説明

高圧洗浄液噴射式洗浄装置

【課題】 構造を簡略化でき、小型・軽量化を図れ、低コスト化を達成でき、また洗浄時の装置の振動を抑制し、均一で効率的な洗浄を可能にする高圧洗浄液噴射式洗浄装置を提供する。
【解決手段】 多数の高圧洗浄液噴射ノズル3をバー状ホルダー2の長手方向に沿って一定の間隔をあけて配列するとともに、ホルダー2をその両側方で長手方向軸回りに回転可能に支持し、洗浄対象物xをホルダー2に対し一定速度で搬送しながら、各噴射ノズル3をホルダー2を介して所定回転角度内で長手方向軸回りに往復回転させながら各噴射ノズル3から高圧洗浄液を洗浄対象物xに対し一本の直線状に噴射させて洗浄する高圧洗浄液噴射式洗浄装置1で、ホルダー2を洗浄対象物xを横切る長さ以上の長さにし、洗浄対象物xの搬送方向に対し傾斜させて配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、液晶パネル、プラズマパネル、太陽電池パネル、有機EL(エレクトリックルミナンス)パネルなどのFPD(フラットパネルディスプレイ)や大型板状ガラスや半導体ウエハーなどの平坦な板状物を高圧洗浄液を噴射して洗浄する高圧洗浄液噴射洗浄装置(ウォータジェット洗浄機ともいう)に関する。詳しくは、たとえば、液晶ディスプレイや半導体ウエハーなどの製造製造工程で、ガラス基板表面の微小な粒子や有機物や金属不純物といった歩留り低下の原因となる汚濁物質を高圧洗浄液(高圧水を含む)を噴射して除去するのに使用でき、構造が簡単で低コスト化が可能な高圧洗浄液噴射洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の高圧洗浄液噴射洗浄装置として、複数の高圧液噴射ノズルを並べて装着したホルダーを旋回(円運動)させながら若しくは円錐状に揺動させながら、その洗浄装置から噴射する高圧洗浄液を洗浄対象物に対し垂直に当てながら直交方向に移動させることで、噴射ノズルから噴射する高圧洗浄液にて洗浄対象物の一面を緻密に洗浄する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置は1本の直線状に高圧洗浄液が噴射する収束型ノズルを備えている。
【0003】
従来の一般的な洗浄装置で使用されているノズルは、噴射される洗浄液が円錐状に広がるコーン型、若しくは扇状に広がるファン型が多い。これらのノズルであれば、洗浄液の噴流が拡散し、その拡散する幅が広いために、上記特許文献1の洗浄装置のように円運動させたり、揺動させたりする必要がない。
【0004】
一方、特許文献1の洗浄装置では、洗浄液が拡散しない1本の直線状になって噴射される収束型噴射ノズルを使用しているため、噴射される洗浄液のエネルギー密度がコーン型やファン型に比べて数十倍と非常に高い。したがって、洗浄面での剥離・洗浄効果は非常に優れている。しかし、洗浄対象物に対し洗浄液が当たる領域(面積)が極めて狭く、局所部分しか洗浄できない。いいかえれば、洗浄液が当たっていない箇所が広く、それらの箇所は洗浄されない。
【0005】
これを解決するために、本願の発明者らは、洗浄対象物を一定速度で移動させながら多数の高圧液噴射ノズルから洗浄液を前記洗浄対象物に対し一直線状に噴射させて洗浄する高圧液噴射洗浄方法で、各高圧液噴射ノズルを洗浄対象物に向けかつ相互に間隔をあけて共通のホルダーに配列し、前記各高圧液噴射ノズルの向きを揃え、前記各高圧液噴射ノズルを前記ホルダーを介して一体的に旋回円運動させながら各高圧液噴射ノズルから洗浄対象物に対し高圧液を噴射させるようにした洗浄方法と同装置を開発し、特許出願(2007−281322)している。
【0006】
この種の洗浄装置に関する他の先行技術に、洗浄対象物の表面内の他の領域より付着物が多い特定領域を検出する検出手段と、前記洗浄対象物をその搬送方向に沿って傾斜させた状態で保持する保持手段と、前記洗浄対象物を前記保持手段により保持されたままで前記搬送方向に沿って搬送する搬送手段と、前記洗浄対象物の表面に洗浄液を吐出する吐出手段と、前記表面の面内方向であり、かつ前記搬送方向に直交する方向である前記洗浄対象物の幅方向に沿って前記吐出手段を移動させる移動手段とを備え、前記特定領域に選択的に前記吐出手段から前記洗浄液を吐出する洗浄装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許2705719号公報
【特許文献2】特開2006−10947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
・上記したように、ホルダーを旋回円運動させる際の回転速度を上げれば上げるほど、洗浄密度が高まるが、一方でホルダーまたはホルダーを含む装置全体の振動が増大する。すなわち、この振動加速度は回転速度の2乗で増大するから、特許文献1に記載のような手持ち式洗浄装置にあっては、作業者が手で持った状態で洗浄作業を継続するのが困難になる。また、ホルダーに装着されるノズルの数を2倍〜3倍に増やすと、ホルダーの全長が延びるだけでなく、ホルダーの外径が大幅に大きくなるから、手持ち式洗浄装置としては不的確である。
【0008】
