説明

OLED基材上にパターン形成コーティングを形成するための装置および方法

蒸着源、処理ドラム、駆動ローラー、およびシャドウマスクを備える、連続ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施すための装置が形成され、シャドウマスクは、基材上へのコーティングの蒸着を選択的に妨げるマスクライン特徴体を備える。コーティングを施すための方法も提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、OLED基材上にパターン形成コーティングを形成するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDデバイスでは、陰極および陽極からそれぞれ注入される電子と正孔が発光層内で結合して、放射的に発光(radiatively producing light)するか、または非放射的に発熱(non-radiatively producing heat)して崩壊しうる一重項および三重項エキシトンを発生する。大半の有機分子について、三重項状態からの発光は、非放射崩壊モードとあまり競合しないスピン禁止プロセスであるため、三重項エキシトンの発光性はあまり高くない。遷移金属錯体は、スピン軌道結合のせいで、非放射経路と競合する効率で放射崩壊しうる。これらの錯体がOLEDデバイス内に組み込まれた場合、デバイス内に発生した一重項エキシトンおよび三重項エキシトンの両方が光を放出することができるので量子効率ほぼ100%の内部量子効率を達成することが可能である。
【0003】
ロールツーロール(R2R)法で有機発光ダイオード(OLED)デバイスを軟質プラスチックフィルム上に製造する場合、OLED層と総称することができる、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、および電子輸送層(ETL)などの有機層を、スロットダイまたはグラビアコーティングなどの印刷方法によって連続的コーティングし、低コストで生産性が高いソルベントアシストワイプ法(solvent assist wipe method)(米国特許出願第20050129977A1号)によって連続的にパターン形成する。しかし、無機電子注入層(EIL)および金属陰極(パターン形成されたアルミニウム)層は、ストップアンドゴー型バッチプロセスで真空中のシャドウマスクを通じての蒸着によってしか堆積できない。
【0004】
バッチシャドウマスク蒸発プロセス(batch shadow mask evaporation process)は、OLED層を持つ基材(OLED基材)が最初に適所に移動して、移動するのを停止するストップアンドゴー型プロセスであり、平坦な金属シャドウマスクがOLED基材の表面に押し当てられる。この後に、シャドウマスクを通してEIL材料(NaF、KFなど)および金属(アルミニウム、カルシウム、バリウムなど)を基材上に蒸着させる。このストップアンドゴー型の動作は、プロセスの処理能力低下の一因となっており、OLEDラインの速度を制限する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3044438号明細書
【発明の概要】
【0006】
本発明は、連続的に移動するOLED基材上に選択的マスキングを使用して蒸気ベースの蒸着システム内に所定のコーティングレーンを直接形成することを目的としている。
【0007】
一態様において、本発明は、OLED基材上にコーティングを蒸着することができる蒸着源と、蒸着源によるコーティングのためにOLED基材を位置決めすることができる処理ドラムと、繰り出しロールから巻き取りロールにOLED基材を移送し、処理ドラム上のOLED基材の張りを制御することができる駆動ローラーと、シャドウマスクの湾曲が処理ドラムの湾曲と一致している処理ドラムに近接近しているシャドウマスクとを備えるロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセス(roll-to-roll vapor based deposition process)においてパターン形成コーティングをOLED基材に施すための装置に関するものである。シャドウマスクは、コーティング帯(coating bands)の間にレーンを形成するOLED基材上のコーティングの蒸着を選択的に妨げる、OLED基材の移動方向に平行な1つまたは複数のマスクライン特徴体(mask line features)とライン特徴体(line features)を機械的に支持する、OLED基材の移動方向に垂直な1つまたは複数の梁特徴体(beam features)とを備える。
【0008】
