説明

MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体刺激

本発明は、POMC遺伝子産物の受容体(MC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体)の発現を調節する、また場合によっては皮膚細胞におけるPOMCの発現を調節して、特に、表皮細胞の増殖および分化を調節し、再上皮化し、神経支配を維持し、皮膚を活性化するか、または老化に対抗するか、または独立してまたは皮膚老化とは関係なく色素沈着を調節する活性物質に関する。本発明は、かかる活性物質をスクリーニングする方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POMC(プロオピオメラノコルチン)遺伝子によってコードされる神経伝達受容体の発現を調節し、また場合によっては対応する神経伝達物質の発現を調節する、活性成分に関する。本発明は、皮膚レベルでPOMC遺伝子によってコードされる神経伝達受容体の発現において活性である、少なくとも1つの物質を含有する組成物の使用、ならびにかかる活性成分をスクリーニングする方法も検討する。
【背景技術】
【0002】
その感覚機能のために、皮膚は個体の情報の根源である。末梢神経は、皮膚の神経支配に関与し、軸索を有し、その細胞体は脊髄に沿って位置する。皮膚の神経支配は、特に、感覚神経および自律交感神経線維を含む。表在自由神経終末は、表皮の内部まで達する唯一の知覚線維である。重要な交換は、皮膚細胞と皮膚神経との間に存在する。皮膚細胞は、皮膚神経(パラクリン経路)に作用する多数の神経伝達物質を合成する。皮膚細胞は、神経細胞および皮膚細胞自体によって放出される所定の神経伝達物質に対応する受容体も有し、したがって、これらの神経伝達物質を受容し、これに応答することができる。
【0003】
皮膚の老化は、ケラチノサイトの増殖の減少を特徴とする皮膚細胞の代謝の脱制御、ケラチノサイトの分化の脱制御、死細胞の蓄積、および皮膚の神経支配の減少に関連する。
【0004】
α−MSHまたはα−メラノサイト刺激ホルモン(α−MSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、β脂肪親和性ホルモン(β−LPH)、およびβエンドルフィンは、単一の遺伝子プロオピオメラノコルチン(POMC)によって生成される神経ホルモンである。それらは、下垂体において主に合成されるが、皮膚等の多数の末梢組織においても認められる(Wintzen M,Yaar M,Burbach JP,Gilchrest BA,J Invest Dermatol.1996 Apr;106(4):673−8.)。POMC遺伝子ならびにタンパク質α−MSH、ACTH、β−LPHおよびβエンドルフィンは、真皮細胞、線維芽細胞、ランゲルハンス細胞、および表皮細胞、メラノサイト、およびケラチノサイトによって発現される。
【0005】
これらのタンパク質に対して、同じく皮膚細胞によって発現される受容体が対応する。メラノコルチン受容体1(MC−1RまたはMCR−1)は、α−MSHおよびACTHの受容体であり、メラノコルチン受容体2(MC−2RまたはMCR−2)は、ACTHの受容体であり、μオピオイド受容体(μオピオイドR)は、βエンドルフィンの受容体である。
【0006】
皮膚において、α−MSH、ACTH、およびβエンドルフィンは、炎症性サイトカインであるIL−1、TNFα、およびIL−10の合成を阻害し、したがって、それらは抗炎症特性を有する。さらに、これらの同様のサイトカインは、これらの神経ホルモンの合成を刺激する(Moustafa M,Szabo M, Ghanem GE,Morandini R, Kemp EH, MacNeil S, Haycock JW.J Invest Dermatol.2002 Dec;119(6):1244−53.)。したがって、皮膚には神経皮膚炎症の陰性後退制御が存在する。
【0007】
α−MSHおよびACTHは、メラノサイトにおけるそれらそれぞれの受容体に作用することによって、メラニン生成を調節することが知られている。α−MSHおよびACTHは、メラノサイト増殖の誘導物質である。さらに、βエンドルフィンは、メラノサイトに対する細胞分裂促進効果を有することが知られ、メラノサイトの樹状性を高める(Kauser S, Schallreuter KU, Thody AJ,Gummer C, Tobin DJ, J Invest Dermatol.2003 Jun;120(6):1073−80)。
【0008】
α−MSHおよびβエンドルフィンは、ケラチノサイトによって同様に合成されることが知られている。これら2つのタンパク質は、皮膚ケラチノサイトの増殖および分化を誘導する(Chakraborty AK, Funasaka Y,Slominski A, Ermak G, Hwang J,Pawelek JM, Ichihashi M., Biochim Biophys Acta. 1996 Aug 28;1313(2):130−8)。
【0009】
皮膚の種々の細胞(ケラチノサイト、メラノサイト、および線維芽細胞)が、他の神経伝達物質、例えば、神経成長因子(NGF)のような神経栄養因子を合成することができる。ケラチノサイトおよび線維芽細胞は、NGF、TrkA、およびp75NTRに対する受容体を産生する。それ自体をTrkAに結合させることによって、NGFはこれらの細胞の増殖を誘導し、ケラチノサイトをアポトーシスから保護する。NGFは、ニューロンの分化を誘導して、それらの生存を可能にすることが広く知られており、したがって、ニューロン密度の維持に重要な役割を果たす。さらに、マウスにおいて、後根神経節のニューロンにおいてPOMC mRNAの存在が示されており、このことは、メラノコルチン系および特にα−MSHの、末梢神経の修復における関与を示唆する。αMSHは、したがって、神経栄養性において役割を果たす(Gispen WH, Adan RA.Ann NY Acad Sci 1999 Oct 20;885:342−9,van der Kraan M, Tatro JB, Entwistle ML,Brakkee JH, Burbach JP, Adan RA, Gispen WH.Brain Res MoI Brain Res.1999 Jan 8;63(2):276−86)。さらに、それ自体を神経細胞のμオピオイド受容体に結合させて、βエンドルフィンおよびその誘導体は、満足感をもたらすことが知られている。
【0010】
今日まで、専門家は、皮膚の恒常性に作用し、かつ/または皮膚の神経支配を改善するために、αMSHまたはβエンドルフィン等の神経伝達物質の放出の調節、またはそれらの役割の模倣に努めてきた。
【0011】
さらに、専門家は、通常、すべてが同等ではない異なる代謝経路を通して、皮膚老化の影響に対抗するように努めている。しかしながら、今日も探求すべき新たな経路が残っている。
【0012】
先の特許出願第WO2007/039058号は、メラノサイトにおけるオピオイド受容体の発現をダウンレギュレーションするためのオピオイド受容体アンタゴニストの一般的な使用について開示している。別の先の特許出願第US2004/0214851号は、診断および/または治療的有用性のために、したがって、損傷した組織のみにおいて、オピオイド受容体の発現を増加させるための方法について開示している。したがって、これらの開示は、先に定義されるか、または以下で述べられる皮膚老化の影響に対抗するための解決法を提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO2007/039058号
【特許文献2】US2004/0214851号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Wintzen M,Yaar M,Burbach JP,Gilchrest BA,J Invest Dermatol.1996 Apr;106(4):673−8.
【非特許文献2】Moustafa M,Szabo M, Ghanem GE,Morandini R, Kemp EH, MacNeil S, Haycock JW.J Invest Dermatol.2002 Dec;119(6):1244−53.
【非特許文献3】Kauser S, Schallreuter KU, Thody AJ,Gummer C, Tobin DJ, J Invest Dermatol.2003 Jun;120(6):1073−80
【非特許文献4】Chakraborty AK, Funasaka Y,Slominski A, Ermak G, Hwang J,Pawelek JM, Ichihashi M., Biochim Biophys Acta. 1996 Aug 28;1313(2):130−8
【非特許文献5】Gispen WH, Adan RA.Ann NY Acad Sci 1999 Oct 20;885:342−9
【非特許文献6】van der Kraan M, Tatro JB, Entwistle ML,Brakkee JH, Burbach JP, Adan RA, Gispen WH.Brain Res MoI Brain Res.1999 Jan 8;63(2):276−86
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、特に、老化およびその色素欠陥の一般的な文脈の一部として、皮膚の神経支配を回復する、または皮膚細胞の恒常性を維持もしくは促進するための革新的な方法を探求した。
【0016】
本発明は、皮膚の神経支配、皮膚の恒常性、およびメラニン形成に対する皮膚美容術における活性成分の影響の評価を可能にする基準を提供することも意図する。
【0017】
本発明の主要な目標は、以下を行うために、特に皮膚レベルで、少なくとも1つの活性成分を提供することである:
・細胞恒常性を促進する、特にケラチノサイトの増殖を促進して、再上皮化を可能にする、
・直接的または間接的に、皮膚の神経支配を回復または維持して、表皮の神経ネットワークの維持を可能にし、満足感を得る、
・直接的または間接的に、血管新生を回復または維持して、十分な血液灌流を維持する、
・メラニン生成を調節する。
【0018】
このすべては、皮膚の老化、および/または皮膚の老化において認められる変化を誘導するストレスの影響(例えば、老化が光誘導されるか、または時間的なものである場合)を予防しかつ/またはこれに対抗するためである。
【0019】
したがって、本発明の目標の1つは、皮膚、特に表皮の特性の損失を予防しかつ/またはこれに対抗することであり、皮膚の自然着色の変化、特に例えば白または茶色の色素点の形での変化を予防しかつ/またはこれに対抗することである。
【0020】
本発明は、皮膚の神経支配、血管新生、および上皮化に関与する他の伝達物質の合成のカスケード誘導を可能にする物質を提供することも意図する。
【0021】
本発明は、皮膚レベルでの栄養価値の損失を予防しかつ/またはこれに対抗する物質を提供することも意図する。
【0022】
本発明は、化粧品および/または薬学、特に皮膚科学の領域において、上述のような活性物質を提供することも意図する。
【0023】
本発明の重要な目標は、局所的および/または栄養補給的に投与できる活性物質、特に、バイオテクノロジーを介して形質転換され得る少なくとも1つの植物抽出物、または少なくとも1つの特徴付けられた分子を提供することである。
【0024】
バイオテクノロジーとは、微生物の存在下で行われる少なくとも1つの段階を含むプロセスを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
発明の概要
上述の技術的問題を緩和し、本発明の目標を達成するために本発明者らが探求した革新的な経路の中で、本発明者らは、皮膚レベルで、POMC遺伝子によってコードされる少なくとも1つの伝達物質の少なくとも1つの受容体の発現を調節すること、およびさらに好ましくは増加させることが特に興味深いことを発見した。
【0026】
活性成分を同定する方法は、ホルモンであるαMSHまたはβエンドルフィンの発現の誘導、またはこれらの神経ホルモンの作用を模倣する物質の添加に基づくが、いかなる方法においても、これらのホルモンの受容体の発現は引き起こさない。
【0027】
本発明者らは、時間生物学的老化の過程において、ケラチノサイトにおいて、受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの遺伝子のレベルで発現が約4倍減少し、POMC遺伝子が約5倍増加したことを発見した。さらに、MC−1Rおよびμオピオイド受容体はメラノサイトによって発現されるため、本発明の活性物質を使用して、皮膚の老化を予防しかつ/またはこれに対抗し、かつ/または皮膚の色素沈着を変化させる。
【0028】
本発明は、したがって、皮膚の神経支配、血管新生、および上皮化に関与する他の伝達物質の合成のカスケード誘導を可能にする神経伝達物質の効果を高めるために、3つの受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRのうちの少なくとも1つの発現を、特に皮膚レベルで調節する物質に関する。
【0029】
本発明は、細胞恒常性を皮膚レベルで維持または促進し、皮膚の神経支配または血液灌流を回復して、メラニン生成を調節するために、3つの受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの遺伝子のうちの少なくとも1つの発現を、特に皮膚レベルで調節する少なくとも1つの物質に関する。
【0030】
少なくとも1つの受容体MC−1R、MC−2R、またはμオピオイド受容体の発現の調節とは、タンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイドRをそれぞれコードする少なくとも1つの遺伝子の調節(刺激または阻害、場合によっては部分的)だけでなく、それぞれのRNAメッセンジャーからの少なくともタンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイド受容体の合成の調節(刺激または阻害、場合によっては部分的)、ならびにタンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイドRの活性の調節(刺激または阻害、場合によっては部分的)を意味する。
【0031】
