説明

GSK−3ベータ阻害剤としてのピリダジノン誘導体

本発明は、一般式(I)の新規なピリダジノン誘導体に関し、式中、Aは、A1またはA2であり;Rは、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、そしてArは、非置換または少なくとも一置換のアリールまたはヘテロアリールである。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、置換基AおよびArが本文中で以下に記載される定義を有する一般式(I)による化合物、ならびにそれらの生理的に許容される塩、これらの化合物の製造方法および医薬としてのそれらの使用に関する。
【化1】

これらの化合物は、キナーゼ阻害剤、特にキナーゼGSK−3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β)の阻害剤である。
【背景技術】
【0002】
代謝性疾患、例えば糖尿病または神経変性性疾患、例えばアルツハイマー病の場合、該疾患の治療法とGSK−3βまたはタウタンパク質のリン酸化の阻害との間に関係があることは、文献から知られている (S.E. Nikoulina. Diabetes 51, 2190-2198, 2002; Henrikson. Am. K. Pysiol. 284,E892-900, 2003)。該疾患を治療するために、それぞれ多くの化合物または医薬が採用されることが既に知られており、これらの化合物は、各疾患の原因となる生化学的過程の異なる箇所で妨げる。しかしながら、GSK−3βの阻害を行うことが知られている化合物は、現在まで存在しない。
【0003】
ピリダジノン誘導体は周知の医薬であるが、ピリダジノン誘導体がそれぞれGSK−3βまたはタウリン酸化の阻害のために採用できることは、これまでは報告されていない。文献に記載されたピリダジノン誘導体は、異なる置換パターンおよび(部分的に)異なる適応症のため、本発明のものとは異なる。
【0004】
WO 03/059891は、無秩序なp38 MAPキナーゼ活性および/またはTNF活性により引き起こされるかまたは悪化する疾患および症状を治療するために有用であるピリダジノン誘導体を開示している。そこに記載された化合物は、例えば、炎症症状、糖尿病、アルツハイマー病または癌を治療するために用いることができる。それらは、本発明の化合物とはピリダジノン環の置換が異なる。なぜならば、該環の2位の窒素が大部分アルキル、アリールまたはヘテロアリールで置換されており、そして該環の4位には置換基として定義されたアミド基(本発明の化合物の置換基Aに相当する)が存在しないからである。
【0005】
文献EP−A 075 346、US 4,734,415およびUS 4,353,905は、ピリダジノン誘導体を抗高血圧剤として、また心収縮性を増大する作用物として開示している。これらのピリダジノン誘導体は、ピリダジノン環の6位にフェニル残基を有し、該フェニル残基は少なくとも1個の窒素原子を含むヘテロ環でさらに置換されている。文献EP−A 075 346およびUS 4,353,905に記載されたピリダジノン誘導体は、ピリダジノン環の4位に置換基を有さないが、US 4,734,415に開示されたものは、この位置が低級アルキルで置換されたアミド基を有してもよい。US 4,734,415により明確に開示された化合物はそれら自体として、本発明の対象ではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、GSK−3βおよび/またはタウタンパク質のリン酸化に対する阻害効果を有する化合物への強い必要性が存在している。本発明の目的は、この能力を示す化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、下記の式(I)によるピリダジノン誘導体
【化2】

