説明

電源装置

【課題】高容量かつ高出力で寿命の長い電源装置を提供する。
【解決手段】電源装置100において、モータジェネレータ11に電力を供給する第1の二次電池13と、第1の二次電池13と並列に接続され、モータジェネレータ11に電力を供給する第2の二次電池14と、第1の二次電池13と第2の二次電池14との間に接続され、モータジェネレータ11の要求電力に応じて第2の二次電池14からモータジェネレータ11に供給する電力を変化させる昇圧コンバータ20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境対策の面からリチウムイオン二次電池等の充放電可能な電池によってモータを駆動して走行する電気自動車が多く開発されている。リチウムイオン二次電池は、アルミニウム箔の両面にコバルト酸リチウムなどの活物質を溶剤で溶いて塗布した正極電極と、銅箔に正極同様炭素材料などを溶媒で溶いて塗布した負極電極とが用いられることが多い。リチウムイオン二次電池は、活物質の粒径、比表面積などによって容量密度と出力密度の特性が決まってくる。例えば、粒径が大きく、比表面積が低い活物質を用いた場合には、寿命が長く、容量密度が高い高容量電池(高容量密度型電池)となるが出力密度が低下してしまい、逆に、粒径が小さく、比表面積が高いい活物質を用いた場合には、出力密度が高い高出力電池(高出力密度型電池)となるが、寿命が短く容量密度が低下してしまう傾向が高い。電気自動車には長い航続距離とともに高い加減速性能が求められていることから、電気自動車に搭載される二次電池には高容量かつ高出力化が求められている。また、電気自動車の耐久性を高める必要から二次電池の長寿命化が求められている。
【0003】
しかし、高容量電池と高出力電池とはその特性が背反することからこれらの2つの要求を一種類の電池で実現することは困難である。そこで、同じ電圧の高容量電池と高出力電池とを、並列に接続した電池構成とし、高容量かつ高出力の電源とすることが提案されている。
【0004】
この電池構成は、モータへの放電の際に高出力電池が先に放電し、それによって生じる高容量電池との間の電位差によって、高容量電池から高出力電池に充電されていくことによって二次電池全体として高容量、高出力の特性を出すことができる。しかし、モータへの放電によって高出力電池の残存容量(SOC)が著しく低下した場合、高容量電池から高出力電池への電流の供給が追いつかず、高出力電池の出力が低下してしまうという問題があった。このため、並列に接続した高出力電池と高容量電池との間に昇圧コンバータを配置し、高出力電池の残存容量(SOC)あるいは出力電圧が著しく低下した場合には高容量電池の電圧を昇圧コンバータによって昇圧して高出力電池を充電し、高出力電池の残存容量(SOC)又は出力電圧を回復させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−121874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された従来技術の電池構成は、基本的には同電圧の高容量電池と高出力電池とを並列に接続したものであることから、モータからの出力要求があった場合には、まず高出力電池からモータに放電され、高容量電池から高出力電池への充電が追い付かず、高出力電池の出力あるいは残存容量(SOC)が著しく低下してきたら、昇圧コンバータによって高容量電池の電圧を昇圧して高出力電池に充電するものである。このため、電動車両の走行中には高出力電池の残存容量(SOC)が低くなる状態となりやすく、電池の特性上、寿命が短い高出力電池の寿命がより短くなってしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、高容量かつ高出力で寿命の長い電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電源装置は、負荷に電力を供給する第1の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置と並列に接続され、前記負荷に電力を供給する第2の蓄電装置と、前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間に接続され、前記負荷の要求電力に応じて前記第2の蓄電装置から負荷に供給する電力を変化させる供給電力変化手段と、を備えることを特徴とする。また、本発明の電源装置において、前記電源装置は車両に搭載される車両用電源装置であり、前記負荷は車両に搭載される電動機であること、としても好適である。
【0009】
本発明の電源装置において、前記第1、第2の蓄電装置は充放電可能な二次電池であり、前記第1の蓄電装置の電圧は前記第2の電源装置の電圧よりも高く、前記第1の蓄電装置は単位電極面積当たりの容量が前記第2の蓄電装置よりも大きく、前記第2の蓄電装置は単位電極面積当たりの出力電力が前記第1の蓄電装置よりも大きいこと、としても好適であるし、前記第1の蓄電装置は充放電可能な二次電池であり、前記第2の蓄電装置はキャパシタとしても好適である。
【0010】
