説明

III族元素窒化物単結晶の製造方法およびそれに用いる装置

透明で転位密度が少なく均一厚みで高品位であり、かつバルク状の大きなIII族元素窒化物の単結晶を収率良く製造可能な製造方法を提供する。 アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つの金属元素と、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)およびインジウム(In)からなる群から選択された少なくとも一つのIII族元素とを入れた反応容器を加熱して前記金属元素のフラックスを形成し、前記反応容器に窒素含有ガスを導入して、前記フラックス中でIII族元素と窒素とを反応させてIII族元素窒化物の単結晶を成長させるIII族元素窒化物単結晶の製造方法において、前記単結晶の成長を、前記反応容器を揺動させること等により、前記フラックスを攪拌した状態で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、III族元素窒化物の単結晶の製造方法に関する。
【背景技術】
III族元素窒化物の半導体は、例えば、ヘテロ接合高速電子デバイスや光電子デバイス(半導体レーザ、発光ダイオード、センサ等)の分野に使用されており、特に、窒化ガリウム(GaN)が注目されている。従来では、窒化ガリウムの単結晶を得るために、ガリウムと窒素ガスとを直接反応させることが行われていた(J.Phys.Chem.Solids,1995、56、639参照)。しかし、この場合、1300℃〜1600℃、8000atm〜17000atm(0.81MPa〜1.72MPa)という超高温高圧を必要とする。この問題を解決するために、ナトリウム(Na)フラックス中で窒化ガリウム単結晶を育成する技術(以下、「Naフラックス法」ともいう)が開発された(例えば、米国特許公報5868837号参照)。この方法によれば、加熱温度が600℃〜800℃と大幅に下がり、また圧力も、約50atm(約5MPa)程度まで下げることができる。しかし、この方法では、得られる単結晶が黒化し、品質に問題がある。また、従来の技術では、透明で転位密度が少なく均一厚み(結晶表面がほぼ水平)で高品位であり、かつバルク状の大きな窒化ガリウムの単結晶を製造することはできず、収率も悪かった。すなわち、従来の技術では、成長速度が著しく遅く、これまで報告された窒化ガリウム単結晶の最大のものでも、最大径が1cm程度であり、これでは、窒化ガリウムの実用化にはつながらない。例えば、窒化リチウム(LiN)とガリウムとを反応させて窒化ガリウム単結晶を成長させる方法が報告されているが(Journal of Crystal Growth 247(2003)275−278参照)、得られた結晶の大きさは1mm〜4mm程度である。これらの問題は、窒化ガリウムに限らず、他のIII族元素窒化物の半導体においても同様である。
【発明の開示】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、透明で転位密度が少なく、均一厚みで高品位であり、かつバルク状の大きなIII族元素窒化物の単結晶を収率良く製造可能な製造方法の提供を、その目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のIII族元素窒化物単結晶の製造方法は、アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つの金属元素と、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)およびインジウム(In)からなる群から選択された少なくとも一つのIII族元素とを入れた反応容器を加熱して前記金属元素のフラックスを形成し、前記反応容器に窒素含有ガスを導入して、前記フラックス中でIII族元素と窒素とを反応させてIII族元素窒化物の単結晶を成長させるIII族元素窒化物単結晶の製造方法であって、前記単結晶の成長を、前記フラックスと前記III族元素とが攪拌混合された状態で行う製造方法である。
このように、前記フラックス中におけるガリウムと窒素との反応を、前記フラックスおよびIII族元素を攪拌混合した状態で行えば、前記混合液中への窒素の溶解速度が増大するとともに、フラックス中のガリウムと窒素とが均一に分布し、しかも結晶の成長面に常に新鮮な原料を供給できるため、透明で転位密度が少なく、均一厚みで、高品位で大きなバルク状の透明III族元素窒化物単結晶を、早く製造できる。なお、本発明者等の研究によれば、前記フラックスとIII族元素は、なにもしなければ混ざり合うことに長時間を必要とし、この状態では窒素が溶解することが困難であり、この結果、成長速度が遅く、かつ窒素の分布も不均一になり得られる結晶の品質を向上することが困難であることが分かっている。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の製造装置の一実施例を示す断面図である。
図2は、本発明の製造方法の一実施例における揺動の状態を示す断面図である。
図3は、本発明の反応容器の一実施例を示す斜視図である。
図4は、本発明の製造方法のその他の実施例の窒化ガリウム単結晶のSEM写真である。
図5は、本発明の製造方法のさらにその他の実施例の窒化ガリウム単結晶のSEM写真である。
図6は、本発明の製造方法のその他の実施例で使用する製造装置の構成を示す図である。
図7は、前記装置の反応容器部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明について、例を挙げてさらに詳しく説明する。
