説明

電界効果トランジスタの製造方法、電界効果トランジスタおよび半導体酸化グラフェンの製造方法

【課題】オン/オフ比が高く、しかも構造も簡単な、半導体酸化グラフェンを用いた電界効果トランジスタを低コストかつ高い歩留まりで製造することができる電界効果トランジスタの製造方法を提供する。
【解決手段】基板11上に形成された絶縁膜12上にアミノ基を有する分子からなる分子層13を形成した後、この分子層13上に酸化グラフェン14を形成する。酸化グラフェン14を熱的または化学的に還元することにより半導体酸化グラフェン15を形成する。半導体酸化グラフェン15をチャネル層に用いて電界効果トランジスタを製造する。酸化グラフェン14を熱的に還元する際の雰囲気としては例えば大気を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電界効果トランジスタの製造方法、電界効果トランジスタおよび半導体酸化グラフェンの製造方法に関し、例えば、半導体酸化グラフェンをチャネル層に用いた電界効果トランジスタに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、チャネル層に半導体グラフェンを用いた電界効果トランジスタの研究開発が行われている。従来、この半導体グラフェンの形成方法としてはいくつかの方法が提案されている。第1の方法では、基板上に酸化グラフェンを形成した後、この酸化グラフェンを120〜240℃の温度で加熱還元する(非特許文献1参照)。第2の方法では、基板上に酸化グラフェンを形成した後、この酸化グラフェンをヒドラジンで化学的に還元する(非特許文献2参照)。第3の方法では、グラフェンシートを10nm前後の幅に細線化することにより半導体グラフェンを形成する(非特許文献3、4参照)。第4の方法では、二層のグラフェンの積層方向に電界を印加することにより半導体グラフェンを形成する(非特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Tunable Electrical Conductivity of Individual Graphene Oxide Sheets Reduced at "Low" Temperatures", Nano Letters 8, 4283 (2008)
【非特許文献2】"Insulator to Semimetal Transition in Graphene Oxide", J. Phys. Chem. C 113, 15768 (2009)
【非特許文献3】"Energy Band-Gap Engineering of Graphene Nanoribbons", Phys. Rev. Lett. 98, 206805 (2007)
【非特許文献4】"Chemically Derived, Ultrasmooth Graphene Nanoribbon Semiconductors", Science 319, 1229 (2008)
【非特許文献5】"Direct observation of a widely tunable bandgap in bilayer graphene", Nature 459, 820 (2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1の方法では、酸化グラフェンの加熱還元により得られるものは、バンドギャップEg が存在しない半金属の還元酸化グラフェンに過ぎず、有限のバンドギャップを有する半導体酸化グラフェンは得られない。このため、この還元酸化グラフェンをチャネル層に用いた電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ比は3前後と小さく、論理回路に用いた場合には消費電力が大きく、またディスプレイのバックプレーンに用いた場合にはコントラスト比を大きくすることができないという問題がある。
【0005】
また、非特許文献2の方法では、得られる還元酸化グラフェンのバンドギャップEg は0.055eVと小さく、電界効果トランジスタのチャネル層としては不十分である。
また、非特許文献3の方法では、高コストな最先端のリソグラフィー技術を用いる必要があったり、歩留まりが悪く、ばらつきも大きかったりする問題がある。
【0006】
また、非特許文献5の方法は、全面に均一な二層のグラフェンを成膜する技術は現状では存在しないだけでなく、常時、高電界を印加し続ける必要があるため、デバイス構造が複雑になる。
以上のように、半導体グラフェンを形成するための従来の方法は、いずれも一長一短があった。
【0007】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、オン/オフ比が高く、しかも構造も簡単な、半導体酸化グラフェンを用いた電界効果トランジスタを低コストかつ高い歩留まりで製造することができる電界効果トランジスタの製造方法を提供することである。
【0008】
この発明が解決しようとする他の課題は、オン/オフ比が高く、しかも構造も簡単な、半導体酸化グラフェンを用いた電界効果トランジスタを提供することである。
【0009】
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、十分に大きいバンドギャップEg を有する半導体酸化グラフェンを低コストかつ高い歩留まりで製造することができる半導体酸化グラフェンの製造方法を提供することである。