・特許文献2に記載の装置は、洗浄対象物上の付着物が多い特定流域を集中的に洗浄する装置であり、洗浄対象物の全体を均一に洗浄する装置ではない。
【0009】
・先願にかかる上記特許出願の洗浄装置70は、図13に示すように多数の高圧水噴射ノズル72が配列されたホルダー71を、両側の駆動軸74を偏心回転させて水平面内で旋回円運動しながら洗浄する構造からなる。このため、図13においてY方向への加振時に二等辺三角形状の曲げモーメントがホルダー71に作用する。したがって、ホルダー71にはその曲げモーメントに打ち勝つだけの断面強度を持たせる必要があり、ホルダー71の剛性を上げるために大型化し、重量が増大する。それに伴って、両側の偏心回転駆動部73および駆動モータも増強しなければならず、コストアップの要因になるほか、外部振動の増大につながる。また、密閉した洗浄室76を確保するためには、旋回円運動するホルダー71から両側方に延びる支持部75と洗浄室76の両側壁77とに所定の隙間(図10のG方向矢視部)を設けた上で、洗浄対象物(図示せず)の搬送方向前後部の隙間をシールしなければならない。このため、シール構造が複雑になる。
【0010】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、上記の先願に係る洗浄装置に比べて構造を簡略化でき、小型・軽量化を図れ、低コスト化を達成でき、また洗浄時の装置の振動を抑制し、均一で効率的な洗浄を可能にする高圧洗浄液噴射式洗浄装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために本発明の高圧洗浄液噴射式洗浄装置は、多数の高圧洗浄液噴射ノズルをバー状ホルダーの長手方向に沿って一定の間隔をあけて配列するとともに、前記ホルダーをその両側方で長手方向の軸回りに回転可能に支持し、洗浄対象物を前記ホルダーに対し一定速度で搬送しながら、前記ホルダーを所定回転角度内で前後方向に往復回転させながら各噴射ノズルから高圧洗浄液を前記洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する高圧洗浄液噴射式洗浄装置であって、前記ホルダーを前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さにし、前記洗浄対象物の搬送方向に対し直交または傾斜させて配置したことを特徴とする。
【0012】
上記の構成を有する請求項1に係る高圧洗浄液噴射式洗浄装置によれば、多数の高圧洗浄液噴射ノズルがホルダーとともにホルダーの長手方向に対し直交する方向(前後方向)に所定回転角度内で往復回転運動(揺動)すると同時に、多数の噴射ノズルから高圧洗浄液が一直線状に噴射されるから、高い洗浄強度が得られる。また、ホルダーの長手方向に直交する方向に所定の回転角度で往復回転し、洗浄対象物の幅方向にわたってほぼ隙間なく高圧洗浄液を均一に噴射させられ、洗浄ムラが生じにくい。さらに、洗浄の高速化を図るために洗浄対象物の移動速度を速めたり、往復回転時間を短縮したり、往復する回転角度を狭めたりしても、ホルダーあるいはホルダーを含む装置全体の振動加速度が増大することがなく、振動が抑制される。
【0013】
請求項2に記載のように、前記ホルダーの下面に前記各噴射ノズルを長手方向に沿って配列するとともに、前記ホルダー本体の長手方向に沿って高圧洗浄液供給路を直線状にかつ前記各噴射ノズルに連通させて穿設し、前記高圧洗浄液供給路の端部に可撓性の高圧洗浄液供給管の一端を接続し、前記ホルダーの両側面に回転軸を一体回転可能に取り付けることができる。
【0014】
このようにすれば、ホルダー両側方の回転軸をたとえば軸受にて回転可能に支持し、クランク機構やモーターなどを介してホルダーに往復回転力を与えて往復回転させることができる。また、ホルダーは前後方向に揺動回転するが、揺動範囲(回転角度θ)はたとえば10〜30°程度と小さいので、ホルダーの揺動回転時に可撓性の高圧洗浄液供給管が屈曲変形してホルダー端部の変位を吸収する。そして、高圧洗浄液供給管を通じて高圧洗浄液供給路内に供給される高圧の洗浄液は高圧洗浄液供給路内に臨む(連通する)各噴射ノズルからほぼ均等に高圧の洗浄液が噴射される。
【0015】
請求項3に記載のように、前記ホルダーが断面方形のブロック体で、前記回転軸の一端に他方(回転軸の一端と反対側)を開口した角筒部を一体に設け、各角筒部の開口内に前記ブロック体の両側部をそれぞれ嵌挿して前記角筒部および前記ブロック体の端部を一連に貫通するボルトにて一体的に固定することができる。
【0016】
このようにすれば、ブロック体からなるホルダーが回転軸と確実に一体的に取り付けられ、ボルトが緩んでホルダーと回転軸が不用意に分離したりしない。
【0017】
請求項4に記載のように、前記ホルダーをその両側方で長手方向の軸回りに回転可能に支持するとともに、その長手方向に移動可能に支持し、前記ホルダーを前記洗浄対象物の搬送方向に対し直交させて配置し、前記ホルダーを前後方向に所定回転角度内で往復回転させると同時に、長手方向に所定寸法内で往復移動させるようにすることができる。
【0018】