本発明の電源装置において、供給電力変化手段は、スイッチング素子を含む昇圧コンバータであり、運転者のアクセル踏みこみ量が所定量以下の場合には、スイッチング素子をオフとし、運転者のアクセルの踏みこみ量が所定量を超える場合には、前記負荷の要求電力に応じて前記第2の蓄電装置から負荷に供給する電力にかかわらずスイッチング素子をスイッチング動作させること、としても好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、高容量かつ高出力で寿命の長い電源装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における電源装置の構成を示す系統図である。
【図2】本発明の実施形態における電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における電源装置の第2の二次電池の充電動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態における電源装置に用いられる昇圧コンバータのスイッチング素子の動作を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態における電源装置の第1の二次電池の電圧電流特性を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施形態における電源装置の構成を示す系統図である。
【図7】本発明の他の実施形態における電源装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の実施形態における電源装置のキャパシタの充電動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態における電源装置に用いられるキャパシタの初期充電動作を示す説明図である。
【図10】本発明の他の実施形態における電源装置に用いられるキャパシタの停止時放電動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の電源装置について説明する。図1に示すように、電動車両に搭載される本実施形態の電源装置100は、第1の蓄電装置である充放電可能な第1の二次電池13と、第1の二次電池13と昇圧コンバータ20を介して並列に接続されている充放電可能な第2の蓄電装置である第2の二次電池14と、第1、第2の二次電池13,14から供給される直流電力を三相交流電力に変換して負荷である車両駆動用のモータジェネレータ11に供給するインバータ12と、昇圧コンバータ20のスイッチング素子21、23をオンオフさせて第2の二次電池14からインバータ12を介してモータジェネレータ11に供給する電力を変化させる制御部50と、を含んでいる。
【0014】
第1、第2の二次電池13,14は単セルまたは複数のセルが直列に接続されたもので、第1の二次電池13の直列に接続されているセルの数は第2の二次電池の直列に接続されているセルの数よりも多く、第1の二次電池13の電圧は第2の二次電池14の電圧よりも高くなっている。例えば、第1の二次電池13の電圧は650V程度で第2の二次電池14の電圧は200或いは300V程度である。また、第1の二次電池13の満充電容量は第2の二次電池14の満充電容量よりも大きい。第1の二次電池13は単位電極面積当たりの容量が大きい高容量密度型の二次電池であり、第2の二次電池14は単位電極面積当たりの出力電力が大きい高出力型の二次電池であり、前記第1の二次電池13の単位電極面積当たりの容量は第2の二次電池14の単位電極面積当たりの容量よりも大きく、第2の二次電池14の単位電極面積当たりの出力電力は第1の二次電池14の単位電極面積当たりの出力電力よりも大きい。
【0015】
第1、第2の二次電池13,14はリチウムイオン二次電池で構成してもよい。この場合、第1の二次電池13は大粒径で比表面積の低い活物質を用いた高容量密度で長寿命型の大容量電池であり、第2の二次電池14は小粒径で比表面積の高い活物質を用いた高出力型の小容量電池としてもよい。また、第1の二次電池13をニッケル水素電池とし、第2の二次電池を上記のようなリチウムイオン二次電池として構成してもよい。第1の二次電池13には、外部電源に接続して第1の二次電池13を充電するためのプラグ15が取り付けられている。また、第2の二次電池14にはDC/DCコンバータ16を介して電動車両のエアコン等の補機17が接続されている。
【0016】
昇圧コンバータ20は、上アームスイッチング素子21と、上アームスイッチング素子21と逆並列に接続された上アームダイオード22と、上アームスイッチング素子21と直列に接続された下アームスイッチング素子23と、下アームスイッチング素子23と逆並列に接続された下アームダイオード24と、上アームスイッチング素子21と下アームスイッチング素子23との間に接続された低圧電路35と、低圧電路35の中に設けられたリアクトル25と、上アームスイッチング素子21の低圧電路35と反対側に接続される高圧電路34と、下アームスイッチング素子23の低圧電路35と反対側に接続される基準電路33とを含んでいる。昇圧コンバータ20は低圧側端子26,27、高圧側端子28,29を備えている。低圧側端子26と高圧側端子28はいずれも基準電路33に接続され、低圧側端子26は低圧電路35に接続され、高圧側端子29は高圧電路34に接続されている。昇圧コンバータ20の低圧側端子26,27には第2の二次電池14が接続され、昇圧コンバータ20の高圧側端子28,29はそれぞれ第1の二次電池のプラス側出力線31とマイナス側出力線32とに接続されている。
【0017】
