説明

イオン注入されたレジストの超酸による剥離

【課題】イオン注入されたレジストを除去する際に、レジスト生じた好ましくない化学的変化の影響を小さくできる方法、装置および化学物質を提供すること。
【解決手段】実施形態の方法は、炭化材料および有機材料の少なくとも一方を半導体構造から除去する方法であり、超酸種を具備する超酸組成に前記半導体構造を接触させることを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、一般に、半導体構造から炭化材料を除去するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスは、導電性特性が異なる材料を組み合わせることにより形成される。一般に、半導体構造および半導体デバイスは、電気絶縁体、電気導体、および、絶縁体と導体との中間の電気特性を有する半導体材料を含むことができる。半導体材料の特性はドーパントまたは不純物の導入を通じて調整することができる。
【0003】
不純物は、イオン注入技術を用いて、半導体材料に加えられる。イオン注入技術は、イオンソース内で生成された所望の元素または分子のイオンの生成を経て機能する。イオンは磁場を用いて高エネルギーに加速され、エネルギーが高いほど侵入の深さは大きくなる。しかしながら、高エネルギーイオン注入は、半導体基板を選択的にドーピングするために用いられるレジストに好ましくない化学的変化をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
イオン注入されたレジストを除去する際に、レジストに生じた好ましくない化学的変化の影響を小さくすることができる方法、装置および化学物質を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の方法は、炭化材料および有機材料の少なくとも一方を半導体構造から除去する方法であり、超酸種を具備する超酸組成に前記半導体構造を接触させることを具備する。
【0006】
実施形態の方法は、半導体構造を作成する方法であり、前記半導体構造の表面上に、前記半導体構造の少なくとも一部を覆うレジストを配置すること、および、前記半導体構造から前記レジストを除去するための超酸種を具備する超酸組成に前記レジストを接触させることを具備する。
【0007】
実施形態の装置は、半導体構造から炭化材料を除去するための装置であり、内部に超酸種を具備する超酸組成を入れておくためのタンク、前記タンクの前記内部に前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記タンクまたは前記ホルダ内にあり、前記超酸組成は前記半導体構造に接触することを特徴する。
【0008】
実施形態の装置は、半導体構造から炭化材料を除去するための装置であり、前記半導体構造に超酸種を具備する超酸組成を供給するための吐出口、前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記ホルダに保持され、前記超酸組成は前記半導体構造に接触することを特徴とする。
【0009】
実施形態の化学物質は、半導体構造から炭化材料および有機材料の少なくとも一方を除去するための化学物質であり、超酸組成を具備することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、表面にレジストが存在する実施形態の半導体構造を示す。
【図2】図2は、不純物ドープト領域を有する半導体構造を示す。
【図3】図3は、ドーズ量を変えながらイオン注入されたレジストのラマンスペクトルを示す。
【図4】図4は、実施形態に従う超酸組成との接触後の半導体構造を示す。
【図5】図5は、半導体構造からレジストを除去するための実施形態の装置を示す。
【図6】図6は、実施形態に従う炭化レジストを除去する例示の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態によれば、半導体構造の少なくとも一部を覆うレジストが、半導体構造の表面上に配置される。レジストで覆われていない半導体構造の領域内でイオン注入ビームを用いることにより、半導体構造中にドーパントが注入される。レジストで覆われた半導体構造の領域中へのドーパントの堆積遮断のプロセスにおいて、レジストはイオン注入ビームに曝される。イオンビームに曝されることが原因で、レジストの少なくとも一部は無機炭化材料を含むように変換されることがある。半導体構造からのレジストを除去するために、レジストは超酸種を含む超酸組成に接触される。
【0012】