少なくとも1つの受容体MC−1R、MC−2R、またはμオピオイド受容体の発現の刺激とは、タンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイドRをそれぞれコードする少なくとも1つの遺伝子の刺激(場合によっては部分的)だけでなく、それぞれのRNAメッセンジャーからの少なくともタンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイド受容体の合成の刺激(場合によっては部分的)、ならびにタンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイドRの活性の刺激(場合によっては部分的)を意味する。
【0032】
老化に対抗する場合は、受容体遺伝子の発現を約4倍刺激することが好ましい。
【0033】
老化に対抗する場合は、タンパク質MC−1R、MC−2R、またはμオピオイドRの発現を約5倍刺激することが好ましい。
【0034】
「回復する」という用語は、パラメータを参照して、良好な生理的機能に対して所望されるレベルよりも下または上のこのパラメータのレベルから、関与する被験体にとってより好ましい生理的レベルに戻るという事実を意味する。
【0035】
「満足感をもたらす」という用語は、それ自体が容易にμオピオイド受容体に結合するβエンドルフィンの放出によって引き起こされる満足感を意味する。
【0036】
本発明は、特にヒトにおける、MC−1R遺伝子および/もしくはMC−2R遺伝子および/もしくはμオピオイドR遺伝子、ならびに/またはこれらの遺伝子によってそれぞれコードされるタンパク質の発現の調節、より好ましくは刺激に特に関する。
【0037】
本発明は、受容体−リガンド複合体の有効性を高めるための、特に、POMC遺伝子産物ならびにMC−1Rおよび/もしくはMC−2R受容体、および/もしくはμオピオイドRの調節にも関し、したがって、POMC遺伝子の発現の調節もする活性成分が依然として好ましい。老化に対抗する場合は、POMC遺伝子の発現を約5倍阻害することができるが、本発明にしたがって、POMC遺伝子の発現を維持または増加し、神経伝達物質の効果を高めることが好ましい。メラニン形成の場合は、POMC遺伝子の発現を刺激または維持することが好ましい。
【0038】
調節は、好ましくは、これらの受容体のうちの少なくとも1つを発現し、かつ/または皮膚の神経支配を少なくとも部分的に回復する標的皮膚細胞の増殖および/または分化の刺激を可能にするために十分に有効である必要がある。
【0039】
対照モデル(活性成分と接触していないモデル)におけるこれらの受容体の発現のレベルと比較して、これらの活性成分と接触するとこれらの受容体の発現を呈する少なくとも1つの細胞タイプを含むモデルにおいて、遺伝子MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の少なくとも約1.2倍、好ましくは約2倍に等しい発現を可能にする活性成分は、上述の受容体の遺伝子を有効に刺激または活性化すると考えられる。
【0040】
対照モデル(活性成分と接触していないモデル)におけるこれらの受容体の発現のレベルと比較して、これらの活性成分と接触するとこれらの受容体の発現を呈する少なくとも1つの細胞タイプを含むモデルにおいて、タンパク質MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイドRの少なくとも約1.1倍、有利には約1.2倍に等しい発現の実現を可能にする活性成分は、上述の受容体の発現を有効に刺激または活性化すると考えられる。
【0041】
対照モデル(活性成分と接触していないモデル)におけるこれらの受容体の発現のレベルと比較して、これらの活性成分と接触するとこれらの受容体の発現を呈する少なくとも1つの細胞タイプを含むモデルにおいて、遺伝子MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイドRの少なくとも約0.95倍、有利には0.8倍以下の発現の実現を可能にする活性成分は、上述の受容体の発現を有効に阻害または減少させると考えられる。
【0042】
対照モデル(活性成分と接触していないモデル)におけるこれらの受容体の発現のレベルと比較して、これらの活性成分と接触するとこれらの受容体の発現を呈する少なくとも1つの細胞タイプを含むモデルにおいて、遺伝子MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の少なくとも約0.95倍、有利には0.8倍以下の発現の実現を可能にする活性成分は、上述の受容体の発現を有効に阻害または減少させると考えられる。
【0043】
特定の実施方法に従って、遺伝子MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体、および/またはタンパク質MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の発現を活性化または刺激し、場合によっては、ケラチノサイトにおいてPOMC遺伝子および/またはPOMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質を維持または刺激することが好ましい。
【0044】
別の実施方法に従って、特に、これらの皮膚細胞の異常増殖に関連する病態の一部としての免疫応答を減少させるために、これらの発現受容体のうちの少なくとも1つの発現を、ケラチノサイトにおいて増加させる。
【0045】
別の特定の実施方法に従って、遺伝子MC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体、および/またはタンパク質MC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現、場合によってはPOMC遺伝子および/またはPOMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の発現が、メラノサイトにおいて追加的に調節される。
【0046】
本発明の一態様は、MC−1R、MC−2R、および/または特徴付けられたμオピオイド受容体を発現できる少なくとも一種類の生細胞の増殖および分化を調節する活性物質を同定する方法に関する。該方法は以下のステップを含むことを特徴とする。
・活性物質を、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体、および場合によってはPOMC遺伝子を発現できる少なくとも一種類の生細胞と接触させる。
・MC−1R、MC−2R、および/またはμ受容体の発現を調節、好ましくは刺激する活性物質を同定することを特に目的として、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の発現を分析する。
【0047】
好ましくは、受容体MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の遺伝子、および場合によってはPOMC遺伝子の発現の分析は、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体をコードするヌクレオチドの発現の定性および/または定量分析によって行う。
【0048】
好ましくは、RT−PCRは、配列番号1、2、3、4に相補的なDNAヌクレオチド配列の少なくとも一部分とハイブリダイズするプライマーを使用して、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体、および場合によってはPOMC遺伝子をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部を増幅することを含む:
配列番号1:MC−1R NM_002386
配列番号2:MC−2R NM_000529
配列番号3:μオピオイド受容体 NM_000914
配列番号4:POMC NM_000939。
【0049】
好ましくは、使用される生細胞は、特に成人ヒト被験体の皮膚から抽出されたケラチノサイトおよび/またはメラノサイトを含み、この皮膚は、特定の位置(腹部、胸部等)を有する。いわゆる「正常な」細胞、つまり例えば、非形質転換細胞(腫瘍性または遺伝的に修飾されている)であって、研究されている一群の被験体の細胞タイプの試験に対して著明に代表的な細胞を使用することが好ましい。
【0050】
好ましくは、年齢のカテゴリーは、年齢/遺伝子の関係および年齢/タンパク質合成の関係を確立するために作成する。若年と称される被験体は、17歳〜40歳であり、中年と称される被験体は、40歳〜50歳であり、より高齢の被験体は50歳より上である。
【0051】
好ましくは、同定方法は、特に、活性物質が前述の生細胞と接触しているときの対応するタンパク質の発現の調節を検出するために、ゲルからニトロセルロースメンブレンへタンパク質をトランスファーする方法(ウェスタンブロット)を介したタンパク質MC−1R(34.7kDa)、MC−2R(33.9kDa)、および/またはμオピオイド受容体(44.8kDa)の発現の分析のステップを含む。
【0052】
第1の好適な実施の方法に従って、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体を発現できる生細胞の種類はケラチノサイトである。この場合、MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイド受容体の発現を刺激または増加させ、場合によってはPOMC遺伝子の発現を減少させる活性成分が求められる。
【0053】
第2の実施方法に従って、MC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体を発現できる生細胞の種類は、メラノサイトである。この場合、MC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現を調節し、場合によってはPOMC遺伝子の発現を調節する活性成分が求められる。
【0054】
好ましくは、ケラチノサイトに作用する際に、活性物質は、NGFおよびVEGFの合成におけるカスケード増加を誘導し、ひいては、神経支配(ニューロンの密度および樹状性)および血管新生をそれぞれ刺激する。
【0055】
本発明の第2の態様は、特に、タンパク質MC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の合成を調節、好ましくは刺激するための、特に、ケラチノサイトの増殖および/または分化および/または成熟を誘導するための、前述されるような活性物質、つまり、上述のスクリーニング方法に従って同定され得る物質の、化粧用組成物または栄養補給用組成物における活性物質としての、または医薬組成物、好ましくは皮膚科学的組成物の製造のための使用に関する。
【0056】
本発明の第3の態様は、特に、時間生物学的皮膚老化または太陽光によってもたらされる皮膚老化および/もしくは皮膚老化の過程において認められる変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または上皮化を促進するため、または特に表皮レベルでの細胞増殖および分化を改善するため、または皮膚血管新生の減少を予防またはこれに対抗するため、または皮膚血管新生を改善するため、または血管の過透過性を改善するため、または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善するため、または皮膚神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または皮膚神経支配を改善するため、または満足感をもたらすため、または皮膚の色および/もしくは色合いを改善し、ならびに/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための、化粧用組成物または栄養補給用組成物における活性物質としての、または医薬組成物、好ましくは皮膚科学的組成物の製造のための、前述されるような活性物質の使用に関する。
【0057】
本発明の第4の態様は、皮膚の老化および/もしくは皮膚の老化において認められる変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または上皮化を促進するため、または特に表皮レベルで細胞増殖および分化を改善するため、または皮膚血管新生の減少を予防またはこれに対抗するため、または皮膚血管新生を改善するため、または血管の過透過性を改善するため、または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善するため、または皮膚の神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または皮膚神経支配を改善するため、または満足感をもたらすため、または皮膚の色および/もしくは色合いを改善し、ならびに/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための、化粧用組成物または栄養補給用組成物に関し、前述の組成物は、活性成分として、前述のような活性物質を、場合によっては前述のような物質と組み合わせて含む。
【0058】
本発明の第5の態様は、好ましくは、皮膚の老化および/もしくは皮膚の老化の過程において認められる変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗する、または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗する、または上皮化を促進する、または特に表皮レベルで細胞増殖および分化を改善する、または皮膚血管新生の減少を予防またはこれに対抗する、または血管の過透過性を改善する、または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善する、または皮膚の神経支配の減少を予防またはこれに対抗する、または皮膚神経支配を改善する、または満足感をもたらす、または皮膚の色および/もしくは色合いを改善し、ならびに/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させることが意図される医薬組成物に関し、前述の組成物は、活性成分として、前述のような活性物質を、場合によっては前述のような物質と組み合わせて含む。
【0059】
本発明の第6の態様は、美容効果を高めるために、前述のような化粧用組成物、または前述のような活性物質を皮膚に投与することを特徴とする、美容ケアの方法に関する。
【0060】
参照される活性物質の有効量は、単純な日常的経験を通して、専門家によって決定される。
【0061】