第1の二次電池13の出力側には第1の二次電池13の出力電圧を検出する電圧センサ41が設けられ、第1の二次電池13のプラス側出力線31には第1の二次電池13からの出力電流を検出する電流センサ42が設けられている。また、第2の二次電池14の出力側には、第2の二次電池14の出力電圧を検出する電圧センサ44が設けられ、第2の二次電池14のプラス側である低圧電路35には第2の二次電池14からの出力電流を検出する電流センサ45が設けられている。第1、第2の二次電池13,14にはそれぞれの温度を検出する温度センサ43,46が設けられている。また、電動車両の運転席に設けられているアクセルにはその踏み込み量を検出するアクセル位置センサ18が取り付けられている。
【0018】
インバータ12、昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23は制御部50に接続され、制御部50の指令によって動作するよう構成されている。また、モータジェネレータ11、各電圧センサ41,44、各電流センサ42,45、温度センサ43,46、アクセル位置センサ18はそれぞれ制御部50に接続され、制御部50にはモータジェネレータ11、各二次電池13,14の状態、アクセル開度信号が入力されるよう構成されている。制御部50は、内部に信号処理を行うCPUと、制御プログラムやデータを格納する記憶部とを含むコンピュータである。
【0019】
図2から図5を参照しながら電源装置100の動作について説明する。通常、電動車両は第1の二次電池13を使用して走行している。図2のステップS101に示すように、制御部50は、第1、第2の二次電池13,14の状態量を取得する。具体的には、制御部50は、各電圧センサ41,44、各電流センサ42,45、各温度センサ43,46から各二次電池13,14の出力電圧、出力電流、温度を取得する。そして、制御部50は、図2のステップS102,S103に示すように、これらの状態量に基づいて各二次電池13,14の各残存容量(SOC1,SOC2)、各放電可能電力(WOUT1,WOUT2)、各充電可能電力(Win1,Win2)を計算する。例えば、制御部50は、二次電池13,14ごとに出力電流を積分しておき、その各積分値を用いて各残存容量(SOC1,SOC2)を算出するようにしてもよいし、各二次電池13,14の各出力電圧と各出力電流との各特性カーブを用いて各残存容量(SOC1,SOC2)を計算するようにしてもよい。各二次電池13,14の各放電可能電力(WOUT1,WOUT2)、各充電可能電力(Win1,Win2)は、各二次電池13,14の温度が低い場合には小さくなり、温度が高くなってくると大きくなる。また、各二次電池13,14の各充電可能電力(Win1,Win2)は各二次電池13,14の各残存容量(SOC1,SOC2)が大きい場合に小さくなり、各二次電池13,14の各放電可能電力(WOUT1,WOUT2)は各残存容量(SOC1,SOC2)が大きい場合に大きくなる性質を持っているので、制御部50はこの特性に基づいて各二次電池13,14の各放電可能電力(WOUT1,WOUT2)、各充電可能電力(Win1,Win2)を計算するようにしてもよい。なお、各電力は各二次電池13,14からの放電をプラス、充電をマイナスとするので各放電可能電力(WOUT1,WOUT2)はプラスとなり、各充電可能電力(Win1,Win2)はマイナスとなる。
【0020】
制御部50は、図2のステップS104に示すように、アクセル位置センサ18から運転者のアクセルの踏み込み量を取得する。そして、制御部50は、図2のステップS105に示すように、運転者のアクセルの踏み込み量が所定の量を超えている場合には、制御部50は、すぐに大きな要求出力電力指令が来ると判断し、図2のステップS106に示すように昇圧コンバータ20を待機状態とする。これは、図4に示すように、それまでOFF状態であった昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23を小さなデューティ比でオンオフさせ、昇圧コンバータ20の出力電圧を第1の二次電池の出力電圧に略等しい状態に保つ動作である。この状態では、昇圧コンバータ20から第1の二次電池13の各出力線31,32にはまだ電力は出力されておらず、電動車両は第1の二次電池13からの電気出力のみで駆動されている。
【0021】
図2のステップS107に示すように、制御部50は、電源装置100に対する要求入出力電力Preqを計算する。これは、電動車両の速度、加速度、アクセル踏み込み量に基づく加速要求、或いはブレーキの踏み込み量に基づく減速要求などによって計算する。要求入出力電力Preqは各二次電池13,14を放電させる要求がプラス、各二次電池13,14へ充電する要求がマイナスである。図2のステップS108に示すように、制御部50は、計算した要求入出力電力Preqと第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1、または充電可能電力WIN1を比較する。そして、要求入出力電力Preqが放電可能電力WOUT1よりも大きい場合、または充電可能電力WIN1が要求入出力電力Preqよりも大きい場合には、制御部50は第1の二次電池13のみでは要求入出力電力Preqを満足できないと判断し、図2のステップS109に示すように、昇圧コンバータ20を動作させて第2の二次電池14から第1の二次電池13の各出力線31,32への電力の入出力を開始させる。制御部50は、図4の時間t1以降に示すように、昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23のオンオフ動作を行い、第2の二次電池14の電圧を昇圧して第1の二次電池13の各出力線31,32に電力の出力を開始する。各スイッチング素子21,23のオンオフのデューティ比は、第2の二次電池14から出力させる電力によって変化させる。
