はんだ印刷状態の分析作業の支援方法およびはんだ印刷検査機
【課題】はんだ印刷工程における基板の抜き取りや再投入が基板の品質に及ぼす影響を容易に確認できるようにする。
【解決手段】はんだ印刷検査機において、毎時の検査対象基板の識別コードおよび検査時刻をメモリに蓄積し、この蓄積データを1つずつ遡りながら現在の検査対象基板と識別コードが一致するものを検索する。該当する基板が見つかったとき、その基板が不良により抜き取られ、抜き取られた基板を再投入したものが検査対象基板であると認識する。また、毎回の検査結果に基づき、各基板の品質を表す情報を時系列に並べたグラフを作成してモニタに表示すると共に、このグラフに含まれるデータのうち、再投入と認識された基板に対応するデータを『R』の記号により明示する。
【解決手段】はんだ印刷検査機において、毎時の検査対象基板の識別コードおよび検査時刻をメモリに蓄積し、この蓄積データを1つずつ遡りながら現在の検査対象基板と識別コードが一致するものを検索する。該当する基板が見つかったとき、その基板が不良により抜き取られ、抜き取られた基板を再投入したものが検査対象基板であると認識する。また、毎回の検査結果に基づき、各基板の品質を表す情報を時系列に並べたグラフを作成してモニタに表示すると共に、このグラフに含まれるデータのうち、再投入と認識された基板に対応するデータを『R』の記号により明示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ印刷機によりクリームはんだが印刷され、部品が実装される前の基板を対象としてはんだの印刷状態を検査し、その検査結果に基づき、はんだの印刷状態を分析する作業を支援する方法、およびこの方法が適用されたはんだ印刷検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装基板の生産ラインの最初の工程であるはんだ印刷工程では、基板上の多数の電極(ランド)にそれぞれ適切な量のはんだを転写する必要がある。しかし、はんだ印刷機でのマスクの取替、マスクの目詰まり、クリームはんだの供給量の変動などにより、印刷部位の品質が低下することがある。
【0003】
上記の問題に関して、出願人は、以前に、はんだ印刷後の基板のはんだ量を検査し、毎回の検査で計測したはんだ量を時間軸に沿って並べたグラフを作成して、当該グラフを検査機の表示部に表示することを提案した(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載された発明によれば、ユーザは、表示されたグラフからはんだの印刷部位の品質が低下していないかどうかを容易に確認することができる。また、品質が低下したことを確認した場合には、はんだ印刷機のメンテナンスなど、必要な措置をとることにより、品質を回復させることができる。
【0005】
また、はんだ印刷工程のみならず、生産ラインの全工程を対象にして、検査の結果から種々の分析用の情報を生成することも提案されている。たとえば、特許文献2には、はんだ印刷工程、部品実装工程、リフロー工程のそれぞれに検査機を配備し、各工程での検査により得た計測値や製造装置に設定されている製造条件などを収集し、これらを用いて各設備を通過した基板の品質を種々の監視項目毎に分析することや、分析結果をモニタに表示したり、コピーすることが記載されている。
【0006】
さらに、近年の生産現場では、マーキングやシールを貼付するなどの方法により、各基板にそれぞれ固有の識別コードを記し、製造装置や検査機で基板を受け付けたときに識別コードを読み取って、検査結果などをこの識別コードに紐付けて保存する方法を採用する場合がある(たとえば、特許文献3)。この方法によれば、1枚の基板に対する各工程の処理結果を対応づけて確認するなど、より高度の分析処理を行うことが可能になる。
【0007】
また、特許文献1では、2次元の画像処理により、はんだ量としてクリームはんだの面積を求めているが、特許文献4に記載されているように、クリームはんだの厚み(高さ)や体積を計測する機能を持つ検査機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−261732号公報
【特許文献2】特開平6−112295号公報
【特許文献3】特開2005−303269号公報
【特許文献4】特許第2711042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際の部品実装基板の製造現場では、はんだ印刷工程で明らかな不良が生じた場合に、その不良基板をラインから抜き取って洗浄した後に、再度、ラインに投入する、という方針(基板の再利用)を採ることがある。この方針は、基板の廃棄数を減らすことによってコストを削減する、という考えに基づくものであるが、実際にトータルのコストが削減されていることが確認されているとは限らない。
【0010】
実際に運用してみると、基板を再投入することによって、かえって不良が生じやすくなる場合があることも判明している。たとえば、抜き取った基板の洗浄が不十分であると、再投入の際に、前回の残りのはんだの上に新たなはんだが印刷されて、はんだ過多となる場合がある。さらに、このはんだ過多が生じた基板にマスクを載せてスキージにより押圧すると、はんだがランドの外に滲み出し、重篤な不良が生じる場合がある。さらに、滲み出したはんだがマスクに付着し、これが次に処理される基板のランド以外の場所に付着して、不良の基板が増加する場合もある。
【0011】
また、基板の抜き取り、洗浄、再投入などは手作業で行われるため、これらの作業を行う分だけ生産性が低下する。したがって、抜き取った基板の再投入により新たな不良が生じる場合には、不良基板を再利用するよりも廃棄した方が利にかなう可能性がある。したがって、現場では、再投入された基板やその直近の基板を特定してこれらの品質をチェックし、再投入のメリットがあるかどうかを検討する必要がある。
【0012】
また、生産性を向上させるには、抜き取りが必要になるほど品質が低下することがないようにするのが一番である。そのためには、抜き取られた基板を特定して、その基板が処理されたときの製造条件やはんだの印刷状態などを分析できるようにするのが望ましいが、そのような分析を現場で容易に行えるようにした従来例は認められない。
【0013】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、はんだ印刷工程における基板の抜き取りや再投入が基板の品質に及ぼす影響を、ユーザが容易に確認できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるはんだ印刷状態の分析作業の支援方法は、それぞれ固有の識別コードが記された複数枚の基板がはんだ印刷機およびはんだ印刷検査機を含む生産ラインに順に導入されて処理され、はんだ印刷検査機により基板毎にその識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた形式の検査結果データが作成されて、各検査結果データがはんだ印刷検査機または外部機器のメモリに蓄積されることを前提とする。
なお、「検査順序を特定する情報」としては、たとえば各基板を検査した時刻を用いることができるが、これに限らず、検査順序を示す数値を用いることもできる。
【0015】
本発明による支援方法では、以下の第1ステップ、第2ステップ、第3ステップを実行する。これらのステップは、はんだ印刷検査機により実行することができるほか、はんだ印刷検査機から検査結果データの提供を受けた外部コンピュータにより実行することもできる。また、はんだ印刷検査機と外部コンピュータとの間で、各ステップを分担して実行することもできる。
【0016】
第1ステップでは、はんだ印刷検査機に検査のために導入される複数枚の基板、または過去に検査された複数枚の基板に1枚ずつ着目し、検査順序を特定する情報に基づき、着目中の基板がはんだ印刷検査機に導入されるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを着目中の基板の識別コードと照合し、この照合により着目中の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたときに、着目中の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると認識する。
【0017】
第2ステップでは、第1ステップで着目した基板を含み、はんだ印刷検査機により検査された複数枚の基板の検査結果データを用いて、これらの基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフを作成する。第3ステップでは、第1ステップにおける認識結果に基づき、第2ステップで作成されたグラフを、再投入された基板および当該基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板の少なくとも一方に対応するデータが明示された状態にして表示する。なお、基板の品質を示すデータとしては、たとえば、基板における不良部位の個数や不良率、または良好な部位の比率などを求めることができ、また、クリームはんだの面積、体積、高さなどの計測値の統計処理により得られる数値(平均値、標準偏差、最大値と最小値との差など)を基板の品質を示すデータとしてもよい。
【0018】
上記の方法によれば、ユーザは、表示されたグラフにより、生産ラインに導入された複数枚の基板の品質の変化を確認すると共に、以前に処理されて再投入された基板の品質、または再投入基板が過去に処理されたときの品質を確認することができる。よって、基板の抜き取りまたは再投入が品質に及ぼした影響を容易に把握することが可能になる。
【0019】
上記方法の好ましい一実施態様では、検査結果データをはんだ印刷検査機のメモリに蓄積すると共に、第1、第2、第3の各ステップをはんだ印刷検査機により実行する。この場合のはんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、その検査対象基板に着目して第1ステップを実行すると共に、当該検査対象の基板に対する検査が終了したことに応じて、この基板より前に検査された複数枚の基板を対象にして第2ステップおよび第3ステップを実行する。また、第3ステップでは、グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示すると共に、表示対象のグラフ中に再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する。なお、第1ステップは、検査対象基板に対する検査を開始する前に行ってもよいし、検査の終了後に行ってもよい。
【0020】
上記の態様によれば、はんだ印刷検査機で新たな検査対象基板を受け付けて検査を実行する都度、表示されるグラフが、その基板および当該基板より前に検査された複数枚の基板の品質の変化を表すものに更新される。また、グラフ中の過去に抜き取られて再投入された基板に対応するデータが明示されるので、ユーザは、基板の再投入が品質に及ぼす影響を容易に把握することができる。
【0021】
さらに、グラフ中に抜き取られた基板に対応するデータが含まれる場合には、このデータが再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示されるので、再投入された基板やこれに続く基板に不良が生じて、基板の抜き取りが生じた場合にも、ユーザは、これらの因果関係を容易に把握することが可能になる。
【0022】
上記方法の他の好ましい実施態様では、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機との通信が可能に設定された外部コンピュータに対し、はんだ印刷機から当該はんだ印刷機で処理された各基板の製造条件に関するデータをそれぞれの識別コードに紐付けて送信すると共に、はんだ印刷検査機から各基板の検査結果データを送信して、各送信情報を外部コンピュータのメモリに蓄積する。また、外部コンピュータでは、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板を対象として、第1、第2、第3の各ステップを実行する。
【0023】
さらに、この実施態様における第2ステップでは、外部コンピュータのメモリに蓄積された情報を用いて、各基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフ、および各基板に対する製造条件を示すデータを時系列で並べたグラフを作成する。第3ステップでは、これらのグラフを、グラフ中の各データに対応する基板の識別コードに基づき、対応関係にあるデータを一列に揃えた状態で表示すると共に、再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータを、生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして明示する。
【0024】
上記の態様によれば、ユーザは、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板について、表示されたグラフにより、製造条件の変化が品質に及ぼす影響を確認すると共に、基板の抜き取りが生じた時点およびその前後の製造条件を確認することができる。よって、基板の抜き取りが必要なほど品質が低下した原因を特定し、その原因を解消するために必要な対策を考えることができる。
【0025】
つぎに、本発明が適用されたはんだ印刷検査機は、それぞれ固有の識別コードが記され、はんだ印刷機によるはんだ印刷処理が終了した複数枚の基板を順に受け付けてはんだの印刷状態を検査する検査実行手段と、基板毎に当該基板の識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた検査結果データを作成して自装置または外部機器のメモリに蓄積する検査結果蓄積手段と、毎回の検査対象の基板につき作成された検査結果データを用いて各基板の品質を示すデータを時系列で並べたグラフを作成して、このグラフをモニタ装置に表示する情報表示手段とを具備する。
【0026】
上記のはんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、前記検査順序を特定する情報に基づき、検査対象の基板を受け付けるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを検査対象の基板の識別コードと照合し、この照合により検査対象の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたとき、検査対象の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると認識する認識手段を、さらに具備する。また、情報表示手段は、受け付けた基板に対する検査が終了する都度、その基板に対して作成された検査結果データを用いて表示対象のグラフを更新すると共に、認識手段による認識結果に基づき、グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示する。
【0027】
上記のはんだ印刷検査機によれば、ユーザは、検査を進めながら、モニタに表示されたグラフにより、再投入された基板やその後に処理された基板の品質を確認することができる。
【0028】
好ましい態様によるはんだ印刷検査機では、情報表示手段は、表示対象のグラフ中に再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する。この表示によれば、再投入された基板や後続の基板に不良が発生して抜き取られた場合には、これらの処理がグラフに明示されるから、ユーザは、基板の再投入が新たな不良を引き起こしていることを、容易に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生産ラインに導入されてはんだ印刷が施された複数枚の基板の中から、以前に処理されて再投入された基板を認識し、上記複数枚の基板の品質を表すグラフを、再投入が認識された基板に対応するデータを明示した状態で表示するので、ユーザは、基板の抜き取りまたは再投入と基板の品質との関係を容易に確認することができる。よって、基板の再投入により生産性が向上しているか否かの検討や、基板が抜き取られたときの状況を分析する処理を、的確に行って、生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】はんだ印刷検査機の構成を示すブロック図である。
【図2】はんだ印刷検査機における検査結果の確認画面の例を示す図である。
【図3】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図4】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図5】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図6】はんだ印刷検査機の制御系の機能ブロック図である。
【図7】通過基板テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図8】通過基板テーブルのデータ構成の他の例を示す図である。
【図9】はんだ印刷検査機における処理の概略手順を示すフローチャートである。
【図10】通過基板テーブルへの登録処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図11】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図12】図11の表示を行う場合の通過基板テーブルのデータ構成例と、時間経過に伴うデータの変化とともに示す図である。
【図13】図12の通過基板テーブルに対する登録処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】基板生産ラインおよび基板の品質管理システムの構成例を示す図である。
【図15】図14の品質管理システムの端末装置に表示される確認画面の例を示す図である。
【図16】図15の表示に関して、品質管理システムのサーバに設定される機能を示す機能ブロック図である。
【図17】部品実装工程で基板が抜き取られる場合を考慮した通過基板テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図18】図17の通過基板テーブルに対する登録処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、はんだ印刷検査機の構成を示すブロック図である。
