説明

FPDモジュール組立装置及びFPDモジュール製造方法

【課題】表示基板の製造ラインで、テープに連続して形成された搭載部材を打ち抜く際に、簡単な構成で高精度に打ち抜けるようにすると共に、無駄なく効率良く打ち抜けるようにする。
【解決手段】搭載部材が連続して形成されたテープ1を、搭載部材を打ち抜く位置に送り出すテープ送り機構部23,24と、テープ送り機構部23,24により送り出された搭載部材を、テープ1から打ち抜く打ち抜き刃41とを備える。そして、打ち抜き刃41を駆動する機構として、打ち抜き刃41を、自身の回転により打ち抜き位置と待機位置との間で往復駆動させるカム部材50と、カム部材を回転駆動させるモータとを備え、モータの駆動を制御して、カム部材50により打ち抜き型を往復駆動させる動作を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPD(Flat Panel Display)モジュールの組立てを行うFPDモジュール組立装置、及びFPDモジュール製造方法に関し、特にFPDモジュール組立時に搭載される搭載部材をテープから打ち抜く技術に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDには、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等がある。本明細書でFPDと称した場合、これら各種方式の平面状のディスプレイを示す。
このFPDにおける表示パネルを構成する基板の周縁部に、表示パネルを駆動する駆動回路チップである駆動ICを接続するようにしてある。その駆動ICの接続としては、例えば、COF(Chip on Film)タイプの搭載部材のTAB(Tape Automated Bonding)搭載が行われる。
また、表示基板の周辺には、PCB(Printed Circuit Board)等のその他の搭載部材が実装され、その結果、FPDモジュールが組み立てられる。
FPDモジュールの組立ラインでは、複数の処理工程により、表示基板の周縁部などに、搭載部材等の実装を行う。
【0003】
COFタイプの搭載部材は、長尺のフィルム状のキャリアテープに連続した状態で電極などが形成され、半導体チップについても、そのキャリアテープに連続した状態のままで搭載される。
そして、FPDモジュールの組立ラインにおいて、半導体チップが搭載された長尺のキャリアテープから、打ち抜き機で1つ1つの搭載部材を打ち抜く作業を行う。そのような作業で打ち抜かれた搭載部材を、表示基板の周縁部などに搬送し、表示基板上に実装させる作業を行う。
【0004】
このようなCOFタイプの搭載部材を打ち抜く作業は、打ち抜き位置に送り出されたキャリアテープを、打ち抜き用打ち抜き刃(打ち抜き金型)で押し出して打ち抜く処理を行う。この打ち抜き用の刃で押し出す作業は、従来、シリンダを使用して刃を上下させる駆動を行い、そのシリンダによる刃の駆動を、キャリアテープの送り出しに連動して行うようにしていた。
特許文献1には、この種のキャリアテープ上に形成された搭載部材を、シリンダのロッドに接続された刃(パンチ)で打ち抜く構成が、図4などに記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−106796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、搭載部材を打ち抜く機構としてシリンダを使用する構成の場合、シリンダで打ち抜き刃を上下に往復動させる駆動を行うためには、エアや油圧などのシリンダの駆動源が必要であり、打ち抜き装置の構成が複雑化し、装置構成が大型化する問題があった。
【0007】
また、FPDモジュール組立装置で搭載部材を打ち抜く動作は、キャリアテープ送りに正確に連動して行う必要がある。このため、打ち抜き刃を正確に往復動させる駆動機構として、エアシリンダやソレノイドなどを採用することが好ましいが、より簡単な機構で正確な打ち抜きが行える機構が望まれていた。また、キャリアテープ送り動作に連動して、打ち抜き刃が単純に往復動する構成である場合には、キャリアテープが正確に正しい周期や間隔で送られるようにキャリアテープ送り機構側の調整を行っている最中にも、搭載部材の打ち抜き動作が行われてしまい、無駄な打ち抜き動作が行われて、好ましくない。
【0008】