(式中、Aは、A1またはA2
【化3】

を示し;
【0008】
Rは、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
【0009】
Arは、非置換または少なくとも一置換のアリールまたはヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、−NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
【0010】
R1およびR2は、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールは、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である);
またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩;
ただし、Arが窒素を含むヘテロシクリルまたはヘテロアリールで少なくとも一置換されたフェニルである場合には、Aは−C(O)NH(C1−C6−アルキル)ではないものとする、
によって達成される。
【0011】
式(I)の化合物に、基、フラグメント、残基または置換基、例えば、アリール、ヘテロアリール、アルキルなどが数個存在できるならば、それらは全て互いに独立して、指示された意味を有することができ、従って、それぞれの個々の場合に、互いに同一でも異なってもよい。下記の注釈は、(例えば)アリールならびに他の全ての残基に、アリール基、−置換基、−フラグメントまたは−残基としてのその分類から独立して適用される。一つの例はジ(C1−C10−アルキル)アミノ基であり、この場合のアルキル置換基は同一でも異なってもよい(例えば、2個のエチル、または1個のプロピルと1個のヘプチル)。
【0012】
式(I)による化合物の上記の定義において、置換基、例えばアリールが非置換であってよいか、またはさらなる置換基、例えばC1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲンなどで少なくとも一置換されていてもよいならば、それは、アリールの多置換が存在するときに、さらなる置換基の群からの選択が互いに独立しているような場合に適用される。このように、さらなる置換基の全ての組み合わせは、例えば、アリールの二置換の場合に含まれる。従って、アリールはエチルで二置換されていてよい、アリールはメチルもしくはエトキシでそれぞれ一置換されていてよい、アリールはエチルもしくはフルオロでそれぞれ一置換されていてよい、アリールはメトキシで二置換されていてよい、その他であってよい。
【0013】
アルキル、アルケニルおよびアルキニル残基は、直鎖状でも分枝状でもよい。このことは、それらが他の基、例えばアルコキシ基(C1−C10−アルキル−O−)、アルコキシカルボニル基もしくはアミノ基の部分である場合、またはそれらが置換されている場合にも適用される。
【0014】
アルキル基の例は次のもの:メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルである。これは、これらの残基のn−異性体、およびイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルブチルなどの両方を含む。さらに、別に述べない限り、ここでアルキルという用語は、非置換のアルキル残基、ならびに1個またはそれ以上の、例えば1個、2個、3個または4個の、同じまたは異なる残基、例えばアリール、ヘテロアリール、アルコキシまたはハロゲンで置換されているアルキル残基をも包含する。置換基はアルキル基の任意の所望の位置に存在することができる。
【0015】
シクロアルキル基の例は次のもの:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルである。全てのシクロアルキル基は、アルキル基の場合に上記で説明したように、非置換であってよいか、または場合により1個またはそれ以上のさらなる残基で置換されていてもよい。
【0016】
アルケニルおよびアルキニル基の例は、ビニル残基、1−プロペニル残基、2−プロペニル残基(アリル残基)、2−ブテニル残基、2−メチル−2−プロペニル残基、3−メチル−2−ブテニル残基、エチニル残基、2−プロピニル残基(プロパルギル残基)、2−ブチニル残基または3−ブチニル残基である。ここでアルケニルという用語は、少なくとも3個の炭素原子を含むシクロアルケニル残基およびシクロアルケニル−アルキル−残基(シクロアルケニルで置換されたアルキル)をも明確に包含する。シクロアルケニル残基の例は、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルである。
【0017】
アルケニル残基は、直鎖または分枝鎖中に1〜3個の共役または非共役二重結合を有することができる;同じことは三重結合に関してアルキニル残基に適用される。アルケニルおよびアルキニル残基は、アルキル基の場合に上記で説明したように、非置換であってよいか、または場合により1個またはそれ以上のさらなる残基で置換されていてもよい。
【0018】
ポリシクロアルキル残基の例は次のもの:アダマンチル、キヌクリジニル、ボルナニル、ノルボルナニル、ボルネニルおよびノルボルネニルである。
【0019】
別に述べない限り、上記のアリール、ヘテロアリールおよびヘテロ環式残基は、非置換であってよいか、または上記の定義で示した置換基の1個またはそれ以上、例えば1個、2個、3個または4個を有していてもよく、これらの置換基は任意の所望の位置に存在することができる。一置換のフェニル残基において、例えば、置換基は2−位、3−位または4−位にあってよく、二置換のフェニル残基において、置換基は2,3−位、2,4−位、2,5−位、2,6−位、3,4−位または3,5−位にあってよい。三置換のフェニル残基において、置換基は2,3,4−位、2,3,5−位、2,3,6−位、2,4,5−位、2,4,6−位または3,4,5−位にあってよい。四置換のフェニル残基において、置換基は2,3,4,5−位、2,3,4,6−位または2,3,5,6−位にあってよい。
【0020】
一価残基に関する上記の定義ならびに下記の定義は、二価残基であるフェニレン、ナフチレンおよびヘテロアリーレンにも同様に適用される。これらの二価残基(フラグメント)は、任意の環炭素原子により隣接基に結合していてよい。フェニレン残基の場合、これらは1,2−位(オルト−位)、1,3−位(メタ−位)または1,4−位(パラ−位)にあってよい。1個のヘテロ原子を含む5員環芳香族化合物、例えば、チオフェンまたはフランなどの場合、2個の自由結合手は2,3−位、2,4−位、2,5−位または3,4−位にあってよい。ピリジンから誘導される二価残基は、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ピリジンジイル残基であってよい。非対称の二価残基の場合、本発明は全ての位置異性体を包含し、すなわち、例えば3,4−ピリジンジイル残基の場合、それは、一方の隣接基が2−位に存在し、他方の隣接基が3−位に存在する化合物、ならびに一方の隣接基が3−位に存在し、他方の隣接基が2−位に存在する化合物を包含する。
【0021】
別に述べない限り、ヘテロアリール残基、ヘテロアリーレン残基、ヘテロシクリル残基、ヘテロシクリレン残基および窒素に結合した2個の基で形成される環は、好ましくは、完全飽和、部分飽和または環全不飽和の、同一でも異なってもよい1個、2個、3個または4個のヘテロ原子を含むヘテロ環(すなわち、ヘテロシクロアルカン、ヘテロシクロアルケン、ヘテロ芳香族化合物)から誘導され;より好ましくは、それらは、同一でも異なってもよい1個、2個または3個、特に1個または2個のヘテロ原子を含むヘテロ環から誘導される。別に述べない限り、ヘテロ環は、単環式または多環式、例えば単環式、二環式または三環式であってよい。好ましくは、それらは単環式または二環式である。これらの環は、好ましくは5員環、6員環または7員環である。式(I)の化合物に存在する残基を誘導できる単環式および二環式ヘテロ環系は、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,3−ジオキソール、1,3−オキサゾール(=オキサゾール)、1,2−オキサゾール(=イソキサゾール)、1,3−チアゾール(=チアゾール)、1,2−チアゾール(=イソチアゾール)、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラン、チオピラン、1,4−ジオキシン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、1,2−チアジン、1,3−チアジン、1,4−チアジン、1,2,3−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1,2,4,5−テトラジン、アゼピン、1,2−ジアゼピン、1,3−ジアゼピン、1,4−ジアゼピン、1,3−オキサアゼピン、1,3−チアゼピン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾジオキソール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、チエノチオフェン、1,8−ナフチリジンおよび他のナフチリジン、プテリジンまたはフェノチアジンであり、それらの各々は、それぞれの形態が公知かつ安定である場合に、飽和形態(ペルヒドロ形態)または部分不飽和形態(例えばジヒドロ形態またはテトラヒドロ形態)または最大不飽和形態にある。本明細書で用いられるように、「アリール」という用語または「ヘテロアリール」という用語は、両方の環が芳香族である二環式残基、ならびに一方の環だけが芳香族である二環式残基を含む。好適な脂肪族ヘテロ環は、例えば、飽和ヘテロ環であるピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、イソチアゾリジン、チアゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、2−オキソ−アゼパン、モルホリンおよびチオモルホリン、ならびに部分不飽和ヘテロ環であるイソクロマニル、クロマニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリルおよび1,2,3,4−テトラヒドロキノリルを包含する。ヘテロ環式基の不飽和度は、それらの個々の定義で示される。
【0022】
これらのヘテロ環から誘導できる置換基は、任意の好適な炭素原子を介して結合することができる。窒素ヘテロ環から誘導される残基は、環窒素原子上に水素または置換基を有することができ、その例は、ピロール、イミダゾール、ピロリジン、モルホリン、ピペラジン残基などを包含する。これらの窒素ヘテロ環式残基は、特に個々のヘテロ環式残基が炭素原子に結合しているならば、環窒素原子を介して結合することもできる。例えば、チエニル残基は2−チエニルまたは3−チエニルとして、ピペリジニル残基は1−ピペリジニル(=ピペリジノ)、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルまたは4−ピペリジニルとして存在することができる。好適な窒素ヘテロ環は、N−オキシドとして、または生理的に許容される酸から誘導される対イオンを含む四級塩として存在することもできる。ピリジル残基は、例えば、ピリジン−N−オキシドとして存在することができる。
【0023】
アリールアルキルは、アルキル残基であって、このアルキル基それ自体がアリール残基で置換されているものを意味する。ヘテロアリールアルキルは、アルキル残基であって、このアルキル基それ自体がヘテロアリール残基で置換されているものを意味する。ヘテロシクリルアリールアルキルは、アルキル残基であって、このアルキル基それ自体がヘテロシクリル残基で置換されているものを意味する。アルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルおよびアリールの定義および可能な置換については、上記の定義が参照される。
【0024】
ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素、好ましくはフッ素、塩素または臭素、最も好ましくはフッ素または塩素である。
【0025】
本発明は、式(I)の化合物の全ての立体異性体形態を包含する。式(I)の化合物に存在する不斉中心は全て互いに独立して、S配置またはR配置を有する。本発明は、全ての可能なエナンチオマーおよびジアステレオマーならびに2種またはそれ以上の立体異性体の全ての比率の混合物、例えばエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物を包含する。従って、エナンチオマーとして存在しうる本発明に係る化合物は、エナンチオマー的に純粋な形態で、左旋性および右旋性対掌体の両者として、ラセミ体形態として、および2種のエナンチオマーの全ての比率の混合物の形態で存在することができる。シス/トランス異性の場合、本発明は、シス形態およびトランス形態の両者、ならびにこれらの形態の全ての比率の混合物を包含する。これらの全ての形態は本発明の目的である。個々の立体異性体の製造は、所望により、慣用方法、例えばクロマトグラフィーもしくは結晶化により混合物を分離するか、合成のために立体化学的に一様な出発材料を使用するか、または立体選択的合成によって行うことができる。場合により、立体異性体を分離する前に誘導体化を行うことができる。立体異性体の混合物の分離は、式(I)の化合物の段階または合成中の中間体の段階で行うことができる。本発明はまた、式(I)の化合物の全ての互変異性体形態、特にケト−エノール互変異性を包含し、すなわち、個々の化合物はそれらのケト形態またはそれらのエノール形態またはそれらの全ての比率の混合物の何れとしても存在することができる。
【0026】
式(I)による化合物が1個またはそれ以上の酸性または塩基性基を含む場合には、本発明はまた、それらの相当する生理的または毒物学的に許容される塩を含む。
【0027】
生理的に許容される塩は、それらが出発または塩基化合物と比較して大きな水溶性を有するため、医療用途に特に適している。これらの塩は生理的に許容されるアニオンまたはカチオンを有するべきである。本発明の化合物の生理的に許容される好適な酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、スルホン酸および硫酸の塩、そしてまた有機酸、例えば酢酸、テオフィリン酢酸、メチレン−ビス−b−オキシナフトエ酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、サリチル酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸およびトリフルオロ酢酸などの塩である。好適な製薬上許容される塩基塩は、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩およびカリウム塩)およびアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩およびカルシウム塩)である。
【0028】
製薬上許容されないアニオンを有する塩も、製薬上許容される塩を製造または精製するための有用な中間体として、そして/または非治療的用途、例えばインビトロ用途に使用するために、同様に本発明の範囲内に包含される。
【0029】
式(I)の化合物が分子中に酸性および塩基性基を同時に含む場合には、本発明はまた、上記の塩に加えて、内部塩またはベタイン(双性イオン)を包含する。
【0030】
式(I)によるそれぞれの塩は、当業者に公知である慣用方法、例えばこれらを溶剤または分散剤中で有機または無機の酸または塩基と接触させるか、または他の塩を用いてアニオン交換もしくはカチオン交換することにより得ることができる。
【0031】
本発明はさらに、式(I)の化合物の全ての溶媒和物、例えば水和物またはアルコールとの付加物、式(I)の化合物の活性代謝物、そしてまた生理的に耐容性および切断可能の基を含む誘導体、例えばエステルまたはアミドを包含する。
【0032】
本明細書で用いられる「生理的機能性誘導体」という用語は、式Iの本発明の化合物の任意の生理的に許容される誘導体、例えば、哺乳類、例えばヒトに投与したときに式Iの化合物またはその活性代謝物を(直接的または間接的に)形成できるエステルに関する。
【0033】
生理的機能性誘導体はまた、本発明の化合物のプロドラッグを包含する。このようなプロドラッグは、インビボで代謝されて本発明の化合物になることができる。これらのプロドラッグは、それら自体が活性でも活性でなくてもよく、そして同様に本発明の目的である。
【0034】
本発明の化合物は、種々の多形形態、例えば非晶質形態および結晶質形態で存在することもできる。本発明の化合物の全ての多形形態は、本発明の範囲内に包含され、そして本発明の別の態様である。
【0035】
好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である式(I)化合物である。
【0036】
別の実施形態において、好ましい化合物は、
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロエトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である式(I)化合物である。
【0037】
別の実施形態において、好ましい化合物は、
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、イソキサゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾジオキソリルまたはチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である式(I)化合物である。
【0038】
より好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1
、−NR1R2、−C(O)NR1R2、−SR1、−SO2R1、−SO2NR1R2、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、イミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、イソオキサゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾジオキソリルまたはチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−NR1R2、−C(O)NR1R2、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
【0039】
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;ヘテロアリールが、好ましくはイミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;アリールが、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環であり;ヘテロシクリルが、好ましくは2−オキソ−アゼパニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラニル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである式(I)化合物である。
【0040】
よりいっそう好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−NR1R2、−C(O)NR1R2、−SR1、−SO2R1、−SO2NR1R2、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジニルまたはピリミジニであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−NR1R2、−C(O)NR1R2、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールはそれら自体が、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチルまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
【0041】
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;ヘテロアリールが、好ましくはイミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;アリールが、好ましくはフェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環であり;ヘテロシクリルが、好ましくは2−オキソ−アゼパニル、テトラヒドロフラニル、1,3−ジオキソラニル、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである、式(I)化合物である。
【0042】
さらによりいっそう好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のアリール−(C1−C6−アルキル)−またはヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、−O−アリール、C1−C6−アルコキシ、−O−(C1−C6−アルキレン)−N(C1−C6−アルキル)2、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH−ヘテロアリール、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、−SO2(C1−C6−アルキル)、−SO2NH2、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、イミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである式(I)の化合物である。
【0043】
別の実施形態において、特に好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジン−4−イルまたはピリミジン−4−イルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、C1−C6−アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−NH(ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル−))、−NH(アリール−(C1−C6−アルキル−))、−C(O)NH2、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールはあるいはまた、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、ピリジニルまたはピリミジニルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである式(I)の化合物である。
【0044】
特に好ましい化合物は、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のベンジル、フェニルエチル−、フェニルプロピル−、ピリジニルメチル−、ピリジニルエチル−またはピリジニルプロピル−であり、
ここで、置換基は、塩素、臭素、フッ素、トリフルオロメチルおよびカルボキシから選択され;
Arが、非置換または少なくとも一置換のピリジン−4−イル、ピリミジン−4−イルまたはフェニルであり、
ここで、置換基は、メチルアミノ−、エチルアミノ−、プロピルアミノ−、ブチルアミノ−、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、プロピル、(フェニルエチル)アミノ−、ベンジルアミノ−および(モルホリニルエチル)アミノ−から選択される式(I)の化合物である。
【0045】
下記のものからなる群から選択される式(I)の化合物が格別に好ましい:
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(2−エチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(ピリジン−3−イルメチル)−アミド、
6−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
【0046】
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
R−3−オキソ−6−[2−(1−フェニル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−ブロモ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−2−フルオロ−ベンジルアミド、および
N−(4−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド。
【0047】
好ましい、より好ましい、よりいっそう好ましい、さらによりいっそう好ましい、特に好ましい、および格別に好ましい、式(I)による化合物の場合にも、上記の説明は、塩、立体異性体、プロドラッグ、N−オキシドなどに関しても適用され;特に、それぞれの生理的に許容される塩が包含されることが、もう一度明確に指摘される。
【0048】
A=A1=CONHRである式(I)の誘導体は、Xが官能基、好ましくは−OH、C1−C10−アルコキシ、クロロまたは−O−C(O)−(C1−C10−アルキル)である式(II)による化合物から得ることができる。アミン(III)による変換は、不活性溶剤を用いて0〜150℃で行うことができる。
【0049】
XがOHである場合、式(I)の化合物は、予め添加した酸クロリドの使用または活性化剤の存在下での反応の何れかにより、アミン誘導体のアシル化によって得ることができる。
【化4】

【0050】
反応は、当業者に公知の任意の方法により酸クロリドを生成させることによって、より正確には、トルエン、ジクロロメタン中で塩化オキサリルを作用させることによって (R.D. MILLER, J. Org. Chem. 56, (4) 1453, (1991)) 行うことができ、こうして生成した酸クロリドは、塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンの存在下にアミン(III)と反応するだろう;反応を0℃で開始することができ、酸クロリドの添加が終了したとき、媒質を室温で攪拌状態に保つか (G. DAIDONE, Heterocycles, 43, (11), 2385-96 (1996))、または必要に応じて加熱する。
【0051】
反応は、カルボジイミド型の活性化剤(DCC、EDAC)単独の存在下に (M. C. DESAI, Tetrahedron Lett., 34, 7685, (1993))、またはヒドロキシベンゾトリアゾールおよびジメチルアミノピリジンの存在下に (J. P. GAMET, Tetrahedron 40, 1995, (1984), K. BARLOS, J. Org. Chem. 50, 696, (1985))、またはペプチド化学において結合させる (M. BODANSZKY, Principles of Peptide Synthesis; Springer-Verlag, New York, NY, pages 9-58, (1984)) もしくはアミド結合を形成する周知の方法により行うことができる。
【0052】
式(II)の誘導体は、フランス特許2481284および Y. Shojiro, Chem. Pharm. Bull, 19 (11) p 2354 に記載された方法により得ることができる。反応性官能基を保護する必要がある。保護基は当業者に公知の任意の方法、特に T.W. GREENE, Protective groups in Organic Synthesis, J. Wiley-Interscience Publication (1991) に記載された方法により導入される。フェノールに関しては、より特別には、無機塩基、例えば炭酸ナトリウムの存在下にアセトンおよびアセトニトリルの還流温度で導入されるベンジル基を選択することが好ましいだろう (A. R Mac Kenzie, Tetrahedron, 42, 3259, (1986))。次いで、保護基は接触水素化によるか、またはより特別には特許WO 972846に記載された還流下でのトリフルオロ酢酸の使用により除去することができる。
【0053】
一般式(III)の生成物は、商業的に得ることができるか、または Larock, Comprehensive Organic Transformation, VCH, New York, 1999 に記載された方法により、市販の生成物の反応性官能基の官能化および/または保護により得ることができる。ニトリル官能基は、触媒であるBH3またはより正確には水素化リチウムアルミニウムの存在下に溶剤、例えばジオキサンまたはTHF中で水素により還元される (T.M. Koening, Tetrahedron Letters, 35, 1339, (1994)。フェノール官能基は、溶剤、例えばジメチルホルムアミド中で水素化ナトリウムの存在下に出発化合物をトリメチルシリルエトキシメチルクロリドと室温で反応させることにより、トリメチルシリルエトキシメチルで保護される (J. P. WHITTEN, J. Org. Chem., 51, 1891, (1986); M P. DEWARDS, Tetrahedron, 42, 3723, (1986))。脱保護は、当業者に公知の、T.W. GREENE, Protective groups in Organic Synthesis, J. Wiley-Interscience Publication (1991) に記載された方法により行われる。
【0054】
保護基がトリメチルシリルエトキシメチルである式(I)の誘導体は、溶剤、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン中で還流下にテトラブチルアンモニウムフルオリドと反応させることにより脱保護される。(J. P. WHITTEN, J. Org. Chem., 51, 1891, (1986); B. H. LIPSHUTZ, Tetrahedron Lett., 4095, (1986))。
【0055】
保護基がエステルである式(I)の誘導体は、当業者に公知の任意の方法により、特に還流状態で水酸化ナトリウムを作用させることにより鹸化することができる (L. Anzalone, J. Org. Chem., 50, 2128, (1985)。
【0056】
A=A2=NHCORである式(I)の誘導体に関しては、式(II)の誘導体を、Larock, Comprehensive Organic Transformation, VCH, New York, 1999、またはより正確には B. Singh, HETEROCYCLES, 31, (12), 2163, (1990)) に記載された方法により転位反応に付する必要がある。
【0057】
【化5】

