説明

高周波誘電加熱装置

【課題】円筒形の被加熱材を高周波誘電を用いて均一に加熱する。
【解決手段】加硫成型装置10は、内型20と外型40を備える。内型20の外周面27には、筒状に形成された被加熱材30を装着する。外型40は、略円筒形の収納室67を有し、その内周面にゴムジャケット43を設ける。収納室67の内周面に沿うように円筒形の電極部65を設ける。電極部65の内周側に、加硫ゴム筒から成り、被加熱材30を保温するための副資材90を設ける。副資材90の内周側に、被加熱材30を装着した内型20を配置する。ゴムジャケット43は内周側に膨らみ、電極材60を介して、内型20と共に、副資材90及び被加熱材30を挟圧する。電極材65と内型20の間に高周波電圧を印加し、被加熱材30を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば加硫成型装置等に適用される高周波誘電加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スリーブ状の被加熱材を加圧・加熱するための装置として、ワンポット式の加硫成型装置が知られている(例えば特許文献1)。この加硫成型装置においては、被加熱材は、筒状の外型と、外型内部に同心的に配置される内型の間に配置され、外型および内型の内部に供給される熱媒体により加熱されるとともに、外型と内型によって挟圧され、加熱・加圧されることにより加硫成型される。
【0003】
このワンポット式の加硫成型装置においては、外型または内型に供給される熱媒体の熱エネルギーが、被加熱材の外周面および内周面から被加熱材の内部に熱伝導され、これにより被加熱材全体が加熱される。しかし、被加熱材は、例えばゴムや樹脂で構成される場合、一般的にその熱伝導率が低く、熱伝導による加熱では、被加熱材内部には充分に熱エネルギーが伝導されない。
【0004】
そこで、近年、被加熱材をその内部から加熱する方法が検討されつつあり、その方法の一つとして被加熱材を電極間に配置して、高周波誘電加熱により加熱する方法が提案されつつある。
【0005】
例えば筒状形状を呈する被加熱材を高周波誘電加熱により加熱する場合、上部電極と下部電極の間に、被加熱材を保持したホルダーを配置させ、ホルダーとともに被加熱材を回転させながら、被加熱材を加熱する方法が特許文献2に開示されている。
【0006】
また特許文献3には、被加熱物が、平板状を呈し金属から成る一対の電極間に、挟圧されつつ、両電極間に高周波電圧が印加され加熱される方法が開示されている。この方法においては、被加熱材は熱伝導率が相対的に高い金属から成る電極に接し、その接触部分が電極によって吸熱される。したがって、その吸熱を防止するため、高周波誘電加熱とは別の加熱手段(例えばスチームや伝熱ヒータ)により電極自体が加熱されている。
【特許文献1】特開2000−824号公報
【特許文献2】特開平11−123758号公報
【特許文献3】特開平9−289078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の高周波誘電加熱によれば、ホルダーを回転させるために余計な動力が必要な上に、ホルダーはフッ素樹脂から成り、弾性が低いので被加熱材に充分な圧力を加えることができない。
【0008】
したがって、特許文献2に記載の高周波誘電加熱においては、ホルダーを省略することが考えられる。しかし、ホルダーによって被加熱材が回転されないと、円筒形の被加熱材には均一に高周波電圧が印加されないので、被加熱材を均一に加熱することが困難である。
【0009】
また、特許文献3の方法においては、加熱手段に伝熱ヒーターを用いる場合、電極の昇温に長い時間を要するとともに、電極の構造が複雑になる。また、加熱手段としてスチームを用いる場合、スチームが電極間に入ると、スパークが生じ、被加熱材に爆発的な破裂が生じるため、スチーム漏れを防止する手段を講じなければならないが、装置の構成によってはスチーム漏れを防止することが困難な場合がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みて成されたものであり、筒状形状を呈する被加熱材を効率よく、均一に加熱することができる高周波誘電加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る高周波誘電加熱装置は、筒状に形成された被加熱材に、高周波電圧を印加し、高周波誘電により加熱するための高周波誘電加熱装置であって、被加熱材の内周面側及び外周面側それぞれに配置され、被加熱材の厚さ方向に高周波電圧を印加するための第1及び第2の電極と、第1及び第2の電極のうち、少なくともいずれか一方の電極と、被加熱材の間に、被加熱材の内周面または外周面に沿うように配置され、被加熱材を保温するための筒状の加硫ゴム体を含む副資材とを備えることを特徴とする。
【0012】
この高周波誘電加熱装置は、例えば外周面に被加熱材が装着される柱状の内型と、被加熱材が装着された内型を囲むように配置される外型とを備える。そして、第1及び第2の電極のうちいずれか一方が、内型及び外型のうち何れか一方と被加熱材の間に配置され、筒形状を呈する場合、副資材は、筒形状を呈する一方の電極と、被加熱材の間に配置されることが好ましい。
【0013】
例えば、第2の電極は、筒形状を呈する一方の電極であって、外型と被加熱材の間に配置されるとともに、被加熱材は、第2の電極及び副資材を介して、外型によって押圧され、外型と内型によって挟圧される。また、第2の電極は、外型から押圧されることにより、少なくともその一部が内側に撓んで変形させられ、副資材を押圧することが好ましい。これらの構成によれば、副資材は、弾性の高い加硫ゴム体を含むので、外型によって押圧されるとき、電極及び被加熱材に適正に密着することができる。したがって、被加熱材を適正に加圧することができるとともに、高周波誘電により効率よく加熱することができる。また、外型は、例えば、内側に向けて膨張することにより第2の電極を押圧するジャケットを備える。ジャケットは空気圧により膨張することが好ましい。
【0014】
内型は、例えばその外周面が金属から形成され、第1の電極と成る。このような構成によれば、内型の外周面の熱伝導率が高く、被加熱材が内型によって吸熱される恐れがあるので、内型の外周面は、高周波電圧による加熱とは異なる熱媒体で加熱されることが好ましい。
【0015】
内型及び外型のうち何れか一方と被加熱材の間に配置される電極は、周方向に分離された可撓性を有する複数の薄板部と、複数の薄板部を、周方向に連接する固定部とを備えても良い。そして、複数の薄板部はそれぞれ、被加熱材に向けて内側に変形させられることにより、それぞれ被加熱材の外周面に沿うように配置されることが好ましい。
【0016】
第1の電極が、筒形状を呈する一方の電極であって、内型と被加熱材の間に配置されるとともに、被加熱材が、第1の電極及び副資材を介して、内型によって押圧され、外型と内型によって挟圧されることが好ましい。第1の電極が、内型から押圧されることにより、少なくとも一部が外側に撓んで変形させられ、副資材を押圧することが好ましい。
【0017】
内型は、外側に向けて膨張することにより第1の電極を押圧するジャケットを備えることが好ましい。ジャケットは、空気圧により膨張することが好ましい。
【0018】
副資材は、いずれか一方の電極と被加熱材の間を電気的に絶縁させたほうが良い。これにより、両電極間に高電圧を印加しても、被加熱材と電極の間においてスパークが生じることはない。
【0019】