本発明は、表示基板の製造ラインで、キャリアテープに形成された搭載部材を打ち抜く際の機構を、高精度の打ち抜き精度を保った上で簡易化が図れると共に、無駄な打ち抜きを防止するようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搭載部材が連続して形成されたテープを、搭載部材を打ち抜く位置に送り出すテープ送り機構部と、テープ送り機構部により送り出された搭載部材を、テープから打ち抜く打ち抜き刃とを備えたFPDモジュール組立装置に適用される。
打ち抜き刃を駆動する機構として、打ち抜き刃を、自身の回転により打ち抜き位置と待機位置との間で往復駆動させるカム部材と、カム部材を回転駆動させるモータとを備える。そして、モータの駆動を制御して、カム部材により打ち抜き型を往復駆動させる動作を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、搭載部材をテープから打ち抜く際の打ち抜き刃の駆動が、カム部材を介して行われ、カム部材をモータで駆動させる簡単な機構で、打ち抜き刃の往復駆動が行える。この場合、打ち抜き刃が移動する位置は、カム部材の回転角度位置で制御でき、打ち抜き型を打ち抜き位置とする場合と待機位置とする場合の制御が、回転角度位置の制御で正確に行える。
【0011】
また、装置を起動させたときのカム部材が、待機位置となる回転角度位置でないとき、打ち抜き位置の回転角度位置を通過しないで、待機位置の回転角度位置となる方向に回転駆動させて、待機位置まで移動させることで、無駄な打ち抜き動作を防止できる。即ち、例えばテープ送り機構部などを調整する動作を行っても、打ち抜き動作をスタートさせない限り、打ち抜き刃が打ち抜き位置まで移動せず、テープ送りなどに連動した無駄な打ち抜き動作を確実に防止でき、製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の例によるFPDモジュール製造装置の概略構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態の例によるテープ構成を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施の形態の例によるリールから引き出されたテープを示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態の例による打ち抜き刃の駆動構成の原理を示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態の例による打ち抜き刃の駆動部の動作例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態の例によるカム角度と遮光状態を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態の例による原点復帰動作例を示すタイミング図である。
【図8】本発明の一実施の形態の例による打ち抜き処理を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態の例による原点復帰処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態の例について、添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する一実施の形態の例は、本発明の好適な例を示したものであるが、本発明は、以下に説明する実施の形態に限定されるものではない。
説明は以下の順序で行う。
1.FPDモジュール組立装置及びキャリアテープの構成例(図1−図3)
2.打ち抜き刃の駆動機構の構成例(図4−図6)
3.打ち抜き刃の駆動制御例(図7−図9)
4.変形例
【0014】
[1.FPDモジュール組立装置及びキャリアテープの構成例]
まず、図1〜図3を参照して、本実施の形態の例で使用されるキャリアテープと、FPDモジュール組立装置の全体構成について説明する。
本実施の形態の例においては、液晶表示パネルで構成されるFPDモジュール組立て装置に適用した例である。
【0015】
図1は、FPDモジュール組立装置の全体構成例を示す。図1に示したFPDモジュール組立装置は、COFタイプの搭載部材(以下COF部材と称する)が連続して形成された長尺のキャリアテープから、表示基板に搭載される搭載部材である、COF部材を打ち抜くまでの工程を行う機構を示す。打ち抜かれたCOF部材は、図示しない機構で、表示基板の周辺まで搬送されて実装され、FPDモジュールとして組み立てられる。
【0016】
図2及び図3は、FPDモジュール組立装置に装着される、COF部材抜き落とし前のキャリアテープの構成を示したものである。
