の領域が付加されて、隣接するチップ基板2の区画隔壁11−2間の距離が更に広くなって、一層、天板14が落ち込み易くなる。
【0015】この天板14が落ち込み易くなるスクライブライン3の近傍には接続端子9の接続部が配置されており、その接続部の上の天板14の部分に上記の端子を外部と接続するボンディング用孔が、抵抗発熱部6の上方の吐出ノズルと共に一括して穿設される。この穿設加工では、10〜40μm程度の厚さのポリイミド材からなる上記の天板14に高速で孔空け加工をするのに最適な方法として、へリエンドライエッチング方法が採用される。
【0016】このヘリコンドライエッチングでは、処理用ガスとして酸素を用いる場合が多く、このときエッチング装置内に発生する処理用酸素のプラズマは、ポリイミド材の天板14を酸素ラジカル原子との化学反応と、酸素イオンによるスパッタでエッチングを進行させる。
【0017】ところが、上記のようにスクライブライン3の近傍の天板14が落ち込んで共通接地接続線や接続端子9の接続部に接触していると、それら共通接地接続線や接続端子9を介してチップ基板2への熱伝導が起るため、天板14が低温化される。天板14が低温化すると、酸素ラジカル原子の化学反応が鈍くなりエッチングレートが低下する。また、天板14が垂れ下がって下方の接続端子や基板面に張り付いてしまうと、オーバーエッチングの際に酸素ラジカル原子との接触面積が減少してしまうことも同様にエッチングレートを低下させる原因となる。
【0018】このように、エッチングレートが低下すると、エッチング残渣が発生する。このエッチング残渣は上記穿設されたボンディング用孔の下方の接続端子部の表面に散在して付着する。この後、接続端子に外部配線とボンディングするための例えばAl等からなるバンプを形成しようとしても、上記のようにエッチング残渣が付着していると、バンプを正しく形成することが出来ないという不具合が発生する。
【0019】また、バンプを形成できたとしても接続端子との接合部にエッチング残渣が不純物として存在するため、接合部の抵抗が上昇して、過剰な発熱や余分な電力の消耗という他の不具合の原因となる。
【0020】このようなエッチング残渣による不具合の発生を防止するためには、バンプ形成の前に、予め上記のエッチング加工で発生したエッチング残渣を除去しておく必要がある。このため現在では、反応性イオンエッチング等によるエッチング残渣除去の工程を加えるようになっており、極めて手数が掛かるという問題を有していた。
【0021】本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、良好な電気接続が得られる接続端子を備えた特にインクジェットプリンタヘッドに好適な電気回路基板を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】先ず、請求項1記載の発明の電気回路基板は、基板上に複数の電気接続端子が並設され、これら電気接続端子の上方に天板が設置され、該天板に上記電気接続端子に対応させてボンディング用孔を空け、該孔を通して外部回路と上記電気接続端子とをボンディングする電気回路基板であって、上記接続端子間に、上端部を上記天板に接合させた支持部材を設けて構成される。
【0023】上記電気回路基板は、例えば請求項2記載のように、インクに圧力を作用させて吐出ノズルを通じ所定方向に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの駆動回路基板であることが好ましい。
【0024】また、上記天板は、例えば請求項3記載のように、インクを吐出する吐出ノズルが設けられるオリフィス板であり、上記支持部材は、インク流路をシールし又は区画する隔壁と同一材料からなることが好ましい。
【0025】次に、請求項4記載の発明のインクジェットプリンタヘッドの製造方法は、インクに圧力を作用させて吐出ノズルを介し所定方向に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法であって、基板上に複数の圧力エネルギー発生素子を形成する工程と、該圧力エネルギー発生素子に接続する電気回路と複数の接続端子とを形成する工程と、上記基板上に形成されるインク流路をシールする隔壁及び区画する隔壁と、上記接続端子間に立設する支持部材とを、同時に形成する工程と、上記隔壁及び上記支持部材上に天板を設置する工程と、上記天板に上記吐出ノズルと上記接続端子のボンディング用孔とを一括して穿設する工程と、を有して構成される。
【0026】そして、上記製造方法は、例えば請求項5記載のように、上記基板は、1枚のシリコンウエハから複数個採取されるシリコン基板であり、上記天板は、上記シリコンウエハの略全域を覆って設置されるように構成される場合や、例えば請求項6記載のように、上記天板は、樹脂シートから成り、上記吐出ノズル及び上記ボンディング用孔は、ヘリコン波ドライエッチングにより一括して穿設される場合に好適である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1(a) は、一実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッド(以下、単に印字ヘッドという)のインク吐出面を模式的に示す平面図であり、同図(b) は、この印字ヘッドが製造されるシリコンウエハの模式的平面図である。