上記課題および他の課題は本明細書の記述によって明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った。その結果、本発明者は、基板上にアミノ基を有する分子からなる分子層を形成してからその上に、あるいは、主面がアミノ基終端されている基板上に酸化グラフェンを形成した後にこの酸化グラフェンを還元することにより、十分に大きいバンドギャップEg を有する半導体酸化グラフェンを得ることができることを見出した。
【0011】
すなわち、上記課題を解決するために、この発明は、
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板の上記主面上または主面がアミノ基終端されている基板の上記主面上に酸化グラフェンを形成する工程と、
上記酸化グラフェンを還元することにより半導体酸化グラフェンを形成する工程とを有する電界効果トランジスタの製造方法である。
【0012】
また、この発明は、
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板または主面がアミノ基終端されている基板と、
上記分子層上または上記主面がアミノ基終端されている基板上の半導体酸化グラフェンとを有する電界効果トランジスタである。
【0013】
また、この発明は、
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板の上記主面上または主面がアミノ基終端されている基板の上記主面上に酸化グラフェンを形成する工程と、
上記酸化グラフェンを還元することにより半導体酸化グラフェンを形成する工程とを有する半導体酸化グラフェンの製造方法である。
【0014】
この発明において、アミノ基を有する分子としては、基本的にはどのようなものを用いてもよいが、好適には、例えば、APTMS(3-aminopropyltrimethoxysilane)やAPTES(3-aminopropyltriethoxysilane) などが用いられる。例えば、酸化グラフェンの分散液をこのアミノ基を有する分子からなる分子層に接触させると、このアミノ基を介して酸化グラフェンが吸着あるいは結合する。あるいは、酸化グラフェンの表面には、合成時に用いられる原料などに起因して、ヒドロキシ基、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基などの官能基が結合していることから、これらの官能基とアミノ基を有する分子のアミノ基とが互いに結合することもある。例えば、酸化グラフェンの表面にカルボキシル基が結合している場合、酸化グラフェンの分散液中では、カルボキシル基がCOO- の状態で存在し、アミノ基を有する分子のアミノ基が−NH3 + の状態で存在することから、COO- と−NH3 + とが静電力により互いに結合する。アミノ基を有する分子は、好適には、そのアミノ基が外側(基板と反対側)を向くように、言い換えると表面がアミノ基終端するように基板に結合させる。
【0015】
酸化グラフェンの形成方法としては従来公知の方法を用いることができる。
典型的には、酸化グラフェンを熱的または化学的に還元することにより半導体酸化グラフェンを形成する。酸化グラフェンを熱的に還元する場合には、一般的には、100℃以上400℃以下の温度で熱処理することにより還元して半導体酸化グラフェンを形成する。酸化グラフェンを還元する雰囲気としては種々のものを用いることができ、必要に応じて選ばれる。具体的には、酸化グラフェンを還元する雰囲気としては、例えば、真空、窒素やアルゴンなどの不活性ガス雰囲気、少なくとも酸素やオゾンや水蒸気などの酸化性ガスを含む雰囲気を用いることができる。中でも、酸化グラフェンを還元する雰囲気としては、好適には、少なくとも酸化性ガスを含む雰囲気が用いられる。これは、酸化グラフェンを還元する雰囲気に酸化性ガスが全く含まれないと酸化グラフェンが還元され過ぎてしまう傾向があることから、酸化性ガスを含ませて還元を抑制することが有効であるためである。酸化性ガスとしては、塩素やフッ素などのハロゲンガスや一酸化二窒素(亜酸化窒素)や二酸化窒素などを用いてもよい。酸化グラフェンを還元する雰囲気としては、取り扱いの容易さなどの観点から、好適には、少なくとも酸素を含む雰囲気が用いられる。少なくとも酸素を含む雰囲気に含まれる酸素の濃度は特に限定されず、必要に応じて選ばれるが、例えば1ppm以上100%以下であり、一般的には1ppm以上50%以下、典型的には2ppm以上21%以下である。酸化グラフェンを還元する雰囲気としては、最も簡便には大気が用いられる。酸化グラフェンを還元する雰囲気に含まれる水分(水蒸気量)が少ないほど、酸化グラフェンを良好に還元することができ、良質の半導体酸化グラフェンを得ることができる傾向があることから、好適には、酸化グラフェンを還元する雰囲気に含まれる水分を可能な限り少なくする。例えば、酸化グラフェンを還元する雰囲気として大気を用いる場合、大気の湿度(相対湿度)を少なくとも60%以下、好適には50%以下、より好適には10%以下、さらに好適には1%以下とする。最も好適には、大気の露点を−30℃以下とする。熱処理の温度は、バンドギャップEg の制御性の向上を図る観点からは、好適には150℃以上300℃以下であり、より好適には180℃以上280℃以下である。この熱処理の時間は必要に応じて選ばれるが、一般的には1分以上10時間以下である。この熱処理の温度および時間を制御することにより、半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg を制御することができる。バンドギャップEg を最大にするためには、熱処理の温度を低温化したり、熱処理の時間を短時間化したりする。酸化グラフェンを化学的に還元する場合には、例えばヒドラジンやNaBH4 などの還元剤の蒸気や溶液が用いられる。この還元剤の濃度および還元時間を制御することにより、半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg を制御することができる。
