説明

5−HT2A拮抗薬としてのアリールスルホニルベンゾ縮合複素環

式Iの化合物は、5−HT2A受容体の強力な、選択的な拮抗薬であり、したがって、種々のCNS障害の治療に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(5−ヒドロキシトリプタミンまたは5−HT受容体としても知られる)セロトニン受容体に作用するスルホニル誘導体のクラスに関する。より詳細には、本発明は、アリールスルホニル置換ベンゾ縮合複素環の特定のクラスに関する。
【背景技術】
【0002】
これらの化合物は、ヒト5−HT2A受容体の強力な選択的な拮抗薬であり、したがって、特に、不眠症などの睡眠障害、統合失調症などの精神異常および不安神経症などの精神障害を含めた中枢神経系の悪い状態の治療および/または予防において、医薬品として有用である。
【0003】
本発明の化合物は、D、5HT2CおよびIKr受容体などの他のヒト受容体に比べて、ヒト5−HT2A受容体へのより有効な結合を一般的に示す。これらは、したがって、このような受容体との結合親和力において選別しない化合物に比べて、より少しの副作用しか示さないことが期待できる。とりわけ、これらの化合物は、IKr受容体により低い影響しか有さず、心臓への影響などの副作用からの、所望の効果の分離がある。
【0004】
この強力なヒト5−HT2A受容体拮抗薬活性のため、本発明の化合物は、不眠症などの睡眠障害、統合失調症、およびうつ病などの精神異常、不安神経症、パニック障害、強迫性障害、疼痛、拒食症などの摂食障害、LSDまたはMDMAなどの麻薬性鎮痛薬に関係した依存症または急性毒性を含めた神経学的状態の治療において有効であり、さらに、神経弛緩薬の投与に関係した錐体外路系症状の制御において有益である。これらは、眼圧の低下に、したがって緑内障の治療にも有効であり、更年期の症状、とりわけ体のほてりの治療にも有効でありうる(Waldinger et al,Maturitas,2000,36,165−8を参照されたい)。
【0005】
とりわけスルホニル部分を含む化合物の様々なクラスは、WO2005/047246、WO2005/047247、WO03/099786、WO01/74797、WO2004/101518、WO00/43362、WO96/35666、EP−A−0261688、EP−0304888、および米国特許4,218,455および4,128,552、DE−A−3901735およびFletcher et al,J.Med.Chem.,2002,45,492−503に開示されている。これらの刊行物のいずれもが、しかしながら、本明細書で提供している化合物の特定のクラスを開示または提案していない。
【発明の開示】
【0006】
本発明による化合物は、強力な、選択的な5−HT2A受容体拮抗薬であり、100nM以下の、一般的には50nM以下および好ましくは10nM以下の、ヒト5−HT2A受容体結合親和力(Ki)を適切に有する。本発明の化合物は、ヒトのドーパミンDおよび/またはヒトのIKr受容体に比べて、ヒトの5−HT2A受容体への少なくとも10倍の選択的親和性、一般的には少なくとも50倍の選択的親和性を有する。ある化合物は、また、ヒトの5−HT2c受容体に比べて、少なくとも10倍の選択性を示す。
【0007】
本発明によれば、式I
【0008】
【化2】

[式中、
tは、1または2であり、
W、XおよびYは、ベンゾ縮合複素芳香族環系を完成し(ここで、ベンゾ縮合複素芳香族環系は、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾールから選択される。)、ここで、Wは、Nを表し、前記環系は、ハロゲン、CNおよびC1〜4アルキルから選択される置換基を場合によって有し、
Arは、2個までの環窒素原子を含む、フェニルまたは6員ヘテロアリールを表し、前記フェニルまたはヘテロアリールは、0から3個の置換基を有し(ここで、0から3個の置換基は、ハロゲン、CN、CF、OCF、C1〜6アルキル、OH、C1〜6アルコキシまたはヒドロキシC1〜6アルキルから選択される。)、
Arは、2個までの環窒素原子を含む、フェニルまたは6員ヘテロアリールを表し、前記フェニルまたはヘテロアリールは、0から3個の置換基を有し(ここで、0から3個の置換基は、ハロゲン、CN、ニトロ、R、OR、SR、SOR、SO、SONR、NR、CHNR、NRCOR、NRCO、NRCONR、NRSONR、COR、CO、CONR、CR=NORまたは5もしくは6員複素芳香族環(ここで、5もしくは6員複素芳香族環は、ハロゲン、CN、CF、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルアミノおよびジ(C1〜6)アルキルアミノから選択される2個までの置換基を場合によって有する。)から選択される。)、
およびRは、Hまたは7個までの炭素原子の炭化水素基を独立に表し(ここで、7個までの炭素原子の炭化水素基は、3個までのハロゲン原子で、またはCN、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、アミノ、C1〜4アルキルアミノまたはジ(C1〜4)アルキルアミノで場合によって置換されている。)、または、RおよびRは、RおよびRが、窒素原子を通して結合している場合一緒になって、4、5または6員の複素環の残基を表す(ここで、4、5または6員の複素環の残基は、ハロゲン、CN、CF、オキソ、OH、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシから選択される3個までの置換基を場合によって有する。)。]の化合物または薬学的に許容されるこの塩が提供される。
【0009】
変項が、式Iにおいてまたはこの置換基において1回以上出現する場合、この変項の個々の出現は、特別の定めのない限り、互いに独立している。
【0010】
本明細書で使用される「炭化水素基」という表現は、もっぱら炭素および水素原子からなる基を意味する。このような基は、個々にまたは炭素原子の指示された最大数と一致する任意の組合せで、直鎖、分枝または環状構造を含むことができ、飽和または不飽和であってよく、他に指示がない限り、炭素原子の指示された最大数がこれを許す場合に、芳香族を含む。
【0011】
本明細書で使用される「C1〜xアルキル」という表現(ここで、xは、1より大きい整数である。)は、直鎖および分枝のアルキル基を意味し、ここで、構成要素である炭素原子の数は、1からx個までの範囲である。特定のアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルおよびt−ブチルである。「C2〜6アルケニル」、「ヒドロキシC1〜6アルキル」、「ヘテロアリールC1〜6アルキル」、「C2〜6アルキニル」および「C1〜6アルコキシ」などの派生表現は、同様に解釈されるべきである。最も適切には、このような基における炭素原子の数は、6より大きくない。
【0012】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれ、これらのうちフッ素および塩素が、好ましく、フッ素が、とりわけ好ましい。
【0013】
本明細書で使用される「C3〜6シクロアルキル」という表現は、3から6個の環原子を含む非芳香族単環式炭化水素環系を意味する。例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘキセニルが含まれる。
【0014】
薬剤における使用については、式Iの化合物は、薬学的に許容される塩の形態であってよい。他の塩が、しかしながら、式Iの化合物またはこの薬学的に許容される塩の調製において有用でありうる。本発明の化合物の、適切な薬学的に許容される塩には、酸付加塩が含まれ、この酸付加塩は、例えば、本発明による化合物の溶液を、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸などの薬学的に許容される酸の溶液と混合することによって形成することができる。あるいは、本発明の化合物が酸性部分を有している場合に、薬学的に許容される塩を、前記酸性部分の、適切な塩基による中和によって形成することができる。このように形成された薬学的に許容される塩の例には、ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、およびアミン塩(ピリジニウム塩を含めた)および四級アンモニウム塩などの適切な有機塩基と形成された塩が含まれる。
【0015】
本発明による化合物が、1つまたはそれ以上の不斉中心を有する場合、これらは、したがって、光学異性体として存在することができる。本発明による化合物が、2つ以上の不斉中心を有する場合、これらは、さらに、ジアステレオ異性体として存在することができる。全てのこのような異性体および任意の割合におけるこれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることを理解されたい。
【0016】
式Iの化合物においては、tは、1または2である。好ましい実施形態においては、tは、2である。
【0017】
W、XおよびYは、上記で定義されたように場合によって置換されている、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェンまたはベンゾチアゾール環系を完成するのに必要な原子を表す。しかしながら、ベンゾチアゾール環系の場合においては、この配置は、WがNを表し、YがSを表すものである。置換基が存在するとき、これは、この環が置換基に結合できる原子を含む場合、縮合ベンゼン環に、または5員環に結合していてよい。例えば、インドール、インダゾール、ベンゾフランまたはベンゾチオフェン環の3位は、ハロゲン、CNまたはC1〜4アルキル置換基を有することができ、あるいはインドール環の1位は、C1〜4アルキル置換基を有することができる。置換された環系の適切な一例は、インドール−3−カルボニトリルである。一実施形態においては、環系は、置換されていない。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態においては、W、XおよびYは、場合によって置換されたインドール、インダゾール、ベンゾフランまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Wは、NH、N、OまたはSをそれぞれ表す。)を完成する。本実施形態内では、W、XおよびYは、好ましくは、場合によって置換されたインドールまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Wは、NHまたはSをそれぞれ表す。)を完成する。
