説明

VEGF産生の阻害に有用なカルバゾール誘導体、カルボリン誘導体およびインドール誘導体

本発明に従って、転写後にVEGFの発現を阻害する化合物が同定され、それらの使用のための方法が提供された。本発明の1つの局面において、BEGF産生の阻害、および/または脈管形成の阻害、および/または癌、糖尿病網膜症もしくは滲出性黄班変性の処置に有用な化合物および組成物が提供される。本発明の別の局面において、VEGF産生の阻害、脈管形成の阻害、および/または癌、糖尿病網膜症もしくは滲出性黄班変性の処置のために本発明の化合物を使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2004年11月23日出願の米国仮特許出願第60/629,889号の優先権および米国特許法119条による利益を請求しており、この仮特許出願は、本明細書中にその全体が参考として援用される。本出願はまた、2004年12月6日出願の米国仮特許出願第60/633,738号および2004年12月27日出願の米国仮特許出願第60/639,283号の優先権および米国特許法119条による利益も請求している。本出願はまた、共に2004年3月15日に出願された米国仮特許出願第60/552,724号および米国仮特許出願第60/552、725号の全体を参考として援用する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、脈管形成を阻害するための方法、化合物および組成物に関する。より具体的には、本発明は、VEGF産生を阻害するための方法、化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
異常脈管形成は、数多くの疾患(悪性疾患、虚血性疾患、炎症性疾患および免疫性疾患を含む)の病因に重大な役割を果たす(非特許文献1および2)。これらの疾患のうち最もよく知られているものは、癌、滲出性黄班変性および糖尿病網膜症(DR)であり、後者2つの疾患は、米国における失明の主要原因である(非特許文献3および4)。この10年間の間に、脈管形成の分子基盤の理解が相当拡大した。脈管形成を刺激する数多くのサイトカインおよび増殖因子(例えば、VEGF、FGF−2、PDGF、IGF−1、TGF、TNF−α、G−CSF)が、同定された(非特許文献5〜7)。これらの増殖因子のうち、血管内皮増殖因子(VEGF)が、脈管形成において中心的役割を果たす(非特許文献2)。
【0004】
VEGFは、VEGF−Aとしても知られており、血管透過性を誘発する能力、および血管内皮細胞の増殖を促進する能力について、最初に同定された(非特許文献8、9および10)。VEGFは、選択的スプライシングにより4つのアイソフォームを生ずる単一遺伝子によってコードされる。4つのアイソフォームは全て、同じ非常に長くGCリッチな5’−UTRならびに多様なRNA安定性決定因子を含む3’−UTRを共有する(非特許文献11)。レセプターであるVEGFR−2(KDRまたはFlk−1としても知られている)およびVEGFR−1(以前はFlt1として知られていた)がVEGFのニ量体の形態を認識する(非特許文献12および13)。高度に特異的なVEGFR−2レセプターは、内皮細胞上で発現される。VEGFR−2レセプターへのVEGF結合は、レセプターのチロシンキナーゼ活性を活性化し、内皮細胞の増殖、分化および初期の脈管形成をもたらす(非特許文献14)。VEGFR−1は、デコイとして作用するか、またはVEGFR−2を介するシグナル伝達経路を抑制することによって内皮細胞増殖を阻害する(非特許文献15)。
【0005】
30年以上前に、腫瘍脈管形成の阻害が癌の処置に対する有効なアプローチであり得ることが提案された(非特許文献16)。VEGFおよびそのレセプターは、腫瘍脈管形成(特に腫瘍増殖の初期段階)に中心的役割を有することが証明された。実際に、VEGF発現レベルの上昇は、原発腫瘍組織中の微小血管密度と相関付けられた(非特許文献18)。さらに、VEGF転写物のレベルの上昇は、実際に全ての一般的な固形腫瘍に見出される(非特許文献19)。一般に、主要を保持する患者は、腫瘍のない個人と比較して高いVEGFレベルを有し、血清/血漿中の高いVEGFレベルは、不良予後と関連付けられる(非特許文献20)。腫瘍脈管形成におけるVEGFの役割と一致して、VEGFヌル胚幹細胞は、ヌードマウスにおいて、腫瘍を形成する能力の劇的な低下を示した(非特許文献21)。腫瘍形成(tumorgenesis)におけるVEGFの関与についての直接的な証拠は、ヌードマウス中に移植されたヒト異種移植片において、VEGFに対して特異的な抗体を使用することによって証明された(非特許文献22および23)。これらの研究において、腫瘍増殖の阻害は、抗体処理した腫瘍における脈管形成の減少と正に相関した。可溶性レセプターを使用したその後の実験は、腫瘍増殖におけるVEGF活性の重要性を実証し(非特許文献24)、特異的な抗体の処理によるVEGFの不活性化が、腫瘍に関連する血管新生のほぼ完全な抑制を、直接的にもたらしたことを証明した(非特許文献25および26)。
【0006】
滲出性黄班変性および糖尿病網膜症に関し、前臨床実験および臨床試験は、VEGFの過剰産生が、網膜または脈絡膜の異常血管新生にとって重大であることを証明した(非特許文献3において概説される)。眼内のVEGFレベルが、糖尿病網膜症およびウェット型黄班変性などの疾患を有する患者における活発な網膜/脈絡膜血管新生(CNV)と強く相関するという証拠が得られいる(非特許文献27および28)。さらに、遺伝子導入マウスを使用した研究が、網膜色素上皮細胞または光受容細胞中のVEGFの過剰発現が、脈絡膜または網膜の血管新生をもたらすことを証明した(非特許文献29および30)。最近の研究では、中和抗体、可溶性レセプター、レセプターアンタゴニストまたはsiRNAが、動物モデルおよび臨床において、VEGF媒介性の血管形成を減少させることに有効であることが証明された(非特許文献31〜35)。
【0007】
VEGF発現は、数多くの因子および物質(サイトカイン、増殖因子、ステロイドホルモンおよび化学物質)、および癌遺伝子(例えば、ras遺伝子または腫瘍抑制遺伝子VHL)の活性を調整する変異によって調節される(非特許文献36および37)。それにもかかわらず、低酸素が、VEGF発現を調節するための最も重要な生理的シグナルである。低酸素は、VEGF転写の転写速度および安定性を共に上昇させることにより、VEGF発現の増大をもたらす(非特許文献38〜40)。低酸素誘導性因子1α(HIF−1α)は、VEGFプロモーター中に位置する低酸素応答要素(HRE)と結合することにより、低酸素の細胞におけるVEGF遺伝子発現を増加させる転写因子である(非特許文献41および42)。VEGFmRNAの安定性もまた、因子と3’−UTR中の要素との結合の結果として、大いに高められる(非特許文献43)。さらに、VEGF転写物の翻訳の開始が、特有の方法で調節される。低酸素条件下では、キャップ依存性の翻訳開始プロセスによって媒介されるほとんどの細胞の転写物の翻訳が、大きく損なわれる(非特許文献44)。しかしながら、VEGFmRNAの翻訳開始は、VEGF5’UTR内の内部リボソーム侵入部位(IRES)により媒介される点で、低酸素条件下において独特である(非特許文献39、40、45および46)。
【0008】
腫瘍増殖が、血管新生の予防によって阻害され得ることを示す、多数の実験的証拠が存在する(非特許文献24および47)。腫瘍血管は、一般的に未成熟であり、絶えずリモデリングを行っている(非特許文献1および48)。活性で異常な脈管形成が、脈管形成促進因子(pro−angiogenic factor)と抗脈管形成因子(種々のサイトカイン、増殖因子およびステロイドホルモンを含む)との正常な均衡の崩壊の結果である。腫瘍脈管形成の調節の複雑性にも関わらず、単一の脈管形成促進因子を標的とすることが、腫瘍脈管形成を阻害し、腫瘍増殖を抑制するのに十分であり得るということを示す証拠が蓄積されている(非特許文献22、49および50)。多数の脈管形成標的の中で、VEGFおよびそのレセプターが、最も魅力的である(非特許文献1および12)。上記で示すとおり、VEGFを特異的に標的とするモノクローナル抗体を用いた処理が、ヌードマウスに移植されたヒト異種移植片における腫瘍の増殖を阻害した。続いて、VEGFのシグナル伝達を不活性化するように設計される種々のアプローチが、腫瘍モデルにおいて試験され、広範な腫瘍細胞株(種々の癌腫、肉腫、神経膠腫を含む)において非常に有効であることが証明された(非特許文献19、22、49〜51)。さらに、抗VEGF抗体によるVEGFの阻害が、十分に発達した齧歯類または霊長類において重大な副作用をもたらさなかった。これらをまとめると、これらの結果は、VEGFが、腫瘍治療の開発にとって有効な標的であることを示す。実際に、数多くの臨床試験が、VEGFインヒビターを使用して実施されている(非特許文献54および23)。
【0009】
数種の抗脈管形成因子は、滲出性加齢黄斑変性の病理に関連付けられるが、VEGFは、この疾患の病因および発症において最も重大であると思われる(非特許文献3および55)。臨床前実験および臨床試験のからのデータが、VEGFのみの遮断が、疾患の進行を緩和または安定化させるのに十分であることを証明した(非特許文献31〜35)。例えば、特異的チロシンキナーゼインヒビターによるVEGFRシグナル伝達の阻害が、マウスの未熟児モデルの網膜症(非特許文献56)における網膜血管新生を完全に予防するのに十分である。さらに、最近では、マウスモデルにおいて、マウスVEGFに対する低分子干渉RNA(siRNA)が、レーザー光凝固後の眼血管新生を有意に阻害することが証明された(非特許文献57)。これらの結果は、VEGF発現の選択的阻害が達成可能であり、眼血管新生疾患(例えば、滲出性黄斑変性および糖尿病網膜症)の処置に対するこのアプローチの有効性を提供する。
【0010】
以下の3つのアプローチが、VEGF活性を阻害するために使用された:(1)特異的な抗体、可溶性VEGFレセプターまたはVEGF/VEGFR相互作用に対するアプタマーオリゴヌクレオチドを使用することによるVEGF活性の中和(非特許文献22〜25、47、49、58および59);(2)特異的な低分子チロシンキナーゼインヒビターによるVEGFR媒介性シグナル伝達の阻害(非特許文献50、60および61);および(3)アンチセンス、siRNAまたはリボザイムを使用することによるVEGF/VEGFR発現の阻害(非特許文献57および62〜64)。これらのアプローチの全てが、インビボでの脈管形成の有意な阻害を示しているが、これらは全て、重大な制限を有する。例えば、治療タンパク質(抗体および可溶性レセプター)またはオリゴ(アンチセンス、siRNAおよびリボザイム)は、透過性に乏しい大型の分子であり、通常、非経口投与を必要とし、生産するには費用がかかる。慢性的な眼血管新生の処置に関し、複数回の注射は、合併症(例えば、網膜剥離、および処置に関連する感染)の可能性故に、実用的とは言えない。さらに、チロシンキナーゼインヒビターは、特異性が限定的である可能性を有する。VEGFは、正常な眼および他の組織においては、低レベルで構成的に発現され、従って、抗体またはチロシンキナーゼインヒビターの全身投与によってVEGF機能を完全に抑制するのは、特に、多くが高血圧でもあるAMDおよびDRの患者に対し、有害であり得る(非特許文献65〜68)。
【0011】
したがって、新規の抗脈管形成薬物の開発のための先導分子を開発し、特徴づけ、そして最適化する必要性が依然として存在する。従って、そのような化合物を提供することが、本発明の目的である。さらに、抗脈管形成のための組成物および方法を提供することもまた、本発明の目的である。
【0012】
本明細書中に参照された全ての文書は、本明細書中に完全に提示されるがごとく、本出願中に参考として援用される。
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【非特許文献2】Ferrara N、Role of vascular endothelial growth factor in physiologic and pathologic angiogenesis:therapeutic implications、2002年、Semin Oncol.29(6 Suppl 16):10−4
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【非特許文献64】Filleur S,Courtin A,Ait−Si−Ali S,Guglielmi J,Merle C,Harel−Bellan A,Clezardin P,Cabon F、SiRNA−mediated Inhibition of Vascular Endothelial Growth Factor Severely Limits Tumor Resistance to Antiangiogenic Thrombospondin−1 and Slows Tumor Vascularization and Growth、2003年、Cancer Res.63(14):3919−22
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【非特許文献66】Sugimoto H,Hamano Y,Charytan D,Cosgrove D,Kieran M,Sudhakar A,Kalluri R.、Neutralization of circulating vascular endothelial growth factor(VEGF)by anti−VEGF antibodies and soluble VEGF receptor 1(sFlt−1)induces proteinuria、2003年、J.Biol Chem.278(15):12605−8
【非特許文献67】Bergsland E.et al.、A randomized phase II trial comparing rhuMAb VEGF(recombinant humanized mAb to vascular endothelial cell growth factor)plus 5−fluorouracil/leucovorin(FU/LV)to FU/LV alone in patients with metastatic colorectal cancer、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting,20−23 May,2000,New Orleans,LA,USA,Abstract 939
【非特許文献68】DeVore,R.F.et al.、A randomized Phase II trial comparing rhuMAb VEGF(recombinant humanized mAb to vascular endothelial cell growth factor)plus Carboplatin/Paclitaxel(CP)to CP alone in patients with stage IIIB/IV NSCLC、American Society of Clinical Oncology 36th Annual Meeting,20−23 May,2000,New Orleans,LA,USA,Abstract 1896
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明に従い、転写後にVEGFの発現を阻害する化合物が同定され、それらの使用のための方法が提供された。
【0014】
本発明の1つの局面において、VEGF産生の阻害、脈管形成の阻害、および/または癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症もしくは滲出性黄班変性の処置に有用である、式(I)〜(VIII)の化合物が提供される。
【0015】
1つの実施形態において、本発明は、式(I):
【0016】
【化20】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
Xは、水素、ヒドロキシ基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルコキシ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;必要に応じて置換されているアミン;必要に応じて置換されているカルボニル;あるいは、必要に応じて置換されているスルホニルであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、またはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cのアリール基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;あるいは、−S(O)−アリールであり;
は、水素;C〜Cアルキルであるか;あるいは、Rと一緒になり得;
は、水素;C〜Cアルキル;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であるか;あるいは、Rは、Rと一緒になって(=O)、=N−R、またはC〜Cアルキル−C〜Cアリール基もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているシクロアルキル基を形成し得;
およびRは、各々独立して、水素;C〜Cアルキル基であり得るか;あるいは、RおよびRは、一緒になって、=CH−シクロアルキル、=CH−アミノ;または=CH−アリールを形成し得、ここで、これらのシクロアルキルおよびアリール基は、少なくとも1つのハロゲン基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、−CF、−OCF、−NO、−CNまたは−N(CHで必要に応じて置換されており、このアミノ基は、少なくとも1つのC〜Cアルキル基で必要に応じて置換されており;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;そして
nは、0、1、2、3または4である。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、式(Ia):
【0018】
【化21】