【0058】
式(I)の誘導体は、酸クロリドを用いる式(IV)の誘導体のアシル化による経路a)、もしくは無水物を用いる式(IV)の誘導体のアシル化による経路b)の何れか、または活性化剤の存在下での酸の反応による経路c)によって得ることができる。
【0059】
【化6】

【0060】
経路(a)によれば、反応は、塩基、例えばピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンの存在下に行われ;反応を0℃で開始することができ、酸クロリドの添加が終了したとき、媒質を室温で攪拌状態に保つか (G. DAIDONE, Heterocycles, 43, (11), 2385-96 (1996))、または必要に応じて加熱する。
【0061】
経路(b)によれば、反応は、不活性溶剤、例えばキシレンもしくはテトラヒドロフラン (F. ALBERICIO, Synth. Commun., 31, (2), 225-32, (2001))もしくはジクロロメタン (G. PROCTER, Tetrahedron, 51, (47), 12837-842, (1995))の還流温度で、または無水物それ自体の中で行われる。
【0062】
経路(c)によれば、反応は、カルボジイミド型の活性化剤(DCC、EDAC)単独の存在下に (M. C. DESAI, Tetrahedron Lett., 34, 7685, (1993))、またはヒドロキシベンゾトリアゾールおよびジメチルアミノピリジンの存在下に (J. P. GAMET, Tetrahedron 40, 1995, (1984), K. BARLOS, J. Org. Chem. 50, 696, (1985))、またはペプチド化学において結合させる (M. BODANSZKY, Principles of Peptide Synthesis; Springer-Verlag, New York, NY, pages 9-58, (1984)) もしくはアミド結合を形成する周知の方法により行われる。
【0063】
さらに、一般式(I)による化合物は、Suzukiの反応によるパラジウム触媒作用結合によって製造することができる (I. Parrot ら, Synthesis; 7; 1999; 1163-1168)。これによって、Y1がハロゲン、B(OH)2またはSn(C1−C10−アルキル)であり、そしてY2がHまたは保護基である式(IV)の化合物は、式(V)の化合物を用いて変換される。
【0064】
【化7】