本発明は、被加熱材を加熱し、加熱済み被加熱材を製造するための製造方法に関する。本発明は、筒状に形成された被加熱材の内周面側及び外周面側それぞれに、被加熱材に高周波電圧を印加するための第1及び第2の電極を配置するとともに、第1及び第2の電極のうち、少なくともいずれか一方の電極と、被加熱材の間に、被加熱材の内周面または外周面に沿うように、被加熱材を保温するための筒状の加硫ゴム体を含む副資材を配置し、被加熱材の厚さ方向に、高周波電圧を印加し、被加熱材を高周波誘電により加熱することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、電極と被加熱材の間に副資材を配置したことにより、高周波誘電により被加熱材を加熱したとき、被加熱材は副資材によって保温されるので、被加熱材を均等に加熱することができる。すなわち、被加熱材が外周側に配置されたジャケットから吸熱されることがないので、ジャケットを加熱しなくても被加熱材は均等に加熱される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係る加硫成型装置を示す。加硫成型装置10は、内型20と、内型20を内部に収納するための外型40を有する。内型20は、略円柱状に金属で形成され、その内型20内部には熱媒体や冷却水が通過するための通路が設けられ、熱媒体が通過することにより、内型20の外周面27が加熱される。内型20の上面22および下面23にはそれぞれ、内型20内部に熱媒体を送入出するための入出管24、25が設けられる。入出管24、25は、上面22および下面23の中心から、それぞれ上方および下方に突出する。なお、熱媒体としては、例えば水蒸気、オイル等が使用される。
【0022】
図2に示すように、内型20の外周面27には、被加熱材30として帆布80および未加硫ゴムシート81が順に巻き付けられ、巻き付けられた被加熱材30は略円筒形状を呈する。被加熱材30は、このように巻き付けられることにより、その内周面31が内型20の外周面27に沿うように、内型20に装着される。略円筒状の被加熱材30は、その軸方向の長さが、図1に示すように内型20の軸方向の長さより短く、内型20の下端部、上端部においては、被加熱材30が巻きつけられていない。なお、被加熱材30は、この構成に限定されず、高周波誘電により加熱され得るものならば良く、各種樹脂、エラストマー、高分子天然材料等を含むものであれば良い。
【0023】
また、ゴムシート81の上にはさらに、ポリテトラフルオロエチレンシート等が被覆されても良い。ポリテトラフルオロエチレンシートは、ゴムに対して離型性が高く、加硫によりゴムシートには接着されず、後述するように加硫により得られるベルト等を構成しない。なお、ポリテトラフルオロエチレンシートが被膜されない場合、被加熱材30の外周面には、離型剤が塗布されていても良い。これにより、被加熱材30と副資材90を容易に離型することができる。
【0024】
外型40は、有底の略円筒形状を呈する外枠41と、外枠41の上面に固定される上型42と、外枠41の内側に設けられるゴムジャケット43を備える。外枠41および上型42は、電流が導通可能なように金属で形成される。外枠41の底部50は、段差状に形成され、中央部に略円形の挿通孔46が設けられる円形の基底面47と、基底面47の外周縁部から外枠41の軸方向に立ち上げられる接続部48と、接続部48に連設され、基底面47と平行に接続部48から外側に広がり外枠41の側面72に接続される中底面49とによって構成される。挿通孔46には、内型20が収納されたとき、入出管25に接続される接続管85が挿通されている。
【0025】
上型42は、環状の第1及び第2の環状円盤42a、42bから成り、第1の環状円盤42aの上に第2の環状円盤42bが重ねられて構成される。第1及び第2の環状円盤42a、42bの内径は略一致し、その内周面は内型20を挿入するための開口部となる。第1の環状円盤42aの下面の内縁部および中底面49の内縁部には、全周に亘ってそれぞれ下方および上方に突出する環状形状の底面突起部56および上面突起部57が連接される。
【0026】
ゴムジャケット43は、円筒形状を呈し外枠41と同心的に配設されるとともに、その円筒形状の両端部が拡径するように広げられ、底面突起部56および上面突起部57の外周側の側面に係合されて第1の環状円盤42aおよび中底部49に固定されている。ゴムジャケット43は、これら突起部に係合することにより、その径方向内側に向かって押圧された場合でも、ゴムジャケット43の上型42および中底部49に対する固定状態は維持される。
【0027】
以上の構成により、ゴムジャケット43と外枠41の側面72の間には、中底面49を底面とし、上型42を上面とする密閉空間54が形成される。一方、ゴムジャケット43の内周面は、上型42の内周面、底部50の接続面48とともに、略同一曲面を形成し、これにより、この同一曲面を内周面とし、基底面47を底面とする円筒状の収納室67が設けられる。
【0028】
ゴムジャケット43(すなわち収納室67)の径方向内側には、電極材60が設けられる。電極材60は、円筒形に形成される電極部65と、電極部65の上端部から外側に向かって広がる鍔部66を有す。電極部65は、収納室67の内周面(すなわち、ゴムジャケット43、第1の環状円盤42aの内周面、接続面48)に沿うように外枠41に同心的に設けられる。電極材60の鍔部66は、第1及び第2の環状円盤42a、42bの間に挟持され、これにより電極材60は、外型40に固定される。電極材60、内型20には、電極材60及び内型20間に高周波電圧を印加するための電源(不図示)が接続される。また、電極材65の下端部は、後述するように、接続部48に上下方向に移動可能に支持されている。
【0029】
外枠41には、注入口52および排出口53が設けられ、注入口52から密閉空間54に圧力媒体が注入されるとともに、密閉空間54の圧力媒体は排出口53から排出される。圧力媒体としては、圧縮空気が使用される。
【0030】
収納室67において、電極部65の径方向内側に、電極部65の内周面に沿うように、円筒形の副資材90が設けられる。副資材90は、基底面47に載置され、その高さは収納室67の高さに略一致している。副資材90は、被加熱材30が加熱されるとき、被加熱材30を保温するために使用され、加硫ゴム筒のみから成る。加硫ゴム筒のゴム成分としては、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体配合物(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、ニトリルゴム、水素添加ニトリルゴム等の単体、またはこれらの混合物が用いられる。ただし、ゴム成分としては、EPDM等耐熱性に優れるものが用いられることが好ましい。加硫ゴム層が耐熱性に優れると、副資材を繰り返し使用することができるからである。また、シリコンゴムのように誘電損失係数が低いゴム成分を、本実施形態のゴム成分に用いないほうが良い。
【0031】
加硫ゴム筒は、その誘電損失係数が被加熱材30と等しいか若しくは被加熱材30に比べ高いことが好ましい。誘電損失係数がこのように設定されると、副資材90も被加熱材30と共に高周波誘電によって加熱され、若しくは副資材90が被加熱材30より優先的に加熱され、副資材90の被加熱材30を保温する効果が高められるからである。なお、誘電損失係数とは、比誘電率(εγ)と誘電体損失角(tanδ)の積(εγ×tanδ)で定義される値である。
【0032】
加硫ゴム筒は、上記ゴム成分から成る未加硫ゴムに、加硫剤、補強剤等の各種添加剤が配合された未加硫ゴムが、加硫成型されて得られたものである。加硫剤としては硫黄系、パーオキサイド等の加硫剤を用いることができるが、パーオキサイドの加硫剤を用いた方が良い。パーオキサイドを用いた場合、硫黄系の加硫剤を用いた場合に比べ、副資材の耐熱性が向上し、副資材を繰り返し使用することが可能になるからである。また、添加剤として、加硫ゴム筒には銅含有顔料等の金属含有顔料が添加されていることが好ましい。絶縁物である副資材中に通電可能な金属が分散したことにより、金属が通電され、その周囲の絶縁物の誘電によって、副資材の加熱が促進されるからである。
【0033】
加硫ゴム筒は非導電性であり、その体積固有抵抗値は例えば、1×10Ω・cm以上である。したがって、加硫ゴム筒に用いられる主たる補強剤には、導電性物質であるカーボンブラックが用いられないことが好ましい。すなわち、加硫ゴム筒に用いられる主たる補強剤としては、非導電性物質であることが好ましく、例えばシリカが用いられる。シリカは、例えば、ゴム成分100重量部に対して5〜100重量部配合される。補強剤としては、カーボンブラックが配合されても良いが、カーボンブラックの配合量は、シリカの配合量より少なく、例えば、ゴム成分100重量部に対して5重量部以下の割合で配合される。勿論、加硫ゴム筒にはカーボンブラックが配合されていなくても良い。