【0019】
本発明の代わりの一実施形態においては、W、XおよびYは、場合によって置換されたインドール、ベンゾフランまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Yは、NH、OまたはSをそれぞれ表す。)を完成する。本実施形態内では、W、XおよびYは、好ましくは、場合によって置換されたベンゾチオフェン環系(ここで、Yは、Sを表す。)を完成する。
【0020】
Arは、上記で定義されたように場合によって置換された、フェニルまたは2個までの窒素原子を含む6員ヘテロアリールを表す。適切なヘテロアリール環には、ピリジン、ピリミジン、ピラジンおよびピリダジンが含まれるが、Arは、好ましくは、場合によって置換されたフェニルまたはピリジル、最も好ましくは、場合によって置換されたフェニルを表す。Arは、好ましくは、1または2個の置換基[ここで、1または2個の置換基は、ハロゲン(好ましくは、FまたはCl、最も好ましくは、F)、CN、C1〜4アルキル(特にメチル)、ヒドロキシメチル、OHおよびC1〜4アルコキシ(例えば、メトキシ)から適切に選択される。]を含む。Arの適切な実施形態には、フェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、4−フルオロ−2−メチルフェニル、4−フルオロ−2−ヒドロキシフェニル、4−クロロフェニル、2−ヒドロキシフェニル、2−シアノ−4−フルオロフェニル、4−フルオロ−2−メトキシフェニル、4−フルオロ−2−ヒドロキシメチルフェニルおよび2−メチルフェニルが含まれる。特定の一実施形態においては、Arは、フェニル、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルを表す。
【0021】
Arは、上記で定義されたように場合によって置換された、フェニルまたは2個までの窒素原子を含む6員ヘテロアリールを表す。適切なヘテロアリール環には、ピリジン、ピリミジン、ピラジンおよびピリダジンが含まれるが、Arは、好ましくは、場合によって置換された、フェニルまたはピリジル、最も好ましくは、場合によって置換されたフェニル、2−ピリジルまたは3−ピリジルを表す。Arは、好ましくは、0、1または2個の置換基、最も好ましくは、0または1個の置換基を含む。Arが、2個以上の置換基を有する場合、追加の置換基は、好ましくは、ハロゲン(例えば、FもしくはCl)またはC1〜4アルキル(例えば、メチル)である。代表的な置換基には、ハロゲン、CN、R、OR、SR、SOR、SO、SONR、NR、CHNR、COR、CO、CONR、CR=NORまたは5もしくは6員複素芳香族環[ここで、5もしくは6員複素芳香族環は、ハロゲン、CN、CF、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルアミノおよびジ(C1〜6)アルキルアミノから選択される2個までの置換基を場合によって有する。]が含まれ、好ましい置換基には、ハロゲン、CN、R、OR、SR、SOR、SO、CORおよびCONRが含まれる。
【0022】
Arが、置換基として、場合によって置換された5員複素芳香族環を有する場合、これは、適切には、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールまたはテトラゾール環(ここで、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールまたはテトラゾール環のいずれかは、一般的にメチルで、場合によって置換されている。)である。このような環は、炭素原子または窒素原子で結合していてよい。例には、ピラゾール−1−イル、イミダゾール−1−イルおよび2−メチル−1,2,4−トリアゾール−3−イルが含まれる。
【0023】
Arが、置換基として、場合によって置換された6員複素芳香族環を有する場合、これは、適切には、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンまたはトリアジン環(ここで、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンまたはトリアジン環のいずれかは、一般的に、メチルまたはハロゲンによって、場合によって置換されている。)である。一例は、2−ピリジルである。
【0024】
およびRは、一般的に、H、場合によって置換されたC1〜6アルキル(メチル、エチル、CF、プロピル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−シアノエチルおよび2−ヒドロキシエチルなどの)、場合によって置換されたC3〜6シクロアルキル(シクロプロピルおよび1−ヒドロキシシクロブチルなどの)またはC3〜6シクロアルキルC1〜4アルキル(シクロプロピルメチルなどの)を独立に表し、または、RおよびRは、RおよびRが、窒素原子を通して結合している場合、上記で定義された、3個までの置換基を場合によって有する、4、5または6員の複素環の残基を共に表す。このような環は、一般的に、RおよびRを連結している窒素原子を含めて、N、OおよびSから選択された、多くて2個のヘテロ原子を含み、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、テトラヒドロピリジン、ピペラジン、モルホリンおよびチオモルホリンである。NRで表される環式基の典型例には、アゼチジン−1−イル、3,3−ジフルオロアゼチジン−1−イル、3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル、ピロリジン−1−イル、3−ヒドロキシピロリジン−1−イル、3−フルオロピロリジン−1−イル、2−トリフルオロメチルピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、4−トリフルオロメチルピペリジン−1−イル、3−トリフルオロメチルピペリジン−1−イル、3−フルオロピペリジン−1−イル、3,3−ジフルオロピペリジン−1−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル、4−トリフルオロメチル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン−1−イル、4−メチルピペラジン−1−イル、3−オキソ−ピペラジン−1−イル、モルホリン−4−イル、2,6−ジメチルモルホリン−4−イルおよび1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イルが含まれる。
【0025】
が、Ar上に置換基として存在する場合、Rは、置換されたC1〜6アルキル、とりわけヒドロキシC1〜6アルキル(ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチルまたは2−ヒドロキシプロプ−2−イルなどの)、または置換されたC3〜6シクロアルキル(1−ヒドロキシシクロブチルなどの)をきわめて適切に表す。
【0026】
Arによって表される基の適切な例には、フェニル、2−シアノフェニル、3−シアノフェニル、4−シアノフェニル、2−カルバモイルフェニル、3−カルバモイルフェニル、4−カルバモイルフェニル、2−(1−ヒドロキシエチル)フェニル、2−(ヒドロキシメチル)フェニル、2−(2−ヒドロキシプロプ−2−イル)フェニル、2−アセチルフェニル、2−ホルミルフェニル、2−メチルチオフェニル、2−メチルスルフィニルフェニル、2−メチルスルホニルフェニル、2−(1−ヒドロキシシクロブチル)フェニルおよび6−(1−ヒドロキシエチル)ピリド−2−イルが含まれる。好ましい例には、フェニル、2−シアノフェニルおよび2−カルバモイルフェニルが含まれる。
【0027】
本発明の有用な特定の化合物には、以下に例示される化合物およびこの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0028】
本発明の化合物は、ヒト5−HT2A受容体の拮抗薬としての活性を有し、したがって、5−HT2A受容体活性によって媒介される障害の治療または予防に用途を見出す。
【0029】
本発明はまた、1種またはそれ以上の本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、滅菌点滴製剤または懸濁液、定量エアゾールまたは液体スプレー、ドロップ、アンプル、経皮貼布、自己注射器または坐薬;経口、非経口、経鼻、舌下または直腸投与、または吸入もしくは吹送による投与などの単位剤形である。主要な活性成分は、一般的に、製薬用担体、例えば、コーンスターチ、乳糖、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムおよび第二リン酸カルシウム、またはガム、分散剤、ソルビタンモノオレエートおよびポリエチレングリコールなどの懸濁化剤または界面活性剤などの、通常の錠剤化用材料、および他の製薬用希釈剤、例えば、水と混合されて、均質な、本発明の化合物、または薬学的に許容されるこの塩を含む予備製剤用組成物(preformulation composition)を形成する。これらの予備製剤用組成物が均質であると言及する場合には、活性成分が、(組成物が、錠剤、丸剤およびカプセルなどの等しく有効な単位剤形に容易に再分割できるように)組成物中に一様に分散されていることを意味する。この予備製剤用組成物は、次いで、本発明の活性成分の0.1から約500mgを含む、上記に記載されたタイプの単位剤形に再分割される。一般的な単位剤形は、活性成分の1から100mg、例えば、1、2、5、10、25、50または100mgを含む。新規の組成物の錠剤または丸剤は、コーティングまたは別に混ぜ合わせて持続性作用の利益を提供する剤形を提供することができる。例えば、錠剤または丸剤は、内側投薬成分および外側投薬成分を含むことができ、後者が前者の外皮の形態である。2つの成分は、胃での崩壊に抵抗し内部成分が損なわれずに十二指腸に通ることに、または放出において遅れることに役立つ腸溶層によって分離することができる。様々な材料が、このような腸溶層またはコーティング用に使用することができ、このような材料には、多くのポリマー酸およびポリマー酸の、シェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースのような材料との混合物が含まれる。
