説明

駆動装置及び画像形成装置

【課題】被駆動ギヤのスラスト方向の振動に起因して発生する騒音を抑制できる駆動装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転駆動力を出力する駆動源51と、駆動源51の出力軸52に設けられた駆動ギヤ52aと、装置本体に設けられた支持部材61,62に両端が軸支された軸部材63と、軸部材63に回転可能に設けられ駆動ギヤ52aと噛み合い駆動ギヤ52aから回転駆動力が伝達される被駆動ギヤ66とを備え、駆動ギヤ52aと被駆動ギヤ66とをハスバギヤを用いて構成した駆動装置40において、軸部材軸方向で被駆動ギヤ66と支持部材61,62との間に振動を吸収する振動吸収部材64を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる駆動装置、及び、その駆動装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置において、感光体ドラムなどの回転体にギヤを介して駆動源である駆動モータからの回転駆動力を伝達し、前記回転体を回転駆動させる駆動装置を備えたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の駆動装置では、駆動モータの出力軸に設けられる駆動ギヤと、ブラケットに両端が支持された回転軸を中心に回転可能であり前記駆動ギヤと噛み合う被駆動ギヤとに、ハスバギヤが用いられている。駆動ギヤと被駆動ギヤとにハスバギヤを用いることで、駆動ギヤと被駆動ギヤとに平歯ギヤを用いた場合よりも、モータ駆動時に駆動ギヤと被駆動ギヤとが噛み合うことで発生する噛み合い音を小さくすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、駆動ギヤと被駆動ギヤとにハスバギヤを用いるとハスバギヤのねじれ角によって、モータ駆動時に駆動ギヤと被駆動ギヤとの噛み合い部でスラスト方向の力が歯を一つ送るごとに生じ、そのスラスト方向の力を受けて被駆動ギヤがスラスト方向で振動する。そのため、被駆動ギヤがスラスト方向で振動することにより騒音が発生するといった問題が生じる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、被駆動ギヤのスラスト方向の振動に起因して発生する騒音を抑えることができる駆動装置、及び、その駆動装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転駆動力を出力する駆動源と、前記駆動源の出力軸に設けられた駆動ギヤと、装置本体に設けられた支持部材に両端が軸支された軸部材と、前記軸部材に回転可能に設けられ前記駆動ギヤと噛み合い該駆動ギヤから回転駆動力が伝達される被駆動ギヤとを備え、前記駆動ギヤと前記被駆動ギヤとをハスバギヤを用いて構成した駆動装置において、軸部材軸方向で前記被駆動ギヤと前記支持部材との間に振動を吸収する振動吸収部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の駆動装置において、上記支持部材は、上記軸部材の一端側を支持する第一支持部材と該軸部材の他端側を支持する第二支持部材とからなり、上記被駆動ギヤと前記第一支持部材との間、及び、上記被駆動ギヤと前記第二支持部材との間の少なくとも一方に上記振動吸収部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項2の駆動装置において、上記駆動源が上記第一支持部材に取り付けられており、少なくとも、上記被駆動ギヤと前記第一支持部材との間に上記振動吸収部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の駆動装置において、駆動源の駆動時に上記駆動ギヤと上記被駆動ギヤとの噛み合い部で生じる力によって前記被駆動ギヤが前記駆動ギヤから軸部材軸方向で押し付けられる方向側に上記振動吸収部材を設けたことを特徴する駆動装置。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の駆動装置において、上記振動吸収部材と上記被駆動ギヤとの間に座金を挟むことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の駆動装置において、上記駆動源がインナーロータ型DCブラシレスモータであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、像担持体上に形成された画像を最終的に記録媒体上に転写して、記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、装置本体に設けられた被駆動部材を駆動させる駆動手段とを備えた画像形成装置において、前記駆動手段として、請求項1、2、3、4、5または6の駆動装置を備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明においては、軸部材軸方向で被駆動ギヤと支持部材との間に設けられた振動吸収部材によって、駆動源の駆動時に生じる被駆動ギヤのスラスト方向の振動が吸収される。これにより、被駆動ギヤのスラスト方向の振動を低減させることができる。よって、その分、被駆動ギヤがスラスト方向で振動することにより発生する騒音を抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、被駆動ギヤのスラスト方向の振動に起因して発生する騒音を抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る駆動装置の概略構成図。
【図2】実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図3】プロセスカートリッジの概略構成図。