本発明において、前記フラックスとIII族元素との攪拌混合は、例えば、前記反応容器を揺動させたり、前記反応容器を回転させたり、若しくはこれらを組み合わせることにより、実施できる。その他に、例えば、フラックス形成のための前記反応容器の加熱に加え、前記反応容器の下部を加熱して熱対流を発生させることによっても、前記フラックスとIII族元素とを攪拌混合できる。さらに、前記混合攪拌は、攪拌羽根を用いて実施してもよい。これらの攪拌混合手段は、それぞれ組み合わせることができる。
本発明において、前記反応容器の揺動は、特に制限されず、例えば、前記反応容器を一定の方向に傾けた後、前記方向とは逆の方向に傾けるという反応容器を一定方向に揺り動かす揺動がある。また、前記揺動は、規則正しい揺動でもよいし、間欠的で不規則な揺動であってもよい。また、揺動に回転運動を併用しても良い。揺動における反応容器の傾きも特に制限されない。規則的な場合の揺動の周期は、例えば、1秒〜10時間であり、好ましくは30秒〜1時間であり、より好ましくは1分〜20分である。揺動における反応容器の最大傾きは、反応容器の高さ方向の中心線に対し、例えば、5度〜70度、好ましくは10度〜50度、より好ましくは15度〜45度である。また、後述のように、前記基板が反応容器の底に配置されている場合、前記基板上のIII族元素窒化物薄膜が、常に、前記フラックスで覆われている状態の揺動でもよいし、前記反応容器が傾いたときに前記基板上から前記フラックスが無くなっている状態でもよい。
本発明において、前記反応容器は坩堝であってもよい。
本発明の製造方法において、前記反応容器の中に基板を配置し、この基板表面に、予め、III族元素窒化物の薄膜を形成し、この薄膜上でIII族元素窒化物の単結晶を成長させることが好ましい。
前記基板上の薄膜のIII族元素窒化物は、単結晶であってもよいし、非晶質(アモルファス)であってもよい。前記基板の材質としては、例えば、非晶質窒化ガリウム(GaN)、非晶質窒化アルミニウム(AlN)、サファイア、シリコン(Si)、ガリウム・砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ホウ素(BN)、酸化リチウムガリウム(LiGaO)、ホウ素化ジルコニウム(ZrB)、酸化亜鉛(ZnO)、各種ガラス、各種金属、リン化ホウ素(BP)、MoS、LaAlO、NbN、MnFe、ZnFe、ZrN、TiN、リン化ガリウム(GaP)、MgAl、NdGaO、LiAlO、ScAlMgO、CaLa(PO等がある。前記薄膜の厚みは、特に制限されず、例えば、0.0005μm〜100000μm、好ましくは0.001μm〜50000μm、より好ましくは0.01μm〜5000μmの範囲である。III族元素窒化物薄膜は、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)、ハライド気相成長法(HVPE)、分子線エピタキシー法(MBE法)等によって、基板上に形成できる。また、基板上に窒化ガリウム等のIII族元素窒化物薄膜を形成したものは、市販されているので、それを使用してもよい。前記薄膜の最大径は、例えば、2cm以上であり、好ましくは3cm以上であり、より好ましくは5cm以上であり、大きいほどよく、その上限は、限定されない。また、バルク状化合物半導体の規格が2インチであるから、この観点から、前記最大径の大きさは5cmであることが好ましく、この場合、前記最大径の範囲は、例えば、2cm〜5cmであり、好ましくは3cm〜5cmであり、より好ましくは5cmである。なお、前記最大径とは、前記薄膜表面の外周のある点と、その他の点を結ぶ線であって、最も長い線の長さをいう。
この製造方法において、前記フラックスによって、窒素濃度が上昇するまでに、予め準備した基板上のIII族元素窒化物の薄膜が溶解してしまうおそれがある。これを防止するために、少なくとも反応初期において、窒化物を前記フラックス中に存在させておくことが好ましい。前記窒化物は、例えば、Ca、LiN、NaN、BN、Si、InN等があり、これらは単独で使用してもよく、2種類以上で併用してもよい。また、前記窒化物のフラックスにおける割合は、例えば、0.0001mol%〜99mol%、であり、好ましくは、0.001mol%〜50mol%であり、より好ましくは0.005mol%〜5mol%である。
本発明の製造方法において、前記反応容器を揺動することにより、III族元素を含有する前記フラックスが、薄膜状となって、連続的に若しくは間欠的に、前記基板上の前記薄膜表面を流れる状態で前記単結晶を成長させることが好ましい。前記フラックスが薄膜状になることにより、フラックス中に窒素含有ガスが溶解しやすくなり、結晶成長面へ窒素を大量にかつ連続して供給可能になる。また、揺動運動を、一定方向に規則的に行うことにより、前記薄膜上での前記フラックスの流れが規則的になって、結晶成長表面のステップフローが安定して、さらに厚みが均一となり、高品位の単結晶が得られる。
本発明の製造方法において、前記単結晶の成長開始前、前記反応容器を一定の方向に傾けることにより、III族元素を含有する前記フラックスを前記反応容器底の傾けた側に溜めることで、前記フラックスが前記基板の前記薄膜表面に接触しない状態にすることが好ましい。このようにすれば、前記フラックスの温度が十分に高くなったことを確認した後、反応容器を揺動させて基板の前記薄膜上に前記フラックスを供給することができ、その結果、目的としない化合物等の形成が抑制され、さらに高品位の単結晶が得られる。
