説明

イメージセンサ

【課題】短絡などを生じた欠陥画素が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにして、イメージセンサの生産性を向上させる。
【解決手段】イメージセンサを、第1光伝導体型素子6と第2光伝導体型素子8とを含む複数の画素1と、第1光導電体型素子6及び第2光導電体型素子8に接続された出力電極12Bと、複数の画素1のそれぞれに含まれる第1光導電体型素子6に接続された共通電極12Cと、出力電極12Bと共通電極12Cとの間に設けられ、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子7A,7Bとを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
画素を多数配列したイメージセンサとして、例えば量子井戸型赤外線フォトディテクタ(QWIP;Quantum Well Infrared Photodetector)によって各画素を構成した赤外線イメージセンサがある。
例えば、図9に示すように、2つの波長域に感度を持つ素子構造を有する2波長QWIPによって各画素を構成した赤外線イメージセンサがある。
【0003】
ここで、2波長QWIPは、下部コンタクト層、一の波長域に対して感度を持つ下部多重量子井戸(MQW;Multi Quantum Well)層、中間コンタクト層、他の波長域に対して感度を持つ上部MQW層、上部コンタクト層を順に積層させた構造になっている。なお、下部MQW層を第1センサ素子(QWIP素子)といい、上部MQW層を第2センサ素子(QWIP素子)ともいう。
【0004】
そして、これらの3つのコンタクト層のそれぞれに接するように電極を取り付け、これらの3つの電極に読出回路を接続し、上部MQW層又は下部MQW層からの光電流信号(出力電流)を個別に読み出すようになっている。
この場合、各画素の表面上に3つのバンプ電極を形成し、中間コンタクト層に接続されたバンプ電極及び中間コンタクト層を介して、上部MQW層及び下部MQW層にバイアス電圧をかける。そして、第1スイッチをオンにし、第2スイッチをオフにして、下部コンタクト層に接続されたバンプ電極を介して下部MQW層からの光電流信号を読み出すようになっている。また、第1スイッチをオフにし、第2スイッチをオンにして、上部コンタクト層に接続されたバンプ電極を介して上部MQW層からの光電流信号を読み出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3942296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のような赤外線イメージセンサにおいて、画素数を増大させて、より高精細な画像を取得できるようにしたい。
このため、画素数を増大させるために、各画素の面積を小さくすることが考えられる。
しかしながら、図9に示すように、読出回路に接続するために各画素の表面上に3つのバンプ電極が存在すると、各画素の小型化を図るのは困難である。
【0007】
そこで、図10に示すように、下部コンタクト層を、多数配列された全画素を接続する共通コンタクト層とし、これを多数の画素が設けられている領域の外部に設けられた1つのバンプ電極に接続することが考えられる。これにより、各画素の表面上には2つのバンプ電極を形成すれば良くなる。
この場合、下部コンタクト層に接続されたバンプ電極、及び、上部コンタクト層に接続されたバンプ電極を介してバイアス電圧が供給され、中間コンタクト層に接続されたバンプ電極を介して光電流信号を取り出すようにする。
【0008】
このため、下部コンタクト層に接続されたバンプ電極を、第1スイッチを介してバイアス電源に接続し、上部コンタクト層に接続されたバンプ電極を、第2スイッチを介してバイアス電源に接続する。そして、第1スイッチと第2スイッチとを交互にオンにし、上部MQW層と下部MQW層とに交互にバイアス電圧をかけるようにする。
また、中間コンタクト層に接続されたバンプ電極を、第3スイッチを介して読出回路に接続する。
【0009】
そして、第1スイッチをオンにし、第2スイッチをオフにして、下部コンタクト層とバイアス電源とを接続し、画素形成領域の外部に設けられたバンプ電極、及び、全画素に共通の下部コンタクト層を介して、全画素の下部MQW層にバイアス電圧をかける。この状態で、第3スイッチをオンにして、中間コンタクト層に接続されたバンプ電極を介して下部MQW層からの光電流信号を取り出す。
【0010】
一方、第1スイッチをオフにし、第2スイッチをオンにして、上部コンタクト層とバイアス電源とを接続し、上部コンタクト層に接続されたバンプ電極、及び、上部コンタクト層を介して、各画素の上部MQW層にバイアス電圧をかける。この状態で、第3スイッチをオンにして、中間コンタクト層に接続されたバンプ電極を介して上部MQW層からの光電流信号を取り出す。
【0011】
ところで、このような赤外線イメージセンサでは、全画素に共通の下部コンタクト層を用いているため、欠陥画素(短絡など)があると、その欠陥画素だけでなく、隣接画素においても異常な電流が流れてしまい、信号の読み取りを正常に行なえない場合があることがわかった。
つまり、各画素の下部に位置する第1センサ素子(下部MQW層)を動作させずに、上部に位置する第2センサ素子(上部MQW層)を動作させて、第2センサ素子の出力電流のみを読み出す場合、図11に示すように、全画素に共通の第1スイッチをオフにし、画素毎に設けられた第2スイッチをオンにする。
【0012】
図11中、左側に示すように、欠陥画素を含まない正常な領域では、各画素において、バイアス電源に接続された上部コンタクト層側が負電位になり、読出回路に接続された中間コンタクト層側が正電位になる。そして、両者の電位差によって、第2センサ素子にバイアス電圧がかかり、第2センサ素子で生じた光電流信号(信号電流)を出力電流として読み出すことができる。
【0013】
この場合、第1センサ素子は全画素に共通の下部コンタクト層に接続されているが、第1スイッチがオフになっており、バイアス電源(ここでは負電位)とは切り離されている。このため、隣接画素の第1センサ素子間はほぼ同電位に保たれ、第1センサ素子には電流は流れない。
したがって、バイアス電源に接続された第2センサ素子で生じた光電流信号のみが出力電流として読出回路へ出力されることになり、第2センサ素子で生じた光電流信号によるイメージ画像(イメージ情報)を得ることができる。
【0014】
これに対し、図11中、右側に示すように、第2センサ素子の一部に短絡などの欠陥が存在する欠陥画素を含む領域では、欠陥画素の第2センサ素子の両端の電位差がほとんど0になってしまう(信号電流による電圧降下が起こらない)。この結果、この欠陥画素では中間コンタクト層側も負電位となってしまう。
一方、この欠陥画素に隣接する正常な画素では、中間コンタクト層側は正電位になっている。このため、隣接画素の第1センサ素子間に電位差が生じてしまい、正常な画素に含まれる第1センサ素子から欠陥画素に含まれる第1センサ素子へ電流が流れてしまうことになる。
【0015】
この結果、欠陥画素に隣接する正常な画素において、第2センサ素子の出力電流以外の余計な電流が流れてしまう。このため、短絡などが存在する欠陥画素だけでなく、これに隣接する正常な画素においても、第2センサ素子の出力電流として異常な出力電流が読出回路へ出力されてしまうことになる。
また、上述のように、正常な画素に含まれる第1センサ素子から欠陥画素に含まれる第1センサ素子へ電流が流れることによって、負電位に下がった領域が、欠陥画素の周囲に拡がってしまうことになる。このため、第2センサ素子の出力電流として異常な出力電流が読出回路へ出力されてしまう領域も周囲に拡がってしまう。このように、1つの欠陥画素が存在するだけで広範囲の画素の出力電流に異常が生じてしまうことになる。この点、欠陥画素が孤立していれば隣接画素との置換処理によって対応できるが、広範囲に異常が生じてしまうと、このような処理によって補正を行なうことができない。