本発明は、上述の目標および応用の全体の一部として、予防または治療の方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】老化過程でのケラチノサイトにおけるヒト生検上の受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体の遺伝子の発現における顕著な減少を示す。
【図2】正常なヒト皮膚の生検切片の免疫蛍光法を介したチューブリンβIIIおよび200ニューロフィラメントの発現における顕著な減少を示す。
【図3】15歳〜75歳の被験体における、チューブリンβIIIの発現の相対比率を表す。
【図4】15歳〜75歳の被験体における、および200ニューロフィラメントの発現の相対比率を表す。
【図5】図3に示される研究に対応する統計学的分析を表す。
【図6】図4に示される研究に対応する統計学的分析を表す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本発明者らは、受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの発現が、時間生物学的皮膚老化の過程において、特に、これらの受容体がヒト皮膚におけるケラチノサイトによって発現される場合に、減少することを初めて示した。
【0064】
本発明者らは、時間生物学的皮膚老化の過程で、特に、ヒト皮膚におけるケラチノサイトにおいて、POMC遺伝子の発現が増加することも初めて確認した。
【0065】
本発明者らは、したがって、ケラチノサイトにおけるスクリーニングプロセスを開発し、特に、受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRをコードするmRNAの発現を刺激し、場合によっては、POMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質をコードするmRNAの発現を維持、刺激、または阻害する、特に野菜抽出物または特徴付けられた化学分子もしくはバイオテクノロジーで形質転換された分子の中での活性成分の検索を可能にした。次いで、mRNAに対応するタンパク質の発現に関して、選択された活性成分を試験した。
【0066】
本発明者らは、ケラチノサイトにおけるMC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの発現も特徴付けた。MC−2RのmRNAのみが、以前にケラチノサイトにおいて同定されており(Moustafa M, Szabo M, Ghanem GE,Morandini R, Kemp EH, MacNeil S, Haycock JW.,J Invest Dermatol.2002 Dec;119(6):1244−53.)、したがって、ケラチノサイトにおけるタンパク質MC−2Rを同定したのは本発明者らが初めてであり、このことは、ACTHが、それ自体をケラチノサイトにおいてMC−1Rに結合させるだけでなく、それ自体をMC−2Rに結合させることによってもその活動を行うという事実を示唆する。
【0067】
したがって、本発明は、好ましくは、これらの受容体のうちの少なくとも1つを発現する少なくとも1種類の皮膚細胞において、MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの中から選択される、POMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の1つの受容体をコードする少なくとも1つの遺伝子の発現を刺激する物質の使用について説明する。本発明は、α−MSH、ACTH、およびβエンドルフィンの中から選択される1つの神経伝達物質と、それらそれぞれの受容体との少なくとも1つの相互作用を促進するための、組成物を調製するための活性物質としての物質の使用について説明する。
【0068】
選択された活性成分は、特に時間生物学的または光誘導された皮膚老化において、特に表皮厚の減少に対する予防および/または対抗において応用するための化粧用、栄養補給用、および医薬組成物、および好ましくは皮膚科学用組成物に組み込まれている。
【0069】
好ましくは、前述の物質は、POMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の受容体をコードする遺伝子の発現を増加または刺激して、ケラチノサイトにおけるリガンドと受容体との間のバランスの脱制御に対抗するかまたはこれを予防する。
【0070】
好ましくは、前述の物質は、POMC遺伝子の発現を減少させて、特に老化においてケラチノサイトでそれぞれ認められるリガンドおよび受容体のバランスのとれた発現の脱制御に対抗するかまたはこれを予防する。
【0071】
好ましくは、該物質は、POMC遺伝子の発現の阻害および受容体遺伝子の発現の刺激を得るために、組み合わせて使用することができる。
【0072】
好ましくは、前述の物質は、POMC遺伝子の発現を増加または維持して、α−MSH、ACTH、およびβエンドルフィンの前述の効果を高める。
【0073】
幸い、該物質は、ケラチノサイトにおけるPOMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の少なくとも1つの受容体の発現を増加させ、皮膚老化または皮膚老化において認められるような変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗する。
【0074】
したがって、本発明は、細胞老化に関連し、ケラチノサイトに影響を及ぼす、脱制御、特にα−MSH、および/またはACTH、および/またはβエンドルフィンとそれらそれぞれの受容体との相互作用における減少を特に緩和するための、これらの受容体の調節、好ましくは刺激に関する。
【0075】
好ましくは、該物質は、NGFの合成を増加させ、したがって、皮膚レベルでの末梢神経の成長を増加させる可能性がある。したがって、本発明は、老化において、または皮膚老化の過程において認められるような変化を誘導するストレスの影響下で、減少することが認められる、皮膚神経支配の増加を可能にする物質の使用に関する。
【0076】
好ましくは、該物質は、VEGFの合成を増加させ、したがって、皮膚レベルでの血管新生を増加させる可能性がある。したがって、本発明は、老化において、または皮膚老化の過程において見られるような変化を誘導するストレスの影響下で減少することが認められる、より良好な皮膚の灌流を可能にする物質の使用に関する。
【0077】
好ましくは、ケラチノサイトにおいてMC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現を刺激する物質は、以下の中から選択される:
4種類の特徴付けられた分子:
・フェニル酢酸3,6,9−トリメチル−2,7−ジオキソ−2,3,3a,4,5,7,9a,9b−オクタヒドロ−アズレノ[4,5−b]フラン−4−イル、
・Z−デカヒドロ−6,8a−ジヒドロキシ−l−イソプロピル−3a,6−ジメチルアズレン−5−イル−2メチルブト−2−エノエート、
・CAS番号352220−52−1で知られる2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−1ヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタンならびにそのエステル、
・特に、CAS番号86992−41−8、およびラピフェリンという一般名で知られる7−アセテート−2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−1ヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタン
ならびにかかる特徴付けられた分子を含有する植物抽出物、
6つの植物抽出物:galeopsis ochroleuca(野生麻)、Achillea millefolium(セイヨウノコギリソウ)、Colocasia esculenta(野生タロ)、Prunus cerasus(サワーチェリー)、Prunus spinosa(ブラックソーン)、エブルナモニン(Eburnamonine)(Apocynacea Amsonia Abrenaemontan(キョウチクトウ科ヤナギバチョウジソウ))の抽出物、
微生物の存在下で植物抽出物の発酵を介して得られる4つのバイオテクノロジー加水分解物:乳酸菌、特にラクトバチルス、例えば、ラクトバチルス・プランタルムによって形質転換されたマンゴ、デーツ、またはパパイヤの抽出物、または乳酸菌、特にラクトバチルス、例えば、ラクトバチルス・パラカゼイによって形質転換されたバナナ抽出物、およびそれらの任意の混合物。
【0078】
特徴付けられた分子の中で、特にFerula lapidosa(オオウイキョウ)抽出物中および/またはそれに由来のラピフェリン、およびフェニル酢酸3,6,9−トリメチル−2,7−ジオキソ−2,3,3a,4,5,7,9a,9b−オクタヒドロ−アズレノ[4,5−b]フラン−4−イルは、本発明に従う好適な物質である。
【0079】
植物抽出物の中で、Achillea millefolium(セイヨウノコギリソウ)およびPrunus spinosa(ブラックソーン)は、本発明に従う好適な物質である。
【0080】
好適な実施形態に従って、植物抽出物は、好ましくは、植物(好ましくは、根、根茎、茎、枝、花、果実、種子、胚、または葉)を1〜10%(p/p)、通常1〜5%で溶媒または溶媒の混合物、通常は水およびアルコール、グリコール、またはポリオール(エタノール、グリセロール、ブチレングリコール、および他のグリコール、キシリトール等)の100/0〜0/100混合物中、および好ましくは水中に浸軟させることによって得られる。次いで、得られた抽出物を徐々にろ過または蒸留して、可溶性部分を回収し、次にそれを好ましくは0.45μmでろ過する。バイオテクノロジー加水分解物は、通常、乳酸菌のファミリー、特にラクトバチルス・プランタルムまたはパラカゼイ、およびビフィズス菌、特にロンガムまたはサッカロミセスに由来する微生物の存在下で、植物抽出物の発酵を介して得られる。次いで、好ましくは、これらの加水分解物を、好ましくは0.45μmまでさらにろ過し、活性成分を得る。
【0081】
ラピフェリンおよびフェニル酢酸3,6,9−トリメチル−2,7−ジオキソ−2,3,3a,4,5,7,9a,9b−オクタヒドロ−アズレノ[4,5−b]フラン−4−イルをはじめとする特徴付けられた分子は、溶媒、通常はDMSO、エタノール、グリコール、特にDMSOに濃度0.1%で溶解することによって調製する。
【0082】
前述の活性物質は、好ましくは、化粧用組成物において、植物抽出物およびバイオテクノロジー加水分解物の場合は0.01%〜5%(v/v)からなる量、および特徴付けられた分子の場合は1.10−7%〜1%(v/v)からなる量、好ましくは、1.10−5%〜1.10−1%の量で使用される。
【0083】
本発明は、特に、皮膚の瘢痕形成における過透過性を改善するため、特に表皮レベルで細胞増殖および分化を改善するため、したがって、皮膚の上皮化を改善し、よって皮膚の神経支配の維持を促進するための美容ケアまたは予防もしくは治療的処置に対して意図される組成物に関する。
【0084】
前述の物質は、神経細胞、特に皮膚神経ネットワークにおけるMC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現に対する影響を刺激することも示した。
【0085】
前述の活性物質は、以下からなる群より選択される別の活性物質と組み合わせて有利に使用される:
・皮膚神経の栄養価値を刺激する、および/または感覚皮膚神経を活性化する活性成分、例えば、特許出願第FR2825273号において引用されるもの、パプリカ抽出物(トウガラシ)、赤色色素(赤トウガラシ)、またはペッパー(コショウ)、あるいはグルタミルアミドエチルインドール(エクシモール)、
・皮膚のバリア機能を改善するための、βエンドルフィンの効果を模倣する活性成分、例えば、特許出願第US2006069032号において引用されるもの、ココア豆外皮の抽出物、
・満足感をもたらすための、βエンドルフィンの合成を刺激する活性成分、例えば、マメ科植物(tephrosia purpurea)(ソリアンス(Soliance))由来のテフロリン、
・以下の分子:NGF、α−MSH、βエンドルフィン、または誘導体等の老化防止活性を有することが意図される細胞増殖および/または細胞分化を刺激する活性成分、例えば、特許出願第FR2857874に記載されるもの、P3−エンドルフィン、
・線維芽細胞成長因子、特にFGF2を分解から保護する活性成分、例えば、GB244036号として公開された、出願人により提出された特許出願に記載される植物抽出物、特にアオイ科トロロアオイ(Hibiscus Abelmoscus)抽出物、
・線維芽細胞の活性および/または増殖を刺激する活性成分、例えば、商品名PhytokineTMとして出願人によって市販されている製品等の大豆の発酵ペプチド、任意でアオイ科トロロアオイ(Hibiscus Abelmoscus)抽出物と組み合わせて、
・ヒアルロナーゼシンターゼ、特に特許第FR2893252号に記載されるようなヒアルロナーゼシンターゼ2を刺激する活性成分、
・LOXL等のリシルオキシダーゼの活性および/または合成を刺激する活性成分、例えば、特許第FR2855968号に記載される組成物、特に弾性線維を刺激するためのディル抽出物、
・抗炎症特性を持つ活性成分、例えば、PLA2を阻害するもの、特に、特許第FR2847267に記載される成分、および特にクズ根の抽出物(Inhipase(登録商標))、
・皮膚の色の変化を可能にする活性物質、例えば、皮膚を明るくする、および/または美白のための活性成分、
・ラウリン酸ヘスペリチン(Flavagrum(登録商標))またはカプリル酸クエルシチン(Flavenger(登録商標))等の排水特性を有する活性物質。
【0086】
さらに、好ましくはケラチノサイトにおいてMC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現を刺激する前述の活性物質は、メラノサイトによって発現されるMC−1Rおよびμオピオイド受容体の中から選択される少なくとも1つの受容体の発現を調節、好ましくは増加もしくは減少させ、かつ/またはメラノサイトによって発現されるPOMC遺伝子の発現を調節する、追加の物質と組み合わせて用いてもよい。この実施形態は、皮膚の色および/もしくは色合いを改善するために、および/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させ、色素沈着または脱色素、特に以下に記載されるような老化に関連するかまたは関連しない色素斑点を予防しかつ/またはこれに対抗するために特に興味深い。