【図4】座金の模式図。
【図5】駆動装置の駆動伝達系の一例の模式図。
【図6】駆動源として用いるモータの斜視図。
【図7】被駆動ギヤの軸方向両側に防振材を設けた駆動装置の概略構成図。
【図8】被駆動ギヤのスラスト方向の振動についての説明に用いる図。
【図9】モータからブラケットを介してスタッドに伝わるスラスト方向の振動の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置に適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の概略構成図である。
【0011】
この画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、それぞれ「Y」、「M」、「C」、「Bk」と記す)の可視像たるトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkを備えている。
【0012】
これらは、画像形成剤として、互いに異なる色のYトナー、Mトナー、Cトナー、Bkトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkは、それぞれ画像形成装置100の本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっており、寿命到達時に交換される。以下、Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例に挙げて説明する。
【0013】
図3は、プロセスカートリッジ6Yの概略構成図である。
プロセスカートリッジ6Yは、潜像担持体としての感光体ドラム1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、及び、現像装置5Y等を備えている。
【0014】
帯電装置4Yは、図示しない駆動装置によって図中時計回りに回転せしめられる感光体ドラム1Yの表面を一様帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体ドラム1Yの表面は、レーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このY静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5YによってYトナー像に現像される。そして、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0015】
ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体ドラム1Y表面に残留したトナーを除去する。また、前記除電装置は、クリーニング後の感光体ドラム1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体ドラム1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0016】
なお、他のプロセスカートリッジ6M,6C,6Bkにおいても、プロセスカートリッジ6Yと同様にして各感光体ドラム1M,1C,1Bk上にそれぞれMトナー像、Cトナー像、Bkトナー像が形成されて、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0017】
また、図2に示したように、各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkの図中下方には、露光装置7が配設されている。
【0018】
潜像形成手段たる露光装置7は、画像情報に基づいて発したレーザ光Lを、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkにおけるそれぞれの感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkに照射して露光する。
【0019】
この露光により、感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bk上にそれぞれY静電潜像、M静電潜像、C静電潜像、Bk静電潜像が形成される。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体ドラムに照射するものである。
【0020】
また、図2において、露光装置7の図中下側には、給紙カセット26、これに組み込まれた給紙ローラ27、及び、レジストローラ対28等を有する給紙手段が配設されている。
【0021】
給紙カセット26には記録媒体としての用紙Pを複数枚重ねて収納されており、一番上の用紙Pに給紙ローラ27が当接している。給紙ローラ27が図示しない駆動装置によって図中反時計回りに回転せしめられると、給紙カセット26に収納された一番上の用紙Pが給紙ローラ27によってレジストローラ対28のローラ間に向けて給紙される。
【0022】
レジストローラ対28は、用紙Pを挟み込むべく両ローラを図示しない駆動装置によって回転駆動するが、用紙Pの先端を挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、用紙Pを適切なタイミングで後述の二次転写ニップに向けて送り出す。
【0023】
また、図2において、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkの図中上方には、被転写材である中間転写体としての中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット15が配設されている。
【0024】