の化合物を含み、かつ提供し、ここで
X、R、R、R、R、およびRは、式(I)に関して上記されるとおりである。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、式(Ib):
【0020】
【化22】

の化合物を含み、かつ提供する。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、式(II):
【0022】
【化23】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲン;そして
は、ヘテロアリール基である。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、式(III):
【0024】
【化24】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
Xは、ヒドロキシル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルコキシ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;必要に応じて置換されているアミン;必要に応じて置換されているカルボニル;または必要に応じて置換されているスルホニルであり;
は、Hまたは−C(O)O−(C〜Cアルキル)であり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基;−C(O)−R;−C(O)OR−aa;または−S(O)−アリールであり;
は、水素;C〜Cアルキルであるか;あるいは、Rと一緒になり得;
は、水素;C〜Cアルキル;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であるか;あるいは、Rは、Rと一緒になって(=O)、=N−R、またはC〜Cアルキル−C〜Cアリール基もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているシクロアルキル基を形成し得;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;そして
nは、0、1、2、3または4であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;そして
は、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルである。
【0025】
さらなる実施形態において、本発明はまた、式(IIIa):
【0026】
【化25】

の化合物、または上記式(IIIa)の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
X、R、Rおよびnは、式(III)に関して上記されるとおりであり;そして
は、水素、フェニル、またはベンジル基である。
【0027】
別の実施形態において、本発明はまた、式(IIIb):
【0028】
【化26】

の化合物、または上記式(IIIb)の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供する。
【0029】
さらなる実施形態において、本発明は、式(IV):
【0030】
【化27】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲンであり;そして
は、少なくとも1つのハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基である。
【0031】
さらに別の実施形態において、本発明は、式(V):
【0032】
【化28】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲンであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、またはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている)、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基;−C(O)O−Raa;あるいは、−S(O)−アリールであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルであり;そして
は、水素、フェニル、または−OHである。
【0033】
別の実施形態において、本発明は、式(VI):
【0034】
【化29】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲンであり;そして
およびRは、式(III)に関して上記されるとおりである。
【0035】
別の実施形態において、本発明は、式(VII):
【0036】
【化30】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲンである。
【0037】
さらに他の実施形態において、本発明は、式(VIII):
【0038】
【化31】

の化合物、またはこれらの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含み、かつ提供し、ここで
は、ハロゲンであり;
は、水素または−C(O)−アルキルであり;
10は、水素;−CH−R;−C(O)−NH−R;または−CH−NH−Rであって;
11は、水素;C〜Cアルキル基;−CH=N−CH−CH(OH)−R;または−(CH−NH−R−であり;
は、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、−C(O)−R、または−(CH−CH(OH)−Rffであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
ffは、C〜Cアルキル基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
mは、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;そして
pは、1、2または3である。
【0039】
別の実施形態において、本発明は、薬学的組成物の調製において本発明の1種以上の化合物の使用を含み、かつ提供する。
【0040】
さらなる実施形態において、本発明は、本発明の1種以上の化合物を含む薬学的組成物を含み、かつ提供する。
【0041】
本発明の別の実施形態において、本発明は、本発明の1種以上の化合物または1種以上の薬学的組成物を使用して、VEGF産生の阻害、および/または脈管形成の阻害、および/または癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症もしくは滲出性黄班変性の処置のための方法を含み、かつ提供する。本発明のさらに別の実施形態において、本発明は、本発明の1種以上の化合物および1種以上の薬学的組成物を使用して、VEGF産生の阻害、および/または脈管形成の阻害、および/または癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症もしくは滲出性黄班変性の処置のための方法を含み、かつ提供する。
【0042】
別の実施形態において、本発明は、VEGF産生の阻害のための方法を含み、かつ提供する。別の実施形態において、本発明は、脈管形成の阻害のための方法を含み、かつ提供する。1つの実施形態において、本発明は、VEGF産生を阻害する方法に関し、この方法は、VEGF産生の阻害を必要とする被験体に対し、VEGF阻害量の少なくとも1種の本発明の化合物もしくは薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0043】
別の実施形態において、本発明は、脈管形成を阻害するための方法を含み、かつ提供し、この方法は、脈管形成の阻害を必要とする被験体に対し、抗脈管形成量の少なくとも1種の本発明の化合物もしくは薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0044】
1つの実施形態において、本発明は、VEGF産生を阻害するための方法、および脈管形成を阻害するための方法を含み、かつ提供し、この方法は、VEGF阻害量もしくは脈管形成阻害量の式(I)〜式(VIII)の1種以上の化合物、および/または式(I)〜式(VIII)の化合物の1種以上の薬学的組成物を投与する工程を包含する。
【0045】
別のより好ましい実施形態において、本発明は、化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される治療有効量の1種以上の化合物、またはそれらの1種以上の薬学的組成物を投与する工程を包含する方法を含み、かつ提供する。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症もしくは滲出性黄班変性の処置のための方法に関し、これらの方法は、治療を必要とする被験体に対し、治療有効量の1種以上の本発明の化合物、または1種以上の本発明の薬学的組成物を投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、本発明は、治療量の式(I)〜式(VIII)の1種以上の化合物、または治療量の式(I)〜式(VIII)の1種以上の化合物を送達することができる1種以上の薬学的組成物を投与することを包含する方法を含み、かつ提供する。より好ましい実施形態において、本発明は、化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される治療有効量の少なくとも1種の化合物を投与する工程を包含する方法を含み、かつ提供する。
【0047】
これらおよび他の本発明の局面は、例えば、以下の好ましい実施形態、詳細な説明、および特許請求の範囲を参照して、より明確に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
(特定の実施形態)
(実施形態1)被験体におけるVEGF産生を阻害するための方法であって、この方法は、VEGFの阻害を必要とする被験体に対して、VEGF阻害量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0049】
(実施形態2)被験体における脈管形成を阻害するための方法であって、この方法は、脈管形成の阻害を必要とする被験体に対し、抗脈管形成量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0050】
(実施形態3)被験体における癌を阻害するための方法であって、この方法は、癌の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0051】
(実施形態4)被験体における糖尿病網膜症を処置するための方法であって、この方法は、糖尿病網膜症の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0052】
(実施形態5)被験体における滲出性黄班変性を処置するための方法であって、この方法は、滲出性黄班変性の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0053】
(実施形態6)被験体における慢性関節リウマチを処置するための方法であって、この方法は、慢性関節リウマチの処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0054】
(実施形態7)被験体における乾癬を処置するための方法であって、この方法は、乾癬の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0055】
(実施形態8)被験体におけるアテローム硬化症を処置するための方法であって、この方法は、アテローム硬化症の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0056】
(実施形態9)被験体における肥満を処置するための方法であって、この方法は、肥満の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0057】
(実施形態10)被験体における慢性炎症を処置するための方法であって、この方法は、慢性炎症の処置を必要とする被験体に対し、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を投与する工程を包含する。
【0058】
(実施形態11)実施形態1〜10のいずれかに従う方法であって、ここで、上記化合物は、化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24である。
【0059】
(実施形態12)薬学的組成物であって、この薬学的組成物は、式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む。
【0060】
(実施形態13)実施形態12に従う薬学的組成物であって、ここで、上記化合物が、化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される。
【0061】
(発明の詳細な説明)
血管内皮増殖因子(VEGF)のアップレギュレーションは、脈管形成の主要因であり、癌、糖尿病網膜症、および滲出性黄班変性(1−7の実施例を検討されたい)の病原の重要な誘因である。本発明に従って、VEGFの発現を転写後に阻害する化合物が同定され、それらの使用のための方法が提供された。本発明の化合物は、VEGF発現の阻害に対して低ナノモルでの活性を有する。
【0062】
当業者に認められるように、本発明の特定の化合物は、キラル中心を含み得、したがって、ラセミ混合物として、または鏡像異性体として純粋な組成物として存在し得る。例えば、これらの化合物は、鏡像異性体として純粋な組成物中に、RまたはS異性体として存在し得る。本明細書中で使用される場合、「鏡像異性体として純粋」とは、実質的に単一の異性体からなる組成物、好ましくは、75%、80%、85%、90%、92%、95%、98%、99%、または100%の単一の異性体からなる組成物をいう。
【0063】
(A.本発明の化合物)
本発明の1つの局面において、VEGF産生の阻害もしくは脈管形成の阻害、またはVEGF産生の阻害および脈管形成の阻害において有用である、本発明の化合物を提供する。本発明の別の局面において、癌、糖尿病網膜症もしくは滲出性黄班変の処置、または、癌、糖尿病網膜症もしくは滲出性黄班変の任意の組み合わせの処置に有用である本発明の化合物が提供される。
【0064】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、VEGF産生を特異的に阻害する。別の実施形態において、本発明の化合物は、VEGF発現ならびに、例として、FGF−2などの他の脈管形成因子の発現を阻害する。この点で、汎脈管形成(pan−angiogenic)インヒビターは、腫瘍増殖を阻害する方法において好ましくあり得るが、VEGF特異的インヒビターは、眼の血管新生障害の処置に対して好ましくあり得る(17)。
【0065】
VEGF産生の阻害に有用な本発明の好ましい化合物は、以下に示されるような式(I)の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を含む。
【0066】
【化32】