本発明の製造方法において、前記単結晶の成長の終了後、前記反応容器を一定の方向に傾けることにより、III族元素を含有する前記フラックスを前記基板の前記薄膜上から除去し前記反応容器底の傾けた側に溜めた状態にすることが好ましい。このようにすれば、結晶成長終了後において反応容器内温度が降下した場合、前記フラックスが得られた単結晶に接触することがなく、その結果、得られた単結晶上に低品位の結晶が成長することが防止できる。
前記熱対流のための反応容器の加熱は、熱対流が起こる条件であれば特に制限されない。前記反応容器の加熱位置は、反応容器の下部であれば特に制限されず、例えば、反応容器の底部でもよいし、反応容器の下部の側壁を加熱してもよい。熱対流のための反応容器の加熱温度は、例えば、フラックス形成のための加熱温度に対して、0.01℃〜500℃高い温度であり、好ましくは0.1℃〜300℃高い温度であり、より好ましくは1℃〜100℃高い温度である。加熱は、通常のヒータが使用できる。
前記攪拌羽根を用いた混合攪拌は、特に制限されず、例えば、前記攪拌羽根の回転運動又は往復運動若しくは前記両運動の組み合わせによるものであってもよい。また、前記攪拌羽根を用いた攪拌混合は、前記攪拌羽根に対する前記反応容器の回転運動又は往復運動若しくは前記両運動の組み合わせによるものであってもよい。そして、前記攪拌羽根を用いた攪拌混合は、前記攪拌羽根自身の運動と、前記反応容器自身の運動とを組み合わせたものであってもよい。前記攪拌羽根は、特に制限されず、その形状や材質は、例えば、前記反応容器のサイズや形状等に応じて適宜決定できるが、融点若しくは分解温度が2000℃以上の窒素非含有材質により形成されていることが好ましい。このような材質で形成された攪拌羽根であれば、前記フラックスにより溶解することがなく、また、前記攪拌羽根表面上での結晶核生成を防止できるからである。
また、前記攪拌羽根の材質としては、例えば、希土類酸化物、アルカリ土類金属酸化物、W、SiC、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン等があげられる。このような材質で形成された攪拌羽根も、前記同様に、前記フラックスにより溶解することがなく、また、前記攪拌羽根表面上での結晶核生成を防止できるからである。前記希土類および前記アルカリ土類金属としては、例えば、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Raがあげられる。前記攪拌羽根の材質として好ましいのは、Y、CaO、MgO、W、SiC、ダイヤモンド、ダイヤモンドライクカーボン等であり、このなかでもYが最も好ましい。
本発明の製造方法において、前記単結晶の成長の途中、III族元素やドーピング物質を前記フラックス中に供給することが好ましい。このようにすれば、結晶成長を長期間に渡って継続できる。III族元素の補給方法は、特に制限されないが、例えば、以下の方法がある。すなわち、反応容器を2重にしてその外側を幾つかの小部屋に分割しそれぞれの小部屋には開閉式の扉を付けておく。この扉は、外から開閉できるようにしておく。そして、その小部屋に供給する原料を予め入れておき、揺動中に高くなった方の小部屋の扉を開けると重力によって小部屋の中の原料が内側の反応容器に流れ落ち、混合される。さらに、外側の小部屋を空にしておくと、最初に育成に使用していた原料を取り除き、反対側の小部屋に予め入れていた、最初とは異なる原料を内側の反応容器に入れることで、III族元素の比率やドーピング物質を変えたIII族窒化物半導体結晶が順次育成できる。揺動の方向を変えていく(例えば、揺動と回転とを併用する)ことで、使える外側の小部屋の数が増え、様々な組成や不純物を入れた原料を幾つも準備することができる。
本発明において、III族元素は、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、インジウム(In)であるが、このなかで、ガリウムが好ましい。また、III族元素窒化物単結晶は、窒化ガリウム(GaN)単結晶であることが好ましい。以下に示す条件は、特に窒化ガリウムの単結晶を製造するのに好ましいが、他のIII族元素窒化物単結晶の製造にも同様に適用できる。
本発明の製造方法において、アルカリ金属は、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)であり、アルカリ土類金属は、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Br)およびラジウム(Ra)である。これらは、単独で使用しても良いし、二種類以上で併用してもよい。このなかで、好ましいのは、Li、Na、Ca、K、Rb、Csであり、より好ましいのはLi、NaおよびCaであり、さらに好ましいのは、NaとCaとの混合フラックスおよびNaとLiとの混合フラックスである。これらの場合、ナトリウム(Na)とカルシウム(Ca)もしくはリチウム(Li)との合計に対するカルシウム(Ca)若しくはリチウム(Li)の比率(mol%)は、例えば、0.1mol%〜99mol%の範囲であり、好ましくは、0.1mol%〜50mol%の範囲であり、より好ましくは2.5mol%〜30mol%の範囲である。また、ガリウム(Ga)とナトリウム(Na)との合計に対するナトリウム(Na)の比率(mol%)は、例えば、0.1mol%〜99.9mol%の範囲であり、好ましくは、30mol%〜99mol%の範囲であり、より好ましくは60mol%〜95mol%の範囲である。ガリウム:ナトリウム:リチウム若しくはカルシウムのmol比は、3.7:9.75:0.25が、特に好ましい。