図3に示すように、キャリアテープ1は、COF部材キャリアテープ部1aと、リーダテープ部1b,1cとを備える。図2に示すように、COF部材キャリアテープ部1aには、その長手方向に等間隔で、電子回路部品に相当するCOF部材2が形成されている。COF部材2は、ICチップ等の電子部品2aをテープ表面に印刷等の手段で形成した配線パターン2bに接続するように実装したものである。このCOF部材キャリアテープ部1aを、図2に破線で示した切断線に沿って打ち抜くことによって、COF部材がキャリアテープ1から分離される。この打ち抜くための構成については後述する。
【0017】
リーダテープ部1b,1cは、COF部材2が形成されていない部分であり、COF部材キャリアテープ部1aの長手方向の先頭側及び後尾側にそれぞれ連接されている。
【0018】
このような長尺のキャリアテープ1は、供給リール3に巻回されており、この供給リール3から繰り出すようにする。キャリアテープ1を供給リール3に巻回するに当っては、電子部品2aを保護するために、セパレータテープ5を間に介在させて巻回させている(図1を参照)。
【0019】
また、キャリアテープ1は、長手方向の両側に一定のピッチ間隔でスプロケット孔4が設けられている。このスプロケット孔4にスプロケットの爪を挿入して、このスプロケットを回転駆動させることによって、キャリアテープ1をそのテープ走行経路に沿って連続的に走行させたり、またピッチ送りを行ったりすることができる。
【0020】
次に、図1に示したFPDモジュール組立装置の構成について説明する。FPDモジュール組立装置は、テープ供給部11と、打ち抜き部12と、テープ回収部13とを備える。
【0021】
本例では、テープ供給部11には、2個の供給リール3A,3Bが装着されるようになっており、このためにリール支軸15が2箇所設けられている。供給リール3Aが使用中のものであり、供給リール3Bが待機状態のものである。供給リール3A,3Bには、キャリアテープ1がセパレータテープ5と重ね合わせるようにして巻回されている。また、テープ回収部13には、打ち抜き後のテープ及びセパレータテープ5をそれぞれ回収するためのテープ回収ボックス16,17が設置されている。
【0022】
このような状態で、使用中の供給リール3Aからキャリアテープ1Uが経路切換部20を通過して、打ち抜き部12に供給される。待機中の供給リール3Bのキャリアテープ1Lは、取り換え用のテープなので、作業者によって予め経路切換部20に設置される。なお、供給リール3Aが待機状態のものとなり、供給リール3Bが使用中の状態のものとなる場合もある。
【0023】
経路切換部20は、テープ供給部11から打ち抜き部12に至るテープ走行経路の途中であって、テープ供給部11に近接した位置に設けられている。そして、供給リール3Aのキャリアテープ1Uが使い切られたときに、待機中の供給リール3Bに巻回されたキャリアテープ1Lが打ち抜き部12に供給されるようにする。具体的には、キャリアテープ1Uの後尾側のリーダテープ部1c(図3参照)に、キャリアテープ1Lの先頭側のリーダテープ部1bを継ぎ合わせる。
【0024】
供給リール3Aから供給されるキャリアテープ1Uは、経路切換部20を通って打ち抜き部12に至るようにキャリアテープ1Uのテープ走行経路が設定されている。このテープ走行経路には、適宜の位置に配置されたガイドローラ21にガイドさせてキャリアテープ1Uを打ち抜き部12に導くようにしている。
【0025】
打ち抜き部12は、部材検出部27と、部材検出部27の後段に設けられたカッタユニット40とを備える。部材検出部27は、テープ表面などをセンサで検出して、COF部材2のテープ上の有無及び位置を確認する位置検出部として機能する。部材検出部27としてはセンサ以外にも、例えばCCDカメラなどの撮像手段を使用することもできる。
さらに、部材検出部27の前段及びカッタユニット40の後段にそれぞれ設けられたテープの送り駆動用のスプロケット23,24を有するテープ送り機構部を備える。なお、カッタユニット40が打ち抜き部に相当する。
【0026】
スプロケット23,24は、略円柱上に形成されており、その外周面にはキャリアテープ1Uに設けたスプロケット孔4に挿入する爪が設けられている。また、打ち抜き部12には、キャリアテープ1Uの浮き上がり等を防止するためのピンチローラ25,26がキャリアテープ1Uに当接するように設けられている。したがって、キャリアテープ1Uは、スプロケット23とスプロケット24との間において、実質的に水平状態に保たれ、かつ所定の張りを持たせることができるようになっている。そして、モータ等(図示せず)が、スプロケット23,24を間欠的に所定角度ずつ回転駆動させて、キャリアテープ1Uを部材検出部27及びカッタユニット40へ所定の長さずつピッチ送りする。