このようにすれば、多数の噴射ノズルから高圧下で洗浄液を噴射しながらホルダーをその長手方向の軸回り(前後方向)に回転(揺動)させると同時に、ホルダーの長手(長軸)方向にも往復移動(直線方向で往復移動)させることができる。このため、ホルダーは洗浄対象物の搬送方向に直交させて配置すればよい。いいかえれば、ホルダーを洗浄対象物の搬送方向に対して傾斜するように配置しなくて済む。これにより、ホルダーの設置スペースを縮小できる。しかも、ホルダーの長手方向軸回り(前後方向)における方向転換点とホルダーの長手方向における方向転換点とで時間的なずれがあるので、高圧の洗浄液が洗浄対象物上の特定箇所に集中して噴射されることがない。
【0019】
請求項5に記載のように、共通のモーターにより前記ホルダーの回転軸に対し長手方向の往復移動を許容しかつ長手方向の軸回りに往復回転可能な回転力を付与するとともに、前記ホルダーの回転軸に対し長手方向の軸回りの回転を許容しかつ長手方向に往復移動可能な直動力(直線方向の往復駆動力)を付与することができる。
【0020】
このようにすれば、ホルダーを長手方向の軸回り(前後方向)に揺動させながら長手方向にも一定のピッチで直線状にスムーズに往復移動させられるから、円形状だけでなく任意の楕円形状を描くように高圧洗浄液を洗浄対象物に噴射して洗浄でき、洗浄の均一性を確保する上で自由度が拡がる。しかも、共通のモーターによりホルダーの揺動回転と長手方向の往復運動とを同時に行わせるので、構造が簡単で二つの動作の連動(同期)が容易になる。
【0021】
請求項6に記載のように、前記ホルダーの長手方向軸回り(前後方向へ)の往復回転ストローク距離と前記ホルダーの長手方向への往復移動ストローク距離とを一致させることができる。
【0022】
このようにすれば、洗浄対象物に対し洗浄液を真円形状の円を描くように噴射させることができる。しかも、上記した先願の高圧洗浄液噴射式洗浄装置に比べて構造が簡単で、ほぼ同様の洗浄作用を得られる。また、ホルダー前後方向の加速度のバランスは、先願の高圧洗浄液噴射式洗浄装置に比べて取りやすいので、取り扱いが容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る高圧洗浄液噴射式洗浄装置は上記の構成を有するから、下記のような優れた効果を奏する。すなわち、
多数の噴射ノズルがホルダーを介して長手方向軸回り(前後方向)に所定の回転角度内で往復回転する。この回転時に多数の噴射ノズルから洗浄液が洗浄対象物に対して高圧下で噴射される。ホルダーを長手方向軸回り(前後方向)にだけ往復揺動させる場合は、図1(a)に示すようにホルダーを洗浄対象物の搬送方向に対し傾斜(たとえば傾斜角10〜20°)させて配置することにより、図8(b)に示すように洗浄軌跡がジグザグ(蛇腹状)になるから、洗浄対象物の幅方向(搬送方向に直交する方向)にわたって一定幅の洗浄領域が形成される。したがって、洗浄対象物をその洗浄領域を横切るように一定速度で搬送することにより、洗浄対象物の全面に対して高圧下で洗浄液を均一にかつ洗浄密度を高く保って噴射させられるので、高い洗浄力が得られ、洗浄ムラが生じにくい。また、ホルダーを前後方向に揺動させて洗浄する構造からなるから、高速化を図っても振動加速度が増大せず振動が抑制され、洗浄密度の高い優れた洗浄効果が得られる。そして、何よりも本発明の洗浄装置は、先願の、ホルダーを水平面内で旋回させて洗浄する構造の洗浄装置に比べて、ホルダーの剛性を低減でき、軸受などの回転支持構造を軽量化でき、振動が低減されるとともに、製造コストを大幅に低減できる。
【0024】
また、本発明の洗浄装置はクリーン室と呼ばれる密閉された洗浄室内に設置する場合に、図13に示すような隙間(ホルダー支持部75と洗浄室側壁77との間)を設ける必要がないので、シール機構を簡素化できる。
【0025】
さらに、ホルダーの長手方向軸回り(前後方向)の往復回転運動に加えてホルダーの長手方向への往復直線運動を同時に行わせることにより、洗浄対象物に対し洗浄液を真円形や楕円形状の軌跡を描くように噴射させて洗浄することができるから、先願の洗浄装置に比べて遜色のない洗浄性能が得られ、しかも、構造が簡単で大幅なコストダウンが図れる。また、ホルダーの往復直線運動のタイミングやストローク距離を調整することにより、真円形の洗浄軌跡だけでなく、任意の楕円形状の洗浄軌跡も描けるので、洗浄の均一性を確保する上で自由度が大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明に係る高圧洗浄液噴射式洗浄装置の実施の形態について説明する。
【0027】
図1は本発明の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の第1実施例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA方向矢視図である。
【0028】
図1に示すように、本例の高圧洗浄液噴射式洗浄装置1は振り子方式(揺動方式または往復回転方式とも称される)の洗浄装置で、断面円形のホルダー2を備えている。ホルダー2は、たとえば図2(a)に示すように円筒パイプ状本体2aの下面の長手方向に、下端4cを開口したブロック状ノズル部4を溶接で一体に取り付け、ノズル部4内に多数の高圧洗浄液噴射ノズル3を一定の間隔をあけて配列している。