図1に示されるように、レジスト105は半導体構造101の一部の上に配置される。レジスト中の開口部107はレジストが半導体構造を覆わない領域であり、イオン注入ビーム109が接触可能な半導体構造101の表面である。
【0013】
図2に示されるように、イオン注入ビーム109に曝されることによって半導体構造101上に不純物領域205が形成される。このようなドープ領域でトランジスタ構造のソース領域およびドレイン領域や、他の機能領域を形成することができる。追加のプロセス行為が行われる前に、レジスト105は一般に除去される必要がある。
【0014】
レジスト105は一般に有機ポリマー材料から形成される。レジストは、パターニングをアシストする感光性材料を含むことができるが、本明細書に開示される方法はレジストの如何なる特定の組成にも依存しない。レジストがイオン注入ビームに曝されると、レジスト105の除去を困難にする好ましくない化学変化がレジスト105にもたらされる。高エネルギーイオン注入ビームはレジストを炭化することができる。本明細書において明らかのように、炭化はレジストの無機炭素結合を含む部分に適用される。無機炭素結合を含む材料は、レジストの中で他の炭素原子のみに結合る炭素原子からなる部分を少なくとも有する。すなわち、炭化無機材料中の炭素原子の部分は、メチル基やエチル基等の有機塩基には結合されてはいない。しかしながら、炭化水素結合は曝露後にはレジスト中存在しても良い。
【0015】
炭化は、炭素−炭素無機結合中にのみに含まれる炭素原子の現れる部分によって示される。無機炭素−炭素結合を有する炭化材料は、一つまたは複数のグラファイトまたは微結晶炭素を含むことができる。グラファイトは炭素の同素体であり、そこでは炭素は炭素原子の六角形環を形成する。微結晶炭素はsp3 混成炭素を含む材料であるが、完全な三次元格子は現れない。例として、無機炭化材料は、中でも、グラファイト、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボンおよび微結晶炭素から選ばれる一つまたは複数とすることができる。
【0016】
論じたように、レジストの有機ポリマー材料の曝露は、レジスト中の少なくとも有機材料の部分を炭化無機材料に変換する。イオン注入ビームへのレジストの曝露が増加するほど、炭化の程度は増加する。レジストの曝露の程度の尺度はイオン注入ビームのエネルギーである。一実施形態において、イオン注入ビームは約1から約1000keVまでのエネルギーを有する。他の実施形態において、イオン注入ビームは約1から約100keVまでのエネルギーを有する。さらに別の実施形態において、イオン注入ビームは約3keVのエネルギーを有する。
【0017】
[00011] レジストの曝露の程度の別の尺度は、半導体構造の露出領域までに供給されたイオンドーズ量である。レジストで覆われた半導体構造の領域はイオンドーズ量を受け入れないが、レジストは、半導体構造が実際にイオンで注入されたのと同じ曝露を受け入れる。一実施形態において、レジストを含む半導体構造は、半導体デバイスの少なくとも一つの領域が約1×1011から約1×1017atoms/cm2 までの濃度の不純物を有するように、イオン注入ビームに曝露される。別の実施形態において、レジストを含む半導体構造は、半導体デバイスの少なくとも一つの領域が約1×1012から約1×1016atoms/cm2 までの濃度の不純物を有するように、イオン注入ビームに曝露される。さらに別の実施形態において、レジストを含む半導体構造は、半導体デバイスの少なくとも一つの領域が約1×1014atoms/cm2 より高い濃度の不純物を有するように、イオン注入ビームに曝露される。pタイプおよびnタイプの不純物を含んだ注入イオンにかかわらず、炭化は発生することができる。
【0018】
イオンビームに曝露された後のレジスト中の無機炭化材料の存在は、ラマン分光法の使用を介して決定および測定することができる。無機炭化材料は約1600cm-1の波数シフトにて光散乱強度を生じ、ここは有機ポリマー材料が約1600cm-1の波数シフトにて最小散乱強度を生じるところである。図3は、G.G.TotirらによってECS2007において報告され、ここにはリファレンスとして組み込まれており、図示されるように、40keVの砒素を異なるドーズ量で注入した深紫外線輻射で感光するレジストから得られた、ラマンスペクトルを示している。イオンのドーズ量の増加に対しての約1600cm-1でのラマン強度の増加は、曝露後の無機炭化材料の量の増加を示している。
【0019】