【0034】
上型62の上面には円筒状の第1の絶縁ブロック61aが固定される。第1の絶縁ブロック61aは環状を呈し、その内周面が、副資材90の内周面と略同一面に配置され、これにより副資材90の上方を覆う。
【0035】
収納室67において、副資材90の内周側には、環状の第2の絶縁ブロック61bが設けられる。第2の絶縁ブロック61bは、挿通孔46を避けるように、その内径が挿通孔46の直径に一致するとともに、その外周面が副資材90の内周面に沿うように形成され、基底面47の上面に載置される。第2の絶縁ブロック61bの上面には、内周面が内型20の外周面に沿うような内径を有するとともに、外周面が副資材90の内周面に沿うように形成された環状の第3の絶縁ブロック61cが設けられる。なお、第2の絶縁ブロック61bおよび第3の絶縁ブロック61cは、一体的に成形され、その断面形状がL字状を呈する絶縁ブロックであっても良い。また、第1ないし第3の絶縁ブロック61a、61b、61cは、シリコン、またはフッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の絶縁体で形成される。
【0036】
図3は、内型20が外型40内に収納されたときの加硫成型装置を示す。被加熱材30が装着された内型20が、外型40内に収納されると、内型20の下端部が、第3の絶縁ブロック61cの内周側に挿入されるとともに、内型20の入出管25が第2の絶縁ブロック61bの内周内に挿通され、内型20の下面23が第2の環状ブロック61bの上面に載置される。そして、被加熱材30の下面は、第3の絶縁ブロック61cの上面に接触し、または近接される。このように内型20が収納されると、内型20と外型40(外枠41)の軸が一致し、被加熱材30は副資材90の径方向内側に配置され、被加熱材30の外周面が副資材90の内周面に沿うように配設される。このように、内型20が外型40内に収納されると、内型20、外型40、被加熱材30、電極材65、および副資材90は、同心的に設けられ、それぞれの軸は一致する。
【0037】
内型20が、収納室67内に収納されると、内型20および外型40には、それぞれ導線(不図示)が接続され、こられ導線は、電源供給のための不図示の電源に接続される。外型40は、電極材60が取り付けられた上型42および接続部48を介して、電極部65に電気的に接続されており、電極部65と内型20の間には、高周波電圧が印加可能になる。また、内型20の入出管24、25には、熱媒体を供給するために、それぞれ接続管85が接続される。接続管85は、内型20の供給された電流を導通しないように、シリコン、フッ素樹脂等の絶縁体で構成される。
【0038】
収納室67内に収納された内型20の上方には、上蓋95が被せられる。上蓋95は、中央部に孔98が設けられた環状平板部96と、環状平板部96の下面から突出し、外周面が環状平板部96の外周と同一円周面に設けられる環状ブロック部97から成り、これらが一体に形成され断面L字形状を呈する。上蓋95は、孔98の内部に入出管24が挿通されるとともに、環状平板部96の下面が内型20の上面22に載置されることにより、内型20の上方に被せられる。このとき、環状ブロック部97は、副資材90と内型20の間であって、被加熱材30の上に形成される隙間に配置される。被加熱材30は後述するように、挟圧されることにより上方に膨張したとき、上蓋95によって上方から押止され、これにより被加熱材30が上方に飛び出すことが防止される。同様に、副資材90は、第1の絶縁ブロック61aによって上方に飛び出すことが防止される。なお、上蓋95は、シリコン、またはフッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン)等の絶縁体で形成される。また、上蓋95には、内型20の軸方向に、環状ブロック部97及び環状平板部96を貫通したエア抜き穴71が複数設けられる。
【0039】
次に、本実施形態における加熱・加硫方法について説明する。本実施形態においては、内型20が外型40内に収納された状態において、外型40に設けられた密閉空間54に圧力媒体が供給され、ゴムジャケット43がその径方向内側に膨張させられる。ゴムジャケット43の膨張により、円筒形の電極部65は縮径し、内側に撓んで変位させられ、副資材90に密着する。そして、副資材90及び被加熱材30は、電極部65を介してゴムジャケット43に押圧されることにより、ゴムジャケット43と内型20によって挟圧され、所定圧力が付勢される。
【0040】
この挟圧とともに、電極材60と内型20の間には、高周波電圧が印加される。ここで、高周波電圧は高電圧(例えば1万V)であるが、副資材90は、非導電性であって、電極材60と内型20の間を、電気的に絶縁させるので、電極材60と内型20の間に高電圧が印加されたとしても両電極間にスパーク等が生じることがない。
【0041】
被加熱材30は、高周波電圧の印加により、副資材90とともに、高周波誘電により加熱される。ここで、外型40及び電極材65は金属から成り、その熱伝導率が相対的に極めて高い一方、副資材90は、加硫ゴム筒から成り、その熱伝導率は相対的に極めて低い。したがって、高周波誘電により加熱された副資材90は、外型40、電極材60によって吸熱されるが、副資材90の断熱効果により被加熱材30が外型40、電極材60によって吸熱されることはほとんどない。また、上記高周波電圧の印加とともに、内型20の内部には熱媒体が供給され、内型20の外周面27が加熱される。したがって、内型20は金属から形成され、その熱伝導率は高いが、被加熱材30が内型20によって吸熱されることもほとんどない。また、本実施形態において、被加熱材30の上方並びに下方にはそれぞれ、上蓋95並びに第2及び第3の絶縁ブロック61b、61cが設けられており、これにより、被加熱材30は上方、下方から熱損失されることもほとんどない。
【0042】
すなわち、被加熱材30は、高周波誘電によって一旦熱エネルギーが与えられると、その熱エネルギーは内型20及び外型40等に伝播されることがほとんどないので、いずれの部分も均一に加熱されるとともに、高周波誘電により発生した熱エネルギーを有効に利用することができる。
【0043】
被加熱材30は、加硫温度(例えば、160℃)に達した後、狭圧された状態で加硫温度が所定時間維持され加硫成型される。このとき、高周波電圧の印加が継続されても良いが、高周波電圧の印加が停止されても良い。被加熱材30は、副資材90の保温効果及び内型20内の熱媒体により、高周波誘電による加熱がなくても、加硫温度を所定時間に亘って維持することが可能だからである。
【0044】
加硫成型が終了すると、内型20内には、冷却水が供給され、被加熱材30が冷却された後、外型40から内型20が取り出される。内型20は、外型40の外部に取り出された後、被加熱材30が内型20から取り外され、これにより加硫成型された円筒状の被加熱材が得られる。なお、本実施形態においては、加硫成型された被加熱材30は、ゴムシート81の一方の面に帆布80が加硫接着されたベルトスラブである。ベルトスラブは、研磨加工された後、幅方向に切断され、平ベルト、Vベルト等の各種ベルトと成る。勿論、被加熱材30は、加熱・加圧されることにより、ベルトスラブ以外のものに成型されても良く、例えばゴムパッキン、ゴムローラとして成型されても良い。
【0045】
以上のように、本実施形態においては、蒸気等の加熱媒体を兼ねた圧力媒体を外型内に供給しなくても、被加熱材30を均一に加熱することができるので、圧力媒体として常温の圧縮空気を用いることができる。したがって、ゴムジャケット43の破れや、外型40とゴムジャケット43の固定部分のシール不足により、圧力媒体が収納室67内に漏れたとしても、その漏れた圧力媒体によって、スパークが生じ被加熱材30に爆発的な破裂を生じることはない。また、内型20内の空間は、充分にシールされており、内型20の内部に供給される熱媒体は、収納室67に漏れることは無いので、内型20内部に供給される熱媒体により、スパークが生じることもない。また、副資材90は、弾性の高い加硫ゴムから形成されるので、挟圧されているとき、副資材90は電極部65及び被加熱材30に充分に密着することができる。したがって、被加熱材30には、適正に圧力が付与されるとともに、高周波誘電によって効率良く加熱される。