【0016】
特に、画素の微細化を進めると、上部MQW層を加工し、狭い領域に配線を形成することになるため、短絡などの欠陥が生じやすく、イメージセンサの生産性を向上させるのが難しい。
そこで、たとえ短絡などを生じた欠陥画素が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにして、イメージセンサの生産性を向上させたい。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本イメージセンサは、第1光伝導体型素子と第2光伝導体型素子とを含む複数の画素と、第1光導電体型素子及び第2光導電体型素子に接続された出力電極と、複数の画素のそれぞれに含まれる第1光導電体型素子に接続された共通電極と、出力電極と共通電極との間に設けられ、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子とを備えることを要件とする。
【0018】
本イメージセンサは、センサ素子アレイと、センサ素子アレイに接続された信号処理回路とを備え、センサ素子アレイが、第1光伝導体型素子と第2光伝導体型素子とを含む複数の画素と、第1光導電体型素子及び第2光導電体型素子に接続された出力電極と、複数の画素のそれぞれに含まれる第1光導電体型素子に接続された共通電極と、出力電極と共通電極との間に設けられ、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子とを備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0019】
したがって、本イメージセンサによれば、たとえ短絡などを生じた欠陥画素が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにすることができ、イメージセンサの生産性を向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態にかかるイメージセンサの構成を示す模式図である。
【図2】本実施形態にかかるイメージセンサによる作用・効果を説明するための図である。
【図3】本実施形態にかかるイメージセンサの信号処理回路アレイに含まれる回路の構成を示す図である。
【図4】本実施形態にかかるイメージセンサの信号処理回路アレイに含まれる回路の構成を示す図である。
【図5】本実施形態にかかるイメージセンサの動作を説明するためのタイムチャートである。
【図6】本実施形態にかかるイメージセンサのセンサ素子アレイの半導体積層構造を示す模式的断面図である。
【図7】(A)〜(I)は、本実施形態にかかるイメージセンサのセンサ素子アレイの製造方法を説明するための模式的断面図である。
【図8】本実施形態にかかるイメージセンサのセンサ素子アレイの半導体積層構造の変形例を示す模式的断面図である。
【図9】従来の赤外線イメージセンサの構成を示す模式図である。
【図10】本実施形態にかかるイメージセンサの創案過程で提案されたイメージセンサの構成を示す模式図である。
【図11】イメージセンサの課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面により、本実施形態にかかるイメージセンサについて、図1〜図8を参照しながら説明する。
本イメージセンサは、入射光(入射光量)に応じて光電流信号を発生する光検出素子を含む複数の画素が二次元的に配列されているイメージセンサ(二次元アレイセンサ)であって、同一画素で複数の波長域に感度を持つ素子構造を有する多波長イメージセンサである。
【0022】
特に、本イメージセンサは、量子井戸型赤外線フォトディテクタ(QWIP;Quantum Well Infrared Photodetector;量子井戸型光検出器)によって各画素を構成した赤外線イメージセンサである。
本赤外線イメージセンサは、図1に示すように、複数の画素1を備えるセンサ素子アレイ2と、複数の画素1のそれぞれに接続された信号処理回路アレイ(信号処理回路)3とを備えるアレイセンサ(撮像装置)である。そして、センサ素子アレイ2と信号処理回路アレイ3とは、導電性の金属バンプ電極(ここではInバンプ電極)4A〜4Cを介して接続されている。なお、センサ素子アレイ2を、赤外線焦点面アレイ(IRFPA;Infrared focal plane array)、あるいは、QWIP焦点面アレイ(QWIP−FPA)ともいう。
【0023】
以下、光検出素子(センサ素子)として2つの波長域に感度を持つ素子構造を有する2波長QWIPを含む複数の画素が二次元的に配列されている2波長IRFPAを例に挙げて説明する。
本2波長IRFPAは、図1に示すように、下部コンタクト層5、一の波長域に対して感度を持つ下部多重量子井戸(MQW;Multi Quantum Well)層6、中間コンタクト層7、他の波長域に対して感度を持つ上部MQW層8、上部コンタクト層9を順に積層させた半導体積層構造を含むものとして構成される。
【0024】
つまり、本2波長IRFPAは、全画素に共通の下部コンタクト層5上に、下部MQW層6、中間コンタクト層7、上部MQW層8、上部コンタクト層9を順に積層させてなる複数の画素1が形成された構造になっている。なお、上部MQW層8及び下部MQW層6が光吸収部であり、これらは互いに吸収域が異なる。
ここで、下部MQW層6又は上部MQW層8の光応答波長は量子準位間のエネルギー差に依存する。このため、下部MQW層又は上部MQW層を構成する井戸層の厚さと障壁層のエネルギー高さ(これは障壁層の材料・組成によって変化する)によって、光応答波長[一の波長域(吸収域)又は他の波長域(吸収域)]が定まる。
【0025】
ここでは、上部MQW層8及び下部MQW層6は、それぞれ、その量子井戸構造によって光応答ピーク波長として5μm、8.5μmが標準として得られるように設定されている。
なお、MQW層6,8は、入射される光(ここでは赤外線)に応じて抵抗値が変化する抵抗体と見ることができるため、光伝導体型素子ともいう。また、MQW層6,8は、赤外線フォトディテクタともいう。また、MQW層6,8をコンタクト層5,7,9で挟んだ構造を、QWIP又はQWIP素子ともいう。さらに、下部MQW層6は第1センサ素子(第1光伝導体型素子)ともいい、上部MQW層8は第2センサ素子(第2光伝導体型素子)ともいう。また、下部コンタクト層5は、複数の画素1のそれぞれに含まれる下部MQW層6の全てに接続されているため、共通コンタクト層ともいう。また、下部コンタクト層5は、複数の画素1が設けられている画素形成領域の外部(外周部)まで延びており、後述するように、各画素1の下部MQW層6にバイアス電圧を供給するための配線としても機能するため、共通配線ともいう。
【0026】
特に、本実施形態では、中間コンタクト層7は、下部MQW層6に接する下側コンタクト層7Aと、上部MQW層8に接する上側コンタクト層7Cと、これらの下側コンタクト層7Aと上側コンタクト層7Cとの間に設けられ、下側コンタクト層7A及び上側コンタクト層7Cと導電型が異なる(逆導電型の)半導体層7Bとを積層させた構造になっている。つまり、半導体層7Bは、上側コンタクト層7Cを介して上部MQW層8に接続されており、下側コンタクト層7Aを介して下部MQW層6に接続されている。
【0027】
なお、下部MQW層6を挟むコンタクト層、即ち、下部コンタクト層5と中間コンタクト層7に含まれる下側コンタクト層7Aを、第1コンタクト層ともいう。また、上部MQW層8を挟むコンタクト層、即ち、上部コンタクト層9と中間コンタクト層7に含まれる上側コンタクト層7Cを、第2コンタクト層ともいう。
