説明

イオンチャネルのモジュレーターとして有用なベンズイミダゾール

本発明は式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩に関し、ここで式IのR1、Z、Y、RおよびWは、本明細書に規定される。本発明はまた、種々の障害の処置における薬学的に受容可能な組成物およびその組成物を使用する方法を提供する。これらの化合物および薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患、障害または状態の重篤さを処置するまたは軽減するのに有用であり、それらの疾患等としては、限定されないが、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、癲癇もしくは癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁が挙げられる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、電位依存性ナトリウムチャネルのインヒビターとして有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、および種々の障害の処置においてこの組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
Naチャネルは、ニューロンおよび筋細胞のような全ての興奮性細胞における活動電位の発生に最も重要である。このNaチャネルは、興奮性組織(脳、消化管の平滑筋、骨格筋、末梢神経系、脊髄および気道が挙げられる)において主要な役割を果たす。従って、このNaチャネルは、種々の疾患状態(例えば、癲癇(非特許文献1参照)、疼痛(非特許文献2および3参照)、筋緊張症(非特許文献4および5参照)、運動失調(非特許文献6参照)、多発性硬化症(非特許文献7および8参照)、過敏性腸(非特許文献9および10参照)、尿失禁および内臓痛(非特許文献11参照)ならびに一群の精神医学的障害(例えば、不安症および抑うつ症)(非特許文献12参照))において、重要な役割を果たす。
【0003】
電位依存性Naチャネルは、9種の異なるサブタイプ(NaV1.1〜NaV1.9)からなる遺伝子ファミリーを含む。表1に示されるようにこれらのサブタイプは、組織特異的な局在化および機能的な差異を示す(非特許文献13を参照のこと)。この遺伝子ファミリーの3つのメンバー(NaV1.8、NaV1.9、NaV1.5)は、周知のNaチャネルブロッカーであるTTXによるブロッキングに対して抵抗であり、このことは、この遺伝子ファミリー内のサブタイプの特異性を示している。変異分析により、グルタミン酸387が、TTX結合に重要な残基として同定された(非特許文献14参照)。
【0004】
表1(省略形:CNS=中枢神経系、PNS=末梢神経系、DRG=後根神経節、TG=三叉神経節):
【0005】
【化28】

【0006】
【化29】

一般的に、電位依存性ナトリウムチャネル(NaV)は、神経系における興奮性組織における活動電位の迅速な上昇を開始する原因となり、このNaVは、正常な痛覚および異常な痛覚を構成して符号化する電気的シグナルを伝達する。NaVチャネルのアンタゴニストは、これらの疼痛シグナルを減弱し得、そして種々の疼痛状態(急性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛が挙げられるが、これらに限定されない)を処置するのに有用である。公知のNaVアンタゴニスト(例えば、TTX、リドカイン(非特許文献15参照)、ブピバカイン、フェニトイン(非特許文献16参照)、ラモトリジン(非特許文献17および18参照)、ならびにカルバマゼピン(非特許文献19参照)が、ヒトモデルおよび動物モデルにおいて、疼痛を減弱するのに有用であることが示されている。
【0007】
組織損傷または炎症の存在下で発症する痛覚過敏(何か疼痛性のものに対する極度の感受性)は、少なくとも一部には、損傷部位を神経支配する高閾値の一次求心性ニューロンの興奮性の増加を反映する。電位感受性ナトリウムチャネルの活性化は、ニューロンの活動電位の発生および伝播にとって重要である。NaV電流の調節が、ニューロンの興奮性を制御するために使用される内因性機序であることを示す多数の証拠が、増加している(非特許文献20参照)。速度論的にそして薬物動態的に別個のいくつかの電位依存性ナトリウムチャネルが、後根神経節(DRG)ニューロンにおいて見出される。TTX耐性電流は、マイクロモル濃度のテトロドトキシンに対して非感受性であり、そして緩徐な活性化速度論および不活化速度論、ならびに、他の電位依存性ナトリウムチャネルと比較した場合に、より脱分極した活性化閾値を示す。TTX耐性ナトリウム電流は、侵害受容と関連するらしい感覚ニューロンの亜集団に主に制限されている。具体的には、TTX耐性ナトリウム電流は、小さな細胞体径(cell−body diameter)を有するニューロンにほとんど特異的に発現され、伝導速度の遅い小径の軸索を生じ、そしてカプサイシンに対して応答性である。膨大な数の実験的な証拠が、TTX耐性ナトリウムチャネルは、C線維上に発現され、そして侵害受容性情報の脊髄への伝達において重要であることを示す。
【0008】
TTX耐性ナトリウムチャネル(NaV1.8)の特有の領域を標的化した、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの髄腔内投与は、PGE誘導型痛覚過敏性の有意な減少を生じた(非特許文献21参照)。より最近では、ノックアウトマウス系統が、Woodおよびその同僚によって生み出された。そして、このノックアウトマウス系統は、機能的なNaV1.8を欠失している。この変異は、炎症性因子カラゲナンに対するこの動物の応答を評価する試験において、鎮痛効果を有する(非特許文献22参照)。さらに、機械受容および温度受容の両方の欠損が、これらの動物において観察された。NaV1.8ノックアウト変異体により示される痛覚脱失は、侵害受容におけるTTX耐性電流の役割についての知見と一致している。
【0009】
免疫組織化学の実験、インサイチュハイブリダイゼーションの実験およびインビトロ電気生理学的実験は全て、上記ナトリウムチャネルNaV1.8が、後根神経節および三叉神経節の小さな感覚ニューロンに選択的に局在化することを示している(非特許文献23参照)。これらのニューロンの主要な役割は、侵害受容刺激の検出および伝達である。アンチセンスおよび免疫組織化学的証拠はまた、神経障害性疼痛におけるNaV1.8の役割を実証する(非特許文献24および25参照)。NaV1.8タンパク質は、神経損傷に隣接する非損傷C線維に沿って上方制御される。アンチセンス処置は、この神経に沿ったNaV1.8の再分布を防止し、そして神経障害性疼痛を消去する。総合すれば、この遺伝子ノックアウトおよびアンチセンスのデータは、炎症性疼痛および神経障害性疼痛の検出および伝達におけるNaV1.8の役割を支持する。
【0010】
神経障害性疼痛の状態では、Naチャネルの分布のリモデリングおよびサブタイプのリモデリングが存在する。損傷した神経では、NaV1.8およびNaV1.9の発現は、大幅に減少するのに対し、TTX感受性サブユニットであるNaV1.3の発現は、5倍〜10倍に上方制御される(非特許文献26参照)。NaV1.3の増加の時間経過は、神経損傷に附随する動物モデルにおける異痛症の出現と類似している。NaV1.3チャネルの生物物理学は、活動電位に従う不活化の後に、NaV1.3が非常に速区静止状態に戻るという点で、特徴的である。これは、損傷した神経においてしばしば見られるような高い発火の速度を維持することを可能にする(非特許文献27参照)。NaV1.3は、ヒトの中枢神経系および末梢神経系において発現される。NaV1.9は、NaV1.8に類似しており、それは後根神経節および三叉神経節の小さい感覚ニューロンに選択的に局在化する(非特許文献28参照)。これは、不活化の速度が遅く、そして活性化のための左にシフトした電位依存性を有する(非特許文献29参照)。これらの2つの生物物理学的特性は、NaV1.9が侵害受容ニューロンの静止膜電位を確立するのに役割を果たすのを可能にする。NaV1.9発現細胞の静止膜電位は、他のほとんどの末梢ニューロンおよび中枢ニューロンで−65mVであるのに比べて、−55mV〜−50mVの範囲である。この持続性の脱分極は、大部分において、NaV1.9チャネルの低レベルの活性化の維持に起因する。この脱分極は、上記ニューロンが、活動電位が侵害受容刺激に応答して発火するための閾値に、より容易に到達することを可能にする。NaV1.9チャネルを遮蔽する化合物は、有痛性刺激の検出のための設定ポイントを確立する際に重要な役割を果たし得る。慢性疼痛状態では、神経および神経末端が、膨張し、過敏症になり得、穏やかな刺激または無刺激でさえある刺激を用いた高頻度の活動電位の発火を示す。これらの病態的神経膨張は、神経腫と呼ばれ、そしてこれらにおいて発現される一次Naチャネルが、NaV1.8およびNaV1.7である(非特許文献30参照)。NaV1.6およびNaV1.7はまた、後根神経節ニューロンに発現され、そしてこれらの細胞において見られる小さいTTX感受性コンポーネントに貢献する。従って、特に、NaV1.7は、神経内分泌の興奮性におけるその役割に加え、潜在的疼痛の標的であり得る(非特許文献31参照)。
【0011】
NaV1.1(非特許文献32参照)およびNaV1.2(非特許文献33参照)が、癲癇の状態(熱性痙攣を含む)に関連付けられている。NaV1.1には、熱性痙攣に関連する9種より多い遺伝的変異が存在する(非特許文献34参照)。
【0012】
NaV1.5のアンタゴニストが、心臓不整脈を処置するために開発され、そして使用されている。この電流に対する、より大きな非不活化成分を生み出すNaV1.5における遺伝子欠損は、ヒトにおけるQT延長に関連付けられ、そして経口摂取可能な(orally available)局所麻酔薬メキシレチンが、この状態を処置するために使用されている(非特許文献35参照)。
【0013】
いくつかのNaチャネルブロッカーが、癲癇(非特許文献36参照)、急性疼痛(非特許文献37参照)、慢性疼痛(非特許文献38および39参照)、炎症性疼痛(非特許文献40参照)、ならびに神経障害性疼痛(非特許文献41および42参照);心臓不整脈(非特許文献43および44参照);神経保護(neuroprotection)(非特許文献45参照)を処置するために、現在使用されているか、または臨床試験中であり、そして麻酔薬として使用されているか、または臨床試験中である(非特許文献46を参照のこと)。
【0014】
臨床上の重要性を有する種々の動物モデルが、多くの異なる疼痛指標に関するナトリウムチャネルモジュレーターの研究のために開発されてきた。例えば悪性慢性疼痛(非特許文献47参照);大腿癌性疼痛(非特許文献47参照);非悪性慢性骨痛(非特許文献48参照);慢性関節リウマチ(非特許文献49参照);変形性関節症(非特許文献50参照);脊髄狭窄(非特許文献51参照);神経障害性腰痛(非特許文献52および53参照);神経障害性腰痛(非特許文献52および53参照);顔面筋疼痛症候群(非特許文献54および55参照);線維筋痛(非特許文献56参照);顎関節痛(非特許文献57参照);腹痛を含む慢性内臓痛(非特許文献参照58参照);骨盤/会陰痛(非特許文献59参照);膵臓痛(非特許文献60参照);過敏性腸症候群痛(非特許文献61および62参照);慢性頭痛(非特許文献63参照);片頭痛(非特許文献64参照);群発性頭痛を含む緊張性頭痛(非特許文献65参照);ヘルペス後の神経痛を含む、慢性神経変性痛(非特許文献66および67参照);糖尿病性神経障害(非特許文献68および69参照);HIV関連神経障害(非特許文献70、71および72参照);三叉神経痛(非特許文献73および74参照);シャルコー・マリー・ツース神経障害(非特許文献75参照);遺伝性感覚神経障害(非特許文献76参照);抹消神経傷害(非特許文献66、67、77、78および79参照);疼痛性神経腫(非特許文献80および81参照);異所性近位および遠位発射(非特許文献82参照);神経根障害(非特許文献83および84参照);化学療法誘導神経障害性疼痛(非特許文献85参照);放射線療法誘導神経障害性疼痛;乳房切除術後の疼痛(非特許文献83参照);中枢性疼痛(非特許文献86参照);脊髄損傷痛(非特許文献87参照);脳卒中後痛;視床痛(非特許文献88参照);複合性局所痛症候群(非特許文献89および90参照);幻肢痛(非特許文献91および92参照);難治性疼痛(非特許文献93参照);急性痛;急性術後痛(非特許文献94および95参照);急性筋骨格痛;関節痛(非特許文献96参照);構造上腰痛(非特許文献97参照);頸部痛;腱炎;傷害/運動痛(非特許文献98参照);腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニア;など(非特許文献99参照);心痛を含む胸痛(非特許文献100参照);骨盤痛;腎疝痛;陣痛を含む急性産科学的疼痛(非特許文献101参照);帝王切開痛;急性炎症痛、熱傷痛および外傷痛;子宮内膜症を含む急性間欠性疼痛(非特許文献102参照);急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎(非特許文献103参照);突出痛;副鼻炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛(非特許文献104および105参照);多発性硬化症(MS)の疼痛(非特許文献106参照);うつ病における疼痛(非特許文献107参照);らい病の疼痛;ベーチェット病の疼痛;有痛脂肪症(非特許文献108参照);静脈炎痛;ギラン・バレ痛;痛む脚と動く足趾症候群;ハグルンド症候群;肢端紅痛症(非特許文献109参照);ファブリ病痛(非特許文献110参照);尿失禁を含む膀胱および泌尿生殖病(非特許文献111参照);活動亢進膀胱(非特許文献112参照);有痛性膀胱症候群(非特許文献113参照);間質性膀胱炎(IC)(非特許文献114および115参照);または前立腺炎(非特許文献116および117参照)がある。
【0015】
電位依存性カルシウムチャネルは、膜脱分極に対応して開く膜貫通、多サブユニットタンパク質で、細胞外環境からCaの流入を可能にする。カルシウムチャネルは、当初、チャネル開口の時間依存性および電位依存性ならびに薬理学的遮断に対する感受性を基礎に分類された。そのカテゴリーは、低電位活性化(主にT型)および(高電位活性化(L、N、P、QまたはR型)であった。この分類スキームは、表Iに要約されるように分子サブユニット組成を基礎にした命名法に置き換えられた(非特許文献118および119参照)。カルシウムチャネルを構成する4種の主なサブユニット型があり、それらはα、αδ、βおよびγである(非特許文献120参照)。上記α1サブユニットは、薬理学的性質の主な決定基であり、チャネルの孔および電位センサーを含む(非特許文献118および119を参照)。α1サブユニットの10種のアイソフォームが公知であり、表Iに示される。上記αδサブユニットは、ジスルフィド結合された2つのサブユニットから構成され、それらは、主に細胞外のαおよび膜貫通のδサブユニットである。αδの4種のアイソフォームが公知であり、それらはαδ−1、αδ−2、αδ−3およびαδ−4である。上記βサブユニットは、αサブユニットと結合する非グリコシル化細胞質タンパク質である。β〜βと呼ばれる4種のアイソフォームが公知である。上記γサブユニットは、Caγ1チャネルおよびCaγ2チャネルの成分として生化学的に単離された膜貫通型タンパク質である。少なくとも8種のアイソフォームが公知である(γ〜γ)(非特許文献121参照)。電位依存性カルシウムチャネルの命名法は表Iに示されるようにαサブユニットの含量を基礎にする。αサブユニットの各型は、種々のβサブユニット、αδサブユニットまたはγサブユニットと関連し得、各Caγ型は、多くの異なるサブユニットの組合せと対応する。
【0016】
【化30】

