説明

MMCシリンダーライナー及びその製造方法

【課題】ピストン摺動面に必要とされる機械的特性と、鋳込み時の融着性との両立を図ることのできるMMCシリンダーライナー、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】強化材成形体にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部11と、Al−Si系合金からなるライナー外周部12とを有するMMCシリンダーライナー10にあって、Al−Si系合金の鋳造に際して、金型のキャビティへの充填完了前の溶湯の供給速度を低く、充填完了後の溶湯の供給速度を高くすることで、ライナー内周部11の強化材成形体に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度と、ライナー外周部12のAl−Si系合金のSi濃度とを異ならせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強化材成形体にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナー、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、軽量化や放熱性の向上等の要求により、エンジン部品のアルミ合金化が進められている。ピストンヘッドやピストンリングといった高速で往復摺動する部品では、部品質量に比例する慣性力がその作動特性に重大な影響を与えることから、部品の軽量化による多大なメリットを生み出すために早くからアルミ合金化が図られていた。また近年には、シリンダヘッドやクランクシャフトなどのエンジン部品にもアルミ合金化による軽量化が進められている。
【0003】
こうした中、シリンダーライナーについては、その部品自体の大きさ、その機能及び作動から、他のエンジン部品よりも一層の高温寸法安定性、耐摩耗性、強度及び剛性が要求されており、アルミ合金化が困難とされていた。そこで従来、アルミ合金をベースとし、金属/セラミクスの繊維、粒子によって強化された、いわゆる金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composite)の採用によるシリンダーライナーの軽量化が進められている。
【0004】
従来、こうしたMMCシリンダライナーとしては、特許文献1〜4に記載のものが知られている。またMMCの製造方法としては、特許文献5の方法が知られている。なお特許文献1には、Si濃度が「9.6〜12.0%」の亜共晶組成のAl−Si系合金をベースとしたMMCシリンダーライナーが、特許文献3には、ADC12等の亜共晶Al−Si系合金をベースとしたMMCシリンダライナーがそれぞれ記載されている。
【0005】
また特許文献4には、図10に示される手順によるMMCシリンダーライナーの製造方法が記載されている。
1)まず強化材となる金属/セラミクス繊維を固めて、円管形をなす多孔質の強化材成形体50を形成し、図10(1)に示すように、その強化材成形体50を可動型51に設けられた略円筒形の中子52に外嵌する。
2)図10(2)に示すように、可動型51を固定型53に向けて移動させる。このときの強化材成形体50の外周には、略円管形状のキャビティ54が形成される。
3)図10(3)に示すように、固定型53に設けられた湯口55からキャビティ54にAl−Si系合金の溶湯を加圧供給し、強化材成形体50に溶湯を含浸させる。
4)凝固したAl−Si系合金を取り出すことで、金属基複合材料からなるライナー内周部56と、Al−Si系合金からなるライナー外周部57とを有する図10(4)に示すようなMMCシリンダーライナーが製造される。
【0006】
こうして製造されたMMCシリンダーライナーは、ブロック鋳造時の鋳込みにより、シリンダーブロック本体と冶金的に融着され、一体化されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−222638号公報
【特許文献2】特表2007−508147号公報
【特許文献3】特開2003−181620号公報
【特許文献4】特開平06−170515号公報
【特許文献5】特公平03−003539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
こうしたMMCシリンダーライナーには、鋳込み時のシリンダーブロック本体との融着性が必要とされる。特許文献1、3のように、MMCシリンダーライナーのベースとなるAl−Si系合金として、融点の低い亜共晶合金を採用すれば、シリンダーブロック本体との融着性を確保することはできる。しかしながら、その場合には、ピストン摺動面となるシリンダーライナー内周に必要とされる機械的特性を十分に確保することができず、耐久性の低下を招いたり、強化材の増量による補強を必要としたりしてしまう。
【0009】