【0029】
本例の高圧洗浄液噴射式洗浄装置1は、図1(a)に示すとおりホルダー2が長方形状の洗浄対象物xの幅方向に対し角度αほど傾斜させて配置され、ホルダー本体2aの長さは洗浄対象物xを横切る長さ(幅方向の長さ)以上の長さにしている。ホルダー2の両側方で、洗浄室10の外側で回転軸2bが軸受装置7によりホルダー2の長手方向に対し直交する方向(長手方向軸回り)に回転可能に支持されている。軸受装置7は軸受を備えた支持台で構成されている。本体2aは、図1(b)に示すように洗浄室10内に配置され、洗浄室10の上方に立ち上がった両側壁10bから回転軸2bが外方へ突出している。回転軸2bが外方へ突出する各側壁10bには、開口10cが穿設され、開口10cと回転軸2bの隙間には、図示を省略したリング状のシールが装着されている。
【0030】
ホルダー2は、本例ではピストン・クランク機構により長手方向軸回り(前後方向)に所定の回転角度θ内で往復回転する。本例では、図4(b)に示すように回転軸2bにレバー21の一端がスリーブ状の回転伝達部27にて一体回転可能に取り付けられ、図4(a)に示すようにサーボモータ22で一方向(たとえば反時計方向)に回転するクランク23の一端とレバー21の他端とが、コネクチングロッド24を介してクランクピン25とピストンピン26とによりそれぞれ回転可能に連結されている。クランク23の他端側(クランクピン25の反対側)には、カウンタウエイト23aが一体に形成されている。この構成により、クランク23が一方向(たとえば時計方向)に回転することで、レバー21のピストンピン26部が前後方向にθ(たとえば30°)ずつ往復回転運動し、回転軸2bをその中心位置Sを回転中心として往復回転させるから、ホルダー2が前後方向に回転角θずつ往復回転し、ホルダー2下面の各噴射ノズル3から高圧下で洗浄液が洗浄対象物xに向けて揺動しながら噴射される。
【0031】
上記実施例では、ホルダー2つまり下面の噴射ノズル3が回転中心Sを中心に前後にθ1=30°ずつ往復回転する設計で、図5(a)に示すようにクランク23の回転半径がr1で、レバー21の回転半径がR1である。このときの、レバー21の揺動ストロークはS1である。
【0032】
回転角θを上記θ1に比べて小さくするには、たとえば図5(b)に示すように、クランク23の回転半径をr1からr2に縮小することにより、回転角θ2および揺動ストロークS2をθ1およびS1に比べて小さくできる。また、たとえば図5(c)に示すように、レバー21の回転半径R1をR2に延ばせば、レバー21の揺動ストロークはS1と共通であっても、回転角θ3はθ1に比べて小さくなる。
【0033】
上記の各噴射ノズル3から噴射される洗浄液(洗浄水を含む)は、高圧下で1本の直線状になって噴射されるようになっている。各噴射ノズル3から噴射される洗浄液は1本の直線状で洗浄能力(洗浄力)が大きい。また、各噴射ノズル3から噴射される洗浄液は1本の直線状であるが、洗浄対象物xの幅方向に対しやや傾斜した状態でホルダー2が前後方向に揺動するとともに、洗浄対象物xをローラコンベヤなどの搬送機構(図示せず)によって所定の速度で搬送するので、両者の速度を調整することにより、洗浄対象物xの全面をほぼ隙間なく洗浄することができる。
【0034】
図2(b)は多数の噴射ノズル3を配列したホルダー2の別の実施例を示す。本例のホルダー2は、図2(c)にホルダー全体の外観を概略的に示すように本体2aが断面角筒形のバー状ブロック体からなり、ブロック体31の中心軸部に図2(b)のように断面四角形の高圧洗浄液供給路32が長手方向に沿って形成されている。また、ブロック体31の、高圧洗浄液供給路32を挟んで前後部には、長手方向の両端部、もしくは両端部および長手方向に一定間隔で複数の貫通孔33が上下方向に穿設されている。ノズル部4は本体2aの下面に頭部8a付きボルト8で一体に固定される構造で、下端4cを開口した角筒状で長手方向に連続したブロック体からなり、噴射ノズル3を挟んでボルト8のネジ部8bが螺合するネジ孔40が形成されている。なお、本例のホルダー2は大型のボルト結合タイプで、可撓性を有する金属製やゴム製で外周面に金属ブレード(ワイヤー)を巻装して強化した高圧ホースなどの洗浄液供給管9(図3(b)参照)を高圧洗浄液供給路32の一端部に接続する。
【0035】
図2(d)はホルダー2のさらに別の実施例を示すもので、基本的には図2(b)に示したホルダー2と同一の構造で、小型・軽量化している点が相違する。本例の場合、高圧洗浄液供給路32の開口面積が小さいので、洗浄液供給管9を高圧洗浄液供給路32の両端部にそれぞれ接続するところが相違する。また、ノズル部4の噴射ノズル3の取付位置の円筒部4aに比べてその下方の円筒部4bの外径をわずかに拡大させたところも相違する。
【0036】