【0016】
基板としては、表面にアミノ基終端が可能なものである限り、基本的にはどのようなものを用いてもよく、必要に応じて選ばれる。具体的には、基板としては、例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板、各種のプラスチック基板、ガラス基板などが用いられる。好適には、表面が絶縁体からなる基板が用いられる。例えば、導電性基板上に絶縁膜が形成されたものが用いられる。具体的には、例えば、導電性シリコン基板や金属基板などの上に二酸化シリコン膜などの無機絶縁膜やポリビニルフェノールなどの高分子絶縁膜が形成されたものが用いられる。
【0017】
電界効果トランジスタの製造方法は、一般的には、半導体酸化グラフェン上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程をさらに有する。ゲート電極については、ボトムゲート構造の電界効果トランジスタにおいては、基板として導電性基板を用いることによりこの基板自身をゲート電極として用いることができる。トップゲート構造の電界効果トランジスタにおいては、ゲート電極は、半導体酸化グラフェン上にゲート絶縁膜を介して形成される。
【0018】
この電界効果トランジスタは、各種の電子機器に用いることができる。電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含む。電子機器の具体例を挙げると、液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのディスプレイ、携帯電話、モバイル機器、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、車載機器、家庭電気製品、工業製品などである。また、この電界効果トランジスタは、化学センサーやバイオセンサーなどに用いることもできる。
【0019】
上述のように構成されたこの発明においては、アミノ基を有する分子からなる分子層上または主面がアミノ基終端されている基板上に形成された酸化グラフェン、言い換えれば、アミノ基を有する分子からなる分子層または基板の主面に終端したアミノ基が結合した酸化グラフェンを還元する。これによって、酸化グラフェンが部分的に還元され、酸化グラフェンに存在するsp2 混成軌道で結合した炭素原子からなる例えば大きさが数nm程度の導電性の島が形成される。この結果、例えばバンドギャップEg が0.15eV以上と十分に大きい半導体酸化グラフェンが形成される。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、オン/オフ比が高く、しかも構造も簡単な、半導体酸化グラフェンを用いた電界効果トランジスタを低コストかつ高い歩留まりで得ることができる。また、十分に大きいバンドギャップEg を有する半導体酸化グラフェンを低コストかつ高い歩留まりで得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の第1の実施の形態による半導体酸化グラフェンの製造方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態による半導体酸化グラフェンの製造方法において成膜された酸化グラフェンの構造を示す平面図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態による半導体酸化グラフェンの製造方法において形成された半導体酸化グラフェンの構造を示す平面図である。
【図4】アミノ基を有する分子からなる分子層を形成しないで基板上に形成された酸化グラフェンを還元することにより形成された還元酸化グラフェンの構造を示す平面図である。
【図5】この発明の第2の実施の形態による電界効果トランジスタを示す断面図である。
【図6】この発明の第2の実施の形態による電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図7】実施例3において製造された電界効果トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性の測定結果を示す略線図である。
【図8】実施例4において製造された電界効果トランジスタのオン/オフ比の測定結果を示す略線図である。
【図9】実施例4において製造された電界効果トランジスタのオン/オフ比とキャリア移動度との相関を示す略線図である。
【図10】この発明の第3の実施の形態による電界効果トランジスタを示す断面図である。
【図11】この発明の第3の実施の形態による電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第3の実施の形態による電界効果トランジスタの製造方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明を実施するための形態(以下「実施の形態」とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(半導体酸化グラフェンの製造方法)
2.第2の実施の形態(電界効果トランジスタおよびその製造方法)
3.第3の実施の形態(電界効果トランジスタおよびその製造方法)
【0023】
〈1.第1の実施の形態〉
[半導体酸化グラフェンの製造方法]