ここで
Xは、水素;ヒドロキシル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルコキシ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;必要に応じて置換されているアミン;必要に応じて置換されているカルボニル;あるいは、必要に応じて置換されているスルホニルであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、またはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基(このアリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cのアリール基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;あるいは、−S(O)−アリールであり;
は、水素;C〜Cアルキルであるか;あるいは、Rと一緒になり得;
は、水素;C〜Cアルキル;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であるか;あるいは、Rは、Rと一緒になって、(=O)、=N−R、またはC〜Cアルキル−C〜Cアリール基もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているシクロアルキル基を形成し得;
およびRは、各々独立して、水素;C〜Cアルキル基であり得るか;あるいは、RおよびRは、一緒になって、=CH−シクロアルキル、=CH−アミノ;または=CH−アリールを形成し得、ここで、該シクロアルキルおよびアリール基は、少なくとも1つのハロゲン基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、−CF、−OCF、−NO、−CNまたは−N(CHで必要に応じて置換されており、該アミノ基は、少なくとも1つのC〜Cアルキル基で必要に応じて置換されており;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;そして
nは、0、1、2、3または4である。
【0067】
式(I)の特定の好ましい実施形態において、Xは、F、Cl、Br、−CH、−CH−CH、−CFおよび−O−CFより選択される。式(I)の他の好ましい実施形態において、nは1である。式(I)のさらなる好ましい実施形態において、Xは、F、Cl、Br、−CH、−CH−CH、−CFおよび−O−CFより選択され;そして、nは1である。式(I)の好ましい実施形態において、Xは、ClまたはBrより選択される。式(I)の別の好ましい実施形態において、XはClである。式(I)のさらなる好ましい実施形態において、XはBrである。式(I)のさらにより好ましい実施形態において、Xは、ClまたはBrより選択され、nは1である。式(I)の別のさらにより好ましい実施形態において、XはClであり、そしてnは1である。式(I)の別のさらにより好ましい実施形態において、XはBrであり、そしてnは1である。
【0068】
式(I)の1つの実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているアミンである。1つの実施形態において、Xは、一置換アミンである。別の実施形態において、Xは、二置換アミンである。さらなる実施形態において、Xはモノアルキルアミンである。さらなる実施形態において、Xはジアルキルアミンである。1つの実施形態において、Xは、1つ以上のハロゲンで置換されているモノアルキルアミンである。別の実施形態において、Xは、1つ以上のハロゲンで置換されているジアルキルアミンである。1つの実施形態において、Xは、1以上のフッ素で置換されているモノアルキルアミンである。別の実施形態において、Xは、1つ以上のフッ素で置換されているジアルキルアミンである。
【0069】
式(I)の別の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているカルボニルである。1つの実施形態において、カルボニルは非置換であり、形態−C(O)Hを有する。1つの実施形態において、Xは、C〜Cアルキルで置換されているカルボニル(例えば、C(O)−(C〜Cアルキル))である。別の実施形態において、Xは、C〜Cアルキルで置換されているカルボニルであり、このアルキルは、1つ以上のハロゲンで置換されている。別の実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されているカルボニルであり、このアルキル基は、1つ以上のフッ素で置換されている。
【0070】
式(I)の別の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているスルホニルである。1つの実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されているスルホニルである。式(I)の別の実施形態において、Xは、必要に応じて置換されているスルホニルである。1つの実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されているスルホニルであり、このアルキル基は、1つ以上のハロゲンで置換されている。1つの実施形態において、Xは、C〜Cアルキル基で置換されているスルホニルであり、このアルキル基は、1つ以上のフッ素で置換されている。
【0071】
式(I)の他の実施形態において、Rは、水素;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアリール基(このC〜Cアリール基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている)で必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;またはRおよびRaaが、式(I)について上記で定義されるとおりである、−S(O)−アリールである。
【0072】
式(I)の好ましい実施形態において、Rは水素である。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、必要に応じてC〜Cアリール基で置換されている、C〜Cアルキル基である。さらに好ましい実施形態において、Rは、C〜Cアリール基で必要に応じて置換されている、メチル基である。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、フェニル基で必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基である。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、フェニル基で必要に応じて置換されている、メチル基である。
【0073】
式(I)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)(O)−C〜Cアリールである。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)(O)−フェニルである。
【0074】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−二環式の芳香族基である。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−ナフチルである。
【0075】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアルキルである。式(I)のさらに好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−メチルである。
【0076】
式(I)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールである。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、ハロゲンで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、塩素または臭素で置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、塩素で置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、臭素で置換されている。
【0077】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、−OCFで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、−OCFで置換されている。
【0078】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、ハロゲンで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、塩素で置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、臭素で置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、ハロゲンで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、塩素で置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、臭素で置換されている。
【0079】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、−OCFで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、−NOで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリールであり、このC〜Cアリールは、−CNで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、−OCFで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、−NOで置換されている。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニルは、−CNで置換されている。
【0080】
式(I)の好ましい実施形態において、Rは、−S(O)−アリールである。式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、−S(O)フェニルである。
【0081】
式(I)の別の好ましい実施形態において、RおよびRは、共に水素である。式(I)の別の好ましい実施形態において、RおよびRは、一緒になって、(=O)を形成している。式(I)の別の好ましい実施形態において、RおよびRは、一緒になって、=N−Rを形成し、このRは、上記の式(I)のとおりに定義される。式(I)の別の好ましい実施形態において、一緒になったRおよびRは、=N−ヒドロキシルを形成している。式(I)の別の好ましい実施形態において、RおよびRは、一緒になって、=N−ピロリルを形成している。
【0082】
式(I)の1つの実施形態において、RおよびRは、一緒になって、=CH−アリールを形成し、好ましいアリール置換基としては、−CH、−CF、−NO、−CN、−OCH、−OC(CH、−OCF、F、BrおよびClが挙げられる。式(I)の別の実施形態において、RおよびRは、一緒になって、=CH−アリールを形成し、好ましいアリール置換基は、Fおよび−OCHからなる群から独立して選択される。式(I)の別の好ましい実施形態において、一緒になったRおよびRは、=CH−アリールを形成し、このアリールは、フェニル基である。式(I)の別の好ましい実施形態において、一緒になったRおよびRは、=CH−アリールを形成し、このアリールは、置換されているフェニル基であり、好ましいフェニル置換基としては、−CH、−CF、−NO、−CN、−OCH、−OC(CH、−OCF、F、BrおよびClが挙げられる。式(I)の別の好ましい実施形態において、一緒になったRおよびRは、置換されているフェニル基を含み、好ましいフェニル置換基は、Fおよび−OCHからなる群より独立して選択される。
【0083】
式(I)の別の好ましい実施形態において、Rは、以下の置換基:
【0084】
【化33−1】

【0085】
【化33−2】

より選択される。
【0086】
式(I)のさらに別の好ましい実施形態において、RおよびRは、一緒に:
【0087】
【化34】

を形成する。
【0088】
式(I)のさらに別の好ましい実施形態において、RおよびRは:
【0089】
【化35】

からなる群より独立して選択され得る。
【0090】
式(I)内の好ましい化合物は、下記に示される通りの以下の式(Ia)の化合物を含む。
【0091】
【化36】

ここで、X、R、R、R、RおよびRは、式(I)に関して上記される通りである。
【0092】
別の実施形態において、式(I)の好ましい化合物は、下記に示される通りの式(Ib)
【0093】
【化37】

の化合物を含み、ここで、Rは水素であり、Xはハロゲンである。
【0094】
式(Ib)の化合物の好ましい実施形態は、Rが水素であり、Xがハロゲンである場合、以下:
【0095】
【化38】

によって示される。
【0096】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物ではない。別の実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物ではない。
【0097】
さらに別の実施形態において、本発明の好ましい化合物は、下記に示される式(II)
【0098】
【化39】

の化合物を含み、ここで、Xはハロゲンであり、Rはヘテロアリール基である。
【0099】
式(II)の好ましい実施形態において、Xはハロゲンであり、Rは、5員〜6員のヘテロアリール基である。式(II)の別の好ましい実施形態において、Xはハロゲンであり、Rは、1つ以上の環内窒素原子を含んでいる5員〜6員のヘテロアリール基である。式(II)の別の好ましい実施形態において、Xはハロゲンであり、Rは、1つの環内窒素原子を含んでいる5員〜6員のヘテロアリール基である。式(II)のさらに好ましい実施形態において、Xはハロゲンであり、Rはピロリル基である。式(II)の別の好ましい実施形態において、Xは臭素であり、Rはピロリル基である。
【0100】
なお別の実施形態において、VEGF発現の阻害に有用な本発明の好ましい化合物としては、下記に示される通りの式(III)の化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体が挙げられる。
【0101】
【化40】

ここで、
X、R、R、R、R、Raa、Rおよびnは、式(I)を参照して、上記の通りであり;
は、Hまたは−C(O)O−(C〜Cアルキル)であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基(このアリール基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている);−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている、C〜Cアリール基であり;そして
は、C〜CアルキルまたはC〜Cシクロアルキルである。
【0102】
式(III)の好ましい実施形態において、nは1である。別の好ましい実施形態において、nは0である。
【0103】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Xはハロゲンである。式(III)の好ましい実施形態において、Xは、BrまたはClである。式(III)の別の好ましい実施形態において、XはBrである。式(III)の別の好ましい実施形態において、XはClである。
【0104】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、水素;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−S(O)−アリール;または、少なくとも1つのC〜Cアリール基で必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基(このアリール基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている)である。
【0105】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)(O)−Raaである。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)(O)−C〜Cアリールである。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)(O)−フェニルである。
【0106】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0107】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、少なくとも1つのC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であり、このアリール基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、少なくとも1つのフェニル基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であり、このフェニル基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、少なくとも1つのフェニル基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であり、このフェニル基は、塩素で置換されている。
【0108】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、少なくとも1つのフェニル基で必要に応じて置換されているメチル基であり、このフェニル基は、少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、少なくとも1つのフェニル基で必要に応じて置換されているメチル基であり、このフェニル基は、塩素で置換されている。
【0109】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−S(O)−アリールである。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−S(O)−フェニルである。
【0110】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは,−C(O)−Rである。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアルコキシである。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−エトキシである。
【0111】
式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−ナフチルである。
【0112】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基である。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、少なくとも1つのハロゲンで置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、塩素または臭素で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、塩素で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、臭素で置換されている。
【0113】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、C〜Cアルコキシ基で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、メトキシ基で置換されている。
【0114】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、−CFで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、−OCFで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、−NOで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−C〜Cアリール基であり、このC〜Cアリール基は、−CNで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、−CFで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、−OCFで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)フェニルであり、このフェニル基は、−NOで置換されている。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、−CNで置換されている。
【0115】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニル基である。式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニル基であり、このフェニル基は、少なくとも1つのハロゲンで置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニル基であり、このフェニル基は、塩素または臭素で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、塩素で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、臭素で置換されている。
【0116】
式(III)の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、C〜Cアルコキシ基で置換されている。式(III)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−フェニルであり、このフェニル基は、メトキシ基で置換されている。
【0117】
式(III)の好ましい実施形態としては、RおよびRが、共に水素である実施形態が挙げられる。式(III)の他の好ましい実施形態としては、RおよびRが、共にC〜Cアルキル基である実施形態が挙げられる。式(III)の他の好ましい実施形態としては、RおよびRが、共にメチル基である実施形態が挙げられる。式(III)のさらに好ましい実施形態としては、RおよびRが、一緒に:
【0118】
【化41】

を形成する実施形態が挙げられる。
【0119】
式(III)を参照して、1つの実施形態において、好ましいアリール置換基としては、−CH、−CF、−NO、−CN、−OCH、−OC(CH、−OCF、F、BrおよびClが挙げられる。
【0120】
式(III)のさらに他の好ましい実施形態において、Rは:
【0121】
【化42−1】

【0122】
【化42−2】

より選択される。
【0123】
式(III)の他の好ましい実施形態において、Rは水素である。式(III)のさらに他の好ましい実施形態において、Rは:
【0124】
【化43】

である。
【0125】
さらに別の好ましい実施形態において、式IIIの化合物は、鏡像異性体として純粋な組成物である。
【0126】
式(III)の範囲内の好ましい化合物としては、下記に示される以下の式(IIIa)の化合物が挙げられる。
【0127】
【化44】

ここで、X、R、Rおよびnは、式(III)に関して上記される通りであり、Rは、水素、フェニルまたはベンジル基である。
【0128】
別の好ましい実施形態において、Rが、水素またはフェニル基である、式(IIIa)の化合物が提供される。
【0129】
式(III)の範囲内の他の好ましい化合物としては、下記に示される通りの以下の式(IIIb)の化合物が挙げられる。
【0130】
【化45】

ここで、X、R、Rおよびnは、式(III)に関して上記される通りである。
【0131】
別の実施形態において、本発明の好ましい化合物としては、下記に示される通りの以下の式(IV)の化合物が挙げられる。
【0132】
【化46】