【0046】
なお、内型20の外周面からゴムジャケット43の内周面の間に内在する空気は、ゴムジャケット43の加圧により、エア抜き穴71から加硫成型装置10の外部に放出される。勿論、本実施形態においては、内型20内部には熱媒体が供給されず、被加熱材は高周波誘電加熱単独により加熱されても良い。この場合、内型20と被加熱材30の間にも、ゴム筒体から成る副資材が設けられたほうが良い。
【0047】
図4は、外型40に設けられた電極材60を示す。電極材60は、上述したように略円筒形状を呈する電極部65と、電極部65の上端部に接続され、外側に向けて広がる鍔部66が設けられる。電極材60は、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、銅等の導電性の高い金属により一体的に形成される。
【0048】
電極部65には、その軸方向に平行に延びる矩形の複数のスリット75が設けられ、これら複数のスリット75によって電極部65は、その軸方向に延びる複数の薄板部76として、周方向に分離されている。ここで、各スリット75は、電極部65の上端から所定の距離おいた位置から、下端から所定の距離おいた位置まで延び、電極部の下端部と上端部においては、電極部65は周方向に分離されてない。すなわち、複数の軸方向に延びる薄板部76は、その両端部が、周方向全周に亘って延びる環状の固定部77により、連接されている。ここで、各薄板部76はその厚さが非常に薄く可撓性を有し、径方向に押圧されると、固定部77を支点としてその押圧される方向に撓みつつ変位される。
【0049】
鍔部66には、径方向全体に亘って延び、鍔部66を分離させる鍔部スリット98が複数設けられ、鍔部66は、径方向に延びる複数の矩形の鍔薄板部99によって構成される。
【0050】
下方側の固定部77には、電極材60の軸方向に延び、スリット75より幅及び長さが短い支持スリット97が設けられる。支持スリット97は、周方向に、等間隔に2以上設けられる。接続部48(図1参照)の支持スリット97に対向する位置には、その幅が支持スリット97の幅にほぼ等しく、軸方向の長さが支持スリット97より短い突起(不図示)が設けられている。接続部48に設けられた突起は、支持スリット97内に挿通され、これにより電極材60は、周方向には変位できないとともに、軸方向に所定量以上変位しようとすると、突起によりその変位が規制される。すなわち、電極材60は、軸方向に変位可能に接続部48により支持される。なお、電極材60には、支持スリット97が設けられず、接続部48によって支持されていなくても良い。
【0051】
なお、電極材60の電極部65および鍔部66の厚さ、すなわち各薄板部76の厚さは、ゴムジャケット43の押圧により変形可能な範囲であれば良く、例えば0.1〜0.5mm、好ましくは0.2mmである。また、各スリット75は、同一の矩形形状を呈し、等間隔に設けられ、その幅が例えば1〜5mm、好ましくは2mmである。一方、各薄板部76の幅は、例えば15〜25mm、好ましくは20mmである。一方、鍔部66に設けられた鍔部スリット98の幅は、スリット75の幅より小さいとともに、鍔部66の鍔薄板部99の幅も、電極部65の薄板部76の幅より短い。
【0052】
電極材60が加硫成形装置10に取り付けられている場合、電極材60の上方及び下方に設けられた固定部77はそれぞれ、第1の環状円盤42aの内周面、及び接続部48に対向する位置に設けられる。一方、各薄板部76はゴムジャケット43に対向する位置に設けられる。したがって、ゴムジャケット43がその径方向内側に向けて膨張させられると、固定部77は、ゴムジャケット43により押圧されない一方、各薄板部76はゴムジャケット43により押圧される。すなわち、各薄板部76は、固定部77を支点に径方向内側に変形しつつ変位し、被加熱材30の外周面に密着させられる。各薄板部76の変形により電極材60の固定部77は変位するが、上述したように下方側の固定部77は周方向に変位することができないので、電極材60はねじれ変形を起こすことはない。
【0053】
なお、電極材60の固定部77は、各薄板部76と同様に、ゴムジャケット43に対向する位置に設けられても良い。この場合、ゴムジャケット43の径方向内側への押圧に伴い、各薄板部76および固定部77は、径方向内側に撓みつつ変位されるが、各薄板部76は、スリット75により分離されており、固定部77に比べて大きく撓むこととなる。したがって、この場合においても、固定部77を支点として、薄板部76は径方向内側に撓み変形する。すなわち、電極材60は、外型40からの押圧により内部に相対的に大きく変形する各薄板部76と、相対的に小さく変形する固定部77から構成されることとなる。
【0054】
各薄板部76は、径方向内側に変形しつつ変位すると、電極部65は縮径し、各薄板部76は接近させられる。したがって、電極部65が押圧される前に離間されていた各薄板部76は、押圧されるとほとんど接するような状態になる。すなわち、副資材90の外周面のほぼ全ての領域は、電極部65によって覆われることとなる。
【0055】
以上の構成により、電極部65がゴムジャケット43により押圧され、副資材90及び被加熱材30が狭圧されるとき、副資材90の外周面の略全ての領域が電極部65に密着するとともに、被加熱材90の内周面は、内型20に密着する。したがって、副資材90及び被加熱材30は、高周波誘電加熱により、効率よく加熱される。また、複数に分割された各薄板部76は、固定部77によって連接されることにより、固定部77から容易に電力供給を受けることができる。
【0056】
また、電極材60は可撓性を有し、変形することにより、副資材90の外周面に密着するので、ゴムジャケット43からの押圧力を被加熱材30及び副資材90に伝播させやすい。そして、副資材90の外周面のほぼ全ての領域は電極部65に密着させられるので、被加熱材30及び副資材90には均一に圧力が付勢されやすい。
【0057】
なお、本実施形態においては、軸方向に延びる各スリット75は、矩形に形成されたが、矩形に形成されなくても良く、幅がその長手の中央部に向かうに従って、広くなるように軸方向に長い楕円形に形成されても良い。また、電極材60の軸方向に対して傾いて延びるスリットであっても良いし、軸方向に傾きつつS字状に蛇行して延びるスリットであっても良い。さらには、スリット75はジクザク状に蛇行しても良い。また、本実施形態の鍔部66には、径方向に延びる鍔部スリット98が設けられ、その鍔部スリット98によって複数に分割されているが、鍔部66はスリットが設けられず、一体の環状の鍔部として形成されていても良い。
【0058】
図5を用いて、第1の実施形態の電極材の製造方法について説明する。電極材60は、図5に示すように、1枚の金属板60Aから形成される。金属板60Aには、鍔部スリット98が上端60Uから延び、金属板60Aの上端60Uには、鍔部スリット98によって分割された複数の鍔薄板部99が形成される。金属板60Aには、複数のスリット75が設けられ、複数のスリット75は、それぞれ鍔部スリット98から所定の距離下方に離された位置から、金属板60Aの下端60Dより所定距離上方の位置まで延びる。スリット75は互いに平行であると共に、等間隔に設けられる。金属板60Aは、その左端部60Lと右端部60Rが接続され、円筒状に形成されると共に、各鍔部スリット98は外側に向けて略90°の角度で折られ、これにより金属材60が形成される。
【0059】
次に、本実施形態の第2の実施形態について図6を用いて説明する。第2の実施形態においては、電極材の構成のみが第1の実施形態と相違するので、以下電極材の構成のみを説明する。
【0060】
第2の実施形態においては、電極材260は1枚の可撓性を有する金属板で成形され、第1の実施形態と同様に、スリット75が設けられる。各スリット75は、電極材260の上端から所定の距離おいた位置から、下端から所定の距離おいて位置まで延び、電極部の下端部と上端部においては、電極部65は周方向に分離されてない。すなわち、スリット75によって複数の軸方向に延びる薄板部76が形成され、薄板部76の両端部が、周方向全周に亘って延びる環状の固定部77により、連接されている。