本発明の製造方法において、前記溶融の条件は、例えば、温度100℃〜1500℃、圧力100Pa〜20MPaであり、好ましくは、温度300℃〜1200℃、圧力0.01MPa〜10MPaであり、より好ましくは、温度500℃〜1100℃、圧力0.1MPa〜6MPaである。
本発明の製造方法において、前記窒素(N)含有ガスは、例えば、窒素(N)ガス、アンモニア(NH)ガス等であり、これらは混合してもよく、混合比率は制限されない。特に、アンモニアガスを使用すると、反応圧力を低減できるので、好ましい。
本発明の製造方法において、前記フラックス中に、不純物を存在させることも可能である。このようにすれば、不純物含有の窒化ガリウム単結晶を製造できる。前記前記不純物は、例えば、カルシウム(Ca)、カルシウム(Ca)を含む化合物、珪素(Si)、アルミナ(Al)インジウム(In)、アルミニウム(Al)、窒化インジウム(InN)、窒化珪素(Si),酸化珪素(SiO)、酸化インジウム(In)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、ゲルマニウム(Ge)等がある。
つぎに、本発明の製造方法において、前記攪拌混合を、最初は窒素以外の不活性ガス雰囲気下で行い、その後、前記窒素含有ガスに置換して、前記窒素含有ガス雰囲気下で前記攪拌混合を行うことが好ましい。すなわち、前記攪拌混合の初期では、前記フラックスとIII族元素とが十分に混合されていないおそれがあり、この場合、前記フラックス成分が窒素と反応して窒化物が形成するおそれがある。窒化物の生成を防止するためには、前記窒素含有ガス非存在状態であればよいが、未加圧の状態であると、高温のフラックスやIII族元素が蒸発してしまうおそれがある。これを解決するために、上記のように攪拌混合の最初は、窒素以外の不活性ガス雰囲気下で攪拌混合し、その後、前記窒素含有ガスに置換して攪拌混合を続けることが好ましい。この場合、前記置換は、徐々に行うことが好ましい。前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等が使用できる。
つぎに、本発明の装置は、前記本発明のIII族元素窒化物単結晶の製造方法に使用する装置であって、反応容器中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を加熱してフラックスにするための前記反応容器を加熱する手段と、前記反応容器中に窒素含有ガスを導入して前記フラックス中のIII族元素と窒素とを反応させるための窒素含有ガス導入手段と、前記反応容器を一定の方向に傾けた後、前記方向とは逆の方向に傾けるという反応容器を一定方向に揺り動かす反応容器揺動手段を有する装置である。また、前記揺動手段に加え、もしくはこれに代えて、前記反応容器を回転する回転手段を有することが好ましい。
本発明の装置の一例を、図1の断面図に示す。図示のように、この装置は、耐熱耐圧容器1の内部に、加熱容器2が配置され、この加熱容器2には、窒素含有ガス7の導入パイプ4が連結しており、かつ、揺動装置5から伸びるシャフト6も連結している。前記揺動装置5は、モータおよびその回転を制御する機構等から構成されている。この装置を用いた本発明の製造方法の例について、GaN単結晶の製造をあげて以下に説明する。
まず、表面上にGaN薄膜が形成された基板8を反応容器3の底に配置し、さらに、この反応容器3の中に、フラックスの原料となるナトリウム、カルシウム、リチウム等の金属元素と、ガリウムとを入れる。この反応容器3を加熱容器2の中に入れる。そして、揺動装置5およびシャフト6により、前記加熱容器2全体を傾けることにより、基板8の薄膜上に対しガリウムやフラックス原料等が接触しない状態にして、加熱を開始する。そして、十分に温度が上がって、フラックスの状態が良好になったら、揺動装置5により加熱容器2全体を揺動して反応容器を揺動する。この揺動によるフラックスの流れの例を図2に示す。なお、同図において、図1と同一部分には同一符号を付している。同図上に示すように、左に傾いた状態の反応容器3内では、フラックス9は、反応容器3底の左側に溜まっており、基板8表面と接触していない。そして、矢印で示すように、反応容器3を、真っ直ぐに立てた状態にすると、フラックス9が基板8表面を薄膜状で覆う。さらに、反応容器3を右に傾けると、フラックス9が流れて反応容器3底の右側に溜まり、フラックス9と基板8表面とが接触しない状態となる。そして、この動作を、反応容器3を右から左に傾けるように行うと、前述とは逆の方向にフラックス9が流れる。そして、この揺動状態で、パイプ4から窒素含有ガス7を加熱容器2内および反応容器3内に導入すれば、フラックス9中において、ガリウムと窒素とが反応して窒化ガリウムの単結晶が、基板8の窒化ガリウム薄膜表面上に形成される。なお、窒素含有ガスの導入は、揺動開始前から行ってもよいし、前述のように、揺動開始後に行ってもよい。そして、結晶成長が終了したら、反応容器3を傾けた状態にして、基板8上に新たに得られた窒化ガリウム単結晶とフラックス9とが接触しないようにする。そして、加熱容器2内の温度が下がったら、基板8ごと、窒化ガリウム単結晶を回収する。なお、この例では、基板を反応容器底の中心部においたが、本発明はこれに限定されず、中心から離れた位置に基板を配置してもよい。