ここで
は、ハロゲンであり;そして
は、少なくとも1つのハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換されている、C〜Cアリール基である。
【0133】
式(IV)の好ましい実施形態において、Xは塩素である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rは、C〜Cアリール基である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rは、1つのC〜Cアルコキシ基で置換されている、C〜Cアリール基である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rは、メトキシ基で置換されている、C〜Cアリール基である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rはフェニル基である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rは、C〜Cアルコキシ基で置換されているフェニル基である。式(IV)の別の好ましい実施形態において、Rは、メトキシ基で置換されているフェニル基である。
【0134】
さらに別の実施形態において、本発明の好ましい化合物としては、下記に示される通りの以下の式(V)の化合物が挙げられる。
【0135】
【化47】

ここで
はハロゲンであり;
は、水素、フェニルまたは−OHであり;そして
およびRは、式(III)に関して上記されるとおりである。
【0136】
式(V)の好ましい実施形態において、Xは、塩素または臭素である。別の好ましい実施形態において、Xは塩素である。さらに好ましい実施形態において、Xは臭素である。
【0137】
式(V)の好ましい実施形態において、Rは水素である。
【0138】
式(V)の好ましい実施形態において、Rは水素である。式(V)の別の好ましい実施形態において、Rは、フェニルまたは−OHである。
【0139】
式(V)の好ましい実施形態において、Rは水素である。式(V)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)O−アルキルである。別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)O−エチルである。
【0140】
さらに別の好ましい実施形態において、式Vの化合物は、鏡像異性体として純粋な組成物である。
【0141】
別の実施形態において、本発明の好ましい化合物としては、下記に示される通りの式(VI)の化合物が挙げられる。
【0142】
【化48】

ここで、Xはハロゲンであり、RおよびRは、式(III)に関して上記に定義される通りである。
【0143】
式(VI)の好ましい実施形態において、Xは塩素である。式(VI)の別の好ましい実施形態において、Rは、水素である。式(VI)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−Rであり、このRは、C〜Cアルキルまたはフェニル基である。式(VI)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−Rであり、このRは、C〜Cアルキルである。式(VI)の別の好ましい実施形態において、Rは、−C(O)−Rであり、このRは、メチル基である。式(VI)の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rは−C(O)−Rであり、このRは、C〜Cアルキルまたはフェニル基である。式(VI)の別の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rは−C(O)−Rであり、このRは、フェニル基である。式(VI)の好ましい実施形態において、Rは、水素であり、Rは−C(O)−Rであり、このRは、C〜Cアルキル基である。式(VI)の好ましい実施形態において、Rは水素であり、Rは−C(O)−Rであり、このRは、メチル基である。
【0144】
さらに別の実施形態において、本発明の好ましい化合物は、下記に示される通りの式(VII)の化合物が挙げられる。
【0145】
【化49】

ここで、Xはハロゲンである。
【0146】
VEGF発現の阻害に有用な本発明のさらに他の好ましい化合物としては、下記に示される通りの式(VIII):
【0147】
【化50】

の化合物が挙げられ、ここで、
はハロゲンであり;
は、水素または−C(O)−アルキルであり;
10は、水素;−CH−R;−C(O)−NH−R;または−CH−NH−Rであり;
11は、水素;C〜Cアルキル基;−CH=N−CH−CH(OH)−R;または、―(CH−NH−Rであり、
は、少なくとも1つのハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換されている、C〜Cアリール基;
は、−C(O)−Rまたは−(CH−CH(OH)−Rffであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換されている、C〜Cアリール基;
ffは、C〜Cアルキル基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換されている、C〜Cアリール基であり;
mは、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;そして
pは、1、2または3である。
【0148】
式(VIII)の好ましい実施形態において、nは1である。式(VIII)の他の好ましい実施形態において、nは0である。
【0149】
式(VIII)の好ましい実施形態において、Xは、塩素または臭素である。
【0150】
他の好ましい実施形態において、Rは:
【0151】
【化51】

より選択される。
【0152】
式(VIII)のさらに他の好ましい実施形態において、R10は:
【0153】
【化52】

より選択される。
【0154】
式(VIII)のさらなる好ましい実施形態において、R11は、以下:
【0155】
【化53】

より選択される。
【0156】
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、一般的に、直鎖状形態、分枝状形態または環状形態の飽和ハイドロカルビル(hydrocarbyl)ラジカル(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−へプチル、オクチル、n−オクチルなどを含む)をいう。一部の実施形態において、アルキル置換基は、C〜Cアルキル基、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基であり得る。
【0157】
特定の実施形態において、アルキル基は、1つ以上のハロゲンまたはアルコキシ基で必要に応じて置換され得る。例えば、アルキル基は、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリハロアルキルであり得る。
【0158】
本明細書中で使用される場合、「アルキレン」は、一般的に、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する、直鎖状、分枝状または環状のアルケンラジカル(例えば、3−プロペニルを含むC〜Cアルキレン基)をいう。
【0159】
本明細書中で使用される場合、「アリール」は、炭素環式の芳香族環構造をいう。アリール基の範囲に含まれるのは、5個〜20個の炭素原子を有する芳香族環である。アリール環構造は、1つ以上の環構造を有する化合物(例えば、単環式化合物、二環式化合物または三環式化合物)を含む。アリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル(すなわち、フェナントレン)、およびナフチル(すなわち、ナフタレン)環状構造が挙げられる。特定の実施形態において、アリール基は、必要に応じて置換されている。
【0160】
本明細書中で使用される場合、「ヘテロアリール」は、環中の1つ以上の原子(ヘテロ原子)が、炭素以外の元素である、環状芳香族環構造をいう。ヘテロ原子は、典型的に、O、SまたはN原子である。ヘテロアリールの範囲内に含まれ、独立して選択可能であるのは、O、NおよびSヘテロアリール環構造である。この環構造としては、1つ以上の環構造を有する化合物(例えば、単環式化合物、二環式化合物または三環式化合物)が挙げられ得る。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、2つ以上のヘテロ原子、3つ以上のヘテロ原子、または4つ以上のヘテロ原子を含むヘテロアリール基より選択され得る。ヘテロアリール環構造は、5つ以上の原子、6つ以上の原子または8つ以上の原子を含む環構造より選択され得る。ヘテロアリール環構造の例としては:アクリジン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾジオキソール、ベンゾフラン、1,3−ジアジン、1,2−ジアジン、1,2−ジアゾール、1,4−ジアザナフタレン、フラン、フラザン、イミダゾール、インドール、イソキサゾール、イソキノリン、イソチアゾール、オキサゾール、プリン、ピリダジン、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、キノキサリン、チアゾール、チオフェン、1,3,5−トリアジン、1,2,4−トリアジン、1,2,3−トリアジン、テトラゾールおよびキナゾリンが挙げられる。
【0161】
本明細書中で使用される場合、「複素環」は、環中の1つ以上の原子(ヘテロ原子)が、炭素以外の元素である、環状環構造をいう。ヘテロ原子は、典型的に、O、SまたはN原子である。複素環の範囲内に含まれ、独立して選択可能であるのは、O、NおよびSヘテロアリール環構造である。この環構造としては、1つ以上の環構造を有する化合物(例えば、単環式化合物、二環式化合物または三環式化合物)が挙げられ得る。複素環基の例としては、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロプリミジニル(tetrahydroprimidinyl)、テトラヒドロチオフェニル、またはテトラヒドロチオピラニルなど)が挙げられる。特定の実施形態において、複素環は、必要に応じて置換されていてよい。
【0162】
本明細書中で使用される場合、「アルコキシ」は、一般的に、構造−O−Rを有する基をいう。特定の実施形態において、Rは、アルキル基(例えば、C〜Cアルキル基またはC〜Cアルキル基)であり得る。特定の実施形態において、アルコキシのR基は、少なくとも1つのハロゲンで、必要に応じて置換されていてよい。例えば、アルコキシのR基は、ハロアルキル、ジハロアルキルまたはトリハロアルキルであり得る。
【0163】
本発明の目的のために、ハロ置換基は、独立して、ハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびアスタチン)より選択され得る。
【0164】
本発明の範囲内には、式(I)〜式(VIII)の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体もまた、含まれる。
【0165】
本発明の目的のために、1つ以上の官能基(例えば、X、X、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R、Raa、R、R、R、R、RおよびRffなどを包含するが、これらに限定されない)が、式(I)〜式(VIII)の分子に組み込まれる場合(好ましい実施形態を含む)、開示された分子内の任意の位置に現れる各官能基は、独立して選択され得、かつ、適切に、独立して置換され得る。さらに、より一般的な置換基が本発明の分子中の任意の位置に対して示される場合、この一般的な置換基は、より具体的な置換基で置き換えられ得るということ、およびその結果として生ずる分子が、本発明の分子の範囲内にあることが理解される。
【0166】
本発明の好ましい化合物としては、以下:
【0167】
【化54−1】

【0168】
【化54−2】

【0169】
【化54−3】

【0170】
【化54−4】

【0171】
【化54−5】

【0172】
【化54−6】

【0173】
【化54−7】

【0174】
【化54−8】

【0175】
【化54−9】

が挙げられる。
【0176】
本発明の特に好ましい化合物は、化合物番号:2、4、5、6および8〜24である。
【0177】
上記の化合物は、本発明の方法に使用され得る実施例を提供するためにのみ、列挙される。本開示に基づき、当業者は、本明細書中に記載される方法において有用であり、特許請求される本発明の範囲内に含まれることが意図される、他の化合物を認識する。
【0178】
(B.発明の化合物の調製)
本発明の化合物は、当該技術分野において公知の任意の方法で生成され得る。一例として、本発明の化合物は、以下の一般スキームに従って調製され得る。
【0179】
より具体的に、式(I)の化合物を調製するための一般スキームが、以下のスキームIに記載される。
【0180】
【化55】

別の実施形態において、式(Ib)の化合物は、以下のスキームIbに従って調製され得る。
【0181】
【化56】

式IIの化合物は、一般的に、以下に示されるスキームIIに従って調製され得る。
【0182】
【化57】

式IIIの化合物について、Rが水素であり、Rが、H、−C(O)−R、−C(O)O−Raa、または−C(O)−NH−Rである場合、式(III)のそのような化合物は、一般的に、以下のスキームIIIに記載される通りに調製され得る。
【0183】
【化58】

スキームIIIは、同一のR基およびR基(−C(O)−Rとして示される)を有する数種の化合物が、2−(1H−インドール−3−イル)−エチルアミンを酸塩化物Ra−C(O)Clと反応させ、続いて、RC(O)Rと反応させることによって作製され得る。同一のR基およびR基を有する他の化合物が、同様に調製され得る。例えば、形態−C(O)−Raaの同一のR基およびR基を有する化合物は、対応する酸塩化物(Ra’−O−C(O)Cl)を2−(1H−インドール−3−イル)−エチルアミンと反応させ、それに続くRC(O)Rとの閉環反応により、調製し得る。
【0184】
特定の実施形態において、式IIIbの化合物は、6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−b−カルボリン−1−オン(化合物9、実施例1F)の合成における実施例に関して説明される、ホスゲンベースの手順を使用することにより、調製され得る。
【0185】
式IVの化合物は、一般的に、以下のスキームIVに例示される通りに調製され得る。
【0186】
【化59】

式Vの化合物は、一般的に、以下のスキームVに例示される通りに調製され得る。
【0187】
【化60】

式VIの化合物は、例えば、Rが、−C(O)−R、−C(O)O−Raaまたは−C(O)−NH−Rである場合、一般的に、以下のスキームVIに例示される通りに調製され得る。
【0188】
【化61】