Caγ2電流は、もっぱら中枢神経系および末梢神経系ならびに神経内分泌細胞に見出され、シナプス前電位依存性カルシウム電流の優勢形態を構成する。シナプス前活動電位はチャネルの開口を起し、神経伝達物質の放出が、引き続くカルシウム流入に急峻に依存する。従って、Caγ2チャネルは、神経伝達物質の放出を媒介するのに中心的な役割を果たす。
【0017】
Caγ2.1およびCaγ2.2は、それぞれペプチドトキシン −コノトキシンMVIICおよび −コノトキシンGVIAに対する高い親和性の結合部位を含み、そしてこれらのペプチドは、各チャネル型の分布および機能を決定するのに使用されてきた。Caγ2.2は、後根神経節からのニューロンおよび脊髄後角のラミナIおよびラミナIIのニューロンのシナプス前神経終末に非常に発現する(非特許文献122および123参照)。Caγ2.2チャネルはまた、脊髄の第2介在ニューロンと第3介在ニューロンの間のシナプス前終末にも見出される。神経伝達物質の両部位とも、痛みの情報を脳へ中継するのに非常に重要である。
【0018】
疼痛は、大まかに3種の異なる型:急性疼痛、炎症性疼痛、および神経障害性疼痛に分類される。急性疼痛は、組織損傷を生じ得る刺激から生物を安全に保つのに重要な保護的機能を提供する。苛酷な熱投入量、力学的投入量、または化学的投入量は、注意されなければ、生物に深刻な損傷を引き起こす潜在能力を有する。急性疼痛は、損傷を与える環境から個体を迅速に取り出すのに役立つ。急性疼痛は、まさしくその性質により、一般的に短く継続し、かつ激しい。他方で、炎症性疼痛は、より長い期間持続し得、かつ、その激しさはより段階的である。炎症は、組織損傷、自己免疫応答、および病原体の侵入を含む多くの理由で生じ得る。炎症性疼痛は、サブスタンスP、ヒスタミン、酸、プロスタグランジン、ブラジキニン、CGRP、サイトカイン、ATP、および他の因子の放出からなる「炎症性スープ(inflammatory soup)」により媒介される(非特許文献124参照)。疼痛の第3の部類は、神経障害性であり、そして、何年にもわたって持続する慢性的な疼痛を引き起こし得る病理学的「感作」状態を生じるニューロンタンパク質および回路の再構成を生じる神経損傷に関与する。この型の疼痛は、適応性ある利点を提供せず、そして現存する治療法で処置するのが特に難しい。
【0019】
疼痛、特に神経障害性疼痛および難治性の疼痛は、大きな未解決の医学的必要である。何百万もの個人が、現在の治療法により十分には制御されない激痛に苦しんでいる。疼痛を処置するために使用されている現在の薬物としては、NSAID、COX2インヒビター、オピオイド、三環系抗うつ薬、および抗痙攣薬が挙げられる。神経障害性疼痛は、オピオイドが高用量に達するまでオピオイドに十分に応答しないので、特に処置するのが難しい。ガバペンチンは、現在、神経障害性疼痛の処置のための好ましい治療法であるが、ガバペンチンは、患者の60%にしか作用せず、この患者においてはガバペンチンが穏やかな効力を示す。しかし、この薬物は、非常に安全であり、副作用は一般的に許容されるが、鎮静作用が、より高用量での問題である。
【0020】
神経障害性疼痛の処置の標的としてのCaγ2.2の実証が、このチャネルの選択的ペプチドブロッカーであるジコノチド( −コノトキシン−MVIIAとしても知られている)を用いた研究により提供される(非特許文献125、126および127参照)。ヒトにおいて、ジコノチドの髄腔内注射は、難治性疼痛、ガン性疼痛、オピオイド耐性疼痛および神経障害性疼痛の処置に有効である。上記トキシンは、モルヒネよりも強い効能でヒトにおける処置について85%の有効率を有する。Caγ2.2の経口摂取可能なアンタゴニストは、髄腔内注射の必要性なしで同様な有効性を有する。Caγ2.1およびCaγ2.3はまた、侵害受容の経路のニューロンにあり、これらのチャネルのアンタゴニストは疼痛の処置に使用され得る。
【0021】
Caγ2.1、Caγ2.2またはCaγ2.3のアンタゴニストはまた、過剰なカルシウム流入と明らかに関連する中枢神経系の他の病理を処置するのに有用である。脳虚血および発作は、ニューロンの脱分極に起因する過剰なカルシウム流入と関連する。上記Caγ2.2アンタゴニスト、ジコノチドは、実験動物を使用して巣状虚血モデルにおいて、梗塞サイズを減少させるのに有効であり、発作の処置に使用され得ることを示唆する。同様に、ニューロンへの過剰のカルシウム流入を減少させることは、癲癇、外傷性脳傷害、アルツハイマー病、多発脳梗塞性痴呆および他のクラスの痴呆、筋萎縮性側索硬化症、健忘症、毒または他の毒性物質に起因する神経性障害の処置に有用であり得る。
【0022】
Caγ2.2はまた、交感神経系のニューロンからの神経伝達物質の放出を媒介し、そしてアンタゴニストは、例えば、高血圧、不整脈、狭心症、心筋梗塞およびうっ血性心不全のような心臓血管系の疾患を処置するのに使用され得る。
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【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上述の如く、上述の疾患状態のための現在使用されるナトリウムチャネルブロッカーおよびカルシウムチャネルブロッカーは、多くの副作用により大きく限定される。これらの副作用としては、例えば、視力障害、めまい、悪心、および鎮静のような種々のCNS障害ならびに潜在的に生命を脅かす不整脈および心不全が挙げられる。従って、好ましくはより高い効力およびより少ない副作用を有する更なるナトリウムチャネルアンタゴニストおよびカルシウムチャネルアンタゴニストの開発の必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(発明の要旨)
本発明の化合物および薬学的に受容可能なそれらの組成物が、電位依存性ナトリウムチャネルのインヒビターとして有用であることが今や見出された。これらの化合物は式Iの構造を有し:
【0025】
【化31】

または薬学的に受容可能なそれらの塩であって、ここでR、Z、Y、rおよびWは、下記に規定される通りである。
【0026】
これらの化合物および薬学的に受容可能な組成物は、種々の疾患、障害または状態の重篤さを処置するまたは軽減するのに有用であり、それらの疾患等としては、限定されないが、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、大腿癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;慢性関節リウマチ、変形性関節症;脊椎狭窄症;神経障害性腰痛;神経障害性腰痛;顔面筋疼痛機能不全症候群;線維性疼痛;側頭下顎骨関節痛;腹痛を含む慢性内臓痛;膵臓痛;IBS痛;慢性頭痛;片頭痛;群発性頭痛を含む緊張性頭痛;疱疹後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・ツース神経障害;遺伝性感覚神経障害、抹消神経傷害;疼痛性神経腫;異所性近位発射および異所性遠位発射;神経根障害;化学療法誘発神経障害痛;放射線療法誘発神経障害痛;乳房切除術後の疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷痛;脳卒中後痛;視床痛;複合性局所痛症候群;幻肢痛;難治性疼痛;急性痛、急性術後痛;急性骨格筋痛;関節痛;構造上腰痛;頸部痛;腱炎;傷害/運動痛;腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニア;など;心痛を含む胸痛;骨盤痛、腎疝痛、陣痛を含む急性産科学的疼痛;帝王切開通;急性炎症性疼痛、熱傷痛および外傷痛;子宮内膜症を含む急性間欠性疼痛;急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)の疼痛;うつ病における疼痛;らい病の疼痛;ベーチェット病の疼痛;有痛脂肪症;静脈炎痛;ギラン・バレ痛;痛む脚と動く足趾症候群;ハグルンド症候群;肢端紅痛症;ファブリ病痛;尿失禁を含む膀胱および泌尿生殖病;活動亢進膀胱;有痛性膀胱症候群;間質性膀胱炎(IC);または前立腺炎;関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス神経痛、一般的な神経痛;癲癇または癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁が挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
(1.本発明の化合物の一般的な説明)
本発明は、式Iの化合物:
【0028】
【化32】

または薬学的に受容可能なその塩を提供するが、ここで:
rは、0〜4であり;
Zは、O、NもしくはCHであり;
YおよびWは、独立して水素、下式Ia:
【0029】
【化33】

または式Ib
【0030】
【化35】

より選択され、式Iaにおいて、
Aは、−T−NH−、
【0031】
【化34】

であって、ここで:
Tは、結合か、またはC1〜6の直鎖もしくは分枝脂肪族鎖であり、ここでTの1メチレン単位は、必要に応じてC3〜6の脂環基で置き換えられ;
Uは、−CH−または−CH−CH−であり;
Xは、N−C1〜4アルキル、NH、O、S、S(O)またはSOであり;そして
の各出現は、独立してM−Rであり;ここで:
Mは、結合か、またはC1〜6のアルキリデン鎖であり、ここでMの2個までの非隣接メチレン単位が、必要に応じてC(O)、CO、C(O)C(O)、C(O)NR、OC(O)NR、NRNR、NRNRC(O)、NRC(O)、NRCO、NRC(O)NR、S(O)、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置き換えられ、そして
は、R’、ハロゲン、NOまたはCNであり;ここで:
R’の各出現は、独立して水素、または、C1〜8脂肪族、C6〜10アリール、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、もしくは3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環より選択される必要に応じて置換されている基より選択されるか、あるいはRおよびR’が、それらが結合する原子と一緒になって、またはR’の2つ出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員環のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し;
Vは、結合か、−C(O)−または−S(O)−であり;
Qは、結合か、またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの非隣接メチレン単位は必要に応じて−O−、−NH−または−S−で置き換えられ;
mは、0または1であり;
環Eは、C6〜10アリール、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環あるいは窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり;そして
sは、0〜5であり;
式Ibにおいて:
Dは、−C1〜6アルキル−または結合であり;そして
tは、0〜5であり;
Rの各出現は、独立して水素、または必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族基より選択され;そして
、RおよびRの各出現は、独立してR、R、R、RまたはRより選択され、
ここで:
はオキソ、Rまたは(C1〜4脂肪族)−Jであり、ここで:
nは、0または1であり;
Jは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、C(O)OH、C(O)ORもしくはORであるか;または:
隣接環原子上の2つのRは、一緒になって1,2−メチレンジオキシもしくは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は、C1〜6脂肪族であり、必要に応じて、R、RもしくはRより独立して選択される2つまでの置換基で置換され;
はC3〜8脂環基、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて、R,R、RもしくはRより独立して選択される3つまでの置換基で置換され;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、もしくはN(OR)Rであり;
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて3つまでのR置換基で置換され;
は、必要に応じてRで置換されているRであり、ここで:
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じてR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、もしくは(CH−Gから独立して選択される、2つまでの置換基で置換され、ここでGは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、N−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、COOH、C(O)O(−脂肪族、もしくはO−脂肪族から選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
但し、YおよびWの内の1つのみが、式Iaまたは式Ibであり、YおよびWのもう1つは水素である。
【0032】
特定の他の実施形態では、式Iの化合物について一般的に上述の通りであり、ここで:
a)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせのいずれかで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
b)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせで−Cl、Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
c)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、4−アミノもしくは4−メトキシカルボニルではなく;
d)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは、−2(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキサンではなく;
e)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eは−6(4−ジメチル−2H−クロメン−2−オン)ではなく;
f)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−Cアルキル−O−である場合、環Eは非置換フェニルではなく;
g)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換チエニルではなく;
h)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
i)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−Cアルキル−−である場合、環Eは2−イソインドリン−1,3−ジオンではなく;
j)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−Cアルキル−O−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
k)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−Cアルキル−NH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換アダマンチルではない。
【0033】
別の実施形態に従って、本発明は、上で一般的に規定されるように式Iaの化合物を提供するが、ここで:
(a)ZがNであり、Yは水素であり、Wは式Iaであり、Aは
【0034】
【化36】

であり、VおよびQは、それぞれ結合である場合:
(i)ベンズイミダゾール環のC−5もしくはC−6の位置において、rが1であり、RAがメチルの場合、
Eは:
非置換フェニルではなく;
オルト位においてメチル、OMe、もしくはOEtで置換されたフェニルではなく:またはパラ位においてOMeもしくはメチルで置換されたフェニルではなく;そして
(ii)rが、0の場合、Eは:
非置換フェニルではなく;
非置換ナフチルではなく;
パラ位において0Et、Br、OHもしくはOMeで置換されたフェニルではなく;
メタ位において塩素で置換されたフェニルではなく;または
オルト位においてメチル基で置換されるフェニル基ではなく;
(b)ZがNであり、Yが水素であり、Wが式Iaであり、Qが−NHCH−であり、rが0であり、そしてVがC(O)である場合:
(i)Aが、−CHCHNH−である場合、Eは、
【0035】
【化37】

ではなく;そして
(ii)Aが−CHNH−である場合、Eは、
【0036】
【化38】

ではなく;そして
(c)ZがCであり、Yが式Iaであり、rが0であり、Aが−CHCHNH−であい、VがC(O)であり、Qが−CHO−であり、Eがフェニルである場合:
(i)sは、0ではなく;
(ii)sが1である場合、Rは:
パラ位において非置換フェニル、クロロ、OMe、メチル、ブロモ、
【0037】
【化39】

または
【0038】
【化40】

ではなく;
オルト位においてシアノもしくはOMeではなく;
メタ位においてメチルではなく;
(iii)sが2である場合、Rは、オルト/パラ位においてジクロロではなく;そして
(iv)sが3である場合、Rは、2,3,4−トリメチルオキシ、もしくは2,4,5−トリクロロではない。
【0039】
特定の他の実施形態において、概して上および本明細書中に記載された式Iの化合物に関しては、以下である:
a)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせのいずれかで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
b)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせで−Cl、Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
c)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、4−アミノもしくは4−メトキシカルボニルではなく;
d)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは、−2(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキサンではなく;
e)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eは−6(4−ジメチル−2H−クロメン−2−オン)ではなく;
f)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−である場合、環Eは非置換フェニルではなく;
g)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換チエニルではなく;
h)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
i)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCH−である場合、環Eは2−イソインドリン−1,3−ジオンではなく;
j)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
k)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換アダマンチルではなく;
l)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせのいずれかで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシ、非置換フェニル、−C(CH)フェニルもしくはニトロではなく;
m)ZがNである場合、Wは式Iaであり、Aは−CHCHNH−であり、Vは−C(O)−であり、Qは−CH=CHO−であり、環Eはフェニルであり、そしてRは、オルト位の−Clではなく、そして
n)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、クロロではない。
【0040】
本発明の別の実施形態は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、大腿癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;慢性関節リウマチ、変形性関節症;脊椎狭窄症;神経障害性腰痛;神経障害性腰痛;顔面筋疼痛機能不全症候群;線維性疼痛;側頭下顎骨関節痛;腹痛を含む慢性内臓痛;膵臓痛;IBS痛;慢性頭痛;片頭痛;群発性頭痛を含む緊張性頭痛;疱疹後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・ツース神経障害;遺伝性感覚神経障害、抹消神経傷害;疼痛性神経腫;異所性近位発射および異所性遠位発射;神経根障害;化学療法誘発神経障害痛;放射線療法誘発神経障害痛;乳房切除術後の疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷痛;脳卒中後痛;視床痛;複合性局所痛症候群;幻肢痛;難治性疼痛;急性痛、急性術後痛;急性骨格筋痛;関節痛;構造上腰痛;頸部痛;腱炎;傷害/運動痛;腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニア;など;心痛を含む胸痛;骨盤痛、腎疝痛、陣痛を含む急性産科学的疼痛;帝王切開通;急性炎症性疼痛、熱傷痛および外傷痛;子宮内膜症を含む急性間欠性疼痛;急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)の疼痛;うつ病における疼痛;らい病の疼痛;ベーチェット病の疼痛;有痛脂肪症;静脈炎痛;ギラン・バレ痛;痛む脚と動く足趾症候群;ハグルンド症候群;肢端紅痛症;ファブリ病痛;尿失禁を含む膀胱および泌尿生殖病;活動亢進膀胱;有痛性膀胱症候群;間質性膀胱炎(IC);または前立腺炎;関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス神経痛、一般的な神経痛;癲癇または癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁から選択される、疾患、障害または状態の重篤さを、有効量の式Iの化合物:
【0041】
【化41】

また薬学的に受容可能なその塩を上記患者に投与する工程を包含する、処置するあるいは低減する方法を提供する。ここでR、Z、Y、rおよびWは、上および本明細書で記載されるクラスおよびサブクラスに規定される。
【0042】
本実施形態の好ましい局面では、上記疾患、状態または障害が、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛または炎症性疼痛である。
【0043】
本発明の別の実施形態では、有効量の式Iの化合物:
【0044】
【化42】

またはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程を包含する、疾患、状態または障害が電位依存性ナトリウムチャネルの活性化に関係する、疾患、状態または障害の重篤さを処置または軽減する方法を提供する。ここでR、Z、Y、rおよびWは、上および本明細書で記載されるクラスおよびサブクラスに規定される。
【0045】
本実施形態の好ましい局面では、上記疾患、状態または障害は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、癲癇もしくは癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁である。
【0046】
本実施形態の特に好ましい局面では、上記疾患、状態または障害が、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛または炎症性疼痛である。
【0047】
本実施形態の別の好ましい局面では、上記方法が更なる治療剤を含む。
【0048】
本発明のさらなる別の実施形態では、
(a)患者;または
(b)生物学的サンプル;における
NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2活性を阻害する方法を提供するが、ここで上記方法は、式Iの化合物:
【0049】
【化43】