他の態様では、本発明は、ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施す方法に関係する。このプロセスは、OLED基材を備えることと、繰り出しロールから巻き取りロールへのOLED基材の連続的移動を可能にする駆動ローラーを備えることと、処理ドラムおよび繰り出しロールと巻き取りロールとの間に位置決めされたシャドウマスクを備えることと、シャドウマスクの下に位置決めされた蒸着源を備えることと、OLED基材が処理ドラムの周りに巻き付けられ、シャドウマスクと近接近するようにOLED基材を繰り出しロールおよび巻き取りロール上に位置決めすることと、駆動ローラーを使用して繰り出しロールから巻き取りロールへOLED基材を移送することと、コーティングを蒸着源からOLED基材上に蒸着することとを伴う。シャドウマスクは、処理ドラムの湾曲に近接近し、その湾曲と一致し、コーティング帯の間にレーンを形成するためのOLED基材上のコーティングの蒸着を選択的に妨げる、駆動ローラーの移動方向に平行な1つまたは複数のマスクライン特徴体とライン特徴体を機械的に支持する、OLED基材の移動方向に垂直な1つまたは複数の梁特徴体とを備える。
【0009】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、図面全体を通して類似の文字は類似の部分を表す付属の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読むと、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】パターン形成コーティングをOLED基材に施すための代表的な装置を示す図である。
【図2】ライン特徴体と梁特徴体とを示す代表的なシャドウマスクの図である。
【図3】処理ドラムに関するシャドウマスクの位置決めを示す図である。
【図4A】面積の広いOLED発光デバイスと陰極コーティング帯のアライメントとを示す図である。
【図4B】それぞれの層におけるコーティングされていない領域間のオフセット距離を有する重層OLED構造を示す図である。
【図5】陥凹領域を有する代表的な処理ドラムを示す図である。
【図6】単一の蒸着源を有する2ドラムシステムの複数の図である。
【図7】パターン形成コーティングをOLED基材に施す方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光電子デバイスは、最も単純な場合において、陽極層および対応する陰極層を備え、発光層が陽極と陰極との間に配設されている。電極間に電圧バイアスがかけられると、陰極によって電子が電界発光層内に注入され、陽極によって電子が電界発光層から取り除かれる(か、または「正孔」が電界発光層内に「注入」される)。有機発光デバイス(OLED)では、発光は、電界発光層内で正孔が電子と結合して一重項または三重項エキシトンを形成すると生じ、発光は一重項および/または三重項エキシトンが放射減衰を介して減衰し基底状態になるときに生じる。光起電力(PV)デバイスでは、光が吸収される結果として、電流が流れる。
【0012】
陽極、陰極、および発光材料に加えて光電子デバイス内に存在しうる、他の構成要素として、正孔注入層、電子注入層、および電子輸送層が挙げられる。電子輸送層は、陰極と直接接触する必要はなく、電子輸送層は、しばしば、正孔が陰極に向かって移動するのを妨げる正孔阻止層としても働く。有機発光デバイス内に存在しうる、追加の構成要素としては、正孔輸送層、正孔輸送発光(放射)層、および電子輸送発光(放射)層が挙げられる。
【0013】
有機電界発光層、つまり、発光層は、動作すると電子と正孔の両方の著しい濃度の集合を含み、エキシトン形成と発光のための部位を備える有機発光デバイス内の1つの層である。正孔注入層は、陽極からOLEDの内側の層内への正孔の注入を促進する陽極と接触している層であり、電子注入層は、陰極からOLED内への電子の注入を促進する陰極と接触している層であり、電子輸送層は、陰極および/または電子注入層から電荷再結合部位への電子の伝導を円滑にする層である。電子輸送層を備える有機発光デバイスの動作中に、電子輸送層中に存在する電荷キャリア(つまり、正孔と電子)の大半は電子であり、発光は、発光層中に存在する正孔と電子との再結合を通じて生じる。正孔輸送層は、OLEDが動作しているときに、陽極および/または正孔注入層から電荷再結合部位への正孔の伝導を円滑にし、陽極と直接接触している必要がない層である。正孔輸送発光層は、OLEDが動作しているときに、電荷再結合部位への正孔の伝導を円滑にし、電荷キャリアの大半が正孔であり、発光が残留電子との再結合を通じてだけでなく、デバイス内の別の場所の電荷再結合ゾーンからのエネルギーの伝達を通じても生じる、層である。電子輸送発光層は、OLEDが動作しているときに、電荷再結合部位への電子の伝導を円滑にし、電荷キャリアの大半が電子であり、発光が残留正孔との再結合を通じてだけでなく、デバイス内の別の場所の電荷再結合ゾーンからのエネルギーの伝達を通じても生じる、層である。
【0014】