式VIIの化合物は、一般的に、以下のスキームVIIに例示される通りに調製され得る。
【0189】
【化62】

式VIIIの化合物は、一般的に、以下のスキームVIIIに例示される通りに調製され得る。
【0190】
【化63】

これらおよび他の反応方法が、当業者によって理解される通りの本発明の化合物を調製するのに有用であり得る。上記のスキームおよび手順に対する種々の改変が、当業者に明らかであり、本発明は、本発明の化合物を調製する方法によって具体的に限定されない。
【0191】
一般に、本明細書中に記載される合成方法は、種々の市販の出発物質、文献により公知の出発物質、ならびに標準的な合成方法および手順を使用することによって調製される調製が容易な出発物質を使用し得る。有機分子の調製ならびに官能基の変形および操作についての、標準的な合成方法および手順は、関連する科学文献または当該技術分野の標準的な参考テキストから得られ得る。いずれか一部の典拠に限定されるわけではないが、承認される有機合成の参考テキストとしては、例えば:Smith,M.B.;March,J.March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,5th ed.;John Wiley & Sons:New York,2001;および、Greene,T.W.;Wuts,P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis,3rd;John Wiley & Sons:John Wiley & Sons:New York,1999が挙げられる。合成方法の前記の記載は、本発明の化合物の調製についての一般手順を制限するのではなく例示するために設計される。
【0192】
(C.本発明の方法)
本発明の別の局面において、VEGF産生の阻害のための方法が提供される。本発明のさらなる局面において、脈管形成の阻害のための方法が提供される。本発明のさらに別の局面において、本明細書中に記載される化合物を使用することによる、癌、糖尿病網膜症、滲出性黄班変性、またはそのような状態の任意の組み合わせの処置のための方法が提供される。1つの実施形態において、VEGF産生および脈管形成の両方の阻害のための方法が提供される。別の実施形態において、VEGF産生の阻害、脈管形成の阻害、またはVEGF産生および脈管形成の両方の阻害、ならびに、癌、糖尿病網膜症および滲出性黄班変性からなる群より選択される1つ以上の状態の処置のための方法が提供される。
【0193】
理論により制限されることを意図するわけではないが、本発明の方法は、VEGFの活性を調整する機序の組み合わせを通じて作用すると考えられる。
【0194】
1つの実施形態において、本発明は、VEGF産生を阻害するための方法に関し、この方法は、VEGF阻害量の少なくとも1種の本発明の化合物を、VEGF産生の阻害を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0195】
別の実施形態において、脈管形成を阻害するための方法を提供し、この方法は、抗脈管形成量の少なくとも1種の本発明の化合物を、脈管形成の阻害を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0196】
1つの実施形態において、本発明の方法は、被験体におけるVEGF産生を阻害するための方法を含み、この方法は、VEGF阻害量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、VEGF産生の阻害を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0197】
別の実施形態において、本発明の方法は、被験体における脈管形成を阻害するための方法を含み、この方法は、抗脈管形成量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、脈管形成の阻害を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0198】
別の実施形態において、本発明の方法は、被験体における癌を処置する方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、癌の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0199】
本発明の方法はまた、被験体における糖尿病網膜症を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、糖尿病網膜症の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0200】
本発明の別の実施形態は、被験体における滲出性黄班変性を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、滲出性黄班変性の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0201】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、被験体における慢性関節リウマチを処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、慢性関節リウマチの処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0202】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、被験体における乾癬を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、乾癬の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0203】
別の実施形態において、本発明の方法は、被験体におけるアテローム硬化症を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、アテローム硬化症の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0204】
他の実施形態において、本発明の方法は、被験体における肥満を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、肥満の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0205】
さらに他の実施形態において、本発明の方法は、被験体における慢性炎症を処置するための方法を含み、この方法は、治療有効量の式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を、慢性炎症の処置を必要とする被験体に投与する工程を包含する。
【0206】
他の実施形態において、VEGF産生を阻害するための方法、脈管形成を阻害するための方法、癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症または滲出性黄班変性を処置するための方法が提供され、この方法は、治療有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を、この方法を必要とする被験体に投与する工程を包含する。好ましい実施形態において、本発明の方法に使用される本発明の1種以上の化合物は、式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)または(VIII)の化合物である。より好ましい実施形態において、VEGF産生を阻害する方法、および/または脈管形成を阻害する方法、および/または癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症または滲出性黄班変性を処置する方法は、治療有効量の少なくとも1種の化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24からなる群より選択される化合物を投与する工程を包含する。
【0207】
本発明の方法に従い、1種以上の化合物が、当該技術分野において公知の任意の薬物送達経路により被験体に投与され得る。好ましい実施形態において、この被験体は、哺乳動物である。より好ましい実施形態において、この被験体は、ヒトである。具体的な例示的投与経路としては、非限定的な例として、経口投与、眼投与、直腸投与、口腔投与、局所投与、鼻腔投与、点眼投与、皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与(ボーラスおよび注入)、脳内投与、経皮投与および経肺投与が挙げられる。
【0208】
用語「VEGF阻害量」、「抗脈管形成量」および「治療有効量」は、本明細書中で使用される場合、識別される疾患または状態を処置、改善もしくは予防するため、または検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示すための製薬物質の量をいう。この効果は、例えば、以下の実施例において開示されるアッセイにより検出され得る。被験体に対する正確な有効量は、被験体の体重、背格好および健康状態;状態の性質および程度;および投与のために選択された治療法または治療法の組み合わせに依存する。所与の状況に対する治療有効量は、臨床医の技術および判断の範囲内である慣例的な実験により決定され得る。
【0209】
いずれの化合物についても、治療有効量は、細胞培養アッセイ(例えば、新生細胞の細胞培養アッセイ)、または動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌまたはブタ)のいずれかにおいて、最初に評価され得る。動物モデルはまた、投与の適切な濃度範囲および経路を決定するためにも使用され得る。次いで、そのような情報は、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定するために使用され得る。治療/予防上の効能および毒性は、細胞培養物または実験動物において、標準的な薬学的手順(例えば、ED50(個体群の50%で治療的に有効な用量)およびLD50(個体群の50%に対する致死用量))により決定され得る。治療効果と毒性効果との用量比率が治療指数であり、この治療指数は、LD50/ED50の比率として表され得る。大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の範囲を処方する際に使用され得る。そのような組成物に含有される投薬量は、好ましくは、毒性が殆ど無いかもしくは全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、使用される投薬形態、患者の感受性および投与経路に依存して、この範囲内で変化し得る。
【0210】
より具体的には、本発明の化合物について観察される濃度−生物学的効果の関係は、約5μg/mL〜約100μg/mL、好ましくは、約10μg/mL〜約50μg/mL、より好ましくは、約10μg/mL〜約25μg/mLの範囲に及ぶ初期目標血漿濃度を必要とする。そのような血漿濃度を達成するために、本発明の化合物は、投与経路に応じて、0.1μg〜100,000mgに変化する用量で投与され得る。特定の投薬量および送達方法に関する案内が文献において提供され、一般的に、当該分野の実施者に利用可能である。一般に、用量は、体重が約40kg〜約100kgの間である患者に対し、単一用量、分割用量または連続用量で、約1mg/日〜約10g/日、または約0.1g〜約3g/日、または約0.3g/日〜約3g/日または約0.5g/日〜約2g/日の範囲である(この用量は、この体重の範囲外の患者、特に、40kg未満の子どもに対し、調節され得る)。
【0211】
正確な投薬量は、処置を必要とする被験体に関連する要因を考慮して、開業医によって決定される。投薬量および投与は、十分なレベルの活性物質を提供するか、または所望の効果を維持するように調節される。考慮され得る要因としては、病状の重篤度、被験体の身体全体の健康、被験体の年齢、体重および性別、食事、投与時間、投与頻度、薬物の組合せ、応答感度、ならびに治療に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用性の薬学的組成物は、特定の処方の半減期およびクリアランス速度に応じて、3日〜4日に1度、週に1度、2週間に1度で投与され得る。
【0212】
(D.本発明の化合物の代謝産物)
本発明の範囲内には、本明細書中に記載される化合物のインビボ代謝産物もまた入る。そのような産物は、投与される化合物の、主に酵素プロセスによる、例えば、酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などにより生じ得る。したがって、本発明は、本発明の化合物と哺乳動物の組織または哺乳動物とを、その代謝産物を生ずるのに十分な時間、接触させる工程を包含するプロセスによって生成された化合物を含む。そのような生成物は、典型的に、放射標識(例えば、C14またはH)された本発明の化合物を調製し、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、サルまたはヒト)に対して検出可能な用量(例えば、約0.5mg/kgを超える用量)でその化合物を投与し、代謝が起こるのに十分な時間(典型的に、約30秒〜30時間)を与え、その転換生成物を尿、血液または他の生物学的サンプルから単離することによって確認される。これらの生成物は、標識されているために、容易に単離される(他は、代謝産物中に残存するエピトープを結合し得る抗体の使用によって単離される)。代謝産物の構造は、従来の様式で(例えば、MSまたはNMR分析により)決定される。一般に、代謝産物の分析は、当業者に周知である、従来の薬物代謝実験と同じ方法でなされ得る。転換生成物は、インビボで他の場合に見出されない限り、それら自体の生物学的活性を有さない場合であったとしても、本発明の化合物の治療的投薬についての診断アッセイに有用である。
【0213】
(E.本発明の薬学的組成物)
本発明の化合物はニートで投与されることが可能であるが、これらの化合物を薬学的組成物として処方することが好ましい。そのようなものとして、本発明のさらに別の局面において、本発明の方法に有用な薬学的組成物が提供される。本発明の薬学的組成物は、特定の投与様式および投薬形態に応じて、薬学的に受容可能な賦形剤(例えば、キャリアー、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤など)と共に処方され得る。薬学的組成物は、一般的に、処方および投薬経路に依存して、生理学的に適合し得るpHを達成するように処方されるべきであり、約3のpH〜約11のpH、好ましくは、pH約3〜pH約7の範囲に及び得る。別の実施形態において、pHは、pH約4〜pH約7の範囲に調節され得る。代替的な実施形態において、pHは、pH約5〜pH約8の範囲に調節されることが好ましくあり得る。
【0214】
より詳しくは、本発明の薬学的組成物は、治療有効量もしくは予防有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を、1種以上の薬学的に受容可能な賦形剤と共に含む。必要に応じて、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の組合せを含み得るか、または、癌、糖尿病網膜症または滲出性黄班変性の処置に有用な第二活性成分を含み得る。
【0215】
1つの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、式(I)〜式(VIII)の化合物からなる群より選択される化合物、またはこの化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む。より好ましい実施形態において、本発明の薬学的組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤ならびに化合物番号:2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23および24からなる群より選択される化合物を含む。
【0216】
本発明の処方物(例えば、非経口投与または経口投与のための処方物)は、最も典型的に、固体、溶液、乳濁液または懸濁液であるが、経肺投与のための吸入可能な処方物は、一般的に、液体または粉末であり、一般的に、粉末処方物が好ましい。本発明の好ましい薬学的組成物はまた、投与前に、生理学的に適合し得る溶媒で再構成される凍結乾燥した固体として処方され得る。本発明の代替的な薬学的組成物は、シロップ剤、クリーム剤、軟膏、錠剤などとして処方され得る。
【0217】
用語「薬学的に受容可能な賦形剤」は、製薬物質(例えば、本発明の化合物)の投与のための賦形剤をいう。この用語は、過度な毒性なしに投与され得るあらゆる薬学的賦形剤をいう。薬学的に受容可能な賦形剤は、投与される特定の組成物により、そして、その組成物を投与するために使用される特定の方法により、ある程度決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の広範な種々の適切な処方が存在する(例えば、Remington‘s Pharmaceutical Sciencesを参照のこと)。
【0218】
適切な賦形剤は、大型のゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および不活性なウィルス粒子を含むキャリアー分子であり得る。他の例示的な賦形剤としては、酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸);キレート剤(例えば、EDTA);炭水化物(例えば、デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸);液体(例えば、油、水、生理食塩水、グリセリンおよびエタノール);湿潤剤または乳化剤;pH緩衝物質などが挙げられる。リポソームもまた、薬学的に受容可能な賦形剤の定義内に含まれる。
【0219】
本発明の薬学的組成物は、意図される投与方法に適した任意の形態で処方され得る。経口使用に向けられる場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、非水性溶剤、分散可能な粉剤もしくは顆粒剤(微粉化粒子もしくはナノ粒子を含む)、乳剤、硬もしくは軟カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤が調製され得る。経口使用に向けられる組成物は、薬学的組成物の製造についての当該技術分野に公知の任意の方法に従って調製され得、そのような組成物は、美味な調製物を提供するために、甘味剤、矯味矯臭剤、着色剤および保存剤を含む1種以上の物質を含み得る。
【0220】
特に錠剤との使用に適した薬学的に受容可能な賦形剤としては、例えば、不活性な希釈剤(例えば、セルロース、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム);崩壊剤(例えば、クロスカルメロースナトリウム(croscarmellose sodium)、架橋ポビドン、トウモロコシデンプンまたはアルギン酸);結合剤(例えば、ポビドン、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム);および潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)が挙げられる。錠剤は、被覆されていなくてもよく、または胃腸管における崩壊および吸収を遅らせて、それにより、より長期にわたり持続される作用を提供するために、公知の技術(マイクロカプセル化を含む)によって被覆されていてもよい。例えば、遅延性物質(例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリン)が、単独で、または蝋と共に、使用され得る。
【0221】
経口利用のための処方物もまた、活性成分が不活性な固体希釈剤(例えば、セルロース、ラクトース、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される、硬質ゼラチンカプセルとして、または活性成分が非水性もしくは油性媒体(例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合される、軟質ゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0222】
別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、懸濁剤の製造に適した少なくとも1種の薬学的に受容可能な賦形剤と混合して、本発明の化合物を含む懸濁剤として処方され得る。さらに別の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、適切な賦形剤を加えることによる懸濁剤の調製に適した分散可能な粉剤および顆粒剤として調製され得る。
【0223】
懸濁剤と関連した使用に適した賦形剤としては、懸濁化剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ガムトラガカント、アラビアゴム、分散剤もしくは湿潤剤(例えば、天然のホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪酸アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール(heptadecaethyleneoxycethanol))、エチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン);および増粘剤(例えば、カルボマー、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコール)が挙げられる。これらの懸濁剤はまた、1種以上の保存剤(例えば、酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸メチルおよび/またはp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル);1種以上の着色剤;1種以上の矯味矯臭剤;および1種以上の甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン)を含む。
【0224】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油乳剤の形態であり得る。油相は、植物油(例えば、オリーブ油または落花生油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)またはこれらの混合物であり得る。適切な乳化剤としては、天然ガム(例えば、アラビアゴムおよびガムトラガカント);天然ホスファチド(例えば、ダイズレシチン、脂肪酸由来のエステルもしくは部分エステル);ヘキシトール無水物(例えば、モノオレイン酸ソルビタン);およびこれらの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。この乳剤はまた、甘味剤および矯味矯臭剤も含み得る。シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤(例えば、グリセロール、ソルビトールまたはスクロース)と共に処方され得る。そのような処方物はまた、緩和剤、保存剤、矯味矯臭剤または着色剤も含み得る。
【0225】
さらに、本発明の薬学的組成物は、無菌の注射可能な調製物(例えば、無菌の注射可能な水性乳剤または油性懸濁剤)の形態であり得る。この乳剤または懸濁剤は、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤(例えば、上述した分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤)を使用して、公知の技術に従って処方され得る。無菌の注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌の注射可能溶液または懸濁剤(例えば、1,2−プロパン−ジオール中の溶液)であり得る。この無菌の注射可能調製物はまた、凍結乾燥された粉剤として調製され得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、無菌の不揮発性油が、溶媒もしくは懸濁化媒体として使用され得る。この目的のために、任意の無刺激性不揮発性油(合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む)が使用され得る。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が、注射可能物の調製に、同様に使用され得る。
【0226】
一般的に、本発明の方法に有用な本発明の化合物は、実質的に水に不溶であり、殆どの薬学的に受容可能なプロトン性溶媒および植物油に僅かに可溶である。しかしながら、これらの化合物は、一般的に、中鎖脂肪酸(例えば、カプリル酸およびカプリン酸)またはトリグリセリドに可溶であり、中鎖脂肪酸のプロピレングリコールエステル中で高い溶解度を有する。また、本発明で企図されるのは、送達により適するように(例えば、溶解度、生物活性、美味性を増大させ、有害反応などを低減させるように)、例えば、エステル化、グリコシル化またはPEG化などによる化学的部分もしくは生化学的部分の置換もしくは付加によって改変された化合物である。
【0227】
好ましい実施形態において、本発明の化合物は、低溶解度化合物に適した脂質ベースの処方物での経口投与のために処方され得る。脂質ベースの処方物は、一般的に、そのような化合物の経口生物学的利用能を高め得る。そのようなものとして、本発明の好ましい薬学的組成物は、治療有効量もしくは予防有効量の本発明の化合物を、少なくとも1種の:中鎖脂肪酸またはそのプロピレングリコールエステル(例えば、食用脂肪酸(例えば、カプリル脂肪酸およびカプリン脂肪酸)のプロピレングリコールエステル)からなる群より選択される薬学的に受容可能な賦形剤、および薬学的に受容可能な界面活性剤(例えば、ポリオキシル40硬化ヒマシ油)と共に含む。
【0228】
代替的な好ましい実施形態において、シクロデキストリンが、水溶解度エンハンサーとして加えられ得る。好ましいシクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンの、ヒドロキシプロピル誘導体、ヒドロキシエチル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体およびマルトトリオシル誘導体が挙げられる。特に好ましいシクロデキストリン溶解度エンハンサーは、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPBC)であり、本発明の化合物の水溶解度特性をさらに改善するために、任意の上記組成物に加えられ得る。1つの実施形態において、この組成物は、0.1%〜20%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、より好ましくは、1%〜15%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、さらにより好ましくは、2.5%〜10%ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含む。使用される溶解度エンハンサーの量は、組成物中の本発明の化合物の量に依存する。
【0229】
(F.併用療法)
本発明の任意の化合物を、処置を必要とする患者への同時投与または逐次的投与に向けられる単一の投薬形態、または分離した投薬形態の、癌の処置に有用な1種以上の他の活性成分(化合物を含む)と組み合わせることも可能である。逐次的に投与される場合、その組み合わせは、2回以上の投与で投与され得る。代替の実施形態において、1種以上の本発明の化合物および1種以上のさらなる活性成分を、異なる経路により投与することが可能である。
【0230】
当業者は、本発明の化合物のVEGF阻害および/または抗脈管形成活性を増強または相乗的に向上させるように作用し得る種々の活性成分が、本発明の化合物と組み合わせて投与され得ることを理解する。
【0231】
本発明の方法に従い、活性成分の組み合わせは:(1)共に処方され(co−formulated)、組み合わせた処方物で同時に投与または送達され得る:(2)分離した処方物として交互にまたは並行して送達され得る;または(3)当該技術分野で公知のあらゆる他の併用療法レジメンによってであり得る。交互療法で送達される場合、本発明の方法は、活性成分を(例えば、分離した溶剤、乳剤、懸濁剤、錠剤、丸剤またはカプセル剤で)逐次的に、あるいは別々の注射器で異なる注射によって、投与または送達する工程を包含し得る。一般に、交互療法の間、各活性成分の有効投薬量は、逐次的(すなわち、連続的)に投与され、一方、同時療法では、2種以上の活性成分の有効投薬量が一緒に投与される。断続的な併用療法の種々の順序もまた、使用され得る。
【0232】
本発明を理解するのを助けるために、以下の実施例が含まれる。本発明に関連する実験は、当然ながら、具体的に本発明を限定していると解釈されるべきではなく、当業者の理解の範囲内にある、現在公知であるかまたは後に開発されるような本発明の変形物は、本明細書中に記載され、特許請求の範囲で請求される、本発明の範囲内に入ると見なされる。
【実施例】
【0233】
本発明は、本発明をさらに十分に例示するために提供される、以下の非限定的な実施例を参照して、より詳細に記載されるが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。実施例は、本発明の特定の化合物の調製、インビトロおよび/またはインビボでのこれらの化合物の試験を例示する。当業者は、これらの実施例に記載される技術が本発明の実施において十分に機能するように、本発明者らによって記載された技術を描写し、そのようなものとして、本発明の実施のための好ましい形態を構成することを理解する。しかしながら、当業者は、本開示を考慮して、多くの変更が開示される特定の方法に成され得、それでも尚、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、同様な結果または類似の結果が得られることを認識すべきであることが理解されるべきである。
【0234】
(実施例1:本発明の化合物の調製)
本発明の化合物は、上記の一般スキームに従って調製され得る。例として、本発明の特定の好ましい化合物は、以下の通りに調製され得る。本発明の他の好ましい化合物(例えば、以下の表1の化合物)が、同様に調製され得る。
【0235】
(A.6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−カルバゾール−1−オン(化合物1))
【0236】
【化64】