【0030】
本発明の新規組成物を、経口または注射による投与のために組み込むことができる液体形態には、水溶液、液体もしくはゲルが充てんされたカプセル、適切に香り付けされたシロップ、水性もしくは油性懸濁液、綿実油、ゴマ油もしくはココナッツ油などの食用油で香り付けされた乳液、ならびにエリキシル剤および同様の賦形剤が含まれる。水性懸濁液用に適切な分散または懸濁化剤には、トラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルピロリドン)またはゼラチンなどの合成および天然ガムが含まれる。
【0031】
本発明は、ヒトの身体の治療方法における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩も提供する。好ましくは、該治療は、5−HT2A受容体活性によって媒介される状態のためである。
【0032】
本発明は、5−HT2A受容体活性によって媒介される状態の治療または予防用の薬剤の製造における、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩の使用をさらに提供する。
【0033】
同様に、開示されているのは、5−HT2A受容体活性によって媒介される状態を患っているか、または患いがちである対象の治療方法であり、この治療方法は、式Iによる化合物または薬学的に許容されるこの塩の治療有効量を、この対象に投与することを含む。
【0034】
本発明の一態様においては、5−HT2A受容体活性によって媒介される状態は、睡眠障害、とりわけ不眠症である。本発明のさらなる一態様においては、5−HT2A受容体活性によって媒介される状態は、精神異常(統合失調症などの)、うつ病、不安神経症、パニック障害、強迫性障害、疼痛、緑内障、摂食障害(拒食症などの)、LSDまたはMDMAなどの麻薬性鎮痛薬に関係した依存症または急性毒性および更年期に伴う体のほてりから選択される。
【0035】
例えば、不眠症または統合失調症の、本明細書で想定される治療において、適切な用量レベルは、1日あたり約0.01から250mg/kg、好ましくは1日あたり約0.05から100mg/kg、特には1日あたり約0.05から5mg/kgである。化合物は、1日あたり1から4回のレジメンで投与することができるが、好ましくは例えば就寝前に1日あたり1回である。
【0036】
必要に応じて、本発明による化合物は、別の睡眠薬または抗統合失調症薬または抗不安薬と一緒に同時投与することができる。このような同時投与は、患者に、他の通常の薬剤を関与させる、入眠または抗統合失調症または抗不安治療レジメンが既に実施されている場合に、望ましいことがある。とりわけ、睡眠障害の治療用には、本発明の化合物は、ガボキサドールなどのGABA受容体作用薬と一緒に、またはゾルピデムなどの短時間および/または速効性睡眠薬、またはベンゾジアゼピン、バルビツール酸系催眠薬、プロキネチシン調節薬(prokineticin modulator)、抗ヒスタミン剤、トラゾドンまたはWO03/068148に開示されたトラゾドンの誘導体と一緒に同時投与することができる。
【0037】
本発明のさらなる一態様によれば、睡眠障害、統合失調症またはうつ病の治療または予防における使用のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物およびガボキサドールの組合せが、提供される。
【0038】
同様に、本発明によれば、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物を、ガボキサドールと一緒に、これを必要とする対象に投与することを含む、睡眠障害、統合失調症またはうつ病の治療または予防方法が提供される。
【0039】
本明細書で使用される「と一緒に」という表現は、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物、およびガボキサドールの両方の治療有効量が、対象に投与されることを必要とするが、これが達成される方法を制限しない。したがって、この2種は、対象への同時投与用に、単一剤形に組み合わすことができ、または、対象への同時または順次投与用に、別々の剤形で提供することができる。順次投与は、時間が近くてよく、または時間が離れて、例えば、1種類を朝に投与し、もう一方を夕方に投与してよい。別々の種類は、同じ頻度で、または異なる頻度で、例えば、1種類を1日あたり1回、もう一方を1日あたり2回以上投与することができる。別々の種類は、同じ経路で、または異なる経路で、例えば、1種類を経口で、もう一方を非経口で投与することができるが、可能であれば、両方の種類とも経口投与が好ましい。
【0040】
本発明のさらなる一態様によれば、薬学的に許容される担体中に、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物およびガボキサドールを含む、医薬組成物が提供される。
【0041】
本発明は、睡眠障害、統合失調症またはうつ病の治療または予防用の薬剤の製造のための、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物、およびガボキサドールの使用をさらに提供する。
【0042】
本発明は、式Iの化合物または薬学的に許容されるこの塩または水和物を含む第1の薬剤、およびガルボキサドールを含む第2の薬剤を、睡眠障害、統合失調症またはうつ病を患っている患者に、前記薬剤を、順次に、または同時に投与するための指示書と一緒に含むキットをさらに提供する。
【0043】
本明細書で使用される「ガルボキサドール」という用語は、遊離塩基または双性イオン形態の4,5,6,7−テトラヒドロイソオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−3−オールを含み、また、塩酸塩などの、薬学的に許容されるこの酸付加塩を含む。最も適切には、ガルボキサドールは、双性イオン形態の結晶性一水和物の形態である。
【0044】
式Iの化合物は、式(1)
【0045】
【化3】

の化合物と、Ar−Z[ここで、ZおよびZの1つは、SHであり、もう1つは、ハロゲン(特に、BrもしくはI)であり、Ar、Ar、W、XおよびYは、上記と同じ意味を有する。]との反応と、これに次いでの、得られるチオエーテルの酸化によって得ることができる。上記反応は、高温で、プロパン−2−オールなどの溶媒中において、塩基およびヨウ化銅(I)の存在下で行う。酸化ステップにおいては、酸化剤の1モル当量の使用は、tが1である、式Iのスルホキシドを提供する。過剰な酸化剤の使用は、tが2である、対応するスルホンを提供する。適切な酸化剤には、m−クロロペルオキシ安息香酸およびOxone(商標)が含まれる。
【0046】
tが2である、式Iのスルホンへの代わりの経路は、化合物(1)と、Ar−Z[ここで、ZおよびZの1つは、SONaであり、もう1つは、ハロゲン(特に、BrもしくはI)である。]との反応を含む。上記反応は、DMSO溶液中で、高温で、CuIの存在下で実施することができる。別法として、これを、還流トルエン溶液中で、CsCO、第四級ハロゲン化アンモニウム、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンタンおよびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)の存在下で実施することができる。
【0047】
上記の合成は、一般的に、Zがハロゲンを表し、ZがSHまたはSONaを表す場合に、この逆に比べて、より好都合に実施されるが、これは、必須ではない。
【0048】
式(1)の化合物は、複素環化学合成の従来の経路で得ることができる。適切な出発材料は、式(2)
【0049】
【化4】

の化合物(ここで、Zは、上記と同じ意味を有し、WおよびYは、下記に定義される通りである。)を含む。
【0050】
したがって、WがNHを表すインドールは、ヨードアニリン(2)(W=NH、Y=I)とアルキンのAr−CH≡CH(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する。)との反応で調製することができる。上記反応は、THF中のCuI、(PPh)PdClおよびトリエチルアミンの存在下で、次いでの水酸化カリウムでの処理を用いて行う。
【0051】
WがSを表すベンゾチオフェンは、エタノールKOH中でのチオフェノール(2)(W=SH、Y=H)と2−ブロモアセトフェノンArCOCHBr(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する。)との反応、およびこの生成物のポリリン酸での処理によって調製することができる。YがSを表すベンゾチオフェンは、フルオロベンズアルデヒド(2)(W=CHO、Y=F)とベンジルメルカプタンArCHSH(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する。)との反応によって調製することができる。上記反応は、DMF中で、炭酸カリウムの存在下で行う。
【0052】
WがOを表すベンゾフランは、フェノールホスホニウム塩(2)(W=OH、Y=CHPhBr)とベンゾイルクロリドArCOCl(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する)との反応によって調製することができる。上記反応は、トルエン中で、トリエチルアミンの存在下で行う。