具体的には、本実施形態では、GaAs基板10上に、i−GaAs層11、n型GaAs下部コンタクト層5、AlGaAs/GaAs下部MQW層6、GaAs中間コンタクト層7(n型GaAs下側コンタクト層7A、p型GaAs層7B、n型GaAs上側コンタクト層7C)、AlGaAs/InGaAs上部MQW層8、n型GaAs上部コンタクト層9を順に積層させた構造になっている。
【0028】
なお、AlGaAs/GaAs下部MQW層6は、AlGaAs障壁層6AとGaAs井戸層6Bとからなる量子井戸を多数繰り返した構造になっている(図6、図8参照)。同様に、AlGaAs/InGaAs上部MQW層8は、AlGaAs障壁層8AとInGaAs井戸層8Bとからなる量子井戸を多数繰り返した構造になっている(図6、図8参照)。
【0029】
このように、本実施形態では、2つのMQW層6,8のそれぞれをn型コンタクト層5,7A,7C,9で挟み、2つのMQW層6,8の間に設けられるn型コンタクト層7A,7Cの間にこれらのコンタクト層7A,7Cとは逆導電型のp型半導体層7Bを設けた構造になっている。
また、上部コンタクト層9、中間コンタクト層7、下部コンタクト層5のそれぞれにオーミック電極12A,12B,12Cが取り付けられている。これらの3つのオーミック電極12A,12B,12Cには、配線13A,13B,13C及びバンプ電極4A,4B,4Cを介して信号処理回路アレイ3が接続されている。これにより、上部MQW層8又は下部MQW層6の量子井戸内で光吸収によって基底準位から励起準位へと光励起された電子を、上部MQW層8又は下部MQW層6にバイアス電圧を加えることで量子井戸外へ取り出し、光電流を発生させる。そして、信号処理回路アレイ3に含まれる読出回路14(図4参照)によって、上部MQW層8又は下部MQW層6からの光電流信号(出力電流)を個別に読み出すようになっている。
【0030】
特に、本実施形態では、各画素1の表面上に2つのバンプ電極4A,4Bが設けられており、画素形成領域の外部に1つのバンプ電極4Cが設けられている。このようにして、各画素1の表面上のバンプ電極の数を減らして各画素1の小型化を図っている。
そして、各画素1の表面上に形成された一方のバンプ電極4Aと、上部コンタクト層9上に形成されたオーミック電極12Aとが、配線13Aによって接続されている。また、各画素1の表面上に形成された他方のバンプ電極4Bと、中間コンタクト層7に含まれる半導体層7B上に形成されたオーミック電極12Bとが、配線13Bによって接続されている。さらに、画素形成領域の外部に設けられた1つのバンプ電極4Aと、全画素1に共通の下部コンタクト層5上に形成されたオーミック電極12Cとが、配線13Cによって接続されている。
【0031】
また、画素形成領域の外部に設けられた1つのバンプ電極4Cは、信号処理回路アレイ3に含まれるバイアス電圧供給回路16(図3参照)内の第1スイッチ15に接続されている。つまり、第1スイッチ15を切り替えることで、バイアス電圧供給回路16から供給されるバイアス電圧が、オーミック電極12C及び下部コンタクト層5を介して、下部MQW層6に供給されるようになっている。ここでは、第1スイッチ15は共通配線としての下部コンタクト層5に接続されているため、第1スイッチ15を切り替えることで、全画素1に含まれる下部MQW層6に対するバイアス電圧の供給が一括して行なわれるようになっている。このため、下部コンタクト層5に接続されたオーミック電極12Cは、バイアス電圧を供給するために用いられるため、バイアス電極(バイアス供給用電極;下部MQW駆動電極)ともいう。また、下部コンタクト層5に接続されたオーミック電極12Cは、複数の画素1のそれぞれに含まれる下部MQW層6の全てにバイアス電圧を供給するために用いられるため、共通電極ともいう。
【0032】
また、各画素1の表面上に形成された一方のバンプ電極4Aは、信号処理回路アレイ3に含まれるバイアス電圧供給回路16(図3参照)内の第2スイッチ17に接続されている。つまり、第2スイッチ17を切り替えることで、バイアス電圧供給回路16から供給されるバイアス電圧が、オーミック電極12A及び上部コンタクト層9を介して、上部MQW層8に供給されるようになっている。このため、上部コンタクト層9に接続されたオーミック電極12Aは、バイアス電圧を供給するために用いられるため、バイアス電極(バイアス供給用電極;上部MQW駆動電極)ともいう。
【0033】
さらに、各画素1の表面上に形成された他方のバンプ電極4Bは、信号処理回路アレイ3に含まれ、光電流信号を読出回路14(図4参照)に入力するために画素毎に設けられた入力回路19(図3参照)内の第3スイッチ18に接続されている。つまり、第3スイッチ18を切り替えることで、上部MQW層8又は下部MQW層6に流れる光電流信号が、出力電流として、中間コンタクト層7に含まれる半導体層7Bに接続されたオーミック電極12Bを介して、信号処理回路アレイ3に含まれる入力回路19へ出力されるようになっている。このため、中間コンタクト層7に含まれる半導体層7B上に形成されたオーミック電極12Bは、上部MQW層8又は下部MQW層6に流れる光電流信号を出力電流として出力するために用いられるため、出力電極(信号取出用電極)ともいう。また、第3スイッチ18は、上部MQW層8又は下部MQW層6に流れる光電流信号を出力電流として出力するために用いられるため、出力スイッチともいう。また、第3スイッチ18は、入力回路19に光電流信号を入力するために用いられるため、入力ゲートともいう。
【0034】
なお、半導体層7Bは、上側コンタクト層7Cを介して上部MQW層8に接続されており、下側コンタクト層7Aを介して下部MQW層6に接続されているため、この半導体層7B上に形成されたオーミック電極12Bは、上部MQW層8及び下部MQW層6に接続されていることになる。
ところで、本実施形態では、上述のように、中間コンタクト層7が、下側コンタクト層7Aと、上側コンタクト層7Cと、これらと導電型が異なる半導体層7Bとを積層させた構造になっており、半導体層7Bに出力電極12Bが取り付けられている。
【0035】
このように、中間コンタクト層7に含まれる下側コンタクト層7Aと半導体層7Bとは導電型が異なるため、これらの層7A,7Bによって、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子(pn接合ダイオード)20(図2参照)が構成される。つまり、出力電極12Bと共通電極12Cとの間に、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子20が設けられていることになる。
【0036】
このため、以下に説明するように、たとえ短絡などを生じた欠陥画素が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにすることができる。
以下、図2に示すように、各画素1の第1センサ素子(下部MQW層)6を動作させずに、第2センサ素子(上部MQW層)8を動作させて、第2センサ素子8の出力電流のみを読み出す場合、全画素1に共通の第1スイッチ15をオフにし、画素毎に設けられた第2スイッチ17をオンにする場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図2中、左側に示すように、欠陥画素を含まない正常な領域では、各画素1において、第2スイッチ17を介してバイアス源(−V)に接続された第2センサ素子8の一側(上部コンタクト層9側)が負電位になり、信号処理回路アレイ3の入力回路19内の第3スイッチ18に接続された第2センサ素子8の他側(中間コンタクト層7側)が正電位になる。そして、両者の電位差によって、第2センサ素子8にバイアス電圧がかかり、第2センサ素子8で生じた光電流信号(信号電流)を出力電流として読み出すことができる。