【0087】
本発明者らは、メラノサイトにおけるスクリーニングプロセスも開発し、これは、特に植物抽出物または特徴づけられた化学分子またはテクノロジーによって形質転換された分子の中からの活性成分の検索を可能にし、該活性成分は、特にMC−1Rおよびμオピオイド受容体をコードするmRNAの発現を調節し、場合によっては、POMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質をコードするmRNAの発現を調節する。したがって、次に、選択された活性成分について、mRNAに対応するタンパク質の発現を試験した。
【0088】
選択された活性成分は、特に、色素沈着または脱色素の予防および/またはこれに対する対抗において応用するために、化粧品、栄養補給用製剤、および医薬製剤、また好ましくは皮膚科学的製剤に組み込まれている。
【0089】
好ましくは、前述の物質は、メラノサイトにおいてPOMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の少なくとも1つの受容体の発現を調節し、色素沈着または脱色素を予防するかまたはこれに対抗する。
【0090】
好ましくは、前述の物質は、POMC遺伝子の発現を調節し、色素沈着または脱色素を予防するかまたはこれに対抗し、特に、メラノサイトにおいてPOMCおよび受容体を同時に刺激する物質を保持して、色素沈着を増加させ、メラノサイトにおいてPOMCおよび受容体を同時に減少または阻害する物質を保持して、色素沈着を減少させる。物質は、POMC発現および/または受容体発現の刺激を得るため、および色素沈着を増加させる、またはPOMCおよび受容体を阻害して色素沈着を減少させるために、組み合わせて使用することができる。
【0091】
一実施形態に従って、MC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体の間で選択される少なくとも1つの受容体の発現を刺激する物質、および/またはメラノサイトにおけるPOMCの発現を刺激する物質は、以下の中から選択される:
・特徴付けられた分子:1メチルβカルボリン3カルボン酸、
・以下のものから選択される植物抽出物:大豆粉(赤色)、サルサパリラ(Smilax ornata)、Achillea millefolium(セイヨウノコギリソウ)、Cecropia obtusa、Oenothera biennis(マツヨイグサ)、ニンジン抽出物、オシダ、Prunus cerasus(サワーチェリー)またはそれらの任意の組み合わせ、および
・以下の中から選択される、微生物の存在下、植物抽出物の発酵を介して得られるバイオテクノロジー加水分解物:乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・プランタルムによる発酵酵母またはルピン、乳酸菌、特に、例えば、ラクトバチルス・プランタルムなどのラクトバチルスによって形質転換されたパパイヤ、デーツ、または大豆抽出物、ビフィズス菌、例えば、ビフィオバクテリアム・ロンガムによって発酵されたレモン抽出物、およびこれらの任意の混合物。
【0092】
本発明に従うMC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現を刺激する活性物質と、メラノサイトによって発現されるMC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体および/またはPOMCを刺激する前述の物質との該組み合わせは、日焼け効果のために皮膚の色素沈着を増加させるため、老化に関連するか関連しない脱色素斑点を予防しかつ/またはこれに対抗するために特に興味深い。
【0093】
第2の実施形態に従って、メラノサイトにおいてPOMC遺伝子を減少させる物質は、Galeopsis ochroleuca(野生麻)およびJuniperus communis(ジュニパーベリー)の水性もしくは含水アルコール抽出物との間で選択され、かつ/またはメラノサイトにおいてMC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体の間で選択される少なくとも1つの受容体の発現を減少させる物質は、Juniperus communis(ジュニパーベリー)の水性または含水アルコール抽出物である。本発明に従ってMC−1Rおよび/またはMC−2Rおよび/またはμオピオイド受容体の発現を刺激する活性物質と、メラノサイトによって発現されるMC−1Rおよび/またはμオピオイド受容体を減少させる前述の物質、および/またはメラノサイトにおけるPOMC遺伝子を減少させる物質との該組み合わせは、美白またはライトニング効果のために、皮膚の色素沈着を減少させるため、色合いの明るさを高めるため、老化に関連するか関連しない色素斑点を予防しかつ/またはこれに対抗するために特に興味深い。
【0094】
本発明は、特に、色合いの明るさおよび皮膚の色素沈着、特に老化に関連するか関連しない色素斑点を変化させるために、美容ケアまたは皮膚美容ケアあるいは予防または治療的処置に対して意図される組成物に関する。
【0095】
本発明における化合物は、局所組成物、特に化粧用組成物または医薬組成物、好ましくは皮膚科学的に許容される皮膚科学的組成物の形態で調製される。したがって、これらの組成物の場合、添加剤は、例えば、保存剤、皮膚軟化剤、乳化剤、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、調整剤、マット化剤、安定化剤、抗酸化剤、テクスチャ化剤、光沢剤、フィルム化剤、可溶化剤、色素、着色剤、香料、および太陽光フィルターからなる群の中から選択される少なくとも1つの化合物を含有する。これらの添加剤は、好ましくは、アミノ酸およびそれらの誘導体、ポリグリセロール、エステル、ポリマーおよびセルロース誘導体、ラノリン誘導体、リン脂質、ラクトフェリン、ラクトペルオキシダーゼ、スクロースベースの安定化剤、ビタミンEおよびその誘導体、天然および合成ワックス、野菜油、トリグリセリド、鹸化剤、植物ステロール、植物エステル、シリコンおよびそれらの誘導体、タンパク質加水分解物、ホホバ油およびその誘導体、脂性/水溶性エステル、ベタイン、アミノオキシド、サッカロースエステル植物抽出物、二酸化チタン、グリシン、パラベンからなる群の中から選択され、さらにより好ましくは、ブチレングリコール、ステアレス−2、ステアレス−21、グリコール−15ステアリルエーテル、セテアリルアルコール、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ブチレングリコール、天然トコフェロール、グリセリン、リン酸ナトリウムジヒドロキシセチル、イソプロピルヒドロキシセチルエーテル、ステアリン酸グリコール、トリイソノナノイン、オクチルココエート、ポリアクリルアミド、イソパラフィン、ラウレス−7、カルボマー、プロピレングリコール、グリセロール、ビサボロール、ジメチコン、水酸化ナトリウム、PEG30−ジポリヒドロキシステレート、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、セテアリルオクタノエート、アジピン酸ジブチル、グレープシード油、ホホバ油、硫酸マグネシウム、EDTA、シクロメチコン、キサンタンガム、クエン酸、硫酸ラウリルナトリウム、ミネラルワックスおよび鉱油、イソステアリン酸イソステアリル、プロピレングリコールのジペラルゴン酸エステル、プロピレングリコールのイソステアリン酸エステル、PEG8、蜜ろう、硬化パーム核油のグリセリド、ラノリン油、ゴマ油、乳酸セチル、ラノリンアルコール、二酸化チタン、ラクトース、サッカロース、低密度ポリエチレン、および等張性塩溶液からなる群の中から選択される。
【0096】
理想的に、前述の化合物は、通常は瓶またはチューブに入った水性または油ベースの溶液、水ベースのクリームもしくはジェルまたは油性ジェル、特にシャワージェル、シャンプー、ミルク、エマルション、マイクロエマルション、またはナノエマルション、特に水中油型もしくは油中水型または複数のシリコンベース、特にガラスもしくはプラスチックボトルまたはスプレーボトルもしくはエアロゾルボトルに入ったローション、ブリスターパック、液体石鹸、皮膚科学的石鹸、ポマード、ムース、無水製品、好ましくは、液体、クリームまたは固体、例えば、スティックの形態、特にリップスティックの形態からなる群の中から選択される形態で製剤化される。
【0097】
本明細書で使用される「局所投与」という用語は、本発明の組成物を皮膚の表面に塗布またはスプレーすることを意味する。
【0098】
本明細書で使用される「皮膚科学的に許容される」という用語は、使用される1つまたは複数の化合物が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応、またはそれらに相当するものなしに、ヒト皮膚に接触して使用するためにつくられていることを意味する。
【0099】
多数の活性化粧用成分が、皮膚の健康および/または物的外観を改善することは専門家に知られている。専門家は、最善の効果を得るための化粧用組成物または皮膚科学的組成物の製剤化方法を知っている。さらに、本発明に記載される化合物は、互いに組み合わされると、相乗効果を有する。これらの組み合わせも本発明によって網羅される。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook第2版(1992)は、化粧品および医薬産業において現在使用されている、特に局所使用に適応される種々の化粧用成分および医薬成分について説明している。これらの種類の成分の例としては、以下の化合物が挙げられるがこれらに限定されない:研磨剤、吸収剤化合物、香水、色素、着色剤、エッセンシャルオイル、収斂剤等の審美目的の化合物(例えば、クローブオイル、メントール、ショウノウ、ユーカリオイル、オイゲノール、乳酸メチル、およびヘメリス(hamelis)蒸留物)、ニキビ防止剤、凝集防止剤、消泡剤、抗菌剤(例えば、ヨードプロピルブチルカルバメート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、タンポン剤、膨張剤、キレート剤、添加物、殺生剤、変性剤、外用鎮痛薬、フィルム形成材料、ポリマー、乳白化剤、pH調整剤、還元剤、脱色素または美白剤(例えば、ハイドロキノン、麹酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、調整剤(例えば、保湿剤)、皮膚の鎮静剤および/または瘢痕形成剤(例えば、パンテノールおよびその誘導体、例えば、エチルパンテノール)、アロエベラ、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロールおよびグリチルリチン酸2カリウム)、増粘剤、ビタミン、およびこれらの誘導体または同等物。
【0100】
本発明の他の目標、特徴、および利益は、単なる例証の目的で提供される実施例を参照する典型的な説明を読むことによって専門家には明白となり、いかなる方法においても本発明の範囲を制限するものではない。
【0101】
実施例は、本発明の不可欠な部分であり、実施例を含むその全体に取り込まれる説明から任意の先の技術と比較して新しいと思われる特徴は、その機能および普遍性において本発明の不可欠な部分である。
【0102】
したがって、各実施例は一般的な範囲を有する。
【実施例】
【0103】
実施例1:老化過程における免疫組織学を介するヒト生検上のタンパク質MC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体の発現レベルの低下の実証
本発明者らは、若い女性(40歳より下)および高齢の女性(50歳より上)から採取された生検における時間生物学的な老化過程における、タンパク質レベルでのMC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体の発現の変化を実証した(図1を参照されたい:30歳または60歳のヒト患者から採取したヒト生検における受容体発現−免疫組織化学的結果)。
【0104】
本研究は、免疫組織学研究を使用して実行された。
【0105】
本実証は、曖昧性なく、抗体抗MC−1R(1/500)、抗MC−2R(1/200)および抗μオピオイド受容体(1/1000)を使用した結果として得られた。
【0106】
凍結切片またはパラフィン包埋後の免疫マーキングのため、再構成皮膚モデル(Mimeskin(登録商標)、コレティカ(Coletica)、フランス・リヨン)および生検を準備した。
【0107】
使用した抗体は、以下のものである:抗MC−1R、抗MC−2R、および抗μオピオイド受容体(ケミコン・インターナショナル(Chemicon International))。検出は、適切なコンジュゲート化二次抗体を用いて行う。
【0108】
図1に示される結果は、受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの遺伝子のレベルでの発現が、加齢とともにケラチノサイトで減少していることを証明する。
【0109】
実施例2:リアルタイムでのRT−PCR法を介した老化過程での成人ケラチノサイトにおける遺伝子MC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体の発現レベルの低下、およびPOMC遺伝子の発現の増加の実証
本発明は、ヒト生検から採取されたケラチノサイトにおける時間生物学的老化の過程での受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの遺伝子の発現の変化、およびPOMC遺伝子の発現の変化についても扱う。対象となる4つの遺伝子ならびにアクチンの発現を、リアルタイムでRT−PCRにより分析した(逆転写ポリメラーゼ定量的連鎖反応)。本技術は、ある遺伝子の発現をアクチンの発現(一定とみなされる)と関連付けることによって、その遺伝子の発現の精密な定量を可能にする。したがって、この遺伝子の発現レベルの調節を定量することができる。
【0110】
「SV96トータルRNA単離システム」キット(プロメガ(Promega)、フランス・シャルボニエール)を用いてトータルRNAを精製する。精製したRNAは、100μlのRNase不含水(プロメガ(Promega)、フランス・シャルボニエール)中に懸濁し、測定してプレートに分割する(96ウェルマイクロタイタープレート、PCRあたり5ng/μlのトータルRNAの10μl)。本プロジェクトにおいて使用するために選択されたスターターは、以下のとおりであり、表Iの対象である。
【表1】