【0053】
WがNを表すベンゾチアゾールは、ブロモアニリン(2)(W=NH、Y=Br)とArCOCl(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する)との反応、およびこの生成物のローソン試薬での処理、次いで水酸化ナトリウムでの処理によって調製することができる。
【0054】
WがNを表すインダゾールは、ニトロベンズアルデヒド(2)(W=NO、Y=CHO)とアニリンArNH(ここで、Arは、上記と同じ意味を有する)との反応、および得られるイミンの亜リン酸トリエチルでの処理によって調製することができる。
【0055】
式Iの化合物の合成の代わりの方法においては、化合物(2)、またはこの前駆物質を、化合物(1)について記載された方法で、Ar−Zと反応させ、5員環を、上記で概要を述べた方法を用いて、最終ステップとして形成する。
【0056】
上記の方法のいずれかから初めに得られる、式Iの化合物のいずれも、必要に応じて、次いで、当技術分野から知られる技術を用いて、さらなる所望の式Iの化合物に合成することができることを理解されたい。例えば、ArまたはAr上に表れる臭素置換基は、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)の存在下のシアン化銅(I)での処理、またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)の存在下のシアン化亜鉛での処理によって、シアノで置換することができる。これにより得られたシアノ基は、鉱酸、例えば85%硫酸中、100℃で加熱することによって、または、一般的に、テトラヒドロフラン還流下のカリウムトリメチルシラノレートでの処理によって、または、アルカリ性過酸化水素での処理によってカルボキシアミドに転換することができる。同様に、Ar上に表れるフッ素置換基は、一般にDMSO中での加熱を用いる、HNR、または適切な、場合によって置換されたN含有ヘテロアリール化合物での処理によって、NR、または場合によって置換されたN結合のヘテロアリール部分(例えば、イミダゾール−1−イル、ピラゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イルまたは1,2,4−トリアゾール−1−イル)によって置換することができる。同様に、Ar上に表れる臭素置換基は、適切な複素芳香族化合物のトリブチルスタンニル誘導体(例えば、2−メチル−5−トリブチルスタンニルテトラゾールまたは1−メチル−5−トリブチルスタンニル−1,2,4−トリアゾール)と、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などの遷移金属触媒の存在下で、一般的にN,N−ジメチルホルムアミドなどの溶媒中で加熱しながら反応させることによって、場合によって置換されたC結合の5員複素芳香族環(例えば、2−メチルテトラゾール−5−イルまたは1−メチル−1,2,4−トリアゾール−5−イル)によって置換することができる。Ar上に表れるシアノ置換基は、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL−H)還元および加水分解によって、CHOに転換することができる。Ar上に表れるCHO置換基は、HNRおよびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムでの処理によって、CHNRに転換することができる。Ar上に表れる置換されたCORは、還元(例えば、水素化ホウ素ナトリウムを用いる)によって、CH(OH)Rに、またはRMgHal(ここで、Halは、Cl、BrまたはIである。)での処理によって、CR(OH)Rに転換することができる。
【0057】
このようなプロセスは、Ar−Zなどの式Iの化合物の適切に置換された前駆物質を調製することにも使用することができる。
【0058】
シアノ基は、DMF中での、置換されていない化合物の、POClでの処理、次いでの、得られる生成物の、還流酢酸中での、酢酸ナトリウムおよび亜硝酸エチルでの処理によって、インドール環系の3位に導入することができる。
【0059】
これらが、これら自体市販されていない場合、上記の出発材料および試薬は、周知の合成手順および/または本明細書の実施例の節に開示される方法を用いて、市販の前駆物質から得ることができる。
【0060】
本発明の使用の化合物の調製のための、上記に記載されたプロセスが、立体異性体の混合物を生じる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの通常の技術で分離することができる。化合物は、ラセミ体で調製することができ、または個別の光学異性体は、エナンチオ特異的合成によって、または分割によってのいずれかで、調製することができる。化合物は、例えば、分取HPLC、または光学活性酸(ジ−p−トルオイル−D−酒石酸および/またはジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの)を用いた塩形成によるジアステレオマー対の形成、次いでの分別晶出および遊離塩基の再生などの、標準的な技術によって、これらの成分の光学異性体に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステルまたはアミドの形成、次いでのクロマトグラフ分離およびキラル補助基の除去によっても分離することができる。
【0061】
上記の合成順序のいずれかの間、関係した分子のいずれかにおける感受性または反応性の基を保護することが必要であり、および/または望ましくありうる。これは、通常の保護基(Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;およびT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1991に記載されたものなどの)を用いて達成することができる。保護基は、当技術から周知の方法を用いて、好都合なその後の段階において除去することができる。
【0062】
化合物を、Fletcher et al,J.Med.Chem.,2002,45,492−503に記載された方法を用いて、5−HT2A受容体、および5−HT2CおよびIKrなどの他の受容体へのこれらの結合に関して試験した。
【0063】
(実施例)
【実施例1】
【0064】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール
ステップ1
スルファニル酸(10g、0.52mmol)、ベンゼン(4.7g、0.56mmol)、無水トリフルオロ酢酸(42g)の混合物を、3時間加熱還流した。この溶媒を、真空中で除去し、この残渣を、10%水酸化ナトリウム水溶液中に溶解し、100℃で15分間加熱した。得られた白色沈殿を、ろ別し、水で洗浄し、乾燥して[4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミンを得た。δ(400MHz,d DMSO):7.83〜7.81(2H,m)、7.61〜7.51(5H,m)、6.62〜6.58(2H,m)、6.15(2H,s)。
【0065】
ステップ2
[4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミン(ステップ1、2.33g、10mmol)を、濃HCl(20mL)中に懸濁し、5℃に冷却した。水中の亜硝酸ナトリウム(720mg、10mmol)の溶液を、一滴ずつ添加した。この反応物を、30分間撹拌した。濃HCl(20mL)中の塩化スズ(II)二水和物を、一度に添加した。この反応を停止し、30分間放置した。この混合物を、氷上に注ぎ、水酸化ナトリウムで塩基性化し、酢酸エチル(×4)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させて[4−(フェニルスルホニル)フェニル]ヒドラジンを得た。δ(500MHz,d DMSO):10.53(2H,s)、9.11(1H,s)、7.88(2H,d,J=7.4Hz)、7.82(2H,d,J=8.7Hz)、7.64〜7.56(3H,m)、7.06〜7.03(2H,m)。
【0066】
ステップ3
エタノール(10mL)中の[4−(フェニルスルホニル)フェニル]ヒドラジン(ステップ2、248mg、1mmol)、2’,4’−ジフルオロアセトフェノン(156mg、1mmol)および酢酸ナトリウム(200mg、2.4mmol)の混合物を、2時間加熱還流した。この冷却した反応混合物を、水中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、MgSOで乾燥し、蒸発させた。この残渣を、酢酸エチルで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、1−(2,4−ジフルオロフェニル)エタノン[4−(フェニルスルホニル)フェニル]ヒドラジンを得、この1−(2,4−ジフルオロフェニル)エタノン[4−(フェニルスルホニル)フェニル]ヒドラジンを、無水塩化亜鉛(545mg、4mmol)と混合し、180℃で3時間加熱した。この冷却した反応フラスコを、粉砕し、水および酢酸エチルで磨砕して、この生成物を抽出した。この有機層を、MgSOで乾燥し蒸発させた。この残渣を、酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得た。δ(400MHz,CDCl):9.05(1H,s)、8.30(1H,s)、7.96〜7.94(2H,m)、7.76〜7.70(2H,m)、7.51〜7.43(4H,m)、7.01〜6.93(3H,m)。
【実施例2】
【0067】
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール−3−カルボニトリル