無機炭化材料は一般に半導体デバイスの表面から除去するのが困難である。硫酸と過酸化水素との混合物を用いたウエット剥離は、しばしば、半導体構造から全ての炭化材料の残留物を除去することができない。さらに、硫酸および過酸化水素の使用は、メタルゲートおよび/またはhigh-k材料を含む半導体構造との両立性の問題を有する。特に、硫酸と過酸化水素との混合物の酸化特性は、タングステンおよび/またはチタンナイトライドを含む、メタルゲートおよび/またはhigh-k材料を形成する材料を攻撃および酸化することができる。乾燥炭化技術もまた無機炭化材料の残留物を残す。乾燥炭化プロセスは一般にウエット剥離技術に比べて半導体デバイスの製造コストを増加させる。
【0020】
いくつかの異なる種類の金属はメタルゲート構造または他のメタル含有構造に組み込むことができる。このような金属は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Pt、La、Er、Al、Ga、Ge、In、Mg、Yおよびそれらの合金から選ばれる少なくとも一つまたは複数を含む。ここに定義するように、合金は、上述の金属から選ばれる一つまたは複数の任意の組合せを含み、金属窒化物を形成するための窒素を伴うもの、上述の金属から選ばれる一つまたは複数の任意の組合せを含み、金属酸化物を形成するための酸素を伴うもの、および、上述の金属から選ばれる一つまたは複数の任意の組合せを含み、それとは別の一つまたは複数の金属を伴うものを含む。
【0021】
本明細書に開示された実施形態において、無機炭化材料を含むレジストは超酸、超酸塩や超酸の誘導体を含む組成に接触させることにより除去される。超酸は、無機炭素に陽子を与える能力があり、より容易に溶解でき、半導体構造から容易に除去できるより小さな破片に炭化材料を導く。
【0022】
当業者であれば、材料堆積、マスキング、フォトリソグラフィ、エッチングおよびインプラントを含む周知の半導体製造技術は記載したデバイスや構造に有益であることは認めるであろう。半導体構造を形成するための材料の堆積は、低圧化学気相成長、化学気相成長、原子層堆積、スピンコート堆積などによってできる。また、半導体製造に限らない。
【0023】
“上(on)”、“より上に(above)”、“より下に(below)”、“真上に(over)”などの用語は、本明細書では、半導体基板の表面によって定義される平面(plane)に関して定義される。用語“上(on)”、“より上に(above)”、“より下に(below)”、“真上に(over)”などは、対象要素が、空間的基準として参照される別の要素よりも、半導体基板の平面からさらに離れていることを示す。用語“より下に(below)”および類似の用語は、対象要素が、空間的基準として参照される別の要素よりも、半導体基板の平面に近いことを示す。用語“上(on)”、“より上に(above)”、“より下に(below)”、“真上に(over)”などは、相対的な空間的関係を示し、必ずしも特定の要素が物理的接触にあることを示す必要はない。前述の定義はこの書類の全体に適用される。
【0024】
超酸は、濃硫酸よりも大きな水素イオンの熱力学的な反応性を有する任意の酸組成である。超酸の酸性度は、ハメットの酸度関数(H0)を参照して評価することができる。一実施形態において、超酸組成は約−10より小さいH0を有する。別の実施形態において、超酸組成は約−12より小さいH0を有する。さらに別の実施形態において、超酸組成は約−12から約−60までのH0を有する。さらに別の実施形態において、超酸組成は約−12から約−25までのH0を有する。超酸組成は一つまたは複数の超酸種を含む。ここに定義するように、超酸種は、それだけで約−12より小さいハメットの酸度関数(H0)を有する化合物(compound)、または、ルイス酸と、−12より小さいハメットの酸度関数(H0)を有するブレンステッド酸との混合物である。例えば、超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボラン酸、フルオロスルホン酸、および、それらの塩や誘導体のうち一つまたは複数を含有する組成を含む。
【0025】
半導体構造から炭化材料を除去するためには、超酸であればここに挙げたものに限らない。むしろ、無機炭化材料にプロトンを与えるために十分な酸性度を有する超酸組成が、レジスト中の任意の無機炭化材料の除去に効果がある。十分に低い(つまり、負)ハメットの酸度関数を伴う超酸組成は、十分に低いハメットの酸度関数を達成するために必要な高い酸活性を有する。
【0026】
一実施形態において、超酸組成は、約5重量%以上の一つまたは複数の超酸種を含む。別の実施形態において、超酸組成は、約5重量%以上の一つまたは複数の超酸種と希釈液とを含む、ここに定義するように、希釈液はそれ自身は超酸種ではない材料である。希釈液は、水を含むプロトン物質と、エタノールおよびメタノールなどのアルコールとの両方を含むことができる。さらに、希釈液は、有機溶剤と、アルカン、シクロアルカンなどの非プロトン物質と、ベンゼン、トルエン、ジイソプロピルベンゼン、ジプロピルベンゼンおよびジエチルベンゼンなどの芳香溶剤とを含むことができる。さらに別の実施形態において、超酸種は、約70重量%以上の一つまたは複数の超酸種を含むことができる。