【0038】
ここで、本実施形態では、第2センサ素子8に、中間コンタクト層7に含まれる上側コンタクト層7Cと半導体層7Bとによって構成されるpn接合ダイオード21が直列に接続された形となっており、pn接合ダイオード21のp側(p型半導体層7B側)に正電位、n側(n型上側コンタクト層7C側)に負電位を加えた順方向バイアス状態となっている。このため、第2センサ素子8の出力電流がそのまま流れることになる。
【0039】
この場合、第1センサ素子6は全画素1に共通の下部コンタクト層5に接続されているが、第1スイッチ15がオフになっており、バイアス源(ここでは負電位;−V)とは切り離されている。このため、隣接画素1の第1センサ素子6間はほぼ同電位に保たれ、第1センサ素子6には電流は流れない。
したがって、バイアス源(−V)に接続された第2センサ素子8で生じた光電流信号のみが出力電流として第3スイッチ18を介して読出回路14へ出力されることになり、第2センサ素子8で生じた光電流信号によるイメージ情報を読み取ることができる。
【0040】
これに対し、図2中、右側に示すように、第2センサ素子8の一部に短絡などの欠陥が存在する欠陥画素を含む領域では、中間コンタクト層側が負電位になってしまう。つまり、欠陥画素を含む領域では、欠陥画素の第2センサ素子に接しているn型上側コンタクト層及びp型半導体層が負電位になってしまう。
一方、この欠陥画素に隣接する正常な画素1では、信号処理回路アレイ3の入力回路19内の第3スイッチ18に接続された第2センサ素子8の他側(中間コンタクト層7側;図2中、下側)は正電位になっている。つまり、第1センサ素子6に接している中間コンタクト層7に含まれるn型下側コンタクト層7A及びp型半導体層7Bは正電位になっている。
【0041】
このため、隣接画素の第1センサ素子6間に電位差が生じてしまう。つまり、欠陥画素のp型半導体層7Bと欠陥画素に隣接する正常な画素1のn型下側コンタクト層との間に電位差が生じてしまう。
しかし、本実施形態では、欠陥画素1の第1センサ素子6にpn接合ダイオード20が直列に接続された形となっており、このpn接合ダイオード20のp側(p型半導体層7B側)に負電位、n側(n型下側コンタクト層7A側)に正電位を加えた逆方向バイアス状態となっている。このため、逆方向バイアス状態となっているpn接合ダイオード20によって、隣接画素1の第1センサ素子6間に流れる電流が遮断され、このダイオード部分で大部分の電位差がついた状態になり、隣接画素1の第1センサ素子6間にはほとんど電位差が生じなくなる。
【0042】
この結果、隣接画素1の第1センサ素子6間に流れる電流、即ち、正常な画素1に含まれる第1センサ素子6から欠陥画素1に含まれる第1センサ素子6へ流れる電流が非常に抑制されることになる。
これにより、たとえ短絡などを生じた欠陥画素1が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにすることができる。
【0043】
なお、第1センサ素子6の一部に短絡などの欠陥が存在する場合であって、第1センサ素子6の出力電流を読み出す場合は、画素毎に設けられた第2スイッチ17をオフにし、隣接画素間が接続されていないため、上述のような異常な電流が流れてしまうという問題はない。また、通常、画素1の上部に金属配線等を設けるため、画素1の上部に設けられる第2センサ素子8に短絡などの欠陥が生じることが多い。
【0044】
ところで、本赤外線イメージセンサは、図1に示すように、上述のように構成される2波長IRFPA2と、CMOS回路によって構成された信号処理回路アレイ3とを、バンプ電極4A〜4Cを介して接続した構造になっている。
ここで、信号処理回路アレイ3は、図3、図4に示すように、第1スイッチ(第1トランジスタ)15と、第2スイッチ(第2トランジスタ)17と、入力回路19と、各入力回路19の出力を順次外部に読み出す読出回路14とを含むものとして構成される。なお、第2スイッチ17と、入力回路19とを含むものとして、画素毎に設けられる一画素ユニット22が構成される。
【0045】
このうち、第1スイッチ15は、図3に示すように、全画素1に共通の下部コンタクト層5に供給するバイアス電圧(ここでは負バイアス電圧)をオン・オフするためのスイッチである。
第2スイッチ17は、各画素1の上部コンタクト層9に供給するバイアス電圧(ここでは負バイアス電圧)をオン・オフするためのスイッチである。
【0046】
そして、第1スイッチ15及び第2スイッチ17は、共通のバイアス源(負バイアス源)に接続されている。第1スイッチ15及び第2スイッチ17を含むものとしてバイアス電圧供給回路16が構成される。
入力回路19は、各画素1のセンサ素子6,8からの出力電流を電圧に変換して出力するために画素毎に設けられ、入力ゲート(第3スイッチ)18と、積分容量素子(キャパシタ)23と、リセット電源24に接続されたリセットスイッチ(リセットトランジスタ)25とを備える。
【0047】
そして、入力回路19の入力側には、バンプ電極4Bを介して、2つのセンサ素子6,8が接続されている。一方、入力回路19の出力側には、後述する読出回路14のソースフォロワトランジスタ26のゲート端子が接続されている。
このように構成される入力回路19では、赤外線が入射してセンサ素子6,8に流れた電流量に応じた出力電圧が出力端子から出力されることになる。
【0048】
読出回路14は、図4に示すように、一画素ユニット22に含まれる入力回路19の出力に応じて動作する複数のソースフォロワトランジスタ26と、複数の行選択トランジスタ27と、複数の行線28と、複数の列線(出力線)29と、複数の列選択トランジスタ30と、読み出し線(出力線)31と、負荷トランジスタ32と、垂直走査シフトレジスタ33と、水平走査シフトレジスタ34とを備える。
【0049】
ここでは、各ソースフォロワトランジスタ26のゲート端子は、複数の入力回路19のそれぞれに接続されている。また、各ソースフォロワトランジスタ26のドレイン端子は、電源線35に接続されており、電源電圧が供給されている。
各行選択トランジスタ27は、複数のソースフォロワトランジスタ26のソース端子のそれぞれに接続されている。また、各行線28は、それぞれ、各行の行選択トランジスタ27のゲート端子に接続されている。
【0050】
各列線29は、行選択トランジスタ27を介してソースフォロワトランジスタ26に接続されている。つまり、各列線29は、それぞれ、行選択トランジスタ27を介して、各列のソースフォロワトランジスタ26に接続されている。また、各列選択トランジスタ30は、複数の列線29のそれぞれに接続されている。さらに、読み出し線31は、全ての列選択トランジスタ30に接続されている。
【0051】
垂直走査シフトレジスタ33は、全ての行線28に接続されており、各行線28を順次駆動し、各行線28に接続されている行選択トランジスタ27の導通・非導通制御を行なうようになっている。また、水平走査シフトレジスタ34は、全ての列選択トランジスタ30に接続されており、各列選択トランジスタ30を順次駆動し、各列選択トランジスタ30の導通・非導通制御を行なうようになっている。
【0052】
読み出し線31は、一方が出力端子(Vout)に接続されており、他方が負荷トランジスタ32を介してグランド電位(GND)に接続されている。
そして、垂直走査シフトレジスタ33によって行線28が選択されると、選択された行線28に接続された行選択トランジスタ27は導通状態(オン状態)となる。行選択トランジスタ27が導通状態となると、各画素1に含まれるセンサ素子6,8からの出力信号が、入力回路19、ソースフォロワトランジスタ26及び行選択トランジスタ27を介して、列線29に出力される。
【0053】