つぎに、本発明の製造方法に使用する反応容器に使用する材質は、特に制限されないが、例えば、BN、AlN、アルミナ、SiC、グラファイト、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素系材料等が使用でき、この中で、AlN、SiC、ダイヤモンドライクカーボンが好ましい。また、前記反応容器として、例えば、BN坩堝、AlN坩堝、アルミナ坩堝、SiC坩堝、グラファイト坩堝、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素系材料の坩堝等が使用できる。このなかで、前記フラックスに溶解し難いという理由から、AlN坩堝、SiC坩堝、ダイヤモンドライクカーボン坩堝が好ましい。また、これらの素材で坩堝表面を被覆しているということでも良い。
また、本発明の製造方法に使用する反応容器(若しくは坩堝)の形状も特に制限されないが、例えば、その形状が円筒状であって、その内壁から、二つの突起が、円中心点に向かって突出しており、前記二つの突起の間に、基板が配置される反応容器が好ましい。このような形状であれば、揺動した際に、前記フラックスが、前記2つの突起の間に配置した基板表面に集中して流れる。この反応容器の例を、図3に示す。図示のように、この反応容器10は、円筒状の形状をしており、板状の2つの突起10a、10bが、円中心点に向かって突出し、この間に基板8が配置される。このような形状の反応容器は、その揺動方向が、二つの突起の突出方向と垂直方向に揺動すること以外は、その使用に制限はない。
本発明の製造方法で得られるIII族元素窒化物透明単結晶は、転位密度が10/cm以下であり、最大径の長さが2cm以上であり、透明でバルク状のIII族元素窒化物単結晶である。この単結晶において、転位密度は、10/cm以下が好ましく、より好ましくはほぼ無転位(例えば、10/cm以下)のものである。また、その最大径の長さは、例えば、2cm以上、好ましくは3cm以上であり、より好ましくは5cm以上であり、大きいほどよく、その上限は、限定されない。また、バルク状化合物半導体の規格が2インチであるから、この観点から、前記最大径の大きさは5cmであることが好ましく、この場合、前記最大径の範囲は、例えば、2cm〜5cmであり、好ましくは3cm〜5cmであり、より好ましくは5cmである。なお、最大径とは、単結晶の外周のある点と、その他の点を結ぶ線であって、最も長い線の長さをいう。
つぎに、本発明の半導体装置は、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶を含む半導体装置である。本発明の半導体装置は、半導体層を含み、この半導体層が、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されていることが好ましい。
本発明の半導体装置の一例は、絶縁性半導体層の上に導電性半導体層が形成され、この上に、ソース電極、ゲート電極およびドレイン電極が形成されている電界効果トランジスタ素子を含む半導体装置であって、前記絶縁性半導体層および前記導電性半導体層の少なくとも一つが前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている半導体装置である。この半導体装置は、さらに基板を有し、この基板の上に前記電界効果トランジスタ素子が形成されており、前記基板が前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されていることが好ましい。
本発明の半導体装置のその他の例は、n型半導体層、活性領域層およびp型半導体層が、この順序で積層されて構成された発光ダイオード(LED)素子を含む半導体装置であって、前記三層の少なくとも一層が、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている半導体装置である。この半導体装置は、さらに基板を有し、この基板の上に前記発光ダイオード素子が形成されており、前記基板が、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されていることが好ましい。
本発明の半導体装置のさらにその他の例は、n型半導体層、活性領域層およびp型半導体層が、この順序で積層されて構成された半導体レーザ(LD)素子を含む半導体装置であって、前記三層の少なくとも一層が、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている半導体装置である。この半導体装置は、さらに基板を有し、この基板の上に前記半導体レーザ素子が形成されており、前記基板が、前記本発明のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されていることが好ましい。
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
図1に示す装置を用いて、窒化ガリウム単結晶を製造した。まず、サファイア基板8の表面上には、MOCVD法によりGaN薄膜結晶を形成した。基板8は反応容器の一方の端(ここでは、反応容器を揺動した時に上下する場所を端と呼ぶ)に配置した。加熱容器2内に、ガリウム2.0gとフラックス原料(ナトリウム)5.77gとを入れた窒化ホウ素反応容器3を入れ、育成温度である890℃に昇温した。そして、この昇温と共に、パイプ4から窒素ガス7を加熱容器2内に導入し所定の気圧まで昇圧した。なお、所定の温度に加熱される前までは、反応容器3を傾けた状態にして、基板8とフラックスとが接触しないようにした。なお、フラックス成分はナトリウムのみである。育成条件は、圧力9.5気圧(9.5×1.013×10Pa)、育成時間4時間、揺動スピード(基板が上下に揺れる回数で、1.5往復/毎分)である。基板8は反応容器3の端に設置しているので、反応容器3を揺動すると、溶液が基板表面上を覆ったり、覆わなかったりを繰り返した。そして、結晶育成終了後、反応容器3を傾いた状態に維持し、基板8とフラックスとが接触しないようにした。このようにして結晶育成を行った結果、図4の走査電子顕微鏡写真(SEM:倍率950倍)に示すように、基板8上において、均一厚みのバルク状透明窒化ガリウム単結晶が、厚さ15μm程度成長し、4μm/hourを超える成長速度を達成したことが確認できた。また、この単結晶には、不要な化合物等は生成していなかった。