この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8のほか、ベルトクリーニング装置10、4つの一次転写ローラ9Y、9M、9C、9Bk、二次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、及び、テンションローラ14等も備えている。
【0025】
中間転写ベルト8は、一次転写ローラ9Y,9M,9C,9Bk,9Bk、二次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、及び、テンションローラ14の7つのローラに張架されながら、図示しない駆動装置によって回転せしめられる少なくともいずれか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回りに無端移動せしめられる。
【0026】
一次転写ローラ9Y,9M,9C,9Bkは、それぞれ、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bkとの間に挟み込んでそれぞれ一次転写ニップを形成している。これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス極性)の転写バイアスを印加する方式のものである。
【0027】
中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY,M,C,Bk用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、各感光体ドラム1Y,1M,1C,1Bk上のYトナー像、Mトナー像、Cトナー像、Bkトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、「4色トナー像」という)が形成される。
【0028】
また、中間転写ユニット15には、中間転写ベルト8が感光体ドラム1Bkに接触した状態で、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y,1M,1Cに対して接離するための図示しない接離機構も設けられている。
【0029】
二次転写バックアップローラ12は、二次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで二次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この二次転写ニップで用紙Pに転写される。そして、用紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0030】
二次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、用紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置10によってクリーニングされる。二次転写ニップにおいては、用紙Pが互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と二次転写ローラ19との間に挟まれて、レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。
【0031】
二次転写ニップから送り出された用紙Pは、画像形成装置100の本体に対して着脱自在なユニットとしての定着ユニット20のローラ間を通過する際に、熱と圧力との影響を受けて、表面のフルカラートナー像が定着される。その後、用紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。
【0032】
画像形成装置100の本体筺体の上面には、スタック部30が形成されており、排紙ローラ対29によって機外に排出された用紙Pは、このスタック部30に順次スタックされる。
【0033】
中間転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部30との間には、ボトル支持部31が配設されている。このボトル支持部31には、各色トナーをそれぞれ収容するトナー収容器としてのトナーボトル32Y,32M,32C,32Bkがセットされている。
【0034】
各トナーボトル32Y,32M,32C,32Bk内の各色トナーは、それぞれ図示しないトナー供給装置により、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkの現像装置に適宜補給される。各トナーボトル32Y,32M,32C,32Bkは、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Bkとは独立して画像形成装置100の本体に対して脱着可能である。
【0035】
次に、本実施形態の画像形成装置で用いられる駆動装置について説明する。なお、この駆動装置は、中間転写ベルトを回転させるローラや感光体ドラム1などの複数の被駆動部材それぞれに対応させて設けられた複数の駆動装置のうち、少なくとも1つの駆動装置に採用されるものである。
【0036】
図1に本実施形態に係る駆動装置40の概略構成図を示す。
出力軸であるシャフト52に駆動ギヤ部52aとしてハスバギヤが歯切りされたモータ51が、ブラケット62に取り付けられており、シャフト52の駆動ギヤ部52aとハスバギヤで構成される被駆動ギヤ66とが噛み合っている。被駆動ギヤ66は、ブラケット62にカシメられたスタッド63に取り付けられており、振動吸収部材である防振材64と座金65により固定されている。被駆動ギヤ66と防振材64との間に図4に示すような座金65を挟むことで、被駆動ギヤ66と防振材64との両者間でのハスバギヤ回転方向の摩擦を低減させることができる。モータ51により発生した回転駆動力は、シャフト52の駆動ギヤ部52aや被駆動ギヤ66などからなる減速機構を介して画像形成装置に設けられた被駆動部材に伝達される。
【0037】