一方、水平走査シフトレジスタ34によって列選択トランジスタ30が選択されると、選択された列選択トランジスタ30は導通状態(オン状態)となる。列選択トランジスタ30が導通状態となると、上述のようにして各列線29に出力されている出力信号が、列選択トランジスタ30を介して読み出し線31に出力される。読み出し線31に出力された出力信号は出力端子に出力される。
【0054】
特に、本実施形態では、図3、図4に示すように、第1スイッチ15と第2スイッチ17とを交互に切り替えることで、第1センサ素子(下部MQW層)6と第2センサ素子(上部MQW層)8とを交互にバイアス電源に接続して、第1センサ素子6と第2センサ素子8とを交互に動作させる。
そして、第1センサ素子6及び第2センサ素子8のいずれかが動作した状態で、必要な期間(積分時間)だけ入力ゲート18をオンにすると、第1センサ素子6又は第2センサ素子8からの光電流信号が積分容量素子23に流入し、蓄積された電荷によって発生した電圧が出力信号電圧として読出回路1へ4出力されることになる。
【0055】
積分時間終了後、入力ゲート18をオフにして各画素1からの出力電圧を確定させ、これを、シフトレジスタ33,34を用い、時系列的に読み出すようにしている。
以下、具体的な動作を図5のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、以下の動作はコントローラからの命令に基づいて実行される。
まず、第1スイッチ15をオンにし、第2スイッチ17をオフにして、下部MQW層(第1センサ素子)6にバイアス電圧を供給する。
【0056】
次いで、リセットトランジスタ25をオンにしてリセット動作が行なわれる。これにより、積分容量素子23がリセット電源24に接続され、容量電圧がリセット値に設定される。
次に、入力ゲート18をオンにし、積分容量素子23を放電させる。
そして、所定期間(積分時間)の経過後、入力ゲート18をオフにする。これにより、放電期間(積分時間)中に積分容量素子23に流入した電子によって決まる積分容量素子端の電圧が各画素1の出力電圧値となる。
【0057】
なお、このような動作は、2次元状に並んだ全ての画素1において行なわれる。
次に、シフトレジスタ33,34のスタート信号を入れて、各画素1の出力電圧値の走査読出動作を実行する。
垂直走査シフトレジスタ33が先頭行を選択し、水平走査シフトレジスタ34が、順次、列線29の選択を行なって、1行分の走査を実行する。そして、最終列線29の選択によって、垂直走査シフトレジスタ33が1カウント進み、次の行線28が選択され、水平走査シフトレジスタ34が、順次、列線29の選択を行なうようになっており、これを繰り返して全画素1の出力電圧値の読み出しを行なう。なお、最終行線29、最終列線29の選択終了によって垂直走査シフトレジスタ33及び水平走査シフトレジスタ34の両方を停止させるようにしている。
【0058】
その後、第1スイッチ15と第2スイッチ17のオン・オフ状態を反転させ、第1スイッチ15をオフにし、第2スイッチ17をオンにして、上部MQW層(第2センサ素子)8にバイアス電圧を供給する。
次いで、再度、リセット動作が行なわれ、積分容量素子23の容量電圧をリセット値に設定した後、入力ゲート18をオンにして、上部MQW層8に流れる光電流信号による積分動作が行なわれ、各画素1の出力電圧値を確定させる。
【0059】
つまり、上述の場合と同様に、入力ゲート18をオンにし、積分容量素子23を放電させる。そして、積分時間経過後、入力ゲート18をオフにする。これにより、放電期間(積分時間)中に積分容量素子23に流入した電子によって決まる積分容量素子端の電圧が各画素1の出力電圧値となる。
その後、上述の場合と同様に、水平走査シフトレジスタ34及び垂直走査シフトレジスタ33を動作させて、全画素1の出力電圧値の走査読出動作を実行する。
【0060】
このような動作を、例えば60Hzフレームレートで第1スイッチ15及び第2スイッチ17を切り替えて繰り返すことで、例えば5μmの赤外線イメージ画像と8.5μmの赤外線イメージ画像の2つの異なる波長域の赤外線イメージ画像を30Hz周期で取得することが可能である。
以下、本赤外線イメージセンサ(2波長イメージセンサ)の具体的な構成例及びその製造方法について、図6、図7を参照しながら説明する。
【0061】
まず、本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造は、図6に示すように、GaAs(100)基板10上に、i−GaAs層11、n−GaAs下部コンタクト層5、第1MQW層6(i−AlGaAs障壁層6A/n−GaAs井戸層6B)、中間コンタクト層7(n−GaAs下側コンタクト層7A、p−GaAs層7B、n−GaAs上側コンタクト層7C)、第2MQW層8(i−AlGaAs障壁層8A/n−InGaAs井戸層8B)、n−GaAs上部コンタクト層9を順に積層させた構造になっている。
【0062】
次に、本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造の製造方法について、図6を参照しながら説明する。
まず、GaAs(100)基板10上に、i−GaAs層11、下部コンタクト層としてのn−GaAs層5を結晶成長し、その上に、第1MQW層6を形成する。
ここでは、i−GaAs層11は、厚さを1000Åとしている。また、n−GaAs下部コンタクト層5は、厚さを9000Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。さらに、第1MQW層6は、障壁層をi−AlGaAs層6Aとし、井戸層をn−GaAs層6Bとし、これらの層を交互に20回繰り返し積層した構造にしている。ここで、i−AlGaAs障壁層6Aは、Al組成を0.25とし、厚さを400Åとしている。また、n−GaAs井戸層6Bは、n型不純物(Si)濃度を4×1017cm−3とし、厚さを50Åとしている。
【0063】
次いで、第1MQW層6上に、中間コンタクト層7として、n−GaAs層(下側コンタクト層)7A、p−GaAs層(逆導電型の半導体層)7B、n−GaAs層(上側コンタクト層)7Cを順に積層させる。
ここでは、n−GaAs下側コンタクト層7Aは、厚さを4000Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。また、p−GaAs層7Bは、厚さを5000Åとし、p型不純物(Be)濃度を5×1017cm−3としている。また、n−GaAs上側コンタクト層7Cは、厚さを4000Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。
【0064】
次に、n−GaAs上側コンタクト層7C上に、第2MQW層8を形成する。
ここでは、第2MQW層8は、障壁層をi−AlGaAs層8Aとし、井戸層をn−InGaAs層8Bとし、これらの層を交互に20回繰り返し積層した構造にしている。ここで、i−AlGaAs障壁層8Aは、Al組成を0.35とし、厚さを300Åとしている。また、n−InGaAs井戸層8Bは、In組成を0.3とし、n型不純物(Si)濃度を5×1018cm−3とし、厚さを25Åとしている。
【0065】
その後、第2MQW層8上に、上部コンタクト層としてのn−GaAs層9を成長させる。
ここでは、n−GaAs上部コンタクト層9は、厚さを10000Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。
なお、上述の各半導体層の結晶成長には、例えばMBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシャル成長)法あるいはMOVPE(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属気相成長)法を用いれば良い。