【実施例2】
図1に示す装置を用いて窒化ガリウム単結晶を育成した。まず、MOCVD法によってサファイア基板8上に膜厚3μmのGaN膜を形成した。この基板8を、窒化ホウ素反応容器3底の一端側に設置し、さらに、ガリウム3.0gとフラックス原料(ナトリウム8.78gおよびリチウム0.027g(ナトリウム:リチウム=99:1(mol)))とを入れた。この反応容器3を、加熱容器2内にセットした。反応容器3は、一定の方向に傾いた状態とし、基板表面と原料とが接触しないようにした。そして、窒素ガスを導入して10気圧(10×1.013×10Pa)まで昇圧した後、890℃まで加熱した。昇温・昇圧が完了した後、反応容器3を揺動させることによって原料液を左右に行き来させ、GaN基板上を常に薄いNaとLiとの混合フラックス膜で覆うようにした(揺動速度:1.5往復/毎分)。揺動を続けたまま、温度、圧力を4時間一定に維持した。この間、窒素ガスが、膜状フラックスに溶解し、ガリウムと窒素とが反応して、基板8上に窒化ガリウム単結晶が成長した。結晶成長終了後、反応容器3を傾いた状態に維持し、基板8とフラックスとが接触しないようにした。そして、温度が下がった後、基板ごと、窒化ガリウム単結晶を取り出した。図5に、この窒化ガリウム単結晶のSEM写真(950倍)を示す。図中のAは、得られたGaN(LPE−GaN)層を示し、Bは、MOCVD法により形成したGaN薄膜を示し、Cは、サファイア基板を示す。図示のように、得られたのは厚み10μmの窒化ガリウム単結晶であり、この単結晶は、均一の厚みであり、透明でバルク状の大きなものであった。この単結晶について、フォトルミネッセンス(PL)発光強度を測定した。励起光源は、波長325nmのHe−Cdレーザであり、強度は10mWであり、測定温度は、室温である。また、比較例として、MOCVDで作製した窒化ガリウム単結晶についてもPL発光を測定した。その結果、本実施例の単結晶は、比較例に比べ、3倍以上のPL発光強度を示した。
【実施例3】
この実施例は、図6および図7に示す装置により、反応容器の下部を加熱して熱対流を発生させてNaフラックスとGaとを攪拌混合しながらGaN単結晶を製造した例である。まず、図6に示すように、この装置は、ガスボンベ11と、電気炉14と、前記電気炉14中に配置された耐熱耐圧容器13とを有す。ガスボンベ11にはパイプ21が接続されており、このパイプ21には、ガス圧力調節器15および圧力調節バルブ25が配置されており、また途中にはリークパイプが取り付けられており、その先にはリークバルブ24が配置されている。パイプ21は、パイプ22と接続し、パイプ22はパイプ23と接続し、これが電気炉14の中まで侵入して耐熱耐圧容器13に接続している。前記耐熱耐圧容器13の下部の外壁には、電気ヒータ18が取り付けられている。また、図7に示すように、耐熱耐圧容器13の中には、反応容器16が配置され、この中には、Na(0.89g)とGa(1.0g)が入れられている。また、耐熱耐圧容器13の下部外壁に取り付けられた電気ヒータ18により、反応容器16の下部が加熱できるようになっている。この装置を用い、以下のようにして、GaN単結晶を育成した。
すなわち、まず、ガスボンベ11から、パイプ(21、22、23)を通して窒素ガスを耐熱耐圧容器13内に送って前記容器13内を5atm(510×1.013×10Pa)の加圧雰囲気下にすると共に、電気炉14で前記容器13を850℃に加熱することによって、Naを溶融させてNaフラックスにした。この際、電気ヒータ18により耐熱耐圧容器13の下部外壁から前記反応容器13の下部を900℃で加熱することにより熱対流を発生させ、これにより前記NaフラックスとGaとを攪拌混合した。この結果、育成開始45時間経過後において、高品質のGaN単結晶の生成を確認した。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明の製造方法によれば、透明で転位密度が少なく均一厚みで高品位であり、かつバルク状の大きなIII族元素窒化物の単結晶を収率良く製造可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つの金属元素と、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)およびインジウム(In)からなる群から選択された少なくとも一つのIII族元素とを入れた反応容器を加熱して前記金属元素のフラックスを形成し、前記反応容器に窒素含有ガスを導入して、前記フラックス中でIII族元素と窒素とを反応させてIII族元素窒化物の単結晶を成長させるIII族元素窒化物単結晶の製造方法であって、前記単結晶の成長を、前記フラックスと前記III族元素とが攪拌混合された状態で行う製造方法。
【請求項2】