第1の実施の形態においては、まず、図1Aに示すように、基板11上にSiO2 膜などの絶縁膜12が形成されたものを用い、この絶縁膜12上に、アミノ基を有する分子からなる分子層13を形成する。アミノ基を有する分子としては、例えば、APTMSやAPTESなどが用いられる。基板11としては、例えば、シリコン基板、プラスチック基板、ガラス基板などが用いられる。
【0024】
次に、図1Bに示すように、分子層13上に酸化グラフェン14を成膜する。この酸化グラフェン14の成膜は、好適には、分子層13に酸化グラフェンの分散液を接触させることにより行われる。より具体的には、例えば、酸化グラフェンの分散液を分子層13上に塗布したり、分子層13が形成された基板11を酸化グラフェンの分散液中に浸漬したりする。酸化グラフェンの分散液の溶媒としては、例えば、水、ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、アセトニトリル、ジエチルエーテル、トルエンなどや、これらのうちの二種類以上の溶媒の混合溶媒を用いることができる。酸化グラフェンの分散液の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、転写法、各種の印刷法などを用いることができる。酸化グラフェンの分散液が分子層13に接触すると、この分散液中の酸化グラフェンが分子層13に吸着し、酸化グラフェン14が成膜される。好適には、酸化グラフェン14の厚さは0.3nm以上10nm以下である。酸化グラフェンの分散液の濃度や酸化グラフェンフレークの大きさは特に限定されず、必要に応じて決められる。
【0025】
酸化グラフェン14の平面図を図2に示す。図2に示すように、酸化グラフェン14は酸化、格子欠陥、トポロジカル欠陥などの結晶性の乱れにより絶縁化した絶縁領域14aからなる。
【0026】
次に、酸化グラフェン14を熱的または化学的に還元する。これによって、図1Cに示すように、半導体の還元酸化グラフェン(以下「半導体酸化グラフェン」という。)15が形成される。酸化グラフェン14を熱的に還元する場合には、真空、不活性ガス雰囲気または酸化性ガスを含む雰囲気中で例えば100℃以上400℃以下の温度、良好なEg 制御性を得る観点からは好適には150℃以上300℃以下の温度、より好適には180℃以上280℃以下の温度で熱処理を行う。熱処理の時間は、熱処理温度にもよるが、一般的には1分以上10時間以下である。酸化グラフェン14を化学的に還元する場合には、ヒドラジンやNaBH4 などの還元剤の蒸気や溶液に接触させることにより酸化グラフェン14を処理する。
【0027】
酸化グラフェン14の還元により得られた半導体酸化グラフェン15の平面図を図3に示す。図3に示すように、半導体酸化グラフェン15においては、酸化、格子欠陥、トポロジカル欠陥などの結晶性の乱れにより絶縁化した絶縁領域15a中に、部分的な還元により形成された、sp2 混成軌道により結合した炭素原子からなる例えば大きさが数nm程度の導電性の島15bが埋め込まれている。この半導体酸化グラフェン15は、例えば0.15eV以上の大きなバンドギャップEg を有する。この半導体酸化グラフェン15の伝導モデルとしては、島15bと島15bとの間にトンネル結合が生じ、電子が島15bと島15bとの間をホッピング伝導により伝導するモデルが考えられる。なお、半導体酸化グラフェン15においては、島15b同士が、sp2 混成軌道により結合した炭素原子からなる例えば幅が10nm前後(例えば、1nmから30nm)の細い伝導チャネルにより連結されてネットワーク構造が形成され、この伝導チャネルを介して島15bと島15bとの間を電子が伝導する可能性もある。
【0028】
比較のために、図4に、基板11上にアミノ基を有する分子からなる分子層13を形成しないで酸化グラフェン14を形成し、この酸化グラフェン14を熱的または化学的に還元することにより得られる還元酸化グラフェン16を示す。図4に示すように、この還元酸化グラフェン16においては、絶縁領域16a中に埋め込まれた、sp2 混成軌道により結合した炭素原子からなる導電性の島16bの大きさが、図3に示す半導体酸化グラフェン15の絶縁領域15a中に埋め込まれた島15bの大きさに比べてかなり大きい。このため、この還元酸化グラフェン16のバンドギャップEg は、半導体酸化グラフェン15のバンドギャップEg に比べて小さい。
【0029】
〈実施例1〉
基板11として、厚さ150nmのSiO2 膜が主面に形成されたp++型Si基板を用いた。
アミノ基を有する分子としてAPTMSを用いた。APTMS(2.7mM)トルエン溶液に、主面にSiO2 膜が形成されたp++型Si基板を15分間浸漬することにより、SiO2 膜の表面をAPTMSで修飾し、APTMS層を形成する。
【0030】
0.1mg/mlの酸化グラフェン分散液(溶媒は水)を調製し、この酸化グラフェン分散液中に、APTMS層が形成されたp++型Si基板を5分間浸漬することにより、APTMS層に酸化グラフェンを吸着させ、酸化グラフェンを形成した。
【0031】
次に、酸化グラフェンが形成されたp++型Si基板を大気(湿度60%)中において250℃で30分間加熱還元することにより、半導体酸化グラフェンを形成した。この半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg を抵抗値の温度依存性から測定したところ、0.15eVであった。
【0032】
〈実施例2〉
基板11として、厚さ150nmのSiO2 膜が主面に形成されたp++型Si基板を用いた。