【0065】
Zは、例えばB(OH)2、B(C1−C10−アルキル)2、Sn(C1−C10−アルキル)3、Zn(C1−C10−アルキル)またはハロゲンであってよい。Y2が保護基である場合、この保護基は(IV)と(V)との反応後に当業者に公知の方法を用いて除去される。当業者に公知の全ての保護基、好ましくはトリメチルシリルエトキシメチル−を保護基として用いることができる。パラジウム触媒作用結合を行うために、当業者に公知の全てのパラジウム錯体、好ましくはPd(トリフェニルホスフィン)4(Pd−テトラキス−触媒)を採用することができ、これは好ましくは酢酸パラジウムからその場所で得られる。
【0066】
式(I)の化合物は単離され、そして公知方法、例えば結晶化、クロマトグラフィーまたは抽出により精製することができる。
【0067】
本発明の対象はまた、それぞれ医薬または薬剤としての一般式(I)による化合物の使用である。置換基AおよびAr(ならびに前記の置換基により定義された全てのさらなる置換基)の定義に関して、化合物について上記の文脈において提示したのと同じ説明が、そのまま適用される。
【0068】
一般式(I)による化合物であって、該化合物が上記の好ましい、より好ましい、よりいっそう好ましい、さらによりいっそう好ましい、特に好ましい、および格別に好ましい意味を有するものの、医薬としての使用もまた、本発明の対象である。
【0069】
一般式(I)の化合物はキナーゼ阻害剤であり、従ってキナーゼの異常活性に起因することのある疾患の治療に採用することができる。異常キナーゼ活性としては、例えば、PI3K、AkT、GSK−3βなどのものを挙げることができる。
【0070】
特に、本発明に係る化合物は、キナーゼGSK−3βの阻害のために用いることができる。この効果は、代謝性疾患、例えばII型糖尿病または神経変性性疾患、例えばアルツハイマー病の治療にとって特に有意義である。
【0071】
さらに、一般式(I)による化合物は、タウタンパク質のリン酸化に関して阻害効果を有する。この効果は、神経変性性疾患、例えばアルツハイマー病の治療にとって特に有意義である。
【0072】
本発明に係る化合物により治療できる疾患の例は、次のもの:神経変性性疾患、卒中、頭蓋および脊髄外傷ならびに末梢性ニューロパシー、肥満、代謝性疾患、II型糖尿病、本態性高血圧、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、免疫不全または癌を包含する。神経変性性疾患は、好ましくは次のもの:アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭頭頂性認知症、大脳皮質基底核変性症およびピック病である。
【0073】
本発明に係る化合物は、好ましくは代謝性疾患、特にII型糖尿病の治療に採用される。
【0074】
本発明の別の実施形態において、一般式(I)による化合物は、好ましくは神経変性性疾患、特にアルツハイマー病の治療に採用される。
【0075】
上記の説明において、アイテム治療はまた、上記の疾患の予防、治療または治癒をも包含する。
【0076】
「式(I)による化合物」についての全ての言及は、以下、上記の式(I)の1種の化合物/数種の化合物、そしてまた、本明細書に記載したそれらの塩、溶媒和物および生理的機能性誘導体を指す。
【0077】
式(I)の化合物は、動物、好ましくは哺乳類、特にヒトに投与することができる。式(I)の化合物は、それら単独で、相互の混合物として、もしくは他の医薬との混合物として、または医薬調製物の形態で投与することができる。従って、本発明のさらなる対象はまた、上記の疾患を予防および/または治療する1種またはそれ以上の医薬を製造するための式(I)の化合物の使用、式(I)の化合物の少なくとも1種の有効量を含む医薬調製物(または医薬組成物)、ならびに上記の疾患を予防および/または治療するための式(I)の化合物の少なくとも1種の有効量を含む医薬調製物である。
【0078】
所望の生物学的効果を達成するために必要とされる式(I)による化合物の量は、多数の要因、例えば選択した特定の化合物、意図する用途、投与の種類および患者の臨床状態に依存する。一般的に、一日量は、体重1kg当たり毎日0.3mg〜100mg(典型的には3mg〜50mg)、例えば3〜10mg/kg/日の範囲にある。静脈内用量は、例えば0.3mg〜1.0mg/kgの範囲にあってよく、好適な方法により1kg当たり毎分10ng〜100ngの注入液として投与することができる。この目的に好適な注入液は、例えば、1ミリリットル当たり0.1ng〜10mg、典型的には1ng〜10mgを含むことができる。それぞれの用量は、例えば1mg〜10gの活性化合物を含んでいてよい。従って、注射用アンプルは、例えば1mg〜100mgを含むことができ、経口投与可能な個々の用量製剤、例えば錠剤またはカプセルなどは、例えば1.0〜1000mg、典型的には10〜600mgを含むことができる。製薬上許容される塩の場合、上記の量は、塩の基礎となる遊離化合物の質量に関する。上記の症状の予防または治療に用いられる化合物は、式(I)による化合物それら自体であってよいが、それらは許容される担体と一緒にした医薬組成物の形態で存在することが好ましい。担体は、それが該組成物の他の成分と適合性であり、かつ患者の健康に有害でないという意味で、当然ながら許容性でなければならない。担体は固体もしくは液体または両者であってよく、化合物と共に個々の用量として、例えば0.05%〜95重量%の活性化合物を含みうる錠剤として製剤化されることが好ましい。他の医薬活性物質が存在していてもよく、これらは他の式(I)による化合物を包含する。本発明の医薬組成物は、成分を製薬上許容される担体および/または賦形剤と混合することを本質的に含む任意の公知の製薬方法により製造することができる。
【0079】
少なくとも1種の式(I)による化合物ならびに1種またはそれ以上の担体のほかに、医薬調製物は添加物を含むこともできる。添加物としては、例えば次のもの:充填剤、結合剤、滑沢剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、分散剤、保存剤、甘味料、着色剤、矯味矯臭剤、芳香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、溶剤、可溶化剤、デポー効果を達成するための物質、浸透圧を変更するための塩、被覆剤または抗酸化剤を採用することができる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、ピル、錠剤、ロゼンジ、被覆錠剤、顆粒、カプセル、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル、水性溶液、アルコール性溶液、油性溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液、トローチ、坐剤、注射もしくは注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、粉末、スプレー、経皮治療システム、鼻内スプレー、エアゾール混合物、マイクロカプセル、インプラント、ロッドまたは硬膏の形態にあってよい。
【0081】
本発明の医薬組成物は、経口、直腸、局所、口腔(例えば舌下)および非経口(例えば皮下、筋肉内、皮内または静脈内)投与に適するものであるが、最適の投与方法は、それぞれの個々の場合に、治療すべき症状の性質および重症度、ならびに各場合に用いられる式(I)による化合物の性質に依存する。糖衣製剤および糖衣遅延放出製剤もまた、本発明の範囲内に包含される。耐酸性および腸溶性製剤が好ましい。好適な腸溶性被覆は、酢酸フタル酸セルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、フタル酸ヒドロキシプロピル−メチルセルロースおよびメタクリル酸とメタクリル酸メチルとのポリマーを包含する。
【0082】
経口投与に適する医薬配合物は、個別単位で、例えば、個々の場合に特定量の式(I)による化合物を含むカプセル、カシェ剤、ロゼンジもしくは錠剤として;粉末(ゼラチンカプセルもしくはカシェ剤)もしくは顆粒として;水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液として;または水中油滴型もしくは油中水滴型エマルジョンとして存在することができる。既に述べたように、該組成物は、活性化合物と担体(これは1種またはそれ以上の追加の成分を含んでいてもよい)とを接触させる段階を含む任意の好適な製薬方法により製造することができる。一般的に、組成物は、活性化合物を液体および/または微細分散固体の担体と一様かつ均質に混合し、その後に必要に応じて生成物を成形することにより製造される。従って、例えば錠剤は、化合物の粉末または顆粒を、適切ならば1種またはそれ以上の追加の成分と共に圧縮または成形することにより製造することができる。圧縮錠剤は、適切ならば、結合剤、滑剤、不活性希釈剤および/または1種またはそれ以上の界面活性剤/分散剤と混合した、自由流動性形態の化合物、例えば粉末または顆粒を好適な機械で打錠することにより製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物を好適な機械で成形することにより製造することができる。希釈剤としては、例えば澱粉、セルロース、ショ糖、乳糖またはシリカを用いることができる。本発明の医薬組成物は、希釈剤以外の物質、例えば1種またはそれ以上の滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはタルク、着色剤、被覆剤(糖衣錠)またはワニスを含むこともできる。
【0083】
口腔(舌下)投与に適する医薬組成物は、式(I)による化合物を矯味矯臭剤、普通はショ糖およびアラビアゴムまたはトラガントと共に含むロゼンジ、ならびに化合物を不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセロールまたはショ糖およびアラビアゴム中にトローチを包含する。
【0084】
非経口投与に適する医薬組成物は、好ましくは意図する患者の血液と等張性である式(I)による化合物の滅菌水性調製物を含むことが好ましい。これらの調製物は、好ましくは静脈内に投与されるが、それらは皮下、筋肉内または皮内に注射液として投与することもできる。該調製物は、化合物を水と混合し、得られた溶液を滅菌し、そして血液と等張性にすることにより好ましく製造することができる。本発明の注射可能な組成は、一般的に0.1〜5重量%の活性化合物を含む。
【0085】
非経口投与のためのこれらの滅菌組成物は、好ましくは、水性もしくは非水性である溶液、懸濁液またはエマルジョンであってよい。溶剤またはビヒクルとしては、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、特にオリーブ油、注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチル、または他の好適な有機溶剤を用いることができる。これらの組成物は、助剤、特に湿潤用、等張化用、乳化用、分散用および安定化用の媒質を含むこともできる。滅菌は幾つかの方法により、例えば無菌濾過、組成物中への殺菌剤の導入、照射または加熱により行うことができる。それらは、使用時に滅菌水または注射用の他の任意の滅菌媒質に溶解できる滅菌固体組成物の形態で製造することもできる。
【0086】
直腸投与に適する医薬組成物は、好ましくは個別用量坐剤として存在する。これらは、式(I)による化合物を1種またはそれ以上の慣用固体担体、例えばカカオ脂と混合し、得られた混合物を成形することにより製造することができる。
【0087】
皮膚への局所適用に適する医薬組成物は、好ましくは軟膏、クリーム、ローション、ペースト、スプレー、エアゾールまたはオイルとして存在する。使用できる担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコールおよびこれらの物質の2種またはそれ以上の組み合わせである。一般的に、活性化合物は組成物の重量により、0.1〜15%、例えば0.5〜2%の濃度で存在する。
【0088】
経皮投与も可能である。経皮投与に適する医薬組成物は、患者の上皮との密接な長期接触に適する個別パッチとして存在することができる。このようなパッチは、好適には、接着剤に溶解および/もしくは分散したか、またはポリマーに分散した、場合により緩衝化した水溶液中に活性化合物を含む。好適な活性化合物濃度は、約1%〜35%、好ましくは約3%〜15%である。特別の可能性は、例えば Pharmaceutical Research, 2(6): 318 (1986) に記載されたように、電気輸送法またはイオン導入法により活性化合物を放出させることである。
【0089】
下記の例により本発明に係る組成物を説明する。
例 A
1回量50mgの活性生成物を含み、そして下記の組成を有するゼラチンカプセルを通常の技術により製造する:
− 式(I)の化合物 50mg
− セルロース 18mg
− 乳糖 55mg
− コロイド状シリカ 1mg
− カルボキシメチル澱粉ナトリウム 10mg
− タルク 10mg
− ステアリン酸マグネシウム 1mg
【0090】
例 B
1回量50mgの活性生成物を含み、そして下記の組成を有する錠剤を通常の技術により製造する:
− 式(I)の化合物 50mg
− 乳糖 104mg
− セルロース 40mg
− ポリビドン 10mg
− カルボキシメチル澱粉ナトリウム 22mg
− タルク 10mg
− ステアリン酸マグネシウム 2mg
− コロイド状シリカ 2mg
− ヒドロキシメチルセルロース、グリセリン、酸化チタンの混合物
(72−3.5−24.5)、245mgの完成フィルムコート錠
1錠までの適量
【0091】
例 C
10mgの活性生成物を含み、そして下記の組成を有する注射用溶液を製造する:
− 式(I)の化合物 10mg
− 安息香酸 80mg
− ベンジルアルコール 0.06ml
− 安息香酸ナトリウム 80mg
− 95%エタノール 0.4ml
− 水酸化ナトリウム 24mg
− プロピレングリコール 1.6ml
− 水 適量 4ml
【0092】
本発明の別の対象は、式(I)の化合物と、式(I)により包含されない他の医薬活性物質との組み合わせである。
【0093】
式(I)の化合物は、脂質の代謝に対する有益な作用によって優れており、それらは哺乳類において体重を減少させるため、および体重減少後に減少した体重を維持するため、ならびに食欲抑制剤として特に適している。本化合物は、それらの低い毒性およびそれらの少ない副作用によって優れている。
【0094】
本化合物は、単独でまたは他の体重減少もしくは食欲抑制活性化合物と組み合わせて採用することができる。この種の他の食欲抑制活性化合物は、例えば、Rote Liste, Chapter 01 に体重減少剤/食欲抑制剤の項に記載されており、生物のエネルギーターンオーバーを増大し、従って体重減少に導く活性化合物、またはそのほかに、増大したカロリー摂取が脂肪貯蔵の拡大を生じさせないように、また正常カロリー摂取が該生物の脂肪貯蔵の減少を生じさせるように、該生物の全身的代謝に影響を与えるものを包含する。本化合物は体重過剰または肥満の問題の予防および特に治療に適している。
【0095】
式(I)の化合物は、ブドウ糖代謝に対して有益な作用を有し、それらは血糖値を特に低下させ、そしてI型およびII型糖尿病の治療に用いることができる。従って、本化合物は、単独でまたは他の血糖低下活性化合物(抗糖尿病剤)と組み合わせて用いることができる。本発明のもう一つの態様において、式Iの化合物は1種またはそれ以上の他の薬理的活性物質と組み合わせて投与することができ、それらは例えば、抗糖尿病剤、抗脂肪症剤、血圧低下活性化合物、脂質減少剤、ならびに糖尿病に起因するかまたは糖尿病に関連する合併症を治療および/または予防するための活性化合物からなる群から選択することができる。
【0096】
好適な抗糖尿病剤は、インスリン、アミリン、GLP−1およびGLP−2誘導、例えば、Novo Nordix A/SによりWO 98/08871に開示されたもの、そしてまた経口血糖降下活性化合物を包含する。
【0097】
これらの経口血糖降下活性化合物は、好ましくは、スルホニル尿素、ビクアニジン、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン受容体拮抗剤、GLP−1作用剤、カリウムチャンネル開放剤、例えば、Novo Nordix A/SによりWO 97/26265およびWO 99/03861に開示されたもの、インスリン増感剤、インスリン受容体キナーゼの活性化剤、グルコース新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓酵素の阻害剤など、例えばグリコーゲンホスホラーゼ阻害剤、グルコース取り込みおよびグルコース排除のモジュレーター、脂質代謝修飾化合物、例えば抗高脂血症活性化合物および抗高脂血活性化合物、例えばHMGCoA−レダクターゼ阻害剤、コレステロール輸送/コレステロール取り込みの阻害剤、胆汁酸の再吸収の阻害剤もしくはミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(MTP)の阻害剤、食品摂取を減少させる化合物、PPARおよびRXR作用剤、ならびにベータ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する活性化合物を包含する。
【0098】
本発明の一つの実施形態において、本発明の化合物はインスリンと組み合わせて投与される。
【0099】
別の実施形態において、本発明の化合物は、スルホニル尿素、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド、グリキドン、グリソキセピド、グリボルヌリドまたはグリクラジドなどと組み合わせて投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は、ビグアニジン、例えばメトホルミンなどと組み合わせて投与される。別の実施形態において、本発明の化合物は、メグリチニド、例えばレパグリニドなどと組み合わせて投与される。さらに別の実施形態において、本発明の化合物は、チアゾリジンジオン、例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、またはDr. Reddy’s Research FoundationによりWO 97/41097に記載された化合物、特に5−[[4−(3,4−ジヒドロ−3−メチル−4−オキソ−2−キナゾリニルメトキシ]フェニル]メチル)−2,4−チアゾリジンジオンなどと組み合わせて投与される。
【0100】
別の実施形態において、本発明の化合物は、α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばミグリトールまたはアカルボースなどと組み合わせて投与される。
【0101】
別の実施形態において、本発明の化合物は、ベータ細胞のATP依存性カリウムチャンネルに作用する化合物、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド、グリクラジドまたはレパグリニドなどと組み合わせて投与される。さらに別の実施形態において、本発明の化合物は、抗高脂血症活性化合物または抗高脂血活性化合物、例えばコレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、フェノフィブラート、ジェムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、プロブコール、エゼチミベまたはデキストロチロキシンなどと組み合わせて投与される。
【0102】
別の実施形態において、本発明の化合物は、上記の化合物の2種以上と組み合わせて、例えばスルホニル尿素およびメトホルミンと、スルホニル尿素およびアカルボースと、レパグリニドおよびメトホルミンと、インスリンおよびスルホニル尿素と、インスリンおよびメトホルミンと、インスリンおよびトログリタゾンと、インスリンおよびロバスタチンと、その他と組み合わせて投与される。
【0103】
さらに、本発明の化合物は、1種またはそれ以上の抗脂肪剤または食欲制御活性化合物と組み合わせて投与される。
【0104】
このような活性化合物は、CART作用剤、NPY拮抗剤、MC4作用剤、オーレキシン拮抗剤、H3作用剤、TNF作用剤、CRF作用剤、CRF BP拮抗剤、ウロコルチン作用剤、β3作用剤、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)作用剤、CCK作用剤、セロトニン再取り込み阻害剤、混合セロトニンおよびノルアドレナリン再取り込み阻害剤、5HTモジュレーター、MAO阻害剤、ボンベシン作用剤、ガラニン拮抗剤、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRH作用剤、脱共役タンパク質2または3モジュレーター、レプチン作用剤、ドーパミン作用剤(ブロモクリプチン、ドプレキシン)、リパーゼ/アミラーゼ阻害剤、カンナビノイド受容体1拮抗剤、アシル化刺激タンパク質(ASP)のモジュレーター、PPARモジュレーター、RXRモジュレーター、hCNTFミメティックスまたはTR−β作用剤からなる群から選択することができる。
【0105】
本発明の一つの実施形態において、抗脂肪剤は、レプチンまたは修飾レプチンである。別の実施形態において、抗脂肪剤は、デクスアンフェタミンまたはアンフェタミンである。別の実施形態において、抗脂肪剤は、フェンフルラミンまたはデクスフェンフルラミンである。さらに別の実施形態において、抗脂肪剤は、シブトラミン、またはシブトラミンのモノ−およびビス−脱メチル化活性代謝物である。別の実施形態において、抗脂肪剤はオルリスタートである。別の実施形態において、抗脂肪剤は、マジンドール、ジエチルプロピオンまたはフェンテルミンである。
【0106】
さらに、本発明の化合物は、1種またはそれ以上の抗高血圧活性化合物と組み合わせて投与される。抗高血圧活性化合物の例は、ベータ遮断剤、例えばアルプレノロール、アテノール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール、ACE(アンギオテンシン変換酵素)阻害剤、例えばベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリルおよびラムプリルなど、カルシウムチャンネル遮断剤、例えばニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミル、そしてまた、アルファ遮断剤、例えばドキサゾシン、ウラピジル、プラゾシンおよびテラゾシンである。さらに、The Remington: Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Gennaro, editor, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995 を参照することができる。
【0107】
本発明の化合物と、1種またはそれ以上の上記の化合物および場合により1種またはそれ以上の他の薬理的活性化合物との全ての好適な組み合わせが本発明の保護範囲により包含されることは、自明である。
【0108】
下記の非限定的実施例により、本発明をさらに説明する。
【0109】
実施例1
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化8】

0.14gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.14cm3の2,4−ジクロロベンジルアミンおよび0.14cm3のトリエチルアミンを、10cm3のジクロロメタン中の、Y. Shojiro ら, Chem. Pharm. Bull; 19, (11), p. 2354 に記載されたように製造した0.2gの3−オキソ−6−フェニル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸に加える。次いで、0.2gの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドを加える。この混合物を19℃で48時間攪拌する。10cm3の蒸留水を加える。有機相を再び10cm3の1規定塩酸水溶液で3回、次いで10cm3の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。次いで、有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥する。この混合物を焼結ロートに通して濾過し、次いで減圧下に蒸発させる(2kPa;45℃)。残留物を10cm3のジイソプロピルエーテルで溶解する。不溶性材料を焼結ロートに通して濾過し、次いで10cm3ジイソプロピルエーテルで再びすすぐ。乾燥した後(10kPa;20℃)、28mgのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを約258℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.64 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.40
−7.60 (mt: 5H); 7.66 (broad s: 1H); 7.92 (mt: 2H); 8.55 (s: 1H); 10.04 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 13.80−14.15 (broad unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 374
【0110】
実施例2
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化9】