陰極は、一般的に導電性である層からなるものとしてよい。一般的な導電体としては、限定はしないが、負電荷キャリア(電子)をOLEDの内部層(複数可)内に注入することができる金属が挙げられる。ITOなどの金属酸化物も、使用することができる。陰極として使用するのに好適な金属としては、K、Li、Na、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、Al、Ag、Au、In、Sn、Zn、Zr、Sc、Y、ランタニド系列の元素、これらの合金、およびこれらの混合物が挙げられる。陰極層として使用するのに適している合金材料としては、Ag−Mg、Al−Li、In−Mg、Al−Ca、およびAl−Auの合金が挙げられる。アルミニウムまたは銀などの金属の比較的厚い層で覆われた、カルシウムなどの金属、またはLiFなどの金属フッ化物の薄層などの重層非合金構造も、陰極内で使用することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、OLED基材は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)(PProDOT)、ポリスチレンスルホネート(PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、これらの組み合わせ、および同様のもののうちの1つからなる連続ポリマーシートとすることができる。
【0016】
一実施形態では、連続ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施すための方法を提供する。この装置は、その概要が図1に示されており、またこの装置は、繰り出しロール(40)から巻き取りロール(50)へのOLED基材(30)の連続的移動を可能にするために使用されうる少なくとも1つの駆動ローラー(20)からなる。繰り出しロールと巻き取りロールとの間に、処理ドラム(60)が位置決めされており、OLED基材が処理ドラムの周辺部と接触している。処理ドラムは、コーティングプロセスにおいて回転するように構成される。駆動ローラーは、動作中に、移動する基材に一定量の張りを与えて処理ドラムとの均一な接触を保ち、シャドウマスク(70)との接触を防ぐために使用することができる。処理ドラムは、基材の温度を制御するための温度調整器(図示せず)を備えることもできる。
【0017】
シャドウマスク(70)は、処理ドラムの湾曲に近接近し、その湾曲と一致する。シャドウマスクは、OLED基材の移動方向に平行に位置決めされたマスクライン特徴体からなる。マスクライン特徴体は、OLED基材上のコーティングの蒸着を選択的に阻害して、コーティング帯の間にレーンを形成する。
【0018】
図2に示されているように、マスクライン特徴体(80)は、蒸着媒質で「ライン」特徴体と基材との間の領域をコーティングするのを阻止し、一般にコーティング帯の間の「ストリート」と称される非コーティング領域を形成する。マスクライン特徴体の幅によって、コーティング帯の間のストリートの幅が決まる。一実施形態では、マスクライン特徴体は、基材を横断する移動方向内のその位置を調整することができ、これにより、コーティング帯の幅を自由自在に変更することができる。シャドウマスクは、OLED基材の移動方向に垂直に位置決めされている、1つまたは複数の梁特徴体(90)からもなり、ライン特徴体を機械的に支持し、マスクライン特徴体を熱または機械的応力に関係する変形から守ることができる。梁特徴体は、能動的温度調整器からなるものとしてもよい。いくつかの実施形態では、温度調整器は、中空の金属チューブから形成される梁特徴体の中心に置かれた流れ冷却剤からなるものとしてよい。
【0019】
シャドウマスクは、蒸着プロセス実行時にOLED基材が通過する均一な間隙を形成するために処理ドラムに近接近している。蒸着プロセスにおいて、シャドウマスクと基材との間の距離は、シャドウ効果を妨げられるように十分に小さい距離であるべきである。シャドウ効果は、マスクライン特徴体と基材との間の領域内に蒸着媒質が拡散し、コーティングされるべきでない「ストリート」領域をコーティングする状況として定義されるものである。同様に、シャドウマスクと基材との間の間隙は、シャドウマスクが基材に物理的にひっかき傷を作らないように十分に広くなければならない。いくつかの実施形態では、シャドウマスクと処理ドラムとの間の間隙の幅は、1ミクロンから2000ミクロンまで、好ましくは1ミクロンから200ミクロンまでの範囲である。
【0020】
シャドウマスクは、マスクが高温下で変形するのを防ぐためにINVAR(登録商標)(ArcelorMittal)などの低熱膨張合金からなるものとしてよい。いくつかの実施形態では、図3に示されているように、シャドウマスクは、機械的に支持し、中央の処理ドラムの心棒に、または蒸着チャンバーに取り付けられるようにいずれかの面または両面に位置決めされた中空でない金属板(110)も有することができる。
【0021】