前記反応容器を揺動させて前記攪拌混合を行う請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記揺動に代えて、もしくはこれに加えて前記反応容器を回転させる請求項2記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応容器の中に基板を配置し、この基板表面に、予め、III族元素窒化物の薄膜を形成し、この薄膜上でIII族元素窒化物の単結晶を成長させる請求項2記載の製造方法。
【請求項5】
III族元素を含有する前記フラックスと前記III族元素の混合液が、薄膜状となって、連続的に若しくは間欠的に、前記基板上の前記薄膜表面を流れる状態で、前記単結晶を成長させる請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記単結晶の成長開始前、前記反応容器を一定の方向に傾けることにより、前記フラックスと前記III族元素の混合液を前記反応容器の底の傾けた側に溜めることで、前記混合液が前記基板の前記薄膜表面に接触しない状態にする請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
前記単結晶の成長の終了後、前記反応容器を一定の方向に傾けることにより、前記フラックスおよびIII族元素の混合液を前記基板の前記薄膜上から除去し前記反応容器底の傾けた側に溜めた状態にする請求項4記載の製造方法。
【請求項8】
前記フラックス形成のための反応容器の加熱に加え、前記反応容器の下部を加熱して熱対流を発生させることにより、前記フラックスと前記III族元素とを攪拌混合する請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
前記単結晶の成長の途中、III族元素を前記フラックス中に供給する請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
III族元素が、ガリウム(Ga)であり、III族元素窒化物単結晶が、窒化ガリウム(Ga)単結晶である請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
アルカリ金属が、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)およびフランシウム(Fr)からなる群から選択された少なくとも一つであり、アルカリ土類金属が、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Br)およびラジウム(Ra)からなる群から選択された少なくとも一つである請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
前記金属フラックスが、ナトリウムフラックスである請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
前記金属フラックスが、ナトリウムとカルシウムとの混合フラックスである請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
ナトリウム(Na)とカルシウム(Ca)との合計に対するカルシウム(Ca)の比率が、0.1mol%〜99mol%の範囲である請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
前記混合フラックスが、ナトリウム(Na)とリチウム(Li)との混合フラックスである請求項1記載の製造方法。
【請求項16】
ナトリウム(Na)とリチウム(Li)との合計に対するリチウム(Li)の比率が、0.1mol%〜99mol%の範囲である請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
前記反応条件が、温度100℃〜1200℃圧力100Pa〜20MPaである請求項1記載の製造方法。
【請求項18】
窒素(N)含有ガスが、窒素(N)ガスおよびアンモニア(NH)ガスの少なくとも一方である請求項1記載の製造方法。
【請求項19】
窒素(N)含有ガスが、アンモニア(NH)ガス若しくは、これと窒素(N)ガスとの混合ガスである請求項1記載の製造方法。
【請求項20】
前記基板上の前記薄膜が、III族元素窒化物の単結晶若しくは非晶質である請求項4記載の製造方法。
【請求項21】
前記基板上の前記薄膜の最大直径が、2cm以上である請求項4記載の製造方法。
【請求項22】
前記基板上の前記薄膜の最大直径が、3cm以上である請求項4記載の製造方法。
【請求項23】
前記基板上の前記薄膜の最大直径が、5cm以上である請求項4記載の製造方法。
【請求項24】
前記フラックスおよびIII族元素の混合液中に、ドーピングしたい不純物を存在させる請求項1記載の製造方法。
【請求項25】
前記不純物が、カルシウム(Ca)、カルシウム(Ca)を含む化合物、珪素(Si)、アルミナ(Al)、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、窒化インジウム(InN)、窒化珪素(Si),酸化珪素(SiO)、酸化インジウム(In)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)およびゲルマニウム(Ge)からなる群から選択される少なくとも一つである請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
透明単結晶を成長させる請求項1記載の製造方法。
【請求項27】
前記攪拌混合を、最初は窒素以外の不活性ガス雰囲気下で行い、その後、前記窒素含有ガスに置換して、前記窒素含有ガス雰囲気下で前記攪拌混合を行う請求項1記載の製造方法。