図3はホルダー2の他の実施例を示す断面図で、本体2aは断面縦長角筒形ブロック体からなり、図3(a)に示すように本体2aとノズル部4とを一体に形成し、本体2aの長手方向に沿って開口断面円形の高圧洗浄液供給路32を設けている。また、ホルダー2は、本体2aの両側方に回転軸2bを本体2aと一体回転可能に形成している。具体的には、図3(c)に示すように回転軸2bの一端に対し前方(反対側)および上下を開口した断面コの字形部2cを一体に設け、本体2aおよびノズル部4の両側部に各回転軸2bのコの字形部2cをそれぞれ嵌挿し、コの字形部2cおよびノズル部4の端部を図3(b)・(c)のように横向きに一連に貫通する貫通孔5を穿設し、ボルト6を貫通孔5に一連に挿通してナット6aを螺合して一体に締め付けることにより結合している。また、図3(b)に示すように、回転軸2bには高圧洗浄液供給路32内に嵌入可能な円柱状突起部2dを突設し、この突起部2dの周囲にOリング34を装着した状態で高圧洗浄液供給路32の端部内に嵌着して密封している。また、ノズル部4の端部には、高圧洗浄液の供給管9を接続するための接続孔4dを高圧洗浄液供給路32に臨ませて形成し、可撓性を有する金属製供給管9の一端を、図9(a)のように高圧洗浄液供給路32に接続している。金属製供給管9の他端は、高圧洗浄液ポンプ(図示せず)に接続され、この高圧洗浄液ポンプから金属製供給管9を介してホルダー2の高圧水供給路32の一端に接続され、その高圧水供給路32からノズル部4の各噴射ノズル3へ高圧洗浄液が供給され、各噴射ノズル3から一直線状に高圧水が噴射される。なお、金属製の高圧洗浄液供給管9は可撓性を備えていれば螺旋状にしなくてもよく、たとえば直線状にして供給管9の全体が湾曲するようにしてもよい。また、図9(b)〜(d)は洗浄液供給管9の他の実施例を示すもので、図9(b)は高圧ホースからなる洗浄液供給管9’を示し、図9(c)は螺旋状に形成した金属製の洗浄液供給管9”を接続した状態を示す。図9(d)は剛性の高い固定式洗浄液供給管11の一端を、回転軸2bの端部にスイベル継手12を介して接続している。
【0037】
以上、図2・図3に示すようにホルダー2の複数の実施例について説明したが、これらの実施例に限定されるものではない。さらに、図示は省略するが高圧ポンプの下流側は洗浄液や洗浄水などのタンクに接続されている。
【0038】
図6(b)はホルダー2の噴射ノズル3から洗浄対象物x上に噴射される洗浄液軌跡を表す説明図で、ホルダー2の一の噴射ノズル3からの洗浄液の噴射方向が逆向きに変換される位置Bで、噴射ノズル3の揺動速度が0になる。したがって、その方向変換位置Bでは洗浄対象物xに対する洗浄液の噴射時間が他の位置に比べて長くなる。通常、噴射時間が延びると洗浄能力が上がるので、洗浄ムラが生じやすくなる。しかし、本発明の洗浄装置ではその影響が緩和される。つまり、図6(c)に示すように、噴射ノズル3から直下の洗浄対象物xまでの距離をLとすると、噴射ノズル3から洗浄対象物x上の方向変換位置Bまでの距離LAはL/COSθである。L=100mm、θ=22.5°とすると、LA=L/COS22.5=108.2mmとなり、方向変換位置Bでは噴射ノズル3の直下位置Aに比べて8.2mm遠くなる。この結果、洗浄能力が低下するから、洗浄時間が延びても洗浄能力の差異は以下のとおり、低減される。
【0039】
図7は噴射ノズル3から洗浄対象物xまでの距離(スタンドオフ)と洗浄強度との関係を表すグラフで、洗浄液の噴射によるアルミ箔の貫通時間を距離との関係で表したものである。距離Lが100mmからLAの108mmに延びると、洗浄能力が低下することがわかる。
【0040】
加えて、噴射ノズル3の直下では洗浄液が洗浄対象物xに垂直に当たるので、洗浄液の噴射力Fの100%が洗浄対象物xに対し作用するが、方向変換位置Bでは角度θ傾斜して作用するので、噴射力FvはFCOSθに低減される。
【0041】
このため、方向変換位置Bでは、スタンドオフおよび角度の両面で、洗浄能力が直下位置Aに比べて小さくなるので、揺動速度が0になることに起因した洗浄能力の上昇は緩和されるもの、と推測される。
【0042】
ところで、上記実施例にかかる高圧洗浄液噴射式洗浄装置1によれば、図8(a)に示すように洗浄対象物xの搬送方向(矢印)に対し角度α傾斜した状態で、各噴射ノズル3から1本の直線状に高圧下で洗浄液を噴射しながら前後に揺動(往復回転)する。すなわち、本実施例にかかる高圧洗浄液噴射洗浄装置1によれば、図8(b)に示すようにホルダー2下面の、ノズルピッチPをあけて配列された各噴射ノズル3から噴射される洗浄液が前後方向に揺動し、図8(a)のように連続したジグザグの洗浄軌跡Jが形成される。図8(b)は1つの噴射ノズル3から噴射される高圧洗浄液の軌跡(ジグザグ模様)を示すもので、本例の場合は、洗浄対象物xの搬送速度と前後方向に揺動する噴射ノズル3の揺動速度との関係で、矢印方向に搬送される洗浄対象物xは、図8(b)のようにノズルピッチPの4つの噴射ノズル3から噴射される高圧洗浄液の軌跡が重なり合って構成される洗浄領域Kを横切るように移動することになるから、洗浄対象物x上の全面がほぼ隙間なく洗浄液にて洗浄されることになる。
【0043】