このはんだ印刷検査機100は、部品実装基板の生産ラインのはんだ印刷工程に配備され、基板側の電極(ランド)に印刷されたはんだの量や印刷範囲の適否などを検査するものである。
【0032】
図中の主制御部101および副制御部102は、いずれもCPUやメモリを具備するコンピュータである。また主制御部101には、ネットワーク通信のための通信インターフェースが含まれる。
主制御部101にはカメラ103およびモニタ104が接続され、副制御部102には、コンベア105、照明ユニット106、表示灯107、Xステージ部108、Yステージ部109、操作部110、外部機器用インターフェース111などが接続される。
【0033】
後記する図14に示すように、モニタ104、表示灯107、および操作部110は、はんだ印刷検査機100の筐体に取り付けられ、その他の構成は筐体内に収容される。副制御部102は、主制御部101からの指示に応じて、コンベア105、照明ユニット106、表示灯107、Xステージ部108、Yステージ部109の動作を制御する。また、副制御部102は、操作部110や外部機器用インターフェース111からの入力を受け付けて、入力された情報を主制御部101に伝達する。また、主制御部101からの指令に応じて、外部機器用インターフェース111を介して図示しない外部機器(たとえばプリンタ)の動作を制御する。
【0034】
コンベア105は、検査対象の基板の搬入および搬出を行うほか、検査中の基板を水平な姿勢で支持する。Xステージ部108は、カメラ103および照明ユニット106を、X軸方向に沿って移動可能に支持し、Yステージ部109は、コンベア105をY軸方向に沿って移動可能に支持する。
【0035】
主制御部101は、メモリに登録されているプログラムや設定データに基づき、検査を実行する。簡単に説明すると、主制御部101は、副制御部102に各ステージ部108,109の動作を制御させることによって、カメラ103の視野を基板の所定範囲に合わせ、カメラ103に撮像を行わせる。そして、生成された画像中の各はんだ印刷部位に検査領域を設定し、検査領域毎に、その領域内の画像を2値化してはんだの印刷パターンを抽出し、印刷パターンの面積や位置などを計測し、計測値の適否を判別する。
なお、カメラ103による基板の撮像は、通常、視野に対応する範囲を変更して複数回行われる。
【0036】
主制御部101のメモリには、基板の型式毎に、検査領域の設定データや判定しきい値などを含む検査プログラムが登録されている。主制御部101は、プログラムの選択操作を受け付けた後、選択されたプログラムを読み出して、上記の検査を実行する。
【0037】
また、主制御部101は、1枚の基板に対する検査が終了する都度、各検査領域における検査結果を取りまとめて、検査結果データを作成する。この検査結果データは、主制御部101の内部メモリに保存されるほか、後記するサーバ4などに送信される。
さらに、主制御部101は、モニタ104に、現場の担当者向けの確認画面を立ち上げて、1枚の基板に対する検査が終了する都度、この確認画面の表示を更新する。
【0038】
なお、この実施例では、上記のとおり、はんだ印刷検査機100として、2次元の画像処理によりはんだの印刷パターンの面積や位置などを計測するタイプの装置を用いるが、これに代えて、先の特許文献4に記載されているような、はんだの印刷パターンの高さや面積を計測する機能を有する検査機を使用してもよい。
【0039】
図2は、モニタ104に表示される画面の一例を示す。
この例の画面には、複数の表示欄11〜16が設けられている。これらのうち、画面左の最上段の表示欄11には、現在の検査対象基板に関する情報として、使用中の検査プログラムの種別コード、検査対象基板が属するロット番号、検査対象基板の識別コード(以下、図示例に倣って「基板ID」という。)、ロット内の基板枚数が表示されている。
これらの情報のうち、基板IDを除く各情報は、検査前に、あらかじめ登録された情報の中からユーザにより選択、またはユーザにより入力されたものである。一方、基板IDは、各基板にバーコードまたは2次元コードとしてマーキングされているものを、主制御部101が読み取ったものである。
【0040】
画面右の最上段の表示欄12は、検査対象基板に対する良否の判定結果を表示するためのものである。具体的には、検査対象基板が不良と判定された場合には、図示例のように「NG」と表示され、検査対象基板が良品と判定された場合には、「OK」と表示される。
【0041】
画面右の2段目の表示欄13には、検査対象基板が過去に抜き取られた基板を再投入したものであるか否かが表示される。この実施例では、検査対象基板が搬入されて基板IDの読み取りが終了した直後に、その基板が再投入されたものか否かを判別し、その判別結果を「再投入あり」または「再投入なし」の文字列により表示することにしている。
また、この実施例では、検査対象基板が再投入されたものであると判別して、表示欄13に「再投入あり」の文字列を表示した場合には、表示灯107に所定の色彩光(たとえば黄色)を点灯することにより、現場担当者の注意を喚起するようにしている。
【0042】
画面左の2段目の表示欄14には、検査対象基板から抽出された不良部位の一覧が表示され、画面右の3段目の表示欄15には、不良部位を含む画像が表示される。なお、表示欄15における画像表示に関しては、適宜、操作部110に対する操作に応じて表示倍率を変更したり、表示対象範囲を切り替えることができる。
【0043】
さらに、この画面の最下段の表示欄16には、検査された基板の品質の推移を表すグラフが表示される。よって、以下では、この表示欄16を「グラフ表示欄16」という。
この実施例のグラフ表示欄16では、過去に遡る一定枚数分の基板を対象として、これらの基板における不良個数を時系列に並べた棒グラフが、検査の実施日、実施時刻、検査プログラム、ロット番号、再投入の有無などの情報に対応づけて表示される。また、毎回の検査対象基板に対する検査が終了する都度、グラフの左端のデータ(最も古いデータ)が消去されて、各データが1駒ずつ左に移動し、直近の検査結果を示すデータがグラフの右端に追加される。
【0044】
なお、グラフ表示欄16に表示されるグラフの形式は棒グラフに限らず、折れ線グラフであってもよい。また、グラフに編集されるデータ、すなわち基板の品質を示すデータとしては、不良個数に限らず、不良部位または良好な部位が全体に占める割合を表示してもよい。また、各基板における実装個数が多い特定品番の部品のランドについて、はんだ量の平均値や標準偏差、あるいは最大値と最小値との差を求め、これらの値によるグラフを表示してもよい。
【0045】
さらに、この実施例では、グラフの真上に「再投入」の欄を設け、この欄内の再投入された基板のデータに対応する位置に、『R』という記号(「RETRY」の略)を表示する。この記号は、再投入された基板に対する検査が終了して、当該基板に対応するデータがグラフに追加されるのと同時に出現し、以後のグラフの更新に対しても、対応するデータに追随してシフトする。このように、グラフ中の再投入された基板に対応するデータが記号『R』により明示されるので、現場担当者は、過去に抜き取られた基板を再投入したときの品質の適否を容易に認識することが可能になり、基板の再投入により生産性が向上しているか否かを判断することが可能になる。
【0046】
、
図3〜5は、モニタ104に表示される画面のうちのグラフ表示欄16のみを拡大して、このグラフ表示欄16の他の表示例を示したものである。いずれのグラフ表示欄16も、基本的な構成は図2に示したものと同様であるが、図3の例では、「再投入」の欄に代えて「抜き取り」の欄を設け、この欄内の抜き取られた基板のデータに対応する位置に『O』という記号(OUTの略)を表示している。
【0047】
基板を抜き取るか否かの判断は、はんだ印刷検査機100が不良と判別した基板を目視した現場担当者により行われる(このまま後工程に基板を流すと、最終製品は明らかに不良になると担当者が判断した場合に、基板が抜き取られる。)。したがって、図3の例のように、抜き取られた基板に対応するデータを明示すれば、担当者は、抜き取られた基板の品質を容易に確認し、抜き取りの判断が適切であったか否かを把握することができる。
【0048】
図4の例のグラフ表示欄16には、「抜き取り」の欄と「再投入」の欄とが設けられる。「抜き取り」の欄では、抜き取られた基板のデータに対応する位置に記号『O』が表示され、「再投入」の欄では、再投入された基板のデータに対応する位置に記号『R』が表示される。
【0049】
図5の例でも、図4の例と同様に、記号『O』および記号『R』を用いて、抜き取られた基板のデータおよび再投入された基板のデータが明示される。この例では、各記号の表示欄を1つに統合すると共に、同一の基板IDに対応する記号どおしを線で結ぶことによって、抜き取りと再投入との対応関係を表している。
【0050】
上記の図4や図5の表示例によれば、担当者は、抜き取られた基板および再投入された基板の双方の品質を確認することが可能になる。また、再投入された基板やその直後に投入された基板が抜き取られた場合には、現場担当者は、これらの基板に対応するデータに付された記号『R』や記号『O』の関係により、再投入と抜き取りとの因果関係を即座に認識することができる。
【0051】
図6は、上記のはんだ印刷検査機100の制御系(図1に示した主制御部101および副制御部102)に設けられる機能を示す。この実施例の制御系に設定される機能は、検査の実行に関する機能Aと、図2〜5に示したような表示を行う機能Bとに二分される。
【0052】
検査実行機能Aは、検査実行部121、検査結果データ作成部122、検査結果出力部123、検査結果データ記憶部124などにより構成される。検査実行部121は、設定されている検査プログラムに基づき、前述した検査に関する一連の制御を実行する。また、検査に先立ち、検査対象基板にマーキングされている基板IDを読み取る処理も、検査実行部121により実施される。
【0053】
検査結果データ作成部122は、検査領域毎に得た計測値や判定結果を1つのデータファイルにまとめ、このデータファイルのファイル名や属性に検査対象基板の基板IDや検査時刻を設定して、検査結果データ記憶部124に保存する。また、検査結果データ作成部122は、検査対象基板毎に、その基板の検査に用いられた画像のファイルに当該基板の基板IDを含むファイル名を付けたものを、検査結果データ記憶部124に保存する。
検査結果出力部123は、検査結果データ作成部122により作成された検査結果データを外部機器などに送信する処理を実行する。
【0054】
表示実行機能Bは、検査結果分析部131、通過基板テーブル作成部132、通過基板テーブル133、検査結果表示データ作成部134、グラフ表示データ作成部135、表示画面データ編集部136、画面表示部137などにより構成される。
【0055】
通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から検査時刻や検査対象基板の基板IDの提供を受けて、これらを通過基板テーブル133に登録する。また、この格納にあたり、通過基板テーブル作成部132は、提供された基板IDを用いて検査対象基板が再投入された基板であるか否かを判別し、その認識結果を通過基板テーブル133に登録する。さらに、図3〜5の例のように、グラフ表示欄16に抜き取りを示す記号『O』を表示する場合には、基板毎に、その基板の抜き取りの有無を示すデータを通過基板テーブル133に登録する。
【0056】
検査結果分析部131は、検査結果データ記憶部124から検査結果データや基板の画像データを読み出し、検査結果データ中の計測データを用いた統計処理により、基板の品質を示すデータを導出する。そして、導出したデータや読み出したデータを検査結果表示データ作成部134およびグラフ表示データ作成部135に提供する。
検査結果表示データ作成部134は、提供されたデータを用いて表示欄11,12,14,15に表示するデータを作成し、グラフ表示データ作成部135は、グラフ表示欄16に表示するデータ(『R』『O』の記号を除く。)を作成する。
先にも述べたように、基板の品質を示すデータとしては、不良の個数や、不良部位または良品部位が占める割合、各クリームはんだに対する計測値を品番毎に統計処理した値などを、求めることができる。
【0057】
表示画面データ編集部136は、検査結果表示データ作成部134およびグラフ表示データ作成部135により作成された表示用データ、および通過基板テーブル133に格納された情報を用いて、図2に示した確認画面用の画像データを編集する。このとき、表示画面データ編集部136は、通過基板テーブル133を参照して、グラフに表されるデータの中から記号『R』や『O』を付す対象のデータを特定し、表示画面の画像データ中に各記号の表示データを追加する処理を実行する。また、表示画面データ編集部136には、検査対象の基板を受け付けたときに表示欄13に対する表示を行う機能も設定される。
画面表示部137は、表示画面データ編集部136から上記の画像データの提供を受けて、モニタ103に表示する。これにより、モニタ103には、先に述べたような形式の画面が表示される。
【0058】
図7は、通過基板テーブル133のデータ構成例を示す。なお、この図7および後に示す図8,図12,図17では、図示を簡単にするために、各基板の基板IDを1〜2桁の数字により示す。
【0059】
図7の例の通過基板テーブル133には、検査された基板毎に、検査時刻、基板ID、および再投入の有無を示すフラグ(以下、「再投入フラグ」という。)が登録されている。通過基板テーブル133の各エントリ(登録情報)のうち、再投入フラグが「0」に設定されているエントリは、該当する基板は再投入されたものでないことを意味し、再投入フラグが「1」に設定されているエントリは、該当する基板が過去に抜き取られた基板を再投入したものであることを意味する。
【0060】
通過基板テーブル133に登録される検査時刻は、検査実行部121が基板IDを読み取って検査を開始した時刻に相当する。ただし、これに限らず、検査を終了した時刻、または、検査開始時刻および終了時刻の双方を登録するようにしてもよい。または、時刻を登録せずに、各基板の検査の順番を示す数字を登録してもよい。
【0061】
通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から新たな検査対象基板の基板IDおよび検査時刻の提供を受けた後に、通過基板テーブル133の各エントリに過去に遡る方向に沿って順に着目して、検査対象基板と同一の基板IDを含むエントリを検索する。ここで該当するエントリが見つかると、そのエントリに対応する基板は不良のために抜き取られた基板に相当し、この抜き取られた基板を再投入したものが検査対象基板であると判断する。そして、検査対象基板の再投入フラグを「1」に設定して、当該基板の検査時刻、基板ID、再投入フラグを通過基板テーブルに登録する。
【0062】
図7では、抜き取られた基板および再投入された基板に対応するエントリを、それぞれパターン塗りにより表している。これらのエントリによれば、10時35分12秒に検査された基板は不良のために抜き取られ、その後、11時15分08秒に再投入されたことを、この基板が再投入されたときに認識することができる。
【0063】
図7の例の通過基板テーブル133は、グラフ表示欄16に記号『R』のみを表示する場合に用いられる。これに対し、図3〜5の例のように、グラフ表示欄16に抜き取りを示す記号『O』を表示する場合には、通過基板テーブル133は、図8に示すような構成のものになる。
【0064】
図8の例の通過基板テーブル133では、各基板に対し、図7の例と同様に、検査時刻、基板ID、再投入フラグが登録されるほか、抜き取りの有無を示すフラグ(以下、「抜き取りフラグ」という。)が登録される。抜き取りフラグが「0」のエントリは、該当する基板が抜き取られることなく、次の部品実装工程に送られたことを意味し、抜き取りフラグが「1」の登録情報は、該当する基板が抜き取られたことを意味する。
【0065】
以下では、この図8に示す構成の通過基板テーブル133が作成され、グラフ表示欄16において、抜き取られた基板に対応するデータと再投入された基板に対応するデータとがそれぞれ記号『O』『R』により明示されるものとして、検査結果の表示に関する処理の詳細を説明する。
【0066】
図9は、上記のはんだ印刷検査機100において1枚の検査対象基板に対して実行される処理に関するフローチャートを示す。このフローチャートの各ステップの符号を参照して、検査の概略手順を説明する。
まず、検査対象基板を搬入し(ST1)、その基板にバーコードまたは2次元コードとしてマーキングされている基板IDを読み取る処理を実行する(ST2)。これらのステップST1,ST2は、図6に示した検査実行部121により実行される。
【0067】
つぎに、検査対象基板に関する情報を基板通過テーブル133に登録する処理を実行する(ST3)。この処理は、通過基板テーブル作成部132により実行されるものである。
【0068】
ステップST3が終了すると、基板通過テーブル133に登録された再投入フラグに基づいて、表示欄13に再投入の有無を表示する(ST4)。この処理は、通過基板テーブル133が更新されたことを検出した表示画面データ編集部136により実行される。
【0069】
つぎに、検査実行部121により、検査対象基板に対する検査を実行する(ST5)。検査が終了すると、検査結果データ作成部122が前述した検査結果データを作成し、これを検査結果データ記憶部124に保存する。また、検査結果データ作成部122が検査結果データを外部機器に出力する処理を実行する(ST6)。
【0070】
この後は、検査結果分析部131、検査結果表示データ作成部134、グラフ表示データ作成部135、および表示画面データ編集部136が協働して、検査結果データ記憶部124や通過基板テーブル作成部132内の情報を処理し、確認画面の表示データを作成する(ST7)。画面表示部137は、この表示データを用いてモニタ104の確認画面を更新する(ST8)。
この後は、検査対象基板を搬出し(ST9)、処理を終了する。
【0071】