【0066】
このようにして、本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造(ウェハ)が作製される。
次に、このようにして作製されたウェハを用いて、赤外線イメージセンサを構成するセンサ素子アレイ2の製造方法について、図7を参照しながら説明する。
まず、図7(A)に示すように、QWIPに必要な光結合器を作製するため、ウェハ表面に回折格子構造(凹凸)50を形成する。これは、最表面のn−GaAs上部コンタクト層9を、例えばドライエッチングを用いて加工し、所定の段差を付けることで作製する。
【0067】
次いで、図7(B)に示すように、各画素1の中間コンタクト層7に含まれるp−GaAs層7Bに接するオーミック電極12Bを形成するために、画素毎に、中間コンタクト層7に含まれるp−GaAs層7Bまで延びるコンタクト穴36を形成する。
つまり、例えばドライエッチングを用いて、p−GaAs層7Bに到達する深さまで、最表面のn−GaAs上部コンタクト層9、第2MQW層8(AlGaAs/InGaAs層)、中間コンタクト層7に含まれるn−GaAs上側コンタクト層7Cを順次加工して、p−GaAs層7Bまで延びるコンタクト穴36を形成する。
【0068】
次に、図7(C)に示すように、画素形成領域の外周部において、全画素1に共通のn−GaAs下部コンタクト層5に接するオーミック電極12Cを形成するために、n−GaAs下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する。
つまり、例えばドライエッチングを用いて、n−GaAs下部コンタクト層5に到達する深さまで、最表面のn−GaAs上部コンタクト層9、第2MQW層8(AlGaAs/InGaAs層)、中間コンタクト層7(n−GaAs上側コンタクト層7C、p−GaAs層7B、n−GaAs下側コンタクト層7A)、第1MQW層6(AlGaAs/InGaAs層)を順次加工して、n−GaAs下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する。
【0069】
次いで、図7(D)に示すように、表面全体を覆うようにSiON膜38(保護膜;絶縁膜)を形成する。
次に、n−GaAs上部コンタクト層9、中間コンタクト層7に含まれるp−GaAs層7B及びn−GaAs下部コンタクト層5のそれぞれに接するオーミック電極12A,12B,12Cを形成する領域のSiON膜38を例えばドライエッチングによって除去する。
【0070】
その後、n−GaAs上部コンタクト層9、中間コンタクト層7に含まれるp−GaAs層7B及びn−GaAs下部コンタクト層5のそれぞれに接するオーミック電極12A,12B,12Cとして、AuGe/Au電極を例えばリフトオフ法によって形成する。
次に、図7(E)に示すように、ウェハ最表面に形成されている回折格子構造50上のSiON膜38を例えばドライエッチングによって除去した後、この回折格子構造50上に、TiW/Auからなるミラー電極39を例えばリフトオフ法によって形成する。
【0071】
次いで、図7(F)に示すように、表面全体を覆うようにSiON膜39を形成し、各オーミック電極12A,12B,12CとInバンプ電極4A,4B,4Cとを接続するための配線13A,13B,13Cがオーミック電極12A,12B,12Cと接触する領域のSiON膜39を例えばドライエッチングによって除去する。
そして、図7(G)に示すように、各オーミック電極12A,12B,12CからSiON膜39の表面まで延びるように配線13A,13B,13Cを形成する。ここでは、Ti/Ptを全面にスパッタ蒸着した後、配線13A,13B,13Cを形成する領域が残るようなパターンを形成し、不要なTi/Ptを例えばイオンミリングを用いて除去することによってTi/Pt配線13A,13B,13Cを形成する。
【0072】
次に、図7(H)に示すように、複数の画素1を分離する分離溝40を形成する。
ここでは、分離溝40を形成する領域のSiON膜39,38を例えばドライエッチングによって除去した後、例えばドライエッチングを用いて、n−GaAs下部コンタクト層5に到達する深さまで各半導体層9,8,7,6を順次加工して、n−GaAs下部コンタクト層5まで延びる分離溝40を形成する。
【0073】
その後、図7(I)に示すように、再度、表面全体を覆うようにSiON膜41を形成した後、信号処理回路アレイ3との接続のために必要となるInバンプ電極4A,4B,4Cを形成する。
ここでは、Inバンプ電極4A,4B,4Cを形成する領域のSiON膜41を例えばドライエッチングによって除去し、上述のようにして形成されている配線13A,13B,13Cに接続されるようにInバンプ電極4A,4B,4Cを例えばリフトオフ法によって形成する。
【0074】
このようにして、赤外線イメージセンサを構成するセンサ素子アレイ2が作製される。
そして、このようにして作製されたセンサ素子アレイ2と、CMOS回路によって構成された信号処理回路アレイ3とを、Inバンプ電極4A,4B,4Cを介して接続することで、本赤外線イメージセンサが作製される(図1参照)。
なお、本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造(ウェハ)及びセンサ素子アレイ2の製造方法は、上述の構造及び製造方法に限られるものではない。
【0075】
例えば、上述の本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造に対して、例えば図8に示すように、最表面のn−GaAs上部コンタクト層9上に、さらに、i−GaAs層(表面絶縁層)45,46を設けても良い。
また、上述の本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造に対して、例えば図8に示すように、ドライエッチングによって加工する際の深さ制御を良好なものとするために、層構造の中に選択ドライエッチング用のエッチングストッパ層42,43,44を設けても良い。
【0076】
具体的には、本赤外線イメージセンサを構成する半導体積層構造を、GaAs(100)基板10上に、i−GaAs層11、n−GaAs下部コンタクト層5、n−InGaPエッチングストッパ層42、n−GaAs層47、第1MQW層6(i−AlGaAs障壁層6A/n−GaAs井戸層6B)、中間コンタクト層7(n−GaAs下側コンタクト層7A、p−GaAs層7B、n−InGaPエッチングストッパ層43、n−GaAs上側コンタクト層7C)、第2MQW層8(i−AlGaAs障壁層8A/n−InGaAs井戸層8B)、n−GaAs上部コンタクト層9、i−GaAs絶縁層45、i−AlGaAsエッチングストッパ層44、i−GaAs絶縁層46を順に積層させた構造にしても良い。
【0077】
ここでは、n−InGaPエッチングストッパ層42は、厚さを100Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。このn−InGaPエッチングストッパ層42は、GaAs/AlGaAs/InGaAs選択ドライエッチング用のエッチングストッパ層である。
また、n−GaAs層47は、厚さを500Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。
【0078】
また、n−InGaPエッチングストッパ層43は、厚さを100Åとし、n型不純物(Si)濃度を1×1018cm−3としている。このn−InGaPエッチングストッパ層43は、GaAs/AlGaAs/InGaAs選択ドライエッチング用のエッチングストッパ層である。
また、下側のi−GaAs絶縁層45は、厚さを2000Åとしている。