【0061】
電極材260は、副資材90の外周面に巻き付けられ、これにより、第1の実施形態の電極材60と同様に、電極材260は円筒形状を呈し、被加熱材30と同心的に配設される。電極材260は、第1実施形態と同様に、ゴムジャケット43により押圧されると、固定部77を支点に薄板部76が径方向の内側に撓み変形され縮径し、副資材90の外周面に密着する。
【0062】
なお、本変形例においては、副資材90の外周面に巻き付けられる電極材260は、高周波電圧を被加熱材30に印加できるものであれば、他の態様も採ることができる。例えば、電極材260は、金属繊維から構成される糸によって編成される導電性を有する編布であっても良いし、金属繊維から構成される経糸と緯糸によって織成される導電性を有する織布であっても良い。また、アルミ箔等の薄膜の金属箔であっても良いし、複数の直交する金属ワイヤが接続されて構成されたものであっても良い。さらには、金属ワイヤが網状に編まれた金網であっても良い。
【0063】
このように構成された電極材260は、第1の実施形態の電極材と同様に、ゴムジャケット43により押圧されると、その径方向内側に縮径して変形する。したがって、電極材は副資材90の外周面に沿うように密着することができ、ゴムジャケット43の押圧力により被加熱材30及び副資材90が外型40と内型20によって挟圧される。すなわち、これら電極材260が適用された加硫成型装置も、本実施形態と同様に、圧力が作用されつつ、高周波誘電による加熱が行われる。
【0064】
図7を用いて本発明に係る第3の実施形態について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態における副資材の構成を示す。第3の実施形態は、副資材以外の構成は第1の実施形態と同様の構成であるので、その説明は省略する。
【0065】
第1の実施形態においては、副資材は、加硫ゴム筒のみから成るが、第3の実施形態においては、副資材290は、非導電体から成り円筒状に形成される第1及び第2の非導電シート291、292と、円筒状の加硫ゴム筒293から成る。第1の非導電シート291は、内周側に配置されるとともに、第2の非導電シート292が外周側に配置され、加硫ゴム筒293はこれら非導電シート291、292の間に挟持されて設けられる。このような構成により、副資材290は、電極部65(図3参照)と内型20との間を絶縁することができる。したがって、第3の実施形態においても、両電極間に高周波電圧が印加されても、その電極間にスパークが生じることがない。
【0066】
第1及び第2の非導電シート291、292は、フッ素樹脂等の非導電性の樹脂から成り、例えばポリテトラフルオロエチレンシートから成る。一方第3の実施形態における加硫ゴム筒293は、第1の実施形態の加硫ゴム筒と同様の構成を有し非導電性であっても良いが、好ましくは導電性である方が良い。加硫ゴム筒293を導電性にすることにより、高周波誘電の誘電効率を高めることができるからである。加硫ゴム筒293が導電性である場合、その体積固有抵抗値は1×10Ω・cm〜1×10Ω・cmである。したがって、加硫ゴム筒293は、ゴム成分が第1の実施形態と同様であるが、そのゴム成分に配合される主たる補強剤としては、カーボンブラックが配合された方が良く、カーボンブラックは例えばゴム成分100重量部に対して20〜60重量部配合される。
【0067】
また、副資材290は、弾性率が相対的に低い加硫ゴム筒293と、弾性率が相対的に高い非導電シート291、292から成るが、非導電シート291、292は加硫ゴム筒293に比べ薄いので、第2の実施形態においても、被加熱材30(図3参照)が挟圧されるとき、副資材290は被加熱材30に密着することが可能である。
【0068】
図8〜11を用いて本発明に係る第4の実施形態について説明する。第1の実施形態においては、電極材が被加熱材の外周面の外側に配設されるとともに、被加熱材の外側から内側に向けて、圧力が作用されたが、本実施形態においては、電極材が被加熱材の内周面の内側に配設されるとともに、被加熱材の内側から外側に向けて圧力が作用される。また、副資材はそれに伴い、被加熱材の径方向内側に配置される。以下第4の実施形態について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0069】
図8および図9は、第4の実施形態に係る加硫成型装置100を示す。加硫成形装置100は、内型120と、内型120を内部に収納するための外型140を有する。内型120は、円盤形状を有する上型122と、上型122に対向して設けられ、円盤形状を有する下型123と、これら上型122および下型123と同心的に略円筒状に形成されたゴムジャケット143を有する。ここで、ゴムジャケット143は上型122および下型123に接続されている。内型120は、上型122、下型123を上面、下面とし、ゴムジャケット143、および上型122と下型123の側面を外周面とする略円柱状に形成される。上型122と下型123は、支柱128によって接続され、支柱128は、これら上型122と下型123を支持している。
【0070】
上型122の下面には、外周縁全周に亘って、下方に向けて突出する環状の底面突起部156が設けられる。下型123の上面には、外周縁全周に亘って、上方に向けて突出する環状の上面突起部157が設けられる。ゴムジャケット143は円筒形状を呈し、その円筒形状の両端部が縮径するように縮められることにより、底面突起部156および上面突起部157の内周側の側面に係合されて上型122および下型123に固定されている。
【0071】
ゴムジャケット143の径方向内側には、密閉空間198が設けられ、密閉空間198には圧力媒体が供給される。密閉空間198は、圧力媒体が供給されると、ゴムジャケット143全体をその径方向外側に向けて押圧する。内型120の上型122および下型123には、第1の実施形態と同様に、入出管124、125が設けられ、入出管124は、密閉空間198に圧力媒体を供給し、入出管125は密閉空間198から圧力媒体を排出する。圧力媒体としては、圧縮空気が使用される。
【0072】
ゴムジャケット143(すなわち内型120)の径方向外側には、円筒形に形成された電極材160が設けられる。電極材160は、内型120(すなわち、ゴムジャケット143)の外周面に沿うように設けられ、その上方部が、上型122の側面に固定される。電極材160の外周面には、副資材190が取り巻かれている。副資材190は、第1の実施形態と同様に、円筒状の加硫ゴム筒のみから成る。副資材190の外周面には、さらに被加熱材130が巻きつけられ、巻きつけられた被加熱材130は第1の実施形態と同様に、略円筒形状を呈する。
【0073】
外型140は、有底の略円筒形状を呈する収納室167と、収納室167の内周面168を加熱するための加温部149を有する。収納室167の底面147は、中央部に略円形の挿通孔146が設けられ、挿通孔146には、内型120から圧力媒体を排出するための接続管185が挿通されている。なお、底面147上には、第1の実施形態と同様に第2および第3の絶縁ブロック161b、161cが設けられる。
【0074】
加温部149は、外型140の収納室167の外周面を取り巻くように設けられ、加温部149には、熱媒体が供給され、この熱媒体により、収納室167の内周面168が加温される。熱媒体は、外型140に設けられた注入口152から注入されるとともに、排出口153から排出される。
【0075】
図9は、内型120が外型140内に収納されたときの加硫成型装置を示す。図9に示すように、被加熱材130が装着された内型120が、収納室167内に収納されると、内型20の下型123及び副資材190の下面が第2の絶縁ブロック161bに載置されるとともに、被加熱材130の下面が第3の絶縁ブロック161cの上面に近接して、または接して配置される。また、収納室167の内径は、被加熱材130の外径より僅かに大きく、内型120が外型140内に収納されると、被加熱材130の外周面は収納室167の内周面168に沿うように設けられる。なお、内型120の上方には、第1の実施形態と同様に、断面がL字形状を呈する環状の上蓋195が被せられ、この上蓋195によって、被加熱材130、副資材190が上方に飛び出すことが防止される。