図1を再び参照すると、シャドウマスクの下に蒸着源(100)が位置決めされていることがわかる。蒸着源は、熱蒸発源または電子ビーム蒸発源などの蒸発源、イオンビーム支援蒸発源、プラズマ支援蒸発源、DCスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、ACスパッタリング、パルスDCスパッタリング、およびRFスパッタリングなどのスパッタリング源とすることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、基材(155)上にすでに形成されているコーティング帯と特徴体との間でアライメントが行われている必要がある場合がある。例えば、図4aに示されているように、面積の広いOLED発光デバイス(150)の場合、陰極コーティング帯(180)を下にあるすでに形成され、パターン形成された有機薄膜(160)および透明導電体(170)に合わせるアライメントを必要とする隣接するピクセル間のモノリシック直列接続(図4aの経路矢印で示されているように)を形成することが望ましい場合がある。透明導電体(170)および陰極コーティング(180)内の「ストリート」領域は、隣接するピクセルを分離するために使用される。有機薄膜(160)内の「ストリート」領域は、陰極コーティング(180)を透明導電体(170)に電気的に接触させてモノリシック直列接続を形成するために使用されている。発光領域(ピクセル)は、陰極コーティング(180)が透明導電体(170)と重なる領域によって画成される。
【0023】
図4bに示されているように、OLED発光デバイス内の発光領域を最大化するために、「ストリート」幅を最小にし、陰極コーティング(180)、有機薄膜(160)、および透明導電体(170)内の「ストリート」間のオフセット距離を最小にすることが望ましい場合がある。それぞれの層の中の「ストリート」幅およびオフセット距離を縮小するには、それぞれの層の中の「ストリート」の位置の制御を正確に行う必要がある。そのため、陰極蒸着時にウェブを横断して移動する方向に基材の位置を正確に決める必要がある。
【0024】
いくつかの実施形態では、基材のウェブ横断移動位置を制御することは、図5に示されているように陥凹領域を備える処理ドラムを使用することによって達成されうる。処理ドラム(60)の陥凹領域は、基材(30)の幅と同じ幅(140)を有する。代替的実施形態では、基材のウェブ横断位置は、Micro 1000ウェブ誘導制御システム(accuWeb Inc.社)などのウェブ操縦ユニットを使用することによって制御することができる。操縦システムは、処理ドラム上の基材の位置を能動的に監視し、その位置を調整することによって動作しうる。
【0025】
蒸着速度を変えてコーティングを形成することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、OLED基材にもたらされる損傷を回避するために、最初に、数オングストローム/分のオーダーの遅い蒸着速度を使用して金属の薄層をOLED基材上に蒸着することができる。連続的な薄い(100オングストローム程度)金属膜が形成された場合、これは有機薄膜を保護する機能を持つものであり、蒸着速度をより速い速度(毎秒数ナノメートル)に高めて生産性を向上させることができる。
【0026】
図6に示されているように、単一の蒸着源を有する2ドラムシステムを使用すると、コーティング蒸着速度を変えることができる。蒸着速度は基材と蒸着源との間の距離の二乗関数として減少するので、第1のドラム(60a)は、第2のドラム(60b)に比べて低い蒸着速度によるコーティングを受ける。
【0027】
さらに別の実施形態では、シャッターデバイスを蒸着源に付加して、基材上への蒸着を一時的に停止し、基材移動方向のコーティングの中断を形成することができる。
【0028】
他の実施形態では、図7に示されているように、本発明は、ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施す方法を提供する。この方法は、OLED基材を備えるステップと、繰り出しロールから巻き取りロールへのOLED基材の連続的移動を可能にする駆動ローラーを備えるステップと、繰り出しロールと巻き取りロールとの間に位置決めされた処理ドラムおよびシャドウマスクを備え、シャドウマスクは処理ドラムに近接近し、処理ドラムの湾曲と一致する、ステップとを含む。処理ドラムに対するシャドウマスクの位置は、蒸着プロセス実行時にOLED基材が通過する均一な間隙が処理ドラムとシャドウマスクとの間に形成されるような位置である。いくつかの実施形態では、この間隙の幅は、約1ミクロンから約2000ミクロンまで、好ましくは1ミクロンから200ミクロンである。
【0029】
シャドウマスクは、Invar(登録商標)などの低熱膨張合金から製作され、駆動ローラーの移動方向に平行な1つまたは複数のマスクライン特徴体を備える。マスクライン特徴体は、OLED基材上のコーティングの蒸着を選択的に阻害して、コーティング帯の間にレーンを形成し、1つまたは複数の梁特徴体は、OLED基材の移動方向に垂直であり、梁特徴体はライン特徴体を機械的に支持する。
【0030】