【0027】
カッタユニット40は、打ち抜き用の可動金型である下部側の打ち抜き刃41と、上部側の固定金型である固定刃42とから構成される。可動側である打ち抜き刃41は、カム部材50の回転によって、上下動されるようになっている。このカム部材50の回転による打ち抜き刃41の上下動は、制御部70の制御で実行される。制御部70は、部材検出部27で検出したCOF部材2の位置や、スプロケット23,24でのテープの送り量などから、カッタユニット40の正しい打ち抜き位置に、COF部材2が送り出されたと判断したとき、打ち抜き刃41を上側の打ち抜き位置に移動させる。打ち抜きを行うとき以外は、打ち抜き刃41は下側の待機位置となるように、制御部70が制御する。
COF部材2が打ち抜かれたキャリアテープ1は、テープ回収ボックス16に回収される。なお、カッタユニット40は、上部側を打ち抜き刃41、下部側を固定刃42としてもよい。
【0028】
ところで、キャリアテープ1Uと共に供給リール3に巻回されているセパレータテープ5は、経路切換部20の位置より手前でキャリアテープ1Uから離れて、ガイド板31にガイドされて、テープ回収ボックス17に回収されるようになっている。なお、セパレータテープ5は、テープ回収ボックス17に回収させる代わりに、供給リール3とは異なるリールに巻回させるようにして回収してもよい。なお、この場合には、供給リール3のキャリアテープ1Uを使い切った後に、この供給リール3に巻き戻すようにすることもできる。
【0029】
前述した2個の供給リール3A,3Bの取付位置及びこれらの供給リール3A,3Bからのテープ走行経路は、図示したものに限定されず、様々なレイアウトが可能である。図示したものにあっては、2個の供給リール3A,3Bは上下に配置されているが、これを左右に配置することもできる。また、打ち抜いた後のキャリアテープ1及びセパレータテープ5は同じテープ回収ボックスで回収してもよいし、あるいはリールに巻き取る等により回収するようにしてもよい。
【0030】
[2.打ち抜き刃の駆動機構の構成例]
次に、図4〜図6を参照して、打ち抜き部12のカッタユニット40内の打ち抜き刃41が上下動する構成について説明する。
図4は、打ち抜き刃41と、その打ち抜き刃41を上下動させるカム部材50を示した図である。但し、図4では、打ち抜き刃41の動きが判る構成だけを示してあり、打ち抜き刃41やその周辺の部材を保持する機構は省略してある。
図4に示すように、カム部材50は、長径部51と短径部52を有した変形の円盤形状であり、モータ45の回転軸44に嵌めてあり、その回転軸44に嵌められた箇所44aを回転中心とする。
【0031】
カム部材50の周面には、連結部材43の下端が接するようにしてあり、その連結部材43の上側に打ち抜き刃41が取り付けてある。従って、モータ45による駆動でカム部材50が回転することで、打ち抜き刃41が上下動する。図4の構成の場合、カム部材50の1回転で、打ち抜き刃41が上下に1往復移動する。但し、後述するように本例の場合には、実際の打ち抜き動作を連続して行うとき、カム部材50はある範囲の回転と逆回転を繰り返し、カム部材50が連続的に回転することはない。
モータ45は、本実施の形態の場合には、サーボモータとしてあり、高精度に回転角度位置の制御が行える構成としてある。またモータ45には、回転角度位置を検出するセンサが取り付けてあり、回転軸44が特定の回転角度位置となったときに、Zパルスを出力する構成としてある。
なお、このZパルスは、後述する原点位置(の近傍)で出力されるようにしてある。但し、正確な原点位置とZパルスが出力される角度位置とには誤差が生じる場合があり、そのZパルス出力位置から原点位置まで回転駆動させるのに必要な駆動パルスのパルス数を、予め計測して記憶してある。
【0032】
連結部材43の側面には、遮光部材46が取り付けてあり、打ち抜き刃41が特定の範囲にあるとき、発光素子61からの光の受光素子62への入射を遮光する。本例の場合には、打ち抜き刃41が下側に下がっているとき、遮光部材46が発光素子61からの光の受光素子62への入射を遮光し、打ち抜き刃41がテープを押し上げて打ち抜く状態にあるとき、発光素子61からの光が受光素子62に入射するようになる。この遮光状態と受光状態の位置関係の詳細は、図6で後述する。
【0033】
図5は、テープ1と各刃41,42とカム部材50との関係を示した図である。
図5(a)に示したように、カム部材50の短径部52が上側に位置している状態では、打ち抜き刃41が最も下側に位置して、テープ1の表面から離れた状態となっている。テープ1は、既に図1で説明した機構により、図5に矢印で示す方向に順に送り出される。