【0111】
リアルタイムでのRT−PCR技術は、mRNAを含有するプレート上で「Quanti Tect SYBR Green RT−PCR」キット(フランス・キアゲン)を用いて、増幅サイクルを実行するOPTICONサーモサイクラーにおいて行う。逆転写(RT)を50℃で30分間行い、続いて95℃で15分間加熱して、逆転写酵素を阻害し、ポリメラーゼを活性化して、得られた相補的DNA(cDNA)を変性させる。50サイクルの連続ポリマー化(PCR)を実行する(95℃で15秒、60℃で30秒、72℃で30秒)。各サイクルの最後に、断片の数に比例する蛍光を読み取る。発現のレベルは、アクチンと比較した各遺伝子の発現のレベルによって決定される。
【0112】
本発明者らは、MC−1R遺伝子の発現が、若い女性と比較して、52歳より上の女性において4倍少なく発現することを示し、これは統計学的に有意であった。
【0113】
本発明者らは、MC−2R遺伝子の発現が、若い女性と比較して、5歳より上の女性において8倍少なく発現することを示し、これは統計学的に有意であった。
【0114】
本発明者らは、μオピオイド受容体の遺伝子の発現が、若い女性と比較して、55歳より上の女性において6.5倍少なく発現することを示し、これは統計学的に有意であった。
【0115】
本発明者らは、POMC遺伝子の発現が、若い女性と比較して、50歳より上の女性において5倍多く発現することを示し、これは統計学的に有意であった。
【0116】
結論として、本発明は、リガンドの増加およびすべての受容体の減少を支持する、ヒトケラチノサイトにおける受容体の発現とそれらのリガンドの発現との間のバランスの変化の実証を可能にする。
【0117】
実施例3:例えば、活性成分がケラチノサイトに接触する場合としない場合の、定量的RT−PCRを介した、受容体MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRのRNAメッセンジャー、およびPOMCのmRNAの発現の分析
本発明は、特に、再構成された皮膚、ヒト皮膚の生検における老化したケラチノサイトにおいて認められる受容体の、例えば、若い皮膚のケラチノサイトにおいて見られるような生理的発現を回復する目的で、3つの受容体MC−1R、MC−2R、および/またはμオピオイドRの合成を誘導できる新しい分子をスクリーニングする方法に関する。
【0118】
活性成分は、種々の起源のものである(例えば、植物または合成分子)。
【0119】
特に、抽出物は、溶媒または溶媒の混合物、通常は水およびアルコール、グリコール、またはポリオール(エタノール、グリセロール、ブチレングリコール、および他のグリコール、キシリトール等)の100/1〜0/100混合物、および好ましくは水において、1〜10%(p/p)、通常1〜5%で、植物(好ましくは、根、根茎、茎、樹皮、花、果実、種子、胚、または葉)を浸軟することによって得られる。次に、得られた抽出物をろ過または蒸留して、可溶性部分を回収し、次いでそれを好ましくは0.45μmでろ過する。バイオテクノロジー加水分解物は、通常は乳酸菌の属、特にラクトバチルス・プランタルム、またはパラカゼイ、およびビフィズス菌、特に、ロンガムまたはサッカロミセスのファミリーからの微生物の存在下における植物抽出物の発酵を介して得られる。次に、これらの加水分解物を好ましくは0.45μmでろ過し、活性成分を得る。
【0120】
特徴付けられた分子は、溶媒、通常はDMSO、エタノール、グリコール、特にDMSOにおいて0.1%の濃度での溶解により調製される。
【0121】
植物およびバイオテクノロジー加水分解物の場合は、通常0.1%〜2%(v/v)、特に、0.5%〜1%、および特徴付けられた分子の場合は、通常0.001%〜0.01%で培養環境に溶解後に、ケラチノサイトに対して活性成分を試験する。本結果は、植物抽出物およびバイオテクノロジー加水分解物の場合、培養環境中1%で得られ、特徴付けられた分子の場合は0.01%で得られる。
【0122】
酵素消化を介して、正常な成人において整形手術から取得されたケラチノサイトは、ケラチノサイトに特異的な環境において増幅されており、次にこれを、例えば、24ウェルプレートにおいて50,000/cmで播種し、成分既知無血清環境において単層で培養した。収斂時に、通常は24時間、培養環境において、細胞を希釈活性物質と接触させる。
【0123】
並行して、未処理の対照(環境単独)および3種類の陽性対照(1ng/mlのTGF−β、50pg/mlのIL−lα、および100ng/mlのTNF−α)についての試験を、通常、例えば、同じ培養プレート上で行う。1ng/mlのTGF−β、100ng/mlのTNF−α、および50pg/mlのIL−1αは、以前に試験されており、これらの濃度でこれら3種類のサイトカインによって誘導される受容体のmRNA合成の刺激は、例えば定量的RT−PCRによるmRNAの分析を通して実証された(3種類の誘導物質について×2または×0.08)。
【0124】
活性物質と細胞との接触時間後、例えば24時間後に、環境を排除し、細胞を例えば、7.4pHリン酸溶液で洗浄した後、−80℃の凍結乾燥によって保存する。例えば、シリカカラム上の96ウェルの抽出キットを使用して、トータルRNAを抽出し、260nmの96ウェル分光光度計上に分割する(純度表示:280nmでのタンパク質用量)。RNAは、例えば、5ng/μlで希釈する。1段階の定量的RT−PCRは、アクチン、MC−1R、MC−2R、μオピオイドR、およびPOMCの遺伝子に関して、96ウェルプレート上の50ngの初期RNAで行う。各遺伝子の特異的プライマーは、上記の表Iにおいて特定されており、例えば、0.5μMで使用する。
【0125】
増幅のパラメータは、通常以下のとおりである。「Quanti Tect SYBR Green RT−PCR」キット(フランス・キアゲン)を用いて、mRNAを含有するウェル上で、増幅のサイクルを実行するOPTICONサーモサイクラーにおいて、リアルタイムでRT−PCR技術を実行する。逆転写(RT)は、50℃で30分間行い、続いて95℃で15分間加熱して、逆転写酵素を阻害し、ポリメラーゼを活性化して、得られた相補的DNA(cDNA)を変性させる。50サイクルの連続ポリマー化(PCR)を行う(95℃で15秒、60℃で30秒、および72℃で30秒)。各サイクルの最後に、増幅された断片の数に比例する蛍光を読み取る。発現のレベルは、アクチンに対する各遺伝子の発現を比較することによって決定される。
【0126】
遺伝子MC−1R、MC−2R、μオピオイドR、およびPOMCの発現レベルは、陰性対照(処理なし)の場合に得られるものと比較して、変化率で表わされている。これらの活性物質は以下のとおりであり、表IIの対象である。
【表2】