図5に駆動装置40の駆動伝達系の一例の模式図を示す。
モータ51により発生した回転駆動力が、シャフト52の駆動ギヤ部52aから被駆動ギヤ66に伝達されることでスタッド3を中心に被駆動ギヤ66が回転すると、被駆動ギヤ66の側面に設けられた第一伝達ギヤ67が被駆動ギヤ66の回転と連動して回転し、第一伝達ギヤ67から第二伝達ギヤ68に回転駆動力が伝達される。そして、画像形成装置に設けられた感光体ドラム1などの被駆動部材には、第二伝達ギヤ68の回転軸69と同軸で設けられ連結した入力軸などを介して回転駆動力を伝達したり、第二伝達ギヤ68から図示しない1つ以上の伝達ギヤを介して最終的に被駆動部材に回転駆動力を伝達したりする。
【0038】
本実施形態においては駆動源であるモータ51としてインナーロータ型DCブラシレスモータを用いており、図6にモータ51の斜視図を示す。インナーロータ型DCブラシレスモータを用いることで、ステッピングモータを用いる場合よりもエネルギー効率を高く、モータ重量を削減することができるとともに、アウターロータ型と比較してイナーシャが小さくなることから、ステッピングモータと同等の加減速時間にすることができる。また、ブラシ付きモータと比較してブラシ摩耗が無い分、高耐久にすることができる。
【0039】
駆動源であるモータ51は、インナーロータ型DCブラシレスモータとして構成されている。出力軸であるシャフト52の駆動ギヤ部52aとは逆側の端部には、周方向に所定の角度間隔で所定数のスリットを有したエンコーダディスク53がシャフト52と同軸上で固定されており、シャフト52の回転とともに回転するようになっている。
【0040】
光学センサであるフォトセンサ54は、エンコーダディスク53を挟み込む状態でモータ51に取り付けられており、エンコーダディスク53のスリットにより光路の伝達や遮断がなされ、パルス信号を図示しない制御回路へと伝達するようになっている。また、モータ51上の図示しない基板には、図示しないドライバ回路や、図示しない制御回路とモータ51とを電気的に繋ぐ図示しないケーブルが接続させれコネクタ55が取り付けられている。そして、コネクタ55に接続されたケーブルを介して、モータ動作信号やフォトセンサ54からのパルス信号などの入出力がモータ51と制御回路との間でなされる。
【0041】
前記制御回路は、図示しない目標駆動信号生成装置及びフォトセンサ54からのパルス信号に基づいて、モータ51の動作信号を生成し、ドライバ回路にモータ動作信号を折り、その後、ドライバ回路からモータ動作信号にあった電流をモータ51に流すことで、被駆動体が所望の速度で回転されるのようにモータ51の駆動制御を行う。
【0042】
ここで、仮にエンコーダディスク53やフォトセンサ54などの回転検出手段がモータ51の出力軸であるシャフト52の回転ではなく、被駆動体の回転を検知するように構成した場合には、モータ51回転当たりの被駆動体の移動量などを考慮した制御設計をしなければならないといった不具合が生じる。また、伝達系や被駆動体の構成が変わったり、別の箇所に同じ駆動装置を適用する場合に制御手段の設計を変えなければならなかったりするといった不具合も生じる。一方、本実施形態のようにエンコーダディスク53やフォトセンサ54でモータ51の出力軸であるシャフト52の回転を検知する構成とすることで、前述した不具合を回避でき、設計を容易にすることができる。
【0043】
モータ51の出力軸であるシャフト52には直接、ハスバギヤが歯切りされている。インナーロータ型DCブラシレスモータであるモータ51は、ステッピングモータと比較して高回転域で高効率となる特性があり、ステッピングモータより高回転で用いることが多いが、引駆動体までの減速比を多くするのに、モータ51の出力軸であるシャフト52に圧入するなどしてギヤを設ける場合と比較して、1周の歯数を少なくすることにより減速比を大きくすることができる。よって、モータ初段の減速比を大きくすることで被駆動体までの減速を効率よく行うことができるようになる。また、モータ51のシャフト52とは別にギヤを設ける場合よりも、コスト削減や軽量化を図ることができる。
【0044】
ここで、被駆動ギヤ66とブラケット62との間に防振材64を設けなかった場合では、被駆動ギヤ66とブラケット62との間に伝わるスラスト方向への振動により騒音が発生するといった問題が生じてしまう。そのため、騒音が大きくなりすぎないある程度の回転数を狙い値として設計しなければならなくなり、インナーロータ型DCブラシレスモータであるモータ51の特性において高効率である高回転域での使用ができなく、高効率駆動を実現させることができなくなってしまう。
【0045】
一方、本実施形態の駆動装置40においては、図1に示すようにスタッド軸方向で被駆動ギヤ66とブラケット62との間に振動吸収部材である防振材64を挟み込んで設けたことで、モータ51の駆動時に生じる被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動が防振材64に吸収される。これにより、被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を低減させることができる。よって、その分、被駆動ギヤ66がスラスト方向で振動することにより発生する騒音を抑えることができ、静音化を図ることができる。また、このように静音化が図れることで、モータ51を高回転域で使用しても騒音が小さいため、インナーロータ型DCブラシレスモータであるモータ51の高効率駆動を実現させることができる。
【0046】
ここで、図7に示すように、被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を抑えるために防振材64を被駆動ギヤ66の軸方向両側に、すなわち、被駆動ギヤ66とブラケット62との間、及び、ハスバギヤと面板61との間に設ける構成も採用することができる。しかしながら、モータ51の回転方向が一方向である駆動方法の場合には、次の理由により被駆動ギヤ66の軸方向片側だけに防振材64を設けるのが望ましい。