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであって、その解決しようとする課題は、ピストン摺動面に必要とされる機械的特性と、鋳込み時の融着性との両立を図ることのできるMMCシリンダーライナー、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果を記載する。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、強化材成形体にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、前記Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナーであって、前記ライナー内周部の前記強化材成形体に含浸された前記Al−Si系合金のSi濃度と前記ライナー外周部の前記Al−Si系合金のSi濃度とが異ならされてなることをその要旨としている。
【0011】
こうした本発明のMMCシリンダーライナーでは、金属基複合材料を形成すべく強化材成形体に含浸されたライナー内周部のAl−Si系合金と、ライナー外周部のAl−Si系合金とで、合金中のSi濃度が異ならされるようになる。そのため、ライナー外周部は、融点が下り融着性の高まるようなSi濃度とし、ライナー内周部は、耐磨耗性などのピストン摺動面に要求される機械的特性を満足するようなSi濃度とするなど、ライナー内周部とライナー外周部とでAl−Si合金の冶金的、機械的特性を異ならせることが可能となる。そのため、ピストン摺動面に必要とされる摺動特性と、鋳込み時の融着性との両立を図ることができるようになる。
【0012】
なお、ライナー外周部の融着性を確保するには、請求項2に記載のように、ライナー外周部のAl−Si系合金のSi濃度を、該ライナー外周部のAl−Si系合金が融点の低い亜共晶組成となるように設定することが望ましい。より具体的の数値を挙げると、請求項3に記載のように、ライナー外周部のAl−Si系合金のSi濃度を「8〜12%」とすることが望ましい。
【0013】
この場合、請求項4に記載のように、ライナー内周部の強化材成形体に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度を「6〜10%」とすれば、硬いSi成分が少なくなり、ライナー内周面の相手攻撃性が低減されることから、ライナー内周部に摺動されるピストンリングやピストンスカートの摩耗を抑制することができるようになる。また請求項5に記載のように、ライナー内周部の強化材成形体に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度を「12〜16%」とすれば、合金中のSi成分により合金自体の強度が高まるため、使用する強化材を減量することができるようになる。
【0014】
なおこうしたMMCシリンダーライナーは、請求項6に記載のように、Al−Si系合金の鋳造に際して、金型のキャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を高くすることで製造することができる。より好ましくは、請求項7に記載のように、金型のキャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」から「0.5〜4m/s」へと高めるようにすると良い。
【0015】
ことを特徴とするMMCシリンダーライナーの製造方法。
また上記課題を解決するため、MMCシリンダーライナーの製造方法としての請求項8に記載の発明は、略円筒形状の中子に外嵌された略円管形状の強化材成形体を外嵌するとともに、その強化材成形体の外周に略円管形状のキャビティが形成されるように金型を形成し、その金型の軸方向の一端に設けられた湯口よりAl−Si系合金の溶湯を供給することで、前記強化材成形体に前記Al−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、前記Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナーを製造する方法であって、前記キャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を高くすることをその要旨としている。
【0016】
上記製造方法では、強化材成形体にAl−Si系合金を含浸して形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナーを製造するに際して、円管形状の強化材成形体を円筒形状の中子に外嵌するとともに、その強化材成形体の外周に円管形状のキャビティが形成されるように金型を形成した上で、金型の軸方向の一端に設けられた湯口よりAl−Si系合金の溶湯を供給するようにしている。そして、このときの溶湯の供給速度を、キャビティへの溶湯の充填の直前に高めるようにしている。
【0017】
溶湯の供給速度を遅くすると、溶湯は時間の経過とともに次第に凝固し始めるようになる。溶湯中のSi濃度は一律ではなく、局所的なばらつきがあるため、溶湯の凝固は融点の高いSi濃度の溶湯から進行する。そのため、溶湯の供給開始からある程度の時間が経過した時点で高い流動性が維持されているのは、融点の高いSi濃度の溶湯、具体的には、Si濃度が「8〜12%」の凝固後に亜共晶組成となる溶湯が多くなる。こうした時点から、溶湯の供給速度を高めると、流動性の維持された、融点の低いSi濃度の溶湯が金型内に供給されるようになる。そのため、上記の如く溶湯の供給速度を変化させれば、ライナー内周部の強化材成形体に含浸される溶湯のSi濃度とライナー外周部に供給される溶湯のSi濃度が異なるようになる。そしてライナー外周部は、融点の低い亜共晶組成となる。したがって、上記製造方法によれば、ライナー外周部の融点を低くして鋳込み時の融着性を確保した上で、ライナー内周部をライナー外周部とは異なったSi濃度として、ピストン摺動面となるライナー内周面に必要とされる機械的特性を確保することが可能となる。