またはその薬学的に受容可能な塩を上記患者に投与する工程、または上記生物学的サンプルと接触する工程を包含し、ここでR、Z、Y、rおよびWは、上または本明細書で記載されるクラスおよびサブクラスにおいて規定されている。
【0050】
(2.化合物および定義)
本発明の化合物としては、一般的に上述のものが含まれ、そして本明細書で開示されるクラス、サブクラスおよび種によりさらに例示される。本明細書で使用される場合、他で示されない限り、以下の定義が適用される。本発明の目的について化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第75版に従って同定する。さらに有機化学の一般原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」第5版、Smith,M.B.およびMarch,J.編,John Wiley & Sons、New York:2001、に記載され、その全体の内容は本明細書により参考として援用される。
【0051】
本発明は、例えばR、R、RおよびRのような1価の置換基;または例えばA、BおよびDのような2価の置換基を有する式Iの化合物を提供する。当業者は、例えば、−C1〜6アルキル−NH−および−C1〜4アルキル−O−のような不斉2価置換基に関して、親構造に関して2つの可能な配向があることを理解する。本明細書内で使用される場合、2価置換基の配向は、本明細書で教示されるように式Iに関してその左/右配向により決定される。当業者はまた、この配向のルールは例えば−C(O)−または−C1〜6アルキル−のような対称2価置換基には適用できないことを理解する。
【0052】
式Iに関する例としては、ZがNであって、WがIaとして存在し、Rが水素であり、Vが−C(O)−であり、環Eがフェニルであり、Rが水素であり;そしてAおよびQが2価置換基(Aが−Cアルキル−NH−であり、そしてQが−Cアルキル−O−である)の場合、以下が記載された化合物である。
【0053】
【化44】

式Iに関する例としては、ZがNであって、WがIaとして存在し、Rが水素であり、Vが−C(O)−であり、環Eがフェニルであり、Rが水素であり;そしてAおよびQが2価置換基(AがCアルキル−NH−であり、そしてQが−O−Cアルキル−である)の場合、以下が記載された化合物である。
【0054】
【化45】

式Iに関する例としては、ZがNであって、WがIaとして存在し、Rが水素であり、Vが−C(O)−であり、環Eがフェニルであり、Rが水素であり;そしてAおよびQが2価置換基(Aが
【0055】
【化46】

であり、そしてQが−Cアルキル−O−である)の場合、以下が記載された化合物である。
【0056】
【化47】

本明細書中に記載される場合、本発明の化合物は、必要に応じて、1個以上の置換基(例えば、一般的に上で例証されている置換基、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種により例示される置換基)で置換され得る。「必要に応じて置換された」という言い回しが、「置換または非置換の」という言い回しと互換的に使用されるということが理解される。一般的に、用語「置換された」は、用語「必要に応じて」に先行されていようがいまいが、所定の構造における水素ラジカルを特定の置換基のラジカルと置換することを意味する。他に示されなければ、必要に応じて置換された基は、上記基の置換可能な各位置において、置換基を有し得、そして任意の所定の構造における1以上の位置が、特定の基より選択される1個以上の置換基で置換され得る場合、上記置換基は、全ての位置において、同一であるか別個であるかのいずれかであり得る。本発明により構想される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物の形成を生じる。本明細書中で用いられる場合、用語「安定な」は、本明細書に開示される1つ以上の目的のための、化合物の生産、検出、ならびに、好ましくは回収、精製、および使用を可能にする条件に供したときに、実質的に交換されない化合物をいう。いくつかの実施形態において、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間、湿気または他の化学的に反応性の条件の非存在下で40℃以下の温度に保たれた場合、実質的に変更されない化合物である。
【0057】
本明細書で使用される場合、用語「脂肪族」、「脂肪族基」または「アルキル」は、完全に飽和されているか、または1個以上の不飽和単位を含む、直鎖状(すなわち、分枝していない)または分枝鎖状の、置換されたかまたは非置換の炭化水素鎖、あるいは、完全に飽和されているかまたは1個以上の不飽和単位を含むが芳香族ではない単環式炭化水素または二環式炭化水素(「炭素環式」「脂環式」もしくは「シクロアルキル」とも呼ばれる)であって、この分子の残部に対して、単一の結合点を有する単環式炭化水素または二環式炭化水素を意味する。他に特定されなければ、脂肪族基は、1個〜20個の脂肪族炭素原子を含む(すなわち、C1〜20アルキル)。いくつかの実施形態では、脂肪族基は、1個〜10個の脂肪族炭素原子を含む(すなわち、C1〜10アルキル)。他の実施形態では、脂肪族基は、1個〜8個の脂肪族炭素原子を含む(すなわち、C1〜8アルキル)。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1個〜6個の脂肪族炭素原子を含み(すなわち、C1〜6アルキル)、そしてさらに他の実施形態では、脂肪族基は、1個〜4個の脂肪族炭素原子を含む(すなわち、C1〜4アルキル)。いくつかの実施形態では、「脂環式」(または、「炭素環」または「シクロアルキル」)とは、完全に飽和されているか、または1個以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではない、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素であって、この分子の残部に対して、単一の結合点を有する単環式炭化水素または二環式炭化水素をいい、ここで、上記二環式環系における任意の個々の環は、3員〜7員を有する。適切な脂肪族基としては、直鎖または分枝鎖の、置換されているかまたは非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびそれらのハイブリッド(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、または(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書中で用いられる場合、用語「脂環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ脂環式」または「複素環式」は、1以上の環員が、独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族環系、単環式環系、二環式環系または三環式環系を意味する。いくつかの実施形態において、「複素環」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ脂環式」基または「複素環式」基は、1個以上の環員が酸素、硫黄、窒素、またはリンより独立して選択されるヘテロ原子である、3個〜7個の環員を有し、そして上記系における各環が3個〜7個の環員を含む。
【0059】
用語「ヘテロ原子」とは、1以上の酸素、硫黄、窒素、リンもしくはケイ素(窒素、硫黄、リン、もしくはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の4級化形態、または;複素環式環の置換可能な窒素(例えば、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルにおけるような)N、(ピロリジニルにおけるような)NHもしくは(N−置換ピロリジニルにおけるような)NRが挙げられる)を意味する。
【0060】
本明細書中に用いられる場合、用語「不飽和の」は、部分が1以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0061】
本明細書中で使用される場合、用語「アルコキシ」または「チオアルキル」とは、以前に定義されるように、酸素原子を通して主炭素鎖に結合されたアルキル基(アルコキシ)または窒素原子を通して主炭素鎖に結合されたアルキル基(チオアルキル)をいう。例えば、C1〜4アルコキシは、アルコキシ基、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびブトキシ(直鎖構造または分枝鎖構造のプロポキシおよびブトキシ、すなわち、i−プロポキシおよびn−プロポキシ;ならびにn−ブトキシ、i−ブトキシおよびsec−ブトキシを含む)である。
【0062】
用語「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」は、場合によっては、1個以上のハロゲン原子で置換され得る、アルキル、アルケニル、またはアルコキシを意味する。用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br、またはIを意味する。
【0063】
単独で使用されるか、または「アラルキル(aralkyl)」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」におけるより大きな部分の一部として使用される用語「アリール」は、総計5個〜14個の環員を有する、単環式環系、二環式環系、および三環式環系を指し、ここで、この系における少なくとも1以上の環は、芳香族であり、ここで、この系における各環は、3個〜7個の環員を含む。この用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書中の以下に記載されるヘテロアリール環系も指す。
【0064】
単独で使用されるか、または「ヘテロアラルキル(heteroaralkyl)」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるより大きな部分の一部として使用される用語「ヘテロアリール」は、総計5個〜14個の環員を有する、単環式環系、二環式環系、および三環式環系をいい、ここで、この系における少なくとも1つの環は、芳香族であり、この系における少なくとも1個の環は、1個以上のヘテロ原子を含み、ここで、この系における各環は、3個〜7個の環員を含む。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」または用語「ヘテロ芳香族」と交換可能に使用され得る。用語「アリール」はまた、本明細書中の以下に記載されるヘテロアリール環系をいう。
【0065】
アリール基(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)またはヘテロアリール基(ヘテロアラルキルおよびへテロアリールアルコキシなど)は、1以上の置換基を含み得、そして従って、「必要に応じて置換された」ものであり得る。上および本明細書中に他に定義されなければ、アリール基またはへテロアリール基の非置換の炭素原子上の適切な置換基は、一般的に、以下から選択される:ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレン−ジオキシ;1,2−エチレン−ジオキシ;必要に応じてRで置換されたフェニル(Ph);必要に応じてRで置換された−O(Ph)、必要に応じてRで置換された−(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(O)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(O)N(R;−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−C(=S)N(R;−C(=NH)−N(R;または−(CH0〜2NHC(O)R;ここで、Rの各々独立した出現は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、非置換の5員〜6員のヘテロアリールもしくは複素環、フェニル、−O(Ph)、または−CH(Ph)から選択されるか、あるいは、上記の定義に関わらず、同一または別個の置換基上のRの2個の独立した出現は、各R基が結合する原子と一緒になって、3員〜8員の、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し、この環は、窒素、酸素、もしくは硫黄より独立して選択された0個〜3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族より選択され、ここで、前述のRの各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0066】
脂肪族基もしくは脂環式基、または非芳香族複素環基は、1以上の置換基を含む。脂肪族基またはヘテロ脂肪族基、あるいは非芳香族複素環基の飽和炭素上の適切な置換基は、アリール基またはへテロアリール基の不飽和炭素に関して上に列挙されたものより選択され、そしてさらに以下:=O、=S、=NNHR、−NN(R、−NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)、もしくは=NRが挙げられ、ここで、各Rは、独立して、水素もしくは必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基より選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族より選択され、ここで、前述のRの各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0067】
非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOより選択され;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換された−O(Ph)、必要に応じて置換された−CH(Ph)、必要に応じて置換された−(CH1〜2(Ph);必要に応じて置換された−CH=CH(Ph);または酸素、窒素、もしくは硫黄より選択される1個〜4個のヘテロ原子を有する非置換の5員〜6員のへテロアリールもしくは複素環であるか、あるいは、上記の定義に関わらず、同一の置換基または別個の置換基上の、Rの独立した2個の出現は、各R基が結合する原子と一緒になって、3員〜8員のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し、この環は、窒素、酸素、もしくは硫黄より独立して選択される0個〜3個のヘテロ原子を有する。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)、またはハロC1〜4脂肪族より選択され、ここで、前述のRの各C1〜4脂肪族は、非置換である。
【0068】
用語「C1〜20アルキリデン鎖」とは、完全に飽和であり得るか、または1以上の不飽和単位を有し得、そしてこの分子の残部に対して2個の結合点を有する、直鎖または分枝状の炭素鎖をいう。
【0069】
他で述べられない限り、本明細書で示される構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何(または立体配座)異性体)形態;例えば、各不斉中心に関してR立体配置およびS立体配置、(Z)および(E)2重結合異性体、(Z)および(E)立体配座異性体を、含むものと意味する。従って、本化合物の単一の立体化学的異性体および鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(立体配座異性体)混合物は、本発明の範囲内である。他で述べない限り、本発明の化合物の全ての互変異性の形態は、本発明の範囲内である。例えば式Iの化合物:
【0070】
【化48】

ここで、ZはNまたはOであり、当業者は、適切な互変異性体が上に示されていると認識する。式IのZ基がCHである場合、当業者は、適切な互変異性体が下に示されていると認識する:
【0071】
【化49】

さらに、他で述べない限り、本明細書で示される構造はまた、同位元素的に濃縮されている1以上の原子の存在のみが異なる化合物を含むと意味する。例えば、重水素またはとリチウムにより水素を置換したか、または13C−もしくは14C−濃縮炭素により炭素を置換した本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、分析ツールまたは生物学的アッセイにおけるプローブとして有用である。
【0072】
(3.例示的化合物の説明)
特定の実施形態において、本発明は、Vが−S(O)−である、式Iの化合物を提供する。
【0073】
他の実施形態において、本発明は、Vが−C(O)−である、式Iの化合物を提供する。
【0074】
一つの実施形態において、Tは、Tの1メチレン単位が必要に応じてC3〜6脂環基により置換されるC1〜6直鎖脂肪鎖およびC1〜6分枝脂肪鎖である。
【0075】
環Eがフェニルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0076】
環Eがナフチルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0077】
環Eがピリジニルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0078】
環Eがチエニルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0079】
環Eがフラニルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0080】
環Eがキノニリルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0081】
環Eがベンゾフラニルである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0082】
環Eが3,4−ジヒドロ−2H−クロメンである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0083】
環Eが2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキサンである式Iの化合物もまた、好ましい。
【0084】
1つの局面に従うと、本発明は、式Iの化合物を提供するが、ここで環Eは、上述の好ましい基であり、その基は、本明細書で記載されるクラスおよびサブクラスに示される式Iの残っている変化との組合わせである。
【0085】
特定の実施形態において、式Iの各Rが存在する場合、独立してR、OR、CNまたはハロである。他の実施形態において、式Iの各Rが存在する場合、独立してOR、N(RCN、NRC(O)R、ハロ、R、C(O)RまたはNOである。
【0086】
他の実施形態において、式IのA部分が、存在する場合、−T−NR−であり、ここでTは、
1〜6直鎖脂肪鎖およびC1〜6分枝脂肪鎖である。そのようなA部分としては、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−、−CHCH(CH)NH−が上げられる。
【0087】
特定の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を提供するが、ここでAは、−T−NH−であって、ここでTは、C1〜6直鎖脂肪鎖およびC1〜6分枝脂肪鎖であり、ここでTの1メチレン単位は、C3〜6脂環基により置換される。そのような脂環基としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基またはシクロオクチル基が挙げられる。
【0088】
他の実施形態において、式IのQ部分が、C1〜4アルキリデン鎖であって、ここでQの1メチレン単位は、−O−、−NH−、または−S−により置換される。式IのQ部分としては、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−が挙げられる。
【0089】
上述の如く式Iの本発明の化合物について、Zは、O、NまたはCである。従って、特定の実施形態において,ZがNであって、対応する化合物が式IIの構造を有する:
【0090】
【化50】

式IIの特定の実施形態においてYは、水素であり、環Eは、フェニルであり、そしてWは、式Iaであって、Vが式IIaで示されるように−C(O)−であり:
【0091】
【化51】

また薬学的に受容可能なその塩であり、ここでR、r、Q、Rおよびsは、本明細書上に規定される通りである。
【0092】
式IIaの化合物は、好ましく、ここでQは、結合かまたはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここでQの1メチレン単位は、−O−、−NH−、または−S−により置換される。式IのQ部分は、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−を含む。
【0093】
Qが−OCH−である、式IIaの化合物が、特に好ましい。
【0094】
Qが−CHO−である、式IIaの化合物もまた、特に好ましい。
【0095】
Qが−NHCH−である、式IIaの化合物もまた、特に好ましい。
【0096】
Aが−C1〜6アルキルNH−である、式IIaの化合物もまた、好ましい。
【0097】
Aが−CHCHNH−である、式IIaの化合物もまた、特に好ましい。
【0098】
Aが、−CHNH−である、式IIaの化合物もまた、特に好ましい。
【0099】
特定の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してC1〜6脂肪族、CHO−またはハロゲンである。他の実施形態では、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してメチル、CHO−、フルオロまたはクロロである。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CH=CH−、−CHO−または−NHCH−であり、そして各Rが独立してCN、C1〜6脂肪族、−N(Rまたはハロゲンである。そのようなR基としては、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、クロロ、フルオロ、ブロモ、N(Me)、CF、およびCHフェニルが挙げられる。別の実施形態に従って、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでベンゾ環がC−4およびC−5の位置の1つまたは両方がt−ブチル、フルオロまたはクロロで置換される。
【0101】
別の実施形態に従って、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−もしくは−CH(CH)NH−であって、Qが、−CHO−であり、そして各Rが独立してC1〜6脂肪族、−N(R2、−C(O)Rまたはハロゲンである。そのようなRとしては、メチル、クロロ、ブロモ、エチル、N(Me)、−C≡CHおよびC(O)CHが挙げられる。
【0102】
さらに別の実施形態では、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−、−NHCH−または−CH(CH)O−であり、そして各Rが独立してC1〜6脂肪族、ORまたはハロゲンである。そのようなRとしては、メチル、エチル,−OMe、クロロ、ブロモおよびフルオロが挙げられる。
【0103】
さらに別の実施形態に従って、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−または−CHCH(CH)NH−であって、Qが−CHO−、−NHCH−,−NH−、−CH(CH)O−または−C(CHO−であり、そして各Rが独立してC1〜6脂肪族、ORまたはハロゲンである。そのようなRとしては、メチル、エチル,−OMe、クロロ、ブロモおよびフルオロが挙げられる。別の実施形態に従って、本発明は式IIaの化合物を提供するが、ここでrは2であって、各RはフルオロおよびC−4およびC−5の位置に存在する。
【0104】
特定の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してC1〜6脂肪族、またはハロゲンである。他の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してメチル、イソプロピル、フルオロ、ブロモまたはクロロである。さらに他の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してメチル、フルオロまたはクロロである。さらに他の実施形態において、本発明は、式IIaの化合物を提供するが、ここでAは、−CHCHNH−であって、Qが−CHO−であり、そして各Rが独立してメチル、ブロモまたはクロロである。
【0105】
Aが:
【0106】
【化52】