アミノ基を有する分子としてAPTMSを用いた。APTMS(2.7mM)トルエン溶液に、主面にSiO2 膜が形成されたp++型Si基板を15分間浸漬することにより、SiO2 膜の表面をAPTMSで修飾し、APTMS層を形成する。
【0033】
0.1mg/mlの酸化グラフェン分散液(溶媒は水)を調製し、この酸化グラフェン分散液中に、APTMS層が形成されたp++型Si基板を5分間浸漬することにより、APTMS層に酸化グラフェンを吸着させ、酸化グラフェンを形成した。
【0034】
次に、酸化グラフェンが形成されたp++型Si基板を実質的に水分を含まない大気(酸素濃度19%、露点−30℃)中において250℃で1時間加熱還元することにより、半導体酸化グラフェンを形成した。この半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg を抵抗値の温度依存性から測定したところ、0.25eVであった。
【0035】
以上のように、この第1の実施の形態によれば、基板11上の絶縁膜12上に分子層13を形成し、その上に酸化グラフェン14を成膜した後、この酸化グラフェン14を熱的または化学的に還元することにより半導体酸化グラフェン15を容易に形成することができる。この半導体酸化グラフェン15は0.15eV以上と実用上十分に大きなバンドギャップEg を有する。また、酸化グラフェン14は大面積に成膜することができるため、大面積の半導体酸化グラフェン15を形成することができる。また、半導体酸化グラフェン15の原料となる酸化グラフェン14は極めて低コストであるため、低コストで半導体酸化グラフェン15を得ることができる。また、非特許文献3〜5のように、グラフェンシートを細線化したり、二層のグラフェンを用いたりする必要がないため、低コストかつ高い歩留まりで大面積の半導体酸化グラフェン15を得ることができる。さらに、アミノ基を有する分子からなる分子層13の形成および酸化グラフェン14の形成は溶液プロセスで行うことができるため、これによっても半導体酸化グラフェン15の製造コストの低減を図ることができる。
【0036】
〈2.第2の実施の形態〉
[電界効果トランジスタ]
図5は第2の実施の形態による電界効果トランジスタを示す。この電界効果トランジスタはボトムゲート構造を有する。
【0037】
図5に示すように、この電界効果トランジスタにおいては、ゲート電極を構成する導電性基板21上にゲート絶縁膜22が形成されている。導電性基板21としては、導電性Si基板のほか、導電性プラスチック基板、金属基板などを用いることができる。ゲート絶縁膜22としては、SiO2 膜や窒化シリコン(SiN)膜などの無機絶縁膜やポリビニルフェノールなどの高分子絶縁膜などを用いることができる。このゲート絶縁膜22上にアミノ基を有する分子からなる分子層23が形成されている。このアミノ基を有する分子としては、APTMSやAPTESなどを用いることができる。そして、この分子層23上にチャネル層として半導体酸化グラフェン24が形成されている。半導体酸化グラフェン24は、図3に示す半導体酸化グラフェン15と同様な構造を有する。半導体酸化グラフェン24上に、ソース電極25およびドレイン電極26が形成されている。これらのソース電極25およびドレイン電極26は、例えばパラジウム(Pd)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属や、グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ、導電性高分子その他の各種の導電性物質からなり、必要に応じて選ばれる。
【0038】
[電界効果トランジスタの製造方法]
まず、図6Aに示すように、導電性基板21上に形成されたゲート絶縁膜22上にアミノ基を有する分子からなる分子層23を形成する。
【0039】
次に、図6Bに示すように、ゲート絶縁膜22上の分子層23上に酸化グラフェン27を成膜する。この酸化グラフェン27は、第1の実施の形態と同様に、分子層23に酸化グラフェンの分散液を接触させ、この分散液中の酸化グラフェンを分子層23に吸着させることにより成膜することができる。
【0040】
次に、第1の実施の形態と同様にして、酸化グラフェン27を熱的または化学的に還元することにより、図6Cに示すように、半導体酸化グラフェン24を形成する。
【0041】
次に、図5に示すように、半導体酸化グラフェン24上にソース電極25およびドレイン電極26を形成する。これらのソース電極25およびドレイン電極26は、金属などからなる導電層(図示せず)を成膜した後、この導電層をリソグラフィーおよびエッチングにより所定形状にパターニングしたり、リフトオフ法や印刷法などにより所定形状の導電層(図示せず)をパターニングしたりすることで形成することができる。
以上のようにして、目的とする電界効果トランジスタが製造される。
【0042】
〈実施例3〉
基板21として、厚さ150nmのSiO2 膜が主面に形成されたp++型Si基板を用いた。
アミノ基を有する分子としてAPTMSを用いた。APTMS(2.7mM)トルエン溶液に、主面にSiO2 膜が形成されたp++型Si基板を15分間浸漬することにより、SiO2 膜の表面をAPTMSで修飾し、APTMS層を形成した。
【0043】
0.1mg/mlの酸化グラフェン分散液(溶媒は水)を調製し、この酸化グラフェン分散液中に、APTMS層が形成されたp++型Si基板を5分間浸漬することにより、APTMS層に酸化グラフェンを吸着させ、酸化グラフェンを形成した。
【0044】
次に、酸化グラフェンが形成されたp++型Si基板を大気(湿度60%)中において250℃で30分間加熱還元することにより、半導体酸化グラフェンを形成した。
【0045】