【0047】
図8を用いて、モータ駆動時にシャフト52の駆動ギヤ部52aと被駆動ギヤ66との噛み合い部で歯を一つ送るごとに生じるスラスト方向の力によって発生する、被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動について説明する。
【0048】
被駆動ギヤ66やシャフト52の駆動ギヤ部52aのハスバ向きとモータ51の回転方向とにより、被駆動ギヤ66に作用するスラスト力のベクトル方向が決まる。例えば、図8に示した駆動装置40において、モータ51のシャフト52にハスバ形状で歯切りされた駆動ギヤ部52aのハスバ方向が、シャフト52の軸方向で図中左側から見て左方向であり、シャフト52の回転方向がシャフト52の軸方向で図中左側から見て時計回り(CW)方向のとき、図8に示すように被駆動ギヤ66には被駆動ギヤの軸方向で図中右方向(矢印A方向)にスラスト力が働く。そして、このスラスト方向の力が駆動ギヤ部52aと被駆動ギヤ66との噛み合い部で歯を一つ送るごとに生じることにより、被駆動ギヤ66がスラスト方向に振動する。
【0049】
よって、モータ51の回転方向が1方向である駆動方法の場合、モータ51の回転により被駆動ギヤ66が押し付けられる方向である被駆動ギヤ66の軸方向片側だけに防振材64を設けることで、被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を十分低減させることができるとともに、被駆動ギヤ66の軸方向両側に防振材64を設ける場合よりもコスト削減を図ることができる。
【0050】
次に、モータ51の回転方向が一方向のみでない駆動方法の場合について説明する。
モータ51の回転方向が1方向で無い場合、すなわち、シャフト52の回転方向が軸方向で図中左側から見て時計回り(CW)方向と反時計回り方向とに切り替え可能な場合、スラスト方向の力を被駆動ギヤ66の軸方向両側に受ける可能性がある。
【0051】
そのため、図7に示すように、被駆動ギヤ66の軸方向両側、つまり、ブラケット62と被駆動ギヤ66との間、及び、ブラケット62が取り付けられた面板61と被駆動ギヤ66との間に防振材64を挟み込んで設ける。これにより、被駆動ギヤ66とブラケット62との間での被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動や、被駆動ギヤ66と面板61との間での被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動が、防振材64によって吸収される。よって、ブラケット62と被駆動ギヤ66との間での被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動や、被駆動ギヤ66と面板61との間での被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を低減させることができる。つまり、モータ51の回転方向に関係なく被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を低減させることができ、静音化を図ることができる。
【0052】
図9に、モータ51からブラケット62を介してスタッド63に伝わるスラスト方向の振動の様子を示す。モータ51はブラケット62に取り付けられているため、モータ51の振動がブラケット62に伝わってブラケット62が振動する。このようにブラケット62が振動すると、その振動がブラケット62にカシメられているスタッド63に伝わり、そのスタッド63に伝わった振動がスタッド63に回転可能に設けられた被駆動ギヤ66に伝わる。すなわち、モータ51の振動がスタッド63を介してブラケット62から被駆動ギヤ66に、図中矢印Bで示されたスラスト方向で伝達される。このようにモータ51の振動が被駆動ギヤ66に伝わると、被駆動ギヤ66が振動し騒音が発生する。
【0053】
本実施形態においては、スタッド軸方向でブラケット62と被駆動ギヤ66との間に防振材64を挟み込んでいるので、防振材64によりスタッド63を介してブラケット62から被駆動ギヤ66に伝達されるスラスト方向の振動が防振材64により吸収される。よって、ブラケット62から被駆動ギヤ66に伝達されるスラスト方向の振動が低減されるので、その分、騒音の発生を抑えることができる。
【0054】
また、このようにしてモータ51の振動によるブラケット2から被駆動ギヤ66へのスラスト方向の振動伝達を防振材64によって低減させることによって、モータ51による振動が被駆動ギヤ66から第一伝達ギヤ67を介して第二伝達ギヤ68など被駆動ギヤ66以降の駆動伝達系に伝わるのを抑えることが可能となり、駆動伝達系への影響を少なくすることができるので、静音化を図ることができる。
【0055】
以上、本実施形態によれば、回転駆動力を出力する駆動源であるモータ51と、モータ51の出力軸であるシャフト52に設けられた駆動ギヤである駆動ギヤ部52aと、装置本体に設けられた面板61やブラケット62などからなる支持部材に両端が軸支された軸部材であるスタッド63と、スタッド63に回転可能に設けられ駆動ギヤ部52aと噛み合い駆動ギヤ部52aから回転駆動力が伝達される被駆動ギヤ66とを備え、駆動ギヤ部52aと被駆動ギヤ66とをハスバギヤを用いて構成した駆動装置40において、スタッド軸方向で被駆動ギヤ66と前記支持部材との間に振動を吸収する振動吸収部材である防振材64を挟み込んで設けたことで、モータ51の駆動時に生じる被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動が防振材64に吸収される。これにより、被駆動ギヤ66のスラスト方向の振動を低減させることができる。よって、その分、被駆動ギヤ66がスラスト方向で振動することにより発生する騒音を抑えることができ、静音化を図ることができる。