つぎに、図10は本発明の高圧洗浄液噴射式洗浄装置における他の実施例を示すものである。本実施例にかかる洗浄装置1’は、上記の振り子式洗浄装置1にホルダー2の長手方向への水平直線運動を付加することにより、各噴射ノズル3からの洗浄液を円形や楕円形を描くように洗浄対象物xに対し噴射させることができる。このため、図10(a)に示すようにホルダー2を洗浄対象物xの搬送方向に対し直交させて配置することができる。また、ホルダー2の回転軸2bに対し前後方向に往復回転させる回転力を付与するだけでなく、サーボモータ41の回転力を回転軸2bに伝達する伝達部42は、回転軸2bに対しその長手方向の往復移動を許容するように接続している。このため、ホルダー2の両側の軸受7’は、ホルダー2を長手方向軸回りに回転可能に支持するとともに、ホルダー2の長手方向への移動が可能なように支持している。
【0044】
一方、ホルダー2の回転軸2bに対し長手方向に一定のピッチで往復直線運動を付与する駆動機構43は、サーボモータ44の一方向への回転力をホルダー2の長手方向への往復駆動力に変換し、回転軸2bに対し往復移動可能な直動力(直線方向の往復駆動力)を付与する。そして、駆動機構43の直動力を回転軸2bに伝達する伝達部45は回転軸2bに対しその回転を許容するように接続している。
【0045】
以上の構成により、本実施例にかかる洗浄装置1’は、多数の噴射ノズル3から高圧下で洗浄液を噴射しながらホルダー2を長手方向軸回り(前後方向)に揺動させると同時に、ホルダー2の長手方向にも往復移動させることができる。また、ホルダー2の長手方向軸回り(前後方向)の揺動と長手方向の往復直線運動とを同期させることによって、洗浄液を真円形状ないし楕円形状の円を描くように噴射させられるので、洗浄対象物xに対しより隙間なく均一に洗浄液を噴射でき、洗浄密度の高い優れた洗浄効果が得られる。しかも、ホルダー2(噴射ノズル3)の前後方向における方向変換位置B(図6(b)〜(d)参照)とホルダー2の長手方向における方向変換位置C(図11(c)参照)とに時間的なずれがあるので、洗浄液が洗浄対象物x上の特定箇所に集中して噴射されることがない。さらに、ホルダー2の前後方向への揺動ストローク距離とホルダー2の長手方向への往復移動ストローク距離とを一致させることもでき、この場合には、洗浄対象物xに対し洗浄液を真円形状の円を描くように噴射させることができる。また、両方のストローク距離を調整することで、真円形状だけでなく任意の楕円形状を描くように洗浄液を噴射させることができ、洗浄の均一性を確保する上で自由度が拡がる。その他の構成については、上記第1実施例にかかる高圧洗浄液噴射式洗浄装置1と共通するので、共通の部材については同一の符号を用いて図面に示し、説明を省略する。
【0046】
さらにまた、本例の高圧洗浄液噴射式洗浄装置1’は上記した先願の洗浄装置に比べて構造が簡単で、ほぼ同様の洗浄作用を得られる。また、ホルダー前後方向の加速度のバランスは、先願の洗浄装置よりも取りやすいので、取り扱いが容易になる。
【0047】
図11および図12は上記の高圧洗浄液噴射式洗浄装置1’の、とくに駆動機構の別の実施例を詳細に示す図面である。
【0048】
これらの図面に示すように、本例の駆動機構50では共通のモータ61によりギヤ機構62・63を介してホルダー2の長手方向軸回りの、往復揺動回転と、ホルダー2の長手方向への直動往復運動とを、それぞれピストンクランク機構51・52を介して行うようにしている。図11に示すように回転軸2bの一端部には、スプライン機構53を介して回転軸2bの長手方向への往復直線運動を可能にする一方、スプライン機構53の一部周囲を覆う円筒状の外筒部53aに隣接(図11(c)では外筒部53aの右側方に隣接)する回転連結部54において、図12(f)に示すように軸受54aおよび細径支持棒2eを介して回転軸2bの一端部を回転可能に連結している。細径支持棒2eは回転軸2bの一端に一体回転可能に固定されている。また、回転連結部54が一端を開口したコの字状カバー体55内に遊嵌され、この状態で支軸55aおよび軸受55bを介して支軸55aを中心に折曲可能に連結されている。また、図12(f)に示すように、コの字状カバー体55の他端側中心部とピストンクランク機構52のピストン部52aとが連結杆56で連結されている。つまり、外筒部53aはスプライン機構53により回転軸2bの長手方向への往復移動を許容しつつ、回転軸2bの軸回りに所定角度θずつ往復回転する。なお、外筒部53aは軸受53bを介して装置本体のケーシングに回転可能に支持されている。
【0049】
まず、モーター61の回転がギヤ機構62(ギヤ62a・62b)を介して減速され、第1回転駆動軸67に伝達されて回転する。駆動回転軸67の先端にクランク68の一端が軸受68aを介して軸回りに回転可能に接続され、クランク68の他端のピストン部68bはレバー69の一端に軸着にて接続されている。また、レバー69の他端は外筒部54に一体回転可能に接続されている。さらに、第1回転駆動軸67に直交して第2駆動回転軸60が配置され、第1駆動回転軸67の回転がベベルギヤ63a・63bを介して第2駆動回転軸60に伝達され、第2駆動回転軸60が同時に回転する。また、第2駆動回転軸60と平行に第3駆動回転軸64が配置され、第2駆動回転軸60の回転がギヤ60a・64aを介して第3駆動回転軸64に伝達される。第3駆動回転軸64の一方向への回転より先端のクランク65が回転し、クランク65先端のピストン部65aおよび連結杆56および回転連結部54を介して回転軸2bがホルダー2とともにその長手方向へ直動往復運動する。なお、連結杆56のピストン部65a側のクランク65による揺動回転は、回転連結部54における支軸55aを中心に連結杆56の他端側が折れ曲がり運動することにより吸収される。また、第1駆動回転軸67は連結杆56と平行に配置される。