【0079】
また、i−AlGaAsエッチングストッパ層44は、Al組成を0.3とし、厚さを50Åとしている。このi−AlGaAsエッチングストッパ層44は、GaAs選択ドライエッチング用のエッチングストッパ層である。
また、上側のi−GaAs絶縁層46は、厚さを6500Åとしている。
このように、最表面側にi−GaAs絶縁層45,46を設けることで、ウェハ表面(素子表面)に金属配線を近接して設ける際に配線間の絶縁性を高めることができる。通常はSiON膜のみによって絶縁性を確保しているが、その下側に絶縁性のi−GaAs層45,46を設けることで、さらに絶縁性を高めることができる。これにより、金属配線が形成される画素の上部においてショートが起こりにくくすることができる。
【0080】
また、上述のようなエッチングストッパ層42,43を設けることで、上述の回折格子構造50を形成する工程やコンタクト穴36,37を形成する工程において、ドライエッチング加工を行なって除去する半導体層のみがエッチングされ、エッチングストッパ層42,43がエッチングされないような選択ドライエッチングを用いて、所定の深さまでドライエッチングを進めることができるようになる。
【0081】
ここで、上述のような層構造にする場合には、上述の実施形態の製造方法における各工程を、以下のように変更する必要がある。
まず、上述の製造方法の回折格子構造50を形成する工程[図7(A)参照]において、最初に、i−AlGaAsエッチングストッパ層44をストッパとして、上述の製造方法と同様に回折格子構造50を選択ドライエッチングにより形成する。
【0082】
また、上述の製造方法のコンタクト穴36,37を形成する工程[図7(B),(C)参照]において、さらに、n−GaAs上部コンタクト層9まで延びるコンタクト穴を形成する。つまり、半導体積層構造の最表面側にi−GaAs絶縁層46,45が存在するため、n−GaAs上部コンタクト層9に接するオーミック電極12Aを形成するために、画素毎に、n−GaAs上部コンタクト層9まで延びるコンタクト穴を形成する必要がある。
【0083】
この場合、まず、i−AlGaAsエッチングストッパ層44をストッパとして、n−GaAs上部コンタクト層9まで延びるコンタクト穴を形成する領域の最表面のi−GaAs絶縁層46を選択ドライエッチングによって除去する。次いで、例えば硫酸+燐酸+過酸化水素水をエッチング液とするウェットエッチングによって、i−AlGaAsエッチングストッパ層44及びその下のi−GaAs絶縁層45を除去する。このようにして、画素毎に、n−GaAs上部コンタクト層9まで延びるコンタクト穴を形成する。
【0084】
また、上述の製造方法の中間コンタクト層7に含まれる半導体層(p−GaAs層)7Bまで延びるコンタクト穴36を形成する工程[図7(B)参照]において、n−InGaPエッチングストッパ層43をストッパとして、中間コンタクト層7に含まれる半導体層(p−GaAs層)7Bまで延びるコンタクト穴36を形成する領域の各半導体層(GaAs層/AlGaAs層/InGaAs層)を選択ドライエッチングによって除去する。そして、n−InGaPエッチングストッパ層43を例えばHClを用いたウェットエッチングによって除去する。このようにして、画素毎に、中間コンタクト層7に含まれる半導体層(p−GaAs層)7Bまで延びるコンタクト穴を形成する。
【0085】
また、上述の製造方法の下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する工程[図7(C)参照]において、最初に、n−InGaPエッチングストッパ層43をストッパとして、下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する領域の各半導体層(GaAs層/AlGaAs層/InGaAs層)を選択ドライエッチングによって除去する。次いで、n−InGaPエッチングストッパ層43を例えばHClを用いたウェットエッチングによって除去する。次に、n−InGaPエッチングストッパ層42をストッパとして、下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する領域の各半導体層(GaAs層/AlGaAs層/InGaAs層)を選択ドライエッチングによって除去する。そして、n−InGaPエッチングストッパ層42を例えばHClを用いたウェットエッチングによって除去する。このようにして、下部コンタクト層5まで延びるコンタクト穴37を形成する。
【0086】
したがって、本実施形態にかかるイメージセンサによれば、たとえ短絡などを生じた欠陥画素が存在したとしても、その周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにすることができ、イメージセンサの生産性を向上させることができるという利点がある。つまり、イメージセンサから得られる出力画像の劣化を抑えることができ、均一性の良い出力画像が得られるイメージセンサの生産性を向上させることができる。
【0087】
特に、複数のセンサ素子を積層して異なる波長域の光を受光しうるようにした画素1を多数配列した多波長イメージセンサを作製する場合、画素1の微細化を進めると、各画素1の上部を加工し、狭い領域に配線を形成することになる。このため、短絡などの欠陥が生じやすく、その結果、欠陥画素の周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がりやすい。このような場合であっても、欠陥画素の周囲に異常な出力電流が出力される領域が拡がらないようにすることができ、イメージセンサの生産性を向上させることができるという利点がある。例えば、センサ素子アレイ2内に数素子の短絡欠陥があったとしても、これが撮像画面の広い領域にわたって影響してしまうのを防ぐことができる。
【0088】
このような効果を有するため、本実施形態にかかるイメージセンサを使用することで、例えば夜間監視用の暗視撮像システムや熱源探知のリモートセンシングシステムを生産性良く構築することができる。
なお、上述の実施形態では、中間コンタクト層7に含まれる下側コンタクト層7Aと半導体層7Bの導電型を異なるものとすることで、これらの層によって、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子20が構成されるようにしているが、これに限られるものではない。
【0089】
例えば、逆導電型の半導体層7Bの代わりに、中間コンタクト層7に含まれる下側コンタクト層7Aよりも禁制帯の幅が狭い材料(組成)からなる半導体層を用いても良い。この場合、中間コンタクト層に含まれる下側コンタクト層と半導体層の導電型は同じであっても良いし、異なっていても良い。つまり、中間コンタクト層に含まれる半導体層として、中間コンタクト層に含まれる下側コンタクト層と導電型が同じで、かつ、中間コンタクト層に含まれる下側コンタクト層よりも禁制帯の幅が狭い材料(組成)からなる半導体層を用いても良い。また、中間コンタクト層に含まれる半導体層として、中間コンタクト層に含まれる下側コンタクト層と導電型が異なり、かつ、中間コンタクト層に含まれる下側コンタクト層よりも禁制帯の幅が狭い材料(組成)からなる半導体層を用いても良い。
【0090】
このように、上述の実施形態では、中間コンタクト層に加えられるバイアス極性によって整流性を持たせる機構として、pn接合を利用しているのに代えて、あるいは、pn接合を利用するとともに、禁制帯幅の異なる半導体材料からなるヘテロ接合を利用することもでき、この場合も同様の作用・効果が得られる。
具体的には、上述の実施形態の中間コンタクト層7に含まれるn−GaAs下側コンタクト層7Aとn−GaAs上側コンタクト層7Cとの間に挟まれるp−GaAs層7Bの代わりに、GaAsよりもバンドギャップEgが狭いn−InGaAs層(In=0.3)を用いることが考えられる。