【0022】
この出力電力の変化は、例えば次のように昇圧コンバータ20の出力電圧を変化させることにより行う。第1の二次電池13は、図5に示すように、出力電流が大きくなると、出力電圧が小さくなるような電圧電流特性を持っている。今、第1の二次電池13からの出力電流が図5に示すA1で、電圧はV1で電力W1(W1=V1×A1)をインバータ12に出力しているとする。この状態で、運転者によってアクセルが踏み込まれ、要求入出力電力Preqが増加すると、第1の二次電池13からの出力電流はA1からA2に増加するが、第1の二次電池13の出力電圧はV1からV2に少しだけ低下し、第1の二次電池13の出力は電力W2(W2=V2×A2=W1+Preq)となる。そこで、昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23のオンオフのデューティ比を昇圧コンバータ20の出力電圧が第1の二次電池13の最初の出力電圧V1に保たれるように制御する。すると、第1の二次電池13は電力W1を出力し、昇圧コンバータ20を介してW2−W1=Preqの電力が第2の二次電池14から第1の二次電池13の各出力線31,32に出力され、第1の二次電池13の出力電圧は当初のV1に保持される。つまり、第1の二次電池13の出力電圧を当初の出力電圧V1に保持するように昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23のオンオフのデューティ比を制御することにより、第2の二次電池14からインバータ12にW2−W1=Preqの電力を供給することができる。
【0023】
モータジェネレータ11からの回生電力が大きくなり、第1の二次電池13のWIN1の絶対値よりも大きくなるような場合も、上記と同様、昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23を動作させて第1の二次電池13の各出力線31,32の電圧を一定に保つようにして、要求入出力電力Preqの増加分を第2の二次電池14に充電することができる。
【0024】
上記のように昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23のオンオフのデューティ比を変化させて第2の二次電池14からインバータ12に供給する電力を制御する方法は、一つの例であって、第2の二次電池14からインバータ12に供給する電力を設定し、その設定した電力を出力できるように昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23のオンオフのデューティ比を変化させるようにしてもよい。
【0025】
制御部50は、要求入出力電力Preqが放電可能電力WOUT1よりも小さく、充電可能電力WIN1が要求入出力電力Preqよりも小さくなるまで、上記のように第2の二次電池14に電力を入出力する。そして、要求入出力電力Preqが放電可能電力WOUT1よりも小さく、充電可能電力WIN1が要求入出力電力Preqよりも小さくなると、第1の二次電池13のみで電動車両を駆動することができると判断し、図2のステップS110に示すように、第2の二次電池14からの電力供給あるいは第2の二次電池14への充電を停止する。
【0026】
第2の二次電池14は第1の二次電池13よりも満充電容量が小さい小容量の電池であるので、高出力で放電させた場合、残存容量(SOC2)が低下してしまう場合がある。一般的に充放電可能な二次電池は、残存容量が大きく低下すると寿命が短くなってしまうことから、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)が所定の容量よりも低下している場合には、図2のステップS111に示すように、第2の二次電池の充電を行い、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)が制御中心容量近傍となるようにし、寿命の消費を抑制する。
【0027】
以下、図3を参照しながら第2の二次電池14の充電動作について説明する。図3のステップS201に示すように、制御部50は、第2の二次電池14の温度センサ46、電圧センサ44、電流センサ45によって第2の二次電池14の状態量を取得し、先に図2を参照して説明したのと同様、図3のステップS202に示すように第2の二次電池14の残存容量(SOC2)を計算する。そして、図3のステップS203に示すように、制御部50は計算した第2の二次電池14の残存容量(SOC2)と所定の閾値との比較を行い、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)が所定の閾値よりも少なくなっている場合には、図3のステップS204に示すように、電動車両の走行状態などから電源装置100に対する要求入出力電力Preqを計算する。そして、図3のステップS205に示すように、第2の二次電池14への充電電力Pchaと要求入出力電力Preqの合計と第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1とを比較する。