【0127】
結論:960種類のうち13種類の活性物質が、ケラチノサイトにおいてMC−1RまたはMC−2RまたはμオピオイドRをコードする遺伝子におけるmRNAの割合を、考慮した条件下で有意に増加できる。さらに、4つの活性物質は、特にPOMC遺伝子の発現を阻害する。
【0128】
実施例4:例えば、活性成分がメラノサイトと接触する場合としない場合の定量的RT−PCRを介した受容体MC−1RおよびμオピオイドRのRNAメッセンジャーの発現の分析
実験は、前述の実施例において説明されるものと、細胞培養を除いて同一条件の下で行う。
【0129】
酵素消化を介して、正常な成人において整形手術から抽出されたメラノサイトを、メラノサイトに特異的な環境において増幅した。次にメラノサイトを、例えば、24ウェルプレートにおいて50,000/cmで播種し、メラノサイトに特異的な環境で培養した。収斂時に、通常は24時間、培養環境において、細胞を希釈活性物質と接触させる。
【表3】

【0130】
結論:10種類の活性物質が、メラノサイトにおいてMC−1R遺伝子の発現を増加させ、9種類の活性物質がPOMC遺伝子の発現を増加させ、2種類の活性物質がメラノサイトにおいてPOMC遺伝子の発現を減少させる。
【0131】
実施例5:活性成分の作用後のケラチノサイトにおけるMC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体タンパク質の検出
電気泳動によって、以下のそれぞれの市販ポリクローナル抗体によるタンパク質MC−1R、MC−2R、およびμオピオイド受容体の特徴付けを示す:OPA1−15013(Affinity bioreagents)、AB5128(Chemicon International)、およびAB5511(Chemicon International)。
【0132】
BPE(25mg)、EGF(2.5μg)、およびノルモシンを含有するK−SFM環境K−SFM(Invitrogen)において、5%COの雰囲気下、37℃で細胞を培養した。
【0133】
PBS溶液で細胞を一度洗浄し、プロテアーゼ阻害剤の存在下、溶解溶液中30分間4℃でタンパク質を抽出した(Tris 50mM、NaCl250mM、pH7.5、1%Triton)。13,000gで15分間、溶解物を遠心分離した。電気泳動前に、βメルカプトエタノールの存在下、浮遊物をLaemmli溶液で希釈する。
【0134】
免疫検出のために、タンパク質を、4〜12%SDS−ポリアクリルアミドゲルにおいて、電気泳動を介して分離する。タンパク質を、ニトロセルロースメンブレン(Biorad)上にトランスファーした。次いで、メンブレンを1時間周囲温度で、3%BSAを含むTBS溶液中で飽和させる。最後に、一次抗体を4℃で一晩インキュベートし、次いで、Alexa 488結合二次抗体(Invitrogen)を1時間周囲温度でインキュベートした後、タンパク質を免疫検出する。
【0135】
抗体は、以下の希釈で使用した:5μg/mL抗MC−1R、5μg/mL抗MC−2R、および1/1000抗μオピオイドR。
【0136】
画像分析を介して半定量を行った。活性物質は以下のとおりであり、表IVの対象である。
【表4】