図2に示した確認画面のうち、表示欄13に対する表示はステップST4において実施され、その他の表示欄の表示データは、上記のステップST7において作成される。表示欄11内の基板ID、表示欄14の不良一覧、および表示欄12の検査結果は、いずれも検査対象基板の検査結果データから読み出されたものである。また表示欄15の画像も、検査対象基板につき検査結果データ記憶部124に保存された画像ファイルから読み出されたものである。
【0072】
グラフ表示欄16のグラフを構成する各データは、それぞれ対応する基板の基板IDに紐付けられている。よって、記号『R』の表示に関しては、通過基板テーブル133内の再投入フラグがオンに設定されているエントリの基板IDに基づき、グラフ中の各データの中から記号『R』を付すデータを特定することができる。記号『O』の表示に関しても、同様に、通過基板テーブル133内の抜き取りフラグがオンに設定されているエントリの基板IDに基づき、記号『O』を付すデータを特定することができる。
【0073】
つぎに、上記のステップST3において通過基板テーブル作成部132が実行する処理の詳細を、図10を用いて説明する。
なお、図10には示していないが、この実施例の通過基板テーブル133には、一定の期間内(たとえば1日)に処理された基板が登録され、一定期間が経過する毎に、クリアされる。
【0074】
まず、通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から検査対象基板の基板IDおよび検査時刻の提供を受ける(ST101)。
つぎに、通過基板テーブル作成部132は、検査対象基板の抜き取りフラグおよび再投入フラグの初期値を、それぞれオフ(値が0)に設定する(ST102)。そして、通過基板テーブル133内の最新のエントリ(一段階前に検査された基板のエントリ)を照合対象のエントリAに設定し(ST103)、ST104〜107のループに移行する。
【0075】
このループでは、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、両者のIDが一致するまで、一段階ずつ過去に遡ってエントリAを変更しながら繰り返す。この結果、通過基板テーブル133内の全てのエントリと照合しても、検査対象基板と基板IDが一致するエントリを見つけることができなかった場合(ST106が「YES」)には、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、および再投入フラグを、新規エントリとして通過基板テーブルに格納する(ST107)。
【0076】
一方、ST104〜107のループにおいて、照合対象のエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致した場合(ST105が「YES」)には、ループを抜けて、エントリAの抜き取りフラグをオン(値は1)に変更する(ST108)。さらに、この場合には、検査対象基板の再投入フラグをオンに変更し(ST109)、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、および再投入フラグを、新規エントリとして通過基板テーブル133に格納する(ST110)。
【0077】
上記の手順によれば、基板が抜き取られた段階では、その基板について、抜き取りフラグがオンに設定されたエントリを設定することはできない。しかし、抜き取られた基板が再投入されたときに、その基板について、再投入フラグがオン設定されたエントリを自動で登録すると共に、この基板が抜き取られたときに登録されたエントリの抜き取りフラグをオフからオンに書き換える処理を、自動的に行うことができる。よって、再投入された基板に対する検査が終了して、その検査結果に基づきモニタ104のグラフ表示欄16が更新される際には、再投入された基板のデータが記号『R』により明示された状態で追加されると共に、この基板が抜き取られたときの検査結果を示すデータが記号『O』により明示される。
【0078】
なお、先の図4,5に示したグラフの表示例では、抜き取られた基板に対応するデータや再投入された基板のデータを、記号『O』『R』により明示したが、これに限らず、グラフの表示色として、抜き取られた基板のデータを表す色彩、再投入された基板のデータを表す色彩、再投入および抜き取りの両方が生じた基板のデータを表す色彩、ならびに抜き取りや再投入の対象となっていない基板のデータを表す色彩、の計4種類の色彩を設定して、各データを色分けして表示してもよい。
このほか、図11に示すように、抜き取られた基板のデータと再投入された基板のデータを、それぞれ抜き取り回数および再投入回数により明示してもよい。
【0079】
図12は、上記図11の例の表示を行う場合に用いられる通過基板テーブル133の構成を示す。この実施例の通過基板テーブル133では、抜き取りフラグや再投入フラグに代えて、抜き取り回数および再投入回数を登録するようにしている。
【0080】
また、図12では、IDが「2」の基板が3回投入されるものとして、1回目の投入時に作成されたエントリ(ア)、2回目の投入時に作成されたエントリ(イ)、3回目の投入時に作成されたエントリ(ウ)のそれぞれにおける抜き取り回数や再投入回数が、処理の進行に応じて変化する状態を示している。
【0081】
図13は、図11の例の表示を行う場合に通過基板テーブル作成部132により実行される処理(図9のST3に相当する。)の手順を示す。
【0082】
この実施例でも、まず、検査実行部121から検査対象基板の基板IDおよび検査時刻を取得する(ST201)。つぎに、検査対象基板の抜き取り回数および再投入回数を、それぞれ初期値の0に設定し(ST202)、抜き取り判別フラグをオフに設定する(ST203)。
なお、抜き取り判別フラグは、検査対象基板が過去に抜き取られた基板であると判別されたかどうかを示すもので、先の実施例の抜き取りフラグとは概念が異なる。
【0083】
つぎに、通過基板テーブル133内の最新のエントリ(一段階前の検査対象基板のエントリ)を、照合対象のエントリAに設定し(ST204)、ST205〜208のループに移行する。
このループでも、図10のST104〜107のループと同様に、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、両者が一致するまで、1つずつ過去に遡ってエントリAを変更しながら繰り返す。この結果、全てのエントリを処理しても、検査対象基板と基板IDが一致するものが見つからない場合(ST207が「YES」)には、抜き取り判別フラグは初期設定時のオフのままとなるので、ステップST214が「NO」となってステップST217に進み、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取り回数、再投入回数を新規のエントリとして基板通過テーブルに格納する。この場合の抜き取り回数および再投入回数は、ともに0となる。
【0084】
エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致した場合(ST206が「YES」)には、ステップST209に進んで抜き取り判別フラグをチェックする。このときの抜き取り判別フラグがオフ状態であれば(ST209が「NO」)、検査対象基板の再投入回数を、エントリAの再投入回数に「1」を加算した値に変更する(ST211)。さらに、抜き取り判別フラグをオンに設定し(ST212)、現在のエントリAをエントリBに変更する(ST213)。
【0085】
ST213のステップを実行した後は、ST205〜208のループに戻って、引き続き、検査対象基板と基板IDが一致するエントリを検索する。ここで、再び検査対象基板に基板IDが一致するエントリが見つかった場合(ST206が「YES」)には、再度、ステップST209において抜き取り判別フラグをチェックするが、このときの抜き取り判別フラグがオンであるので、ST209からST210に進み、エントリBの抜き取り回数を、エントリAの抜き取り回数に1を加えた値に変更する。
この後は、ステップST217に進んで、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取り回数、再投入回数を、新しいエントリとして通過基板テーブルに格納する。
【0086】
ST205〜208のループで通過基板テーブル133内の全てのエントリを処理したとき(ST207が「YES」)に、抜き取り判別フラグがオンとなっている場合(ST214が「YES」)には、エントリBの抜き取り回数をチェックする(ST215)。ここで、エントリBの抜き取り回数が0の場合(ST215が「YES」)には、エントリBの抜き取り回数を1に変更し(ST216)、しかる後にステップST217を実行する。一方、エントリBの抜き取り回数が0より大きい場合(ST215が「NO」)には、ステップST216を実行せずに、ステップST217に進む。
【0087】
ここで、図12に示した基板IDが「2」の基板を検査対象として、上記図13の手順に基づき通過基板テーブル133への登録処理を行う場合の具体的な処理の流れを、ケース毎に整理する。
【0088】
<1回目の処理>
基板IDが「2」の基板が初めて処理されるときの通過基板テーブル133には、検査対象基板と基板IDが一致するエントリは存在しない。このため、ステップST201〜204を実行した後は、検査対象基板と同一の基板IDを含むエントリを見つけることができず、抜き取り回数および再投入回数、ならびに抜き取り判別フラグが初期設定状態のまま、ステップST207が「YES」となって、ST205〜208のループを終了する。さらに、ステップST214が「NO」となってステップST217を実行する。
よって、図12(1)に示すように、この時点で通過基板テーブル133に登録されるエントリ(ア)では、抜き取り回数および再投入回数はともに0となる。
【0089】
<2回目の処理>
上記の処理による基板が抜き取られ、再投入された場合にも、ST201〜204の各ステップを実行した後に、ST205〜208のループに移行する。この段階では、エントリ(ア)がエントリAに設定されたときに、このエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致して、ステップST206が「YES」となる。これにより、ステップST209に進んで抜き取り判別フラグをチェックするが、このときの抜き取り判別フラグはオフであるので、ステップST209は「NO」となり、ステップST211〜213を実行する。
【0090】
この結果、検査対象基板の再投入回数は0から1に変更され、抜き取り判別フラグはオンに変更される。また、エントリ(ア)がエントリBに設定される。
この後、ST205〜208のループに戻って基板IDが一致するエントリの検索を続けるが、これ以上、該当するエントリが見つかることはないので、最終的にステップST207が「YES」となってステップST214に進む。この段階での抜き取り判別フラグはオンであるので、ステップST214は「YES」となり、ステップST215に進む。エントリBに設定されているエントリ(ア)の抜き取り回数は、この段階では0であるので、ステップST215は「YES」となり、ST216に進む。これにより、図12(2)に示すように、エントリ(ア)の抜き取り回数は1に変更される。
【0091】
上記の抜き取り回数の変更後には、ステップST217を実行する。よって、検査対象基板について、抜き取り回数を0とし、再投入回数を1とするエントリ(イ)が設定され、通過基板テーブル133に登録される。
【0092】
<3回目の処理>
上記の再投入された基板が再び抜き取られ、再度投入された場合にも、ステップST201〜204を実行してから、ST205〜208のループに移行する。この段階では、エントリ(イ)がエントリAに設定されたときに、このエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致するので、ステップST206からステップST209に進んで、抜き取り判別フラグをチェックする。この段階の抜き取り判別フラグはオフであるので、ステップST209は「NO」となり、ステップST211〜213が実行されることになる。
【0093】
この結果、検査対象基板の再投入回数が2に設定されると共に、抜き取り判別フラグがオンに設定され、エントリ(イ)がエントリBに変更される。
さらに、ST205〜208のステップに戻って、基板IDが検査対象基板に一致するエントリを検索する処理が続く。この段階では、エントリ(ア)がエントリAに設定されたときに、ステップST206が「YES」となってステップST209に進み、再び抜き取り判別フラグをチェックする。この段階では、抜き取り判別フラグはオンに設定されているので、ステップST209が「YES」となってステップST210を実行する。
【0094】
これにより、図12(3)に示すように、エントリBに設定されているエントリ(イ)の抜き取り回数は、エントリAに設定されているエントリ(ア)の抜き取り回数に1を加えた値、すなわち2に変更される。さらに、引き続きステップST217を実行することにより、抜き取り回数を0とし、再投入回数を2とするエントリ(ウ)が設定され、通過基板テーブル133に格納される。
【0095】
上記のように、基板の抜き取りや再投入が2回以上生じる場合には、基板が再投入されたときの処理によって、その再投入回数が求められると共に、一段階前の抜き取りが生じたときの抜き取り回数を求めることができる。よって、この場合のグラフ表示欄16では、再投入された基板のデータが再投入回数により明示された状態で追加されると共に、抜き取られた基板のデータの抜き取り回数が更新されることになる。
【0096】
つぎに、図14は、上記のはんだ印刷検査機100を含む基板生産ラインLに、生産された基板の品質を管理するシステムMを導入した例を示す。
この基板生産ラインLには、製造装置として、はんだ印刷機1、部品実装機2、リフロー炉3が設けられる。はんだ印刷機1の後段には、はんだ印刷検査機100が、部品実装機2の後段には部品実装検査機200が、リフロー炉の後段には、最終検査用の検査機300が、それぞれ設けられる。
はんだ印刷検査機100の詳細な構成は図1に示したとおりである。また、他の検査機200,300でも、基本的な構成は、検査機100と同様である。
【0097】
品質管理システムMは、サーバ4と、各部門の担当者が使用する端末装置5(図では、5A,5B,5Cの3台を示すが、数はこれに限定されるものではない。)とを、イントラネットを介して接続したコンピュータネットワークシステムとして構成される。さらにサーバ4は、基板製造ラインLの各製造装置1,2,3や検査機100,200,300にも、専用回線Zを介して接続されている。
【0098】
各製造装置1,2,3では、あらかじめ設定された動作定義に基づき、1枚の基板に対する処理が終了する都度、その基板に対する処理を実行したときの生産条件を表す情報を当該基板の基板IDとともに、サーバ4に送信する。
生産条件は工程によって異なるが、たとえば、はんだ印刷機1では、処理対象の基板の厚みに関する設定値、はんだを転写するときにスキージにかかった圧力(印圧)、1枚の基板に対する処理が終了してから次の基板の処理が開始されるまでにかかった時間(処理間隔)、はんだ印刷機1に対して実行された作業などを示す情報が送信される。
【0099】
検査機100,200,300は、それぞれ前段の製造装置1,2,3で処理された基板を順に受け付けて検査を実行し、基板毎に検査結果データファイルを作成する。このデータファイルのファイル名や属性には、検査対象基板の基板IDや検査時刻が含まれる。各検査結果データファイルは、検査を行った検査機100,200,300のメモリに保存されるほか、サーバ4に送信される。
【0100】
サーバ4は、各製造装置1,2,3や検査機100,200,300から送信された情報を、基板IDや送信元装置の工程の識別コード(以下、「工程ID」という。)をキーとして読み出せる状態にして内部のメモリに蓄積する。
さらに、この実施例の生産管理システムMでは、各端末装置5において、分析対象の基板群や工程を指定する操作を受け付けて、指定された内容をサーバ4に送信するようにしている。この送信に応じて、サーバ4は、指定された基板群に関して指定された工程の製造装置や検査機から送信された情報に基づき、種々の分析処理を実行し、分析結果の確認画面の表示データを端末装置5に返送する。端末装置5では、送信された情報に基づき、自装置のモニタに確認画面を立ち上げる。なお、分析対象の基板群の指定は、ロット番号や処理の時間帯などにより行うことができる。
【0101】
上記の分析処理のうち、はんだ印刷工程に対する分析処理では、上記の基板群中の各基板の品質を示すデータや、これらの基板がはんだ印刷機1により処理されているときの生産条件を導出する。また、分析対象の基板の中から、顕著な不良があるために抜き取られた基板や、抜き取り後に再投入された基板を特定し、特定された基板と分析結果との関係が容易に把握できるような表示を行うようにしている。
【0102】
図15は、はんだ印刷工程を対象にした分析処理結果の確認画面の例を示す。
この実施例では、同一のロットに属する複数枚の基板をロット番号により一括指定し、指定された各基板を個々に分析する処理と、各基板の検査結果を統合して分析する処理とを行っている。
【0103】
図中、画面の左側の領域50は、各基板に対する個別の分析結果を表したもので、5つの表示欄50a〜50eが上下に並べられている。これらのうち、一番上の表示欄50aには、各基板の不良個数を時系列で並べたグラフが表示される。この表示は、はんだ印刷検査機100から送信された各基板の検査結果データに基づくもので、前出の図4と同様に、検査の実行日時や実行時刻、プログラム、ロット番号、抜き取り、再投入などのデータが対応づけられる。
【0104】
表示欄50b〜50eの表示は、はんだ印刷機1から送信された生産条件に基づくものである。表示欄50bには基板の厚みの設定値(単位はミリメートル)が、表示欄50cにはスキージへの印圧(単位はパスカル)が、表示欄50dには、各基板に対する処理の合間の時間長さ(単位は秒)が、それぞれ時系列のグラフとして表示される。
最下段の表示欄50eには、はんだ印刷機1に対して実行された作業の内容を示すテキストデータが、その作業のタイミングを表すマーク(▲印)とともに表示される。
【0105】
最上段の表示欄50aでは、先のはんだ印刷機100における表示例と同様に、各基板における不良個数を時系列に並べた棒グラフが表示されると共に、抜き取りされた基板のデータが記号『O』により明示され、再投入された基板のデータが記号『R』により明示される。
【0106】