である、式IIaの化合物もまた、好ましい。
【0107】
Aが:
【0108】
【化53】

である、式IIaの化合物もまた、好ましい。
【0109】
Aが:
【0110】
【化54】

であって、ここでUは、−CH−または−CHCH−である、式IIaの化合物もまた、好ましい。
【0111】
式IIの特定の実施形態において、Yは水素であり、環Eはフェニルであり、Wは式Ibであり、Dは結合である以下の式IIbまたは薬学的に受容可能なその塩として示され、
【0112】
【化55】

ここで、R、r、Rおよびsは上記および本明細書で規定される。
【0113】
がR6またはハロである、式IIBの化合物が好ましい。特定の実施形態において、Rは、メチル、クロロまたはブロモである。
【0114】
がメチルである、式IIBの化合物が、特に好ましい。
【0115】
はハロ、OR、N(R、NRC(O)Rか、または2個のRが一緒になって1メチレンジオキシ基もしくはエチレンジオキシ基を形成する、式IIBの化合物もまた、好ましい。特定の実施形態において、RDは、−OH、−N(Et)、−OMe、−NHC(O)CH、フルオロまたはクロロである。
【0116】
別の実施形態に従って、本発明は式IIIの化合物、または薬学的に受容可能なその塩を提供する:
【0117】
【化56】

ここでA、Q、R、r、Rおよびsは、上記および本明細書に規定される。
【0118】
特定の実施形態において、式IIIの各Rは、存在する場合、独立してR、OR、CNまたはハロである。他の実施形態において、式IIIの各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロ、R、C(O)RまたはNOである。
【0119】
他の実施形態において、式IIIのQ部分は、C1〜4アルキリデン鎖であって、ここでQの1メチレン単位は−O−、−NH−または−S−により置換される。式IIIのそのようなQ部分としては、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−および−CHS−が挙げられる。
【0120】
他の実施形態において、式IIIのA部分が、存在する場合、−T−NR−であり、ここでTは、C1〜6直鎖脂肪族鎖または分枝脂肪族鎖である。そのようなA部分としては、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−および−CHCH(CH)NH−が挙げられる。
【0121】
特定の実施形態において、本発明は式IIIの化合物を提供するが、ここでAは、−T−NH−であり、ここでTは、C1〜6直鎖脂肪族鎖またはC1〜6分枝脂肪族鎖であり、ここでTの1メチレン単位は、C3〜6脂環基で置換される。そのような脂環基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基およびシクロヘキシル基が挙げられる。
【0122】
別の実施形態において、本発明は式IVの化合物:
【0123】
【化57】

また薬学的に受容可能なその塩を提供するが、ここでV、Q、R、r、R、nおよびsは上記および本明細書で規定される。
【0124】
特定の実施形態において、式IVの各Rは、存在する場合、独立してR、OR、CNまたはハロである。他の実施形態において、式IVの各Rは、存在する場合、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロ、R、C(O)RまたはNOである。
【0125】
他の実施形態において、式IVの環E基は、フェニルまたは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員の単環のヘテロシクリル環である。そのような式IVの環E基としては、ピリジル、チエニル、フリルおよびピラゾリルが挙げられる。
【0126】
さらに他の実施形態において、式IVの環E基は、8〜10員の2環アリール環または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する8〜10員の2環ヘテロアリール環である。式IVのそのような環E基としては、ナフチル、キノリニル、3,4−ジヒドロ−2H−クロメン、および2,3−ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシンが挙げられる。
【0127】
他の実施形態において、式IVのQ部分は、C1〜4アルキリデン鎖であって、ここでQの1メチレン単位は−O−、−NH−または−S−により置換される。式IVのそのようなQ部分としては、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−および−CHS−が挙げられる。
【0128】
本発明の別の局面に従って、VおよびQの1つは結合である。本発明のさらに別の局面に従って、VおよびQの両方が結合である。式Iの代表的な化合物は、以下の表2に示される。
【0129】
(表2.式Iの代表的な化合物)
【化58】

【0130】
【化59】

【0131】
【化60】

【0132】
【化61】

【0133】
【化62】

【0134】
【化63】

【0135】
【化64】

【0136】
【化65】

【0137】
【化66】

【0138】
【化67】

【0139】
【化68】

【0140】
【化69】

【0141】
【化70】

【0142】
【化71】

【0143】
【化72】

【0144】
【化73】

【0145】
【化74】

【0146】
【化75】

【0147】
【化76】

【0148】
【化77】

【0149】
【化78】

【0150】
【化79】

【0151】
【化80】

【0152】
【化81】

【0153】
【化82】

【0154】
【化83】

【0155】
【化84】

【0156】
【化85】

【0157】
【化86】

【0158】
【化87】

【0159】
【化88】

【0160】
【化89】

【0161】
【化90】

【0162】
【化91】

【0163】
【化92】

【0164】
【化93】

【0165】
【化94】

【0166】
【化95】

【0167】
【化96】

【0168】
【化97】

【0169】
【化98】

【0170】
【化99】

【0171】
【化100】

【0172】
【化101】

【0173】
【化102】

【0174】
【化103】

【0175】
【化104】

【0176】
【化105】

【0177】
【化106】

【0178】
【化107】

【0179】
【化108】

【0180】
【化109】

【0181】
【化110】

【0182】
【化111】

【0183】
【化112】

【0184】
【化113】

【0185】
【化114】

【0186】
【化115】

【0187】
【化116】

【0188】
【化117】

【0189】
【化118】

【0190】
【化119】

【0191】
【化120】

【0192】
【化121】

【0193】
【化122】

【0194】
【化123】

【0195】
【化124】

【0196】
【化125】

【0197】
【化126】

【0198】
【化127】

【0199】
【化128】

【0200】
【化129】

【0201】
【化130】

【0202】
【化131】

【0203】
【化132】

【0204】
【化133】

【0205】
【化134】

【0206】
【化135】

【0207】
【化136】

【0208】
【化137】

【0209】
【化138】

【0210】
【化139】

【0211】
【化140】

【0212】
【化141】

【0213】
【化142】

【0214】
【化143】

【0215】
【化144】

【0216】
【化145】

【0217】
【化146】

【0218】
【化147】

【0219】
【化148】

【0220】
【化149】

【0221】
【化150】

【0222】
【化151】

【0223】
【化152】

【0224】
【化153】

【0225】
【化154】

【0226】
【化155】

【0227】
【化156】

【0228】
【化157】

【0229】
【化158】

【0230】
【化159】

【0231】
【化160】

【0232】
【化161】

【0233】
【化162】

【0234】
【化163】

【0235】
【化164】

【0236】
【化165】

【0237】
【化166】

【0238】
【化167】

【0239】
【化168】

【0240】
【化169】

【0241】
【化170】

【0242】
【化171】

【0243】
【化172】

【0244】
【化173】

【0245】
【化174】

【0246】
【化175】

【0247】
【化176】

【0248】
【化177】

【0249】
【化178】

【0250】
【化179】

【0251】
【化180】

【0252】
【化181】

【0253】
【化182】

【0254】
【化183】

【0255】
【化184】

【0256】
【化185】

【0257】
【化186】

【0258】
【化187】

【0259】
【化188】

【0260】
【化189】

【0261】
【化190】

【0262】
【化191】

【0263】
【化192】

【0264】
【化193】

【0265】
【化194】

【0266】
【化195】

【0267】
【化196】

【0268】
【化197】

【0269】
【化198】

【0270】
【化199】

【0271】
【化200】

【0272】
【化201】

【0273】
【化202】

【0274】
【化203】

【0275】
【化204】

【0276】
【化205】

【0277】
【化206】

【0278】
【化207】

【0279】
【化208】

【0280】
【化209】

【0281】
【化210】

【0282】
【化211】

【0283】
【化212】

【0284】
【化213】

【0285】
【化214】

【0286】
【化215】

【0287】
【化216】

【0288】
【化217】

【0289】
【化218】

【0290】
【化219】

【0291】
【化220】

【0292】
【化221】

【0293】
【化222】

【0294】
【化223】

特定の例示的な実施形態が上記および本明細書に示されるが、本発明の化合物は一般的に当業者に利用可能な方法により適切な出発物質を使用して、上述の一般的な方法に従って調製され得ることが理解される。
【0295】
(4.一般的な合成方法)
本発明の化合物は、以下の一般的なスキームおよびそれに従った合成実施例に示されるように、類似の化合物に関する当業者に公知の方法により一般的に調製され得る。出発物質は、例えばAldrich Chemicals Co.、Sigma Chemical Companyなどのような代表的な化学試薬供給業者から市販されている。市販されていない化合物は、例えば、「Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis」第1〜15巻、John Wiley and Sons、1991;「Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds」第1〜5巻および補卷、Elservier Science Publishers、1989;および「Organic Reactions」第1〜40巻、John Wiley and Sons、1991のような参考文献に示される当業者の手順により調製され得る。
【0296】
(スキーム1)
スキーム1は、式Iの化合物の一般的な調製を教示する。代表的には式Iの化合物は、ここでYまたはWが、
【0297】
【化224】

であり、ここでAは、−NH−または−N(C1〜6アルキル)−であるが、求核機能を有する必要に応じて置換された式Aの化合物と、必要に応じて置換された式Bの化合物とを結合することにより調製されるが、式Bは以前に規定されたように、例えばカルボン酸、スルホニルハロゲン化物、イソシアネートのような末端に親電子機能を有する。これらの方法はまた、以前に規定されたように式IIおよびIIIの化合物に適用される。
【0298】
【化225】

(合成スキーム2a、2b)
スキーム2aは、式IIの、必要に応じて置換されたベンズイミダゾール化合物の調製を教示する。スキーム2bは、必要に応じて置換された式IIのさらなるベンズイミダゾール化合物の調製を教示する。
【0299】
【化226】

【0300】
【化227】

必要に応じて置換された1,2−ジアミノベンゼンを、保護された求核基を有する必要に応じて置換されたカルボン酸とを反応させてベンズイミダゾール中間体を提供する。その求核基は保護され、アシル化、スルホニル化、カルバモイル化またはアルキル化されて式IIの化合物を提供する。
【0301】
(合成スキーム3a、3b、3c)
スキーム3aは、必要に応じて置換されたアリールオキシ酸の調製を教示する。必要に応じて置換されたアリールオキシ酸は、必要に応じて置換されたフェノール化合物と、必要に応じて置換されたハロ置換アルキルエステル(Xは、Cl、BrまたはIである)とを反応させることにより調製し、対応するエステルを得る。
【0302】
【化228】

上記エステル化合物は、次いで加水分解され、必要に応じて置換された所望の式Bの化合物を得る。
【0303】
【化229】

スキーム1、2aおよび2bで教示するように、式Aおよび式Bの化合物を、一緒に反応して式Iの化合物を得る。例えば、スキーム2bで教示する式Aと、本スキーム3bで教示する式Bとを反応させて式I(スキーム3c)に対応する化合物を形成し得る。
【0304】
【化230】

(合成スキーム4)
スキーム1、2a、2b、3a、3b、および3cで教示する手順に従い、そして式Bの必要に応じて置換されたアリールイソシアネート化合物を使用して、式Iの必要に応じて置換された化合物を得た。
【0305】
【化231】

(合成スキーム5)
スキーム1、2a、2b、3a、3b、および3cで教示する手順に従い、そして式Bの必要に応じて置換されたアリール塩化スルホニル化合物を使用して、式Iの必要に応じて置換された化合物を得た。
【0306】
【化232】

(合成スキーム6)
必要に応じて置換された保護された式Aのベンズイミダゾールを、出発物質シアノ置換されたベンズイミダゾールを(BOC)Oと反応させて、引き続きそのシアノ基を還元し(ラネ−ニッケル/Hなど)、所望の式Aの化合物を提供する。
【0307】
【化233】

スキーム1、2a、2b、3a、3b、および3cで教示するように、本スキーム6からの式A化合物を誘導化し、対応する式Iの化合物を提供する。
【0308】
(合成スキーム7a、7b)
必要に応じて置換されたベンジルアルコールをホスゲンと反応させ、必要に応じて置換された式Bの化合物を提供する。
【0309】
【化234】

この化合物を、式Aの化合物と反応させ、対応する式Iの化合物を提供する。例えば、式Aの化合物がスキーム2で教示するベンズイミダゾールである場合、式Iの以下の化合物、ここでsは0〜4、そしてmが1または4、Qが−O−C1〜4アルキルであるQに対応する化合物を得る。
【0310】
【化235】