図7を再び参照すると、このプロセスは、シャドウマスクを通じてのコーティングをOLED基材に蒸着するように位置決めされた蒸着源を備えることと、OLED基材が処理ドラムの周りに巻き付けられ、シャドウマスクと近接近するようにOLED基材を繰り出しロールおよび巻き取りロール上に位置決めすることと、駆動ローラーを使用して繰り出しロールから巻き取りロールへOLED基材を移送することと、コーティングを蒸着源からOLED基材上に蒸着することとをさらに含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、蒸着源は、熱蒸発源、電子ビーム蒸発源、イオンビーム支援蒸発源、プラズマ支援蒸発源、DCスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、ACスパッタリング、パルスDCスパッタリング、およびRFスパッタリングからなる群から選択することができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、この方法は、処理ドラム上のOLED基材のアライメントを行い、OLED基材がコーティングプロセスにおいて処理ドラム上の陥凹領域内に位置決めされる、アライメントステップも含むことができる。代替的実施形態では、アライメントステップは、誘導制御システムモニターを使用することも伴い、処理ドラム上のOLED基材の位置を調整する。
【0033】
いくつかの実施態様では、この方法は、第2の処理ドラムおよびシャドウマスクを備え、前記第2の処理ドラムおよびシャドウマスクが第1の処理ドラムおよびシャドウマスクと比較して蒸着源から等しくない距離のところに位置決めされ、第1および第2のコーティング層が異なる蒸着速度でOLED基材に施されるようにすることによって第2のコーティング層をOLED基材に施すことをさらに含むことができる。
【0034】
他の実施形態では、コーティングは、蒸着源に取り付けられているシャッターデバイスを開閉することによってOLED基材に対していくつかの間隔をあけつつ施すことができる。
【0035】
本明細書では、本発明のいくつかの特徴のみが例示され、説明されているが、当業者であれば、多くの修正形態および変更形態を思い付くであろう。したがって、付属の請求項は、本発明の真の精神の範囲内に収まるようなすべての修正形態および/または変更形態を対象とすることが意図されていると理解されるであろう。
【符号の説明】
【0036】
20 駆動ローラー
30 OLED基材
40 繰り出しロール
50 巻き取りロール
60 処理ドラム
60a 第1のドラム
60b 第2のドラム
70 シャドウマスク
80 マスクライン特徴体
90 梁特徴体
100 蒸着源
110 中空でない金属板
150 面積の広いOLED発光デバイス
155 基材
160 有機薄膜
170 透明導電体
180 陰極コーティング帯
140 幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施すための装置であって、
蒸着源によるコーティングのためにOLED基材を位置決めすることができる処理ドラムと、
繰り出しロールから巻き取りロールに前記OLED基材を移送し、前記処理ドラム上の前記OLED基材の張りを制御することができる駆動ローラーと、
シャドウマスクとを備え、前記シャドウマスクの湾曲は、前記処理ドラムの湾曲に一致し、前記シャドウマスクは、前記処理ドラムに近接近する位置に置かれて間隙を形成し、前記隙間を通って前記OLED基材が前記シャドウマスクと物理的接触をすることなく前記繰り出しロールから前記巻き取りロールに移動するように適合され、前記シャドウマスクは、
前記OLED基材の前記移動方向に平行である、前記OLED基材の1つまたは複数の領域上への前記コーティングの蒸着を選択的に妨げる1つまたは複数のマスクライン特徴体と、
前記OLED基材の前記移動方向に垂直であり、前記ライン特徴体を機械的に支持する1つまたは複数の梁特徴体とを備える装置。
【請求項2】
前記蒸着源は、熱蒸発源、電子ビーム蒸発源、イオンビーム支援蒸発源、プラズマ支援蒸発源、DCスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、ACスパッタリング、パルスDCスパッタリング、およびRFスパッタリングからなる群から選択される請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記シャドウマスクは、前記シャドウマスクを前記処理ドラムの心棒に取り付けるための1つまたは複数の支持構造物をさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記マスクライン特徴体は、湾曲した金属帯からなり、前記金属帯の前記湾曲は、前記処理ドラムの前記湾曲と一致し、前記金属帯の厚さは、未コーティングパターンを形成する前記OLED基材上の前記領域の前記幅によって決定される請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記1つまたは複数の梁特徴体は、前記シャドウマスクの温度を調整するための冷却チャネルを有する中空金属管からなる請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記処理ドラム上の前記OLED基材のアライメントを行うためのアライメントデバイスをさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記アライメントデバイスは、処理ドラム上に陥凹領域を備え、前記OLED基材は、前記コーティングプロセスにおいて前記陥凹領域内に位置決めされる請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記アライメントデバイスは、誘導制御システムを備え、前記誘導制御システムは、前記処理ドラム上の前記OLED基材の前記位置を監視し、調整する請求項6記載の装置。