【0028】同図(a) に示すように、印字ヘッド20は、チップ基板21の最上層に積層されたオリフィス板22のほぼ中央部の長手方向に、多数の吐出ノズル23から成る1列のノズル列24が形成されている。尚、同図(a) には、図示する上での便宜上、実際には64個、128個、又は256個というように多数形成される吐出ノズル23を、26個で示している。
【0029】そして同図(a) には、ノズル列24の左方に平行して、内部の端子を外部と接続するための多数のボンディング用孔25が形成されている。そして、例えば同図(b) に示すように、シリコンウエハ26が100個以上のチップ基板21に区画され、その1区画のチップ基板21に同図(a) に示す印字ヘッド20が作成される。
【0030】図2(a),(b),(c) 、図3(a),(b),(c) 及び図4(a),(b),(c) は、上記の印字ヘッド20の一部を拡大して、製造の工程順に示す図であり、それぞれ一連の工程において図1(b) に示すシリコンウエハ26のチップ基板21上に形成されていく状態の平面図と断面図を模式的に示している。
【0031】すなわち、図2(a) は、最初の工程の平面図を示し、同図(b) にそのA−A′断面矢視図、同図(c) にB−B′断面矢視図を示している。また、図3(a) は、中間工程の平面図を示し、同図(b) にそのC−C′断面矢視図、同図(c) にD−D′断面矢視図を示している。そして、図4(a) は、最終工程の平面図を示し、同図(b) にそのE−E′断面矢視図、同図(c) にF−F′断面矢視図を示している。
【0032】これらの図を用いて、以下に印字ヘッド20の製造方法について説明する。先ず、工程1として、図2(a),(b),(c) に示すように、シリコンウエハ26のチップ基板21の表層部に、LSI形成処理により駆動回路27とその電極端子(不図示)を形成すると共に、その上を含むチップ基板21の上一面に、但し電極端子の部分を除いて、絶縁層として厚さ1〜2μmの酸化膜(不図示)を形成する。
【0033】次に、工程2として、薄膜形成技術を用いて、Ta(タンタル)−Si(シリコン)−O(酸素)−N(窒素)からなる抵抗膜と、密着バリア層としてのTi/WとAuからなる2層電極膜を積層形成し、フォトリソグラフィー技術によって微細な線条パターンを形成し、この線条パターンの抵抗発熱部28となる部分の電極膜を除去することによりその両側からそれぞれ残りの線条パターンの上に重なる共通電極29及び個別配線電極31が形成される。なお、32は接続端子であり、前述したLSI形成処理によって形成された接続端子の上にも保護膜として上述した電極膜を積層してある。
【0034】個別配線電極31は、駆動回路27の一方の電極端子にそれぞれ接続され、接続端子32は駆動回路の27の他方の電極端子にそれぞれ接続されている。また、共通電極29は中央部がチップ基板21の長手方向に沿って細長く切り欠かれて開口部を形成している。
【0035】続いて、工程3として、図3(a),(b),(c) に示すように、インクを外部から封止するシール隔壁33−1並びに個々の抵抗発熱部28に対応するインク加圧室34を形成すべく抵抗発熱部28をコの字形に三方から取り囲む区画隔壁33−2及び33−3を形成する。
【0036】そして、このとき同時に、区画隔壁33−2に連設して、区画隔壁33−2と同一材料で、接続端子32と接続端子32の間に伸び出す支持壁35を形成する。
【0037】この隔壁33(33−1、33−2、33−3)と支持壁35の形成では、先ず、感光性ポリイミドなどの有機材料をコーティングにより高さ20μm程度に形成し、これをパターン化した後に、300℃〜400℃の熱を30分〜60分加えるキュア(乾燥硬化、焼成)を行い、高さ10μmの上記感光性ポリイミドによる隔壁33及び支持壁35をチップ基板21上に形成・固着させる。
【0038】更に、工程4として、ウェットエッチングまたはサンドブラスト法などにより上記インク加圧室34がコの字形に開口する側のチップ基板21の表面において長手方向に延在し且つ共通電極29の開口部内に、細長いインク供給溝36を形成する。更に、このインク供給溝36に連通し、チップ基板21の裏面に開口するインク給送孔37を形成する。
【0039】この後、工程5として、図4(a),(b),(c) に示すように、ポリイミドからなる厚さ10〜30μmのフィルムでその片面(図では下面)に接着剤としての熱可塑性ポリイミドを極薄に例えば厚さ2〜5μmにコーテングしてなるオリフィス板22(図1(a) も参照)を、上記積層構造の最上層、すなわち隔壁33及び支持壁35上に張り付けて、170〜300℃で加熱しながら加圧してオリフィス板22をそれら隔壁33及び支持壁35上に固着させる。