メタノールの溶液(MeOH、250mL)中の4−ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩を、60℃にて1.5時間かけて、AcOH(225mL)と濃HCl(80mL)との混合物中の1,2−シクロヘキサンジオン(10.03g、89mmol)の溶液に加える。添加後、この反応混合物を、室温にて一晩中攪拌する。沈殿した固体を濾過し、MeOHで洗浄し、乾燥させる。濾液をエバポレートすると残渣を生じ、この残渣をMeOHで洗浄すると、さらなる生成物を得る。合わせた収量は、8.75g(74%)である。ES−MS:264.03(MH)
【0237】
化合物31、26,25、54および118を、それぞれ4−トリフルオロフェニルヒドラジン、4−クロロフェニルヒドラジン、4−トリフルオロメトキシフェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、2−ブロモフェニルヒドラジンおよび3−ブロモフェニルヒドラジンを使用して、同じ手順により合成する。化合物39もまた、この手順により、4−ブロモフェニルヒドラジンおよびシクロヘキサノンを使用して合成する。化合物10を、4−ブロモフェニルヒドラジンおよび1−フェニル−ブタン−2−オンを使用して合成する。
【0238】
(B.6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−カルバゾール−1−オンオキシム(化合物41))
【0239】
【化65】

化合物41を、以下の通り、化合物1から調製する。ピリジン(5.64ml、39.8mmol)を、エタノール(EtOH)中の化合物1(5.25g、19.9mmol)とヒドロキシルアミンHCl塩(2.76g、39.8mmol)との混合物に加える。この混合物を、約1時間還流させ、固体を加熱することにより溶解させる。次いで、この反応混合物を濃縮乾固する。得られた粘着性の固体を処理し、ヘキサンで洗浄(3回)して、黄褐色の粉末の化合物41(6.1g、100%)を得る。
【0240】
化合物44、52および55を、化合物41の手順と同じ手順により合成する。
【0241】
(C.6−ブロモ−9−メチル−2,3,4,9−テトラヒドロ−カルバゾール−1−オン(化合物53))
化合物53を以下の通りに調製し得る。
【0242】
【化66】

NaH(鉱油中60%、0.18g、4,5mmol)を、0℃にてN,N−ジメチルホルムアミド(DMF、20ml)中の1(0.795g、3.0mmol)の溶液に加える。この混合物を、室温にて30分間攪拌し、MeI(0.56ml、9.0mmol)を加える。この混合物を、室温にて2日間攪拌し、水でクエンチし、濃縮して、ほとんどのDMFを除去する。残留物を、EtOAcに溶解させ、飽和NHClおよびブラインで洗浄する。有機物を濃縮し、クロマトグラフィー法(ヘキサン中の10%EtOAc)で分離して、白色固体として53(0.27g、34%)を得る。
【0243】
(D.6−ブロモ−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−カルバゾール−9−カルボン酸tert−ブチルエステル(化合物36))
【0244】
【化67】

DMAP(ジメチルアミノピリジン、0.55g、4.5mmol)を、THF(テトラヒドロフラン、30ml)中の1(0.795g、3.0mmol)とBoc無水物(ピロ炭酸ジ−tert−ブチル、0.785g、3,6mmol)との溶液に加える。室温にて2日間攪拌した後、この溶液を濃縮する。残留物を酢酸エチル(EtOAc)に溶解させ、飽和NHClおよびブラインで洗浄する。溶媒をエバポレートして、油状物として36(1.148g、100%)を得る。
【0245】
(E.1−(6−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−カルバゾール−9−イル)−エタノン(化合物48))
【0246】
【化68】

酢酸(3ml)中の39(0.75g、3.0mmol)の懸濁液に、塩化アセチル(0.21ml、3.0mmol)を加える。この混合物を加熱して還流させ、その結果、透明な溶液を得る。2時間後、反応溶液を、室温(rt)まで冷却する。固体を沈殿させる。この固体48を濾過し、ヘキサンで洗浄する(2回)(0.24g、27%)。
【0247】
(F.6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−b−カルボリン−1−オン(化合物9))
【0248】
【化69】

トリエチルアミン(10.92mmol、1.52mL)およびトリホスゲン(2.4mmol、712mg)を、0℃にて25mLのジクロロメタン中のブロモトリプタミン(1g、3.64mmol)の懸濁液に加える。この懸濁液を、室温にて約1時間攪拌し、真空下で濃縮する。残留物を20mLのAcOHで再溶解させ、この溶液を、120℃にて2時間、油浴中で還流し、続いて濃縮する。次いで、1N NaOHを加え、水性混合物をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機層をKCOで乾燥させる。濃縮した残留物を酢酸エチルから再結晶化し、所望の生成物(例えば、370mg)を得る。母液を濃縮し、ヘキサン中の50%酢酸エチルでシリカを用いて精製して、さらなる量(例えば、220mg)の所望の生成物9を得る。合計590mg(61%)。
【0249】
化合物5を同様に調製し得る。
【0250】
(G.1−(6−クロロ−1,3,4,9−テトラヒドロ−β−カルボリン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノン)
【0251】
【化70】