【請求項9】
前記処理ドラムと前記シャドウマスクとの間の前記距離は、約1ミクロンから約2000ミクロンである請求項1記載の装置。
【請求項10】
前記シャドウマスクは、低熱膨張合金からなる請求項1記載の装置。
【請求項11】
前記低熱膨張合金は、INVAR(登録商標)である請求項10記載の装置。
【請求項12】
第2の処理ドラムをさらに備え、第1の処理ドラムおよび前記第2の処理ドラムは、2つのコーティング層を前記OLED基材に施すことができるように前記蒸着源から等しくない距離のところに位置決めされ、前記コーティング層は異なる蒸着速度で施される請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記蒸着源は、前記OLED基材上への前記コーティングの蒸着を中間において妨げるためのシャッターデバイスをさらに備える請求項1記載の装置。
【請求項14】
ロールツーロール蒸気ベース蒸着プロセスにおいてパターン形成コーティングをOLED基材に施す方法であって、
OLED基材を備えることと、
繰り出しロールから巻き取りロールへの前記OLED基材の連続的移動を可能にする駆動ローラーを備えることと、
前記繰り出しロールと前記巻き取りロールとの間に位置決めされた、処理ドラムとシャドウマスクを備え、前記シャドウマスクは前記処理ドラムに近接近し、前記処理ドラムの前記湾曲に一致し、前記シャドウマスクは、
前記OLED基材の前記移動方向に平行である、前記OLED基材の1つまたは複数の領域上への前記コーティングの蒸着を選択的に妨げる1つまたは複数のマスクライン特徴体と、
前記OLED基材の前記移動方向に垂直であり、前記マスクライン特徴体を機械的に支持する1つまたは複数の梁特徴体とを備えることと、
前記OLED基材が前記処理ドラムの周りに巻き付けられ、前記シャドウマスクと近接近するように前記OLED基材を前記繰り出しロールおよび巻き取りロール上に位置決めすることと、
前記駆動ローラーを使用して前記繰り出しロールから前記巻き取りロールへ前記OLED基材を移送することと、
コーティングを蒸着源から前記シャドウマスクを通じて前記OLED基材上に蒸着することとを含む方法。
【請求項15】
前記蒸着源は、熱蒸発源、電子ビーム蒸発源、イオンビーム支援蒸発源、プラズマ支援蒸発源、DCスパッタリング、DCマグネトロンスパッタリング、ACスパッタリング、パルスDCスパッタリング、およびRFスパッタリングからなる群から選択される請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記処理ドラムと前記シャドウマスクとの間の前記距離は、約1ミクロンから約2000ミクロンである請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記シャドウマスクは、低熱膨張合金からなる請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記低熱膨張合金は、INVAR(登録商標)である請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記処理ドラム上の前記OLED基材のアライメントを行うためのアライメントステップをさらに含み、前記OLED基材は、前記コーティングプロセスにおいて前記処理ドラム上の陥凹領域内に位置決めされる請求項14記載の方法。
【請求項20】
前記処理ドラム上の前記OLED基材のアライメントを行うためのアライメントステップをさらに含み、誘導制御システムが、前記処理ドラム上の前記OLED基材の前記位置を監視し、調整する請求項14記載の方法。
【請求項21】
第2の処理ドラムおよびシャドウマスクを備えることによって第2のコーティング層を前記OLED基材に施すことをさらに含み、前記第2の処理ドラムおよびシャドウマスクは、前記第1の処理ドラムおよびシャドウマスクに比べて蒸着源から等しくない距離のところに位置決めされる請求項14記載の方法。
【請求項22】
前記コーティングは、前記蒸着源に取り付けられているシャッターデバイスを開閉することによって中間において前記OLED基材に施される請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−504693(P2013−504693A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528803(P2012−528803)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/045246
【国際公開番号】WO2011/031407
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】