【0027】
超酸組成はまた任意の腐食抑制剤を含むことができる。多くの窒素含有化合物は、ヘキサン、ベンゾトリアゾール、フェニレンジアミン、ジメチルエタノールアミンおよびポリアニリンを含む腐食抑制剤としての機能を果たす。腐食抑制剤のさらなる例は、イミン、クロム酸塩および第四アンモニウムシリケートを含む。当業者であれば、超酸組成は特定の腐食抑制剤に限定されないことは認めるであろう。一実施形態において、超酸組成は約0.001から約5重量%までの一つまたは複数の腐食抑制剤を含む。別の実施形態において、超酸組成は約0.01から約2重量%までの一つまたは複数の腐食抑制剤を含む。
【0028】
上記のように、硫酸と過酸化水素との混合物は、メタルゲート構造を含む半導体構造中に含まれるメタル構造を酸化する傾向がある。オキシダントは、より還元された種を形成するための還元反応を経るための高い熱力学的ポテンシャルを有する。オキシダントの熱力学的酸化能力は、還元半反応のための標準電極電位によって測定することができる。例えば、水性過酸化水素から水へ還元するための半反応は+1.78mVである。
【0029】
半導体構造中のメタル構造を酸化する性質を有する種が超酸組成中に含まれる場合、半導体構造中のメタル構造の酸化を防ぐために、超酸組成は、半導体構造中のメタル構造を酸化する性質を有する種を除いて形成することができる。ここに定義するように、非腐食性の超酸組成は、レジストを除去する必要があるという条件下で、半導体構造内に現れる金属原子の約5%より多くは酸化しないことが望ましい。一実施形態において、超酸組成は、+1.5mVを越えるより大きな還元種への還元半反応のための標準電極電位を有する種を含まない。他の実施形態において、超酸組成は、約+0.5mVを越えるより大きな還元種への還元半反応のための標準電極電位を有する種を含まない。さらに別の実施形態において、超酸組成は、約0mVを越えるより大きな還元種への還元半反応のための標準電極電位を有する種を含まない。また、超酸組成は半導体構造内のメタル構造が酸化されることを抑制するために腐食抑制剤を含んでも良い。
【0030】
チタン、窒化チタンおよびタングステンは、半導体構造および半導体デバイス中のメタルゲートおよびその他のメタル構造を形成するための材料としてますます一般的になってきている。純チタンからなる構造は、TiO2 を形成するための酸化に対して耐性を有する。TiのTiO2 への酸化は熱力学的には好ましいが、表面のチタン酸化物は、チタン構造の大部分の酸化を運動学的に非常に遅くする、不動態層を形成する。しかしながら、窒化チタンは、窒化チタン中の窒素のモル分率が増加するにつれて、ますます酸化しやすくなる。タングステンは酸化剤で腐食を起こしやすい。一実施形態において、超酸組成は、超酸組成と接触された半導体構造中の窒化チタン構造および/またはタングステン構造を酸化または腐食する能力がある種をほとんど含まない。または、それらの腐食を抑制する腐食抑制剤を含む。
【0031】
シリコン酸化物は、半導体構造および/または半導体デバイス内において誘電体材料として一般に用いられる。フッ素イオンを形成するために解離する能力および/またはシリコン酸化物にフッ素を直接的に移動させることができる能力がある化学種は、本明細書で述べた超酸組成から除くことができる。フッ素を解放できる化学種は、硫黄などの炭素以外のヘテロ原子に結合されたフッ素原子を含有する種を含むことがある。一実施形態において、超酸組成はフッ素−硫黄結合を有する化学種を含まない。
【0032】
フッ素原子またはフッ素イオンに曝されることによるシリコン酸化物の破壊を防ぐために、超酸組成はフッ素を含む化学種を用いないで作成することができる。特に、フッ化水素と五フッ化アンチモンの混合液およびフルオロスルホン酸は、シリコン酸化物の品質を低下させる性質を有すると考えられる。したがって、一実施形態において、超酸組成は、フッ化水素、五フッ化アンチモンおよびフルオロスルホン酸を含まない。他の実施形態において、超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸などのフッ素−炭素結合を有する化学種を含むことができる。
【0033】