5−クロロトリプタミン塩酸塩(1.2g、5.14mmol)を、アセトニトリル中5%トリフルオロ酢酸に溶解させ、窒素下で加熱して還流させる。アセトニトリル(25mL)中のホルムアルデヒド水(37%、385μL、5.14mmol)の溶液を、加熱した反応混合物に15分かけて滴下する。3時間加熱した後、溶媒を真空中で除去し、粗混合物を酢酸エチル(200mL)中に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水(2×50mL)で洗浄し、次いで、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒を真空中で除去し、ヘキサン中10%〜20%の酢酸エチルの勾配で、シリカゲルカラムを用いて精製する。生成物(200mg、18%)を、黄色の油状物として回収する。LC/MS RT=3.67。M/Z+305、33%;303、100%;190、50%。
【0252】
(H.2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン)
【0253】
【化71】

トリプタミン(1.0g、6.24mmol)を、アセトニトリル(100mL)中の5%トリフルオロ酢酸中に懸濁させ、加熱して還流させる。アセトニトリル(25mL)中のホルムアルデヒド水溶液(37%、465μL、6.24mmol)を、30分かけて加熱した反応混合物に滴下する。24時間加熱した後、溶媒を真空中で除去し、粗混合物を、酢酸エチル(50mL)に溶解させ、飽和炭酸水素ナトリウム水(2×50mL)で洗浄し、次いで、ブライン(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。粗褐色油状物(1.4g)を、さらなる精製なしに、下流の合成で使用する。LC/MS RT=1.64分。M/Z+173、20%;145、20%;144、100%。
【0254】
(I:6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン)
【0255】
【化72】

5−クロロトリプタミン塩酸塩(2.0g、8.65mmol)およびジメトキシメタン(850μL、9.52mmol)を、氷酢酸(50mL)に溶解させ、窒素下で80℃まで加熱する。この反応物を、68時間攪拌し、室温まで冷却させる。沈殿物を濾過し、アセトニトリル(50mL)で洗浄し、真空中で乾燥させて、酢酸塩(1.68g、73%)として生成物を得る。LC/MS RT=2.02分。M/Z−207、33%;205、100%。
【0256】
(J.6−ブロモ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリン−3−カルボン酸エチルエステル(化合物116))
【0257】
【化73】

5−ブロモトリプトファンエチルエステル(685mg、2.2mmol)およびジメトキシエタン(215μL、2.42mmol)を氷酢酸(14mL)に溶解させる。この溶液を7部分に分割し、CEM Explorerマイクロ波合成システム(CEM Corporation, Matthews,NC)中で10分間、120℃まで加熱する。室温まで冷却した後、沈殿物を濾過し、酢酸(10mL)で洗浄し、3日間、窒素流下で洗浄する。この生成物116を、酢酸塩(459mg、54%)として回収する。LC/MS RT=2.24分。M/Z−323、100%;321、100%。
【0258】
(K.6−クロロ−1,3,4,9−テトラヒドロ−β−カルボリン−2−カルボン酸エチルエステル(化合物62、64))
【0259】
【化74】

6−クロロ−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−β−カルボリンの酢酸塩(1.79g、8.65mmol)とトリエチルアミン(6mL、43.3mmol)とを、窒素下で室温にて乾燥THF(100mL)に溶解させ、15分間攪拌する。クロロギ酸エチルを加え、この反応物を一晩攪拌し、塩を濾過して取り除き、溶媒を真空中で除去する。ヘキサン中の10%〜25%の酢酸エチルの勾配を使用したシリカゲルカラムクロマトグラフィによる精製により、オフホワイトの固体として所望の化合物(1.0g、42%)を得る。LC/MS RT=3.56分。M/Z+281、33%;279、100%。(114、116、117、118、119)
化合物46を同様に合成し得る。
【0260】
(L.6−クロロ−3,4−ジヒドロ−1H−β−カルボリン−2,9−ジカルボン酸ジエチルエステル)
表題の化合物を、化合物64が単離されるのと同じシリカゲルカラムから単離する。LC/MS RT=4.17分。M/Z+353、33%;351、100%。
【0261】
(M.9−ベンジル−6−クロロ−1,3,4,9−テトラヒドロ−b−カルボリン−2−カルボン酸エチルエステル)
【0262】
【化75】

化合物64(56mg、0.2mmol)、触媒量のヨウ化カリウムおよび臭化ベンジル(50μL、0.4mmol)を、室温にてTHF(5mL)に溶解/懸濁させる。鉱油中の水素化ナトリウム(60%、25mg、0.6mmol)をこの反応物に加え、30分間室温にて攪拌する。1N HCl水(1mL)および水(8mL)を加え、得られた溶液をジクロロメタン(5mL、次いで2mL)で洗浄する。溶媒を窒素流下で乾燥させ、分取HPLCにより精製する。この最終化合物(32mg、43%)を、ガラス状の黄色固体として回収する。LC/MS RT=4.22分。M/Z+371、33%、369、100%。
【0263】
(N.9−ベンゾイル−6−クロロ−1,3,4,9−テトラヒドロ−b−カルボリン−2−カルボン酸エチルエステル(化合物86))
【0264】
【化76】

化合物64(56mg、0.2mmol)、触媒量の4−(ジメチルアミノ)ピリジンおよび塩化ベンゾイル(46.5μL、0.4mmol)を、室温にてTHF(5mL)に溶解/懸濁させる。鉱油中の水素化ナトリウム(60%、25mg、0.6mmol)を反応物に加え、室温にて20時間攪拌する。1N HCl水(1mL)および水(8mL)を加え、得られた溶液をジクロロメタン(5mL、次いで2mL)で洗浄する。溶媒を窒素流下で乾燥させ、分取HPLCにより精製する。最終化合物86(2mg、2%)を、ガラス状の黄色の固体として回収する。LC/MS RT=4.17分。M/Z+385、33%;383、100%。
【0265】
化合物40、57、58、59、62、63、64、87、88を、同様に合成し得る。
【0266】
(O.8−ブロモ−2,3−ジヒドロ−1H−ジベンゾフラン−4−オン(化合物47))
【0267】
【化77】

CO(4.15g、30mmol)を、DMF(50mL)中の4−ブロモ−フェノール(2.595g、15.0mmol)と3−ブロモ−シクロヘキセン(1.93ml、15.0mmol)との溶液に加える。室温にて一晩中攪拌後、この混合物を濃縮し、EtOAcに溶解させ、水およびブラインで洗浄する。有機物を濃縮して、茶色がかった油状物としてエーテル(3.80g、100%)を得る。
【0268】
N,N−ジエチル−アニリン(10ml)中のエーテル(1.8g、7.1mmol)の溶液を、200℃にて7時間、加熱する。この混合物を、室温まで冷却し、冷6N HCl(50ml)に注ぎ、エーテルで抽出する(2回)。合わせた有機物を、1N HClおよびブラインで洗浄し、濃縮し、クロマトグラフィー法(ヘキサン中10%EtOAc)で分離して、透明な油状物として4−ブロモ−2−シクロヘキセ−2−エニル−フェノール(1.70g、94,4%)を得る。
【0269】
ベンゼン中のフェノールとMCPBA(メタクロロペル安息香酸、3−クロロペル安息香酸)との溶液を、一晩中還流させる。固体を沈殿させ、濾過する。濾過した溶液を濃縮し、クロマトグラフィー法(ヘキサン中10%EtOAc)で分離して、透明な油状物として8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ジベンゾフラン−4−オール(0.66g、39%)を得る。
【0270】
DDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、100mg、0.44mmol)を、キシレン(3.0ml)中のアルコール(70mg、0.26mmol)の溶液に加える。この溶液は暗赤色に変わり、6時間還流させる。この暗赤色が消え、淡褐色の固体が沈殿する。この混合物を濾過する。この濾液を濃縮し、クロマトグラフィー法で分離して、白色の固体として47(50mg、72%)を得る。
【0271】
(P.1−(5−クロロ−3,8−ジヒドロ−2H−ピロロ[2,3−b]インドール−1−イル)−エタノン(化合物48、49))
【0272】
【化78】

TEA(0.84ml、6.0mmol)および無水酢酸(0.24ml、2.5mmol)を、THF(20ml)中の5−クロロ−トリプタミン塩酸塩(0.531g、2.3mmol)の懸濁液に加える。一晩中室温にて攪拌した後、この混合物をrotavapで濃縮し、EtOAcに溶解させ、水およびブラインで洗浄する。有機物を乾燥させ、油状物として49(0.539g、99%)に濃縮させる。
【0273】
(Q.(5−ブロモ−1H−インドール−2−イルメチル)−フェニル−アミン(化合物28、29))
【0274】
【化79】

DMAP(22mg、0.2mmol)およびDCC(0.535mg、2.6mmol)を、0℃にてDCM(10mL)中の5−ブロモ−1H−インドール−2−カルボン酸(0.48g、2.0mmol)およびアニリン(0.20ml、2.2mmol)との混合物に加える。この混合物を、室温にて2時間攪拌させ、次いで、rotavapによって濃縮する。残留物のクロマトグラフィー(ヘキサン中の5%EtOAc)により、帯黄色の固体として28(0.44g、70%)を得る。
【0275】
THF(10mL)中のアミド28の溶液を、0℃にてエーテル(10ml)中のLAH(水素化アルミニウムリチウム、83mg、2.2mmol)の懸濁液に加える。この混合物を、50℃にて一晩中加熱する。この反応混合物を水(0.08ml)、20%NaOH(0.06ml)および水(0.28ml)で、逐次的にクエンチする。白色の固体を濾過し、THFで洗浄する。この濾液を濃縮する。残留物をクロマトグラフィー(ヘキサン中の10%EtOAc)で分離して、黄−褐色固体として29(0.181g、54%)を得る。
【0276】
(R.2−[(5−クロロ−1H−インドール−3−イルメチル)−アミノ]−1−フェニル−エタノール(化合物43、45))
【0277】
【化80】

トルエン(70ml)中の5−クロロ−1H−3−カルバルデヒド(0.568g、3.16mmol)と2−アミノ−1−フェニル−エタノール(0.442g、3.22mmol)との混合物を、Dean−Stark装置中で還流させる。固体を、加熱することにより溶解させる。16時間後、この反応混合物を濃縮して、帯黄色の固体として43(0.93g、99%)を得る。
【0278】
NaBH(1.50g、40mmol)を、分割して、0℃にてMeOH(25ml)中のイミン43(0.596g、2.0mmol)の懸濁液に加える。室温にて一晩中攪拌した後、この混合物を、水でクエンチし、rotavapで濃縮して、ほとんどのMeOHを除去し、EtOAcで抽出する(3回)。合わせた有機物を濃縮して固体を得、この固体をエーテルで洗浄して(3回)、白色固体として45(0.209g、94%)を得る。
【0279】
(実施例2:低酸素誘導性の内因性VEGFの発現に対する効果を評価するアッセイ)
本発明の化合物が有する、低酸素誘導性の内因性VEGFの発現を調整する能力を、以下の通りに分析し得る。VEGFタンパク質レベルを、ELISAアッセイ(R&D Systems)によりモニターする。簡潔に説明すると、本発明の化合物の存在下または不在下で、低酸素条件(1%酸素、5%CO、残りは窒素)下で24時間〜48時間、HeLa細胞を培養する。馴化培地をELISAによりアッセイし、VEGFの濃度を、各アッセイの標準ELISA曲線から算定する。
【0280】
用量−応答分析を、ELISAアッセイおよび上記の条件を用いて実施する。用量−応答ELISAの条件は、上記の条件に類似する。一連の濃度(例えば、7つの異なる濃度)を分析し得る。VEGF発現の阻害が細胞毒性によるものではないことを確実にするために、並行して、用量−応答細胞毒性アッセイを、ELISAと同じ条件下でCellTiter Glo(Promega)を用いて実施し得る。用量−応答曲線を、阻害対化合物濃度の百分率を使用してプロットし得、EC50およびCC50の値が、最大の阻害を100%、最小の阻害を0%として設定して、各化合物について得られ得る。本発明の好ましい化合物は、50未満のEC50、好ましくは10未満のEC50、より好ましくは2未満のEC50、さらにより好ましくは1未満のEC50、更により好ましくは0.5未満のEC50を有する。
【0281】
本発明の一連の好ましい化合物についてのEC50を、表1に提供する。
【0282】
【化80−1】