10cm3のジクロロメタンに溶解した、フランス特許2 481 284に記載されたように製造した0.3gの3−オキソ−(6−ピリジン−4−イル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸に、0.02cm3のジメチルホルムアミド、次いで0.12cm3の塩化オキサリルを加える。反応媒質を19℃で3時間攪拌する。次いで、さらに0.12cm3の塩化オキサリルを加え、この混合物を19℃でさらに1時間攪拌する。次いで、反応混合物を、0.19cm3のトリエチルアミンおよび0.21cm3の2,4−ジクロロベンジルアミンを含む10cm3のジクロロメタンの溶液上に注ぐ。反応媒質を19℃で12時間攪拌し、次いで焼結ロートに通して濾過し、10cm3のジクロロメタン、10cm3の蒸留水および10cm3の1規定塩酸水溶液ですすぐ。乾燥した後(10kPa;20℃)、0.25gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを233℃で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.64 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.45
(mt: 2H); 7.66 (broad s: 1H); 7.91 (broad d, J = 5 Hz: 2H); 8.62 (s: 1H); 8.73 (broad d, J = 5 Hz: 2H); 9.95 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.25 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375,03
【0111】
実施例3
N−ベンジル−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化10】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.17cm3のベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.22gのN−ベンジル−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを258℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.61 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.25−7.45 (mt: 5H); 7.92 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.64 (s: 1H); 8.73 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.93 (broad t, J = 6 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 307
【0112】
実施例4
N−(4−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化11】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.19cm3の4−クロロベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.2gのN−(4−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを250℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.60 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.41
(mt: 4H); 7.92 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.64 (s: 1H); 8.73 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.91 (broad t, J = 6 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 341
【0113】
実施例5
N−(2−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化12】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.19cm3の2−クロロベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.25gのN−(2−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6,δin ppm): 4.67 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.35 (mt: 2H); 7.40−7.55 (mt: 2H); 7.92 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.63 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.95 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.25 (s: 1H)。
[M+1]-ピーク: 341
【0114】
実施例6
N−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3−オキソ−6−ピリジン−4−イ
ル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化13】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.23cm3の2,4−ジクロロフェニルエチルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.23gのN−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを202℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 3.00 (t, J = 7 Hz: 2H); 3.63 (q, J = 7 Hz: 2H); 7.38 (dd, J = 8.5 および 2 Hz: 1H); 7.44 (d, J = 8 Hz: 1H); 7.60 (d, J = 2 Hz: 1H); 7.90 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.49 (s: 1H); 8.68 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 9.96 (unresolved peak: 1H); 13.50−14.50 (very broad unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 389
【0115】
実施例7
N−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化14】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.036gの2,4−ジクロロアニリンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.16gのN−(2,4−ジクロロフェニル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (400 MHz, (CD3)2SO d6 with addition of a few drops of CD3COOD d4, δin ppm): 7.52 (dd, J = 8.5 および 2.5 Hz: 1H); 7.75 (d, J = 2.5 Hz: 1H); 7.96 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.60 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 8.75 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.77 (s: 1H)。
[M+1]-ピーク: 361
【0116】
実施例8
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化15】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.15cm3の4−(アミノメチル)ピリジンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.14gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−4−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを254℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.63 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.35
(broad d, J = 6 Hz: 2H); 7.92 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.53 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.62 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.99 (t, J = 6 Hz: 1H); 14.26 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 308
【0117】
実施例9
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化16】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.21cm3の3−(トリフルオロメチル)ベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.22gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[3−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを224℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.68 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.55−7.75 (mt: 3H); 7.74 (broad s: 1H); 7.91 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.63 (s: 1H); 8.72 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 9.96 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.21 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375
【0118】
実施例10
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化17】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.21cm3の4−(トリフルオロメチル)ベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.22gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを227℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.69 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.59 (broad d, J = 8 Hz: 2H); 7.73 (broad d, J = 8 Hz: 2H); 7.91 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.62 (s: 1H); 8.72 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 10.04 (very broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.24 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375
【0119】
実施例11
N−(3,5−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化18】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.19cm3の3,5−ジクロロベンジルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発して、0.025gのN−(3,5−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.59 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.43
(mt: 2H); 7.51 (mt: 1H); 7.91 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.57 (s: 1H); 8.70 (d mt, J
= 6 Hz: 2H); 10.14 (unresolved peak: 1H); 14.18 (broad unresolved ピーク: 1H)。[M+1]-ピーク: 375
【0120】
実施例12
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(n−ブチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化19】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、0.02cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.15cm3のn−ブチルアミンおよび0.19cm3のトリエチルアミンから出発し、そしてシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンおよびメタノールの混合物(体積で97.5/2.5)を用いて溶出して精製した後、0.23gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(n−ブチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを209℃で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 0.93 (t, J = 7 Hz: 3H); 1.38
(mt: 2H); 1.55 (mt: 2H); 3.37 (mt: 2H); 7.90 (d mt, J = 6 Hz: 2H); 8.60 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.50 (t, J = 6 Hz: 1H); 14.20 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 273
【0121】
実施例13
3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチル
【化20】

0.733gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.833gのβ−アラニンエチルエステル塩酸塩、0.96cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび2.06gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを順次に、100cm3のN,N−ジメチルホルムアミドに溶解した0.94gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸に加える。反応媒質を19℃で12時間攪拌する。溶剤を減圧下に蒸発させる(2kPa;55℃)。固体残留物を20cm3のジクロロメタン中で磨砕し、吸引濾過し、減圧下にオーブン乾燥する(10kPa;20℃)。シリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンを用いて溶出して精製した後、0.45gの3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを180℃で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.22 (t, J = 7 Hz: 3H); 2.63
(broad t, J = 6.5 Hz: 2H); 3.62 (q, J = 6.5 Hz: 2H); 4.12 (q, J = 7 Hz: 2H); 7.92 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.61 (s: 1H); 8.73 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.69 (broad t, J = 6.5 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 317
【0122】
実施例14
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化21】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、30cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.233gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.18cm3の3−(アミノメチル)ピリジン、0.31cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび0.65gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発して、0.046gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを262℃で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.62 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.38
(broad dd, J = 8 and 5 Hz: 1H); 7.79 (very broad d, J = 8 Hz: 1H); 7.91 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.48 (broad d, J = 5 Hz: 1H); 8.60 (broad s: 1H); 8.62 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.94 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.15 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 308
【0123】
実施例15
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化22】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、30cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.233gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.18cm3の2−(アミノメチル)ピリジン、0.31cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび0.65gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発して、0.125gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−2−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを242℃で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.71 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.33
(broad dd, J = 8 および 5.5 Hz: 1H); 7.42 (broad d, J = 8 Hz: 1H); 7.81 (resolved t, J = 8 および 2 Hz: 1H); 7.93 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.57 (broad d, J = 5.5 Hz: 1H); 8.63 (s: 1H); 8.73 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 10.24 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.00−14.50 (very broad unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 308
【0124】
実施例16
N−(3,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化23】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸、30cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.233gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.19cm3の3,4−ジクロロベンジルアミン、0.31cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび0.65gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発して、0.28gのN−(3,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを265℃で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.58 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.37
(dd, J = 8 および 1.5 Hz: 1H); 7.62 (d, J = 8 Hz: 1H); 7.64 (mt: 1H); 7.91 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.62 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.92 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.00−14.40 (very broad unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375
【0125】
実施例17
N−(4−モルホリン−4−イルベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化24】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、30cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.233gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.265gの4−モルホリノ−ベンジルアミン、0.31cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび0.65gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発し、そしてシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンを用いて溶出して精製した後、0.13gのN−(4−モルホリン−4−イルベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを252℃で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 3.09 (t, J = 5 Hz: 4H); 3.74
(t, J = 5 Hz: 4H); 4.48 (d, J = 6 Hz: 2H); 6.93 (d, J = 8 Hz: 2H); 7.24 (d, J =
8 Hz: 2H); 7.91 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.62 (s: 1H); 8.72 (broad d, J = 6 Hz:
2H); 9.85 (very broad t, J = 6 Hz: 1H); 14.22 (unresolved peak: 1H)。
[M+1]-ピーク: 392,16
【0126】
実施例18
(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンゾニトリル
【化25】

0.085gの4−ジメチルアミノピリジンおよび4.9cm3のクロロメチルシエトキシ(トリメチルシリル)を順次に、60cm3のジクロロメタンに溶解した3gの4−ヒドロキシベンゾニトリルに加え、次いで5.62cm3のトリエチルアミンを加える。反応媒質を19℃で12時間攪拌した後、10cm3の1規定塩酸水溶液で3回、次いで10cm3の水、次いで10cm3の1規定水酸化ナトリウム、最後に10cm3の飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、焼結ロートに通して濾過し、次いで減圧下に蒸発させる(2kPa;45℃)。シリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンを用いて溶出して精製した後、3.5gの(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンゾニトリルを無色油状物の形態で得る。
質量 スペクトル: EI, m/z = 206 (M - SiCH3)+, m/z = 191 (M - Si(CH3)2)+, m/z = 176 (M - Si(CH3)3)+ ベースピーク, m/z = 103 (PhCN)+, m/z = 73 (Si(CH3)3)+
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): - 0.03 (s: 9H); 0.89 (t, J =
8 Hz: 2H); 3.72 (t, J = 8 Hz: 2H); 5.35 (s: 2H); 7.18 (d, J = 9 Hz: 2H); 7.79 (d, J = 9 Hz: 2H)。
【0127】
(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンジルアミン
【化26】

15.5cm3の1モル水素化リチウムアルミニウム溶液を19℃付近の温度で、70cm3のテトラヒドロフランに溶解した3.5gの(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンゾニトリルに加える。反応媒質を加熱し、テトラヒドロフランの還流点に4時間保持する。19℃付近の温度に冷却した後、0.6cm3の水を反応媒質に加え、次いで0.6cm3の0.5N水酸化ナトリウム水溶液および1.8cm3の水を加える。得られた懸濁液を焼結ロートに通して濾過し、残留物を1.8cm3のテトラヒドロフランで5回洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、焼結ロートに通して濾過し、次いで減圧下に蒸発させる(2kPa;45℃)。3.3gの(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンジルアミンを黄色油状物の形態で得る。
質量 スペクトル: EI, m/z = 253 M+, m/z = 194 (M - CH3CH2OCH2)+ ベースピーク, m/z
= 180 (M - Si(CH3)3+, m/z = 73 (Si(CH3)3)+
1H NMR スペクトル (400 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 0.00 (s: 9H); 0.90 (t, J = 8
Hz: 2H); 3.66 (s: 2H); 3.71 (t, J = 8 Hz: 2H); 5.20 (s: 2H); 6.95 (broad d, J =
8.5 Hz: 2H); 7.24 (broad d, J = 8.5 Hz: 2H)。
【0128】
N−(4−ヒドロキシベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化27】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、0.6gの3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、60cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.466gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.91cm3の(トリメチルシリル)−2−エトキシメトキシ−4−ベンジルアミン、0.6cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび1.31gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発し、そして100×30mmのHyPURITY(登録商標)5μmカラム上の高速液体クロマトグラフィーにより、25%から95%まで増加するアセトニトリル/水の混合物(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)を用いて溶出して精製した後、0.16gのN−(4−ヒドロキシベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.48 (d, J = 6 Hz: 2H); 6.75
(d, J = 8 Hz: 2H); 7.19 (d, J = 8 Hz: 2H); 8.05 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 8.69 (s: 1H); 8.79 (broad d, J = 6 Hz: 2H); 9.00−9.60 (broad unresolved peak: 1H); 9.74 (t, J = 6 Hz: 1H); 14.28 (broad s: 1H)。
[M+1]-ピーク: 323.11
【0129】
実施例19
4−ベンジルオキシアセトフェノン
【化28】