【0018】
なおこのときの溶湯の供給速度(射出速度)は、請求項9に記載のように、金型のキャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」から「0.5〜4m/s」へと高めるようにすれば、ライナー外周部への低融点の合金層の形成を好適に行うことが可能となる。
【0019】
また請求項10に記載のように、金型に供給される溶湯のSi濃度を「6〜12%」とすれば、ライナー外周部に低融点の合金層を形成した上で、強化材成形体に含浸されるライナー内周部のAl−Si系合金のSi濃度を「6〜10%」とすることができるようになる。この場合、ライナー内周部では硬いSi成分が少なくなり、ライナー内周面の相手攻撃性が低減されることから、ライナー内周部に摺動されるピストンリングやピストンスカートの摩耗を抑制することができるようになる。一方、請求項11に記載のように、金型に供給される溶湯のSi濃度を「12〜16%」とすれば、強化材成形体に含浸されるライナー内周部のAl−Si系合金のSi濃度を「12〜16%」とすることができるようになる。この場合、合金中のSi成分により合金自体の強度が高まるため、使用する強化材を減量することができるようになる。
【0020】
なおこうしたMMCシリンダライナーの鋳造時に、湯口から離れた部分では、キャビティへの溶湯の充填中に温度が低下して溶湯の凝固が始まってしまうため、通常であれば、ライナー外周部の組成をシリンダーライナーの長手方向に亘って均一とすることができなくなってしまう。その点、請求項12に記載のように、ライナー外周部に当る金型のキャビティ部分の外径を、湯口側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に拡径するようにすれば、湯口から離れた部分の溶湯温度の低下を抑えることができ、ライナー外周部の組成をシリンダーライナーの長手方向に亘って均一とすることができるようになる。
【0021】
また請求項13に記載のように、強化材成形体の厚みを、湯口側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に厚くするようにしても、同様の効果を得ることができる。すなわち、溶湯の充填中に金型内に設置された強化材成形体は、断熱材として機能して溶湯の温度低下を抑える効果がある。そこで強化材成形体の厚みを厚くして断熱効果を高めることで、湯口から離れた部分の温度低下を抑えることができ、ライナー外周部の組成をシリンダーライナーの長手方向に亘って均一とすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態に係るMMCシリンダーライナーの側部断面構造を示す断面図。
【図2】同実施形態のMMCシリンダーライナーの図1のII−II線に沿った断面におけるSi濃度の分布を示すグラフ。
【図3】同実施形態のMMCシリンダーライナーの製造に供されるAl−Si系合金の2元状態図。
【図4】同実施形態のMMCシリンダーライナーの製造に係るダイカスト装置の側部断面構造を示す断面図。
【図5】同ダイカスト装置の図4のV−V線に沿った平面断面構造を示す断面図。
【図6】図4の点線円部分を拡大して示す断面図。
【図7A】同実施形態のMMCシリンダーライナーの製造方法について溶湯供給開始直後の段階における溶湯の供給態様を示す図。
【図7B】同実施形態のMMCシリンダーライナーの製造方法についてキャビティへの溶湯の充填完了の直前までの段階における溶湯の供給態様を示す図。
【図7C】同実施形態のMMCシリンダーライナーの製造方法についてキャビティへの溶湯の充填完了後の段階における溶湯の供給態様を示す図。
【図8】同実施形態のMMCシリンダーライナーのシリンダーブロックへの鋳込み態様を示す図。
【図9】本発明の第2実施形態に係るMMCシリンダーライナーについてその図1のII−II線に相当する断面におけるSi濃度の分布を示すグラフ。
【図10】(1)〜(4)従来のMMCシリンダーライナーの製造方法についてその製造手順の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1の実施の形態)
以下、本発明のMMCシリンダーライナー及びその製造方法を具体化した第1の実施の形態を、図1〜図8を参照して詳細に説明する。まず図1〜図3を参照して、本実施の形態のMMCシリンダーライナーの構造について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態のMMCシリンダーライナー10の側部断面構造を示している。このMMCシリンダーライナー10は、略円管形状に形成されており、金属/セラミクス繊維や金属/セラミクス粒子からなる強化材にAl−Si系合金を含浸させて形成された金属基複合材料(MMC)からなるライナー内周部11と、Al−Si系合金からなるライナー外周部12とからなっている。