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール(実施例1、185mg、0.5mmol)を、塩化ホスホリル(0.1mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)の混合物に添加し、100℃で1時間加熱した。この反応混合物を、水中に注ぎ入れ、15分間撹拌し、次いで、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、MgSOで乾燥し、蒸発させた。この残渣を、酢酸(1mL)中の酢酸ナトリウム(164mg、2mmol)および亜硝酸エチル(2.5mmol)の混合物に添加し、16時間加熱還流した。この反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、水および炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。この残渣を、酢酸エチルから再結晶化して、表題化合物を得た。δ(500MHz,CDCl):13.15(1H,s)、8.29(1H,d,J=1.4Hz)、8.02(2H dd,J=1.4,7Hz)、7.92〜7.84(2H,m)、7.77(1H,d,J=8.7Hz)、7.69〜7.60(4H,m)、7.43〜7.39(1H,m)。
【実施例3】
【0068】
2−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチエン−5−イルフェニルスルホン
ステップ1
ピリジン(20mL)中の4−(フェニルスルホニル)フェノール(JP63255259に従って調製された、2.32g、9.9mmol)およびトリフルオロメタンスルホン酸無水物(3g、10.6mmol)を、0℃で混合し、16時間撹拌し、放置して室温に戻した。この溶媒を、真空中で除去した。この残渣を、酢酸エチルに溶解し、10%クエン酸およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。この残渣を、トルエンで共沸して、4−(フェニルスルホニル)フェニルトリフルオロメタンスルホネート(3.28g、90%)を得た。δ(500MHz,CDCl):8.07〜8.04(2H,m)、7.97〜7.95(2H,m)、7.63〜7.60(1H,m)、7.56〜7.53(2H,m)、7.43〜7.40(2H,m)。
【0069】
ステップ2
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、0.36g、9mmol)を、0℃で、テトラヒドロフラン(20mL)中のトリイソプロピルシリルスルフィド(1.7g、9mmol)に添加した。この反応物を、0℃で5分間、次いで室温で20分間撹拌した。トルエン(20mL)中の4−(フェニルスルホニル)フェニルトリフルオロメタンスルホネート(ステップ1、3.28g、9mmol)を、添加し、この混合物を脱気した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(688mg)を、添加し、この反応物を、1時間加熱還流し、次いで室温で16時間撹拌した。この反応混合物を、水および酢酸エチルで分配した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、50%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、4−(フェニルスルホニル)ベンゼンチオール(1g、44%)を得た。
【0070】
ステップ3
エタノール(10mL)中の4−(フェニルスルホニル)ベンゼンチオール(ステップ2、125mg、0.5mmol)、2−ブロモ−1−(4−フルオロフェニル)エタノン(69mg、0.5mmol)および水酸化カリウム(28mg、0.5mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を、水中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させて、油を得、この油を、ポリリン酸(2mL)中に溶解し、130℃で16時間加熱した。この冷却した反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、炭酸水素ナトリウムおよびブラインで洗浄し、蒸発させた。この残渣を、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物を得た。δ(500MHz,d DMSO):8.35(1H,d,J=8.6Hz)、8.34(1H,s)、8.08(1H,s)、7.98(2H,d,J=7.5Hz)、7.89(1H,dd,J=1.68,8.5Hz)、7.69〜7.66(3H,m)、7.60(2H,t,J=7.6Hz)、7.44(2H,t,J=8.8Hz)。
【実施例4】
【0071】
2−フェニル−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール
ステップ1
メタノール(30mL)中の塩化ヨウ素(1.94g、12mmol)を、メタノール(20mL)中の[4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミン(実施例1ステップ1、2.33g、10mmol)および炭酸カルシウム(2.0g、20mmol)の混合物に添加した。この反応物を、室温で72時間撹拌した。この反応混合物を、ろ過し、ろ液を蒸発させた。この残渣を、酢酸エチルに溶解し、亜硫酸ナトリウムおよびブラインで洗浄し、次いで蒸発させた。この残渣を、ジエチルエーテルと共に粉砕して、[2−ヨード−4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミン(2.3g)を得た。δ(400MHz,d DMSO):7.99(1H,d,J=2.1Hz)、7.87〜7.85(2H,m)、7.64〜7.54(4H,m)、6.77(1H,d,J=8.6Hz)、6.24(2H,s)。
【0072】
ステップ2
テトラヒドロフラン(5mL)中の[2−ヨード−4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミン(ステップ1、359mg、1mmol)、フェニルアセチレン(150mg、1.5mmol)、ヨウ化銅(I)(19mg、0.1mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(70mg、0.1mmol)およびトリエチルアミン(303mg、3mmol)の混合物を、脱気し、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、1−メチル−2−ピロリジノン(5mL)に溶解し、水素化カリウム(油中35%、0.4mL)を添加した。この反応物を、16時間撹拌し、次いで、塩化アンモニウム飽和水溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。この有機層を、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、20〜25%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(110mg、33%)を得た。δ(500MHz,d DMSO):12.12(1H,s)、8.23(1H,d,J=1.0Hz)、7.95(2H,d,J=7.3Hz)、7.88(2H,d,J=7.5Hz)、7.64〜7.57(5H,m)、7.50(2H,t,J=7.7Hz)、7.38(1H,t,J=7.4Hz)、7.12(1H,d,J=1.3Hz)。
【実施例5】
【0073】
2−(4−フルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール
テトラヒドロフラン(5mL)中の[2−ヨード−4−(フェニルスルホニル)フェニル]アミン(実施例4ステップ1、359mg、1mmol)、4−フルオロフェニルアセチレン(150mg、1.5mmol)、ヨウ化銅(I)(19mg、0.1mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(70mg、0.1mmol)およびトリエチルアミン(303mg、3mmol)の混合物を、脱気し、室温で3時間撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、水酸化アンモニウム溶液で洗浄した。この有機層を、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、次いで、1−メチル−2−ピロリジノン(2mL)に溶解した。カリウムtert−ブトキシド(224mg、2mmol)を、添加し、この反応物を、2日間撹拌した。この反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、半飽和ブライン(×5)で洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させて、表題化合物(240mg、68%)を得た。δ(400MHz,d DMSO):12.13(1H,s)、8.23(1H,d,J=1.5Hz)、7.97〜7.90(4H,m)、7.65〜7.56(5H,m)、7.35(2H,t,J=8.8Hz)、7.10(1H,d,J=1.4Hz)。
【実施例6】
【0074】
2−(2−フルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1H−インドール
2−フルオロフェニルアセチレンを用いて、実施例5の方法に従って調製した。δ(500MHz,d DMSO):12.07(1H,s)、8.28(1H,d,J=1.5Hz)、7.93〜7.87(3H,m)、7.65〜7.55(5H,m)、7.45〜7.33(3H,m)、7.11(1H,d,J=2.2Hz)。
【実施例7】
【0075】
2−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチエン−6−イルフェニルスルホン
ステップ1