14.5cm3の臭化ベンジルおよび16.75gの炭酸カリウムを19℃付近の温度で、180cm3のアセトンに溶解した15gの4−ヒドロキシアセトフェノンに加える。反応媒質を加熱し、アセトンの還流温度に4時間保持する。19℃付近の温度に冷却した後、反応媒質を焼結ロートに通して吸引濾過し、不溶性材料を10cm3のアセトンで再びすすぐ。有機相を減圧下に蒸発させ(2kPa;45℃)、得られた固体を300cm3の酢酸エチルに溶解する。有機溶液を100cm3の水で2回、次いで100cm3の飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄する。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥し、焼結ロートに通して濾過し、次いで減圧下に蒸発させる(2kPa;45℃)。固体残留物を20cm3のペンタン中で磨砕し、焼結ロートに通して吸引濾過し、減圧下にオーブン乾燥する(10kPa;20℃)。23.1gの4−ベンジルオキシアセトフェノンを99℃で溶融する白色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 2.52 (s: 3H); 5.21 (s: 2H); 7.13 (d, J = 9 Hz: 2H); 7.30−7.55 (mt: 5H); 7.95 (d, J = 9 Hz: 2H)。
【0130】
ヒドロキシ[2−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−オキソエチル]マロン酸ジエチル
【化29】

19cm3のケトマロン酸エチルおよび2.5cm3のピリジンを、23.1gの4−ベンジルオキシアセトフェノンに加える。反応媒質を加熱し、還流で12時間保持する。冷却した後、反応媒質をシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンおよびメタノールの混合物(体積で99/1)を用いて溶出して精製する。生成物を含む分画を併せ、次いで減圧下に濃縮する(45℃;2kPa)。得られた生成物を150cm3のエタノール中で磨砕し、焼結ロートに通して濾過し、50cm3のエタノールで2回、50cm3のイソプロピルエーテルで洗浄し、減圧下に乾燥した後(2kPa;55℃)、80℃で溶融する5.6gのヒドロキシ[2−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−オキソエチル]マロン酸ジエチルを得る。1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.21 (t, J = 7 Hz: 6H); 3.65 (s: 2H); 4.18(q, J = 7 Hz: 4H); 5.22 (s: 2H); 6.25 (s: 1H); 7.14 (d, J = 9 Hz: 2H); 7.30−7.55 (mt: 5H); 7.94 (d, J = 9 Hz: 2H)。
【0131】
6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチル
【化30】

1.69gのヒドラジン二塩酸塩を19℃付近の温度で、180cm3のエタノールに溶解した5.6gのヒドロキシ[2−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−オキソエチル]マロン酸ジエチルに加える。反応媒質を加熱し、還流で12時間保持する。冷却した後、溶剤を減圧下に除去する(2kPa;55℃)。得られた固体を20cm3のエタノール中で磨砕し、焼結ロートに通して吸引濾過し、減圧下にオーブン乾燥する(10kPa;50℃)。3.85gの6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルを239℃で溶融する緑色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.32 (t, J = 7 Hz: 3H); 4.32
(q, J = 7 Hz: 2H); 5.19 (s: 2H); 7.14 (d, J = 9 Hz: 2H); 7.30−7.55 (mt: 5H); 7.84 (d, J = 9 Hz: 2H); 8.30 (s: 1H); 13.51 (broad s: 1H)。
【0132】
6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸
【化31】

33cm3の1モル水酸化ナトリウム溶液を、3.85gの6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルに加える。反応媒質を加熱し、還流で30分間保持する。冷却した後、33cm3の1モル塩酸溶液を加える。
得られた懸濁液を焼結ロートに通して濾過し、残留物を25cm3の水で2回洗浄し、減圧下にオーブン乾燥する(10kPa;50℃)。3.05gの6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸を260℃より高い温度で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 5.20 (s: 2H); 7.15 (d, J = 9
Hz: 2H); 7.30−7.55 (mt: 5H); 7.92 (d, J = 9 Hz: 2H); 8.42 (s: 1H)。
【0133】
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【0134】
【化32】

3−[(3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボニル)アミノ]プロピオン酸エチルを製造するための実施例13と同様に操作するが、1gの6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸、100cm3のN,N−ジメチルホルムアミド、0.523gの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、0.56cm3の2,4−ジクロロベンジルアミン、1.1cm3のN,N−ジイソプロピルエチルアミンおよび1.47gのO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートから出発して、1.02gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを225℃で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.53 (d, J = 6 Hz: 2H); 5.19
(s: 2H); 7.15 (d, J = 9 Hz: 2H); 7.30−7.55 (mt: 7H); 7.66 (broad s: 1H); 7.86 (d, J = 9 Hz: 2H); 8.47 (s: 1H); 10.24 (unresolved peak: 1H); 13.75−13.95 (broad unresolved peak: 1H)。
【0135】
N−ベンジル−3−オキソ−6−[4−(ヒドロキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化33】

0.525gのギ酸アンモニウムおよび0.022gの水酸化パラジウムを、10cm3のメタノールに溶解した0.4gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドに加える。反応媒質を加熱し、還流で2時間保持する。冷却した後、反応媒質を焼結ロートに通して吸引濾過し、不溶性材料を再び10cm3の熱メタノールで3回すすぐ。有機相を減圧下に蒸発させる(2kPa;45℃)。残留物をメタノールから再結晶する。焼結ロートに通して濾過し、10cm3のメタノールで2回洗浄し、減圧下にオーブン乾燥した後(10kPa;50℃)、0.022gのN−ベンジル−3−オキソ−6−[4−(ヒドロキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.53 (d, J = 6 Hz: 2H); 6.89
(broad d, J = 9 Hz: 2H); 7.20−7.45 (mt: 5H); 7.75 (broad d, J = 9 Hz: 2H); 8.50 (s: 1H); 10.02 (t, J = 6 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 322
【0136】
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ヒドロキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドおよびN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[3−ベンジル−4−ヒドロキシフェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化34】

5cm3のトリフルオロ酢酸を、0.4gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドに加える。反応媒質を加熱し、還流で2時間保持する。冷却した後、溶剤を減圧下に除去する(2kPa;55℃)。残留物を100×30mmのHyPURITY(登録商標)5μmカラム上の高速液体クロマトグラフィーにより、5%から95%まで増加するアセトニトリル/水の混合物(0.05%のトリフルオロ酢酸を含む)を用いて溶出して精製する。
【0137】
0.021gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[4−(ヒドロキシ)フェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.63 (d, J = 6 Hz: 2H); 6.88
(d, J = 8 Hz: 2H); 7.45 (s: 2H); 7.65 (s: 1H); 7.75 (d, J = 8 Hz: 2H); 8.47 (s:
1H); 9.90 (unresolved peak: 1H); 10.11 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 13.78 (broad unresolved ピーク: 1H)。
【0138】
0.040gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−[3−ベンジル−4−ヒドロキシフェニル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドも、270℃付近の温度で溶融する黄色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 3.95 (s: 2H); 4.62 (d, J = 6
Hz: 2H); 6.94 (d, J = 8.5 Hz: 1H); 7.10−7.35 (mt: 5H); 7.44 (mt: 2H); 7.60 (dd, J = 8.5 および 2 Hz: 1H); 7.65 (mt: 2H); 8.45 (s: 1H); 9.95 (broad s: 1H); 10.07 (broad t, J = 6 Hz: 1H); 13.81 (unresolved peak: 1H).
【0139】
実施例20
ヒドロキシ(ピリジン−2−オキソエチル)マロン酸ジエチル
【化35】

ヒドロキシ[2−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−オキソエチル]マロン酸ジエチルを製造するための実施例19と同様に操作するが、13cm3の2−アセチルピリジン、21cm3のケトマロン酸エチルおよび2.5cm3のピリジンから出発し、そしてシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンを用いて溶出して精製した後、31.1gのヒドロキシ(ピリジン−2−オキソエチル)マロン酸ジエチルを褐色油状物として得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.20 (t, J = 7 Hz: 6H); 3.90
(s: 2H); 4.19 (q, J = 7 Hz: 4H); 6.38 (s: 1H); 7.71 (ddd, J = 7.5 - 5 および 1.5 Hz: 1H); 7.97 (broad d, J = 7.5 Hz: 1H); 8.04 (resolved t, J = 7.5 および 1.5 Hz: 1H); 8.76 (broad d, J = 5 Hz: 1H)。
【0140】
6−ピリジン−2−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチル
【化36】

6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルを製造するための実施例19と同様に操作するが、31.1gのヒドロキシ(ピリジン−2−オキソエチル)マロン酸ジエチル、11.55gのヒドラジン二塩酸塩および700cm3のエタノールから出発し、そしてシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンを用いて溶出して精製し、次いでエタノールから再結晶した後、6.9gの6−ピリジン−2−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルを182℃で溶融する黄色固体として得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.33 (t, J = 7 Hz: 3H); 4.33
(q, J = 7 Hz: 2H); 7.50 (ddd, J = 8 - 5 および 1.5 Hz: 1H); 7.97 (resolved t, J
= 8 および 2 Hz: 1H); 8.08 (broad d, J = 8 Hz: 1H); 8.67 (s: 1H); 8.70 (ddd, J = 5 - 2 および1.5 Hz: 1H); 13.72 (broad s: 1H)。
【0141】
6−ピリジン−2−イル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸
【化37】

6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸を製造するための実施例19と同様に操作するが、4gの6−ピリジン−2−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチル、49cm3の1モル水酸化ナトリウム溶液および50cm3の1モル塩酸溶液から出発して、3.44gの6−ピリジン−2−イル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸を260℃より高い温度で溶融するベージュ色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 7.53 (broad dd, J = 7.5 および 5 Hz: 1H); 7.99 (resolved t, J = 7.5 および 1.5 Hz: 1H); 8.13 (broad d, J = 7.5 Hz: 1H); 8.72 (broad d, J = 5 Hz: 1H); 8.83 (s: 1H); from 13.55 to 14.30 (unresolved ピーク: 2H)。
【0142】
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化38】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、1cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.21cm3の2,4−ジクロロベンジルアミンおよび0.22cm3のトリエチルアミンから出発して、0.22gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−2−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃より高い温度で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.65 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.46
(s: 2H); 7.55 (broad dd, J = 8 および 5 Hz: 1H); 7.67 (broad s: 1H); 8.31 (ddd,
J = 8 - 2.5 および 2 Hz: 1H); 8.59 (s: 1H); 8.68 (dd, J = 5 および 2 Hz: 1H); 9.10 (broad d, J = 2.5 Hz: 1H); 10.09 (t, J = 6 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375
【0143】
実施例21
ヒドロキシ(ピリジン−3−オキソエチル)マロン酸ジエチル
【化39】

ヒドロキシ[2−(4−ベンジルオキシフェニル)−2−オキソエチル]マロン酸ジエチルを製造するための実施例19と同様に操作するが、8cm3の3−アセチルピリジン、14cm3のケトマロン酸エチルおよび2cm3のピリジンから出発し、シリカゲル(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)上のクロマトグラフィーによりジクロロメタンを用いて溶出して精製した後、8.85gのヒドロキシ(ピリジン−3−オキソエチル)マロン酸ジエチルを褐色油状物として得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.21 (t, J = 7 Hz: 6H); 3.76
(s: 2H); 4.20 (q, J = 7 Hz: 4H); 6.44 (s: 1H); 7.59 (broad dd, J = 8 および 5 Hz: 1H); 8.31 (ddd, J = 8 - 2.5 および 2 Hz: 1H); 8.83 (dd, J = 5 および 2 Hz: 1H); 9.12 (broad d, J = 2.5 Hz: 1H)。
【0144】
6−ピリジン−3−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチル
【化40】