この状態からカム部材50が約180°回転することで、図5(b)に示したように、カム部材50の長径部51が上側に位置するようになる。このときには、打ち抜き刃41が最も上側に位置して、テープ1を挟んで打ち抜き刃41と固定刃42が接する状態となり、打ち抜き刃41の上面41a(図4参照)の形状に対応して、テープ1の一部(COF部材2の部分)が上側に押し出され、COF部材2が打ち抜かれる。
【0034】
なお、図5(a)と図5(b)とを比較すると判るように、連結部材43の途中に設けられた遮光部材46の位置は、打ち抜き刃41の上下動に連動して変化して、特定の範囲でだけ遮光するようにしてある。
【0035】
図6は、この遮光部材46による、発光素子61からの光の受光素子62への遮光が行われる範囲と、カム部材50の原点位置及び打ち抜き位置の例を示したものである。
本実施の形態の場合には、カム部材50の短径部52の近傍の特定位置を原点位置(0°として示す位置:第1回転角度位置)としてあり、装置が待機状態の場合には、その原点位置が、上側に位置するように制御される。
そして、図6に示すように、その原点位置から216°回転して、カム部材50の長径部51が上側になったときを、打ち抜き時の打ち抜き刃41の位置(第2回転角度位置)としてある。通常時は、この0°の原点位置から、216°の打ち抜き位置までの範囲A及びBを通過してカム部材50は回転及び逆回転する。即ち、待機位置である原点位置から、カム部材50がθ1方向(図6での時計回り方向)に216°回転して、打ち抜き刃41が打ち抜き位置となり、COF部材2の打ち抜きを行う。打ち抜き後は、θ1方向とは逆のθ2方向(図6での反時計回り方向)に216°回転して、原点位置に戻って、次の打ち抜きタイミングまで待機する。
通常時には、残りの範囲C及びDの位置が上側に位置することはない。
なお、本実施の形態では、カム部材50の圧力角を考慮して216°回転させているが、モータの駆動力を強力にするなどして、カム部材50の圧力角を考慮する必要がない場合には、逆回転の144°側で回転させてもよい。
【0036】
そして、遮光部材46で遮光される遮光範囲が、図6に示した角度範囲A及びDであり、図6に示した角度範囲B及びCの位置が上側になったときには、受光素子62に発光素子61からの光が入射する通光領域となる。従って、打ち抜き位置を中心とした、その打ち抜き位置の近傍に打ち抜き刃41が位置した特定範囲のとき、通光領域となって、受光素子62の出力からそのことが検出される。
なお、カム部材50を回転駆動させるモータ45としてサーボモータを使用したので、制御部70は、供給した駆動パルスのパルス数から、現在のカム部材50の回転位置が、図6に示した角度範囲A〜Dのいずれの範囲であるのかが判断できる。
【0037】
[3.打ち抜き刃の駆動制御例]
次に、打ち抜き刃の駆動制御例を、図7〜図9を参照して説明する。打ち抜き刃の駆動制御は、図1に示した制御部70の制御で実行される。
図7は、打ち抜き刃41を待機位置に移動させる際の処理例を示したものである。制御部70によるモータ45の駆動として、高い周波数のパルスの供給による高速駆動と、低い周波数のパルスの供給による低速駆動とが行える構成としてあり、目標位置に近づくまで高速駆動し、目標位置に近づくと低速駆動に切り換えて、正確に目標位置で回転を停止させる構成としてある。
【0038】
即ち、図7(a)に回転速度を示すように、最初に高速駆動用の駆動パルスPHの供給があり、その後、タイミングt1で目標位置に近づいたとき、低速駆動用の駆動パルスPLの供給に変化し、目標位置となると、駆動パルスが供給されない状態PSに変化する。
この高速駆動から低速駆動への変化タイミングt1は、本例の場合には、図6に示した通光領域から遮光領域に変化するタイミングであり、図7(b)に示すように受光素子62の出力変化がタイミングt1となる。
【0039】
そして、図7(c)に示すように、待機位置である原点位置に近づくとモータ45の回転角度位置を検出するZパルスが出力されるが、そのZパルス出力タイミングから正確な原点位置となるまでに必要なパルス数P0だけ駆動パルスを供給させて、停止状態になる。
このようにして、正確に原点位置とする制御が行われる。
【0040】
図8は、打ち抜き時の刃41の制御部70による駆動制御例を示したフローチャートである。