【0028】
そして、第2の二次電池14への充電電力Pchaと要求入出力電力Preqの合計が第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1よりも小さい場合には、制御部50は、電動車両の駆動と第2の二次電池14への充電電力を第1の二次電池13からの放電によって行うことができると判断し、図3のステップS206に示すように、第2の二次電池14の充電電力を当初設定した充電電力Pchaとし、図3のステップS208に示すように、当初設定した充電電力Pchaで第2の二次電池14を充電する。また、第2の二次電池14への充電電力Pchaと要求入出力電力Preqの合計が第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1よりも大きい場合には、制御部50は、当初設定した充電電力Pchaで第2の二次電池14を充電することができないと判断し、図3のステップS207に示すように、第2の二次電池14の充電電力Pchaを要求入出力電力Preqから第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1を差し引いたものに再設定する(Pcha=Preq−WOUT1)。そして、図3のステップS208に示すように、再設定した充電電力Pchaで第2の二次電池14を充電する。
【0029】
制御部50は、図3のステップS209に示すように、電圧センサ44、電流センサ45の信号から第2の二次電池14への充電電力量を計算し、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)を計算し、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)が、例えば、残存容量(SOC2)の制御中心容量近傍の所定の残存容量となったかどうかを判断する。そして、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)が所定の残存容量となったら図3のステップS210に示すように第2の二次電池14への充電を停止する。
【0030】
以上説明した実施形態は、大容量、高電圧で高容量密度型の第1の二次電池13と小容量、低電圧で高出力型の第2の二次電池14とを組み合わせ、電動車両の通常駆動は第1の二次電池13を用いて行い、大きな加速、減速の際など、第1の二次電池13の放電可能電力WOUT1以上の電力が要求される際には第2の二次電池14の電圧を昇圧コンバータ20によって昇圧して第1の二次電池13からの出力と合わせてインバータ12を介してモータジェネレータ11に供給し、第2の二次電池14を放電させた後に第2の二次電池14の残存容量(SOC2)を制御中心近傍になるように充電するので、電源装置100を高容量かつ高出力で寿命の長いものとすることができる。また、低圧の第2の二次電池14の方が第1の二次電池13よりも先に劣化が進んでくるが、第2の二次電池14は小容量でその大きさが小さいことから容易に交換することができる上、交換費用も少なく、車両寿命に対するメンテナンス費用を低減することができる。また、本実施形態では、通常の駆動に用いられる第1の二次電池13の電圧を650V程度の高い電圧とすることにより、モータジェネレータ11からの逆起電力に容易に対応することができる。更に、200V或いは300Vの低圧の第2の二次電池14から電動車両の補機に給電することから、ハイブリッド車両など従来の車両と補機を共通にすることができ、コストの低減を図ることができる。
【0031】
図6を参照しながら本発明の他の実施形態について説明する。先に図1から図5を参照して説明した実施形態と同様の部分には同様の符号を付して説明は省略する。図6に示すように、本実施形態は、図1を参照して説明した実施形態の第2の二次電池14を同様の電圧で同様の容量を持つキャパシタ61としたものである。それ以外の部分は、図1を参照して説明した実施形態の電源装置100と同様である。また、図7及び図8に示すように、本実施形態の動作及びキャパシタ61を放電させた後の充電は、図1から5を参照して説明した実施形態と同様で、図2,3の第2の二次電池14がキャパシタ61に変更され、第2の二次電池14の残存容量(SOC2)、放電可能電力WOUT2、充電可能電力WIN2がそれぞれキャパシタ61の残存容量(SOC3)、放電可能電力WOUT3、充電可能電力WIN3に変更されただけであるので、説明は省略する。
【0032】