(合成スキーム8)
式Iの化合物で、Wが
【0311】
【化236】

である化合物を、必要に応じて置換されたジアミノベンゼンと、必要に応じて置換されたベンズアルデヒドまたは安息香酸とを反応させて式Iの必要に応じて置換された化合物を得るが、ここでR、R、rおよびtは、スキーム2aおよび2bと同様な様式で、式Iについて教示する通りである。
【0312】
特定の例示的な実施形態が上記および本明細書に示されるが、本発明の化合物は一般的に当業者に利用可能な方法により適切な出発物質を使用して、上述の一般的な方法に従って調製されることが理解される。
【0313】
(5.用途、処方および投与)
さらに別の局面において、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、大腿癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;慢性関節リウマチ、変形性関節症;脊椎狭窄症;神経障害性腰痛;神経障害性腰痛;顔面筋疼痛機能不全症候群;線維性疼痛;側頭下顎骨関節痛;腹痛を含む慢性内臓痛;膵臓痛;IBS痛;慢性頭痛;片頭痛;群発性頭痛を含む緊張性頭痛;疱疹後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・ツース神経障害;遺伝性感覚神経障害、抹消神経傷害;疼痛性神経腫;異所性近位発射および異所性遠位発射;神経根障害;化学療法誘発神経障害痛;放射線療法誘発神経障害痛;乳房切除術後の疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷痛;脳卒中後痛;視床痛;複合性局所痛症候群;幻肢痛;難治性疼痛;急性痛、急性術後痛;急性骨格筋痛;関節痛;構造上腰痛;頸部痛;腱炎;傷害/運動痛;腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニア;など;心痛を含む胸痛;骨盤痛、腎疝痛、陣痛を含む急性産科学的疼痛;帝王切開通;急性炎症性疼痛、熱傷痛および外傷痛;子宮内膜症を含む急性間欠性疼痛;急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)の疼痛;うつ病における疼痛;らい病の疼痛;ベーチェット病の疼痛;有痛脂肪症;静脈炎痛;ギラン・バレ痛;痛む脚と動く足趾症候群;ハグルンド症候群;肢端紅痛症;ファブリ病痛;尿失禁を含む膀胱および泌尿生殖病;活動亢進膀胱;有痛性膀胱症候群;間質性膀胱炎(IC);または前立腺炎;関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス神経痛、一般的な神経痛;癲癇または癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁の重篤さを処置するまたは軽減する方法である。
【0314】
一般的に上述の如く、本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムチャネルまたは電位依存性カルシウムチャネル、好ましくは電位依存性N−型カルシウムチャネルのインヒビターとして有用である。1つの実施形態において、本発明の化合物および組成物は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1以上のインヒビターであって、従って如何なる特定の理論にも拘束されることを望まないが、上記化合物および組成物は、疾患、状態または障害においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2のうちの1以上の活性化または過度の活性化が関連する場合、疾患、状態または障害の重篤さを処置または軽減するのに特に有用である。特定の疾患、状態または障害においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2のうちの1以上の活性化または過度の活性化が関連する場合、疾患、状態または障害は、「NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2−媒介性疾患、状態または障害」あるいは「CaV2.2−媒介性状態または障害」といい得る。従って、別の局面において、本発明は、疾患状態においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2の1以上の活性化または過度の活性化が関連する場合、疾患、状態または障害の重篤さを処置または軽減する方法を提供する。
【0315】
本発明においてNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2のインヒビターとして利用される化合物の活性は、本明細書の実施例に一般的に記載される方法に従って、あるいは当業者に利用可能な方法によりアッセイされ得る。
【0316】
特定の例示的実施形態において、本発明の化合物は、NaV1.8のインヒビターとして有用である。1つの実施形態において、NAV1.8またはCaV2.2のインヒビターとして有用である。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、CaV2.2のインヒビターとして有用である。
【0317】
本発明の特定の化合物は、処置のために遊離形態で存在するか、あるいは適切な場合には、その薬学的に受容可能な誘導体として存在し得る。本発明に従って、薬学的に受容可能な誘導体としては、薬学的に受容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、あるいは本明細書中で別の箇所で記載されるとおりの化合物、またはその代謝物、もしくは残渣を必要とする患者への投与の際に直接的かもしくは間接的に提供可能である任意の他の付加物または誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0318】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能な塩」とは、信頼できる医療判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などを伴わずに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適切であり、そして妥当な利益/危険性の比で釣り合っている塩をいう。「薬学的に受容可能な塩」は、本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩であって、レシピエントへの投与の際に、本発明の化合物またはその阻害的に活性な代謝物もしくは残渣を、直接的かもしくは間接的のどちらかで提供可能である塩を意味する。本明細書中で使用される場合、「阻害的に活性な代謝物またはその残渣」は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルのインヒビターまたは電位依存性カルシウムチャネルのインヒビターでもある、代謝物またはその残渣を意味する。
【0319】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、薬学的に受容可能な塩が詳細に記載され、この文献は、本明細書中で参考として援用される。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、適切な無機酸から誘導される塩および有機酸から誘導される塩ならびに無機塩基から誘導される塩および有機塩基から誘導される塩を含む。薬学的に受容可能な、非毒性の酸添加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、および過塩素酸)、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、またはマロン酸)で形成されるアミノ基の塩であるか、あるいは当該分野で使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に受容可能な塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコネート、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、蟻酸塩、フマル酸塩、グルコヘプト酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート(pamoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基より誘導された塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定する。水溶性生成物もしくは油溶性生成物または水分散性生成物もしくは油分散性生成物が、このような四級化により得られ得る。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらなる薬学的に受容可能な塩としては、適切である場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、および対イオン(例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルホン酸低級アルキル、およびスルホン酸アリール)を使用して形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0320】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、このキャリア、アジュバント、またはビヒクルは、本明細書中で使用される場合、所望される特定の投薬形態に適するような、任意および全ての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散補助剤もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、濃化剤もしくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤などを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa,1980)により、薬学的に受容可能な組成物を処方するのに使用される種々のキャリア、およびその調製についての公知の技術が開示される。あらゆる従来のキャリア媒体が、本発明の化合物と適合可能である(例えば、任意の望ましくない生物学的効果を生じることによるか、あるいはそうでない場合は、上記薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と有害な様式において相互作用することによる)の範囲を除いて、その使用は、本発明の範囲内にあると考慮される。薬学的に受容可能なキャリアとして作用し得る物質のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸)、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素ニナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、糖類(例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース);デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、およびジャガイモデンプン);セルロースおよびその誘導体(例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、および酢酸セルロース);粉末状トラガント;麦芽;ゼラチン;滑石;賦形剤(例えば、ココアバター、および坐剤蝋);油状物(例えば、ピーナッツ油、綿実油);ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油;大豆油);グリコール;(例えば、プロピレングリコール;ポリエチレングリコール);エステル(例えば、オレイン酸エチルおよびラウリル酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、マグネシウムヒドロキシド、アルミニウムヒドロキシド);アルギン酸;ピロゲンを含まない水;等張性塩水;リンガー溶液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝液、および他の非毒性の適合可能な潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)が挙げられる、これらに限定されず、そして着色剤、遊離剤、被覆剤、甘味剤、矯味矯臭剤、および芳香剤、防腐剤、および酸化防止剤もまた、処方者の判断に従って、組成物中に存在し得る。
【0321】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用)
さらに他の局面において、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または、炎症性疼痛、関節炎、偏頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、疱疹性神経痛、全身神経痛(general neuralgias)、癲癇もしくは癲癇状態、神経変性障害、精神病障害(例えば、不安および抑うつ)、筋緊張、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁の重篤度を処置するためか、あるいはこれらの重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物を、これらを必要とする被験体へ投与する工程を包含する。特定の実施形態において、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛または炎症性疼痛を処置するため、あるいはこれらの重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物または薬学的に受容可能な組成物を、それを必要とする被験体へ投与する工程を包含する。本発明の特定の実施形態において、化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、癲癇もしくは癲癇状態、神経変性障害、精神病障害(例えば、不安および抑うつ)、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁のうちの1つ以上の重篤度を処置するため、あるいはその重篤度を軽減するために有効な量である。
【0322】
本発明の方法に従うこの化合物および組成物は、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、または炎症性疼痛、癲癇もしくは癲癇状態、神経変性障害、精神病障害(例えば、不安および抑うつ)、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁の1つ以上の重篤度を処置するため、あるいはその重篤度を軽減するために有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。必要とされる正確な量は、被験体の種、被験体の年齢、被験体の全身状態、感染症の重篤度、特定の薬剤、その薬剤の投与形態などに依存して、被験体の間で変化する。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬の均一性投薬のために、単位形態で処方される。語句「投薬単位形態」とは、本明細書中で使用される場合、処置される患者に適切な薬剤の物理的に別個の単位をいう。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の総使用量は、信頼できる医学的判断の範囲内で担当医により決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物のための特定の有効な用量レベルは、処置される障害およびその障害の重篤度;使用する具体的な化合物の活性;使用する具体的な組成物;患者の年齢、体重、通常の健康、性別および食事;投与の時間、投与経路、および使用する具体的な化合物の排出速度;処置の持続時間;使用する具体的な化合物と組み合せて使用するかまたは同時に使用する薬物、ならびに医学分野において周知の同様な要因が挙げられる、種々の要因に依存する。用語「患者」は、本明細書中で使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、そしてもっとも好ましくはヒトを意味する。
【0323】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置される感染症の重篤度に依存して、ヒトおよび他の哺乳動物へ、経口的、直腸的、非経口的、槽内、膣内、腹腔内、局所的(散剤、軟膏、または滴下により)、口腔粘膜、経口スプレーまたは鼻内スプレーとしてなどで投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日1回以上、1日当り被験体の体重の約0.01mg/kg〜約50mg/kgの投薬レベル、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの投薬レベルにおいて、経口または非経口投与され得る。
【0324】
経口投与のための液体投薬形態としては、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられるがこれらに限定されない。活性化合物に加えて、液体投薬形態は、当該分野で一般に使用される不活性の希釈剤(例えば、水、または他の溶媒、可溶剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、安息香酸ベンジル、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド)、油(詳細には、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚種油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物)を含み得る。不活性な希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント(例えば、湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤、甘味料、矯味矯臭剤、および芳香剤)を含み得る。
【0325】
注射可能調製物(例えば、滅菌水性懸濁液、または滅菌油性懸濁液)は、適切な分散剤、または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って処方され得る。滅菌した注射可能調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオールの溶液)中の滅菌した注射可能溶液、注射可能懸濁液、または注射可能乳化液であり得る。使用し得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌した不揮発性油は、従来、溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的のために、任意の無刺激の不揮発性油が、使用され得これには、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドが挙げられる。さらに、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が、注射可能物の調製において使用される。
【0326】
注射可能処方物は、例えば、細菌保持フィルタを通すことによるか、あるいは使用する前に滅菌水または他の滅菌注射可能媒体中に溶解または分散され得る滅菌固体組成物の形態において滅菌剤を組み込むことにより、滅菌され得る。
【0327】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からのその化合物の吸収を遅くすることが、しばしば望ましい。これは、乏しい水溶性の結晶性物質または非結晶性物質の液体懸濁物を使用することにより、達成され得る。次いで、その化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、この溶解速度は、次に、結晶の大きさ、および結晶の形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与される化合物の形態の遅延した吸収は、その化合物を、油状ビヒクル中に溶解または懸濁することにより達成される。注射可能貯蔵(depot)形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチドポリグリコリド)中においてその化合物のマイクロカプセル化マトリックスを形成することにより生成される。化合物対ポリマーの比および使用する特定のポリマーの性質に依存して、化合物放出の速度は、制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。貯蔵(depot)注射処方物はまた、身体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルジョン中に対し化合物を取り込むことにより調製される。
【0328】
直腸投与、または膣内投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、適切な無刺激の賦形剤またはキャリア(例えば、カカオ脂、ポリエチレングリコール、もしくは坐剤蝋)と混合することにより調製され得る坐剤であり、この賦形剤またはキャリアは、室温では固体であるが、体温で液体であり、従って、直腸または膣腔において溶解し、活性化合物を放出する。
【0329】
経口投与のための固体投薬形態としては、カプセル、錠剤、丸薬、散剤、および顆粒剤が挙げられる。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム)および/または、a)充填剤もしくは増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア)、c)湿潤効果を得るための物質(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、カルボン酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩およびカルボン酸ナトリウム)、e)溶液緩染剤(例えば、パラフィン)、f)吸収加速剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、g)湿潤剤(例えば、セチルアルコール、およびモノステアリン酸グリセロール)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土(bentonite clay))、およびi)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物、と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合において、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。
【0330】
類似の型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどといった賦形剤を使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用され得る。錠剤、糖剤、カプセル、丸薬および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸溶性コーティングおよび薬学的処方分野において周知の他のコーティング)を使用して調製され得る。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有し得、そしてまた、遅延技術において、必要に応じて腸路管の特定の部位でのみもしくはその部位で優先的に活性成分を放出する組成物からなり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、重合物質および蝋が挙げられる。類似の型の固体組成物はまた、ラクトース、または乳糖ならびに高分子量のポリエチレングリコールなどといった賦形剤を使用して、軟性および硬性充填ゼラチンカプセル中の充填剤として使用され得る。
【0331】
活性化合物はまた、上記のような1つ以上の賦形剤を含むマイクロカプセル化形態中に存在し得る。錠剤、糖剤、カプセル、丸薬および顆粒剤の固体投薬形態は、コーティングおよび殻(例えば、腸コーティング、放出制御コーティングおよび薬学的処方分野において周知の他のコーティング)を使用して調製され得る。このような固体投薬形態において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性の希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合され得る。このような投薬形態はまた、通常の実施において、不活性な希釈剤(例えば、錠剤潤滑剤および他の錠剤補助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロース))以外のさらなる物質を包含し得る。カプセル、錠剤および丸薬の場合において、投薬形態はまた、緩衝剤を含み得る。これらは、不透明化剤を必要に応じて含有し得、そしてまた、遅延技術において、必要に応じて腸路の特定の部位でのみもしくはその部位で優先的に活性成分を放出する組成物からなり得る。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質および蝋が挙げられる。
【0332】
本発明の化合物の局所的投与または経皮的投与のための投薬形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが挙げられる。活性成分は、薬学的に受容可能なキャリアおよび任意の必要とされる防腐剤もしくは必要とされ得る緩衝剤と、滅菌条件下で混合される。眼処方、点耳剤および点眼剤はまた、本発明の範囲内であるように企図される。さらに、本発明は、化合物の身体への制御された送達を提供するさらなる利点を有する経皮パッチの使用を企図する。このような投薬形態は、適切な媒体中で化合物を溶解または分散することにより調製される。吸収エンハンサーはまた、皮膚を通じて化合物の流動性を増加させるために使用され得る。この割合は、割合を制御する膜を提供するか、またはポリマーマトリックスまたはゲルにおいて化合物を分散させることによるかのどちらかにより制御され得る。
【0333】
一般的に上記のように、本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルのインヒビターとして有用である。1つの実施形態において、本発明の化合物および組成物は、1つ以上のNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2のインヒビターであり、従って、いかなる特定の理論に束縛されるのも望ましくないが、この化合物および組成物は、疾患、状態または障害の重篤度を処置または軽減するのに特に有用であり、ここで1つ以上のNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2の活性化あるいは機能亢進は、疾患、状態または障害に関係する。NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2の活性化または機能亢進が、特定の疾患、状態あるいは障害に関係する場合、この疾患、状態または障害はまた、「NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2媒介性疾患、状態、または障害」と呼ばれ得る。従って別の局面において、本発明は、1つ以上のNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2の活性化または機能亢進が疾患状態に関係する疾患、状態または障害の重篤度を処置または軽減するための方法を提供する。
【0334】
NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2のインヒビターとして本発明において利用される化合物の活性は、本明細書中の実施例において一般に記載される方法、または当業者に利用可能な方法に従ってアッセイされ得る。
【0335】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物はまた、併用療法において使用され得、すなわち、この化合物および薬学的に受容可能な組成物は、1つ以上の他の所望の治療方法または医学的手順と、同時にか、先にか、あるいは後に投与され得ることが理解される。組み合せレジメンにおいて使用するための治療(治療方法または手順)の特定の組み合せは、所望の治療法および/または手順ならびに達成される所望の治療効果の適合性を考慮に入れる。使用される治療法は、同じ障害についての所望の効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時に投与され得る)か、または、これらは、異なる効果を達成し得る(例えば、任意の副作用の制御)ことも理解される。本明細書中で使用される場合、特定の疾患または状態を処置または予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置される疾患または状態について適切である」として公知である。
【0336】
本発明の組成物において存在するさらなる治療剤の量は、活性成分のみとしてその治療剤を含む組成物において通常投与される量よりも小さい。好ましくは、本発明の開示された組成物中のさらなる治療剤の量は、治療活性剤のみとしてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0337】
本発明の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能医療デバイス(例えば、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテル)をコーティングするための組成物へ組み込まれ得る。従って本発明は、別の局面において、一般的に上記のような本発明の化合物を含む移植可能デバイスをコーティングするための組成物、ならびに本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて、上記移植可能デバイスのコーティングに適切なキャリアを包含する。なお別の局面において、本発明は、一般的に上記のような本発明の化合物を含む組成物、ならびに本明細書中のクラスおよびサブクラスにおいて、上記移植可能デバイスのコーティングに適切なキャリアで被覆された移植可能デバイスを包含する。適切なコーティングおよびコーティングされた移植可能デバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載される。このコーティングは、必要に応じて、生物適合性重合物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびこれらの混合物)である。このコーティングは、フルオロシリコン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはこれらの組み合わせの適切なトップコートによりさらに被覆され得、これらのトップコートは、組成物において制御された放出特性を提供する。
【0338】
本発明の別の局面は、生物学的サンプルまたは患者において1つ以上のNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2の活性を阻害することに関し、この方法は、患者へ投与する工程、または上記生物学的サンプルを式Iの化合物もしくはこの化合物を含む組成物と接触させる工程を包含する。本明細書中で使用される場合、用語「生物学的サンプル」は、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検物質またはその抽出物;ならびに血液、唾液、尿、便、精液、涙、または他の体液またはこれらの抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0339】
生物学的サンプルにおいて、1つ以上のNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9またはCaV2.2活性の阻害は、当業者に公知である種々の目的のために有用である。このような目的の例としては、生物学的現象および病理学的現象におけるナトリウムイオンチャネルの研究;および新規のナトリウムイオンチャネルインヒビターの比較評価が挙げられるが、これらに限定されない。
【0340】
本明細書中に記載される発明をより十分に理解するために、以下の実施例が、示される。これらの実施例は、例証する目的のみのためであり、いかなる様式においても本発明を限定するように解釈されないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0341】
(本発明の例示的化合物の合成)
(実施例1)
【0342】
【化237】

本実施例は、[2−(1−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エチル]−カルバミン酸−t−ブチルエステル(6)の調製を教示する。ジクロロメタン(20mL)中のβアラニン(3.5g、18.5mmol)およびピリジン(3mL、37mmol)の溶液に、PFPエステル(3.2mL、18.5mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、ジクロロメタン(20mL)中1,2−フェニレンアミン1(2g、18.5mmol)を、その反応混合物に添加した。一晩攪拌した後、その反応を水でクエンチし、ジクロロメタン(150mL*2)で抽出し、乾燥しそして溶媒を除去した。その後、粗混合物をジクロロメタン(20mL)で微粉化し、ろ過して白色固体2を所望の生成物(4.8g)として90%の収率で得た。LC/MS(10−99%)M+1/Z 280.3 保持時間2.03分。
【0343】
【化238】

化合物2(4g)を酢酸(50mL)に溶解し、65℃まで1時間加熱し、その後室温に冷却し、溶媒を減圧除去した。残渣をジクロロメタンで取り、飽和NaHCOでクエンチし、ジクロロメタン(150mL)(pH=10)で抽出し、濃縮して3を淡黄色の固体(3.7g)として100%の収率で得た。LC/MS(10−99%)M+1/Z 262.2 保持時間2.30分。
【0344】
【化239】