図8に従って説明すると、まず制御部70は、テープ1上のCOF部材2がカッタユニット40の打ち抜き位置まで送り出されたか否か判断する(ステップS11)。ここで打ち抜き位置でない場合には、打ち抜き位置となるまで待機する。打ち抜き位置であると判断した場合には、現在のカム部材50の回転位置が第1回転角度位置である原点位置か否か判断する(ステップS12)。ここで、原点位置でない場合には、原点位置に復帰させる処理が行われる(ステップS13)。この原点復帰処理の詳細は、図9で後述する。なお、本実施の形態の装置は、起動させたときには、最初に原点復帰処理が行われ、その原点位置(待機位置)まで打ち抜き刃41が下がって待機するようにしてある。
【0041】
そして、ステップS12で原点位置であると判断した場合、及びステップS13で原点復帰処理が行われた後に、図6に示した第2回転角度位置である216°の打ち抜き位置までθ1の回転方向でモータ45を回転駆動させて、打ち抜き刃41を打ち抜き位置とする(ステップS14)。この打ち抜き位置になったタイミングで、COF部材2がテープ1から打ち抜かれる。
【0042】
その後、216°の打ち抜き位置からθ2の回転方向でモータ45を回転駆動させて、打ち抜き刃41を待機位置とする(ステップS15)。そして、この待機位置となった後、打ち抜き処理が終了か否か判断し(ステップS16)、終了した場合にはそのまま待機位置となった状態で停止させる。打ち抜き処理が終了でない場合には、ステップS11の判断に戻り、次にテープ1上のCOF部材2がカッタユニット40の打ち抜き位置まで送り出されることで、この図8の打ち抜き動作が繰り返される。
このようにモータ45の回転駆動量の制御で、打ち抜き処理が行えることで、簡単な制御処理でCOF部材2の打ち抜きが行える。
【0043】
図9は、図8のフローチャートのステップS13での原点復帰処理の詳細を示した図である。
まず、制御部70は、現在のカム部材50の上側の位置が、図6に示した領域A〜Dのいずれであるか判断する(ステップS21)。
領域A〜Dの判断処理としては、例えば遮光部材46による受光素子62での受光の遮光状態又は通光状態と原点位置からのカム部材50の回転方向とで、いずれの領域かが判断される。具体的には、受光素子62で遮光状態と検出したときには、領域A又は領域Dであり、受光素子62で通光状態と検出したときには、領域B又は領域Cである。領域Aと領域D、及び領域Bと領域Cの区別は、原点位置からの回転方向により判断される。即ち、原点位置(0°)から正転(図6のθ1方向)の回転が行われて遮光状態のとき領域Dと判断され、その状態から通光状態に変化したとき、216°の打ち抜き位置となるまで領域Cと判断される。また、原点位置(0°)から逆転(図6のθ2方向)の回転が行われて遮光状態であるとき領域Aと判断され、その状態から通光状態に変化したとき、144°(θ1方向の216°と同じ角度位置)の打ち抜き位置となるまで領域Bと判断される。
【0044】
図9のフローチャートの説明に戻ると、ステップS21の領域の判断処理で、領域A又はBである場合には、θ2方向に高速駆動用のパルスのモータ45への供給で、回転駆動させる(ステップS22)。また、領域C又はDである場合には、θ1方向に高速駆動用のパルスのモータ45への供給で、回転駆動させる(ステップS23)。
その後、受光素子62の出力が通光状態から遮光状態に変化したか否か判断する(ステップS24)。ここで、遮光状態に変化するまで待機し、遮光状態に変化した場合には、同じ回転方向の低速駆動のパルスに変化させて、回転駆動させる(ステップS25)。なお、ステップS22及びS23の状態のとき、既に遮光状態であるときには、高速駆動のパルスを供給させずに、最初から低速駆動用のパルスを供給する。
【0045】
その後、Zパルスを検出したか否か判断する(ステップS26)。そして、Zパルスを検出するまで待機し、Zパルスを検出すると、そのZパルスの検出位置から予め設定された規定された補正量のパルス数だけ駆動パルスを出力させて駆動を行い(ステップS27)、その駆動パルスの出力が終わると停止させ(ステップS28)、原点復帰処理を終了する。なお、(ステップS27の駆動パルス出力は、回転方向によっては、逆方向に駆動させるパルスとなる場合もある。
【0046】
このようにして原点復帰処理が行われることで、現在のカム部材50がどのような位置であっても、原点に復帰する際には、216°の打ち抜き位置を通過することなく、0°の原点位置に戻る。従って、テープ1上のCOF部材2が正確な打ち抜き位置にならないと打ち抜き動作が行われず、何らかの装置の調整などが行われても、無駄にテープ1上を打ち抜くことがなく、それだけ製造効率が向上する。
【0047】
[4.変形例]