【0091】
また、上述の実施形態の中間コンタクト層7に含まれるn−GaAs下側コンタクト層7A及びn−GaAs上側コンタクト層7Cの代わりに、n−AlGaAs(Al=0.2)下側コンタクト層及びn−AlGaAs(Al=0.2)上側コンタクト層を用い、上述の実施形態の中間コンタクト層7に含まれるp−GaAs層7Bの代わりに、n−GaAs層を用いることも考えられる。
【0092】
また、上述の実施形態では、上部MQW層8及び下部MQW層6を挟むコンタクト層5,7A,7C,9としてn型コンタクト層を用いているが、これに限られるものではなく、例えばp型コンタクト層を用いても良い。つまり、1種類の導電型のコンタクト層で上部MQW層及び下部MQW層を挟むようにすれば良い。
また、上述の実施形態では、下部コンタクト層5によって全画素を接続し、画素形成領域の外周部まで延ばすことで、下部コンタクト層5を共通配線として用いているが、これに限られるものではない。例えば画素毎に下部コンタクト層を設け、全画素の下部コンタクト層を、画素形成領域の外周部まで延びる金属配線で接続するようにしても良い。
【0093】
また、上述の実施形態では、2つのセンサ素子6,8を一画素とし、複数の画素1を配列して2波長イメージセンサを構成しているが、これに限られるものではなく、例えば、複数のセンサ素子を1画素とし、複数の画素を配列して多波長イメージセンサを構成しても良い。
また、上述の実施形態におけるMQW層6,8やコンタクト層5,7,9の材料・組成は、上述の実施形態のものに限られるものではない。例えば、MQW層やコンタクト層は、GaAs,InAs,AlAs,InP,GaP,AlP又はこれらの混晶によって構成すれば良い。
【0094】
また、上述の実施形態では、センサ素子として量子井戸型赤外線フォトディテクタ(QWIP)を用いる場合を例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、センサ素子として他の光伝導体型素子を用いても良い。また、例えば、光吸収部を、量子井戸層ではなく、量子ドット層としても良いし、受光波長に合わせた禁制帯幅を持つバルク半導体層としても良い。
【0095】
また、上述の実施形態では、信号処理回路アレイ3がバイアス電圧供給回路を含むものとして構成しているが、これに限られるものではなく、例えば、信号処理回路アレイとは別に(即ち、赤外線アレイセンサとは別に)バイアス電圧供給回路を設け、信号処理回路アレイに接続するようにしても良い。
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 画素
2 センサ素子アレイ
3 信号処理回路アレイ
4A,4B,4C バンプ電極
5 n型GaAs下部コンタクト層
6 AlGaAs/GaAs下部MQW層
7 中間コンタクト層
7A n型GaAs下側コンタクト層
7B 半導体層(p型GaAs層)
7C n型GaAs上側コンタクト層
8 AlGaAs/InGaAs上部MQW層
8A AlGaAs障壁層
8B InGaAs井戸層
9 n型GaAs上部コンタクト層
10 GaAs基板
11 i−GaAs層
12A,12B,12C オーミック電極
13A,13B,13C 配線
14 読出回路
15 第1スイッチ
16 バイアス電圧供給回路
17 第2スイッチ
18 第3スイッチ(入力ゲート)
19 入力回路
20 整流素子(pn接合ダイオード)
21 pn接合ダイオード
22 一画素ユニット
23 積分容量素子(キャパシタ)
24 リセット電源
25 リセットスイッチ(リセットトランジスタ)
26 ソースフォロワトランジスタ
27 行選択トランジスタ
28 行線
29 列線
30 列選択トランジスタ
31 読み出し線
32 負荷トランジスタ
33 垂直走査シフトレジスタ
34 水平走査シフトレジスタ
35 電源線
36,37 コンタクト穴
38,41 SiON膜
39 ミラー電極
40 分離溝
42,43 n−InGaPエッチングストッパ層
44 i−AlGaAsエッチングストッパ層
45,46 i−GaAs層(表面絶縁層)
47 n−GaAs層
50 回折格子構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光伝導体型素子と第2光伝導体型素子とを含む複数の画素と、
前記第1光導電体型素子及び前記第2光導電体型素子に接続された出力電極と、
前記複数の画素のそれぞれに含まれる第1光導電体型素子に接続された共通電極と、
前記出力電極と前記共通電極との間に設けられ、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子とを備えることを特徴とするイメージセンサ。
【請求項2】
前記第1光伝導体型素子を挟む第1コンタクト層と、
前記第2光伝導体型素子を挟む第2コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の一方と前記第2コンタクト層の一方との間に設けられ、前記出力電極に直接接続され、前記一方の第1コンタクト層と導電型が異なる半導体層とを備え、
前記整流素子は、前記一方の第1コンタクト層と、前記半導体層とによって構成されることを特徴とする、請求項1記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記第1光伝導体型素子を挟む第1コンタクト層と、
前記第2光伝導体型素子を挟む第2コンタクト層と、
前記第1コンタクト層の一方と前記第2コンタクト層の一方との間に設けられ、前記出力電極に接続され、前記一方の第1コンタクト層よりも禁制帯の幅が狭い材料からなる半導体層とを備え、
前記整流素子は、前記一方の第1コンタクト層と、前記半導体層とによって構成されることを特徴とする、請求項1記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記第2コンタクト層の他方に接続されたバイアス電極と、
前記共通電極にバイアス電圧を供給するための第1スイッチと、
前記バイアス電極にバイアス電圧を供給するための第2スイッチと、
前記出力電極に接続された第3スイッチとを備えることを特徴とする、請求項2又は3に記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記第1コンタクト層の他方が、前記複数の画素のそれぞれに含まれる前記第1光導電体型素子に接続された共通コンタクト層であり、
前記共通電極は、前記共通コンタクト層を介して、前記複数の画素のそれぞれに含まれる前記第1光導電体型素子に接続されていることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
センサ素子アレイと、
前記センサ素子アレイに接続された信号処理回路とを備え、
前記センサ素子アレイが、
第1光伝導体型素子と第2光伝導体型素子とを含む複数の画素と、
前記第1光導電体型素子及び前記第2光導電体型素子に接続された出力電極と、
前記複数の画素のそれぞれに含まれる第1光導電体型素子に接続された共通電極と、
前記出力電極と前記共通電極との間に設けられ、動作時に流れる電流の方向と逆向きの電流が流れるのを阻止する整流素子とを備えることを特徴とするイメージセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−192815(P2010−192815A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−37899(P2009−37899)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】