【0040】続いて、工程6として、オリフィス板22の表面にNi、Cu又はAlなどの厚さ0.5〜1μm程度の金属膜(不図示)を蒸着またはスパッタリング等で形成し、この金属膜をパターン化して、ポリイミドのオリフィス板22を選択的にエッチングするマスクパターンをオリフィス板22表面に形成する。このマスクパターンには、エッチング位置として抵抗発熱部28の上方及び接続端子32の上方に位置する部分に、およそ18μmφ〜17μmφのパターン孔が形成される。
【0041】続いて、オリフィス板22をRIEやヘリコン波などの異方性の強いドライエッチングなどにより、上記のマスクパターンのパターン孔に従って孔空けをして多数の吐出ノズル23及びボンディング用孔25を一括形成する。尚、この孔空け加工では、エキシマレーザを用いることも可能である。
【0042】図5(a) 〜(e) は、上記工程6による孔空け加工に入る前、すなわち工程5が終了した時点における主要部の状態を示す図である。図5(a) は図1(b) に示したシリコンウエハ26、図5(b) は、そのシリコンウエハ26上の1個のチップ基板21n 及びその右側近傍部分を拡大して示す図である。
【0043】また、図5(c) は、そのチップ基板21n におけるボンディング用の接続端子32の近傍及び隣接のチップ基板21n+1 の接続端子32の近傍を合わせて拡大して示す図であり、図5(d) は同図(c) のG−G′断面矢視拡大図、図5(e) は同図(b) のH−H′断面矢視拡大図である。
【0044】図5(a) には、上記のチップ基板21(・・・、21n 、21n+1 、・・・)がこの後の工程6が終了した後において個々に切り離されるための仕切り線となるスクライブライン38を長方形の枡目状に示しており、同図(d),(e) には、同じスクライブライン38をチップ基板21を上下に切断する線として示している。
【0045】図5(e) に示す2つの隣接するチップ基板21間の間隙41において、同図(c),(e) に示す隔壁33−2から延び出す支持部材35が、同図(c),(d),(e) に示すように接続部32aと接続部32aとの間に延在していることにより、同図(e) に示すように、接続部32a上方に位置するオリフィス板22は支持壁35(破線で示す)に支持されて、図6(d) の従来例に示すように内部下方に垂れ下がるというようなことがない。
【0046】これにより、この後の工程6における上述した孔空け加工においても、オリフィス板22から接続端子を通じて熱伝導により熱が逃げる不具合が発生せず、したがって、接続端子32の上方に加工される図1(a) 及び図4(a),(b) に示すボンディング用孔25の孔空け加工においてもエッチングレートが低下することなく、このため、エッチング残渣が接続端子32の面に散在して付着するような不具合もなく、これにより、接続端子32には、良好な電気接続性が維持される。
【0047】尚、上記のスクライブライン38上には、図5(c) に示すように、各チップ基板21が個別に切り離されるまでの間に必要に応じて一括して接地できるように、隣接するチップ基板21の接続端子32同士が連結線39で連結されているが、上記の最終工程におけるカッティングによって、この連結線39も切除されることになり、これによって各接続端子32が相互に電気的に独立して切り離される。
【0048】また、上記実施の形態においては、接続端子32間に配置する支持壁35の配置密度としては、接続端子1個毎に1個設けると限るわけではなく、例えば接続端子5個毎に支持壁1個の割合としてもよく、また、接続端子2個毎に支持部材1個の割合としてもよい。
【0049】また、支持壁35を接続端子32と接続端子32との間に延び出すように配置するのではなく、接続端子32の四方を取り囲むように隔壁及び支持壁を配置するようにしてもよい。
【0050】また、インクジェットプリンタヘッドの部分を駆動回路と一体で構成する例を示したが、インクジェットプリンタヘッドの部分だけをシリコン基板またはガラス基板などの基板に形成する場合でも同様である。すなわち、天板が設けられた外付けの駆動回路と接続する端子に対して上記同様の支持壁を設けるようにするとよい。
【0051】また、本発明は、端子部をシリコン基板の長辺側に引き出して形成した例を示しているが、端子部の引き出しはこれに限ることなく、シリコン基板の短辺側に引き出すように形成した場合にも適用できる。
【0052】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、天板が垂れ下がらないように接続端子間に支持部材を設けるので、従来のように天板が垂れ下がって接続端子に当接し接続端子を介した熱伝導等によって天板のエッチングレートが低下するようなことが無く、したがって、従来の孔空け加工で接続端子の表面に発生していたエッチング残渣が殆ど発生せず、これにより、良好な電気接続が得られる接続端子を備えた特にインクジェットプリンタヘッドに好適な電気回路基板を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は一実施の形態におけるインクジェットプリンタヘッド(印字ヘッド)のインク吐出面を模式的に示す平面図、(b) は印字ヘッドが製造されるシリコンウエハの模式的平面図である。