N,N−ジメチルホルムアミド(16mL)中の4−ブロモ−2−フロロベンズアルデヒド(1.0g、4.93mmol)、4−フルオロベンジルメルカプタン(666μL、5.42mmol)および炭酸カリウム(2.38g、17.2mmol)の混合物を、80℃で、次いで150℃で終夜5時間撹拌した。この冷却した反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチル(×4)で抽出した。合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、6−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン(400mg、26%)を得た。δ(500MHz,CDCl):7.96(1H,s)、7.66(2H,dd,J=5.2,8.6Hz)、7.61(1H,d,J=8.4Hz)、7.45(1H,d,J=8.4Hz)、7.41(1H,s)、7.13(2H,t,J=8.6Hz)。
【0076】
ステップ2
トルエン(5mL)中の6−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−1−ベンゾチオフェン(ステップ1、50mg、0.16mmol)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(32mg、0.195mmol)、炭酸セシウム(80mg、0.24mmol)およびテトラブチルアンモニウムクロリド(54mg、0.195mmol)の混合物を、3回の凍結融解サイクルによって脱気した。4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンタン(9mg、0.016mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(7.5mg、0.008mmol)を、添加し、この反応物を、上記の通りに脱気し、次いで、窒素下で終夜加熱還流した。この冷却した反応混合物を、ジクロロメタン(10mL)で希釈し、水(×2)で洗浄した。この水層を、ジクロロメタンで逆抽出し、合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、0〜20%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(32mg、53%)を得た。δ(500MHz,CDCl):8.47(1H,s)、8.00〜7.98(2H,m)、7.86〜7.82(2H,m)、7.68〜7.66(2H,m)、7.57〜7.49(4H,m)、7.16〜7.12(2H,m)。
【実施例8】
【0077】
2−(4−フルオロフェニル)−6−(フェニルスルホニル)−1,3−ベンゾチアゾール
ステップ1
ピリジン(25mL)中の2,4−ジブロモアニリン(5g、19.9mmol)および4−フルオロベンゾイルクロリド(2.35μL、19.9mmol)の混合物を、窒素下で、2時間撹拌還流した。この冷却した反応混合物を、ジクロロメタンおよび水で分配した。この水層を、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、5N HCl、2N NaOH、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮して、N−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フルオロベンズアミド(7.3g、98%)を得た。δ(500MHz,CDCl):8.45(1H,d,J=8.8Hz)、8.33(1H,s)、7.94〜7.92(2H,m)、7.74(1H,d,J=2.2Hz)、7.50(1H,dd,J=2.1,8.8Hz)、7.20(2H,t,J=8.6Hz)。
【0078】
ステップ2
トルエン(100mL)中のN−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フルオロベンズアミド(ステップ1、5g、13.4mmol)および2,4−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド(8.13g、20.1mmol)の混合物を、80℃で、窒素下で、終夜撹拌した。この冷却した反応混合物を、ろ過し、このろ液を、シリカゲル上に吸着し、35〜50%ジクロロメタン/イソヘキサンで溶出する、フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、次いで、エタノールから再結晶化して、N−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フルオロベンゼンカルボチオアミド(3.39g、65%)を得た。δ(400MHz,CDCl):9.10(1H,s)、8.49(1H,s)、7.91(2H,dd,J=5.3,8.6Hz)、7.81(1H,d,J=2.1Hz)、7.51(1H,dd,J=2.0,8.7Hz)、7.15〜7.09(2H,m)。
【0079】
ステップ3
1−メチル−2−ピロリジノン(6mL)中のN−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フルオロベンゼンカルボチオアミド(ステップ2、1g、2.57mmol)に、水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、113mg、2.83mmol)を、少しずつ添加した。この反応物を、140℃で、2時間、窒素下で撹拌した。この冷却した反応混合物を、水で希釈し、得られた沈殿を、ろ別し、水で洗浄し、エタノールと共に粉砕して、6−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−1,3−ベンゾチアゾール(599mg、76%)を得た。δ(400MHz,CDCl):8.09〜8.03(3H,m)、7.90(1H,d,J=8.6Hz)、7.59(1H,dd,J=2.0,8.6Hz)、7.22〜7.16(3H,m)。
【0080】
ステップ4
表題化合物を、実施例7ステップ2の方法に従って、6−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−1,3−ベンゾチアゾール(ステップ3)から調製した。m/z(ES)370[MH]。
【実施例9】
【0081】
2−(4−フルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−1−ベンゾフラン
ステップ1
5−ヨードサリチル酸(10g、37.88mmol)を、テトラヒドロフラン(177mL)に溶解し、0℃に冷却した。ボランメチルスルフィド錯体(テトラヒドロフラン中2M、28.4mL、56.82mmol)を、一滴ずつ添加し、この反応物を、放置して室温に戻し、次いで、4時間加熱還流した。この冷却した反応混合物を、10%HCl(40mL)でクエンチし、終夜室温で撹拌した。この溶媒を、部分的に蒸発させ、この残渣を、酢酸エチル中に注ぎ入れ、水、飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和塩化アンモニウムで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、イソヘキサンと共に粉砕して、2−(ヒドロキシメチル)−4−ヨードフェノール(7.27g、77%)を得た。δ(400MHz,d DMSO):9.63(1H,s)、7.54(1H,d,J=2.3Hz)、7.33(1H,dd,J=2.4,8.3Hz)、6.59(1H,d,J=8.4Hz)、5.05(1H,t,J=5.7Hz)、4.41(2H,d,J=5.2Hz)。
【0082】
ステップ2
2−(ヒドロキシメチル)−4−ヨードフェノール(ステップ1、7.27g、29.08mmol)を、アセトニトリル(18mL)中でトリフェニルホスフィン臭化水素酸塩(9.98g、29.08mmol)と混合した。この反応物を、4時間加熱還流した。得られた沈殿を、ろ別し、アセトニトリルで洗浄し、乾燥して、(2−ヒドロキシ−5−ヨードベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(10.17g、61%)を得た。δ(400MHz,d DMSO):10.13(1H,s)、7.90〜7.86(3H,m)、7.73〜7.65(12H,m)、7.39〜7.37(1H,m)、6.99(1H,t,J=2.4Hz)、6.55(1H,d,J=8.5Hz)、4.85(2H,d,J=15.0Hz)。
【0083】
ステップ3
(2−ヒドロキシ−5−ヨードベンジル)(トリフェニル)ホスホニウムブロミド(ステップ2、2g、3.47mmol)、4−フルオロベンゾイルクロリド(0.411mL、3.47mmol)およびトリエチルアミン(2.75mL)を、トルエン(18mL)中で混合し、窒素下で、6時間加熱還流した。得られた沈殿を、ろ別し、このろ液を、真空中で濃縮した。この残渣を、酢酸エチルおよび飽和炭酸水素ナトリウム溶液で分配した。この有機層を、2N HClおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、蒸発させた。この残渣を、5%ジクロロメタン/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、2−(4−フルオロフェニル)−5−ヨード−1−ベンゾフラン(349mg、30%)を得た。δ(400MHz,CDCl):7.89(1H,d,J=1.6Hz)、7.83〜7.79(2H,m)、7.53(1H,dd,J=1.7,8.6Hz)、7.27(1H,d,J=8.6Hz)、7.16〜7.12(2H,m)、6.86(1H,s)。
【0084】
ステップ4