【0025】
同図に示すように、ライナー外周部12の外径は、図中上方から下方に向うにつれ、徐々に小さくされている。すなわち、ライナー外周部12の図中上端の直径D1は、図中下端の直径D2よりも大きくされている。
【0026】
また同図に示すように、ライナー内周部11の厚みは、図中上方から下方に向うにつれ、徐々に薄くされている。すなわち、ライナー内周部11の図中上端の厚みT1は、図中上端の厚みT2よりも厚くされている。
【0027】
図2は、図1のII線に沿った断面におけるAl−Si系合金のSi濃度の分布を示している。同図に示すように、ライナー内周部11の強化材に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度は、「7%」程度であるのに対して、ライナー外周部12を構成するAl−Si系合金のSi濃度は、外周に向うにつれ高くなり、概ね「8〜10%」となっている。
【0028】
図3は、MMCシリンダーライナー10の材料であるAl−Si系合金の2元状態図を示している。同図に示すように、液相線により示されるAl−Si系合金の融点は、共晶点のSi濃度「11.7%」に達するまでは、Si濃度の増加に従って低下している。そしてSi濃度「11.7%」に達してからは、Al−Si系合金の融点(液相線)は、Si濃度の増加に従って上昇している。この2元状態図から明らかなように、Si濃度「8〜10%」の亜共晶組成となったライナー外周部12のAl−Si系合金の融点は、Si濃度「6%」程度のライナー内周部11に含浸されたAl−Si系合金よりも低くなっている。
【0029】
次に、こうしたMMCシリンダーライナー10の製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。
図4は、MMCシリンダーライナー10の鋳造に係るダイカスト装置の側部断面構造を、図5は、図4のV−V線に沿った同ダイカスト装置の平面断面構造をそれぞれ示している。これらの図に示されるように、ダイカスト装置は大きくは、4つの金型、すなわち固定型20、左右2つのサイド可動型21、22及び可動中子型23により構成されている。図5に示すように、サイド可動型21、22は、固定型20に対して図中上下方向に、可動中子型23は、固定型20に対して図中左右方向にそれぞれ進退可能とされている。
【0030】
可動中子型23には、先端に向って小径となる略円筒形状の中子24が固定型20に向って突出形成されている。この中子24には、予め形成された略円管形状の強化材成形体25が外嵌される。なお強化材成形体25は、強化材となる金属/セラミクス繊維や金属/セラミクス粒子を無機バインダーや高分子凝集剤により略円管形状に固めた後、焼結したものとなっている。本実施の形態では、強化材成形体25は、その長手方向の一端から他端に向うにつれ、厚みが増すように形成されており、中子24への外嵌時には、厚みの増す側の端部が中子24の先端側となるように配設される。
【0031】
また図4に示すように、中子24の基端部分には、溶湯を供給するための湯口29が形成されている。そして、この湯口29から金型内に、ピストン30によって溶湯が加圧供給されるようになっている。
【0032】
一方、2つのサイド可動型21、22の対向する面には、図4の点線円部分を拡大した図6に示されるように、MMCシリンダーライナー10の外周面に対応する半円筒形状の凹部26、27がそれぞれ形成されている。そして金型組付時には、これら凹部26、27の内周面と中子24に外嵌された強化材成形体25の外周面との間に略円管形状のキャビティ28が形成されるようになっている。このキャビティ28の外径は、中子24の基端側から先端側に向うにつれて徐々に拡径されており、湯口29から離れるに従って、キャビティ28の横断面積が増すようになっている。
【0033】
MMCシリンダーライナー10は、その母材となるAl−Si系合金の溶湯を湯口29から金型内に加圧供給することで鋳造される。本実施の形態では、溶湯として金型内に供給されるAl−Si系合金として、Si濃度が「6〜12%」のものを使用するようにしている。また本実施の形態では、溶湯供給の途中で、溶湯の供給速度(射出速度)を変化させるようにしている。より具体的には、溶湯がキャビティ28内に充填される直前までの期間は、溶湯の供給速度(射出速度)を「20〜40cm/s」としている。また充填完了の直前から後の期間の溶湯の供給速度(射出速度)を「0.5〜4m/s」とするようにしている。
【0034】
図7Aは、溶湯の供給開始直後の期間における溶湯の供給態様を示している。同図に示すように低い速度で供給された溶湯は、まずはキャビティ28内に充填されるようになる。このときには、溶湯の供給速度が低く、供給圧が低いため、溶湯は未だ強化材成形体25には殆ど含浸されない状態となっている。
【0035】