次に、半導体酸化グラフェン上にフォトリソグラフィー法により所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、真空蒸着法によりPd膜を成膜した。次に、リフトオフ法により、余分なPd膜とレジストとを除去することで、Pd膜からなるソース電極25およびドレイン電極26を形成した。
【0046】
こうして作製したボトムゲート構造の電界効果トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を室温で測定した結果を図7に示す。ただし、電界効果トランジスタのチャネル長は6μm、チャネル幅は900μmである。図7には、比較例として、ゲート絶縁膜22上にAPTMS層を形成しないで酸化グラフェン27を形成したことを除いて上述と同様な方法により作製したボトムゲート構造の電界効果トランジスタのゲート電圧−ドレイン電流特性を室温で測定した結果も示す。図7より、APTMS層を形成しないで作製されたボトムゲート構造の電界効果トランジスタのオン/オフ比は2.5と小さいのに対し、APTMS層を形成して作製されたボトムゲート構造の電界効果トランジスタのオン/オフ比は150と極めて大きいことが分かる。また、ドレイン電流の温度依存性からこの半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg を測定したところ、0.15eVであった。
【0047】
このように大きなオン/オフ比が得られたのは、半導体酸化グラフェンのバンドギャップEg が0.15eVと大きいため、電界効果トランジスタのオフ電流Ioff が大幅に減少することによる。すなわち、半導体酸化グラフェンのEg が大きくなると、熱的に励起されるキャリアが減少し、それに伴いオフ電流Ioff が減少する。より詳細には、電界効果トランジスタのオフ電流Ioff とバンドギャップEg との関係は、Ioff ∝exp(−Eg /2kB T)で表される。ここで、kB はボルツマン定数、Tは温度である。
【0048】
〈実施例4〉
基板21として、厚さ150nmのSiO2 膜が主面に形成されたp++型Si基板を用いた。
アミノ基を有する分子としてAPTMSを用いた。APTMS(2.7mM)トルエン溶液に、主面にSiO2 膜が形成されたp++型Si基板を15分間浸漬することにより、SiO2 膜の表面をAPTMSで修飾し、APTMS層を形成した。
【0049】
0.1mg/mlの酸化グラフェン分散液(溶媒は水)を調製し、この酸化グラフェン分散液中に、APTMS層が形成されたp++型Si基板を5分間浸漬することにより、APTMS層に酸化グラフェンを吸着させ、酸化グラフェンを形成した。
【0050】
次に、酸化グラフェンが形成されたp++型Si基板を実質的に水分を含まない大気(酸素濃度19%、露点−30℃)中において250℃で1時間加熱還元することにより、半導体酸化グラフェンを形成した。
【0051】
次に、半導体酸化グラフェン上にフォトリソグラフィー法により所定形状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、真空蒸着法によりCr膜およびAu膜を順次成膜した。次に、リフトオフ法により、余分なCr膜およびAu膜とレジストとを除去することで、Cr/Au膜からなるソース電極25およびドレイン電極26を形成した。
【0052】
上記のようにしてボトムゲート構造の電界効果トランジスタを多数作製し、これらの電界効果トランジスタの伝達特性をドレイン電圧1V、ゲート電圧100Vから−100Vで測定し、この伝達特性からオン/オフ比の度数分布を求めた結果を図8に示す。ただし、電界効果トランジスタのチャネル長は6μm、チャネル幅は900μmである。図8には、比較のために、大気(湿度60%、酸素濃度19%)中において250℃で1時間加熱還元することにより半導体酸化グラフェンを形成したことを除いて上述と同様な方法により作製したボトムゲート構造の電界効果トランジスタの同様な度数分布も示す。また、図8には、ヒドラジン雰囲気で90℃において酸化グラフェンの化学的還元を行った後に還元酸化グラフェンをAPTMS層上に吸着させたことを除いて上述と同様な方法により作製したボトムゲート構造の電界効果トランジスタの同様な度数分布も示す。図8に示すように、ヒドラジン雰囲気で90℃において酸化グラフェンの化学的還元を行った後に還元酸化グラフェンをAPTMS層上に吸着させた場合のオン/オフ比(平均値)は3と小さいのに対し、大気中において250℃で1時間加熱還元することにより半導体酸化グラフェンを形成するとオン/オフ比(平均値)は139となり、約48倍増加する。さらに、実質的に水分を含まない露点−30℃の大気中において250℃で1時間加熱還元することにより半導体酸化グラフェンを形成するとオン/オフ比(平均値)は733と極めて大きくなり、大気中において250℃で1時間加熱還元することにより半導体酸化グラフェンを形成した場合に比べて約5倍増加する。特に注目すべきことは、実質的に水分を含まない露点−30℃の大気中において250℃で1時間加熱還元することにより半導体酸化グラフェンを形成すると、1000以上の著しく高いオン/オフ比が得られることである。図8中の曲線はガウス関数によるフィッティングである。
【0053】