【請求項28】
前記置換を、徐々に行う請求項27記載の製造方法。
【請求項29】
攪拌羽根を用いて前記攪拌混合を行う請求項1記載の製造方法。
【請求項30】
前記攪拌羽根を用いた攪拌混合は、前記攪拌羽根の回転運動又は往復運動若しくは前記両運動の組み合わせによるものである請求項29記載の製造方法。
【請求項31】
前記攪拌羽根を用いた攪拌混合は、前記攪拌羽根に対する前記反応容器の回転運動又は往復運動若しくは前記両運動の組み合わせによるものである請求項29記載の製造方法。
【請求項32】
前記攪拌羽根が、下記の(A)および(B)の少なくとも一の材質で形成されている請求項29記載の製造方法。
(A) 融点若しくは分解温度が2000℃以上の窒素非含有材質
(B) 希土類酸化物、アルカリ土類金属酸化物、W、SiC、ダイヤモンドおよびダイヤモンドライクカーボンからなる群から選択される少なくとも一つの材質
【請求項33】
前記攪拌羽根の材質が、Y、CaO、MgOおよびWからなる群から選択される少なくとも一つである請求項29記載の製造方法。
【請求項34】
前記材質が、Yである請求項32記載の製造方法。
【請求項35】
前記反応容器が、坩堝である請求項1記載の製造方法。
【請求項36】
請求項1記載の製造方法により得られたIII族元素窒化物透明単結晶。
【請求項37】
請求項2記載のIII族元素窒化物単結晶の製造方法に使用する装置であって、前記反応容器中のアルカリ金属およびアルカリ土類金属からなる群から選択される少なくとも一つの金属元素を加熱してフラックスにするための前記反応容器を加熱する手段と、前記反応容器中に窒素含有ガスを導入して前記フラックス中のIII族元素と窒素とを反応させるための窒素含有ガス導入手段と、前記反応容器を一定の方向に傾けた後、前記方向とは逆の方向に傾けるという反応容器を一定方向に揺り動かす反応容器揺動手段を有する装置。
【請求項38】
前記反応容器が坩堝である請求項37記載の装置。
【請求項39】
請求項2記載のIII族元素窒化物の製造方法に使用される反応容器であって、その形状が円筒状であって、その内壁から、二つの突起が、円中心点に向かって突出しており、前記二つの突起の間に、基板が配置される反応容器。
【請求項40】
前記反応容器が坩堝である請求項39記載の反応容器。
【請求項41】
請求項2記載のIII族元素窒化物の製造方法に使用される反応容器であって、AlN、SiC若しくは炭素系材料からなる群から選択される少なくとも一つの素材で形成もしくは被覆されている反応容器。
【請求項42】
前記反応容器が坩堝である請求項41記載の反応容器。
【請求項43】
請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶を含む半導体装置。
【請求項44】
半導体層を含み、この半導体層が、請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている請求項43記載の半導体装置。
【請求項45】
絶縁性半導体層の上に導電性半導体層が形成され、この上に、ソース電極、ゲート電極およびドレイン電極が形成されている電界効果トランジスタ素子を含む半導体装置であって、前記絶縁性半導体層および前記導電性半導体層の少なくとも一つが請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている請求項44記載の半導体装置。
【請求項46】
さらに基板を有し、この基板の上に前記電界効果トランジスタ素子が形成されており、前記基板が請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている請求項45記載の半導体装置。
【請求項47】
n型半導体層、活性領域層およびp型半導体層が、この順序で積層されて構成された発光ダイオード(LED)素子を含む半導体装置であって、前記三層の少なくとも一層が、請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている半導体装置。
【請求項48】
さらに基板を有し、この基板の上に前記発光ダイオード素子が形成されており、前記基板が、請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている請求項47記載の半導体装置。
【請求項49】
n型半導体層、活性領域層およびp型半導体層が、この順序で積層されて構成された半導体レーザ(LD)素子を含む半導体装置であって、前記三層の少なくとも一層が、請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている半導体装置。
【請求項50】
さらに基板を有し、この基板の上に前記半導体レーザ素子が形成されており、前記基板が、請求項36記載のIII族元素窒化物透明単結晶から形成されている請求項49記載の半導体装置。

【国際公開番号】WO2004/083498
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【発行日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503673(P2005−503673)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003391
【国際出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】