【0283】
【化80−2】

【0284】
【化80−3】

【0285】
【化80−4】

【0286】
【化80−5】

【0287】
【化80−6】

【0288】
【化80−7】

【0289】
【化80−8】

【0290】
【化80−9】

【0291】
【化80−10】

【0292】
【化80−11】

【0293】
【化80−12】

【0294】
【化80−13】

【0295】
【化80−14】

【0296】
【化80−15】

【0297】
【化80−16】

【0298】
【化80−17】

【0299】
【化80−18】

【0300】
【化80−19】

【0301】
【化80−20】

【0302】
【化80−21】

【0303】
【化80−22】

【0304】
【化80−23】

(実施例3:本発明の化合物はPDモデル中のインビボ腫瘍増殖を阻害する)
本発明の化合物はまた、腫瘍内のVEGFレベルを評価する以下の薬力学的モデルにおける活性を示す。簡潔に説明すると、HT1080細胞(ヒト線維肉腫細胞株)を、ヌードマウスに皮下移植し得る。7日後、化合物を望ましい投薬量範囲(例えば、200mg/kg/日)で7日間、マウスに経口投与する。次いで、腫瘍をマウスから摘出し、プロテイナーゼインヒビターを含有するTris−HCl緩衝液中で均質化する(98)。次に、腫瘍内VEGFレベルを、ヒトVEGF ELISAキット(R&D System)を使用して測定する。ホモジェネートのタンパク質濃度を、Bio−Radタンパク質アッセイキットで測定し、腫瘍内VEGFレベルをタンパク質濃度と一致させる。
【0305】
本発明の好ましい化合物は、100mmの腫瘍に対して1週間使用される場合、ビヒクル処置したコントロール群(データは示されていない)と比較して、一般的に、腫瘍増殖を少なくとも50%阻害する。
【0306】
【表1−1】

【0307】
【表1−2】

【0308】
【表1−3】

【0309】
【表1−4】

【0310】
【表1−5】

【0311】
【表1−6】

【0312】
【表1−7】

【0313】
【表1−8】

【0314】
【表1−9】

【0315】
【表1−10】

【0316】
【表1−11】

【0317】
【表1−12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
Xは、ヒドロキシ基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルコキシ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;必要に応じて置換されているアミン;必要に応じて置換されているカルボニル;あるいは、必要に応じて置換されているスルホニルであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、またはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cのアリール基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;あるいは、S(O)−アリールであり;
は、水素;C〜Cアルキルであるか;あるいは、Rと一緒になり得;
は、水素;C〜Cアルキル;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であるか;あるいは、Rは、Rと一緒になって(=O)、=N−R、またはC〜Cアルキル−C〜Cアリール基もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているシクロアルキル基を形成し得;
およびRは、各々独立して、水素;C〜Cアルキル基であり得るか;あるいは、RおよびRは、一緒になって、=CH−シクロアルキル、=CH−アミノ;または=CH−アリールを形成し得、ここで該シクロアルキルおよびアリール基は、少なくとも1つのハロゲン基、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、−CF、−OCF、−NO、−CNまたは−N(CHで必要に応じて置換されており、該アミノ基は、少なくとも1つのC〜Cアルキル基で必要に応じて置換されており;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;そして
nは、0、1、2、3または4である、
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、Xが、F、Cl、Br、−CH、−CH−CH、−CF、および−O−CFからなる群より選択され、nが1である、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、Xが、ClおよびBrからなる群より選択され、nが1である、化合物。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物であって、一緒になったRおよびRが:
【化2】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物であって、Rが、水素である、化合物。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物であって、RおよびRが一緒に:
【化3】

を形成する、化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物であって、一緒になったRおよびRが:
【化4】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、RおよびRが、共にHである、化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物であって、RおよびRが、独立して、水素およびC〜Cアルキル基からなる群より選択される、化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が、式(Ia):
【化5】

の化合物である、化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物が、式(Ib):
【化6】

の化合物である、化合物。
【請求項12】
式(II):
【化7】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
はハロゲンであり;そして
は、5員〜6員のヘテロアリール基である;
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項13】
式(III):
【化8】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
Xは、ヒドロキシル基;ハロゲン;ニトロ基;シアノ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルコキシ基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;必要に応じて置換されているアミン;必要に応じて置換されているカルボニル;または必要に応じて置換されているスルホニルであり;
は、Hまたは−C(O)O−(C〜Cアルキル)であり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基;−C(O)−R;−C(O)OR−aa;または−S(O)−アリールであり;
は、水素;C〜Cアルキルであるか;あるいは、Rと一緒になり得;
は、水素;C〜Cアルキル;少なくとも1つのハロゲンまたはC〜Cアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であるか;あるいは、Rは、Rと一緒になって(=O)、=N−R、またはC〜Cアルキル−C〜Cアリール基もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているシクロアルキル基を形成し得;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;
nは、0、1、2、3または4であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基が少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;そして
は、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルである、
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物であって、Xが、BrおよびClからなる群より選択され;そしてnが1である、化合物。
【請求項15】
請求項13に記載の化合物であって、nが0である、化合物。
【請求項16】
請求項13に記載の化合物であって、一緒になったRおよびR
【化9】

からなる群より選択される、化合物。
【請求項17】
請求項13に記載の化合物であって、RおよびRが、独立して選択されるC〜Cアルキル基である、化合物。
【請求項18】
請求項13に記載の化合物であって、RおよびRが、共に水素である、化合物。
【請求項19】
請求項13に記載の化合物であって、RおよびRが、共にメチル基である、化合物。
【請求項20】
請求項13に記載の化合物であって、Rが:
【化10】

である、化合物。
【請求項21】
請求項13に記載の化合物であって、Rが水素である、化合物。
【請求項22】
請求項13に記載の化合物であって、一緒になったRおよびRがシクロヘキシル基を形成し、ここで該シクロヘキシル基は必要に応じて置換されて、式(IIIa):
【化11】

の化合物、または式(IIIa)の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体を形成し、ここで
は、水素、フェニル、またはベンジル基である、
化合物。
【請求項23】
請求項22に記載の化合物であって、Rが水素である、化合物。
【請求項24】
請求項22に記載の化合物であって、Rがフェニルである、化合物。
【請求項25】
請求項13に記載の化合物であって、一緒になったRおよびRが、それらが結合する環と共にカルボニル基を形成し、該化合物が、式(IIIb):
【化12】

の化合物、または式(IIIb)を有する該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体である、化合物。
【請求項26】
式(IV):
【化13】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
はハロゲンであり;そして
は、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基である、
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項27】
請求項26に記載の化合物であって、Rが、少なくとも1つのアルコキシ基で置換されているフェニル基である、化合物。
【請求項28】
請求項26に記載の化合物であって、Rが、少なくとも1つのハロゲンで置換されているフェニル基である、化合物。
【請求項29】
式(V):
【化14】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
はハロゲンであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、またはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cのアリール基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;あるいは、−S(O)−アリールであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基が少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルであり;そして
は、水素、フェニル、または−OHである
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項30】
請求項29に記載の化合物であって、Rが水素である、化合物。
【請求項31】
請求項29に記載の化合物であって、Rがフェニルである、化合物。
【請求項32】
請求項29に記載の化合物であって、Rが−OHである、化合物。
【請求項33】
請求項29に記載の化合物であって、Rが−C(O)O−アルキルである、化合物。
【請求項34】
式(VI):
【化15】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
はハロゲンであり;
は、水素;少なくとも1つのハロゲン、もしくはC〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基;少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基;−C(O)−R;−C(O)ORaa;または−S(O)−アリールであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CN、もしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
aaは、C〜Cアルキル基;ナフチル基;−CF;または、少なくとも1つのハロゲン、C〜Cアルキル基、C〜Cアルコキシ基、ナフチル基、−CF、−OCF、−NO、−CNもしくは−N(CHで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、ヒドロキシル基またはピロリル基であり;
は、水素;C〜Cアリール基で必要に応じて置換されているC〜Cアルキル基であって、該アリール基は少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されている、C〜Cアルキル基;−C(O)−R;−C(O)O−Raa;−C(O)−NH−R;または少なくとも1つのハロゲンで必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;そして
は、C〜Cアルキル、またはC〜Cシクロアルキルである
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項35】
請求項34に記載の化合物であって、Rが水素であり、そしてRが−C(O)−Rであり、ここでRは、C〜Cアルキル基またはフェニル基である、化合物。
【請求項36】
式(VII):
【化16】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
がハロゲンである、
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項37】
式(VIII):
【化17】

の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、ここで
は、ハロゲンであり;
は、水素または−C(O)−アルキルであり;
10は、水素;−CH−R;−C(O)−NH−R;または−CH−NH−Rであり;
11は、水素;C〜Cアルキル基;−CH=N−CH−CH(OH)−R;または−(CH−NH−Rであり;
は、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
は、−C(O)−R、または−(CH−CH(OH)−Rffであり;
は、C〜Cアルキル基;C〜Cアルコキシ基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
ffは、C〜Cアルキル基;ピリジニル基;C〜Cヘテロアリール基;または、少なくとも1つのハロゲンもしくはアルコキシ基で必要に応じて置換されているC〜Cアリール基であり;
mは、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;そして
pは、1、2または3である
化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項38】
請求項37に記載の化合物であって、Xが、塩素または臭素である、化合物。
【請求項39】
請求項37に記載の化合物であって、Rが、水素または
【化18】

である、化合物。
【請求項40】
請求項37に記載の化合物であって、R11が、−(CH−NH−Rである、化合物。
【請求項41】
請求項40に記載の化合物であって、R
【化19】

である、化合物。
【請求項42】
請求項37に記載の化合物であって、R10が、−CH−Rである、化合物。
【請求項43】
請求項37に記載の化合物であって、R10が、−C(O)−NH−Rである、化合物。
【請求項44】
請求項37に記載の化合物であって、R10が、−CH−NH−Rである、化合物。
【請求項45】
請求項37に記載の化合物であって、R11が、C〜Cアルキル基である、化合物。
【請求項46】
請求項37に記載の化合物であって、R11が、−CH=N−CH−CH(OH)−R基である、化合物。
【請求項47】
請求項37に記載の化合物であって、R11が、−(CH−NH−R基である、化合物。
【請求項48】
化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される、化合物、または該化合物のいずれかの薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項49】
請求項1〜48のいずれかに記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、該化合物が、約75%より高く鏡像異性体として純粋である、化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項50】
請求項1〜48のいずれかに記載の化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体であって、該化合物が、約90%より高く鏡像異性体として純粋である、化合物、または該化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体。
【請求項51】
請求項1〜50に記載の1種以上の化合物、または該1種以上の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項52】
化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される1種以上の化合物、または該1種以上の化合物の薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、包接化合物、多形体、ラセミ体もしくは立体異性体、および薬学的に受容可能な賦形剤を含む、薬学的組成物。
【請求項53】
薬学的組成物の調製のための、請求項1〜50のいずれか1項に記載の化合物の、使用。
【請求項54】
請求項53に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、VEGF産生または脈管形成を阻害する、使用。
【請求項55】
請求項53に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、癌、糖尿病網膜症、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化症、肥満、慢性炎症または滲出性黄班変性の処置のためである、使用。
【請求項56】
請求項55に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、癌、糖尿病網膜症、または滲出性黄班変性の処置のためである、使用。
【請求項57】
請求項56に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、癌の処置のためである、使用。
【請求項58】
請求項56に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、糖尿病網膜症の処置のためである、使用。
【請求項59】
請求項56に記載の使用であって、前記薬学的組成物が、滲出性黄班変性の処置のためである、使用。
【請求項60】
被験体におけるVEGF産生を阻害するための方法であって、VEGF阻害量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項61】
被験体における脈管形成を阻害するための方法であって、抗脈管形成量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項62】
被験体における癌を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項63】
被験体における糖尿病網膜症を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項64】
被験体における滲出性黄班変性を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項65】
被験体における慢性関節リウマチを処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項66】
被験体における乾癬を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項67】
被験体におけるアテローム硬化症のための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項68】
被験体における肥満を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項69】
被験体における慢性炎症を処置するための方法であって、治療有効量の請求項1〜50のいずれかに記載の化合物、または請求項51〜52のいずれかに記載の薬学的組成物を該被験体に投与する工程を包含する、方法。
【請求項70】
請求項60〜69のいずれかに記載の方法であって、前記化合物を投与する工程が、化合物番号2、4、5、6、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、および24からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を、前記被験体に送達する、方法。

【公表番号】特表2008−520742(P2008−520742A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543450(P2007−543450)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042484
【国際公開番号】WO2006/058088
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507166346)ピーティーシー セラピューティクス, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】