また、各表示欄50a〜50eのグラフやマークの表示は、元データ(検査結果データや生産条件データ)に紐付けられている基板IDに基づき、同じ基板に対応するデータが縦一列に並ぶように調整されている。
さらに、画面の右手の表示領域51には、分析対象の各基板で検出された不良の頻度を不良の種毎にまとめたグラフが表示される。
【0107】
上記の表示によれば、この表示が実施される端末装置5のユーザは、表示欄50aの表示により、抜き取られた基板や再投入された基板の品質を認識すると共に、表示欄50b〜50eの各表示と記号『O』との関係から、基板が抜き取られたときの生産条件を認識することができる。また、領域51内のグラフから、発生頻度の高い不良を認識することもできるので、これらの認識結果に基づき、基板の抜き取りを招いた原因を判断することが可能になる。
【0108】
図16は、上記図15の表示を行うために、生産管理システムMのサーバ4に設けられる機能を示す。
図中、検査結果データ入力部401は、はんだ印刷検査機100から送信される検査結果データを受け付けて、検査結果データ記憶部403に蓄積する。また、生産条件入力部402は、はんだ印刷機1から製造条件を示す情報の送信を受け付けて、生産条件記憶部404に蓄積する。なお、いずれの記憶部403,404においても、保存される情報には、対応する基板の基板IDや処理時刻などが添付される。
【0109】
図中の指定受付部405は、分析対象の指定を受け付けた端末装置5から、その指定内容の送信を受け付ける。
表示データ作成処理部400は、指定内容の送信を受けた指定受付部405からの連絡に基づき、指定に応じた表示用データを作成して端末装置5に送信するためのもので、通過基板テーブル作成部406、通過基板テーブル407、検査結果表示データ作成部408、生産条件表示データ作成部409、画面データ編集部410、出力部411などが含まれる。
【0110】
通過基板テーブル作成部407は、検査結果データ記憶部403に蓄積された検査結果データに基づき、分析対象の基板群に含まれる各基板を古いものから順に処理対象に設定し、処理対象の基板につき、基板ID、検査時刻、抜き取りフラグ、再投入フラグなどのデータを通過基板テーブル407に登録する。
具体的には、先の図10に準じたアルゴリズムにより、処理対象基板より前に通過基板テーブルに登録されているエントリを順に遡って、処理対象基板と同一の基板IDを含むエントリを検索する。そして、該当するエントリが見つかった場合には、そのエントリの抜き取りフラグをオンに設定し、処理対象基板の再投入フラグをオンに設定する。
【0111】
検査結果表示データ作成部408は、分析対象の各基板について、それぞれ検査結果データ記憶部403から分析対象の工程における検査結果データを読み出し、これらを用いて、表示欄50aに表示するデータを作成する。特に、表示欄50a中の「抜き取り」の欄や「再投入」の欄の表示に関しては、検査結果表示データ作成部408は、通過基板テーブル407を参照して、抜き取られた基板および再投入された基板を基板IDにより特定し、グラフ中の抜き取られた基板のデータに対応する位置に記号『O』が配置され、再投入された基板のデータに対応する位置に記号『R』が配置されるように、各記号とグラフとの関係を調整する。
【0112】
さらに、検査結果表示データ作成部408は、分析対象の各基板で検出された不良の個数を、不良の種毎に計数し、各計数値に基づき、表示領域51内に表示するデータを作成する。
【0113】
生産条件表示データ作成部409は、生産条件記憶部404から分析対象の基板毎の生産条件を読み出し、これらを種別に分析することによって、表示欄50b〜50e毎の表示データを作成する。
【0114】
画面データ編集部410は、検査結果表示データ作成部408および生産条件表示データ作成部409により作成された各種表示データを用いて、確認画面用の画像データを編集する。完成した画像データは、出力部411によって、指定内容の送信を行った端末装置5に送信される。
【0115】
上記の生産管理システムMによれば、端末装置5を使用する分析担当者が、分析対象の基板群を選択してはんだ印刷工程の分析を指定することによって、図15に示した確認画面が端末装置5のモニタに立ち上げることができる。この画面では、基板毎の品質を示すグラフや生産条件を示すグラフが、時系列かつ相互に対応づけられて表され、さらに、抜き取られた基板のデータや再投入された基板のデータが明示されているので、担当者は各種分析作業を的確かつ容易に行うことができる。
たとえば、再投入された基板の品質を確認したり、抜き取りや再投入の発生度合いを確認することによって、抜き取られた基板を再利用することが生産性を低下させていないか否かを判断することができる。また、抜き取りが生じたときの生産条件を確認することによって、不良の原因を特定し、その原因を解消するための方針立てをすることが可能になる。
【0116】
つぎに、前出の図10や図13に示したアルゴリズムは、はんだ印刷工程に再投入される基板は、全てはんだ印刷工程で抜き取られることを前提とするものであるが、現場によっては、部品実装工程において実装不良が生じたときにも基板を抜き取り、部品やはんだを取り除いて、はんだ印刷工程に再投入するケースもある。このような処理が行われる場合に、図10や図14に示した手順で通過基板テーブルへの登録処理を行うと、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程で抜き取られたものと誤認識され、抜き取りが生じた原因を正しく把握することができなくなる。よって、この場合には、はんだ印刷工程のほか、部品実装工程における基板の通過状態をチェックする必要がある。
【0117】
図17は、はんだ印刷工程および部品実装工程の双方で不良の基板が抜き取られる場合に適用される通過基板テーブル420の構成例である。この通過基板テーブル420は、図14に示した生産管理システムMのサーバ4に格納されるもので、はんだ印刷工程からの検査結果データに基づく情報のほか、部品実装工程からの検査結果データに基づく情報が登録されている。各エントリには、検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、再投入フラグのほか、処理が行われた工程の識別コード(工程ID)が含まれている。工程IDが「0」のエントリは、該当する基板がはんだ印刷工程で処理されたことを示し、工程IDが「1」のエントリは、該当する基板が部品実装工程で処理されたことを示す。
【0118】
図17によれば、この実施例の通過基板テーブル420には、各工程の検査機100,200で基板を受け付けた時間順にエントリが設定される。図中のエントリ(a)は、はんだ印刷工程に基板IDが「2」の基板がはじめて投入されたときに設定され、エントリ(b)は、上記の基板が抜き取られた後にはんだ印刷工程に再投入されたときに設定される。また、エントリ(c)は、上記の再投入基板が部品実装工程に導かれたときに設定され、エントリ(d)は、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程に再投入されたときに設定される。
【0119】
図17の構成の通過基板テーブル420を用いて、はんだ印刷検査機100において図2に示したような確認画面を表示する場合には、サーバ4において、はんだ印刷検査機100や部品実装検査機200から送信された検査結果データに基づき、通過基板テーブル420に対する登録処理を実行する。図18は、この場合の登録処理の手順を示す。
【0120】
以下、図18中の各ステップの符号を参照して説明する。
この処理は、はんだ印刷検査機100または部品実装検査機200から検査結果データの送信を受けたことに応じて開始される。まず、受信した検査結果データから検査対象基板の基板ID、検査時刻を取得し、また検査結果データの送信元の装置の工程IDを取得する(ST301)。つぎに、検査対象基板の抜き取りフラグおよび再投入フラグをオフに初期設定する(ST302)。さらに、通過基板テーブル420内の最新のエントリを照合対象のエントリAに設定する(ST303)。
【0121】
この後は、ST304〜307のループに入り、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、エントリAを1つずつ遡りながら繰り返す。ここで、エントリAと検査対象基板との間で基板IDが一致した場合(ST305が「YES」)には、ステップST308において、現在のエントリAの工程IDに基づき、検査対象基板に対応する工程とエントリAに対応する工程との関係を確認する。
【0122】
上記の確認処理において、エントリAに対応する工程が検査対象基板に対応する工程と同じ、または検査対象基板に対応する工程より後の工程であることが判明した場合には、エントリAの抜き取りフラグをオンに変更し(ST309)、検査対象基板の再投入フラグをオンに変更する(ST310)。そして、検査対象基板の工程ID、検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、再投入フラグの各情報を、新規エントリとして通過基板テーブル420に格納する(ST311)。
【0123】
一方、上記の確認処理において、エントリAに対応する工程が検査対象基板に対応する工程よりも前に実施されることが判明した場合には、ST309〜311のステップを実行することなく、ST304〜ST307のループに戻る。
【0124】
また、ST304〜307のループにおいて、通過基板テーブル420のエントリを全て遡っても、検査対象基板と同一の基板IDを見つけることができなかった場合には、抜き取りフラグや再投入フラグがオフのままステップST311に進み、これらオフ状態のフラグを含む各種情報を、新規エントリとして通過基板テーブル420に格納する。
【0125】
上記の手順によれば、図17に示したエントリ(a)〜(d)は、いずれも、当初は、抜き取りフラグがオフに設定された状態で通過基板テーブル420に格納される。しかし、エントリ(a)はエントリ(b)が登録されるときに、抜き取りフラグがオンに変更される。同様に、エントリ(c)はエントリ(d)が登録されるときに、抜き取りフラグがオンに変更される。
【0126】
上記に対し、エントリ(b)は、エントリ(c)が登録される際に、ST304〜307のループにおいて、検査対象基板と同一の基板IDに対応するエントリとして抽出されるが、このエントリ(b)は、エントリ(c)に対応する工程より前の工程に対応しているため、抜き取りフラグはオフのまま維持される。また、エントリ(c)における再投入フラグもオフ状態で登録される。
【0127】
上記の処理によれば、はんだ印刷検査機100の確認画面中のグラフ表示欄16では、エントリ(a)(b)(d)に対応するデータが表示されるが、抜き取りを示す記号『O』が付与されるのは、エントリ(a)に対応するデータのみとなり、エントリ(b)に対応するデータに付されるのは、再投入を示す記号『R』のみとなる。よって、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程に再投入された場合にも、抜き取りが生じた時期が誤認識されることがなく、正しい認識結果を反映したグラフを表示することができる。
【0128】
なお、上記の実施例は、サーバ4において通過基板テーブル420への登録処理を行っているが、これに限らず、はんだ印刷検査機100が自装置内で登録を行ってもよい。この場合には、はんだ印刷検査機100は、部品実装検査機200との通信を行いながら、双方の検査機100,200が受け付けた基板の情報を用いて、図18に準じた処理を実行することになる。
【0129】
また、図16の実施例が適用されたサーバ4において、端末装置5からの指定に応じて分析作業のためのグラフを作成する場合にも、通過基板テーブル407を図17と同様の構成にして、図18に示した登録処理を実行すれば、部品実装工程における基板の抜き取りを誤らずに認識することが可能になる。
【0130】
なお、上記の通過基板テーブルの登録処理に関する各実施例では、通過基板テーブルに登録されているデータを過去に遡って辿って、登録対象の基板と同一の基板IDを有するデータを検索したが、これとは逆に、古いデータから順に辿って検索を行ってもよい。
【符号の説明】
【0131】
100 はんだ印刷検査機
101 主制御部
102 副制御部
104 モニタ
131 検査結果分析部
132 通過基板テーブル作成部
135 グラフ表示データ作成部
136 表示画面データ編集部
137 画面表示部
406 通過基板テーブル作成部
407 通過基板テーブル
408 検査結果表示データ作成部
410 画面データ編集部
420 通過基板テーブル
4 サーバ
5(5A,5B,5C) 端末装置
L 基板製造ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ印刷機によりクリームはんだが印刷され、部品が実装される前の基板を対象としてはんだの印刷状態を検査し、その検査結果に基づき、はんだの印刷状態を分析する作業を支援する方法、およびこの方法が適用されたはんだ印刷検査機に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装基板の生産ラインの最初の工程であるはんだ印刷工程では、基板上の多数の電極(ランド)にそれぞれ適切な量のはんだを転写する必要がある。しかし、はんだ印刷機でのマスクの取替、マスクの目詰まり、クリームはんだの供給量の変動などにより、印刷部位の品質が低下することがある。
【0003】
上記の問題に関して、出願人は、以前に、はんだ印刷後の基板のはんだ量を検査し、毎回の検査で計測したはんだ量を時間軸に沿って並べたグラフを作成して、当該グラフを検査機の表示部に表示することを提案した(特許文献1を参照)。
【0004】
特許文献1に記載された発明によれば、ユーザは、表示されたグラフからはんだの印刷部位の品質が低下していないかどうかを容易に確認することができる。また、品質が低下したことを確認した場合には、はんだ印刷機のメンテナンスなど、必要な措置をとることにより、品質を回復させることができる。
【0005】
また、はんだ印刷工程のみならず、生産ラインの全工程を対象にして、検査の結果から種々の分析用の情報を生成することも提案されている。たとえば、特許文献2には、はんだ印刷工程、部品実装工程、リフロー工程のそれぞれに検査機を配備し、各工程での検査により得た計測値や製造装置に設定されている製造条件などを収集し、これらを用いて各設備を通過した基板の品質を種々の監視項目毎に分析することや、分析結果をモニタに表示したり、コピーすることが記載されている。
【0006】
さらに、近年の生産現場では、マーキングやシールを貼付するなどの方法により、各基板にそれぞれ固有の識別コードを記し、製造装置や検査機で基板を受け付けたときに識別コードを読み取って、検査結果などをこの識別コードに紐付けて保存する方法を採用する場合がある(たとえば、特許文献3)。この方法によれば、1枚の基板に対する各工程の処理結果を対応づけて確認するなど、より高度の分析処理を行うことが可能になる。
【0007】
また、特許文献1では、2次元の画像処理により、はんだ量としてクリームはんだの面積を求めているが、特許文献4に記載されているように、クリームはんだの厚み(高さ)や体積を計測する機能を持つ検査機もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−261732号公報
【特許文献2】特開平6−112295号公報
【特許文献3】特開2005−303269号公報
【特許文献4】特許第2711042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
実際の部品実装基板の製造現場では、はんだ印刷工程で明らかな不良が生じた場合に、その不良基板をラインから抜き取って洗浄した後に、再度、ラインに投入する、という方針(基板の再利用)を採ることがある。この方針は、基板の廃棄数を減らすことによってコストを削減する、という考えに基づくものであるが、実際にトータルのコストが削減されていることが確認されているとは限らない。
【0010】
実際に運用してみると、基板を再投入することによって、かえって不良が生じやすくなる場合があることも判明している。たとえば、抜き取った基板の洗浄が不十分であると、再投入の際に、前回の残りのはんだの上に新たなはんだが印刷されて、はんだ過多となる場合がある。さらに、このはんだ過多が生じた基板にマスクを載せてスキージにより押圧すると、はんだがランドの外に滲み出し、重篤な不良が生じる場合がある。さらに、滲み出したはんだがマスクに付着し、これが次に処理される基板のランド以外の場所に付着して、不良の基板が増加する場合もある。
【0011】
また、基板の抜き取り、洗浄、再投入などは手作業で行われるため、これらの作業を行う分だけ生産性が低下する。したがって、抜き取った基板の再投入により新たな不良が生じる場合には、不良基板を再利用するよりも廃棄した方が利にかなう可能性がある。したがって、現場では、再投入された基板やその直近の基板を特定してこれらの品質をチェックし、再投入のメリットがあるかどうかを検討する必要がある。
【0012】
また、生産性を向上させるには、抜き取りが必要になるほど品質が低下することがないようにするのが一番である。そのためには、抜き取られた基板を特定して、その基板が処理されたときの製造条件やはんだの印刷状態などを分析できるようにするのが望ましいが、そのような分析を現場で容易に行えるようにした従来例は認められない。
【0013】
本発明は上記の問題点に着目してなされたもので、はんだ印刷工程における基板の抜き取りや再投入が基板の品質に及ぼす影響を、ユーザが容易に確認できるようにすることを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるはんだ印刷状態の分析作業の支援方法は、それぞれ固有の識別コードが記された複数枚の基板がはんだ印刷機およびはんだ印刷検査機を含む生産ラインに順に導入されて処理され、はんだ印刷検査機により基板毎にその識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた形式の検査結果データが作成されて、各検査結果データがはんだ印刷検査機または外部機器のメモリに蓄積されることを前提とする。
なお、「検査順序を特定する情報」としては、たとえば各基板を検査した時刻を用いることができるが、これに限らず、検査順序を示す数値を用いることもできる。
【0015】