図7Bは、キャビティ28への溶湯の充填完了後における溶湯の供給態様を示している。この時点では、溶湯の供給速度が高められ、溶湯の圧力が高まるため、強化材成形体25への溶湯の含浸が開始される。なお、このときまでの溶湯の供給速度は低いため、時間の経過とともに、温度が下って溶湯が凝固し始めるようになる。もっとも、溶湯のSi濃度は一律ではなく、局所的にSi濃度の高い層や低い層が分布している。そして図3の2元状態図に示されるように、共晶点である「11.7%」付近のSi濃度では、Al−Si系合金の融点は低くなる。そのため、溶湯の温度が下ったこの時点でも、「8〜12%」のSi濃度の層31は、高い流動性を維持している。
【0036】
図7Cは、図7Bよりも更に時間が経過した時点における溶湯の供給態様を示している。上記のように、この時点では、「8〜12%」のSi濃度の溶湯だけが高い流動性を維持している。そこで、この期間に高速、高圧でキャビティ28内に溶湯を供給すれば、「8〜12%」のSi濃度の溶湯がキャビティ28内に供給されるようになる。このときには、強化材成形体25への溶湯の含浸は既に完了しているため、「8〜12%」のSi濃度の溶湯は、MMCシリンダーライナー10のライナー外周部12となるキャビティ28のみに充填される。そのため、ライナー内周部11とライナー外周部12とでSi濃度に差が生じ、図2に示したようなSi濃度分布を有するMMCシリンダーライナー10が製造されるようになる。
【0037】
なお、上述のように、本実施の形態では、湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、キャビティ28の外径が徐々に拡径する金型が形成されている。従来のMMCシリンダーライナーの製造にあっては、湯口29から離れた部分では、溶湯の温度が下り易く、溶湯の充填途中で凝固し始めることから、組成の不均等化の要因となっていた。その点、本実施の形態の製造方法では、キャビティ28の横断面積が広げられていることから、湯口29から離れた部分でも温度が下り難くなっており、キャビティ28内に成分の一様な溶湯を充填させた状態となってから、強化材成形体25に溶湯が含浸するようになる。そのため、ライナー外周部12の組成をMMCシリンダーライナー10の長手方向に亘って均一とすることができるようになっている。
【0038】
また本実施の形態では、湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、強化材成形体25の厚みを徐々に厚くするようにもしている。溶湯の充填中の金型内に設置された強化材成形体25は、断熱材として機能して溶湯の温度低下を抑える効果がある。そのため、強化材成形体の厚みを厚くして断熱効果を高めることで、湯口から離れた部分の温度低下を抑えることができ、これによっても、ライナー外周部12の組成をMMCシリンダーライナー10の長手方向に亘って均一とすることができるようになっている。
【0039】
こうして製造されたMMCシリンダーライナー10は、図8に示すように、シリンダーブロックの鋳造に際して鋳込まれて、融着によりシリンダーブロック本体32と一体化されるようになる。なお、このときのシリンダーブロック本体32と融着されるMMCシリンダーライナー10のライナー外周部12は、上記のようにSi濃度が「8〜10%」程度の亜共晶組成となっており、その融点は低くなっている。そのため、こうしたMMCシリンダーライナー10は、シリンダーブロック本体32に対して高い融着性を示すようになる。
【0040】
以上説明した本実施の形態のMMCシリンダーライナー及びその製造方法によれば、次の効果を奏することができる。
(1)本実施の形態のMMCシリンダーライナー10は、強化材成形体25にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部11と、Al−Si系合金からなるライナー外周部12とを有している。そしてこうしたMMCシリンダーライナー10にあって、ライナー内周部11の強化材成形体25に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度と、ライナー外周部12のAl−Si系合金のSi濃度とを異ならせるようにしている。より具体的には、ライナー外周部12のAl−Si系合金が融点の低い亜共晶組成となるように、ライナー外周部12のAl−Si系合金のSi濃度を「8〜12%」とし、ライナー内周部11の強化材成形体25に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度を「6〜10%」とするようにしている。こうしたMMCシリンダーライナー10では、そのライナー外周部12が融点の低い亜共晶組成となるため、シリンダーブロック本体32への鋳込みに際して高い融着性を確保することができる。またピストン摺動面となるライナー内周部11のSi濃度が「6〜10%」と低くされており、硬いSi成分が少なくことから、ライナー内周面の相手攻撃性が低減されて、ライナー内周部11に摺動されるピストンリングやピストンスカートの摩耗を抑制することができるようになる。したがって本実施の形態のMMCシリンダーライナー10によれば、ピストン摺動面に必要とされる機械的特性と、鋳込み時の融着性との両立を図ることができるようになる。
【0041】