図9は、上記の三種類の方法により酸化グラフェンの還元を行うことにより半導体酸化グラフェンまたは還元酸化グラフェンを形成した電界効果トランジスタのオン/オフ比とキャリア移動度との相関図である。図9からわかるように、キャリア移動度が低いほどオン/オフ比が大きい。これは、キャリア移動度の大きさは酸化グラフェンの還元により形成される導電性の島の大きさと対応しており、島の大きさが小さいと、島と島との間隔が大きくなるためキャリア移動度が小さくなる一方、半導体酸化グラフェンまたは還元酸化グラフェンにおける絶縁体部分が多くなるためオン/オフ比が大きくなると説明することができる。また、加熱還元の時間を1時間から5分に変えても特性は大きくは変わらないことから、APTMS層上の酸化グラフェンの加熱還元は、一定量還元されるとそれ以上の還元は起こらない特殊な状況になっていることがわかる。還元量はAPTMS層などの下地と表面の雰囲気(酸素雰囲気など)とで決定されるため、制御性が良いという特長がある。
【0054】
以上のように、この第2の実施の形態によれば、導電性基板21上のゲート絶縁膜22上の分子層23上に酸化グラフェン27を成膜した後、この酸化グラフェン27を熱的または化学的に還元することにより半導体酸化グラフェン24を形成することができる。この半導体酸化グラフェン24は0.15eV以上と実用上十分に大きなバンドギャップEg を有する。このため、オフ電流Ioff の低減によりリーク電流が大幅に低減した電界効果トランジスタを実現することができる。この電界効果トランジスタを論理回路に用いることにより、論理回路の消費電力の大幅な低減が可能である。また、この電界効果トランジスタのオン/オフ比は150以上、あるいは1000以上と極めて高いため、この電界効果トランジスタをディスプレイのバックプレーンに用いることにより、輝度のコントラスト比が大きいディスプレイを実現することができる。さらに、半導体酸化グラフェン24は低コストでしかも大面積に形成することができるため、電界効果トランジスタを低コストで製造することができる。また、このオン/オフ比が極めて高い電界効果トランジスタを用いることにより、極めて高感度な化学センサーやバイオセンサーなどを実現することができる。
【0055】
〈3.第3の実施の形態〉
[電界効果トランジスタ]
図10は第3の実施の形態による電界効果トランジスタを示す。この電界効果トランジスタはトップゲート構造を有する。
【0056】
図10に示すように、この電界効果トランジスタにおいては、基板31上にSiO2 膜などの絶縁膜32が形成され、その上にアミノ基を有する分子からなる分子層33が形成されている。基板31としては、Si基板、プラスチック基板などを用いることができる。アミノ基を有する分子としては、APTMSやAPTESなどを用いることができる。分子層33上に所定形状の半導体酸化グラフェン34が形成されている。半導体酸化グラフェン34は、図3に示す半導体酸化グラフェン15と同様な構造を有する。半導体酸化グラフェン34を覆うようにゲート絶縁膜35が形成されている。ゲート絶縁膜35は、SiO2 膜やSiN膜などからなる。このゲート絶縁膜35上にゲート電極36が形成されている。このゲート電極36は、例えばアルミニウム(Al)などからなる。半導体酸化グラフェン34の両端部の上の部分のゲート絶縁膜35には開口35a、35bが形成されている。そして、開口35a、35bを通じて半導体酸化グラフェン15上にそれぞれソース電極37およびドレイン電極38がコンタクトしている。これらのソース電極37およびドレイン電極38は、ソース電極25およびドレイン電極26と同様な各種の導電性物質からなり、必要に応じて選ばれる。
【0057】
[電界効果トランジスタの製造方法]
まず、図11Aに示すように、基板31上に形成された絶縁膜32上にアミノ基を有する分子からなる分子層33を形成する。
【0058】
次に、図11Bに示すように、分子層33上に酸化グラフェン39を成膜する。この酸化グラフェン39は、第1の実施の形態と同様に、分子層33に酸化グラフェンの分散液を接触させ、この分散液中の酸化グラフェンを分子層33に吸着させることにより成膜することができる。
【0059】
次に、第1の実施の形態と同様にして、酸化グラフェン39を熱的または化学的に還元することにより、図11Cに示すように、半導体酸化グラフェン34を形成する。
次に、図12Aに示すように、半導体酸化グラフェン34をリソグラフィーおよび酸素ガスを用いた反応性イオンエッチング法などにより所定形状にパターニングする。
【0060】
次に、図12Bに示すように、半導体酸化グラフェン34を覆うように全面にゲート絶縁膜35を成膜する。
次に、図12Cに示すように、ゲート絶縁膜35上にゲート電極36を形成する。このゲート電極36は、例えば、真空蒸着法などによりゲート電極材料からなる膜を成膜した後、この膜をリソグラフィーにより所定形状にパターニングすることにより形成することができる。
【0061】
次に、図10に示すように、ゲート絶縁膜35の所定部分をエッチング除去して開口35a、35bを形成する。
この後、全面に金属などからなる導電層(図示せず)を成膜した後、この導電層をリソグラフィーにより所定形状にパターニングすることにより開口35a、35bの部分にソース電極37およびドレイン電極38を形成する。
以上のようにして、目的とする電界効果トランジスタが製造される。
【0062】
この第3の実施の形態によれば、トップゲート構造の電界効果トランジスタにおいて第2の実施の形態と同様な利点を得ることができる。
【0063】
以上、この発明の実施の形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0064】
例えば、上述の実施の形態および実施例において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
【0065】