本発明による支援方法では、以下の第1ステップ、第2ステップ、第3ステップを実行する。これらのステップは、はんだ印刷検査機により実行することができるほか、はんだ印刷検査機から検査結果データの提供を受けた外部コンピュータにより実行することもできる。また、はんだ印刷検査機と外部コンピュータとの間で、各ステップを分担して実行することもできる。
【0016】
第1ステップでは、はんだ印刷検査機に検査のために導入される複数枚の基板、または過去に検査された複数枚の基板に1枚ずつ着目し、検査順序を特定する情報に基づき、着目中の基板がはんだ印刷検査機に導入されるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを着目中の基板の識別コードと照合し、この照合により着目中の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたときに、着目中の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると認識する。
【0017】
第2ステップでは、第1ステップで着目した基板を含み、はんだ印刷検査機により検査された複数枚の基板の検査結果データを用いて、これらの基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフを作成する。第3ステップでは、第1ステップにおける認識結果に基づき、第2ステップで作成されたグラフを、再投入された基板および当該基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板の少なくとも一方に対応するデータが明示された状態にして表示する。なお、基板の品質を示すデータとしては、たとえば、基板における不良部位の個数や不良率、または良好な部位の比率などを求めることができ、また、クリームはんだの面積、体積、高さなどの計測値の統計処理により得られる数値(平均値、標準偏差、最大値と最小値との差など)を基板の品質を示すデータとしてもよい。
【0018】
上記の方法によれば、ユーザは、表示されたグラフにより、生産ラインに導入された複数枚の基板の品質の変化を確認すると共に、以前に処理されて再投入された基板の品質、または再投入基板が過去に処理されたときの品質を確認することができる。よって、基板の抜き取りまたは再投入が品質に及ぼした影響を容易に把握することが可能になる。
【0019】
上記方法の好ましい一実施態様では、検査結果データをはんだ印刷検査機のメモリに蓄積すると共に、第1、第2、第3の各ステップをはんだ印刷検査機により実行する。この場合のはんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、その検査対象基板に着目して第1ステップを実行すると共に、当該検査対象の基板に対する検査が終了したことに応じて、この基板より前に検査された複数枚の基板を対象にして第2ステップおよび第3ステップを実行する。また、第3ステップでは、グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示すると共に、表示対象のグラフ中に再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する。なお、第1ステップは、検査対象基板に対する検査を開始する前に行ってもよいし、検査の終了後に行ってもよい。
【0020】
上記の態様によれば、はんだ印刷検査機で新たな検査対象基板を受け付けて検査を実行する都度、表示されるグラフが、その基板および当該基板より前に検査された複数枚の基板の品質の変化を表すものに更新される。また、グラフ中の過去に抜き取られて再投入された基板に対応するデータが明示されるので、ユーザは、基板の再投入が品質に及ぼす影響を容易に把握することができる。
【0021】
さらに、グラフ中に抜き取られた基板に対応するデータが含まれる場合には、このデータが再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示されるので、再投入された基板やこれに続く基板に不良が生じて、基板の抜き取りが生じた場合にも、ユーザは、これらの因果関係を容易に把握することが可能になる。
【0022】
上記方法の他の好ましい実施態様では、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機との通信が可能に設定された外部コンピュータに対し、はんだ印刷機から当該はんだ印刷機で処理された各基板の製造条件に関するデータをそれぞれの識別コードに紐付けて送信すると共に、はんだ印刷検査機から各基板の検査結果データを送信して、各送信情報を外部コンピュータのメモリに蓄積する。また、外部コンピュータでは、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板を対象として、第1、第2、第3の各ステップを実行する。
【0023】
さらに、この実施態様における第2ステップでは、外部コンピュータのメモリに蓄積された情報を用いて、各基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフ、および各基板に対する製造条件を示すデータを時系列で並べたグラフを作成する。第3ステップでは、これらのグラフを、グラフ中の各データに対応する基板の識別コードに基づき、対応関係にあるデータを一列に揃えた状態で表示すると共に、再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータを、生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして明示する。
【0024】
上記の態様によれば、ユーザは、はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板について、表示されたグラフにより、製造条件の変化が品質に及ぼす影響を確認すると共に、基板の抜き取りが生じた時点およびその前後の製造条件を確認することができる。よって、基板の抜き取りが必要なほど品質が低下した原因を特定し、その原因を解消するために必要な対策を考えることができる。
【0025】
つぎに、本発明が適用されたはんだ印刷検査機は、それぞれ固有の識別コードが記され、はんだ印刷機によるはんだ印刷処理が終了した複数枚の基板を順に受け付けてはんだの印刷状態を検査する検査実行手段と、基板毎に当該基板の識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた検査結果データを作成して自装置または外部機器のメモリに蓄積する検査結果蓄積手段と、毎回の検査対象の基板につき作成された検査結果データを用いて各基板の品質を示すデータを時系列で並べたグラフを作成して、このグラフをモニタ装置に表示する情報表示手段とを具備する。
【0026】
上記のはんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、前記検査順序を特定する情報に基づき、検査対象の基板を受け付けるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを検査対象の基板の識別コードと照合し、この照合により検査対象の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたとき、検査対象の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると認識する認識手段を、さらに具備する。また、情報表示手段は、受け付けた基板に対する検査が終了する都度、その基板に対して作成された検査結果データを用いて表示対象のグラフを更新すると共に、認識手段による認識結果に基づき、グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示する。
【0027】
上記のはんだ印刷検査機によれば、ユーザは、検査を進めながら、モニタに表示されたグラフにより、再投入された基板やその後に処理された基板の品質を確認することができる。
【0028】
好ましい態様によるはんだ印刷検査機では、情報表示手段は、表示対象のグラフ中に再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する。この表示によれば、再投入された基板や後続の基板に不良が発生して抜き取られた場合には、これらの処理がグラフに明示されるから、ユーザは、基板の再投入が新たな不良を引き起こしていることを、容易に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、生産ラインに導入されてはんだ印刷が施された複数枚の基板の中から、以前に処理されて再投入された基板を認識し、上記複数枚の基板の品質を表すグラフを、再投入が認識された基板に対応するデータを明示した状態で表示するので、ユーザは、基板の抜き取りまたは再投入と基板の品質との関係を容易に確認することができる。よって、基板の再投入により生産性が向上しているか否かの検討や、基板が抜き取られたときの状況を分析する処理を、的確に行って、生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】はんだ印刷検査機の構成を示すブロック図である。
【図2】はんだ印刷検査機における検査結果の確認画面の例を示す図である。
【図3】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図4】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図5】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図6】はんだ印刷検査機の制御系の機能ブロック図である。
【図7】通過基板テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図8】通過基板テーブルのデータ構成の他の例を示す図である。
【図9】はんだ印刷検査機における処理の概略手順を示すフローチャートである。
【図10】通過基板テーブルへの登録処理の詳細手順を示すフローチャートである。
【図11】グラフ表示欄の他の例を示す図である。
【図12】図11の表示を行う場合の通過基板テーブルのデータ構成例と、時間経過に伴うデータの変化とともに示す図である。
【図13】図12の通過基板テーブルに対する登録処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】基板生産ラインおよび基板の品質管理システムの構成例を示す図である。
【図15】図14の品質管理システムの端末装置に表示される確認画面の例を示す図である。
【図16】図15の表示に関して、品質管理システムのサーバに設定される機能を示す機能ブロック図である。
【図17】部品実装工程で基板が抜き取られる場合を考慮した通過基板テーブルのデータ構成例を示す図である。
【図18】図17の通過基板テーブルに対する登録処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、はんだ印刷検査機の構成を示すブロック図である。
このはんだ印刷検査機100は、部品実装基板の生産ラインのはんだ印刷工程に配備され、基板側の電極(ランド)に印刷されたはんだの量や印刷範囲の適否などを検査するものである。
【0032】
図中の主制御部101および副制御部102は、いずれもCPUやメモリを具備するコンピュータである。また主制御部101には、ネットワーク通信のための通信インターフェースが含まれる。
主制御部101にはカメラ103およびモニタ104が接続され、副制御部102には、コンベア105、照明ユニット106、表示灯107、Xステージ部108、Yステージ部109、操作部110、外部機器用インターフェース111などが接続される。
【0033】
後記する図14に示すように、モニタ104、表示灯107、および操作部110は、はんだ印刷検査機100の筐体に取り付けられ、その他の構成は筐体内に収容される。副制御部102は、主制御部101からの指示に応じて、コンベア105、照明ユニット106、表示灯107、Xステージ部108、Yステージ部109の動作を制御する。また、副制御部102は、操作部110や外部機器用インターフェース111からの入力を受け付けて、入力された情報を主制御部101に伝達する。また、主制御部101からの指令に応じて、外部機器用インターフェース111を介して図示しない外部機器(たとえばプリンタ)の動作を制御する。
【0034】
コンベア105は、検査対象の基板の搬入および搬出を行うほか、検査中の基板を水平な姿勢で支持する。Xステージ部108は、カメラ103および照明ユニット106を、X軸方向に沿って移動可能に支持し、Yステージ部109は、コンベア105をY軸方向に沿って移動可能に支持する。
【0035】
主制御部101は、メモリに登録されているプログラムや設定データに基づき、検査を実行する。簡単に説明すると、主制御部101は、副制御部102に各ステージ部108,109の動作を制御させることによって、カメラ103の視野を基板の所定範囲に合わせ、カメラ103に撮像を行わせる。そして、生成された画像中の各はんだ印刷部位に検査領域を設定し、検査領域毎に、その領域内の画像を2値化してはんだの印刷パターンを抽出し、印刷パターンの面積や位置などを計測し、計測値の適否を判別する。
なお、カメラ103による基板の撮像は、通常、視野に対応する範囲を変更して複数回行われる。
【0036】
主制御部101のメモリには、基板の型式毎に、検査領域の設定データや判定しきい値などを含む検査プログラムが登録されている。主制御部101は、プログラムの選択操作を受け付けた後、選択されたプログラムを読み出して、上記の検査を実行する。
【0037】
また、主制御部101は、1枚の基板に対する検査が終了する都度、各検査領域における検査結果を取りまとめて、検査結果データを作成する。この検査結果データは、主制御部101の内部メモリに保存されるほか、後記するサーバ4などに送信される。
さらに、主制御部101は、モニタ104に、現場の担当者向けの確認画面を立ち上げて、1枚の基板に対する検査が終了する都度、この確認画面の表示を更新する。
【0038】
なお、この実施例では、上記のとおり、はんだ印刷検査機100として、2次元の画像処理によりはんだの印刷パターンの面積や位置などを計測するタイプの装置を用いるが、これに代えて、先の特許文献4に記載されているような、はんだの印刷パターンの高さや面積を計測する機能を有する検査機を使用してもよい。
【0039】
図2は、モニタ104に表示される画面の一例を示す。
この例の画面には、複数の表示欄11〜16が設けられている。これらのうち、画面左の最上段の表示欄11には、現在の検査対象基板に関する情報として、使用中の検査プログラムの種別コード、検査対象基板が属するロット番号、検査対象基板の識別コード(以下、図示例に倣って「基板ID」という。)、ロット内の基板枚数が表示されている。
これらの情報のうち、基板IDを除く各情報は、検査前に、あらかじめ登録された情報の中からユーザにより選択、またはユーザにより入力されたものである。一方、基板IDは、各基板にバーコードまたは2次元コードとしてマーキングされているものを、主制御部101が読み取ったものである。
【0040】
画面右の最上段の表示欄12は、検査対象基板に対する良否の判定結果を表示するためのものである。具体的には、検査対象基板が不良と判定された場合には、図示例のように「NG」と表示され、検査対象基板が良品と判定された場合には、「OK」と表示される。
【0041】
画面右の2段目の表示欄13には、検査対象基板が過去に抜き取られた基板を再投入したものであるか否かが表示される。この実施例では、検査対象基板が搬入されて基板IDの読み取りが終了した直後に、その基板が再投入されたものか否かを判別し、その判別結果を「再投入あり」または「再投入なし」の文字列により表示することにしている。
また、この実施例では、検査対象基板が再投入されたものであると判別して、表示欄13に「再投入あり」の文字列を表示した場合には、表示灯107に所定の色彩光(たとえば黄色)を点灯することにより、現場担当者の注意を喚起するようにしている。
【0042】
画面左の2段目の表示欄14には、検査対象基板から抽出された不良部位の一覧が表示され、画面右の3段目の表示欄15には、不良部位を含む画像が表示される。なお、表示欄15における画像表示に関しては、適宜、操作部110に対する操作に応じて表示倍率を変更したり、表示対象範囲を切り替えることができる。
【0043】
さらに、この画面の最下段の表示欄16には、検査された基板の品質の推移を表すグラフが表示される。よって、以下では、この表示欄16を「グラフ表示欄16」という。
この実施例のグラフ表示欄16では、過去に遡る一定枚数分の基板を対象として、これらの基板における不良個数を時系列に並べた棒グラフが、検査の実施日、実施時刻、検査プログラム、ロット番号、再投入の有無などの情報に対応づけて表示される。また、毎回の検査対象基板に対する検査が終了する都度、グラフの左端のデータ(最も古いデータ)が消去されて、各データが1駒ずつ左に移動し、直近の検査結果を示すデータがグラフの右端に追加される。
【0044】
なお、グラフ表示欄16に表示されるグラフの形式は棒グラフに限らず、折れ線グラフであってもよい。また、グラフに編集されるデータ、すなわち基板の品質を示すデータとしては、不良個数に限らず、不良部位または良好な部位が全体に占める割合を表示してもよい。また、各基板における実装個数が多い特定品番の部品のランドについて、はんだ量の平均値や標準偏差、あるいは最大値と最小値との差を求め、これらの値によるグラフを表示してもよい。
【0045】
さらに、この実施例では、グラフの真上に「再投入」の欄を設け、この欄内の再投入された基板のデータに対応する位置に、『R』という記号(「RETRY」の略)を表示する。この記号は、再投入された基板に対する検査が終了して、当該基板に対応するデータがグラフに追加されるのと同時に出現し、以後のグラフの更新に対しても、対応するデータに追随してシフトする。このように、グラフ中の再投入された基板に対応するデータが記号『R』により明示されるので、現場担当者は、過去に抜き取られた基板を再投入したときの品質の適否を容易に認識することが可能になり、基板の再投入により生産性が向上しているか否かを判断することが可能になる。
【0046】
、