(2)本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法では、略円筒形状の中子24に外嵌された略円管形状の強化材成形体25を外嵌するとともに、その強化材成形体25の外周に略円管形状のキャビティ28が形成されるように金型(20〜23)を形成し、その金型の軸方向の一端に設けられた湯口29よりAl−Si系合金の溶湯を供給することで、MMCシリンダーライナー10を製造するようにしている。こうして製造されたMMCシリンダーライナー10は、強化材成形体25にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部11と、Al−Si系合金からなるライナー外周部12とを有するものとなっている。そして本実施の形態の製造方法では、こうしたMMCシリンダーライナー10の製造に際して、キャビティ28への充填完了の直前までの溶湯の供給速度よりも、充填完了の直前から強化材成形体25への溶湯の含浸が完了するまでの溶湯供給速度を高くするようにしている。より具体的には、キャビティ28への充填完了の直前に溶湯の供給速度(射出速度)を「20〜40cm/s」から「0.5〜4m/s」へと高めるようにしている。溶湯の供給速度を遅くすると、溶湯は時間の経過とともに次第に凝固し始めるようになる。溶湯中のSi濃度は一律ではなく、局所的なばらつきがあるため、溶湯の凝固は融点の高いSi濃度の溶湯から進行する。そのため、溶湯の供給開始からある程度の時間が経過した時点で高い流動性が維持されているのは、融点の高いSi濃度の溶湯、具体的には、Si濃度が「8〜12%」の凝固後に亜共晶組成となる溶湯のみとなる。こうした時点から、溶湯の供給速度を高めると、流動性の維持された、融点の低いSi濃度の溶湯が金型内に供給されるようになる。そのため、上記の如く溶湯の供給速度を変化させれば、ライナー内周部11の強化材成形体25に含浸される溶湯のSi濃度とライナー外周部12に供給される溶湯のSi濃度が異なるようになる。そしてライナー外周部12は、融点の低い亜共晶組成となる。そのため、本実施の形態の製造方法によれば、ライナー外周部12の融点を低くして鋳込み時の融着性を確保した上で、ライナー内周部11をライナー外周部12とは異なったSi濃度として、ピストン摺動面となるライナー内周面に必要とされる機械的特性を確保することが可能となる。
【0042】
(3)本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法では、金型に供給される溶湯のSi濃度を「6〜10%」とするようにしている。そのため、ライナー外周部12に低融点の合金層を形成した上で、強化材成形体25に含浸されるライナー内周部11のAl−Si系合金のSi濃度を「6〜10%」とすることができるようになる。この場合、ライナー内周部11では硬いSi成分が少なくなり、ライナー内周面の相手攻撃性が低減されることから、ライナー内周部11に摺動されるピストンリングやピストンスカートの摩耗を抑制することができるようになる。
【0043】
(4)本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法では、ライナー外周部12に対応するキャビティ28の外径を、湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に拡径するようにしている。そのため、湯口29から離れた部分の溶湯温度の低下を抑えることができ、ライナー外周部12の組成をシリンダーライナーの長手方向に亘って均一とすることができるようになる。
【0044】
(5)本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法では、強化材成形体25の厚みを、湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に厚くするようにしている。溶湯の充填中に金型内に設置された強化材成形体25は、断熱材として機能して溶湯の温度低下を抑える効果がある。そこで強化材成形体25の厚みを厚くして断熱効果を高めることで、湯口29から離れた部分の温度低下を抑えることができ、ライナー外周部12の組成をシリンダーライナーの長手方向に亘って均一とすることができるようになる。
【0045】
(第2の実施の形態)
続いて、本発明のMMCシリンダーライナー及びその製造方法を具体化した第2の実施の形態を、図9を併せ参照して、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
本実施の形態のMMCシリンダーライナーの外形は、第1の実施の形態のものと同じとなっている。すなわち、本実施の形態のMMCシリンダーライナーも、第1の実施の形態のMMCシリンダーライナー10と同様に、強化材成形体にAl−Si系合金を含浸させて形成された金属基複合材料(MMC)からなるライナー内周部11と、Al−Si系合金からなるライナー外周部12とからなっている。そしてライナー外周部12の外径が、その長手方向の一端から他端に向うにつれて徐々に小さくされ、ライナー内周部11の厚みが、その長手方向の一端から他端に向うにつれて徐々に薄くされている点についても、第1の実施の形態のMMCシリンダーライナー10と共通している。ただし、本実施の形態のMMCシリンダーライナーは、その内部のSi濃度の分布が第1の実施の形態のものとは異なるものとなっている。