本明細書に述べる超酸組成は、レジスト、および、炭化材料を含むレジストを除去するためのウエット剥離処理中に使用できる。本明細書に述べる超酸組成は、レジストおよび無機炭化材料内に存在することがある汚染粒子などの残留物を残さずに、半導体構造の表面からレジストを完全または実質的に除去する能力がある。図4に示すように、図2に示した構造の超酸組成との接触は、レジスト105を除去する結果となる。
【0034】
レジスト下にある半導体構造の表面上の如何なるメタル構造またはメタル含有構造も、超酸組成に曝されることに起因して、エッチングまたは酸化されるのは望ましくない。超酸組成との接触は、レジスト中の有機炭素材料および無機炭素材料と超酸組成中に含まれる超酸種との化学反応という方法を介して、レジストを分解する結果となる。そのため、レジストの再堆積という結果となるレジストのリフトオフおよび/または剥離を抑制することができる。
【0035】
半導体構造から無機炭化材料を含むレジストをウエットで剥離することは、超酸組成が入ったタンク中に半導体構造を浸す(dip)か、または浸漬する(immerse)ことにより成し遂げられる。半導体構造の一部はウエハ上に構築することができる。図5を参照して超酸組成を使用するための装置について説明する。図5において、レジストを剥離するためのタンク502は側面の視点から示されている。ウエハ504は、タンク502内にあり、かつ、ウエハホルダー506という手段によって置かれる。
【0036】
超酸組成510は本明細書にて述べたようにタンク502内にある。超酸組成510は再循環することができる。再循環は、ウエハ504の表面からレジストを分解する助けになる運動エネルギーを与えることはもとより、超酸組成から粒子材料を除去する助けになる。一例として、超酸組成510の噴霧を供給するために、タンク502の内部にスプレーノズル515を備えることができる。スプレー517は、超酸組成510の貯蔵タンク520からの超酸組成510をポンプ522で送ることにより供給される。
【0037】
超酸組成は室温で供給することができ、また、超酸組成は加熱しても構わない。一実施形態において、超酸組成の温度は約15から約160℃までである。他の実施形態において、超酸組成の温度は約15から約140℃までである。さらに別の実施形態において、超酸組成の温度は約15から約120℃までである。
【0038】
レジストで覆われた半導体構造を有するウエハ504は、超酸組成と全面的な接触を持つ。一実施形態において、レジストは超酸組成と約5秒から約60分まで接触する。他の実施形態において、レジストは超酸組成と約15秒から約20分まで接触する。さらに別の実施形態において、レジストは超酸組成と約1分から約10分まで接触する。
【0039】
本明細書に開示するイノベーションを十分に説明するために、無機炭化材料を有するレジストを除去するための行為について、図6を参照して説明する。行為602において、半導体構造の表面の少なくとも一部にレジストが配置される。行為604において、レジストはイオン注入ビームに曝露され、このイオン注入ビームによって、レジストで覆われていない半導体構造の領域に不純物が導入される。レジストのイオン注入ビームへの曝露は、レジストを形成する材料の少なくとも一部分を無機炭化材料に変える。行為606において、炭化材料を有するレジストが半導体構造から除去されるように、レジストは超酸種を含む超酸組成に接触される。行為608において、実質的に無機炭化材料を含んだ全てのレジスト材料が除去されて半導体構造が回復される。
【0040】
所定の特性に対しての任意の数字または数値範囲に関して、一つの範囲内の数字またはパラメータと、同じ特性に対しての異なる範囲内の他の数字またはパラメータとを組み合わせて、ある数値範囲を生成しても構わない。
【0041】
実施形態さもなければ提示された以外の、明細書および特許請求の範囲内において用いられた材料の量、反応条件などに言及した全ての数字、数値及び/又は表現は、用語“約”によって全ての場合において変更されると理解するべきである。
【0042】
以上述べた実施形態の上位概念、中位概念および下位概念の一部または全ては、例えば以下のような付記1−35で表現できる。
【0043】
[付記1]
方法は、炭化材料および有機材料の少なくとも一方を半導体構造から除去する際に、超酸種を具備する超酸組成に前記半導体構造を接触させることを含む。
【0044】
[付記2]
[付記1]において、前記半導体構造の少なくとも一部分は、無機炭素−炭素結合を含む無機炭化材料を含むか、または、前記無機炭化材料で覆われている。
【0045】
[付記3]
[付記1]において、前記半導体構造は、前記超酸組成に接触させる前には、炭化プロセスに供されない。
【0046】
[付記4]
[付記1]において、前記超酸組成は、自由フッ化物イオンを形成するために分離する原子、または、前記半導体構造を形成する材料にフッ素を運ぶ分子を具備しない。