プロパン−2−オール(5mL)中の2−(4−フルオロフェニル)−5−ヨード−1−ベンゾフラン(ステップ3、100mg、0.30mmol)、チオフェノール(30μL、0.30mmol)、エチレングリコール(33μL、0.59mmol)、炭酸カリウム(82mg、0.59mmol)およびヨウ化銅(I)(2.8mg、0.015mmol)の混合物を、窒素下で、終夜加熱還流した。この反応混合物を、水およびジクロロメタンで分配した。この水層を、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、0〜1%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、2−(4−フルオロフェニル)−5−(フェニルチオ)−1−ベンゾフラン(18mg、19%)を得た。δ(500MHz,CDCl):7.84〜7.82(2H,m)、7.69(1H,d,J=1.5Hz)、7.48(1H,d,J=8.5Hz)、7.38(1H,dd,J=1.8,8.5Hz)、7.27〜7.24(4H,m)、7.19〜7.13(3H,m)、6.91(1H,s)。
【0085】
ステップ5
メタノール(1mL)およびジクロロメタン(1mL)中の2−(4−フルオロフェニル)−5−(フェニルチオ)−1−ベンゾフラン(ステップ4、18mg、0.056mmol)の溶液に、OXONE(登録商標)(69mg、0.112mmol)を添加した。この反応物を、室温で、窒素下で、終夜撹拌した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(5mL)を、添加し、この混合物を、15分間撹拌し、次いで、ジクロロメタン(×3)で抽出した。合わせた有機層を、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、20%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、分取TLCで精製して、表題化合物(5.3mg、27%)を得た。δ(500MHz,CDCl):8.24(1H,d,J=1.6Hz)、7.97(2H,dd,J=1.2,8.4Hz)、7.87〜7.81(3H,m)、7.60〜7.48(4H,m)、7.16(2H,t,J=8.7Hz)、7.01(1H,s);m/z(ES)353[MH]。
【実施例10】
【0086】
2−(4−フルオロフェニル)−5−(フェニルスルホニル)−2H−インダゾール
ステップ1
5℃における、濃硫酸(120mL)中の濃硝酸(10mL)に、3−ブロモベンズアルデヒド(11.7mL、100mmol)を一滴ずつ添加した。この反応物を、放置して室温に戻し、終夜撹拌した。この反応混合物を、氷上に注ぎ、得られた沈殿を、ろ別し、ジクロロメタンに溶解し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を25%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、5−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド(16g、70%)を得た。δ(500MHz,CDCl):10.41(1H,s)、8.06(1H,d,J=2.1Hz)、8.02(1H,d,J=8.6Hz)、7.87(1H,dd,J=2.1,8.6Hz)。
【0087】
ステップ2
エタノール(30mL)中の5−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド(ステップ1、3g、13mmol)および4−フルオロアニリン(1.24mL、13mmol)の混合物を、1.5時間撹拌還流した。室温に冷却すると、この生成物が晶出し、この生成物を、ろ別して、N−[(5−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチレン]−4−フルオロアニリン(3.46g、82%)を得た。δ(400MHz,CDCl):8.92(1H,s)、8.46(1H,d,J=2.2Hz)、7.97(1H,d,J=8.7Hz)、7.74(1H,dd,J=2.2,8.7Hz)、7.32〜7.27(3H,m)、7.15〜7.09(2H,m);m/z(ES)323、325[MH]。
【0088】
ステップ3
N−[(5−ブロモ−2−ニトロフェニル)メチレン]−4−フルオロアニリン(ステップ2、1g、3.09mmol)および亜リン酸トリエチル(1.59mL、9.28mmol)の混合物を、150℃で、窒素下で、1.5時間加熱した。この冷却した反応混合物を、5〜10%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで直接精製して、5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−2H−インダゾール(0.56g、62%)を得た。δ(400MHz,CDCl):8.28(1H,d,J=0.7Hz)、7.86〜7.82(3H,m)、7.65(1H,d,J=9.2Hz)、7.36(1H,dd,J=1.8,9.2Hz)、7.24〜7.19(3H,m);m/z(ES)291、293[MH]。
【0089】
ステップ4
5−ブロモ−2−(4−フルオロフェニル)−2H−インダゾール(ステップ3、170mg、0.58mmol)、ヨウ化銅(I)(11mg、0.058mmol)、ヨウ化ナトリウム(217g、1.17mmol)およびN,N’−ジメチルエチレンジアミン(12μL、0.117mmol)を、1,4−ジオキサン(1mL)中で混合し、150℃で、2時間、マイクロ波反応器中で加熱した。この冷却した反応混合物を、水およびジクロロメタンで分配した。合わせた有機層を、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮して、5−ヨード−2−(4−フルオロフェニル)−2H−インダゾール(213mg、100%)を得た。δ(400MHz,CDCl):8.28(1H,s)、8.12(1H,t,J=1.1Hz)、7.88〜7.84(2H,m)、7.57〜7.51(2H,m)、7.25〜7.20(2H,m)。
【0090】
ステップ5
ジメチルスルホキシド(1.5mL)中の5−ヨード−2−(4−フルオロフェニル)−2H−インダゾール(ステップ4、70mg、0.21mmol)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(44mg、0.27mmol)およびヨウ化銅(I)(118mg、0.62mmol)の混合物を、110℃で、窒素下で、5時間加熱した。この反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、ろ過して銅残渣を除去した。このろ液を、水で洗浄した。この水層を、ジクロロメタンで逆抽出し、合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で濃縮した。この残渣を、25%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、表題化合物(22.5mg、31%)を得た。δ(400MHz,CDCl):8.57〜8.55(2H,m)、8.00〜7.98(2H,m)、7.90〜7.82(3H,m)、7.68(1H,dd,J=1.8,9.2Hz)、7.56〜7.48(3H,m)、7.27〜7.23(2H,m);m/z(ES)353[MH]。
【実施例11】
【0091】
2−{[(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−インドール−5−イル]スルホニル}ベンゾニトリル
ステップ1
カリウム(4−ニトロフェニル)スルフィド(6.4g、33.1mmol)および2−フルオロベンゾニトリル(3.52mL、33.1mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)中で混合し、95℃で、窒素下で、終夜加熱した。この冷却した反応混合物を、氷水に注ぎ、2時間撹拌した。得られた沈殿を、ろ別し、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、2−[(4−ニトロフェニル)チオ]ベンゾニトリル(2.38g、28%)を得た。δ(400MHz,d DMSO):8.20〜8.16(2H,m)、8.06(1H,dd,J=1.5,7.9Hz)、7.83〜7.77(2H,m)、7.72〜7.68(1H,m)、7.40〜7.38(2H,m)。
【0092】
ステップ2
酢酸(150mL)中の2−[(4−ニトロフェニル)チオ]ベンゾニトリル(ステップ1、2.38g、9.29mmol)の撹拌している溶液に、水(55mL)中の過マンガン酸カリウム(1.67g、11.14mmol)を添加した。この反応物を、室温で、終夜撹拌した。固体亜硫酸ナトリウムを、この溶液が澄んで沈殿が形成するまで添加した。この沈殿を、ろ別し、酢酸エチル/イソヘキサンから再結晶化して、2−[(4−ニトロフェニル)スルホニル]ベンゾニトリル(1.34g)を得た。この母液を、蒸発させ、この残渣を、ジクロロメタンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、さらなる生成物(0.36g)を得た。全収率67%。δ(400MHz,d DMSO):8.48〜8.40(3H,m)、8.27〜8.25(2H,m)、8.16(1H,dd,J=1.4,7.6Hz)、8.07〜8.03(1H,m)、7.97〜7.93(1H,m)。
【0093】
ステップ3
エタノール(50mL)中の2−[(4−ニトロフェニル)スルホニル]ベンゾニトリル(ステップ2、1.79g、6.14mmol)に、鉄粉(3.43g、61.4mmol)を添加し、この混合物を、加熱還流した。エタノール(15mL)中の濃HCl(0.4mL)を、一滴ずつ添加し、この反応物を、6時間加熱還流した。この反応混合物を、エタノールで希釈し、まだ熱い間にHyflo(登録商標)でろ過した。このろ液を、50mLの体積に濃縮し、終夜、冷蔵庫中に置いた。得られた白色固体を、ろ別して、2−[(4−アミノフェニル)スルホニル]ベンゾニトリル(1.17g、74%)を得た。δ(500MHz,d DMSO):8.15(1H,dd,J=0.9,7.9Hz)、8.04(1H,dd,J=1.2,7.6Hz)、7.93〜7.89(1H,m)、7.81〜7.77(1H,m)、7.61〜7.57(2H,m)、6.64〜6.62(2H,m)、6.33(2H,s)。