図9と図10を参照しながら、電動車両の起動停止の際のキャパシタ61への充電、放電動作について説明する。キャパシタ61は長時間充電状態にあると劣化が進行してしまう場合がある。そこで、本実施形態では、電動車両が停止している際には、キャパシタ61の電荷を第1の二次電池13に移動させてキャパシタ61の電荷を抜き、電動車両が始動された際には第1の二次電池13によってキャパシタ61を充電するようにしている。図9に示すように、本実施形態では、運転者によって図6に示すイグニッションキー62が操作され、キーの位置がReady−ONの位置となったら、制御部50は、Ready−ON要求があったものと判断してキャパシタ61を充電する指令を出力する。ただし、この時点では、まだ車両を起動させない。この指令によって図6に示す昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23がオンオフ動作を開始して第1の二次電池13からキャパシタ61への充電を開始する。キャパシタ61の充電を開始するとキャパシタ61の残存容量(SOC3)は次第に上昇し、第1の二次電池13の残存容量(SOC1)は低下していていく。ただし、第1の二次電池13の満充電容量はキャパシタ61の満充電容量よりも大きいので第1の二次電池13の残存容量(SOC1)の低下はわずかである。そして、キャパシタ61の残存容量(SOC3)が制御中心容量近傍となったら制御部50は昇圧コンバータ20の各スイッチング素子21,23をオフとして第1の二次電池13とキャパシタ61とを切り離し、キャパシタ61の充電を終了する。キャパシタ61の充電が終了したら、制御部50は車両を起動する準備が完了したと判断して、Ready−ONフラグを立てて車両を起動させる。
【0033】
そして、運転者が電動車両を停止させた後、イグニッションキー62の位置をReady−OFFの位置とすると、制御部50は、Ready−OFF要求があったものと判断して上記と逆にキャパシタ61の電圧を昇圧コンバータ20によって第1の二次電池13の充電電圧まで昇圧してキャパシタ61の電荷を第1の二次電池13に移動させて第1の二次電池13を充電する。ただし、この時点では、まだ車両を停止させない。キャパシタ61の残存容量(SOC3)が所定の残存容量以下となったら、制御部50は、昇圧コンバータ20の動作を停止し、第1の二次電池13とキャパシタ61とを切り離す。キャパシタ61からの電荷の移動が終了したら、制御部50は車両を停止する準備が完了したと判断して、Ready−OFFフラグを立てて車両を停止させる。
【0034】
本実施形態では、このように、電動車両が停止している際には、キャパシタ61の電荷を第1の二次電池13に移動させてキャパシタ61の電荷を抜き、電動車両が始動された際には第1の二次電池13によってキャパシタ61を充電するようにして、必要な時間だけキャパシタ61が充電されているようにすることによって、キャパシタ61の劣化を抑制することができる。
【符号の説明】
【0035】
11 モータジェネレータ、12 インバータ、13 第1の二次電池、14 第2の二次電池、15 プラグ、16 DC/DCコンバータ、17 補機、18 アクセル位置センサ、20 昇圧コンバータ、21 上アームスイッチング素子、22 上アームダイオード、23 下アームスイッチング素子、24 下アームダイオード、25 リアクトル、26,27 低圧側端子、28,29 高圧側端子、31 プラス側出力線、32 マイナス側出力線、33 基準電路、34 高圧電路、35 低圧電路、41,44 電圧センサ、42,45 電流センサ、43,46 温度センサ、50 制御部、61 キャパシタ、62 イグニッションキー、100 電源装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に電力を供給する第1の蓄電装置と、
前記第1の蓄電装置と並列に接続され、前記負荷に電力を供給する第2の蓄電装置と、
前記第1の蓄電装置と前記第2の蓄電装置との間に接続され、前記負荷の要求電力に応じて前記第2の蓄電装置から負荷に供給する電力を変化させる供給電力変化手段と、
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記電源装置は車両に搭載される車両用電源装置であり、前記負荷は車両に搭載される電動機であること、
を特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記第1、第2の蓄電装置は充放電可能な二次電池であり、
前記第1の蓄電装置の電圧は前記第2の電源装置の電圧よりも高く、
前記第1の蓄電装置は単位電極面積当たりの容量が前記第2の蓄電装置よりも大きく、前記第2の蓄電装置は単位電極面積当たりの出力電力が前記第1の蓄電装置よりも大きいこと、
を特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電源装置であって、
前記第1の蓄電装置は充放電可能な二次電池であり、前記第2の蓄電装置はキャパシタであり、
前記第1の蓄電装置の電圧は前記第2の蓄電装置の電圧よりも高いこと、
を特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の電源装置であって、
供給電力変化手段は、スイッチング素子を含む昇圧コンバータであり、
運転者のアクセル踏みこみ量が所定量以下の場合には、スイッチング素子をオフとし、
運転者のアクセルの踏みこみ量が所定量を超える場合には、前記負荷の要求電力に応じて前記第2の蓄電装置から負荷に供給する電力にかかわらずスイッチング素子をスイッチング動作させること、
を特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−199934(P2011−199934A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60828(P2010−60828)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】