【0137】
結論:遺伝子レベルで認められた活性物質により誘導される増加は、タンパク質レベルの増加によって確認される。野生麻(Galeopsis ochroleuca)、メマツヨイグサ(Oenothera biennis)および2種類の特徴付けられた分子は、遺伝子の発現は増加させないが、タンパク質μオピオイドRの発現の増加を誘導する。
【0138】
実施例6:ヒト生検におけるβIIIチューブリンおよびニューロフィラメント200の免疫検出
本発明者らは、時間生物学的老化の過程におけるチューブリンβIIIおよびニューロフィラメント200の発現が、免疫蛍光によって、神経生物学的老化の過程において減少したことを示した(図2)。本発明者らは、皮膚における軸索伸長の存在の検出を可能にする、これら2つのマーカーを選択した。マーカーであるチューブリンβIIIは、細胞核の数および神経ネットワークの密度の定量を可能にし、マーカーであるニューロフィラメント200は、神経ネットワークの成熟についてさらに示す。17歳から75歳までの女性の80のマンモグラフィ生検上で行われた免疫蛍光研究から、本発明者らは、チューブリンβIIIの発現が、38歳以降で3.7倍減少したこと、およびニューロフィラメント200の発現が、3.5倍減少したことを示すことができた。抗体は、以下の希釈で使用した:1:500(抗チューブリンβIII)および1:500(抗ニューロフィラメント200)。免疫複合体は、1:100に希釈されたALEXA594に結合されたマウス(ヤギ)の抗IgGを用いて検出する。
【0139】
図2では、正常なヒト皮膚におけるチューブリンβIIIおよびニューロフィラメント200の免疫蛍光を介した検出が表わされている。
【0140】
いわゆる若い被験体(26歳)におけるチューブリンβIIIの免疫検出はAで示され、いわゆる高齢の被験体(56歳)におけるチューブリンβIIIの免疫検出はBで示される。いわゆる若い被験体(26歳)におけるニューロフィラメント200の免疫検出はCで示され、いわゆる高齢の被験体(56歳)におけるニューロフィラメント200の免疫検出はDで示される。真皮−表皮接合の位置は、白線で示される。それぞれの図の左上にある四角は、対照であるアイソタイプ抗体を使用する陰性対照を示す。
【0141】
図3および4は、15歳から75歳までの被験体における、チューブリンβIIIおよびニューロフィラメント200の発現の相対的比率をそれぞれ表す。赤色矢印は、曲線における中断を示す。
【0142】
図5および6は、図3および4に示される研究に対応する統計学的分析をそれぞれ表す。結果は、βIIIチューブリンおよびニューロフィラメント200が、38歳よりも若い被験体において、(それぞれ)3.7倍および3.5倍多く発現することを示す。示された結果は、P=0.05のt検定で平均±標準偏差を表す。
【0143】
実施例7:ケラチノサイト培養において浮遊物に分泌されるNGFおよびVEGFの量
高齢被験体のケラチノサイトを培養し、活性物質が細胞と接触する時間、例えば、24時間後に、環境を回収し、ELISA技術に供して、NGFまたはVEGFの分泌の検出を可能にする。使用方法は、NGFの場合は供給元であるR&D system(DY256)およびVEGFの場合はClinisciences(KHG0l12)によって行われるプロトコルに従う。試験される活性物質の中で、以下の活性物質、特にNGFが最強の調節を呈し、表Vの対象である。
【表5】

【0144】
実施例8:生存しているヒト生検におけるβIIIチューブリンおよびニューロフィラメント200の免疫検出
成人整形手術の生検を、生存状態で4日間、DMEM培養環境で、NGFまたは活性成分の存在下または非存在下で維持する。次いで、生検を凍結し、神経マーカーを同定するための免疫蛍光研究、特に実施例6に示される研究に供する。
【0145】
実施例9:再構成された皮膚モデルにおける分化および増殖マーカーの免疫検出
このモデルは、再構成された真皮の培養物の集合体であって、再構成された表皮の補足的培養が次いで行われる。
【0146】
再構成された真皮モデルは、以下のプロトコルに従って作製される:
0.5〜1.10正常ヒト皮膚線維芽細胞を、通常はグリコサミノグリカンキトサンのコラーゲンベースの基質マトリクス上に播種し、次いで、栄養環境において、例えば、10%仔ウシ血清、アスコルビン酸を添加したDMEM−Glutamaxにおいて、好ましくは、最終濃度1mM EGF(上皮成長因子)、および好ましくは、最終濃度10ng/mL Normocin、および好ましくは、最終濃度100μg/mLで21日間培養する。
【0147】
再構成された皮膚モデルは、以下のプロトコルに従って作製される:
0.5〜1.10正常ヒトケラチノサイトを、真皮相当物上に播種し、次いで、栄養環境において、例えば、仔ウシ血清、アスコルビン酸を添加したDMEM−Glutamax/Ham F−12(比率3/1 v/v)において、好ましくは、最終濃度1mM EGF(上皮成長因子)、および好ましくは、最終濃度10ng/mLヒドロコルチゾン、および好ましくは、最終濃度0.4μg/mLウムリン、および好ましくは、最終濃度0.12UI/mLイスプレル、および好ましくは、最終濃度0.4μg/mLトリヨードサイロニン、および好ましくは、最終濃度2.10-9Mアデニン、および好ましくは、最終濃度24.3μg/mL Normocin、および好ましくは、最終濃度100μg/mLで培養する。培養は、7日間、浸漬状態で行う。次いで、培養物を仔ウシ血清、ヒドロコルチゾン、イスプレル、トリヨードサイロニン、およびウムリンを除いて、浸漬状態の培養物と同様の環境で、さらに14日間気液界面中に配置する。
【0148】
次いで、再構成された皮膚(Mimeskin(登録商標)、コレティカ(Coletica)、フランス・リヨン)を、Boulin固定液(LOX、LOXL、エラスチン)または10%ホルモル溶液(エラスチン用)中で調製し、その後、免疫組織化学的研究のために、パラフィンに包埋するか、または免疫蛍光分析のために液体窒素中で直接凍結する。パラフィンから6μm厚切片を切り出し、グリシン−HCl(100mmol/l)中で漂白した。Ki67(増殖マーカー)、ケラチン14(全細胞層のマーカー)、ケラチン10(基底層直上のケラチノサイト層のマーカー)、インボルクリン、トラングルタミナーゼ、およびネスチンの免疫検出は、再構成された皮膚上で45日目に行った。
【0149】
実施例10:既存の特許分子と組み合わせた本発明の生成物の使用
本発明の生成物は、特に、感覚皮膚神経に対して活性な皮膚神経の栄養価値を刺激する抽出物、例えば、パプリカ抽出物(トウガラシ)および/または赤色色素(赤トウガラシ)および/またはペッパー(コショウ)(L’OREAL FR2825273)、および/またはグルタミルアミドエチルインドール(エクシモール)等と組み合わせることができる。
【0150】
本発明の生成物は、皮膚のバリア機能を改善するためにβエンドルフィンの作用を模倣する抽出物、例えば、カカオ豆の外皮の抽出物(L’OREAL US2006069032)等と組み合わせることができる。
【0151】
本発明の生成物はまた、満足感をもたらすためにβエンドルフィンを活性化する抽出物、例えば、ナンバンクサフジ(faux indigo)抽出物等と組み合わせることができる。
【0152】
本発明の生成物は、老化防止効果を有することを意図してケラチノサイトの分化を刺激するための、α−MSH、βエンドルフィン等の他の分子、または例えば、P3−エンドルフィンおよびエッセンシャルオイル等の誘導体、神経栄養価値に影響するためのNGF(CODIF FR2857874)等と組み合わせることもできる。
【0153】
実施例11:水中油型エマルション型の化粧品または医薬製剤での本発明の生成物の使用
製剤11a
【表6】