【図2】(a),(b),(c) は一実施の形態における印字ヘッドが形成されていく製造工程順に一部を拡大して模式的に示す平面図と断面図(その1)である。
【図3】(a),(b),(c) は一実施の形態における印字ヘッドが形成されていく製造工程順に一部を拡大して模式的に示す平面図と断面図(その2)である。
【図4】(a),(b),(c) は一実施の形態における印字ヘッドが形成されていく製造工程順に一部を拡大して模式的に示す平面図と断面図(その3)である。
【図5】(a) 〜(e) は一実施の形態における印字ヘッドの工程6による孔空け加工に入る前の工程5が終了した時点における主要部の状態を示す図である。
【図6】(a) は従来のインクジェットプリンタヘッド製造用のシリコンウエハを模式的に示す図、(b) 〜(d) は従来のインクジェットプリンタヘッドの製造工程を示す図である。
【符号の説明】
1 シリコンウエハ
2 チップ基板
3 スクライブライン
4 インクジェットプリンタヘッド
5 駆動回路
6 抵抗発熱部
7 共通電極
8 個別配線電極
9 外部接続用端子
11 隔壁
11−1 シール隔壁
11−2 区画隔壁
12 インク供給溝
13 インク供給孔
14 天板
15 インク流路
20 印字ヘッド
21 チップ基板
22 オリフィス板
23 吐出ノズル
24 ノズル列
25 ボンディング用孔
26 シリコンウエハ
27 駆動回路
28 抵抗発熱部
29 共通電極
31 個別配線電極
32 接続端子
33 隔壁
33−1 シール隔壁
33−2、33−3 区画隔壁
34 インク加圧室
35 支持壁
36 インク供給溝
37 インク給送孔
38 スクライブライン
39 連結線

【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に複数の電気接続端子が並設され、これら電気接続端子の上方に天板が設置され、該天板に前記電気接続端子に対応させてボンディング用孔を空け、該ボンディング用孔を通して外部回路と前記電気接続端子とをボンディングする電気回路基板であって、前記接続端子間に、上端部を前記天板に接合させた支持部材を設けたことを特徴とする電気回路基板。
【請求項2】 前記電気回路基板は、インクに圧力を作用させて吐出ノズルを通じ所定方向に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの駆動回路基板であることを特徴とする請求項1記載の電気回路基板。
【請求項3】 前記天板は、インクを吐出する吐出ノズルが設けられるオリフィス板であり、前記支持部材は、インク流路をシールし又は区画する隔壁と同一材料からなることを特徴とする請求項1記載の電気回路基板。
【請求項4】 インクに圧力を作用させて吐出ノズルを介し所定方向に噴射させて記録を行うインクジェットプリンタヘッドの製造方法であって、基板上に複数の圧力エネルギー発生素子を形成する工程と、前記圧力エネルギー発生素子に接続する電気回路と複数の接続端子とを形成する工程と、前記基板上に形成されるインク流路をシールする隔壁及び区画する隔壁と、前記接続端子間に立設する支持部材とを、同時に形成する工程と、前記隔壁及び前記支持部材上に天板を設置する工程と、前記天板に前記吐出ノズルと前記接続端子のボンディング用孔とを一括して穿設する工程とを有することを特徴とするインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
【請求項5】 前記基板は、1枚のシリコンウエハから複数個採取されるシリコン基板であり、前記天板は、前記シリコンウエハの略全域を覆って設置されることを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。
【請求項6】 前記天板は、樹脂シートから成り、前記吐出ノズル及び前記ボンディング用孔は、ヘリコン波ドライエッチングにより一括して穿設されることを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタヘッドの製造方法。

【図2】
image rotate


【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【公開番号】特開2001−246752(P2001−246752A)
【公開日】平成13年9月11日(2001.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−57534(P2000−57534)
【出願日】平成12年3月2日(2000.3.2)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】