化合物3(3g)を、3N HCl/EtOAC(50mL/25mL)に溶解し、そして室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧除去し、高真空で乾燥し、ピンク色の固体(2.4g)として化合物4を、95%を超える収率で得た。LC/MS(10−99%)M+1/Z 162.4 保持時間0.62分。
【0345】
【化240】

アセトニトリル(5mL)中のベンズイミダゾールエチレンアミン2塩酸塩(100mg、0.43mmol)、3,4−ジメチルフェノキシ酢酸(77mg、0.43mmol)およびBOP試薬(190mg、0.43mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.23mL、1.72mmol)を添加した。室温で一晩攪拌した後、溶媒を減圧除去した。残渣を水および飽和重炭酸ナトリウム(20mL)に取り、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、乾燥しそして溶媒を除去した。粗混合物は、Gilson HPLCを使用して精製し、白色固体5をTFA塩(170mg)として、93%の収率で得た。MUX LC/MS(10−99%)M+1/Z 324.163 保持時間2.62分;H NMR(DMSO)δ2,12(s,3H)、δ2.15(s,3H)、δ2.99(t,2H,J=5.88Hz)、δ3.59(m,2H)、δ4.40(s,2H)、δ6.64(dd,1H,J=2Hz,6.5Hz)、δ6.75(d,1H,J=1.8Hz)、δ6.98(δ,1H,J=6.6Hz)、δ7.12(m,2H)、7.40(d,1H,J=5.76Hz)、7.53(m,1H)、8.30(t,1H,J=4.56Hz)、12,24(s,1H);13C NMR(DMSO)δ18.4、δ19.57、δ28.58、δ36.74、δ67.07、δ110.8、δ111.58、δ116.13、δ118.12、δ120.86、δ121.52、δ128.70、δ130.12、δ134.21、δ137.25、δ143.24、δ152.74、δ155.73、δ167.85。
【0346】
【化241】

Boc保護されたベンズイミダゾールエチルアミン3(400mg、1.53mmol)を、THF(50mL)に溶解し、窒素下0℃に冷却し、その後THF(10mL)中のLiHMDS(535mg、3.37mmol)を、シリンジで滴下した。その混合物を、室温まで加温し、20分間攪拌した。ヨウ化メチル(0.1mL、1.68mmol)を反応混合物に滴下した。室温で5時間攪拌した後、その反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出し(30mL×2)、乾燥し、そして濃縮後ISCOフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。
【0347】
(実施例2)
【0348】
【化242】

本実施例は、[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エチル]−カルバミン酸3,4−ジメチル−ベンジルエステルの調製を教示する。トルエン(20mL)中の3,4−ジメチルベンジルアルコ−ル(1.5g、11.0mmol)の溶液に、ホスゲン(13mL、24.3mmol、20%トルエン溶液)を添加した。室温で一晩攪拌した後、過剰のホスゲンおよびトルエンを減圧除去し、高真空下で2時間乾燥し、3,4−ジメチルベンジルクロロ蟻酸エステル(1.8g)を、油状物として収率80%で得た。(参考文献:Nagele,E;Schehaas,M.;Kuder,N.;Waldmann,H.J.Am.Chem.Soc.1998,120,6889)
(実施例3)
【0349】
【化243】

本実施例は、1−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エチル]−3−(3.4−ジクロロベンジル)−尿素の調製を教示する。ピリジン(1.5mL)中のベンズイミダゾールエチルアミン2塩酸塩(50mg、0.21mmol)の溶液に、3,4−ジクロロベンジルイソシアネート(43μL、0.21mmol)を添加した。室温で一晩攪拌した後、粗混合物をGilson HPLCで精製し白色固体(50mg)をTFA塩として収率92%で得た。LC/MS(10−99%)M+1/Z 324.2 保持時間2.97分。
【0350】
(実施例4)
【0351】
【化244】

本実施例は、N−[2−(1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−エチル]−3.4−ジクロロベンゼンスルホンアミドの調製を教示する。ピリジン(1.5mL)中のベンズイミダゾールエチルアミン2塩酸塩(50mg、0.21mmol)の溶液に、3,4−ジクロロベンジルイソシアネート(58μL、0.21mmol)を添加した。室温で一晩攪拌した後、粗混合物をGilson HPLCで精製し、白色固体(55mg)をTFA塩として収率92%で得た。
(実施例5)
【0352】
【化245】

本実施例は、以下の手順に従って、2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−7−メチル−1H−ベンゾイミダゾールの調製を教示する。EtOH(2mL)中の3−メチル−ベンゼン−1,2−ジアミン(100mg、0.82mmol)および2,6−ジフルオロベンズアルデヒドの溶液を、マイクロ波合成器の中で、180℃で、5分間加熱した。エタノールを除去し、残渣をDMSO(1mL)に溶解し、Gilson HPLCで精製して、2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−7−メチル−1H−ベンゾイミダゾールを、TFA塩(200mg)として100%の収率で得た。MUX LC/MS(10−99%)M+1/Z 245.061 保持時間2.1分。
【0353】
式Iの他の化合物は、上述の方法とほぼ実質的に同様な方法により調製される。これらの化合物の特性データを、下の表3に要約した。化合物番号は表2に列挙される化合物番号に対応する。
【0354】
(表3.表2から選択された式Iの化合物の特徴付けデータ)
【0355】
【化246】

【0356】
【化247】

Micromass MUX LCT 4チャネルLC/MS、Waters 60Fポンプ、Gilson 215 4プローブオートサンプラー、Gilson 849注入モジュール、1.5mL/分/カラム流速、10−99% CHCN(0.035% TFA)/HO(0.05% TFA)勾配、Phenomenex Luna 5u C18カラム(50×4.60mm)、Waters MUX UV−2488 UV検出器、Cedex 75 ELSD検出器。
【0357】
(化合物のNaV阻害特性を検出および測定するためのアッセイ)
A)化合物のNaV阻害特性をアッセイするための光学的方法:
本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルのアンタゴニストとして有用である。試験化合物のアンタゴニスト特性を、以下のように評価した。目的のNaVを発現する細胞を、マイクロタイタープレート内に置いた。インキュベーション期間の後、細胞を、膜貫通電位に感受性の蛍光色素で染色した。試験化合物をマイクロタイタープレートに添加した。細胞を、化学的手段または電気的手段のいずれかにより刺激し、ブロックされていないチャネルからNaV依存性膜電位の変化を引き起こし、この変化を、膜貫通電位感受性色素で検出し、そして測定した。アンタゴニストを、刺激に応答した、減少した膜電位として検出した。この光学的膜電位アッセイでは、GonzalezおよびTsienにより記載された電位感受性FRETセンサー(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」 Biophys J 69(4):1272−80、ならびにGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of Cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」 Chem Biol 4(4):269−277を参照のこと)を、蛍光変化を計測するための計測器(例えば、電位/イオンプローブリーダー(VIPR(登録商標))と組み合せて利用した。(Gonzalez,J.E.、K.Oadesら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」 Drug Discov Today 4(9):431−439を参照のこと)。
【0358】
B)化学的刺激を使用したVIPR(登録商標)の光学的膜電位アッセイ方法:
(細胞の取り扱い、および色素充填)
VIPRでのアッセイの24時間前に、NaV1.2型電位依存性NaVを内生的に発現するCHO細胞を、96ウェルのポリリシン被覆プレートに、1ウェル当り60,000細胞で挿種する。他のサブタイプを、目的のNaVを発現する細胞株において、類似の様式で実施する。
1)アッセイの日に、培地を吸引し、細胞を225μLのBath溶液#2(BS#2)で2回洗浄する。
2)15μMのCC2−DMPE溶液を、5mMのクマリンストック溶液と10%プルロニック(Pluronic)127とを1:1で混合することにより調製し、次いでこの混合物を、適量のBS#2に溶解する。
3)Bath溶液を、96ウェルのプレートから取り除いた後、この細胞を、80μLのCC2−DMPE溶液とともに充填する。プレートを暗条件で、室温で30分間インキュベートする。
4)細胞を、クマリンで染色し、その間に、BS#2中の15μLのオキソノール溶液を調製する。DiSBAC(3)に加えて、この溶液は、0.75mMのABSC1および30μLのベラトリジン(10mM EtOHストックから調製される、Sigma#V−5754)を含むべきである。
5)30分後、CC2−DMPEを取り除き、細胞を225μLのBS#2で2回洗浄する。前述のように、残量は、40μLであるべきである。
6)Bath溶液を取り除く際に、細胞を80μLのDiBAC(3)溶液とともに装填し、その後、DMSOに溶解させた試験化合物を、各ウェルに対して所望の試験濃度に達するように、薬物添加プレートから添加し、そして十分に混合する。ウェル中の容量は、おおよそ121μLであるはずである。次いで、細胞を20〜30分間インキュベートする。
7)一旦インキュベートが完了すると、細胞を、ナトリウムのアッドバックプロトコルを使用してVIPR(登録商標)でアッセイする準備が整う。120μLのBath溶液#1を、NaV依存性脱分極を促進するために添加した。200μLのテトラカインを、NaVチャネルのブロックに関するアンタゴニストのポジティブコントロールとして使用した。
【0359】
(VIPR(登録商標)のデータの分析)
データを、460nmおよび580nmのチャネルにおいて測定される、バックグラウンドを差し引いた発光強度の正規化比として分析し、記録する。次いで、バックグラウンドの強度を、各アッセイのチャネルから差し引く。バックグラウンドの強度を、細胞の存在しない個別に処理されたアッセイウェルから同じ期間の間、発光強度を計測することにより、得る。次いで、時間関数としての応答を、以下の式を使用して得られた比として記録する。
【0360】
【化248】

このデータを、最初の比(R)および最後の比(R)を計算することによりさらにまとめる。これらは、刺激前の一部の期間または全ての期間、ならびに刺激期間の間の標準点の間の平均比の値である。次いで、刺激R=R/Rに対する応答を計算する。Naのアッドバック分析時間ウインドウについて、ベースラインは、2〜7秒であり、最後の応答を、15〜24秒でサンプリングする。
【0361】
コントロールの応答を、所望の特性を有する化合物(例えば、テトラカイン)の存在下で(ポジティブコントロール)、そして薬理学的因子の非存在下で(ネガティブコントロール)、アッセイを実施することにより得る。ネガティブコントロール(N)およびポジティブコントロール(P)に対する応答を、上記のように計算する。この化合物のアンタゴニスト活性Aを、以下のように定義する:
【0362】
【化249】

ここで、Rは、試験化合物の応答比である。
溶液[mM]
Bath溶液#1:NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHを使用してpH7.4
Bath溶液#2:TMA−Cl 160、CaCl 0.1、MgCl 1、HEPES 10、KOHを使用してpH7.4(最終K濃度は約5mM)
CC2−DMPE:DMSO中の5mMストック溶液として調製し、そして−20℃で保管する。
DiSBAC(3):DMSO中の12mMストックとして調製し、そして−20℃で保管する。
ABSC1:蒸留水中の200mMストックとして調製し、そして室温で保管する。
【0363】
(細胞培養)
CHO細胞を、10%FBS(ウシ胎仔血清、適格;GibcoBRL#16140−071)および1%Pen−Strep(ペニシリン−ストレプトマイシン;GibcoBRL#15140−122)を補充したDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;GibcoBRL#10569−010)中で増殖させる。細胞を、90%の湿度および10%のCOで、通気キャップフラスコ(vented cap flask)内で100%コンフルエントまで増殖させる。これらを、通常、スケジューリングニーズに依存して、トリプシン処理により1:10、1:20に分割し、次の分割の前に2〜3日間増殖させる。
【0364】
C)電気刺激を使用したVIPR(登録商標)の光学的膜電位アッセイ法
以下は、NaV1.3阻害活性を、光学的膜電位法#2を使用してどのように測定するかの例である。他のサブタイブを、目的のNaVを発現する細胞株において類似の様式で実施する。
【0365】
NaV1.3を安定して発現するHEK293細胞を、96ウェルのマイクロタイタープレート内に置く。適切なインキュベーション期間の後で、細胞を、以下のような電位感受性色素CC2−DMPE/DiSBAC(3)で染色する。
【0366】
(試薬)
乾燥DMSO中の100mg/mL プルロニックF−127(Sigma#P2443)
乾燥DMSO中の10mM DiSBAC(3)(Aurora#00−100−010)
乾燥DMSO中の10mM CC2−DMPE(Aurora#00−100−008)
O中の200mM ABSCl
10mM HEPES(Gibco#15630−080)を補充したハンクス平衡塩類溶液(Hyclone #SH30268.02)
(ローディングプロトコル)
(2× CC2−DMPE=20μM CC2−DMPE)
10mMのCC2−DMPEを、当量の10%プルロニックとともにボルテックスし、次に、10mM HEPESを含有する必要量のHBSS中でボルテックスする。各細胞プレートは、5mLの2× CC2−DMPEを必要とする。50μLの2× CC2−DMPEを、洗浄した細胞を含むウェルに添加し、10μMの最終染色濃度を得る。この細胞を、暗条件下で室温にて30分間染色する。
【0367】
(ABSClを含む2× DISBAC(3)=6μM DISBAC(3)および1mM ABSCl)
必要量の10mM DISBAC(3)を、50mlの円錐管に添加し、作成されるべき各々のmL溶液について1μLの10%プルロニックを混合し、共にボルテックスする。次いで、HBSS/HEPESを添加して、2×溶液を作製する。最後に、ABSClを添加する。
【0368】
2× DiSBAC(3)溶液は、化合物プレートを溶解するために使用され得る。化合物プレートは、2×薬物濃度で作製されることに留意する。染色されたプレートをもう一度洗浄し、残量50μLを残す。50μL/ウェルの2× DiSBAC(3)w/ABSClを添加する。暗条件下で、室温で30分間染色する。
【0369】
電気刺激機器および使用方法は、イオンチャネルアッセイ法(PCT/US01/21652、本明細書中で参考として援用される)において記載される。この機器は、マイクロタイタープレート操作部、クマリン発光およびオキソノ−ル発光を同時に記録する光学系、波形発生装置、電流制御増幅器または電圧制御増幅器、およびクマリン色素を励起しながらウェル中に電極を挿入するためのデバイスを含む。内蔵コンピュータ制御下で、この器具により、マイクロタイタプレートのウェル内で、細胞に対して、使用者がプログラムした電気刺激プロトコルを実行する。
【0370】
(試薬)
(アッセイ緩衝液#1)
140mMのNaCl、4.5mMのKCl、2mMのCaCl、1mMのMgCl、10mMのHEPES、10mMのグルコース、pH7.40、330mOsm
プルロニックストック(1000×):乾燥DMSO中の100mg/mL プルロニック127
オキソノールストック(3333×):乾燥DMSO中の10mM DiSBAC(3)
クマリンストック(1000×):乾燥DMSO中の10mM CC2−DMPE
ABSClストック(400×):水中の200mM ABSCl
(アッセイプロトコル)
1.アッセイすべき各ウェルに電極を挿入するかまたは使用する:
2.電流制御増幅器を使用して刺激のパルス波を3秒間送達する。2秒間の刺激前記録を行って、非刺激強度を得る。5秒間の刺激後記録を行って、休息状態に対する緩和を試験する。
【0371】
(データ分析)
データを、460nmおよび580nmのチャネルにおいて測定される、バックグラウンドを差し引いた発光強度の正規化比として分析し、記録する。次いで、バックグラウンドの強度を、各アッセイのチャネルから差し引く。バックグラウンドの強度を、細胞の存在しない個別に処理されたアッセイウェルから同じ期間の間、発光強度を計測することにより、得る。次いで、時間関数としての応答を、以下の式を使用して得られた比として記録する。
【0372】
【化250】

このデータを、最初の比(R)および最後の比(R)を計算することによりさらに適性にする。これらは、刺激を与える前の一部の期間または全ての期間、ならびに刺激期間の間のサンプルの点の間の平均比較値である。次いで刺激R=R/Rに対する応答を、計算する。
【0373】
コントロールの応答を、所望の特性を有する化合物(例えば、ミベフラジル)の存在下で(ポジティブコントロール)、そして薬理学的因子の非存在下で(ネガティブコントロール)、アッセイを実施することにより得る。ネガティブコントロール(N)およびポジティブコントロール(P)に対する応答を、上記のように計算する。この化合物のアンタゴニスト活性Aを、以下のように定義する:
【0374】
【化251】