【0050】
このように構成される本実施例にかかる高圧洗浄液噴射式洗浄装置1’について、動作を説明する。
【0051】
図11・図12に示すように、モーター61の回転を開始することにより、ギヤ機構62を介して第1駆動回転軸67が回転し、同時にベベルギヤ機構63を介して第2駆動回転軸60が回転し、さらにギヤ60a・64aを介して第3駆動回転軸64に伝達され、第3駆動回転軸64が回転する。駆動回転軸64の回転でクランク65が回転し、クランク65先端のピストン部65aおよび連結杆56を介して回転連結部54で支軸55aを中心に連結杆56の他端(ピストン部65a)側が図12(c)のように連結杆56の軸線に対し直交する方向に揺動しながらホルダー2の回転軸2bを長手方向へ直動往復運動させることにより、ホルダー2が回転軸2bとともに長手方向に沿って往復直線運動する。また、第1駆動回転軸67が同時に回転することにより、クランク68が回転してその先端のピストン部68bが所定角度ずつ往復回転し、レバー69および外筒部53aを介して回転軸2bとともにホルダー2を長手方向軸回りに揺動させる。なお、回転連結部54によるホルダー2の長手方向への直線往復動はスプライン機構53で許容され、外筒部53aの揺動には支障を来さない。一方、回転連結部54の揺動回転は軸受54a(図12(f))で許容されるので、回転軸2bの直線往復運動には支障を来さない。したがって、ホルダー2は共通(1台)のモーター61の回転により回転軸2bの軸回りの往復揺動と長手方向への往復直線運動とを同時に行うことができる。
【0052】
以上に、本発明にかかる高圧洗浄液噴射式洗浄装置について複数の実施例を示したが、これらに限定されるものではなく、たとえば、下記のように実施することができる。
【0053】
・上記実施例では、ホルダー2の下面に噴射ノズル3を一定間隔で直線状に配列したが、千鳥状に等間隔に2列〜3列を配列することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の高圧洗浄液噴射式洗浄装置の第1実施例を示すもので、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)はA方向矢視図である。
【図2】ホルダー2の異なる実施例を示すもので、図2(a)はホルダー2の断面図、図2(b)はホルダー2の別の実施例を示す断面図、図2(c)に図2(b)のホルダー全体の外観を概略的に示す斜視図、図2(d)はホルダー2のさらに別の実施例を示す断面図である。
【図3】ホルダー2の他の実施例を示すもので、図3(a)は図3(b)のa−a断面図、図3(b)は図3(a)のb−b断面図、図3(c)は図3(b)のc−c断面図である。
【図4】図4(a)は図1の洗浄装置のピストン・クランク機構を示す正面図、図4(b)は図4(a)のb−b断面図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、図4に示すピストン・クランク機構においてホルダー2(噴射ノズル3)の揺動角度θを変更する方法を示す説明図である。
【図6】図6(a)は図1の実施例にかかる洗浄装置の側面図、図6(b)はホルダー2の噴射ノズル3から洗浄対象物x上に噴射される洗浄液軌跡を表す説明図、図6(c)はホルダー2直下と最大揺動(θ)位置における噴射ノズル3から洗浄対象物xまでの距離(スタンドオフ)の関係を表す説明図、図6(d)はホルダー2直下と最大揺動(θ)位置における洗浄強度の関係を表す説明図である。
【図7】噴射ノズル3から洗浄対象物xまでの距離(スタンドオフ)と洗浄強度との関係を表すグラフで、洗浄液の噴射によるアルミ箔の貫通時間に相当する洗浄能力と距離との関係で表したものである。
【図8】図8(a)はホルダー2における隣接する1と2の各噴射ノズル3から噴射される高圧洗浄液の軌跡(ジグザグ模様)を示す説明図で、図8(b)は洗浄対象物xが4つの噴射ノズル3から噴射される高圧洗浄液の軌跡が重なり合って構成される洗浄領域Kを横切るように搬送して洗浄される状態を示す説明図である。
【図9】図9(a)は洗浄液供給管9をホルダー2の一端に接続した状態の正面および側面を示す説明図、図9(b)(c)は洗浄液供給管9の他の実施例を示すもので、図9(b)は高圧ホースからなる洗浄液供給管9’を接続した状態の正面および側面を示す説明図、図9(c)は螺旋状に形成した金属製の洗浄液供給管9”を接続した状態の正面および側面を示す説明図、図9(d)は剛性の高い固定式洗浄液供給管11の一端を、回転軸2bの端部にスイベル継手12を介して接続した状態の正面および側面を示す説明図である。
【図10】本発明の高圧洗浄液噴射洗浄装置における前後方向の揺動と長手方向の往復直線運動とを組み合わせた他の実施例を示すもので、図10(a)は平面図、図10(b)は駆動機構を概略的に示す正面図である。