なお、場合によっては、アミノ基を有する分子の代わりに、酸化グラフェンの表面に結合したヒドロキシ基、エポキシ基、カルボニル基、カルボキシル基などの官能基と結合することが可能な官能基を有する分子を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
11…基板、12…絶縁膜、13…アミノ基を有する分子からなる分子層、14…酸化グラフェン、14a…絶縁領域、15…半導体酸化グラフェン、15a…絶縁領域、15b…島、21…導電性基板、22…ゲート絶縁膜、23…アミノ基を有する分子からなる分子層、24…酸化グラフェン、25…ソース電極、26…ドレイン電極、27…酸化グラフェン、31…基板、32…絶縁膜、33…アミノ基を有する分子からなる分子層、34…半導体酸化グラフェン、35…ゲート絶縁膜、36…ゲート電極、37…ソース電極、38…ドレイン電極、39…酸化グラフェン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板の上記主面上または主面がアミノ基終端されている基板の上記主面上に酸化グラフェンを形成する工程と、
上記酸化グラフェンを還元することにより半導体酸化グラフェンを形成する工程とを有する電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項2】
上記酸化グラフェンを熱的または化学的に還元することにより上記半導体酸化グラフェンを形成する請求項1記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項3】
上記酸化グラフェンを100℃以上400℃以下の温度で熱処理することにより還元して上記半導体酸化グラフェンを形成する請求項2記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項4】
上記酸化グラフェンを還元する雰囲気は真空、不活性ガス雰囲気または少なくとも酸化性ガスを含む雰囲気である請求項3記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項5】
上記酸化グラフェンを還元する雰囲気は少なくとも酸素を含む雰囲気である請求項4記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項6】
上記酸化グラフェンを還元する雰囲気は大気である請求項5記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項7】
上記大気の湿度が60%以下である請求項6記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項8】
上記大気の露点が−30℃以下である請求項7記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項9】
上記基板の表面は絶縁体からなる請求項1記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項10】
上記基板は導電性基板上に絶縁膜が形成されたものである請求項9記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項11】
上記導電性基板は導電性シリコン基板であり、上記絶縁膜は二酸化シリコン膜である請求項10記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項12】
上記半導体酸化グラフェン上にソース電極およびドレイン電極を形成する工程をさらに有する請求項1記載の電界効果トランジスタの製造方法。
【請求項13】
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板または主面がアミノ基終端されている基板と、
上記分子層上または上記主面がアミノ基終端されている基板上の半導体酸化グラフェンとを有する電界効果トランジスタ。
【請求項14】
上記基板の表面は絶縁体からなる請求項13記載の電界効果トランジスタ。
【請求項15】
上記基板は導電性基板上に絶縁膜が形成されたものである請求項14記載の電界効果トランジスタ。
【請求項16】
上記導電性基板は導電性シリコン基板であり、上記絶縁膜は二酸化シリコン膜である請求項15記載の電界効果トランジスタ。
【請求項17】
アミノ基を有する分子からなる分子層が主面に形成された基板の上記主面上または主面がアミノ基終端されている基板の上記主面上に酸化グラフェンを形成する工程と、
上記酸化グラフェンを還元することにより半導体酸化グラフェンを形成する工程とを有する半導体酸化グラフェンの製造方法。
【請求項18】
上記酸化グラフェンを熱的または化学的に還元することにより上記半導体酸化グラフェンを形成する請求項17記載の半導体酸化グラフェンの製造方法。
【請求項19】
上記酸化グラフェンを100℃以上400℃以下の温度で熱処理することにより還元して上記半導体酸化グラフェンを形成する請求項18記載の半導体酸化グラフェンの製造方法。
【請求項20】
上記酸化グラフェンを還元する雰囲気は真空、不活性ガス雰囲気または少なくとも酸化性ガスを含む雰囲気である請求項19記載の半導体酸化グラフェンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−15481(P2012−15481A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263171(P2010−263171)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】