ここで、Rは、試験化合物の比較応答である。
【0375】
(試験化合物のNaV活性および阻害のための電気生理学的アッセイ)
パッチクランプ電気的生理学を、後根神経節ニューロンにおけるナトリウムチャネルブロッカーの効力および選択性を評価するために使用した。ラットニューロンを、後根神経節から単離し、NGF(50ng/ml)の存在下で2〜10日間培養物中で維持した(培養培地は、B27、グルタミン、および抗生物質を補充したNeurobasalAからなる)。小さな直径のニューロン(侵害受容器、直径8〜12μm)は、視覚的に同定され、増幅器に接続された先端の細いガラス電極(Axon Instruments)で精査される。この「電圧固定」モードは、−60mVで細胞を保持する化合物のIC50を評価するために使用されている。さらに、「電流固定」モードは、電流流入に対する活動電位発生をブロックすることにおける、化合物の効力を試験するために使用されている。これらの実験の結果は、化合物の効率プロフィールの規定の一因となる。
【0376】
(DRGニューロンにおける電圧固定アッセイ)
TTX抵抗性ナトリウム電流を、パッチクランプ技術の全細胞バリエーションを使用してDRG細胞体から記録した。記録を、室温(約22℃)で、Axopatch 200B増幅器(Axon Instruments)を使用し、厚肉ホウケイ酸ガラス電極(WPI;抵抗3〜4MΩ)で行った。全細胞構成を確認した後、記録を開始する前に、ピペット溶液を、細胞内で約15分間平衡化した。電流を2〜5kHzの間で低域濾過し、10kHzにおいて、デジタル形式でサンプリングした。直列抵抗を、60〜70%補正し、実験を通して連続的にモニタリングした。細胞内ピペット溶液と外部記録溶液との間の液間電位(−7mV)は、データ分析では考慮しなかった。試験溶液を、重力駆動高速灌流システム(gravity driven fast perfusion)(SF−77;Warner Instruments)を使用して細胞に適用した。
【0377】
用量反応の関係を、電圧固定モードにおいて60秒毎に1回、実験特定の保持電位から+10mVの試験電位まで、細胞を繰り返し脱分極することにより決定した。ブロック効果を、次の試験濃度へ進む前にプラトーにした。
【0378】
(溶液)
細胞内溶液(mM単位で):Cs−F(130)、NaCl(10)、MgCl(1)、EGTA(1.5)、CaCl(0.1)、HEPES(10)、グルコース(2)、pH=7.42、290mOsm。
【0379】
細胞外溶液(mM単位で):NaCl(138)、CaCl(1.26)、KCl(5.33)、KHPO(0.44)、MgCl(0.5)、MgSO(0.41)、NaHCO(4)、NaHPO(0.3)、グルコース(5.6)、HEPES(10)、CdCl(0.4)、NiCl(0.1)、TTX(0.25×10−3)。
【0380】
(化合物のNaVチャネル阻害活性についての電流固定アッセイ)
細胞を、全細胞の構成において、Multiplamp 700A増幅器(Axon Inst)で電流固定した。ホウケイ酸ピペット(4〜5MOhm)を、150mMのK−グルコン酸、10mMのNaCl、0.1mMのEGTA、10mMのHepes、2mMのMgCl(KOHを使用してpH7.34に緩衝化)で満たした。細胞を、140mMのNaCl、3mMのKCl、1mMのMgCl、1mMのCaCl、および10mMのHEPESで洗浄した。形成物をシールする前に、ピペット電位をゼロにした;取得中は、液間電位を、補正しなかった。記録は、室温で行った。
【0381】
これらの手順によって、本発明の代表的な化合物が、所望の電位依存性ナトリウムチャネル活性および選択性を有することが見出された。
【0382】
(化合物のCaV阻害特性の検出および測定するためのアッセイ)
A)化合物のCaV阻害特性をアッセイするための光学的方法
本発明の化合物は、電位依存性カルシウムイオンチャネルのアンタゴニストとして有用である。試験化合物のアンタゴニスト特性を、以下のように評価した。目的のCaVを発現する細胞を、マイクロタイタープレート内に置いた。インキュベーション期間の後、この細胞を、膜貫通電位に対して感受性の蛍光色素で染色した。試験化合物を、マイクロタイタープレートに添加した。この細胞を、電気的手段で刺激し、非ブロック化チャネルからのCaV依存性膜電位の変化を起こし、この変化を、膜貫通電位感受性色素で検出および測定した。アンタゴニストを、刺激に対して減少した膜電位として検出した。光学的膜電位アッセイでは、GonzalezおよびTsienによって記載された電位感受性FRETセンサー(Gonzalez、J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」、Biophys J 69(4):1272−80、およびGonzalez、J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」、Chem Biol 4(4):269−77を参照のこと)を、蛍光変化を計測するための計測器(例えば、電位/イオンプローブリーダー(VIPR(登録商標)))と組み合せて利用した(Gonzalez,J.E.、K.Oadesら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」 Drug Discov Today 4(9):431−439を参照のこと)。
【0383】
(電気刺激を使用したVIPR(登録商標)の光学的膜電位アッセイ法)
以下は、CaV2.2阻害活性を、光学的膜電位法を使用してどのように計測するかの例である。他のサブタイブを、目的のCaVを発現する細胞株において類似の様式で実施する。
【0384】
CaV2.2を安定して発現するHEK293細胞を、96ウェルのマイクロタイタープレートに置く。適切なインキュベーション期間の後に、細胞を、以下のような電位感受性色素CC2−DMPE/DiSBAC(3)で染色する。
【0385】
(試薬)
乾燥DMSO中の100mg/mL プルロニックF−127(Sigma #P2443)
乾燥DMSO中の10mM DiSBAC(3)(Aurora #00−100−010)
乾燥DMSO中の10mM CC2−DMPE(Aurora #00−100−008)
O中の200mM アシッドイエロー17(Aurora #VABSC)
O中の370mM 塩化バリウム(Sigma Cat#B6394)
(Bath X)
160mM NaCl(Sigma Cat#S−9888)
4.5mM KCl(Sigma Cat#P−5405)
1mM MgCl(Fluka Cat#63064)
10mM HEPES(Sigma Cat #H−4034)
NaOHを使用してpH7.4。
【0386】
(ローディングプロトコル)
(2× CC2−DMPE=20μM CC2−DMPE)
10mMのCC2−DMPEを、当量の10%プルロニックとともにボルテックスし、次に、10mM HEPESを含有する必要量のHBSS中でボルテックスする。各細胞プレートは、5mLの2× CC2−DMPEを必要とする。50μLの2× CC2−DMPEを、洗浄した細胞を含むウェルに添加し、10μMの最終染色濃度を得る。この細胞を、暗条件下で室温にて30分間染色する。
【0387】
(2× CC2DMPEおよびDISBAC(3)=8μM CC2DMPEおよび2.5μM DISBAC(3))
両色素を一緒に、当量の10%プルロニック(DMSO中)とともにボルテックスする。必要量のBath X中で、β−シクロデキストリンとボルテックスする。各々の96ウェル細胞プレートは、5mLの2× CC2DMPEを必要とする。プレートを、Bath Xを含む、ELx405で洗浄し、1ウェルあたり50μLの残量にする。50μLの2× CCD2DMPEおよびDISBAC(3)を各ウェルに添加する。暗条件下、室温にて30分間染色する。
【0388】
(1.5× AY17=15mMのBaClを使用した750μM AY17)
Bath Xを含む容器にアシッドイエロー17を添加する。十分に混合する。溶液を10分間静置する。370mMのBaCl中でゆっくりと混合する。この溶液を、化合物プレートを溶媒和するために使用し得る。化合物プレートは、1.5×薬物濃度で作成され、通常の2×ではないことに留意する。CC2で染色したプレートを再度洗浄し、50μLの残量にする。100μL/ウェルのAY17溶液を添加する。暗条件下、室温にて15分間染色する。プレートに対し光学的読み取り装置で、実行する。
【0389】
電気刺激機器および使用方法は、イオンチャネルアッセイ法(PCT/US01/21652、本明細書中で参考として援用される)において記載されている。この機器は、マイクロタイタープレート操作部、クマリン色素を励起しながらクマリン発光およびオキソノ−ル発光を同時に記録する光学系、波形発生装置、電流制御増幅器または電圧制御増幅器、およびウェル中に電極を挿入するためのデバイスを含む。内蔵コンピュータ制御下で、この器具により、マイクロタイタプレートのウェル内で、細胞に対して、使用者がプログラムした電気刺激プロトコルを実行する。
【0390】
(アッセイプロトコル)
アッセイすべき各ウェルに電極を挿入するかまたは使用する
電流制御増幅器を使用して刺激のパルス波を3〜5秒間送達する。2秒間の刺激前記録を行って、非刺激強度を得る。5秒間の刺激後記録を行って、休息状態に対する緩和を試験する。
【0391】
(データ分析)
データを、460nmおよび580nmのチャネルにおいて測定される、バックグラウンドを差し引いた発光強度の正規化比として分析し、記録する。次いで、バックグラウンドの強度を、各アッセイのチャネルから差し引く。バックグラウンドの強度を、細胞の存在しない個別に処理されたアッセイウェルから同じ期間の間、発光強度を計測することにより、得る。次いで、時間関数としての応答を、以下の式を使用して得られた比として記録する。
【0392】
【化252】

このデータを、最初の比(R)および最後の比(R)を計算することによりさらに適性にする。これらは、刺激を与える前の一部の期間または全ての期間、ならびに刺激期間の間のサンプルの点の間の平均比較値である。次いで刺激R=R/Rに対する応答を、計算する。
【0393】
コントロールの応答を、所望の特性を有する化合物(例えば、ミベフラジル)の存在下で(ポジティブコントロール)、そして薬理学的因子の非存在下で(ネガティブコントロール)、アッセイを実施することにより得る。ネガティブコントロール(N)およびポジティブコントロール(P)に対する応答を、上記のように計算する。この化合物のアンタゴニスト活性Aを、以下のように定義する:
【0394】
【化253】

ここで、Rは、試験化合物の比較応答である。
【0395】
(試験化合物のCaV活性および阻害についての電気生理学的アッセイ)
パッチクランプ電気的生理学を、HEK293細胞において発現されるカルシウムチャネルブロッカーの効力を評価するために使用した。CaV2.2を発現するHEK293細胞は、視覚的に同定され、増幅器(Axon Instruments)に接続される先端の細いガラス電極で精査されている。この「電圧固定」様式を、−100mVで細胞を保持する化合物のIC50を評価するために使用されている。これらの実験の結果は、化合物の効力プロフィールの規定に寄与している。
【0396】
(CaV2.2を発現するHEK293細胞における電圧固定アッセイ)
CaV2.2カルシウム電流を、種々のパッチクランプ技術の全細胞バリエーションを使用してHEK293から記録した。記録を、室温(約22℃)で、Axopatch 200B増幅器(Axon Instruments)を使用し、厚肉ホウケイ酸ガラス電極(WPI;抵抗3〜4MΩ)で行った。全細胞構成を確認した後、記録を開始する前に、ピペット溶液を、細胞内で約15分間平衡化した。電流を2〜5kHzの間で低域濾過し、10kHzにおいて、デジタル形式でサンプリングした。直列抵抗を、60〜70%補正し、実験を通して連続的にモニタリングした。細胞内ピペット溶液と外部記録溶液との間の液間電位(−7mV)は、データ分析では考慮しなかった。試験溶液を、重力駆動高速灌流システム(gravity driven fast perfusion)(SF−77;Warner Instruments)を使用して細胞に適用した。
【0397】
用量反応の関係を、電圧固定モードで、0.1、1、5、10、15および20Hzの周波数において、実験特定の保持電位から+20mVの試験電位まで、50ミリ秒間細胞を繰り返し脱分極することにより決定した。ブロック効果を、次の試験濃度へ進む前にプラトーにした。
【0398】
(溶液)
細胞内溶液(mM単位で):Cs−F(130)、NaCl(10)、MgCl(1)、EGTA(1.5)、CaCl(0.1)、HEPES(10)、グルコース(2)、pH=7.42、290mOsm。
【0399】
細胞外溶液(mM単位で):NaCl(138)、BaCl(10)、KCl(5.33)、KHPO(0.44)、MgCl(0.5)、MgSO(0.41)、NaHCO(4)、NaHPO(0.3)、グルコース(5.6)、HEPES(10)。
【0400】
これらの手順により、本発明の代表的な化合物が、所望のN型カルシウムチャネル調節活性および選択性を有することが見出された。
【0401】
表2に示されるような本発明の化合物は、25.0μMにおいて電位依存性ナトリウムチャネルを調節することを見出した。
【0402】
本明細書中に記載される本発明がより完全に理解され得るために、上記実施例が示される。これらの実施例は、例示目的のためだけであって、本発明をいかなる様式でも限定するようには解釈されるべきでないことが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(I)の化合物:
【化1】

または薬学的に受容可能なその塩であって、ここで:
rは、0〜4であり;
Zは、O、NもしくはCHであり;
YおよびWは、独立して水素、下式Ia:
【化2】

または式Ib
【化4】

より選択され、式Iaにおいて
Aは、−T−NH−、
【化3】

であって、ここで:
Tは、結合か、またはC1〜6の直鎖もしくは分枝脂肪族鎖であり、ここでTのメチレン単位は、必要に応じてC3〜6の脂環基で置き換えられ;
Uは、−CH−または−CH−CH−であり;
Xは、N−C1〜4アルキル、NH、O、S、S(O)またはSOであり;そして
の各出現は、独立してM−Rであり;ここで:
Mは、結合か、またはC1〜6のアルキリデン鎖であり、ここでMの2個までの非隣接メチレン単位が、必要に応じてC(O)、CO、C(O)C(O)、C(O)NR、OC(O)NR、NRNR、NRNRC(O)、NRC(O)、NRCO、NRC(O)NR、S(O)、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置き換えられ、そして
は、R’、ハロゲン、NOまたはCNであり;ここで:
R’の各出現は、独立して水素、または、C1〜8脂肪族、C6〜10アリール、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、もしくは3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環より選択される必要に応じて置換されている基より選択されるか、あるいはRおよびR’が、それらが結合する原子と一緒になって、またはR’の2つ出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員環のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し;
Vは、結合か、−C(O)−または−S(O)−であり;
Qは、結合か、またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの非隣接メチレン単位は必要に応じて−O−、−NH−または−S−で置き換えられ;
mは、0または1であり;
環Eは、C6〜10アリール、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環あるいは窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり;そして
sは、0〜5であり;
式Ibにおいて:
Dは、−C1〜6アルキル−または結合であり;そして
tは、0〜5であり;
Rの各出現は、独立して水素、または必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族基より選択され;そして
、RおよびRの各出現は、独立してR、R、R、RまたはRより選択され、
ここで:
はオキソ、Rまたは(C1〜4脂肪族)−Jであり、ここで:
nは、0または1であり;
Jは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、C(O)OH、C(O)ORもしくはORであるか;または:
隣接環原子上の2つのRは、一緒になって1,2−メチレンジオキシもしくは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は、C1〜6脂肪族であり、必要に応じて、R、RもしくはRより独立して選択される2つまでの置換基で置換され;
はC3〜8脂環基、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて、R,R、RもしくはRより独立して選択される3つまでの置換基で置換され;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、もしくはN(OR)Rであり;
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて3つまでのR置換基で置換され;
は、必要に応じてRで置換されているRであり、ここで:
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じてR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、もしくは(CH−Gから独立して選択される、2つまでの置換基で置換され、ここでGは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、N−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、COOH、C(O)O(−脂肪族、もしくはO−脂肪族から選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
但し、YおよびWの内の1つのみが、式Iaまたは式Ibであり、YおよびWのもう1つは水素であり;
そしてここで:
(a)ZがNであり、Yが水素であり、Wが式Iaであり、Aが
【化5】

であり、VおよびQが、それぞれ結合である場合:
(i)rが1であり、ベンズイミダゾール環のC−5位もしくはC−6位におけるRがメチルである場合、
Eは:
非置換フェニルではなく;
オルト位においてメチル、OMe、もしくはOEtで置換されたフェニルではなく:またはパラ位においてOMeもしくはメチルで置換されたフェニルではなく;そして
(ii)rが、0の場合、Eは:
非置換フェニルではなく;
非置換ナフチルではなく;
パラ位においてOEt、Br、OHもしくはOMeで置換されたフェニルではなく;
メタ位において塩素で置換されたフェニルではなく;または
オルト位においてメチル基で置換されるフェニル基ではなく;
(b)ZがNであり、Yが水素であり、Wが式Iaであり、Qが、−NHCH−であり、rが0であり、そしてVがC(O)である場合:
(i)Aが、−CHCHNH−である場合、Eは、
【化6】