【0076】
内型120が、収納室167内に収納されると、内型120および外型140には、それぞれ導線(不図示)が接続される。ここで、内型120は、電極材160が取り付けられる上型122および下型123を介して、電極材160に電気的に接続されている。したがって、電極材160と外型140の間には、高周波電圧が印加可能になる。
【0077】
また、内型120の入出管124、125には、圧力媒体を供給するために、それぞれ接続管185が接続される。接続管185は、内型120の供給された電流を導通しないように、シリコン等の絶縁体で構成される。内型120に供給される圧力媒体には、空気圧が用いられる。
【0078】
次に、本実施形態における加熱・加硫方法について説明する。本実施形態においては、内型120が外型140内に収納された状態において、内型120に設けられた密閉空間198には、圧力媒体が供給され、これにより、ゴムジャケット143が外側に膨張し、電極材160が押圧される。円筒形の電極材160は、径方向外側に押圧されると、後述するように撓み変形し拡径し、副資材190の内周面に密着し、副資材190を押圧する。これにより、被加熱材130及び副資材190は、電極材160と外型の内周面168に挟まれ、所定圧力が付勢される。また、電極材160、外型140の間には、高周波電圧が印加され、これにより、被加熱材130及び副資材190は高周波誘電により加熱される。
【0079】
内型120、外型140、及び電極材160は、金属で形成されるために、熱伝導率が高く熱エネルギーを吸収しやすい。しかし、本実施形態では、外型140の内周面は、加温部149によって加熱されている。したがって、高周波誘電により加熱された被加熱材130が外型140によって吸熱されることはほとんどない。また、内型120と被加熱材130の間には、熱伝導率が低いゴム筒から成る副資材190が設けられる。したがって、高周波誘電により加熱された副資材190は内型120、電極材160よって吸熱されるが、副資材190の断熱効果により被加熱材130は内型120、電極材160によっても吸熱されることはほとんどない。さらに、被加熱材130の上方部、下方部は、上蓋195及び第2の絶縁ブロック161b等によって断熱されている。したがって、被加熱材130は、いずれの部分も均一に加熱される。
【0080】
また、内型120内部に供給される圧力媒体としては、空気圧が用いられるので、ゴムジャケット143の破れや、内型120とゴムジャケット143の固定部分のシール不足により、圧力媒体が収納室167内に漏れたとしても、その漏れた圧力媒体により、スパークが生じ被加熱材130に爆発的な破裂が生じることはない。
【0081】
図10〜11は、内型120に設けられた電極材160を示す。図10は、内型120に設けられた電極材160を示す。図11は、薄板176と固定部177の連接部分を模式的に示す。第2の実施形態における電極材160は、複数の薄板176が、隣接する薄板176同士が、周方向において重なるようにすだれ状に配設され、その複数の薄板176の集合体により、円筒状の電極材160が形成される。薄板176は、それぞれの上端部および下端部が、各薄板部176が配設される円周面上において環板状に形成された固定部177に固定され、これにより、周方向全体に亘って、固定部177によって連接されている。各薄板部176は、図11に示すように、環板状の固定部177の内周面および外周面に交互に固定される。
【0082】
電極材160は、電極材160の上端部が上型122の側面に固定され、電極材160の上方側及び下方側の固定部177はそれぞれ、上型及び下型の側面に対向する位置に設けられるとともに、各薄板部176はゴムジャケット143に対向する位置に設けられる。したがって、ゴムジャケット143が外側に向けて膨張させられると、固定部177は、ゴムジャケット143により押圧されない一方、各薄板部176はゴムジャケット143により押圧される。すなわち、各薄板部176は、固定部177を支点に径方向外側に撓み変形しつつ変位し、副資材190の内周面に密着させられる。なお、電極材160の下端側の固定部177は、第1の実施形態と同様に下型123の外周面に可動可能に支持されていても良いし、支持されていなくても良い。
【0083】
周方向において互いに重なっていた各薄板部176は、ゴムジャケット143により押圧され、径方向外側に変形しつつ変位し、各薄板部176は、離間させられる。したがって、各薄板部176は、離間され、その側面同士が接するような状態になる。すなわち、被加熱材130の外周面のほぼ全ての領域は、電極材160によって覆われることとなる。
【0084】
以上の構成により、副資材190及び被加熱材130は、電極部160及び外型140の内周面に密着するので、副資材190及び被加熱材130には適正な圧力が付勢されるとともに、高周波誘電加熱により、効率よく加熱される。
【0085】
図12は、第4の実施形態における電極材の変形例を示す。本実施形態においては、各薄板部176は矩形に形成されていたが、本変形例においては、各薄板部176は、その長手方向の中央部に向かうに従って、広くなるように楕円形に形成される。このように形成されると、薄板部176の中央部においては、隣接する薄板部176同士が重なるが、両端部においては、隣接する薄板部176は重ならない。したがって、第4の実施形態においては、各薄板部176の両端部は、環状の固定部177の内周面および外周面に交互に固定されたが、本変形例においては、各薄板部176は、図12に示すように外周面のみに固定させることが可能である。
【0086】
なお、第1および第2の実施形態においては、各薄板部は、それぞれ固定部に接続され、この固定部によって連接されているが、それぞれ外型または内型に直接接続され、この外型および内型によって連接されても良い。この場合、各薄板部は、径方向に押圧されると、外型または内型を支点として、径方向に撓みつつ変形させられる。
【0087】
さらに、第1の実施形態の内型20は、円柱状に形成され、その外周面27が、円柱面状に形成されるが、外周面27の形状は適宜変更可能であり、例えば、歯付きベルトを成型するために、周方向に凹部と凸部が交互に設けられても良い。すなわち、第1の実施形態の外周面27は円周面であるが、その円周面は正確な円周で構成されなくても良い。また、同様に、第4の実施形態の収納室167の内周面も円周面に形成されるが、この内周面の形状も適宜選択可能であり、例えば、周方向に凹部と凸部が交互に設けられても良い。すなわち、第2の実施形態の外型の内周面168は、円周面であるが、その円周面は正確な円周で構成されなくても良い。なお、本明細書において、導電性の物質とは、その体積固有抵抗値が、1×10Ω・cm未満のものをいい、非導電性の物質とは、その体積固有抵抗値が、1×10Ω・cm以上のものをいう。
【実施例】
【0088】
以下、本発明について、実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明は以下説明する実施例によって何ら限定されるものではない。
【0089】
[実施例1]
実施例1においては、第1の実施形態に係る加硫成型装置を用いて、平ベルトを製造した。実施例1においては、直径130mmの円柱形の内型に帆布及び未加硫ゴムシートを順に巻き付け、内型の外周面に未成型ベルトスリーブを設けた。帆布は、ナイロン繊維によって織られた袋織りの織物であり、予め表1に示すような配合の導電性のカーボンブラック及びクロロプレンゴムを含むゴム糊液に浸漬された後、加熱乾燥され、含浸処理が施されていた。未加硫ゴムシートは、表1に示す配合のものを用い、その厚さが8mmであった。
【表1】

【0090】