【0047】
[付記5]
[付記1]において、前記超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボン酸およびフルオロスルホン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0048】
[付記6]
[付記4]において、前記超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸およびカルボン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0049】
[付記7]
[付記1]において、前記超酸組成は、約−12より小さいハメットの酸度関数を有する。
【0050】
[付記8]
[付記1]において、前記無機炭化材料は、グラファイト、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブおよび微結晶炭素からなる群から選ばれた一つまたは複数である。
【0051】
[付記9]
[付記1]において、前記超酸組成は、少なくとも一つの腐食抑制剤をさらに具備する。
【0052】
[付記10]
半導体構造を作成する方法は、前記半導体構造の表面上に、前記半導体構造の少なくとも一部を覆うレジストを配置すること、および、前記半導体構造から前記レジストを除去するための超酸種を具備する超酸組成に前記レジストを接触させることを具備する。
【0053】
[付記11]
[付記10]において、前記レジストで覆われていない前記半導体構造の領域にイオンが注入されるように、前記半導体構造の一部を覆う前記レジストはイオンビームに曝露され、前記レジストは、イオン注入の行う前には無機材料を具備し、前記レジストは、前記イオンビームへの曝露によって、無機炭素−炭素結合を含む無機炭化材料を具備するように変換される。
【0054】
[付記12]
[付記10]において、前記半導体構造は、前記超酸組成に接触させる前には、炭化プロセスに供されない。
【0055】
[付記13]
[付記10]において、前記半導体構造は、メタル構造またはメタル含有構造を含み、前記超酸組成は、前記半導体構造中の前記メタル構造または前記メタル含有構造を酸化する性質を持たない。
【0056】
[付記14]
[付記10]において、前記超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボン酸およびフルオロスルホン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0057】
[付記15]
[付記10]において、前記超酸組成は、約−12より小さいハメットの酸度関数を有する。
【0058】
[付記16]
[付記11]において、前記イオンは、約1×1014atoms/cm2 より大きい濃度でもって前記半導体構造に注入される。
【0059】
[付記17]
[付記10]において、前記半導体構造は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Mn、Fe、Ru、Co、Ni、Pd、Pt、La、Er、Al、Ga、Ge、In、Mg、Yおよびそれらの合金からなる群から選ばれる少なくとも一つまたは複数を具備する。
【0060】
[付記18]
[付記10]において、前記無機炭化材料は、グラファイト、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブおよび微結晶炭素からなる群から選ばれた一つまたは複数である。
【0061】
[付記19]
[付記10]において、前記超酸組成は、少なくとも一つの腐食抑制剤をさらに具備する。
【0062】
[付記20]
半導体構造から炭化材料を除去するための装置は、内部に超酸種を具備する超酸組成を入れておくためのタンク、前記タンクの前記内部に前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記タンクまたは前記ホルダ内にあり、前記超酸組成は前記半導体構造に接触する。
【0063】
[付記21]
[付記20]において、前記超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボン酸およびフルオロスルホン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0064】
[付記22]
[付記20]において、前記超酸組成は、約−12より小さいハメットの酸度関数を有する。
【0065】
[付記23]