図3〜5は、モニタ104に表示される画面のうちのグラフ表示欄16のみを拡大して、このグラフ表示欄16の他の表示例を示したものである。いずれのグラフ表示欄16も、基本的な構成は図2に示したものと同様であるが、図3の例では、「再投入」の欄に代えて「抜き取り」の欄を設け、この欄内の抜き取られた基板のデータに対応する位置に『O』という記号(OUTの略)を表示している。
【0047】
基板を抜き取るか否かの判断は、はんだ印刷検査機100が不良と判別した基板を目視した現場担当者により行われる(このまま後工程に基板を流すと、最終製品は明らかに不良になると担当者が判断した場合に、基板が抜き取られる。)。したがって、図3の例のように、抜き取られた基板に対応するデータを明示すれば、担当者は、抜き取られた基板の品質を容易に確認し、抜き取りの判断が適切であったか否かを把握することができる。
【0048】
図4の例のグラフ表示欄16には、「抜き取り」の欄と「再投入」の欄とが設けられる。「抜き取り」の欄では、抜き取られた基板のデータに対応する位置に記号『O』が表示され、「再投入」の欄では、再投入された基板のデータに対応する位置に記号『R』が表示される。
【0049】
図5の例でも、図4の例と同様に、記号『O』および記号『R』を用いて、抜き取られた基板のデータおよび再投入された基板のデータが明示される。この例では、各記号の表示欄を1つに統合すると共に、同一の基板IDに対応する記号どおしを線で結ぶことによって、抜き取りと再投入との対応関係を表している。
【0050】
上記の図4や図5の表示例によれば、担当者は、抜き取られた基板および再投入された基板の双方の品質を確認することが可能になる。また、再投入された基板やその直後に投入された基板が抜き取られた場合には、現場担当者は、これらの基板に対応するデータに付された記号『R』や記号『O』の関係により、再投入と抜き取りとの因果関係を即座に認識することができる。
【0051】
図6は、上記のはんだ印刷検査機100の制御系(図1に示した主制御部101および副制御部102)に設けられる機能を示す。この実施例の制御系に設定される機能は、検査の実行に関する機能Aと、図2〜5に示したような表示を行う機能Bとに二分される。
【0052】
検査実行機能Aは、検査実行部121、検査結果データ作成部122、検査結果出力部123、検査結果データ記憶部124などにより構成される。検査実行部121は、設定されている検査プログラムに基づき、前述した検査に関する一連の制御を実行する。また、検査に先立ち、検査対象基板にマーキングされている基板IDを読み取る処理も、検査実行部121により実施される。
【0053】
検査結果データ作成部122は、検査領域毎に得た計測値や判定結果を1つのデータファイルにまとめ、このデータファイルのファイル名や属性に検査対象基板の基板IDや検査時刻を設定して、検査結果データ記憶部124に保存する。また、検査結果データ作成部122は、検査対象基板毎に、その基板の検査に用いられた画像のファイルに当該基板の基板IDを含むファイル名を付けたものを、検査結果データ記憶部124に保存する。
検査結果出力部123は、検査結果データ作成部122により作成された検査結果データを外部機器などに送信する処理を実行する。
【0054】
表示実行機能Bは、検査結果分析部131、通過基板テーブル作成部132、通過基板テーブル133、検査結果表示データ作成部134、グラフ表示データ作成部135、表示画面データ編集部136、画面表示部137などにより構成される。
【0055】
通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から検査時刻や検査対象基板の基板IDの提供を受けて、これらを通過基板テーブル133に登録する。また、この格納にあたり、通過基板テーブル作成部132は、提供された基板IDを用いて検査対象基板が再投入された基板であるか否かを判別し、その認識結果を通過基板テーブル133に登録する。さらに、図3〜5の例のように、グラフ表示欄16に抜き取りを示す記号『O』を表示する場合には、基板毎に、その基板の抜き取りの有無を示すデータを通過基板テーブル133に登録する。
【0056】
検査結果分析部131は、検査結果データ記憶部124から検査結果データや基板の画像データを読み出し、検査結果データ中の計測データを用いた統計処理により、基板の品質を示すデータを導出する。そして、導出したデータや読み出したデータを検査結果表示データ作成部134およびグラフ表示データ作成部135に提供する。
検査結果表示データ作成部134は、提供されたデータを用いて表示欄11,12,14,15に表示するデータを作成し、グラフ表示データ作成部135は、グラフ表示欄16に表示するデータ(『R』『O』の記号を除く。)を作成する。
先にも述べたように、基板の品質を示すデータとしては、不良の個数や、不良部位または良品部位が占める割合、各クリームはんだに対する計測値を品番毎に統計処理した値などを、求めることができる。
【0057】
表示画面データ編集部136は、検査結果表示データ作成部134およびグラフ表示データ作成部135により作成された表示用データ、および通過基板テーブル133に格納された情報を用いて、図2に示した確認画面用の画像データを編集する。このとき、表示画面データ編集部136は、通過基板テーブル133を参照して、グラフに表されるデータの中から記号『R』や『O』を付す対象のデータを特定し、表示画面の画像データ中に各記号の表示データを追加する処理を実行する。また、表示画面データ編集部136には、検査対象の基板を受け付けたときに表示欄13に対する表示を行う機能も設定される。
画面表示部137は、表示画面データ編集部136から上記の画像データの提供を受けて、モニタ103に表示する。これにより、モニタ103には、先に述べたような形式の画面が表示される。
【0058】
図7は、通過基板テーブル133のデータ構成例を示す。なお、この図7および後に示す図8,図12,図17では、図示を簡単にするために、各基板の基板IDを1〜2桁の数字により示す。
【0059】
図7の例の通過基板テーブル133には、検査された基板毎に、検査時刻、基板ID、および再投入の有無を示すフラグ(以下、「再投入フラグ」という。)が登録されている。通過基板テーブル133の各エントリ(登録情報)のうち、再投入フラグが「0」に設定されているエントリは、該当する基板は再投入されたものでないことを意味し、再投入フラグが「1」に設定されているエントリは、該当する基板が過去に抜き取られた基板を再投入したものであることを意味する。
【0060】
通過基板テーブル133に登録される検査時刻は、検査実行部121が基板IDを読み取って検査を開始した時刻に相当する。ただし、これに限らず、検査を終了した時刻、または、検査開始時刻および終了時刻の双方を登録するようにしてもよい。または、時刻を登録せずに、各基板の検査の順番を示す数字を登録してもよい。
【0061】
通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から新たな検査対象基板の基板IDおよび検査時刻の提供を受けた後に、通過基板テーブル133の各エントリに過去に遡る方向に沿って順に着目して、検査対象基板と同一の基板IDを含むエントリを検索する。ここで該当するエントリが見つかると、そのエントリに対応する基板は不良のために抜き取られた基板に相当し、この抜き取られた基板を再投入したものが検査対象基板であると判断する。そして、検査対象基板の再投入フラグを「1」に設定して、当該基板の検査時刻、基板ID、再投入フラグを通過基板テーブルに登録する。
【0062】
図7では、抜き取られた基板および再投入された基板に対応するエントリを、それぞれパターン塗りにより表している。これらのエントリによれば、10時35分12秒に検査された基板は不良のために抜き取られ、その後、11時15分08秒に再投入されたことを、この基板が再投入されたときに認識することができる。
【0063】
図7の例の通過基板テーブル133は、グラフ表示欄16に記号『R』のみを表示する場合に用いられる。これに対し、図3〜5の例のように、グラフ表示欄16に抜き取りを示す記号『O』を表示する場合には、通過基板テーブル133は、図8に示すような構成のものになる。
【0064】
図8の例の通過基板テーブル133では、各基板に対し、図7の例と同様に、検査時刻、基板ID、再投入フラグが登録されるほか、抜き取りの有無を示すフラグ(以下、「抜き取りフラグ」という。)が登録される。抜き取りフラグが「0」のエントリは、該当する基板が抜き取られることなく、次の部品実装工程に送られたことを意味し、抜き取りフラグが「1」の登録情報は、該当する基板が抜き取られたことを意味する。
【0065】
以下では、この図8に示す構成の通過基板テーブル133が作成され、グラフ表示欄16において、抜き取られた基板に対応するデータと再投入された基板に対応するデータとがそれぞれ記号『O』『R』により明示されるものとして、検査結果の表示に関する処理の詳細を説明する。
【0066】
図9は、上記のはんだ印刷検査機100において1枚の検査対象基板に対して実行される処理に関するフローチャートを示す。このフローチャートの各ステップの符号を参照して、検査の概略手順を説明する。
まず、検査対象基板を搬入し(ST1)、その基板にバーコードまたは2次元コードとしてマーキングされている基板IDを読み取る処理を実行する(ST2)。これらのステップST1,ST2は、図6に示した検査実行部121により実行される。
【0067】
つぎに、検査対象基板に関する情報を基板通過テーブル133に登録する処理を実行する(ST3)。この処理は、通過基板テーブル作成部132により実行されるものである。
【0068】
ステップST3が終了すると、基板通過テーブル133に登録された再投入フラグに基づいて、表示欄13に再投入の有無を表示する(ST4)。この処理は、通過基板テーブル133が更新されたことを検出した表示画面データ編集部136により実行される。
【0069】
つぎに、検査実行部121により、検査対象基板に対する検査を実行する(ST5)。検査が終了すると、検査結果データ作成部122が前述した検査結果データを作成し、これを検査結果データ記憶部124に保存する。また、検査結果データ作成部122が検査結果データを外部機器に出力する処理を実行する(ST6)。
【0070】
この後は、検査結果分析部131、検査結果表示データ作成部134、グラフ表示データ作成部135、および表示画面データ編集部136が協働して、検査結果データ記憶部124や通過基板テーブル作成部132内の情報を処理し、確認画面の表示データを作成する(ST7)。画面表示部137は、この表示データを用いてモニタ104の確認画面を更新する(ST8)。
この後は、検査対象基板を搬出し(ST9)、処理を終了する。
【0071】
図2に示した確認画面のうち、表示欄13に対する表示はステップST4において実施され、その他の表示欄の表示データは、上記のステップST7において作成される。表示欄11内の基板ID、表示欄14の不良一覧、および表示欄12の検査結果は、いずれも検査対象基板の検査結果データから読み出されたものである。また表示欄15の画像も、検査対象基板につき検査結果データ記憶部124に保存された画像ファイルから読み出されたものである。
【0072】
グラフ表示欄16のグラフを構成する各データは、それぞれ対応する基板の基板IDに紐付けられている。よって、記号『R』の表示に関しては、通過基板テーブル133内の再投入フラグがオンに設定されているエントリの基板IDに基づき、グラフ中の各データの中から記号『R』を付すデータを特定することができる。記号『O』の表示に関しても、同様に、通過基板テーブル133内の抜き取りフラグがオンに設定されているエントリの基板IDに基づき、記号『O』を付すデータを特定することができる。
【0073】
つぎに、上記のステップST3において通過基板テーブル作成部132が実行する処理の詳細を、図10を用いて説明する。
なお、図10には示していないが、この実施例の通過基板テーブル133には、一定の期間内(たとえば1日)に処理された基板が登録され、一定期間が経過する毎に、クリアされる。
【0074】
まず、通過基板テーブル作成部132は、検査実行部121から検査対象基板の基板IDおよび検査時刻の提供を受ける(ST101)。
つぎに、通過基板テーブル作成部132は、検査対象基板の抜き取りフラグおよび再投入フラグの初期値を、それぞれオフ(値が0)に設定する(ST102)。そして、通過基板テーブル133内の最新のエントリ(一段階前に検査された基板のエントリ)を照合対象のエントリAに設定し(ST103)、ST104〜107のループに移行する。
【0075】
このループでは、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、両者のIDが一致するまで、一段階ずつ過去に遡ってエントリAを変更しながら繰り返す。この結果、通過基板テーブル133内の全てのエントリと照合しても、検査対象基板と基板IDが一致するエントリを見つけることができなかった場合(ST106が「YES」)には、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、および再投入フラグを、新規エントリとして通過基板テーブルに格納する(ST107)。
【0076】
一方、ST104〜107のループにおいて、照合対象のエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致した場合(ST105が「YES」)には、ループを抜けて、エントリAの抜き取りフラグをオン(値は1)に変更する(ST108)。さらに、この場合には、検査対象基板の再投入フラグをオンに変更し(ST109)、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、および再投入フラグを、新規エントリとして通過基板テーブル133に格納する(ST110)。
【0077】
上記の手順によれば、基板が抜き取られた段階では、その基板について、抜き取りフラグがオンに設定されたエントリを設定することはできない。しかし、抜き取られた基板が再投入されたときに、その基板について、再投入フラグがオン設定されたエントリを自動で登録すると共に、この基板が抜き取られたときに登録されたエントリの抜き取りフラグをオフからオンに書き換える処理を、自動的に行うことができる。よって、再投入された基板に対する検査が終了して、その検査結果に基づきモニタ104のグラフ表示欄16が更新される際には、再投入された基板のデータが記号『R』により明示された状態で追加されると共に、この基板が抜き取られたときの検査結果を示すデータが記号『O』により明示される。
【0078】
なお、先の図4,5に示したグラフの表示例では、抜き取られた基板に対応するデータや再投入された基板のデータを、記号『O』『R』により明示したが、これに限らず、グラフの表示色として、抜き取られた基板のデータを表す色彩、再投入された基板のデータを表す色彩、再投入および抜き取りの両方が生じた基板のデータを表す色彩、ならびに抜き取りや再投入の対象となっていない基板のデータを表す色彩、の計4種類の色彩を設定して、各データを色分けして表示してもよい。
このほか、図11に示すように、抜き取られた基板のデータと再投入された基板のデータを、それぞれ抜き取り回数および再投入回数により明示してもよい。
【0079】
図12は、上記図11の例の表示を行う場合に用いられる通過基板テーブル133の構成を示す。この実施例の通過基板テーブル133では、抜き取りフラグや再投入フラグに代えて、抜き取り回数および再投入回数を登録するようにしている。
【0080】
また、図12では、IDが「2」の基板が3回投入されるものとして、1回目の投入時に作成されたエントリ(ア)、2回目の投入時に作成されたエントリ(イ)、3回目の投入時に作成されたエントリ(ウ)のそれぞれにおける抜き取り回数や再投入回数が、処理の進行に応じて変化する状態を示している。
【0081】
図13は、図11の例の表示を行う場合に通過基板テーブル作成部132により実行される処理(図9のST3に相当する。)の手順を示す。
【0082】
この実施例でも、まず、検査実行部121から検査対象基板の基板IDおよび検査時刻を取得する(ST201)。つぎに、検査対象基板の抜き取り回数および再投入回数を、それぞれ初期値の0に設定し(ST202)、抜き取り判別フラグをオフに設定する(ST203)。
なお、抜き取り判別フラグは、検査対象基板が過去に抜き取られた基板であると判別されたかどうかを示すもので、先の実施例の抜き取りフラグとは概念が異なる。
【0083】
つぎに、通過基板テーブル133内の最新のエントリ(一段階前の検査対象基板のエントリ)を、照合対象のエントリAに設定し(ST204)、ST205〜208のループに移行する。
このループでも、図10のST104〜107のループと同様に、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、両者が一致するまで、1つずつ過去に遡ってエントリAを変更しながら繰り返す。この結果、全てのエントリを処理しても、検査対象基板と基板IDが一致するものが見つからない場合(ST207が「YES」)には、抜き取り判別フラグは初期設定時のオフのままとなるので、ステップST214が「NO」となってステップST217に進み、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取り回数、再投入回数を新規のエントリとして基板通過テーブルに格納する。この場合の抜き取り回数および再投入回数は、ともに0となる。
【0084】
エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致した場合(ST206が「YES」)には、ステップST209に進んで抜き取り判別フラグをチェックする。このときの抜き取り判別フラグがオフ状態であれば(ST209が「NO」)、検査対象基板の再投入回数を、エントリAの再投入回数に「1」を加算した値に変更する(ST211)。さらに、抜き取り判別フラグをオンに設定し(ST212)、現在のエントリAをエントリBに変更する(ST213)。
【0085】
ST213のステップを実行した後は、ST205〜208のループに戻って、引き続き、検査対象基板と基板IDが一致するエントリを検索する。ここで、再び検査対象基板に基板IDが一致するエントリが見つかった場合(ST206が「YES」)には、再度、ステップST209において抜き取り判別フラグをチェックするが、このときの抜き取り判別フラグがオンであるので、ST209からST210に進み、エントリBの抜き取り回数を、エントリAの抜き取り回数に1を加えた値に変更する。