【0094】
ステップ4
2−[(4−アミノ−3−ヨードフェニル)スルホニル]ベンゾニトリルを、実施例4ステップ1の方法に従って、2−[(4−アミノフェニル)スルホニル]ベンゾニトリル(ステップ3)から調製した。δ(500MHz,CDCl):8.29〜8.24(2H,m)、7.89(1H,dd,J=2.1,8.6Hz)、7.81〜7.75(2H,m)、7.66(1H,t,J=7.6Hz)、6.76(1H,d,J=8.6Hz)、4.74(2H,s)。
【0095】
ステップ5
2−[(4−アミノ−3−ヨードフェニル)スルホニル]ベンゾニトリル(0.6g、1.56mmol)を、窒素下で、テトラヒドロフラン(7mL)中に溶解した。1−エチニル−2,4−ジフルオロベンゼン(0.33g、2.32mmol)を、添加し、次いで、ヨウ化銅(I)(29mg、0.156mmol)、トリエチルアミン(0.42mL、3.03mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(110mg、0.156mmol)を、添加した。この反応物を、室温で1.5時間撹拌した。この反応混合物を、塩化アンモニウム溶液中に注ぎ入れ、酢酸エチル(×2)で抽出した。合わせた有機層を、塩化アンモニウム溶液、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、40〜60%酢酸エチル/イソヘキサンで溶出する、シリカ上のフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、2−({4−アミノ−3−[(2,4−ジフルオロフェニル)エチニル]フェニル}スルホニル)ベンゾニトリル(0.57g、92%)を得た。δ(500MHz,CDCl):8.30(1H,d,J=8.0Hz)、8.00(1H,d,J=2.2Hz)、7.89(1H,dd,J=2.2,8.7Hz)、7.81〜7.75(2H,m)、7.65(1H,t,J=7.6Hz)、7.51〜7.47(1H,m)、6.93〜6.87(2H,m)、6.78(1H,d,J=8.7Hz)、4.92(2H,s)。
【0096】
ステップ6
インジウム(III)ブロミド(45mg、0.119mmol)を、窒素下で、トルエン(15mL)中の2−({4−アミノ−3−[(2,4−ジフルオロフェニル)エチニル]フェニル}スルホニル)ベンゾニトリル(ステップ5、470mg、1.19mmol)の溶液に添加し、次いで、120℃の油浴中に浸した。この反応物を、120℃で、1.5時間加熱した。この冷却した反応混合物を、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。この有機層を、ブラインで洗浄し、真空中で蒸発させた。この残渣を、5%メタノール/ジクロロメタンと共に粉砕して、表題化合物(0.31g、66%)を得た。δ(500MHz,d DMSO):12.17(1H,s)、8.34(1H,s)、8.29(1H,d,J=7.9Hz)、8.06(1H,d,J=7.6Hz)、7.98〜7.92(2H,m)、7.83(1H,t,J=7.6Hz)、7.69〜7.63(2H,m)、7.47〜7.43(1H,m)、7.29〜7.27(1H,m)、7.10(1H,s)。
【実施例12】
【0097】
2−{[(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−インドール−5−イル]スルホニル}ベンズアミド
水(0.65mL)中の炭酸カリウム(140mg、1.01mmol)の溶液を、ジメチルスルホキシド(8mL)中の2−{[(2,4−ジフルオロフェニル)−1H−インドール−5−イル]スルホニル}ベンゾニトリル(実施例11、200mg、0.5mmol)の溶液に一滴ずつ添加した。過酸化水素(水中35%、0.2mL、2.05mmol)を、一滴ずつ添加し、この反応物を、室温で、終夜撹拌した。この反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチル(×3)で抽出した。合わせた有機層を、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、真空中で蒸発させた。この残渣を、酢酸エチルから再結晶化して、表題化合物(70mg、34%)を得た。δ(500MHz,d DMSO):12.01(1H,s)、8.31(1H,d,J=1.5Hz)、8.01(1H,d,J=7.8Hz)、7.96〜7.92(1H,m)、7.89(1H,s)、7.77(1H,dd,J=1.7,8.6Hz)、7.64〜7.54(4H,m)、7.46〜7.39(2H,m)、7.29〜7.25(1H,m)、7.04(1H,d,J=2.2Hz)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
tは、1または2であり、
W、XおよびYは、ベンゾ縮合複素芳香族環系を完成し(ここで、ベンゾ縮合複素芳香族環系は、インドール、インダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾールから選択される。)、ここで、Wは、Nを表し、前記環系は、ハロゲン、CNおよびC1〜4アルキルから選択される置換基を場合によって有し、
Arは、2個までの環窒素原子を含む、フェニルまたは6員ヘテロアリールを表し、前記フェニルまたはヘテロアリールは、0から3個の置換基を有し(ここで、0から3個の置換基は、ハロゲン、CN、CF、OCF、C1〜6アルキル、OH、C1〜6アルコキシまたはヒドロキシC1〜6アルキルから選択される。)、
Arは、2個までの環窒素原子を含む、フェニルまたは6員ヘテロアリールを表し、前記フェニルまたはヘテロアリールは、0から3個の置換基を有し(ここで、0から3個の置換基は、ハロゲン、CN、ニトロ、R、OR、SR、SOR、SO、SONR、NR、CHNR、NRCOR、NRCO、NRCONR、NRSONR、COR、CO、CONR、CR=NORまたは5もしくは6員複素芳香族環(ここで、5もしくは6員複素芳香族環は、ハロゲン、CN、CF、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、C1〜6アルキルチオ、アミノ、C1〜6アルキルアミノおよびジ(C1〜6)アルキルアミノから選択される2個までの置換基を場合によって有する。)から選択される。)、
およびRは、Hまたは7個までの炭素原子の炭化水素基を独立に表し(ここで、7個までの炭素原子の炭化水素基は、3個までのハロゲン原子で、またはCN、OH、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、アミノ、C1〜4アルキルアミノまたはジ(C1〜4)アルキルアミノで場合によって置換されている。)、または、RおよびRは、RおよびRが、窒素原子を通して結合している場合一緒になって、4、5または6員の複素環の残基を表す(ここで、4、5または6員の複素環の残基は、ハロゲン、CN、CF、オキソ、OH、C1〜4アルキルおよびC1〜4アルコキシから選択される3個までの置換基を場合によって有する。)。]の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項2】
W、XおよびYが、インドール、インダゾール、ベンゾフランまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Wは、NH、N、OもしくはSをそれぞれ表す。)を完成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
W、XおよびYが、インドールまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Wは、NHもしくはSをそれぞれ表す。)を完成する、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
W、XおよびYが、インドール、ベンゾフランまたはベンゾチオフェン環系(ここで、Yは、NH、OもしくはSをそれぞれ表す。)を完成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
W、XおよびYが、ベンゾチオフェン環系(ここで、Yは、Sを表す。)を完成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Arが、フェニル、2−フルオロフェニル、4−フルオロフェニルまたは2,4−ジフルオロフェニルを表す、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Arが、場合によって置換されたフェニル、2−ピリジルまたは3−ピリジルを表す、請求項1から6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
薬学的に許容される担体中に、請求項1から7のいずれかに記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項9】
薬剤における使用のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
5−HT2A受容体活性によって媒介される状態の治療または予防用の薬剤の製造のための、請求項1から7のいずれかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2008−533120(P2008−533120A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501426(P2008−501426)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/050049
【国際公開番号】WO2006/100519
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】