【0047】
図9に、こうした本実施の形態のMMCシリンダーライナーのSi濃度の分布を示す。なお同図に示されるSi濃度分布は、本実施の形態のMMCシリンダーライナーにあって、図1のII−II線に相当する断面におけるものとなっている。同図に示すように、ライナー内周部の強化材に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度が「14%」程度であるのに対して、ライナー外周部を構成するAl−Si系合金のSi濃度は、外周に向うにつれ低くなり、概ね「8〜12%」となっている。図3に示したAl−Si系合金の2元状態図から明らかなように、Si濃度「8〜12%」の亜共晶組成となったライナー外周部のAl−Si系合金の融点は、Si濃度「14%」程度のライナー内周部に含浸されたAl−Si系合金よりも低くなっている。
【0048】
こうした本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法も、基本的には第1の実施の形態と同様となっている。ただし、本実施の形態の製造方法では、溶湯として金型内に供給されるAl−Si系合金として、Si濃度が「12〜16%」のものを使用する点において第1の実施の形態とは相違している。
【0049】
こうした本実施の形態の製造方法においても、溶湯の供給開始から溶湯がキャビティ内に充填される直前までの期間は、溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」とし、充填完了の直前から強化材成形体25への溶湯の含浸が完了するまでの溶湯の供給速度は「0.5〜4m/s」とするようにしている。こうした場合にも、溶湯の供給開始からある程度の時間が経過すると、溶湯は凝固し始めるが、融点の低い「8〜12%」のSi濃度の溶湯の層は、その時点にも高い流動性を維持している。したがって、キャビティでの溶湯の充填完了後に速度を早めて溶湯を供給することで、「8〜12%」のSi濃度の溶湯をキャビティ内に圧送し、亜共晶組成となったライナー外周部を形成することができる。一方、この場合には、強化材成形体に含浸される溶湯のSi濃度は、「12〜16%」となり、図9に示したSi濃度分布を有したMMCシリンダーライナーを製造することができる。
【0050】
こうした本実施の形態のMMCシリンダーライナー及びその製造方法によれば、上記(2)、(4)及び(5)に記載の効果に加え、更に次の効果を奏することができる。
(6)本実施の形態のMMCシリンダーライナーでは、ライナー外周部のAl−Si系合金が融点の低い亜共晶組成となるように、ライナー外周部のAl−Si系合金のSi濃度を「8〜12%」とし、ライナー内周部の強化材成形体に含浸されたAl−Si系合金のSi濃度を「12〜16%」とするようにしている。こうしたMMCシリンダーライナーでは、そのライナー外周部が融点の低い亜共晶組成となるため、シリンダーブロック本体への鋳込みに際して高い融着性を確保することができる。またピストン摺動面となるライナー内周部のSi濃度が「12〜16%」と高くされており、合金中のSi成分により合金自体の強度が高まるため、使用する強化材を減量することができるようになる。
【0051】
(7)本実施の形態のMMCシリンダーライナーの製造方法では、金型に供給される溶湯のSi濃度を「12〜16%」とするようにしている。そのため、ライナー外周部に低融点の合金層を形成した上で、強化材成形体に含浸されるライナー内周部のAl−Si系合金のSi濃度を「12〜16%」とすることができるようになる。この場合、合金中のSi成分により合金自体の強度が高まるため、使用する強化材を減量することができるようになる。
【0052】
なお、以上の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれてキャビティ28の外径を徐々に拡径すること、及び湯口29の設けられた側の端部からその反対側の端部に向うにつれて強化材成形体25の厚みを徐々に厚くすることにより、湯口29から離れた部位での溶湯の冷却を抑え、組成の均一化を図るようにしていた。もっとも、金型の加熱などにより、湯口29から離れた部位での溶湯の冷却が問題とならないような場合には、キャビティ28や強化材成形体25の形状は、上記のものに限らず、任意の形状を採用することができる。
【0053】
・上記実施の形態では、キャビティ28に対する溶湯の充填完了直前までの溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」とし、充填完了の直前から強化材成形体25への溶湯の含浸が完了するまでの溶湯の供給速度を「0.5〜4m/s」としていた。なおキャビティ28に対する溶湯の充填完了前の溶湯の供給速度は、充填完了直前までに溶湯中のSi濃度が「8〜12%」の層のみが高い流動性を維持した状態となるまで溶湯が冷却される程度に充填完了までの時間を遅らせるように設定すれば良い。また充填完了の直前から強化材成形体25への溶湯の含浸完了までの溶湯の供給速度は、Si濃度が「8〜12%」の溶湯の層をキャビティ28内に圧送可能な程度に設定すれば良い。
【0054】