この後は、ステップST217に進んで、検査対象基板の検査時刻、基板ID、抜き取り回数、再投入回数を、新しいエントリとして通過基板テーブルに格納する。
【0086】
ST205〜208のループで通過基板テーブル133内の全てのエントリを処理したとき(ST207が「YES」)に、抜き取り判別フラグがオンとなっている場合(ST214が「YES」)には、エントリBの抜き取り回数をチェックする(ST215)。ここで、エントリBの抜き取り回数が0の場合(ST215が「YES」)には、エントリBの抜き取り回数を1に変更し(ST216)、しかる後にステップST217を実行する。一方、エントリBの抜き取り回数が0より大きい場合(ST215が「NO」)には、ステップST216を実行せずに、ステップST217に進む。
【0087】
ここで、図12に示した基板IDが「2」の基板を検査対象として、上記図13の手順に基づき通過基板テーブル133への登録処理を行う場合の具体的な処理の流れを、ケース毎に整理する。
【0088】
<1回目の処理>
基板IDが「2」の基板が初めて処理されるときの通過基板テーブル133には、検査対象基板と基板IDが一致するエントリは存在しない。このため、ステップST201〜204を実行した後は、検査対象基板と同一の基板IDを含むエントリを見つけることができず、抜き取り回数および再投入回数、ならびに抜き取り判別フラグが初期設定状態のまま、ステップST207が「YES」となって、ST205〜208のループを終了する。さらに、ステップST214が「NO」となってステップST217を実行する。
よって、図12(1)に示すように、この時点で通過基板テーブル133に登録されるエントリ(ア)では、抜き取り回数および再投入回数はともに0となる。
【0089】
<2回目の処理>
上記の処理による基板が抜き取られ、再投入された場合にも、ST201〜204の各ステップを実行した後に、ST205〜208のループに移行する。この段階では、エントリ(ア)がエントリAに設定されたときに、このエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致して、ステップST206が「YES」となる。これにより、ステップST209に進んで抜き取り判別フラグをチェックするが、このときの抜き取り判別フラグはオフであるので、ステップST209は「NO」となり、ステップST211〜213を実行する。
【0090】
この結果、検査対象基板の再投入回数は0から1に変更され、抜き取り判別フラグはオンに変更される。また、エントリ(ア)がエントリBに設定される。
この後、ST205〜208のループに戻って基板IDが一致するエントリの検索を続けるが、これ以上、該当するエントリが見つかることはないので、最終的にステップST207が「YES」となってステップST214に進む。この段階での抜き取り判別フラグはオンであるので、ステップST214は「YES」となり、ステップST215に進む。エントリBに設定されているエントリ(ア)の抜き取り回数は、この段階では0であるので、ステップST215は「YES」となり、ST216に進む。これにより、図12(2)に示すように、エントリ(ア)の抜き取り回数は1に変更される。
【0091】
上記の抜き取り回数の変更後には、ステップST217を実行する。よって、検査対象基板について、抜き取り回数を0とし、再投入回数を1とするエントリ(イ)が設定され、通過基板テーブル133に登録される。
【0092】
<3回目の処理>
上記の再投入された基板が再び抜き取られ、再度投入された場合にも、ステップST201〜204を実行してから、ST205〜208のループに移行する。この段階では、エントリ(イ)がエントリAに設定されたときに、このエントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとが一致するので、ステップST206からステップST209に進んで、抜き取り判別フラグをチェックする。この段階の抜き取り判別フラグはオフであるので、ステップST209は「NO」となり、ステップST211〜213が実行されることになる。
【0093】
この結果、検査対象基板の再投入回数が2に設定されると共に、抜き取り判別フラグがオンに設定され、エントリ(イ)がエントリBに変更される。
さらに、ST205〜208のステップに戻って、基板IDが検査対象基板に一致するエントリを検索する処理が続く。この段階では、エントリ(ア)がエントリAに設定されたときに、ステップST206が「YES」となってステップST209に進み、再び抜き取り判別フラグをチェックする。この段階では、抜き取り判別フラグはオンに設定されているので、ステップST209が「YES」となってステップST210を実行する。
【0094】
これにより、図12(3)に示すように、エントリBに設定されているエントリ(イ)の抜き取り回数は、エントリAに設定されているエントリ(ア)の抜き取り回数に1を加えた値、すなわち2に変更される。さらに、引き続きステップST217を実行することにより、抜き取り回数を0とし、再投入回数を2とするエントリ(ウ)が設定され、通過基板テーブル133に格納される。
【0095】
上記のように、基板の抜き取りや再投入が2回以上生じる場合には、基板が再投入されたときの処理によって、その再投入回数が求められると共に、一段階前の抜き取りが生じたときの抜き取り回数を求めることができる。よって、この場合のグラフ表示欄16では、再投入された基板のデータが再投入回数により明示された状態で追加されると共に、抜き取られた基板のデータの抜き取り回数が更新されることになる。
【0096】
つぎに、図14は、上記のはんだ印刷検査機100を含む基板生産ラインLに、生産された基板の品質を管理するシステムMを導入した例を示す。
この基板生産ラインLには、製造装置として、はんだ印刷機1、部品実装機2、リフロー炉3が設けられる。はんだ印刷機1の後段には、はんだ印刷検査機100が、部品実装機2の後段には部品実装検査機200が、リフロー炉の後段には、最終検査用の検査機300が、それぞれ設けられる。
はんだ印刷検査機100の詳細な構成は図1に示したとおりである。また、他の検査機200,300でも、基本的な構成は、検査機100と同様である。
【0097】
品質管理システムMは、サーバ4と、各部門の担当者が使用する端末装置5(図では、5A,5B,5Cの3台を示すが、数はこれに限定されるものではない。)とを、イントラネットを介して接続したコンピュータネットワークシステムとして構成される。さらにサーバ4は、基板製造ラインLの各製造装置1,2,3や検査機100,200,300にも、専用回線Zを介して接続されている。
【0098】
各製造装置1,2,3では、あらかじめ設定された動作定義に基づき、1枚の基板に対する処理が終了する都度、その基板に対する処理を実行したときの生産条件を表す情報を当該基板の基板IDとともに、サーバ4に送信する。
生産条件は工程によって異なるが、たとえば、はんだ印刷機1では、処理対象の基板の厚みに関する設定値、はんだを転写するときにスキージにかかった圧力(印圧)、1枚の基板に対する処理が終了してから次の基板の処理が開始されるまでにかかった時間(処理間隔)、はんだ印刷機1に対して実行された作業などを示す情報が送信される。
【0099】
検査機100,200,300は、それぞれ前段の製造装置1,2,3で処理された基板を順に受け付けて検査を実行し、基板毎に検査結果データファイルを作成する。このデータファイルのファイル名や属性には、検査対象基板の基板IDや検査時刻が含まれる。各検査結果データファイルは、検査を行った検査機100,200,300のメモリに保存されるほか、サーバ4に送信される。
【0100】
サーバ4は、各製造装置1,2,3や検査機100,200,300から送信された情報を、基板IDや送信元装置の工程の識別コード(以下、「工程ID」という。)をキーとして読み出せる状態にして内部のメモリに蓄積する。
さらに、この実施例の生産管理システムMでは、各端末装置5において、分析対象の基板群や工程を指定する操作を受け付けて、指定された内容をサーバ4に送信するようにしている。この送信に応じて、サーバ4は、指定された基板群に関して指定された工程の製造装置や検査機から送信された情報に基づき、種々の分析処理を実行し、分析結果の確認画面の表示データを端末装置5に返送する。端末装置5では、送信された情報に基づき、自装置のモニタに確認画面を立ち上げる。なお、分析対象の基板群の指定は、ロット番号や処理の時間帯などにより行うことができる。
【0101】
上記の分析処理のうち、はんだ印刷工程に対する分析処理では、上記の基板群中の各基板の品質を示すデータや、これらの基板がはんだ印刷機1により処理されているときの生産条件を導出する。また、分析対象の基板の中から、顕著な不良があるために抜き取られた基板や、抜き取り後に再投入された基板を特定し、特定された基板と分析結果との関係が容易に把握できるような表示を行うようにしている。
【0102】
図15は、はんだ印刷工程を対象にした分析処理結果の確認画面の例を示す。
この実施例では、同一のロットに属する複数枚の基板をロット番号により一括指定し、指定された各基板を個々に分析する処理と、各基板の検査結果を統合して分析する処理とを行っている。
【0103】
図中、画面の左側の領域50は、各基板に対する個別の分析結果を表したもので、5つの表示欄50a〜50eが上下に並べられている。これらのうち、一番上の表示欄50aには、各基板の不良個数を時系列で並べたグラフが表示される。この表示は、はんだ印刷検査機100から送信された各基板の検査結果データに基づくもので、前出の図4と同様に、検査の実行日時や実行時刻、プログラム、ロット番号、抜き取り、再投入などのデータが対応づけられる。
【0104】
表示欄50b〜50eの表示は、はんだ印刷機1から送信された生産条件に基づくものである。表示欄50bには基板の厚みの設定値(単位はミリメートル)が、表示欄50cにはスキージへの印圧(単位はパスカル)が、表示欄50dには、各基板に対する処理の合間の時間長さ(単位は秒)が、それぞれ時系列のグラフとして表示される。
最下段の表示欄50eには、はんだ印刷機1に対して実行された作業の内容を示すテキストデータが、その作業のタイミングを表すマーク(▲印)とともに表示される。
【0105】
最上段の表示欄50aでは、先のはんだ印刷機100における表示例と同様に、各基板における不良個数を時系列に並べた棒グラフが表示されると共に、抜き取りされた基板のデータが記号『O』により明示され、再投入された基板のデータが記号『R』により明示される。
【0106】
また、各表示欄50a〜50eのグラフやマークの表示は、元データ(検査結果データや生産条件データ)に紐付けられている基板IDに基づき、同じ基板に対応するデータが縦一列に並ぶように調整されている。
さらに、画面の右手の表示領域51には、分析対象の各基板で検出された不良の頻度を不良の種毎にまとめたグラフが表示される。
【0107】
上記の表示によれば、この表示が実施される端末装置5のユーザは、表示欄50aの表示により、抜き取られた基板や再投入された基板の品質を認識すると共に、表示欄50b〜50eの各表示と記号『O』との関係から、基板が抜き取られたときの生産条件を認識することができる。また、領域51内のグラフから、発生頻度の高い不良を認識することもできるので、これらの認識結果に基づき、基板の抜き取りを招いた原因を判断することが可能になる。
【0108】
図16は、上記図15の表示を行うために、生産管理システムMのサーバ4に設けられる機能を示す。
図中、検査結果データ入力部401は、はんだ印刷検査機100から送信される検査結果データを受け付けて、検査結果データ記憶部403に蓄積する。また、生産条件入力部402は、はんだ印刷機1から製造条件を示す情報の送信を受け付けて、生産条件記憶部404に蓄積する。なお、いずれの記憶部403,404においても、保存される情報には、対応する基板の基板IDや処理時刻などが添付される。
【0109】
図中の指定受付部405は、分析対象の指定を受け付けた端末装置5から、その指定内容の送信を受け付ける。
表示データ作成処理部400は、指定内容の送信を受けた指定受付部405からの連絡に基づき、指定に応じた表示用データを作成して端末装置5に送信するためのもので、通過基板テーブル作成部406、通過基板テーブル407、検査結果表示データ作成部408、生産条件表示データ作成部409、画面データ編集部410、出力部411などが含まれる。
【0110】
通過基板テーブル作成部407は、検査結果データ記憶部403に蓄積された検査結果データに基づき、分析対象の基板群に含まれる各基板を古いものから順に処理対象に設定し、処理対象の基板につき、基板ID、検査時刻、抜き取りフラグ、再投入フラグなどのデータを通過基板テーブル407に登録する。
具体的には、先の図10に準じたアルゴリズムにより、処理対象基板より前に通過基板テーブルに登録されているエントリを順に遡って、処理対象基板と同一の基板IDを含むエントリを検索する。そして、該当するエントリが見つかった場合には、そのエントリの抜き取りフラグをオンに設定し、処理対象基板の再投入フラグをオンに設定する。
【0111】
検査結果表示データ作成部408は、分析対象の各基板について、それぞれ検査結果データ記憶部403から分析対象の工程における検査結果データを読み出し、これらを用いて、表示欄50aに表示するデータを作成する。特に、表示欄50a中の「抜き取り」の欄や「再投入」の欄の表示に関しては、検査結果表示データ作成部408は、通過基板テーブル407を参照して、抜き取られた基板および再投入された基板を基板IDにより特定し、グラフ中の抜き取られた基板のデータに対応する位置に記号『O』が配置され、再投入された基板のデータに対応する位置に記号『R』が配置されるように、各記号とグラフとの関係を調整する。
【0112】
さらに、検査結果表示データ作成部408は、分析対象の各基板で検出された不良の個数を、不良の種毎に計数し、各計数値に基づき、表示領域51内に表示するデータを作成する。
【0113】
生産条件表示データ作成部409は、生産条件記憶部404から分析対象の基板毎の生産条件を読み出し、これらを種別に分析することによって、表示欄50b〜50e毎の表示データを作成する。
【0114】
画面データ編集部410は、検査結果表示データ作成部408および生産条件表示データ作成部409により作成された各種表示データを用いて、確認画面用の画像データを編集する。完成した画像データは、出力部411によって、指定内容の送信を行った端末装置5に送信される。
【0115】
上記の生産管理システムMによれば、端末装置5を使用する分析担当者が、分析対象の基板群を選択してはんだ印刷工程の分析を指定することによって、図15に示した確認画面が端末装置5のモニタに立ち上げることができる。この画面では、基板毎の品質を示すグラフや生産条件を示すグラフが、時系列かつ相互に対応づけられて表され、さらに、抜き取られた基板のデータや再投入された基板のデータが明示されているので、担当者は各種分析作業を的確かつ容易に行うことができる。
たとえば、再投入された基板の品質を確認したり、抜き取りや再投入の発生度合いを確認することによって、抜き取られた基板を再利用することが生産性を低下させていないか否かを判断することができる。また、抜き取りが生じたときの生産条件を確認することによって、不良の原因を特定し、その原因を解消するための方針立てをすることが可能になる。
【0116】
つぎに、前出の図10や図13に示したアルゴリズムは、はんだ印刷工程に再投入される基板は、全てはんだ印刷工程で抜き取られることを前提とするものであるが、現場によっては、部品実装工程において実装不良が生じたときにも基板を抜き取り、部品やはんだを取り除いて、はんだ印刷工程に再投入するケースもある。このような処理が行われる場合に、図10や図14に示した手順で通過基板テーブルへの登録処理を行うと、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程で抜き取られたものと誤認識され、抜き取りが生じた原因を正しく把握することができなくなる。よって、この場合には、はんだ印刷工程のほか、部品実装工程における基板の通過状態をチェックする必要がある。
【0117】
図17は、はんだ印刷工程および部品実装工程の双方で不良の基板が抜き取られる場合に適用される通過基板テーブル420の構成例である。この通過基板テーブル420は、図14に示した生産管理システムMのサーバ4に格納されるもので、はんだ印刷工程からの検査結果データに基づく情報のほか、部品実装工程からの検査結果データに基づく情報が登録されている。各エントリには、検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、再投入フラグのほか、処理が行われた工程の識別コード(工程ID)が含まれている。工程IDが「0」のエントリは、該当する基板がはんだ印刷工程で処理されたことを示し、工程IDが「1」のエントリは、該当する基板が部品実装工程で処理されたことを示す。
【0118】
図17によれば、この実施例の通過基板テーブル420には、各工程の検査機100,200で基板を受け付けた時間順にエントリが設定される。図中のエントリ(a)は、はんだ印刷工程に基板IDが「2」の基板がはじめて投入されたときに設定され、エントリ(b)は、上記の基板が抜き取られた後にはんだ印刷工程に再投入されたときに設定される。また、エントリ(c)は、上記の再投入基板が部品実装工程に導かれたときに設定され、エントリ(d)は、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程に再投入されたときに設定される。
【0119】
図17の構成の通過基板テーブル420を用いて、はんだ印刷検査機100において図2に示したような確認画面を表示する場合には、サーバ4において、はんだ印刷検査機100や部品実装検査機200から送信された検査結果データに基づき、通過基板テーブル420に対する登録処理を実行する。図18は、この場合の登録処理の手順を示す。
【0120】
以下、図18中の各ステップの符号を参照して説明する。