なお、上述した実施の形態で各図に示した構成は、好適な一例を示したものであり、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、搭載部材として半導体チップが配置されたCOF部材をキャリアテープから打ち抜く処理工程に適用したが、その他のキャリアテープ上に連続した搭載部材を打ち抜いて、表示パネルに搭載させる工程に適用してもよい。
搭載部材を搭載させる表示パネルについても、上述した実施の形態では液晶表示パネルに適用したが、これに限定されるものではない。例えば、有機EL表示パネル、プラズマディスプレイ用表示パネル等に各種部材を搭載するFPD組立て装置(組立てライン)に適用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,1L,1U…キャリアテープ、2…COF部材(搭載部材)、3…供給リール、4…スプロケット孔、5…セパレータテープ、11…テープ供給部、12…打ち抜き部、13…テープ回収部、15…リール支軸、16,17…テープ回収ボックス、20…経路切換部、21…ガイドローラ、23,24…スプロケット、25,26…ピンチローラ、27…部材検出部、40…カッタユニット、41…打ち抜き刃、42…固定刃、43…連結部材、44…回転軸、45…モータ、46…遮光部材、50…カム部材、51…長径部、52…短径部、61…発光素子、62…受光素子、70…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載部材が連続して形成されたテープを、前記搭載部材を打ち抜く位置に送り出すテープ送り機構部と、
前記テープ送り機構部により設定された位置に送り出された前記搭載部材を、前記テープから打ち抜く打ち抜き刃と、
前記打ち抜き刃を、自身の回転により打ち抜き位置と待機位置との間で往復駆動させるカム部材と、
前記カム部材を回転駆動させるモータと、
前記モータの駆動を制御して、前記カム部材により前記打ち抜き刃を往復駆動させる動作を実行させる制御部とを備えたFPDモジュール組立装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記打ち抜き刃が前記待機位置となる前記カム部材の第1回転角度位置の状態から、前記打ち抜き刃が前記打ち抜き位置となる前記カム部材の第2回転角度位置の状態まで、前記モータにより前記カム部材を第1の方向に回転駆動させる処理と、前記第2回転角度位置の状態から、前記第1回転角度位置の状態まで、前記モータにより前記カム部材を前記第1の方向とは逆の第2の方向に回転駆動させる処理を、繰り返し実行させて、前記テープからの前記搭載部材の打ち抜きを行う
請求項1記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項3】
当該FPDモジュール組立装置を起動させたときの前記カム部材の回転角度位置が、前記待機位置となる前記第1回転角度位置でないとき、前記第2回転角度位置を通過しないで前記第1回転角度位置となる方向に前記モータにより回転駆動させて、前記第1回転角度位置まで移動させる
請求項2記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項4】
前記打ち抜き刃が前記打ち抜き位置及びその位置に近い範囲であることを検出する位置検出部と、
前記モータが所定角度位置のときにパルスを出力するパルス出力部とを備え、
前記位置検出部の出力と前記パルス出力部の出力に基づいて、前記制御部は前記カム部材の回転角度位置を判断する
請求項3記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項5】
前記モータは、パルス信号の供給で回転駆動するサーボモータとした
請求項1〜4のいずれか1項に記載のFPDモジュール組立装置。
【請求項6】
搭載部材が連続して形成されたテープを、前記搭載部材を打ち抜く位置に送り出すテープ送り処理と、
前記テープ送り処理により設定された位置に送り出された前記搭載部材を、前記テープから打ち抜き刃で打ち抜く際に、前記打ち抜き刃を、カム部材の回転により打ち抜き位置と待機位置との間で往復駆動させる動作を実行させる駆動処理とを行うFPDモジュール製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−108321(P2012−108321A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257199(P2010−257199)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】