・上記実施の形態では、固定型20、サイド可動型21、22及び可動中子型23の4つ金型を備えるダイカスト装置を用いてMMCシリンダーライナー10の鋳造を行うようにしていた。ダイカスト装置の金型の分割構成は、これに限らず、適宜に変更しても良い。
【符号の説明】
【0055】
10…MMCシリンダーライナー、11…ライナー内周部、12…ライナー外周部、20…固定型(金型)、21、22…サイド可動型(金型)、23…可動中子型、24…中子、25…強化材成形体、26、27…凹部、28…キャビティ、29…湯口、30…ピストン、31…Si濃度が「8〜12%」の溶湯の層、32…シリンダーブロック本体、50…強化材成形体、51…可動型、52…中子、53…固定型、54…キャビティ、55…ライナー内周部、56…ライナー外周部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化材成形体にAl−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、前記Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナーであって、
前記ライナー内周部の前記強化材成形体に含浸された前記Al−Si系合金のSi濃度と前記ライナー外周部の前記Al−Si系合金のSi濃度とが異ならされてなる
ことを特徴とするMMCシリンダーライナー。
【請求項2】
前記ライナー外周部の前記Al−Si系合金のSi濃度は、該ライナー外周部のAl−Si系合金が亜共晶組成となるように設定されてなる
請求項1に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項3】
前記ライナー外周部の前記Al−Si系合金のSi濃度を「8〜12%」とした
請求項1に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項4】
前記ライナー内周部の前記強化材成形体に含浸された前記Al−Si系合金のSi濃度を「6〜10%」とした
請求項2又は3に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項5】
前記ライナー内周部の前記強化材成形体に含浸された前記Al−Si系合金のSi濃度を「12〜16%」とした
請求項2又は3に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項6】
当該MMCシリンダーライナーは、前記Al−Si系合金の鋳造に際して、金型のキャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を高くして製造されてなる
請求項1〜5のいずれか1項に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項7】
高める前の溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」とし、高めた後の溶湯の供給速度を「0.5〜4m/s」とした
請求項6に記載のMMCシリンダーライナー。
【請求項8】
略円筒形状の中子に外嵌された略円管形状の強化材成形体を外嵌するとともに、その強化材成形体の外周に略円管形状のキャビティが形成されるように金型を形成し、その金型の軸方向の一端に設けられた湯口よりAl−Si系合金の溶湯を供給することで、前記強化材成形体に前記Al−Si系合金を含浸させることで形成された金属基複合材料からなるライナー内周部と、前記Al−Si系合金からなるライナー外周部とを有するMMCシリンダーライナーを製造する方法であって、
前記キャビティへの充填完了の直前に溶湯の供給速度を高くする
ことを特徴とするMMCシリンダーライナーの製造方法。
【請求項9】
高める前の溶湯の供給速度を「20〜40cm/s」とし、高めた後の溶湯の供給速度を「0.5〜4m/s」とした
請求項8に記載のMMCシリンダーライナーの製造方法。
【請求項10】
前記溶湯のSi濃度を「6〜12%」とした
請求項8又は9に記載のMMCシリンダーライナーの製造方法。
【請求項11】
前記溶湯のSi濃度を「12〜16%」とした
請求項8又は9に記載のMMCシリンダーライナーの製造方法。
【請求項12】
前記キャビティの外径を、前記湯口側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に拡径するようにした
請求項8〜11のいずれか1項に記載のMMCシリンダーライナーの製造方法。
【請求項13】
前記強化材成形体の厚みを、前記湯口側の端部からその反対側の端部に向うにつれ、徐々に厚くするようにした
請求項8〜12のいずれか1項に記載のMMCシリンダーライナーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−236636(P2010−236636A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85863(P2009−85863)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(391006430)中央精機株式会社 (128)
【Fターム(参考)】