電極材は図4に示す電極材が使用され、電極部が直径160mm、軸方向の長さ50cmの円筒形状を呈し、その厚さが0.2mmであった。電極材の電極部には、その軸方向に延びる幅2mmのスリットが設けられた。隣接するスリットの間隔、すなわち薄板部の幅は20mmであった。未加硫ゴムシートには、その温度を測定するために、内型に巻き付けた後、その厚さ方向の中間部、外周面側の最表部、及び内周面側の最内部に温度計を差し込んだ。
【0091】
電極部の径方向内側には、ゴム筒から成る副資材を配置した(図3参照)。副資材は、径方向の厚みが7mmであり、内径は145mmであった。実施例1のゴム筒のゴム配合においては、表2に示すように、主たる補強材として、シリカが用いられた。
【表2】

【0092】
未成型ベルトスリーブを装着した内型を外型に挿入した後、電極部と内型の間に高周波電圧を印加した。また、高周波電圧の印加と同時に、内型内には150℃、4.7気圧の水蒸気を供給し、内型の外周面の温度を上昇させた。外型内には、常温(約20℃)の圧縮空気を供給し、9.9気圧の空気圧により、ゴムジャケットを膨張させ、外型と内型により、副資材及び未成型ベルトスリーブを挟圧した。
【0093】
高周波誘電加熱により、未成型ベルトスリーブの中間部、最表部、及び最内部は、いずれも5分後に160℃に達した。そして、その後、高周波電圧の印加を停止するとともに、内型への水蒸気の供給を継続し、未成型ベルトスリーブを12分間加熱した。12分間の加熱中、未成型ベルトスリーブの中間部、最表部、及び最内部の温度は160℃を維持した。加熱終了後、内型内部に冷却水を供給し、内型及びベルトスリーブを冷却した後、内型を外型から取り出し、加硫成型されたベルトスラブを得た。ベルトスラブは、研磨した後、幅方向に切断され、成型ベルトに形成された。
【0094】
[実施例2]
実施例2においては、第2の実施形態の加硫成型装置が用いられ、電極材としてはアルミ箔が用いられた。実施例2においては、直径130mmの円柱形の内型に、被加熱材として、表3に示すゴム配合を有する35mm厚みの未加硫ゴムスリーブを巻きつけた。副資材は、その内径が170mmであり、厚みが7mmであり、副資材の外周面には、電極材が巻き付けられていた。副資材のゴム配合は表2に示すとおりである。なお、実施例1、2の副資材の体積固有抵抗値は例えば、1×10Ω・cm以上であった。
【表3】

【0095】
被加熱材を装着した内型を外型に挿入した後、電極材(アルミ箔)と内型の間に高周波電圧を印加し、高周波電圧の印加と同時に、内型内には150℃、4.7気圧の水蒸気を供給し、内型の外周面の温度を上昇させた。外型内には、常温(約20℃)の空気を供給し、9.9気圧の空気圧により、ゴムジャケットを膨張させ、外型と内型により、副資材及び未成型ベルトスリーブを挟圧した。
【0096】
高周波電圧の印加及び、内型及び外型への水蒸気の供給により、被加熱材の中間部、最表部、及び最内部は、いずれも5分後には160℃に達した。そして、その後、高周波電圧の印加を停止するとともに、内型への水蒸気の供給を継続し、被加熱材を15分間加熱した。15分間の加熱中、被加熱材の中間部、最表部、及び最内部の温度は160℃を維持した。加熱終了後、内型内部に冷却水を供給し、内型、副資材及び被加熱材を冷却した後、内型を外型から取り出し、加硫成型されたゴムパッキンスラブを得た。ゴムパッキンスラブは、適宜切断されゴムパッキンに形成される。
【0097】
[比較例1]
比較例1は、副資材を設けずに、未加硫ゴムスリーブを加硫成型した例であった。比較例1においては、副資材が設けられない以外は、実施例1と同様にベルトスラブを製造した。なお、比較例1においては、副資材が設けられない厚み分だけ外型の径が小さいものを使用した。
【0098】
比較例1においても実施例1と同様に、未成型ベルトスリーブを装着した内型を外型に挿入した後、電極部と内型の間に高周波電圧を印加した。また、高周波電圧の印加と同時に、内型内には150℃、4.7気圧の水蒸気を供給し、内型の外周面の温度を上昇させた。外型内には、常温(約20℃)の空気を供給し、9.9気圧の空気圧により、ゴムジャケットを膨張させ、外型と内型により、未成型ベルトスリーブを挟圧した。
【0099】
高周波電圧の印加及び、内型への水蒸気の供給により、未成型ベルトスリーブの中間部、最表部、及び最内部は、5分後に、それぞれ155、130、160℃に達した。そして、その後、高周波電圧の印加を停止するとともに、内型への水蒸気の供給を継続した状態で、12分間加熱した。加熱終了後、内型内部に冷却水を供給し、内型及びベルトスリーブを冷却した後、内型を外型から取り出し、加硫成型されたベルトスラブを得た。
【0100】
[比較例2]
比較例2においては、従来の加硫成型装置を用いて、平ベルトを製造した。比較例2の加硫成型装置には、電極材、副資材が設けられず、未成型ベルトスリーブは、外型、内型内に供給される水蒸気により加熱された。比較例においても、実施例1と同一の構成を有する未成型ベルトスリーブを装着した内型を外型内に挿入し、未成型ベルトスリーブを加硫成型した。
【0101】
未成型ベルトスリーブの加硫成型においては、内型内に150℃、4.7気圧の水蒸気を供給し、内型の外周面の温度を上昇させた。さらに、外型内にも、180℃、9.9気圧の水蒸気を供給し、水蒸気圧によりゴムジャケットを膨張させ、外型と内型により未成型ベルトスリーブを挟圧した。この挟圧状態を維持して、内型及び外型へ供給される水蒸気により、未成型ベルトスリーブを30分間加熱した。30分加熱後の中間部、最表部、及び最内部の温度はそれぞれ140℃、165℃、160℃であった。該加熱後、内型内部に冷却水を供給し、内型及びベルトスリーブを冷却した後、内型を外型から取り出し、加硫成型されたベルトスラブを得た。
【0102】
[比較例3]
比較例3においては、高周波誘電加熱装置には、電極材、副資材が設けられず、高周波誘電加熱を用いずに、被加熱材を加硫成型した。被加熱材に関しては、実施例2と同様のゴム層から成る未加硫スリーブを用いた。被加熱材の加硫成型においては、内型内に150℃、4.7気圧の水蒸気を供給し、内型の外周面の温度を上昇させた。さらに、外型内にも、同様に180℃、9.9気圧の水蒸気を供給し、水蒸気圧によりゴムジャケットを膨張させ、外型と内型により被加熱材を挟圧した。この挟圧状態を維持して、内型及び外型へ供給される水蒸気により、被加熱材を75分間加熱した。75分加熱後の中間部、最表部、及び最内部の温度はそれぞれ140℃、160℃、155℃であった。75分間の加熱後、内型内部に冷却水を供給し、内型及び被加熱材を冷却した後、内型を外型から取り出し、加硫成型されたゴムパッキンスラブを得た。
【0103】
[比較例4]
比較例4においては、副資材のゴム配合以外は、実施例1と同様に行なわれた。比較例4の副資材のゴム配合は、表2に示すように、主たる補強材としてカーボンブラックを用いた例であった。そして、副資材の体積固有抵抗値は1×10Ω・cmであった。比較例4において、実施例1と同様に、電極部と内型の間に高周波電圧を印加すると、両電極間でスパークが発生し、被加熱材を安定的に加熱することができなかった。すなわち、副資材がゴム層単体からなる場合、ゴム層が導電性であると、高周波の高圧電圧によりスパークが発生するため、副資材は非導電性であるほうが良いことが理解できる。
【0104】
[ベルトスラブ及びゴムパッキンスラブの評価方法]
得られた実施例1、2及び比較例1乃至3のベルトスラブ、ゴムパッキンスラブを、ピコ摩耗試験によって評価した。ピコ摩耗試験は、JISK6264に準拠して行った。具体的には、ベルトスラブ(ゴムパッキンスラブ)の加硫ゴム層を周方向に沿ってスライスし、ゴム層の外周側の最表層、中間層、及び内周側の最内層から取り出した厚さ2mm、径25mmの円盤形状の試験片を得た。これら試験片を、JISK6264に記載される方法に従って摩耗させ、摩耗量を測定した。ピコ摩耗試験において、摩耗された摩耗量を表4に示す。なお、ピコ摩耗試験における各試験片の摩耗量が少ないほど、各層の強度及び加硫度(加硫の進行度)が高いことを示す。
【表4】

【0105】
表4に示すように、比較例2、3においては、最表層及び最内層の摩耗量に比べて、中間層の摩耗量が多くなった。これは、最表層及び最内層の加硫は充分に進んだが、中間層が加硫不足だからである。すなわち、比較例2、3においては、中間層に十分な熱エネルギーが与えられず、各層の加硫度及び強度が不均一であることが理解できる。