【図11】図11および図12は上記の高圧洗浄液噴射式洗浄装置1’の、とくに駆動機構の別の実施例を詳細に示す図面で、図11(a)は図11(c)のA−A断面図、図11(b)は図11(a)のB−B断面図、図11(c)は図11(a)のC−C断面図である。
【図12】図12(d)は図11(a)の左側面図、図12(e)図12(d)のE方向矢視図、図12(f)は図11(c)のF部を拡大して示す詳細図である。
【図13】多数の高圧水噴射ノズル72が配列されたホルダー71を、両側の駆動軸74を偏心回転させて水平面内で旋回円運動しながら洗浄する構造の、先願にかかる洗浄装置70を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1・1’高圧洗浄液噴射式洗浄装置
2 ホルダー
2aホルダー本体
2b回転軸
2cコの字形部
2d突起部
2e細径支持棒
3 噴射ノズル
4 ノズル部
4a・4b円筒部
4c開口
4d接続孔
5 貫通孔
6 ボルト
6aナット
7 軸受装置
7’軸受
8 頭部付きボルト
8a頭部
8bネジ部
9・9’・9”高圧洗浄液供給管
10 洗浄室
10b側壁
10c開口
11 固定式洗浄液供給管
12 スイベル継手
21 レバー
22 サーボモータ
23 クランク
23aカウンタウエイト
24 コネクチングロッド
25 クランクピン
26 ピストンピン
27 スリーブ状回転伝達部
31 ブロック体
32 高圧洗浄液供給路
33 貫通孔
34 Oリング
40 ネジ孔
41 サーボモータ
42 伝達部
43 駆動機構
44 サーボモータ
45 伝達部
50 駆動機構
51・52 ピストンクランク機構
52aピストン部
53 スプライン機構
53a外筒部
53b軸受
54 回転連結部
54a軸受
55 コの字状カバー体
55a支軸
55b軸受
56 連結杆
60 第2駆動回転軸
60a・64aギヤ
61 モーター
62・63 ギヤ機構
63a・63bベベルギヤ
64 第3駆動回転軸
65 クランク
65aピストン部
67 第1駆動回転軸
68 クランク
68a軸受
68bピストン部
69 レバー
x 洗浄対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の高圧洗浄液噴射ノズルをバー状ホルダーの長手方向に沿って一定の間隔をあけて配列するとともに、前記ホルダーをその両側方で長手方向の軸回りに回転可能に支持し、洗浄対象物を前記ホルダーに対し一定速度で搬送しながら、前記ホルダーを所定回転角度内で前後方向に往復回転させながら各噴射ノズルから高圧洗浄液を前記洗浄対象物に対し一本の直線状に噴射させて洗浄する高圧洗浄液噴射式洗浄装置であって、
前記ホルダーを前記洗浄対象物を横切る長さ以上の長さにし、前記洗浄対象物の搬送方向に対し直交または傾斜させて配置したことを特徴とする高圧洗浄液噴射式洗浄装置。
【請求項2】
前記ホルダーの下面に前記各噴射ノズルを長手方向に沿って配列するとともに、
前記ホルダー本体の長手方向に沿って高圧洗浄液供給路を直線状にかつ前記各噴射ノズルに連通させて穿設し、
前記高圧洗浄液供給路の端部に可撓性の高圧洗浄液供給管の一端を接続し、
前記ホルダーの両側面に回転軸を一体回転可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の高圧洗浄液噴射式洗浄装置。
【請求項3】
前記ホルダーが断面方形のブロック体で、前記回転軸の一端に他方を開口した角筒部を一体に設け、各角筒部の開口内に前記ブロック体の両側部をそれぞれ嵌挿して前記角筒部および前記ブロック体の端部を一連に貫通するボルトにて一体的に固定したことを特徴とする請求項1または2に記載の高圧洗浄液噴射式洗浄装置。
【請求項4】
前記ホルダーをその両側方で前後方向に回転可能に支持するとともに、その長手方向に移動可能に支持し、
前記ホルダーを前記洗浄対象物の搬送方向に対し直交させて配置し、
前記ホルダーを前後方向に所定回転角度内で往復回転させると同時に、長手方向に所定寸法内で往復移動させるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高圧洗浄液噴射洗浄装置。
【請求項5】
共通のモーターにより前記ホルダーの回転軸に対し長手方向の往復移動を許容しかつ前後方向に往復回転可能な回転力を付与するとともに、前記ホルダーの回転軸に対し前後方向の回転を許容しかつ長手方向に往復移動可能な直動力を付与することを特徴とする請求項4に記載の高圧洗浄液噴射式洗浄装置。
【請求項6】
前記ホルダーの前後方向への往復回転ストローク距離と前記ホルダーの長手方向への往復移動ストローク距離とを一致させたことを特徴とする請求項4または5に記載の高圧洗浄液噴射式洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−50327(P2010−50327A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−213878(P2008−213878)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(308007505)カワサキプラントシステムズ株式会社 (51)
【Fターム(参考)】