また、本実施形態によれば、前記支持部材は、スタッド63の一端側を支持する第一支持部材であるブラケット62とスタッド63の他端側を支持する第二支持部材である面板61とからなり、被駆動ギヤ66とブラケット2との間、及び、被駆動ギヤ66と面板61との間の少なくとも一方に防振材4を設けることで、被駆動ギヤ66の軸方向両側に防振材64を設ける場合よりもコスト削減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、モータ51がブラケット62に取り付けられており、少なくとも、モータ51が取り付けられたブラケット62と被駆動ギヤ66との間に防振材64を設けたことで、モータ51の振動がブラケット62を介して被駆動ギヤ66に伝達されるのを抑制することができ、騒音の発生を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、モータ51の回転により被駆動ギヤ66が押し付けられる方向だけに防振材64を設ける。これにより、被駆動ギヤ66の軸方向片側だけに防振材64を設けることで、被駆動ギヤ66の軸方向両側に防振材64を設ける場合よりもコスト削減を図ることができる。
また、本実施形態によれば、防振材64と被駆動ギヤ66との間に座金65を挟むことで、防振材64と被駆動ギヤ66との間でのハスバギヤ回転方向の摩擦を低減させることができる。
また、本実施形態によれば、モータ51がインナーロータ型DCブラシレスモータであることで、ステッピングモータを用いる場合よりもエネルギー効率を高く、モータ重量を削減することができるとともに、アウターロータ型と比較してイナーシャが小さくなることから、ステッピングモータと同等の加減速時間にすることができる。また、ブラシ付きモータと比較してブラシ摩耗が無い分、高耐久にすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 感光体ドラム
2 ドラムクリーニング装置
4 帯電装置
5 現像装置
6 プロセスカートリッジ
7 露光装置
8 中間転写ベルト
9 一次転写ローラ
10 ベルトクリーニング装置
12 二次転写バックアップローラ
13 クリーニングバックアップローラ
14 テンションローラ
15 中間転写ユニット
19 二次転写ローラ
20 定着ユニット
26 給紙カセット
27 給紙ローラ
28 レジストローラ対
29 排紙ローラ対
30 スタック部
31 ボトル支持部
32 トナーボトル
40 駆動装置
51 モータ
52 シャフト
53 エンコーダディスク
54 フォトセンサ
55 コネクタ
61 面板
62 ブラケット
63 スタッド
64 防振材
65 座金
66 被駆動ギヤ
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特開2006−50783号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動力を出力する駆動源と、
前記駆動源の出力軸に設けられた駆動ギヤと、
装置本体に設けられた支持部材に両端が軸支された軸部材と、
前記軸部材に回転可能に設けられ前記駆動ギヤと噛み合い該駆動ギヤから回転駆動力が伝達される被駆動ギヤとを備え、
前記駆動ギヤと前記被駆動ギヤとをハスバギヤを用いて構成した駆動装置において、
軸部材軸方向で前記被駆動ギヤと前記支持部材との間に振動を吸収する振動吸収部材を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1の駆動装置において、
上記支持部材は、上記軸部材の一端側を支持する第一支持部材と該軸部材の他端側を支持する第二支持部材とからなり、
上記被駆動ギヤと前記第一支持部材との間、及び、上記被駆動ギヤと前記第二支持部材との間の少なくとも一方に上記振動吸収部材を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2の駆動装置において、
上記駆動源が上記第一支持部材に取り付けられており、少なくとも、上記被駆動ギヤと前記第一支持部材との間に上記振動吸収部材を設けたことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項1、2または3の駆動装置において、
駆動源の駆動時に上記駆動ギヤと上記被駆動ギヤとの噛み合い部で生じる力によって前記被駆動ギヤが前記駆動ギヤから軸部材軸方向で押し付けられる方向側に上記振動吸収部材を設けたことを特徴する駆動装置。
【請求項5】
請求項1、2、3または4の駆動装置において、
上記振動吸収部材と上記被駆動ギヤとの間に座金を挟むことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1、2、3、4または5の駆動装置において、
上記駆動源がインナーロータ型DCブラシレスモータであることを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
像担持体上に形成された画像を最終的に記録媒体上に転写して、記録媒体上に画像を形成する画像形成部と、
装置本体に設けられた被駆動部材を駆動させる駆動手段とを備えた画像形成装置において、
前記駆動手段として、請求項1、2、3、4、5または6の駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−97779(P2012−97779A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244088(P2010−244088)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】