この処理は、はんだ印刷検査機100または部品実装検査機200から検査結果データの送信を受けたことに応じて開始される。まず、受信した検査結果データから検査対象基板の基板ID、検査時刻を取得し、また検査結果データの送信元の装置の工程IDを取得する(ST301)。つぎに、検査対象基板の抜き取りフラグおよび再投入フラグをオフに初期設定する(ST302)。さらに、通過基板テーブル420内の最新のエントリを照合対象のエントリAに設定する(ST303)。
【0121】
この後は、ST304〜307のループに入り、エントリAの基板IDと検査対象基板の基板IDとを比較する処理を、エントリAを1つずつ遡りながら繰り返す。ここで、エントリAと検査対象基板との間で基板IDが一致した場合(ST305が「YES」)には、ステップST308において、現在のエントリAの工程IDに基づき、検査対象基板に対応する工程とエントリAに対応する工程との関係を確認する。
【0122】
上記の確認処理において、エントリAに対応する工程が検査対象基板に対応する工程と同じ、または検査対象基板に対応する工程より後の工程であることが判明した場合には、エントリAの抜き取りフラグをオンに変更し(ST309)、検査対象基板の再投入フラグをオンに変更する(ST310)。そして、検査対象基板の工程ID、検査時刻、基板ID、抜き取りフラグ、再投入フラグの各情報を、新規エントリとして通過基板テーブル420に格納する(ST311)。
【0123】
一方、上記の確認処理において、エントリAに対応する工程が検査対象基板に対応する工程よりも前に実施されることが判明した場合には、ST309〜311のステップを実行することなく、ST304〜ST307のループに戻る。
【0124】
また、ST304〜307のループにおいて、通過基板テーブル420のエントリを全て遡っても、検査対象基板と同一の基板IDを見つけることができなかった場合には、抜き取りフラグや再投入フラグがオフのままステップST311に進み、これらオフ状態のフラグを含む各種情報を、新規エントリとして通過基板テーブル420に格納する。
【0125】
上記の手順によれば、図17に示したエントリ(a)〜(d)は、いずれも、当初は、抜き取りフラグがオフに設定された状態で通過基板テーブル420に格納される。しかし、エントリ(a)はエントリ(b)が登録されるときに、抜き取りフラグがオンに変更される。同様に、エントリ(c)はエントリ(d)が登録されるときに、抜き取りフラグがオンに変更される。
【0126】
上記に対し、エントリ(b)は、エントリ(c)が登録される際に、ST304〜307のループにおいて、検査対象基板と同一の基板IDに対応するエントリとして抽出されるが、このエントリ(b)は、エントリ(c)に対応する工程より前の工程に対応しているため、抜き取りフラグはオフのまま維持される。また、エントリ(c)における再投入フラグもオフ状態で登録される。
【0127】
上記の処理によれば、はんだ印刷検査機100の確認画面中のグラフ表示欄16では、エントリ(a)(b)(d)に対応するデータが表示されるが、抜き取りを示す記号『O』が付与されるのは、エントリ(a)に対応するデータのみとなり、エントリ(b)に対応するデータに付されるのは、再投入を示す記号『R』のみとなる。よって、部品実装工程で抜き取られた基板がはんだ印刷工程に再投入された場合にも、抜き取りが生じた時期が誤認識されることがなく、正しい認識結果を反映したグラフを表示することができる。
【0128】
なお、上記の実施例は、サーバ4において通過基板テーブル420への登録処理を行っているが、これに限らず、はんだ印刷検査機100が自装置内で登録を行ってもよい。この場合には、はんだ印刷検査機100は、部品実装検査機200との通信を行いながら、双方の検査機100,200が受け付けた基板の情報を用いて、図18に準じた処理を実行することになる。
【0129】
また、図16の実施例が適用されたサーバ4において、端末装置5からの指定に応じて分析作業のためのグラフを作成する場合にも、通過基板テーブル407を図17と同様の構成にして、図18に示した登録処理を実行すれば、部品実装工程における基板の抜き取りを誤らずに認識することが可能になる。
【0130】
なお、上記の通過基板テーブルの登録処理に関する各実施例では、通過基板テーブルに登録されているデータを過去に遡って辿って、登録対象の基板と同一の基板IDを有するデータを検索したが、これとは逆に、古いデータから順に辿って検索を行ってもよい。
【符号の説明】
【0131】
100 はんだ印刷検査機
101 主制御部
102 副制御部
104 モニタ
131 検査結果分析部
132 通過基板テーブル作成部
135 グラフ表示データ作成部
136 表示画面データ編集部
137 画面表示部
406 通過基板テーブル作成部
407 通過基板テーブル
408 検査結果表示データ作成部
410 画面データ編集部
420 通過基板テーブル
4 サーバ
5(5A,5B,5C) 端末装置
L 基板製造ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ固有の識別コードが記された複数枚の基板がはんだ印刷機およびはんだ印刷検査機を含む生産ラインに順に導入されて処理され、前記はんだ印刷検査機により基板毎にその識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた形式の検査結果データが作成されて、各検査結果データがはんだ印刷検査機または外部機器のメモリに蓄積されることを前提として、前記はんだ印刷機による処理状況を分析する作業を蓄積された検査結果データを用いて支援する方法であって、
はんだ印刷検査機に検査のために導入される複数枚の基板、または過去に検査された複数枚の基板に1枚ずつ着目し、前記検査順序を特定する情報に基づき、着目中の基板がはんだ印刷検査機に導入されるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを着目中の基板の識別コードと照合し、この照合により着目中の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたときに、着目中の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると、認識する第1ステップと、
前記第1ステップで着目した基板を含み、前記はんだ印刷検査機により検査された複数枚の基板の検査結果データを用いて、これらの基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフを作成する第2ステップと、
前記第1ステップにおける認識結果に基づき、前記第2ステップで作成されたグラフを、再投入された基板および当該基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板の少なくとも一方に対応するデータが明示された状態にして表示する第3ステップとを、
実行することを特徴とするはんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法において、
前記検査結果データを前記はんだ印刷検査機のメモリに蓄積すると共に、前記第1、第2、第3の各ステップを前記はんだ印刷検査機により実行し、
前記はんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、その検査対象基板に着目して前記第1ステップを実行すると共に、当該検査対象の基板に対する検査が終了したことに応じて、この基板より前に検査された複数枚の基板を対象にして第2ステップおよび第3ステップを実行し、
第3ステップでは、前記グラフ中の前記再投入された基板に対応するデータを明示すると共に、表示対象のグラフ中に前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、前記再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する、
はんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項3】
請求項1に記載された方法において、
前記はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機との通信が可能に設定された外部コンピュータに対し、前記はんだ印刷機から当該はんだ印刷機で処理された各基板の製造条件に関するデータをそれぞれの識別コードに紐付けて送信すると共に、前記はんだ印刷検査機から各基板の前記検査結果データを送信して、各送信情報を前記外部コンピュータのメモリに蓄積し、
前記外部コンピュータでは、前記はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板を対象として前記第1、第2、第3の各ステップを実行し、
前記第2ステップでは、前記外部コンピュータのメモリに蓄積された情報を用いて、各基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフおよび各基板に対する製造条件を示すデータを時系列で並べたグラフを作成し、
前記第3ステップでは、第2ステップで作成された各グラフを、グラフ中の各データに対応する基板の識別コードに基づき、対応関係にあるデータを一列に揃えた状態で表示すると共に、前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータを、前記生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして明示する、
はんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項4】
それぞれ固有の識別コードが記され、はんだ印刷機によるはんだ印刷処理が終了した複数枚の基板を順に受け付けてはんだの印刷状態を検査する検査実行手段と、基板毎に当該基板の識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた検査結果データを作成して自装置または外部機器のメモリに蓄積する検査結果蓄積手段と、毎回の検査対象の基板につき作成された検査結果データを用いて各基板の品質を示すデータを時系列で並べたグラフを作成して、このグラフをモニタ装置に表示する情報表示手段とを具備するはんだ印刷検査機において、
検査対象の基板を受け付ける都度、前記検査順序を特定する情報に基づき、検査対象の基板を受け付けるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを検査対象の基板の識別コードと照合し、この照合により検査対象の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたとき、検査対象の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると、認識する認識手段を、さらに具備し、
前記情報表示手段は、受け付けた基板に対する検査が終了する都度、その基板に対して作成された検査結果データを用いて表示対象のグラフを更新すると共に、前記認識手段による認識結果に基づき、前記グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示する、
ことを特徴とするはんだ印刷検査機。
【請求項5】
前記情報表示手段は、表示対象のグラフ中に前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、前記再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する、請求項4に記載されたはんだ印刷検査機。
【請求項1】
それぞれ固有の識別コードが記された複数枚の基板がはんだ印刷機およびはんだ印刷検査機を含む生産ラインに順に導入されて処理され、前記はんだ印刷検査機により基板毎にその識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた形式の検査結果データが作成されて、各検査結果データがはんだ印刷検査機または外部機器のメモリに蓄積されることを前提として、前記はんだ印刷機による処理状況を分析する作業を蓄積された検査結果データを用いて支援する方法であって、
はんだ印刷検査機に検査のために導入される複数枚の基板、または過去に検査された複数枚の基板に1枚ずつ着目し、前記検査順序を特定する情報に基づき、着目中の基板がはんだ印刷検査機に導入されるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを着目中の基板の識別コードと照合し、この照合により着目中の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたときに、着目中の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると、認識する第1ステップと、
前記第1ステップで着目した基板を含み、前記はんだ印刷検査機により検査された複数枚の基板の検査結果データを用いて、これらの基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフを作成する第2ステップと、
前記第1ステップにおける認識結果に基づき、前記第2ステップで作成されたグラフを、再投入された基板および当該基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板の少なくとも一方に対応するデータが明示された状態にして表示する第3ステップとを、
実行することを特徴とするはんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項2】
請求項1に記載された方法において、
前記検査結果データを前記はんだ印刷検査機のメモリに蓄積すると共に、前記第1、第2、第3の各ステップを前記はんだ印刷検査機により実行し、
前記はんだ印刷検査機は、検査対象の基板を受け付ける都度、その検査対象基板に着目して前記第1ステップを実行すると共に、当該検査対象の基板に対する検査が終了したことに応じて、この基板より前に検査された複数枚の基板を対象にして第2ステップおよび第3ステップを実行し、
第3ステップでは、前記グラフ中の前記再投入された基板に対応するデータを明示すると共に、表示対象のグラフ中に前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、前記再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する、
はんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項3】
請求項1に記載された方法において、
前記はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機との通信が可能に設定された外部コンピュータに対し、前記はんだ印刷機から当該はんだ印刷機で処理された各基板の製造条件に関するデータをそれぞれの識別コードに紐付けて送信すると共に、前記はんだ印刷検査機から各基板の前記検査結果データを送信して、各送信情報を前記外部コンピュータのメモリに蓄積し、
前記外部コンピュータでは、前記はんだ印刷機およびはんだ印刷検査機により処理された同一規格の複数枚の基板を対象として前記第1、第2、第3の各ステップを実行し、
前記第2ステップでは、前記外部コンピュータのメモリに蓄積された情報を用いて、各基板の品質を示すデータを時系列に並べたグラフおよび各基板に対する製造条件を示すデータを時系列で並べたグラフを作成し、
前記第3ステップでは、第2ステップで作成された各グラフを、グラフ中の各データに対応する基板の識別コードに基づき、対応関係にあるデータを一列に揃えた状態で表示すると共に、前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータを、前記生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして明示する、
はんだ印刷状態の分析作業の支援方法。
【請求項4】
それぞれ固有の識別コードが記され、はんだ印刷機によるはんだ印刷処理が終了した複数枚の基板を順に受け付けてはんだの印刷状態を検査する検査実行手段と、基板毎に当該基板の識別コードおよび検査順序を特定する情報に紐付けられた検査結果データを作成して自装置または外部機器のメモリに蓄積する検査結果蓄積手段と、毎回の検査対象の基板につき作成された検査結果データを用いて各基板の品質を示すデータを時系列で並べたグラフを作成して、このグラフをモニタ装置に表示する情報表示手段とを具備するはんだ印刷検査機において、
検査対象の基板を受け付ける都度、前記検査順序を特定する情報に基づき、検査対象の基板を受け付けるより前に検査された複数枚の基板の検査結果データを特定して、これらの検査結果データに紐付けられた識別コードを検査対象の基板の識別コードと照合し、この照合により検査対象の基板と同一の識別コードに紐付けられた検査結果データが検出されたとき、検査対象の基板は前記同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板を生産ラインに再投入したものであると、認識する認識手段を、さらに具備し、
前記情報表示手段は、受け付けた基板に対する検査が終了する都度、その基板に対して作成された検査結果データを用いて表示対象のグラフを更新すると共に、前記認識手段による認識結果に基づき、前記グラフ中の再投入された基板に対応するデータを明示する、
ことを特徴とするはんだ印刷検査機。
【請求項5】
前記情報表示手段は、表示対象のグラフ中に前記再投入された基板と同一の識別コードが紐付けられた検査結果データに対応する基板のデータが含まれるとき、このデータを生産ラインから抜き取られた基板に対応するデータとして、前記再投入された基板に対応するデータとは異なる態様により明示する、請求項4に記載されたはんだ印刷検査機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−185638(P2011−185638A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49087(P2010−49087)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】
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