6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルを製造するための実施例19と同様に操作するが、8.85gのヒドロキシ(ピリジン−3−オキソエチル)マロン酸ジエチル、3.67gのヒドラジン二塩酸塩および250cm3のエタノールから出発し、そしてエタノールから再結晶した後、3.6gの6−ピリジン−3−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチルを150℃付近の温度で溶融する緑色固体として得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 1.33 (t, J = 7 Hz: 3H); 4.34
(q, J = 7 Hz: 2H); 7.54 (broad dd, J = 8 および 5 Hz: 1H); 8.28 (ddd, J = 8 - 2.5 および 2 Hz: 1H); 8.41 (s: 1H); 8.67 (dd, J = 5 および 2 Hz: 1H); 9.09 (broad d, J = 2.5 Hz: 1H); 13.75 (unresolved peak: 1H)。
【0145】
6−ピリジン−3−イル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸
【化41】

6−[4−(ベンジルオキシ)フェニル]−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸を製造するための実施例19と同様に操作するが、2gの6−ピリジン−3−イル−3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸エチル、24.5cm3の1モル水酸化ナトリウム溶液および25cm3の1モル塩酸溶液から出発して、1.65gの6−ピリジン−3−イル−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロピリダジン−4−カルボン酸を260℃より高い温度で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 7.55 (broad dd, J = 8 および
5 Hz: 1H); 8.33 (ddd, J = 8 - 2.5 および 2 Hz: 1H); 8.56 (s: 1H); 8.68 (dd, J =
5 および 2 Hz: 1H); 9.12 (broad d, J = 2.5 Hz: 1H); 13.50−14.80 (very broad unresolved peak: 2H)。
【0146】
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド
【化42】

N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを製造するための実施例2と同様に操作するが、0.3gの3−オキソ−6−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸、10cm3のジクロロメタン、1cm3のジメチルホルムアミド、0.12cm3の塩化オキサリル、0.21cm3の2,4−ジクロロベンジルアミンおよび0.22cm3のトリエチルアミンから出発し、そしてシリカゲル上のクロマトグラフィー(粒径40〜63μm、150kPaのアルゴン圧)によりジクロロメタンおよびメタノールの混合物(体積で90/10)を用いて溶出して精製した後、0.204gのN−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−3−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミドを260℃付近の温度で溶融するクリーム色固体の形態で得る。
1H NMR スペクトル (300 MHz, (CD3)2SO d6, δin ppm): 4.65 (d, J = 6 Hz: 2H); 7.46
(s: 2H); 7.55 (broad dd, J = 8 および 5 Hz: 1H); 7.67 (broad s: 1H); 8.31 (ddd,
J = 8 - 2.5 および 2 Hz: 1H); 8.59 (s: 1H); 8.68 (dd, J = 5 および 2 Hz: 1H); 9.10 (broad d, J = 2.5 Hz: 1H); 10.09 (t, J = 6 Hz: 1H)。
[M+1]-ピーク: 375
【0147】
別に述べない限り、以下の表に列記する実施例は、上記の方法により合成される。
【0148】
【表1】

【0149】
【表2】

【0150】
【表3】

【0151】
【表4】

【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
【表7】

【0155】
【表8】

【0156】
【表9】

【0157】
【表10】

【0158】
【表11】

【0159】
【表12】

【0160】
【表13】

【0161】
【表14】

【0162】
【表15】

【0163】
【表16】

【0164】
【表17】

【0165】
【表18】

【0166】
【表19】

【0167】
【表20】

【0168】
【表21】

【0169】
【表22】

【0170】
【表23】

【0171】
【表24】

【0172】
【表25】

【0173】
【表26】

【0174】
【表27】

【0175】
【表28】

【0176】
【表29】

【0177】
【表30】

【0178】
【表31】

【0179】
【表32】

【0180】
【表33】

【0181】
【表34】

【0182】
【表35】

【0183】
【表36】

【0184】
【表37】

【0185】
【表38】

【0186】
【表39】

【0187】
【表40】

【0188】
【表41】

【0189】
【表42】

【0190】
【表43】

【0191】
【表44】

【0192】
【表45】

【0193】
【表46】

【0194】
【表47】

【0195】
【表48】

【0196】
【表49】

【0197】
【表50】

【0198】
実施例41
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピ
リダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
a)3,6−ジクロロ−ピリダジン−4−カルボン酸
250mlの濃硫酸中の24.9gの3,6−ジクロロ−4−メチルピリダジンおよび56.7gのジクロム酸カリウムの溶液を、40℃で2時間攪拌し、反応混合物を1.5lの氷−水上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を水の次にNaClの飽和溶液で抽出し、MgSO4上で乾燥し、蒸発させる。粗生成物をさらに精製することなく用いる。
収量:27.1g
MS:M+1=193.1
【0199】
b)6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸
27gの3,6−ジクロロ−ピリダジン−4−カルボン酸を、濃硫酸および水の1:1混合物中で50℃で6時間攪拌する。純粋な生成物は反応混合物を冷却した後に結晶化し、これを濾過する。
収量:12.48g
MS:M+1=175.1
【0200】
c)3−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
250mlのTHF中の8.73gの6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸および1mlのDMFの溶液に、塩化オキサリルを5〜10℃で加え、この混合物を室温で2時間攪拌する。その後、蒸発乾固し、残留物を450mlのTHFに溶解し、13.8gの炭酸カリウムおよびTHF中の7.2gの4−クロロ−ベンジルアミドの溶液を加える。室温で2時間攪拌した後、溶剤を蒸留除去し、残留物を100mlの水に懸濁させ、pHを6.4に調節する。得られた沈殿を吸引濾別し、再び50mlの水に懸濁させ、pHを3に調節する。その後、沈殿を吸引濾別し、デシケーター中の五酸化リン上で乾燥する。
収量:9.3g
MS:M+1=298
【0201】
d)6−クロロ−3−オキソ−2−(2−トリメチルシリル−エトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
8.6gの6−クロロ−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミドを100mlの無水DMFに溶解し、4.8gのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、次いで室温で30分間攪拌する。その後、5.9gのトリメチルシリルエトキシメチルクロリドを滴下し、室温で5時間攪拌する。この混合物を仕上げ処理のために1000mlの水に加え、酢酸エチルで抽出し、有機層をNaClの飽和溶液で洗浄し、MgSO4上で乾燥する。溶剤を蒸留除去した後、残留物をクロマトグラフィーにより精製する(シリカゲル、n−ヘプタン/酢酸エチル)。
収量:7.6g
MS:M+1=428.18
【0202】
e)6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
3.2mlのDME/H2O(2/1)中の128.5mgの6−クロロ−3−オキソ−2−(2−トリメチルシリル−エトキシメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、91.8mgの2−メトキシ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−フェノール、82.9mgのK2CO3および32.1mgのトリフェニルホスフィンの溶液を、アルゴンの導通により脱気する。その後、この混合物を酢酸エチルで希釈し、0.5NのHClで洗浄する。MgSO4上で乾燥した後、溶剤を蒸留除去し、粗生成物をHPLCにより精製する(カラム125×25、封入したPurospherStar RP18、5μm;溶剤:A:水(0.05% HCOOH)、B:アセトニトリル(0.05% HCOOH))。
収量:70.7mg
MS:M+1=516.31
【0203】
f)6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド
70.7mgの6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2−(2−トリメチルシラニル−エトキシメチル)−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミドおよび60μlのエタンジチオールおよび60μlの水を、750μlのTFAに溶解し、室温で3時間攪拌する。その後、溶剤を蒸留除去し、粗生成物をHPLCにより精製する(カラム125×25、封入したPurospherStar RP18、5μm;溶剤:A:水(0.05% HCOOH)、B:アセトニトリル(0.05% HCOOH))。
収量:19.7mg
MS:M+1=386.14
【0204】
IC50値を決定するための機能測定
タウ−リン酸化
タウタンパク質のリン酸化の阻害を成体ラット大脳皮質切片で測定することにより、それらの活性を決定した。
300μmの厚さを有する大脳皮質切片を、断頭により犠牲にした8〜10週齢の雄OFAラット(Iffa−Credo)から作成する。それらを、ピルビン酸塩およびブドウ糖4.5g/lを含む5mlのDMEM培養液中で37℃で40分間インキュベートする。次いで切片を培養液で2回洗浄し、マイクロチューブに分配し(試験化合物を含むか含まない500μlの培養液中に50μl)、攪拌しながら37℃でインキュベートする。2時間後、遠心により実験を停止する。切片を洗浄し、音波処理し、18300gで15分間4℃で遠心する。上澄み液中のタンパク質の濃縮を、Lowry法に基づく市販のアッセイ (BCA Protein Assay, Pierce) により決定する。
【0205】
予め70℃で10分間変性したサンプルを、4〜12%のBis−Tris垂直ゲル上でMOPS−SDS緩衝液の存在下に分離し、ニトロセルロース膜上に電気的に移動させる。それらの単クローン性抗体AD2(これは、タウタンパク質のリン酸化されたエピトープSer396/404を特異的に認識する)を用いて、免疫標識を行う。免疫活性タンパク質を、マウスIgGに対する第二抗体の添加により可視化し、ペルオキシダーゼおよび化学発光性基質に結合させる。得られたオートラジオグラムを、IC50を決定するためにSyngene (GeneGnome, Ozyme) からの‘Gene Tools’ソフトウェアを用いて最終的に定量する。
【0206】
式(I)の化合物は極めて有利な活性を有し、特に若干の化合物は100μM未満のIC50を有する。
【0207】
【表51】

【0208】
GSK−3β
ヒト組み換えGSK−3βおよび初回抗原刺激を受けた(前リン酸化した)基質ペプチド(グリコーゲンシンターゼに由来し、リン酸化部位3a、bおよびcを含む)を用い、384ウェルプレートホーマット(少量用プレート、白色、GREINER)によるAlphaScreen技術に基づいて、GSK−3β活性を測定する。11μlの最終体積において、キナーゼ用緩衝液(20mMのHepes、pH7.4、10mMのMgCl、200mMのEDTA、1mMのDTT、0.1mg/mlのBSA、10μlのATP)中の、2μlの化合物(キナーゼ用緩衝液中1nM〜100mM、DMSOを0.9%で一定に保持)、2μlのGSK−3β溶液(0.18nM)および2μlのビオチン−ホスホ−グリコーゲンシンターゼペプチド(34nM)を、室温で60分間インキュベートする。AlphaScreen検出用緩衝液(20mMのHepes、pH7.4、10mMのMgCl、40mMのEDTA、1mMのDTT、0.1mg/mlのBSA)中の、2.5mlのドナービーズ(20μg/ml)および2.5mlの抗体(抗ホスホ−グリコーゲンシンターゼ 1:2000)で被覆したアクセプタービーズ(40μg/ml)を加えた後、プレートを室温(暗所!)で一夜インキュベートし、次いでリーダー(AlphaquestまたはFusion)に装入して最終蛍光を測定する。ブランク値(GSK−3βが存在しない)に対して較正し、かつ三度重複して前形成した近似曲線から、IC50値を計算する。
【0209】
【表52】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
式中、Aは、A1またはA2
【化2】