【0106】
一方、実施例1、2においては、最表層、中間層及び最内層の摩耗量は略同一であることが理解できる。すなわち、本発明の高周波誘電加熱装置によって加熱された被加熱材は、各層に均一な熱エネルギーが与えられ、各層の加硫度が均一になることが理解できる。
【0107】
また、比較例1に示すように、副資材を用いずに、高周波誘電加熱を行なった場合、非加熱材の中間層及び最内層の磨耗量は相対的に低く、略同一であったが、最表層の磨耗量は相対的に高くなった。すなわち、比較例1においては、副資材を用いなかったため、被加熱材の外周面が充分に加硫されなかったことが理解できる。
【0108】
以上のように、本実施例においては、副資材を設けることにより、外型内に加熱媒体を供給しなくても、被加熱材を均一に加熱することができる。また、実施例2のように厚さが大きい被加熱材に関しても、均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第1の実施形態に係る加硫成型装置の内型と外型の断面図である。
【図2】被加熱材の模式的な断面図である。
【図3】内型が外型内に挿入されたときの加硫成型装置を示す断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る電極材を示す斜視図である。
【図5】第1の実施形態に係る電極材を示す平面図である。
【図6】第2の実施形態に係る電極材を示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態に係る副資材の断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る加硫成型装置の内型と外型の断面図である。
【図9】第4の実施形態において、内型が外型内に挿入されたときの加硫成型装置を示す断面図である。
【図10】第4の実施形態に係る電極材を示す斜視図である。
【図11】第4の実施形態に係る電極材を上方から見たときの平面図である。
【図12】第4の実施形態に係る電極材の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0110】
10、100 加硫成型装置
20 内型(第1の電極)
27 外周面
30、130 被加熱材
40 外型
43、143 ゴムジャケット
54、198 密閉空間
60 電極材(第2の電極)
67、167 収納室
65 電極部
66 鍔部
75 スリット
76 薄板部
77、177 固定部
90、190 副資材
120 内型
140 外型(第2の電極)
160 電極材(第1の電極)
176 薄板(薄板部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された被加熱材に、高周波電圧を印加し、高周波誘電により加熱するための高周波誘電加熱装置であって、
前記被加熱材の内周面側及び外周面側それぞれに配置され、前記被加熱材の厚さ方向に高周波電圧を印加するための第1及び第2の電極と、
前記第1及び第2の電極のうち、少なくともいずれか一方の電極と、前記被加熱材の間に、前記被加熱材の内周面又は外周面に沿うように配置され、前記被加熱材を保温するための筒状の加硫ゴム体を含む副資材と
を備える高周波誘電加熱装置。
【請求項2】
外周面に前記被加熱材が装着される柱状の内型と、
前記被加熱材が装着された前記内型を囲むように配置される外型とを備え、
前記第1及び第2の電極のうちいずれか一方は、前記内型及び前記外型のうち何れか一方と前記被加熱材の間に配置され、筒形状を呈し、
前記副資材が、前記筒形状を呈する一方の電極と、前記被加熱材の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項3】
前記第2の電極が、前記筒形状を呈する一方の電極であって、前記外型と前記被加熱材の間に配置されるとともに、前記被加熱材が、前記第2の電極及び副資材を介して、外型によって押圧され、前記外型と前記内型によって挟圧されることを特徴とする請求項2に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項4】
前記第2の電極が、前記外型から押圧されることにより、少なくともその一部が内側に撓んで変形させられ、前記副資材を押圧することを特徴とする請求項3に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項5】
前記外型が、内側に向けて膨張することにより前記第2の電極を押圧するジャケットを備えることを特徴とする請求項3に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項6】
前記内型は、その外周面が金属から形成され、第1の電極と成ることを特徴とする請求項3に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項7】
前記内型の外周面は、前記高周波電圧による加熱とは異なる熱媒体で加熱されることを特徴とする請求項6に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項8】
前記内型及び前記外型のうち何れか一方と前記被加熱材の間に配置される電極は、周方向に分離された可撓性を有する複数の薄板部と、前記複数の薄板部を、周方向に連接する固定部とを備え、
前記複数の薄板部がそれぞれ、前記被加熱材に向けて内側に変形させられることにより、前記各薄板部がそれぞれ前記被加熱材の外周面に沿うように配置されることを特徴とする請求項2に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項9】
前記第1の電極が、前記筒形状を呈する一方の電極であって、前記内型と前記被加熱材の間に配置されるとともに、前記被加熱材が、前記第1の電極及び副資材を介して、前記内型によって押圧され、前記外型と前記内型によって挟圧されることを特徴とする請求項2に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項10】
前記第1の電極が、前記内型から押圧されることにより、少なくとも一部が外側に撓んで変形させられ、前記副資材を押圧することを特徴とする請求項9に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項11】
前記内型が、外側に向けて膨張することにより前記第1の電極を押圧するジャケットを備えることを特徴とする請求項9に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項12】
前記ジャケットは、空気圧により膨張することを特徴とする請求項5又は11のいずれかに記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項13】
前記副資材は、前記いずれか一方の電極と前記被加熱材の間を電気的に絶縁させることを特徴とする請求項1に記載の高周波誘電加熱装置。
【請求項14】
筒状に形成された被加熱材の内周面側及び外周面側それぞれに、前記被加熱材に高周波電圧を印加するための第1及び第2の電極を配置するとともに、前記第1及び第2の電極のうち、少なくともいずれか一方の電極と、前記被加熱材の間に、前記被加熱材の内周面または外周面に沿うように、前記被加熱材を保温するための筒状の加硫ゴム体を含む副資材を配置し、前記被加熱材の厚さ方向に、高周波電圧を印加し、前記被加熱材を高周波誘電により加熱し、加熱済み被加熱材を製造するための製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−234513(P2007−234513A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−57579(P2006−57579)
【出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】