【0154】
製剤11b
【表7】

【0155】
製剤11c
【表8】

【0156】
実施例12:油中水型の製剤での本発明の生成物の使用
【表9】

【0157】
実施例13:シャンプーまたはシャワージェルタイプの製剤での本発明の生成物の使用
【表10】

【0158】
実施例14:リップスティックタイプまたは他の無水製品の製剤での本発明の生成物の使用
【表11】

【0159】
実施例15:目の輪郭矯正、スリミング等のための水性ジェルの製剤での本発明の生成物の使用
【表12】

【0160】
実施例16:三重エマルション型の製剤での本発明の生成物の使用
【表13】

【0161】
実施例17:本発明の生成物を含有する医薬製剤の調製
製剤17a:丸剤の調製
【表14】

【0162】
製剤17b:ポマードの調製
【表15】

【0163】
製剤17c:注射製剤の調製
【表16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用組成物中の活性成分としての、または栄養補給用組成物の調製のための、MC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの中から選択される、POMC遺伝子によってコードされる神経伝達物質の受容体の発現を、これらの受容体のうちの少なくとも1つおよびPOMC遺伝子産物を発現する少なくとも1種類の皮膚細胞において刺激する少なくとも1つの物質の使用。
【請求項2】
前記物質がまた、POMC発現を調節する、好ましくは増加させるかまたは維持する、請求項1に記載の少なくとも1つの物質の使用。
【請求項3】
前記受容体の発現を刺激して、α−MSHおよび/またはACTHおよび/またはβエンドルフィンの美容効果を高めるための、請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
医薬組成物、特に皮膚科学的組成物の調製のための、ケラチノサイトにおいてMC−1RおよびMC−2Rの中から選択される受容体の発現を刺激する少なくとも1つの物質の使用。
【請求項5】
医薬組成物、特に皮膚科学的組成物の調製のための、ケラチノサイトにおいてMC−1R、MC−2R、およびμオピオイドRの中から選択される受容体の発現を刺激し、かつPOMC発現を調節する、好ましくは増加させるかまたは維持する少なくとも1つの物質の使用。
【請求項6】
α−MSHおよび/またはACTHおよび/またはβエンドルフィンの効果の脱制御に対抗するかまたはこれを予防するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
皮膚細胞がケラチノサイトである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
皮膚老化および/もしくは皮膚老化の過程中に認められる変化を誘導するストレスの影響を予防するかまたはこれに対抗するため、および/または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するため、および/または上皮化を促進するため、および/または特に表皮レベルでの細胞増殖および分化を改善するため、および/または皮膚血管新生の減少を予防するかまたはこれに対抗するため、および/または皮膚血管新生を改善するため、および/または血管の過透過性を改善するため、および/または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善するため、および/または皮膚神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗するため、および/または皮膚神経支配を改善するため、または満足感をもたらすため、および/または皮膚の色を改善するため、および/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記物質が、
・セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)の抽出物、
・ブラックソーン(Prunus spinosa)の抽出物、
・サワーチェリー(Prunus cerasus)の抽出物、
・野生タロ(Colocasia esculenta)の抽出物、
・野生麻(Galeopsis ochroleuca)の抽出物、
・エブルナモニン(Eburnamonine)(Apocynacea Amsonia Abrenaemontan)の抽出物、
・(Z)−デカヒドロ−6,8a−ジヒドロキシ−1−イソプロピル−3a,6−ジメチルアズレン−5−イル2−メチルブト−2−エノエート、
・フェニル酢酸3,6,9−トリメチル−2,7−ジオキソ−2,3,3a,4,5,7,9a,9b−オクタヒドロ−アズレノ[4,5−b]フラン−4−イル、
・CAS番号352220−52−1の2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−lヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタンおよび/またはそのエステル、
・CAS番号86992−41−8で知られる7−アセテート−2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−lヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタン、
・乳酸菌で形質転換されたマンゴ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたデーツ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたパパイヤ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたバナナ抽出物、
・およびこれらの任意の混合物、
の中から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
・セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)の抽出物、
・ブラックソーン(Prunus spinosa)の抽出物、
・サワーチェリー(Prunus cerasus)の抽出物、
・野生タロ(Colocasia esculenta)の抽出物、
・野生麻(Galeopsis ochroleuca)の抽出物、
・エブルナモニン(Eburnamonine)(Apocynacea Amsonia Abrenaemontan)の抽出物、
・(Z)−デカヒドロ−6,8a−ジヒドロキシ−1−イソプロピル−3a,6−ジメチルアズレン−5−イル2−メチルブト−2−エノエート、
・フェニル酢酸3,6,9−トリメチル−2,7−ジオキソ−2,3,3a,4,5,7,9a,9b−オクタヒドロ−アズレノ[4,5−b]フラン−4−イル、
・CAS番号352220−52−1の2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−lヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタンおよび/またはそのエステル、
・CAS番号86992−41−8で知られる7−アセテート−2.6ジメチル−4(2−メチルブテノエート)5−6(1−イソプロピル−lヒドロキシシクロペンタン))1,2エポキシシクロヘプタン、
・乳酸菌で形質転換されたマンゴ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたデーツ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたパパイヤ抽出物、
・乳酸菌で形質転換されたバナナ抽出物、
・およびそれらの任意の混合物、
の中から選択される物質の使用であって、皮膚老化および/もしくは皮膚老化の過程中に認められる変化を誘導するストレスの影響を予防するかまたはこれに対抗するため、および/または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するため、および/または上皮化を促進するため、および/または特に表皮レベルでの細胞増殖および分化を改善するため、および/または皮膚血管新生の減少を予防するかまたはこれに対抗するため、および/または皮膚血管新生を改善するため、および/または血管の過透過性を改善するため、および/または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善するため、および/または皮膚神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗するため、および/または皮膚神経支配を改善するため、または満足感をもたらすため、および/または皮膚の色を改善するため、および/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための、上記使用。
【請求項11】
皮膚の色を改善し、かつ/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための、MC−1Rおよびμオピオイド受容体の中から選択される少なくとも1つの受容体の発現を増加または減少させ、場合によりメラノサイトによって発現されるPOMC遺伝子の発現を調節する追加の物質との、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
前記追加の物質が、
・1メチルβカルボリン−3−カルボン酸、
・乳酸菌によって発酵させた酵母、
・ビフィズス菌によって発酵させたレモン抽出物、
・乳酸菌によって発酵させたパパイヤ抽出物、
・乳酸菌によって発酵させたルピン抽出物、
・乳酸菌によって発酵させた大豆抽出物、
・乳酸菌によって発酵させたデーツ抽出物、
・大豆粉の抽出物、
・サルサパリラ(Smilax ornata)の抽出物、
・野生タロ(Cecropia obtusa)の抽出物、
・セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)の抽出物、
・ヨイマチグサ(Oenothera biennis)の抽出物、
・ニンジンの抽出物、
・オシダの抽出物、
・サワーチェリー(Prunus cerasus)の抽出物、
・ジュニパーベリー(Juniperus communis)の水性または含水アルコール抽出物、
・野生麻(Galeopsis ochroleuca)の抽出物、
・ヨイマチグサ(Oenothera biennis)の抽出物、
・およびそれらの任意の混合物、
の中から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記物質が、
・老化防止効果を有することが意図される、ケラチノサイトの増殖および/または分化を刺激する活性物質、
・皮膚のバリア機能を改善するために、βエンドルフィンの効果を模倣する活性物質、
・皮膚神経の栄養価値を刺激する活性物質、
・満足感を誘導する活性物質、
・皮膚の色の変化を可能にする活性物質、
・線維芽細胞の活性および/または増殖を刺激する活性物質、
・抗炎症特性を有し、特にホスホリパーゼA2の酵素活性を阻害する活性物質、
・線維芽細胞成長因子、特にFGF2を分解から保護する活性物質、
・ヒアルロナーゼシンターゼ、特にヒアルロナーゼシンターゼ2を刺激する活性物質、
・LOXL等のリシルオキシダーゼの活性および/または合成を刺激する活性物質、
・排水特性を有する活性物質、
・およびこれらの任意の組み合わせ、
からなる群より選択される別の活性成分と組み合わせて利用される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
皮膚老化および/もしくは皮膚老化の過程中に認められる変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または上皮化を促進するため、または特に表皮レベルでの細胞増殖および分化を改善するため、または皮膚血管新生の減少を予防するかまたはこれに対抗するため、または皮膚血管新生を改善するため、または血管の過透過性を改善するため、または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善するため、または皮膚神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗するため、または皮膚神経支配を改善するため、または満足感をもたらすため、または皮膚の色を改善するため、および/または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させるための化粧用または皮膚化粧用または栄養補給用組成物であって、有効成分として、請求項9または10に記載されるような活性物質を、場合により請求項11〜13のいずれか1項に記載されるような物質と組み合わせて含む、上記組成物。
【請求項15】
好ましくは、皮膚老化および/もしくは皮膚老化の過程中に認められる変化を誘導するストレスの影響を予防しかつ/またはこれに対抗すること、または表皮恒常性の低下を予防しかつ/またはこれに対抗すること、または上皮化を促進すること、または特に表皮レベルでの細胞増殖および分化を改善すること、または皮膚血管新生の減少を予防するかまたはこれに対抗すること、または皮膚血管新生を改善すること、または血管の過透過性を改善すること、または皮膚の瘢痕形成における血管新生を改善すること、または皮膚神経支配の減少を予防しかつ/またはこれに対抗すること、または皮膚神経支配を改善すること、または満足感をもたらすこと、または皮膚の色を改善すること、または特に色素沈着が色素斑点等の局所的な欠陥を呈する場合に皮膚の色素沈着を変化させることを意図する医薬組成物であって、有効成分として、請求項9または10に記載されるような活性物質を、場合により請求項11〜13のいずれか1項に記載されるような物質と組み合わせて含む、上記組成物。
【請求項16】
審美効果を高めるために、請求項9または10において定義される物質を、場合により請求項11〜13のいずれか1項に記載される物質と組み合わせて、皮膚に投与するステップを含む、美容ケアの方法。
【請求項17】
以下の配列のうちの1つを有するヌクレオチド配列:
GGGCTCTGAGAACGACTTTT(MC−1Rセンス−配列番号7)、
CCGGGCTCCTGTCTGGTTGG(MC−1Rアンチセンス−配列番号8)、
TCACGTCGCTGTTCCCGCTGAT(MC−2Rセンス−配列番号9)、
AAGAGAGACATGTAGCAGGCGCAGTA(MC−2Rアンチセンス−配列番号10)、
CTCAGCCAGGACTGGTTTCTGTAAGA(μオピオイド受容体センス−配列番号11)、
TCGGACAGGTTGCCATCTAAGTG(μオピオイド受容体アンチセンス−配列番号12)、
CGCCCAGTGAAGGTGTACCC(POMCセンス−配列番号13)、および
GGCGTCTGGCTCTTCTCGGAGGTC(POMCアンチセンス−配列番号14)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−529092(P2010−529092A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510828(P2010−510828)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/057129
【国際公開番号】WO2008/148891
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(500226948)ビーエーエスエフ ビューティ ケア ソリューションズ フランス エスエーエス (21)
【住所又は居所原語表記】32 rue Saint Jean−de−Dieu 69007 LYON, FRANCE
【Fターム(参考)】