を示し;
Rは、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、非置換または少なくとも一置換のアリールまたはヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、−NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2は、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールは、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環であり、
ただし、Arが窒素を含むヘテロシクリルまたはヘテロアリールで少なくとも一置換されたフェニルである場合には、Aは−C(O)NH(C1−C6−アルキル)ではないものとする。
【請求項2】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1に記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項3】
式(I)において、
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロエトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1または2に記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項4】
式(I)において、
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、イソキサゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾジオキソリルまたはチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C1
0−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1〜3の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項5】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のアリール−(C1−C6−アルキル)−またはヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、−O−アリール、C1−C6−アルコキシ、−O−(C1−C6−アルキレン)−N(C1−C6−アルキル)2、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH−ヘテロアリール、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、−SO2(C1−C6−アルキル)、−SO2NH2、−C(O)−ヘテロシクリル、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、イミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである、
請求項1〜4の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項6】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジン−4−イルまたはピリミジン−4−イルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、C1−C6−アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−NH(ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル−))、−NH(アリール−(C1−C6−アルキル−))、−C(O)NH2、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、ピリジニルまたはピリミジニルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである、
請求項1〜5の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項7】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のベンジル、フェニルエチル−、フェニルプロピル−、ピリジニルメチル−、ピリジニルエチル−またはピリジニルプロピル−であり、
ここで、置換基は、塩素、臭素、フッ素、トリフルオロメチルおよびカルボキシから選択され;
Arが、非置換または少なくとも一置換のピリジン−4−イル、ピリミジン−4−イルまたはフェニルであり、
ここで、置換基は、メチルアミノ−、エチルアミノ−、プロピルアミノ−、ブチルアミノ−、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、プロピル、(フェニルエチル)アミノ−、ベンジルアミノ−および(モルホリニルエチル)アミノ−から選択される、
請求項1〜6の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項8】
下記のもの:
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(2−エチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(ピリジン−3−イルメチル)−アミド、
6−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
R−3−オキソ−6−[2−(1−フェニル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−ブロモ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−2−フルオロ−ベンジルアミド、および
N−(4−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド;
からなる群から選択される、請求項1〜7の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項9】
医薬として使用するための請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項10】
タウタンパク質のリン酸化が認められる疾患を予防および/または治療する薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項11】
GSK−3βの阻害剤である薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項12】
神経変性性疾患、卒中、頭蓋および脊髄外傷および末梢性ニューロパシー、肥満、代謝性疾患、II型糖尿病、本態性高血圧、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、免疫不全または癌を予防および/または治療する薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項13】
神経変性性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭頭頂性認知症、大脳皮質基底核変性症またはピック病である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
II型糖尿病またはアルツハイマー病を予防および/または治療するための、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜8の何れか1項で定義した化合物またはその生理的に許容される塩の少なくとも1種の有効量、および生理的に許容される担体を含む医薬調製物。
【請求項16】
医薬調製物が、ピル、錠剤、ロゼンジ、被覆錠剤、顆粒、カプセル、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル、水性溶液、アルコール性溶液、油性溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液、香錠、坐剤、注射もしくは注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、粉末、スプレー、経皮治療システム、鼻内スプレー、エアゾール混合物、マイクロカプセル、インプラント、ロッドまたは硬膏の形態にある、請求項15に記載の医薬調製物。
【請求項17】
a) 式(IV)
【化3】

[式中、Y1は、ハロゲン、B(OH)2またはSn(C1−C10−アルキル)であり、そしてY2は、Hまたは保護基である]の化合物を、パラジウム錯体の存在下にAr−Z[ここで、Zは、B(OH)2、B(C1−C10−アルコキシ)2、Sn(C1−C10−アルキル)3、Zn(C1−C10−アルキル)またはハロゲンである]を用いて変換するか、
または
b) 式(I)において、AがA1であることを条件として、式(II)
【化4】

[式中、Xは、−OH、C1−C10−アルコキシ、塩素または−O−C(O)O−(C1−C10−アルキル)である]の化合物を、RNH2を用いて変換する、
請求項1〜8の何れか1項に記載の式(I)の化合物の合成方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
式中、Aは、A1またはA2
【化2】

を示し;
Rは、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
Arは、非置換または少なくとも一置換のアリールまたはヘテロアリールであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、−NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2は、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールは、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルは、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環であり、
ただし、Arが窒素を含むヘテロシクリルまたはヘテロアリールで少なくとも一置換されたフェニルである場合には、Aは−C(O)NH(C1−C6−アルキル)ではないものとし、そして次の化合物:3−{4−(3,4,5−トリメトキシアニリノ−カルボニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−6−イル}−2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、3−{4−(N−カルボキシメチル)−カルバモイル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−6−イル}−2−フェニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、6−(4−シアノフェニル)−4[(4−カルボキシブチル)−アミノカルボニル]−(2H)−ピリダジン−3−オンおよび6−(4−メトキシフェニル)−4−メチルカルバモイル−(2H)−ピリダジン−3−オンを除くものとする。
【請求項2】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロアリール、ヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ポリシクロアルキル、C2−C10−アルケニルまたはC2−C10−アルキニルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1に記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項3】
式(I)において、
Rが、非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−、C3−C10−シクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−(C1−C10−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、C1−C10−アルキル、−NO2、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−C(S)NR1R2、−NHC(S)R1、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、オキソ、−C(O)R1、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、C3−C10−シクロアルキル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、ヘテロアリール、トリフルオロメチル、トリフルオロメチルスルファニルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロエトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アル
キル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1または2に記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項4】
式(I)において、
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、チオフェニル、イソキサゾリル、ベンゾ[b]チオフェニル、ベンゾジオキソリルまたはチアゾロ[3,2−b][1,2,4]−チアゾリルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、−CN、NO2、C1−C10−アルキル、−OR1、−C(O)OR1、−O−C(O)R1、−NR1R2、−NHC(O)R1、−C(O)NR1R2、−NHC(S)R1、−C(S)NR1R2、−SR1、−S(O)R1、−SO2R1、−NHSO2R1、−SO2NR1R2、−O−SO2R1、−SO2−O−R1、アリール、ヘテロアリール、アリール−(C1−C6−アルキル)−、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリールおよびヘテロアリールは、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
R1およびR2が、互いに独立して、
水素;
非置換または少なくとも一置換のC1−C10−アルキル、C3−C10−シクロアルキル、アリール、アリール−(C1−C10−アルキル)−、C2−C10−アルケニル、C2−C10−アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−(C1−C10−アルキル)−またはヘテロアリールであり、ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、C1−C6−アルコキシ、CN、NO2、NH2、(C1−C6−アルキル)アミノ−、ジ(C1−C6−アルキル)アミノ−、OH、COOH、−COO−(C1−C6−アルキル)、−CONH2、ホルミル、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され;
ヘテロアリールが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の芳香族の単環式または二環式のヘテロ環であり;
アリールが、フェニル、インダニル、インデニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、N、OおよびSから選択される1個またはそれ以上のヘテロ原子を含む5〜10員の脂肪族の単環式または二環式のヘテロ環である、
請求項1〜3の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項5】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のアリール−(C1−C6−アルキル)−またはヘテロアリール−(C1−C6−アルキル)−であり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、−O−アリール、C1−C6−アルコキシ、−O−(C1−C6−アルキレン)−N(C1−C6−アルキル)2、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−C(O)NH2、−C(O)NH−ヘテロアリール、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、−SO2(C1−C6−アルキル)、−SO2NH2、−C(O)−ヘテロシクリル
、−C(NH)NH2、ヘテロシクリル、アリール−(C1−C6−アルキル)−、アリール、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメトキシから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、イミダゾリル、チオフェニル、フラニル、イソキサゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、インドリルまたはベンゾジオキソリルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである、
請求項1〜4の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項6】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Arが、非置換または少なくとも一置換のフェニル、ピリジン−4−イルまたはピリミジン−4−イルであり、
ここで、置換基は、ハロゲン、C1−C6−アルキル、−OH、C1−C6−アルコキシ、−C(O)OH、−C(O)O−(C1−C6−アルキル)、−NH2、−N(C1−C6−アルキル)2、−NH(C1−C6−アルキル)、−NH(C1−C10−シクロアルキル)、−NH(ヘテロシクリル−(C1−C6−アルキル−))、−NH(アリール−(C1−C6−アルキル−))、−C(O)NH2、−C(O)NH−(C1−C6−アルキル)、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
そしてアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、C1−C3−アルキル、C1−C3−アルコキシ、フッ素、塩素、臭素、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはOHで少なくとも一置換されていてもよく;
ヘテロアリールが、ピリジニルまたはピリミジニルであり;
アリールが、フェニルまたはナフチルであり;
ヘテロシクリルが、モルホリニル、ピペラジニルまたはピペリジニルである、
請求項1〜5の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項7】
式(I)において、
Aが、A1であり;
Rが、非置換または少なくとも一置換のベンジル、フェニルエチル−、フェニルプロピル−、ピリジニルメチル−、ピリジニルエチル−またはピリジニルプロピル−であり、
ここで、置換基は、塩素、臭素、フッ素、トリフルオロメチルおよびカルボキシから選択され;
Arが、非置換または少なくとも一置換のピリジン−4−イル、ピリミジン−4−イルまたはフェニルであり、
ここで、置換基は、メチルアミノ−、エチルアミノ−、プロピルアミノ−、ブチルアミノ−、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、メチル、エチル、プロピル、(フェニルエチル)アミノ−、ベンジルアミノ−および(モルホリニルエチル)アミノ−から選択される、
請求項1〜6の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項8】
下記のもの:
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−ピリジン−3−イル−プロピル)−アミド、
6−(2−エチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(3−クロロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
4−({[6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボニル]−アミノ}−メチル)−安息香酸、
6−(2−ブチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(ピリジン−3−イルメチル)−アミド、
6−(3−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
6−(2−メチルアミノ−ピリミジン−4−イル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
R−3−オキソ−6−[2−(1−フェニル−エチルアミノ)−ピリミジン−4−イル]−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸(3−フェニル−プロピル)−アミド、
6−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−[4−(トリフルオロメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−ブロモ−ベンジルアミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−N−(ピリジン−3−イルメチル)−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
N−(2,4−ジクロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド、
3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロ−ピリダジン−4−カルボン酸4−クロロ−2−フルオロ−ベンジルアミド、および
N−(4−クロロベンジル)−3−オキソ−6−ピリジン−4−イル−2,3−ジヒドロピリダジン−4−カルボキサミド;
からなる群から選択される、請求項1〜7の何れかに記載の化合物、またはそのラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオイソマーおよび混合物、それらの互変異性体もしくは生理的に許容される塩。
【請求項9】
医薬として使用するための請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩。
【請求項10】
タウタンパク質のリン酸化が認められる疾患を予防および/または治療する薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項11】
GSK−3βの阻害剤である薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項12】
神経変性性疾患、卒中、頭蓋および脊髄外傷および末梢性ニューロパシー、肥満、代謝性疾患、II型糖尿病、本態性高血圧、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、X症候群、免疫不全または癌を予防および/または治療する薬剤を製造するための、請求項1〜8の何れか1項に記載の化合物またはその生理的に許容される塩の使用。
【請求項13】
神経変性性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、前頭頭頂性認知症、大脳皮質基底核変性症またはピック病である、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
II型糖尿病またはアルツハイマー病を予防および/または治療するための、請求項12に記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜8の何れか1項で定義した化合物またはその生理的に許容される塩の少なくとも1種の有効量、および生理的に許容される担体を含む医薬調製物。
【請求項16】
医薬調製物が、ピル、錠剤、ロゼンジ、被覆錠剤、顆粒、カプセル、硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル、水性溶液、アルコール性溶液、油性溶液、シロップ、エマルジョン、懸濁液、香錠、坐剤、注射もしくは注入用溶液、軟膏、チンキ、クリーム、ローション、粉末、スプレー、経皮治療システム、鼻内スプレー、エアゾール混合物、マイクロカプセル、インプラント、ロッドまたは硬膏の形態にある、請求項15に記載の医薬調製物。
【請求項17】
a) 式(IV)
【化3】

[式中、Y1は、ハロゲン、B(OH)2またはSn(C1−C10−アルキル)であり、そしてY2は、Hまたは保護基である]の化合物を、パラジウム錯体の存在下にAr−Z[ここで、Zは、B(OH)2、B(C1−C10−アルコキシ)2、Sn(C1−C10−アルキル)3、Zn(C1−C10−アルキル)またはハロゲンである]を用いて変換するか、
または
b) 式(I)において、AがA1であることを条件として、式(II)
【化4】

[式中、Xは、−OH、C1−C10−アルコキシ、塩素または−O−C(O)O−(C1−C10−アルキル)である]の化合物を、RNH2を用いて変換する、
請求項1〜8の何れか1項に記載の式(I)の化合物の合成方法。

【公表番号】特表2006−509748(P2006−509748A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552660(P2004−552660)
【出願日】平成15年11月19日(2003.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012950
【国際公開番号】WO2004/046117
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】