半導体構造から炭化材料を除去するための装置は、前記半導体構造に超酸種を具備する超酸組成を供給するための吐出口、前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記ホルダに保持され、前記超酸組成は前記半導体構造に接触する。
【0066】
[付記24]
[付記23]において、前記超酸組成は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボン酸およびフルオロスルホン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0067】
[付記25]
[付記23]において、前記超酸組成は、約−12より小さいハメットの酸度関数を有する。
【0068】
[付記26]
化学物質は、半導体構造から炭化材料および有機材料の少なくとも一方を除去するためのものであって、超酸組成を具備する。
【0069】
[付記27]
[付記26]において、前記半導体構造の少なくとも一部は、無機炭素−炭素結合を含む無機炭化材料を含むか、または、前記無機炭化材料で覆われている。
【0070】
[付記28]
[付記26]において、前記半導体構造は、炭化プロセスに供されない。
【0071】
[付記29]
[付記26]において、前記化学物質は、自由フッ化物イオンを形成するために分離し、または、前記半導体構造を形成する材料にフッ素を運ぶ分子を具備しない。
【0072】
[付記30]
[付記26]において、前記化学物質は、トリフルオロメタンスルホン酸、五フッ化アンチモンとフルオロスルホン酸との混合物、五フッ化アンチモンとフッ化水素酸との混合物、カルボン酸およびフルオロスルホン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0073】
[付記31]
[付記29]において、前記化学物質は、トリフルオロメタンスルホン酸およびカルボン酸からなる群から選ばれた一つまたは複数を具備する。
【0074】
[付記32]
[付記26]において、前記超酸組成は、約−12より小さいハメットの酸度関数を有する。
【0075】
[付記33]
[付記26]において、前記無機炭化材料は、グラファイト、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブおよび微結晶炭素からなる群から選ばれた一つまたは複数である。
【0076】
[付記34]
[付記29]において、前記化学物質は、少なくとも一つの腐食抑制剤をさらに具備する。
【0077】
[付記35]
[付記26]において、前記半導体構造の一部を覆う前記レジストはイオンビームに曝露される。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化材料および有機材料の少なくとも一方を半導体構造から除去する方法であって、超酸種を具備する超酸組成に前記半導体構造を接触させることを具備してなることを特徴とする方法。
【請求項2】
半導体構造を作成する方法であって、
前記半導体構造の表面上に、前記半導体構造の少なくとも一部を覆うレジストを配置すること、および、
前記半導体構造から前記レジストを除去するための超酸種を具備する超酸組成に前記レジストを接触させることを具備する方法。
【請求項3】
半導体構造から炭化材料を除去するための装置であって、
内部に超酸種を具備する超酸組成を入れておくためのタンク、
前記タンクの前記内部に前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、
表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記タンクまたは前記ホルダ内にあり、前記超酸組成は前記半導体構造に接触することを特徴とする装置。
【請求項4】
半導体構造から炭化材料を除去するための装置であって、
前記半導体構造に超酸種を具備する超酸組成を供給するための吐出口、
前記半導体構造を保持するためのホルダを具備し、
表面に炭化材料を有する前記半導体構造は前記ホルダに保持され、前記超酸組成は前記半導体構造に接触することを特徴とする装置。
【請求項5】
半導体構造から炭化材料および有機材料の少なくとも一方を除去するための化学物質であって、超酸組成を具備することを特徴とする化学物質。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203411(P2012−203411A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11468(P2012−11468)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】