ではなく;そして
(ii)Aが−CHNH−である場合、Eは、
【化7】

ではなく;そして
(c)ZがCであり、Wが水素であり、Yが式Iaであり、rが0であり、Aが−CHCHNH−であり、VがC(O)であり、Qが−CHO−であり、Eがフェニルである場合:
(i)sは、0ではなく;
(ii)sが1である場合、Rは:
パラ位において非置換フェニル、クロロ、OMe、メチル、ブロモ、
【化8】

または
【化9】

ではなく;
オルト位においてシアノもしくはOMeではなく;
メタ位においてメチルではなく;
(iii)sが2である場合、Rは、オルト/パラ位においてジクロロではなく;そして
(iv)sが3である場合、Rは、2,3,4−トリメチルオキシ、もしくは2,4,5−トリクロロではなく;そして
ここで
a)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせのいずれかで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
b)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシもしくはニトロではなく;
c)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、4−アミノもしくは4−メトキシカルボニルではなく;
d)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは、−2(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキサン)ではなく;
e)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eは−6(4−ジメチル−2H−クロメン−2−オン)ではなく;
f)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−である場合、環Eは非置換フェニルではなく;
g)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換チエニルではなく;
h)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHO−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
i)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCH−である場合、環Eは2−イソインドリン−1,3−ジオンではなく;
j)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−である場合、環Eはフェニルであり、Rは4位のフェニルではなく;
k)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが結合である場合、環Eは非置換アダマンチルではなく;
l)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−C(O)−であり、Qが−CHCHO−であり、環Eがフェニルである場合、Rは、単独または組合わせのいずれかで−Cl、−Br、C1〜4アルキル、メトキシ、非置換フェニル、−C(CHフェニルもしくはニトロではなく;
m)ZがNである場合、Wは式Iaであり、Aは−CHCHNH−であり、Vは−C(O)−であり、Qは−CH=CH−であり、環Eはフェニルであり、そしてRは、オルト位の−Clではない、
n)ZがNであり、Wが式Iaであり、Aが−CHCHNH−であり、Vが−SO−であり、Qが結合であり、環Eがフェニルである場合、Rは、クロロではない、
化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、ここで:
Aは、−T−NR−であって、Tは、C1〜6直鎖または分枝脂肪族鎖であり、
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;そして
環Eは、フェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル、フラニル、キノリニルまたはベンゾフラニルから選択される、化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物であって、ここで該化合物は、式IIa:
【化10】

である化合物、またはその薬学的に受容可能な塩である、化合物。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、ここで:
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;
Aは、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−、または−CHCH(CH)NH−であり;そして
各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロゲン、R、C(O)RもしくはNOである、
化合物。
【請求項5】
請求項3に記載の化合物であって、ここでAは、
【化11】

である、化合物。
【請求項6】
請求項3に記載の化合物であって、ここでAは、
【化12】

である、化合物。
【請求項7】
請求項3に記載の化合物であって、ここでAは、−T−NH−であって、ここでTは、C1〜6直鎖または分枝脂肪族鎖であり、ここでTのメチレン単位がC3〜6脂環基により置き換えられる、化合物。
【請求項8】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物は式III、
【化13】

またはその薬学的に受容可能な塩である、化合物。
【請求項9】
請求項8に記載の化合物で、ここで:
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;
Aは、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−、または−CHCH(CH)NH−であり;そして
各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロゲン、R、C(O)RまたはNOである、化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物であって、該化合物は、式IV:
【化14】

またはその薬学的に受容可能な塩である、化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物であって、ここで環Eは、フェニル、または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜6員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員単環式へテロシクリルである、化合物。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、ここで:
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−である、化合物。
【請求項13】
式Iの化合物および薬学的に受容可能なキャリア、アジュバントまたはビヒクルを含む、組成物。
【請求項14】
急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、大腿癌性疼痛;非悪性慢性骨痛;慢性関節リウマチ、変形性関節症;脊椎狭窄症;神経障害性腰痛;神経障害性腰痛;顔面筋疼痛機能不全症候群;線維性疼痛;側頭下顎骨関節痛;腹痛を含む慢性内臓痛;膵臓痛;IBS痛;慢性頭痛;片頭痛;群発性頭痛を含む緊張性頭痛;疱疹後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛;糖尿病性神経障害;HIV関連神経障害;三叉神経痛;シャルコー・マリー・ツース神経障害;遺伝性感覚神経障害、抹消神経傷害;疼痛性神経腫;異所性近位発射および異所性遠位発射;神経根障害;化学療法誘発神経障害痛;放射線療法誘発神経障害痛;乳房切除術後の疼痛;中枢性疼痛;脊髄損傷痛;脳卒中後痛;視床痛;複合性局所痛症候群;幻肢痛;難治性疼痛;急性痛、急性術後痛;急性骨格筋痛;関節痛;構造上腰痛;頸部痛;腱炎;傷害/運動痛;腹痛を含む急性内臓痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニア;など;心痛を含む胸痛;骨盤痛、腎疝痛、陣痛を含む急性産科学的疼痛;帝王切開通;急性炎症性疼痛、熱傷痛および外傷痛;子宮内膜症を含む急性間欠性疼痛;急性ヘルペス帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎;突出痛;副鼻炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛;多発性硬化症(MS)の疼痛;うつ病における疼痛;らい病の疼痛;ベーチェット病の疼痛;有痛脂肪症;静脈炎痛;ギラン・バレ痛;痛む脚と動く足趾症候群;ハグルンド症候群;肢端紅痛症;ファブリ病痛;尿失禁を含む膀胱および泌尿生殖病;活動亢進膀胱;有痛性膀胱症候群;間質性膀胱炎(IC);または前立腺炎;関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス神経痛、一般的な神経痛;癲癇または癲癇状態、神経変性障害、不安およびうつ病のような精神障害、ミオトニー、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群または失禁から選択される疾患、障害または状態の重篤さを処置または軽減する方法であって、下式(I)の化合物:
【化15】

またはその薬学的に受容可能な塩の治療有効量を、患者に投与する工程を包含し、ここで:
rは、0〜4であり;
Zは、O、NもしくはCHであり;
YおよびWは、独立して水素、下式Ia:
【化16】

または式Ib
【化18】

より選択され、式Iaにおいて、
Aは、−T−NH−、
【化17】

であって、ここで:
Tは、結合か、またはC1〜6の直鎖もしくは分枝脂肪族鎖であり、ここでTのメチレン単位は、必要に応じてC3〜6の脂環基で置き換えられ;
Uは、−CH−または−CH−CH−であり;
Xは、N−C1〜4アルキル、NH、O、S、S(O)またはSOであり;そして
の各出現は、独立してM−Rであり;ここで:
Mは、結合か、またはC1〜6のアルキリデン鎖であり、ここでMの2個までの非隣接メチレン単位が、必要に応じてC(O)、CO、C(O)C(O)、C(O)NR、OC(O)NR、NRNR、NRNRC(O)、NRC(O)、NRCO、NRC(O)NR、S(O)、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置き換えられ、そして
は、R’、ハロゲン、NOまたはCNであり;ここで:
R’の各出現は、独立して水素、または、C1〜8脂肪族、C6〜10アリール、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、もしくは3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環より選択される必要に応じて置換されている基より選択されるか、あるいはRおよびR’が、それらが結合する原子と一緒になって、またはR’の2つ出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員環のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し;
Vは、結合か、−C(O)−または−S(O)−であり;
Qは、結合か、またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの非隣接メチレン単位は必要に応じて−O−、−NH−または−S−で置き換えられ;
mは、0または1であり;
環Eは、C6〜10アリール、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環あるいは窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり;そして
sは、0〜5であり;
式Ibにおいて:
Dは、−C1〜6アルキル−または結合であり;そして
tは、0〜5であり;
Rの各出現は、独立して水素、または必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族基より選択され;そして
、RおよびRの各出現は、独立してR、R、R、RまたはRより選択され、
ここで:
はオキソ、Rまたは(C1〜4脂肪族)−Jであり、ここで:
nは、0または1であり;
Jは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、C(O)OH、C(O)ORもしくはORであるか;または:
隣接環原子上の2つのRは、一緒になって1,2−メチレンジオキシもしくは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は、C1〜6脂肪族であり、必要に応じて、R、RもしくはRより独立して選択される2つまでの置換基で置換され;
はC3〜8脂環基、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて、R,R、RもしくはRより独立して選択される3つまでの置換基で置換され;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、もしくはN(OR)Rであり;
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて3つまでのR置換基で置換され;
は、必要に応じてRで置換されているRであり、ここで:
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じてR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、もしくは(CH−Gから独立して選択される、2つまでの置換基で置換され、ここでGは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、N−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、COOH、C(O)O(−脂肪族、もしくはO−脂肪族から選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
但し、YおよびWの内の1つのみが、式Iaまたは式Ibであり、YおよびWのもう1つは水素である、方法。
【請求項15】
前記疾患、状態または障害が、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害疼痛または炎症性疼痛である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2活性を阻害する方法であって、その活性は:
(a)患者;または
(b)生物学的サンプル
における活性であって;
該方法は、式Iの化合物:
【化19】

またはその薬学的に受容可能な塩を該患者に投与する工程、あるいは生物学的サンプルと式Iの化合物またはその薬学的に受容可能な塩とを接触させる工程を包含し、
ここで:
rは、0〜4であり;
Zは、O、NもしくはCHであり;
YおよびWは、独立して水素、下式Ia:
【化20】

または式Ib
【化22】

より選択され、式Iaにおいて
Aは、−T−NH−、
【化21】

であって、ここで:
Tは、結合か、またはC1〜6の直鎖もしくは分枝脂肪族鎖であり、ここでTのメチレン単位は、必要に応じてC3〜6の脂環基で置き換えられ;
Uは、−CH−または−CH−CH−であり;
Xは、N−C1〜4アルキル、NH、O、S、S(O)またはSOであり;そして
の各出現は、独立してM−Rであり;ここで:
Mは、結合か、またはC1〜6のアルキリデン鎖であり、ここでMの2個までの非隣接メチレン単位が、必要に応じてC(O)、CO、C(O)C(O)、C(O)NR、OC(O)NR、NRNR、NRNRC(O)、NRC(O)、NRCO、NRC(O)NR、S(O)、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置き換えられ、そして
は、R’、ハロゲン、NOまたはCNであり;ここで:
R’の各出現は、独立して水素、または、C1〜8脂肪族、C6〜10アリール、5〜10個の環原子を有するヘテロアリール環、もしくは3〜10個の環原子を有するヘテロシクリル環より選択される必要に応じて置換されている基より選択されるか、あるいはRおよびR’が、それらが結合する原子と一緒になって、またはR’の2つ出現が、それらが結合する原子と一緒になって、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する、5〜8員環のシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールまたはヘテロアリール環を形成し;
Vは、結合か、−C(O)−または−S(O)−であり;
Qは、結合か、またはC1〜4アルキリデン鎖であり、ここでQの2つまでの非隣接メチレン単位は必要に応じて−O−、−NH−または−S−で置き換えられ;
mは、0または1であり;
環Eは、C6〜10アリール、窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環あるいは窒素、酸素または硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり;そして
sは、0〜5であり;
式Ibにおいて:
Dは、−C1〜6アルキル−または結合であり;そして
tは、0〜5であり;
Rの各出現は、独立して水素、または必要に応じて置換されているC1〜6脂肪族基より選択され;そして
、RおよびRの各出現は、独立してR、R、R、RまたはRより選択され、
ここで:
はオキソ、Rまたは(C1〜4脂肪族)−Jであり、ここで:
nは、0または1であり;
Jは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、C(O)OH、C(O)ORもしくはORであるか;または:
隣接環原子上の2つのRは、一緒になって1,2−メチレンジオキシもしくは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は、C1〜6脂肪族であり、必要に応じて、R、RもしくはRより独立して選択される2つまでの置換基で置換され;
はC3〜8脂環基、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて、R,R、RもしくはRより独立して選択される3つまでの置換基で置換され;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、もしくはN(OR)Rであり;
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じて3つまでのR置換基で置換され;
は、必要に応じてRで置換されているRであり、ここで:
は、C3〜8脂環式、C6〜10アリール、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環または窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を有する3〜10員ヘテロシクリル環であり、ここでRは、必要に応じてR、1,2−メチレンジオキシ、1,2−エチレンジオキシ、もしくは(CH−Gから独立して選択される、2つまでの置換基で置換され、ここでGは、ハロゲン、CN、NO、CF、OCF、OH、S−脂肪族、S(O)−脂肪族、SO−脂肪族、NH、N−脂肪族、N(脂肪族)、N(脂肪族)R、COOH、C(O)O(−脂肪族、もしくはO−脂肪族から選択され;そして
は、アミノ保護基であり;
但し、YおよびWの内の1つのみが、式Iaまたは式Ibであり、YおよびWのもう1つは水素である、方法。
【請求項17】
請求項14または請求項16のいずれかに記載の方法であって、ここで:
Aは、−T−NR−であって、ここでTは、C1〜6直鎖脂肪族鎖または分枝脂肪族鎖であり、
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;そして
環Eは、フェニル、ナフチル、ピリジル、チエニル、フラニル、キノリニルまたはベンゾフラニルから選択される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、ここで各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロゲン、R、C(O)RもしくはNOである、方法。
【請求項17】
請求項14または請求項16のいずれかに記載の方法であって、ここで前記化合物は式IIa
【化23】

またはその薬学的に受容可能な塩である、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;
Aは、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−、または−CHCH(CH)NH−であり;そして
各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロゲン、R、C(O)RもしくはNOである、方法。
【請求項19】
請求項17に記載の方法であって、ここでAは:
【化24】

である、方法。
【請求項20】
請求項17に記載の方法であって、ここでAは:
【化25】

である、方法。
【請求項21】
請求項17に記載の方法であって、ここでAは、−T−NH−であり、ここでTは、C1〜6直鎖脂肪族鎖または分枝脂肪族鎖であり、そしてTのメチレン単位がC3〜6脂環基で置き換えられる、方法。
【請求項22】
請求項14または請求項16のいずれかに記載の方法であって、ここで前記化合物が式III
【化26】

またはその薬学的に受容可能な塩である、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、ここで:
Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−であり;
Aは、−CHCHN(CH)−、−CHCHNH−、−CHNH−、−CHCH(CH)NH−であり;そして
各Rは、独立してOR、N(R、NRC(O)R、ハロゲン、R、C(O)RもしくはNOである、方法。
【請求項24】
請求項14または請求項16のいずれかに記載の方法であって、ここで前記化合物は式IV:
【化27】

または薬学的に受容可能なその塩である、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、ここで環Eは、フェニル、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のへテロ原子を有する5〜6員のヘテロアリール環であるか、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1〜4個のへテロ原子を有する3〜7員の単環へテロシクリル環である、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、ここで:Qは、−CHCHO−、−CHO−、−OCH−、−OCHCH−、−CH(CH)O−、−NHCH−、−C(CHO−または−CHS−である、方法。
【請求項27】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−であり;
Qは、−CHO−であり;そして
各Rは、独立してC1〜6脂肪族、−CHOまたはハロゲンである、方法。
【請求項28】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−であり;
Qは、−CH=CH−、−CHO−または−NHCHであり;そして
各Rは、独立してCN、C1〜6脂肪族、−N(Rまたはハロゲンである、方法。
【請求項29】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−でまたは−CH(CH)NH−あり;
Qは、−CHO−であり;そして
各Rは、独立してC1〜6脂肪族、N(R、C(O)Rまたはハロゲンである、方法。
【請求項30】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−であり;
Qは、−CHO−、−NHCH−または−CH(CH)O−であり;そして
各Rは、独立してC1〜6脂肪族、ORまたはハロゲンである、方法。
【請求項31】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−または−CHCH(CH)NH−であり;
Qは、−CHO−、−NHCH−、−NH−、−CH(CH)O−または、−C(CHO−であり;そして
各Rは、独立してC1〜6脂肪族、ORまたはハロゲンである、方法。
【請求項32】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−であり;
Qは、−CHO−であり;そして
各Rは、独立してメチル、フルオロまたはクロロである、方法。
【請求項33】
請求項17に記載の方法であって、ここで:
Aは、−CHCHNH−であり;
Qは、−CHO−であり;そして
各Rは、独立してメチル、ブロモまたはクロロである、方法。

【公表番号】特表2007−521325(P2007−521325A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538402(P2006−538402)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/036297
【国際公開番号】WO2005/042497
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】